JP2018176547A - 撥液性成形体の製造方法 - Google Patents

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丈太郎 長尾
Jotaro Nagao
丈太郎 長尾
耕太 岡本
Kota Okamoto
耕太 岡本
岩崎 力
Tsutomu Iwasaki
力 岩崎
正毅 青谷
Masatake Aotani
正毅 青谷
隆司 大貫
Ryuji Onuki
隆司 大貫
正弘 國則
Masahiro Kuninori
正弘 國則
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Abstract

【課題】液滴に対する撥液性と易転落性を備えた表面構造を有する撥液性成形体を転写性よく製造する。【解決手段】液滴に対する撥液性と易転落性を備えた表面構造100を有する撥液性成形体を製造するにあたり、キャビティ面の所定の部位に、表面構造100に対応する、少なくとも一部が、算術平均粗さRaと粗さ曲線要素の平均長さRsmとの比(Ra/Rsm)が0.15以上の凹凸形状12が刻設された金型10内に非フッ素系熱硬化性樹脂を充填し、金型10を加熱して充填された非フッ素系熱硬化性樹脂を硬化させて凹凸形状12を転写する。【選択図】図4

Description

本発明は、液滴に対する撥液性と易転落性を備えた表面構造を有する撥液性成形体の製造方法に関する。
従来、醤油、ソース、ドレッシング等の調味料類を収納する注出容器にあっては、内容液を注ぎ出す際の液切れ性を向上させて、液だれを防止する工夫が施されてきた。例えば、注出容器の口部に取り付けられる中栓の上端周縁に、外方に拡開され湾曲する注出***部を形成することが知られている(例えば、特許文献1の図2など参照)。
また、近年では、微細な凹凸構造による撥液性を利用する様々な技術が提案されており、本出願人は、特許文献2において、中栓の注出***部の上面に、一次凹凸面とそれよりも小さな二次凹凸面とからなる階層凹凸形状を形成して、液滴に対する撥液性と易転落性を付与することにより、内容液を注ぎ出す際の液切れ性を向上させて、液だれを防止することを提案している(特許文献2の図10など参照)。
特開2000−203619号公報 特開2015−16597号公報
ところで、特許文献2では、階層凹凸形状の形成方法として、熱可塑性樹脂からなる成形体に、加熱したスタンパの賦形面を転写形成するホットエンボス法を提案する(特許文献1の実施例1など参照)。このような方法によれば、階層凹凸形状の転写性を高めて、十分な撥液性を得ることができるが、スタンパの形状が平面に限定されるため、スタンパの賦形面を転写形成する成形体の形状も平面に限定されていた。
また、特許文献2で提案するような階層凹凸形状を成形する方法としては、対応する凹凸形状を金型のキャビティ面に刻設し、熱可塑性樹脂を用いて射出成形することも考えられる。このような方法によれば、平面形状に限定されることなく、三次元曲面などの所望の形状に成形体を成形することが可能である。しかしながら、このような方法では、溶融した樹脂がキャビティ面に接触した瞬間から、樹脂の冷却が始まって樹脂粘度が上昇してしまう。そうすると、一次凹凸構造には樹脂が浸入してその転写が可能であるものの、それよりも小さな二次凹凸構造には樹脂が浸入し難くなり、転写が不十分となってしまう傾向がある。
本発明は、上記したような事情に鑑みてなされたものであり、液滴に対する撥液性と易転落性を備えた表面構造を有する撥液性成形体を転写性よく製造することができる撥液性成形体の製造方法の提供を目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る撥液性成形体の製造方法は、液滴に対する撥液性と易転落性を備えた表面構造を有する撥液性成形体の製造方法であって、キャビティ面の所定の部位に前記表面構造に対応する凹凸形状が刻設された金型内に非フッ素系熱硬化性樹脂を充填する工程、及び前記金型を加熱して前記非フッ素系熱硬化性樹脂を硬化させて前記凹凸形状を転写する工程を含み、前記凹凸形状の少なくとも一部が、算術平均粗さRaと粗さ曲線要素の平均長さRsmとの比(Ra/Rsm)が0.25以上である方法としてある。
本発明によれば、液滴に対する撥液性と易転落性を備えた表面構造を有する撥液性成形体を転写性よく製造することができ、製造される撥液性成形体の形状も所望の形状に成形可能である。
本発明の実施形態に係る撥液性成形体の製造方法により製造される撥液性成形体の表面構造の一例を示す説明図である。 液滴と凹凸面の接触パターンをCassie−Baxterモデル及びWenzelモデルで模式的に示す説明図である。 Ra/RSmと撥液性能との相関関係を示すグラフである。 本発明の実施形態に係る撥液性成形体の製造方法に用いる金型の一例を示す説明図である。 本発明の実施形態に係る撥液性成形体の製造方法により製造される撥液性成形体の一例を示す説明図である。 本発明の実施形態に係る撥液性成形体の製造方法により製造される撥液性成形体の他の例を示す説明図である。
以下、本発明に係る撥液性成形体の製造方法の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
[撥液性成形体]
本実施形態によって製造される撥液性成形体は、液滴に対する撥液性と易転落性を備えた表面構造を有し、かかる表面構造として、微細な凹凸形状からなる粗面100が、その表面の一部又は全部に形成されている。図1に、撥液性成形体の表面に形成される粗面100の一例を示すが、まず、図2を参照して、凹凸面によって撥液性が発現する原理について説明する。
なお、図2(a)は、液滴と凹凸面の接触パターンをCassie−Baxterモデルで模式的に示しており、図2(b)は、液滴と凹凸面の接触パターンをWenzelモデルで模式的に示している。
図2(a)に示すように、液滴が凹凸面上に載ったCassieモードでは、凹凸面の凹部がエアポケットとなっており、液滴は固体と気体(空気)との複合接触の状態となる。このような複合接触では、疎液性が最も高い空気に液滴が接触するため、高い撥液性が発現するとともに、液滴の接触界面での接触半径Rは小さく、液滴と凹凸面の密着力は低くなる。
Cassieモードでの凹凸面の接触角は、以下の理論式(1)に示す通りである。
cosθ=(1−φ)cosπ+φcosθ
=φ−1+φcosθ (1)
θ:接触角
θ:見かけの接触角
φ:面積比(単位面積当たりの固−液界面の投影面積)
この理論式(1)から理解されるように、面積比φが小さいほど、見かけの接触角θは180度に近づき、超撥液性を示すようになる。
一方、図2(b)に示すように、液滴が凹凸面の凹部に侵入した場合には、液滴は上記のような複合接触ではなく、固体のみとの接触となり、Wenzelモードで示される。このようなWenzelモードでは、液滴の接触界面での接触半径Rは大きく、液滴と凹凸面の密着力は高い。
Wenzelモードでの凹凸面の接触角は、以下の理論式(2)に示す通りである。
cosθ=rcosθ (2)
θ:接触角
θ:見かけの接触角
r:凹凸度(=実接触面積/液滴の投影面積)
この理論式(2)から理解されるように、凹凸度rが大きいほど、見かけの接触角θは180度に近づき、超撥液性を示すようになる。
このように、撥液性については、WenzelモードとCassieモードのいずれの状態においても撥液性が向上することが知られているが、Wenzelモードでは、液相と固相の界面が大きく、その結果、界面に働く物理的な吸着力も大きくなる。このため、接触角は大きく撥液はしているが、液滴が容易に転落しない。これに対して、Cassieモードでは、液相と固相の界面が小さいため、液滴が転落する際乗り越えなければならない密着力が低く、液滴は容易に転落し、何度でも繰り返し転落すると考えられる。
したがって、液滴と凹凸面との密着力を低減させ、液滴に対する易転落性を高めるには、Wenzelモードではなく、Cassieモードを安定的に維持すること、すなわち、凹部のエアポケットを安定に維持することが必要となる。
図1に示す例において、粗面100を形成する凹凸形状は、一次凹凸面101と、一次凹凸面101内に形成された一次凹凸面101よりも微細な二次凹凸面102とを有している。
このような凹凸形状からなる粗面100によれば、一次凹凸面101の凹部101aがエアポケット(一次エアポケット)となり、前述したCassieモードによる撥液性が発現して、液滴に対する転落性、繰り返し転落性が良好に付与されることとなる。
一次凹凸面101は、Cassieモードによる撥液性が十分に発揮されるように、前記式(1)中の面積比φが0.05以上の範囲にあることが好ましく、0.08以上の範囲にあることがより好ましい。さらに、成形性や機械的強度の観点から、面積比φは0.8以下、特に0.5以下の範囲にあることが好ましい。
また、一次凹凸面101における深さdは、5〜200μm、特に10〜50μmの範囲にあることが好適である。
また、一次凹凸面101は、その凹部101aのエアポケットを安定に維持するという観点から、図1に示すように、凹部101a及び凸部101bが矩形状に形成されているのが好ましいが、一次凹凸面101のみでは、液滴が一次凹凸面101の凹部101aに侵入し、前述したWenzelモードに遷移してしまうこともある。そうすると、一次エアポケットが消失して液相と固相の界面が大きくなり、界面に働く物理的な吸着力も大きくなってしまうため、液滴に対する転落性、繰り返し転落性が低下することになる。
このため、図1に示す例では、一次凹凸面101内(特に、凸部101bの頂面)に、微細な二次凹凸面102が形成されており、液滴と二次凹凸面102との間にもエアポケット(二次エアポケット)が形成されるようにしている。このようにすることで、液滴と二次凹凸面102との間の二次エアポケットが、一次凹凸面101の凹部101aへの液滴の侵入を阻止し、これによって、Cassieモードによる撥液性がより安定に発現されるようにすることができる。その結果、液滴に対する転落性を確保し、しかも、転落動作が繰り返し行われても、一次エアポケットが安定に維持されるため、繰り返し転落性も向上する。
一次凹凸面101の凹部101aへの液滴の侵入を阻止する二次エアポケットが、液滴と二次凹凸面102との間に形成されるようにするには、二次凹凸面102の表面粗さは、例えば、算術平均粗さRaが100nm〜1μmであるのが好ましい。
また、二次凹凸面102は、繊毛状のような高いアスペクト比の形状であると、強力な負の向きの毛管力が発生し、容易には二次凹凸面102の凹部に液滴が侵入できなくなって、二次凹凸面102自体の撥液性が向上し、一次凹凸面101の凹部101aへの液滴の侵入をより有効に阻止することができる。
本発明者らの検討によれば、JIS B 0601に規定される表面粗さパラメータのうち、高さ方向のパラメータである算術平均粗さRaと、横方向のパラメータである粗さ曲線要素の平均長さRSmとの比を以て、Ra/RSmを凹凸面のアスペクト比を表すパラメータとしたときに、図3に示すように、Ra/RSmと撥液性能との間に相関関係があるという知見が得られている。
なお、図3に示すグラフは、横軸がRa/RSmであり、縦軸が油に対する接触角である。
そこで、本実施形態では、二次凹凸面102を、Ra/RSm≧0.15(好ましくは、Ra/RSm≧0.25)となるように形成することで、二次凹凸面102自体の撥液性を向上させて、一次凹凸面101の凹部101aへの液滴の侵入をより有効に阻止することにより、撥液性成形体の表面に形成された粗面100によって、Cassieモードによる撥液性がより安定して発現されるようにして、撥液性成形体に、液滴に対する撥液性と易転落性が良好に付与されるようにしている。図3からも容易に理解できるように、Ra/RSm≧0.15とすることで、油に対する接触角が130°を超えるような超撥液性を実現することが可能になる。
なお、二次凹凸面102は、一次凹凸面101の表面全体に形成されていることが最適であるが、少なくとも一次凹凸面101の凸部101bの上端に形成されていればよい。
[撥液性成形体の製造方法]
次に、本実施形態に係る撥液性成形体の製造方法について説明するに、本実施形態にあっては、まず、前述した粗面100に対応する凹凸形状12がキャビティ面の所定の部位に刻設された金型10を用意する。
図4は、本実施形態で用いる金型10の一例を示す説明図である。図4(a)は金型10の要部断面を示しており、図4(b)は金型10のキャビティ面に刻設された凹凸形状12の要部断面を拡大して示している。
本実施形態によって製造される撥液性成形体の具体的な形状、構造などは特に問わないが、図4に示す金型10は、注出容器の口部に取り付けられる中栓を製造する場合に用いる例である。金型10には、当該中栓の形状に対応するキャビティ11が設けられており、中栓の注出***部の上面を形成する部位には、前述した粗面100に対応する凹凸形状12が刻設されている。いうまでもなく、図4(b)に示す凹凸形状12は、図1に示した粗面100の凹凸形状を反転させたものに相当し、凹凸形状12の少なくとも一部が、算術平均粗さRaと粗さ曲線要素の平均長さRsmとの比(Ra/Rsm)が0.15以上、好ましくは、0.25以上となるように刻設される。
かかる凹凸形状12は、金型10のキャビティ面に直接刻設してもよいが、金型10を入れ子構造として、凹凸形状12が表面に刻設された入れ子20をキャビティ11内に装着するようにしてもよい。凹凸形状12が表面に刻設された入れ子20は、次のようにして作製することができる。
例えば、フォトリソグラフィー法により、入れ子20に刻設する凹凸形状12の一次凹凸面13を反転させた凹凸面(この凹凸面が、粗面100の一次凹凸面101に相当する)を有するマスタを用意し、これを母型として電鋳法により入れ子作製用の母材を作製する。このようにして作製された母材には、一次凹凸面13をなす凹部13a及び凸部13bが形成される。次いで、この母材に、ブラストやエッチング等の表面処理加工によって二次凹凸面14を形成することによって、図4(b)に示す凹凸形状12が刻設された入れ子20を作製することができる。
電鋳法により母材を作製するには、例えば、マスタの凹凸面を導電処理した後、Ni電鋳やNi合金電鋳などにより、これらの金属や合金をマスタの凹凸面上に電着させればよい。
ブラストは、微細な投射材を吹き付けることにより行うことができる。投射材としては、セラミックス系、金属系などの硬質のものが使用され、特に、アランダム、ホワイトアランダムなどのアルミナ系のものが好適に使用される。角張った外形を持つアルミナ系の投射材でブラスト加工を行うと、一次凹凸面13内には、マイクロクラックやチッピングが発生し、尖った形状の二次凹凸面14が形成されるため、後述する樹脂充填工程において、液状の非フッ素系熱硬化性樹脂がマイクロクラックに侵入し、それが引き抜かれることにより、繊毛状の微細な二次凹凸面14が好適に転写される。投射材の粒径は、一次凹凸面13の底部にも微細な二次凹凸面14を形成し得るように微細であることが必要であり、例えば平均粒径が1〜50μm程度のものが使用される。
エッチングは、ウエットエッチングでもドライエッチングでもよいが、一定の微細な凹凸を形成するという観点からウエットエッチングが好適である。ウエットエッチングは、希薄な酸水溶液(例えば5%硝酸液)等のエッチング液に数時間浸漬することにより行うことができる。
上記した例では、一次凹凸面13を形成した母材について二次凹凸面14を形成するための表面処理加工を行う方法を説明したが、マスタについて当該表面処理加工を施して二次凹凸面14に対応する凹凸形状を設け、当該マスタを用いた電鋳によって一次凹凸面13及び二次凹凸面14の両方が形成された入れ子20を作製することもできる。
(樹脂充填工程)
撥液性成形体を製造するにあたり、まず、上述した金型10に非フッ素系熱硬化性樹脂を充填する。非フッ素系熱硬化性樹脂は、通常、常温で液体状であるため、金型10のキャビティ11の隅々まで行き渡り、特に、キャビティ面に刻設された凹凸形状12を隙間なく満たすことができる。これにより、良好な転写性を以て成形体に凹凸形状12を転写することができる。
非フッ素系熱硬化性樹脂とは、フッ素原子を含有しない熱硬化性樹脂である。フッ素原子を含有しない限り特に制限されず、任意の熱硬化性樹脂を用いることができる。そのような熱硬化性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アリルエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂等を挙げることができる。
非フッ素系熱硬化性樹脂は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。非フッ素系熱硬化性樹脂には、必要に応じて、例えば、硬化剤等の添加剤を加えてもよい。硬化剤は公知のものを用いることができる。
(加熱工程)
次に、金型10を加熱して、キャビティ11内に充填された非フッ素系熱硬化性樹脂を硬化することで成形体とする。このとき、キャビティ面に刻設された凹凸形状12内に侵入した非フッ素系熱硬化性樹脂がその状態で硬化することで、成形体表面に凹凸形状12が転写される。
金型10の加熱温度は、通常、100℃〜200℃である。非フッ素系熱硬化性樹脂の硬化時間は、材料の硬化特性と金型温度より適宜決定すればよい。加熱手段は特に制限されず、公知のものを用いることができる。
以上の工程は公知の射出成形法により行ってもよいが、圧縮成形法により行うこともできる。
加熱後、金型10を型開きして成形体を離型することで、注出***部の上面に一次凹凸面101と二次凹凸面102とからなる微細な凹凸形状を有する粗面100が形成された中栓が得られる。
(フッ素原子導入工程)
上述したようにして凹凸形状12を転写した後に、凹凸形状12が転写されて粗面100が形成された成形体表面を形成する非フッ素系熱硬化性樹脂の分子鎖中に、フッ素原子を導入する工程をさらに設けてもよい。これにより、例えば、非フッ素系熱硬化性樹脂の分子鎖を−(CH)n−で表すと、この分子鎖の一部にフッ素原子が導入され、例えば、−CHF−或いは−CF−などの含フッ素部分が生成されるようにフッ素化され、化学的に撥液性を発現させることができる。
非フッ素系熱硬化性樹脂の分子鎖中へフッ素原子の導入は、フッ化炭素を原料とするプラズマ処理により行うことができる。例え、CFガスなどを使用し、フッ素化する対象を、一対の電極間に配置し、高周波電界を印加することにより、フッ素原子のプラズマ(原子状フッ素)を生成させ、これを衝突させることによって、非フッ素系熱硬化性樹脂の分子鎖中にフッ素原子を組み込むことができる。すなわち、非フッ素系熱硬化性樹脂が気化乃至分解し、同時に、フッ素原子が組み込まれることとなる。したがって、フッ素原子が導入されている領域には、エッチングにより、超微細な凹凸が形成されることとなる。その結果、成形体表面に形成された粗面100の二次凹凸面102内に、二次凹凸面102よりも微細な三次凹凸面が形成されることとなり、これによっても液滴に対する撥液性と易転落性をより向上させることができる。
以上説明した通り、本実施形態によれば、金型10のキャビティ面に刻設された凹凸形状12を成形体上に再現性高く転写することが可能となる。すなわち、所望の形状の凹凸形状12を成形体上に形成でき、算術平均粗さRaと粗さ曲線要素の平均長さRsmとの比(Ra/Rsm)が0.15以上の高いアスペクト比の凹凸形状12も容易に転写できるため、液滴に対する撥液性と易転落性に優れた撥液性成形体を製造することが可能となる。
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明に係る撥液性成形体の製造方法は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、前述した実施形態では、本発明を注出容器の中栓に適用した例を挙げて説明したが、本発明の適用対象は、これに限定されない。撥液性成形体は、キャップ、注ぎ口、ノズル等であってもよいし、板状、シート状、フィルム状等であってもよいため、金型10のキャビティ11の形状は、これらに対応する形状とすることができる。
また、前述した実施形態では、凹凸形状12が平面のキャビティ面上に刻設された金型10の例について説明したが、本発明の適用対象はこれに限定されない。すなわち、凹凸形状12が三次元構造(例えば曲面)のキャビティ面上に刻設された金型を用いることもできる。
特許文献1に開示されるスタンパを用いたホットエンボス法の場合、スタンパの形状が平面に限定されるため、転写する成形体表面も平面に限定されていた。
一方、本発明に用いる金型において、凹凸形状12を刻設する部位の形状に特に制限はなく、平面であっても曲面であってもよい。これにより、平面に限らず、曲面上に所望の凹凸形状からなる粗面100が形成された撥液性成形体を製造することが可能となり、上述したスタンパを用いたホットエンボス法に比べ、撥液性成形体の形状の自由度が極めて大きいといえる。
曲面上に粗面100が転写された撥液性成形体の例を図5及び図6に示す。
図5では、撥液性成形体として滴下ノズル32を例示しており、図5(a)は、注出口部31に滴下ノズル32が取り付けられた容器30の要部概略断面図であり、図5(b)は滴下ノズル32の先端部側の拡大断面図である。本例では、図5(b)に示すように、滴下ノズル32の注出孔周辺の半球状部分の表面に粗面100が形成されている。
また、図6では、撥液性成形体としてスリットバルブ42を例示しており、図6(a)は、スリットバルブ42を備えるヒンジキャップ41が取り付けられた容器40の要部概略断面図であり、図6(b)はスリットバルブ42を単体で示す概略断面図である。本例では、図6(b)に示すように、スリットバルブ42の半球状の頂面に粗面100が形成されている。
10 金型
11 キャビティ
12 凹凸形状
13 一次凹凸面
14 二次凹凸面
100 粗面(表面構造)


Claims (5)

  1. 液滴に対する撥液性と易転落性を備えた表面構造を有する撥液性成形体の製造方法であって、
    キャビティ面の所定の部位に前記表面構造に対応する凹凸形状が刻設された金型内に非フッ素系熱硬化性樹脂を充填する工程、及び
    前記金型を加熱して前記非フッ素系熱硬化性樹脂を硬化させて前記凹凸形状を転写する工程
    を含み、
    前記凹凸形状の少なくとも一部が、算術平均粗さRaと粗さ曲線要素の平均長さRsmとの比(Ra/Rsm)が0.15以上であることを特徴とする撥液性成形体の製造方法。
  2. 前記凹凸形状が、一次凹凸面と、前記一次凹凸面内に形成された前記一次凹凸面よりも微細な二次凹凸面とを有している請求項1に記載の撥液性成形体の製造方法。
  3. 前記二次凹凸面内に、前記二次凹凸面よりも微細な三次凹凸面を有している請求項2に記載の撥液性成形体の製造方法。
  4. 前記凹凸形状を転写した後に、前記凹凸形状が転写された面を形成する非フッ素系熱硬化性樹脂の分子鎖中に、フッ素原子を導入する工程をさらに含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の撥液性成形体の製造方法。
  5. 前記フッ素原子の導入を、フッ化炭素を原料とするプラズマ処理により行う請求項4に記載の撥液性成形体の製造方法。


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