JP2018188597A - 輸送機器内装材用難燃性ウレタン樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】輸送機器の内装材として用いることができる耐火性能と煙の発生量が抑制され、かつ難燃性の高い難燃性ウレタン樹脂組成物を提供すること。【解決手段】難燃性ウレタン樹脂組成物は、ポリイソシアネート化合物、ポリオール化合物、三量化触媒、発泡剤、整泡剤、及び添加剤を含み、添加剤が赤リンを含む。【選択図】なし
Description
本発明は、輸送機器の内装材に用いるための難燃性ウレタン樹脂組成物に関する。
鉄道車両の安全性と断熱材を実現するために従来はガラスウール、グラスウール等の無機系繊維を断熱材として用いてきた(特許文献1)。従来知られているウレタン系材料は断熱性に優れる(特許文献2)。近年、耐火性ウレタン樹脂組成物が報告されており、耐火性対して非常に高い性能を発現している(特許文献3)。
無機系繊維は吸水しやすく強度が無いことから長期耐久性能が悪く、新たな材料が望まれている。従来知られているウレタン系材料は火災に対して弱いという問題があった。耐火性ウレタン樹脂組成物は耐火性対して非常に高い性能を発現しているが鉄道規格ではより低い発煙性能が求められている。
本発明の目的は、輸送機器の内装材として用いることができる耐火性能と煙の発生量が抑制され、かつ難燃性の高い難燃性ウレタン樹脂組成物を提供することにある。
また、上記の難燃性ウレタン樹脂組成物は、鉄道車体等の輸送機器の壁材、床材、天井材等の内装材に対してウレタン成型品又は現場吹き付け用ポリウレタンとして使用することができる。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく、添加剤として赤リンを使用することで、難燃性能を発現しながら発煙を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下の態様を包含する。
項1、ポリイソシアネート化合物、ポリオール化合物、触媒、発泡剤、整泡剤、及び添加剤を含む難燃性ウレタン樹脂組成物であって、添加剤が赤リンを含む、輸送機器の内装材に用いるための難燃性ウレタン樹脂組成物。
項2、触媒が三量化触媒を含有する項1に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
項3、添加剤がホウ素含有難燃剤及び針状フィラーのうちの少なくとも一種をさらに含有する項1又は2に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
項4、ホウ素含有難燃剤がホウ酸塩である請求項1〜3のいずれかに記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
項5、ポリイソシアネート化合物およびポリオール化合物からなるウレタン樹脂100重量部を基準として、赤リンが0.1〜20重量部、ホウ素含有難燃剤が0.1〜20重量部の範囲であり、針状フィラーが3〜30重量部である項3または4に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
項6、項1〜5のいずれか一項に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物を硬化してなる、輸送機器の内装材。
本発明によれば、煙の発生が抑制された難燃性の高い輸送機器の内装材に用いるための難燃性ウレタン樹脂組成物及び該難燃性ウレタン樹脂組成物を硬化してなる輸送機器の内装材が提供される。
本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物は、輸送機器の内装材に用いる。後述するように、本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物は成形体として、及び、現場吹き付けの用途等に好適に使用することができる。
ウレタン樹脂の主剤としてのポリイソシアネートとウレタン樹脂の硬化剤としてのポリオールは、化学反応により硬化して、ウレタン樹脂(ポリウレタン)を形成する。
本発明に使用するポリオールは、燃焼した際の総発熱量の低減効果が大きいことからポリエステルポリオール、またはポリエーテルポリオールを使用することが好ましい。
その中でも分子量200〜800のポリエステルポリオールを用いることがより好ましく、分子量300〜500のポリエステルポリオールを用いることがさらに好ましい。
またイソシアネートインデックスは、ポリオール化合物の水酸基に対するポリイソシアネート化合物のイソシアネート基の当量比を百分率で表したものであるが、その値が100を越えるということはイソシアネート基が水酸基より過剰であることを意味する。
本発明に使用するウレタン樹脂のイソシアネートインデックスの範囲は、100〜1000の範囲であることが好ましく、150〜700の範囲であることがより好ましく、150〜500の範囲であることが更に好ましく、200〜400の範囲であることが最も好ましい。イソシアネートインデックス(INDEX)は、以下の方法にて算出される。
INDEX=イソシアネートの当量数÷(ポリオールの当量数+水の当量数)×100
ここで、
イソシアネートの当量数=ポリイソシアネートの使用部数×NCO含有率(%)÷100/NCOの分子量、
ポリオールの当量数=OHV×ポリオールの使用部数÷KOHの分子量、OHVはポリオールの水酸基価(mg KOH/g)、
水の当量数=水の使用部数×水のOH基の数/水の分子量
である。なお上記式において、使用部数の単位は重量(g)であり、NCO基の分子量は42、NCO含有率はポリイソシアネート化合物中のNCO基の割合を質量%で表したものであり、
上記式の単位換算の都合上KOHの分子量は56100とし、水の分子量は18、水のOH基の数は2とする。
ここで、
イソシアネートの当量数=ポリイソシアネートの使用部数×NCO含有率(%)÷100/NCOの分子量、
ポリオールの当量数=OHV×ポリオールの使用部数÷KOHの分子量、OHVはポリオールの水酸基価(mg KOH/g)、
水の当量数=水の使用部数×水のOH基の数/水の分子量
である。なお上記式において、使用部数の単位は重量(g)であり、NCO基の分子量は42、NCO含有率はポリイソシアネート化合物中のNCO基の割合を質量%で表したものであり、
上記式の単位換算の都合上KOHの分子量は56100とし、水の分子量は18、水のOH基の数は2とする。
また難燃性ウレタン樹脂組成物は、触媒、発泡剤、整泡剤、及び添加剤を含む。
触媒は、三量化触媒を含むことが好ましい。三量化触媒は、ウレタン樹脂の主剤であるポリイソシアネート化合物に含まれるイソシアネート基を反応させて三量化させ、イソシアヌレート環の生成を促進する触媒である。
例えば、本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物を、成形体を製造するために用いる場合は、三量化触媒の添加量はウレタン樹脂100重量部に対して、0.05〜10重量部の範囲であることが好ましく、0.2〜8重量部の範囲であることがより好ましく、0.6〜6重量部の範囲であることが更に好ましく、0.6〜3.0重量部の範囲であることが最も好ましい。0.6重量部以上の場合にイソシアネートの三量化が阻害される不具合が生じず、10重量部以下の場合は適切な発泡速度を維持することができ、取り扱いやすい。
例えば、本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物を、現場吹き付けの用途に使用する場合は、三量化触媒の添加量はウレタン樹脂100重量部に対して、0.1重量部〜10重量部の範囲とすることができ、0.1重量部〜8重量部の範囲であることがより好ましく、0.1重量部〜6重量部の範囲であることが更に好ましく、1重量部〜6重量部の範囲であることが最も好ましい。上記下限値以上の場合はイソシアヌレート環の生成が充分に促進され、上記上限値以下の場合は適切な発泡速度を維持することができ、取り扱いやすい。
また、触媒は、さらにウレタン化触媒を含んでいてもよい。
例えば、本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物を、成形体を製造するために用いる場合は、使用するウレタン化触媒の添加量は限定されないが、ウレタン樹脂100重量部に対して、0〜10重量部の範囲であることが好ましく、0.05〜10重量部の範囲であることがより好ましく、0.1重量部〜7重量部の範囲であることが更に好ましい。
例えば、本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物を、現場吹き付けの用途に使用する場合は、使用するウレタン化触媒の添加量は限定されないが、ウレタン樹脂100重量部に対して、0〜10重量部の範囲とすることができ、0.1〜7重量部の範囲であることがより好ましく、1重量部〜4重量部の範囲であることが更に好ましい。
難燃性ウレタン樹脂組成物に使用する発泡剤としては、例えば、水、
プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等の低沸点の炭化水素、
ジクロロエタン、プロピルクロリド、イソプロピルクロリド、ブチルクロリド、イソブチルクロリド、ペンチルクロリド、イソペンチルクロリド等の塩素化脂肪族炭化水素化合物、
トリクロルモノフルオロメタン、トリクロルトリフロオロエタン、CHF3、CH2F2、CH3F等のフッ素化合物、
ジクロロモノフルオロエタン、(例えばHCFC141b(1、1―ジクロロ−1−フルオロエタン)、HCFC22(クロロジフルオロメタン)、HCFC142b(1―クロロ―1、1―ジフルオロエタン)等のハイドロクロロフルオロカーボン化合物、
HFC−245fa(1、1、1、3、3―ペンタフルオロプロパン)、HFC−365mfc(1、1、1、3、3―ペンタフルオロブタン)等のハイドロフルオロカーボン化合物、
HFO−1233zd(E)(トランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン)、HFO−1234yf(2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン);等のハイドロフルオロオレフィン
などが挙げられる。
プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等の低沸点の炭化水素、
ジクロロエタン、プロピルクロリド、イソプロピルクロリド、ブチルクロリド、イソブチルクロリド、ペンチルクロリド、イソペンチルクロリド等の塩素化脂肪族炭化水素化合物、
トリクロルモノフルオロメタン、トリクロルトリフロオロエタン、CHF3、CH2F2、CH3F等のフッ素化合物、
ジクロロモノフルオロエタン、(例えばHCFC141b(1、1―ジクロロ−1−フルオロエタン)、HCFC22(クロロジフルオロメタン)、HCFC142b(1―クロロ―1、1―ジフルオロエタン)等のハイドロクロロフルオロカーボン化合物、
HFC−245fa(1、1、1、3、3―ペンタフルオロプロパン)、HFC−365mfc(1、1、1、3、3―ペンタフルオロブタン)等のハイドロフルオロカーボン化合物、
HFO−1233zd(E)(トランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン)、HFO−1234yf(2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン);等のハイドロフルオロオレフィン
などが挙げられる。
発泡剤の範囲は、ウレタン樹脂100重量部に対して、0.1〜30重量部の範囲であることが好ましい。発泡剤は、ウレタン樹脂100重量部に対して、0.1〜18重量部の範囲であることがより好ましく、0.5〜18重量部の範囲であることが更に好ましく、0.5〜10重量部の範囲であることが最も好ましい。
発泡剤は、発熱量を抑制できるため、水、ペンタン、シクロペンタン、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロオレフィンを使用することが好ましく、水、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロオレフィンがより好ましく、水とハイドロフルオロオレフィンを併用することが好ましい。
発泡剤の範囲が0.1重量部以上の場合は気泡の形成が促進され良好な発泡体が得られ、30重量部以下の場合は、気化力が高くなり気泡が粗大になることを防ぐことができる。
難燃性ウレタン樹脂組成物に使用する整泡剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレン整泡剤、オルガノポリシロキサン等のシリコーン整泡剤等の界面活性剤等が挙げられる。
化学反応により硬化するウレタン樹脂に対する整泡剤の量は、使用する化学反応により硬化するウレタン樹脂により適宜設定されるが、一例を示すとすれば、例えば、ウレタン樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲であれば好ましい。
難燃剤である添加剤は、市販品を適宜選択して使用することができる。
本発明によれば、添加剤は赤リンを含む。
また、添加剤は、ホウ素含有難燃剤並びに針状フィラーのうちの少なくとも一方をさらに含むことができる。
さらに、添加剤は上記赤リン、ホウ素含有難燃剤及び針状フィラー以外の難燃剤、例えば、粘土鉱物、層状ポリ珪酸、モリブデン化合物、リン酸エステル、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤、及び金属水酸化物からなる群より選ばれる少なくとも一つの添加剤を含むことができる。
本発明に使用する添加剤の総量は、ウレタン樹脂100重量部に対して、6〜70重量部の範囲であることが好ましく、6〜60重量部の範囲であることがより好ましく、8.5〜40重量部の範囲であることが更に好ましい。
添加剤の範囲が6重量部以上の場合には難燃性を発現でき、70重量部以下の場合には難燃性ウレタン樹脂組成物の発泡が阻害されない。
本発明に使用する赤リンに限定はなく、市販品を適宜選択して使用することができる。
本発明に係る難燃性ウレタン樹脂組成物に使用する赤リンの量は特に限定されず、ウレタン樹脂100重量部に対して、通常0.1〜20重量部の範囲であることが好ましく、1〜10重量部の範囲であることがより好ましく、1.5〜8重量部の範囲であることがさらに好ましく、2〜6重量部の範囲であることが最も好ましい。赤リンの範囲が0.5重量部以上の場合は、難燃性を発揮し、また20重量部以下の場合には煙を抑制できる。
本発明に使用するホウ素含有難燃剤としては、ホウ砂、酸化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸塩等が挙げられる。酸化ホウ素としては、例えば、三酸化二ホウ素、三酸化ホウ素、二酸化二ホウ素、三酸化四ホウ素、五酸化四ホウ素等が挙げられる。
ホウ酸塩としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、周期表第4族、第12族、第13族の元素およびアンモニウムのホウ酸塩等が挙げられる。具体的には、ホウ酸塩としては、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸セシウム等のホウ酸アルカリ金属塩、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸バリウム等のホウ酸アルカリ土類金属塩、ホウ酸ジルコニウム、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸アンモニウム等が挙げられる。
本発明に使用するホウ素含有難燃剤は、ホウ酸塩であることが好ましく、ホウ酸亜鉛であればより好ましい。ホウ素含有難燃剤は、一種もしくは二種以上を使用することができる。
本発明に係る難燃性ウレタン樹脂組成物に使用するホウ素含有難燃剤の量は特に限定されず、ウレタン樹脂100重量部に対して、0.1〜60重量部の範囲であることが好ましく、0.1〜40重量部の範囲であることがより好ましく、1〜10重量部の範囲であることがさらに好ましい。
ホウ素含有難燃剤の範囲が0.1重量部以上の場合は、本発明に係る難燃性ウレタン樹脂組成物の燃焼時の煙の発生を抑制し、また60重量部以下の場合には製造コストが抑えられる。
針状フィラーは、収縮及び/又は変形を防止する。本明細書で「収縮」とは、長さ方向の長さ、幅方向の長さ、及び厚み方向の長さを含む、長さの変化を指し、「変形」とは、反り等の形状の変化、特には厚み方向の形状の変化を指す。針状とは、長径が短径の3倍以上をしたものをいい、所謂針形状だけでなく、紡錘形状、円柱形状のもの等も含む。板状とは、所謂板形状だけでなく、鱗片状、薄片状のもの等も含む。
針状フィラーは有機系フィラーであっても無機系フィラーであってもよいが、好ましくは無機系フィラーである。針状フィラーのアスペクト比は5〜50であり、好ましくは8〜40であり、より好ましくは10〜40であり、更に好ましくは10〜35であり、8〜25が最も好ましい。ここで、本明細書でいう針状フィラーのアスペクト比とは、フィラーを走査型電子顕微鏡で観察して得られる画像にて確認される針状フィラーの最大長さの最小厚さ(最大長さに対し垂直方向)に対する比(直径/厚さ比とも言う)であり、十分な数の針状フィラー、250個以上の平均である。
針状フィラーの平均粒径は0.1μm以上15μm未満であり、好ましくは0.1μm以上14μm以下、より好ましくは0.3〜10μmである。平均粒径はX線透過式沈降法粒度分布測定装置により求められる。針状フィラーの融点は750℃以上であり、好ましくは800℃以上、より好ましくは1,000℃以上である。
無機フィラーとしては、塩基性硫酸マグネシウム、硼酸アルミニウム、ウォラストナイト(珪灰石)、ゾノトライト、ドーソナイト、エレスタダイト、ベーマイト、棒状ヒドロキシアパタイト、チタン酸カリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、マグネシウム系ウィスカー、珪素系ウィスカー、針状アルミナ、針状セラミック、アスベスト、針状炭酸カルシウム、石膏繊維、ガラス繊維、アスベスト繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、炭素繊維(カーボンナノチューブ等の繊維状、針状またはフラーレン等の球状のニューカーボンを含む)、グラファイト繊維、窒化硼素繊維、硼素繊維、金属繊維等が例示される。
板状の無機フィラーとしては鱗片状黒鉛、板状炭酸カルシウム、板状水酸化アルミニウム、ガラスフレーク、板状酸化鉄、金属板状物等が例示される。
一実施形態では、針状フィラーはアスペクト比が5〜50、平均粒径が0.1μm以上15μm未満の無機フィラーである。好ましい針状フィラーはウォラストナイトまたはチタン酸カリウムウィスカーである。
針状フィラーの添加量は、ウレタン樹脂100重量部に対して、3〜30重量部の範囲であることが好ましく、3〜25重量部の範囲であることがより好ましく、3〜18重量部の範囲であることが更に好ましい。針状フィラーが3重量部以上30重量部以下の場合、難燃性ウレタン樹脂組成物の形状保持性が良好である。
一実施形態において、添加剤6〜70重量部に対し針状フィラー3〜30重量部、好ましくは添加剤6〜60重量部に対し針状フィラー3〜25重量部、より好ましくは添加剤8.5〜40重量部に対し針状フィラー3〜18重量部である。
粘土鉱物は、例えば、ハイドロタルサイト、ハイドロタルサイト型層状複水酸化物、カオリナイト、ハロイサイト、セリサイト、モンモリロナイト、スメクタイト、ヘクトライト、サポナイト、バーミキュライト、タルク等が挙げられる。
ハイドロタルサイトは、炭酸塩鉱物の一種であり、例えば、組成式Mg6Al2(CO3)(OH)16・4(H2O)、Mg3.5Zn0.5Al2(OH)12(CO3)・3H2O、Mg4.5Al2(OH)13(CO3)・3.5H2Oで表わされる粘土鉱物である。本願発明の難燃性ウレタン樹脂組成物にハイドロタルサイトを添加することで、一酸化炭素の発生が抑制される。
層状ポリ珪酸としては、例えば、ケニアイト、マカタイト、カネマイト、マガディアイト、アイラライト等の公知のポリ珪酸が挙げられる。
粘土鉱物及び層状ポリ珪酸の各々の添加量は、ウレタン樹脂100重量部に対して、0.1〜20重量部の範囲であることが好ましく、0.5〜10重量部の範囲であることがより好ましく、1〜5重量部の範囲であることが更に好ましい。ハイドロタルサイトが0.1重量部以上の場合、一酸化炭素の発生が効果的に抑制され、20重量部以下の場合、加熱時の難燃性ウレタン樹脂組成物の発熱が良好である。
モリブデン化合物も、本願発明の難燃性ウレタン樹脂組成物に添加することで、一酸化炭素の発生量が抑制される。モリブデン化合物としてはモリブデン酸アンモニウム、三酸化モリブデンが挙げられる。
モリブデン化合物の添加量は、ウレタン樹脂100重量部に対して、0.1〜20重量部の範囲であることが好ましく、0.5〜10重量部の範囲であることがより好ましく、1〜5重量部の範囲であることが更に好ましい。モリブデン化合物が0.1重量部以上の場合、煙の発生が効果的に抑制され、20重量部以下の場合、加熱時の難燃性ウレタン樹脂組成物の発熱が良好である。
難燃性ウレタン樹脂組成物は、リン酸エステル、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤、及び金属水酸化物からなる群より選ばれる少なくとも一つの添加剤をさらに含んでもよい。かかる少なくとも一つの添加剤の量は、ウレタン樹脂100重量部に対して、0.1〜60重量部の範囲であることが好ましく、0.1〜40重量部の範囲であることがより好ましく、1〜10重量部の範囲であることが更に好ましい。
本発明に使用するリン酸エステルは特に限定されないが、モノリン酸エステル、縮合リン酸エステル等を使用することが好ましい。
モノリン酸エステルとしては、特に限定はないが、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレ二ルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリス(フェニルフェニル)ホスフェート、トリナフチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレ二ルジフェニルホスフェート、ジフェニル(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジ(イソプロピルフェニル)フェニルホスフェート、モノイソデシルホスフェート、2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、メラミンホスフェート、ジメラミンホスフェート、メラミンピロホスフェート、トリフェニルホスフィンオキサイド、トリクレジルホスフィンオキサイド、メタンホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジエチル、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、ホスファフェナンスレン、トリス(β−クロロプロピル)ホスフェート等が挙げられる。
縮合リン酸エステルとしては、特に限定はないが、例えば、トリアルキルポリホスフェート、レゾルシノールポリフェニルホスフェート、レゾルシノールポリ(ジ−2,6−キシリル)ホスフェート(大八化学工業社製、商品名PX−200)、ハイドロキノンポリ(2,6−キシリル)ホスフェートならびにこれらの縮合物、レゾルシノールポリフェニルホスフェート(商品名CR−733S、PFR)、ビスフェノールAポリクレジルホスフェート(商品名CR−741、商品名FP−600、FP−700)、芳香族縮合リン酸エステル(商品名CR747)等を挙げることができる。
上記の中でも、硬化前の組成物中の粘度の低下させる効果と初期の発熱量を低減させる効果が高いためモノリン酸エステルを使用することが好ましく、クレジルジフェニルホスフェートを使用することがより好ましい。
リン酸エステルは一種もしくは二種以上を使用することができる。
リン酸エステルの添加量は、ウレタン樹脂100重量部に対して、2.5〜50重量部の範囲であることが好ましく、2.5〜40重量部の範囲であることがより好ましく、2.5〜30重量部の範囲であることが更に好ましい。
リン酸エステルの範囲が2.5重量部以上の場合には難燃性ウレタン樹脂組成物に難燃性が付与され、50重量部以下の場合には難燃性ウレタン樹脂組成物の粘度が維持される。
リン酸塩含有難燃剤はリン酸を含むものである。リン酸塩含有難燃剤に使用されるリン酸は特に限定はないが、モノリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸等の各種リン酸が挙げられる。
リン酸塩含有難燃剤としては、例えば、各種リン酸と周期律表IA族〜IVB族の金属、アンモニア、脂肪族アミン、芳香族アミン、環に窒素を含む複素環式化合物から選ばれる少なくとも一種の金属または化合物との塩からなるリン酸塩を挙げることができる。
周期律表IA族〜IVB族の金属として、リチウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、鉄(II)、鉄(III)、アルミニウム等が挙げられる。
また脂肪族アミンとして、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、ピペラジン等が挙げられる。
また芳香族アミンとして、アニリン、o−トリイジン、2,4,6−トリメチルアニリン、アニシジン、3−(トリフルオロメチル)アニリン等が挙げられる。
また環に窒素を含む複素環式化合物として、ピリジン、トリアジン、メラミン等が挙げられる。
リン酸塩含有難燃剤の具体例としては、例えば、モノリン酸塩、ピロリン酸塩、ポリリン酸塩等が挙げられる。
またポリリン酸塩としては特に限定されないが、例えば、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸ピペラジン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウムアミド、ポリリン酸アルミニウム等が挙げられる。
前記モノリン酸塩としては特に限定されないが、例えば、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム等のアンモニウム塩、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、亜リン酸一ナトリウム、亜リン酸二ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム等のナトリウム塩、リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、リン酸三カリウム、亜リン酸一カリウム、亜リン酸二カリウム、次亜リン酸カリウム等のカリウム塩、リン酸一リチウム、リン酸二リチウム、リン酸三リチウム、亜リン酸一リチウム、亜リン酸二リチウム、次亜リン酸リチウム等のリチウム塩、リン酸二水素バリウム、リン酸水素バリウム、リン酸三バリウム、次亜リン酸バリウム等のバリウム塩、リン酸一水素マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸三マグネシウム、次亜リン酸マグネシウム等のマグネシウム塩、リン酸二水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸三カルシウム、次亜リン酸カルシウム等のカルシウム塩、リン酸亜鉛、亜リン酸亜鉛、次亜リン酸亜鉛等の亜鉛塩、第一リン酸アルミニウム、第二リン酸アルミニウム、第三リン酸アルミニウム、亜リン酸アルミニウム、次亜リン酸アルミニウム等のアルミニウム塩等が挙げられる。
これらの中でも、第一リン酸アルミニウム、第二リン酸アルミニウム、第三リン酸アルミニウムが好ましく、第一リン酸アルミニウムがより好ましい。
リン酸塩含有難燃剤は一種もしくは二種以上を使用することができる。
本発明に使用するリン酸塩含有難燃剤の添加量に特に限定はないが、ウレタン樹脂100重量部に対して、0.1〜60重量部の範囲であることが好ましく、0.1〜20重量部の範囲であることがより好ましく、0.1〜10重量部の範囲であることが更に好ましく、1.0〜5重量部の範囲であることが最も好ましい。
臭素含有難燃剤としては、分子構造中に臭素を含有する化合物であれば特に限定はないが、例えば、臭素化芳香環含有芳香族化合物等を挙げることができる。
臭素化芳香環含有芳香族化合物の具体例としては、例えば、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、ヘキサブロモビフェニル、デカブロモビフェニル、ヘキサブロモシクロデカン、デカブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモジフェニルエーテル、ビス(ペンタブロモフェノキシ)エタン、エチレンビス(ペンタブロモフェニル)、エチレンビス(テトラブロモフタルイミド)、テトラブロモビスフェノールA、等のモノマー系有機臭素化合物、
臭素化ビスフェノールAを原料として製造されたポリカーボネートオリゴマー、ポリカーボネートオリゴマーとビスフェノールAとの共重合物等の臭素化ポリカーボネート、
臭素化ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジエポキシ化合物、臭素化フェノール類とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるモノエポキシ化合物等の臭素化エポキシ化合物、
ポリ(臭素化ベンジルアクリレート)、
臭素化ポリフェニレンエーテル、
臭素化ビスフェノールA、塩化シアヌールおよび臭素化フェノールの縮合物、
臭素化(ポリスチレン)、ポリ(臭素化スチレン)、架橋臭素化ポリスチレン等の臭素化ポリスチレン、
架橋または非架橋臭素化ポリ(−メチルスチレン)等のハロゲン化された臭素化合物ポリマーが挙げられる。
臭素化ビスフェノールAを原料として製造されたポリカーボネートオリゴマー、ポリカーボネートオリゴマーとビスフェノールAとの共重合物等の臭素化ポリカーボネート、
臭素化ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジエポキシ化合物、臭素化フェノール類とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるモノエポキシ化合物等の臭素化エポキシ化合物、
ポリ(臭素化ベンジルアクリレート)、
臭素化ポリフェニレンエーテル、
臭素化ビスフェノールA、塩化シアヌールおよび臭素化フェノールの縮合物、
臭素化(ポリスチレン)、ポリ(臭素化スチレン)、架橋臭素化ポリスチレン等の臭素化ポリスチレン、
架橋または非架橋臭素化ポリ(−メチルスチレン)等のハロゲン化された臭素化合物ポリマーが挙げられる。
燃焼初期の発熱量を制御する観点から、エチレンビス(ペンタブロモフェニル)、エチレンビス(テトラブロモフタルイミド)、ヘキサブロモベンゼン等が好ましく、ヘキサブロモベンゼンがより好ましい。
臭素含有難燃剤は一種もしくは二種以上を使用することができる。
本発明に使用する臭素含有難燃剤の添加量に特に限定はないが、ウレタン樹脂100重量部に対して、0.1〜60重量部の範囲であることが好ましく、0.1〜50重量部の範囲であることがより好ましく、0.1〜40重量部の範囲であることが更に好ましい。
アンチモン含有難燃剤としては、例えば、酸化アンチモン、アンチモン酸塩、ピロアンチモン酸塩等が挙げられる。
アンチモン含有難燃剤は、一種もしくは二種以上を使用することができる。
本発明に使用するアンチモン含有難燃剤の添加量に特に限定はないが、ウレタン樹脂100重量部に対して、0.1〜60重量部の範囲であることが好ましく、0.1〜50重量部の範囲であることがより好ましく、0.1〜40重量部の範囲であることが更に好ましく、1部〜10部の範囲であることが最も好ましい。
さらに難燃性ウレタン樹脂組成物は、それぞれ本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、上記の針状フィラーとは別の一種もしくは二種以上の無機充填材、フェノール系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤、熱安定剤、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料、粘着付与樹脂等の補助成分、ポリブテン、石油樹脂等の粘着付与剤を含むことができる。
一実施形態では、難燃性ウレタン樹脂組成物は、ポリイソシアネート化合物およびポリオール化合物からなるウレタン樹脂100重量部を基準として、0.6〜10重量部の範囲の三量化触媒と、0.1〜30重量部の発泡剤と、0.1〜10重量部の範囲の整泡剤と、6〜70重量部の範囲の添加剤とを含み、添加剤中、赤リンが1〜10重量部、ホウ素含有難燃剤が0.1〜60重量部、フィラーが3〜30重量部である。
難燃性ウレタン樹脂組成物は反応して硬化するため、その粘度は時間の経過と共に変化
発泡性ポリウレタン組成物の硬化は混合および常温で行なってもよいが、各成分を予め加熱しておいてもよい。
発泡性ポリウレタン組成物の硬化は混合および常温で行なってもよいが、各成分を予め加熱しておいてもよい。
上記の整泡剤、触媒、発泡剤および難燃剤は、ポリオールまたはポリイソシアネートのいずれと混合されてもよいし、ポリオールおよびポリイソシアネートとは別に提供されてもよいが、好ましくはポリオール、整泡剤、触媒、発泡剤、および難燃剤は、ポリオールとこれらの成分とを含むポリオールプレミックスとして提供されることができる(ポリイソシアネート化合物と反応させてポリウレタン発泡体を得るためのポリオール溶液組成物)。また、上記のその他の成分もポリオールまたはポリイソシアネートのいずれと混合されてもよいし、ポリオールおよびポリイソシアネートとは別に提供されてもよいが、好ましくはポリオールプレミックスに含まれる。
ポリオール、ポリイソシアネート、整泡剤、触媒、発泡剤、および添加剤(難燃剤)、好ましくはポリイソシアネートと、ポリオール、整泡剤、触媒、発泡剤、および添加剤(難燃剤)を含有するポリオールプレミックスとが混合されて生じる難燃性ポリウレタン組成物は、発泡および硬化してポリウレタン発泡体となる。
難燃性ウレタン樹脂組成物の製造方法は特に限定されないが、例えば、難燃性ウレタン樹脂組成物の各成分を混合する方法、難燃性ウレタン樹脂組成物を有機溶剤に懸濁させたり、加温して溶融させたりして塗料状とする方法、溶剤に分散してスラリーを調製する等の方法がある。また、難燃性ウレタン樹脂組成物に含まれる反応硬化性樹脂成分に常温(約25℃)の温度において固体である成分が含まれる場合には、難燃性ウレタン樹脂組成物の成分を加熱下に溶融させる等の方法により難燃性ウレタン樹脂組成物を得ることができる。
難燃性ウレタン樹脂組成物は、難燃性ウレタン樹脂組成物の各成分を単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダーミキサー、混練ロール、ライカイ機、遊星式撹拝機、高圧発泡機、低圧発泡機、吹付け機等公知の装置を用いて混練することにより得ることができる。
また、ウレタン樹脂の主剤と硬化剤とをそれぞれ別々に充填材等と共に混練しておき、注入直前にスタティックミキサー、ダイナミックミキサー等で混練して得ることもできる。
上記の高圧発泡機、低圧発泡機を使用する時は触媒及び/又は発泡剤を除く難燃性ウレタン樹脂組成物の成分と、触媒及び/又は発泡剤を注入直前に同様に混練して得ることもできる。
本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物は、例えば成形体である。上記の発泡機を使用して難燃性ウレタン樹脂組成物を硬化してなる成形体を製造する時の硬化温度は特に限定されないが、通常は硬化温度を20〜120℃の範囲に設定して行い、40℃以上100℃以下とすることが好ましく、40℃以上90℃以下にすることがより好ましく、50℃以上80℃以下にすることが更に好ましく、60℃以上80℃未満にすることが最もこのましい。例えば成形体を製造する場合、40℃以上の温度で硬化させると、型の隅まで難燃性ウレタン樹脂組成物が行き届き、難燃性ウレタン樹脂組成物の均一な充填が可能となる。
上記の型の種類は特に限定されず、金型、ダンボール型、樹脂型等を使用することが可能であるが、温調をコントロールしやすいため、金型を使用することが好ましい。
発泡させた難燃性ウレタン樹脂組成物を硬化してなる成形体はそのまま使用することが出来るが、発熱量を下げる目的でスキン層を除去した芯材部分のみを使用することが好ましい。
また、本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物は別の実施形態として現場吹き付け(現場発泡)で使用することも可能であり、難燃性ウレタン樹脂組成物は吹き付けの硬化物である。この場合は、エアゾール式等の大掛かりな装置を用いることなく、例えばわずかな開口部または隙間を現場で補修するために、現場で輸送機器の内側の基材に吹き付けて発泡体を形成する、現場吹き付けの用途に使用される。
輸送機器に対して現場吹付する場合は、吹付装置(例えばGRACO社製:A-25)及びスプレーガン(例えばガスマー社製:Dガン)を利用して実施することができる。現場吹付は、別容器に入った第1液と第2液を吹付装置内で温度調整し、スプレーガンの先端で2液を衝突混合させ、混合液をエア圧によりミスト化することで実施できる。吹付装置及びスプレーガンは公知であり、市販品を使用することができる。
また、カートリッジガン、吐出装置等の装置を利用して実施することができる。輸送機器に対して現場吹付する場合は、第1液と第2液が別容器に入った2液混合容器、第1液と第2液が一つの容器に収容されている2液混合容器のいずれもが利用可能である。混合容器は必要に応じて撹拌装置とともに、前述の装置と組み合わせて用いることができる。カートリッジガンも公知であり、市販品を使用することができる。
本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物が成型品である場合は、壁、天井、屋根、床などの内装材として使用することが可能である。本発明の普通鋼、ステンレス、軽量ステンレス、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属材、アルミ箔、アルミガラスクロス等の表面材、軟質ウレタンやPEフォーム等の有機物と積層して使用することが可能であり、また単独で使用することも出来る。
本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物を現場吹き付け(現場発泡)で使用する時は、鉄道、船舶、航空機等の輸送機器の内装材(例えば、断熱材)に使用される発泡体の補修用途に用いられたり、あるいは輸送機器の開口部または隙間を充填するために用いられたりする。
ここで「輸送機器の内装材」には、輸送機器の内側を構成する外装以外の任意の構造が含まれ、壁、天井、屋根、床などの内装の構造材のみならず、窓(引き違い窓、開き窓、上げ下げ窓等を含む)、障子、扉(すなわちドア)、戸、ふすま、欄間などの部材も含まれる。また、「開口部」は、輸送機器の構造材の間に生じる目地や、一つの構造材中に生じる穴を含め、輸送機器の内容に生じる任意の開口部を指すが、「隙間」とは開口部の中でも、構造材と構造材の間、構造材と部材の間、部材と部材の間、構造材または部材と付属品(座席部分など)との間のように、向かい合う2つの部材または部分間に生じる開口部を指す。
ポリイソシアネートとポリオールプレミックスを硬化して得られる難燃性ウレタン樹脂組成物は、防水性、気密性、および難燃性に優れているため、輸送機器の開口部または隙間からの水、煙や炎、燃焼により発生するガス等の侵入を効果的に遮断することができる。
使用する金属は、任意の基材(構造材)に対してすることができるが、例えば、金属としては、普通鋼、ステンレス、軽量ステンレス、アルミニウム、アルミニウム合金が例示される。
ここでいうステンレスとはJIS G 3302、JIS G 3313、JIS G 3317、JIS G 3321などに例示されるめっき鋼板、JIS G 4304、JIS G 4305などに例示されるステンレス鋼板等が挙げられる。
また、アルミニウム合金はJIS H 4000、JIS Z 3604-2002、JIS Z 3323-2000に例示されるアルミニウム合金が挙げられる。
熱伝導率が高く難燃性の効果が発揮されにくい鉄鋼を基材として使用する場合に、本発明の発泡体の優れた特性が好適に発揮される。
本発明により提供される発泡断熱材は、加熱時にも接着性を保持して脱落しない。
難燃性ウレタン樹脂組成物を基材に吹き付ける厚み(吹付厚み)は特に限定されないが、15〜100mm、好ましくは20〜100mm、特に好ましくは25〜100mmとすることができる。
本発明は、上記の難燃性ウレタン樹脂組成物を基材(構造材)に吹付けるステップを含むことを特徴とする、難燃構造の製造方法をも提供する。本発明の難燃構造の製造方法は、好ましくは現場で上記ポリオールプレミックスとイソシアネート化合物とを現場で混合するステップを含む。
基材に吹付けた難燃性ウレタン樹脂組成物が発泡及び硬化し、基材に接着することで難燃構造が製造される。
本発明は、上記の製造方法により得られる積層体である難燃構造をも包含する。本発明の難燃構造(積層体)は、基材上に、本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物が硬化した発泡体が積層している。
次に本発明に係る難燃性ウレタン樹脂組成物の応用例について説明する。
難燃性ウレタン樹脂組成物を、薄厚のパネルに成形し、自動車、電車、船等の内側の構造物に配置することができる。あるいは、難燃性ウレタン樹脂組成物の成分を上記構造物に吹き付けることにより、構造物の表面に難燃性ウレタン樹脂組成物を形成することができる。
次に本発明の成形体について実施する耐火試験について説明する。
本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物を使用してISO−5659−2の試験方法に準拠して、煙濃度を測定する。
また、本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物からなる成形体は、75mm×75mm×25mm(長さ方向×幅方向×厚み方向)の成形体をISO−5659−2 Plastic-smoke generation Part2:Determination of optical density by a single-chamber testの試験方法に準拠してスモークチャンバー(FTT社製)を使用して、輻射熱強度50kW/m2にて試験開始後4分間の煙の特定光学密度の積算値(VoF4)を使用した。
以下、実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されない。
1.難燃性ウレタン樹脂組成物からなる発泡成形体の製造
表1に示した配合により、実施例1〜11及び比較例1〜4に係る難燃性ウレタン樹脂組成物をそれぞれ準備した。表中の各成分の詳細は次の通りである。
表1に示した配合により、実施例1〜11及び比較例1〜4に係る難燃性ウレタン樹脂組成物をそれぞれ準備した。表中の各成分の詳細は次の通りである。
(1)ポリオール化合物
(A-1)p−フタル酸ポリエステルポリオール(川崎化成工業社製、製品名:マキシモールRLK−087、水酸基価=200mgKOH/g)
(A-2) p−フタル酸ポリエステルポリオール(川崎化成工業社製、製品名:マキシモールRFK−505、水酸基価=250mgKOH/g)。
(A-1)p−フタル酸ポリエステルポリオール(川崎化成工業社製、製品名:マキシモールRLK−087、水酸基価=200mgKOH/g)
(A-2) p−フタル酸ポリエステルポリオール(川崎化成工業社製、製品名:マキシモールRFK−505、水酸基価=250mgKOH/g)。
(2)整泡剤
ポリアルキレングリコール系整泡剤(東レダウコーニング社製、製品名:SH−193)。
ポリアルキレングリコール系整泡剤(東レダウコーニング社製、製品名:SH−193)。
(3)触媒
(B-1)三量化触媒(サンアプロ株式会社製、製品名:U−CAT 18X)
(B-2)三量化触媒(東ソー社製、製品名:TOYOCAT−TR20)、
(B-3)三量化触媒(オクチル酸カリウム、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、製品名:K−Zero G)
(B-4)ウレタン化触媒(サンアプロ株式会社製、製品名:U−CAT 202)
(B-5)ウレタン化触媒(東ソー社製、製品名:TOYOCAT(登録商標)−RX5)
(B-6)ウレタン化触媒(東ソー社製、製品名:TOYOCAT−TT)
(B-7)ウレタン化触媒(日東化成社製、製品名:U−830)
(B-8)ウレタン化触媒(ペンタメチルジエチレントリアミン、東ソー社製、製品名:TOYOCAT−DT)。
(B-1)三量化触媒(サンアプロ株式会社製、製品名:U−CAT 18X)
(B-2)三量化触媒(東ソー社製、製品名:TOYOCAT−TR20)、
(B-3)三量化触媒(オクチル酸カリウム、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、製品名:K−Zero G)
(B-4)ウレタン化触媒(サンアプロ株式会社製、製品名:U−CAT 202)
(B-5)ウレタン化触媒(東ソー社製、製品名:TOYOCAT(登録商標)−RX5)
(B-6)ウレタン化触媒(東ソー社製、製品名:TOYOCAT−TT)
(B-7)ウレタン化触媒(日東化成社製、製品名:U−830)
(B-8)ウレタン化触媒(ペンタメチルジエチレントリアミン、東ソー社製、製品名:TOYOCAT−DT)。
(4)発泡剤
(C-1)純水
(C-2)HFC−365mfc(1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン、日本ソルベイ社製)
(C-3)HFC−245fa(1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン、セントラル硝子社製)
(C-4)HFO(トランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、ハネウェル社製、製品名:ソルスティスLBA)。
(C-1)純水
(C-2)HFC−365mfc(1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン、日本ソルベイ社製)
(C-3)HFC−245fa(1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン、セントラル硝子社製)
(C-4)HFO(トランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、ハネウェル社製、製品名:ソルスティスLBA)。
(5)イソシアネート化合物 (以下、「ポリイソシアネート」という)
MDI(東ソー社製、製品名:ミリオネートMR−200)粘度:167mPa・s、NCO含有量=32.1%。
MDI(東ソー社製、製品名:ミリオネートMR−200)粘度:167mPa・s、NCO含有量=32.1%。
(6)添加剤
(D-1)赤リン(燐化学工業社製、製品名:ノーバエクセル140)
(D-2)クレジルジフェニルホスフェート(大八化学工業社製、製品名:CDP)
(D-3)針状フィラー ウォラストナイト(SiO2・CaO)(キンセイマテック社製、製品名:SH−1250)アスペクト比10〜16、平均粒径4.5〜6.5μm
(D-4)ホウ酸亜鉛(早川商事社製、製品名:Firebrake ZB)
(D-5)モリブデン酸アンモニウム(日本無機化学工業社製、製品名:TF−2000)。
(D-1)赤リン(燐化学工業社製、製品名:ノーバエクセル140)
(D-2)クレジルジフェニルホスフェート(大八化学工業社製、製品名:CDP)
(D-3)針状フィラー ウォラストナイト(SiO2・CaO)(キンセイマテック社製、製品名:SH−1250)アスペクト比10〜16、平均粒径4.5〜6.5μm
(D-4)ホウ酸亜鉛(早川商事社製、製品名:Firebrake ZB)
(D-5)モリブデン酸アンモニウム(日本無機化学工業社製、製品名:TF−2000)。
ポリオールプレミックスの作成
表1のポリオール化合物、触媒、整泡剤、発泡剤、および難燃剤を全量が10kgになるように計量し、10分間撹拌し、ポリオールプレミックスを作成した。
表1のポリオール化合物、触媒、整泡剤、発泡剤、および難燃剤を全量が10kgになるように計量し、10分間撹拌し、ポリオールプレミックスを作成した。
試験例1 低圧発泡機を使用した難燃性ウレタン樹脂組成物の製造
上記で作成したポリオールプレミックスとポリイソシアネート化合物を低圧発泡機(東邦機械工業社製、A310型低圧発泡機)の別々のタンクに投入した。
上記で作成したポリオールプレミックスとポリイソシアネート化合物を低圧発泡機(東邦機械工業社製、A310型低圧発泡機)の別々のタンクに投入した。
低圧発泡機をノズルと接続し、ノズルを上側が開放されている金型上部からノズルを介してウレタン樹脂組成物を金型内に下記の条件で注入した。
型サイズ(内寸):20cm×20cm
型温度:70℃
型材質:アルミニウム
ポリオールプレミックス液温:25℃
イソシアネート液温:25℃
ミキシング方法:低圧ウレタン発泡機を使用し、ポリオールプレミックスとイソシアネートとを流量3kg/min、回転数:3000rpm/min所定の部数を表1の量を吐出して目的の比重になるように混合し、室温25℃で300g注入した。
型サイズ(内寸):20cm×20cm
型温度:70℃
型材質:アルミニウム
ポリオールプレミックス液温:25℃
イソシアネート液温:25℃
ミキシング方法:低圧ウレタン発泡機を使用し、ポリオールプレミックスとイソシアネートとを流量3kg/min、回転数:3000rpm/min所定の部数を表1の量を吐出して目的の比重になるように混合し、室温25℃で300g注入した。
ポリオールプレミックスとイソシアネートと混合物を注入後、30分間同温度で養生・硬化させ、脱型することで硬化した難燃性ウレタン樹脂組成物を得た。
試験例2 吹付機を使用した難燃性ウレタン樹脂組成物の製造
Graco製吹付機「HV−R」、ガスマー製スプレーガン「Dガン」を用いて、表1に示す条件にてSUS304を基材として厚み40mmで吹付を行った。なお、ホース温度はイソシアネート、ポリオールプレミックス共に35℃として、室温及び基材温度は25℃であり、吐出圧は30barに設定した。
Graco製吹付機「HV−R」、ガスマー製スプレーガン「Dガン」を用いて、表1に示す条件にてSUS304を基材として厚み40mmで吹付を行った。なお、ホース温度はイソシアネート、ポリオールプレミックス共に35℃として、室温及び基材温度は25℃であり、吐出圧は30barに設定した。
試験例1及び試験例2で製造したウレタン樹脂組成物を所定のサイズに切出し、スモークチャンバーを使用して発煙性試験を行った結果を下記表に示す。試験結果としてVoF4を算出した。
以上、本発明の実施形態および実施例について具体的に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施形態および実施例において挙げた構成、方法、工程、形状、材料および数値などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、工程、形状、材料および数値などを用いてもよい。
また、上述の実施形態の構成、方法、工程、形状、材料および数値などは、本発明の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
Claims (6)
- ポリイソシアネート化合物、ポリオール化合物、触媒、発泡剤、整泡剤、及び添加剤を含む難燃性ウレタン樹脂組成物であって、添加剤が赤リンを含む、輸送機器の内装材に用いるための難燃性ウレタン樹脂組成物。
- 触媒が三量化触媒を含有する請求項1に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
- 添加剤がホウ素含有難燃剤及び針状フィラーのうちの少なくとも一種をさらに含有する請求項1又は2に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
- ホウ素含有難燃剤がホウ酸塩である請求項1〜3のいずれかに記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
- ポリイソシアネート化合物およびポリオール化合物からなるウレタン樹脂100重量部を基準として、赤リンが0.1〜20重量部、ホウ素含有難燃剤が0.1〜20重量部の範囲であり、針状フィラーが3〜30重量部である請求項3または4に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物を硬化してなる、輸送機器の内装材。
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