JP4895929B2 - 低ハロゲン低ルチル型超微粒子酸化チタン及びその製造方法 - Google Patents

低ハロゲン低ルチル型超微粒子酸化チタン及びその製造方法 Download PDF

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本発明は、光触媒や太陽電池、シリコーンゴムへの添加剤、誘電体用途等に好適な低ルチル型の低塩素超微粒子酸化チタン及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、ハロゲンチタンを含むガスを酸化性ガスで高温酸化することにより得られる気相法酸化チタンにおいて、ハロゲン含有量が低く、残存したハロゲンの除去も容易で、かつ、分散性の良い低ルチル型の低ハロゲン超微粒子酸化チタン及びその製造方法に関する。
超微粒子酸化チタンは、紫外線遮蔽材やシリコーンゴムヘの添加剤、誘電体原料、化粧料等、多岐の用途に亘って使用されてきた(酸化チタンは日本工業規格(JIS)には二酸化チタンと記載されており、一般名として酸化チタンが広く使用されているので本明細書中では酸化チタンと略称する)。また、酸化チタンは光触媒や、太陽電池等としても応用される。
酸化チタンの結晶型にはルチル型、アナターゼ型、ブルッカイト型の3種類が存在するが、このうち、前述の光触媒、太陽電池用途の分野ではルチル型よりも光電気化学活性に優れるアナターゼ型やブルッカイト型が用いられる。
酸化チタンの光触媒作用は抗菌タイル、セルフ・クリーニング建材、消臭繊維など、有機物の分解に利用されており、その機構は次のように説明されている。酸化チタンは紫外線を吸収し、その内部に電子と正孔を発生させる。正孔は酸化チタンの吸着水と反応してヒドロキシラジカルを生成させ、酸化チタン粒子表面に吸着した有機物を炭酸ガスや水に分解する(「光クリーン革命」藤嶋昭、橋本和仁、渡部俊也共著,(株)シーエムシー,143−145頁(1997))。すなわち、光触媒作用の強い酸化チタンの条件として、正孔を発生させやすいこと、酸化チタン表面に正孔が到達しやすいこと、が挙げられる。「酸化チタン光触媒のすべて」(橋本和仁、藤嶋昭 編集,(株)シーエムシー,29−30頁(1998))には、光触媒作用が高い酸化チタンとして、アナターゼ型酸化チタン、格子欠陥の少ない酸化チタン、粒子が小さく比表面積の大きい酸化チタンが挙げられている。
太陽電池としての応用は、1991年にローザンヌ工科大学のグレッツエルらが酸化チタンとルテニウム系色素を組み合わせた色素増感型太陽電池を報告して以来、研究が進められている(M.Graezel,Nature,353,737,(1991))。前記色素増感型太陽電池において、酸化チタンは色素の担持体及びn型半導体としての役割を有し、導電性ガラス電極に結着された色素電極として用いられる。色素増感型太陽電池は電解層を色素電極と対極で挟み込んだ構造であり、色素は光を吸収することで電子と正孔を発生する。発生した電子は酸化チタン層を通じて導電性ガラス電極に到達し、外部へと取り出される。一方、発生した正孔は、電解層を通じて対極へと運ばれ、導電性ガラス電極を通じて供給された電子と結合する。色素増感型太陽電池の特性を高める一因として、酸化チタンと色素の結合が容易であることが挙げられる。色素との結合が容易な酸化チタンの結晶型としては、例えば、特開平10−255863号公報にはアナターゼが使用されており、また、特開2000−340269号公報にはブルッカイトが色素増感型太陽電池に好適であることが記載されている。
酸化チタンは分散性の良いものがその機能を引き出す上で重要である。例えば酸化チタンを光触媒として使用する際、分散性が悪いと隠蔽力が強くなるため、使用できる用途が限定されてしまう。太陽電池の分野においても分散性の悪い酸化チタンは光を透過しにくいため、光吸収に寄与できる酸化チタンが限られ、光電変換効率を悪化させる。一般に、光散乱(隠蔽力)は粒径が可視光波長の1/2程度であるとき最大になり、粒径が小さくなると光散乱も弱まるといわれている(「酸化チタン」清野学著,技報堂(株),p.129,(1991))。前述の分野で利用される酸化チタンの一次粒子径は数〜数十nmであることが多いため分散性が良好であれば光散乱への影響は小さい。しかし、分散が悪く凝集粒径の大きい酸化チタンは光散乱が強まることになる。
以上の理由から上記分野では、酸化チタンには高分散性が要求され、分散性の良いアナターゼ型あるいはブルッカイト型の超微粒子酸化チタンが使用される。一般に、超微粒子の1次粒子径は、明確にされていないが、通常約0.1μm以下の微粒子に対して呼称される。
酸化チタンを光触媒、太陽電池で使用する場合、塩素のように腐食性を有する成分が存在すると基材を腐食させたり、変質させたりするため、酸化チタンの塩素含有量は低く抑える必要がある。また、Fe、Al、Si、S等も低く抑えた方が良い。例えば、酸化チタン中のFeが多すぎると着色の原因になり、透明性を要求される用途での使用に適さない。酸化チタン粒子内部のAl、S等の成分が多すぎると格子欠陥を生じてしまい、光触媒、太陽電池としての機能を低下させることも考えられる。
酸化チタンの製造方法は、大別して四塩化チタンや硫酸チタニルを加水分解する液相法と、ハロゲン化チタンを酸素あるいは水蒸気等の酸化性ガスと反応させる気相法とがある。液相法による酸化チタンはアナターゼを主相として得ることはできるが、ゾルあるいはスラリー状態にならざるを得ない。この状態で使用する場合、用途は限定される。粉末として使用するためには乾燥させる必要があり、溶媒に濡れた超微粒子は乾燥が進むに連れて凝集が激しくなる(「超微粒子ハンドブック」斎藤進六監修、フジ・テクノシステム、388頁、(1990)。この酸化チタンを光触媒等に供する場合には分散性を高めるため酸化チタンを強く解砕したり粉砕する必要があり、粉砕等の処理に由来する摩耗物の混入や粒度分布の不均一さ等の問題を引き起こすことがある。
一般的に、気相法による酸化チタンは、溶媒を使用しないため液相法に比べて分散性に優れている。
気相法で酸化チタンの超微粒子を得る例は数多くあり、例えば、特開平6−340423号公報では、四塩化チタンを火炎中にて加水分解し酸化チタンを製造する方法において、酸素、四塩化チタン、水素のモル比を調整して反応させ、ルチル含有率の高い酸化チタンを得る方法が開示されている。特開平7−316536号公報には四塩化チタンを高温気相中で加水分解させ、反応生成物を急速に冷却することにより、結晶質酸化チタン粉末を製造する方法において、炎温度と原料ガス中のチタン濃度を特定することにより平均一次粒子径が40nm以上、150nm以下の結晶質透明酸化チタンを得る方法が開示されている。しかし、何れの場合も微粒子ではあるがルチル含有率の高い酸化チタンしか得られていなく、光触媒用途、太陽電池用途として使用するには適さない。
気相法でアナターゼが主相の酸化チタンを製造する方法は、例えば、特開平3−252315号公報には気相反応において酸素と水素の混合気体中の水素の比率を変えることでルチルの含有比率を調整する製造方法が開示されており、ルチル含有率が9%の酸化チタンが記載されている。しかし、例示された酸化チタンの粒径は0.5〜0.6μmであり、一般的に超微粒子といわれる粒径の範囲よりも粗い。
ハロゲン化チタンを原料とする気相法で酸化チタンを製造すると超微粒子は得やすいが、原料由来のハロゲンが酸化チタンに残存するため、加熱あるいは水洗等による脱ハロゲンが必要となることが多い。しかし、超微粒子酸化チタンは低ハロゲン化のための加熱によって粒子同士の焼結が進行し比表面積が低下しやすくなる上、アナターゼ型からルチル型への結晶型の転移が生じてしまうことがある。比表面積の低下、結晶転移を抑制するためには低温あるいは短時間の加熱を行わざるを得ないが、充分に脱ハロゲンできなくなる。超微粒子酸化チタンの低塩素化法は、例えば、特開平10−251021号公報に開示されている。この方法は、酸化チタンを円筒形回転式加熱炉中で転動させながら水蒸気と接触させ、塩素含有量を低くする方法である。また、これに記載されている酸化チタンのルチル含有率は15%と高いものであった。
一方、水洗等による脱ハロゲンでは酸化チタン粒子表面に残存したハロゲンを除去することはできるが、粒子内部のハロゲンは水と接触しにくいため、内部ハロゲンが残存しやすいという問題があった。
これらのように従来の気相法において、ハロゲン含有量の低い低ルチル型の超微粒子酸化チタンは得られていなかった。
特開平10−255863号公報 特開2000−340269号公報 特開平6−340423号公報 特開平7−316536号公報 特開平10−251021号公報 「光クリーン革命」藤嶋昭、橋本和仁、渡部俊也共著,(株)シーエムシー,143−145頁(1997) 「酸化チタン光触媒のすべて」(橋本和仁、藤嶋昭 編集,(株)シーエムシー,29−30頁(1998)) M.Graezel,Nature,353,737,(1991) 「酸化チタン」清野学著,技報堂(株),p.129,(1991) (「超微粒子ハンドブック」斎藤進六監修、フジ・テクノシステム、388頁、(1990)
本発明は上記問題点を解決すべくなされたものであり、本発明の課題は、気相法において、分散性に優れ、かつハロゲン含有量の低い低ルチル型の超微粒子酸化チタン及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意研究した結果、気相法において分散性に優れ、かつ、ハロゲン含有量の低い低ルチル型の超微粒子酸化チタンを製造し得ることを見出し、上記課題を解決するに至った。
本発明は、ハロゲン化チタンを含有するガス及び酸化性ガス(酸素または水蒸気もしくはこれらを含有する混合ガス)を反応させる気相法において、該原料ガスを加熱温度、加熱時間を制御しながら反応させた後、脱ハロゲンすることにより得られる、ルチル含有率が5%以下の酸化チタンであって、かつ、高いBET比表面積及び特定の特性を有する低ルチル型の超微粒子酸化チタン及びその製造方法を提供するものである。
すなわち本発明は、以下の発明を含む。
(1)ハロゲン化チタンを含むガスと酸化性ガスとを反応させることにより得られる酸化チタンであって、ルチル含有率が5%以下で、かつ、BET一点法で測定した酸化チタンの比表面積をB(m2/g)、酸化チタンの全ハロゲン含有量をC(質量ppm)としたとき、
C≦650e0.02B
で示され、酸化チタンの比表面積Bは10〜200m 2 /gであり、且つ、1質量%の水懸濁液とした時に、その水懸濁液を20℃で30分間放置後、酸化チタンに含まれていたハロゲン量の80質量%以上のハロゲンが液相に移行することを特徴とする酸化チタン。
(2)酸化チタンに含まれていたハロゲン量の90質量%以上のハロゲンが液相に移行する上記(1)に記載の酸化チタン。
(3)酸化チタンが、Fe、Al、Si及びSの各元素をそれぞれ100質量ppm以下含む上記(1)または(2)に記載の酸化チタン。
(4)酸化チタンが、レーザー回折式粒度分析計によって測定される2.5μm以下の90%累積質量粒度分布径を持つ、上記(1)〜()のいずれか1項に記載の酸化チタン。
)前記ハロゲン化チタンが四塩化チタンであり、前記ハロゲンが塩素である上記(1)〜()のいずれか1項に記載の酸化チタン。
(6)ハロゲン化チタンを含むガスと酸化性ガスとを反応させることにより酸化チタンを製造する気相法において、ハロゲン化チタンを含むガス及び酸化性ガスがそれぞれ600℃以上、1,100℃未満に予熱されて反応器に導入され、ハロゲン化チタンを含むガス及び酸化性ガスをそれぞれ反応器に導入し反応させたとき、該反応器内の温度が800℃以上1,100℃未満であり、ハロゲン化チタンを含むガス及び酸化性ガスが、反応器内で800℃以上1,100℃未満の温度の滞留時間が0.005〜0.05秒であることを特徴とする酸化チタンの製造方法。
(7)上記(6)に記載の製造方法で製造された酸化チタンを含むことを特徴とする粉体。
)上記(6)に記載の製造方法で製造された酸化チタンを含むことを特徴とするスラリー。
)上記(6)に記載の製造方法で製造された酸化チタンを含むことを特徴とする組成物。
10)上記(6)に記載の製造方法で製造された酸化チタンを含むことを特徴とする光触媒材料。
11)上記(6)に記載の製造方法で製造された酸化チタンを含むことを特徴とする湿式太陽電池用材料。
12)上記(6)に記載の製造方法で製造された酸化チタンを含むことを特徴とする誘電体原料。
13)上記(6)に記載の製造方法で製造された酸化チタンを含むことを特徴とするシリコーンゴム添加剤。
14)ルチル含有率が5%以下、BET一点法で測定した比表面積が10〜200m2/g、レーザー回折式粒度分析計によって測定される90%累積質量粒度分布径が2.5μm以下の酸化チタン粒子であり、かつ、BET一点法で測定した酸化チタンの比表面積をB(m2/g)、酸化チタン粒子内部のハロゲン含有量をCi(質量ppm)としたとき、粒子内部に含まれるハロゲン量が0≦Ci≦650ke0.02B(kは0.20)で示されることを特徴とする酸化チタン粒子。
15)10<Ci≦650ke0.02B(kは0.15)で示される量のハロゲンを粒子内部に含む上記(14)に記載の酸化チタン粒子。
本発明の酸化チタンの原料であるハロゲン化チタンとしては、工業的に入手し易い塩化チタン、特に四塩化チタンが好ましい。従って、以下、本発明をハロゲンが塩素の場合を代表例として説明するが、本発明はハロゲンが臭素またはヨウ素である場合にも適用できる。
本発明の低ルチル型超微粒子酸化チタンは、気相法で四塩化チタンを用いて製造したものであるにもかかわらず、粒子内部に塩素が殆ど存在しない。粒子内部に残存する塩素は経時的に粒子内部から表面まで拡散し基材を腐食、変質させることがあるが、水洗や乾燥等の簡単な脱塩素処理では除去しにくい。そのため、酸化チタン粒子内部に塩素が存在しないことが望ましい。
粒子表面と粒子内部の合計塩素量のうちに占める粒子内部の塩素含有率については、酸化チタンから純水で抽出される塩素(水抽出塩素と称する)と、酸化チタン粒子に含まれる全塩素(全塩素と称する)の比率を指標とし、下式(1)
R=WCL/TCL×100 ・・・・・・・・・・(1)
(式中、Rは表面塩素率(%)を表し、WCLは酸化チタンに含まれる水抽出塩素の含有量(質量%)を表し、TCLは酸化チタンに含まれる全塩素の含有量(質量%)を表す。)
で表されるRの値が高いほど酸化チタン粒子内部の塩素含有率が少ないことを示す。本発明における酸化チタンについて、Rは80%以上であることが好ましく、更に好ましくは90%以上である。
本発明の四塩化チタンを原料とする気相法によって得られる超微粒子酸化チタンは、ルチル含有率〔ルチル含有率は、X線回折におけるルチル型結晶に対応するピーク高さ(Hrと略する。)、ブルッカイト型結晶に対応するピーク高さ(Hbと略する。)及びアナターゼ型結晶に対応するピーク高さ(Haと略する。)から算出した比率(=100×Hr/(Hr+Ha+Hb)をいう。〕が5%以下の超微粒子酸化チタン(以下、低ルチル型の超微粒子酸化チタンと略称することがある。)であり、かつ、脱塩素工程の後のみならず、場合によっては脱塩素工程の前でも、下記一般式(2):
C≦650×e0.02B ・・・・・・・・・・・・・・・(2)
で表される全塩素含有量を有する。式中、Cは全塩素含有量(質量%)を示す。Cは、例えば、酸化チタンにフッ酸水溶液を添加しマイクロウェーブで加熱溶解させた液を、硝酸銀による電位差滴定法で測定し、酸化チタン中の塩素の質量を得、これを用いた酸化チタンの質量で除することにより得られる。BはBET比表面積(m2/g)を表し、その範囲は10〜200m2/gである。)で表される特性を有することを特徴とする。
すなわち、本発明の低ルチル型の超微粒子酸化チタンは、図1において上記一般式(2)の条件を満足する全塩素含有量の少ない酸化チタンであり、かつ上記式(1)のRが大きい粒子内部の塩素含有率の小さい酸化チタン粒子である。従来の四塩化チタンを原料とする気相法による超微粒子酸化チタンは、低ルチル型酸化チタンであっても、BET比表面積と全塩素含有量との関係において図1に示したC=650×e0.02Bで表される曲線の上部にプロットされる領域の特性を有しているものであり、さらにまた上記の粒子内部の塩素含有率も大きい酸化チタン粒子であった。特に、比表面積の大きい酸化チタンほど、脱塩素されにくく、塩素含有量が指数関数的に増加する傾向がある。
本発明の低ルチル型酸化チタンは、塩素含有量とBET比表面積との関係が一般式(2)の特性を満足し、超微粒子であって、通常、BET比表面積の範囲は10〜200m2/g、好ましくは40〜200m2/g、更に好ましくは45〜120m2/gの範囲を有するものである。
また、本発明の低ルチル型の超微粒子酸化チタンは、Fe、Al、Si、Sの含有量が各100質量ppm以下、好ましくは各0.1〜100質量ppm、より好ましくは各0.1〜50質量ppm、更に好ましくは各0.1〜10質量ppmである。
これらの不純物濃度を0.1ppm未満にするには、酸化チタンを製造する原材料を高純度とし、また設備材質をより耐食性の高いものを使用すること等が必要となる。本発明の酸化チタンが通常用いられる用途では、各不純物を0.1質量ppm未満としない方が経済的に有利である。
本発明の低ルチル型酸化チタンは分散性が高いことを特徴とする。本発明においては、分散性の指標としてレーザー回折式粒度分布測定法を採用し粒度分布を測定した。分散性の測定法には、「超微粒子ハンドブック」齋藤進六監修,フジ・テクノシステム,p93,(1990)によると、沈降法、顕微鏡法、光散乱法、直接計数法等があるが、このうち沈降法、直接計数法は測定可能な粒径が数百nm以上であり、超微粒子の分散性を測定するには不適である。また、顕微鏡法も対象試料のサンプリングや試料の前処理によって測定値が変動することもあり、好ましい測定法とはいえない。これに対し、光散乱法は数nm〜数μmの範囲で粒径を測定することができ、超微粒子の測定に適している。粒度分布の測定手順について以下に説明する。
酸化チタン0.05gに純水50ml及び10%ヘキサメタリン酸ソーダ水溶液100μlを加えたスラリーに、3分間超音波照射(46KHz、65W)する。このスラリーをレーザー回折式粒度分布測定装置((株)島津製作所製SALD−2000J)にかけて、粒度分布を測定する。このようにして測定された粒度分布における90%累積質量粒度分布径(以下、D90と略記することがある)の値が小さければ、親水性溶媒に対して良好な分散性を示していると判断される。50%累積質量粒度分布径を分散性の指標とすることも可能であるが、分散性の悪い凝集粒子を検知しにくく好ましくない。本発明の超微粒子酸化チタンは、D90が2.5μm以下であることが好ましい。
本発明の超微粒子状酸化チタンは、各種組成物の原料、顔料または光触媒効果を利用した粒子成分として含まれ、例えば、化粧料、紫外線遮蔽材、誘電体またはシリコーンゴム、太陽電池等、様々な製品の原料、添加剤として利用できる。
次に製造方法について説明する。
気相法による一般的な酸化チタンの製造方法は公知であり、四塩化チタンを酸素または水蒸気等の酸化性ガスを用いて、約1,000℃の反応条件下で酸化させると微粒子酸化チタンが得られる。
気相法において超微粒子の酸化チタンを得るためには、粒子の成長時間(成長ゾーン)を短くしなければならない。すなわち、反応後速やかに冷却、希釈等を行い、高温滞留時間を極力短くすることにより、焼結等による粒成長を抑えることができる。高温滞留時間の短縮はアナターゼからルチルへの熱転位を抑制することにも繋がり、アナターゼ含有率の高い粒子を得ることができる。
一般に、四塩化チタンを原料とする気相法で得られる酸化チタンには、通常、0.1〜2質量%の塩素が残存している。アナターゼ型酸化チタン表面には、塩素等が結合可能な点が13個/nm2あり(前述の清野学著「酸化チタン」)、この全ての結合点が塩素化している場合、酸化チタン粒子表面に残存する塩素含有量は理論上、下式(3)で表される。
Y=0.077×A ・・・・(3)
(式中、Yは酸化チタン粒子表面に残存する塩素含有量(質量%)を示し、Aは比表面積(m2/g)を示す。)
例えば、100m2/gの比表面積を有する酸化チタン粒子表面に残存する塩素含有量は、前記式(3)によれば、約8質量%となる。
実際は、反応で塩素と酸化性ガスが置換すること、また酸化チタン粒子表面と気相の塩素濃度差によって塩素が平衡移動することにより、酸化チタンの塩素含有量は前記式(3)で得られる値よりも若干低くなる可能性があるが、反応での高温滞留時間の短縮は、四塩化チタンの酸化反応を完結させず、一部が塩素化されたままの酸化チタンを増加させることになると考えられる。また、残存塩素が酸化チタン粒子内部に取り残されると粒子内部の塩素量を増やすことにもなるため、塩素除去に要する加熱処理が高温、長時間化し、比表面積の低下を生じることとなる。従って、従来、気相法によって得られる超微粒子は、アナターゼ含有率は高いものの塩素含有量が高い、あるいは、塩素含有量は低いがアナターゼ含有率が低いというものであった。
本発明では、四塩化チタンを含むガスと酸化性ガスとを反応(高温酸化)することにより酸化チタンを製造する気相法において、600℃以上1,100℃未満に加熱した四塩化チタンを含有するガス及び600℃以上1,100℃未満に加熱した酸化性ガスをそれぞれ反応管に供給し、反応させて得られた酸化チタンを800℃以上1,100℃未満の高温度条件で0.1秒以下の時間、反応管内に滞留させることにより、BET比表面積と塩素含有量との関係において全塩素含有量、特に粒子内部の塩素含有量が低い低ルチル型超微粒子酸化チタンが得られ、これを脱塩素処理することによりさらに全塩素含有量が低くかつ粒子内部の塩素含有量も低い低ルチル型超微粒子酸化チタンが得られることを見出した。
ここで、脱塩素には乾式法と湿式法がある。乾式脱塩素法は、例えば、円筒形回転式加熱炉、熱風循環式加熱炉、流動乾燥炉、撹拌乾燥炉等の加熱装置を用いて酸化チタンを加熱し、塩素を除去する方法がある。尚、本発明は、必ずしもこれら加熱装置に限定されるものではない。また、湿式脱塩素法は、例えば、酸化チタンを純水に懸濁させ、液相に移行した塩素を系外に分離する方法がある。塩素を系外に分離した後、得られた酸化チタンを乾燥しても良い。
四塩化チタン含有ガスあるいは酸化性ガスを導入する反応管内の温度は800℃以上1,100℃未満が好ましく、更に好ましくは900℃以上1,000℃未満である。反応管内温度を高くすることによって、混合と同時に反応は完結するので均一核発生が増進され、かつ、反応(CVD)ゾーンを小さくすることができる。反応管内温度が800℃より低いと、アナターゼ含有率の高い酸化チタンが得られやすいものの、反応が不充分で酸化チタン粒子内部に塩素が残存する。反応管内温度が1,100℃以上になるとルチル転移や粒子成長が進行し、低ルチル型、超微粒子が得られない。
一方、原料ガスが反応管に導入され反応が進行すると、本反応が発熱反応である為、反応温度が1,100℃を越える反応ゾーンが存在する。装置放熱は多少あるものの、急冷を施さないかぎり酸化チタン粒子はどんどん成長し、かつ、結晶型がルチルに転移してしまう。そこで、本発明においては800℃以上1,100℃未満の高温滞留時間を0.1秒以下、好ましくは0.005〜0.1秒、特に好ましくは0.01〜0.05秒の範囲にする。高温滞留時間が0.1秒を越えると、ルチルへの転移や粒子の焼結が進行するので好ましくない。高温滞留時間が0.005秒未満では、四塩化チタンの酸化反応時間も短くなるため、四塩化チタンに比べ十分に過剰な酸素量を用いるなど酸化を行い易い条件下で行う必要がある。酸化が不十分では粒子内部の残存塩素量増加につながる。
急冷の手段としては、例えば、反応混合物に多量の冷却空気や窒素等のガスを導入する方法、あるいは水を噴霧する方法等が採用される。
反応管内の温度を前記800℃以上1,100℃未満に制御することで粒子内部の塩素含有量が低い超微粒子を得ることができ、また、高温滞留時間を0.1秒以下に制御することでルチル転移及び粒成長を抑制することができる。
反応管内の温度を前記800℃以上1,100℃未満にするためには、原料ガスの加熱温度を600℃以上1,100℃以下に調整することが好ましい。加熱された原料ガスは反応管内で反応し発熱するが、原料ガス温度が600℃未満であると、反応管内の温度は800℃以上になりにくい。また、原料ガス温度が1,100℃以上であると装置放熱はあるものの、反応管内の温度は1,100℃を越えやすくなる。
四塩化チタンを含む原料ガス組成は、四塩化チタンガス1モルに対し、不活性ガス0.1〜20モルであることが好ましく、さらに好ましくは4〜20モルである。不活性ガスが前記範囲より少ない場合、反応ゾーンにおける酸化チタン粒子密度が高まり、凝集、焼結しやすくなるため、超微粒子酸化チタンが得られにくい。不活性ガスが前記範囲よりも多い場合、反応性が低下し、酸化チタンとしての回収率が低下する。
四塩化チタンを含む原料ガスと反応させる酸素ガス量は、四塩化チタン1モルに対し1〜30モルであることが好ましい。さらに好ましくは5〜30モルである。酸素ガス量を増やすと、核発生数が増加し超微粒子は得られやすくなるが、30モルを越えても核発生数を増加させる効果はほとんど無い。酸素ガス量が30モルを越えても酸化チタンの特性に影響は無いが、経済的な観点から上限が設定される。一方、四塩化チタンに対し酸素ガス量が不足すると、酸素欠陥の多い酸化チタンとなり着色してしまう。尚、酸化性ガスには、酸素の他に水蒸気が含まれていても良い。
酸化性ガスは、例えば、酸素、水蒸気を含む酸素、空気、これらの酸化性ガスに不活性ガス(窒素、アルゴンなど)を混合したガスがいずれも使用できるが、反応温度の制御しやすいことから水蒸気を含む酸素が好ましい。
酸化チタンの加熱による脱塩素は、水と酸化チタンとの質量比(=水蒸気の質量/酸化チタンの質量,以下同様)が0.01以上になるように酸化チタン粉末に水蒸気を接触させながら加熱温度200℃以上500℃以下で行うことが好ましい。更に好ましくは水と酸化チタンの質量比は0.04以上、加熱温度は250℃以上450℃以下である。加熱温度が500℃を越えると酸化チタン粒子の焼結が進み、粒成長が生じる。加熱温度が200℃を下回ると脱塩素の効率が極端に低下する。脱塩素は、酸化チタン表面の塩素が粒子近傍の水あるいは隣接する粒子の表面水酸基と置換反応することにより進行して行く。酸化チタン粒子表面の塩素が、水と置換された場合には粒成長せずに脱塩素化されるが、隣接する粒子の表面水酸基と置換された場合は脱塩素と同時に粒成長することとなる。特に比表面積の大きい酸化チタンほど隣接する粒子表面水酸基と置換反応する確率が高くなるため、粒成長しやすい。すなわち、粒成長を抑制しつつ脱塩素化を図るためには水と酸化チタンの質量比も重要であり、水と酸化チタンの質量比が0.01以上であれば粒成長を抑制する効果が認められる。
酸化チタンと接触させる水蒸気は、酸化チタンから分離した塩素を効率良く系外に移動させる役割を有するガスと混合して使用することが好ましい。このようなガスとして、例えば、空気が挙げられる。空気を用いる場合、水蒸気は、空気に0.1容量%以上含まれることが好ましく、更に好ましくは5容量%以上、特に好ましくは10容量%以上である。水蒸気を含んだ空気は200℃以上1,000℃以下に加熱しておくことが好ましい。
本発明による低ルチル型超微粒子酸化チタンは粒子内部に塩素が殆ど存在しないため、湿式で低塩素化することも可能である。湿式脱塩素方法には、例えば、酸化チタンを純水に懸濁させ、液相に移行した塩素を限外ろ過膜、逆浸透膜、フィルタープレス等によって系外に分離する方法が挙げられる。
このようにして製造される本発明のBET比表面積とハロゲン含有量との関係において全ハロゲン含有量および粒子内部のハロゲン含有量の低い低ルチル型超微粒子酸化チタンは、好ましくは粒子表面のハロゲンをより完全に脱ハロゲンすることで、BET比表面積との関係において全ハロゲン含有量が極めて低い低ルチル型超微粒子酸化チタンを得ることができる。
従って、本発明の低ルチル型超微粒子酸化チタンは、上記の如く、ルチル含有率が5%以下、BET一点法で測定した比表面積が10〜200m2/g、レーザー回折式粒度分析計によって測定される90%累積質量粒度分布径が2.5μm以下の酸化チタン粒子であり、かつ、BET一点法で測定した酸化チタンの比表面積をB(m2/g)、酸化チタン粒子内部のハロゲン含有量をCi(質量ppm)としたとき、粒子内部に含まれるハロゲン量が0≦Ci≦650ke0.02B(kは0.20)、好ましくは0<Ci≦650ke0.02B(kは0.20)、より好ましくは10<Ci≦650ke0.02B(kは0.15)で示されることを特徴とする。
以下、実施例及び比較例にて具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
参考例1:
11.8Nm3/hr(Nは標準状態を意味する。以下同じ。)のガス状四塩化チタンを8Nm3/hrの窒素ガスで希釈した四塩化チタン希釈ガスを900℃に予熱し、8Nm3/hrの酸素と32Nm3/hr水蒸気を混合した酸化性ガスを800℃に予熱し、これらの原料ガスを石英ガラス製反応器に導入した。800℃以上1,100℃未満の高温滞留時間を0.1秒となるように冷却空気を反応管に導入後、ポリテトラフルオロエチレン製バグフィルターにて超微粒子状酸化チタン粉末を捕集した。
得られた酸化チタンを円筒形回転式加熱炉に通し、水と酸化チタンの質量比0.02、加熱温度450℃で脱塩素した。その後、得られた酸化チタンは、BET比表面積が22m2/g、ルチル含有比率(ルチル含有率ともいう。)が1%、水抽出塩素含有量が900質量ppm、全塩素含有量が1,000質量ppmであった。但し、BET比表面積は、島津製作所製比表面積測定装置(機種はフローソーブII,2300)で測定し、ルチル含有比率はX線回折におけるルチル型結晶に対応するピーク高さ(Hrと略する。)、ブルッカイト型結晶に対応するピーク高さ(Hbと略する。)とアナターゼ型結晶に対応するピーク高さ(Haと略する。)から算出した比率(=100×Hr/(Hr+Ha+Hb))である。式(1)に水抽出塩素含有量 900質量ppm、全塩素含有量 1,000質量ppmを代入して算出される表面塩素率は80%よりも高く、全塩素含有量は、式(2)に比表面積22m2/gを代入して算出される値よりも小さな数値を示した。
また、ここで得られた酸化チタン粉末の粒度分布について、レーザー回折式粒度分布測定法で90%累積質量粒度分布径D90を測定した結果、1.1μmであった。ルチル化率、BET比表面積、全塩素含有量、表面塩素率、D90、及び、Fe、Al、Si、Sの分析結果を表1に示す。
実施例
5.9Nm3/hrのガス状四塩化チタンを30Nm3/hrの窒素ガスで希釈した四塩化チタン希釈ガスを1,000℃に予熱し、4Nm3/hrの酸素と16Nm3/hrの水蒸気を混合した酸化性ガスを1,000℃に予熱し、これらの原料ガスを石英ガラス製反応器に導入した。800℃以上1,100℃未満の高温滞留時間を0.03秒となるように冷却空気を反応管に導入後、ポリテトラフルオロエチレン製バグフィルターにて超微粒子状酸化チタン粉末を捕集した。
得られた酸化チタンを熱風循環加熱炉に入れ、水と酸化チタン質量比0.04、加熱温度450℃で脱塩素した。こうして得られた酸化チタンは、BET比表面積が65m2/g、ルチル含有率が3%、水抽出塩素含有量が900質量ppm、全塩素含有量が1,100質量ppmであった。式(1)に水抽出塩素含有量 900質量ppm、全塩素含有量 1,100質量ppmを代入して算出される表面塩素率は80%よりも高く、全塩素含有量は、式(2)に比表面積65m2/gを代入して算出される値よりも小さな数値を示した。この粉末のレーザー回折式粒度分布測定法にて測定した粒度分布における90%累積質量粒度分布径D90は1.9μmであった。ルチル化率、BET比表面積、全塩素含有量、表面塩素率、D90、及び、Fe、Al、Si、Sの分析結果を表1に示す。
実施例
4.7Nm3/hrのガス状四塩化チタンを36Nm3/hrの窒素ガスで希釈した四塩化チタン希釈ガスを1,000℃に予熱し、36Nm3/hrの空気と25Nm3/hrの水蒸気を混合した酸化性ガスを1,000℃に予熱し、これらの原料ガスを石英ガラス製反応器に導入した。800℃以上1,100℃未満の高温滞留時間を0.02秒となるように冷却空気を反応管に導入後、ポリテトラフルオロエチレン製バグフィルターにて超微粒子状酸化チタン粉末を捕集した。
得られた酸化チタンを熱風循環加熱炉に入れ、水と酸化チタン質量比0.06、加熱温度350℃で脱塩素した。こうして得られた酸化チタンは、BET比表面積が97m2/g、ルチル含有率が1%、水抽出塩素含有率が1,800質量ppm、全塩素含有率が2,000質量ppmであった。式(1)に水抽出塩素含有量 1,800質量ppm、全塩素含有量 2,000質量ppmを代入して算出される表面塩素率は80%よりも高く、全塩素含有率は、式(2)に比表面積97m2/gを代入して算出される値よりも小さな数値を示した。この粉末のレーザー回折式粒度分布測定法にて測定した粒度分布における90%累積質量粒度分布径D90は2.2μmであった。ルチル化率、BET比表面積、全塩素含有量、表面塩素率、D90、及び、Fe、Al、Si、Sの分析結果を表1に示す。
比較例1:
11.8Nm3/hrのガス状四塩化チタンを8Nm3/hrの窒素ガスで希釈した四塩化チタン希釈ガスを900℃に予熱し、8Nm3/hrの酸素と32Nm3/hr水蒸気を混合した酸化性ガスを800℃に予熱し、これらの原料ガスを石英ガラス製反応器に導入した。800℃以上1,100℃未満の高温滞留時間を0.2秒となるように冷却空気を反応管に導入後、ポリテトラフルオロエチレン製バグフィルターにて超微粒子状酸化チタン粉末粉を捕集した。
得られた酸化チタンを円筒形回転式加熱炉に通し、水と酸化チタン質量比0.02、加熱温度450℃で脱塩素した。こうして得られた酸化チタンは、BET比表面積が19m2/g、ルチル含有比率が11%、水抽出塩素含有量が300質量ppm、全塩素含有量が300質量ppmであった。式(1)に水抽出塩素含有率 300質量ppm、全塩素含有率 300質量ppmを代入して算出される表面塩素率は80%よりも高く、全塩素含有率は、式(2)に比表面積19m2/gを代入して算出される値よりも小さな数値を示した。この粉末のレーザー回折式粒度分布測定法にて測定した粒度分布における90%累積質量粒度分布径D90は0.8μmであった。ルチル化率、BET比表面積、全塩素含有量、表面塩素率、D90、及び、Fe、Al、Si、Sの分析結果を表1に示す。
比較例2:
4.7Nm3/hrのガス状四塩化チタンを36Nm3/hrの窒素ガスで希釈した四塩化チタン希釈ガスを800℃に予熱し、36Nm3/hrの空気と25Nm3/hrの水蒸気を混合した酸化性ガスを800℃に予熱し、これらの原料ガスを石英ガラス製反応器に導入した。該反応管温度を750℃に制御し、原料ガスを0.08秒滞留するように冷却空気を反応管に導入後、ポリテトラフルオロエチレン製バグフィルターにて超微粒子状酸化チタン粉末を捕集した。
得られた酸化チタンを熱風循環加熱炉に入れ、水と酸化チタン質量比0.04、加熱温度350℃で脱塩素した。こうして得られた酸化チタンは、BET比表面積が74m2/g、ルチル含有率が2%、水抽出塩素含有率が2,800質量ppm、全塩素含有率が3,900質量ppmであった。式(1)に水抽出塩素含有量 2,800質量ppm、全塩素含有量 3,900質量ppmを代入して算出される表面塩素率は80%よりも低く、全塩素含有率は、式(2)に比表面積74m2/gを代入して算出される値よりも大きな数値を示した。この粉末のレーザー回折式粒度分布測定法にて測定した粒度分布における90%累積質量粒度分布径D90は3.6μmであった。ルチル化率、BET比表面積、全塩素含有量、表面塩素率、D90、及び、Fe、Al、Si、Sの分析結果を表1に示す。
比較例3:
5.9Nm3/hrのガス状四塩化チタンを30Nm3/hrの窒素ガスで希釈した四塩化チタン希釈ガスを1,100℃に予熱し、4Nm3/hrの酸素と16Nm3/hrの水蒸気を混合した酸化性ガスを1,100℃に予熱し、これらの原料ガスを石英ガラス製反応器に導入した。該反応管温度を1,200℃に制御し、原料ガスを0.04秒滞留するように冷却空気を反応管に導入後、ポリテトラフルオロエチレン製バグフィルターにて超微粒子状酸化チタン粉末を捕集した。
得られた酸化チタンを熱風循環加熱炉に入れ、水と酸化チタン質量比0.06、加熱温度450℃で脱塩素した。こうして得られた酸化チタンは、BET比表面積が44m2/g、ルチル含有率が12%、水抽出塩素含有量が1,200質量ppm、全塩素含有量が1,300質量ppmであった。式(1)に水抽出塩素含有量 1,200質量ppm、全塩素含有量 1,300質量ppmを代入して算出される表面塩素率は80%よりも高く、全塩素含有率は、式(2)に比表面積44m2/gを代入して算出される値よりも小さな数値を示した。この粉末のレーザー回折式粒度分布測定法にて測定した粒度分布における90%累積質量粒度分布径D90は1.2μmであった。ルチル化率、BET比表面積、全塩素含有量、表面塩素率、D90、及び、Fe、Al、Si、Sの分析結果を表1に示す。
比較例4:
市販の硫酸チタニル溶液(関東化学(株)製、試薬1級)を煮沸し、得られた沈殿を純水で洗浄し、含水酸化チタンを得た。この含水酸化チタンの残存硫酸を除去するため、純水を加えスラリーとし、これを攪拌しながらアンモニア水溶液を加えてpH5に調整し、12時間攪拌した。この後、限外ろ過膜で含水酸化チタン濃度を20質量%まで濃縮した。濃縮液に再びアンモニア水溶液を加えてpH5に調整し、12時間攪拌の後、純水を加えながら限外ろ過膜でろ過しチタニアゾルを得た。得られたチタニアゾルを300℃で2時間乾燥し、液相法による超微粒子酸化チタンを得た。
得られた酸化チタンはBET比表面積が212m/g、ルチル含有率1%であった。水抽出塩素含有量、全塩素含有量はともに0質量ppmであった。この酸化チタンを乳鉢で解砕し、レーザー回折式粒度分布測定法にて粒度分布を測定したところ、90%累積質量粒度D90は26.1μmであった。ルチル化率、BET比表面積、全塩素含有量、表面塩素率、D90、及び、Fe、Al,Si,Sの分析結果を表1に示す。
Figure 0004895929
本発明により、同等のBET比表面積を有する従来の酸化チタンに比べ、粒子内部のハロゲン含有量が低く、分散性に特に優れた、気相法によるアナターゼ型の超微粒子酸化チタン、これを脱ハロゲンすることによりBET比表面積(B)とハロゲン含有率(C)との関係が前記式(2)の条件を満足する酸化チタン、レーザー回折式粒度分布測定法で測定されたD90が2.5μm以下の酸化チタン、及びこれらの製造方法が提供される。
本発明の酸化チタンは、光触媒用途や太陽電池用途等に好適であり、特に、水系の溶媒に対する分散性が優れるので、水中での光触媒用途に好適に用いることができ、粉体としても解砕工程等が不要もしくは極めて軽微な設備で済み、工業的に非常に大きな実用的価値を有するものである。
超微粒子状酸化チタンのハロゲン含有率とBET比表面積との関係を示す。

Claims (15)

  1. ハロゲン化チタンを含むガスと酸化性ガスとを反応させることにより得られる酸化チタンであって、ルチル含有率が5%以下で、かつ、BET一点法で測定した酸化チタンの比表面積をB(m2/g)、酸化チタンの全ハロゲン含有量をC(質量ppm)としたとき、
    C≦650e0.02B
    で示され、酸化チタンの比表面積Bは10〜200m 2 /gであり、且つ、1質量%の水懸濁液とした時に、その水懸濁液を20℃で30分間放置後、酸化チタンに含まれていたハロゲン量の80質量%以上のハロゲンが液相に移行することを特徴とする酸化チタン。
  2. 酸化チタンに含まれていたハロゲン量の90質量%以上のハロゲンが液相に移行する請求項1に記載の酸化チタン。
  3. 酸化チタンが、Fe、Al、Si及びSの各元素をそれぞれ100質量ppm以下含む請求項1または2に記載の酸化チタン。
  4. 酸化チタンが、レーザー回折式粒度分析計によって測定される2.5μm以下の90%累積質量粒度分布径を持つ、請求項1乃至のいずれか1項に記載の酸化チタン。
  5. 前記ハロゲン化チタンが四塩化チタンであり、前記ハロゲンが塩素である請求項1乃至のいずれか1項に記載の酸化チタン。
  6. ハロゲン化チタンを含むガスと酸化性ガスとを反応させることにより酸化チタンを製造する気相法において、ハロゲン化チタンを含むガス及び酸化性ガスをそれぞれ600℃以上1,100℃未満に予熱して反応器に導入し、ハロゲン化チタンを含むガス及び酸化性ガスをそれぞれ反応器に導入し反応させたとき、該反応器内の温度が800℃以上1,100℃未満であり、ハロゲン化チタンを含むガス及び酸化性ガスが反応器内で800℃以上1,100℃未満の温度の滞留時間が0.005〜0.05秒であることを特徴とする酸化チタンの製造方法。
  7. 請求項に記載の製造方法で製造された酸化チタンを含むことを特徴とする粉体。
  8. 請求項に記載の製造方法で製造された酸化チタンを含むことを特徴とするスラリー。
  9. 請求項に記載の製造方法で製造された酸化チタンを含むことを特徴とする組成物。
  10. 請求項に記載の製造方法で製造された酸化チタンを含むことを特徴とする光触媒材料。
  11. 請求項に記載の製造方法で製造された酸化チタンを含むことを特徴とする湿式太陽電池用材料。
  12. 請求項に記載の製造方法で製造された酸化チタンを含むことを特徴とする誘電体原料。
  13. 請求項に記載の製造方法で製造された酸化チタンを含むことを特徴とするシリコーンゴム添加剤。
  14. ルチル含有率が5%以下、BET一点法で測定した比表面積が10〜200m2/g、レーザー回折式粒度分析計によって測定される90%累積質量粒度分布径が2.5μm以下の酸化チタン粒子であり、かつ、BET一点法で測定した酸化チタンの比表面積をB(m2/g)、酸化チタン粒子内部のハロゲン含有量をCi(質量ppm)としたとき、粒子内部に含まれるハロゲン量が0≦Ci≦650ke0.02B(kは0.20)で示されることを特徴とする酸化チタン粒子。
  15. 10<Ci≦650ke0.02B(kは0.15)で示される量のハロゲンを粒子内部に含む請求項14に記載の酸化チタン粒子。
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