JP2018174851A - 冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物及び冷凍喫食用ベーカリー製品 - Google Patents
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Abstract
【課題】冷凍したまま食べても、歯切れが良くしとり感のあるベーカリー製品を得ることのできる冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物、及び該特徴を有する冷凍喫食用ベーカリー製品を提供すること。
【解決手段】60℃で融解した後、25℃で100分保持後のSFC(固体脂含量)が、25℃における基準SFCの80%以下である油相を含有する冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物。該冷凍喫食用ベーカリー製品用油脂組成物を用いた冷凍喫食用ベーカリー製品。
【選択図】なし
【解決手段】60℃で融解した後、25℃で100分保持後のSFC(固体脂含量)が、25℃における基準SFCの80%以下である油相を含有する冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物。該冷凍喫食用ベーカリー製品用油脂組成物を用いた冷凍喫食用ベーカリー製品。
【選択図】なし
Description
本発明は、冷凍したまま食べても、歯切れが良くしとり感のあるベーカリー製品を得ることのできる冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物、及び該油脂組成物を用いた冷凍喫食用ベーカリー製品に関する。
消費者の嗜好の多様化から、これまでにないジャンルのベーカリー製品が次々と登場するようになり、新しい食感を付与したり、意外性のある素材を組合せた製品が販売されている。近年では、通常、常温で食べるベーカリー製品を0〜10℃程度のチルド条件で保存して食べるパン(チルドパン)が登場し人気を博している。ベーカリー製品の冷蔵保存は、澱粉質の老化が最も進行しやすい条件として敬遠されていたものであったため、チルドパンは驚きとともに受け入れられ、現在では一つの新しいジャンルを形成しつつある。
一方、長期の保存を目的として、一度焼成したベーカリー製品を冷凍保管し、喫食時に解凍したり、再焼成することは一般に行われていたものの、冷凍状態のベーカリー製品、特に水分含量の高いパン類やフィリングクリームは喫食不可能なほどの硬度となる場合もあることから、冷凍したまま食べることは全く想定されてこなかった。
しかし、最近になり、ベーカリー製品の種類を選択したり、フィリングクリームに含まれる気泡の量を調整することで冷凍したままであっても軽い食感とした製品が販売され、注目を集めている。
一方、長期の保存を目的として、一度焼成したベーカリー製品を冷凍保管し、喫食時に解凍したり、再焼成することは一般に行われていたものの、冷凍状態のベーカリー製品、特に水分含量の高いパン類やフィリングクリームは喫食不可能なほどの硬度となる場合もあることから、冷凍したまま食べることは全く想定されてこなかった。
しかし、最近になり、ベーカリー製品の種類を選択したり、フィリングクリームに含まれる気泡の量を調整することで冷凍したままであっても軽い食感とした製品が販売され、注目を集めている。
ベーカリー製品の冷凍は、常温では賞味期限の短いものを長期にわたって保存できるほか、再焼成といった手間も必要ないことから、流通の面でもメリットが大きく、今後の期待が大きいものである。
これまで冷凍条件下で食べるベーカリー製品としては、下記のような提案がされている。例えば、焼成して得られたパンに生クリームを入れ、生クリームの凍結が70分以内に完了するよう常温から急冷する工程を含む、冷凍パンの製造方法(特許文献1)、油脂成分として−10℃以下で流動性を有する油脂組成物を用いた冷凍パン(特許文献2)、ベースとなるベーカリー生地中に、可塑性油脂及び/又はペースト状素材をヘテロの形態で含有する生地を焼成したパン類(特許文献3)、クロワッサン生地を半裁しクリームを詰めたパン(特許文献4)等が挙げられる。
これまで冷凍条件下で食べるベーカリー製品としては、下記のような提案がされている。例えば、焼成して得られたパンに生クリームを入れ、生クリームの凍結が70分以内に完了するよう常温から急冷する工程を含む、冷凍パンの製造方法(特許文献1)、油脂成分として−10℃以下で流動性を有する油脂組成物を用いた冷凍パン(特許文献2)、ベースとなるベーカリー生地中に、可塑性油脂及び/又はペースト状素材をヘテロの形態で含有する生地を焼成したパン類(特許文献3)、クロワッサン生地を半裁しクリームを詰めたパン(特許文献4)等が挙げられる。
特許文献1では、生クリームを急冷することで氷結時の風味成分低下を抑制するものであるが、生クリーム以外の部分の、氷結晶に由来する硬い食感はそのままであるため、依然として食感が硬く、冷凍のまま食べるには難があった。
特許文献2では、冷凍条件下でも流動性を有する油脂を用いることで、比較的冷蔵条件に近い条件下では、凍ったままでも違和感なく食べられるようにするものであるが、−10℃を下回る通常の冷凍条件下ではその効果は少なく、氷結晶に由来する硬い食感はそのままであるため、依然として食感が硬く、冷凍のまま食べるには難があった。また、ぱさついた食感となりやすいという問題もあった。
特許文献3は、ひきのある食感が感じられやすく、また油性感やペースト状素材の風味が強くなりやすいという問題が、特許文献4はフィリングの改良が基本でありベースとなるパンの部分の食感自体は通常のパンと変わらないという問題があった。
このように、冷凍したまま食べるベーカリー製品は新しいジャンルとして期待されるものの、課題が多く残されているのが現状である。
特許文献2では、冷凍条件下でも流動性を有する油脂を用いることで、比較的冷蔵条件に近い条件下では、凍ったままでも違和感なく食べられるようにするものであるが、−10℃を下回る通常の冷凍条件下ではその効果は少なく、氷結晶に由来する硬い食感はそのままであるため、依然として食感が硬く、冷凍のまま食べるには難があった。また、ぱさついた食感となりやすいという問題もあった。
特許文献3は、ひきのある食感が感じられやすく、また油性感やペースト状素材の風味が強くなりやすいという問題が、特許文献4はフィリングの改良が基本でありベースとなるパンの部分の食感自体は通常のパンと変わらないという問題があった。
このように、冷凍したまま食べるベーカリー製品は新しいジャンルとして期待されるものの、課題が多く残されているのが現状である。
従って、本発明の目的は、冷凍したまま食べても歯切れが良くしとり感のあるベーカリー製品を提供することにある。
本発明者は上記課題を解決すべく種々検討した結果、使用する油脂組成物の油相のSFC特性を特定の範囲とすることで、上記課題を解決できることを知見した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、60℃で融解した後、25℃で100分保持後のSFC(固体脂含量)が、25℃における基準SFCの80%以下である油相を含有する冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物、及び、該冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物を用いた冷凍喫食用ベーカリー製品を提供するものである。
また、本発明は、60℃で融解した後、25℃で100分保持したときのSFC(固体脂含量)が、油相を60℃で融解した後、25℃における基準SFCの80%以下である油相を含有する油脂組成物を用いることを特徴とする冷凍喫食用ベーカリー製品の改良方法を提供するものである。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、60℃で融解した後、25℃で100分保持後のSFC(固体脂含量)が、25℃における基準SFCの80%以下である油相を含有する冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物、及び、該冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物を用いた冷凍喫食用ベーカリー製品を提供するものである。
また、本発明は、60℃で融解した後、25℃で100分保持したときのSFC(固体脂含量)が、油相を60℃で融解した後、25℃における基準SFCの80%以下である油相を含有する油脂組成物を用いることを特徴とする冷凍喫食用ベーカリー製品の改良方法を提供するものである。
本発明によれば、冷凍したまま食べても、歯切れが良くしとり感のあるベーカリー製品を得ることができる。
以下、本発明について、好ましい実施形態に基づき詳細に説明する。
先ず、本発明の冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物について述べる。尚、本発明において、25℃における基準SFCとは、油相を60℃で融解した後、0℃で30分、25℃で30分保持後のSFC(固体脂含量)をいう。
本発明の冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物は、60℃で融解した後、25℃で100分保持したときのSFC(固体脂含量)が、25℃における基準SFCの80%以下、好ましくは75%以下である油相を含有する。60℃で融解した後、25℃で100分保持したときのSFCが、25℃における基準SFCの80%超であると、本発明の効果が得られない。尚、下限については一般的には10%である。
先ず、本発明の冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物について述べる。尚、本発明において、25℃における基準SFCとは、油相を60℃で融解した後、0℃で30分、25℃で30分保持後のSFC(固体脂含量)をいう。
本発明の冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物は、60℃で融解した後、25℃で100分保持したときのSFC(固体脂含量)が、25℃における基準SFCの80%以下、好ましくは75%以下である油相を含有する。60℃で融解した後、25℃で100分保持したときのSFCが、25℃における基準SFCの80%超であると、本発明の効果が得られない。尚、下限については一般的には10%である。
上記のような油相は、上記条件を満たすように、食用油脂、及び/又は油溶性原料を混合、溶解することによって得ることができる。
具体的には、食用油脂に対して結晶化調整剤を添加する方法、及び/又は相溶性の低い食用油脂を組み合わせて配合する方法によって得ることができる。
先ず、食用油脂に対して結晶化調整剤を添加する方法(以下、第1の方法という)について述べる。
上記食用油脂としては、特に限定されないが、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、菜種油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油等の各種植物油脂、動物油脂並びにこれらを水素添加、分別及びエステル交換から選択される一又は二以上の処理を施した加工油脂が挙げられる。本発明においては、これらの油脂を単独で用いることもでき、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
ここで、上記結晶化調整剤とは、食用油脂に少量添加することで食用油脂の結晶性を遅延させる効果を有する添加物であり、その例としては、HLBが7以上、好ましくはHLBが10以上であるシュガーエステル及び/又はポリグリセリン脂肪酸エステル、エタノール、グリセリン、ジグリセリド、植物ステロール脂肪酸エステル等が挙げられる。
上記食用油脂に対する上記結晶化調整剤の添加量は、食用油脂100質量部に対し、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは1〜8質量部、更に好ましくは2〜5質量%である。
具体的には、食用油脂に対して結晶化調整剤を添加する方法、及び/又は相溶性の低い食用油脂を組み合わせて配合する方法によって得ることができる。
先ず、食用油脂に対して結晶化調整剤を添加する方法(以下、第1の方法という)について述べる。
上記食用油脂としては、特に限定されないが、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、菜種油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油等の各種植物油脂、動物油脂並びにこれらを水素添加、分別及びエステル交換から選択される一又は二以上の処理を施した加工油脂が挙げられる。本発明においては、これらの油脂を単独で用いることもでき、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
ここで、上記結晶化調整剤とは、食用油脂に少量添加することで食用油脂の結晶性を遅延させる効果を有する添加物であり、その例としては、HLBが7以上、好ましくはHLBが10以上であるシュガーエステル及び/又はポリグリセリン脂肪酸エステル、エタノール、グリセリン、ジグリセリド、植物ステロール脂肪酸エステル等が挙げられる。
上記食用油脂に対する上記結晶化調整剤の添加量は、食用油脂100質量部に対し、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは1〜8質量部、更に好ましくは2〜5質量%である。
次に、相溶性の低い食用油脂を組み合わせて配合する方法(以下、第2の方法という)について述べる。
ここで、相溶性の低い食用油脂の組み合わせ方としては、例えば以下の(1)〜(3)の組み合わせが挙げられる。
(1)パーム系油脂と、ラウリン系油脂
(2)パーム系油脂と、豚脂系油脂及び/又は牛脂系油脂
(3)パーム系油脂と、ランダムエステル交換油脂
ここで、相溶性の低い食用油脂の組み合わせ方としては、例えば以下の(1)〜(3)の組み合わせが挙げられる。
(1)パーム系油脂と、ラウリン系油脂
(2)パーム系油脂と、豚脂系油脂及び/又は牛脂系油脂
(3)パーム系油脂と、ランダムエステル交換油脂
先ず(1)のパーム系油脂と、ラウリン系油脂の組み合わせた場合の詳細について述べる。
上記のパーム系油脂としては、パーム油、パーム分別油を挙げることができる。
上記のパーム分別油としては、例えば1段分別油であるパームオレイン及びパームステアリン;パームオレインの2段分別油であるパームオレイン(パームスーパーオレイン)及びパームミッドフラクション;パームステアリンの2段分別油であるパームオレイン(ソフトパーム)及びパームステアリン(ハードステアリン)等を用いることができる。
パーム油を分別する方法には特に制限はなく、溶剤分別、乾式分別、乳化分別の何れの方法を用いてもよい。本発明では上記のパーム系油脂の中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
また、上記のパーム系油脂としては、食品への練り込み適性の観点から、ヨウ素価が30〜70であるものが好ましく、ヨウ素価が30〜65であるものが更に好ましく、ヨウ素価が30〜54であるものが最も好ましい。
一方、上記のラウリン系油脂としては、ヤシ油、パーム核油、ババス油等のラウリン酸を多量に含む油脂や、これらを分別して得られた分別油を挙げることができ、これらのラウリン系油脂の中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
本発明ではラウリン系油脂として、ヤシ油及び/又はパーム核油を用いることが好ましい。
上記のパーム系油脂としては、パーム油、パーム分別油を挙げることができる。
上記のパーム分別油としては、例えば1段分別油であるパームオレイン及びパームステアリン;パームオレインの2段分別油であるパームオレイン(パームスーパーオレイン)及びパームミッドフラクション;パームステアリンの2段分別油であるパームオレイン(ソフトパーム)及びパームステアリン(ハードステアリン)等を用いることができる。
パーム油を分別する方法には特に制限はなく、溶剤分別、乾式分別、乳化分別の何れの方法を用いてもよい。本発明では上記のパーム系油脂の中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
また、上記のパーム系油脂としては、食品への練り込み適性の観点から、ヨウ素価が30〜70であるものが好ましく、ヨウ素価が30〜65であるものが更に好ましく、ヨウ素価が30〜54であるものが最も好ましい。
一方、上記のラウリン系油脂としては、ヤシ油、パーム核油、ババス油等のラウリン酸を多量に含む油脂や、これらを分別して得られた分別油を挙げることができ、これらのラウリン系油脂の中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
本発明ではラウリン系油脂として、ヤシ油及び/又はパーム核油を用いることが好ましい。
上記(1)の組み合わせにおいて、油相中のパーム系油脂の含有量は好ましくは40〜85質量%、更に好ましくは48〜85質量%、最も好ましくは51〜80質量%である。
また、油相中のラウリン系油脂の含有量は好ましくは4〜30質量%、更に好ましくは8〜30質量%、最も好ましくは8〜20質量%である。
またパーム系油脂とラウリン系油脂の含有量は、油相中のSMSで表されるトリグリセリド(1,3位がS、2位がMであるトリグリセリド。但し、S=炭素数16〜24の飽和脂肪酸、M=炭素数16〜24のモノ不飽和脂肪酸)の含有量が、油相基準で好ましくは10〜25質量%、より好ましくは10〜20質量%、更に好ましくは12〜19質量%となる量であり、且つ、構成脂肪酸組成においてラウリン酸が好ましくは2〜12質量%、より好ましくは4〜12質量%、更に好ましくは4〜10質量%となる量である。
尚、油相中のSMSで表されるトリグリセリドの含有量と構成脂肪酸組成におけるラウリン酸の含有量の質量比率は、該SMSで表されるトリグリセリドの含有量を1としたときに、該ラウリン酸の含有量が好ましくは0.2〜1.2、更に好ましくは0.3〜1.0、最も好ましくは0.3〜0.5とする。
また、油相中のラウリン系油脂の含有量は好ましくは4〜30質量%、更に好ましくは8〜30質量%、最も好ましくは8〜20質量%である。
またパーム系油脂とラウリン系油脂の含有量は、油相中のSMSで表されるトリグリセリド(1,3位がS、2位がMであるトリグリセリド。但し、S=炭素数16〜24の飽和脂肪酸、M=炭素数16〜24のモノ不飽和脂肪酸)の含有量が、油相基準で好ましくは10〜25質量%、より好ましくは10〜20質量%、更に好ましくは12〜19質量%となる量であり、且つ、構成脂肪酸組成においてラウリン酸が好ましくは2〜12質量%、より好ましくは4〜12質量%、更に好ましくは4〜10質量%となる量である。
尚、油相中のSMSで表されるトリグリセリドの含有量と構成脂肪酸組成におけるラウリン酸の含有量の質量比率は、該SMSで表されるトリグリセリドの含有量を1としたときに、該ラウリン酸の含有量が好ましくは0.2〜1.2、更に好ましくは0.3〜1.0、最も好ましくは0.3〜0.5とする。
次に(2)のパーム系油脂と、豚脂系油脂及び/又は牛脂系油脂の組み合わせの場合の詳細について述べる。
上記のパーム系油脂としては、上記(1)の組み合わせで説明したパーム系油脂を使用することができる。
上記の豚脂系油脂及び/又は牛脂系油脂としては、具体的には豚脂、牛脂並びにこれらに水素添加、分別及びエステル交換から選択される1又は2以上の処理を施した加工油脂を挙げることができる。
本発明ではこれらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。本発明では特に豚脂を用いることが好ましい。
上記のパーム系油脂としては、上記(1)の組み合わせで説明したパーム系油脂を使用することができる。
上記の豚脂系油脂及び/又は牛脂系油脂としては、具体的には豚脂、牛脂並びにこれらに水素添加、分別及びエステル交換から選択される1又は2以上の処理を施した加工油脂を挙げることができる。
本発明ではこれらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。本発明では特に豚脂を用いることが好ましい。
上記(2)の組み合わせにおいて、油相中のパーム系油脂の含有量は好ましくは12〜80質量%、更に好ましくは15〜50質量%、最も好ましくは15〜30質量%である。
また、豚脂系油脂及び/又は牛脂系油脂の含有量は好ましくは20〜85質量%、更に好ましくは40〜80質量%、最も好ましくは51〜80質量%である。
またパーム系油脂と、豚脂系油脂及び/又は牛脂系油脂の含有量は、油相中のSMSで表されるトリグリセリド(1,3位がS、2位がMであるトリグリセリド。但し、S=炭素数16〜24の飽和脂肪酸、M=炭素数16〜24のモノ不飽和脂肪酸)の含有量が、油相基準で好ましくは10〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%、更に好ましくは10〜20質量%となる量であり、且つ、MSMで表されるトリグリセリド(1,3位がM、2位がSであるトリグリセリド。但し、S=炭素数16〜24の飽和脂肪酸、M=炭素数16〜24のモノ不飽和脂肪酸)の含有量が、油相基準で好ましくは10〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%、更に好ましくは10〜20質量%となる量である。
また、豚脂系油脂及び/又は牛脂系油脂の含有量は好ましくは20〜85質量%、更に好ましくは40〜80質量%、最も好ましくは51〜80質量%である。
またパーム系油脂と、豚脂系油脂及び/又は牛脂系油脂の含有量は、油相中のSMSで表されるトリグリセリド(1,3位がS、2位がMであるトリグリセリド。但し、S=炭素数16〜24の飽和脂肪酸、M=炭素数16〜24のモノ不飽和脂肪酸)の含有量が、油相基準で好ましくは10〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%、更に好ましくは10〜20質量%となる量であり、且つ、MSMで表されるトリグリセリド(1,3位がM、2位がSであるトリグリセリド。但し、S=炭素数16〜24の飽和脂肪酸、M=炭素数16〜24のモノ不飽和脂肪酸)の含有量が、油相基準で好ましくは10〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%、更に好ましくは10〜20質量%となる量である。
次に(3)のパーム系油脂と、ランダムエステル交換油脂の組み合わせの場合の詳細について述べる。
上記のパーム系油脂としては、上記(1)の組み合わせで説明したパーム系油脂を使用することができる。
上記のランダムエステル交換油脂としては、具体的にはパーム油、パーム核油、ヤシ油、ハバス油、コーン油、オリーブ油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオバター、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、ハイエルシン菜種油、魚油、鯨油等の各種動植物油脂、並びにこれらの各種動植物油脂を必要に応じて水素添加及び/又は分別した後に得られる加工油脂、脂肪酸、及び脂肪酸低級アルコールエステルから選択される1種又は2種以上を用いて製造したランダムエステル交換油脂を使用することができる。
上記のパーム系油脂としては、上記(1)の組み合わせで説明したパーム系油脂を使用することができる。
上記のランダムエステル交換油脂としては、具体的にはパーム油、パーム核油、ヤシ油、ハバス油、コーン油、オリーブ油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオバター、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、ハイエルシン菜種油、魚油、鯨油等の各種動植物油脂、並びにこれらの各種動植物油脂を必要に応じて水素添加及び/又は分別した後に得られる加工油脂、脂肪酸、及び脂肪酸低級アルコールエステルから選択される1種又は2種以上を用いて製造したランダムエステル交換油脂を使用することができる。
上記(3)の組み合わせにおいて、油相中のパーム系油脂の含有量は好ましくは20〜70質量%、更に好ましくは30〜60質量%、最も好ましくは40〜60質量%である。
また油相中のランダムエステル交換油脂の含有量は好ましくは25〜75質量%、より好ましくは40〜70質量%、更に好ましくは40〜60質量%、最も好ましくは40〜50質量%である。
本発明では上記ランダムエステル交換油脂として、上記ランダムエステル交換油脂の一部又は全部に、ヨウ素価52〜70のパーム分別軟部油を70質量%以上含む油脂配合物をランダムエステル交換したランダムエステル交換油脂を使用することが好ましい。
上記ヨウ素価52〜70のパーム分別軟部油を70質量%以上含む油脂配合物をランダムエステル交換したランダムエステル交換油脂の油相中の含有量は、好ましくは15〜50質量%、より好ましくは20〜30質量%である。
上記ヨウ素価52〜70のパーム分別軟部油を70質量%以上含む油脂配合物をランダムエステル交換したランダムエステル交換油脂に必要に応じ加配するその他のランダムエステル交換油脂としては、融点が36℃以下であるランダムエステル交換油脂が好ましく、より好ましくは融点が33℃以下であるランダムエステル交換油脂を使用する。
上記その他のランダムエステル交換油脂の好ましい例としては、構成脂肪酸組成において炭素数14以下の飽和脂肪酸含量が30〜70質量%であり炭素数16以上の飽和脂肪酸含量が20〜60質量%である油脂配合物を、ランダムエステル交換してなるランダムエステル交換油脂が挙げられる。
また油相中のランダムエステル交換油脂の含有量は好ましくは25〜75質量%、より好ましくは40〜70質量%、更に好ましくは40〜60質量%、最も好ましくは40〜50質量%である。
本発明では上記ランダムエステル交換油脂として、上記ランダムエステル交換油脂の一部又は全部に、ヨウ素価52〜70のパーム分別軟部油を70質量%以上含む油脂配合物をランダムエステル交換したランダムエステル交換油脂を使用することが好ましい。
上記ヨウ素価52〜70のパーム分別軟部油を70質量%以上含む油脂配合物をランダムエステル交換したランダムエステル交換油脂の油相中の含有量は、好ましくは15〜50質量%、より好ましくは20〜30質量%である。
上記ヨウ素価52〜70のパーム分別軟部油を70質量%以上含む油脂配合物をランダムエステル交換したランダムエステル交換油脂に必要に応じ加配するその他のランダムエステル交換油脂としては、融点が36℃以下であるランダムエステル交換油脂が好ましく、より好ましくは融点が33℃以下であるランダムエステル交換油脂を使用する。
上記その他のランダムエステル交換油脂の好ましい例としては、構成脂肪酸組成において炭素数14以下の飽和脂肪酸含量が30〜70質量%であり炭素数16以上の飽和脂肪酸含量が20〜60質量%である油脂配合物を、ランダムエステル交換してなるランダムエステル交換油脂が挙げられる。
上記(3)の組み合わせにおいて、パーム系油脂と、ランダムエステル交換油の配合量は、油相中のSMSで表されるトリグリセリド(1,3位がS、2位がMであるトリグリセリド。但し、S=炭素数16〜24の飽和脂肪酸、M=炭素数16〜24のモノ不飽和脂肪酸)含量が、油相基準で好ましくは15〜60質量%、より好ましくは20〜34質量%、更に好ましくは20〜30質量%となる量であり、且つ、MSMで表されるトリグリセリド(1,3位がM、2位がSであるトリグリセリド。但し、S=炭素数16〜24の飽和脂肪酸、M=炭素数16〜24のモノ不飽和脂肪酸)含量が、油相基準で好ましくは5質量%以下、より好ましくは3.5質量%以下となる量であることが好ましい。
第2の方法において、本発明の油脂組成物は、極度硬化油脂を油相基準で0.3〜9質量%、好ましくは0.3〜7質量%、更に好ましくは0.3〜5質量%、最も好ましくは0.3〜3質量%含有することが好ましい。
上記の極度硬化油脂としては、ナタネ極度硬化油、ハイエルシン酸ナタネ極度硬化油、大豆極度硬化油、パーム極度硬化油等を挙げることができ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。本発明ではハイエルシン酸ナタネ極度硬化油、パーム極度硬化油、大豆極度硬化油の中から選ばれた1種又は2種以上を用いるのが好ましい。
第2の方法において、本発明の油脂組成物は、極度硬化油脂を油相基準で0.3〜9質量%、好ましくは0.3〜7質量%、更に好ましくは0.3〜5質量%、最も好ましくは0.3〜3質量%含有することが好ましい。
上記の極度硬化油脂としては、ナタネ極度硬化油、ハイエルシン酸ナタネ極度硬化油、大豆極度硬化油、パーム極度硬化油等を挙げることができ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。本発明ではハイエルシン酸ナタネ極度硬化油、パーム極度硬化油、大豆極度硬化油の中から選ばれた1種又は2種以上を用いるのが好ましい。
第2の方法において、本発明の油脂組成物は、必要に応じ、本発明の効果を妨げない範囲において、上記の(1)〜(3)にそれぞれに記載の油脂、及び、上記極度硬化油脂以外の「その他の油脂」を含有させることができる。
上記の「その他の油脂」としては、食用に適する油脂であればよく、その代表例としては、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、オリーブ油、落花生油、米油、べに花油、ひまわり油、ハイオレイックべに花油、ハイオレイックひまわり油、各種食用油脂の分別軟部油等の常温で液体の油脂や、乳脂等が挙げられるが特に限定されない。
第2の方法において、本発明の油脂組成物は、油相基準で「その他の油脂」を好ましくは30質量%以下含有させることができる。尚、上記(2)及び(3)の組み合わせの場合は、「その他の油脂」の含有量を、好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下とすることが好ましい。ただし本発明では液状油については冷凍下であってもべたつくことがあるため使用しないことが好ましい。
上記の「その他の油脂」としては、食用に適する油脂であればよく、その代表例としては、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、オリーブ油、落花生油、米油、べに花油、ひまわり油、ハイオレイックべに花油、ハイオレイックひまわり油、各種食用油脂の分別軟部油等の常温で液体の油脂や、乳脂等が挙げられるが特に限定されない。
第2の方法において、本発明の油脂組成物は、油相基準で「その他の油脂」を好ましくは30質量%以下含有させることができる。尚、上記(2)及び(3)の組み合わせの場合は、「その他の油脂」の含有量を、好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下とすることが好ましい。ただし本発明では液状油については冷凍下であってもべたつくことがあるため使用しないことが好ましい。
本発明の油脂組成物は、油脂結晶が粗大化するような不安定な油脂である方が好ましいため、トランス酸を実質的に含有しないことが好ましい。トランス酸を含有すると油脂組成物は融点が低い場合であっても硬い物性になり、また、固化速度が速く、更には油脂結晶が微細化してしまう特徴があるためである。ここでいう「トランス酸を実質的に含有しない」とは、トランス酸含量が、本発明の油脂組成物に含まれている油脂の全構成脂肪酸中、好ましくは10質量%未満、更に好ましくは5質量%未満、最も好ましくは2質量%未満であることを意味する。
本発明の油脂組成物において、油相の含有量は、好ましくは40〜100質量%、更に好ましくは60〜100質量%、最も好ましくは80〜100質量%である。本発明の油脂組成物において、油相の含有量が、40質量%よりも少ないと本発明の効果が得られにくい。
尚、上記油相とは、油脂組成物の油分として測定される部分であり、ジエチルエーテルで抽出される部分である。
尚、上記油相とは、油脂組成物の油分として測定される部分であり、ジエチルエーテルで抽出される部分である。
本発明の油脂組成物は、必要に応じ、本発明の効果を妨げない範囲において、「その他の成分」を含有することができる。「その他の成分」としては、水、乳製品、糖類、甘味料、増粘安定剤、酵素、食塩、塩化カリウム、着色料、酸味料、調味料、酸化防止剤、着香料、アルコール、酒、各種リキュール、アミノ酸、pH調整剤、食品保存料、日持ち向上剤、果実、果汁、ナッツペースト、香辛料、カカオマス、ココアパウダー、コーヒー、紅茶、緑茶、穀類、豆類、卵類、野菜類、肉類、魚介類等の食品素材や食品添加物等をあげることができる。
本発明の油脂組成物において、上記の「その他の成分」の含有量は合計で、好ましくは60質量%以下、更に好ましくは50質量%以下、最も好ましくは40質量%以下である。
本発明の油脂組成物の好ましい水分含有量は、本発明の油脂組成物中、好ましくは60質量%以下、更に好ましくは40質量%以下、最も好ましくは20質量%以下である。
本発明の油脂組成物において、上記の「その他の成分」の含有量は合計で、好ましくは60質量%以下、更に好ましくは50質量%以下、最も好ましくは40質量%以下である。
本発明の油脂組成物の好ましい水分含有量は、本発明の油脂組成物中、好ましくは60質量%以下、更に好ましくは40質量%以下、最も好ましくは20質量%以下である。
本発明の油脂組成物は、例えば、ショートニング・マーガリン・バター等の可塑性油脂組成物や、サラダ油・流動ショートニング・溶かしバター等の流動状油脂組成物、また、粉末油脂等の何れの形態であってもよく、油脂組成物が乳化物である場合、その乳化形態は、油中水型、水中油型、及び二重乳化型の何れでも構わないが、ベーカリー生地への分散性が良好であること、さらには得られるベーカリー製品の体積が大きく内相が良好なものとすることが可能な点で、可塑性油脂組成物であることが好ましい。
次に、本発明の油脂組成物の好ましい製造方法について述べる。
本発明の油脂組成物は、一般的な油脂組成物の製造方法と同様にして得ることができる。即ち、上記油相を溶解し、冷却し、結晶化させることにより製造することができる。
詳しくは、先ず油相を融点以上、好ましくは50〜70℃に加熱して溶解する。次に、油相に、必要により水相を混合乳化する。そして、次に殺菌処理するのが望ましい。殺菌処理の方法は、タンクでのバッチ式でも、プレート型熱交換機や掻き取り式熱交換機を用いた連続式でも構わない。続いて、冷却し、結晶化する。冷却条件は好ましくは−0.5℃/分以上、更に好ましくは−5℃/分以上である。冷却に用いる機器としては、密閉型連続式チューブ冷却機、例えば、ボテーター、コンビネーター、パーフェクター等の油脂組成物製造機やプレート型熱交換機等が挙げられ、また、開放型のダイアクーラーとコンプレクターの組み合わせ等も挙げられる。
また、本発明の油脂組成物を製造する際の何れかの製造工程で、窒素、空気等を含気させても、させなくても構わない。
本発明の油脂組成物は、一般的な油脂組成物の製造方法と同様にして得ることができる。即ち、上記油相を溶解し、冷却し、結晶化させることにより製造することができる。
詳しくは、先ず油相を融点以上、好ましくは50〜70℃に加熱して溶解する。次に、油相に、必要により水相を混合乳化する。そして、次に殺菌処理するのが望ましい。殺菌処理の方法は、タンクでのバッチ式でも、プレート型熱交換機や掻き取り式熱交換機を用いた連続式でも構わない。続いて、冷却し、結晶化する。冷却条件は好ましくは−0.5℃/分以上、更に好ましくは−5℃/分以上である。冷却に用いる機器としては、密閉型連続式チューブ冷却機、例えば、ボテーター、コンビネーター、パーフェクター等の油脂組成物製造機やプレート型熱交換機等が挙げられ、また、開放型のダイアクーラーとコンプレクターの組み合わせ等も挙げられる。
また、本発明の油脂組成物を製造する際の何れかの製造工程で、窒素、空気等を含気させても、させなくても構わない。
次に、本発明の冷凍喫食用ベーカリー製品について説明する。
本発明の冷凍喫食用ベーカリー製品は、上記本発明の冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物を用いたものであり、具体的には、上記本発明の冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物を、ベーカリー生地に使用する油脂の一部又は全部に用いたベーカリー生地を、常法により、必要に応じ、折り畳み、圧延、包餡、成形、ホイロ等の処理をした後、焼成及び/又はフライ等の加熱処理し、その後、冷凍処理してなるものである。
上記ベーカリー生地としては、通常のベーカリー生地を問題なく使用することができ、例えば、食パン生地、菓子パン生地、パイ生地、デニッシュ生地、クロワッサン生地、フランスパン生地、セミハードロール生地、イーストドーナツ生地、ケーキドーナツ生地、クラッカー生地、クッキー生地、ハードビスケット生地、ワッフル生地、スコーン生地などが挙げられるが、本発明の効果がより顕れやすい点で、パイ生地、デニッシュ生地、クロワッサン生地などの積層状生地を用いることが好ましい。
上記ベーカリー生地は本発明の冷凍喫食用ベーカリー製品を少なくとも含有するものであるが、その含有量は、ベーカリー生地に含まれる小麦粉100質量部に対し、好ましくは5〜100質量部、より好ましくは20〜80質量部、更に好ましくは25〜75質量部となる量である。
本発明の冷凍喫食用ベーカリー製品は、上記本発明の冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物を用いたものであり、具体的には、上記本発明の冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物を、ベーカリー生地に使用する油脂の一部又は全部に用いたベーカリー生地を、常法により、必要に応じ、折り畳み、圧延、包餡、成形、ホイロ等の処理をした後、焼成及び/又はフライ等の加熱処理し、その後、冷凍処理してなるものである。
上記ベーカリー生地としては、通常のベーカリー生地を問題なく使用することができ、例えば、食パン生地、菓子パン生地、パイ生地、デニッシュ生地、クロワッサン生地、フランスパン生地、セミハードロール生地、イーストドーナツ生地、ケーキドーナツ生地、クラッカー生地、クッキー生地、ハードビスケット生地、ワッフル生地、スコーン生地などが挙げられるが、本発明の効果がより顕れやすい点で、パイ生地、デニッシュ生地、クロワッサン生地などの積層状生地を用いることが好ましい。
上記ベーカリー生地は本発明の冷凍喫食用ベーカリー製品を少なくとも含有するものであるが、その含有量は、ベーカリー生地に含まれる小麦粉100質量部に対し、好ましくは5〜100質量部、より好ましくは20〜80質量部、更に好ましくは25〜75質量部となる量である。
なお、上記ベーカリー生地はα結晶ゲル構造の乳化剤を含有する生地であると、より歯切れの良好である冷凍喫食用ベーカリー製品が得られる点で好ましい。
ここで、上記α結晶ゲル構造の乳化剤について説明する。
上記のα結晶ゲル構造の乳化剤は、水と乳化剤を共存させ、温度を上げていき、ゲル−液晶転移温度より高い温度とし、液晶構造の乳化剤を形成させる。そしてこの液晶構造の乳化剤をゲル−液晶転移温度よりも低い温度に冷却することにより、水を含んだままのα結晶ゲル構造の乳化剤を得ることができる。
上記のα結晶ゲル構造の乳化剤の含有量は、ベーカリー生地に使用する全穀粉類100質量部に対して、好ましくは0.05〜5質量部、さらに好ましくは0.1〜3質量部、最も好ましくは0.3〜2質量部である。
ここで、上記α結晶ゲル構造の乳化剤について説明する。
上記のα結晶ゲル構造の乳化剤は、水と乳化剤を共存させ、温度を上げていき、ゲル−液晶転移温度より高い温度とし、液晶構造の乳化剤を形成させる。そしてこの液晶構造の乳化剤をゲル−液晶転移温度よりも低い温度に冷却することにより、水を含んだままのα結晶ゲル構造の乳化剤を得ることができる。
上記のα結晶ゲル構造の乳化剤の含有量は、ベーカリー生地に使用する全穀粉類100質量部に対して、好ましくは0.05〜5質量部、さらに好ましくは0.1〜3質量部、最も好ましくは0.3〜2質量部である。
α結晶ゲル構造となる乳化剤としては、モノグリセリド、有機酸モノグリセリド、HLB7以下のポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウムが挙げられ、これらの中から選ばれた1種または2種以上を用いる。これらの中では、モノグリセリド、有機酸モノグリセリド、HLB7以下のポリグリセリン脂肪酸エステルの中から選ばれた1種または2種以上を用いるのが好ましい。さらに好ましくはモノグリセリド、HLB7以下のポリグリセリン脂肪酸エステルの中から選ばれた1種または2種以上を用いるのがよく、最も好ましくはモノグリセリドとHLB7以下のポリグリセリン脂肪酸エステルを併用するのがよい。
本発明において、α結晶ゲル構造の乳化剤は、α結晶ゲル構造の乳化剤を含有し、油脂を含有しない起泡剤(以下起泡剤という)、またはα結晶ゲル構造の乳化剤を含有し、油脂を含有する起泡性乳化油脂(以下起泡性乳化油脂という)として、ベーカリー生地に添加するのが好ましく、さらに好ましくは起泡剤としてベーカリー生地に添加するのがよい。
本発明において、α結晶ゲル構造の乳化剤は、α結晶ゲル構造の乳化剤を含有し、油脂を含有しない起泡剤(以下起泡剤という)、またはα結晶ゲル構造の乳化剤を含有し、油脂を含有する起泡性乳化油脂(以下起泡性乳化油脂という)として、ベーカリー生地に添加するのが好ましく、さらに好ましくは起泡剤としてベーカリー生地に添加するのがよい。
本発明で使用するベーカリー生地において、上記の起泡剤または起泡性乳化油脂の含有量は、パン生地で用いる穀粉類100質量部に対して、好ましくは0.4〜42質量部、さらに好ましくは0.8〜25質量部、最も好ましくは1.6〜16質量部である。
なお、上記ベーカリー生地の製造方法としては、一般のパン類の製造方法と同様でよく、速成法、ストレート法、中種法、液種法、サワー種法、酒種法、湯種法、ホップ種法、中麺法、チョリーウッド法、連続製パン法、冷蔵生地法、冷凍生地法等の製パン法を適宜選択して製造することができる。
なお、上記ベーカリー生地の製造方法としては、一般のパン類の製造方法と同様でよく、速成法、ストレート法、中種法、液種法、サワー種法、酒種法、湯種法、ホップ種法、中麺法、チョリーウッド法、連続製パン法、冷蔵生地法、冷凍生地法等の製パン法を適宜選択して製造することができる。
上記本発明の冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物のベーカリー生地への適用方法としては練り込み方式でも折り込み方式でもよいが、上述のように積層状生地であると本発明の効果がより顕れやすいため、折り込み方式であることが好ましい。
なお練り込み方法や折り込み方法は特に限定されず、通常のベーカリー生地の製造方法と同様に行うことができる。
なお、折り込み方式の場合は、その好ましい層数は、目的とする製品により異なるものであり、特に限定されるものではないが、十分な浮きの層状ベーカリー製品を得るためには、イーストを含まないベーカリー生地の場合、好ましくは16〜1024層、より好ましくは64〜256層である。また、イーストを含むベーカリー生地の場合は、好ましくは9〜256層、より好ましくは16〜81層である。
なお練り込み方法や折り込み方法は特に限定されず、通常のベーカリー生地の製造方法と同様に行うことができる。
なお、折り込み方式の場合は、その好ましい層数は、目的とする製品により異なるものであり、特に限定されるものではないが、十分な浮きの層状ベーカリー製品を得るためには、イーストを含まないベーカリー生地の場合、好ましくは16〜1024層、より好ましくは64〜256層である。また、イーストを含むベーカリー生地の場合は、好ましくは9〜256層、より好ましくは16〜81層である。
なお、本発明の冷凍喫食用ベーカリー製品は、上記加熱処理の後、粗熱が取れた後にホイップドクリーム等の起泡性クリームを注入してもよい。
冷凍させるための条件は一般にアイスクリーム等の冷凍条件と同様であり、特に限定されるものではないが、好ましくは−50〜0℃、より好ましくは−45〜−2℃、最も好ましくは−40〜−10℃で流通させることが好ましい。
また、食する際のベーカリー製品の温度は好ましくは−30〜−2℃、より好ましくは−25〜−10℃である。−30℃を下回ると、口を付けた瞬間に舌や唇が付着して凍傷を負う危険性がある。
冷凍させるための条件は一般にアイスクリーム等の冷凍条件と同様であり、特に限定されるものではないが、好ましくは−50〜0℃、より好ましくは−45〜−2℃、最も好ましくは−40〜−10℃で流通させることが好ましい。
また、食する際のベーカリー製品の温度は好ましくは−30〜−2℃、より好ましくは−25〜−10℃である。−30℃を下回ると、口を付けた瞬間に舌や唇が付着して凍傷を負う危険性がある。
最後に、本発明の冷凍喫食用ベーカリー製品の改良方法について述べる。
本発明の冷凍喫食用ベーカリー製品の改良方法は、冷凍喫食用ベーカリー製品の製造の際に、60℃で融解した後、25℃で100分保持後のSFCが、25℃における基準SFCの80%以下である油相を含有する油脂組成物、即ち、本発明の冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物を用いることにより、冷凍したまま食べても、歯切れが良くしとり感のある優れた品質の冷凍喫食用ベーカリー製品とするものである。
その際の、上記油脂組成物の使用量、使用方法については上述のとおりである。
本発明の冷凍喫食用ベーカリー製品の改良方法は、冷凍喫食用ベーカリー製品の製造の際に、60℃で融解した後、25℃で100分保持後のSFCが、25℃における基準SFCの80%以下である油相を含有する油脂組成物、即ち、本発明の冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物を用いることにより、冷凍したまま食べても、歯切れが良くしとり感のある優れた品質の冷凍喫食用ベーカリー製品とするものである。
その際の、上記油脂組成物の使用量、使用方法については上述のとおりである。
本発明の内容を以下の製造例、実施例及び比較例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらの製造例、実施例及び比較例に何ら限定されるものではない。尚、特に説明しない限り、「%」及び「部」は質量基準である。
製造例1及び2は、本発明の油脂組成物の原料として使用するエステル交換油脂の製造例であり、製造例3及び4は本発明の油脂組成物の原料として使用するα結晶ゲル構造の乳化剤を含有する起泡剤及び起泡性乳化油脂の製造例であり、実施例1〜3並びに比較例1及び2は、本発明及び比較用の冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物の製造例である。尚、実施例1〜3の冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物は、上記第2の方法において、それぞれ上記(1)、(2)及び(3)の油脂の組み合わせを採用したものである。また、実施例4〜9並びに比較例3及び4は冷凍喫食用ベーカリー製品の製造例並びに評価例である。
<エステル交換油脂の製造>
〔製造例1〕
炭素数14(以下、「C14」と表す)以下の飽和脂肪酸含量が68%、炭素数16(以下、「C16」と表す)以上の飽和脂肪酸含量が11%であるパーム核油75%に、C14以下の飽和脂肪酸含量が0%、C16以上の飽和脂肪酸含量が99%であるパーム極度硬化油25%を配合し、C14以下の飽和脂肪酸含量が51%、C16以上の飽和脂肪酸含量が33%である油脂配合物を得た。この油脂配合物100部に対し、触媒として0.1部のナトリウムメチラートを添加し、80℃で30分間ランダムエステル交換反応を行い、常法により精製して、融点が32℃であるエステル交換油脂Aを得た。
〔製造例2〕
ヨウ素価60のパーム軟部油100%からなる油脂配合物100部に対し、触媒として0.1部のナトリウムメチラートを添加し、80℃で30分間ランダムエステル交換反応を行い、常法により精製して、融点が34℃であるエステル交換油脂Bを得た。
〔製造例1〕
炭素数14(以下、「C14」と表す)以下の飽和脂肪酸含量が68%、炭素数16(以下、「C16」と表す)以上の飽和脂肪酸含量が11%であるパーム核油75%に、C14以下の飽和脂肪酸含量が0%、C16以上の飽和脂肪酸含量が99%であるパーム極度硬化油25%を配合し、C14以下の飽和脂肪酸含量が51%、C16以上の飽和脂肪酸含量が33%である油脂配合物を得た。この油脂配合物100部に対し、触媒として0.1部のナトリウムメチラートを添加し、80℃で30分間ランダムエステル交換反応を行い、常法により精製して、融点が32℃であるエステル交換油脂Aを得た。
〔製造例2〕
ヨウ素価60のパーム軟部油100%からなる油脂配合物100部に対し、触媒として0.1部のナトリウムメチラートを添加し、80℃で30分間ランダムエステル交換反応を行い、常法により精製して、融点が34℃であるエステル交換油脂Bを得た。
<油脂組成物の製造>
〔実施例1〕
ヨウ素価51のパーム油60%、ヤシ油10.3%、ナタネ液状油29%、及びハイエルシンナタネ極度硬化油0.7%からなる油相を、溶解、混合及び急冷可塑化して、トランス酸の含有量は2%未満であり、乳化剤を含有しない本発明の冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物Aを得た。
得られた冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物Aにおいて、油相中のSMSで表されるトリグリセリド(1,3位がS、2位がMであるトリグリセリド。但し、S=炭素数16〜24の飽和脂肪酸、M=炭素数16〜24のモノ不飽和脂肪酸)(以後SMSという)の含有量(油相基準)は15.0%、構成脂肪酸組成におけるラウリン酸の含有量は5.3%、トランス酸の含有量は1.2%、該SMSの含有量を1としたときの該ラウリン酸の含有量(油相基準)は0.35であった。
また得られた冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物Aの油相を60℃で融解した後、0℃で30分、25℃で30分保持後のSFC(25℃における基準SFC)は10%であるのに対し、60℃で融解した後、25℃で100分保持後のSFCは7.4%であり、25℃における基準SFCの74%であった。
〔実施例1〕
ヨウ素価51のパーム油60%、ヤシ油10.3%、ナタネ液状油29%、及びハイエルシンナタネ極度硬化油0.7%からなる油相を、溶解、混合及び急冷可塑化して、トランス酸の含有量は2%未満であり、乳化剤を含有しない本発明の冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物Aを得た。
得られた冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物Aにおいて、油相中のSMSで表されるトリグリセリド(1,3位がS、2位がMであるトリグリセリド。但し、S=炭素数16〜24の飽和脂肪酸、M=炭素数16〜24のモノ不飽和脂肪酸)(以後SMSという)の含有量(油相基準)は15.0%、構成脂肪酸組成におけるラウリン酸の含有量は5.3%、トランス酸の含有量は1.2%、該SMSの含有量を1としたときの該ラウリン酸の含有量(油相基準)は0.35であった。
また得られた冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物Aの油相を60℃で融解した後、0℃で30分、25℃で30分保持後のSFC(25℃における基準SFC)は10%であるのに対し、60℃で融解した後、25℃で100分保持後のSFCは7.4%であり、25℃における基準SFCの74%であった。
〔実施例2〕
ヨウ素価51のパーム油43%、豚脂55%、及びハイエルシンナタネ極度硬化油2%からなる油相を、溶解、混合及び急冷可塑化して、トランス酸の含有量が1%未満であり、乳化剤を含有しない本発明の冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物Bを得た。
得られた冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物Bにおいて、SMSの含有量(油相基準)は13%、MSMで表されるトリグリセリド(1,3位がM、2位がSであるトリグリセリド。但し、S=炭素数16〜24の飽和脂肪酸、M=炭素数16〜24のモノ不飽和脂肪酸)(以後MSMという)の含有量は13%であり、構成脂肪酸組成におけるトランス酸の含有量は1.5%であった。
また得られた冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物Bの油相を60℃で融解した後、0℃で30分、25℃で30分保持後のSFC(25℃における基準SFC)は14.5%であるのに対し、60℃で融解した後、25℃で100分保持後のSFCは9.5%であり、25℃における基準SFCの66%であった。
ヨウ素価51のパーム油43%、豚脂55%、及びハイエルシンナタネ極度硬化油2%からなる油相を、溶解、混合及び急冷可塑化して、トランス酸の含有量が1%未満であり、乳化剤を含有しない本発明の冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物Bを得た。
得られた冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物Bにおいて、SMSの含有量(油相基準)は13%、MSMで表されるトリグリセリド(1,3位がM、2位がSであるトリグリセリド。但し、S=炭素数16〜24の飽和脂肪酸、M=炭素数16〜24のモノ不飽和脂肪酸)(以後MSMという)の含有量は13%であり、構成脂肪酸組成におけるトランス酸の含有量は1.5%であった。
また得られた冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物Bの油相を60℃で融解した後、0℃で30分、25℃で30分保持後のSFC(25℃における基準SFC)は14.5%であるのに対し、60℃で融解した後、25℃で100分保持後のSFCは9.5%であり、25℃における基準SFCの66%であった。
〔実施例3〕
ヨウ素価51のパーム油35%、ヨウ素価35のパーム中融点部20%、エステル交換油脂A18%、エステル交換油脂B25%、及び大豆極度硬化油2%からなる油相を、溶解、混合、急冷可塑化して、トランス脂肪酸含量は1%未満である、乳化剤を含有しない本発明の冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物Cを得た。
得られた冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物Cにおいて、SMSの含有量(油相基準)は24%、MSMで表されるトリグリセリドの含有量は2.9%であり、構成脂肪酸組成におけるトランス酸の含有量は0.8%であった。
得られた冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物Cの油相を60℃で融解した後、0℃で30分、25℃で30分保持後のSFC(25℃における基準SFC)は27.8%であるのに対し、60℃で融解した後、25℃で100分保持後のSFCは19.5%であり、25℃における基準SFCの70%であった。
ヨウ素価51のパーム油35%、ヨウ素価35のパーム中融点部20%、エステル交換油脂A18%、エステル交換油脂B25%、及び大豆極度硬化油2%からなる油相を、溶解、混合、急冷可塑化して、トランス脂肪酸含量は1%未満である、乳化剤を含有しない本発明の冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物Cを得た。
得られた冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物Cにおいて、SMSの含有量(油相基準)は24%、MSMで表されるトリグリセリドの含有量は2.9%であり、構成脂肪酸組成におけるトランス酸の含有量は0.8%であった。
得られた冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物Cの油相を60℃で融解した後、0℃で30分、25℃で30分保持後のSFC(25℃における基準SFC)は27.8%であるのに対し、60℃で融解した後、25℃で100分保持後のSFCは19.5%であり、25℃における基準SFCの70%であった。
〔比較例1〕
パームステアリン15質量%、及びエステル交換油脂A85質量%からなる油相を、溶解、混合、急冷可塑化して、トランス脂肪酸含量は1%未満である、乳化剤を含有しない比較例の冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物Dを得た。
得られた冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物Dの油相を60℃で融解した後、0℃で30分、25℃で30分保持後のSFC(25℃における基準SFC)は41.5%であるのに対し、60℃で融解した後、25℃で100分保持後のSFCは35.7%であり、25℃における基準SFCの86%であった。
パームステアリン15質量%、及びエステル交換油脂A85質量%からなる油相を、溶解、混合、急冷可塑化して、トランス脂肪酸含量は1%未満である、乳化剤を含有しない比較例の冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物Dを得た。
得られた冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物Dの油相を60℃で融解した後、0℃で30分、25℃で30分保持後のSFC(25℃における基準SFC)は41.5%であるのに対し、60℃で融解した後、25℃で100分保持後のSFCは35.7%であり、25℃における基準SFCの86%であった。
〔比較例2〕
パームステアリン15質量%、及びエステル交換油脂B85質量%からなる油相を、溶解、混合、急冷可塑化して、トランス脂肪酸含量は1%未満である、乳化剤を含有しない比較例の冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物Eを得た。
得られた冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物Eの油相を60℃で融解した後、0℃で30分、25℃で30分保持後のSFC(25℃における基準SFC)は17.4%であるのに対し、60℃で融解した後、25℃で100分保持後のSFCは14.8%であり、25℃における基準SFCの85%であった。
パームステアリン15質量%、及びエステル交換油脂B85質量%からなる油相を、溶解、混合、急冷可塑化して、トランス脂肪酸含量は1%未満である、乳化剤を含有しない比較例の冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物Eを得た。
得られた冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物Eの油相を60℃で融解した後、0℃で30分、25℃で30分保持後のSFC(25℃における基準SFC)は17.4%であるのに対し、60℃で融解した後、25℃で100分保持後のSFCは14.8%であり、25℃における基準SFCの85%であった。
<起泡剤の製造>
〔製造例3〕
α結晶ゲル構造となる乳化剤であるグリセリンモノステアレート12質量%、テトラグリセリンモノステアレート4質量%、ヘキサグリセリントリステアレート4質量%を混合し、65℃に調温し、油相とした。一方、水44質量%、エチルアルコール10質量%、70%ソルビトール水溶液20質量%、デカグリセリンモノオレート6質量%を混合し、65℃に調温し、水相とした。そして上記の65℃に調温した油相と65℃に調温した水相を、65℃に保持しつつ混合、均質化後、室温に冷却し、起泡剤Aを製造した。
〔製造例3〕
α結晶ゲル構造となる乳化剤であるグリセリンモノステアレート12質量%、テトラグリセリンモノステアレート4質量%、ヘキサグリセリントリステアレート4質量%を混合し、65℃に調温し、油相とした。一方、水44質量%、エチルアルコール10質量%、70%ソルビトール水溶液20質量%、デカグリセリンモノオレート6質量%を混合し、65℃に調温し、水相とした。そして上記の65℃に調温した油相と65℃に調温した水相を、65℃に保持しつつ混合、均質化後、室温に冷却し、起泡剤Aを製造した。
<起泡性乳化油脂の製造>
〔製造例4〕
ナタネ油20質量%に、α結晶ゲル構造となる乳化剤であるグリセリンモノステアレート4質量%、テトラグリセリンモノステアレート3質量%、ヘキサグリセリンモノステアレート1質量%、ヘキサグリセリンセスキステアレート1質量%を添加、混合し、65℃に調温し、油相とした。一方、水21.5質量%、70%ソルビトール水溶液46質量%、デカグリセリンモノステアレート3.5質量%を混合し、65℃に調温し、水相とした。そして上記の65℃に調温した油相と65℃に調温した水相を、65℃に保持しつつ混合、均質化後、室温に冷却し、起泡性乳化油脂Aを製造した。
〔製造例4〕
ナタネ油20質量%に、α結晶ゲル構造となる乳化剤であるグリセリンモノステアレート4質量%、テトラグリセリンモノステアレート3質量%、ヘキサグリセリンモノステアレート1質量%、ヘキサグリセリンセスキステアレート1質量%を添加、混合し、65℃に調温し、油相とした。一方、水21.5質量%、70%ソルビトール水溶液46質量%、デカグリセリンモノステアレート3.5質量%を混合し、65℃に調温し、水相とした。そして上記の65℃に調温した油相と65℃に調温した水相を、65℃に保持しつつ混合、均質化後、室温に冷却し、起泡性乳化油脂Aを製造した。
<冷凍喫食用ベーカリー製品の製造>
〔実施例4〕
強力粉80質量部、薄力粉20質量部、生イースト4質量部、イーストフード0.1質量部、上白糖20質量部、食塩1.5質量部、脱脂粉乳4質量部、全卵(正味)10質量部、冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物A10質量部及び水45質量部をミキサーボウルに投入し、フックを使用し、低速で3分、中速で4分ミキシングした。
ここで、フロアタイムを20分とった後、2℃の冷蔵庫で2時間リタードした後、リバースシーターを用いて圧延し、あらかじめ厚さ10mmのシート状に成形しておいた冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物50質量部を積置し、包み込み、3つ折り2回後、2℃で1時間リタード、更に3つ折り1回行ない、デニッシュ生地を得た。5℃の冷蔵庫で1時間リタード後、リバースシーターを用いて5mm厚まで圧延し、110×110mmにカットし、ダブルターンオーバー成形して天板に並べ、34℃、相対湿度75%で60分ホイロをとった後、190℃に設定した固定窯に入れ、18分焼成し、本発明の冷凍喫食用ベーカリー製品Aを得た。
得られた冷凍喫食用ベーカリー製品Aの粗熱を取った後、−40℃で1時間冷凍させ、その後−20℃の冷凍庫で1週間保管したのち、これを冷凍のまま食べたところ、歯切れ、しとり感ともに良好であった。
〔実施例4〕
強力粉80質量部、薄力粉20質量部、生イースト4質量部、イーストフード0.1質量部、上白糖20質量部、食塩1.5質量部、脱脂粉乳4質量部、全卵(正味)10質量部、冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物A10質量部及び水45質量部をミキサーボウルに投入し、フックを使用し、低速で3分、中速で4分ミキシングした。
ここで、フロアタイムを20分とった後、2℃の冷蔵庫で2時間リタードした後、リバースシーターを用いて圧延し、あらかじめ厚さ10mmのシート状に成形しておいた冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物50質量部を積置し、包み込み、3つ折り2回後、2℃で1時間リタード、更に3つ折り1回行ない、デニッシュ生地を得た。5℃の冷蔵庫で1時間リタード後、リバースシーターを用いて5mm厚まで圧延し、110×110mmにカットし、ダブルターンオーバー成形して天板に並べ、34℃、相対湿度75%で60分ホイロをとった後、190℃に設定した固定窯に入れ、18分焼成し、本発明の冷凍喫食用ベーカリー製品Aを得た。
得られた冷凍喫食用ベーカリー製品Aの粗熱を取った後、−40℃で1時間冷凍させ、その後−20℃の冷凍庫で1週間保管したのち、これを冷凍のまま食べたところ、歯切れ、しとり感ともに良好であった。
〔実施例5〕
実施例1で使用した冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物Aを冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物Bに変更した以外は実施例1と同様の配合・製法で、本発明の冷凍喫食用ベーカリー製品Bを得た。
得られた冷凍喫食用ベーカリー製品Bの粗熱を取った後、−40℃で1時間冷凍させ、その後−20℃の冷凍庫で1週間保管したのち、これを冷凍のまま食べたところ、歯切れ、しとり感ともに良好であった。
実施例1で使用した冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物Aを冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物Bに変更した以外は実施例1と同様の配合・製法で、本発明の冷凍喫食用ベーカリー製品Bを得た。
得られた冷凍喫食用ベーカリー製品Bの粗熱を取った後、−40℃で1時間冷凍させ、その後−20℃の冷凍庫で1週間保管したのち、これを冷凍のまま食べたところ、歯切れ、しとり感ともに良好であった。
〔実施例6〕
実施例1で使用した冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物Aを冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物Cに変更した以外は実施例1と同様の配合・製法で、本発明の冷凍喫食用ベーカリー製品Cを得た。
得られた冷凍喫食用ベーカリー製品Cの粗熱を取った後、−40℃で1時間冷凍させ、その後−20℃の冷凍庫で1週間保管したのち、これを冷凍のまま食べたところ、歯切れ、しとり感ともに良好であった。
実施例1で使用した冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物Aを冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物Cに変更した以外は実施例1と同様の配合・製法で、本発明の冷凍喫食用ベーカリー製品Cを得た。
得られた冷凍喫食用ベーカリー製品Cの粗熱を取った後、−40℃で1時間冷凍させ、その後−20℃の冷凍庫で1週間保管したのち、これを冷凍のまま食べたところ、歯切れ、しとり感ともに良好であった。
〔実施例7〕
ミキシング時に上記起泡剤A5質量部を配合した以外は実施例1と同様の配合・製法で、本発明の冷凍喫食用ベーカリー製品Dを得た。
得られた冷凍喫食用ベーカリー製品Dの粗熱を取った後、−40℃で1時間冷凍させ、その後−20℃の冷凍庫で1週間保管したのち、これを冷凍のまま食べたところ、歯切れ、しとり感ともに良好であり、とくに歯切れは上記冷凍喫食用ベーカリー製品A〜Cよりも優れていた。
ミキシング時に上記起泡剤A5質量部を配合した以外は実施例1と同様の配合・製法で、本発明の冷凍喫食用ベーカリー製品Dを得た。
得られた冷凍喫食用ベーカリー製品Dの粗熱を取った後、−40℃で1時間冷凍させ、その後−20℃の冷凍庫で1週間保管したのち、これを冷凍のまま食べたところ、歯切れ、しとり感ともに良好であり、とくに歯切れは上記冷凍喫食用ベーカリー製品A〜Cよりも優れていた。
〔実施例8〕
ミキシング時に上記起泡性乳化油脂A12質量部を配合した以外は実施例1と同様の配合・製法で、本発明の冷凍喫食用ベーカリー製品Eを得た。
得られた冷凍喫食用ベーカリー製品Eの粗熱を取った後、−40℃で1時間冷凍させ、その後−20℃の冷凍庫で1週間保管したのち、これを冷凍のまま食べたところ、歯切れ、しとり感ともに良好であり、とくに歯切れは上記冷凍喫食用ベーカリー製品A〜Cよりも優れていた。
ミキシング時に上記起泡性乳化油脂A12質量部を配合した以外は実施例1と同様の配合・製法で、本発明の冷凍喫食用ベーカリー製品Eを得た。
得られた冷凍喫食用ベーカリー製品Eの粗熱を取った後、−40℃で1時間冷凍させ、その後−20℃の冷凍庫で1週間保管したのち、これを冷凍のまま食べたところ、歯切れ、しとり感ともに良好であり、とくに歯切れは上記冷凍喫食用ベーカリー製品A〜Cよりも優れていた。
〔比較例3〕
実施例1で使用した冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物Aを冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物Dに変更した以外は実施例1と同様の配合・製法で、比較例の冷凍喫食用ベーカリー製品Fを得た。
得られた冷凍喫食用ベーカリー製品Fの粗熱を取った後、−40℃で1時間冷凍させ、その後−20℃の冷凍庫で1週間保管したのち、これを冷凍のまま食べたところ、歯切れが悪く、ぱさついた食感で、しとり感の乏しいものであった。
実施例1で使用した冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物Aを冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物Dに変更した以外は実施例1と同様の配合・製法で、比較例の冷凍喫食用ベーカリー製品Fを得た。
得られた冷凍喫食用ベーカリー製品Fの粗熱を取った後、−40℃で1時間冷凍させ、その後−20℃の冷凍庫で1週間保管したのち、これを冷凍のまま食べたところ、歯切れが悪く、ぱさついた食感で、しとり感の乏しいものであった。
〔比較例4〕
実施例1で使用した冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物Aを冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物Eに変更した以外は実施例1と同様の配合・製法で、比較例の冷凍喫食用ベーカリー製品Gを得た。
得られた冷凍喫食用ベーカリー製品Gの粗熱を取った後、−40℃で1時間冷凍させ、その後−20℃の冷凍庫で1週間保管したのち、これを冷凍のまま食べたところ、歯切れが悪く、ぱさついた食感で、しとり感の乏しいものであった。
実施例1で使用した冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物Aを冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物Eに変更した以外は実施例1と同様の配合・製法で、比較例の冷凍喫食用ベーカリー製品Gを得た。
得られた冷凍喫食用ベーカリー製品Gの粗熱を取った後、−40℃で1時間冷凍させ、その後−20℃の冷凍庫で1週間保管したのち、これを冷凍のまま食べたところ、歯切れが悪く、ぱさついた食感で、しとり感の乏しいものであった。
Claims (3)
- 60℃で融解した後、25℃で100分保持後のSFC(固体脂含量)が、25℃における基準SFCの80%以下である油相を含有することを特徴とする冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物。
- 請求項1に記載の冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物を用いた冷凍喫食用ベーカリー製品。
- 60℃で融解した後、25℃で100分保持後のSFC(固体脂含量)が、25℃における基準SFCの80%以下である油相を含有する油脂組成物を用いることを特徴とする冷凍喫食用ベーカリー製品の改良方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2017082166A JP2018174851A (ja) | 2017-04-18 | 2017-04-18 | 冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物及び冷凍喫食用ベーカリー製品 |
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JP2018174851A true JP2018174851A (ja) | 2018-11-15 |
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JP2017082166A Pending JP2018174851A (ja) | 2017-04-18 | 2017-04-18 | 冷凍喫食ベーカリー製品用油脂組成物及び冷凍喫食用ベーカリー製品 |
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- 2017-04-18 JP JP2017082166A patent/JP2018174851A/ja active Pending
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