JP2018182949A - 回転電機制御装置、及び電源システム - Google Patents
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Abstract
【課題】回転電機による発電を適正に実施する回転電機制御装置を提供する。【解決手段】回転電機ECU23は、起動スイッチがオフ状態からオン状態になることに伴ってバイパススイッチ35が閉鎖状態から開放状態に切り替えられる電源システムに適用され、エンジンECU40と通信可能に接続され、エンジンECU40から発電指令を受信することで、回転電機ユニット16による発電を行う。回転電機ECU23は、起動スイッチのオン状態においてエンジンECU40からの発電指令が取得されていない場合に、エンジンECU40からの発電指令によらず回転電機ユニット16による自律的な発電を実施する自律発電部と、起動スイッチがオン状態となってから所定時間が経過したか否かを判定する時間判定部と、時間判定部により所定時間が経過したと判定されるまでの期間で、自律発電部による自律的な発電を制限する制限部と、を備える。【選択図】 図1
Description
本発明は、車両等に適用される回転電機制御装置、及び電源システムに関するものである。
従来、例えば車両用の電源システムとして、複数の蓄電池(例えば鉛蓄電池、リチウムイオン蓄電池)を備えるとともに、これら各蓄電池に対して並列接続された回転電機を備える構成が知られている(例えば、特許文献1)。このような電源システムでは、各蓄電池と回転電機との間にスイッチが設けられるとともに、電源オフ状態での暗電流供給やフェールセーフ処理等を実施するために、スイッチに並列となるバイパス経路に常閉式のリレーが設けられている。
また、このような電源システムでは、回転電機の作動を制御する回転電機制御装置と、これを統括的に管理する上位制御装置とが設けられており、回転電機制御装置と上位制御装置との間においてCANバス等の通信線を介した信号伝達が行われる。例えば、上記電源システムにおいて回転電機による発電を実施する際には、上位制御装置から回転電機制御装置に対して発電指令が出力され、その発電指令に基づいて回転電機により発電が実施される。なお、発電によって生じた発電電力は、各蓄電池や電気負荷に供給される。
また、上位制御装置の発電指令によらず、所定の目標電圧に基づいて回転電機による自律的な発電を実施する回転電機制御装置が知られている。この自律発電により、例えば上位制御装置からの発電指令が取得されない場合であっても、車両の動作に必要な電力を供給することができる。
ところで、上記回転電機制御装置による自律発電では、回転電機と各蓄電池とを繋ぐ電気経路の導通状態によらず所定の発電量が生成されることが考えられる。この場合、電気経路の導通状態に対して過剰な発電が行われることで不都合が生じると考えられる。特に、車両のイグニッションスイッチがオンされた直後には、通常の発電電流経路が確立されておらず、バイパス経路を通じての導通状態となっている。そのため、例えば、イグニッションオン直後の給電経路の切り替え時において自律発電が行われると、発電電流が意図せずバイパス経路に流れ、バイパス経路が破断されるおそれがある。
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、回転電機による発電を適正に実施する回転電機制御装置を提供することにある。
第1の手段では、
エンジン出力軸に駆動連結され、発電及び力行の各機能を有する回転電機(16)と、
前記回転電機に対して並列接続される第1蓄電池(11)及び第2蓄電池(12)と、
前記第1蓄電池及び前記第2蓄電池の間の電気経路において、前記回転電機との接続点よりも前記第1蓄電池の側に設けられる第1スイッチ(31)と、
当該電気経路において前記接続点よりも前記第2蓄電池の側に設けられる第2スイッチ(32)と、
前記電気経路における前記第1スイッチの一端側と他端側とを接続するバイパス経路に設けられる常閉式のバイパススイッチ(35)と、
を備え、
起動スイッチがオフ状態からオン状態になることに伴って前記バイパススイッチが閉鎖状態から開放状態に切り替えられる電源システムに適用され、
上位制御装置(40)と通信可能に接続され、前記上位制御装置から発電指令を受信することで、前記回転電機による発電を実施する回転電機制御装置(23)であって、
前記起動スイッチのオン状態において前記上位制御装置からの前記発電指令が取得されていない場合に、前記上位制御装置からの前記発電指令によらず前記回転電機による自律的な発電を実施する自律発電部と、
前記起動スイッチがオン状態となってから所定時間が経過したか否かを判定する時間判定部と、
前記時間判定部により前記所定時間が経過したと判定されるまでの期間で、前記自律発電部による自律的な発電を制限する制限部と、
を備えることを特徴とする。
エンジン出力軸に駆動連結され、発電及び力行の各機能を有する回転電機(16)と、
前記回転電機に対して並列接続される第1蓄電池(11)及び第2蓄電池(12)と、
前記第1蓄電池及び前記第2蓄電池の間の電気経路において、前記回転電機との接続点よりも前記第1蓄電池の側に設けられる第1スイッチ(31)と、
当該電気経路において前記接続点よりも前記第2蓄電池の側に設けられる第2スイッチ(32)と、
前記電気経路における前記第1スイッチの一端側と他端側とを接続するバイパス経路に設けられる常閉式のバイパススイッチ(35)と、
を備え、
起動スイッチがオフ状態からオン状態になることに伴って前記バイパススイッチが閉鎖状態から開放状態に切り替えられる電源システムに適用され、
上位制御装置(40)と通信可能に接続され、前記上位制御装置から発電指令を受信することで、前記回転電機による発電を実施する回転電機制御装置(23)であって、
前記起動スイッチのオン状態において前記上位制御装置からの前記発電指令が取得されていない場合に、前記上位制御装置からの前記発電指令によらず前記回転電機による自律的な発電を実施する自律発電部と、
前記起動スイッチがオン状態となってから所定時間が経過したか否かを判定する時間判定部と、
前記時間判定部により前記所定時間が経過したと判定されるまでの期間で、前記自律発電部による自律的な発電を制限する制限部と、
を備えることを特徴とする。
回転電機と、その回転電機に対して並列接続される第1蓄電池及び第2蓄電池とを備え、第1蓄電池及び第2蓄電池の各電気経路にそれぞれ第1スイッチ及び第2スイッチが設けられている電源システムでは、回転電機による発電が行われている状態下において、各スイッチを閉鎖(オン)又は開放(オフ)することで各蓄電池の充電が可能となる。また、回転電機制御装置は、起動スイッチがオン状態において上位制御装置の発電指令に基づいて回転電機による発電を行う一方、上位制御装置からの発電指令が取得されていない場合には、発電指令によらず回転電機による自律的な発電(自律発電)を実施する。これにより、例えば通信異常が生じた場合であっても、車両の動作に必要な電力を供給することが可能となる。
しかしながら、自律発電は、回転電機外部の電気経路の導通状態にかかわらず発電が実施される。そのため、起動スイッチがオフ状態からオン状態になることに伴ってバイパススイッチが閉鎖状態から開放状態に切り替えられる構成では、バイパススイッチの開放前に自律発電が実施されると、バイパス経路に意図せず発電電流が流れる。かかる場合、バイパススイッチの破損等を招くおそれがある。
この点上記構成では、起動スイッチがオン状態となってから所定時間が経過したか否かを判定し、所定時間が経過したと判定されるまでの期間で自律発電を制限するようにした。この場合、所定時間が経過するまで自律発電を制限することで、例えばバイパススイッチの切り替えが完了してから通常の自律発電が実施されることになる。そのため、バイパス経路に意図せず発電電流が流れることを抑制しつつ、自律発電によって電力を供給することができる。これにより、回転電機による発電を適正に実施することができる。
第2の手段では、前記バイパス経路は、前記電気経路よりも許容通電電流が小さい経路であり、前記所定時間は、前記起動スイッチのオン後において前記バイパススイッチが開放されるまでの時間を含んでおり、前記制限部は、前記時間判定部により前記所定時間が経過したと判定されるまでの期間で、前記自律的な発電を停止する。
バイパス経路の許容通電電流が、電気経路よりも小さい構成では、バイパス経路に意図せず発電電流が流れるとバイパススイッチの破損等を招くおそれがある。この点、上記構成では、起動スイッチがオン状態となってからバイパススイッチが開放されるまでの時間を含む所定時間が経過するまで、自律発電を停止するようにしたため、バイパス経路が導通した状態で自律発電が実施されることを防ぐことができる。これにより、自律発電に伴う発電電流によりバイパススイッチが破損することを防ぐことができる。
第3の手段では、前記バイパス経路は、前記電気経路よりも許容通電電流が小さい経路であり、前記所定時間は、前記起動スイッチのオン後において前記バイパススイッチが開放されるまでの時間を含んでおり、前記制限部は、前記時間判定部により前記所定時間が経過したと判定されるまでの期間で、前記自律的な発電の発電電流を前記バイパス経路の許容通電電流以下に制限する。
バイパス経路の許容通電電流が、電気経路よりも小さい構成では、バイパス経路に意図せず発電電流が流れるとバイパススイッチの破損等を招くおそれがある。この点、上記構成では、起動スイッチがオン状態となってからバイパススイッチが開放されるまでの時間を含む所定時間が経過するまで、自律発電の発電電流をバイパス経路の許容通電電流以下に制限するようにしたため、バイパス経路が導通した状態で自律発電が実施された場合であっても、バイパススイッチが破損することを防ぐことができる。
第4の手段では、前記第2スイッチは、直列に接続される複数の半導体スイッチ(32a,32b)を有しており、前記複数の半導体スイッチは、寄生ダイオードが互いに逆向きとなる半導体スイッチを含んでおり、前記起動スイッチがオン状態にされた後において、前記寄生ダイオードの向きが一方側及び他方側となる前記半導体スイッチのうち一方をオンさせた状態で前記第2スイッチの故障診断が実施される電源システムに適用され、前記所定時間は、前記起動スイッチのオン後において前記第2スイッチの故障診断が完了するまでの時間を含んでおり、前記制限部は、前記時間判定部により前記所定時間が経過したと判定されるまでの期間で、前記自律的な発電を停止する。
上記電源システムでは、第2スイッチは、直列に接続される複数の半導体スイッチを有しており、複数の半導体スイッチは、寄生ダイオードが互いに逆向きとなる半導体スイッチを含んでいる。そして、起動スイッチがオン状態にされた後において、寄生ダイオードの向きが一方側及び他方側となる半導体スイッチのうち一方をオンさせた状態で第2スイッチの故障診断が実施される。この故障診断では、寄生ダイオードを介して一時的に第2スイッチが導通状態となる。しかしながら、第2スイッチの故障診断時において、自律発電が実施されると寄生ダイオードに意図せず発電電流が流れることになり、半導体スイッチの破損を招くおそれがある。
この点上記構成では、起動スイッチがオン状態となってから第2スイッチの故障診断が完了するまでの時間を含む所定時間が経過するまで、自律発電を停止するようにしたため、自律発電に伴う発電電流が半導体スイッチの寄生ダイオードに流れることを防ぐことができる。これにより、自律発電に伴う発電電流により半導体スイッチが破損することを防ぐことができる。
第5の手段では、前記回転電機は、界磁巻線(25)を備える巻線界磁型回転電機であって、前記制限部は、前記時間判定部により前記所定時間が経過したと判定されるまでの期間において、前記界磁巻線に流れる励磁電流を前記自律的な発電時よりも小さくすることで、前記自律的な発電を制限する。
上記構成では、起動スイッチがオン状態となってから所定時間が経過したと判定されるまでの期間において、界磁巻線に流れる励磁電流を通常の自律発電時よりも小さくすることで、自律発電を制限するようにしたため、自律発電に伴う発電電流を適切に制限することができる。
電源システムとして、以下の構成を備えるものであってもよい。すなわち、第6の手段では、エンジン出力軸に駆動連結され、発電及び力行の各機能を有する回転電機(16)と、前記回転電機に対して並列接続される第1蓄電池(11)及び第2蓄電池(12)と、前記第1蓄電池及び前記第2蓄電池の間の電気経路において、前記回転電機との接続点よりも前記第1蓄電池の側に設けられる第1スイッチ(31)と、当該電気経路において前記接続点よりも前記第2蓄電池の側に設けられる第2スイッチ(32)と、前記電気経路における前記第1スイッチの一端側と他端側とを接続するバイパス経路に設けられる常閉式のバイパススイッチ(35)と、を備え、起動スイッチがオフ状態からオン状態になることに伴って前記バイパススイッチが閉鎖状態から開放状態に切り替えられる電源システムであって、前記回転電機は、前記起動スイッチのオン状態において上位制御装置からの発電指令によらず自律的な発電を実施する自律発電機能を有しており、前記起動スイッチがオン状態となってから所定時間が経過するまでの期間で、前記回転電機による自律的な発電が制限される。
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、エンジン(内燃機関)を駆動源として走行する車両において当該車両の各種機器に電力を供給する車載電源システムを具体化するものとしている。
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、エンジン(内燃機関)を駆動源として走行する車両において当該車両の各種機器に電力を供給する車載電源システムを具体化するものとしている。
図1に示すように、本電源システムは、第1蓄電池としての鉛蓄電池11と第2蓄電池としてのリチウムイオン蓄電池12とを有する2電源システムであり、各蓄電池11,12からはスタータ13や、各種の電気負荷14,15、回転電機ユニット16への給電が可能となっている。また、各蓄電池11,12に対しては回転電機ユニット16による充電が可能となっている。本システムでは、回転電機ユニット16に対して並列に鉛蓄電池11及びリチウムイオン蓄電池12が接続されるとともに、電気負荷14,15に対して並列に鉛蓄電池11及びリチウムイオン蓄電池12が接続されている。
鉛蓄電池11は周知の汎用蓄電池である。これに対し、リチウムイオン蓄電池12は、鉛蓄電池11に比べて、充放電における電力損失が少なく、出力密度、及びエネルギ密度の高い高密度蓄電池である。リチウムイオン蓄電池12は、鉛蓄電池11に比べて充放電時のエネルギ効率が高い蓄電池であるとよい。また、リチウムイオン蓄電池12は、それぞれ複数の単電池を有してなる組電池として構成されている。これら各蓄電池11,12の定格電圧はいずれも同じであり、例えば12Vである。
図示による具体的な説明は割愛するが、リチウムイオン蓄電池12は、収容ケースに収容されて基板一体の電池ユニットUとして構成されている。電池ユニットUは、出力端子P1,P2,P3,P4を有しており、このうち出力端子P1,P3に鉛蓄電池11とスタータ13と電気負荷14とが接続され、出力端子P2に回転電機ユニット16が接続され、出力端子P4に電気負荷15が接続されている。
各電気負荷14,15は、各蓄電池11,12から供給される供給電力の電圧について要求が相違するものである。このうち電気負荷15には、供給電力の電圧が一定又は少なくとも所定範囲内で変動するよう安定であることが要求される定電圧要求負荷が含まれる。これに対し、電気負荷14は、定電圧要求負荷以外の一般的な電気負荷である。電気負荷15は被保護負荷とも言える。また、電気負荷15は電源失陥が許容されない負荷であり、電気負荷14は、電気負荷15に比べて電源失陥が許容される負荷であるとも言える。
定電圧要求負荷である電気負荷15の具体例としては、ナビゲーション装置やオーディオ装置、メータ装置、エンジンECU等の各種ECUが挙げられる。この場合、供給電力の電圧変動が抑えられることで、上記各装置において不要なリセット等が生じることが抑制され、安定動作が実現可能となっている。電気負荷15として、電動ステアリング装置やブレーキ装置等の走行系アクチュエータが含まれていてもよい。また、電気負荷14の具体例としては、シートヒータやリヤウインドウのデフロスタ用ヒータ、ヘッドライト、フロントウインドウのワイパ、空調装置の送風ファン等が挙げられる。
回転電機ユニット16は、3相交流モータとしての回転電機21と、電力変換装置としてのインバータ22と、回転電機21の作動を制御する回転電機ECU23とを備えている。回転電機ユニット16において回転電機21は、モータ機能付き発電機であり、機電一体型のISG(Integrated Starter Generator)として構成されている。
ここで、回転電機ユニット16の電気的構成について図2を用いて説明する。回転電機21は、3相の固定子巻線としてU相、V相、W相の相巻線24U,24V,24Wと、界磁巻線25とを備えている。回転電機21の回転軸は、図示しないエンジン出力軸に対してベルトにより駆動連結されており、エンジン出力軸の回転によって回転電機21の回転軸が回転する一方、回転電機21の回転軸の回転によってエンジン出力軸が回転する。つまり、回転電機ユニット16は、エンジン出力軸や車軸の回転により発電(回生発電)を行う発電機能と、エンジン出力軸に回転力を付与する力行機能とを備えている。
インバータ22は、各相巻線24U,24V,24Wから出力される交流電圧を直流電圧に変換して電池ユニットUに対して出力する。また、インバータ22は、電池ユニットUから入力される直流電圧を交流電圧に変換して各相巻線24U,24V,24Wへ出力する。インバータ22は、相巻線の相数と同数の上下アームを有するブリッジ回路であり、3相全波整流回路を構成している。また、インバータ22は、回転電機21に供給される電力を調節することで回転電機21を駆動する駆動回路を構成している。
インバータ22は、相ごとに上アームスイッチSp及び下アームスイッチSnを備えている。本実施形態では、各スイッチSp,Snとして、電圧制御形の半導体スイッチング素子を用いており、具体的には、NチャネルMOSFETを用いている。上アームスイッチSpには、上アームダイオードDpが逆並列に接続され、下アームスイッチSnには、下アームダイオードDnが逆並列に接続されている。
界磁巻線25は、回転子を構成しており、固定子鉄心の内周側に対向配置された図示しない界磁極に巻回されている。界磁巻線25に励磁電流が流れることにより、界磁極が磁化される。界磁極が磁化された場合に発生する回転磁界により、各相巻線24U,24V,24Wから交流電圧が出力される。
各相におけるスイッチSp,Snの直列接続体の中間接続点は、各相巻線24U,24V,24Wの一端にそれぞれ接続されている。また、インバータ22の高圧側経路と低圧側経路との間には、インバータ22の入出力の電圧を検出する電圧センサ26が設けられている。その他、回転電機ユニット16には、各相巻線24U,24V,24Wを流れる電流を検出する電流センサ27と、界磁巻線25に流れる電流を検出する電流センサ28が設けられている。上記各センサ26〜28の検出信号は回転電機ECU23に適宜入力される。また、図示は略すが、回転電機21には、回転子の角度情報を検出する回転角度センサが設けられ、インバータ22には、その回転角度センサからの信号を処理する信号処理回路が設けられている。
回転電機ECU23は、CPU、ROM、RAM、入出力インターフェース等を含むマイコンにより構成されている。また、回転電機ECU23は、ICレギュレータ23aを備えており、ICレギュレータ23aによって界磁巻線25に流れる励磁電流を調整する。ICレギュレータ23aは、図示しない界磁スイッチ(例えばNチャネルMOSFET)を含んで構成されており、その界磁スイッチをオンオフ制御する。具体的には、界磁スイッチの1制御周期(一定期間)における通電期間の割合を示すDuty値を変化させることで、励磁電流を調整する。例えば、回転電機ユニット16による発電では、電圧センサ26により検出された出力端子Bの電圧が目標電圧Vtgとなるように界磁スイッチをオンオフ制御する。これにより、界磁巻線25に流れる励磁電流が調整され、回転電機ユニット16の発電電圧(電池ユニットUに対する出力電圧)が制御される。
また、回転電機ECU23は、車両の走行開始後にインバータ22を制御して回転電機21を駆動させて、エンジンの駆動力をアシストする。また、回転電機ECU23は、エンジン始動時に回転電機21を駆動させて、エンジン出力軸に初期回転を付与するようにしてもよい。なお、図1において、回転電機ECU23に鉛蓄電池11が接続されているとよい。
次に、電池ユニットUにおける電気的構成を説明する。図1に示すように、電池ユニットUには、ユニット内電気経路として、各出力端子P1,P2を繋ぐ通電経路L1と、通電経路L1上の接続点N1とリチウムイオン蓄電池12とを繋ぐ通電経路L2とが設けられている。このうち通電経路L1にスイッチ31が設けられ、通電経路L2にスイッチ32が設けられている。なお、鉛蓄電池11とリチウムイオン蓄電池12とを接続する電気経路で言えば、回転電機ユニット16との接続点N1よりも鉛蓄電池11の側にスイッチ31が設けられ、接続点N1よりもリチウムイオン蓄電池12の側にスイッチ32が設けられている。スイッチ31が「第1スイッチ」に相当し、スイッチ32が「第2スイッチ」に相当する。
これら各スイッチ31,32は、2×n個のMOSFET(半導体スイッチング素子)を備え、その2つ一組のMOSFETの寄生ダイオードが互いに逆向きになるように直列に接続されている。図1では、各MOSFETの寄生ダイオードが互いにアノード同士で接続されている。この寄生ダイオードによって、各スイッチ31,32をオフ状態とした場合にそのスイッチが設けられた経路に流れる電流が完全に遮断される。なお、各スイッチ31,32において、各MOSFETの寄生ダイオードが互いにカソード同士で接続されるようにしてもよい。
通電経路L1において出力端子P1とスイッチ31との間の接続点N2には分岐経路L3の一端が接続されるとともに、通電経路L2においてリチウムイオン蓄電池12とスイッチ32との間の接続点N3には分岐経路L4の一端が接続されており、これら分岐経路L3,L4の他端同士が中間点N4で接続されている。また、中間点N4と出力端子P4とが通電経路L5により接続されている。分岐経路L3,L4にはそれぞれスイッチ33、スイッチ34が設けられている。これらスイッチ33,34は、スイッチ31,32と同様に構成されている。つまり、スイッチ33,34はそれぞれ、寄生ダイオードの向きが互いに逆向きになっている2個のMOSFETが直列に接続されている。そして、各経路L3〜L5を通じて、各蓄電池11,12からそれぞれ電気負荷15への給電が可能となっている。
電池ユニットUには、ユニット内のスイッチ31〜34を介さずに、鉛蓄電池11と電気負荷15及び回転電機ユニット16とに対して接続可能とするバイパス経路L6,L7が設けられている。具体的には、電池ユニットUには、出力端子P3と通電経路L1上の接続点N1とを接続するバイパス経路L6が設けられるとともに、接続点N1と出力端子P4とを接続するバイパス経路L7が設けられている。出力端子P3は、ヒューズ51を介して鉛蓄電池11に接続されている。そして、バイパス経路L6上にはバイパススイッチ35が設けられ、バイパス経路L7上にはバイパススイッチ36が設けられている。各バイパススイッチ35,36は常閉式のリレースイッチである。
バイパススイッチ35を閉鎖することで、スイッチ31がオフ(開放)であっても鉛蓄電池11と回転電機ユニット16とが電気的に接続される。また、両方のバイパススイッチ35,36を閉鎖することで、スイッチ31〜34が全てオフ(開放)であっても鉛蓄電池11と電気負荷15とが電気的に接続される。なお、バイパス経路L6及びバイパススイッチ35を、電池ユニットU外に設けることも可能である。
電池ユニットUは、各スイッチ31〜34、及びバイパススイッチ35,36のオンオフ(開閉)を制御する電池ECU37を備えている。電池ECU37は、CPU、ROM、RAM、入出力インターフェース等を含むマイコンにより構成されている。電池ECU37は、各蓄電池11,12の蓄電状態や、上位制御装置であるエンジンECU40からの指令値に基づいて、各スイッチ31〜34のオンオフを制御する。これにより、鉛蓄電池11とリチウムイオン蓄電池12とを選択的に用いて充放電が実施される。例えば、電池ECU37は、リチウムイオン蓄電池12のSOC(残存容量:State Of Charge)を算出し、そのSOCが所定の使用範囲内に保持されるようにリチウムイオン蓄電池12の充電量及び放電量を制御する。
回転電機ユニット16の回転電機ECU23や電池ユニットUの電池ECU37には、これら各ECU23,37を統括的に管理する上位制御装置としてのエンジンECU40が接続されている。エンジンECU40は、CPU、ROM、RAM、入出力インターフェース等を含むマイコンにより構成されており、都度のエンジン運転状態や車両走行状態に基づいて、エンジン42の運転を制御する。
これら各ECU23,37,40は、CAN等の通信ネットワークを構築する通信線41により接続されて相互に通信可能となっており、所定周期で双方向の通信が実施される。これにより、各ECU23,37,40に記憶される各種データが互いに共有できるものとなっている。
回転電機ユニット16による発電は、基本的にエンジンECU40からの発電指令に基づいて実施される。例えば、エンジンECU40は、電池ECU37との信号伝達を介してリチウムイオン蓄電池12のSOCが所定値以下であると判定すると、回転電機ECU23に発電指令を送信する。そして、回転電機ECU23は、その発電指令に基づいて目標電圧Vtgを設定し、発電電圧が目標電圧Vtgとなるように界磁巻線25に流れる励磁電流を制御する。
また、回転電機ユニット16は、エンジンECU40からの発電指令によらずに自律的な発電を実施する自律発電機能を有している。具体的には、回転電機ECU23は、車両のイグニッションスイッチ(起動スイッチ)がオンされている状態においてエンジンECU40からの発電指令が取得されない場合、例えば回転電機ECU23とエンジンECU40との間で通信異常が生じた場合に、回転電機ユニット16による自律発電を実施する。これにより、異常発生時においても車両の動作に必要な電力が供給される。
自律発電は、回転電機ユニット16の出力端子Bの電圧(電池ユニットUに対する出力電圧)が、所定電圧VA(例えば、14V)を維持するように実施される。かかる場合、界磁巻線25に流れる励磁電流は、所定電圧VAに対応する所定電流IAに制御される。なお、この自律発電では、回転電機ユニット16外部の導通状態、すなわち電源システムにおける各経路L1〜L7の導通状態にかかわらず所定の発電電圧が生成される。
ところで、上記電源システムにおいて、車両のイグニッションスイッチがオフされている状態では、各スイッチ31〜34はオフ(開放)されており、バイパススイッチ35,36が閉鎖されている。かかる状態では、バイパス経路L6,L7を介して鉛蓄電池11から電気負荷15へ電力が供給される。なお、バイパス経路L6,L7の許容通電電流は、通電経路L1,L2に比べて小さくなっている。
そして、イグニッションスイッチがオフ状態からオン状態になると、鉛蓄電池11から電気負荷15への給電経路が変更される。このとき、各スイッチ31,33がオン(閉鎖)されるとともに、バイパススイッチ35,36が閉鎖状態から開放状態へ切り替えられる。つまり、車両のイグニッションスイッチがオンされた直後には、通常の給電経路が確立されておらず、バイパス経路L6,L7を通じての導通状態となっている。そのため、例えば、イグニッションオン直後の電気負荷15への給電経路の切り替え時において回転電機ユニット16により自律発電が行われると、発電電流が意図せずバイパス経路L6,L7に流れ、バイパススイッチ35,36の破損やヒューズ51の溶断を招くおそれがある。
そこで、本実施形態では、イグニッションスイッチがオン状態となってから所定時間T1が経過したか否かを判定し、所定時間T1が経過したと判定されるまでの期間で回転電機ユニット16による自律発電を制限するようにした。具体的には、回転電機ECU23は、励磁電流を制御することで、回転電機ユニット16による自律発電を停止する。つまり、イグニッションオン直後において、自律発電に伴う発電電流がバイパス経路L6,L7に流れないようにしている。
所定時間T1は、イグニッションスイッチのオン後においてバイパススイッチ35,36が開放されるまでの時間を含むように設定される。所定時間T1は、例えば、バイパススイッチ35,36の閉鎖状態から開放状態への切り替えが完了するまでの時間に、さらに余裕時間を加えて設定されてもよい。つまりこの場合、回転電機ECU23は、少なくともイグニッションオン直後における電気負荷15への給電経路の切り替えが完了するまでは、自律発電を停止する。
図3のフローチャートを用いて、回転電機ECU23により実施される自律発電処理について説明する。この処理は、回転電機ECU23により所定周期で繰り返し実施される。
ステップS11では、イグニッションスイッチがオン状態であるか否かを判定する。ステップS11がYESであればステップS12に進み、ステップS11がNOであればそのまま本処理を終了する。ステップS12では、エンジンECU40との間で通信異常が発生したか否かを判定する。通信異常の判定には、周知の方法を用いることができる。例えば、回転電機ECU23は、エンジンECU40からの確認信号が受信できない場合に通信異常が生じたと判定する。ステップS12がYESであれば、自律発電を実施する必要があるとしてステップS13に進む。一方、ステップS12がNOであれば、そのまま本処理を終了する。
ステップS13では、イグニッションスイッチがオン状態となってから所定時間T1が経過しているか否かを判定する。所定時間T1は、例えば、バイパススイッチ35,36の閉鎖状態から開放状態への切り替えに要する時間を含むように設定される。ステップS13がYESであれば、ステップS14に進み、回転電機ユニット16による自律発電を実施する。この場合、回転電機ユニット16の出力電圧が所定電圧VAとなるように発電が実施される。一方、ステップS13がNOであれば、ステップS15に進み、自律発電を停止する。例えば、回転電機ECU23は、界磁スイッチをオフ(開放)にして、界磁巻線25に励磁電流が流れないようにすることで自律発電を停止する。このとき、イグニッションスイッチがオンされてから所定時間T1が経過するまで、回転電機ユニット16による自律発電が停止される。
なお、図3において、ステップS13が「時間判定部」に相当し、ステップS14が「自律発電部」に相当し、ステップS15が「制限部」に相当する。
続いて、図4には、図3の処理をより具体的に示すタイミングチャートを示す。まず、電池ユニットUにおける各スイッチの状態について説明する。
タイミングt11以前では、イグニッションスイッチがオフされている。この間は、バイパススイッチ35,36が閉鎖されており、バイパス経路L6,L7を介して鉛蓄電池11から電気負荷15へ電力供給が行われている。そして、タイミングt11にてイグニッションスイッチがオンされると、スイッチ31,33のオン指令が生成され、タイミングt13にてスイッチ31,33がオン(閉鎖)される。そして、スイッチ31,33とバイパススイッチ35,36とが閉鎖された状態を経て、タイミングt14でバイパススイッチ35,36が開放される。なお、電気負荷15への給電が途絶えるのを防ぐため、スイッチの閉鎖状態をオーバーラップさせた期間(タイミングt13〜t14)を設けている。
続いて、回転電機ユニット16における処理について説明する。イグニッションスイッチのオン状態において、回転電機ECU23によりエンジンECU40との通信異常の有無が判定される。そして、タイミングt12にて通信異常が生じたと判定されると、自律発電が実施される。ただし、タイミングt12の時点においては、イグニッションオンから所定時間T1が経過していないため、自律発電が停止(禁止)される。そして、所定時間T1経過後のタイミングt15以降において自律発電が実施される。タイミングt15の時点では電気負荷15への給電経路の切り替えはすでに完了している。なお、タイミングt14〜t15が余裕時間に相当する。
仮に、通信異常が発生したと判定されるタイミングt12において自律発電が開始されるとすると、バイパススイッチ35,36がまだ閉鎖状態であるため、バイパス経路L6,L7に対し過剰な電流が流れるおそれがある。かかる場合、ヒューズ51が溶断する等の懸念があるが、上記のとおり、電気負荷15への給電経路の切り替えが完了するまで自律発電が停止されることで、ヒューズ51の溶断が回避される。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
上記構成では、イグニッションスイッチがオン状態となってから所定時間T1が経過したか否かを判定し、所定時間T1が経過したと判定されるまでの期間で自律発電を制限するようにした。この場合、所定時間T1が経過するまで自律発電を制限することで、発電電流が意図せずバイパス経路L6,L7に流れることを抑制しつつ、自律発電によって電力を供給することができる。これにより、回転電機ユニット16による発電を適正に実施することができる。
具体的には、イグニッションスイッチがオン状態となってからバイパススイッチ35,36が開放されるまでの時間を含む所定時間T1が経過するまで、回転電機ユニット16による自律発電を停止するようにした。この場合、バイパス経路L6,L7が導通した状態で自律発電が実施されないため、発電電流がバイパス経路L6,L7に流れることはない。これにより、発電電流によるバイパススイッチ35,36の破損やヒューズ51の溶断を防ぐことができる。
また、界磁巻線25に流れる励磁電流を界磁スイッチによって遮断することで、自律発電を停止するようにしたため、自律発電に伴う発電電流が意図せずバイパス経路L6,L7に流れることを好適に防ぐことができる。
(第1実施系形態の別例)
・上記実施形態では、イグニションスイッチがオン状態となってから電気負荷15への給電経路の切り替えが完了するまでは、回転電機ユニット16による自律発電を停止する構成としたが、これを変更してもよい。例えば、回転電機ユニット16による自律発電の発電電流をバイパス経路L6,L7の許容通電電流以下に制限する構成としてもよい。
・上記実施形態では、イグニションスイッチがオン状態となってから電気負荷15への給電経路の切り替えが完了するまでは、回転電機ユニット16による自律発電を停止する構成としたが、これを変更してもよい。例えば、回転電機ユニット16による自律発電の発電電流をバイパス経路L6,L7の許容通電電流以下に制限する構成としてもよい。
かかる構成について、図5のフローチャートを用いて説明する。本処理は、上述の図3に置き換えて回転電機ECU23により所定周期で繰り返し実施される。なお図5では、図3と同様の処理について同一のステップ番号を付して説明を簡略にする。図3の処理からの変更点は、ステップS15からステップS16への置換である。
図5において、イグニッションスイッチがオンされ、かつ通信異常が発生したと判定された場合(ステップS11,S12が共にYESの場合)であって、イグニッションオンから所定時間T1が経過していない場合(ステップS13がNOの場合)に、ステップS16に進む。ステップS16では、バイパス経路L6,L7の許容通電電流以下となるように発電電圧を制限して、回転電機ユニット16による自律発電を実施する。かかる場合の発電電圧は、例えばヒューズ51の許容通電電流(例えば30A)に基づいて設定され、通常の自律発電時での所定電圧VAよりも小さい値である。このとき、回転電機ECU23は、励磁電流を、通常の自律発電時での所定電流IAよりも小さくすることで発電電圧を制限する。かかる構成において、ステップS16が「制限部」に相当する。
上記構成では、イグニションスイッチがオン状態となってからバイパススイッチ35,36が開放されるまでの時間を含む所定時間T1が経過するまで、回転電機ユニット16による自律発電の発電電流をバイパス経路L6,L7の許容通電電流以下に制限するようにしたため、回転電機ユニット16による発電を行いつつ、バイパススイッチ35,36が破損することを防ぐことができる。
上記構成では、界磁巻線25に流れる励磁電流を自律発電時での所定電流IAよりも小さくすることで自律発電を制限するようにしたため、許容通電電流よりも大きな発電電流が意図せずにバイパス経路L6,L7に流れることを好適に防ぐことができる。
(第2実施形態)
上述のとおり、車両のイグニッションスイッチがオンされた直後には、電気負荷15への給電経路が切り替えられる。ここで、図6には、給電経路の切り替えが完了した後の電源システムの通電状態を示す。図6では、スイッチ31,33がオン(閉鎖)されており、鉛蓄電池11からスイッチ33を介して電気負荷15に電力が供給されている。一方、リチウムイオン蓄電池12の充放電を制御するスイッチ32,34はオフ(開放)されており、また、バイパススイッチ35,36は開放されている。そして、イグニッションオン直後のかかる状態において、スイッチ32,34の故障診断が実施される。以下に、スイッチ32,34の故障診断について説明する。
上述のとおり、車両のイグニッションスイッチがオンされた直後には、電気負荷15への給電経路が切り替えられる。ここで、図6には、給電経路の切り替えが完了した後の電源システムの通電状態を示す。図6では、スイッチ31,33がオン(閉鎖)されており、鉛蓄電池11からスイッチ33を介して電気負荷15に電力が供給されている。一方、リチウムイオン蓄電池12の充放電を制御するスイッチ32,34はオフ(開放)されており、また、バイパススイッチ35,36は開放されている。そして、イグニッションオン直後のかかる状態において、スイッチ32,34の故障診断が実施される。以下に、スイッチ32,34の故障診断について説明する。
上述の図1に示したように、スイッチ32,34はそれぞれ、寄生ダイオードの向きが互いに逆向きとなっている2個のMOSFETが直列に接続されている。すなわち、スイッチ32は、スイッチ部32a及びスイッチ部32bから構成され、スイッチ34は、スイッチ部34a及びスイッチ部34bから構成されている。故障診断では、各スイッチ32,34において片方のスイッチ部をそれぞれ同時にオン(閉鎖)させる。具体的には、リチウムイオン蓄電池12に対して、各スイッチ部の寄生ダイオードの向きが同じとなる組み合わせで各スイッチのスイッチ部を同時にオンさせる。
例えば、図7には、スイッチ部32aとスイッチ部34aを同時にオンさせた場合の故障診断を示す。図7において、鉛蓄電池11の端子電圧の方がリチウムイオン蓄電池12の端子電圧よりも大きい場合には、スイッチ部32aとスイッチ部32bの寄生ダイオードとを介してリチウムイオン蓄電池12に電流が流れる。同様に、スイッチ部34aとスイッチ部34bの寄生ダイオードとを介してリチウムイオン蓄電池12に電流が流れる。かかる場合には、リチウムイオン蓄電池12へ流入する電流を検出することで、スイッチ部32aとスイッチ部34aが正常に動作していることを把握する。
一方、リチウムイオン蓄電池12の端子電圧の方が鉛蓄電池11の端子電圧よりも大きい場合には、スイッチ部32bとスイッチ部34bを同時にオンさせると、リチウムイオン蓄電池12から電流が流れ出る。すなわち、スイッチ部32bとスイッチ部32aの寄生ダイオードとを介してリチウムイオン蓄電池12から電流が流れ、スイッチ部34bとスイッチ部34aの寄生ダイオードとを介してリチウムイオン蓄電池12から電流が流れる。かかる場合には、リチウムイオン蓄電池12から流出する電流を検出することで、スイッチ部32bとスイッチ部34bが正常に動作していることを把握する。
このように、スイッチ32,34の故障診断では、各スイッチにおいて片方のスイッチ部を同時にオンさせている。なお、スイッチ32の故障診断とスイッチ34の故障診断とを別々に実施してもよい。例えばスイッチ32の故障診断では、スイッチ部32a、スイッチ部32bが1つずつオンされる。
例えば、故障診断においてスイッチ部32a,34aをオンさせた場合において、回転電機ユニット16により自律発電が実施されると、スイッチ32を介して発電電流がリチウムイオン蓄電池12へ流れる。かかる場合、発電電流が意図せずスイッチ部32bの寄生ダイオードに流れ、スイッチ部32bの破損を招くおそれがある。なお、スイッチ部34bについても同様である。
そこで、本実施形態では、イグニッションスイッチがオン状態となってからスイッチ32,34の故障診断が完了するまでの時間を含む所定時間T2が経過したか否かを判定し、所定時間T2が経過したと判定されるまでの期間で回転電機ユニット16による自律発電を制限するようにした。具体的には、回転電機ECU23は、回転電機ユニット16による自律発電を停止する。つまり、イグニッションオン直後において、自律発電に伴う発電電流が、スイッチ部32b,34bの寄生ダイオードに流れないようにしている。
第2実施形態における回転電機ECU23の自律発電処理は、上述の図3のフローチャートに基づいて実施される。第1実施形態からの変更点は、ステップS13の処理内容の変更である。第2実施形態では、所定時間T2は、イグニッションスイッチのオン後においてスイッチ32,34の故障診断が完了するまでの時間を含むように設定される。所定時間T2は、例えば、スイッチ32,34の故障診断が完了するまでの時間に、さらに余裕時間を加えて設定されてもよい。回転電機ECU23は、この所定時間T2を用いてステップS13を実施する。ここで、スイッチ32,34の故障診断は、イグニッションオン直後の電気負荷15への給電経路の切り替えよりも後に実施されることから、第2実施形態での所定時間T2は、第1実施形態での所定時間T1よりも長く設定される(T2>T1)。なお、その他の処理については上述のとおりである。
上記構成では、イグニッションスイッチがオン状態となってからスイッチ32,34の故障診断が完了するまでの時間を含む所定時間T2が経過するまで、回転電機ユニット16による自律発電を停止するようにした。この場合、スイッチ部32a,34aがオンされた状態で自律発電が実施されないため、発電電流がスイッチ部32b,34bの寄生ダイオードに流れることはない。これにより、発電電流によるスイッチ部32b,34bの破損を防ぐことができる。
(他の実施形態)
・上記実施形態では、出力端子P1,P3に鉛蓄電池11とスタータ13と電気負荷14とが接続され、出力端子P2に回転電機ユニット16が接続され、出力端子P4に電気負荷15が接続された電源システムに、回転電機ECU23を適用したが、その他の電源システムに適用してもよい。例えば、上記電源システムにおいて出力端子P4を設けずに、出力端子P2に電気負荷15と回転電機ユニット16とを接続させた電源システムに、回転電機ECU23を適用してもよい。
・上記実施形態では、出力端子P1,P3に鉛蓄電池11とスタータ13と電気負荷14とが接続され、出力端子P2に回転電機ユニット16が接続され、出力端子P4に電気負荷15が接続された電源システムに、回転電機ECU23を適用したが、その他の電源システムに適用してもよい。例えば、上記電源システムにおいて出力端子P4を設けずに、出力端子P2に電気負荷15と回転電機ユニット16とを接続させた電源システムに、回転電機ECU23を適用してもよい。
かかる電源システムについて、図8を用いて説明する。図8においては、説明の便宜上、上述の図1に準ずる構成については同じ符号を付すとともに説明を適宜割愛する。
図8に示す電池ユニットUでは、出力端子P1,P3に鉛蓄電池11とスタータ13と電気負荷14とが接続され、出力端子P2に回転電機ユニット16と電気負荷15とが接続されている。電池ユニットUにおいて、通電経路L1にスイッチ31が設けられ、通電経路L2にスイッチ32が設けられている。なお、各スイッチ31,32の構成は上述のとおりである。また、バイパス経路L6にはバイパススイッチ35が設けられている。この場合、バイパススイッチ35を閉鎖することで、スイッチ31がオフ(開放)であっても鉛蓄電池11と電気負荷15とが電気的に接続される。なお、図8の電源システムでは、図1の電源システムにおける分岐経路L3,L4、通電経路L5が省略されており、それに伴ってスイッチ33,34、バイパススイッチ36も省略されている。
上記電源システムにおいて、イグニッションスイッチがオフされた状態では、バイパス経路L6を介して鉛蓄電池11から電気負荷15へ電力が供給される。そして、イグニッションスイッチがオン状態になることに伴って、電気負荷15への給電経路が切り替えられる。このとき、スイッチ31がオン(閉鎖)されるとともに、バイパススイッチ35が閉鎖状態から開放状態へ切り替えられる。また、電気負荷15への給電経路の切り替え後においては、スイッチ32の故障診断が実施される。つまり、スイッチ32の各スイッチ部32a,32bがオン(閉鎖)される。このように上記電源システムにおいてもイグニッションオン直後には、電源システムの導通状態が大きく変化するため、かかる状態下で自律発電が行われると、発電電流に起因して不都合が生じるおそれがある。
そのため、上記電源システムにおいてもイグニッションオン直後から所定時間が経過するまで回転電機ユニット16による自律発電を制限することで、ヒューズ51の溶断やスイッチ32の故障を防ぐことができる。
・上記実施形態では、蓄電池として鉛蓄電池11を設けるとともに、リチウムイオン蓄電池12を設ける構成としたが、これを変更してもよい。例えば、リチウムイオン蓄電池12に代えて、それ以外の高密度蓄電池、例えばニッケル−水素電池を用いてもよい。その他、少なくともいずれかの蓄電池としてキャパシタを用いることも可能である。
11…鉛蓄電池、12…リチウムイオン蓄電池、31,32…スイッチ、16…回転電機ユニット、32…回転電機ECU、35…バイパススイッチ、40…エンジンECU。
Claims (6)
- エンジン出力軸に駆動連結され、発電及び力行の各機能を有する回転電機(16)と、
前記回転電機に対して並列接続される第1蓄電池(11)及び第2蓄電池(12)と、
前記第1蓄電池及び前記第2蓄電池の間の電気経路において、前記回転電機との接続点よりも前記第1蓄電池の側に設けられる第1スイッチ(31)と、
当該電気経路において前記接続点よりも前記第2蓄電池の側に設けられる第2スイッチ(32)と、
前記電気経路における前記第1スイッチの一端側と他端側とを接続するバイパス経路に設けられる常閉式のバイパススイッチ(35)と、
を備え、
起動スイッチがオフ状態からオン状態になることに伴って前記バイパススイッチが閉鎖状態から開放状態に切り替えられる電源システムに適用され、
上位制御装置(40)と通信可能に接続され、前記上位制御装置から発電指令を受信することで、前記回転電機による発電を実施する回転電機制御装置(23)であって、
前記起動スイッチのオン状態において前記上位制御装置からの前記発電指令が取得されていない場合に、前記上位制御装置からの前記発電指令によらず前記回転電機による自律的な発電を実施する自律発電部と、
前記起動スイッチがオン状態となってから所定時間が経過したか否かを判定する時間判定部と、
前記時間判定部により前記所定時間が経過したと判定されるまでの期間で、前記自律発電部による自律的な発電を制限する制限部と、
を備える回転電機制御装置。 - 前記バイパス経路は、前記電気経路よりも許容通電電流が小さい経路であり、
前記所定時間は、前記起動スイッチのオン後において前記バイパススイッチが開放されるまでの時間を含んでおり、
前記制限部は、前記時間判定部により前記所定時間が経過したと判定されるまでの期間で、前記自律的な発電を停止する請求項1に記載の回転電機制御装置。 - 前記バイパス経路は、前記電気経路よりも許容通電電流が小さい経路であり、
前記所定時間は、前記起動スイッチのオン後において前記バイパススイッチが開放されるまでの時間を含んでおり、
前記制限部は、前記時間判定部により前記所定時間が経過したと判定されるまでの期間で、前記自律的な発電の発電電流を前記バイパス経路の許容通電電流以下に制限する請求項1に記載の回転電機制御装置。 - 前記第2スイッチは、直列に接続される複数の半導体スイッチ(32a,32b)を有しており、前記複数の半導体スイッチは、寄生ダイオードが互いに逆向きとなる半導体スイッチを含んでおり、
前記起動スイッチがオン状態にされた後において、前記寄生ダイオードの向きが一方側及び他方側となる前記半導体スイッチのうち一方をオンさせた状態で前記第2スイッチの故障診断が実施される電源システムに適用され、
前記所定時間は、前記起動スイッチのオン後において前記第2スイッチの故障診断が完了するまでの時間を含んでおり、
前記制限部は、前記時間判定部により前記所定時間が経過したと判定されるまでの期間で、前記自律的な発電を停止する請求項1に記載の回転電機制御装置。 - 前記回転電機は、界磁巻線(25)を備える巻線界磁型回転電機であって、
前記制限部は、前記時間判定部により前記所定時間が経過したと判定されるまでの期間において、前記界磁巻線に流れる励磁電流を前記自律的な発電時よりも小さくすることで、前記自律的な発電を制限する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の回転電機制御装置。 - エンジン出力軸に駆動連結され、発電及び力行の各機能を有する回転電機(16)と、
前記回転電機に対して並列接続される第1蓄電池(11)及び第2蓄電池(12)と、
前記第1蓄電池及び前記第2蓄電池の間の電気経路において、前記回転電機との接続点よりも前記第1蓄電池の側に設けられる第1スイッチ(31)と、
当該電気経路において前記接続点よりも前記第2蓄電池の側に設けられる第2スイッチ(32)と、
前記電気経路における前記第1スイッチの一端側と他端側とを接続するバイパス経路に設けられる常閉式のバイパススイッチ(35)と、を備え、
起動スイッチがオフ状態からオン状態になることに伴って前記バイパススイッチが閉鎖状態から開放状態に切り替えられる電源システムであって、
前記回転電機は、前記起動スイッチのオン状態において上位制御装置からの発電指令によらず自律的な発電を実施する自律発電機能を有しており、前記起動スイッチがオン状態となってから所定時間が経過するまでの期間で、前記回転電機による自律的な発電が制限される電源システム。
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