JP2018192775A - キャリア付銅箔、積層体、積層体の製造方法、プリント配線板の製造方法、及び、電子機器の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】回路形成性が良好なキャリア付銅箔を提供する。
【解決手段】キャリア、中間層、極薄銅層をこの順に有するキャリア付銅箔であって、極薄銅層側表面の、直径が5μm以上であって、かつ、高さが0.5μm以上である異常電着個数が5000個/mm2以下であるキャリア付銅箔。
【選択図】図1
【解決手段】キャリア、中間層、極薄銅層をこの順に有するキャリア付銅箔であって、極薄銅層側表面の、直径が5μm以上であって、かつ、高さが0.5μm以上である異常電着個数が5000個/mm2以下であるキャリア付銅箔。
【選択図】図1
Description
本発明は、キャリア付銅箔、積層体、積層体の製造方法、プリント配線板の製造方法、及び、電子機器の製造方法に関する。
プリント配線板はここ半世紀に亘って大きな進展を遂げ、今日ではほぼすべての電子機器に使用されるまでに至っている。近年の電子機器の小型化、高性能化ニーズの増大に伴い搭載部品の高密度実装化や信号の高周波化が進展し、プリント配線板に対して導体パターンの微細化(ファインピッチ化)や高周波対応等が求められており、特にプリント配線板上にICチップを載せる場合、L(ライン)/S(スペース)=20μm/20μm以下のファインピッチ化が求められている。
プリント配線板はまず、銅箔とガラスエポキシ基板、BT樹脂、ポリイミドフィルムなどを主とする絶縁基板を貼り合わせた銅張積層体として製造される。貼り合わせは、絶縁基板と銅箔を重ね合わせて加熱加圧させて形成する方法(ラミネート法)、または、絶縁基板材料の前駆体であるワニスを銅箔の被覆層を有する面に塗布し、加熱・硬化する方法(キャスティング法)が用いられる。
ファインピッチ化に伴って銅張積層体に使用される銅箔の厚みも9μm、さらには5μm以下になるなど、箔厚が薄くなりつつある。ところが、箔厚が9μm以下になると前述のラミネート法やキャスティング法で銅張積層体を形成するときのハンドリング性が極めて悪化する。そこで、厚みのある金属箔をキャリアとして利用し、これに剥離層を介して極薄銅層を形成したキャリア付銅箔が登場している。キャリア付銅箔の一般的な使用方法としては、特許文献1等に開示されているように、極薄銅層の表面を絶縁基板に貼り合わせて熱圧着後に、キャリアを、剥離層を介して剥離する。
キャリア付銅箔を用いたプリント配線板の作製において、キャリア付銅箔の典型的な使用方法は、まず、キャリア付銅箔を絶縁基板へ積層した後に極薄銅層からキャリアを剥離する。次に、キャリアを剥がして露出した極薄銅層の上に光硬化性樹脂で形成されためっきレジストを設ける。次に、めっきレジストの所定領域に対して露光することで当該領域を硬化させる。続いて、非露光領域の硬化されていないめっきレジストを除去した後、当該レジスト除去領域に電解めっき層を設ける。次に、硬化しためっきレジストを除去することで、回路が形成された絶縁基板が得られ、これを用いてプリント配線板を作製する。
キャリア付銅箔を製造する際、キャリアに中間層及び極薄銅層をこの順で電解めっき等により設けるが、このとき、得られたキャリア付銅箔の極薄銅層側表面に異常電着が発生することがある。このような異常電着が多く発生したキャリア付銅箔を用いて前述のようにプリント配線板を作製すると、形成される回路に、当該異常電着に起因する短絡が発生するという問題が生じる。
そこで、本発明は、回路形成性が良好なキャリア付銅箔を提供することを課題とする。
上記目的を達成するため、本発明者は鋭意研究を重ねたところ、極薄銅層側表面にする異常電着のうち、ある一定の直径以上であり、かつ、ある一定の高さ以上である以上の異常電着が微細な配線の形成、特に、MSAP(モディファイドセミアディティブ)工法による微細配線形成に影響を及ぼすことを知見し、そのような異常電着の個数を所定値以下に制御することで当該回路形成性が向上することを見出した。
本発明は上記知見を基礎として完成したものであり、一側面において、キャリア、中間層、極薄銅層をこの順に有するキャリア付銅箔であって、極薄銅層側表面の、直径が5μm以上であって、かつ、高さが0.5μm以上である異常電着個数が5000個/mm2以下であるキャリア付銅箔である。
本発明のキャリア付銅箔は一実施形態において、前記異常電着個数が2000個/mm2以下である。
本発明のキャリア付銅箔は別の一実施形態において、前記異常電着個数が1000個/mm2以下である。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記異常電着個数が600個/mm2以下である。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記極薄銅層表面及び前記キャリアの表面のいずれか一方または両方に粗化処理層を有する。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記粗化処理層が、銅、ニッケル、りん、タングステン、ヒ素、モリブデン、クロム、鉄、バナジウム、コバルト及び亜鉛からなる群から選択されたいずれかの単体又はいずれか1種以上を含む合金からなる層である。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記粗化処理層の表面に、耐熱層、防錆層、クロメート処理層及びシランカップリング処理層からなる群から選択された1種以上の層を有する。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記極薄銅層の表面に、耐熱層、防錆層、クロメート処理層及びシランカップリング処理層からなる群から選択された1種以上の層を有する。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記極薄銅層上に樹脂層を備える。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記粗化処理層上に樹脂層を備える。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記耐熱層、防錆層、クロメート処理層及びシランカップリング処理層からなる群から選択された1種以上の層の上に樹脂層を備える。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記樹脂層が接着用樹脂である。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記樹脂層が半硬化状態の樹脂である。
本発明は別の一側面において、本発明のキャリア付銅箔を有する積層体である。
本発明は更に別の一側面において、本発明のキャリア付銅箔を用いて積層体を製造する積層体の製造方法である。
本発明は更に別の一側面において、本発明のキャリア付銅箔と樹脂とを含む積層体であって、前記キャリア付銅箔の端面の一部または全部が前記樹脂により覆われている積層体である。
本発明は更に別の一側面において、本発明のキャリア付銅箔と樹脂とを二組有し、前記二組のうちの一方のキャリア付銅箔の極薄銅層側表面と、他方のキャリア付銅箔の極薄銅層側表面とがそれぞれ露出するように設けられた積層体である。
本発明は更に別の一側面において、本発明のキャリア付銅箔を用いてプリント配線板を製造するプリント配線板の製造方法である。
本発明は更に別の一側面において、本発明のプリント配線板を用いて電子機器を製造する電子機器の製造方法である。
本発明は更に別の一側面において、本発明のキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板とを積層する工程、及び、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板とを積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程を経て銅張積層板を形成し、
その後、セミアディティブ法、サブトラクティブ法、パートリーアディティブ法又はモディファイドセミアディティブ法のいずれかの方法によって、回路を形成する工程を含むプリント配線板の製造方法である。
前記キャリア付銅箔と絶縁基板とを積層する工程、及び、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板とを積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程を経て銅張積層板を形成し、
その後、セミアディティブ法、サブトラクティブ法、パートリーアディティブ法又はモディファイドセミアディティブ法のいずれかの方法によって、回路を形成する工程を含むプリント配線板の製造方法である。
本発明は更に別の一側面において、本発明のキャリア付銅箔の前記極薄銅層側表面または前記キャリア側表面に回路を形成する工程、
前記回路が埋没するように前記キャリア付銅箔の前記極薄銅層側表面または前記キャリア側表面に樹脂層を形成する工程、
前記樹脂層上に回路を形成する工程、
前記樹脂層上に回路を形成した後に、前記キャリアまたは前記極薄銅層を剥離させる工程、及び、
前記キャリアまたは前記極薄銅層を剥離させた後に、前記極薄銅層または前記キャリアを除去することで、前記極薄銅層側表面または前記キャリア側表面に形成した、前記樹脂層に埋没している回路を露出させる工程
を含むプリント配線板の製造方法である。
前記回路が埋没するように前記キャリア付銅箔の前記極薄銅層側表面または前記キャリア側表面に樹脂層を形成する工程、
前記樹脂層上に回路を形成する工程、
前記樹脂層上に回路を形成した後に、前記キャリアまたは前記極薄銅層を剥離させる工程、及び、
前記キャリアまたは前記極薄銅層を剥離させた後に、前記極薄銅層または前記キャリアを除去することで、前記極薄銅層側表面または前記キャリア側表面に形成した、前記樹脂層に埋没している回路を露出させる工程
を含むプリント配線板の製造方法である。
本発明は更に別の一側面において、本発明のキャリア付銅箔を前記キャリア側から樹脂基板に積層する工程、
前記キャリア付銅箔の前記極薄銅層側表面または前記キャリア側表面に回路を形成する工程、
前記回路が埋没するように前記キャリア付銅箔の前記極薄銅層側表面または前記キャリア側表面に樹脂層を形成する工程、
前記樹脂層上に回路を形成する工程、
前記樹脂層上に回路を形成した後に、前記キャリアまたは前記極薄銅層を剥離させる工程、及び、
前記キャリアまたは前記極薄銅層を剥離させた後に、前記極薄銅層または前記キャリアを除去することで、前記極薄銅層側表面または前記キャリア側表面に形成した、前記樹脂層に埋没している回路を露出させる工程
を含むプリント配線板の製造方法である。
前記キャリア付銅箔の前記極薄銅層側表面または前記キャリア側表面に回路を形成する工程、
前記回路が埋没するように前記キャリア付銅箔の前記極薄銅層側表面または前記キャリア側表面に樹脂層を形成する工程、
前記樹脂層上に回路を形成する工程、
前記樹脂層上に回路を形成した後に、前記キャリアまたは前記極薄銅層を剥離させる工程、及び、
前記キャリアまたは前記極薄銅層を剥離させた後に、前記極薄銅層または前記キャリアを除去することで、前記極薄銅層側表面または前記キャリア側表面に形成した、前記樹脂層に埋没している回路を露出させる工程
を含むプリント配線板の製造方法である。
本発明は更に別の一側面において、本発明のキャリア付銅箔の前記極薄銅層側表面または前記キャリア側表面と樹脂基板とを積層する工程、
前記キャリア付銅箔の樹脂基板と積層した側とは反対側の極薄銅層側表面または前記キャリア側表面に樹脂層と回路との2層を、少なくとも1回設ける工程、及び、
前記樹脂層及び回路の2層を形成した後に、前記キャリア付銅箔から前記キャリアまたは前記極薄銅層を剥離させる工程
を含むプリント配線板の製造方法である。
前記キャリア付銅箔の樹脂基板と積層した側とは反対側の極薄銅層側表面または前記キャリア側表面に樹脂層と回路との2層を、少なくとも1回設ける工程、及び、
前記樹脂層及び回路の2層を形成した後に、前記キャリア付銅箔から前記キャリアまたは前記極薄銅層を剥離させる工程
を含むプリント配線板の製造方法である。
本発明は更に別の一側面において、本発明のキャリア付銅箔の前記キャリア側表面と樹脂基板とを積層する工程、
前記キャリア付銅箔の樹脂基板と積層した側とは反対側の極薄銅層側表面に樹脂層と回路との2層を、少なくとも1回設ける工程、及び、
前記樹脂層及び回路の2層を形成した後に、前記キャリア付銅箔から前記キャリアを剥離させる工程
を含むプリント配線板の製造方法である。
前記キャリア付銅箔の樹脂基板と積層した側とは反対側の極薄銅層側表面に樹脂層と回路との2層を、少なくとも1回設ける工程、及び、
前記樹脂層及び回路の2層を形成した後に、前記キャリア付銅箔から前記キャリアを剥離させる工程
を含むプリント配線板の製造方法である。
本発明によれば、回路形成性が良好なキャリア付銅箔を提供することができる。特に、MSAP(モディファイドセミアディティブ)工法による微細配線の回路形成性が良好なキャリア付銅箔を提供することができる。
<キャリア付銅箔>
本発明のキャリア付銅箔は、キャリア、中間層、極薄銅層をこの順に有する。キャリア付銅箔自体の使用方法は当業者に周知であるが、例えば極薄銅層の表面を紙基材フェノール樹脂、紙基材エポキシ樹脂、合成繊維布基材エポキシ樹脂、ガラス布・紙複合基材エポキシ樹脂、ガラス布・ガラス不織布複合基材エポキシ樹脂及びガラス布基材エポキシ樹脂、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、液晶ポリマーフィルム等の絶縁基板に貼り合わせて熱圧着後にキャリアを剥がし、絶縁基板に接着した極薄銅層を目的とする導体パターンにエッチングし、最終的にプリント配線板を製造することができる。
本発明のキャリア付銅箔は、キャリア、中間層、極薄銅層をこの順に有する。キャリア付銅箔自体の使用方法は当業者に周知であるが、例えば極薄銅層の表面を紙基材フェノール樹脂、紙基材エポキシ樹脂、合成繊維布基材エポキシ樹脂、ガラス布・紙複合基材エポキシ樹脂、ガラス布・ガラス不織布複合基材エポキシ樹脂及びガラス布基材エポキシ樹脂、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、液晶ポリマーフィルム等の絶縁基板に貼り合わせて熱圧着後にキャリアを剥がし、絶縁基板に接着した極薄銅層を目的とする導体パターンにエッチングし、最終的にプリント配線板を製造することができる。
<キャリア>
本発明に用いることのできるキャリアは典型的には金属箔または樹脂フィルムであり、例えば銅箔、銅合金箔、ニッケル箔、ニッケル合金箔、鉄箔、鉄合金箔、ステンレス箔、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔、絶縁樹脂フィルム、ポリイミドフィルム、LCP(液晶ポリマー)フィルム、ポリエチレンテレフタラートフィルム、フッ素樹脂フィルムの形態で提供される。
本発明に用いることのできるキャリアは典型的には圧延銅箔や電解銅箔の形態で提供される。一般的には、電解銅箔は硫酸銅めっき浴からチタンやステンレスのドラム上に銅を電解析出して製造され、圧延銅箔は圧延ロールによる塑性加工と熱処理を繰り返して製造される。銅箔の材料としてはタフピッチ銅(JIS H3100 合金番号C1100)や無酸素銅(JIS H3100 合金番号C1020またはJIS H3510 合金番号C1011)といった高純度の銅の他、例えばSn入り銅、Ag入り銅、Cr、Zr又はMg等を添加した銅合金、Ni及びSi等を添加したコルソン系銅合金のような銅合金も使用可能である。なお、本明細書において用語「銅箔」を単独で用いたときには銅合金箔も含むものとする。
本発明に用いることのできるキャリアは典型的には金属箔または樹脂フィルムであり、例えば銅箔、銅合金箔、ニッケル箔、ニッケル合金箔、鉄箔、鉄合金箔、ステンレス箔、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔、絶縁樹脂フィルム、ポリイミドフィルム、LCP(液晶ポリマー)フィルム、ポリエチレンテレフタラートフィルム、フッ素樹脂フィルムの形態で提供される。
本発明に用いることのできるキャリアは典型的には圧延銅箔や電解銅箔の形態で提供される。一般的には、電解銅箔は硫酸銅めっき浴からチタンやステンレスのドラム上に銅を電解析出して製造され、圧延銅箔は圧延ロールによる塑性加工と熱処理を繰り返して製造される。銅箔の材料としてはタフピッチ銅(JIS H3100 合金番号C1100)や無酸素銅(JIS H3100 合金番号C1020またはJIS H3510 合金番号C1011)といった高純度の銅の他、例えばSn入り銅、Ag入り銅、Cr、Zr又はMg等を添加した銅合金、Ni及びSi等を添加したコルソン系銅合金のような銅合金も使用可能である。なお、本明細書において用語「銅箔」を単独で用いたときには銅合金箔も含むものとする。
本発明に用いることのできるキャリアの厚さについても特に制限はないが、キャリアとしての役目を果たす上で適した厚さに適宜調節すればよく、例えば5μm以上とすることができる。但し、厚すぎると生産コストが高くなるので一般には35μm以下とするのが好ましい。従って、キャリアの厚みは典型的には8〜70μmであり、より典型的には12〜70μmであり、より典型的には18〜35μmである。また、原料コストを低減する観点からはキャリアの厚みは小さいことが好ましい。そのため、キャリアの厚みは、典型的には5μm以上35μm以下であり、好ましくは5μm以上18μm以下であり、好ましくは5μm以上12μm以下であり、好ましくは5μm以上11μm以下であり、好ましくは5μm以上10μm以下である。なお、キャリアの厚みが小さい場合には、キャリアの通箔の際に折れシワが発生しやすい。折れシワの発生を防止するため、例えばキャリア付銅箔製造装置の搬送ロールを平滑にすることや、搬送ロールと、その次の搬送ロールとの距離を短くすることが有効である。なお、プリント配線板の製造方法の一つである埋め込み工法(エンベッディド法(Enbedded Process))にキャリア付銅箔が用いられる場合には、キャリアの剛性が高いことが必要である。そのため、埋め込み工法に用いる場合には、キャリアの厚みは18μm以上300μm以下であることが好ましく、25μm以上150μm以下であることが好ましく、35μm以上100μm以下であることが好ましく、35μm以上70μm以下であることが更により好ましい。
なお、キャリアの極薄銅層を設ける側の表面とは反対側の表面に粗化処理層を設けてもよい。当該粗化処理層を公知の方法を用いて設けてもよく、後述の粗化処理により設けてもよい。キャリアの極薄銅層を設ける側の表面とは反対側の表面に粗化処理層を設けることは、キャリアを当該粗化処理層を有する表面側から樹脂基板などの支持体に積層する際、キャリアと樹脂基板が剥離し難くなるという利点を有する。
なお、キャリアの極薄銅層を設ける側の表面とは反対側の表面に粗化処理層を設けてもよい。当該粗化処理層を公知の方法を用いて設けてもよく、後述の粗化処理により設けてもよい。キャリアの極薄銅層を設ける側の表面とは反対側の表面に粗化処理層を設けることは、キャリアを当該粗化処理層を有する表面側から樹脂基板などの支持体に積層する際、キャリアと樹脂基板が剥離し難くなるという利点を有する。
<中間層>
キャリアの片面又は両面上には中間層を設ける。キャリアと中間層との間には他の層を設けてもよい。本発明で用いる中間層は、キャリア付銅箔が絶縁基板への積層工程前にはキャリアから極薄銅層が剥離し難い一方で、絶縁基板への積層工程後にはキャリアから極薄銅層が剥離可能となるような構成であれば特に限定されない。例えば、本発明のキャリア付銅箔の中間層はCr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、P、Cu、Al、Zn、これらの合金、これらの水和物、これらの酸化物、有機物からなる群から選択される一種又は二種以上を含んでも良い。また、中間層は複数の層であっても良い。
また、例えば、中間層はキャリア側からCr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、P、Cu、Al、Znで構成された元素群から選択された一種の元素からなる単一金属層、或いは、Cr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、P、Cu、Al、Znで構成された元素群から選択された一種又は二種以上の元素を含む(または、当該元素からなる)合金層を形成し、その上にCr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、P、Cu、Al、Znで構成された元素群から選択された一種又は二種以上の元素の水和物または酸化物または有機物を含む(または、からなる)層を形成することで構成することができる。
また、例えば、中間層はキャリア側からCr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、P、Cu、Al、Znで構成された元素群から選択された一種の元素からなる単一金属層、或いは、Cr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、P、Cu、Al、Znで構成された元素群から選択された一種又は二種以上の元素を含む(または、当該元素からなる)合金層または有機物を含む(または、からなる)層を形成し、その上にCr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、P、Cu、Al、Znで構成された元素群から選択された一種の元素からなる単一金属層、或いは、Cr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、P、Cu、Al、Znで構成された元素群から選択された一種又は二種以上の元素を含む(または、当該元素からなる)合金層を形成することで構成することができる。
中間層を片面にのみ設ける場合、キャリアの反対面にはNiめっき層などの防錆層を設けることが好ましい。なお、中間層をクロメート処理や亜鉛クロメート処理やめっき処理で設けた場合には、クロムや亜鉛など、付着した金属の一部は水和物や酸化物となっている場合があると考えられる。
また、例えば、中間層は、キャリア上に、ニッケル層、ニッケル−リン合金層又はニッケル−コバルト合金層と、クロム層とがこの順で積層されて構成することができる。ニッケルと銅との接着力はクロムと銅の接着力よりも高いので、極薄銅層を剥離する際に、極薄銅層とクロムとの界面で剥離するようになる。また、中間層のニッケルにはキャリアから銅成分が極薄銅層へと拡散していくのを防ぐバリア効果が期待される。前述のクロム層はクロムを含む層である。クロムはどのような形態で含まれていてもよい。例えば、クロム層はクロムめっき層であってもよく、または、クロメート処理層であってもよい。中間層におけるニッケルの付着量は好ましくは100μg/dm2以上40000μg/dm2以下、より好ましくは100μg/dm2以上4000μg/dm2以下、より好ましくは100μg/dm2以上2500μg/dm2以下、より好ましくは100μg/dm2以上1000μg/dm2未満であり、中間層におけるクロムの付着量は5μg/dm2以上100μg/dm2以下であることが好ましい。中間層を片面にのみ設ける場合、キャリアの反対面にはNiめっき層などの防錆層を設けることが好ましい。
キャリアの片面又は両面上には中間層を設ける。キャリアと中間層との間には他の層を設けてもよい。本発明で用いる中間層は、キャリア付銅箔が絶縁基板への積層工程前にはキャリアから極薄銅層が剥離し難い一方で、絶縁基板への積層工程後にはキャリアから極薄銅層が剥離可能となるような構成であれば特に限定されない。例えば、本発明のキャリア付銅箔の中間層はCr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、P、Cu、Al、Zn、これらの合金、これらの水和物、これらの酸化物、有機物からなる群から選択される一種又は二種以上を含んでも良い。また、中間層は複数の層であっても良い。
また、例えば、中間層はキャリア側からCr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、P、Cu、Al、Znで構成された元素群から選択された一種の元素からなる単一金属層、或いは、Cr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、P、Cu、Al、Znで構成された元素群から選択された一種又は二種以上の元素を含む(または、当該元素からなる)合金層を形成し、その上にCr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、P、Cu、Al、Znで構成された元素群から選択された一種又は二種以上の元素の水和物または酸化物または有機物を含む(または、からなる)層を形成することで構成することができる。
また、例えば、中間層はキャリア側からCr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、P、Cu、Al、Znで構成された元素群から選択された一種の元素からなる単一金属層、或いは、Cr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、P、Cu、Al、Znで構成された元素群から選択された一種又は二種以上の元素を含む(または、当該元素からなる)合金層または有機物を含む(または、からなる)層を形成し、その上にCr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、P、Cu、Al、Znで構成された元素群から選択された一種の元素からなる単一金属層、或いは、Cr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、P、Cu、Al、Znで構成された元素群から選択された一種又は二種以上の元素を含む(または、当該元素からなる)合金層を形成することで構成することができる。
中間層を片面にのみ設ける場合、キャリアの反対面にはNiめっき層などの防錆層を設けることが好ましい。なお、中間層をクロメート処理や亜鉛クロメート処理やめっき処理で設けた場合には、クロムや亜鉛など、付着した金属の一部は水和物や酸化物となっている場合があると考えられる。
また、例えば、中間層は、キャリア上に、ニッケル層、ニッケル−リン合金層又はニッケル−コバルト合金層と、クロム層とがこの順で積層されて構成することができる。ニッケルと銅との接着力はクロムと銅の接着力よりも高いので、極薄銅層を剥離する際に、極薄銅層とクロムとの界面で剥離するようになる。また、中間層のニッケルにはキャリアから銅成分が極薄銅層へと拡散していくのを防ぐバリア効果が期待される。前述のクロム層はクロムを含む層である。クロムはどのような形態で含まれていてもよい。例えば、クロム層はクロムめっき層であってもよく、または、クロメート処理層であってもよい。中間層におけるニッケルの付着量は好ましくは100μg/dm2以上40000μg/dm2以下、より好ましくは100μg/dm2以上4000μg/dm2以下、より好ましくは100μg/dm2以上2500μg/dm2以下、より好ましくは100μg/dm2以上1000μg/dm2未満であり、中間層におけるクロムの付着量は5μg/dm2以上100μg/dm2以下であることが好ましい。中間層を片面にのみ設ける場合、キャリアの反対面にはNiめっき層などの防錆層を設けることが好ましい。
また、中間層が含有する有機物としては、窒素含有有機化合物、硫黄含有有機化合物及びカルボン酸の中から選択される1種又は2種以上からなるものを用いることが好ましい。窒素含有有機化合物、硫黄含有有機化合物及びカルボン酸のうち、窒素含有有機化合物は、置換基を有する窒素含有有機化合物を含んでいる。具体的な窒素含有有機化合物としては、置換基を有するトリアゾール化合物である1,2,3−ベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、N’,N’−ビス(ベンゾトリアゾリルメチル)ユリア、1H−1,2,4−トリアゾール及び3−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾール等を用いることが好ましい。
硫黄含有有機化合物には、メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾールナトリウム、チオシアヌル酸及び2−ベンズイミダゾールチオール等を用いることが好ましい。
カルボン酸としては、特にモノカルボン酸を用いることが好ましく、中でもオレイン酸、リノール酸及びリノレイン酸等を用いることが好ましい。
前述の有機物は厚みで1nm以上200nm以下含有するのが好ましく、5nm以上100nm以下含有するのがより好ましい。中間層は前述の有機物を複数種類(一種以上)含んでもよい。
なお、有機物の厚みは以下のようにして測定することができる。
硫黄含有有機化合物には、メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾールナトリウム、チオシアヌル酸及び2−ベンズイミダゾールチオール等を用いることが好ましい。
カルボン酸としては、特にモノカルボン酸を用いることが好ましく、中でもオレイン酸、リノール酸及びリノレイン酸等を用いることが好ましい。
前述の有機物は厚みで1nm以上200nm以下含有するのが好ましく、5nm以上100nm以下含有するのがより好ましい。中間層は前述の有機物を複数種類(一種以上)含んでもよい。
なお、有機物の厚みは以下のようにして測定することができる。
<中間層の有機物厚み>
キャリア付銅箔の極薄銅層をキャリアから剥離した後に、露出した極薄銅層の中間層側の表面と、露出したキャリアの中間層側の表面をXPS測定し、デプスプロファイルを作成する。そして、極薄銅層の中間層側の表面から最初に炭素濃度が3at%以下となった深さをA(nm)とし、キャリアの中間層側の表面から最初に炭素濃度が3at%以下となった深さをB(nm)とし、AとBとの合計を中間層の有機物の厚み(nm)とすることができる。
XPSの稼働条件を以下に示す。
・装置:XPS測定装置(アルバックファイ社、型式5600MC)
・到達真空度:3.8×10-7Pa
・X線:単色AlKαまたは非単色MgKα、エックス線出力300W、検出面積800μmφ、試料と検出器のなす角度45°
・イオン線:イオン種Ar+、加速電圧3kV、掃引面積3mm×3mm、スパッタリングレート2.8nm/min(SiO2換算)
キャリア付銅箔の極薄銅層をキャリアから剥離した後に、露出した極薄銅層の中間層側の表面と、露出したキャリアの中間層側の表面をXPS測定し、デプスプロファイルを作成する。そして、極薄銅層の中間層側の表面から最初に炭素濃度が3at%以下となった深さをA(nm)とし、キャリアの中間層側の表面から最初に炭素濃度が3at%以下となった深さをB(nm)とし、AとBとの合計を中間層の有機物の厚み(nm)とすることができる。
XPSの稼働条件を以下に示す。
・装置:XPS測定装置(アルバックファイ社、型式5600MC)
・到達真空度:3.8×10-7Pa
・X線:単色AlKαまたは非単色MgKα、エックス線出力300W、検出面積800μmφ、試料と検出器のなす角度45°
・イオン線:イオン種Ar+、加速電圧3kV、掃引面積3mm×3mm、スパッタリングレート2.8nm/min(SiO2換算)
中間層が含有する有機物の使用方法について、以下に、キャリア箔上への中間層の形成方法についても述べつつ説明する。キャリア上への中間層の形成は、上述した有機物を溶媒に溶解させ、その溶媒中にキャリアを浸漬させるか、中間層を形成しようとする面に対するシャワーリング、噴霧法、滴下法及び電着法等を用いて行うことができ、特に限定した手法を採用する必要性はない。このときの溶媒中の有機系剤の濃度は、上述した有機物の全てにおいて、濃度0.01g/L〜30g/L、液温20〜60℃の範囲が好ましい。有機物の濃度は、特に限定されるものではなく、本来濃度が高くとも低くとも問題のないものである。なお、有機物の濃度が高いほど、また、上述した有機物を溶解させた溶媒へのキャリアの接触時間が長いほど、中間層の有機物厚みは大きくなる傾向にある。
また、中間層は、キャリア上に、ニッケル層と、モリブデン層またはコバルト層またはモリブデン−コバルト合金層とがこの順で積層されて構成されていてもよい。前述のニッケル層はニッケルを含む合金層であっても良い。ここで、ニッケルを含む合金層とはニッケルと、コバルト、鉄、クロム、モリブデン、亜鉛、タンタル、銅、アルミニウム、リン、タングステン、錫、砒素およびチタンからなる群から選択された一種以上の元素からなる合金のことをいう。また、前述のモリブデン層はモリブデンを含む合金層であっても良い。ここで、モリブデンを含む合金層とはモリブデンと、コバルト、鉄、クロム、ニッケル、亜鉛、タンタル、銅、アルミニウム、リン、タングステン、錫、砒素およびチタンからなる群から選択された一種以上の元素からなる合金層のことをいう。また、前述のコバルトはコバルトを含む合金層であっても良い。ここで、コバルトを含む合金層とはコバルトと、モリブデン、鉄、クロム、ニッケル、亜鉛、タンタル、銅、アルミニウム、リン、タングステン、錫、砒素およびチタンからなる群から選択された一種以上の元素からなる合金層のことをいう。
<極薄銅層>
中間層の上には極薄銅層を設ける。中間層と極薄銅層との間には他の層を設けてもよい。極薄銅層は、硫酸銅、ピロリン酸銅、スルファミン酸銅、シアン化銅等の電解浴を利用した電気めっきにより形成することができ、一般的な電解銅箔で使用され、高電流密度での銅箔形成が可能であることから硫酸銅浴が好ましい。極薄銅層の厚みは特に制限はないが、一般的にはキャリアよりも薄く、例えば12μm以下である。典型的には0.1〜12μmであり、より典型的には0.5〜12μmであり、より典型的には1〜5μm、更に典型的には1.5〜5μm、更に典型的には2〜5μmである。なお、キャリアの両面に極薄銅層を設けてもよい。
中間層の上には極薄銅層を設ける。中間層と極薄銅層との間には他の層を設けてもよい。極薄銅層は、硫酸銅、ピロリン酸銅、スルファミン酸銅、シアン化銅等の電解浴を利用した電気めっきにより形成することができ、一般的な電解銅箔で使用され、高電流密度での銅箔形成が可能であることから硫酸銅浴が好ましい。極薄銅層の厚みは特に制限はないが、一般的にはキャリアよりも薄く、例えば12μm以下である。典型的には0.1〜12μmであり、より典型的には0.5〜12μmであり、より典型的には1〜5μm、更に典型的には1.5〜5μm、更に典型的には2〜5μmである。なお、キャリアの両面に極薄銅層を設けてもよい。
本発明のキャリア付銅箔を用いて積層体(銅張積層体等)を作製することができる。当該積層体としては、例えば、「極薄銅層/中間層/キャリア/樹脂又はプリプレグ」の順に積層された構成であってもよく、「キャリア/中間層/極薄銅層/樹脂又はプリプレグ」の順に積層された構成であってもよく、「極薄銅層/中間層/キャリア/樹脂又はプリプレグ/キャリア/中間層/極薄銅層」の順に積層された構成であってもよく、「極薄銅層/中間層/キャリア/樹脂又はプリプレグ/樹脂又はプリプレグ/キャリア/中間層/極薄銅層」の順に積層された構成であってもよく、「キャリア/中間層/極薄銅層/樹脂又はプリプレグ/極薄銅層/中間層/キャリア」の順に積層された構成であってもよい。前記樹脂又はプリプレグは後述する樹脂層であってもよく、後述する樹脂層に用いる樹脂、樹脂硬化剤、化合物、硬化促進剤、誘電体、反応触媒、架橋剤、ポリマー、プリプレグ、骨格材等を含んでもよい。なお、キャリア付銅箔は平面視したときに樹脂又はプリプレグより小さくてもよい。
<極薄銅層側表面の異常電着個数>
本発明のキャリア付銅箔は、極薄銅層側表面の直径が5μm以上であって、かつ、高さが0.5μm以上である異常電着個数が5000個/mm2以下に制御されている。ここで、「異常電着」とはSEM写真でキャリア付銅箔の極薄銅層側の表面を観察した場合に周囲の極薄銅層よりも、当該部分の極薄銅層が厚くなっており、凸状に盛り上がって見える部分のことを意味する。また、異常電着の直径と高さの大小によって当該キャリア付き銅箔の回路形成性が受ける影響が異なり、直径が5μm以上であって、かつ、高さが0.5μm以上である異常電着は微細配線形成後短絡の起因となるが、それ以外の異常電着は回路形成性に顕著な悪影響を及ぼすものではない。この傾向は、特にMSAP(モディファイドセミアディティブ)工法による微細配線形成において顕著である。かかる観点から、本発明のキャリア付銅箔の極薄銅層側表面の、直径が5μm以上であって、かつ、高さが0.5μm以上である異常電着個数は、5000個/mm2以下である。本発明のキャリア付銅箔の極薄銅層側表面の、直径が5μm以上であって、かつ、高さが0.5μm以上である異常電着個数は、2000個/mm2以下であるのがより好ましく、1000個/mm2以下であるのが更により好ましく、600個/mm2以下であるのが更により好ましい。このような構成により、本発明のキャリア付銅箔を用いてプリント配線板を作製するとき等において、当該極薄銅層を用いて形成する回路における短絡の発生を良好に抑制することができ、その結果、回路形成性が良好となる。特に、MSAP(モディファイドセミアディティブ)工法による微細配線の回路形成性が良好となる。
上記異常電着の直径及び高さは、以下の方法により特定される。寸法測定ソフトとして、ImageJ 1.48v(アメリカ国立衛生研究所 (NIH)作製、フリーソフト、次のURLで入手可能。http://www.macworld.co.uk/download/audio−video−photo/imagej−148v−3328545/)を使用した。図7に示す異常電着の直径については、予めImageJのSet Scaleコマンドにて画像のスケールから1画素あたりの長さを定義した後に、図9に示す様にImageJの円形描画ツールにて異常電着部をマーキングし、Measureコマンドでマーキング部の面積を測定し、そこから以下の式により直径を求めた。
直径=2×(面積/π)1/2
図7の画像の場合、面積51.9μm2、直径8.1μmであった。
次に図8に示す異常電着の高さについては、異常電着の中心部(前述の円形描画ツールで描いた円の中心)を通り、極薄銅層の厚み方向に平行な断面についてFIBで観察をした。そして、異常電着部の始まり部分(周囲の極薄銅層部と比べて厚みが厚くなる地点A)から異常電着部の終わる部分(もう一方の周囲の極薄銅層部と比べて厚みが厚くなる地点B)まで直線Cを引く。そして、直線Cに垂直な直線Dを異常電着部に引いた場合に、直線Cから異常電着部の端部までの直線Dの異常電着部を横切る長さが最も長い部分の、直線Cから異常電着部の端部までの直線Dの長さを、当該異常電着部の高さとした。ここで、前述の異常電着部の直径と同様にSet Scaleコマンドで1画素あたりの長さを定義したのちに、図10に示す様にImageJの直線描画ツールにて異常電着部の高さに合う様にマーキングし、Measureコマンドでマーキング部の長さを測定した。図8の画像の場合、高さ0.97μmであった。
本発明のキャリア付銅箔は、極薄銅層側表面の直径が5μm以上であって、かつ、高さが0.5μm以上である異常電着個数が5000個/mm2以下に制御されている。ここで、「異常電着」とはSEM写真でキャリア付銅箔の極薄銅層側の表面を観察した場合に周囲の極薄銅層よりも、当該部分の極薄銅層が厚くなっており、凸状に盛り上がって見える部分のことを意味する。また、異常電着の直径と高さの大小によって当該キャリア付き銅箔の回路形成性が受ける影響が異なり、直径が5μm以上であって、かつ、高さが0.5μm以上である異常電着は微細配線形成後短絡の起因となるが、それ以外の異常電着は回路形成性に顕著な悪影響を及ぼすものではない。この傾向は、特にMSAP(モディファイドセミアディティブ)工法による微細配線形成において顕著である。かかる観点から、本発明のキャリア付銅箔の極薄銅層側表面の、直径が5μm以上であって、かつ、高さが0.5μm以上である異常電着個数は、5000個/mm2以下である。本発明のキャリア付銅箔の極薄銅層側表面の、直径が5μm以上であって、かつ、高さが0.5μm以上である異常電着個数は、2000個/mm2以下であるのがより好ましく、1000個/mm2以下であるのが更により好ましく、600個/mm2以下であるのが更により好ましい。このような構成により、本発明のキャリア付銅箔を用いてプリント配線板を作製するとき等において、当該極薄銅層を用いて形成する回路における短絡の発生を良好に抑制することができ、その結果、回路形成性が良好となる。特に、MSAP(モディファイドセミアディティブ)工法による微細配線の回路形成性が良好となる。
上記異常電着の直径及び高さは、以下の方法により特定される。寸法測定ソフトとして、ImageJ 1.48v(アメリカ国立衛生研究所 (NIH)作製、フリーソフト、次のURLで入手可能。http://www.macworld.co.uk/download/audio−video−photo/imagej−148v−3328545/)を使用した。図7に示す異常電着の直径については、予めImageJのSet Scaleコマンドにて画像のスケールから1画素あたりの長さを定義した後に、図9に示す様にImageJの円形描画ツールにて異常電着部をマーキングし、Measureコマンドでマーキング部の面積を測定し、そこから以下の式により直径を求めた。
直径=2×(面積/π)1/2
図7の画像の場合、面積51.9μm2、直径8.1μmであった。
次に図8に示す異常電着の高さについては、異常電着の中心部(前述の円形描画ツールで描いた円の中心)を通り、極薄銅層の厚み方向に平行な断面についてFIBで観察をした。そして、異常電着部の始まり部分(周囲の極薄銅層部と比べて厚みが厚くなる地点A)から異常電着部の終わる部分(もう一方の周囲の極薄銅層部と比べて厚みが厚くなる地点B)まで直線Cを引く。そして、直線Cに垂直な直線Dを異常電着部に引いた場合に、直線Cから異常電着部の端部までの直線Dの異常電着部を横切る長さが最も長い部分の、直線Cから異常電着部の端部までの直線Dの長さを、当該異常電着部の高さとした。ここで、前述の異常電着部の直径と同様にSet Scaleコマンドで1画素あたりの長さを定義したのちに、図10に示す様にImageJの直線描画ツールにて異常電着部の高さに合う様にマーキングし、Measureコマンドでマーキング部の長さを測定した。図8の画像の場合、高さ0.97μmであった。
<極薄銅層側表面の異常電着個数の制御手段>
極薄銅層を電解めっきで形成する際に電解液を用いるが、本発明では、当該電解液(めっき液)中に存在する微小な金属粉や異物等が極薄銅層側表面に付着することで異常電着が生じることを見出した。そして、極薄銅層を形成するための電解液を2.5μm径以下の目を有するフィルターで濾過することで、当該微小な金属粉や異物等を電解液中から除去し、これによって極薄銅層側表面に生じる直径が5μm以上であって、かつ、高さが0.5μm以上である異常電着を5000個/mm2以下に制御することができる。当該フィルターの目は、1μm径以下のサイズであるのが好ましく、0.5μm径以下のサイズであるのがより好ましい。
極薄銅層を電解めっきで形成する際に電解液を用いるが、本発明では、当該電解液(めっき液)中に存在する微小な金属粉や異物等が極薄銅層側表面に付着することで異常電着が生じることを見出した。そして、極薄銅層を形成するための電解液を2.5μm径以下の目を有するフィルターで濾過することで、当該微小な金属粉や異物等を電解液中から除去し、これによって極薄銅層側表面に生じる直径が5μm以上であって、かつ、高さが0.5μm以上である異常電着を5000個/mm2以下に制御することができる。当該フィルターの目は、1μm径以下のサイズであるのが好ましく、0.5μm径以下のサイズであるのがより好ましい。
また、キャリア表面に中間層を電解めっきで形成する際に電解液を用いるが、本発明では、中間層の金属層形成後の当該電解液におけるキャリアの浸漬時間を制御することで、極薄銅層側表面の異常電着の発生を抑制することができる。具体的には、中間層の金属層形成後の当該電解液におけるキャリアの浸漬時間を2〜10秒にすることで、極薄銅層側表面に生じる直径が5μm以上であって、かつ、高さが0.5μm以上である異常電着を5000個/mm2以下に制御することができる。
また、キャリア表面に中間層の金属層を電解めっきで形成した後に、キャリアの中間層側表面をpH1.5〜3の洗浄液によって酸洗することで、極薄銅層側表面に生じる直径が5μm以上であって、かつ、高さが0.5μm以上である異常電着を5000個/mm2以下に制御することができる。当該洗浄液としては、例えば、希硫酸、Niめっき液等を用いることができる。なお、キャリア表面に、金属層を形成後、さらに酸化物層等の酸によって溶けない層(クロメート層等)を形成することで中間層を設ける場合は、当該金属層の形成後に上記酸洗を行う。これは、酸化物層等の酸によって溶けない層(クロメート層等)を形成した後に酸洗を行っても中間層の異常電着を除去することが困難であるためである。
<粗化処理およびその他の表面処理>
極薄銅層の表面には、例えば絶縁基板との密着性を良好にすること等のために粗化処理を施すことで粗化処理層を設けてもよい。粗化処理は、例えば、銅又は銅合金で粗化粒子を形成することにより行うことができる。粗化処理は微細なものであっても良い。粗化処理層は、銅、ニッケル、りん、タングステン、ヒ素、モリブデン、クロム、鉄、バナジウム、コバルト及び亜鉛からなる群から選択されたいずれかの単体又はいずれか1種以上を含む合金からなる層などであってもよい。また、銅又は銅合金で粗化粒子を形成した後、更にニッケル、コバルト、銅、亜鉛の単体または合金等で二次粒子や三次粒子を設ける粗化処理を行うこともできる。その後に、ニッケル、コバルト、銅、亜鉛の単体または合金等で耐熱層または防錆層を形成しても良く、更にその表面にクロメート処理、シランカップリング処理などの処理を施してもよい。または粗化処理を行わずに、ニッケル、コバルト、銅、亜鉛の単体または合金等で耐熱層又は防錆層を形成し、さらにその表面にクロメート処理、シランカップリング処理などの処理を施してもよい。すなわち、粗化処理層の表面に、耐熱層、防錆層、クロメート処理層及びシランカップリング処理層からなる群から選択された1種以上の層を形成してもよく、極薄銅層の表面に、耐熱層、防錆層、クロメート処理層及びシランカップリング処理層からなる群から選択された1種以上の層を形成してもよい。なお、上述の耐熱層、防錆層、クロメート処理層、シランカップリング処理層はそれぞれ複数の層で形成されてもよい(例えば2層以上、3層以上など)。
極薄銅層の表面には、例えば絶縁基板との密着性を良好にすること等のために粗化処理を施すことで粗化処理層を設けてもよい。粗化処理は、例えば、銅又は銅合金で粗化粒子を形成することにより行うことができる。粗化処理は微細なものであっても良い。粗化処理層は、銅、ニッケル、りん、タングステン、ヒ素、モリブデン、クロム、鉄、バナジウム、コバルト及び亜鉛からなる群から選択されたいずれかの単体又はいずれか1種以上を含む合金からなる層などであってもよい。また、銅又は銅合金で粗化粒子を形成した後、更にニッケル、コバルト、銅、亜鉛の単体または合金等で二次粒子や三次粒子を設ける粗化処理を行うこともできる。その後に、ニッケル、コバルト、銅、亜鉛の単体または合金等で耐熱層または防錆層を形成しても良く、更にその表面にクロメート処理、シランカップリング処理などの処理を施してもよい。または粗化処理を行わずに、ニッケル、コバルト、銅、亜鉛の単体または合金等で耐熱層又は防錆層を形成し、さらにその表面にクロメート処理、シランカップリング処理などの処理を施してもよい。すなわち、粗化処理層の表面に、耐熱層、防錆層、クロメート処理層及びシランカップリング処理層からなる群から選択された1種以上の層を形成してもよく、極薄銅層の表面に、耐熱層、防錆層、クロメート処理層及びシランカップリング処理層からなる群から選択された1種以上の層を形成してもよい。なお、上述の耐熱層、防錆層、クロメート処理層、シランカップリング処理層はそれぞれ複数の層で形成されてもよい(例えば2層以上、3層以上など)。
例えば、粗化処理としての銅−コバルト−ニッケル合金めっきは、電解めっきにより、付着量が15〜40mg/dm2の銅−100〜3000μg/dm2のコバルト−100〜1500μg/dm2のニッケルであるような3元系合金層を形成するように実施することができる。Co付着量が100μg/dm2未満では、耐熱性が悪化し、エッチング性が悪くなることがある。Co付着量が3000μg/dm2 を超えると、磁性の影響を考慮せねばならない場合には好ましくなく、エッチングシミが生じ、また、耐酸性及び耐薬品性の悪化がすることがある。Ni付着量が100μg/dm2未満であると、耐熱性が悪くなることがある。他方、Ni付着量が1500μg/dm2を超えると、エッチング残が多くなることがある。好ましいCo付着量は1000〜2500μg/dm2であり、好ましいニッケル付着量は500〜1200μg/dm2である。ここで、エッチングシミとは、塩化銅でエッチングした場合、Coが溶解せずに残ってしまうことを意味しそしてエッチング残とは塩化アンモニウムでアルカリエッチングした場合、Niが溶解せずに残ってしまうことを意味するものである。
このような3元系銅−コバルト−ニッケル合金めっきを形成するための一般的浴及びめっき条件の一例は次の通りである:
めっき浴組成:Cu10〜20g/L、Co1〜10g/L、Ni1〜10g/L
pH:1〜4
温度:30〜50℃
電流密度Dk:20〜30A/dm2
めっき時間:1〜5秒
めっき浴組成:Cu10〜20g/L、Co1〜10g/L、Ni1〜10g/L
pH:1〜4
温度:30〜50℃
電流密度Dk:20〜30A/dm2
めっき時間:1〜5秒
このようにして、キャリアと、キャリア上に積層された中間層と、中間層の上に積層された極薄銅層とを備えたキャリア付銅箔が製造される。キャリア付銅箔自体の使用方法は当業者に周知であるが、例えば極薄銅層の表面を紙基材フェノール樹脂、紙基材エポキシ樹脂、合成繊維布基材エポキシ樹脂、ガラス布・紙複合基材エポキシ樹脂、ガラス布・ガラス不織布複合基材エポキシ樹脂及びガラス布基材エポキシ樹脂、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム等の絶縁基板に貼り合わせて熱圧着後にキャリアを剥がして銅張積層板とし、絶縁基板に接着した極薄銅層を目的とする導体パターンにエッチングし、最終的にプリント配線板を製造することができる。
また、キャリアと、キャリア上に中間層が積層され、中間層の上に積層された極薄銅層とを備えたキャリア付銅箔は、前記極薄銅層上に粗化処理層を備えても良く、前記粗化処理層上に、耐熱層、防錆層、クロメート処理層およびシランカップリング処理層からなる群のから選択された層を一つ以上備えても良い。
また、前記極薄銅層上に粗化処理層を備えても良く、前記粗化処理層上に、耐熱層、防錆層を備えてもよく、前記耐熱層、防錆層上にクロメート処理層を備えてもよく、前記クロメート処理層上にシランカップリング処理層を備えても良い。
また、前記キャリア付銅箔は前記極薄銅層上、あるいは前記粗化処理層上、あるいは前記耐熱層、防錆層、あるいはクロメート処理層、あるいはシランカップリング処理層の上に樹脂層を備えても良い。前記樹脂層は絶縁樹脂層であってもよい。
また、前記極薄銅層上に粗化処理層を備えても良く、前記粗化処理層上に、耐熱層、防錆層を備えてもよく、前記耐熱層、防錆層上にクロメート処理層を備えてもよく、前記クロメート処理層上にシランカップリング処理層を備えても良い。
また、前記キャリア付銅箔は前記極薄銅層上、あるいは前記粗化処理層上、あるいは前記耐熱層、防錆層、あるいはクロメート処理層、あるいはシランカップリング処理層の上に樹脂層を備えても良い。前記樹脂層は絶縁樹脂層であってもよい。
前記樹脂層は接着剤であってもよく、接着用の半硬化状態(Bステージ)の絶縁樹脂層であってもよい。半硬化状態(Bステージ状態)とは、その表面に指で触れても粘着感はなく、該絶縁樹脂層を重ね合わせて保管することができ、更に加熱処理を受けると硬化反応が起こる状態のことを含む。
また前記樹脂層は熱硬化性樹脂を含んでもよく、熱可塑性樹脂であってもよい。また、前記樹脂層は熱可塑性樹脂を含んでもよい。その種類は格別限定されるものではないが、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、多官能性シアン酸エステル化合物、マレイミド化合物、ポリビニルアセタール樹脂、ウレタン樹脂などを含む樹脂を好適なものとしてあげることができる。
前記樹脂層は公知の樹脂、樹脂硬化剤、化合物、硬化促進剤、誘電体(無機化合物及び/または有機化合物を含む誘電体、金属酸化物を含む誘電体等どのような誘電体を用いてもよい)、反応触媒、架橋剤、ポリマー、プリプレグ、骨格材等を含んでよい。また、前記樹脂層は例えば国際公開番号WO2008/004399、国際公開番号WO2008/053878、国際公開番号WO2009/084533、特開平11−5828号、特開平11−140281号、特許第3184485号、国際公開番号WO97/02728、特許第3676375号、特開2000−43188号、特許第3612594号、特開2002−179772号、特開2002−359444号、特開2003−304068号、特許第3992225号、特開2003−249739号、特許第4136509号、特開2004−82687号、特許第4025177号、特開2004−349654号、特許第4286060号、特開2005−262506号、特許第4570070号、特開2005−53218号、特許第3949676号、特許第4178415号、国際公開番号WO2004/005588、特開2006−257153号、特開2007−326923号、特開2008−111169号、特許第5024930号、国際公開番号WO2006/028207、特許第4828427号、特開2009−67029号、国際公開番号WO2006/134868、特許第5046927号、特開2009−173017号、国際公開番号WO2007/105635、特許第5180815号、国際公開番号WO2008/114858、国際公開番号WO2009/008471、特開2011−14727号、国際公開番号WO2009/001850、国際公開番号WO2009/145179、国際公開番号WO2011/068157、特開2013−19056号に記載されている物質(樹脂、樹脂硬化剤、化合物、硬化促進剤、誘電体、反応触媒、架橋剤、ポリマー、プリプレグ、骨格材等)および/または樹脂層の形成方法、形成装置を用いて形成してもよい。
これらの樹脂を例えばメチルエチルケトン(MEK)、トルエンなどの溶剤に溶解して樹脂液とし、これを前記極薄銅層上、あるいは前記耐熱層、防錆層、あるいは前記クロメート皮膜層、あるいは前記シランカップリング剤層の上に、例えばロールコータ法などによって塗布し、ついで必要に応じて加熱乾燥して溶剤を除去しBステージ状態にする。乾燥には例えば熱風乾燥炉を用いればよく、乾燥温度は100〜250℃、好ましくは130〜200℃であればよい。
前記樹脂層を備えたキャリア付銅箔(樹脂付きキャリア付銅箔)は、その樹脂層を基材に重ね合わせたのち全体を熱圧着して該樹脂層を熱硬化せしめ、ついでキャリアを剥離して極薄銅層を表出せしめ(当然に表出するのは該極薄銅層の中間層側の表面である)、そこに所定の配線パターンを形成するという態様で使用される。
この樹脂付きキャリア付銅箔を使用すると、多層プリント配線基板の製造時におけるプリプレグ材の使用枚数を減らすことができる。しかも、樹脂層の厚みを層間絶縁が確保できるような厚みにしたり、プリプレグ材を全く使用していなくても銅張り積層板を製造することができる。またこのとき、基材の表面に絶縁樹脂をアンダーコートして表面の平滑性を更に改善することもできる。
なお、プリプレグ材を使用しない場合には、プリプレグ材の材料コストが節約され、また積層工程も簡略になるので経済的に有利となり、しかも、プリプレグ材の厚み分だけ製造される多層プリント配線基板の厚みは薄くなり、1層の厚みが100μm以下である極薄の多層プリント配線基板を製造することができるという利点がある。
この樹脂層の厚みは0.1〜80μmであることが好ましい。樹脂層の厚みが0.1μmより薄くなると、接着力が低下し、プリプレグ材を介在させることなくこの樹脂付きキャリア付銅箔を内層材を備えた基材に積層したときに、内層材の回路との間の層間絶縁を確保することが困難になる場合がある。
一方、樹脂層の厚みを80μmより厚くすると、1回の塗布工程で目的厚みの樹脂層を形成することが困難となり、余分な材料費と工数がかかるため経済的に不利となる。更には、形成された樹脂層はその可撓性が劣るので、ハンドリング時にクラックなどが発生しやすくなり、また内層材との熱圧着時に過剰な樹脂流れが起こって円滑な積層が困難になる場合がある。
更に、この樹脂付きキャリア付銅箔のもう一つの製品形態としては、前記極薄銅層上、あるいは前記耐熱層、防錆層、あるいは前記クロメート処理層、あるいは前記シランカップリング処理層の上に樹脂層で被覆し、半硬化状態とした後、ついでキャリアを剥離して、キャリアが存在しない樹脂付き銅箔の形で製造することも可能である。
更に、プリント配線板に電子部品類を搭載することで、プリント回路板が完成する。本発明において、「プリント配線板」にはこのように電子部品類が搭載されたプリント配線板およびプリント回路板およびプリント基板も含まれることとする。
また、当該プリント配線板を用いて電子機器を作製してもよく、当該電子部品類が搭載されたプリント回路板を用いて電子機器を作製してもよく、当該電子部品類が搭載されたプリント基板を用いて電子機器を作製してもよい。以下に、本発明に係るキャリア付銅箔を用いたプリント配線板の製造工程の例を幾つか示す。
また、当該プリント配線板を用いて電子機器を作製してもよく、当該電子部品類が搭載されたプリント回路板を用いて電子機器を作製してもよく、当該電子部品類が搭載されたプリント基板を用いて電子機器を作製してもよい。以下に、本発明に係るキャリア付銅箔を用いたプリント配線板の製造工程の例を幾つか示す。
本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、前記キャリア付銅箔と絶縁基板を極薄銅層側が絶縁基板と対向するように積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程を経て銅張積層板を形成し、その後、セミアディティブ法、モディファイドセミアディティブ法、パートリーアディティブ法及びサブトラクティブ法の何れかの方法によって、回路を形成する工程を含む。絶縁基板は内層回路入りのものとすることも可能である。特に、モディファイドセミアディティブ法を採用する場合における本発明の効果が高い。
本発明において、セミアディティブ法とは、絶縁基板又は銅箔シード層上に薄い無電解めっきを行い、パターンを形成後、電気めっき及びエッチングを用いて導体パターンを形成する方法を指す。
従って、セミアディティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法によりすべて除去する工程、
前記極薄銅層をエッチングにより除去することにより露出した前記樹脂にスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、
前記樹脂および前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について無電解めっき層を設ける工程、
前記無電解めっき層の上にめっきレジストを設ける工程、
前記めっきレジストに対して露光し、その後、回路が形成される領域のめっきレジストを除去する工程、
前記めっきレジストが除去された前記回路が形成される領域に、電解めっき層を設ける工程、
前記めっきレジストを除去する工程、
前記回路が形成される領域以外の領域にある無電解めっき層をフラッシュエッチングなどにより除去する工程、
を含む。
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法によりすべて除去する工程、
前記極薄銅層をエッチングにより除去することにより露出した前記樹脂にスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、
前記樹脂および前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について無電解めっき層を設ける工程、
前記無電解めっき層の上にめっきレジストを設ける工程、
前記めっきレジストに対して露光し、その後、回路が形成される領域のめっきレジストを除去する工程、
前記めっきレジストが除去された前記回路が形成される領域に、電解めっき層を設ける工程、
前記めっきレジストを除去する工程、
前記回路が形成される領域以外の領域にある無電解めっき層をフラッシュエッチングなどにより除去する工程、
を含む。
セミアディティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の別の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層と、前記絶縁樹脂基板とにスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法によりすべて除去する工程、
前記極薄銅層をエッチング等により除去することにより露出した前記樹脂および前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について無電解めっき層を設ける工程、
前記無電解めっき層の上にめっきレジストを設ける工程、
前記めっきレジストに対して露光し、その後、回路が形成される領域のめっきレジストを除去する工程、
前記めっきレジストが除去された前記回路が形成される領域に、電解めっき層を設ける工程、
前記めっきレジストを除去する工程、
前記回路が形成される領域以外の領域にある無電解めっき層をフラッシュエッチングなどにより除去する工程、
を含む。
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層と、前記絶縁樹脂基板とにスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法によりすべて除去する工程、
前記極薄銅層をエッチング等により除去することにより露出した前記樹脂および前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について無電解めっき層を設ける工程、
前記無電解めっき層の上にめっきレジストを設ける工程、
前記めっきレジストに対して露光し、その後、回路が形成される領域のめっきレジストを除去する工程、
前記めっきレジストが除去された前記回路が形成される領域に、電解めっき層を設ける工程、
前記めっきレジストを除去する工程、
前記回路が形成される領域以外の領域にある無電解めっき層をフラッシュエッチングなどにより除去する工程、
を含む。
セミアディティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の別の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層と、前記絶縁樹脂基板とにスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法によりすべて除去する工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、
前記極薄銅層をエッチング等により除去することにより露出した前記樹脂および前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について無電解めっき層を設ける工程、
前記無電解めっき層の上にめっきレジストを設ける工程、
前記めっきレジストに対して露光し、その後、回路が形成される領域のめっきレジストを除去する工程、
前記めっきレジストが除去された前記回路が形成される領域に、電解めっき層を設ける工程、
前記めっきレジストを除去する工程、
前記回路が形成される領域以外の領域にある無電解めっき層をフラッシュエッチングなどにより除去する工程、
を含む。
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層と、前記絶縁樹脂基板とにスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法によりすべて除去する工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、
前記極薄銅層をエッチング等により除去することにより露出した前記樹脂および前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について無電解めっき層を設ける工程、
前記無電解めっき層の上にめっきレジストを設ける工程、
前記めっきレジストに対して露光し、その後、回路が形成される領域のめっきレジストを除去する工程、
前記めっきレジストが除去された前記回路が形成される領域に、電解めっき層を設ける工程、
前記めっきレジストを除去する工程、
前記回路が形成される領域以外の領域にある無電解めっき層をフラッシュエッチングなどにより除去する工程、
を含む。
セミアディティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の別の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法によりすべて除去する工程、
前記極薄銅層をエッチングにより除去することにより露出した前記樹脂の表面について無電解めっき層を設ける工程、
前記無電解めっき層の上にめっきレジストを設ける工程、
前記めっきレジストに対して露光し、その後、回路が形成される領域のめっきレジストを除去する工程、
前記めっきレジストが除去された前記回路が形成される領域に、電解めっき層を設ける工程、
前記めっきレジストを除去する工程、
前記回路が形成される領域以外の領域にある無電解めっき層及び極薄銅層をフラッシュエッチングなどにより除去する工程、
を含む。
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法によりすべて除去する工程、
前記極薄銅層をエッチングにより除去することにより露出した前記樹脂の表面について無電解めっき層を設ける工程、
前記無電解めっき層の上にめっきレジストを設ける工程、
前記めっきレジストに対して露光し、その後、回路が形成される領域のめっきレジストを除去する工程、
前記めっきレジストが除去された前記回路が形成される領域に、電解めっき層を設ける工程、
前記めっきレジストを除去する工程、
前記回路が形成される領域以外の領域にある無電解めっき層及び極薄銅層をフラッシュエッチングなどにより除去する工程、
を含む。
本発明において、モディファイドセミアディティブ法とは、絶縁層上に金属箔を積層し、めっきレジストにより非回路形成部を保護し、電解めっきにより回路形成部の銅厚付けを行った後、レジストを除去し、前記回路形成部以外の金属箔を(フラッシュ)エッチングで除去することにより、絶縁層上に回路を形成する方法を指す。
従って、モディファイドセミアディティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層と絶縁基板にスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について無電解めっき層を設ける工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層表面にめっきレジストを設ける工程、
前記めっきレジストを設けた後に、電解めっきにより回路を形成する工程、
前記めっきレジストを除去する工程、
前記めっきレジストを除去することにより露出した極薄銅層をフラッシュエッチングにより除去する工程、
を含む。
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層と絶縁基板にスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について無電解めっき層を設ける工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層表面にめっきレジストを設ける工程、
前記めっきレジストを設けた後に、電解めっきにより回路を形成する工程、
前記めっきレジストを除去する工程、
前記めっきレジストを除去することにより露出した極薄銅層をフラッシュエッチングにより除去する工程、
を含む。
モディファイドセミアディティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の別の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層の上にめっきレジストを設ける工程、
前記めっきレジストに対して露光し、その後、回路が形成される領域のめっきレジストを除去する工程、
前記めっきレジストが除去された前記回路が形成される領域に、電解めっき層を設ける工程、
前記めっきレジストを除去する工程、
前記回路が形成される領域以外の領域にある無電解めっき層及び極薄銅層をフラッシュエッチングなどにより除去する工程、
を含む。
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層の上にめっきレジストを設ける工程、
前記めっきレジストに対して露光し、その後、回路が形成される領域のめっきレジストを除去する工程、
前記めっきレジストが除去された前記回路が形成される領域に、電解めっき層を設ける工程、
前記めっきレジストを除去する工程、
前記回路が形成される領域以外の領域にある無電解めっき層及び極薄銅層をフラッシュエッチングなどにより除去する工程、
を含む。
本発明において、パートリーアディティブ法とは、導体層を設けてなる基板、必要に応じてスルーホールやバイアホール用の孔を穿けてなる基板上に触媒核を付与し、エッチングして導体回路を形成し、必要に応じてソルダレジストまたはメッキレジストを設けた後に、前記導体回路上、スルーホールやバイアホールなどに無電解めっき処理によって厚付けを行うことにより、プリント配線板を製造する方法を指す。
従って、パートリーアディティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層と絶縁基板にスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について触媒核を付与する工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層表面にエッチングレジストを設ける工程、
前記エッチングレジストに対して露光し、回路パターンを形成する工程、
前記極薄銅層および前記触媒核を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法により除去して、回路を形成する工程、
前記エッチングレジストを除去する工程、
前記極薄銅層および前記触媒核を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法により除去して露出した前記絶縁基板表面に、ソルダレジストまたはメッキレジストを設ける工程、
前記ソルダレジストまたはメッキレジストが設けられていない領域に無電解めっき層を設ける工程、
を含む。
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層と絶縁基板にスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について触媒核を付与する工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層表面にエッチングレジストを設ける工程、
前記エッチングレジストに対して露光し、回路パターンを形成する工程、
前記極薄銅層および前記触媒核を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法により除去して、回路を形成する工程、
前記エッチングレジストを除去する工程、
前記極薄銅層および前記触媒核を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法により除去して露出した前記絶縁基板表面に、ソルダレジストまたはメッキレジストを設ける工程、
前記ソルダレジストまたはメッキレジストが設けられていない領域に無電解めっき層を設ける工程、
を含む。
本発明において、サブトラクティブ法とは、銅張積層板上の銅箔の不要部分を、エッチングなどによって、選択的に除去して、導体パターンを形成する方法を指す。
従って、サブトラクティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層と絶縁基板にスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について無電解めっき層を設ける工程、
前記無電解めっき層の表面に、電解めっき層を設ける工程、
前記電解めっき層または/および前記極薄銅層の表面にエッチングレジストを設ける工程、
前記エッチングレジストに対して露光し、回路パターンを形成する工程、
前記極薄銅層および前記無電解めっき層および前記電解めっき層を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法により除去して、回路を形成する工程、
前記エッチングレジストを除去する工程、
を含む。
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層と絶縁基板にスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について無電解めっき層を設ける工程、
前記無電解めっき層の表面に、電解めっき層を設ける工程、
前記電解めっき層または/および前記極薄銅層の表面にエッチングレジストを設ける工程、
前記エッチングレジストに対して露光し、回路パターンを形成する工程、
前記極薄銅層および前記無電解めっき層および前記電解めっき層を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法により除去して、回路を形成する工程、
前記エッチングレジストを除去する工程、
を含む。
サブトラクティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の別の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層と絶縁基板にスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について無電解めっき層を設ける工程、
前記無電解めっき層の表面にマスクを形成する工程、
マスクが形成されいない前記無電解めっき層の表面に電解めっき層を設ける工程、
前記電解めっき層または/および前記極薄銅層の表面にエッチングレジストを設ける工程、
前記エッチングレジストに対して露光し、回路パターンを形成する工程、
前記極薄銅層および前記無電解めっき層を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法により除去して、回路を形成する工程、
前記エッチングレジストを除去する工程、
を含む。
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層と絶縁基板にスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について無電解めっき層を設ける工程、
前記無電解めっき層の表面にマスクを形成する工程、
マスクが形成されいない前記無電解めっき層の表面に電解めっき層を設ける工程、
前記電解めっき層または/および前記極薄銅層の表面にエッチングレジストを設ける工程、
前記エッチングレジストに対して露光し、回路パターンを形成する工程、
前記極薄銅層および前記無電解めっき層を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法により除去して、回路を形成する工程、
前記エッチングレジストを除去する工程、
を含む。
スルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、及びその後のデスミア工程は行わなくてもよい。
ここで、本発明のキャリア付銅箔を用いたプリント配線板の製造方法の具体例を図面を用いて詳細に説明する。なお、ここでは粗化処理層が形成された極薄銅層を有するキャリア付銅箔を例に説明するが、これに限らず、粗化処理層が形成されていない極薄銅層を有するキャリア付銅箔を用いても同様に下記のプリント配線板の製造方法を行うことができる。
まず、図1−Aに示すように、表面に粗化処理層が形成された極薄銅層を有するキャリア付銅箔(1層目)を準備する。
次に、図1−Bに示すように、極薄銅層の粗化処理層上にレジストを塗布し、露光・現像を行い、レジストを所定の形状にエッチングする。
次に、図1−Cに示すように、回路用のめっきを形成した後、レジストを除去することで、所定の形状の回路めっきを形成する。
次に、図2−Dに示すように、回路めっきを覆うように(回路めっきが埋没するように)極薄銅層上に埋め込み樹脂を設けて樹脂層を積層し、続いて別のキャリア付銅箔(2層目)を極薄銅層側から接着させる。
次に、図2−Eに示すように、2層目のキャリア付銅箔からキャリアを剥がす。
次に、図2−Fに示すように、樹脂層の所定位置にレーザー穴あけを行い、回路めっきを露出させてブラインドビアを形成する。
次に、図3−Gに示すように、ブラインドビアに銅を埋め込みビアフィルを形成する。
次に、図3−Hに示すように、ビアフィル上に、上記図1−B及び図1−Cのようにして回路めっきを形成する。
次に、図3−Iに示すように、1層目のキャリア付銅箔からキャリアを剥がす。
次に、図4−Jに示すように、フラッシュエッチングにより両表面の極薄銅層を除去し、樹脂層内の回路めっきの表面を露出させる。
次に、図4−Kに示すように、樹脂層内の回路めっき上にバンプを形成し、当該はんだ上に銅ピラーを形成する。このようにして本発明のキャリア付銅箔を用いたプリント配線板を作製する。
まず、図1−Aに示すように、表面に粗化処理層が形成された極薄銅層を有するキャリア付銅箔(1層目)を準備する。
次に、図1−Bに示すように、極薄銅層の粗化処理層上にレジストを塗布し、露光・現像を行い、レジストを所定の形状にエッチングする。
次に、図1−Cに示すように、回路用のめっきを形成した後、レジストを除去することで、所定の形状の回路めっきを形成する。
次に、図2−Dに示すように、回路めっきを覆うように(回路めっきが埋没するように)極薄銅層上に埋め込み樹脂を設けて樹脂層を積層し、続いて別のキャリア付銅箔(2層目)を極薄銅層側から接着させる。
次に、図2−Eに示すように、2層目のキャリア付銅箔からキャリアを剥がす。
次に、図2−Fに示すように、樹脂層の所定位置にレーザー穴あけを行い、回路めっきを露出させてブラインドビアを形成する。
次に、図3−Gに示すように、ブラインドビアに銅を埋め込みビアフィルを形成する。
次に、図3−Hに示すように、ビアフィル上に、上記図1−B及び図1−Cのようにして回路めっきを形成する。
次に、図3−Iに示すように、1層目のキャリア付銅箔からキャリアを剥がす。
次に、図4−Jに示すように、フラッシュエッチングにより両表面の極薄銅層を除去し、樹脂層内の回路めっきの表面を露出させる。
次に、図4−Kに示すように、樹脂層内の回路めっき上にバンプを形成し、当該はんだ上に銅ピラーを形成する。このようにして本発明のキャリア付銅箔を用いたプリント配線板を作製する。
上記別のキャリア付銅箔(2層目)は、本発明のキャリア付銅箔を用いてもよく、従来のキャリア付銅箔を用いてもよく、さらに通常の銅箔を用いてもよい。また、図3−Hに示される2層目の回路上に、さらに回路を1層或いは複数層形成してもよく、それらの回路形成をセミアディティブ法、サブトラクティブ法、パートリーアディティブ法又はモディファイドセミアディティブ法のいずれかの方法によって行ってもよい。
上述のようなプリント配線板の製造方法によれば、回路めっきが樹脂層に埋め込まれた構成となっているため、例えば図4−Jに示すようなフラッシュエッチングによる極薄銅層の除去の際に、回路めっきが樹脂層によって保護され、その形状が保たれ、これにより微細回路の形成が容易となる。また、回路めっきが樹脂層によって保護されるため、耐マイグレーション性が向上し、回路の配線の導通が良好に抑制される。このため、微細回路の形成が容易となる。また、図4−J及び図4−Kに示すようにフラッシュエッチングによって極薄銅層を除去したとき、回路めっきの露出面が樹脂層から凹んだ形状となるため、当該回路めっき上にバンプが、さらにその上に銅ピラーがそれぞれ形成しやすくなり、製造効率が向上する。また、上述のプリント配線板の製造方法において「極薄銅層」をキャリアに読み替え、「キャリア」を極薄銅層に読み替えた方法でプリント配線板を製造してもよい。
なお、埋め込み樹脂(レジン)には公知の樹脂、プリプレグを用いることができる。例えば、BT(ビスマレイミドトリアジン)レジンやBTレジンを含浸させたガラス布であるプリプレグ、味の素ファインテクノ株式会社製ABFフィルムやABFを用いることができる。また、前記埋め込み樹脂(レジン)には本明細書に記載の樹脂層および/または樹脂および/またはプリプレグを使用することができる。
また、前記一層目に用いられるキャリア付銅箔は、当該キャリア付銅箔の表面に基板または樹脂層を有してもよい。当該基板または樹脂層を有することで一層目に用いられるキャリア付銅箔は支持され、しわが入りにくくなるため、生産性が向上するという利点がある。なお、前記基板または樹脂層には、前記一層目に用いられるキャリア付銅箔を支持する効果するものであれば、全ての基板または樹脂層を用いることが出来る。例えば前記基板または樹脂層として本願明細書に記載のキャリア、プリプレグ、樹脂層や公知のキャリア、プリプレグ、樹脂層、金属板、金属箔、無機化合物の板、無機化合物の箔、有機化合物の板、有機化合物の箔を用いることができる。また、基板又は樹脂基板又は樹脂又はプリプレグを中心として、当該基板又は樹脂基板又は樹脂又はプリプレグの両方の表面側に、キャリア/中間層/極薄銅層の順あるいは極薄銅層/中間層/キャリアの順でキャリア付銅箔が積層された構成を有する積層体を準備し、当該積層体のキャリア付銅箔を、図1−Aの前記一層目に用いられるキャリア付銅箔として用い、上述のプリント配線板の製造方法により、当該積層体の両側のキャリア付銅箔の表面に回路を形成することで、プリント配線板を製造してもよい。なお、本明細書において「回路」は配線を含む概念とする。
また、本発明のプリント配線板の製造方法は、本発明のキャリア付銅箔の前記極薄銅層側表面または前記キャリア側表面と樹脂基板とを積層する工程、前記樹脂基板と積層した極薄銅層側表面または前記キャリア側表面とは反対側のキャリア付銅箔の表面に、樹脂層と回路との2層を、少なくとも1回設ける工程、及び、前記樹脂層及び回路の2層を形成した後に、前記キャリア付銅箔から前記キャリアまたは前記極薄銅層を剥離させる工程を含むプリント配線板の製造方法(コアレス工法)であってもよい。なお、樹脂層及び回路の2層は樹脂層、回路の順に設けてもよいし、回路、樹脂層の順に設けてもよい。当該コアレス工法について、具体的な例としては、まず、本発明のキャリア付銅箔の極薄銅層側表面またはキャリア側表面と樹脂基板とを積層して積層体(銅張積層板、銅張積層体ともいう)を製造する。その後、樹脂基板と積層した極薄銅層側表面または前記キャリア側表面とは反対側のキャリア付銅箔の表面に樹脂層を形成する。キャリア側表面又は極薄銅層側表面に形成した樹脂層には、さらに別のキャリア付銅箔をキャリア側又は極薄銅層側から積層してもよい。また、樹脂基板又は樹脂又はプリプレグを中心として、当該樹脂基板又は樹脂又はプリプレグの両方の表面側に、キャリア/中間層/極薄銅層の順あるいは極薄銅層/中間層/キャリアの順でキャリア付銅箔が積層された構成を有する積層体あるいは「キャリア/中間層/極薄銅層/樹脂基板又は樹脂又はプリプレグ/キャリア/中間層/極薄銅層」の順に積層された構成を有する積層体あるいは「キャリア/中間層/極薄銅層/樹脂基板/キャリア/中間層/極薄銅層」の順に積層された構成を有する積層体あるいは「極薄銅層/中間層/キャリア/樹脂基板/キャリア/中間層/極薄銅層」の順に積層された構成を有する積層体を上述のプリント配線板の製造方法(コアレス工法)に用いてもよい。そして、当該積層体の両端の極薄銅層あるいはキャリアの露出した表面には、別の樹脂層を設け、さらに銅層又は金属層を設けた後、当該銅層又は金属層を加工することで回路又は配線を形成してもよい。さらに、別の樹脂層を当該回路又は配線上に、当該回路又は配線を埋め込むように(埋没させるように)設けてもよい。また当該積層体の両端の極薄銅層あるいはキャリアの露出した表面に銅又は金属の配線または回路を設け、当該配線または回路上に別の樹脂層を設けて、当該配線又は回路を当該別の樹脂により埋め込んでもよい(埋没させてもよい)。その後、別の樹脂層の上に回路又は配線と樹脂層の形成を行ってもよい。また、このような回路又は配線及び樹脂層の形成を1回以上行ってもよい(ビルドアップ工法)。そして、このようにして形成した積層体(以下、積層体Bとも言う)について、それぞれのキャリア付銅箔の極薄銅層またはキャリアをキャリアまたは極薄銅層から剥離させてコアレス基板を作製することができる。なお、前述のコアレス基板の作製には、2つのキャリア付銅箔を用いて、後述する極薄銅層/中間層/キャリア/キャリア/中間層/極薄銅層の構成を有する積層体や、キャリア/中間層/極薄銅層/極薄銅層/中間層/キャリアの構成を有する積層体や、キャリア/中間層/極薄銅層/キャリア/中間層/極薄銅層の構成を有する積層体を作製し、当該積層体を中心に用いることもできる。これら積層体(以下、積層体Aとも言う)の両側の極薄銅層またはキャリアの表面に樹脂層及び回路の2層を1回以上設け、樹脂層及び回路の2層を1回以上設けた後に、それぞれのキャリア付銅箔の極薄銅層またはキャリアをキャリアまたは極薄銅層から剥離させてコアレス基板を作製することができる。なお、樹脂層及び回路の2層は樹脂層、回路の順に設けてもよいし、回路、樹脂層の順に設けてもよい。前述の積層体は、極薄銅層の表面、キャリアの表面、キャリアとキャリアとの間、極薄銅層と極薄銅層との間、極薄銅層とキャリアとの間には他の層を有してもよい。他の層は樹脂基板または樹脂層であってもよい。なお、本明細書において「極薄銅層の表面」、「極薄銅層側表面」、「極薄銅層表面」、「キャリアの表面」、「キャリア側表面」、「キャリア表面」、「積層体の表面」、「積層体表面」は、極薄銅層、キャリア、積層体が、極薄銅層表面、キャリア表面、積層体表面に他の層を有する場合には、当該他の層の表面(最表面)を含む概念とする。また、積層体は極薄銅層/中間層/キャリア/キャリア/中間層/極薄銅層の構成を有することが好ましい。当該積層体を用いてコアレス基板を作製した際、コアレス基板側に極薄銅層が配置されるため、モディファイドセミアディティブ法を用いてコアレス基板上に回路を形成しやすくなるためである。また、極薄銅層の厚みは薄いため、当該極薄銅層の除去がしやすく、極薄銅層の除去後にセミアディティブ法を用いて、コアレス基板上に回路を形成しやすくなるためである。
なお、本明細書において、「積層体A」または「積層体B」と特に記載していない「積層体」は、少なくとも積層体A及び積層体Bを含む積層体を示す。
なお、本明細書において、「積層体A」または「積層体B」と特に記載していない「積層体」は、少なくとも積層体A及び積層体Bを含む積層体を示す。
なお、上述のコアレス基板の製造方法において、キャリア付銅箔または上述の積層体(積層体Aを含む)の端面の一部または全部を樹脂で覆うことにより、ビルドアップ工法でプリント配線板を製造する際に、中間層または積層体を構成する1つのキャリア付銅箔ともう1つのキャリア付銅箔の間のへの薬液の染み込みを防止することができ、薬液の染み込みによる極薄銅層とキャリアの分離やキャリア付銅箔の腐食を防止することができ、歩留りを向上させることができる。ここで用いる「キャリア付銅箔の端面の一部または全部を覆う樹脂」または「積層体の端面の一部または全部を覆う樹脂」としては、樹脂層に用いることができる樹脂または公知の樹脂を使用することができる。また、上述のコアレス基板の製造方法において、キャリア付銅箔または積層体において平面視したときにキャリア付銅箔または積層体の積層部分(キャリアと極薄銅層との積層部分、または、1つのキャリア付銅箔ともう1つのキャリア付銅箔との積層部分)の外周の少なくとも一部が樹脂又はプリプレグで覆ってもよい。また、上述のコアレス基板の製造方法で形成する積層体(積層体A)は、一対のキャリア付銅箔を互いに分離可能に接触させて構成されていてもよい。また、当該キャリア付銅箔において平面視したときにキャリア付銅箔または積層体の積層部分(キャリアと極薄銅層との積層部分、または、1つのキャリア付銅箔ともう1つのキャリア付銅箔との積層部分)の外周の全体又は積層部分の全面にわたって樹脂又はプリプレグで覆われてなるものであってもよい。また、平面視した場合に樹脂又はプリプレグはキャリア付銅箔または積層体または積層体の積層部分よりも大きい方が好ましく、当該樹脂又はプリプレグをキャリア付銅箔または積層体の両面に積層し、キャリア付銅箔または積層体が樹脂又はプリプレグにより袋とじ(包まれている)されている構成を有する積層体とすることが好ましい。このような構成とすることにより、キャリア付銅箔または積層体を平面視したときに、キャリア付銅箔または積層体の積層部分が樹脂又はプリプレグにより覆われ、他の部材がこの部分の側方向、すなわち積層方向に対して横からの方向から当たることを防ぐことができるようになり、結果としてハンドリング中のキャリアと極薄銅層またはキャリア付銅箔同士の剥がれを少なくすることができる。また、キャリア付銅箔または積層体の積層部分の外周を露出しないように樹脂又はプリプレグで覆うことにより、前述したような薬液処理工程におけるこの積層部分の界面への薬液の浸入を防ぐことができ、キャリア付銅箔の腐食や侵食を防ぐことができる。なお、積層体の一対のキャリア付銅箔から一つのキャリア付銅箔を分離する際、またはキャリア付銅箔のキャリアと銅箔(極薄銅層)を分離する際には、樹脂又はプリプレグで覆われているキャリア付銅箔又は積層体の積層部分(キャリアと極薄銅層との積層部分、または、1つのキャリア付銅箔ともう1つのキャリア付銅箔との積層部分)が樹脂又はプリプレグ等により強固に密着している場合には、当該積層部分等を切断等により除去する必要が生じる場合がある。
本発明のキャリア付銅箔をキャリア側又は極薄銅層側から、もう一つの本発明のキャリア付銅箔のキャリア側または極薄銅層側に積層して積層体を構成してもよい。また、前記一つのキャリア付銅箔の前記キャリア側表面又は前記極薄銅層側表面と前記もう一つのキャリア付銅箔の前記キャリア側表面又は前記極薄銅層側表面とが、必要に応じて接着剤を介して、直接積層させて得られた積層体であってもよい。また、前記一つのキャリア付銅箔のキャリア又は極薄銅層と、前記もう一つのキャリア付銅箔のキャリア又は極薄銅層とが接合されていてもよい。ここで、当該「接合」は、キャリア又は極薄銅層が表面処理層を有する場合は、当該表面処理層を介して互いに接合されている態様も含む。また、当該積層体の端面の一部または全部が樹脂により覆われていてもよい。
キャリア同士、極薄銅層同士、キャリアと極薄銅層、キャリア付銅箔同士の積層は、単に重ね合わせる他、例えば以下の方法で行うことができる。
(a)冶金的接合方法:融接(アーク溶接、TIG(タングステン・イナート・ガス)溶接、MIG(メタル・イナート・ガス)溶接、抵抗溶接、シーム溶接、スポット溶接)、圧接(超音波溶接、摩擦撹拌溶接)、ろう接;
(b)機械的接合方法:かしめ、リベットによる接合(セルフピアッシングリベットによる接合、リベットによる接合)、ステッチャー;
(c)物理的接合方法:接着剤、(両面)粘着テープ
(a)冶金的接合方法:融接(アーク溶接、TIG(タングステン・イナート・ガス)溶接、MIG(メタル・イナート・ガス)溶接、抵抗溶接、シーム溶接、スポット溶接)、圧接(超音波溶接、摩擦撹拌溶接)、ろう接;
(b)機械的接合方法:かしめ、リベットによる接合(セルフピアッシングリベットによる接合、リベットによる接合)、ステッチャー;
(c)物理的接合方法:接着剤、(両面)粘着テープ
一方のキャリアの一部若しくは全部と他方のキャリアの一部若しくは全部若しくは極薄銅層の一部若しくは全部とを、上記接合方法を用いて接合することにより、一方のキャリアと他方のキャリアまたは極薄銅層を積層し、キャリア同士またはキャリアと極薄銅層を分離可能に接触させて構成される積層体を製造することができる。一方のキャリアと他方のキャリアまたは極薄銅層とが弱く接合されて、一方のキャリアと他方のキャリアまたは極薄銅層とが積層されている場合には、一方のキャリアと他方のキャリアまたは極薄銅層との接合部を除去しないでも、一方のキャリアと他方のキャリアまたは極薄銅層とは分離可能である。また、一方のキャリアと他方のキャリアまたは極薄銅層とが強く接合されている場合には、一方のキャリアと他方のキャリアまたは極薄銅層とが接合されている箇所を切断や化学研磨(エッチング等)、機械研磨等により除去することにより、一方のキャリアと他方のキャリアまたは極薄銅層を分離することができる。
また、このように構成した積層体に樹脂層と回路との2層を、少なくとも1回設ける工程、及び、前記樹脂層及び回路の2層を少なくとも1回形成した後に、前記積層体のキャリア付銅箔から前記極薄銅層又はキャリアを剥離させる工程を実施することでコアを有さないプリント配線板を作製することができる。なお、当該積層体の一方または両方の表面に、樹脂層と回路との2層を設けてもよい。なお、樹脂層及び回路の2層は樹脂層、回路の順に設けてもよいし、回路、樹脂層の順に設けてもよい。
前述した積層体に用いる樹脂基板、樹脂層、樹脂、プリプレグは、本明細書に記載した樹脂層であってもよく、本明細書に記載した樹脂層に用いる樹脂、樹脂硬化剤、化合物、硬化促進剤、誘電体、反応触媒、架橋剤、ポリマー、プリプレグ、骨格材等を含んでもよい。
なお、前述のキャリア付銅箔または積層体は平面視したときに樹脂又はプリプレグ又は樹脂基板又は樹脂層よりも小さくてもよい。
前述した積層体に用いる樹脂基板、樹脂層、樹脂、プリプレグは、本明細書に記載した樹脂層であってもよく、本明細書に記載した樹脂層に用いる樹脂、樹脂硬化剤、化合物、硬化促進剤、誘電体、反応触媒、架橋剤、ポリマー、プリプレグ、骨格材等を含んでもよい。
なお、前述のキャリア付銅箔または積層体は平面視したときに樹脂又はプリプレグ又は樹脂基板又は樹脂層よりも小さくてもよい。
以下に、本発明の実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。
(実施例1〜37、比較例1〜4)
1.キャリア付銅箔の作製
キャリアとして、厚さ35μmの長尺の電解銅箔(JX日鉱日石金属社製JTC)及び厚さ35μmの長尺の圧延銅箔(JX日鉱日石金属社製 JIS H3100 合金番号C1100に規格されるタフピッチ銅の箔)を用意した。用意したキャリアに対して以下の様に中間層を設けた。なお、表の「中間層」の欄の例えば「Ni/電解クロメート」は、キャリアの上にNiめっきを行い、Niめっきの後に電解クロメート処理を行ったことを意味する。実施例36については前述の圧延銅箔をキャリアに用い、それ以外の実施例および比較例については前述の電解銅箔をキャリアに用いた。
1.キャリア付銅箔の作製
キャリアとして、厚さ35μmの長尺の電解銅箔(JX日鉱日石金属社製JTC)及び厚さ35μmの長尺の圧延銅箔(JX日鉱日石金属社製 JIS H3100 合金番号C1100に規格されるタフピッチ銅の箔)を用意した。用意したキャリアに対して以下の様に中間層を設けた。なお、表の「中間層」の欄の例えば「Ni/電解クロメート」は、キャリアの上にNiめっきを行い、Niめっきの後に電解クロメート処理を行ったことを意味する。実施例36については前述の圧延銅箔をキャリアに用い、それ以外の実施例および比較例については前述の電解銅箔をキャリアに用いた。
・Niめっき(Ni)
上記銅箔(キャリア)のシャイニー面(圧延銅箔については一方の面もしくは他方の面)に対して、以下の条件でロール・トウ・ロール型の連続めっきラインで電気めっきすることにより、4000μm/dm2の付着量のNi層を形成した。
上記銅箔(キャリア)のシャイニー面(圧延銅箔については一方の面もしくは他方の面)に対して、以下の条件でロール・トウ・ロール型の連続めっきラインで電気めっきすることにより、4000μm/dm2の付着量のNi層を形成した。
(液組成)硫酸ニッケル:250〜300g/L、塩化ニッケル:35〜45g/L、酢酸ニッケル:10〜20g/L、ホウ酸:15〜30g/L、光沢剤:サッカリン、ブチンジオール等、ドデシル硫酸ナトリウム:30〜100ppm
(pH)表1に記載
(めっき後の浸漬時間)表1に記載
(液温)50〜70℃
(電流密度)3〜15A/dm2
(pH)表1に記載
(めっき後の浸漬時間)表1に記載
(液温)50〜70℃
(電流密度)3〜15A/dm2
次に、水洗し、さらに実施例8〜12、20〜24、34〜37については、表1に記載のpHの洗浄液を用いて固定した状態で5秒間酸洗した後、実施例1〜7、13〜19、30〜33、比較例1〜4については前述の酸洗を行わずに、引き続き、ロール・トウ・ロール型の連続めっきライン上で、Ni層の上に11μg/dm2の付着量のCr層を以下の条件で電解クロメート処理することにより付着させた。
・電解クロメート処理(電解クロメート)
(液組成)重クロム酸カリウム:1〜10g/L、亜鉛:0〜5g/L
(pH)3〜4
(液温)50〜60℃
(電流密度)0.1〜2.6A/dm2
(クーロン量)0.5〜30As/dm2
(液組成)重クロム酸カリウム:1〜10g/L、亜鉛:0〜5g/L
(pH)3〜4
(液温)50〜60℃
(電流密度)0.1〜2.6A/dm2
(クーロン量)0.5〜30As/dm2
・Ni−Mo層(ニッケルモリブデン合金めっき)
実施例25については、キャリアに対して、以下の条件でロール・トウ・ロール型の連続メッキラインで電気メッキすることにより3000μg/dm2の付着量のNi−Mo層を形成した。具体的なメッキ条件を以下に記す。
(液組成)硫酸Ni六水和物:50g/dm3、モリブデン酸ナトリウム二水和物:60g/dm3、クエン酸ナトリウム:90g/dm3
(pH)表1に記載
(めっき後の浸漬時間)表1に記載
(液温)30℃
(電流密度)1〜4A/dm2
(通電時間)3〜25秒
実施例25については、キャリアに対して、以下の条件でロール・トウ・ロール型の連続メッキラインで電気メッキすることにより3000μg/dm2の付着量のNi−Mo層を形成した。具体的なメッキ条件を以下に記す。
(液組成)硫酸Ni六水和物:50g/dm3、モリブデン酸ナトリウム二水和物:60g/dm3、クエン酸ナトリウム:90g/dm3
(pH)表1に記載
(めっき後の浸漬時間)表1に記載
(液温)30℃
(電流密度)1〜4A/dm2
(通電時間)3〜25秒
・有機物層(有機物層形成処理)
実施例26については上記の「Niめっき(Ni)」を形成した後に表1に記載のpHの洗浄液を用いて固定した状態で5秒間酸洗した後、また、実施例29についてはキャリアに対して、それぞれ、濃度1〜30g/Lのカルボキシベンゾトリアゾール(CBTA)を含む、液温40℃、pH5の水溶液を、20〜120秒間シャワーリングして噴霧することにより有機物層を形成した。また、実施例29については、有機物層形成後、上記の「Niめっき(Ni)」を形成した後に表1に記載のpHの洗浄液を用いて固定した状態で5秒間酸洗した。
実施例26については上記の「Niめっき(Ni)」を形成した後に表1に記載のpHの洗浄液を用いて固定した状態で5秒間酸洗した後、また、実施例29についてはキャリアに対して、それぞれ、濃度1〜30g/Lのカルボキシベンゾトリアゾール(CBTA)を含む、液温40℃、pH5の水溶液を、20〜120秒間シャワーリングして噴霧することにより有機物層を形成した。また、実施例29については、有機物層形成後、上記の「Niめっき(Ni)」を形成した後に表1に記載のpHの洗浄液を用いて固定した状態で5秒間酸洗した。
・Co−Mo層(コバルトモリブデン合金めっき)
実施例27についてはキャリアに対して、また、実施例28についてはキャリアに対して上記の「Niめっき(Ni)」を形成した後に表1に記載のpHの洗浄液を用いて固定した状態で5秒間酸洗した後、それぞれ、以下の条件でロール・トウ・ロール型の連続メッキラインで電気メッキすることにより4000μg/dm2の付着量のCo−Mo層を形成した。具体的なメッキ条件を以下に記す。なお、実施例27、28は、当該Co−Mo層を形成した後にさらに表1に記載のpHの洗浄液を用いて固定した状態で5秒間酸洗した。
(液組成)硫酸Co:50g/dm3、モリブデン酸ナトリウム二水和物:60g/dm3、クエン酸ナトリウム:90g/dm3
(pH)表1に記載
(めっき後の浸漬時間)表1に記載
(液温)30℃
(電流密度)1〜4A/dm2
(通電時間)3〜25秒
実施例27についてはキャリアに対して、また、実施例28についてはキャリアに対して上記の「Niめっき(Ni)」を形成した後に表1に記載のpHの洗浄液を用いて固定した状態で5秒間酸洗した後、それぞれ、以下の条件でロール・トウ・ロール型の連続メッキラインで電気メッキすることにより4000μg/dm2の付着量のCo−Mo層を形成した。具体的なメッキ条件を以下に記す。なお、実施例27、28は、当該Co−Mo層を形成した後にさらに表1に記載のpHの洗浄液を用いて固定した状態で5秒間酸洗した。
(液組成)硫酸Co:50g/dm3、モリブデン酸ナトリウム二水和物:60g/dm3、クエン酸ナトリウム:90g/dm3
(pH)表1に記載
(めっき後の浸漬時間)表1に記載
(液温)30℃
(電流密度)1〜4A/dm2
(通電時間)3〜25秒
引き続き、ロール・トウ・ロール型の連続めっきライン上で、中間層の上に、厚み2μmの極薄銅層を電解槽内にて下記の電解条件で電気めっきすることにより形成し、キャリア付銅箔を製造した。また、このとき、表1に記載のフィルター径の目を有するフィルターを電解槽に接続された給液用の配管の途中に設けることで、電解槽に上がる液が全てフィルターを通過した直後の液となり、これによって電解液中の微小な金属粉や異物等を除去した。なお、実施例1、2、14、28については、それぞれ極薄銅層の厚みを1、3、5μmとした場合のキャリア付銅箔についても製造して同様の評価を行った。その結果、極薄銅層の厚みを2μmとした場合とそれぞれ同じ結果となった。
(電解条件)
液組成:銅濃度:30〜120g/L、H2SO4濃度:20〜120g/L
電解液温度:20〜80℃
電流密度:10〜100A/dm2
(電解条件)
液組成:銅濃度:30〜120g/L、H2SO4濃度:20〜120g/L
電解液温度:20〜80℃
電流密度:10〜100A/dm2
実施例13〜24及び比較例3〜4について、上記方法により得られたキャリア付銅箔の極薄銅層表面に対し、粗化処理等の表面処理として以下の粗化処理、防錆処理、クロメート処理、及び、シランカップリング処理をこの順に行った。
・粗化処理
Cu:5〜30g/L (硫酸銅5水和物として添加)
H2SO4:30〜120g/L
W:10mg/L (タングステン酸ナトリウム2水和物として添加)
液温:30℃
電流密度Dk:20〜40A/dm2
時間:4秒
・防錆処理
Zn:0を超え〜20g/L
Ni:0を超え〜5g/L
pH:2.5〜4.5
液温:30〜50℃
電流密度Dk:0を超え〜1.7A/dm2
時間:1秒
Zn付着量:5〜250μg/dm2
Ni付着量:5〜300μg/dm2
・クロメート処理
K2Cr2O7
(Na2Cr2O7或いはCrO3):2〜10g/L
NaOH或いはKOH:10〜50g/L
ZnO或いはZnSO4・7H2O:0.05〜10g/L
pH:7〜13
液温:20〜80℃
電流密度 0.05〜5A/dm2
時間:5〜30秒
Cr付着量:10〜150μg/dm2
・シランカップリング処理
ビニルトリエトキシシラン水溶液
(ビニルトリエトキシシラン濃度:0.1〜1.4wt%)
pH:4〜5
液温:25〜60℃
浸漬時間:5〜30秒
・粗化処理
Cu:5〜30g/L (硫酸銅5水和物として添加)
H2SO4:30〜120g/L
W:10mg/L (タングステン酸ナトリウム2水和物として添加)
液温:30℃
電流密度Dk:20〜40A/dm2
時間:4秒
・防錆処理
Zn:0を超え〜20g/L
Ni:0を超え〜5g/L
pH:2.5〜4.5
液温:30〜50℃
電流密度Dk:0を超え〜1.7A/dm2
時間:1秒
Zn付着量:5〜250μg/dm2
Ni付着量:5〜300μg/dm2
・クロメート処理
K2Cr2O7
(Na2Cr2O7或いはCrO3):2〜10g/L
NaOH或いはKOH:10〜50g/L
ZnO或いはZnSO4・7H2O:0.05〜10g/L
pH:7〜13
液温:20〜80℃
電流密度 0.05〜5A/dm2
時間:5〜30秒
Cr付着量:10〜150μg/dm2
・シランカップリング処理
ビニルトリエトキシシラン水溶液
(ビニルトリエトキシシラン濃度:0.1〜1.4wt%)
pH:4〜5
液温:25〜60℃
浸漬時間:5〜30秒
上記のようにして得られた実施例及び比較例のキャリア付銅箔について、以下の方法で各評価を実施した。
<極薄銅層側表面の異常電着個数>
キャリア付銅箔を水平位置から45°傾けたステージ上に載せ、極薄銅層側表面について、倍率を500倍としてSEM写真を撮影した。図5に、極薄銅層側表面の異常電着の代表的なSEM像の例を示す。枠線で囲まれた部分に観察される凸部が異常電着である。また、図6に、異常電着を取り囲む円の例、及び、裾引き部が重なり合って群を成す異常電着の数のカウントの仕方について示すための極薄銅層側表面の異常電着のSEM像の例を示す。図6に示すように、異常電着の直径は裾引き部までを考慮して取り囲む円を設定し、その円の直径とした。また、裾引き部が重なり合って群を成す異常電着の数は、当該群における頂点の数とした。なお、異常電着個数の測定は1視野のサンプルの大きさを250μm×270μmとし、10視野観察することにより行った。
前述のSEM写真観察において、特定した異常電着を取り囲む円の最小直径が5μm以上かつ影を有している異常電着について、さらに下記方法により各異常電着の直径及び高さを測定し、直径が5μm以上かつ高さが0.5μm以上である異常電着、及び直径が5μm以下又は高さが0.5μm以下の異常電着の数をカウントした。
寸法測定ソフト(フリーソフト、次のURLで入手可能。http://www.macworld.co.uk/download/audio−video−photo/imagej−148v−3328545/)として、ImageJ 1.48vを使用した。図7に示す異常電着の直径については、予めImageJのSet Scaleコマンドにて画像のスケールから1画素あたりの長さを定義した後に、キャリア付銅箔を真上から測定したSEM写真について、図9に示す様にImageJの円形描画ツールにて異常電着部をマーキングし、Measureコマンドでマーキング部の面積を測定し、そこから以下の式により直径を求めた。
直径=2×(面積/π)1/2
図7の画像の場合、面積51.9μm2、直径8.1μmであった。次に図8に示す異常電着の高さについては、異常電着の中心部(前述の円形描画ツールで描いた円の中心)を通り、極薄銅層の厚み方向に平行な断面についてFIBで観察をした。そして、異常電着部の始まり部分(周囲の極薄銅層部と比べて厚みが厚くなる地点A)から異常電着部の終わる部分(もう一方の周囲の極薄銅層部と比べて厚みが厚くなる地点B)まで直線Cを引く。そして、直線Cに垂直な直線Dを異常電着部に引いた場合に、直線Cから異常電着部の端部までの直線Dの異常電着部を横切る長さが最も長い部分の、直線Cから異常電着部の端部までの直線Dの長さを、当該異常電着部の高さとした。ここで、前述の異常電着部の直径と同様にSet Scaleコマンドで1画素あたりの長さを定義したのちに、図10に示す様にImageJの直線描画ツールにて異常電着部の高さに合う様にマーキングし、Measureコマンドでマーキング部の長さを測定した。図8の画像の場合、高さ0.97μmであった。
キャリア付銅箔を水平位置から45°傾けたステージ上に載せ、極薄銅層側表面について、倍率を500倍としてSEM写真を撮影した。図5に、極薄銅層側表面の異常電着の代表的なSEM像の例を示す。枠線で囲まれた部分に観察される凸部が異常電着である。また、図6に、異常電着を取り囲む円の例、及び、裾引き部が重なり合って群を成す異常電着の数のカウントの仕方について示すための極薄銅層側表面の異常電着のSEM像の例を示す。図6に示すように、異常電着の直径は裾引き部までを考慮して取り囲む円を設定し、その円の直径とした。また、裾引き部が重なり合って群を成す異常電着の数は、当該群における頂点の数とした。なお、異常電着個数の測定は1視野のサンプルの大きさを250μm×270μmとし、10視野観察することにより行った。
前述のSEM写真観察において、特定した異常電着を取り囲む円の最小直径が5μm以上かつ影を有している異常電着について、さらに下記方法により各異常電着の直径及び高さを測定し、直径が5μm以上かつ高さが0.5μm以上である異常電着、及び直径が5μm以下又は高さが0.5μm以下の異常電着の数をカウントした。
寸法測定ソフト(フリーソフト、次のURLで入手可能。http://www.macworld.co.uk/download/audio−video−photo/imagej−148v−3328545/)として、ImageJ 1.48vを使用した。図7に示す異常電着の直径については、予めImageJのSet Scaleコマンドにて画像のスケールから1画素あたりの長さを定義した後に、キャリア付銅箔を真上から測定したSEM写真について、図9に示す様にImageJの円形描画ツールにて異常電着部をマーキングし、Measureコマンドでマーキング部の面積を測定し、そこから以下の式により直径を求めた。
直径=2×(面積/π)1/2
図7の画像の場合、面積51.9μm2、直径8.1μmであった。次に図8に示す異常電着の高さについては、異常電着の中心部(前述の円形描画ツールで描いた円の中心)を通り、極薄銅層の厚み方向に平行な断面についてFIBで観察をした。そして、異常電着部の始まり部分(周囲の極薄銅層部と比べて厚みが厚くなる地点A)から異常電着部の終わる部分(もう一方の周囲の極薄銅層部と比べて厚みが厚くなる地点B)まで直線Cを引く。そして、直線Cに垂直な直線Dを異常電着部に引いた場合に、直線Cから異常電着部の端部までの直線Dの異常電着部を横切る長さが最も長い部分の、直線Cから異常電着部の端部までの直線Dの長さを、当該異常電着部の高さとした。ここで、前述の異常電着部の直径と同様にSet Scaleコマンドで1画素あたりの長さを定義したのちに、図10に示す様にImageJの直線描画ツールにて異常電着部の高さに合う様にマーキングし、Measureコマンドでマーキング部の長さを測定した。図8の画像の場合、高さ0.97μmであった。
<回路形成性>
キャリア付銅箔の極薄銅層に対し、MSAP(モディファイドセミアディティブ)工法によって、L(ライン)/S(スペース)=30μm/30μm、25μm/25μm、20μm/20μm、15μm/20μm及び15μm/15μmの回路(各L/Sの回路をそれぞれ100個ずつ)の形成を試みた。作製した100個の回路のうち、回路のショートが発生した割合が30%未満(ショートした回路が30個未満)のものを○と判定し、30%以上(ショートした回路が30個以上)のものを×と判定した。
試験条件及び試験結果を表1及び2に示す。
キャリア付銅箔の極薄銅層に対し、MSAP(モディファイドセミアディティブ)工法によって、L(ライン)/S(スペース)=30μm/30μm、25μm/25μm、20μm/20μm、15μm/20μm及び15μm/15μmの回路(各L/Sの回路をそれぞれ100個ずつ)の形成を試みた。作製した100個の回路のうち、回路のショートが発生した割合が30%未満(ショートした回路が30個未満)のものを○と判定し、30%以上(ショートした回路が30個以上)のものを×と判定した。
試験条件及び試験結果を表1及び2に示す。
(評価結果)
実施例1〜37は、いずれも極薄銅層側表面の、直径が5μm以上であって、かつ、高さが0.5μm以上である異常電着個数が5000個/mm2以下であり、回路形成性が良好であった。
比較例1〜4は、いずれも極薄銅層を形成するための電解液の濾過に用いたフィルターが、2.5μm径より大きいサイズの目を有するものであり、極薄銅層側表面の、直径が5μm以上であって、かつ、高さが0.5μm以上である異常電着個数が5000個/mm2を超え、回路形成性が不良であった。
実施例1〜37は、いずれも極薄銅層側表面の、直径が5μm以上であって、かつ、高さが0.5μm以上である異常電着個数が5000個/mm2以下であり、回路形成性が良好であった。
比較例1〜4は、いずれも極薄銅層を形成するための電解液の濾過に用いたフィルターが、2.5μm径より大きいサイズの目を有するものであり、極薄銅層側表面の、直径が5μm以上であって、かつ、高さが0.5μm以上である異常電着個数が5000個/mm2を超え、回路形成性が不良であった。
Claims (24)
- キャリア、中間層、極薄銅層をこの順に有するキャリア付銅箔であって、
極薄銅層側表面の、直径が5μm以上であって、かつ、高さが0.5μm以上である異常電着個数が5000個/mm2以下であるキャリア付銅箔。 - 前記異常電着個数が2000個/mm2以下である請求項1に記載のキャリア付銅箔。
- 前記異常電着個数が1000個/mm2以下である請求項2に記載のキャリア付銅箔。
- 前記異常電着個数が600個/mm2以下である請求項3に記載のキャリア付銅箔。
- 前記極薄銅層表面及び前記キャリアの表面のいずれか一方または両方に粗化処理層を有する請求項1〜4のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
- 前記粗化処理層が、銅、ニッケル、りん、タングステン、ヒ素、モリブデン、クロム、鉄、バナジウム、コバルト及び亜鉛からなる群から選択されたいずれかの単体又はいずれか1種以上を含む合金からなる層である請求項5に記載のキャリア付銅箔。
- 前記粗化処理層の表面に、耐熱層、防錆層、クロメート処理層及びシランカップリング処理層からなる群から選択された1種以上の層を有する請求項5又は6に記載のキャリア付銅箔。
- 前記極薄銅層の表面に、耐熱層、防錆層、クロメート処理層及びシランカップリング処理層からなる群から選択された1種以上の層を有する請求項1〜7のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
- 前記極薄銅層上に樹脂層を備える請求項1〜7のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
- 前記粗化処理層上に樹脂層を備える請求項5又は6に記載のキャリア付銅箔。
- 前記耐熱層、防錆層、クロメート処理層及びシランカップリング処理層からなる群から選択された1種以上の層の上に樹脂層を備える請求項7又は8に記載のキャリア付銅箔。
- 前記樹脂層が接着用樹脂である請求項9〜11のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
- 前記樹脂層が半硬化状態の樹脂である請求項9〜12のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
- 請求項1〜13のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔を有する積層体。
- 請求項1〜13のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔を用いて積層体を製造する積層体の製造方法。
- 請求項1〜13のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔と樹脂とを含む積層体であって、前記キャリア付銅箔の端面の一部または全部が前記樹脂により覆われている積層体。
- 請求項1〜13のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔と樹脂とを二組有し、前記二組のうちの一方のキャリア付銅箔の極薄銅層側表面と、他方のキャリア付銅箔の極薄銅層側表面とがそれぞれ露出するように設けられた積層体。
- 請求項1〜13のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔を用いてプリント配線板を製造するプリント配線板の製造方法。
- 請求項18に記載のプリント配線板を用いて電子機器を製造する電子機器の製造方法。
- 請求項1〜13のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板とを積層する工程、及び、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板とを積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程を経て銅張積層板を形成し、
その後、セミアディティブ法、サブトラクティブ法、パートリーアディティブ法又はモディファイドセミアディティブ法のいずれかの方法によって、回路を形成する工程を含むプリント配線板の製造方法。 - 請求項1〜13のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔の前記極薄銅層側表面または前記キャリア側表面に回路を形成する工程、
前記回路が埋没するように前記キャリア付銅箔の前記極薄銅層側表面または前記キャリア側表面に樹脂層を形成する工程、
前記樹脂層上に回路を形成する工程、
前記樹脂層上に回路を形成した後に、前記キャリアまたは前記極薄銅層を剥離させる工程、及び、
前記キャリアまたは前記極薄銅層を剥離させた後に、前記極薄銅層または前記キャリアを除去することで、前記極薄銅層側表面または前記キャリア側表面に形成した、前記樹脂層に埋没している回路を露出させる工程
を含むプリント配線板の製造方法。 - 請求項1〜13のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔を前記キャリア側から樹脂基板に積層する工程、
前記キャリア付銅箔の前記極薄銅層側表面または前記キャリア側表面に回路を形成する工程、
前記回路が埋没するように前記キャリア付銅箔の前記極薄銅層側表面または前記キャリア側表面に樹脂層を形成する工程、
前記樹脂層上に回路を形成する工程、
前記樹脂層上に回路を形成した後に、前記キャリアまたは前記極薄銅層を剥離させる工程、及び、
前記キャリアまたは前記極薄銅層を剥離させた後に、前記極薄銅層または前記キャリアを除去することで、前記極薄銅層側表面または前記キャリア側表面に形成した、前記樹脂層に埋没している回路を露出させる工程
を含むプリント配線板の製造方法。 - 請求項1〜13のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔の前記極薄銅層側表面または前記キャリア側表面と樹脂基板とを積層する工程、
前記キャリア付銅箔の樹脂基板と積層した側とは反対側の極薄銅層側表面または前記キャリア側表面に樹脂層と回路との2層を、少なくとも1回設ける工程、及び、
前記樹脂層及び回路の2層を形成した後に、前記キャリア付銅箔から前記キャリアまたは前記極薄銅層を剥離させる工程
を含むプリント配線板の製造方法。 - 請求項1〜13のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔の前記キャリア側表面と樹脂基板とを積層する工程、
前記キャリア付銅箔の樹脂基板と積層した側とは反対側の極薄銅層側表面に樹脂層と回路との2層を、少なくとも1回設ける工程、及び、
前記樹脂層及び回路の2層を形成した後に、前記キャリア付銅箔から前記キャリアを剥離させる工程
を含むプリント配線板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017101219A JP2018192775A (ja) | 2017-05-22 | 2017-05-22 | キャリア付銅箔、積層体、積層体の製造方法、プリント配線板の製造方法、及び、電子機器の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP (1) | JP2018192775A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20230020180A1 (en) * | 2019-11-27 | 2023-01-19 | Ymt Co.,Ltd. | Carrier foil-attached metal foil, method of manufacturing the same, and laminate including the same |
-
2017
- 2017-05-22 JP JP2017101219A patent/JP2018192775A/ja active Pending
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