JP2018166525A - 容器詰めレモン果汁含有飲料及びその製造方法 - Google Patents

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Kenji Yamaguchi
研志 山口
井上 孝司
Koji Inoue
孝司 井上
正典 平光
Masanori Hiramitsu
正典 平光
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【課題】レモン果汁の本来の香味、風味、色調などが維持された、高品質な容器詰めレモン果汁含有飲料及び当該飲料の製造方法等を提供する。【解決手段】容器詰めレモン果汁含有飲料中の5−ヒドロキシメチルフルフラール含有量を2.0ppm以下とした飲料とすることで、上記課題を解決する。これは、例えば、1対以上の金属製の平行平板電極に挟まれた密閉系の通電ユニットを用いて交流電圧を印加させて液体を殺菌する交流高電界殺菌処理工程により殺菌を行って製造することで得ることができる。【選択図】なし

Description

本発明は、容器詰めレモン果汁含有飲料等に関するものである。詳細には、製造時及び経時保管時の褐変が抑制され、且つ、レモン果汁本来の香味、風味等が維持された、常温流通可能な容器詰めレモン果汁含有飲料及び当該飲料の製造方法等に関する。
一般的に、果汁飲料(果汁含有飲料)は、製造時(特に加熱処理時)や流通時、保管時などにおいて褐変が進行してしまい商品価値が低下してしまうという問題が見受けられる。その中でも、常温流通時や常温保管時の経時的な褐変は特に問題であり、また、100%レモン果汁を用いた場合には褐変が目立ちやすく、その商品価値は著しく低下してしまう。
レモン果汁の褐変は、主にビタミンCの分解反応、メイラード反応、酸化反応から選ばれる少なくとも一種の反応に起因するものであると考えられる。メイラード反応は、還元糖とアミノ化合物(アミノ酸、ペプチド、タンパク質等)を加熱したときなどに見られる褐色物質(メラノイジン)生成反応である。
しかしながら、レモン果汁含有飲料の褐変抑制や品質維持に関する有効な技術の開示は極めて少なく、当業界においては、様々な種類のレモン果汁含有飲料製造に広く適用することができ、且つ、容器詰め飲料として常温流通可能な程度の加熱殺菌処理を行った後でも品質が維持されるような有効な技術の開発が望まれている。
一方、5−ヒドロキシメチルフルフラール(以下、HMFともいう)は、糖や炭水化物の熱分解により生成される有機化合物であり、牛乳、蒸留酒、蜂蜜などの食品を加熱すると微量ながら生成することが知られている。蜂蜜では、過加熱を防ぐためHMF含量を国際規格で品質基準として定めている。また、麦芽アルコール飲料において、HMF含量を指標として製造工程を監視し、HMFの生成を抑制することにより香味耐久性に優れたビール等を製造する技術も知られている(特許文献1)。
さらに、梅濃縮果汁において、加熱濃縮処理中に梅果汁に含まれるグルコースなどの糖類が脱水反応してHMFが生成し、これがさらにクエン酸とのエステル縮合によりムメフラールを生成することが知られており、このHMFなどのフルフラール類生成を抑制し梅果汁中のポリフェノール含有量を維持するために低温(80℃以下)で濃縮する技術も知られている(特許文献2)。けれども、レモン果汁中のHMF量に関する検討や開示は現状では見当たらない。
特開2000−004867号公報 特開2013−201997号公報
本発明は、レモン果汁の香味、風味、色調などが維持された、高品質な容器詰めレモン果汁含有飲料及び当該飲料の製造方法等を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意研究を行い、加熱処理によりレモン果汁含有飲料中に生成されるHMF含有量を特定し、その生成を抑制すること、つまり容器詰めレモン果汁含有飲料中のHMF含有量を2.0ppm以下とすることで、加熱処理による風香味の劣化が抑えられ、また、製造時だけでなく経時的な褐変も抑えられた容器詰めレモン果汁含有飲料を提供できること、及び、これは例えば1対以上の金属製の平行平板電極に挟まれた密閉系の通電ユニットを用いて交流電圧を印加させて液体を殺菌する交流高電界殺菌処理工程により殺菌を行って製造する方法等によって得ることができること、を見出し本発明を完成した。
すなわち、本発明の実施形態は次のとおりである。
(1)1対以上の金属製の平行平板電極に挟まれた密閉系の通電ユニットを用いて交流電圧を印加させて液体を殺菌する交流高電界殺菌処理工程を経ることを特徴とする、容器詰めレモン果汁含有飲料中の5−ヒドロキシメチルフルフラールの生成を抑制する方法。
(2)濃縮レモン果汁を還元する際に用いる水を脱気又は不活性ガス置換し、製造工程で使用するタンク内を脱酸素状態とすることを特徴とする、(1)に記載の方法。
(3)容器詰めレモン果汁含有飲料中の5−ヒドロキシメチルフルフラール含有量を2.0ppm以下とすることを特徴とする、請求項(1)又は(2)に記載の方法。
(4)殺菌温度105℃において1〜4回通液して殺菌処理すること、又は殺菌温度117℃において1〜3回通液して殺菌処理することにより、容器詰めレモン果汁含有飲料中の5−ヒドロキシメチルフルフラール含有量を2.0ppm以下とすることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれか1つに記載の方法。
(5)製品の充填後の保持時間を15分以内とすることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれか1つに記載の方法。
(6)容器詰めレモン果汁含有飲料中の5−ヒドロキシメチルフルフラール含有量を1.8ppm以下とすることを特徴とする、(1)〜(5)のいずれか1つに記載の方法。
(7)100%レモン果汁からなる、レモン果汁中の酸度が4.5%以上9%未満の容器詰めレモン果汁含有飲料であって、該飲料中の5−ヒドロキシメチルフルフラール含有量が2.0ppm以下であることを特徴とする、容器詰めレモン果汁含有飲料。
(8)容器詰めレモン果汁含有飲料中の5−ヒドロキシメチルフルフラール含有量が1.8ppm以下であることを特徴とする、(7)に記載の飲料。
(9)容器詰めレモン果汁含有飲料であって、該飲料中の5−ヒドロキシメチルフルフラール含有量が2.0ppm(2.0mg/L)以下であることを特徴とする、容器詰めレモン果汁含有飲料。
(10)容器詰めレモン果汁含有飲料中の5−ヒドロキシメチルフルフラール含有量が1.8ppm(1.8mg/L)以下であることを特徴とする、(9)に記載の飲料。
(11)100%レモン果汁(ストレート果汁又は濃縮還元果汁)からなることを特徴とする、(9)又は(10)に記載の飲料。
(12)1対以上の金属製の平行平板電極に挟まれた密閉系の通電ユニットを用いて交流電圧を印加させて液体を殺菌する交流高電界殺菌処理をされたものであることを特徴とする、(9)〜(11)のいずれか1つに記載の飲料。
(13)濃縮レモン果汁を還元する際に用いる水を脱気又は不活性ガス(窒素ガスなど)置換し、製造工程で使用するタンク内を脱酸素状態として製造されたものであることを特徴とする、(9)〜(12)のいずれか1つに記載の飲料。
(14)1対以上の金属製の平行平板電極に挟まれた密閉系の通電ユニットを用いて交流電圧を印加させて液体を殺菌する交流高電界殺菌処理工程を経ることを特徴とする、容器詰めレモン果汁飲料中の5−ヒドロキシメチルフルフラール含有量が2.0ppm以下(好ましくは1.8ppm以下)である容器詰めレモン果汁含有飲料の製造方法。
(15)濃縮レモン果汁を還元する際に用いる水を脱気又は不活性ガス置換し、製造工程で使用するタンク内を脱酸素状態とすることを特徴とする、(14)に記載の方法。
本発明によれば、常温流通可能なものを含む各種容器詰めレモン果汁含有飲料の製造時の褐変や風香味劣化を抑制するとともに、経時に伴う褐変、風香味劣化をも抑制し、嗜好性の高い高品質な容器詰めレモン果汁含有飲料を提供することができる。
100%レモン果汁飲料を交流高電界殺菌処理(殺菌温度が105℃、殺菌装置への通液回数が1回、3回、4回の3種類)してビン容器にホットパックした直後(0分)、及び、それらを85℃で15分保持した後の製品の5−ヒドロキシメチルフルフラール含有量(ppm:上段)と官能評価結果(○(好適品質)、△(品質許容限界)、×(品質不可)の3段階で評価:下段)を示す。 100%レモン果汁飲料を交流高電界殺菌処理(殺菌温度が117℃、殺菌装置への通液回数が1〜5回の5種類)してビン容器にホットパックした直後(0分)、及び、それらを85℃で5分、10分、15分保持した後の製品の5−ヒドロキシメチルフルフラール含有量(ppm:上段)と官能評価結果(○(好適品質)、△(品質許容限界)、×(品質不可)の3段階で評価:下段)を示す。
本発明は、容器詰めレモン果汁含有飲料を対象とする。通常、レモン果汁は、含まれるパルプ量により混濁果汁、セミクリア果汁、透明果汁に分けられ、また、それぞれについて、濃縮果汁、濃縮還元果汁、ストレート果汁が存在する。本発明におけるレモン果汁とは、上記から選ばれる少なくとも1種以上を意味し、これらのいずれかを単独で用いても良いし、これらを任意に組み合わせて使用しても良い。
なお、用いるレモン果汁としては、ストレート又は濃縮還元した100%レモン果汁を使用するのが本発明の効果を十分に発揮させる上で好ましいが、他を完全に除外するものではない。ここで、「100%レモン果汁」とは、レモン果実を破砕して搾汁若しくは裏ごしをし、皮、種子等を除去したもの、あるいは、これを濃縮したものを希釈して搾汁の状態に戻したものであって、レモン果汁中の酸度が4.5%以上9%未満のものを意味する。
本発明においては、上記のようなレモン果汁をそのまま容器詰め飲料の調合液としても良いし、レモン果汁に加えて、レモン果汁以外の原料、例えばレモン果皮抽出物、レモンオイル、糖類、甘味料、有機酸(クエン酸など)、pH調整剤(重曹など)、乳化剤、香料、ビタミン類等について、殺菌前の任意の製造段階で添加・配合してレモン果汁含有調合液としても良い。
このようにして得られた調合液の殺菌処理は、交流高電界殺菌処理又はそれに準ずる方法で行うことが好ましい。交流高電界殺菌処理は、特開2006−238827や特開2007−29014などに記載の方法で行えば良く、具体的には、1対以上の金属製の平行平板電極(一定の間隔(数mm程度)で平行に配置された平板の電極)に挟まれた通電ユニットを用い、通電ユニットは絶縁体で覆うなどして密閉系とするとともに、通電ユニットの電極には交流電源を接続し、電圧を印加した通電ユニットに調合液を連続的に通液することによって微生物を殺菌する。なお、必要に応じて通電ユニット内部を0.4〜1.0MPa程度に加圧しても良い。そして、殺菌温度は耐熱性芽胞菌の有無などによって100℃以上(好ましくは100〜140℃)の条件で適宜設定すれば良く、更には、調合液を通電ユニットに2回以上通液して殺菌処理しても差し支えなく、これらの条件を総合的に勘案して殺菌条件を設定すれば良い。けれども、最終製品の品質を考慮すると、過剰な殺菌条件の設定は好ましくなく、D値やF値などを検討してできる限り熱履歴の少ない殺菌条件とすることが好ましい。
また、この交流高電界殺菌処理に先立って、調合液を1〜複数回の濾過処理を行っても良い。特に、交流高電界殺菌処理をより効率的に行うため、調合液中に800μm以上の粒子が含まれていれば、濾過処理等によってこれを取り除いておいた方が望ましい。
調合液は、殺菌処理したのち容器に充填される。つまり、本発明において「容器詰め」とは、ビン、缶、ペットボトル、紙容器、軟包材容器などに飲料が充填されていることを意味し、使用する容器はこれらのいずれでも良く、特段の限定はない。
容器への充填方法は、ホットパック、無菌充填などを用いることができ、特段の限定はないが、なるべく熱履歴の少ない方法を選択して用いることが好ましい。また、充填は脱酸素条件下で行うことが望ましい。さらに、容器中のヘッドスペースを不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガスなど)で置換することがより好ましい。
なお、脱酸素条件下とは、充填環境(充填区画、配管など)やタンク内への不活性ガス注入による置換、減圧、脱酸素剤の使用などの方法で行うことが例示される。また、上記充填方法に加えて、レモン濃縮果汁の還元水(希釈水)や調合液への添加水等について脱気水を用いたり、調合工程を脱酸素条件下とするなども好適である。
容器充填後は、冷却等を行い、最終製品である容器詰めレモン果汁含有飲料となる。なお、容器詰めレモン果汁含有飲料中のレモン果汁配合量(含有量)は、該果汁の原材料に占める重量の割合が10%以上で、且つ、該果汁の原材料に占める重量の割合が果汁、砂糖類、はちみつ及び水以外のものの原材料に占める重量の割合を上回る配合量とすることが例示される。
本発明は、容器詰めレモン果汁含有飲料が常温流通可能なレベルで殺菌処理が施されているにもかかわらず、その品質が極めて高いことが大きな特徴である。これは、単に殺菌条件を緩やかにして加熱劣化を抑制したというものではなく、常温流通可能なレベルまで十分に殺菌が施されていながら劣化、褐変等が非常に少ないものであって、現状で常温流通されている容器詰めレモン果汁含有飲料には見られない特徴である。
このようにして、レモン果汁含有調合液を例えば交流高電界殺菌処理により製造することで、飲料製品中(特に、製造直後、あるいは、経時保管されていない飲料製品中)の5−ヒドロキシメチルフルフラール含有量を2.0ppm以下(基準と比べ品質許容限界範囲を含む、好ましくは1.8ppm以下)とすることができ、製造時の褐変やレモン本来の風香味の劣化を抑制するとともに、経時に伴う褐変、風香味劣化をも抑制し、極めて嗜好性の高い高品質な容器詰めレモン果汁含有飲料を得ることができる。
以下、本発明の実施例について述べるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内においてこれらの様々な変形が可能である。
容器詰め100%レモン果汁飲料製造において、UHT殺菌処理を行った場合と交流高電界殺菌処理を行った場合とで得られる飲料の品質の差異を確認するため、以下の試験を行った。
まず、レモン濃縮果汁とレモン香料を混合した。なお、脱酸素区分(脱O)では不活性ガス雰囲気下でこの処理を行った。これらを100%レモン果汁となるようにゲージアップし(脱酸素区分は不活性ガス雰囲気下で脱気水使用)、調合液とした。この時のBrixは9.4であった。これらの調合液を、UHT殺菌区分は108℃60秒の条件、交流高電界殺菌区分は原液流量1030ml/分、使用電極間隔4mm、印加電界時間0.088秒、保持時間1.73秒、殺菌温度105℃、印加電圧766V/cmの条件で殺菌処理を行った。なお、このUHT殺菌処理条件と交流高電界殺菌処理条件は殺菌強度が同じとなるように設定し、保持時間によるF値(85℃でのF値で、Z値7.8)はUHT殺菌処理が888.62、交流高電界殺菌処理が10.56であった。
この殺菌処理後の各区分の調合液を150mlビンにホットパックし、製品とした。なお、充填はヘッドスペース酸素量が0.5ml/本となるようにヘッドスペース量を調整した。
これら製品について、充填後未経時(製造直後)での色差(L値、a値、b値、褐変度(YI)、調合液からのYI増加量(ΔYI))、HMF含有量、調合液からのHMF増加量(ΔHMF)をそれぞれ測定し、調合液のデータと比較した。これらの測定結果を表1に、高速液体クロマトグラフ(島津製作所社製)によるHMF含有量の測定条件を表2に示した。
Figure 2018166525
Figure 2018166525
この結果、100%レモン果汁飲料をUHT殺菌処理すると褐変度が調合液より10程度高まり、HMF含有量も4ppm程度まで増加すること、交流高電界殺菌処理では褐変度が調合液より4程度高くなるにとどまり、HMF含有量も1.2ppm以下に抑えられることが明らかとなった。
引き続き、容器詰め100%レモン果汁飲料製造において、UHT殺菌処理を行った場合と交流高電界殺菌処理を行った場合とで得られる飲料の品質の差異を確認するため、以下の試験を行った。
実施例1と同様に、レモン濃縮果汁とレモン香料を混合して、これを100%レモン果汁となるようにゲージアップして調合液とした。この調合液を、UHT殺菌区分は115℃、120℃、125℃の各温度でそれぞれ30秒、交流高電界殺菌区分は印加電界時間0.044秒、保持時間0.865秒とした以外は実施例1と同じ条件で殺菌処理を行った。そして、この殺菌処理後の各区分の調合液を実施例1と同じ方法で容器詰め飲料製品とした。なお、UHT殺菌区分は全ての工程を脱酸素条件下とせずに行い、交流高電界殺菌区分については、全ての工程を脱酸素条件下とせずに行ったもの、調合液調製時に調合タンク内を不活性ガスで置換し且つ脱気水を用いたもの(調合脱酸素)、全ての工程を脱酸素条件下としたもの(完全脱酸素)の3種類を製造した。
これら製品について、調合液、充填後未経時(製造直後)、製造後45℃で1週間保存後(45℃1W)、製造後45℃で2週間保存後(45℃2W)の各段階での色差(褐変度(YI))、調合液からのYI増加量(ΔYI)、HMF含有量、調合液からのHMF増加量(ΔHMF)をそれぞれ測定した。上記の製造条件及び測定結果を表3に示した。なお、HMF含有量は実施例1と同じ方法で測定した。
Figure 2018166525
この結果、100%レモン果汁飲料のUHT殺菌処理では、未経時及び経時保管後のいずれも褐変度が調合液より極めて高まり、HMF含有量も2.5〜9.7ppm程度まで増加すること、交流高電界殺菌処理ではUHT殺菌処理より褐変度が優位に低く、経時変化も少なく、HMF含有量も未経時で1.7ppm以下に抑えられることが明らかとなった。
容器詰め100%レモン果汁飲料製造において、交流高電界殺菌処理の殺菌温度、殺菌装置への通液回数及び保持時間と飲料の品質との関連性を確認するため、以下の試験を行った。
実施例1と同様の方法で調製した100%レモン果汁を交流高電界殺菌処理し、殺菌後の液を充填品温85℃になるようにビンに充填して、充填後に85℃の湯煎で所定時間(0分、5分、10分、15分)保持した。交流高電界殺菌条件は、殺菌温度は105℃と117℃の2区分で、殺菌装置への通液回数は105℃区分で1回通液、3回通液、4回通液の3パターン、117℃区分で1〜5回通液の5パターンを行った。なお、1回通液あたりの印加電界時間は0.044秒、保持時間は0.865秒とし、その他の条件は実施例1の交流高電界殺菌処理と同様とした。
各所定時間保持後のこれら製品について、HMF含有量の測定、及び、訓練された5名のパネラーによる官能評価を実施した。官能評価は、香り(レモン本来のフレッシュな香り立ち、加熱臭の強さ)、味(酸味のまろやかさ、後味の苦味・雑味)、外観(レモン果汁特有の色調を有しているか)をポイントとし、パネラーによるディスカッションにより、殺菌温度105℃、1回通液、保持時間0分の区分を基準として、基準とほぼ同等で本発明が所望する品質であるものを好適品質(○)、基準より劣るものの本発明の所望する品質の許容範囲であるものを品質許容限界(△)、基準よりも明らかに品質が異なり本発明の所望する品質よりも劣るものを品質不可(×)として、この3段階で評価を行った。殺菌温度105℃での結果を図1に、殺菌温度117℃での結果を図2に示した。なお、HMF含有量は実施例1と同じ方法で測定した。
この結果、殺菌温度105℃においては3回通液、4回通液の製品を15分保持したものが品質許容限界レベルであること、殺菌温度117℃においては1〜3回通液の製品を15分保持したもの、4回通液の製品を10分保持したもの、及び、5回通液の製品を5分保持したものが基準と比べ品質許容限界範囲であること、4回通液の製品を15分保持したもの及び5回通液の製品を10、15分保持したものが所望する品質よりも劣り品質不可であることが明らかとなった。つまり、容器詰め100%レモン果汁飲料において、HMF含有量が2.0ppm以下となれば本発明が所望する品質レベルを維持することができ、好ましくは1.8ppm以下となるのが好適であることが示された。
以上より、容器詰め100%レモン果汁飲料において、交流高電界殺菌処理を用いて殺菌処理を行って該飲料中のHMF含有量を2.0ppm以下、好ましくは1.8ppm以下とすることで、高品質な容器詰め100%レモン果汁飲料を得ることができ、且つ、経時的な変化も少なくすることができることが示された。
本発明を要約すれば、以下の通りである。
本発明は、レモン果汁の本来の香味、風味、色調などが維持された、高品質な容器詰めレモン果汁含有飲料及び当該飲料の製造方法等を提供することを目的とする。
そして、容器詰めレモン果汁含有飲料中の5−ヒドロキシメチルフルフラール含有量を2.0ppm(2.0mg/L)以下とした飲料とすることで、高品質な容器詰めレモン果汁含有飲料となる。これは、例えば、1対以上の金属製の平行平板電極に挟まれた密閉系の通電ユニットを用いて交流電圧を印加させて液体を殺菌する交流高電界殺菌処理工程により殺菌を行って製造することで得ることができる。

Claims (6)

  1. 1対以上の金属製の平行平板電極に挟まれた密閉系の通電ユニットを用いて交流電圧を印加させて液体を殺菌する交流高電界殺菌処理工程を経ることを特徴とする、容器詰めレモン果汁含有飲料中の5−ヒドロキシメチルフルフラールの生成を抑制する方法。
  2. 濃縮レモン果汁を還元する際に用いる水を脱気又は不活性ガス置換し、製造工程で使用するタンク内を脱酸素状態とすることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 容器詰めレモン果汁含有飲料中の5−ヒドロキシメチルフルフラール含有量を2.0ppm以下とすることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 殺菌温度105℃において1〜4回通液して殺菌処理すること、又は殺菌温度117℃において1〜3回通液して殺菌処理することにより、容器詰めレモン果汁含有飲料中の5−ヒドロキシメチルフルフラール含有量を2.0ppm以下とすることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 製品の充填後の保持時間を15分以内とすることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 100%レモン果汁からなる、レモン果汁中の酸度が4.5%以上9%未満の容器詰めレモン果汁含有飲料であって、該飲料中の5−ヒドロキシメチルフルフラール含有量が2.0ppm以下であることを特徴とする、容器詰めレモン果汁含有飲料。
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