本発明は、液滴重合用の反応器を含む、粉末状ポリ(メタ)アクリレートを製造するための装置から出発し、この反応器は、モノマー溶液が投入される孔を有する、ポリ(メタ)アクリレートを製造するためのモノマー溶液の滴下装置と、滴下装置の上方にある気体供給箇所と、反応器の周囲にある少なくとも1つの気体取り出し箇所と、流動層とを有するものであり、ここでこの反応器は、気体取り出し箇所の上方に水力内径が一定である領域を有し、かつ気体取り出し箇所の下方に連続的に小さくなる水力内径を有する。
ポリ(メタ)アクリレートは特に、例えばおむつ、タンポン、生理用ナプキンおよびその他の衛生用品の製造において、または園芸農業における保水剤として使用される吸水性ポリマーとしても適用される。
吸水性ポリマーの特性は、架橋度により調整することができる。架橋度が上がるほど、ゲル強度が上がり、吸収容量が下がる。このことは、圧力下で吸収性が上がるほど遠心分離保持容量が減少することを意味し、ここで架橋度が非常に高い場合、圧力下での吸収性も再び減少する。
適用特性、例えばおむつにおける液体浸透性と圧力下での吸収性を改善するためには、一般的に、吸水性ポリマー粒子を後架橋する。それによって、粒子表面の架橋度だけが上がり、このことによって、圧力下での吸収性と、遠心分離保持容量とを少なくとも部分的に切り離すことができる。この後架橋は、水性ゲル相中で実施することができる。しかしながら、一般的に、粉砕および分級されたポリマー粒子は、その表面において後架橋剤により被覆され、熱により後架橋され、乾燥される。それに適した架橋剤は、親水性ポリマーのカルボキシレート基と共有結合を形成することができる少なくとも2つの基を含有する化合物である。
吸水性ポリマー粒子の製造については、様々な方法が公知である。そこで例えば、ポリ(メタ)アクリレートを製造するために使用されるモノマー、および場合によっては添加剤をミキシングニーダーに入れることができ、この中でモノマーが反応して、ポリマーになる。ミキシングニーダー内にある、混練バーを有する回転軸によって、生成するポリマーが引き裂かれて、小塊(Brocken)になる。ニーダーから取り出されたポリマーは、乾燥および粉砕されて、後処理に送られる。代替的な変形例では、さらなる添加剤も含有し得るモノマー溶液の形態にあるモノマーが、液滴重合用の反応器に投入される。モノマー溶液を反応器に投入する際に、モノマー溶液は***して液滴になる。液滴形成のメカニズムは、乱流のもしくは層状のジェット***であっても、または滴下であってもよい。ここで液滴形成のメカニズムは、モノマー溶液の導入条件および物質特性による。液滴は、反応器内で下方に向かって落ち、ここでモノマーが反応して、ポリマーになる。反応器の下部領域には流動層が存在しており、この流動層の中へと、反応により液滴から生じるポリマー粒子が落ちる。その後、この流動層の中で後反応が起こる。対応する方法は、例えば国際公開第2006/079631号、国際公開第2008/086976号、国際公開第2007/031441号、国際公開第2008/040715号、国際公開第2010/003855号および国際公開第2011/026876号に記載されている。
噴霧乾燥の原理に従って実施される全ての方法(この方法では、モノマー溶液が***されて液滴になり、反応器内でポリマーを形成しながら下方に向かって落ちる)における欠点は、液滴が衝突の際に一体化し得ること、および反応器の壁にぶつかった液滴が付着し得ること、およびそのようにして不所望な付着物形成がもたらされ得ることである。
よって本発明の課題は、反応器の壁における付着物形成を回避するか、または少なくとも大幅に削減する、液滴重合用の反応器を備える粉末状ポリ(メタ)アクリレートを製造するための装置を提供することである。
本課題は、液滴重合用の反応器を含む、粉末状ポリ(メタ)アクリレートを製造するための装置によって解決され、この反応器は、モノマー溶液が投入される孔を有する、ポリ(メタ)アクリレートを製造するためのモノマー溶液の滴下装置と、滴下装置の上方にある気体供給箇所と、反応器の周囲にある少なくとも1つの気体取り出し箇所と、流動層とを有するものであり、ここでこの反応器は、気体取り出し箇所の上方に水力内径が一定である領域を有し、かつ気体取り出し箇所の下方に連続的に小さくなる水力内径を有し、ここでこの反応器は、水力内径が連続的に小さくなる領域に加熱器を有する。
液滴重合用の反応器内におけるポリ(メタ)アクリレートの製造では、反応器内の固着物(Anbackungen)が実質的に、下部領域、特に反応器の水力内径が減少する部分において生じることが示された。驚くべきことに、水力内径が減少する反応器の領域において反応器を加熱することによって、付着物形成を大幅に低減できることが示された。
水力直径dhは、
dh=4・A/U
に従って算出され、ここでAは面積であり、Uは円周である。水力直径を用いることで、断面の形に依存せずに、反応器が形作られる。これは例えば、円形、長方形、任意の多角形の形状、卵形(oval)または楕円形(elliptisch)であってよい。しかしながら、円形の断面が好ましい。
液滴重合用の反応器は一般的に、モノマー溶液の滴下装置を有するヘッド、滴下されたモノマー溶液が落下してポリマーになる中部領域、およびポリマー液滴が落下する流動層を含む。ここで流動層は、水力内径が減少する反応器領域を下に向かって終わらせる。
滴下装置から出るモノマー溶液が反応器の壁に噴霧されないように、かつ同時に、反応器を静力学的におよび材料費の点で有利に形作るためには、反応器のヘッドを円錐台の形に作り上げ、滴下装置を反応器の円錐台型ヘッド内に位置決めすることが好ましい。
反応器のヘッドを円錐台型に形作ることによって、円筒形に形作るのに比べ、材料を節約することができる。さらに、円錐台型に形作られたヘッドは、反応器の静力学的安定性の改善に役立つ。さらなる利点は、気体とモノマー溶液からの液滴とが、より良好に相互に接触できることである。付着物形成の問題があるため、滴下装置は、反応器を円筒形に形作る場合でも、それより大きく作製されることはないが、しかしながらこの場合、気体供給部の断面がかなり大きく、そのため大部分の気体は、液滴との接触が起こり、かつこれが液滴含有流に混ぜ入れられるまでに、かなり長い時間を必要とするだろう。さらに気体流は、7°超の、円錐の開口角において表面から引き離され、渦を形成し、このことがまた、より迅速な混和に寄与する。
反応器の高さをできるだけ低く保持するためには、モノマー溶液の滴下装置が、円錐台型に形作られたヘッドにおいてなるべく上方に配置されていれば、さらに有利である。これは、モノマー溶液の滴下装置が、円錐台型に形作られたヘッドの高さに配置されていることを意味し、ここで円錐台型に形作られたヘッドの直径は、ほぼ滴下装置の直径に対応する。
最も外側の孔の領域における滴下装置から出るモノマー溶液が、円錐台型に形作られたヘッドの壁に噴霧されるのを回避するためには、円錐台型に形作られたヘッドの水力直径が、滴下装置が配置されている高さにおいて、最も外側の孔を結んだ線により囲まれた面に係る水力直径よりも2〜30%、より好ましくは4〜25%、特に5〜20%大きけることが、好ましい。さらに、ヘッドの水力直径をそれより幾分大きくすることによって、液滴が、反応器ヘッドの下方にあっても予定より早く反応器壁にぶつかって、そこに付着しないことが保証される。
モノマー溶液の滴下装置の上方には、気体供給箇所が存在しており、そのため、気体および液滴が、並流で上から下へと反応器を流れる。反応器の下部領域には流動層が存在しているため、このことにより、反応器の下部領域において、気体が反対方向に下から上へと流れる。気体は上からも下からも反応器に投入されるため、気体をモノマー溶液の滴下装置と流動層との間で取り出す必要がある。気体取り出し箇所は好ましくは、円筒形の反応器壁から、水力内径が減少していく領域への移行部に位置決めされている。気体取り出し箇所の高さにおいて最大反応器直径まで断面を適切に広げることによって、反応器の排気への粒子同伴が防止される。ここで気体取り出し環の断面は、環における平均気体速度が、0.25〜3m/s、好ましくは0.5〜2.5m/s、特に1.0〜1.8m/sになるような大きさである。それより小さい値は、粒子同伴を低減するものの、非経済的なほど大きな寸法をもたらし、それより大きな値は、不所望なほど多い粒子同伴をもたらす。
ここで、気体取り出し箇所が位置決めされている反応器領域は好適には、水力内径が減少していく領域の直径が、その上端において反応器上部の直径よりも大きくなるように形作られている。上方から反応器を通じて流れる気体は、上部の反応器壁の下端の周囲を流れ、少なくとも1つの気体抜取口を介して、水力内径が減少していく領域の上端と、水力内径が減少していく領域内に入り込む反応器壁下端との間に形成された環状空間から取り出される。気体抜取口には、固体を分離するための装置が連結されており、この装置において、気体流と一緒に反応器から抜き取られるポリマー粒子を分離することができる。固体を分離するための装置としては、例えばフィルターまたは遠心分離器、例えばサイクロンが適している。サイクロンが特に好ましい。
本発明によると、少なくとも、滴下装置の最も外側の孔から垂直に下方に向かって落ちる液滴が流動層に落ちるくらいに流動層の面が大きくなるように、流動層の水力直径を選択する。このために、流動層の面は、滴下装置の最も外側の孔を結んだ線により形成される面と少なくとも同じ大きさであり、同じように作製してある。さらにまた、流動層の表面が、滴下装置の最も外側の孔を結んだ線により形成される面より大きくてもよい。ここで、流動層の表面が、滴下装置の最も外側の孔を結んだ線により形成される面よりも5〜50%、より好ましくは10〜40%、特に15〜35%大きけることが、特に好ましい。ここで、流動層の表面の形はそれぞれ、最も外側の孔を結んだ線により囲まれている面の形に対応する。例えば、流動層の表面が円形である場合、最も外側の孔を結んだ線により囲まれている面も円形であり、ここで流動層の表面の直径は、滴下装置の最も外側の孔を結んだ線により形成される面の直径より大きくてよい。
通常、モノマー溶液は、液体ジェットの形態で滴下装置の孔から排出され、その後、この液体ジェットは反応器内で***して液滴になる。液体ジェットの***は、一方では時間単位あたり孔を通して排出される液体の量に依存し、他方では反応器を流れる気体の速度および量に依存する。さらに、モノマー溶液の物質特性および孔の形状は、ジェット***の形式に影響を及ぼす。本発明の範囲において、液滴***は、滴加(Eintropfen)または滴下(Vertropfen)とも称される。
気体が十分にモノマー溶液の滴下装置を通過でき、それにより、均一な気体速度を反応器中で達成できるようにするために、そして装置の周囲を流れる際に気体があまりに大幅に加速および渦化しないようにするためには、反応器において滴下装置に覆われている面の比率が、最も外側の孔を結んだ線により囲まれている面を基準として、50%未満、好ましくは3〜30%の範囲にあることが、さらに好ましい。
孔の数が、最も外側の孔を結んだ線により形成される面を基準として、孔100個〜1000個/m2の範囲、好ましくは孔150個〜800個/m2の範囲、特に孔200個〜500個/m2の範囲にあることが、さらに好ましい。こうすることで、これらの孔において形成された液滴が互いに十分に大きな間隔を有し、さらには反応器を流れる気体と十分に接触できることが保証される。
1つの実施形態において、モノマー溶液の滴下装置は流路を有しており、その下側には孔が形成されており、かつこれらの流路は星型に配置されている。流路を星型に配置することによって特に、円形の断面を有する反応器内において、反応器内の液滴の均一な分布を得ることが可能である。添加は、モノマー溶液が導入される流路を通して行われる。流路の下側にある孔を通して液体が排出され、液滴が形成される。
流路から排出される液滴が、流路の周囲を流れる気体となるべく迅速に接触するためには、これらの流路がなるべく小さい幅を有することが、さらに好ましい。ここで流路の幅は、好適には25〜500mmの範囲、さらに好ましくは100〜400mmの範囲、特に150〜350mmの範囲にある。
好ましい実施形態において、水力内径が連続的に小さくなる反応器領域における加熱器は、20〜5000W/m2の範囲にある加熱出力を投入するように設計されている。加熱出力は、好ましくは100〜3000W/m2の範囲、特に200〜1500W/m2の範囲にある。20W/m2未満の加熱出力は、固着物を回避するには十分でなく、5000W/m2超の加熱出力は、反応器の壁に衝突する材料の不可逆的な損傷、およびそれによる低価値の製品品質をもたらす。
加熱は、当業者に公知のあらゆる任意の加熱設備によって実現することができる。よって、例えば、加熱するために電気式加熱器を使用することが可能である。代替的に、加熱は、例えば直接点火、例えばガスまたは油による直接点火によっても実現することができる。しかしながら、加熱するためのジャケットが、ダブルジャケットとして、または外部でジャケットに設けられている加熱コイルの形態で作製されていることが好ましく、ここでダブルジャケットまたは加熱コイルに熱媒体が貫流される。適切な熱媒体は、例えば熱媒油、水または水蒸気である。水蒸気による加熱が特に好ましい。
加熱するために反応器のジャケットに加熱コイルが設けられている場合、この加熱コイルは、好適にはメアンダ状であり、そのため、熱は加熱コイルを通じて均一に投入される。
水力内径が連続的に小さくなる反応器領域は、あらゆる任意の形を有することができ、ここで、水力内径が連続的に小さくなる反応器領域が円錐形であることが、特に好ましい。円錐形には、落下の間にモノマー溶液が重合することによって液滴から形成されたポリマー粒子が、排ガスと一緒に反応器から吸い出されることなく流動層に落下することができるという利点がある。水力内径が連続的に小さくなる領域のすぐ上にぶつかるポリマー粒子は流動層に滑り込むことができる。
水力内径が連続的に小さくなる反応器の領域の壁上でポリマー粒子が滑るのを補助するために、水力内径が連続的に小さくなる領域で、反応器の外側に機械式または空気圧式の洗浄装置を取り付けることが可能である。固着物は、特に反応器の下部領域で発生するが、水力内径が連続的に減少する領域の上方でも生じ得るため、水力内径が一定であるジャケットの領域の下部3分の1で、反応器の外側に機械式または空気圧式の洗浄装置をさらに取り付けておけば、好ましい。
適切な機械式または空気圧式の洗浄装置は、例えばノッカーである。しかしながら、ノッカーの代わりに、例えば振動伝播装置、超音波伝播装置、可動式スクレーパーまたは撹拌装置、ならびにガスノズルも、機械式または空気圧式の洗浄装置として使用することができる。さらに、反応器壁は、適切な付着防止剤、例えばPTFE、ポリアミド、ポリウレタンもしくはシリコーンを用いて処理もしくは被覆することができるか、またはそれどころか、完全にそのような材料から成っていてよい。
本発明の実施例は図に図示してあり、以下の記載においてより詳細に説明する。
液滴重合用の反応器の縦断面図を示す。
加熱コイルおよびノッカーを有する、水力内径が連続的に小さくなる領域の概略図を示す。
図1は、本発明により作り上げられる反応器の縦断面図を示す。
液滴重合用の反応器1は、内部に滴下装置5が収容されている反応器ヘッド3、重合反応が起こる中部領域7、および反応が完了する流動層11を有する下部領域9を含む。
ポリ(メタ)アクリレートを製造するための重合反応を実施するために、滴下装置5にモノマー溶液を、モノマー供給部12を介して供給する。滴下装置5が複数の流路を有する場合、各流路に、専用のモノマー供給部12を介してモノマー溶液を供給することが好ましい。モノマー溶液は、滴下装置5内の、図1には図示されていない孔を通して排出され、***してそれぞれ液滴になり、これらの液滴は、反応器内で下方に向かって落ちる。滴下装置5の上方にある第一気体供給箇所13を介して、気体、例えば窒素または空気が反応器1に導入される。ここで気体流は、滴下装置5の孔から排出されるモノマー溶液が***してそれぞれ液滴になるのを補助する。さらに、この気体流によって、液滴がそれぞれ触れ合わないように、かつ一体化してより大きな液滴にならないように補助される。
一方で反応器の円筒形中部領域7をなるべく短く形作るために、そしてさらに、液滴が反応器1の壁にぶつかるのを回避するために、反応器ヘッド3は好適には、ここで図示されているように円錐形に作り上げられており、ここで滴下装置5は、円筒形領域の上方にある円錐形反応器ヘッド3内に存在している。しかしながら代替的には、反応器を、反応器ヘッド3においても中部領域7にあるような直径で円筒形に形作ることも可能である。しかしながら、反応器ヘッド3を円錐形に形作ることが好ましい。滴下装置5の位置は、モノマー溶液が供給される最も外側の孔と反応器の壁との間に、なおも十分に大きな間隔があり、液滴が壁に衝突するのが防止されるように選択される。そのために、この間隔は、少なくとも50〜1500mmの範囲、好ましくは100〜1250mmの範囲、特に200〜750mmの範囲にあることが望ましい。当然のことながら、反応器の壁への距離はより大きくてもよい。しかしながら、このことには、間隔が大きくなるほど、反応器断面の利用性が悪化するという欠点がある。
下部領域9は流動層11で終わり、この層へと、落下の間にモノマー液滴から生成したポリマー粒子が落下する。流動層では、所望の生成物への後反応が起こる。本発明によると、モノマー溶液が滴下される最も外側の孔は、垂直に下方に向かって落ちる液滴が流動層11に落ちるように位置決めされている。このことは例えば、流動層の水力直径が少なくとも、滴下装置5における最も外側の孔を結んだ線により囲まれる面の水力直径と同じ大きさであることによって実現され、ここで流動層の断面と、最も外側の孔を結んだ線により形成される面とは、同じ形を有し、2つの面の中心点は、垂直投影図で同じ位置に重なって存在している。流動層11の位置に対して外側にある孔の最も外側の位置は、図1において点線15により図示されている。
さらに、液滴が中部領域7においても反応器の壁にぶつかるのを回避するために、滴下装置と気体取り出し箇所との中間点の高さにおける水力直径は、流動層の水力直径より少なくとも10%大きい。
ここで反応器1は、あらゆる任意の断面形を有することができる。しかしながら、好ましくは、反応器1の断面は円形である。この場合、水力直径は反応器1の直径に対応する。
ここで図示する実施形態において、流動層11の上方では、反応器1の直径は増え、そのため、反応器1は、下部領域9において下から上に円錐形に広がる。このことには、反応器1内で生成したポリマー粒子が壁にぶつかり、壁上で下方に向かって流動層11に滑り込めるという利点がある。さらに、固着物を回避するために、ここでは図示されていないノッカーを、外部で反応器の円錐型の部分に備えておくことができ、これらのノッカーにより、反応器の壁が振動し、それによって、付着しているポリマー粒子が剥がれ、流動層11に滑り込む。
流動層11を稼動させるための気体供給のために、流動層11の下方にガス分配器17が存在しており、これによって気体が流動層11に吹き込まれる。
気体は上からも下からも反応器1に導入されるため、適切な位置で気体を反応器1から取り出す必要がある。そのために、一定の断面を有する中部領域7から、円錐形に下から上に広がる下部領域9への移行部において、少なくとも1つの気体取り出し箇所19が配置されている。ここで円筒形中部領域7は、その壁と一緒に、上に向かって円錐形に広がる下部領域9に入り込み、ここで、この位置において円錐形下部領域9の直径は、中部領域7の直径より大きい。こうすることで、中部領域7の壁を取り巻く環状チャンバ21が形成され、気体はこの中に流れ込み、環状チャンバ21と接続している少なくとも1つの気体取り出し箇所19を通して抜き取ることができる。
流動層11の後反応したポリマー粒子は、流動層の領域にある生成物取り出し箇所23を介して取り出される。
図2では、加熱コイルおよびノッカーを有する、水力内径が連続的に小さくなる領域が概略的に図示されている。
円錐形下部領域9の加熱を実現するために例えば、加熱コイル31を外部で円錐形下部領域9に設けることができる。下部円錐形領域9の反応器壁を加熱するために、加熱コイル31に、温度調節媒体、例えば熱媒油、水または好ましくは蒸気を貫流させる。円錐形下部領域9に設けられた、温度調節媒体を貫流させた加熱コイル31の代わりに、例えば電気式加熱器を備えることも可能である。
温度調節媒体を貫流させた加熱コイル31では、温度調節媒体の温度および体積流を、20〜5000W/m2の範囲にある加熱出力が反応器1の下部円錐形領域9に導入されるように調整する。
下部円錐形領域9の壁を安定化させるために、補強リング33を壁に設けることが可能である。ここで補強リング33および加熱コイル31は、反応器1の下部円錐形領域9への熱の投入が補強リング33によって妨害されないように配置される。
下部円錐形領域9の加熱を補完しつつ固着物を回避するために、さらに機械式または空気圧式の洗浄装置、例えばノッカー35を取り付けることができる。ここでノッカー35は、これらが下部円錐形領域9の壁に直接作用することができるように、加熱コイル31の間で位置決めされる。
実施例
ポリ(メタ)アクリレートを製造するために、液滴重合用の反応器を図1に図示されているように使用する。直径が一定である反応器領域は、22mの高さおよび3.4mの直径を有する。流動層の直径は3mであり、高さは0.25mである。
反応器のヘッドにおいて、1〜4体積%の残留酸素割合を有する窒素を乾燥ガスとして供給した。乾燥ガスの量は、反応器の円筒形部分における気体速度が0.8m/sであるように調整した。生成物排出部において温度を測定し、反応器の稼動の間に乾燥ガスの温度を調整することによって117℃に維持した。
流動層を作製するための気体は、122℃の温度および4%の相対湿度で供給した。流動層における気体速度は0.8m/sであり、流動層における生成物の滞留時間は120分であった。この生成物を反応器からロータリーフィーダによって取り出し、長さ3m、幅0.65mおよび高さ0.5mの移動床に供給した。移動床に供給された気体は60℃の温度を有しており、気体量は、移動床における気体速度が0.8m/sであるように調整した。気体としては空気を使用した。移動床における生成物の滞留時間は1分であった。最後に、移動床から取り出された生成物を分級し、800μm超の粒径を有する粒子を除去した。
反応器に供給されるモノマー溶液を製造するために、まずアクリル酸を、架橋剤としての3回エトキシ化されたグリセリントリアセテートと混合し、引き続き、37.3質量%のアクリル酸ナトリウム溶液と混合した。このモノマー溶液を10℃の温度に温度調節した。モノマー溶液を反応器に入れる前に、20℃の温度を有する開始剤としてのペルオキソ二硫酸ナトリウム溶液、および[2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリドを、5℃の温度を有するBruggolite(登録商標)FF7と一緒にスタティックミキサーを用いて添加混合した。反応器への添加は、3つの流路を介して滴下カセットを用いて行い、この滴下カセットはそれぞれ、その下側において、直径170μmの穿孔256個および穿孔間隔15mmを有する滴下プレートにより閉じられていた。
滴下カセットは、滴下カセットを取り囲む流路を貫流する水によって、8℃の温度に温度調節した。
滴下プレートは、その中心軸に沿って、水平に対して3°の角度で角度付けされていた。滴下プレートのための材料としては、ステンレス鋼を用いた。滴下プレートの長さは630mm、幅は128mm、高さは1mmであった。
反応器に供給されるモノマー溶液は、アクリル酸10.45質量%、アクリル酸ナトリウム33.40質量%、3回エトキシ化されたグリセリントリアセテート0.018質量%、[2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド0.072質量%、Bruggolite(登録商標)FF7の5質量%の水溶液 0.0029質量%、ペルオキソ二硫酸ナトリウムの15質量%の水溶液0.054質量%および水を含有していた。穿孔1個あたり1.6kg/hのモノマー溶液を反応器に供給した。
反応器の下部円錐形領域は、24.75m2の面積および5mmの壁厚を有していた。下部領域の加熱は電気的に行った。さらに、6個の空気圧式ノッカーPKL2100/5(Netter社)が下部円錐形領域に据え付けられていた。各ノッカーは、これが50秒のインターバルで、3秒間隔で2回の打撃を発生させるように操作した。
反応器から取り出される生成物は、680g/lのかさ密度および407μmの平均粒径を有していた。
複数回の実験を、下部円錐形領域の加熱器の様々な加熱出力で実施した。加熱出力および結果は、表1に示してある。
表1から分かるように、稼動時間は、加熱出力が増加するほど増える。特に加熱出力が低い場合、付着物形成が起こり、このことによって、プロセスを終了して、反応器を清浄化する必要が生じる。表から分かるように、低い加熱出力によってすでに、下部円錐形領域の加熱器なしの稼動に比べて、稼動時間が著しく長くなる。
他方で、高すぎる加熱出力によっては、稼動時間が延長されないにも拘わらず、製品品質が低下し、これは、例5で生成物が黄変することによって示された。