上記構成の気化器の作動中において、前記溶接部の外側部分に、容器内を流れる熱交換用の流体からの高温(約60℃の温水)の熱が直接伝達される一方、前記溶接部の内側部分に、液化ガスの代表とも言える液化天然ガス(LNG)からの極低温(−150℃〜−160℃)の熱が伝熱管を介して伝達される。これら熱交換用の流体の高温の熱と液化天然ガスの極低温の熱との間には大きな温度差があり、この大きな温度差に応じた熱応力が溶接部に作用することになる。しかし、この熱応力が作用することを解消する手立てが講じられていないため、溶接部が早期に破損してしまうことがあった。
本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、溶接部が早期に破損してしまうことを抑制することができる気化器を提供することを課題とする。
本発明の気化器は、前述の課題解決のために、熱交換用の流体を収容する金属製の容器と、該容器に形成の第1貫通孔を貫通して該第1貫通孔に溶接により固定され液化ガスを該容器内へ導入するための金属製の導入パイプ部と、該導入パイプ部からの液化ガスを前記流体との接触により気化させながら案内するための伝熱管部と、該伝熱管部からの液化ガスを前記容器に形成の第2貫通孔を貫通して該容器外へ導出するための導出パイプ部と、を備えている気化器であって、前記導入パイプ部の溶接部の内側面に隙間を開けて該液化ガスを前記伝熱管部側へ案内するための案内パイプを該導入パイプ部内に配置したことを特徴としている。
かかる構成によれば、導入パイプ部の溶接部の内側面に液化ガスが接触しないように溶接部の内側面に隙間を開けて液化ガスを伝熱管部側へ案内するための案内パイプを導入パイプ部内に配置することによって、導入パイプ部の溶接部の内側面に案内パイプを流れる液化ガスの容器内への導入直後における低温の熱が伝達されることを隙間によって抑制することができる。従って、導入パイプ部の溶接部の外面側に、熱交換用の流体の熱は伝達されるが、導入パイプ部の溶接部の内面側に、液化ガスの低温の熱が直接伝達されることを隙間によって抑制されるので、導入パイプ部の溶接部の外面側と内面側とで大きな温度差が発生しない。よって、液化ガスと熱交換用の流体との大きな温度差に応じた熱応力が溶接部に加わり難いので、導入パイプ部の溶接部が早期に破損することを抑制することができる。
また、本発明の気化器は、前記導入パイプ部へ液化ガスを供給するための供給管を備え、該供給管の供給方向下手側端部と前記導入パイプ部の供給方向上手側端部とがフランジ連結され、前記案内パイプが、前記導入パイプ部のフランジ部と前記供給管のフランジ部との間に挟み込んだ状態で固定される固定用フランジ部と、該固定用フランジ部の内側縁部から前記導入パイプ部の溶接部を越えて前記容器内に突出する筒部と、を備えていてもよい。
上記のように、案内パイプの固定用フランジ部を導入パイプ部のフランジ部と供給管のフランジ部との間に挟み込んだ状態で固定するだけで、案内パイプを迅速に取り付けることができる。また、固定用フランジ部の内側縁部から導入パイプ部の溶接部を越えて容器内に突出する筒部を備えているので、導入パイプ部の溶接部に低温の液化ガスが直接接触することを確実に阻止することができる。
また、本発明の気化器は、前記案内パイプの筒部の外側面の周方向複数箇所に、径方向外側に突出して該筒部の外側面が前記導入パイプ部の溶接部の内側面に当接することを阻止する位置決め部を備えていてもよい。
上記のように、筒部の外側面が導入パイプ部の溶接部の内側面に当接することを阻止する位置決め部を備えているので、案内パイプの取付時に導入パイプ部の中心を大きく外れて片寄った位置に配置されることがない。よって、案内パイプの外側面が導入パイプ部の溶接部の内側面に当接することがない。
また、本発明の気化器は、前記位置決め部が、前記導入パイプ部の溶接部から離れた位置に備えていることが好ましい。
上記のように、位置決め部が、導入パイプ部の溶接部から離れた位置に備えていれば、位置決め部が導入パイプ部の溶接部の内側面に当接して案内パイプを流れる液化ガスの低温の熱が位置決め部を介して導入パイプ部の溶接部に伝達されることがない。これにより、導入パイプ部の溶接部が早期に破損することをより一層確実に抑制することができる。
本発明によれば、導入パイプ部の溶接部の内側面に隙間を開けて導入パイプ部内に配置することによって、溶接部が早期に破損してしまうことを抑制することができる気化器を提供することができる。
以下、本発明に係る気化器の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1に、液化ガスである液化天然ガス(LNG)を流体との熱交換によって気化させるための気化器(タンク式の熱交換器とも言う)1を備える気化装置2を示している。この気化器1は、熱交換用の流体を収容する金属製の容器3と、容器3に形成の第1貫通孔3aを貫通して第1貫通孔3aに溶接により固定され液化天然ガスを容器3内へ導入するための金属製の導入パイプ部4と、導入パイプ部4からの液化天然ガスを受け取り流体との接触により気化させながら案内するための金属製の伝熱管部5と、伝熱管部5からの液化天然ガスを受け取り容器3に形成の第2貫通孔3bを貫通して容器3外へ導出するための金属製の導出パイプ部6と、を備えている。前記金属としては、ステンレス製のものが最適であるが、各種の金属を用いてもよい。
容器3は、上下方向に長い縦長状で円筒状(角筒状でもよい)の容器からなり、上端が天壁部3Bにより閉じられ、かつ、下端が底壁部3Aにより閉じられている。天壁部3Bの中心に前記第2貫通孔3bが形成され、底壁部3Aの中心に前記第1貫通孔3aが形成されている。また、容器3の上端部の周方向一箇所に温水を水平方向から供給するための温水供給管7が接続されている。また、容器3の下端部の周方向一箇所に温水を外部へ導出するための温水導出管8が接続されている。ここでは、温水供給管7と温水導出管8とを周方向において同一位置で容器3に接続しているが、異なる位置で接続する構成であってもよい。
導入パイプ部4は、直線状の第1円筒部4Aと、この第1円筒部4Aの上下端に位置する一対の第1フランジ部4B,4Bと、を備えている。導入パイプ部4の下端の第1フランジ部4Bには、導入パイプ部4へ液化天然ガス(LNG)を供給するための供給管9のフランジ部9Aが連結されている。また、導入パイプ部4の上端の第1フランジ部4Bには、伝熱管部5の下端に備える連結用フランジ部5Bが連結されている。
伝熱管部5は、同一巻径でコイル状に巻かれたコイル部5Aと、このコイル部5Aの上下端に位置する連結用フランジ部5B,5Bと、を備えている。従って、導入パイプ部4から受け取った液化ガスは、コイル部5Aの内部を移動する移動中に容器3内を対流する流体(温水)との接触によって加熱(熱交換)されて気化し、気化した液化ガスが導出パイプ部6に受け渡される。要するに、コイル部5Aには、液体状態の液化ガスが下方から供給されて気化状態になった液化ガスが導出パイプ部6を介して容器3外の上方へ排出される。この排出された液化ガスは、排出管10を介して所定場所へ移送される。
導出パイプ部6は、直線状の第2円筒部6Aと、この第2円筒部6Aの上下端に位置する一対の第2フランジ部6B,6Bと、を備えている。導出パイプ部6の下端の第2フランジ部4Bには、伝熱管部5の連結用フランジ部5Bが連結されている。また、導出パイプ部6の上端の第2フランジ部4Bには、排出管10のフランジ部10Bが連結されている。
前述のように、供給管9と導入パイプ部4とがフランジ連結され、導入パイプ部4と伝熱管部5とがフランジ連結されている。また、伝熱管部5と導出パイプ部6とがフランジ連結され、導出パイプ部6と排出管10とがフランジ連結されているが、他の連結構造により連結されていてもよい。また、導入パイプ部4と伝熱管部5と導出パイプ部6とがそれぞれ別の3本のパイプから構成しているが、1本のパイプ又は2本のパイプで構成してもよい。
図2(a)に示すように、導入パイプ部4の溶接部4Sの内側面に液化天然ガスが接触しないように該導入パイプ部4の溶接部の内側面に隙間Hを開けて液化天然ガスを伝熱管部5側へ案内するための案内パイプ11を配置している。導入パイプ部4の溶接部4Sは、底壁部3Aの容器3内部側(図1では上面側)に環状に形成されている。
案内パイプ11は、導入パイプ部4の内側面との間に所定の隙間Hが形成されるように、導入パイプ部4の内径寸法よりも小さな外径寸法を有する金属製(ここでは、ステンレス製)から構成されている。具体的には、案内パイプ11は、図2(a),(b)に示すように、縦長の円筒部11Aと、この円筒部11Aの一端(上端)に溶接され導入パイプ部4のフランジ部4Bと伝熱管部5の連結用フランジ部5Bとの間に挟み込んだ状態で固定される板状で円環状の固定用フランジ部11Bと、を備えている。このように液化ガスを案内する案内パイプ11を配置することによって、導入パイプ部4の溶接部4Sの外面側に、熱交換用の流体Rの熱は伝達されるが、導入パイプ部4の溶接部4Sの内面側に、液化天然ガスの極低温の熱が直接伝達されることを隙間Hによって抑制することができる。よって、導入パイプ部4の溶接部4Sの外面側と内面側とで大きな温度差が発生しない。従って、液化天然ガスと熱交換用の流体Rとの大きな温度差に応じた熱応力が溶接部4Sに加わることがないので、導入パイプ部4の溶接部4Sが早期に破損することを抑制することができる。尚、隙間Hには、案内パイプ11の上端から出た液化ガスの一部が滞留することがあるが、この滞留する液化ガスは、供給管9から導入された直後の液化ガスではなく、液化天然ガスの極低温の熱が案内パイプ11に伝達された後の液化ガス(温度が上昇した液化ガス)である。要するに、溶接部4Sの内面側に供給管9から導入された直後の液化ガスの極低温の熱が直接伝達されることを抑制する緩衝材として案内パイプ11が作用することによって、上記のように導入パイプ部4の溶接部4Sが早期に破損することを抑制することができる。
図2(a)では、案内パイプ11の固定用フランジ部11Bの上面及び下面のそれぞれにガスケット12を当接した状態にする。この状態から、案内パイプ11の円筒部11Aを導入パイプ部4の上端から挿入する。次に、供給管9のフランジ部9Aを案内パイプ11の固定用フランジ部11Bの下面のガスケット12に当接した状態にし、2つのフランジ部9Bと4Bとを複数のボルト13及びナット14により連結する。これによって、固定用フランジ部11Bが供給管9のフランジ部9Bと導入パイプ部4のフランジ部4Bとの間にガスケット12,12を介して挟み込まれた状態で固定される。従って、既存の設備が供給管9のフランジ部9Aと導入パイプ部4のフランジ部4Bを備えていれば、設備に改良を加えることなく、案内パイプ11を迅速に取り付けることができる。また、固定用フランジ部11Bの内側縁部から導入パイプ部4の溶接部4Sを越えて容器3内に突出する円筒部11Aを備えているので、導入パイプ部4の溶接部4Sに液化天然ガスが接触することを確実に阻止することができる。
また、案内パイプ11の円筒部11Aの外側面のうちの溶接部4Sから離れた位置となるフランジ部9A寄りの外側面の周方向複数箇所(図2(b)では3箇所であるが、2箇所又は4箇所以上でもよい)に、径方向外側に突出して円筒部11Aの外側面が導入パイプ部4の溶接部4Sの内側面に当接することを阻止する位置決め部11Cを一体形成している。各位置決め部11Cは、案内パイプ11の長手方向及び周方向に所定長さを有する突起から構成されている。このように、円筒部11Aの外側面が導入パイプ部4の溶接部4Sの内側面に当接することを阻止する位置決め部11Cを備えているので、案内パイプ11の取付時に導入パイプ部4の中心を外れて片寄って配置されて、案内パイプ11の外側面が導入パイプ部4の溶接部4Sの内側面に当接することがないようにしている。また、位置決め部11Cが、導入パイプ部4の溶接部4Sから離れた位置に備えていれば、位置決め部11Cが導入パイプ部4の溶接部4Sの内側面に当接して案内パイプ11を流れる液化天然ガスの熱が導入パイプ部4の溶接部4Sに伝達されることがない。これにより、導入パイプ部4の溶接部4Sが早期に破損することをより一層確実に抑制することができる。尚、案内パイプ11の内径寸法が導入パイプ部4の内径寸法よりも小さくなり、液化天然ガスを案内する流量が小さくなるが、液化天然ガスを導入パイプ部4が案内できる最大流量で案内することがなく、余裕を見て導入パイプ部4の内径寸法を決定しているため、案内パイプ11を装着しても気化器1の運転に支障を来すことはない。
案内パイプ11を装着した場合と、案内パイプ11を装着しない場合とで容器3内と容器3外の温度測定の実験を行った。実験としては、10秒間だけ液化天然ガスを気化器1へ供給した後、10秒間だけ気化器1への液化天然ガスの供給を停止するといったON−OFF運転を10分間繰り返し行い、その間の温度を連続的に測定し、図3(a)が案内パイプ11を装着した場合のグラフを示し、図3(b)が案内パイプ11を装着しない場合のグラフを示している。温度を測定した場所としては、図2(a)に示すように、容器3内では、導入パイプ部4の溶接部4Sの近傍の2箇所である第1箇所TE1と第2箇所TE2とを測定場所とし、容器3外では、容器3の底壁部3Aの真下でかつ導入パイプ部4の近傍の2箇所である第3箇所TE3と第4箇所TE4とを測定場所とした。図3(a),(b)の第5箇所TE5は、容器3内の所定箇所で測定した温水温度であり、いずれの場合においても40℃から50℃の間を推移している。また、図3(a),(b)のTE6は、導出パイプ部6の出口箇所で測定した液化天然ガスの温度であり、いずれの場合においても30℃から40℃の間を推移している。尚、温度測定には、第1箇所TE1から第5箇所TE5のそれぞれに配置した熱電対を用いた。
図3(a),(b)を考察すると、第1箇所TE1から第4箇所TE4の全ての箇所での温度において、案内パイプ11を装着した場合の方が案内パイプ11を装着しない場合よりも高い温度(約20℃)になっている。これは、液化天然ガスの熱が第1箇所TE1〜第4箇所TE4のそれぞれに伝達されることが案内パイプ11によって抑制されていることが把握できる。しかも、第1箇所TE1と第2箇所TE2においては、案内パイプ11を装着した場合の温度の変動量が案内パイプ11を装着しない場合の温度の変動量に比べて少なくなっている。このことから、液化天然ガスの熱が第1箇所TE1と第2箇所TE2に伝達されることが案内パイプ11によって抑制されていることが把握できる。また、第3箇所TE3と第4箇所TE4においても、第1箇所TE1及び第2箇所TE2と同様に案内パイプ11を装着した場合の温度の変動量が案内パイプ11を装着しない場合の温度の変動量に比べて少なくなっている。従って、液化天然ガスの供給をON−OFF運転で行う場合において、案内パイプ11を装着した場合が案内パイプ11を装着しない場合よりも導入パイプ部4の溶接部4Sに作用する温度差を小さくできるだけでなく、ON−OFF運転による温度の変動量も少なく抑えることができる。よって、導入パイプ部4の溶接部4Sが早期に破損することをより一層確実に抑制することができる。
温水導出管8から導出された温水は、ボイラー装置15により所定温度になるように加熱される。このボイラー装置15は、容器3内の温水を温水導出管8から吸引して温水供給管7を介して容器3内へ供給するためのポンプ16と、ポンプ16で吸引した温水を約60℃(温度は液化ガスが安全に気化することができる温度であれば、どのような温度に設定してもよい)まで加熱するボイラー17と、ボイラー17に供給する燃料としてのプロパンガス(LPG)18とを備えている。尚、ポンプ16とボイラー17との配管内には、圧力計19及び流量計20が設けられ、ポンプ16による所定量の温水を常に供給できるようにポンプ16を駆動制御している。
図2で温度測定した箇所を変更して、前述同様に、案内パイプ11を装着した場合と、案内パイプ11を装着しない場合とで容器3内と容器3外の温度測定の実験を行った。実験としては、前述と同様に、10秒間だけ液化天然ガスを気化器1へ供給した後、10秒間だけ気化器1への液化天然ガスの供給を停止するといったON−OFF運転を10分間繰り返し行い、その間の温度を連続的に測定し、図5(a)が案内パイプ11を装着した場合のグラフを示し、図5(b)が案内パイプ11を装着しない場合のグラフを示している。温度を測定した場所は、図4に示すように、容器3内では、導入パイプ部4の内側面でかつ溶接部4Sの近傍の2箇所である第7箇所TE7と第8箇所TE8と導入パイプ部4の内側面でかつ溶接部4Sの近傍の1箇所である第9箇所TE9とを測定場所とした。容器3内に投入される温水温度を60℃に設定している。尚、温度測定には、第7箇所TE7から第9箇所TE9のそれぞれに配置した熱電対を用いた。
図5(a),(b)を考察すると、第7箇所TE7から第9箇所TE9の全ての箇所での温度において、案内パイプ11を装着した場合の方が案内パイプ11を装着しない場合よりも高い温度(約30℃)になっている。これは、液化天然ガスの熱が第7箇所TE7〜第9箇所TE9のそれぞれに伝達されることが案内パイプ11によって抑制されていることが把握できる。しかも、第7箇所TE7と第8箇所TE8においては、案内パイプ11を装着した場合の温度の変動量が案内パイプ11を装着しない場合の温度の変動量に比べて少なくなっている。このことから、液化天然ガスの熱が第7箇所TE7と第8箇所TE8に伝達されることが案内パイプ11によって抑制されていることが把握できる。また、第9箇所TE9においても、第7箇所TE7と第8箇所TE8と同様に案内パイプ11を装着した場合の温度の変動量が案内パイプ11を装着しない場合の温度の変動量に比べて少なくなっている。従って、液化天然ガスの供給をON−OFF運転で行う場合において、案内パイプ11を装着した場合が案内パイプ11を装着しない場合よりも導入パイプ部4の溶接部4Sに作用する温度差を小さくできるだけでなく、ON−OFF運転による温度の変動量も少なく抑えることができる。よって、この実験結果においても、導入パイプ部4の溶接部4Sが早期に破損することをより一層確実に抑制することができる。
尚、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
前記実施形態では、下から上へ液化天然ガスを流すようにしたが、上から下へ液化天然ガスを流すようにしてもよいし、また、左から右へ又は右から左へ液化天然ガスを流すようにしてもよいし、場合によっては、斜め方向に液化天然ガスを流すようにしてもよい。
また、前記実施形態では、液化天然ガスを気化させる流体として、ボイラー17で過熱した温水を用いたが、海水、井戸水、水道水等をそのまま用いてもよい。
また、前記実施形態では、案内パイプ11の円筒部11Aの外面に位置決め部11Cを備えたが、案内パイプ11の円筒部11Aの一端に備えたフランジ部11Bの内周縁に、円筒部11Aの他端側に突出して案内パイプ11の円筒部11Aの外面と導入パイプ部4の第1円筒部4Aの内面との間に入り込んで位置決めする複数の突起を周方向に間隔を置いて一体形成してもよい。
また、前記実施形態では、一つの伝熱管部5を備えた気化器1を示したが、複数以上の伝熱管部を備えた気化器であってもよい。また、伝熱管部5がコイル形状以外の形状であってもよい。
また、前記実施形態では、案内パイプ11が長手方向において同一直径を有するストレート管に構成したが、液化天然ガス案内方向下手側ほど幅広になるテーパー形状に構成してもよい。また、案内パイプ11の断面形状は、円形に限らず、多角形状や楕円形状等、自由に変更可能である。
また、前記実施形態では、液化ガスとして、液化天然ガス(LNG、−150℃〜−160℃)を例に挙げたが、液化アルゴン(−185℃)、液化窒素(195℃)、液化酸素(183℃)、液化エタン(−89℃)、液化エチレン(−103℃)等、マイナス温度で液化されている各種の液化ガスであってもよい。特に−70℃以下の温度の液化ガスに本発明の気化器を用いることによってより一層効果が大きい。また、前記実施形態では、液化天然ガス(LNG)の実験のみを行っているが、各種の液化ガスであっても同様の実験結果が得られる。
本発明の気化器は、前述の課題解決のために、熱交換用の流体を収容する金属製の容器と、該容器に形成の第1貫通孔を貫通して該第1貫通孔に溶接により固定され液化ガスを該容器内へ導入するための金属製の導入パイプ部と、該導入パイプ部からの液化ガスを前記流体との接触により気化させながら案内するための伝熱管部と、該伝熱管部からの液化ガスを前記容器に形成の第2貫通孔を貫通して該容器外へ導出するための導出パイプ部と、を備えている気化器であって、前記導入パイプ部に供給される液化ガスの全量を該導入パイプ部の溶接部の内側面に隙間を開けた状態で前記伝熱管部側へ案内するための案内パイプを該導入パイプ部内に配置し、前記導入パイプ部へ液化ガスを供給するための供給管を備え、該供給管の供給方向下手側端部と前記導入パイプ部の供給方向上手側端部とがフランジ連結され、前記案内パイプが、前記導入パイプ部のフランジ部と前記供給管のフランジ部との間に挟み込んだ状態で固定される固定用フランジ部と、該固定用フランジ部の内側縁部から前記導入パイプ部の溶接部を越えて前記容器内に突出する筒部と、を備えていることを特徴としている。