JP2018199317A - 積層フィルム、合わせガラス中間膜シートの製造方法、および合わせガラスの製造方法 - Google Patents

積層フィルム、合わせガラス中間膜シートの製造方法、および合わせガラスの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】中間層に薄膜の機能層を含む合わせガラスの製造方法であって、機能層の変形または破断などの不具合が生じない製造方法、および上記製造方法に使用できる積層フィルムを提供する。【解決手段】剥離性支持体、厚みが20μm以下の機能層、および樹脂膜をこの順に含み、機能層は光学異方性を有する反射層であり、例えば機能層は重合性液晶化合物を含む液晶組成物を硬化した層である位相差層とコレステリック液晶構造を含む層とを含み、樹脂膜と機能層との界面の剥離力が、剥離性支持体と機能層との界面の面内最小剥離力よりも0.01N/25mm以上大きい積層フィルム、および上記積層フィルムから剥離性支持体を剥離性支持体と位相差層との界面で剥離することを含む合わせガラスの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、積層フィルムに関する。より詳しくは、本発明は合わせガラス中間膜シート作製用積層フィルムに関する。また、本発明は上記積層フィルムを利用した合わせガラス中間膜シートの製造方法、および合わせガラスの製造方法に関する。
合わせガラスの中間層にハーフミラーフィルムを設けた構成のウインドシールドガラスは、ヘッドアップディスプレイシステムの投映像表示用部材とすることができる。特許文献1においては、位相差層および複数のコレステリック液晶層を含むハーフミラーフィルムをポリビニルブチラール膜などの樹脂膜2枚に挟んで中間層を形成することが開示されている。特許文献1においては、剥離性支持体上で液晶化合物を含む液晶組成物の塗布および硬化を繰り返すことにより上記の位相差層およびコレステリック液晶層が形成されている。
WO2016/052367
ウインドシールドガラスの中間層に設けられるハーフミラーフィルムは薄膜化することにより、外部から視認されにくいようにすることができる。また、近年、ハーフミラーフィルムの積層数を減らしてコストを削減することも課題となっている。
しかし、本発明者らが、特許文献1に記載のハーフミラーフィルムのさらなる薄膜化や、積層数の低減を計っていたところ、位相差層およびコレステリック液晶層を含む機能層を樹脂膜に転写する際に、剥離性支持体が剥がれないという問題や、機能層が変形または破断するという問題があることがわかった。
本発明は、上記問題の解決のためになされたものであり、中間層に薄膜の機能層を含む合わせガラスの製造方法であって、機能層の変形または破断などの不具合が生じない製造方法を提供することを課題とする。本発明はまた、上記製造方法に用いることができる積層フィルム、および上記積層フィルムを用いた中間膜シートの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題の下、鋭意検討し、上記問題が、機能層と剥離性支持体との間の剥離力および機能層と樹脂膜との間の剥離力の関係に依存して生じていることを見出し、さらに検討を重ねて、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は下記の[1]〜[16]を提供するものである。
[1]剥離性支持体、機能層、および第一の樹脂膜をこの順に含み、
上記機能層は光学異方性を有する反射層であり、
上記機能層は厚みが20μm以下であり、
上記第一の樹脂膜と上記機能層との界面の剥離力が、上記剥離性支持体と上記機能層との界面の面内最小剥離力よりも0.01N/25mm以上大きい積層フィルム。
[2]上記第一の樹脂膜がポリビニルブチラールを含む[1]に記載の積層フィルム。
[3]上記剥離性支持体の厚みが50μm以上である[1]または[2]に記載の積層フィルム。
[4]上記剥離性支持体と上記機能層との界面の面内最大剥離力と最小剥離力の差が0.005N/25mm以上である[1]〜[3]のいずれかに記載の積層フィルム。
[5]上記剥離性支持体と上記機能層との界面の面内最小剥離力が0.03N/25mm以上である[1]〜[4]のいずれかに記載の積層フィルム。
[6]上記機能層が位相差層とコレステリック液晶構造を含む層とを含み、
上記位相差層は、重合性液晶化合物を含む液晶組成物を硬化した層であり、
上記剥離性支持体および上記位相差層は互いに直接接しており、
上記機能層および上記第一の樹脂膜は互いに直接接している[1]〜[5]のいずれかに記載の積層フィルム。
[7]上記機能層の厚みが10μm以下である[6]に記載の積層フィルム。
[8]上記剥離性支持体がポリエチレンテレフタレートを含むフィルムからなる[6]または[7]に記載の積層フィルム。
[9]上記コレステリック液晶構造を含む層がコレステリック液晶層である[6]〜[8]のいずれかに記載の積層フィルム。
[10]上記コレステリック液晶層の1つが上記位相差層に直接接している[9]に記載の積層フィルム。
[11]上記機能層が(メタ)アクリレートモノマーを含む非液晶性組成物を塗布硬化して得られた透明層を含み、上記透明層が上記位相差層および上記コレステリック液晶層の1つに直接接している[9]に記載の積層フィルム。
[12]上記コレステリック液晶構造を含む層が複数のコレステリック液晶ドットを含む層である[6]〜[8]のいずれかに記載の積層フィルム。
[13]上記機能層上記位相差層表面に形成された上記の複数のコレステリック液晶ドット、およびオーバーコート層を含み、上記オーバーコート層は上記位相差の上記液晶ドットが形成された面側に設けられている[12]に記載の積層フィルム。
[14]合わせガラス中間膜シート作製用フィルムである[1]〜[13]のいずれかに記載の積層フィルム。
[15]合わせガラス中間膜シートの製造方法であって
[1]〜[14]のいずれかに記載の積層フィルムから上記剥離性支持体を上記剥離性支持体と上記位相差層との界面で剥離すること、
上記剥離面側に上記第一の樹脂膜を設けることを含む製造方法。
[16]合わせガラスの製造方法であって
[1]〜[14]のいずれかに記載の積層フィルムから上記剥離性支持体を上記剥離性支持体と上記位相差層との界面で剥離すること、
上記剥離面側に第二の樹脂膜および第二のガラス板をこの順で設けること、および
上記フィルムの上記第一の樹脂膜の表面に第一のガラス板を設けること
を含む製造方法。
本発明により、中間層に薄膜の機能層を含む合わせガラスの製造方法であって、機能層の変形などの不具合が生じない製造方法が提供される。本発明により、さらに上記製造方法に用いることができる積層フィルム、および上記積層フィルムを用いた中間膜シートの製造方法が提供される。
本発明の積層フィルムの一例を模式的に示す図である。 本発明の製造方法により製造される合わせガラスの一例を模式的に示す図である。 実施例で用いた剥離性支持体のラビング方向を模式的に示す図である。 実施例で作製した積層体Hの断面図を模式的に示す図である。 実施例の評価の際の合わせガラス、観察位置およびプロジェクターの位置を模式的に示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
また、本明細書において、角度(例えば「90°」等の角度)、およびその関係(例えば、「平行」、「水平」、「鉛直」等)については、本発明が属する技術分野において許容される誤差の範囲を含むものとする。例えば、厳密な角度±10°未満の範囲内であることなどを意味し、厳密な角度との誤差は、5°以下であることが好ましく、3°以下であることがより好ましい。
本明細書において、フィルム状または層状のものの面積および形状について言及する場合、特に断らない限り、その主表面(おもて面または裏面)の面積および形状をそれぞれ意味する。
本明細書において、円偏光につき「選択的」というときは、光の右円偏光成分または左円偏光成分のいずれかの光量が、他方の円偏光成分よりも多いことを意味する。具体的には「選択的」というとき、光の円偏光度は、0.3以上であることが好ましく、0.6以上がより好ましく、0.8以上がさらに好ましい。実質的に1.0であることがさらに好ましい。ここで、円偏光度とは、光の右円偏光成分の強度をIR、左円偏光成分の強度をILとしたとき、|IR−IL|/(IR+IL)で表される値である。
本明細書において、円偏光につき「センス」というときは、右円偏光であるか、または左円偏光であるかを意味する。円偏光のセンスは、光が手前に向かって進んでくるように眺めた場合に電場ベクトルの先端が時間の増加に従って時計回りに回る場合が右円偏光であり、反時計回りに回る場合が左円偏光であるとして定義される。
本明細書においては、コレステリック液晶の螺旋の捩れ方向について「センス」との用語を用いることもある。コレステリック液晶の螺旋の捩れ方向(センス)が右の場合は右円偏光を反射し、左円偏光を透過し、センスが左の場合は左円偏光を反射し、右円偏光を透過する。
本明細書において、「光」という場合、特に断らない限り、可視光かつ自然光(非偏光)の光を意味する。可視光線は電磁波のうち、ヒトの目で見える波長の光であり、通常、380nm〜780nmの波長域の光を示す。
本明細書において、光透過率の算出に関連して必要である光強度の測定は、例えば通常の可視スペクトルメータを用いて、リファレンスを空気として、測定したものであればよい。
本明細書において、単に「反射光」または「透過光」というときは、散乱光および回折光を含む意味で用いられる。
なお、光の各波長の偏光状態は、円偏光板を装着した分光放射輝度計またはスペクトルメータを用いて測定することができる。この場合、右円偏光板を通して測定した光の強度がIR、左円偏光板を通して測定した光の強度がILに相当する。また、照度計やスペクトルメータに円偏光板を取り付けても測定することができる。右円偏光透過板をつけ、右円偏光量を測定、左円偏光透過板をつけ、左円偏光量を測定することにより、比率を測定できる。
本明細書において、p偏光は光の入射面に平行な方向に振動する偏光を意味する。入射面は反射面(合わせガラス表面など)に垂直で入射光線と反射光線とを含む面を意味する。p偏光は電場ベクトルの振動面が入射面に平行である。本明細書において、s偏光は光の入射面に垂直な方向に振動する偏光を意味する。
本明細書において、正面位相差は、Axometrics社製のAxoScanを用いて測定した値である。測定波長は特に言及しないときは550nmとする。正面位相差はKOBRA 21ADHまたはWR(王子計測機器(株)製)において可視光波長域内の波長の光をフィルム法線方向に入射させて測定した値を用いることもできる。測定波長の選択にあたっては、波長選択フィルターをマニュアルで交換するか、または測定値をプログラム等で変換して測定することができる。
本明細書において、液晶化合物の複屈折(Δn)は、「液晶・基礎編(岡野光治、小林駿介編)」のp.214に記載の方法に従って測定した値である。具体的には、液晶化合物を楔型セルに注入し、これに波長550nmの光を照射し、透過光の屈折角を測定することにより60℃におけるΔnを求めることができる。
本明細書において、「投映像(projection image)」は、前方などの周囲の風景ではない、使用するプロジェクターからの光の投射に基づく映像を意味する。投映像は、合わせガラス表面で観察される実像、または観察者から見てウインドシールドガラスの投映像表示部位の先に浮かび上がって見える虚像として観測される。
本明細書において、「画像(screen image)」はプロジェクターの描画デバイスに表示される像または、描画デバイスにより中間像スクリーン等に描画される像を意味する。
画像および投映像は、いずれも単色の像であっても、2色以上の多色の像であっても、フルカラーの像であってもよい。
<<積層フィルム>>
本発明の積層フィルムは、剥離性支持体、機能層、および第二の樹脂膜をこの順に含むフィルムである。図1に本発明の積層フィルムの一例を模式的に示す。剥離性支持体2、機能層1、および第二の樹脂膜3がこの順に積層されている。機能層1は、位相差層4およびコレステリック液晶構造を含む層5を含み、位相差層4は剥離性支持体2に直接接している。なお、本発明の積層フィルムにおいて、機能層は反射型偏光板であってもよい。
本発明の積層フィルムは、合わせガラスの製造のために用いることができるフィルムである。また、発明の積層フィルムは、合わせガラスの中間膜シートの製造に用いることができるフィルムである。本発明の積層フィルムはハーフミラーフィルムとしての機能を有する機能層を合わせガラスの中間層に設けるための材料とすることができる。また、本発明の積層フィルムは、中間層に機能層を含む合わせガラスの製造における製造中間体である。
本発明の積層フィルムにおいて、剥離性支持体および機能層は互いに直接接しており、かつ機能層および第二の樹脂膜は互いに直接接していることが好ましい。機能層が位相差層を含む場合は、機能層中の位相差層が剥離性支持体と互いに接していることが好ましい。本発明の積層フィルムにおいては、第一の樹脂膜と機能層との界面の剥離力が、剥離性支持体と機能層との界面の面内最小剥離力よりも0.01N/25mm以上大きい。このような関係であることにより、機能層の変形や破断なく剥離性支持体を剥離することができる。第一の樹脂膜と機能層との界面の剥離力は、剥離性支持体と機能層との界面の面内最小剥離力よりも0.02N/25mm以上大きいことが好ましく、0.03N/25mm以上大きいことがより好ましい。
剥離力は、JIS K 6854−2に準じて引張試験機を用いて測定した値とする。面内最大剥離力および面内最小剥離力は、面内の異なる方向で測定した剥離力のうちの最大値および最小値を意味する。具体的な測定方法については、実施例に記載のとおりである。
剥離性支持体と機能層との界面の面内最大剥離力と面内最小剥離力の差は0.005N/25mm以上であることが好ましい。機能層に異方性があるなどの理由で、剥離力に面内異方性があると、剥離力が強力な方向から剥がしてしまうと機能層が変形または破断するという問題があるが、このとき、第一の樹脂膜と機能層との界面の剥離力を、剥離性支持体と機能層との界面の面内最小剥離力よりも0.01N/25mm以上大きくすることにより、特に剥離性支持体が剥離しやすくなり、効果が得られやすいからである。剥離性支持体と機能層との界面の面内最大剥離力と面内最小剥離力の差は0.007N/25mm以上であることがより好ましい。0.010N/25mm以上であることがさらに好ましく、0.015N/25mm以上であることが特に好ましい。剥離性支持体と機能層との界面の面内最小剥離力は0.03N/25mm以上であることが好ましく、0.05N/25mm以上であることがより好ましい。
<合わせガラス>
本発明の積層フィルムを用いて合わせガラスを製造することができる。
合わせガラスは、2枚のガラス板が中間層を介して接着している構成を有する。本発明の積層フィルムを用いて製造される合わせガラスは、第一のガラス板、第一の樹脂膜、機能層、第二の樹脂膜、および第二のガラス板をこの順に含む。図2に合わせガラスの一例を模式的に示す。第一のガラス板7、第一の樹脂膜3、コレステリック液晶構造を含む層5、位相差層4、第二の樹脂膜6、および第二のガラス板8がこの順に配置されている。
合わせガラスは典型的にはウインドシールドガラスとして用いられる。本明細書において、ウインドシールドガラスは、車、電車などの車両、飛行機、船、遊具などの乗り物一般の窓ガラスを意味する。ウインドシールドガラスは乗り物の進行方向にあるフロントガラスであることが好ましい。ウインドシールドガラスは車両のフロントガラスであることが好ましい。
合わせガラスは、平面状であればよい。合わせガラスは、適用される乗り物への組み込み用に成形されていてもよく、例えば、曲面を有していてもよい。適用される乗り物用に成形された合わせガラスにおいては、通常使用時に上(鉛直上)となる方向や観察者側となる面が特定できる。なお、本明細書において、合わせガラスまたは投映像表示部位について鉛直上というときは、上記のように特定できる使用時に鉛直上となる方向を意味する。
[ガラス板]
本明細書においては、合わせガラスにおいて、外側となるガラス板を第一のガラス板といい、室内側にあるガラス板を第二のガラス板という。言い換えると、運転者(観察者側)からより遠い位置にあるガラス板を第一のガラス板といい、より近い位置にあるガラス板を第二のガラス板という。
本明細書において単にガラス板というときは、第一のガラス板および第二のガラス板のいずれをも示す意味である。
ガラス板としては、ウインドシールドガラス用の合わせガラスに一般的に用いられるガラス板を利用することができる。ガラス板の厚みについては特に制限はないが、0.5mm〜5.0mm程度であればよく、1.0mm〜3.0mmが好ましく、1.6mm〜2.3mmがより好ましい。第一のガラス板および第二のガラス板の厚みは互いに同一でも異なっていてもよい。例えば、第一のガラス板を1.9mm〜2.5mmとし、第二のガラス板を1.6mm〜1.9mmとしてもよい。
ガラス板には、その表面に撥水性、親水性、または防曇性等を付与するための表面加工が施されていてもよい。
ガラス板はウインドシールドガラスの形状に切断されていることが好ましい。また、曲面を有していることが好ましい。曲面は、切断したガラス板を、製造しようとするウインドシールドガラスと同じ曲率が付けられた治具の上に載せ、加熱(例えば、600〜700℃)することにより設けることができる。
<樹脂膜>
本明細書においては、合わせガラスがウインドシールドガラスとして用いられる際、外側となる樹脂膜を第一の樹脂膜といい、室内側にある樹脂膜を第二の樹脂膜という。言い換えると、運転者(観察者)側からより遠い位置にある樹脂膜を第一の樹脂膜といい、より近い位置にある樹脂膜を第二の樹脂膜という。本発明の積層フィルムに含まれる樹脂膜は第一の樹脂膜であることが好ましい。第一の樹脂膜および第二の樹脂膜は、材料、厚みなどにおいて、同一でも異なっていてもよい。材料は同一であることが好ましく、材料および厚みが同一であることがより好ましい。
本明細書において単に樹脂膜というときは、第一の樹脂膜および第二の樹脂膜のいずれをも示す意味である。
樹脂膜は第一のガラス板と同一の形状および面積を有していればよい。例えば合わせガラスの製造工程において、ロール形態から巻き出された樹脂膜が第一のガラス板および第二のガラス板に挟まれた後、トリミングされて第一のガラス板の形状となっていてもよい。
樹脂膜としては、合わせガラスの中間層に用いられるシートとして公知の樹脂膜を用いればよい。樹脂膜は樹脂を主成分として含む。主成分であるとは、中間膜シートの50質量%以上の割合を占める成分のことをいう。
樹脂は、合成樹脂であることが好ましい。例えば、樹脂は、熱可塑性樹脂であればよい。熱可塑性樹脂としては、従来から合わせガラスの中間層への用途に用いられている熱可塑性樹脂が挙げられ、例えばポリビニルアセタール、ポリ塩化ビニル、飽和ポリエステル、ポリウレタン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体等が挙げられる。これらのうち、透明性、強度、耐光性等の観点から、ポリビニルアセタールが好ましい。
ポリビニルアセタールは、ポリビニルアルコールを酸の存在下、アルデヒドでアセタール化した樹脂の総称であり、例えばアルデヒドとしてホルマリン(ホルムアルデヒド37%水溶液)を用いてアセタール化したポリビニルホルマール、アルデヒドとしてブタノール(ブチルアルコール)でアセタール化したポリビニルブチラール(以下、「PVB」ということがある)等が挙げられる。
上記の樹脂のうち、ポリビニルブチラールまたはエチレン−酢酸ビニル共重合体であることが好ましく、ポリビニルブチラールがより好ましい。上述のようにポリビニルブチラールは、ポリビニルアルコールをブチルアルデヒドによりアセタール化して得ることができる。上記ポリビニルブチラールのアセタール化度の好ましい下限は40%、好ましい上限は85%であり、より好ましい下限は60%、より好ましい上限は75%である。
ポリビニルアルコールは、通常、ポリ酢酸ビニルを鹸化することにより得られ、鹸化度80〜99.8モル%のポリビニルアルコールが一般的に用いられる。
また、上記ポリビニルアルコールの重合度の好ましい下限は200、好ましい上限は3000である。ポリビニルアルコールの重合度が200以上であると、得られる合わせガラスの耐貫通性が低下しにくく、3000以下であると、樹脂膜の成形性がよく、しかも樹脂膜の剛性が大きくなり過ぎず、加工性が良好である。より好ましい下限は500、より好ましい上限は2000である。
樹脂は、可塑剤の添加により可塑化されていることも好ましい。例えば、可塑剤としては、リン酸エステル、カルボン酸エステル、糖エステル、または重縮合エステル等が用いられる。
可塑剤の添加量は、樹脂100質量部に対し、10質量部以上80質量部以下とすることが好ましい。10質量部以上の可塑剤の添加により、熱可塑性樹脂の可塑化を十分に行うことができる。また、可塑剤の添加量を80質量部以下とすることにより、樹脂層の強度を十分に保つことができる。
樹脂膜または樹脂膜形成のための組成物は、上記可塑剤のほか、赤外線遮蔽性微粒子、接着性調整剤、カップリング剤、界面活性剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定化剤、紫外線吸収剤、蛍光剤、脱水剤、消泡剤、帯電防止剤、難燃剤等の各種添加剤の1種もしくは2種以上を含んでいてもよい。
樹脂膜の厚みは、例えば0.1mm〜1.5mmが好ましく、0.2mm〜1.0mmがより好ましい。
<機能層>
機能層は、光学異方性を有する反射層である。機能層は円偏光反射層または直線偏光反射層であることが好ましい。また、機能層は、重合性組成物の硬化層または薄膜有機ポリマーフイルムを積層して形成されたものであることが好ましい。典型的には、機能層は位相差層とコレステリック液晶構造を含む層とを含むか、または反射型偏光板を含んでいればよい。
機能層は合わせガラスの中間層に設けられることにより、例えばヘッドアップディスプレイシステムにおいて投映像表示部位を合わせガラスに形成することができる。
本明細書において、投映像表示部位とは、反射光で投映像を表示することができる部位であり、プロジェクター等から投映された投映像を視認可能に表示することができる部位であればよい。
合わせガラスをヘッドアップディスプレイシステムにおいて用いる場合、機能層の部位においてプロジェクターから投映された画像を視認可能に表示することができるとともに、画像が表示されている同じ面側から機能層を観察したときに、反対の面側にある情報または風景を同時に観察することができる。すなわち、機能層は、外界光と映像光を重ねあわせて表示する光路コンバイナとしての機能を有する。
機能層は合わせガラスの全面にあってもよく、または合わせガラスの全面積に対し一部にあってもよい。一部である場合、その面積は、合わせガラスの全面積に対し、90%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下、5%以下などであってよく、1%以上、3%以上、5%以上、7%以上、10%以上であればよい。また、一部である場合、機能層は合わせガラスのいずれの位置に設けてもよいが、ヘッドアップディスプレイシステムとしての使用時に、観察者(例えば、運転者)から視認しやすい位置に投映像が示されるように設けられていることが好ましい。例えば、適用される乗り物の運転席の位置とプロジェクターを設置する位置との関係から機能層を設ける位置を決定すればよい。具体的には、運転者が見下ろす角度に配置されることが好ましく、合わせガラスの中心よりも下の位置に配置されることが好ましい。
従って、本発明の積層フィルムにおいて、第一の樹脂膜に対して機能層は、第一の樹脂膜の全面に対応していても、一部にあってもよい。その面積や位置等は、上記の合わせガラスに対するものと同様である。
合わせガラスにおいて、機能層は、曲面を有していない平面状であってもよいが、曲面を有していてもよく、全体として凹型または凸型の形状を有し、投映像を拡大または縮小して表示するようになっていてもよい。
機能層の厚みは、20μm以下であり、15μm以下であることが好ましく、13μm以下であることがより好ましく、12μm以下であることがさらに好ましく、10μm以下であることが特に好ましい。また、機能層は、通常2.0μm以上であればよく、2.5μm以上であることがより好ましく、3.0μm以上であることがさらに好ましい。
機能層は、少なくとも投映光に対して、ハーフミラーとしての機能を有しているものであればよい。しかし、例えば可視光域全域の光に対してハーフミラーとして機能していることを必要とするものではない。また、機能層は、少なくとも一部の入射角の光に対して上記の機能を有していればよい。
機能層は反対の面側にある情報または風景の観察を可能とするために、可視光透過性を有することが好ましい。機能層は、可視光の波長域において、40%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上の光透過率を有していればよい。光透過率は、JIS−K7105に記載された方法で求めた光線透過率とする。
機能層は、コレステリック液晶構造を含む層および位相差層の他に、または反射型偏光板の他に、後述の第2の位相差層、配向層、接着層、下地層、透明層などの層を含んでいてもよい。
合わせガラスの作製に用いられる機能層は、フィルム状、シート状、または板状などであればよい。機能層は、薄膜のフィルムとしてロール状等になって形成され、その後、合わせガラスの作製に用いられてもよい。
[コレステリック液晶構造を含む層]
コレステリック液晶構造を含む層としては、コレステリック液晶層、および複数のコレステリック液晶ドットを含む層が挙げられる。
機能層において、コレステリック液晶構造を含む層は1つまたは2つ以上含まれていてよい。2つ以上のコレステリック液晶構造を含む層の間には、配向層、接着層などの他の層が含まれていてもよい。また、コレステリック液晶構造を含む層と位相差層との間には、下地層、透明層などの他の層が含まれていてもよい。
(コレステリック液晶構造)
コレステリック液晶構造は、コレステリック液晶相となっている液晶化合物の配向が保持されている構造であればよく、典型的には、重合性液晶化合物をコレステリック液晶相の配向状態としたうえで、紫外線照射、加熱等によって重合、硬化し、流動性が無い状態となった構造であり、同時に、また外場や外力によって配向形態に変化を生じない構造であればよい。なお、コレステリック液晶構造においては、コレステリック液晶相の光学的性質が保持されていれば十分であり、液晶化合物はもはや液晶性を示していなくてもよい。例えば、重合性液晶化合物は、硬化反応により高分子量化して、もはや液晶性を失っていてもよい。
コレステリック液晶相は、右円偏光または左円偏光のいずれか一方のセンスの円偏光を選択的に反射させるとともに他方のセンスの円偏光を透過する円偏光選択反射を示すことが知られている。本明細書において、円偏光選択反射を単に選択反射ということもある。
円偏光選択反射性を示すコレステリック液晶相を固定した層を含むフィルムとして、重合性液晶化合物を含む組成物から形成されたフィルムは従来から数多く知られており、コレステリック液晶構造またはコレステリック液晶層については、それらの従来技術を参照することができる。
コレステリック液晶構造の選択反射の中心波長λは、コレステリック相における螺旋構造のピッチP(=螺旋の周期)に依存し、コレステリック液晶構造の平均屈折率nとλ=n×Pの関係に従う。なお、本明細書において、コレステリック液晶構造が有する選択反射の中心波長λは、コレステリック液晶層の法線方向またはコレステリック液晶ドットが形成されている面の法線方向から測定した円偏光反射スペクトルの反射ピークの重心位置にある波長を意味する。
コレステリック液晶構造の選択反射中心波長と半値幅は下記のように求めることができる。
分光光度計UV3150(島津製作所)を用いてコレステリック液晶構造の透過スペクトル(コレステリック液晶層の法線方向から測定したもの)を測定すると、選択反射帯域に透過率の低下ピークがみられる。このピークの極小透過率と低下前の透過率との中間(平均)の透過率となる2つの波長のうち、短波長側の波長の値をλl(nm)、長波長側の波長の値をλh(nm)とすると、選択反射の中心波長λと半値幅Δλは下記式で表すことができる。
λ=(λl+λh)/2
Δλ=(λh−λl
上記のように求められる選択反射中心波長は上記法線方向から測定した円偏光反射スペクトルの反射ピークの重心位置にある波長と略一致する。
上記のλ=n×Pの関係から分かるように、螺旋構造のピッチを調節することによって、選択反射の中心波長を調整できる。可視光領域で選択反射を示すコレステリック液晶層は可視光領域で選択反射の中心波長を有することが好ましい。n値とP値を調節して、例えば、赤色光、緑色光、青色光、に対して右円偏光または左円偏光のいずれか一方を選択的に反射させるために、中心波長λを調節することができる。
ヘッドアップディスプレイシステムにおいては、投映光がガラスの表面または裏面で反射することで生じる二重像の低減のため、コレステリック液晶構造を含む層に対して斜めに光が入射するように合わせガラスが用いられることが好ましい。このように、斜めに光が入射する場合は、選択反射の中心波長は短波長側にシフトする。そのため、投映像表示のために必要とされる選択反射の波長に対して、上記のλ=n×Pの式に従って計算されるλが長波長側となるようにn×Pを調整することが好ましい。屈折率n2のコレステリック液晶構造を含む層中でコレステリック液晶構造を含む層の法線方向(コレステリック液晶層の螺旋軸方向)に対して光線がθ2の角度で通過するときの選択反射の中心波長をλdとするとき、λdは以下の式で表される。
λd=n2×P×cosθ2
例えば、コレステリック液晶構造を含む層としてコレステリック液晶層を用いるとき、屈折率1の空気中で投映像表示部位の法線に対し45°〜70°の角度でλ/2位相差層側から入射した光は、通常屈折率1.45〜1.80程度のλ/2位相差層を投映像表示部位の法線に対し23°〜40°の角度で透過し、屈折率1.61程度のコレステリック液晶層に入射する。コレステリック液晶層において光は26°〜36°の角度で透過するためこの角度と求める選択反射の中心波長を上記の式に挿入してn×Pを調整すればよい。
コレステリック液晶相のピッチは重合性液晶化合物とともに用いるキラル剤の種類、またはその添加濃度に依存するため、これらを調整することによって所望のピッチを得ることができる。なお、螺旋のセンスやピッチの測定法については「液晶化学実験入門」日本液晶学会編 シグマ出版2007年出版、46頁、および「液晶便覧」液晶便覧編集委員会 丸善 196頁に記載の方法を用いることができる。
使用するコレステリック液晶構造を含む層の選択反射の中心波長を、投映に用いられる光源の発光波長域、およびコレステリック液晶構造を含む層の使用態様に応じて調整することにより光利用効率良く鮮明な投映像を表示することができる。特に各コレステリック液晶構造の選択反射の中心波長をそれぞれ投映に用いられる光源の発光波長域などに応じて調整することにより、光利用効率良く鮮明なカラー投映像を表示することができる。コレステリック液晶構造を含む層の使用態様としては、特にコレステリック液晶構造を含む層への投映光の入射角、投映像を観察する方向などが挙げられる。
コレステリック液晶構造としては、螺旋のセンスが右または左のいずれかであるコレステリック液晶層が用いられる。コレステリック液晶構造の反射円偏光のセンスは螺旋のセンスに一致する。選択反射の中心波長が異なるコレステリック液晶構造の螺旋のセンスは全て同じであっても、異なるものが含まれていてもよいが、同じであることが好ましい。
選択反射を示す選択反射帯の半値幅Δλ(nm)は、Δλが液晶化合物の複屈折Δnと上記ピッチPに依存し、Δλ=Δn×Pの関係に従う。そのため、選択反射帯の幅の制御は、Δnを調整して行うことができる。Δnの調整は重合性液晶化合物の種類や混合比率を調整したり、配向固定時の温度を制御したりすることで行うことができる。
選択反射の半値幅Δλは、15nm〜200nm、15nm〜150nm、または20nm〜100nm等であればよい。
(コレステリック液晶構造の作製方法)
以下、コレステリック液晶構造の作製材料および作製方法について説明する。
コレステリック液晶構造の形成に用いる材料としては、重合性液晶化合物とキラル剤(光学活性化合物)とを含む液晶組成物などが挙げられる。必要に応じてさらに界面活性剤や重合開始剤などと混合して溶剤などに溶解した上記液晶組成物を、下層となる位相差層、下地層、コレステリック液晶層などに塗布または打滴し、コレステリック配向熟成後、液晶組成物の硬化により固定化してコレステリック液晶構造を形成することができる。塗布によってはコレステリック液晶層、打滴によっては複数のコレステリック液晶ドットを含む層を作製することができる。
(重合性液晶化合物)
重合性液晶化合物は、棒状液晶化合物であっても、円盤状液晶化合物であってもよいが、棒状液晶化合物であることが好ましい。
コレステリック液晶構造を形成する棒状の重合性液晶化合物の例としては、棒状ネマチック液晶化合物が挙げられる。棒状ネマチック液晶化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。低分子液晶化合物だけではなく、高分子液晶化合物も用いることができる。
重合性液晶化合物は、重合性基を液晶化合物に導入することで得られる。重合性基の例には、不飽和重合性基、エポキシ基、およびアジリジニル基が含まれ、不飽和重合性基が好ましく、エチレン性不飽和重合性基が特に好ましい。重合性基は種々の方法で、液晶化合物の分子中に導入できる。重合性液晶化合物が有する重合性基の個数は、好ましくは一分子中に1〜6個、より好ましくは1〜3個である。重合性液晶化合物の例は、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許第4683327号明細書、同5622648号明細書、同5770107号明細書、国際公開WO95/22586、国際公開WO95/24455、WO97/00600、WO98/23580、WO98/52905、特開平1−272551号公報、同6−16616号公報、同7−110469号公報、同11−80081号公報、特開2001−328973号公報、WO2016/194327、およびWO2016/052367などに記載の化合物が含まれる。2種類以上の重合性液晶化合物を併用してもよい。2種類以上の重合性液晶化合物を併用すると、配向温度を低下させることができる。
また、液晶組成物中の重合性液晶化合物の添加量は、液晶組成物の固形分質量(溶媒を除いた質量)に対して、80〜99.9質量%であることが好ましく、85〜99.5質量%であることがより好ましく、90〜99質量%であることが特に好ましい。
(キラル剤:光学活性化合物)
キラル剤はコレステリック液晶相の螺旋構造を誘起する機能を有する。キラル化合物は、化合物によって誘起する螺旋のセンスまたは螺旋ピッチが異なるため、目的に応じて選択すればよい。
キラル剤としては、特に制限はなく、公知の化合物を用いることができる。キラル剤の例としては、液晶デバイスハンドブック(第3章4−3項、TN、STN用カイラル剤、199頁、日本学術振興会第142委員会編、1989)、特開2003−287623号、特開2002−302487号、特開2002−80478号、特開2002−80851号、特開2010−181852号または特開2014−034581号の各公報に記載の化合物が挙げられる。
キラル剤は、一般に不斉炭素原子を含むが、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物あるいは面性不斉化合物もキラル剤として用いることができる。軸性不斉化合物または面性不斉化合物の例には、ビナフチル、ヘリセン、パラシクロファンおよびこれらの誘導体が含まれる。キラル剤は、重合性基を有していてもよい。キラル剤と液晶化合物とがいずれも重合性基を有する場合は、重合性キラル剤と重合性液晶化合物との重合反応により、重合性液晶化合物から誘導される繰り返し単位と、キラル剤から誘導される繰り返し単位とを有するポリマーを形成することができる。この態様では、重合性キラル剤が有する重合性基は、重合性液晶化合物が有する重合性基と、同種の基であることが好ましい。従って、キラル剤の重合性基も、不飽和重合性基、エポキシ基またはアジリジニル基であることが好ましく、不飽和重合性基であることがさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基であることが特に好ましい。
また、キラル剤は、液晶化合物であってもよい。
キラル剤としては、イソソルビド誘導体、イソマンニド誘導体、またはビナフチル誘導体を好ましく用いることができる。イソソルビド誘導体としては、BASF社製のLC−756等の市販品を用いてもよい。
液晶組成物における、キラル剤の含有量は、重合性液晶化合物量の0.01モル%〜200モル%が好ましく、1モル%〜30モル%がより好ましい。
(重合開始剤)
液晶組成物は、重合開始剤を含有していることが好ましい。紫外線照射により重合反応を進行させる態様では、使用する重合開始剤は、紫外線照射によって重合反応を開始可能な光重合開始剤であることが好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)、アシルフォスフィンオキシド化合物(特公昭63−40799号公報、特公平5−29234号公報、特開平10−95788号公報、特開平10−29997号公報、特開2001−233842号公報、特開2000−80068号公報、特開2006−342166号公報、特開2013−114249号公報、特開2014−137466号公報、特許4223071号公報、特開2010−262028号公報、特表2014−500852号公報記載)、オキシム化合物(特開2000−66385号公報、日本特許第4454067号明細書記載)、およびオキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)等が挙げられる。例えば、特開2012−208494号公報の段落0500〜0547の記載も参酌できる。
重合開始剤としては、アシルフォスフィンオキシド化合物またはオキシム化合物を用いることも好ましい。
アシルフォスフィンオキシド化合物としては、例えば、市販品のBASFジャパン(株)製のIRGACURE810(化合物名:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド)を用いることができる。オキシム化合物としては、IRGACURE OXE01(BASF社製)、IRGACURE OXE02(BASF社製)、TR−PBG−304(常州強力電子新材料有限公司製)、アデカアークルズNCI−831、アデカアークルズNCI−930(ADEKA社製)、アデカアークルズNCI−831(ADEKA社製)等の市販品を用いることができる。
重合開始剤は、1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
液晶組成物中の光重合開始剤の含有量は、重合性液晶化合物の含有量に対して0.1質量%〜20質量%であることが好ましく、0.5質量%〜5質量%であることがさらに好ましい。
(架橋剤)
液晶組成物は、硬化後の膜強度向上、耐久性向上のため、任意に架橋剤を含有していてもよい。架橋剤としては、紫外線、熱、湿気等で硬化するものが好適に使用できる。
架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の多官能アクリレート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテル等のエポキシ化合物;2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、4,4−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン等のアジリジン化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、ビウレット型イソシアネート等のイソシアネート化合物;オキサゾリン基を側鎖に有するポリオキサゾリン化合物;ビニルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン化合物などが挙げられる。また、架橋剤の反応性に応じて公知の触媒を用いることができ、膜強度および耐久性向上に加えて生産性を向上させることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
架橋剤の含有量は、3質量%〜20質量%が好ましく、5質量%〜15質量%がより好ましい。架橋剤の含有量を3質量%以上とすることにより、架橋密度向上の効果を得ることができ、架橋剤の含有量を20質量%以下とすることにより、コレステリック液晶構造の安定性の低下を防止できる。
(配向制御剤)
液晶組成物中には、安定的にまたは迅速にプレーナー配向のコレステリック液晶構造とするために寄与する配向制御剤を添加してもよい。配向制御剤の例としては特開2007−272185号公報の段落〔0018〕〜〔0043〕等に記載のフッ素(メタ)アクリレート系ポリマー、特開2012−203237号公報の段落〔0031〕〜〔0034〕等に記載の式(I)〜(IV)で表される化合物などが挙げられる。
なお、配向制御剤としては1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
液晶組成物中における、配向制御剤の添加量は、重合性液晶化合物の全質量に対して0.01質量%〜10質量%が好ましく、0.01質量%〜5質量%がより好ましく、0.02質量%〜1質量%が特に好ましい。
(界面活性剤)
液晶組成物は界面活性剤を含んでいてもよい。特に、コレステリック液晶ドット作製のための液晶組成物は界面活性剤を含むことが好ましい。界面活性剤により、ドット形成時に重合性液晶化合物を空気界面側で水平に配向させ、所望の螺旋軸方向に制御することができる。界面活性剤は、安定的にまたは迅速にプレーナー配向のコレステリック構造とするために寄与する配向制御剤として機能できる化合物が好ましい。界面活性剤としては、例えば、シリコ−ン系界面活性剤およびフッ素系界面活性剤が挙げられ、フッ素系界面活性剤が好ましい。
界面活性剤の具体例としては、特開2014−119605号公報の[0082]〜[0090]に記載の化合物、特開2012−203237号公報の段落〔0031〕〜〔0034〕に記載の化合物、特開2005−99248号公報の[0092]及び[0093]中に例示されている化合物、特開2002−129162号公報の[0076]〜[0078]及び[0082]〜[0085]中に例示されている化合物、特開2007−272185号公報の段落[0018]〜[0043]等に記載のフッ素(メタ)アクリレート系ポリマー、などが挙げられる。
なお、水平配向剤としては1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
フッ素系界面活性剤として、特開2014−119605号公報の[0082]〜[0090]に記載の下記一般式(I)で表される化合物が特に好ましい。
一般式(I)において、L11、L12、L13、L14、L15、およびL16はそれぞれ独立して単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−COS−、−SCO−、−NRCO−、−CONR−(一般式(I)中におけるRは水素原子または炭素数が1〜6のアルキル基を表す)を表す。−NRCO−、−CONR−は溶解性を減ずる効果があり、ドット作製時にヘイズが上昇する傾向がある。このため、好ましくは−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−COS−、および−SCO−であり、化合物の安定性の観点からさらに好ましくは−O−、−CO−、−COO−、および−OCO−である。上記のRがとり得るアルキル基は、直鎖状であっても分枝状であってもよい。炭素数は1〜3がより好ましく、メチル基、エチル基、およびn−プロピル基を例示することができる。
Sp11、Sp12、Sp13、およびSp14はそれぞれ独立して単結合または炭素数1〜10のアルキレン基を表し、より好ましくは単結合または炭素数1〜7のアルキレン基であり、さらに好ましくは単結合または炭素数1〜4のアルキレン基である。但し、アルキレン基の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。アルキレン基には、分枝があっても無くてもよいが、好ましいのは分枝がない直鎖のアルキレン基である。合成上の観点からは、Sp11とSp14が同一であり、かつ、Sp12とSp13が同一であることが好ましい。
11、およびA12は1〜4価の芳香族炭化水素基である。芳香族炭化水素基の炭素数は6〜22が好ましく、6〜14がより好ましく、6〜10がさらに好ましく、6が特に好ましい。A11、およびA12で表される芳香族炭化水素基は置換基を有していてもよい。そのような置換基の例として、炭素数1〜8のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基またはエステル基を挙げることができる。これらの基の説明と好ましい範囲については、下記のT11の対応する記載を参照することができる。A11、A12で表される芳香族炭化水素基に対する置換基としては、例えばメチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、臭素原子、塩素原子、シアノ基などを挙げることができる。パーフルオロアルキル部分を分子内に多く有する分子は、少ない添加量で液晶を配向させることができ、ヘイズ低下につながることから、分子内にパーフルオロアルキル基を多く有するようにA11、A12は4価であることが好ましい。合成上の観点からは、A11とA12は同一であることが好ましい。
11は、下記の、二価の基または二価の芳香族複素環基を表す(上記T11中に含まれるXは、炭素数1〜8のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基またはエステル基を表し、Ya、Yb、Yc、およびYdはそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)ことが好ましい。
中でも、より好ましい基を以下に示す。
さらに好ましくは、以下の基である。
最も好ましくは、以下の基である。
上記T11中に含まれるXがとり得るアルキル基の炭素数は1〜8であり、1〜5でが好ましく、1〜3がより好ましい。アルキル基は、直鎖状、分枝状、および環状のいずれであってもよく、直鎖状または分枝状であることが好ましい。好ましいアルキル基として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基などを例示することができる。中でもメチル基が好ましい。
上記T11中に含まれるXがとり得るアルコキシ基のアルキル部分については、上記T11中に含まれるXがとり得るアルキル基の説明と好ましい範囲を参照することができる。上記T11中に含まれるXがとり得るハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子を挙げることができ、塩素原子、または臭素原子が好ましい。上記T11中に含まれるXがとりうるエステル基としては、RaCOO−で表される基を例示することができる。Raとしては炭素数1〜8のアルキル基を挙げることができる。Raがとりうるアルキル基の説明と好ましい範囲については、上記T11中に含まれるXがとりうるアルキル基の説明と好ましい範囲を参照することができる。エステルの具体例として、CH3COO−、およびC25COO−を挙げることができる。Ya、Yb、Yc、およびYdがとりうる炭素数1〜4のアルキル基は、直鎖状であっても分枝状であってもよい。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、およびイソプロピル基などを例示することができる。
二価の芳香族複素環基は、5員、6員または7員の複素環を有することが好ましい。5員環または6員環がさらに好ましく、6員環が最も好ましい。複素環を構成する複素原子としては、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましい。複素環は、芳香族性複素環であることが好ましい。芳香族性複素環は、一般に不飽和複素環である。最多二重結合を有する不飽和複素環がさらに好ましい。複素環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピロリン環、ピロリジン環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、イミダゾリン環、イミダゾリジン環、ピラゾール環、ピラゾリン環、ピラゾリジン環、トリアゾール環、フラザン環、テトラゾール環、ピラン環、チイン環、ピリジン環、ピペリジン環、オキサジン環、モルホリン環、チアジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピペラジン環およびトリアジン環が含まれる。二価の複素環基は置換基を有していてもよい。そのような置換基の例の説明と好ましい範囲については、上記のA11とA12の1〜4価の芳香族炭化水素がとり得る置換基に関する説明と記載を参照することができる。
Hb11は炭素数2〜30のパーフルオロアルキル基を表し、より好ましくは炭素数3〜20のパーフルオロアルキル基であり、さらに好ましくは3〜10のパーフルオロアルキル基である。パーフルオロアルキル基は、直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよいが、直鎖状または分枝状が好ましく、直鎖状がより好ましい。
m11、n11はそれぞれ独立に0から3であり、かつm11+n11≧1である。このとき複数存在する括弧内の構造は互いに同一であっても異なっていてもよいが、互いに同一であることが好ましい。一般式(I)のm11、およびn11は、A11、およびA12の価数によって定まり、好ましい範囲もA11、およびA12の価数の好ましい範囲によって定まる。
11中に含まれるoおよびpは、それぞれ独立に0以上の整数であり、oおよびpが2以上であるとき複数のXは互いに同一であっても異なっていてもよい。T11中に含まれるoは1または2が好ましい。T11中に含まれるpは1〜4のいずれかの整数が好ましく、1または2がより好ましい。
一般式(I)で表される化合物は、分子構造が対称性を有するものであってもよいし、対称性を有しないものであってもよい。なお、ここでいう対称性とは、点対称、線対称、および回転対称のいずれかひとつに少なくとも該当するものを意味し、非対称とは点対称、線対称、および回転対称のいずれにも該当しないものを意味する。
一般式(I)で表される化合物は、以上述べたパーフルオロアルキル基(Hb11)、連結基−(−Sp11−L11−Sp12−L12)m11−A11−L13−および−L14−A12−(L15−Sp13−L16−Sp14−)n11−、ならびに好ましくは排除体積効果を持つ2価の基であるT11を組み合わせた化合物である。分子内に2つ存在するパーフルオロアルキル基(Hb11)は互いに同一であることが好ましく、分子内に存在する連結基−(−Sp11−L11−Sp12−L12)m11−A11−L13−および−L14−A12−(L15−Sp13−L16−Sp14−)n11−も互いに同一であることが好ましい。末端のHb11−Sp11−L11−Sp12−および−Sp13−L16−Sp14−Hb11は、以下のいずれかの一般式で表される基が好ましい。
(Ca2a+1)−(Cb2b)−(Ca2a+1)−(Cb2b)−O−(Cr2r)−(Ca2a+1)−(Cb2b)−COO−(Cr2r)−
(Ca2a+1)−(Cb2b)−OCO−(Cr2r)−
上記一般式において、aは2〜30が好ましく、3〜20がより好ましく、3〜10がさらに好ましい。bは0〜20が好ましく、0〜10がより好ましく、0〜5がさらに好ましい。a+bは3〜30である。rは1〜10が好ましく、1〜4がより好ましい。
また、一般式(I)の末端のHb11−Sp11−L11−Sp12−L12−および−L15−Sp13−L16−Sp14−Hb11は、以下のいずれかの一般式で表される基が好ましい。
(Ca2a+1)−(Cb2b)−O−(Ca2a+1)−(Cb2b)−COO−(Ca2a+1)−(Cb2b)−O−(Cr2r)−O−(Ca2a+1)−(Cb2b)−COO−(Cr2r)−COO−(Ca2a+1)−(Cb2b)−OCO−(Cr2r)−COO−
上記一般式におけるa、bおよびrの定義は直上の定義と同じである。
液晶組成物中における、界面活性剤の添加量は、重合性液晶化合物の全質量に対して0.01質量%〜10質量%が好ましく、0.01質量%〜5質量%がより好ましく、0.02質量%〜1質量%が特に好ましい。
(その他の添加剤)
その他、液晶組成物は、重合性モノマー等の種々の添加剤から選ばれる少なくとも1種を含有していてもよい。また、液晶組成物中には、必要に応じて、さらに重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、色材、金属酸化物微粒子等を、光学性能を低下させない範囲で添加することができる。
コレステリック液晶構造は、重合性液晶化合物、キラル剤および重合開始剤、更に必要に応じて添加される界面活性剤等を溶媒に溶解させた液晶組成物を、位相差層、下地層、または先に作製されたコレステリック液晶層等の上に塗布または打滴し、乾燥させて塗膜を得、この塗膜に活性光線を照射してコレステリック液晶性組成物を重合し、コレステリック規則性が固定化されたコレステリック液晶構造を形成することができる。なお、複数のコレステリック液晶層からなる積層膜は、コレステリック液晶層の上記製造工程を繰り返し行うことにより形成することができる。
(溶媒)
液晶組成物の調製に使用する溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、有機溶媒が好ましく用いられる。
有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばケトン類、アルキルハライド類、アミド類、スルホキシド類、ヘテロ環化合物、炭化水素類、エステル類、エーテル類、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、環境への負荷を考慮した場合にはケトン類が特に好ましい。
(塗布、配向、重合)
液晶組成物の塗布方法は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ワイヤーバーコーティング法、カーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法などが挙げられる。また、別途支持体上に塗設した液晶組成物を転写することによっても実施できる。
打滴方法としては、インクジェット法を用いることができる。
塗布または打滴した液晶組成物を加熱することにより、液晶分子を配向させる。加熱温度は、200℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましい。この配向処理により、重合性液晶化合物が、フィルム面に対して実質的に垂直な方向に螺旋軸を有するようにねじれ配向している構造が得られる。
配向させた液晶化合物をさらに重合させることにより、液晶組成物を硬化することができる。重合は、熱重合、光照射を利用する光重合のいずれでもよいが、光重合が好ましい。光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2が好ましく、100mJ/cm2〜1,500mJ/cm2がより好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下または窒素雰囲気下で光照射を実施してもよい。照射紫外線波長は350nm〜430nmが好ましい。重合反応率は安定性の観点から、高いほうが好ましく70%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。重合反応率は、重合性の官能基の消費割合をIR吸収スペクトルを用いて測定することにより、決定することができる。
[コレステリック液晶層]
本明細書において、コレステリック液晶層は、コレステリック液晶相を固定した層を意味する。コレステリック液晶層は、コレステリック液晶構造が層状に連続的に形成されている層を意味し、層のいずれの位置においても実質的に同一の光学特性を示す層である。
コレステリック液晶層およびコレステリック液晶層を複数含む機能層については、WO2016/052367におけるコレステリック液晶層および反射層の記載を参照することができる。
機能層はコレステリック液晶層を2層以上含んでいてもよく、例えば2層、3層、4層のコレステリック液晶層を含んでいてもよい。特に2層のコレステリック液晶層を含むことが好ましい。例えば、赤色波長域および緑色波長域、または、緑色波長域および青色波長域で選択反射を示す広帯域選択反射層であるコレステリック液晶層を用いて、2層のコレステリック液晶層によってもフルカラー表示を実現することができる。
機能層中のコレステリック液晶層の1つは位相差層表面に直接設けられていることが好ましい。このような構成を含む積層フィルムを用いて投映像が虚像となる投映像表示用部材として機能する合わせガラスを製造することができる。
一方、コレステリック液晶層は、別の層上に直接設けられていてもよい。位相差層表面に、(メタ)アクリレートモノマーを含む非液晶性組成物を塗布硬化して得られた透明層を設け、その表面にコレステリック液晶層の1つを形成する手順で、投映像が実像となる投映像表示用部材として機能する合わせガラスを製造することができる積層フィルムの提供が可能である。
透明層表面にコレステリック液晶層を形成すると、透明層に接している液晶の面内配向方位はランダムとなる。そのため、透明層表面に液晶組成物を塗布して形成されるコレステリック液晶層を配向欠陥を有する層とすることができる。そして、配向欠陥を有する液晶層上にコレステリック液晶層を形成すると、同様に配向欠陥を有する層を形成することができる。その結果、コレステリック液晶層を拡散反射性の層とすることができ、実像表示を行うことができる。拡散反射性のコレステリック液晶層については、特開2016−004211号公報およびWO2015/025909の記載を参照することができる。
[複数のコレステリック液晶ドットを含む層]
コレステリック液晶ドットは、位相差層上に直接あるいは下地層等の表面にコレステリック構造を発現する液晶組成物を、例えば、インクジェット方式などによって打滴し、その後、上述のように、乾燥、配向処理、硬化させたものである。このドットはコレステリック液晶ドットが、コレステリック液晶ドットの端部から中心に向かってコレステリック液晶ドットの最大高さまで連続的に高さが増加する部位を含むように形成されることが好ましい、また、表面におけるコレステリック液晶構造の螺旋軸方向をドット表面(例えば表面が曲面の場合は接線)に概ね垂直(70°から90°)となるようにすることが好ましい。
コレステリック液晶構造において、波長選択反射性はコレステリック螺旋軸方向で最大となるため、斜め方向から入射する投映光に対しては反射率が低くなる。しかし、複数のコレステリック液晶ドット含む層は、斜め方向から入射する投映光に対しても高い反射率を示し、散乱性を有する。
なお、複数のコレステリック液晶ドット含む層を含む積層フィルムを用いて、投映像が実像となる投映像表示用部材として機能する、合わせガラスを製造することができる。
複数のコレステリック液晶ドットを含む層についてはWO2016/194327の記載を参照することができる。
(下地層)
複数のコレステリック液晶ドットはドット形成の際に、下地層表面に設けられていることも好ましい。下地層により、表面形状を調整する、ドットと位相差層との密着性を確保する、またはドット形成の際の重合性液晶化合物の配向を調整することなどが可能である。下地層は位相差層表面に直接塗布された重合性化合物を含む組成物の硬化により得られた熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂であることも好ましい。重合性化合物の例としては、(メタ)アクリレートモノマー、ウレタンモノマーなどの非液晶性の化合物が挙げられる。また、下地層は、ドットが光を反射する波長において、光の反射率が低いことが好ましく、ドットが光を反射する波長において光を反射する材料を含んでいないことが好ましい。また、下地層は透明であることが好ましい。さらに下地層は屈折率が1.2〜2.0程度であることが好ましく、1.4〜1.8程度であることがより好ましい。下地層の厚みは、特に限定されないが、0.01〜5μmが好ましく、0.05〜2μmがより好ましい。
また、下地層は、配向層であることも好ましい。配向層としては、後述する剥離性支持体中に含まれうる配向層と同様の層を用いることができる。
(オーバーコート層)
複数のコレステリック液晶ドットを含む層は、複数のコレステリック液晶ドットおよびオーバーコート層からなることが好ましい。オーバーコート層は位相差層または下地層のドットが形成された面側に設けられていればよく、ドットが形成された面を平坦化していることが好ましい。
オーバーコート層は、屈折率が1.4〜1.8程度の樹脂層であることが好ましい。液晶材料からなるドットの屈折率は1.6程度であり、この値に近い屈折率を有するオーバーコート層を用いることによって、ドットの形状に起因する表面凹凸によるヘイズが低減できる。これにより低ヘイズのまま、コレステリックに起因する上記特性を維持できるため、高透明性でありながら、散乱性を有する層を作製することができる。
オーバーコート層の例としては、モノマーを含む組成物を位相差層または下地層のドットが形成された面側に塗布し、その後塗布膜を硬化して得られる樹脂層などが挙げられる。樹脂は、位相差層または下地層やドットを形成する液晶材料への密着性などを考慮して選択すればよい。例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等を用いることができる。耐久性、耐溶剤性等の点からは、架橋により硬化するタイプの樹脂が好ましく、特に、短時間での硬化が可能である紫外線硬化性樹脂が好ましい。オーバーコート層の形成に用いることができるモノマーとしては、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン、ポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
オーバーコート層の厚みは、ドットの最大高さを考慮して決定すればよく、5μm〜100μmが好ましく、10μm〜50μmがより好ましく、12μm〜20μmがさらに好ましい。オーバーコート層の厚みは、ドットが無い部分の位相差層表面または下地層表面からオーバーコート層表面までの距離である。
[位相差層]
位相差層は、本発明の積層フィルムにおいて、剥離性支持体とコレステリック液晶構造を含む層との間となるように配置される。正面位相差を適宜調節した位相差層を上記コレステリック液晶構造を含む層と組み合わせて用いることにより、より高い輝度を与えることができ、また二重像も防止でき、またはより鮮明な投映像を表示することができる。
位相差層としては、重合性液晶化合物を含む液晶組成物を硬化した層を用いる。より薄膜の層とすることができるからである。位相差層は、重合性液晶化合物を一軸配向させて配向固定したフィルムであればよい。位相差層は、剥離性支持体表面に重合性液晶化合物を含む液晶組成物を塗布した層から形成される。塗布された液晶組成物中の重合性液晶化合物を液晶状態においてネマチック配向に形成後、硬化によって固定化して、位相差層を形成することができる。この場合の位相差層の形成は液晶組成物中にキラル剤を添加しない以外は、上記のコレステリック液晶層の形成と同様に行うことができる。ただし、液晶組成物の塗布後のネマチック配向の際、加熱温度は50℃〜120℃が好ましく、60℃〜100℃がより好ましい。
位相差層は、高分子液晶化合物を含む組成物を、剥離性支持体の表面に塗布して液晶状態においてネマチック配向に形成後、冷却することによって当該配向を固定化して得られる層であってもよい。
位相差層の厚みは、0.2μm〜10μmが好ましく、0.5μm〜5.0μmがより好ましく、1.0μm〜2.0μmがさらに好ましい。
位相差層としては、λ/4位相差層、λ/2位相差層、またはその間の位相差を有する層などを適宜用いることができる。位相差層としては、λ/2位相差層を用いることが好ましい。
λ/2位相差層の正面位相差は、可視光波長域の1/2の長さ、または「中心波長×n±中心波長の1/2(nは整数)」であればよい。特にコレステリック液晶構造を含む層(例えばいずれかのコレステリック液晶)の反射波長、または光源の発光波長の中心波長の1/2の長さなどであればよい。例えば、190nm〜390nmの範囲の位相差であればよく、200nm〜350nmの範囲の位相差であることが好ましい。
λ/2位相差層の遅相軸方向は、ヘッドアップディスプレイシステムとしての使用時の、投映像表示のための入射光の入射方向、およびコレステリック液晶層の螺旋のセンスに応じて決定することが好ましい。例えば、入射光が投映像表示部位の下(鉛直下)方向であって、コレステリック液晶構造を含む層に対してλ/2位相差層側から(本明細書において「観察者側から」ということがある)入射する場合は、投映像表示部位の鉛直上方向に対し、λ/2位相差層の遅相軸が+40°〜+65°、または−40°〜−65°の範囲にあることが好ましい。またコレステリック液晶構造を含む層におけるコレステリック液晶層の螺旋のセンスに応じて、以下のように遅相軸方向が設定されることが好ましい。上記センスが右の場合、(好ましくは、全てのコレステリック液晶層のセンスが右の場合、)投映像表示部位の鉛直上方向に対し、λ/2位相差層の遅相軸が観察者側から見て時計回りに40°〜65°、好ましくは45°〜60°の範囲にあることが好ましい。上記センスが左の場合(好ましくは、全てのコレステリック液晶層のセンスが左の場合)、投映像表示部位の鉛直上方向に対し、λ/2位相差層の遅相軸が観察者側から見て反時計回りに40°〜65°、好ましくは45°〜60°の範囲にあることが好ましい。
[第2の位相差層]
合わせガラスは、上記位相差層に加えて第2の位相差層を含んでいてもよい。以下、区別のために、本発明の積層フィルムにおいてコレステリック液晶構造を含む層と剥離性支持体との間に含まれる位相差層を第1の位相差層ということがある。第2の位相差層は、第1の位相差層(好ましくはλ/2位相差層)、コレステリック液晶構造を含む層、および第2の位相差層がこの順になるように設ければよい。特に、観察者側から第1の位相差層、コレステリック液晶構造を含む層、および第2の位相差層がこの順になるように設ければよい。第2の位相差層は、機能層の一部として含まれていればよい。
第2の位相差層を含むことによって、二重像をさらに防止することができる。特に、p偏光を入射させて投映像を形成する場合の二重像をさらに防止することができる。その効果は、コレステリック液晶構造を含む層におけるコレステリック液晶層の形成に低Δn重合性液晶化合物を用いた場合により顕著である。
第2の位相差層の利用により二重像をさらに防止することができる理由は、コレステリック液晶構造を含む層に含まれるコレステリック液晶層の選択反射帯域にない波長の光がコレステリック液晶層で偏光変換して合わせガラスの裏面で反射されることに基づいて生じる二重像を防止できるためと推定される。
第2の位相差層の位相差は、波長550nmにおいて160nm〜460nmの範囲、好ましくは240nm〜420nmの範囲で適宜調整すればよい。
第2の位相差層の材料および厚み等は、第1の位相差層と同様の範囲で選択することができる。
第2の位相差層の遅相軸方向は、投映像表示のための入射光の入射方向、およびコレステリック液晶層の螺旋のセンスに応じて決定することが好ましい。例えば、波長550nmにおいて160nm〜400nmの範囲の位相差の第2の位相差層を投映像表示部位の鉛直上方向に対し、遅相軸が+10°〜+35°、または−10°〜−35°の範囲となるようにすることが好ましい。または、波長550nmにおいて200nm〜400nmの範囲の位相差の第2の位相差層を投映像表示部位の鉛直上方向に対し、遅相軸が+100°〜+140°、または−100°〜−140°の範囲となるようにすることが好ましい。
[反射型偏光板]
反射型偏光板としては、例えば複屈折の異なる薄膜を積層した偏光子が挙げられる。
複屈折の異なる薄膜を積層した偏光子としては、例えば特表平9−506837号公報などに記載されたものを用いることができる。具体的には、屈折率関係を得るために選ばれた条件下で加工すると、広く様々な材料を用いて、偏光子を形成できる。一般に、第一の材料の一つが、選ばれた方向において、第二の材料とは異なる屈折率を有することが必要である。この屈折率の違いは、フィルムの形成中、またはフィルムの形成後の延伸、押出成形、或いはコーティングを含む様々な方法で達成できる。更に、2つの材料が同時押出することができるように、類似のレオロジー特性(例えば、溶融粘度)を有することが好ましい。
複屈折の異なる薄膜を積層した偏光子としては、市販品を用いることができる。市販品としては、反射型偏光板と剥離性支持体との積層体となっているものを用いてもよい。市販品としては、例えば、DBEF(登録商標)(3M社製)、APF(高度偏光フィルム(Advanced Polarizing Film(3M社製))として販売されている市販の光学フィルムなどが挙げられる。
反射型偏光板の厚みは好ましくは2.0μm〜50μmの範囲、より好ましくは8.0〜30μmの範囲であればよい。
<剥離性支持体>
本発明の積層フィルムは剥離性支持体を含む。剥離性支持体は中間膜シートまたは合わせガラスの製造の際に剥離される。
剥離性支持体としてはポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル、ポリカーボネート、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリオレフィン、セルロース誘導体、シリコーンなどのプラスチックフィルムが挙げられる。剥離性支持体としてはポリエチレンテレフタレートを含むフィルムからなるフィルムが好ましい。
剥離性支持体の厚みとしては、50μm以上であることが好ましく、70μm以上であることがより好ましく、80μm以上であることがさらに好ましい。機能層形成の際の基材となる剥離性支持体が50μm以上の厚みであることで、ムラのない機能層を得ることができるからである。また、剥離性支持体は50μm以上の厚みであることで剥離しにくくなるため、剥離力を規定する効果が顕著となるためである。剥離性支持体の厚みの上限は特に限定されないが、1000μm以下であることが好ましく、500μm以下であることがより好ましく、300μm以下であることがより好ましい。
剥離性支持体はラビング処理された層であることが好ましい。ラビング処理面に液晶組成物を塗布して位相差層が形成されていればよい。ラビング処理は、剥離性支持体の表面(配向層が設けられている場合は配向層の表面)を、紙、布で一定方向に、擦ることにより実施することができる。
剥離性支持体は、配向層を含んでいてもよい。配向層は第1の位相差層の形成の際に液晶組成物が塗布される下層となる層であり、本発明の積層フィルムにおいて、第1の位相差層と直接接するように、剥離性支持体に含まれていればよい。
配向層は、ポリマーなどの有機化合物(ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、変性ポリアミドなどの樹脂)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、またはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)を用いた有機化合物(例えば、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で、設けることができる。更に、電場の付与、磁場の付与または光照射により、配向機能が生じる配向層を用いてもよい。
配向層の厚みは、0.01μm〜5.0μmであることが好ましく、0.05μm〜2.0μmであることがさらに好ましい。
<接着層>
本発明の積層フィルムは必要に応じて接着層を含んでいてもよい。
接着層は、コレステリック液晶層間、コレステリック液晶構造を含む層と第1の位相差層との間、コレステリック液晶構造を含む層と第2の位相差層との間等に設けられていてもよい。
接着層は可視光領域で透明であることが好ましい。また、接着層は低複屈折性であることが好ましく、また、コレステリック液晶層の平均屈折率(面内平均屈折率)との屈折率の差が小さいことが好ましい。
接着層は接着剤から形成されるものであればよい。
接着剤としては硬化方式の観点からホットメルトタイプ、熱硬化タイプ、光硬化タイプ、反応硬化タイプ、硬化の不要な感圧接着タイプがあり、それぞれ素材としてアクリレート系、ウレタン系、ウレタンアクリレート系、エポキシ系、エポキシアクリレート系、ポリオレフィン系、変性オレフィン系、ポリプロピレン系、エチレンビニルアルコール系、塩化ビニル系、クロロプレンゴム系、シアノアクリレート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリスチレン系、ポリビニルブチラール系などの化合物を使用することができる。作業性、生産性の観点から、硬化方式として光硬化タイプ、特に紫外線硬化タイプが好ましく、光学的な透明性、耐熱性の観点から、素材はアクリレート系、ウレタンアクリレート系、エポキシアクリレート系などを使用することが好ましい。
上記の例の接着層の厚みは、0.5μm〜10μmであることが好ましく、1.0μm〜5.0μmであることがより好ましい。投映像表示部位の色ムラ等を軽減するため均一な厚みで設けられることが好ましい。
接着層は、高透明性接着剤転写テープ(OCAテープ)を用いて形成されたものであってもよい。高透明性接着剤転写テープとしては、画像表示装置用の市販品、特に画像表示装置の画像表示部表面用の市販品を用いればよい。市販品の例としては、パナック株式会社製の粘着シート(PD−S1など)、日栄化工株式会社のMHMシリーズの粘着シートなどが挙げられる。
OCAテープの厚みは1.0μm〜50μmであればよく、2.0μm〜30μmであることが好ましい。
<積層フィルムの製造方法>
積層フィルムは剥離性支持体上に機能層を作製して得られる積層体等の機能層の表面に第一の樹脂膜を設けることにより製造することができる。
機能層の表面に第一の樹脂膜を設ける方法としては、一定温度、一定圧力、一定時間かけて両者を圧着する方法、およびロールツーロールで圧着する方法(所定の温度のローラー(上ロール)および所定の温度のローラー(下ロール)として一定圧力においてラミネートする)が挙げられ、いずれの方法を用いてもよい。
上記の圧着の際の加熱および加圧は、例えば温度40℃以上140℃以下、好ましくは温度60℃以上120℃以下、圧力0.05MPa以上0.8MPa以下、好ましくは0.1MPa以上0.5MPa以下で行えばよい。
<中間膜シートおよび合わせガラスの製造方法>
中間膜シートは、本発明の積層フィルムから剥離性支持体を剥離性支持体と位相差層との界面で剥離すること、および上記剥離面側に第一の樹脂膜を設けることを含む製造方法で製造することができる。
第二の樹脂膜は、機能層の表面に第一の樹脂膜を設ける手順として挙げた手順のいずれかで設けることができる。
合わせガラスは、公知の合わせガラス作製方法を用いて製造することができる。例えば上記のように得られた中間膜シートをさらに2枚のガラス板に挟んで得られる積層体に対し、予備圧着および本圧着を行うことにより製造することができる。または、積層フィルムから剥離性支持体を剥離性支持体と位相差層との界面で剥離すること、得られた剥離面側に第二の樹脂膜および第二のガラス板をこの順で設けること、および積層フィルムの第一の樹脂膜の表面に第一のガラス板を設けることを含む製造方法で製造することができる。第二の樹脂膜および第二のガラス板、ならびに第一のガラス板を設ける際は、第二のガラス板、第二の樹脂膜、剥離性支持体を剥離した積層フィルム、および第一のガラス板をこの順で積層し、この積層体に対し、予備圧着および本圧着を行うことにより製造することができる。また、それぞれについて順次圧着をおこなってもよく、予め第一のガラス板上に第一の樹脂膜を設けたものを用いてもよい。
予備圧着は、合わせガラスの製造において各層の間の脱気のために行われる工程である。予備圧着は例えば積層体を排気系に接続したゴム袋に入れて行われる。このときの圧力は100kPa以下とすることが好ましく、1〜36kPaであることがより好ましい。予備圧着は温度70℃〜130℃において10分以上90分以下保持することにより行うことができる。
保持温度を70℃以上とすることにより予備圧着を十分にすることができる。また、保持温度を130℃以下とすることにより機能層の熱収縮が過度に進行することを抑えられることから、機能層のクラックの発生を抑えることができる。保持温度は80℃以上とすることが好ましく、90℃以上とすることがより好ましい。より確実に脱気を行うためである。また、保持温度は120℃以下であることが好ましく、110℃以下であることがより好ましい。
保持時間が10分以上であると、予備圧着を十分に行うことができる。一方、保持時間が90分以下であると、生産性がよく、機能層材の熱収縮が過度に進行することを抑えられることから、機能層のクラックの発生を抑えることができる。保持時間は、より効果的かつ効率的に予備圧着を行う観点から、20分以上60分以下とすることが好ましい。
本圧着は、各層間を樹脂膜により十分に接着するために行うものであり、例えば予備圧着により得られた予備圧着体をオートクレーブに入れ、温度を120℃以上150℃以下、圧力を0.98MPa以上1.47MPa以下として行うことができる。より好ましくは、温度を130℃以上140℃以下、圧力を1.1MPa以上1.4MPa以下として行うことである。そして、上記温度、圧力に保持する時間(保持時間)は、30分以上90分以下であることが好ましく、45分以上75分以下であることがより好ましい。
保持温度、保持圧力、または保持時間を上記の条件として本圧着を行うことにより、機能層にクラックが発生することを抑えることができ、また生産性等も優れる。
<コレステリック液晶構造を含む層に対して視認側にある層>
一般的に、投映像表示用部材において、投映光を反射する層からの反射光に基づく像と、投映像表示用部材の光入射側から見て手前の面または裏側面からの反射光に基づく像が重なることによって二重像(または多重像)の問題が生じている。合わせガラスにおいては、コレステリック液晶構造を透過する光は上記コレステリック液晶構造が反射する円偏光と逆のセンスの円偏光となっており、裏側面からの反射光は、コレステリック液晶構造を含む層より裏側面側にある層が低複屈折性である場合は、通常上記コレステリック液晶構造に反射される円偏光が大部分となるため顕著な二重像を生じさせにくい。特に投映光として偏光を利用することにより投映光の大部分がコレステリック液晶構造を含む層で反射されるように構成できる。一方で、手前の面からの反射光は顕著な二重像を生じさせ得る。特にコレステリック液晶構造の重心から合わせガラスの光入射側から見て手前の面までの距離が一定値以上であると二重像が顕著になり得る。具体的には、合わせガラスの構造において、コレステリック液晶構造を含む層より第二のガラス板側にある層の厚みの総計、すなわち、コレステリック液晶構造を含む層の第二のガラス板側の最外面から、コレステリック液晶構造を含む層に対して第二のガラス板側の合わせガラスの最外面までの距離、が0.5mm以上となると二重像が顕著になり得、1mm以上でより顕著となり得、1.5mm以上でより顕著となり得, 2.0mm以上で特に顕著になり得る。コレステリック液晶構造を含む層より視認側にある層としては、第1の位相差層、第二の樹脂膜、第二のガラス板が挙げられる。
しかし、合わせガラスは後述のようにp偏光を利用した投映像表示において、コレステリック液晶構造を含む層より視認側にある層の厚みの総計が上記のようである場合でも、顕著な二重像なしに投映像を視認することができる。
<<ヘッドアップディスプレイシステム>>
合わせガラスはヘッドアップディスプレイシステムの構成部材として用いることができる。ヘッドアップディスプレイシステムはプロジェクターを含む。
<プロジェクター>
本明細書において、「プロジェクター」は「光または画像を投映する装置」であり、「描画した画像を投射する装置」を含む。ヘッドアップディスプレイシステムにおいて、プロジェクターは、合わせガラス中の投映像表示部位に、上記のような斜め入射角度で入射できるように配置されていればよい。
ヘッドアップディスプレイシステムにおいて、プロジェクターは、描画デバイスを含み、小型の中間像スクリーンに描画された画像(実像)をコンバイナにより虚像として反射表示するものが好ましい。
[描画デバイス]
描画デバイスはそれ自体が画像を表示するデバイスであってもよく、画像を描画できる光を発するデバイスであってもよい。描画デバイスでは、光源からの光が、光変調器、レーザー輝度変調手段、または描画のための光偏向手段などの描画方式で調整されていればよい。本明細書において、描画デバイスは光源を含み、さらに、描画方式に応じて光変調器、レーザー輝度変調手段、または描画のための光偏向手段などを含むデバイスを意味する。
(光源)
光源は特に限定されず、LED(発光ダイオード、有機発光ダイオード(OLED)を含む)、放電管、およびレーザー光源などを用いることができる。これらのうち、LEDおよび放電管が好ましい。直線偏光を出射する描画デバイスの光源に適しているからである。これらのうち、特にLEDが好ましい。LEDは発光波長が可視光領域において連続的でないため、後述するように特定波長域で選択反射を示すコレステリック液晶層が用いられているコンバイナとの組み合わせに適しているためである。
(描画方式)
描画方式としては、使用する光源や用途に応じて選択することができ、特に限定されない。
描画方式の例としては、蛍光表示管、液晶を利用するLCD(Liquid Crystal Display)方式およびLCOS(Liquid Crystal on Silicon)方式、DLP(登録商標)(Digital Light Processing)方式、レーザーを利用する走査方式などが挙げられる。描画方式は光源と一体となった蛍光表示管を用いた方式であってもよい。
LCD方式およびLCOS方式では、各色の光が光変調器で変調、合波され、投射レンズから光が出射する。
DLP方式は、DMD(Digital Micromirror Device)を用いた表示システムであり、画素数分のマイクロミラーを配置して描画され投射レンズから光が出射する。
走査方式は光線をスクリーン上で走査させ、目の残像を利用して造影する方式であり、例えば、特開平7−270711号公報、特開2013−228674号公報の記載が参照できる。レーザーを利用する走査方式では、輝度変調された各色(例えば、赤色光、緑色光、青色光)のレーザー光が合波光学系または集光レンズなどで1本の光線に束ねられ、光線が光偏向手段により走査されて後述する中間像スクリーンに描画されていればよい。
走査方式において、各色(例えば赤色光、緑色光、青色光)のレーザー光の輝度変調は光源の強度変化として直接行ってもよく、外部変調器により行ってもよい。光偏向手段としては、ガルバノミラー、ガルバノミラーとポリゴンミラーの組み合わせ、またはMEMS(微小電子機械システム)が挙げられ、このうちMEMSが好ましい。走査方法としては、ランダムスキャン方式、およびラスタースキャン方式等が挙げられるが、ラスタースキャン方式を用いることが好ましい。ラスタースキャン方式において、レーザー光は、例えば、水平方向は共振周波数で、垂直方向はのこぎり波で駆動されることができる。走査方式は投射レンズが不要であるため、装置の小型化が容易である。
描画デバイスからの出射光は、直線偏光であっても自然光(非偏光)であってもよい。ヘッドアップディスプレイシステムに含まれる描画デバイスからの出射光は、直線偏光であることが好ましい。描画方式がLCDまたはLCOSである描画デバイスおよびレーザー光源を用いた描画デバイスは、本質的には出射光が直線偏光となる。出射光が直線偏光である描画デバイスであって出射光が複数の波長(色)の光を含むものである場合は、複数の光の偏光の偏光方向(透過軸方向)は同一であるかまたは互いに直交していることが好ましい。市販の描画デバイスは、出射光の赤、緑、青の光の波長域での偏光方向が均一ではないものがあることが知られている(特開2000−221449号公報参照)。具体的には、緑色光の偏光方向が赤色光の偏光方向および青色光の偏光方向と直交している例が知られている。
(中間像スクリーン)
上記のように、描画デバイスは中間像スクリーンを使用するものであってもよい。本明細書において、「中間像スクリーン」は、画像が描画されるスクリーンである。すなわち、描画デバイスを出射した光がまだ画像として視認できるものではない場合などにおいて、この光によって描画デバイスは中間像スクリーンに視認可能な画像を形成する。中間像スクリーンにおいて描画された画像は中間像スクリーンを透過する光によりコンバイナに投映されていてもよく、中間像スクリーンを反射してコンバイナに投映されていてもよい。
中間像スクリーンの例としては、散乱膜、マイクロレンズアレイ、リアプロジェクション用のスクリーンなどが挙げられる。中間像スクリーンとしてプラスチック材料を用いる場合などにおいて、中間像スクリーンが複屈折性を有すると、中間像スクリーンに入射した偏光の偏光面や光強度が乱され、コンバイナにおいて、色ムラ等が生じやすくなるが、所定の位相差を有する位相差膜を用いることにより、この色ムラの問題が低減できる。
中間像スクリーンとしては、入射光線を広げて透過させる機能を有するものが好ましい。投映像拡大表示が可能となるからである。このような中間像スクリーンとしては、例えばマイクロレンズアレイで構成されるスクリーンが挙げられる。ヘッドアップディスプレイで用いられるマイクロアレイレンズについては、例えば、特開2012−226303号公報、特開2010−145745号公報、および特表2007−523369号公報に記載がある。
プロジェクターは描画デバイスで形成された投映光の光路を調整する反射鏡などを含んでいてもよい。
合わせガラスであるウインドシールドガラスを投映像表示用部材として用いたヘッドアップディスプレイシステムについては、特開平2−141720号公報、特開平10−96874号公報、特開2003−98470号公報、米国特許第5013134号明細書、特表2006−512622号公報などを参照することができる。
合わせガラスは、特に、発光波長が可視光領域において連続的でないレーザーやLED、OLEDなどを光源に用いたプロジェクターと組み合わせて用いるヘッドアップディスプレイシステムに有用である。各発光波長に合わせて、コレステリック液晶層の選択反射の中心波長を調整できるからである。また、LCD(液晶表示装置)などの表示光が偏光しているディスプレイの投映に用いることもできる。
[投映光(入射光)]
入射光は、投映像表示部位の法線に対し45°〜70°の斜め入射角度で入射させることが好ましい。投映光がガラスの表面または裏面で反射することで生じる二重像の低減方法としてガラス面に投映光(p偏光)をブリュースター角で入射させ、ガラス表面からの反射光をゼロに近づけるためである。(例えば特表2006−512622号公報参照)。屈折率1.51程度のガラスと屈折率1の空気との界面のブリュースター角は約56°であり、上記の角度の範囲でp偏光を入射させることにより、投映像表示のための入射光のコレステリック液晶構造を含む層に対してλ/2位相差層表面からの反射光が少なく、二重像の影響が小さい画像表示が可能である。上記角度は50°〜65°であることも好ましい。このとき、投映像の観察を入射光平面側において、λ/2位相差層の法線に対し、入射光とは反対側で45°〜70°、好ましくは50°〜65°の角度で行うことができる構成であればよい。
入射光は、コレステリック液晶構造を含む層に対して第1の位相差層側から入射させ、第1の位相差層を経由してコレステリック液晶構造を含む層に入射させればよい。すなわち、コレステリック液晶構造を含む層に対して第1の位相差層を投映光の入射側に配置すればよい。また、入射光は、合わせガラスの上下左右等、いずれの方向から入射してもよく、観察者の方向と対応させて、決定すればよい。例えば使用時の下方向から上記のような斜め入射角度で入射していればよい。
また、合わせガラス中の第1の位相差層(例えば、λ/2位相差層)の遅相軸は、入射p偏光の振動方向(入射光の入射面)に対し、40°〜65°の角度をなしていることが好ましく、45°〜60°の角度をなしていることがより好ましい。
上述のように、ヘッドアップディスプレイにおける投映像表示の際の投映光は入射面に平行な方向に振動するp偏光であることが好ましい。プロジェクターの出射光が直線偏光ではない場合は、直線偏光フィルムをプロジェクターの出射光側に配して用いることによりp偏光としていてもよく、プロジェクターから合わせガラスまでの光路でp偏光とされていてもよい。上述のように、出射光の赤、緑、青の光の波長域での偏光方向が均一ではないプロジェクターについては、波長選択的に偏光方向を調節し、全ての色の波長域でp偏光として入射させることが好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
<塗布液の調製>
(コレステリック液晶層形成用塗布液)
下記の成分を混合し、下記組成のコレステリック液晶層形成用塗布液を調製した。
・混合物1 100質量部
・フッ素系水平配向剤1 0.05質量部
・フッ素系水平配向剤2 0.02質量部
・右旋回性キラル剤LC756(BASF社製)
目標の反射波長に合わせて調整
・重合開始剤IRGACURE OXE01(BASF社製)
1.0質量部
・溶媒(メチルエチルケトン) 溶質濃度が25質量%となる量
上記塗布液組成のキラル剤LC−756の処方量を調整して塗布液1〜2を調製した。それぞれの塗布液を用いて、以下の機能層作製時と同様に剥離性支持体上に単一層のコレステリック液晶層を作製し、反射特性を確認したところ、作製されたコレステリック液晶層はすべて右円偏光反射層であり、中心反射波長は下記表1のとおりであった。
(位相差層形成用塗布液)
下記の成分を混合し、下記組成の位相差層形成用塗布液を調製した。
・混合物1 100質量部
・フッ素系水平配向剤1 0.05質量部
・フッ素系水平配向剤2 0.01質量部
・重合開始剤IRGACURE OXE01(BASF社製)
1.0質量部
・溶媒(メチルエチルケトン) 溶質濃度が25質量%となる量
<剥離性支持体および機能層の積層体の作製>
(1)剥離性支持体(縦250mm×横280mm)として東洋紡(株)製PETフィルム(コスモシャインA4100、厚み:100μm)を使用し、その片面に、剥離性支持体の長辺方向を基準に時計回りに30°回転させた方向にラビング処理(レーヨン布、圧力:0.1kgf(0.98N)、回転数:1000rpm、搬送速度:10m/min、回数:1往復)を施した(図3)。
(2)PETフィルムのラビングした表面に位相差層形成用塗布液をワイヤーバーを用いて塗布後、乾燥させて50℃のホットプレート上に置き、フュージョンUVシステムズ株式会社製無電極ランプ「Dバルブ」(60mW/cm)にて6秒間UV照射し、液晶相を固定して、厚み1.8μmの位相差層を得た。このとき、位相差層のレタデーションをAxoScan(アクソメトリクス社製)で測定したところ、350nmであった。得られた位相差層の表面に塗布液1をワイヤーバーを用いて塗布後、乾燥させて75℃のホットプレート上に置き、ヘレウス株式会社製無電極ランプ「Dバルブ」(60mW/cm)にて6秒間UV照射し、コレステリック液晶相を固定して、厚み0.6μmのコレステリック液晶層を得た。得られたコレステリック液晶層の表面にさらに塗布液2を用いて同様の工程を繰り返し、塗布液2の層1.0μmを積層した。こうして位相差層および2層のコレステリック液晶層からなる機能層を持つ積層体Aを得た。積層体Aの透過スペクトルを分光光度計(日本分光株式会社製、V−670)で測定したところ、510nm、650nmに選択反射中心波長を有する透過スペクトルが得られた。
剥離性支持体(縦250mm×横280mm)として東洋紡(株)製PETフィルム(コスモシャインA4100、厚み:50μm)を用いた以外は積層体Aと同様の工程にて作製し、積層体Bを得た。
剥離性支持体(縦250mm×横280mm)として東洋紡(株)製PETフィルム(コスモシャインA4100、厚み:25μm)を用いた以外は積層体Aと同様の工程にて作製し、積層体Cを得た。
位相差層形成用塗布液を塗布しないこと以外は積層体Aと同様の工程にて作製し、積層体Dを得た。
また、塗布液1を厚みが5μmとなるように2回塗布して形成し、塗布液2を厚みが5μmとなるように2回塗布して形成すること以外は積層体Aと同様の工程にて作製し、積層体Eを得た。
<積層体Fの作製>
積層体Aと同様の工程にて得られた位相差層の表面に、下記の組成の透明層塗布液を#3.6のワイヤーバーコーターで塗布した。その後、45℃で60秒間乾燥し、25℃にてヘレウス株式会社製無電極ランプ「Dバルブ」にて500mJ/cm2の紫外線を照射して、1.7μmの透明層を作製した。
(下塗り層塗布液)
下記の成分を混合し、下塗り層塗布液を調製した。
・KAYARAD PET30(日本化薬(株)製) 100質量部
・重合開始剤IRGACURE 907 (BASF社製) 3.0質量部
・カヤキュアーDETX(日本化薬(株)製) 1.0質量部
・フッ素系水平配向剤2 0.01質量部
・メチルイソブチルケトン 243質量部
(コレステリック液晶層用塗布液B1、G1、R1、IR1、IR2)
下記の成分を混合し、下記組成のコレステリック液晶層形成用塗布液を調製した。
・混合物1 100質量部
・フッ素系水平配向剤1 0.20質量部
・フッ素系水平配向剤2 0.08質量部
・右旋回性キラル剤LC756(BASF社製)
目標の反射波長に合わせて調整
・重合開始剤IRGACURE OXE01(BASF社製)
1.5質量部
・溶媒(メチルエチルケトン) 表2に記載
上記塗布液組成のキラル剤LC−756の処方量とメチルエチルケトン量を調整してコレステリック液晶塗布液B1、G1、R1、IR1、IR2を調製した。それぞれの塗布液を用いて、以下の機能層作製時と同様に剥離性支持体上に単一層のコレステリック液晶層を作製し、反射特性を確認したところ、作製されたコレステリック液晶層はすべて右円偏光反射層であり、中心反射波長は下記表2のとおりであった。
下塗り層付き透明支持体の表面に、上記で調製したコレステリック液晶層用塗布液B1を#2.6のワイヤーバーコーターで塗布した。その後、95℃で60秒間乾燥し、25℃にてヘレウス株式会社製無電極ランプ「Dバルブ」にて500mJ/cm2の紫外線を照射することで、中心波長435nmの光を反射する厚み0.3μmのコレステリック液晶層B1を作製した。
上記作製したコレステリック液晶層B1層の表面に、上記で調製したコレステリック液晶層用塗布液G1を#2.0のワイヤーバーコーターで塗布した。その後、95℃で60秒間乾燥し、25℃にてヘレウス株式会社製無電極ランプ「Dバルブ」にて500mJ/cm2の紫外線を照射することで、中心波長545nmの光を反射する厚み0.42μmのコレステリック液晶層G1を積層した。
上記作製したコレステリック液晶層G1の表面に、上記で調製したコレステリック液晶層用塗布液R1を#2.0のワイヤーバーコーターで塗布した。その後、95℃で60秒間乾燥し、25℃にてヘレウス株式会社製無電極ランプ「Dバルブ」にて500mJ/cm2の紫外線を照射することで、中心波長650nmの光を反射する厚み0.58μmのコレステリック液晶層R1を積層した。
上記作製したコレステリック液晶層R1の表面に、上記で調製したコレステリック液晶層用塗布液IR1を#2.6のワイヤーバーコーターで塗布した。その後、95℃で60秒間乾燥し、25℃にてヘレウス株式会社製無電極ランプ「Dバルブ」にて500mJ/cm2の紫外線を照射することで、中心波長840nmの光を反射する厚み0.75μmのコレステリック液晶層IR1を積層した。
このような手順で、コレステリック液晶層が4層積層された積層体Fを作製した。
<積層体Gの作製>
<コレステリック液晶層G2の作製>
積層体Fの作製に用いた透明層の表面に、上記で調製したコレステリック液晶層用塗布液G1を#2.8のワイヤーバーコーターで塗布した。その後、95℃で60秒間乾燥し、25℃にてヘレウス株式会社製無電極ランプ「Dバルブ」にて500mJ/cm2の紫外線を照射することで、中心波長545nmの光を反射する厚み0.59μmのコレステリック液晶層G2を作製した。
上記作製したコレステリック液晶層G2の表面に、上記で調製したコレステリック液晶層用塗布液IR2を#2.6のワイヤーバーコーターで塗布した。その後、95℃で60秒間乾燥し、25℃にてヘレウス株式会社製無電極ランプ「Dバルブ」にて500mJ/cm2の紫外線を照射することで、中心波長740nmの光を反射する厚み0.75μmのコレステリック液晶層IR2を積層した。
このような手順で、コレステリック液晶層が2層積層された積層体Gを作製した。
<積層体Hの作製>
(コレステリック液晶層形成用塗布液)
下記の成分を混合し、下記組成のコレステリック液晶層形成用塗布液を調製した。
・化合物1の混合物 100質量部
・フッ素系水平配向剤1 0.08質量部
・右旋回性キラル剤LC756(BASF社製)
目標の反射波長に合わせて調整
・重合開始剤IRGACURE 907(BASF社製) 3.0質量部
・カヤキュアーDETX(日本化薬(株)製) 1.0質量部
・溶媒 γ-ブチロラクトン 139.6質量部
上記塗布液組成のキラル剤LC−756の処方量を調整してコレステリック液晶インク液Bm、Gm、Rmを調製した。コレステリック液晶インク液Bm、Gm、Rmはそれぞれ中心波長450nm、550nm、650nmの光を反射するドットを形成する材料である。また、コレステリック液晶インク液Bm、Gm、Rmは、右円偏光を反射するドットを形成する材料である。すなわち、コレステリック液晶インク液Bm、Gm、Rmはそれぞれ右円偏光青色、右円偏光緑色、右円偏光赤色ドットを形成するための材料である。
上記で調製したコレステリック液晶インク液Rmを、インクジェットプリンター(DMP−2831、FUJIFILM Dimatix社製)にて、積層体Aと同様の工程にて得られた位相差層上に打滴し、60℃、30秒以上乾燥した後に、ヘレウス株式会社製無電極ランプ「Dバルブ」にて室温で500mJ/cm2の紫外線を照射して硬化させ、コレステリック液晶ドットRを形成した。
上記で作製した、コレステリック液晶ドットRが形成された位相差層上に、コレステリック液晶インク液Gmを打滴し、60℃、30秒以上乾燥した後に、ヘレウス株式会社製無電極ランプ「Dバルブ」にて室温で500mJ/cm2の紫外線を照射して硬化させ、コレステリック液晶ドットGを形成した。
さらに、上記で作製した、コレステリック液晶ドットRおよびコレステリック液晶ドットGが形成された位相差層上に、コレステリック液晶インク液Bmを打滴し、60℃、30秒以上乾燥した後に、ヘレウス株式会社製無電極ランプ「Dバルブ」にて室温で500mJ/cm2の紫外線を照射して硬化させ、コレステリック液晶ドットBを形成した。
(オーバーコート層の形成)
下記に示す組成物を、25℃に保温された容器中にて、攪拌、溶解させ、オーバーコート層用の塗布液を調製した。
・KAYARAD DPCA−30(日本化薬株式会社製) 30.0質量部
・EA−200(大阪ガスケミカル株式会社製) 25.0質量部
・下記の化合物L 45.0質量部
・下記の化合物A 0.6質量部
・重合開始剤IRGACURE 127 (BASF社製) 3.0質量部
・溶媒メチルエチルケトン 103.6質量部
上記で調製したオーバーコート層用の塗布液を、コレステリック液晶ドットを形成した位相差層上に、#18のバーコーターを用いて塗布した。その後、膜面温度が50℃になるように加熱し、60秒間乾燥した後に、ヘレウス株式会社製無電極ランプ「Dバルブ」にて500mJ/cm2の紫外線を照射し、架橋反応を進行させ、厚み15μmのオーバーコート層を作製し、積層体Hを得た(図4)。
なお、ドットの屈折率は1.58であり、オーバーコート層の屈折率は1.58であり、屈折率の差は0である。
<積層体Iの作製>
反射型偏光板と剥離性支持体との積層体として、厚み27μmのポリエステルフィルム上に、第一偏光を透過するとともに、第一偏光の偏光軸に交差する偏光軸を有する第二偏光を反射し、かつ複屈折性の高分子を積層した構造を持つ多層フィルムを有する積層体(3Mジャパン株式会社製、縦250mm×横280mm)を用意した。反射型偏光板の厚みは15μmであった。
<積層体J〜Mの作製>
塗布液1から形成するコレステリック液晶層の厚みをそれぞれ0.5μm、0.4μm、0.3μmとしたこと以外は積層体Aと同様の手順で、積層体J、積層体K、積層体Lを作製した。また、積層体Aの塗布液1から形成するコレステリック液晶層の厚みを0.3μmとし、かつ塗布液2から形成するコレステリック液晶層の厚みを1.2μmとしたこと以外は積層体Aと同様の手順で、積層体Mを作製した。
<積層フィルムの作製>
積層体Aの塗布面側に積水化学社製の厚み0.38mm、縦300mm×横300mmのPVB(ポリビニルブチラール)フィルムを、積層体AがPVBフィルムからはみ出さないように設置し、55℃、0.08MPa、1時間の条件で圧着し、積層フィルム1を作製した。
積層体Aの塗布面に積水化学社製の厚み0.38mm、縦300mm×横300mmのPVBフィルムを、積層体AがPVBフィルムからはみ出さないように設置し、ラミネーター(大成ラミネーター(株)製)を用いて、積層体を支持する側のローラーを90℃、PVBフィルムを支持する側のローラーを25℃とし、0.15MPa、0.1m/分の条件で熱接着し、積層フィルム2を作製した。
積層体Aの塗布面側に積水化学社製の厚み0.38mm、縦300mm×横300mmのPVBフィルムを、積層体AがPVBフィルムからはみ出さないように設置し、40℃、0.08MPa、1時間の条件で圧着し、積層フィルム3を作製した。
積層体Bの塗布面側に積水化学社製の厚み0.38mm、縦300mm×横300mmのPVBフィルムを、積層体AがPVBフィルムからはみ出さないように設置し、40℃、0.08MPa、1時間の条件で圧着し、積層フィルム4を作製した。
積層体Aの塗布面側に積水化学社製の厚み0.38mm、縦300mm×横300mmのPVBフィルムを、積層体AがPVBフィルムからはみ出さないように設置し、35℃、0.08MPa、1時間の条件で圧着し、積層フィルム5を作製した。
積層体Bの塗布面側に積水化学社製の厚み0.38mm、縦300mm×横300mmのPVBフィルムを、積層体BがPVBフィルムからはみ出さないように設置し、35℃、0.08MPa、1時間の条件で圧着し、積層フィルム6を作製した。
積層体Cの塗布面側に積水化学社製の厚み0.38mm、縦300mm×横300mmのPVBフィルムを、積層体CがPVBフィルムからはみ出さないように設置し、35℃、0.08MPa、1時間の条件で圧着し、積層フィルム7を作製した。
積層体Dの塗布面側に積水化学社製の厚み0.38mm、縦300mm×横300mmのPVBフィルムを、積層体DがPVBフィルムからはみ出さないように設置し、35℃、0.08MPa、1時間の条件で圧着し、積層フィルム8を作製した。
積層体Eの塗布面側に積水化学社製の厚み0.38mm、縦300mm×横300mmのPVBフィルムを、積層体EがPVBフィルムからはみ出さないように設置し、35℃、0.08MPa、1時間の条件で圧着し、積層フィルム9を作製した。
積層体Fの塗布面側に積水化学社製の厚み0.38mm、縦300mm×横300mmのPVBフィルムを、積層体FがPVBフィルムからはみ出さないように設置し、40℃、0.08MPa、1時間の条件で圧着し、積層フィルム10を作製した。
積層体Gの塗布面側に積水化学社製の厚み0.38mm、縦300mm×横300mmのPVBフィルムを、積層体GがPVBフィルムからはみ出さないように設置し、40℃、0.08MPa、1時間の条件で圧着し、積層フィルム11を作製した。
積層体Hの塗布面側に積水化学社製の厚み0.38mm、縦300mm×横300mmのPVBフィルムを、積層体HがPVBフィルムからはみ出さないように設置し、40℃、0.08MPa、1時間の条件で圧着し、積層フィルム12を作製した。
積層体Iの反射型偏光板側に積水化学社製の厚み0.38mm、縦300mm×横300mmのPVBフィルムを、積層体IがPVBフィルムからはみ出さないように設置し、40℃、0.08MPa、1時間の条件で圧着し、積層フィルム13を作製した。
積層体J〜Mの塗布面側に、それぞれ積水化学社製の厚み0.38mm、縦300mm×横300mmのPVBフィルムを、積層体IがPVBフィルムからはみ出さないように設置し、40℃、0.08MPa、1時間の条件で圧着し、積層フィルム14〜17を作製した。
(剥離力の測定)
各積層体の剥離性支持体剥離力
作製した各積層体、各積層フィルムについて、剥離性支持体と機能層の剥離力、機能層とPVBフィルムの剥離力の測定を行った。剥離力の測定は、JIS K 6854−2に準じて引張試験機を用いて行った。
剥離性支持体と機能層の剥離力の測定は、以下の手順で行った。
(1)積層体のみを幅25mm、長さ200mmに切断した。このとき、ラビング方向もしくは第一の偏光を透過する方向を基準に0°、45°、90°、135°、180°方向が長手方向になるように切断した。
(2)積層体の機能層を一部剥離性支持体から剥がして剥離性支持体と機能層を引張試験機の上下のチャックに挟み、機能層を180°折り返して両者を引張ることにより剥離性支持体と機能層との剥離力を測定した。
(3)これをラビング方向を基準に0°から180°まで45°刻みで切断したものについて測定し、最大値を面内最大剥離力、最小値を面内最小剥離力とした。面内最大剥離力と面内最小剥離力との差を表4に示す。
機能層とPVBフィルム(樹脂膜)の剥離力の測定は、以下の手順で行った。
(1)積層フィルムを幅25mm、長さ250mmに切断し、剥離性支持体のみを丁寧に剥離し、PVBフィルムと機能層のみとした。
(2)機能層を一部PVBフィルムから剥がしてPVBフィルムと機能層を引張試験機の上下のチャックに挟み、機能層を180°折り返して両者を引張ることによりPVBフィルムと機能層との剥離力を測定した。
剥離性支持体と機能層の面内最大剥離力と、PVBフィルムと機能層との剥離力との差を表4に示す。
(剥離性支持体の剥離性評価)
以下の基準で評価した。
良:剥離性支持体を剥離した後もPVBフィルムと機能層が全面密着している。
不良:剥離性支持体を剥離した後にPVBフィルムと機能層が一部剥離した状態となる。
結果を表4に示す。
(積層塗布面状評価)
各積層フィルムから剥離性支持体を剥離した面の面状を以下の基準で評価した。
良:剥離性支持体起因の積層塗布ムラが未発生で、視認できない。
不良:剥離性支持体起因の積層塗布ムラが発生し、視認できる。
結果を表4に示す。
<合わせガラスの作製>
縦300mm×横300mm厚み2mmのガラス板の上に同じサイズにカッティングした積水化学社製の厚み0.38mmのPVBフィルムを設置した。その上に剥離性支持体を剥離した上記各積層フィルムを、機能層側(剥離面)を下面にして設置し、その上に縦300mm×横300mm厚み2mmのガラス板を設置した。これを90℃、10kPa(0.1気圧)下で一時間保持した後に、オートクレーブ(栗原製作所製)にて115℃、1.3MPa(13気圧)で20分間加熱して気泡を除去し、合わせガラスを得た。
積層フィルム1〜9、13を用いて作製した合わせガラスに対し、図5に示すようにプロジェクター(BenQ社製MH741)を配置し、p偏光が入射するようにした。投映像を観察位置(図5の目の位置)から観察すると、虚像が確認された。積層フィルム10、11、12を用いた合わせガラスに同様にp偏光を入射し、投映像を観察すると、実像が確認された。
得られた合わせガラスについて、図5に示すようにp偏光を入射し観察位置で輝度測定を行なった。輝度はトプコン社製の輝度計BM−5Aを用いて測定し、プロジェクターの画像の輝度に対する割合を算出した。得られた値を以下の基準で評価した。
良:30%以上
不良:30%未満
結果を表4に示す。
得られた合わせガラスの反射色味を以下の基準で評価した。
良:5°反射色味が白、青、緑系である。
不良:5°反射色味が黄、赤系である。
結果を表4に示す。
積層フィルム1〜4、10〜17は剥離性支持体を剥離する際、機能層/PVB界面で剥離が起こらずにきれいに剥離性支持体を剥離することができた。積層フィルム5、6は剥離性支持体を剥がそうとすると、機能層/PVBフィルム界面で剥がれが生じ、剥離性支持体をきれいに剥離することができなかった。積層フィルム7は機能層/PVBフィルム界面で剥離が起こらずにきれいに剥離性支持体を剥離することができたが、剥離性支持体が薄く、積層塗布時の塗布ムラが多く、面状が悪かった。積層フィルム8、9は機能層/PVBフィルム界面で剥離が起こらずにきれいに剥離性支持体を剥離することができた。積層フィルム8は位相差層が無いため、合わせガラスとしてp偏光を入射して投映像を表示させたときの、投映像輝度が低かった。積層フィルム9は厚みが大きいため、合わせガラスとしたときに反射率が高く色味が目立ち外観が悪かった。
実施例1(積層フィルム1)、および実施例9〜12(積層フィルム14〜17)の合わせガラスの、法線方向における自然光透過スペクトル、および、図5に示すようにp偏光を入射し、観察した60°p偏光反射率スペクトルを分光光度計(日本分光株式会社製、V−670)で測定した。JIS R3106に従って、380nm〜780nmでの10nm毎の波長において自然光透過率、p偏光反射率に視感度に応じた係数をそれぞれ乗じて可視光透過率、投映像反射率を計算した。結果を表5に示す。
積層フィルム14〜16をそれぞれ用いた実施例9〜11では、この順で、積層フィルム1を用いた実施例1よりも、可視光透過率が上昇していた。塗布液1から形成されるコレステリック液晶層の厚みが順次小さくなっていることにより視感度の高い500nm〜600nmの波長域の透過率が上がったためと考えられる。塗布液2から形成されるコレステリック液晶層の厚みが大きい積層フィルム17を用いた実施例12では、実施例9〜11と比較して、可視光透過率は大幅な変化は見られなかったが、投映像反射率が顕著に上昇した。塗布液2から形成されるコレステリック液晶層は視感度の高い波長域で反射を示さないため厚みを大きくしても可視光透過率に影響がないが、図5のような投映像を観察する場合、入射角度が大きいため反射波長域が短波にシフトし、投映光(p偏光)の反射率が高くなったためと考えられる。
1 機能層
2 剥離性支持体
3 第一の樹脂膜
4 位相差層
5 コレステリック液晶構造を含む層
6 第二の樹脂膜
7 第一のガラス板
8 第二のガラス板
15 コレステリック液晶ドット
16 オーバーコート層
100 ラビング方向
200 長辺方向
300 プロジェクター

Claims (16)

  1. 剥離性支持体、機能層、および第一の樹脂膜をこの順に含み、
    前記機能層は光学異方性を有する反射層であり、
    前記機能層は厚みが20μm以下であり、
    前記第一の樹脂膜と前記機能層との界面の剥離力が、前記剥離性支持体と前記機能層との界面の面内最小剥離力よりも0.01N/25mm以上大きい積層フィルム。
  2. 前記第一の樹脂膜がポリビニルブチラールを含む請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 前記剥離性支持体の厚みが50μm以上である請求項1または2に記載の積層フィルム。
  4. 前記剥離性支持体と前記機能層との界面の面内最大剥離力と最小剥離力の差が0.005N/25mm以上である請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層フィルム。
  5. 前記剥離性支持体と前記機能層との界面の面内最小剥離力が0.03N/25mm以上である請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層フィルム。
  6. 前記機能層が位相差層とコレステリック液晶構造を含む層とを含み、
    前記位相差層は、重合性液晶化合物を含む液晶組成物を硬化した層であり、
    前記剥離性支持体および前記位相差層は互いに直接接しており、
    前記機能層および前記第一の樹脂膜は互いに直接接している請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層フィルム。
  7. 前記機能層の厚みが10μm以下である請求項6に記載の積層フィルム。
  8. 前記剥離性支持体がポリエチレンテレフタレートを含むフィルムからなる請求項6または7に記載の積層フィルム。
  9. 前記コレステリック液晶構造を含む層がコレステリック液晶層である請求項6〜8のいずれか一項に記載の積層フィルム。
  10. 前記コレステリック液晶層の1つが前記位相差層に直接接している請求項9に記載の積層フィルム。
  11. 前記機能層が(メタ)アクリレートモノマーを含む非液晶性組成物を塗布硬化して得られた透明層を含み、前記透明層が前記位相差層および前記コレステリック液晶層の1つに直接接している請求項9に記載の積層フィルム。
  12. 前記コレステリック液晶構造を含む層が複数のコレステリック液晶ドットを含む層である請求項6〜8のいずれか一項に記載の積層フィルム。
  13. 前記機能層前記位相差層表面に形成された前記の複数のコレステリック液晶ドット、およびオーバーコート層を含み、前記オーバーコート層は前記位相差の前記液晶ドットが形成された面側に設けられている請求項12に記載の積層フィルム。
  14. 合わせガラス中間膜シート作製用フィルムである請求項1〜13のいずれか一項に記載の積層フィルム。
  15. 合わせガラス中間膜シートの製造方法であって
    請求項1〜14のいずれか一項に記載の積層フィルムから前記剥離性支持体を前記剥離性支持体と前記位相差層との界面で剥離すること、
    前記剥離面側に前記第一の樹脂膜を設けることを含む製造方法。
  16. 合わせガラスの製造方法であって
    請求項1〜14のいずれか一項に記載の積層フィルムから前記剥離性支持体を前記剥離性支持体と前記位相差層との界面で剥離すること、
    前記剥離面側に第二の樹脂膜および第二のガラス板をこの順で設けること、および
    前記フィルムの前記第一の樹脂膜の表面に第一のガラス板を設けること
    を含む製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023032520A1 (ja) * 2021-09-03 2023-03-09 富士フイルム株式会社 積層体、表示装置、自動車および携帯電子機器

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