JP2018188489A - 二酸化バナジウム粒子の製造方法 - Google Patents

二酸化バナジウム粒子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、優れたサーモクロミック性を示す二酸化バナジウム粒子の製造方法を提供することである。【解決手段】サーモクロミック性を有する二酸化バナジウムを含有する二酸化バナジウム粒子の製造方法であって、バナジウム化合物を含有する原料、還元剤及び水を含む反応液を水熱反応させることにより、前記二酸化バナジウム粒子を形成する工程と、前記二酸化バナジウム粒子を酸化する工程と、を有することを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、二酸化バナジウム粒子の製造方法に関する。より詳しくは、優れたサーモクロミック性を示す二酸化バナジウム粒子の製造方法に関する。
住宅やビル等の建物及び車両などの移動体等では、内部(例えば、室内、車両内)と外部環境との間で大きな熱交換が生じる箇所(例えば、窓ガラス)において、省エネ性と快適性とを両立するために、熱の遮断又は透過を制御可能なサーモクロミック性を有する材料(以下、「サーモクロミック材料」ともいう。)の適用が期待されている。
「サーモクロミック材料」とは、例えば透明状態/反射状態等の光学的な性質が、温度により変化する材料である。具体的には、温度が高い場合は反射状態となり、温度が低い場合は透明状態となる材料である。このようなサーモクロミック材料を、例えば、建物の窓ガラスに適用した場合には、夏には太陽光を反射させて熱を遮断でき、冬には太陽光を透過させて熱を利用できるため、この結果、省エネ性と快適性とを両立できる。
現在、最も着目されているサーモクロミック材料の一つに、二酸化バナジウム(VO)を含有する二酸化バナジウム粒子(以下、単に「VO粒子」ともいう。)がある。VO粒子は、室温付近での相転移の際に、サーモクロミック性(温度により、光学特性が可逆的に変化する性質)を示すことが知られている。したがって、この性質を利用することにより、環境の温度に依存するサーモクロミック性を得ることができる。
また、酸化バナジウムは、3〜5価のバナジウムの酸化物、及び結晶相の多形が複数存在することが知られている。ここで、VOの結晶構造には、A相、B相、C相及びR相(いわゆる「ルチル型の結晶相」)など、いくつかの結晶相の多形が存在する。この中でも、前述のようなサーモクロミック性を示す主な結晶構造はR相である。このR相は、転移温度以下では、単斜晶系(monoclinic)の構造を有するため、M相とも呼ばれている。
また、二酸化バナジウム粒子において、実質的に優良なサーモクロミック性を発現させるためには、粒子が凝集していないこと、粒径がナノオーダー(100nm以下)であること、粒子が等方的な形状を有していることが望ましい。
このようなサーモクロミック性を有する部材(フィルムなど)の形成方法として、VO粒子又はその分散液を調製し、接着材を介して、サーモクロミック性を発現させたい部材に接着することにより、サーモクロミック性を有する部材を製造することが検討されている(例えば特許文献1及び特許文献2参照。)。
例えば、特許文献1に記載のVO粒子は、水熱反応で作製されているが、粒子が異方成長してロッド状となっているため、粒子サイズが大きく、良好なサーモクロミック性が得られないという問題がある。
また、特許文献2では、還元剤にヒドラジンを用い、小粒径化を図っているが、成長過程中に粒子同士が凝集してしまうため、粒径及びサーモクロミック性の制御が困難という問題がある。
特開2011−178825号公報 米国特許出願公開第2013/0344335号明細書
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、優れたサーモクロミック性を示す二酸化バナジウム粒子の製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、水熱反応により二酸化バナジウム粒子を形成し、かつ当該二酸化バナジウム粒子を酸化させることにより、優れたサーモクロミック性を示す二酸化バナジウム粒子を製造することができることを見いだし本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.サーモクロミック性を有する二酸化バナジウムを含有する二酸化バナジウム粒子の製造方法であって、
バナジウム化合物を含有する原料、還元剤及び水を含む反応液を水熱反応させることにより、前記二酸化バナジウム粒子を形成する工程と、
前記二酸化バナジウム粒子を酸化する工程と、
を有することを特徴とする二酸化バナジウム粒子の製造方法。
2.前記水熱反応後の反応液の25℃におけるpHが、4.0〜7.0の範囲内であることを特徴とする第1項に記載の二酸化バナジウム粒子の製造方法。
3.前記水熱反応後の反応液の25℃における酸化還元電位が、100〜500mVの範囲内であることを特徴する第1項又は第2項に記載の二酸化バナジウム粒子の製造方法。
4.前記水熱反応の温度が、250〜350℃の範囲内であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の二酸化バナジウム粒子の製造方法。
5.前記水熱反応の反応時間が、12〜72時間の範囲内であることを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の二酸化バナジウム粒子の製造方法。
6.前記二酸化バナジウム粒子が、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、スズ(Sn)、レニウム(Re)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、アンチモン(Sb)、ルテニウム(Ru)、ゲルマニウム(Ge)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、ガリウム(Ga)、アルミニウム(Al)、フッ素(F)及びリン(P)からなる群から選ばれた元素を含有することを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の二酸化バナジウム粒子の製造方法。
本発明の上記手段により、優れたサーモクロミック性を示す二酸化バナジウム粒子の製造方法を提供することができる。
本発明の効果の発現機構又は作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
二酸化バナジウム粒子を水熱反応で合成すると、一部粒子は還元反応が進みすぎてしまい、粒子表面の酸素原子が電子を残して脱離する酸素欠陥が生じてしまう。このため、低温時でも電子がドープされた状態(金属状態)の二酸化バナジウム粒子を含んでしまい、サーモクロミック性が劣ってしまう。
そこで、サーモクロミック性の悪い、水熱反応後の二酸化バナジウム粒子の粒子表面を、適度に酸化することによって酸素欠陥を減らすことができ、低温時、金属状態であった粒子が非金属状態になることで、サーモクロミック性が向上するものと推察している。
本発明の二酸化バナジウム粒子の製造方法は、サーモクロミック性を有する二酸化バナジウムを含有する二酸化バナジウム粒子の製造方法であって、バナジウム化合物を含有する原料、還元剤及び水を含む反応液を水熱反応させることにより、前記二酸化バナジウム粒子を形成する工程と、前記二酸化バナジウム粒子を酸化する工程と、を有することを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項6までの請求項に係る発明に共通する又は対応する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、水熱反応後の反応液の25℃におけるpHが、4.0〜7.0の範囲内であることが、反応液中の二酸化バナジウム粒子の安定性が向上するため好ましい。
本発明においては、水熱反応後の反応液の25℃における酸化還元電位が、100〜500mVの範囲内であることが、粒子の表面酸化を適度に進めることができる点で好ましい。
また、本発明においては、水熱反応の温度が、250〜350℃の範囲内であることが、不純物である準安定なロッド状の二酸化バナジウム粒子が生成しにくくなり、M相を示す二酸化バナジウム粒子が小粒径かつ均一に生成されるため好ましい。
さらに、本発明においては、本発明の効果発現の観点から、水熱反応の反応時間が、12〜72時間の範囲内であることが好ましい。
また、本発明においては、二酸化バナジウム粒子が、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、スズ(Sn)、レニウム(Re)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、アンチモン(Sb)、ルテニウム(Ru)、ゲルマニウム(Ge)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、ガリウム(Ga)、アルミニウム(Al)、フッ素(F)及びリン(P)からなる群から選ばれた元素を含有することで相転移温度を変化させることができる点で好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
なお、本発明において、25℃換算でのpHとは、測定対象(本発明では、主に反応液)のpHを25℃で測定した場合におけるpHの値をいう。
≪二酸化バナジウム粒子の製造方法の概要≫
本発明の二酸化バナジウム粒子の製造方法は、サーモクロミック性を有する二酸化バナジウムを含有する二酸化バナジウム粒子の製造方法であって、バナジウム化合物を含有する原料、還元剤及び水を含む反応液を水熱反応させることにより、前記二酸化バナジウム粒子を形成する工程と、前記二酸化バナジウム粒子を酸化する工程と、を有することを特徴とする。
以下に、本発明のサーモクロミック性を有する二酸化バナジウム(VO)を含有する二酸化バナジウム粒子(以下、「VO粒子」ともいう。)の製造方法について詳細に説明する。
[1:反応液の調製]
まず、還元剤、水、バナジウム(V)を含有する化合物(以下、「バナジウム化合物」ともいう。)含む溶液を混ぜて反応液を調製する。この反応液は、バナジウム化合物が水中に溶解した水溶液であってもよいし、バナジウム化合物が水中に分散した懸濁液であってもよい。
なお、反応液の水熱反応後のpH(25℃換算)は、4.0〜7.0の範囲内であることが、反応液中の二酸化バナジウム粒子の安定性が向上するため好ましい。
<バナジウム(V)を含有する化合物>
上記バナジウム(V)を含有する化合物は、少なくとも5価のバナジウム(V)を含有する化合物であれば、特に限定されず、例えば、五酸化バナジウム(V)、バナジン酸アンモニウム(NHVO)、三塩化酸化バナジウム(VOCl)、メタバナジン酸ナトリウム(NaVO)が含まれる。
<バナジウム(V)以外の金属化合物(その他の金属化合物)>
本発明に係る反応液は、バナジウム(V)以外の金属化合物を含有してもよい。バナジウム(V)以外に含有される金属化合物としては特に限定されず、本発明の効果を阻害しないものであればよいが、具体的には、タングステン(W)、バナジウム(V)以外の金属化合物として、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、スズ(Sn)、レニウム(Re)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、アンチモン(Sb)、ルテニウム(Ru)、ゲルマニウム(Ge)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、ガリウム(Ga)、アルミニウム(Al)が好ましい。
また、バナジウム(V)以外の金属化合物としては、上記以外にも、バナジウム(V)とは価数の異なるバナジウムの化合物であってもよく、例えば、V(3価のバナジウムの化合物)、V(4価のバナジウムの化合物)、V13(4.3価のバナジウムの化合物)などが含まれていてもよい。
バナジウム(V)以外の金属化合物が、反応液に含有されることで、サーモクロミック性を示す相転移温度を変化させることができるため、添加剤として添加することも好ましい。
<還元剤>
本発明で用いられる還元剤は、水に容易に溶解する性質を有し、かつ、バナジウム(V)を含有する化合物の還元剤として機能すればよく、例えば、ヒドラジン(N)及びヒドラジン一水和物などのヒドラジンの水和物(N・nHO)などが挙げられる。
なお、本発明に係る反応液中において、還元剤は、バナジウム(V)を含有する化合物に対してモル比で、1.0〜1.4当量の範囲内であることが、サーモクロミック性(M相の結晶相)を示すVOを含有する二酸化バナジウム粒子を選択的に得られるため好ましい。
<水>
本発明に係る水は、特に限定されないが、不純物の少ない高純度のものが好ましく、具体的には、イオン交換水、蒸留水等の精製水を用いることができる。
また、本発明に係る反応液は、酸化性又は還元性を有する物質が更に混ざったものであって良い。このような物質には、例えば、過酸化水素(H)が含まれる。酸化性又は還元性を有する物質を添加することにより、反応液のpHを調整したり、バナジウム化合物を均一に溶解させたりすることができる。
なお、過酸化水素としては、例えば、過酸化水素水(濃度35質量%、和光純薬社製、特級)を好適に用いることができる。
[2:粒子形成(水熱反応)工程]
次に、調製した反応液を用いて、水熱反応処理を行い、二酸化バナジウム粒子を形成する。すなわち、本工程では、バナジウム(V)以外の金属化合物も含む前記反応液を水熱反応させる。
ここで、「水熱反応」とは、温度と圧力が、水の臨界点(374℃、22MPa)よりも低い熱水(亜臨界水)中において生じる化学反応を意味する。水熱反応処理は、例えば、オートクレーブ装置内で実施される。水熱反応処理により、二酸化バナジウム(VO)を含有するVO粒子が得られる。
水熱反応処理の条件(反応物の量、処理温度、処理圧力、処理時間)は、適宜設定されるが、水熱反応処理の液温は、例えば、250〜350℃(好ましくは、270〜350℃、更に好ましくは、300〜350℃)の範囲内である。水熱反応が、液温250〜350℃の範囲内で行われると、不純物である準安定なロッド状の二酸化バナジウム粒子が生成しにくくなり、M相を示す二酸化バナジウム粒子が小粒径かつ均一に生成されるため好ましい。
また、水熱反応処理の時間は、例えば1時間〜7日であり、時間を長くすることにより、得られるVO粒子の平均粒径等を制御することができ、7日以内であると、エネルギー消費量が多くなりすぎるおそれを回避できる。より好ましくは、コストの面から12〜72時間の範囲内である。
また、水熱反応は、撹拌されながら行われることが、VO粒子の粒径をより均一化できるため、好ましい。
なお、水熱反応処理は、バッチ式で実施してもよく、連続式に実施してもよい。
[3:酸化工程]
前記水熱反応後に、反応液を酸化する。
具体的には、粒子形成工程で得られた反応液を室温まで冷却し、二酸化バナジウム粒子を酸化させる。
酸化させる方法としては、反応液を室温で静置する方法や、酸化剤を添加する方法、酸素バブリングをする方法等が挙げられる。
また、水熱反応をさせた後の反応液の25℃におけるpHは、4.0〜7.0の範囲内が好ましい。さらに、酸化還元電位は、100〜500mVの範囲内であることが好ましい。
pHが、当該範囲内であることにより、反応液中の二酸化バナジウム粒子の安定性が向上するため好ましい。さらに、酸化還元電位が当該範囲内であることにより、粒子の表面酸化を適度に進めることができる点で好ましい。
なお、本発明において、室温とは、例えば、製造設備内の室温であり、具体的には、例えば、25℃前後である。
<酸化剤>
本発明で用いられる酸化剤としては、ハロゲン、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸、過ハロゲン酸又はそれらの塩、ハロゲン酸化物、過酸化物等及び公知の酸化剤が使用できる。
以上の工程により、サーモクロミック性を有する二酸化バナジウム(VO)を含有するVO粒子を含む反応液が得られる。その後、反応液から、ろ過、洗浄及び乾燥などによって、本発明に係るVO粒子が得られる。
《二酸化バナジウム粒子(VO粒子)》
本発明のVO粒子の製造方法によって製造されたVO粒子は、二酸化バナジウム(VO)を含有し、かつ、優れたサーモクロミック性を有する二酸化バナジウム粒子を提供することができる。
当該VO粒子の平均粒径は、5〜50nmの範囲内であることが好ましい。また、VO粒子の粒径分布のCV値は、40以下であることが好ましい。
(サーモクロミック性)
二酸化バナジウム粒子を含有する水分散液のサーモクロミック性は、例えば、分光光度計V−670(日本分光株式会社製)を用いて、水の吸収ピークによる影響を受けない波長1300nmにおける光透過率の差として測定することができる。
<二酸化バナジウム粒子の表面組成>
本発明の二酸化バナジウム粒子の製造方法により製造した二酸化バナジウム粒子は、酸化する工程を経ることにより、従来のサーモクロミック性を示すバナジウム粒子と比較して、粒子表面の酸素原子の割合が増加していると考えられる。
二酸化バナジウム粒子表面の組成は、公知の方法で測定でき、例えば、X線光電子分光法(XPS:X−ray Photoelectron Spectroscopy)により測定できる。
XPS測定は、サンプルにX線を照射し、サンプルから放出される光電子エネルギーを測定する手法である。
サンプルの奥深くから放出された光電子は、サンプル内で散乱されないので検出されず、表面付近の状態を評価することができる。
そのためXPS測定は、サンプルの数〜数十nm以内の表面状態を検出することが可能である。
具体的には、XPS測定は、X線電子分光装置(アルバック・ファイ社製、Quantum−2000)等によって測定することができる。
なお、測定条件は、測定対象とする蛍光体の種類や粒子形状などによって変動し得るが、例えば、以下の測定条件で測定することができる。
(表面組成の測定条件)
X線源: AlKα線、出力:40W、測定面積:φ200μm
パスエネルギー:ワイドスキャン:187.85eV(1.60eV/Step)
ナロースキャン:58.70eV(0.125eV/Step)
帯電中和銃:e
なお、本発明に係るVO粒子は、前述のとおり二酸化バナジウム以外にも本発明の効果を阻害しない範囲でその他の化合物や原子を含んでいてもよい。
≪分散液≫
本発明のVO粒子の製造方法で製造されたVO粒子を水に分散させた場合、二酸化バナジウム(VO)を含有し、かつ、サーモクロミック性を有するVO粒子を含有する分散液を提供することができる。本発明のVO粒子の製造方法で製造された、VO粒子を含有する分散液を塗布すれば、優れたサーモクロミック性を示す光学フィルム等が提供することができる。
また、分散させるための溶媒は、水を含んでいればよく、二酸化バナジウムの機能を阻害しない範囲で有機溶媒等の公知の溶媒を使用することができる。
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。なお、実施例において「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量%」を表す。
[サンプル1の合成方法]
過酸化水素水(濃度35質量%、和光純薬社製、特級)の10質量%水溶液30mLに、五酸化バナジウム(V、和光純薬社製、特級)0.9gを加え、これを4時間撹拌して澄んだ赤茶色のゾルを得た。得られたゾルに、還元剤であるヒドラジン一水和物(N・HO、和光純薬社製、特級)の5質量%水溶液2.5gをゆっくり滴下した。
滴下後1時間撹拌した溶液を、市販の水熱反応処理用オートクレーブ(三愛科学社製、HU−50型)(SUS製本体に50ml容積のテフロン(登録商標)製内筒を備える)内に入れ、250℃で48時間、水熱反応させ、反応液を得た。反応液の一部を純水ですぐに5000倍希釈して、サーモクロミック性を評価した。
[サンプル2の合成方法]
過酸化水素水(濃度35質量%、和光純薬社製、特級)の10質量%水溶液30mlに、五酸化バナジウム(V、和光純薬社製、特級)0.9gを加え、これを4時間撹拌して澄んだ赤茶色のゾルを得た。得られたゾルに、還元剤であるヒドラジン一水和物(N・HO、和光純薬社製、特級)の5質量%水溶液3.0gをゆっくり滴下した。
滴下後1時間撹拌した溶液を、市販の水熱反応処理用オートクレーブ(三愛科学社製、HU−50型)(SUS製本体に50ml容積のテフロン(登録商標)製内筒を備える)内に入れ、250℃で48時間、水熱反応させ、反応液を得た。反応液をガラス瓶に移し、大気下25℃で72時間放置してから、純水で5000倍希釈して、サーモクロミック性を評価した。
[サンプル3〜5の合成方法]
水熱反応温度を270℃に変更した以外はサンプル2と同様の反応液をガラス瓶に移し、25℃(サンプル3)、5℃(サンプル4)、50℃(サンプル5)で72時間放置してから、サーモクロミック性を評価した。
[サンプル6及び7の合成方法]
サンプル3と同様の反応液をガラス瓶に移し、次亜塩素酸ナトリウム溶液(NaClO、和光純薬社製、化学用、サンプル5)0.5g、又は過マンガン酸カリウム(KMnO、和光純薬社製、試薬特級、サンプル6)0.5gを加え、1時間撹拌してから、サーモクロミック性を評価した。
[サンプル8の合成方法]
過酸化水素水(濃度35質量%、和光純薬社製、特級)の10質量%水溶液30mlに、五酸化バナジウム(V、和光純薬社製、特級)0.9gとタングステン酸アンモニウムパラ五水和物((NH101241・5HO、和光純薬社製)0.029gを混合し、これを4時間撹拌して澄んだ赤茶色のゾルを得た。得られたゾルに、還元剤であるヒドラジン一水和物(N・HO、和光純薬社製、特級)の5質量%水溶液3.0gをゆっくり滴下した。
滴下後1時間撹拌した溶液を、市販の水熱反応処理用オートクレーブ(三愛科学社製、HU−50型)(SUS製本体に50ml容積のテフロン(登録商標)製内筒を備える)内に入れ、270℃で48時間、水熱反応させ、反応液を得た。反応液をガラス瓶に移し、10ml/分で3時間酸素バブリングしてから、反応液のサーモクロミック性を評価した。
[サンプル9の合成方法]
サンプル8で添加したタングステン酸アンモニウムパラ五水和物をモリブデン酸アンモニウムパラ四水和物0.096gに変更した以外は同様にして反応液を作製し、反応液のサーモクロミック性を評価した。
[サンプル10及び11の合成方法]
純水30mlに、五酸化バナジウム(V、和光純薬社製、特級)0.9gを加え、ヒドラジン一水和物(N・HO、和光純薬社製、特級)の5質量%水溶液3.0gを、をゆっくり滴下した溶液を市販の水熱反応処理用オートクレーブで水熱反応させ(サンプル10:285℃で72時間、サンプル11:340℃で12時間)、反応液を得た。反応液をガラス瓶に移し、10ml/分で3時間酸素バブリングしてから、純水で5000倍希釈して、サーモクロミック性を評価した。
[サンプル12の合成方法]
サンプル11に添加剤として三酸化アンチモン0.023gを添加した以外は同様にして反応液を作製し、反応液のサーモクロミック性を評価した。
《二酸化バナジウム含有反応液の評価》
<pH及び標準酸化還元電位(ORP)測定>
pH/ORPメータ TPX−999i(東興化学社製)を用い、25℃にてpH及びORPの測定を行った。
<サーモクロミック性(光透過率変化)>
純水で5000倍希釈した水熱後反応液を市販の栓付石英セル(2面透光型45×12.5×10mm)内に入れ、加熱可能な分光光度計(日本分光社製V−670型、190−2500nm)を使用し、測定温度は、20℃及び80℃とした。また、反応液の光透過率(%;波長1300nm)の温度依存性を測定した。
Figure 2018188489
(まとめ)
表1に示されるように、本発明のVO粒子の製造方法によって製造されたVO粒子は、優れたサーモクロミック性を示すことがわかった。

Claims (6)

  1. サーモクロミック性を有する二酸化バナジウムを含有する二酸化バナジウム粒子の製造方法であって、
    バナジウム化合物を含有する原料、還元剤及び水を含む反応液を水熱反応させることにより、前記二酸化バナジウム粒子を形成する工程と、
    前記二酸化バナジウム粒子を酸化する工程と、
    を有することを特徴とする二酸化バナジウム粒子の製造方法。
  2. 前記水熱反応後の反応液の25℃におけるpHが、4.0〜7.0の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の二酸化バナジウム粒子の製造方法。
  3. 前記水熱反応後の反応液の25℃における酸化還元電位が、100〜500mVの範囲内であることを特徴する請求項1又は請求項2に記載の二酸化バナジウム粒子の製造方法。
  4. 前記水熱反応の温度が、250〜350℃の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の二酸化バナジウム粒子の製造方法。
  5. 前記水熱反応の反応時間が、12〜72時間の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の二酸化バナジウム粒子の製造方法。
  6. 前記二酸化バナジウム粒子が、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、スズ(Sn)、レニウム(Re)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、アンチモン(Sb)、ルテニウム(Ru)、ゲルマニウム(Ge)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、ガリウム(Ga)、アルミニウム(Al)、フッ素(F)及びリン(P)からなる群から選ばれた元素を含有することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の二酸化バナジウム粒子の製造方法。
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