JP2018199111A - 難燃性粉末、粉末消火薬剤及び難燃性組成物 - Google Patents

難燃性粉末、粉末消火薬剤及び難燃性組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】廃棄された粉末消火薬剤を用いて耐水性のある難燃性粉末を得、その難燃性粉末を粉末消火薬剤として再利用し、またその難燃性粉末を用いて各種の難燃性組成物や難燃性塗料を得る廃棄された粉末消火薬剤の再利用方法の提供。【解決手段】第一リン酸アンモニウム(大きな灰色部分)周囲に廃トナー被膜(白色部分)を形成し、廃トナー被膜の中に炭酸カルシウム(小さな黒色部分)を分散した構造とし、粉末消火薬剤と炭酸カルシウムの混合粉末に対する廃トナーの混合量を5〜30%とする、難燃性粉末。前記粉末消火薬剤の破砕粉末の粒度が10μm以下であることが、望ましい、難燃性粉末。前記粉末が、樹脂或いは樹脂と木材の混合物に対して、5〜50重量%の割合で混合してなる難燃性組成物。【選択図】図1

Description

本発明は、廃棄された粉末消火薬剤を用いて製造される難燃性粉末、その難燃性粉末を主成分とする粉末消火薬剤及びその難燃性粉末を含有する難燃性組成物に関する。
粉末消火器の消火薬剤には、通常、第一リン酸アンモニウム、および硫酸アンモニウムが使用されている。
粉末消火器は、一定期間経過すると、法律上検査され、規格外粉末は廃棄されることを義務付けられているため、一年間に廃棄される粉末消火器は膨大な量に上る。
廃棄された粉末消火器の消火薬剤は再利用が困難なため、特許文献1(特表2008−521741号公報)に記載されているように農業用肥料として利用されることが多い。
また、特許文献2(特許第4225714号公報)には、リン酸アンモニウムと硫酸アンモニウムとを主成分とし添加剤を含む回収粉末消火薬剤を、分級処理することにより主成分を添加剤から分離し、得られた分離成分を粉末消火薬剤の主成分として用いる回収粉末消火薬剤の再生方法が開示されている。
さらに、粉末消火器に使用されている第一リン酸アンモニウムと硫酸アンモニウムは、防炎特性が良く毒性が低いことから、特許文献3(特開2003−226877号公報)に記載されているように、これらの化合物を木質系材料に含浸させて防炎・難燃化処理に用いることが提案されている。
しかし、廃棄された粉末消火薬剤を肥料として転用する場合には、粉末消火薬剤の表面に耐水性樹脂が被覆されているため、肥料としての効果を発揮しにくいという問題があり、廃棄された粉末消火薬剤を分級処理によって主成分を添加剤から分離し粉末消火薬剤として再生させた場合、表面の耐水性樹脂が劣化していることもあるので、耐用年数を短めにして検査し、必要に応じて早めに回収しなければならない。
また、第一リン酸アンモニウムや硫酸アンモニウムを木質系材料に含浸させて防炎・難燃化処理を行う場合、第一リン酸アンモニウムと硫酸アンモニウムは水への溶解度が高いため、これらの化合物が水と接触しないように工夫する必要があり、例えば、木質系材料に含浸させた後に、塗料等により防水加工することが必要である。
特表2008−521741号公報 特許第4225714号公報 特開2003−226877号公報
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、廃棄された粉末消火薬剤を用いて耐水性のある難燃性粉末を得ることを第1の課題とする。
また、その難燃性粉末を粉末消火薬剤として再利用することを第2の課題、その難燃性粉末を用いて各種の難燃性組成物や難燃性塗料を得ることを第3の課題としている。
請求項1に係る発明は、廃棄された粉末消火薬剤の破砕粉末表面に、印刷トナー被膜が被覆されてなることを特徴とする難燃性粉末である。
請求項2に係る発明は、請求項1記載の難燃性粉末において、前記粉末消火薬剤の破砕粉末の粒度が10μm以下であることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2記載の難燃性粉末と印刷トナー被膜が被覆された炭酸カルシウム粉末が、1:1〜1:0.1の重量割合で混合されてなる難燃性粉末である。
請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の難燃性粉末において、前記印刷トナー被膜の、前記粉末消火薬剤の破砕粉末に対する重量割合が、5〜30重量%であることを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の難燃性粉末を主成分とする粉末消火薬剤である。
請求項6に係る発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の難燃性粉末が、樹脂あるいは樹脂と木材の混合物に対して5〜50重量%の割合で混合された組成からなる難燃性組成物である。
請求項7に係る発明は、請求項6に記載の難燃性組成物において、前記樹脂が、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂の中から選択された何れかの樹脂であることを特徴とする。
請求項8に係る発明は、請求項6又は7に記載の難燃性組成物において、前記樹脂が硬化前の流動性樹脂からなることを特徴とする。
請求項9に係る発明は、請求項6〜8のいずれかに記載の難燃性組成物において、前記樹脂に発泡剤が添加されていることを特徴とする。
請求項10に係る発明は、請求項2、請求項2を引用する請求項3、又は請求項2若しくは3を引用する請求項4に記載の難燃性粉末が、水性塗料に対して1〜50重量%の割合で混合されてなる難燃性塗料である。
請求項1に係る発明の難燃性粉末は、廃棄された粉末消火薬剤の破砕粉末表面に、印刷トナー被膜が被覆されているので、水に溶解しにくい適度な大きさの難燃性粉末を得ることができる。
また、廃棄された粉末消火薬剤を利用しているので資源を有効活用でき、低コストながら性能の良い難燃性粉末を得ることができる。
この効果は、印刷トナーに廃棄された印刷トナーを用いた場合、さらに大きくなる。
請求項2に係る発明によれば、請求項1に係る発明による効果に加えて、粉末消火薬剤の破砕粉末の粒度が10μm以下となっているため、その難燃性粉末を樹脂に混合、成形するに際して、樹脂本体中に均一に混入され成形体の不燃性が高くなる。
また、弾力性が必要なスポンジ中に取り込ませた場合にも、樹脂の柔軟性、強度特性及び不燃性が損なわれることがない。
さらに、難燃性塗料として用いスプレーによる施工をする場合、塗膜表面の凹凸が発生せず仕上がりが良くなるとともに、スプレーノズルの目詰まりが発生しにくくなるので作業効率が向上する。
請求項3に係る発明によれば、請求項1又は2に係る発明による効果に加えて、印刷トナー被膜が被覆された炭酸カルシウム粉末が適量混合されているので、加熱時に第一リン酸アンモニウムと反応して高温で安定なリン酸カルシウムが生成されるとともに、硫酸アンモニウムと反応して高温で安定な硫酸カルシウムを生成される。
そのため、その難燃性粉末を含む成形体は、火災時の形状維持性が良好となる。
請求項4に係る発明によれば、請求項1〜3のいずれかに係る発明による効果に加えて、印刷トナー被膜の粉末消火薬剤の破砕粉末に対する重量割合が5〜30重量%であるため、難燃性粉末に良好な耐水性を付与でき、かつ、不燃性の低下を招くこともない。
請求項5に係る発明によれば、請求項1〜4のいずれかに係る発明の難燃性粉末を主成分とした粉末消火薬剤であるので、安価な再生粉末消火薬剤を得ることができる。
請求項6に係る発明によれば、請求項1〜4のいずれかに係る発明の難燃性粉末が、樹脂あるいは樹脂と木材の混合物に対して5〜50重量%の割合で混合された組成からなる難燃性組成物であるので、安価な難燃性組成物を得ることができる。
請求項7に係る発明によれば、請求項6に係る発明による効果に加えて、樹脂がウレタン樹脂、エポキシ樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂の中から選択された何れかの樹脂であるので、取り扱いが容易で、より安く難燃性組成物を製造できる。
請求項8に係る発明によれば、請求項6又は7に係る発明による効果に加えて、樹脂が硬化前の流動性樹脂からなっているので、適宜の型を用いて成型、硬化させることによって、所望の形状の難燃性成型体を得ることができる。
請求項9に係る発明によれば、請求項6〜8のいずれかに係る発明による効果に加えて、樹脂に発泡剤が添加されているので、成形時に、発泡硬化させることができる。
請求項10に係る発明によれば、請求項2、請求項2を引用する請求項3、又は請求項2若しくは3を引用する請求項4に記載の難燃性粉末が、水性塗料に対して1〜50重量%の割合で混合されてなる難燃性塗料であるので、難燃性粉末の塗料への分散性が良く、塗膜の密着性に優れ、燃焼後の剥離もない、良い特性の難燃性塗料を得ることができる。
実施例に係る難燃性粉末とその断面の電子顕微鏡写真。 実施例に係る難燃性粉末の粒度分布を示す棒グラフ。 実施例に係る難燃性粉末の耐水試験前後のX線回折結果を示すグラフ。 発泡ポリウレタン(難燃化処理有・無)の燃焼試験の結果を示す写真。
以下、実施例によって本発明の実施形態を説明する。
実施例1に係る難燃性粉末の製造方法について順を追って説明する。
(工程1)粉末消火器から回収された粉末消火薬剤100gと炭酸カルシウム(和光純薬 一級)50gとアセトン400mlをボールミル容器に入れ、30分間混合粉砕する。
(工程2)得られた混合液を濾過し、溶媒(アセトン)を除去する。
(工程3)粉末消火薬剤と炭酸カルシウムの混合粉末及びその混合粉末に対して20質量%の廃トナー(リコー製レーザプリンターのトナーカートリッジより回収したマゼンタのトナー)を、ヘンシェル型ミキサーに投入し、回転数12,000rpmで10分間混合する。
また、廃トナーと同量のアセトンを混合開始後10分間に亘って徐々に添加する。
この工程により、粉末消火薬剤の粉末及び炭酸カルシウムの粉末の周囲に、廃トナー被膜が形成される。
(工程4)ヘンシェル型ミキサーから取り出した混合物を110℃で30分間乾燥する。
(工程5)乾燥物を石臼型の粉砕機を用いて粉砕する(凝集物を砕く)。
(工程6)粉砕物を篩(開口径100マイクロメートル(以下「μm」と表記))にかける。
図1に、上記の工程によって作製した難燃性粉末とその断面の電子顕微鏡写真(SEM写真)を示す。
これらの写真から、作製した難燃性粉末は、粉末消火薬剤の主成分である第一リン酸アンモニウム(大きな灰色部分)周囲に廃トナー被膜(白色部分)が形成され、廃トナー被膜の中に炭酸カルシウム(小さな黒色部分)が分散した構造になっていることが分かる。
また、図2に、上記の工程によって作製した難燃性粉末の粒度分布を示す棒グラフを示す。
なお、粒度分布は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定した。
そして、この棒グラフから、作製した難燃性粉末の中心粒径は10μmであることが分かる。
さらに、作製した難燃性粉末のコーティング状態(廃トナー被膜の形成状態)を、耐水試験を行うことによって確認した。
耐水試験は、組成物の変化と気泡の発生状態により評価した。
具体的には、0.5gの難燃性粉末と水5mlをガラス容器の中に入れ、80℃に加温して濾過し、100℃で乾燥した後にX線回折による構造解析(以下では単に「X線回折」という。)と熱重量分析を行った。
もし、第一リン酸アンモニウムの周囲が廃トナー皮膜で完全に被覆されていない場合、溶解した第一リン酸アンモニウムと炭酸カルシウムが反応し、二酸化炭素の気泡が発生するとともに、X線回折の結果からリン酸カルシウムが生成していることが確認される。
一方、第一リン酸アンモニウムの周囲が廃トナー皮膜で完全に被覆されている場合、二酸化炭素の気泡は発生せず、X線回折の結果からリン酸カルシウムの生成は確認されない。
図3に、上記の工程によって作製した難燃性粉末の耐水試験前後におけるX線回折結果を示す。
なお、図3(a)が耐水試験前におけるX線回折結果であり、図3(b)が耐水試験後におけるX線回折結果である。
これらの結果から、耐水試験後も第一リン酸アンモニウム(●のピーク)と炭酸カルシウム(▲のピーク)の成分は、残っていることが確認できた。
また、一部にリン酸カルシウム水和物(■のピーク)の生成が確認されたが、熱重量分析の結果、その生成量は重量比で全体の1%未満であることが分かった。
表1は、上記工程3において、粉末消火薬剤と炭酸カルシウムの混合粉末に対して、廃トナーの混合量を変化させて得た粉末について、同様の耐水試験を行った時の第一リン酸アンモニウムの分解量を示す表である。
表1に示すとおり、廃トナーの混合量が5%未満の場合、気泡の発生が起こり、リン酸カルシウムが生成し、原料成分は100%分解され残っていなかった。
廃トナーの混合量が5〜10%の場合、気泡の発生とリン酸カルシウムの生成が起こったが、試験後に分解した原料成分は20〜30%未満であった。
廃トナーの混合量が10〜25%の場合、気泡の発生は見られず、試験後に分解した原料成分は、1〜5%未満であった。
廃トナーの混合量が25%以上の場合、気泡の発生は見られず、試験後に分解した原料成分は、いずれの廃トナーにおいても1%未満であった。
以上の結果より、廃トナーの混合量が5〜10%であれば、作製した粉末は耐水性を有し、難燃性粉末として利用可能であることが判明した。
また、廃トナーの混合量が10〜25%であれば、作製した粉末は良好な耐水性を有し、難燃性粉末として好適に利用できることが判明した。
さらに、廃トナーの混合量を25%以上とすれば、作製した粉末は完全な耐水性を有することが判明した。
ただし、廃トナーの混合量が多過ぎると、廃トナー自体の可燃性により、作成した粉末の不燃性が低下するので、廃トナーの混合量の上限は30%とするのが好ましい。
廃トナーの種類としては、リコー製、エプソン製、キャノン製及びHP製レーザプリンターのトナーカートリッジより回収したカラートナーを用いた。
表1から分かるように、第一リン酸アンモニウムの分解を抑制する力は、ポリエステル樹脂系のカラートナー(リコー製)、スチレン樹脂系のカラートナー(エプソン製)、スチレン/アクリル共重合樹脂系のカラートナー(キャノン製)、スチレン/アクリル共重合樹脂系のカラートナー(HP製)の順に高かったが、それほど大きな差ではないので、いずれのカラートナーも利用可能である。
また、粉末消火器から回収された粉末消火薬剤と炭酸カルシウムの比率を、1:1〜1:0.1の間で変化させた実験も行ったが、その比率の範囲内においては、耐水性と粒度に格別の違いは生じなかった。
実施例2に係る難燃性組成物は、発泡ポリウレタンに実施例1の工程1〜6と同様の製造方法により作製された難燃性粉末を含有させたものである。
工程1においては、第一リン酸アンモニウムと炭酸カルシウムを重量比で2:1で混合したものを用い、工程3における廃トナー(リコー製)の混合量は、第一リン酸アンモニウムと炭酸カルシウムの合計重量に対して20%とした。
発泡ポリウレタンには、日新レジン株式会社製の発泡ポリウレタン6(2液性の空気中の水分により発泡する軟質タイプ)を使用した。
発泡ポリウレタンの原料に対して50重量%の難燃性粉末を添加し、20秒間高速撹拌し、シリコン型に流し込んで成形し、離型後に難燃化処理した発泡ポリウレタン(難燃性組成物)の試験片を切り出した。
また、比較のために、発泡ポリウレタンの原料に難燃性粉末を添加せず、シリコン型に流し込んで成形し、離型後に難燃化処理していない組成物の試験片を切り出した。
それらの試験片に対して次のような燃焼試験を実施した。
難燃化処理した発泡ポリウレタンの試験片及び難燃化処理していない発泡ポリウレタンの試験片を垂直に固定し、それぞれの試験片の下部にガスバーナーの炎をあて、燃焼状態を観察した。
図4は、発泡ポリウレタン(難燃化処理有・無)の燃焼試験の結果を示す写真である。
図4左側の写真は、難燃化処理していない発泡ポリウレタンの燃焼試験前の状態と燃焼試験後の状態を示しており、図4右側の写真は、難燃化処理した発泡ポリウレタンの燃焼試験前の状態と燃焼試験後の状態を示している。
これらの写真からも分かるように、難燃化処理していない発泡ポリウレタンの場合、試験片にガスバーナーをあてるとすぐに融解と脱落、延焼が起こったが、難燃化処理した発泡ポリウレタンの場合、燃焼による試験片の融解と脱落、延焼は起こらなかった。
表2に、廃トナー割合(工程3における廃トナーの混合量)と樹脂中の含有率(発泡ポリウレタンの原料に対する難燃性粉末の添加量)を変化させて得た試験片の燃焼試験の結果を示す。
表2に示す結果から、下記のことが判明した。
(1)廃トナー割合が1%の難燃性粉末を用いた場合、試験片の強度は著しく低かった(表1からみて、5%未満の場合には同様の結果になるものと推測される)。
その原因は、ウレタン形成反応の過程で生じる水に第一リン酸アンモニウムが溶解して、炭酸カルシウムと反応し、また、発泡ポリウレタンの原料成分にイソシアネート分が分解したためである。
また、燃焼試験では、いずれの試験片もすぐに融解し落下した。
(2)廃トナー割合が5%の難燃性粉末を用いた場合、試験片の強度はやや低かった。
樹脂中の含有率が50%のときには加熱箇所の収縮が起こるが、接炎回数2回目までは収縮のみで融解や落下は起こらず、同一試験片に対して繰り返して試験を行った結果、3回目で黒色に変色した箇所が落下した。
(3)廃トナー割合が10%の難燃性粉末を用いた場合、試験片の状態は良好であった。
樹脂中の含有率が30%以下のとき、燃焼試験において収縮が見られたが、融解や延焼は見られなかった。
また、樹脂中の含有率が50%以上のとき、良好な状態を保った。
(4)廃トナー割合が20%の難燃性粉末を用いた場合、試験片の状態は良好であった。
樹脂中の含有率が10%以下のとき、燃焼試験において収縮が見られたが、融解や延焼は見られなかった。
また、樹脂中の含有率が30%以上のとき、良好な難燃性が発現した。
(5)廃トナー割合が25%以上の難燃性粉末を用いた場合における燃焼試験の結果は、廃トナー割合が20%の難燃性粉末を用いた場合と同様であった。
表3に、表2に加えて消火薬剤とCaCOの比(工程1における粉末消火薬剤と炭酸カルシウムの重量比)を変化させて得た試験片の燃焼試験の結果を示す。
表3に示す結果から、下記のことが判明した。
(1)廃トナー割合が1%のものは、炭酸カルシウムの量を増やしても成形性を改善することが出来なかった。
燃焼試験においても、融解と落下が起こり、改善は見られなかった。
(2)廃トナー割合が5%、樹脂中の含有率が50%の場合、炭酸カルシウムの割合が1:0.5と1:1の試験片を比較すると、炭酸カルシウムの割合の多い方が燃焼後の収縮が小さかった。
(3)廃トナー割合が10%以上の試料では、炭酸カルシウムの割合を増やすことで燃焼時の収縮が抑えられていた。しかし、樹脂中の含有率が50%の場合、廃トナー割合が10%、20%、25%及び30%の全てにおいて、消火薬剤とCaCOの比を1:0.1にしても試験片はずっと良好な状態を保った。
表4に、廃トナー割合、樹脂中の含有率及び消火薬剤とCaCOの比に加えて、消火薬剤の粒子径を変化させて得た試験片の燃焼試験の結果を示す。
表4に示す結果から、下記のことが判明した。
(1)粒子径を10μm以下とすることにより、発泡ポリウレタンの原料との混合性が良くなり、均一な成形体が得られた。
燃焼試験においても、収縮の小さい難燃性組成物が得られることを確認できた。
(2)粒子径が75μm以下や150μm以下である場合、均一な成形体が得られず、燃焼試験では、粒子径が10μmのものに比べ収縮が大きくなった。
実施例3に係る難燃性塗料は、市販の水性塗料に実施例1の工程1〜6と同様の製造方法により作製された難燃性粉末を含有させたものである。
市販の水性塗料としては様々なものを利用できるが、実施例3に係る難燃性塗料の塗料特性を実験するに際しては「アサヒペン(登録商標)水性多用途EX(白)」に、難燃性粉末を元の水性塗料に対して1〜50重量%含有させた。
また、廃トナー割合(工程3における廃トナーの混合量)、消火薬剤とCaCOの比(工程1における粉末消火薬剤と炭酸カルシウムの重量比)及び消火薬剤の粒子径を変化させて、塗料への分散性、クロスカット試験(密着性)及び燃焼試験の評価を行った。
表5に、上記の水性塗料に様々な難燃性粉末を1〜50重量%含有させた塗料について難燃性粉末の塗料への分散性を評価した結果と、それらの塗料を10センチ角の杉板に塗布し24時間乾燥させたものに対するクロスカット試験(密着性)及び燃焼試験を行って得た評価結果を示す。
表5に示す結果から、下記のことが判明した。
(1)粒子径が10μm以下の場合、塗料への分散性が良く、塗膜の密着性も良好であった。また、燃焼後の剥離も無く、難燃性被膜として十分に機能することが確認できた。
(2)粒子径が75μm以下や150μm以下の場合、塗料への分散性が悪く、塗膜の密着性も悪かった。さらに、燃焼試験後には剥離が生じているので、難燃性被膜として機能しないことが分かった。
実施例4に係る難燃性組成物は、木材加工で発生するおが屑を資源として活用することを目的として、おが屑及び樹脂に実施例1の工程1〜6と同様の製造方法により作製された難燃性粉末を混合してなる木質の複合材である。
試料作製に使用したおが屑には、杉板の切断加工で発生するものを使用し、難燃性粉末には、廃トナー割合20%、粉末消火薬剤と炭酸カルシウムの重量比が1:0.5のものを使用した。
接着用樹脂には、エポキシ樹脂(日新レジン製NEWクリスタルレジン)、ウレタン樹脂(日新レジン製ホビーキャストNX)、アクリル樹脂(エッポク製SS101)、ポリエステル樹脂(エッポク製F−04−005)を用いた。
これらの樹脂と上記のおが屑及び難燃性粉末をニーダーで混合した後、150mm×150mmの金型で成形し、120℃で乾燥させて得た成形体から燃焼試験用の試料を切り出した。
そして、窒素元素を含有するものを燃焼する場合、シアン化水素の発生が問題となるため、樹脂複合体の燃焼中に発生するシアン化水素を測定した。
その測定に際しては、内径20mmの管状炉に測定試料(5g)を入れ、800℃、50ml/minの乾燥エアーの条件で発生したガスを蒸留水中に溶解し、この蒸留水中のシアン成分を定量した。
表6に、上記の各樹脂と、おが屑(含有率30%)及び難燃性粉末(含有率0%、30%、50%)よりなる木質の複合材について、燃焼試験を行って得た評価結果を示す。
表6に示す結果から、下記のことが判明した。
(1)ウレタン樹脂とエポキシ樹脂、アクリル樹脂の場合、難燃性粉末の含有率を上げることでシアン化水素の発生量が減少し、含有率50%で0.01mg/g未満となった。
また、ポリエステル樹脂の場合、難燃性粉末の含有率に関係なく、シアン化水素は検出されなかった。
(2)各樹脂に共通して、難燃性粉末の含有率が上がるに従い、燃焼試験における形状維持特性が改善された。
実施例1に係る難燃性粉末や実施例2〜4に係る難燃性組成物等の変形例を説明する。
(1)実施例1では、廃トナーを利用して粉末消火薬剤の粉末及び炭酸カルシウムの粉末の周囲に、廃トナー被膜を形成したが、廃トナーに限らず通常の印刷機器用のトナー粉末や、粒度規格の下限値を外れた粒径の細かい規格外印刷トナー粉末も好適に利用できる。
(2)実施例1の難燃性粉末は、実施例2及び4に係る難燃性組成物や実施例3の難燃性塗料の原料となるものである。そして、実施例として説明してはいないが、実施例1の難燃性粉末を主成分として、粉末消火器の消火薬剤として再利用することも可能である。
廃棄された粉末消火薬剤及び廃トナーを利用して安価で付加価値の高い難燃性粉末を製造することができ、安価な不燃剤として多くの需要が期待できる。
発泡ポリウレタンの原料に混合して、吹き付け施工で発泡させたものは、断熱のみならず、吹き付けられたものによる不燃処理効果も発揮されるので、従来、不燃発泡断熱材として、断熱無機フェルトを利用していた住宅設備等の分野にも多くの需要が期待できる。

Claims (10)

  1. 廃棄された粉末消火薬剤の破砕粉末表面に、印刷トナー被膜が被覆されてなることを特徴とする難燃性粉末。
  2. 前記粉末消火薬剤の破砕粉末の粒度が、10μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の難燃性粉末。
  3. 請求項1又は2に記載の難燃性粉末と印刷トナー被膜が被覆された炭酸カルシウム粉末が、1:1〜1:0.1の重量割合で混合されてなる難燃性粉末。
  4. 前記印刷トナー被膜の、前記粉末消火薬剤の破砕粉末に対する重量割合が、5〜30重量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の難燃性粉末。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の難燃性粉末を主成分とする粉末消火薬剤。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の難燃性粉末が、樹脂あるいは樹脂と木材の混合物に対して5〜50重量%の割合で混合された組成からなる難燃性組成物。
  7. 前記樹脂が、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂の中から選択された何れかの樹脂であることを特徴とする請求項6に記載の難燃性組成物。
  8. 前記樹脂が硬化前の流動性樹脂からなることを特徴とする請求項6又は7に記載の難燃性組成物。
  9. 前記樹脂に発泡剤が添加されていることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の難燃性組成物。
  10. 請求項2、請求項2を引用する請求項3、又は請求項2若しくは3を引用する請求項4に記載の難燃性粉末が、水性塗料に対して1〜50重量%の割合で混合されてなる難燃性塗料。
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