JP2018172718A - 化成処理剤および亜鉛系めっき製品 - Google Patents

化成処理剤および亜鉛系めっき製品 Download PDF

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Abstract

【課題】亜鉛系めっきの方法によらず、優れた耐食性を付与することができる6価クロムフリー化成処理剤、および該化成処理剤を用いて化成処理が施された亜鉛系めっき製品の提供。
【解決手段】クロム(III)化合物(A)と、フッ化物(B)と、硝酸塩(C)と、コロイダルシリカ(D)と、オルガノアルコキシシラン(E)と、コバルト化合物(F)とを含む亜鉛系めっき製品用の化成処理剤であって、特定成分の比率が所定の範囲内であり、クロム(VI)化合物を実質的に含まない化成処理剤を用いる。
【選択図】なし

Description

本発明は、亜鉛めっきまたは亜鉛合金めっき(以下、亜鉛系めっきと称する)を施した鋼材に有用な化成処理剤、及びその化成処理剤によって形成された化成皮膜を有する亜鉛系めっき製品に関する。
亜鉛系めっきは、金属、特に鋼材の防食方法として広く利用されている。亜鉛系めっき製品には、プレめっき製品と後めっき製品がある。
プレめっき製品としては、溶融亜鉛系めっき鋼板や電気亜鉛系めっき鋼板がよく知られ、めっき後に加工(ロール成形、折り曲げ加工、溶接、切断など)して製造される。主に自動車や家電等の用途に用いられる。溶融亜鉛系めっきを行う場合、鉛を添加しないめっき浴を用いることが多い。
後めっき製品は、主に国内向けに製造されており、加工をおこなった後に溶融亜鉛系めっきを施して製造される。鉛を添加しないめっき浴を用いてめっきした鉛無添加亜鉛系後めっき製品と、鉛を添加しためっき浴を用いてめっきした鉛添加亜鉛系後めっき製品とがある。前者は水道管等に利用されるが、その用途は限られる。後者はガードレール、U字鋼材、H形鋼、L字鋼等の他、ボルト、ナット等の小物にも広く利用され、その需要は前者より圧倒的に多い。
亜鉛系めっきによる防食は、犠牲防食とバリアー効果によるものである。亜鉛系めっきにおいては、亜鉛の腐食により白錆が発生するので視覚的に認識できる。この白錆の発生を防止するために、化成処理剤等による一時防錆処理をおこなう。
一時防錆処理としては、クロム(VI)イオンを含むいわゆるクロメート処理が一般的におこなわれてきたが、クロム(VI)イオンが人体にとって有害であるため、クロム(VI)イオンを含まない様々な6価クロムフリー処理剤が開発されてきた。6価クロムフリー処理剤としては、クロムを全く含まないものと、クロム(III)化合物を含むもの(例えば、特許文献1,2)とが開発されている。
特開平11−152588号公報 特開2015−038255号公報
しかし、これらの6価クロムフリー処理剤を用いて化成処理を行った場合、亜鉛系めっきの方法によっては、優れた耐食性を付与できないという問題がある。
そこで、本発明は、亜鉛系めっきの方法によらず、優れた耐食性を付与することができる6価クロムフリー化成処理剤、および該化成処理剤を用いて化成処理が施された亜鉛系めっき製品を提供することを目的とする。
本発明の化成処理剤は以下のものである。
クロム(III)化合物(A)と、
フッ化物(B)と、
硝酸塩(C)と、
コロイダルシリカ(D)と、
オルガノアルコキシシラン(E)と
コバルト化合物(F)とを含む亜鉛系めっき製品用の化成処理剤であって、
該化成処理剤に含まれるクロム(III)イオンに対する硝酸イオンのモル比[NO /Cr3+]が0.5〜4.0の範囲内であり、
Crの質量に対する、前記コロイダルシリカ(D)および前記オルガノアルコキシシラン(E)のSiO換算での質量比[SiO/Cr]が0.1〜1.5の範囲内であり、
前記コロイダルシリカ(D)および前記オルガノアルコキシシラン(E)のSiO換算での質量に対するCoの質量比[Co/SiO]が1.0〜4.0の範囲内であり、
クロム(VI)化合物を実質的に含まない化成処理剤である。
なお、前記クロム(III)化合物(A)と前記フッ化物(B)、前記クロム(III)化合物(A)と前記硝酸塩(C)、前記フッ化物(B)と前記コバルト化合物(F)、及び/又は、前記硝酸塩(C)と前記コバルト化合物(F)は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、本明細書において、「クロム(VI)化合物を実質的に含まない」とは、化成処理剤に積極的にクロム(VI)化合物を添加しないことを意味し、化成処理剤にクロム(VI)化合物が不可避的に混入される場合は許容する。本発明の化成処理剤におけるクロム(VI)化合物含有量は、ジフェニルカルバジド吸光光度法によるCr6+定量において、Cr6+の含有量が、0.1ppm未満であることが好ましい。
また、本明細書において、化成処理剤中のクロム(III)イオン濃度は、ICP発光分析法および酸化還元滴定法により定量分析することができ、また、化成処理剤中の硝酸イオン濃度は、イオンクロマトグラフィーにより定量分析することができる。
前記クロム(III)化合物(A)としては、フッ化クロム、塩化クロム、硝酸クロム、硫酸クロム、酢酸クロムおよび重リン酸クロムよりなる群から選ばれる1種または2種以上であることが好ましい。
前記フッ化物(B)としては、フッ化水素酸、フッ化クロム、フッ化マグネシウム、フッ化鉄、フッ化コバルト、フッ化ニッケル、フッ化アンモニウムおよびフッ化水素アンモニウムよりなる群から選ばれる1種または2種以上であることが好ましい。
また、本発明の、化成皮膜を有する亜鉛系めっき製品は、前記化成処理剤を亜鉛系めっき鋼材の表面上に接触させることにより得られた化成皮膜を有し、該化成皮膜の付着量がクロム換算で0.5〜50mg/mの範囲内である。
本発明によれば、亜鉛系めっきの方法によらず、優れた耐食性を付与することができる6価クロムフリー化成処理剤、および該化成処理剤を用いて化成処理が施された亜鉛系めっき製品を提供することができる。
以下に本発明の詳細を説明する。本発明に係る亜鉛系めっき製品用の化成処理剤は、クロム(III)化合物(A)と、フッ化物(B)と、硝酸塩(C)と、コロイダルシリカ(D)と、オルガノアルコキシシラン(E)と、コバルト化合物(F)とを必須成分として含有し、特定成分の比率が所定の範囲内である。この化成処理剤を用いることにより、いかなる亜鉛系めっきが施された亜鉛系めっき製品であっても、優れた耐食性を付与することができる。なお、前記クロム(III)化合物(A)と前記フッ化物(B)、前記クロム(III)化合物(A)と前記硝酸塩(C)、前記フッ化物(B)と前記コバルト化合物(F)、及び/又は、前記硝酸塩(C)と前記コバルト化合物(F)は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
クロム(III)化合物(A)は、水溶液中で解離してクロム(III)イオンを供給できる化合物であれば特に制限されるものではなく、例えば、フッ化物塩、りん酸塩、硝酸塩、硫酸塩、塩酸塩などの、無機酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩などの、有機酸塩が挙げられる。中でも、フッ化クロム、塩化クロム、硝酸クロム、硫酸クロム、酢酸クロム、重りん酸クロムが好ましく、フッ化クロムが最も好ましい。クロム(III)化合物(A)は、1種または2種以上を用いてもよい。
フッ化物(B)は、水溶液中で解離してフッ素イオンを供給できる化合物であれば特に制限されるものではなく、例えば、フッ化水素酸、フッ化クロム、フッ化マグネシウム、フッ化鉄、フッ化コバルト、フッ化ニッケル、フッ化アンモニウム、フッ化水素アンモニウムなどが挙げられる。中でも、フッ化クロムが最も好ましい。本発明において、フッ化物(B)は、1種または2種以上を用いてもよい。フッ化物(B)の添加量は特に限定されないが、化成処理剤中において、クロム(III)イオン1モルに対して、フッ素イオンが3モル程度となる量を目安とする。
硝酸塩(C)は、水溶液中で解離して硝酸イオンを供給できる化合物であれば特に制限されるものではなく、例えば、マグネシウムなどのアルカリ土類金属、マンガン、コバルト、ニッケル、鉄、ジルコニウム、チタン、クロムなどの、金属硝酸塩、さらにはそれらの無水物や水和物が挙げられる。このように、硝酸塩(C)のカチオン種は特に限定されない。硝酸塩(C)は、1種または2種以上を用いてもよい。
本発明の化成処理剤において、クロム(III)イオンに対する硝酸イオンのモル比[NO /Cr3+]は0.5〜4.0の範囲内であり、好ましくは1.0〜3.0の範囲内である。モル比が0.5未満である場合、耐食性向上効果が発現しない。モル比が4.0を超える場合、亜鉛系めっき表面のエッチング作用が過剰となり、前記化成皮膜の形成が妨げられ、耐食性向上効果が低下する。
コロイダルシリカ(D)は、ケイ素と酸素を主構成成分とする珪酸化合物の分散物であれば特に制限されるものではなく、例えば、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウムなどの、アルカリ珪酸塩からイオン交換法によりナトリウム、カリウム、またはリチウムを取り除いてゾル化するなどの方法により得られるコロイダルシリカなどが挙げられる。コロイダルシリカ(D)は、1種または2種以上を用いてもよい。
コロイダルシリカ(D)の粒径は、特に限定されないが、耐食性が向上する観点から、100nm以下であることが好ましい。ここで、コロイダルシリカ(D)の粒径とは、個数平均粒径であり、窒素吸着法により測定したものである。
オルガノアルコキシシラン(E)は、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、n‐ヘキシルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、β‐(3、4‐エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ‐グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ‐グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、N‐β(アミノエチル)γ‐アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ‐アミノプロピルトリメトキシシラン、γ‐アミノプロピルトリエトキシシラン、γ‐メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ‐メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ‐メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、p‐スチリルトリメトキシシラン、γ‐アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N‐フェニル‐γ‐アミノプロピルトリメトキシシラン、γ‐ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ‐クロロプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、γ‐イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ‐トリエトキシシリル‐N‐(1,3‐ジメチル‐ブチリデン)プロピルアミン、N‐(ビニルベンジルアミン)‐β‐アミノエチル‐γ‐アミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。中でも、アミノ基およびエポキシ基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有することが好ましい。
なお、オルガノアルコキシシラン(E)はアルコキシ基の一部が加水分解した加水分解物であってもよい。オルガノアルコキシシラン(E)は、1種または2種以上を用いてもよい。
本発明の化成処理剤において、Crの質量に対するコロイダルシリカ(D)およびオルガノアルコキシシラン(E)のSiO換算での質量比[SiO/Cr]は、0.1〜1.5の範囲内であり、好ましくは0.2〜1.0の範囲内である。質量比が0.1未満である場合、珪素化合物層の形成が不十分となり、耐食性向上効果が発現しない。質量比が1.5を超える場合、化成皮膜の表層に微細な割れが生じ、水の透過に対する化成皮膜の遮蔽性が低下するため、耐食性向上効果が発現しない。
コロイダルシリカ(D)に対するオルガノアルコキシシラン(E)の質量比[(E)/(D)]は、特に限定されないが、化成皮膜の遮蔽性、および化成処理剤の安定性の観点で、0.5〜3.0の範囲内であることが好ましい。
コバルト化合物(F)は、水溶液中で解離してコバルトイオンを供給できる化合物であれば特に制限されるものではなく、例えば、フッ化コバルト、硫酸コバルト、硝酸コバルト、炭酸コバルト、リン酸コバルト、塩化コバルトなどが挙げられる。コバルト化合物(F)は、1種または2種以上を用いてもよい。
コロイダルシリカ(D)およびオルガノアルコキシシラン(E)のSiO換算での質量に対するCoの質量比[Co/SiO]は、1.0〜4.0の範囲内であり、好ましくは1.5〜3.0の範囲内である。質量比が1.0未満の場合、耐食性向上効果が発現しない。質量比が4.0を超える場合、化成皮膜の層の連続性が低下するため、耐食性向上効果が低下する。
なお、本発明の化成処理剤は、液体媒体に、クロム(III)化合物(A)と、フッ化物(B)と、硝酸塩(C)と、コロイダルシリカ(D)と、オルガノアルコキシシラン(E)と、コバルト化合物(F)とを、必要に応じて他の成分を、モル比[NO /Cr3+]、質量比[SiO/Cr]、及び質量比[Co/SiO]が所定の範囲となるように混合することにより調製することができる。
化成処理剤中にクロム(III)イオンと、フッ素イオンとを含むことによって、化成処理時に、亜鉛系めっき鋼材の表面上に、クロムと、フッ素と、めっきに由来する亜鉛とを含む、難溶性ないしは不溶性の化成皮膜を形成させることができる。しかし、上記化成皮膜だけでは、水の透過に対する化成皮膜の遮蔽性が不十分であり、特に塩水環境では必ずしも明確な効果は得られない。本発明の化成処理剤においては、コロイダルシリカ(D)と、オルガノアルコキシシラン(E)とを併用し、各種原料の比率を調整することによって、形成される化成皮膜の遮蔽性が飛躍的に向上することが判明した。化成皮膜の形成過程において、コロイダルシリカ(D)と、オルガノアルコキシシラン(E)とがシロキサン結合を介して架橋し、緻密な三次元網目構造を有する難溶性ないし不溶性の珪素化合物層を形成する。この珪素化合物層が化成皮膜に複雑に混在することによって、水の透過に対する化成皮膜の遮蔽性が高まると推定する。また、コロイダルシリカ(D)と、オルガノアルコキシシラン(E)とを併用することは、化成処理剤の安定性にも寄与する。
本発明の化成処理剤のpHは、2.5〜5.5の範囲内であることが好ましく、3.5〜4.5の範囲内であることがさらに好ましい。pHが2.5〜5.5の範囲内である場合、化成処理剤の安定性に優れ、かつ、遮蔽性により優れた化成皮膜を形成することができる。pHの測定方法としては、既存のpHメーターを用いて室温(20℃)にて測定する方法が挙げられる。
本発明の化成処理剤のpHは、必要に応じて、酸性またはアルカリ性化合物を用いて調整される。酸性化合物としては、例えば、リン酸、硫酸、塩酸などの、無機酸や、酢酸、シュウ酸、コハク酸などの、有機酸が挙げられる。アルカリ性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ金属化合物などが挙げられる。
本発明の化成処理剤は、通常、水溶液の状態で用いられる。本発明で用いられる化合物が水に溶解しにくい場合は、有機酸や無機酸などの酸などを用いて溶解させるとよく、加温してもよい。なお、液体媒体としての水は、特に制限がないが、イオン交換水(電気伝導率:1μS/cm以下)、蒸留水が好ましい。
本発明の化成処理剤は、濃縮されており化成処理時には水等により希釈するタイプの化成処理剤と、希釈せずにそのまま使用可能なタイプの化成処理剤とのいずれをも包含する。そのため、本発明の化成処理剤中のクロム(III)濃度は、特に限定されない。ここで、以下の説明および実施例においては、「化成処理剤」を任意の濃度に希釈して建浴した後の化成処理剤を「処理液」として説明する。しかしながら、前述のように、本発明の化成処理剤は「希釈せずにそのまま使用可能なタイプの化成処理剤」をも包含するため、以下の説明における「処理液」を、「水等により希釈せずにそのまま使用可能なタイプの化成処理剤」として読み替えることもできる。経済的な観点からは、比較的高濃度な「化成処理剤」として提供され、処理をおこなう際に所望の濃度に希釈し「処理液」とすることが推奨される。
本発明の亜鉛系めっき製品は、加工前または加工後の亜鉛系めっき鋼材の表面上に前記処理液を接触させることにより得られた化成皮膜を有する。亜鉛系めっき製品の表面上における化成皮膜の付着量は、クロム換算で、0.5〜50mg/mの範囲内であることが好ましく、15〜50mg/mの範囲内であることがより好ましい。付着量が0.5〜50mg/mの範囲内である場合、亜鉛系めっき製品の外観を低下させることなく、より優れた耐食性を得ることができる。
前記処理液を上記亜鉛系めっき鋼材の表面上に接触させる方法として、(1)前記処理液をシャワー状に吹き付ける方法、(2)前記処理液をロールコーターなどで転写する方法、(3)適量の前記処理液を滴下しながらブラシなどでしごく方法、(4)前記処理液に浸漬する「浸漬法」などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。なお、(1)〜(3)の接触方法などを適用する場合、クロム付着量(化成皮膜のクロム換算付着量)は処理液中のクロム(III)濃度でほぼ一義的に決まる。また、(4)の接触方法を適用する場合、処理液中のクロム(III)濃度でクロム付着量を制御できるだけでなく、前記処理液の温度や接触時間を調整することによりクロム付着量を制御できる。なお、前記処理液を上記亜鉛系めっき鋼材の表面上に接触させた後に、乾燥処理をおこなってもよい。また、化成処理後の水洗はおこなわないことが好ましい。
浸漬法における前記処理液の温度は、80℃以下が好ましく、65℃以下がより好ましい。前記処理液の温度が80℃以下である場合、亜鉛系めっき製品の耐食性向上が期待できる。なお、下限値は特に制限されるものではないが、10℃以上であることが好ましく、20℃以上であることがより好ましい。
本発明の化成処理剤を用いて形成される化成皮膜は、被処理材としての上記亜鉛系めっき鋼材の種類や化成処理条件の違いにより多様の構造を取ることが推定されるため、その構造を従来技術と比較して特徴付けることは困難と考える。
下記の実施例によって本発明を更に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
《処理液の調製》
表1に示す原料および組成にて、実施例1〜21および比較例1〜8の化成処理剤を調製した。なお、コロイダルシリカ(D)に対するオルガノアルコキシシラン(E)の質量比[(E)/(D)]は1.0である。各化成処理剤を、クロム(III)イオン濃度が0.01モル/Lとなるように水で希釈して、処理液1〜29を得た(各処理液のフッ素イオンの濃度は、0.03モル/Lである)。なお、pHについては、化成処理剤と同等のpHとなるように0026段落に記載した方法で調整した。
Figure 2018172718
以下に、表1に示された各原料について説明する。なお、表中において、「SiO/Cr」は、化成処理剤中の、Crの質量に対する、コロイダルシリカ(D)およびオルガノアルコキシシラン(E)のSiO換算での質量比を示し、「Co/SiO」は、化成処理剤中の、コロイダルシリカ(D)およびオルガノアルコキシシラン(E)のSiO換算での質量に対するCoの質量比を示す。
〈クロム(III)化合物(A)〉
A1:フッ化クロム(III)
A2:硫酸クロム(III)
A3:酢酸クロム(III)
A4:リン酸クロム(III)
〈フッ化物(B)〉
B1:フッ化クロム(III)
B2:フッ化コバルト
B3:フッ化水素アンモニウム
〈硝酸塩(C)〉
C1:硝酸コバルト
C2:硝酸マグネシウム
〈コロイダルシリカ(D)〉
D1:スノーテックスC(日産化学工業社製)
D2:スノーテックスO(日産化学工業社製)
〈オルガノアルコキシシラン(E)〉
E1:3‐グリシドキシプロピルトリエトキシシラン
E2:3‐アミノプロピルトリエトキシシラン
E3:ビニルトリエトキシシラン
E4:テトラエトキシシラン
〈コバルト化合物(F)〉
F1:硝酸コバルト
F2:フッ化コバルト
F3:塩化コバルト
《試験片の作製》
150mm×70mm×3.2mmの熱延鋼板に対して、7%苛性ソーダのアルカリ脱脂を70℃で15分、10%の硫酸酸洗を60℃で30秒および、20%塩化アンモニウムのフラックス処理を60℃で30秒順次おこなった。0.5mass%の鉛を添加した450℃の亜鉛めっき浴に、フラックス処理後の熱延鋼板を5分間浸漬してめっき処理を行い、亜鉛系めっき鋼材を作製した(なお、この亜鉛系めっき鋼材に対して、特許文献2に記載の表面処理を実施し、下記0046段落に記載した塩水試験を実施したところ、大量の白錆が発生した)。
この亜鉛系めっき鋼材を水中に没して約60℃まで冷却した。冷却後、亜鉛系めっき鋼材を処理液1〜29に浸漬した。浸漬後、亜鉛系めっき鋼材を5分間自然乾燥させ、化成皮膜を有する試験片1〜29を得た。
亜鉛系めっき鋼材を処理液1〜29に浸漬する温度及び時間は、所望のクロム付着量が得られるよう任意に変更した。クロム付着量は蛍光X線装置を用いて測定した。表2にクロム付着量の測定結果を示す。
前記亜鉛系めっき鋼材において、めっき皮膜の厚さは約80μmであり、めっき皮膜の表層に析出した鉛の濃度は約10mass%であった。なお、めっき皮膜の表層に析出した鉛の濃度は、グロー放電発光分光分析装置を用い、各元素の強度デプスプロファイルから、測定深さがゼロのときのPb濃度とした。なお、測定面積は4mmφ程度である。
《評価》
試験片1〜29を用いて、下記の方法による評価をおこなった。表2に各評価結果を示す。
(1)塩水試験
各試験片に対してJIS H 8502:1999に記載された中性塩水噴霧試験方法に準じて塩水噴霧試験を行った。なお塩水噴霧試験は、1時間噴霧をおこなった後、23℃、50%RHの恒温恒湿環境下で23時間曝す操作を、1週間繰り返すことで実施した。
試験後の亜鉛系めっき製品の表面に生じた白錆の、該表面に占める割合(以下、白錆発生面積率と記述する)を目視で測定し、測定結果に基いて耐食性を評価した。評価の基準は以下のとおりである。白錆発生面積率が20%以下の場合を合格とし、〇印で表記した。さらに、白錆発生面積率が5%以下の場合を特に良好として◎印で表記した。白錆発生面積率が20%を超えたものは不合格として×印で表記した。
(2)湿潤試験
湿潤試験は、各試験片の表面を十分に湿った医療用ガーゼで覆い、50℃、95%RHの恒温恒湿環境下で2週間曝することにより実施した。
試験後の亜鉛系めっき製品の表面に生じた白錆発生面積率を目視で測定し、塩水試験での評価基準と同様に耐食性を評価した。
Figure 2018172718

Claims (4)

  1. クロム(III)化合物(A)と、
    フッ化物(B)と、
    硝酸塩(C)と、
    コロイダルシリカ(D)と、
    オルガノアルコキシシラン(E)と
    コバルト化合物(F)とを含む亜鉛系めっき製品用の化成処理剤であって、
    該化成処理剤に含まれるクロム(III)イオンに対する硝酸イオンのモル比[NO /Cr3+]が0.5〜4.0の範囲内であり、
    Crの質量に対する、前記コロイダルシリカ(D)および前記オルガノアルコキシシラン(E)のSiO換算での質量比[SiO/Cr]が0.1〜1.5の範囲内であり、
    前記コロイダルシリカ(D)および前記オルガノアルコキシシラン(E)のSiO換算での質量に対するCoの質量比[Co/SiO]が1.0〜4.0の範囲内であり、
    クロム(VI)化合物を実質的に含まない、化成処理剤(但し、前記クロム(III)化合物(A)と前記フッ化物(B)、前記クロム(III)化合物(A)と前記硝酸塩(C)、前記フッ化物(B)と前記コバルト化合物(F)、及び/又は、前記硝酸塩(C)と前記コバルト化合物(F)は、同一であってもよい)。
  2. 前記クロム(III)化合物(A)が、フッ化クロム、塩化クロム、硝酸クロム、硫酸クロム、酢酸クロムおよび重リン酸クロムよりなる群から選ばれる1種または2種以上である請求項1に記載の化成処理剤。
  3. 前記フッ化物(B)が、フッ化水素酸、フッ化クロム、フッ化マグネシウム、フッ化鉄、フッ化コバルト、フッ化ニッケル、フッ化アンモニウムおよびフッ化水素アンモニウムよりなる群から選ばれる1種または2種以上である請求項1または2に記載の化成処理剤。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載の化成処理剤を亜鉛系めっき鋼材の表面上に接触させることにより得られた化成皮膜を有し、該化成皮膜の付着量がクロム換算で0.5〜50mg/mの範囲内である、化成皮膜を有することを特徴とする亜鉛系めっき製品。

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