JP2018172859A - 箱形断面柱および柱梁接合構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】大入熱溶接を必要とせず、水平方向の内ダイアフラムを設けることなく梁からの応力伝達が可能で、さらに組立施工を容易にしてコストを低減させることができる箱形断面柱およびこの箱形断面柱を使用した柱梁接合構造を提供する。【解決手段】箱形断面柱1は、内部に配置された断面T字形の鉛直スチフナ3を有し、この鉛直スチフナ3は、対向する柱スキンプレート2a,2aに直角に溶接接合された第1鉛直スチフナ4と、第1鉛直スチフナ4および柱スキンプレート2bに直角に溶接接合された第2鉛直スチフナ5とを備えている。そして、箱形断面柱1に、H形鋼梁11,12を接合する場合に、鉛直スチフナ3が溶接接合されている柱スキンプレート2a,2bに、H形鋼梁11,12がそのウエブを鉛直スチフナ3の延長上に配置した状態で、かつ、鉛直スチフナ3の上下端部間において接合されている。【選択図】図1
Description
本発明は、箱形断面柱および柱梁接合構造に関する。
超高層建物等で用いられる溶接組立箱形断面柱(以下、箱形断面柱という。)の柱梁接合部、例えば箱形断面柱とH形鋼梁との接合部は、H形鋼梁の上下の梁フランジの高さレベルにおいて、箱形断面柱の内面側水平方向に上下一対の内ダイアフラムを設けたり、外面側水平方向に上下一対の外ダイアフラムを設け、これら上下一対のダイアフラムに上下の梁フランジを溶接やボルト止めによって接合している。
このようなダイアフラムを使用した柱梁接合構造として特許文献1および2に記載のものが知られている。
このようなダイアフラムを使用した柱梁接合構造として特許文献1および2に記載のものが知られている。
特許文献1に記載の柱梁接合構造では、梁接合部鋼管内面において、最高高さ梁フランジおよび最低高さ梁フランジのレベルにそれぞれ鋼製の上ダイアフラムおよび下ダイアフラを固着し、かつ、上ダイアフラムと下ダイアフラムとの間に、上記区間に接合する中間高さ梁フランジの幅内で管軸に平行に鋼製の縦リブを固着して構成した鋼管柱を使用している。そして、鋼管柱の外周部において、上ダイアフラムがある部位に最高高さ梁フランジを接合し、下ダイアフラムがある部位に最低高さ梁フランジを接合し、縦リブがある部位に中間高さ梁フランジを接合している。
特許文献2に記載の柱梁接合構造では、梁フランジにレベル差がある梁接合部鋼管を構成する一対の溝形断面鋼材の各凹部において、最高高さ梁フランジおよび最低高さ梁フランジのレベルにそれぞれ鋼製の上ダイアフラムおよび下ダイアフラムの3辺を固着し、かつ、上ダイアフラムと下ダイアフラムとの間のフランジ両縁端部とウエブ幅中央部とに一対の鋼板製の縦ダイアフラムの両縦辺をそれぞれ固着して構成した鋼管柱を使用している。そして、鋼管柱の外周部において、上ダイアフラムがある部位に最高高さ梁フランジを接合し、下ダイアフラムがある部位に最低高さ梁フランジを接合し、縦ダイアフラムがある部位に中間高さ梁フランジを接合している。
ところで、柱梁接合部では以下のような課題を有している。
すなわち、例えば水平面内において、柱に接合される左右またはこれと直交する方向の梁で、梁成や梁フランジの高さ位置が異なる場合(梁段差が生じる場合)は、それらの梁フランジの高さ位置に応じて、内ダイアフラム等の水平補剛材を設ける必要があり(左右および直交する方向の梁で梁成・梁フランジ位置が等しい場合は2枚、各々異なる場合は最大6枚必要)、柱梁接合部の溶接施工が非常に煩雑となり、溶接組立コストが上昇する。
特許文献1および2に記載の梁接合構造では、管内面に設けた縦リブや縦ダイアフラムがある部位に中間高さ梁フランジを接合しているが、縦リブや縦ダイアフラムは一端部が管内面に接合されているが、他端部が自由端となっているため梁フランジおよびウエブの応力はせん断力のみで伝達することになり、応力伝達が不十分となることがある。
すなわち、例えば水平面内において、柱に接合される左右またはこれと直交する方向の梁で、梁成や梁フランジの高さ位置が異なる場合(梁段差が生じる場合)は、それらの梁フランジの高さ位置に応じて、内ダイアフラム等の水平補剛材を設ける必要があり(左右および直交する方向の梁で梁成・梁フランジ位置が等しい場合は2枚、各々異なる場合は最大6枚必要)、柱梁接合部の溶接施工が非常に煩雑となり、溶接組立コストが上昇する。
特許文献1および2に記載の梁接合構造では、管内面に設けた縦リブや縦ダイアフラムがある部位に中間高さ梁フランジを接合しているが、縦リブや縦ダイアフラムは一端部が管内面に接合されているが、他端部が自由端となっているため梁フランジおよびウエブの応力はせん断力のみで伝達することになり、応力伝達が不十分となることがある。
また、箱形断面柱の内部にコンクリートを充填し、CFT構造とした場合において、上述したとおり、柱内部に設置される水平方向の内ダイアフラム等の水平補剛材が多数存在することにより、柱内部のコンクリートの充填性を大きく損なうため、箱形断面柱とコンクリートが一体で挙動せず、著しい構造性能の低下を招く可能性がある。
さらに、箱形断面柱とH形鋼梁との接合構造では、梁フランジの高さ位置に、柱内部に内ダイアフラム等の水平補剛材を挿入し、柱スキンプレートと内ダイアフラムとの接合部に、高効率の溶接方法である大入熱のエレクトロスラグ溶接(ESW)を行うことが一般的である。このような接合構造において、特に柱スキンプレートに引張強さが780N/mm2以上の高強度鋼を適用した場合、その入熱量の大きさ故に、柱スキンプレート鋼材の組織が粗粒化し、溶接熱影響部(HAZ)の著しい靱性低下や硬化や軟化等の強度特性変化が発生し、鋼材の脆性破壊の起点となる可能性が高くなる。
このような事態を避けるために、柱梁接合部パネルを上下に一旦分割し、内ダイアフラム等の水平補剛材と柱スキンプレートを、ガスシールドアーク溶接等の比較的入熱量の小さい方法で溶接接合した後に、上下に分割された柱梁接合部パネルを再度溶接接合する等の手間が必要となり、結果的に溶接組立コストが上昇する。
このような事態を避けるために、柱梁接合部パネルを上下に一旦分割し、内ダイアフラム等の水平補剛材と柱スキンプレートを、ガスシールドアーク溶接等の比較的入熱量の小さい方法で溶接接合した後に、上下に分割された柱梁接合部パネルを再度溶接接合する等の手間が必要となり、結果的に溶接組立コストが上昇する。
また、前記柱スキンプレートに引張強さが780N/mm2以上の高強度鋼を適用し、角溶接部を柱スキンプレートと同等の強度とする場合に、角溶接部のシーム溶接等の溶接部の品質確保、例えば溶接割れの回避、ならびに必要強度および靱性確保のためには、予後熱、入熱量、パス間温度等の溶接施工条件は、低強度溶接材料のそれよりも厳しくなり、管理が煩雑となるとともに、溶接金属の割れおよび強度確保の観点から、高効率なサブマージアーク溶接等の大入熱溶接の適用は難しく、溶接組立コストが上昇する。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、溶接部およびその近傍の性能低下および脆性破断の原因となる大入熱溶接を必要とせず、しかもコンクリート充填の妨げとなる水平方向の内ダイアフラムを設けることなく梁からの応力伝達を十分に行え、さらに溶接組立を容易にしてコストを低減させることができる箱形断面柱およびこの箱形断面柱を使用した柱梁接合構造を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の箱形断面柱は、4枚の柱スキンプレートを有する四角筒状の箱形断面柱であって、
内部に断面T字形でかつ前記箱形断面柱の軸方向に延びる鉛直スチフナが配置され、
前記鉛直スチフナが、対向する前記柱スキンプレートに直角に溶接接合された第1鉛直スチフナと、この第1鉛直スチフナおよび当該第1鉛直スチフナと平行な前記柱スキンプレートに直角に溶接接合された第2鉛直スチフナとを備えていることを特徴とする。
内部に断面T字形でかつ前記箱形断面柱の軸方向に延びる鉛直スチフナが配置され、
前記鉛直スチフナが、対向する前記柱スキンプレートに直角に溶接接合された第1鉛直スチフナと、この第1鉛直スチフナおよび当該第1鉛直スチフナと平行な前記柱スキンプレートに直角に溶接接合された第2鉛直スチフナとを備えていることを特徴とする。
また、本発明の柱梁接合構造は、前記箱形断面柱に、H形鋼梁を接合してなる柱梁接合構造であって、
前記鉛直スチフナが溶接接合されている少なくとも1つの前記柱スキンプレートに、前記H形鋼梁がそのウエブを前記柱スキンプレートと直交する方向において、前記鉛直スチフナの延長上に配置した状態で、かつ、前記鉛直スチフナの上下端部間において接合されていることを特徴とする。
前記鉛直スチフナが溶接接合されている少なくとも1つの前記柱スキンプレートに、前記H形鋼梁がそのウエブを前記柱スキンプレートと直交する方向において、前記鉛直スチフナの延長上に配置した状態で、かつ、前記鉛直スチフナの上下端部間において接合されていることを特徴とする。
本発明においては、第1鉛直スチフナの両側縁部は対向する柱スキンプレートに溶接接合され、第2鉛直スチフナの一方の側縁部は第1鉛直スチフナと平行な柱スキンプレートに溶接接合され、他方の側縁部は第1鉛直スチフナに溶接接合さている。
したがって、第1鉛直スチフナおよび第2鉛直スチフナのそれぞれの両側縁部は自由端となっておらず、柱スキンプレートおよび第1鉛直スチフナによって拘束されているので、
第1鉛直スチフナが溶接接合された柱スキンプレートに接合されたH形鋼梁の梁フランジおよびウエブの応力は第1鉛直スチフナおよび第2鉛直スチフナを介して箱形断面柱に十分に伝達することが可能となり、第2鉛直スチフナが溶接接合された柱スキンプレートに接合されたH形鋼梁の梁フランジおよびウエブの応力は第2鉛直スチフナおよび第1鉛直スチフナを介して箱形断面柱に十分に伝達することが可能となる。
したがって、第1鉛直スチフナおよび第2鉛直スチフナのそれぞれの両側縁部は自由端となっておらず、柱スキンプレートおよび第1鉛直スチフナによって拘束されているので、
第1鉛直スチフナが溶接接合された柱スキンプレートに接合されたH形鋼梁の梁フランジおよびウエブの応力は第1鉛直スチフナおよび第2鉛直スチフナを介して箱形断面柱に十分に伝達することが可能となり、第2鉛直スチフナが溶接接合された柱スキンプレートに接合されたH形鋼梁の梁フランジおよびウエブの応力は第2鉛直スチフナおよび第1鉛直スチフナを介して箱形断面柱に十分に伝達することが可能となる。
このように、箱形断面柱の柱スキンプレートに接合されるH形鋼梁の応力は、全て第1鉛直スチフナおよび第2鉛直スチフナを介して箱形断面柱に伝達されるため、箱形断面柱に接合される梁の梁成や梁フランジの高さ位置が異なる場合 、すなわち梁段差が生じる場合に対しても、柱梁接合構造において構造性能を損なわず、十分に応力伝達をすることができる。
特に、引張強さが780N/mm2以上の高強度鋼を柱スキンプレートに適用した場合、本発明では梁フランジからの応力伝達に必要な溶接箇所数の削減により、溶接組立施工効率の向上を可能とするとともに、従来のような大入熱を伴う柱スキンプレートとダイアフラム等の水平補剛材の溶接が必要ないので、溶接部およびその近傍の靱性低下や軟化・硬化による品質低下も防ぐことができる。
特に、引張強さが780N/mm2以上の高強度鋼を柱スキンプレートに適用した場合、本発明では梁フランジからの応力伝達に必要な溶接箇所数の削減により、溶接組立施工効率の向上を可能とするとともに、従来のような大入熱を伴う柱スキンプレートとダイアフラム等の水平補剛材の溶接が必要ないので、溶接部およびその近傍の靱性低下や軟化・硬化による品質低下も防ぐことができる。
また、H形鋼梁の梁フランジからの応力を鉛直スチフナにより箱形断面柱に伝達することにより、箱形断面柱の角溶接部に生じる応力を低減することができるので、柱スキンプレートの引張強度クラスに対して、角溶接部の溶接材料の引張強度クラスを低くすることができる。すなわち、溶接条件の厳しい高強度の溶接材料を使用する必要がなくなり、材料コストおよび溶接組立コストの低減が可能となる。
本発明の前記構成において、前記第1鉛直スチフナと前記柱スキンプレートとの溶接接合、前記第2鉛直スチフナと前記柱スキンプレートとの溶接接合および前記第1鉛直スチフナと前記第2鉛直スチフナとの溶接接合は、エレクトロスラグ溶接より入熱量が低い溶接によって行われていることが好ましい。
このような構成によれば、エレクトロスラグ溶接による大入熱を伴う溶接を行う必要がないので、溶接部およびその近傍の靱性低下や軟化・硬化による品質低下も防ぐことができる。
また、本発明の前記構成において、箱形断面柱の内部にコンクリートが充填されていてもよい。
このような構成によれば、箱形断面柱の内部にコンクリートの充填性を損なう内ダイアフラム等の水平補剛材がないため、コンクリートの充填性を向上させることができ、柱梁接合構造の構造性能の低下を防止することができる。
本発明によれば、溶接部の性能低下および脆性破断の原因となる大入熱溶接を必要とせず、鉛直スチフナによってH形鋼梁からの十分な応力伝達が可能であり、さらに溶接組立を容易にしてコストを低減させることができる。
以下、図面を参照して本発明に係る箱形断面柱および柱梁接合構造の実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態の箱形断面柱1の平断面図である。
この箱形断面柱1は、四角筒状の柱であり、4枚の柱スキンプレート2を四角筒状に溶接接合することによって構成されている。また、箱形断面柱1は、建物の外周部に配置される側柱または隅柱に使用され、水平面内において、2方向または3方向からH形鋼梁が接合されるようになっている。
4枚の柱スキンプレート2は、それぞれ鋼製であり、縦長の矩形板状に形成され、それらの側縁部どうしが溶接接合されている。
図1は、本実施の形態の箱形断面柱1の平断面図である。
この箱形断面柱1は、四角筒状の柱であり、4枚の柱スキンプレート2を四角筒状に溶接接合することによって構成されている。また、箱形断面柱1は、建物の外周部に配置される側柱または隅柱に使用され、水平面内において、2方向または3方向からH形鋼梁が接合されるようになっている。
4枚の柱スキンプレート2は、それぞれ鋼製であり、縦長の矩形板状に形成され、それらの側縁部どうしが溶接接合されている。
箱形断面柱1の内部には、断面T字形でかつ箱形断面柱1の軸方向(図1において紙面と直交する方向(鉛直方向))に延びる鉛直スチフナ3が配置されている。
建築物の柱構造では複数層分を一節として製作されるので、柱スキンプレート2の内面に各層分の柱梁接合部に対して、鉛直スチフナ3が溶接接合されている。鉛直スチフナ3は、箱形断面柱1への応力伝達を確実とするために、柱梁接合部に接合されるH形鋼梁の梁フランジの一番高い位置と低い位置の範囲から上下にそれぞれ階高の0.1倍以上の長さを有していることが好ましく、さらに、鉛直スチフナ3は、柱梁接合部に接合されるH形鋼梁の上下の梁フランジの位置からそれぞれ上方および下方に箱形断面柱1の半分の幅に相当する長さ以上延出していることが好ましい。
建築物の柱構造では複数層分を一節として製作されるので、柱スキンプレート2の内面に各層分の柱梁接合部に対して、鉛直スチフナ3が溶接接合されている。鉛直スチフナ3は、箱形断面柱1への応力伝達を確実とするために、柱梁接合部に接合されるH形鋼梁の梁フランジの一番高い位置と低い位置の範囲から上下にそれぞれ階高の0.1倍以上の長さを有していることが好ましく、さらに、鉛直スチフナ3は、柱梁接合部に接合されるH形鋼梁の上下の梁フランジの位置からそれぞれ上方および下方に箱形断面柱1の半分の幅に相当する長さ以上延出していることが好ましい。
このような鉛直スチフナ3は、第1鉛直スチフナ4と第2鉛直スチフナ5とから構成されている。
具体的に、この鉛直スチフナ3は、4枚の柱スキンプレート2のうち、相対する方向に位置する一対の柱スキンプレート2a,2aにおける箱型断面柱1の内面側に接合された、鉛直方向に延びる平板状の第1鉛直スチフナ4を備えている。さらに、一対の柱スキンプレート2a,2aと隣接し、且つ相互に相対する方向に位置する他の柱スキンプレート2b,2bのうちの一方の柱スキンプレート2b(本実施の形態の場合、図1において右側に位置する柱スキンプレート2)における箱型断面柱1の内面側と、第1鉛直スチフナ4とに接合された、平板状の第2鉛直スチフナ5を備えている。そして、第2鉛直スチフナ5は、幅方向(水平方向)の一端側が、第1鉛直スチフナ4の板面に略直角となるように接合されている。
第1鉛直スチフナ4は、鋼製であり、縦長の矩形板状に形成されている。また、第1鉛直スチフナ4の軸方向(箱形断面柱1の軸方向、図1において紙面と直交する方向)の長さは柱スキンプレート2の軸方向の長さより短くなっている。
第1鉛直スチフナ4の幅方向の長さ(図1において上下方向の長さ)は、対向する柱スキンプレート2a(2),2a(2)の内面間の距離とほぼ等しくなっている。そして、第1鉛直スチフナ4は、対向する柱スキンプレート2a,2aに直角に配置されたうえで、両側縁部が柱スキンプレート2a,2aの内面に溶接接合されている。また、第1鉛直スチフナ4は柱スキンプレート2aの幅方向中央部に溶接接合されている。
具体的に、この鉛直スチフナ3は、4枚の柱スキンプレート2のうち、相対する方向に位置する一対の柱スキンプレート2a,2aにおける箱型断面柱1の内面側に接合された、鉛直方向に延びる平板状の第1鉛直スチフナ4を備えている。さらに、一対の柱スキンプレート2a,2aと隣接し、且つ相互に相対する方向に位置する他の柱スキンプレート2b,2bのうちの一方の柱スキンプレート2b(本実施の形態の場合、図1において右側に位置する柱スキンプレート2)における箱型断面柱1の内面側と、第1鉛直スチフナ4とに接合された、平板状の第2鉛直スチフナ5を備えている。そして、第2鉛直スチフナ5は、幅方向(水平方向)の一端側が、第1鉛直スチフナ4の板面に略直角となるように接合されている。
第1鉛直スチフナ4は、鋼製であり、縦長の矩形板状に形成されている。また、第1鉛直スチフナ4の軸方向(箱形断面柱1の軸方向、図1において紙面と直交する方向)の長さは柱スキンプレート2の軸方向の長さより短くなっている。
第1鉛直スチフナ4の幅方向の長さ(図1において上下方向の長さ)は、対向する柱スキンプレート2a(2),2a(2)の内面間の距離とほぼ等しくなっている。そして、第1鉛直スチフナ4は、対向する柱スキンプレート2a,2aに直角に配置されたうえで、両側縁部が柱スキンプレート2a,2aの内面に溶接接合されている。また、第1鉛直スチフナ4は柱スキンプレート2aの幅方向中央部に溶接接合されている。
第2鉛直スチフナ5は、鋼製であり、縦長の矩形板状に形成されている。また、第2鉛直スチフナ5の軸方向(箱形断面柱1の軸方向、図1において紙面と直交する方向)の長さは柱スキンプレート2の軸方向の長さより短く、かつ、第1鉛直スチフナ4の軸方向の長さと等しくなっている。さらに、第2鉛直スチフナ5と第1鉛直スチフナ4は上下端の位置が揃えられている。
また、第2鉛直スチフナ5の幅方向の長さ(図1において左右方向の長さ)は、第1鉛直スチフナ4の一方の側面と、当該側面と平行な柱スキンプレート2b(2)の内面との間の距離とほぼ等しくなっている。そして、第2鉛直スチフナ5は、第1鉛直スチフナ4および柱スキンプレート2bに直角に配置されたうえで、両側縁部が第1鉛直スチフナ4の一方の側面と柱スキンプレート2bの内面に溶接接合されている。また、第2鉛直スチフナ5は、第1鉛直スチフナ4の幅方向中央部と、柱スキンプレート2bの幅方向中央部とに溶接接合されている。
また、第2鉛直スチフナ5の幅方向の長さ(図1において左右方向の長さ)は、第1鉛直スチフナ4の一方の側面と、当該側面と平行な柱スキンプレート2b(2)の内面との間の距離とほぼ等しくなっている。そして、第2鉛直スチフナ5は、第1鉛直スチフナ4および柱スキンプレート2bに直角に配置されたうえで、両側縁部が第1鉛直スチフナ4の一方の側面と柱スキンプレート2bの内面に溶接接合されている。また、第2鉛直スチフナ5は、第1鉛直スチフナ4の幅方向中央部と、柱スキンプレート2bの幅方向中央部とに溶接接合されている。
このような構成の箱形断面柱1は以下のようにして組み立てられる。
すなわちまず、図2に示すように、柱スキンプレート2bに第2鉛直スチフナ5の一方の側縁部を溶接接合する。第2鉛直スチフナ5は、上述したように箱形断面柱1への応力伝達を確実とするために、図4に示すように、柱梁接合部に接合されるH形鋼梁11の梁フランジ11b,11bの一番高い位置と低い位置の範囲から上下にそれぞれ階高の0.1倍以上の長さを有していることが好ましく、さらに柱梁接合部に接合されるH形鋼梁11の上下の梁フランジ11b,11bの位置からそれぞれ上方および下方に箱形断面柱1の半分の幅に相当する長さ以上延出していることが好ましい。
次に、図2に示すように、第2鉛直スチフナ5の他方の側縁部に、第1鉛直スチフナ4を、第1鉛直スチフナ4の上下端を第2鉛直スチフナ5の上下端に揃えた状態で溶接接合する。
このような柱スキンプレート2bへの第2鉛直スチフナ5の溶接接合および第2鉛直スチフナ5への第1鉛直スチフナ4の溶接接合は、第2鉛直スチフナ5の両側縁部にそれぞれ開先部を設けたうえで、ガスシールドアーク等の溶接によって溶接接合する。このガスシールドアーク溶接は比較的入熱量が小さく、エレクトロスラグ溶接より入熱量が低い溶接である。
すなわちまず、図2に示すように、柱スキンプレート2bに第2鉛直スチフナ5の一方の側縁部を溶接接合する。第2鉛直スチフナ5は、上述したように箱形断面柱1への応力伝達を確実とするために、図4に示すように、柱梁接合部に接合されるH形鋼梁11の梁フランジ11b,11bの一番高い位置と低い位置の範囲から上下にそれぞれ階高の0.1倍以上の長さを有していることが好ましく、さらに柱梁接合部に接合されるH形鋼梁11の上下の梁フランジ11b,11bの位置からそれぞれ上方および下方に箱形断面柱1の半分の幅に相当する長さ以上延出していることが好ましい。
次に、図2に示すように、第2鉛直スチフナ5の他方の側縁部に、第1鉛直スチフナ4を、第1鉛直スチフナ4の上下端を第2鉛直スチフナ5の上下端に揃えた状態で溶接接合する。
このような柱スキンプレート2bへの第2鉛直スチフナ5の溶接接合および第2鉛直スチフナ5への第1鉛直スチフナ4の溶接接合は、第2鉛直スチフナ5の両側縁部にそれぞれ開先部を設けたうえで、ガスシールドアーク等の溶接によって溶接接合する。このガスシールドアーク溶接は比較的入熱量が小さく、エレクトロスラグ溶接より入熱量が低い溶接である。
次に、柱スキンプレート2bおよび第1鉛直スチフナ4の両側縁部に柱スキンプレート2a,2aを溶接接合する。この場合、柱スキンプレート2aの内面に予め裏当て金6,6,7を固定しておく。裏当て金6,6は柱スキンプレート2aの幅方向(図2において左右方向)の両縁部に配置し、裏当て金7は柱スキンプレート2aの幅方向の中央部に配置する。なお、裏当て金6,7は柱スキンプレート2aの軸方向(図2において紙面と直交する方向)に延在し、その上下端は柱スキンプレート2aの上下端と揃えられている。
一方、柱スキンプレート2bの両側縁部にそれぞれ傾斜面10aを形成しておく。この傾斜面10aは柱スキンプレート2bの外面側ほど当該柱スキンプレート2bの幅が狭くなるように形成されている。同様に、柱スキンプレート2a,2cの両側縁部にそれぞれ傾斜面10aを形成しておく。この傾斜面10aは柱スキンプレート2a,2cの外面側ほど当該柱スキンプレート2a,2cの幅が狭くなるように形成されているが、柱スキンプレート2a,2cの外面まで延出されておらず、柱スキンプレート2a,2cの約半分の厚さの位置まで延出されている。
また、第1鉛直スチフナ4の両側縁部にそれぞれ傾斜面10bを形成しておく。この傾斜面10bは第1鉛直スチフナ4の他側面(図2において左側面)側ほど当該第1鉛直スチフナ4の幅が狭くなるように形成されている。
また、第1鉛直スチフナ4の両側縁部にそれぞれ傾斜面10bを形成しておく。この傾斜面10bは第1鉛直スチフナ4の他側面(図2において左側面)側ほど当該第1鉛直スチフナ4の幅が狭くなるように形成されている。
そして、第1鉛直スチフナ4の両側縁部を柱スキンプレート2a,2aの内面の略中央部(左右方向中央部)に当接または近接するとともに、当該第1鉛直スチフナ4の一方の側面の両縁部を裏当て金7,7に当接する。これによって、第1鉛直スチフナ4の両側縁部と柱スキンプレート2a,2aとの間に傾斜面10bによって開先部が形成される。
また、柱スキンプレート2bの両側縁部を柱スキンプレート2a,2aの内面の縁部に当接または近接するとともに、当該柱スキンプレート2bの内面の両縁部を裏当て金6,6に当接する。これによって、柱スキンプレート2bの両側縁部と、柱スキンプレート2a,2aの側縁部との間に傾斜面10a,10aによって開先部が形成される。
そして、傾斜面10bによって形成されている開先部において、ガスシールドアーク溶接等の比較的入熱量の小さい方法で溶接を行って、第1鉛直スチフナ4の両側縁部を柱スキンプレート2a,2aの内面に溶接接合する。
また、柱スキンプレート2bの両側縁部を柱スキンプレート2a,2aの内面の縁部に当接または近接するとともに、当該柱スキンプレート2bの内面の両縁部を裏当て金6,6に当接する。これによって、柱スキンプレート2bの両側縁部と、柱スキンプレート2a,2aの側縁部との間に傾斜面10a,10aによって開先部が形成される。
そして、傾斜面10bによって形成されている開先部において、ガスシールドアーク溶接等の比較的入熱量の小さい方法で溶接を行って、第1鉛直スチフナ4の両側縁部を柱スキンプレート2a,2aの内面に溶接接合する。
次に、柱スキンプレート2cの両側縁部を柱スキンプレート2a,2aの内面の縁部に当接または近接するとともに、当該柱スキンプレート2cの内面の両縁部を裏当て金6,6に当接する。これによって、柱スキンプレート2cの両側縁部と、柱スキンプレート2a,2aの側縁部との間に傾斜面10a,10aによって開先部が形成される。
そして、柱スキンプレート2b,2cを柱スキンプレート2a,2aに仮付けした状態で、箱形断面柱1の仮組みを行い、最後に傾斜面10a,10aによって形成されている開先部において、大入熱サブマージアーク溶接等の高効率な溶接方法で溶接を行って、柱スキンプレート2c,2bの両側縁部を柱スキンプレート2a,2aの側縁部に溶接接合する、つまり箱形断面柱1の角部溶接を行い、一節分の箱形断面柱1を完成させる。
そして、柱スキンプレート2b,2cを柱スキンプレート2a,2aに仮付けした状態で、箱形断面柱1の仮組みを行い、最後に傾斜面10a,10aによって形成されている開先部において、大入熱サブマージアーク溶接等の高効率な溶接方法で溶接を行って、柱スキンプレート2c,2bの両側縁部を柱スキンプレート2a,2aの側縁部に溶接接合する、つまり箱形断面柱1の角部溶接を行い、一節分の箱形断面柱1を完成させる。
このような箱形断面柱1は、例えば建物の外周部に配置される側柱の場合、図3および図4に示すように、水平面内において3方向からH形鋼梁11,12,12が接合される。箱形断面柱1とH形鋼梁11,12,12との接合は、組立工場または建設現場で行われるが、組立工場で行われる場合、箱形断面柱1の柱スキンプレート2にH形鋼梁の端部を構成し、かつH形鋼梁と断面形状が等しいブラケットを溶接接合し、建設現場でこのブラケットにH形鋼梁の本体部を高力ボルトで接合する。
建設現場で箱形断面柱1にH形鋼梁11,12,12を接合する場合、H形鋼梁11のフランジ11bは柱スキンプレート2bに溶接接合され、H形鋼梁11のフランジ12b,12bは柱スキンプレート2a,2aに溶接接合される。
H形鋼梁11はそのウエブ11aを、柱スキンプレート2bと直交する方向において、第2鉛直スチフナ5の延長上に配置した状態で、かつ第2鉛直スチフナ5の上下端部間において柱スキンプレート2bに設けられた鉛直方向のシヤープレートを介して高力ボルト等で接合される。つまり、図3に示すように、H形鋼梁11の幅方向の中心線と第2鉛直スチフナ5の板厚中心線を一致させるとともに、図4に示すように、H形鋼梁11の高さ方向(梁成方向)の中心線と第2鉛直スチフナ5の高さ方向の中心線を略一致させた状態で、H形鋼梁11が第2鉛直スチフナ5の上下端部間において柱スキンプレート2bに接合される。この場合、H形鋼梁11の上側の梁フランジ11bと第2鉛直スチフナ5の上端との間の距離および下側の梁フランジ11bと第2鉛直スチフナ5の下端との間の距離は、それぞれ箱形断面柱1の約半分の幅(柱スキンプレート2の約半分の幅)に相当する長さとなっている。
H形鋼梁11はそのウエブ11aを、柱スキンプレート2bと直交する方向において、第2鉛直スチフナ5の延長上に配置した状態で、かつ第2鉛直スチフナ5の上下端部間において柱スキンプレート2bに設けられた鉛直方向のシヤープレートを介して高力ボルト等で接合される。つまり、図3に示すように、H形鋼梁11の幅方向の中心線と第2鉛直スチフナ5の板厚中心線を一致させるとともに、図4に示すように、H形鋼梁11の高さ方向(梁成方向)の中心線と第2鉛直スチフナ5の高さ方向の中心線を略一致させた状態で、H形鋼梁11が第2鉛直スチフナ5の上下端部間において柱スキンプレート2bに接合される。この場合、H形鋼梁11の上側の梁フランジ11bと第2鉛直スチフナ5の上端との間の距離および下側の梁フランジ11bと第2鉛直スチフナ5の下端との間の距離は、それぞれ箱形断面柱1の約半分の幅(柱スキンプレート2の約半分の幅)に相当する長さとなっている。
また、H形鋼梁12はそのウエブ12aを、柱スキンプレート2aと直交する方向において、第1鉛直スチフナ4の延長上に配置した状態で、かつ第1鉛直スチフナ4の上下端部間において柱スキンプレート2aに設けられた鉛直方向のシヤープレートを介して高力ボルト等で接合される。つまり、図3に示すように、H形鋼梁12の幅方向の中心線と第1鉛直スチフナ4の板厚中心線を一致させるとともに、図4に示すように、H形鋼梁12の高さ方向(梁成方向)の中心線を第1鉛直スチフナ4の高さ方向の中心線より上方に略一致させた状態で、H形鋼梁12が第1鉛直スチフナ4の上下端部間において柱スキンプレート2aに接合される。この場合、H形鋼梁12の上側の梁フランジ12bと第2鉛直スチフナ5の上端との間の距離および下側の梁フランジ12bと第2鉛直スチフナ5の下端との間の距離は、それぞれ箱形断面柱1の約半分の幅(柱スキンプレート2の約半分の幅)に相当する長さとなっている。また、H形鋼梁12の上側の梁フランジ12bはH形鋼梁11の上側の梁フランジ11bと等しい高さとなっているが、H形鋼梁12の下側の梁フランジ12bはH形鋼梁11の下側の梁フランジ11bより高い位置にある。つまり、H形鋼梁12はH形鋼梁11より梁成が小さくなっている。
このようにして、箱形断面柱1にH形鋼梁11,12を接合することによって、H形鋼梁11の梁フランジ11b,11bおよびウエブ11aの応力は第2鉛直スチフナ5および第1スチフナ4を介して箱形断面柱1に伝達することが可能となり、同様にH形鋼梁12の梁フランジ12b,12bおよびウエブ12aの応力は第1鉛直スチフナ4および第2スチフナ5を介して箱形断面柱1に伝達することが可能となる。
なお、第1鉛直スチフナ4と柱スキンプレート2a,2aとの溶接接合部、第2鉛直スチフナ5と柱スキンプレート2bとの溶接接合部、および第1鉛直スチフナ4と第2鉛直スチフナ5との溶接接合部は、H形鋼梁11とH形鋼梁12の応力を伝達するのに各々十分な板厚、溶接寸法、材料強度を有するものとする。
また、図3および図4に示すように、箱形断面柱1の内部にコンクリート20を充填してCFT構造としてもよい。
なお、第1鉛直スチフナ4と柱スキンプレート2a,2aとの溶接接合部、第2鉛直スチフナ5と柱スキンプレート2bとの溶接接合部、および第1鉛直スチフナ4と第2鉛直スチフナ5との溶接接合部は、H形鋼梁11とH形鋼梁12の応力を伝達するのに各々十分な板厚、溶接寸法、材料強度を有するものとする。
また、図3および図4に示すように、箱形断面柱1の内部にコンクリート20を充填してCFT構造としてもよい。
以上のように本実施の形態によれば、第1鉛直スチフナ4の両側縁部は対向する柱スキンプレート2a,2aに溶接接合され、第2鉛直スチフナ5の一方の側縁部は第1鉛直スチフナ4と平行な柱スキンプレート2bに溶接接合され、他方の側縁部は第1鉛直スチフナ4に溶接接合さている。
したがって、第1鉛直スチフナ4および第2鉛直スチフナ5のそれぞれの両側縁部は自由端となっておらず、柱スキンプレート2a,2a,2bおよび第1鉛直スチフナ4によって拘束されている。したがって、第1鉛直スチフナ4が溶接接合された柱スキンプレート2a,2aに接合されたH形鋼梁12,12の梁フランジ12b,12bおよびウエブ12aの応力は第1鉛直スチフナ4および第2鉛直スチフナ5を介して箱形断面柱1に十分に伝達することが可能となり、第2鉛直スチフナ5が溶接接合された柱スキンプレート2bに接合されたH形鋼梁11の梁フランジ11bおよびウエブ11aの応力は第2鉛直スチフナ5および第1鉛直スチフナ4を介して箱形断面柱に十分に伝達することが可能となる。
したがって、第1鉛直スチフナ4および第2鉛直スチフナ5のそれぞれの両側縁部は自由端となっておらず、柱スキンプレート2a,2a,2bおよび第1鉛直スチフナ4によって拘束されている。したがって、第1鉛直スチフナ4が溶接接合された柱スキンプレート2a,2aに接合されたH形鋼梁12,12の梁フランジ12b,12bおよびウエブ12aの応力は第1鉛直スチフナ4および第2鉛直スチフナ5を介して箱形断面柱1に十分に伝達することが可能となり、第2鉛直スチフナ5が溶接接合された柱スキンプレート2bに接合されたH形鋼梁11の梁フランジ11bおよびウエブ11aの応力は第2鉛直スチフナ5および第1鉛直スチフナ4を介して箱形断面柱に十分に伝達することが可能となる。
このように、箱形断面柱1の柱スキンプレート2a,2bに接合されるH形鋼梁12,11の応力は、全て第1鉛直スチフナ4および第2鉛直スチフナ5を介して箱形断面柱1に十分に伝達されるため、箱形断面柱1に接合されるH形鋼梁11,12の梁成や梁フランジ11b,12bの高さ位置が異なる場合 、すなわち梁段差が生じる場合に対しても、柱梁接合構造において構造性能を損なわず、十分に応力伝達をすることができる。
特に、引張強さが780N/mm2以上の高強度鋼を柱スキンプレート2に適用した場合、梁フランジ11b,12bからの応力伝達に必要な溶接箇所数の削減により、溶接組立施工効率の向上を可能とするとともに、大入熱を伴う柱スキンプレートとダイアフラムの溶接を行わないので、溶接部およびその近傍の靱性低下や軟化・硬化による品質低下も防ぐことができる。
特に、引張強さが780N/mm2以上の高強度鋼を柱スキンプレート2に適用した場合、梁フランジ11b,12bからの応力伝達に必要な溶接箇所数の削減により、溶接組立施工効率の向上を可能とするとともに、大入熱を伴う柱スキンプレートとダイアフラムの溶接を行わないので、溶接部およびその近傍の靱性低下や軟化・硬化による品質低下も防ぐことができる。
また、H形鋼梁11,12の梁フランジ11b,12bからの応力を鉛直スチフナ3により箱形断面柱1に伝達することにより、箱形断面柱1の角溶接部に生じる応力を低減することができるので、柱スキンプレート2の引張強度クラスに対して、角溶接部の溶接材料の引張強度クラスを低くすることができる。すなわち、溶接条件の厳しい高強度の溶接材料を使用する必要がなくなり、材料コストおよび溶接組立コストの低減が可能となる。つまり、角溶接部に品質確保のための溶接施工管理がより容易な低強度溶接材料、およびより高効率な溶接施工が可能な大入熱サブマージアーク溶接等が適用できるので、材料コストおよび溶接組立コストを低減することが可能となる。
さらに、第1鉛直スチフナ4と柱スキンプレート2aとの溶接接合、第2鉛直スチフナ5と柱スキンプレート2bとの溶接接合および第1鉛直スチフナ4と第2鉛直スチフナ5との溶接接合は、エレクトロスラグ溶接より入熱量が低いガスシールドアーク溶接等によって行われている。このため、従来と異なり大入熱を伴う柱スキンプレートとダイアフラムの溶接を行う必要がないので、溶接部およびその近傍の靱性低下や軟化・硬化による品質低下も防ぐことができる。
また、箱形断面柱1の内部にコンクリート20を充填したCFT構造とした場合、箱形断面柱1の内部にコンクリート20の充填性を損なう内ダイアフラム等の水平補剛材がないため、コンクリート20の充填性を向上させることができ、柱梁接合構造の構造性能の低下を防止することができる。
また、地震時等により水平荷重が作用した場合、構造形式上柱梁接合部の上下の柱頭・柱脚部に、大きな曲げモーメントが作用する可能性があるが、柱梁接合部の上下に延在する鉛直スチフナ3によって当該柱梁接合部の柱スキンプレート2a,2bを内部から補剛するため、柱スキンプレート2a,2bの局部座屈に対しても、十分な補剛効果が期待できる。
また、鉛直スチフナ3が設置された構面において、柱梁接合部に向けて斜め方向のブレースが設置された場合にも、柱梁接合部の上下に延在する鉛直スチフナ3が、ブレースから柱スキンプレート2a,2bに作用する引張力や圧縮力に対しても、柱スキンプレート2a,2bの板面外方向の変形を拘束し、十分な補剛効果が期待できる。
また、鉛直スチフナ3が設置された構面において、柱梁接合部に向けて斜め方向のブレースが設置された場合にも、柱梁接合部の上下に延在する鉛直スチフナ3が、ブレースから柱スキンプレート2a,2bに作用する引張力や圧縮力に対しても、柱スキンプレート2a,2bの板面外方向の変形を拘束し、十分な補剛効果が期待できる。
なお、本実施の形態では、箱形断面柱1を、建物の外周部に配置される側柱に適用し、この側柱(箱形断面柱1)に水平面内において、3方向からH形鋼梁11,12,12が接合される場合を例にとって説明したが、箱形断面柱1を、建物の外周部に配置される隅側柱に適用し、この隅柱(箱形断面柱1)に水平面内において、2方向からH形鋼梁11,12が接合されてもよい。
1 箱形断面柱
2(2a〜2c) 柱スキンプレート
3 鉛直スチフナ
4 第1鉛直スチフナ
5 第2鉛直スチフナ
11,12 H形鋼梁
11a,12a ウエブ
11b,12b 梁フランジ
20 コンクリート
2(2a〜2c) 柱スキンプレート
3 鉛直スチフナ
4 第1鉛直スチフナ
5 第2鉛直スチフナ
11,12 H形鋼梁
11a,12a ウエブ
11b,12b 梁フランジ
20 コンクリート
Claims (4)
- 4枚の柱スキンプレートを有する四角筒状の箱形断面柱であって、
内部に断面T字形でかつ前記箱形断面柱の軸方向に延びる鉛直スチフナが配置され、
前記鉛直スチフナが、対向する前記柱スキンプレートに直角に溶接接合された第1鉛直スチフナと、この第1鉛直スチフナおよび当該第1鉛直スチフナと平行な前記柱スキンプレートに直角に溶接接合された第2鉛直スチフナとを備えていることを特徴とする箱形断面柱。 - 前記第1鉛直スチフナと前記柱スキンプレートとの溶接接合、前記第2鉛直スチフナと前記柱スキンプレートとの溶接接合および前記第1鉛直スチフナと前記第2鉛直スチフナとの溶接接合は、エレクトロスラグ溶接より入熱量が低い溶接によって行われていることを特徴とする請求項1に記載の箱形断面柱。
- 内部にコンクリートが充填されていることを特徴とする請求項1または2に記載の箱形断面柱。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の箱形断面柱に、H形鋼梁を接合してなる柱梁接合構造であって、
前記鉛直スチフナが溶接接合されている少なくとも1つの前記柱スキンプレートに、前記H形鋼梁がそのウエブを前記柱スキンプレートと直交する方向において、前記鉛直スチフナの延長上に配置した状態で、かつ、前記鉛直スチフナの上下端部間において接合されていることを特徴とする柱梁接合構造。
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JP2017069583A JP2018172859A (ja) | 2017-03-31 | 2017-03-31 | 箱形断面柱および柱梁接合構造 |
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KR102515590B1 (ko) * | 2022-08-12 | 2023-03-30 | 주식회사 포스코 | 콘크리트 충전 각형강관 기둥 및 이의 조립방법 |
-
2017
- 2017-03-31 JP JP2017069583A patent/JP2018172859A/ja not_active Withdrawn
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