JP2018162531A - カチオン可染性ポリエステル太細マルチフィラメント - Google Patents
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(1)マルチフィラメント長手方向の繊度斑に由来するウースター太細斑が3〜12%で、かつ沸騰水収縮率が2〜20%であり、共重合成分として金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成分をポリエステルの全ジカルボン酸成分に対して1.1〜3.2モル%含有したカチオン可染性ポリエステル太細マルチフィラメントにおいて、ウースター波形の繊度変動ベースラインからの繊度変動率幅20%以上の繊度変動ピークの個数の変動係数CV%が12%以下であることを特徴とするカチオン可染性ポリエステル太細マルチフィラメント。
(2)ウースター波形の繊度変動ベースラインからの繊度変動率幅20%以上の繊度変動ピーク個数の平均値が1〜10個/mである(1)に記載のカチオン可染性ポリエステル太細マルチフィラメント。
(3)破断強度が1.9〜2.5cN/dtex、タフネスが19.0以上であることを特徴とする(1)または(2)に記載のカチオン可染性ポリエステル太細マルチフィラメント。
本発明におけるポリエステルとは、繊維形成性の優れたポリエステルであり、主たる酸成分がテレフタル酸またはそのエステル誘導体、主たるグリコール成分がエチレングリコールからなるものであって、エチレンテレフタレート単位を少なくとも80モル%以上含むものを指し、さらに金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成分が全カルボン酸に対し1.1〜3.2モル%共重合されたカチオン染料で染色可能な改質ポリエステルである。
T(−)=S(cN/dtex)×{E(%)}1/2 ・・・ (1) 。
本発明の太細マルチフィラメントは、従来公知の改質ポリエステルの溶融紡糸方法で製造できる。
(α:延伸倍率における係数) 。
マルチフィラメント中の元素含有量を(株)リガク製蛍光X線分析装置(ZSX−100e)で分析し、イソフタル酸量に換算した。
(2)マルチフィラメント中のポリエチレングリコールの定量および数平均分子量測定
マルチフィラメント中のポリエチレングリコール含有量は、ポリマーをモノメタノールアミンで加水分解後、カリボール(テトラフェニルホウ酸ナトリウム)にて滴定し定量した。ポリエチレングリコールの数平均分子量は、マルチフィラメントを加水分解した後、ゲル濾過クロマトグラフィー(GPC)にて測定した。
TAインスツルメント社製Q100を用いた熱特性分析(DSC)にて、サンプル量10mg、測定雰囲気N2、昇降温速度は1stおよび2ndともに16℃/minの条件で測定した。
後述するウースター糸むら試験機を用いて25秒間測定を実施し、得られたウースター波形チャート(糸長10m分相当)の繊度変動率最低値をベースライン(図4のa)とする。ベースラインaから+20%の位置(図4のb)にラインを引き、ラインbよりプラス側にピークトップを有する繊度変動ピーク個数をカウントする(図4)。糸長10m中のピーク個数をカウントした後、本測定を6回繰り返し、得られたピーク個数から平均値および変動係数CV%を算出する。なお、ウースター波形チャートは、zellweger社製USTER TESTER UT−4を用いて、糸のトータル繊度により使用する測定用スロットルを選択した後、糸速25m/分、撚り数5000T/mの条件にて1分間測定することにより得る。
得られた高配向未延伸マルチフィラメントを10g精秤し、メタノール100mlで油剤を抽出する。抽出分の高配向未延伸マルチフィラメントに対する割合(質量%)を紡糸油剤付着量(質量%)とする。
カチオン可染性ポリエステル太細マルチフィラメントを周長1.0mの検尺機を用いて10回巻きしてカセ取りした後、このカセに0.09g/dtexの初荷重をかけ、カセの長さを測り、aとする。100℃の温度の沸騰水中で15分間熱処理し、8時間以上自然乾燥した後、0.09g/dtexの荷重をかけ、カセの長さを測り、bとする。a、bはサンプルを変えて3点ずつ測定し、次式により沸騰水収縮率を算出する。
沸騰水収縮率(%)={(a−b)/a}×100 ・・・ (3) 。
ORIENTEC(現エー・アンド・ディ)社製のTENSILON RTC−1210Aを用い、試長200mm、引張速度200mm/分の条件で応力−歪み曲線を求め、糸が破断した際の力を繊度で除した値を強度とし、糸が破断した際の伸びを試料長で除した値に100を乗じた値を伸度として、各値サンプルを変えて3点ずつ測定し、その平均値を求めた。タフネスは、強度および伸度結果から前記(1)の式を用いて表す。定応力伸張領域伸度は、測定で得た図3に示すチャート上のAの伸度を読み取り、サンプルを変えて6点ずつ測定し、その平均値で表す。
サンプル5gを磁性るつぼに入れ、電気炉を用いて1000℃で灰化し、灼熱残分を無機物として質量%で表し無機物含有量とする。
カチオン可染性ポリエステル太細マルチフィラメントに添加する粒子と同じ組成、結晶構造をもった試験片を作製、または粒子に粉砕する前の鉱物を試験片とし、モース硬度測定用の標準鉱物と互いに引っかいて、引っかきが行われるかどうかで硬さ数を測定する。
得られたカチオン可染性ポリエステル太細マルチフィラメントを下記条件で製織、染色し、染色織編物の発色鮮明性について、5年以上の品位判定経験を有する検査員3名の目視判定にて、その合議により発色鮮明性が「極めて優れている」は5点、「優れている」は4点、「普通」は3点、「劣っている」は2点、「発色鮮明性無し」は1点とし、4点以上を合格とした。
[製織条件]
縦糸 84T−36Fのカチオン可染性ポリエステルマルチフィラメント
緯糸 実施例で得たカチオン可染性ポリエステル太細マルチフィラメント
経密度 50本/inch
[染色条件]
染料 アイゼンカロチンブルーGLH 0.7%O.W.F.
染色助剤 酢酸ソーダ 0.15g/L
酢酸(100%) 0.5mL/L
浴比 1:100
染色 50℃×15分処理の後、1.6℃/分の速度で昇温し、98℃×20分処理する。
前記、製織条件および染色条件にて得た染色織編物について、5年以上の品位判定経験を有する検査員3名の目視判定にて、その合議により濃淡コントラストが「十分大きい」は5点、「大きい」は4点、「普通」は3点、「小さい」は2点、「濃淡コントラスト無し」は1点とし、4点以上を合格とした。
前記、製織条件および染色条件にて得た染色織編物について、5年以上の品位判定経験を有する検査員3名の目視判定にて、その合議により杢調が「十分分散している」は5点、「分散している」は4点、「普通」は3点、「やや局在化している」は2点、「局在化している」は1点とし、4点以上を合格とした。
高次加工の操業性は、カチオン可染性ポリエステル太細マルチフィラメントを用いて織編物を作製する際に、糸切れ回数を仕掛数で除した罰点率が「1.0%未満」は○○、「1.0%以上2.0%未満」は○、「2.0%以上5.0%未満」は△、「5.0%以上」は×とした。○以上が目標レベルである。
25℃オルトクロロフェノール(濃度99.9%)中の固有粘度が0.63のジメチル(5−ナトリウムスルホ)イソフタル酸が全ジカルボン酸に対して1.6モル%、重合工程でモース硬度6、平均粒径0.5μmの酸化チタン一次粒子を0.07質量%添加した改質ポリエチレンテレフタレートを用い、72孔を配列した口金を使用して、図1の工程にて紡糸速度2500m/分で溶融紡糸し、平滑剤有効成分を11.0質量%含む紡糸油剤を1.2質量%塗布したのちに、2糸条取りでドラムに巻き付け、36フィラメント、総繊度が157dtexの高配向未延伸マルチフィラメントを得た。
次に、該高配向未延伸マルチフィラメントを図2に示すような延伸機を使用し、熱ピン9の温度80℃、熱ピンとの接触時間4.6×10−3秒、延伸倍率を(1)式の係数αを0.95として熱ピン延伸後、熱ピン直下の加熱延伸ローラー10(温度120℃)にて熱セットし、フィードローラー11で引取、さらにワインダー12でボビンに巻き取ってカチオン可染性ポリエステル太細マルチフィラメントを得た。
該太細マルチフィラメントのウースター波形を測定し、ウースター太細斑5.2%、繊度変動率幅20%以上の各繊度変動ピークを測定して変動係数CV%を算出したところ9.3%であった。また、沸騰水収縮率は8.0%、破断強度は2.1cN/dtex、タフネスは20.0であった。
該太細マルチフィラメントを製織して染色後、発色鮮明性、濃淡コントラスト、杢調バラツキの官能試験を実施して5段階評価した。結果を表1に示す。得られた織編物は発色鮮明性に極めて優れ、濃淡コントラストも十分大きく、濃染部もしくは淡染部の局在化も見られない安定した杢調が発現した。また、紡糸、延伸および高次加工操業性についても良好であった。
実施例1において使用する無機粒子の含有量を0.01〜3.0質量%としたこと以外は、実施例1と同様にして紡糸・延伸加工実施し、カチオン可染性ポリエステル太細マルチフィラメントを得た。得られたマルチフィラメントの特性を表1に示す。実施例2で得られたマルチフィラメントを用いて作製した織編物は、発色鮮明性に極めて優れ、濃染部や淡染部の局在化のない濃淡コントラストの十分大きな杢調を有しており、紡糸、延伸および高次加工操業性も良好であった。実施例3、4で得られたマルチフィラメントを用いて作製した織編物は発色鮮明性に優れ、濃染部や淡染部の局在化のない濃淡コントラストの大きな杢調を有しており、意匠性素材として問題ないレベルの杢調であった。また、紡糸、延伸および高次加工操業性も良好であった。
実施例1において使用する無機粒子のモース硬度を3および8としたこと以外は、実施例1と同様にして紡糸・延伸加工実施し、カチオン可染性ポリエステル太細マルチフィラメントを得た。得られたマルチフィラメントの特性を表1に示す。実施例5、6で得られたマルチフィラメントを用いて作製した織編物は、発色鮮明性に極めて優れ、濃淡コントラストの十分大きな杢調を有しており、意匠性素材として問題ないレベルの杢調であった。また、実施例5では紡糸、延伸および高次加工操業性は良好レベル、実施例6では紡糸、加工および高次加工操業性は問題ないレベルであった。
実施例1において使用する無機粒子の平均粒径を1.0μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして紡糸・延伸加工実施し、カチオン可染性ポリエステル太細マルチフィラメントを得た。得られたマルチフィラメントの特性を表1に示す。実施例7で得られたマルチフィラメントを用いて作製した織編物は、発色鮮明性に極めて優れ、濃淡コントラストの十分大きな杢調を有しており、意匠性素材として問題ないレベルの杢調であった。また、紡糸および延伸操業性、高次加工操業性は良好であった。
実施例1において使用する紡糸油剤の平滑剤有効成分濃度を6.0および15.0質量%としたこと以外は、実施例1と同様にして紡糸・延伸加工実施し、カチオン可染性ポリエステル太細マルチフィラメントを得た。得られたマルチフィラメントの特性を表2に示す。実施例8、9で得られたマルチフィラメントを用いて作製した織編物は、発色鮮明性に極めて優れ、濃淡コントラストの十分大きな杢調を有しており、意匠性素材として問題ないレベルの杢調であった。また、紡糸および高次加工操業性は良好、延伸操業性は目標レベルであった。
実施例1において使用する紡糸油剤の油剤付着量を0.7および1.6質量%としたこと以外は、実施例1と同じ方法で紡糸・延伸加工を実施し、カチオン可染性ポリエステル太細マルチフィラメントを得た。得られたマルチフィラメントの特性を表2に示す。実施例10で得られたマルチフィラメントを用いて作製した織編物は発色鮮明性に極めて優れ、濃淡コントラストの大きな杢調を有しており、意匠性素材として問題ないレベルの杢調であった。また、紡糸および高次加工操業性は良好、延伸操業性は目標レベルであった。実施例11で得られたマルチフィラメントを用いて作製した織編物は発色性に極めて優れ、濃染部や淡染部の局在化のない濃淡コントラストの十分大きな杢調を有しており、紡糸、加工および高次加工操業性は良好であった。
実施例1において使用する摩擦抵抗体(熱ピン)の温度を74および100℃としたこと以外は、実施例1と同じ方法で紡糸・延伸加工を実施し、カチオン可染性ポリエステル太細マルチフィラメントを得た。得られたマルチフィラメントの特性を表2に示す。実施例12で得られたマルチフィラメントを用いて作製した織編物は発色鮮明性に極めて優れ、濃淡コントラストの十分大きな杢調を有しており、意匠性素材として問題ないレベルの杢調であった。また、紡糸および高次加工操業性は良好、延伸操業性は目標レベルであった。実施例13で得られたマルチフィラメントを用いて作製した織編物は発色鮮明性に極めて優れ、濃染部や淡染部の局在化のない濃淡コントラストの大きな杢調を有しており、意匠性素材として問題ないレベルの杢調であった。また、紡糸、延伸および高次加工操業性は良好であった。
実施例1において摩擦抵抗体と走行糸条との接触時間を3.0×10−3および6.0×10−3秒としたこと以外は、実施例1と同じ方法で紡糸・延伸加工を実施し、カチオン可染性ポリエステル太細マルチフィラメントを得た。得られたマルチフィラメントの特性を表2に示す。実施例14で得られたマルチフィラメントを用いて作製した織編物は発色鮮明性に極めて優れ、濃染部や淡染部の局在化のない濃淡コントラストの大きな杢調を有しており、意匠性素材として問題ないレベルの杢調であった。また、紡糸および高次加工操業性は良好、延伸操業性は目標レベルであった。実施例15で得られたマルチフィラメントを用いて作製した織編物は発色鮮明性に極めて優れ、濃淡コントラストの十分大きな杢調を有しており、意匠性素材として問題ないレベルの杢調であった。また、紡糸、延伸および高次加工操業性は良好であった。
実施例1において使用する高配向未延伸マルチフィラメントの紡糸速度を2000および3200m/minとしたこと以外は、実施例1と同じ方法で紡糸・延伸加工を実施し、カチオン可染性ポリエステル太細マルチフィラメントを得た。得られたマルチフィラメントの特性を表3に示す。実施例16で得られたマルチフィラメントを用いて作製した織編物は発色鮮明性に極めて優れ、濃淡コントラストの十分大きな杢調を有しており、意匠性素材として問題ないレベルの杢調であった。また、紡糸、延伸および高次加工操業性は良好であった。実施例17で得られたマルチフィラメントを用いて作製した織編物は発色鮮明性に極めて優れ、濃染部や淡染部の局在化のない濃淡コントラストの大きな杢調を有しており、意匠性素材として問題ないレベルの杢調であった。また、紡糸、延伸および高次加工操業性は良好であった。
実施例1において延伸倍率における係数αを0.80および1.10としたこと以外は、実施例1と同じ方法で紡糸・延伸加工を実施し、カチオン可染性ポリエステル太細マルチフィラメントを得た。得られたマルチフィラメントの特性を表3に示す。実施例18で得られたマルチフィラメントを用いて作製した織編物は発色鮮明性に極めて優れ、濃淡コントラストの十分大きな杢調を有しており、意匠性素材として問題ないレベルの杢調であった。また、紡糸、延伸および高次加工操業性は良好であった。実施例19で得られたマルチフィラメントを用いて作製した織編物は発色鮮明性に極めて優れ、濃染部や淡染部の局在化のない濃淡コントラストの大きな杢調を有しており、意匠性素材として問題ないレベルの杢調であった。また、紡糸、延伸および高次加工操業性は良好であった。
実施例1において熱セット温度を110および140℃としたこと以外は、実施例1と同じ方法で紡糸・延伸加工を実施し、カチオン可染性ポリエステル太細マルチフィラメントを得た。得られたマルチフィラメントの特性を表3に示す。実施例20で得られたマルチフィラメントを用いて作製した織編物は発色鮮明性に極めて優れ、濃淡コントラストの十分大きな杢調を有しており、意匠性素材として問題ないレベルの杢調であった。また、紡糸操業性は良好であり、延伸および高次加工操業性は目標レベルであった。実施例21で得られたマルチフィラメントを用いて作製した織編物は発色鮮明性に極めて優れ、濃淡コントラストの十分大きな杢調を有しており、意匠性素材として問題ないレベルの杢調であった。また、紡糸、延伸および高次加工操業性は良好であった。
実施例1において重量平均分子量1000のポリエチレングリコールを重合前に添加して共重合させ、ポリエチレングリコール含有量をポリエステルに対して1.2質量%とした以外は、実施例1と同じ方法で紡糸・延伸加工を実施し、カチオン可染性ポリエステル太細マルチフィラメントを得た。得られたマルチフィラメントの特性を表3に示す。実施例22で得られたマルチフィラメントを用いて作製した織編物は発色鮮明性に極めて優れ、濃染部や淡染部の局在化のない濃淡コントラストの十分大きな杢調を有しており、意匠性素材として問題ないレベルの杢調であった。また、紡糸、延伸および高次加工操業性も極めて良好であった。
イソフタル酸成分量を全ジカルボン酸に対し1.0モル%としたこと以外は、実施例1と同様にして紡糸・延伸加工を実施し、カチオン可染性ポリエステル太細マルチフィラメントを得た。得られたマルチフィラメントの特性を表4に示す。マルチフィラメントを用いて作製した織編物は、発色鮮明性に劣り、濃染部や淡染部の局在化はないものの、濃淡コントラストの小さな杢調を有しており、意匠性素材としては特徴に欠ける杢調であった。
実施例1において使用する無機粒子のモース硬度を比較例2では2、比較例3では9としたこと以外は、実施例1と同様にして紡糸・延伸加工実施し、カチオン可染性ポリエステル太細マルチフィラメントを得た。得られたマルチフィラメントの特性を表4に示す。比較例2で得られたマルチフィラメントを用いて作製した織編物は、発色鮮明性に極めて優れ、濃淡コントラストの十分大きな杢調を有していたが、濃染部や淡染部の局在化が見られ、意匠性素材としては扱いにくい杢調であった。比較例3で得られたマルチフィラメントを用いて作製した織編物は、発色鮮明性に極めて優れ、濃淡コントラストの十分大きな杢調を有していたが、濃染部や淡染部の局在化が見られ、意匠性素材としては扱いにくい杢調であった。更に、無機粒子のモース硬度が高いため各工程での設備損傷が激しく、磨耗による毛羽や風綿が多発して、延伸および高次加工操業性は目標未達であった。
実施例1において使用する無機粒子の平均粒径を1.2μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして紡糸・延伸加工を実施し、カチオン可染性ポリエステル太細マルチフィラメントを得た。得られたマルチフィラメントの特性を表4に示す。得られたマルチフィラメントを用いて作製した織編物は、発色鮮明性に極めて優れ、濃淡コントラストの十分大きな杢調を有していたが、高次加工工程において糸切れによる停台や、毛羽および風綿の発生等が見られ、高次加工操業性は目標未達であった。
実施例1において使用する紡糸油剤の平滑剤有効成分濃度を比較例5では4.6質量%、比較例6では15.7質量%としたこと以外は、実施例1と同様にして紡糸・延伸加工実施し、カチオン可染性ポリエステル太細マルチフィラメントを得た。得られたマルチフィラメントの特性を表5に示す。比較例5で得られたマルチフィラメントを用いて作製した織編物は、発色鮮明性に極めて優れ、濃淡コントラストの大きな杢調であったが濃染部の局在化が散見され、意匠性素材としては扱いにくい杢調であった。また、平滑性低下に伴って、紡糸、延伸および高次加工工程にて毛羽や風綿が多発し、いずれの操業性も目標未達となった。比較例6で得られたマルチフィラメントを用いて作製した織編物は、発色鮮明性に極めて優れ、濃淡コントラストの大きな杢調であったが濃染部の局在化が散見され、意匠性素材としては扱いにくい杢調であった。また、延伸および高次加工工程において平滑剤由来のタールが糸条走行部分に析出し、糸切れや製品汚れ等が多発して延伸および高次加工操業性が目標未達であった。
実施例1において使用する紡糸油剤の付着量を比較例7では0.6質量%、比較例8では1.7質量%としたこと以外は、実施例1と同じ方法で紡糸・延伸加工を実施し、カチオン可染性ポリエステル太細マルチフィラメントを得た。得られたマルチフィラメントの特性を表5に示す。比較例7、8で得られたマルチフィラメントを用いて作製した織編物は発色鮮明性に極めて優れ、濃淡コントラストの十分大きな杢調を有していたが、濃染部の局在化が見られ、意匠性素材としては扱いにくい杢調であった。比較例7では油剤付着量低下に伴って、紡糸、延伸および高次加工工程における走行糸条と設備との擦化による糸切れ、毛羽や風綿の発生等が見られ、延伸および高次加工操業性は目標未達であった。比較例8では油剤付着量過多によって、油剤由来のタールが糸条走行部分に析出し、糸切れや製品汚れ等が多発して延伸および高次加工操業性が目標未達であった。
2:チムニー
3:給油ガイド
4:第1インターレースノズル
5:引取ローラー
6:第2インターレースノズル
7:高配向未延伸糸
8:フィードローラー
9:摩擦抵抗体(熱ピン)
10:加熱延伸ローラー
11:フィードローラー
12:ワインダー
A:定応力伸張域の伸び
B:破断までの伸び
a:ウースター波形チャートのベースライン
b:ウースター波形チャートのベースラインから繊度変動率+20%を示す直線
Claims (3)
- マルチフィラメント長手方向の繊度斑に由来するウースター太細斑が3〜12%で、かつ沸騰水収縮率が2〜20%であり、共重合成分として金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成分をポリエステルの全ジカルボン酸成分に対して1.1〜3.2モル%含有したカチオン可染性ポリエステル太細マルチフィラメントにおいて、ウースター波形の繊度変動ベースラインからの繊度変動率幅20%以上の繊度変動ピークの個数の変動係数CV%が12%以下であることを特徴とするカチオン可染性ポリエステル太細マルチフィラメント。
- ウースター波形の繊度変動ベースラインからの繊度変動率幅20%以上の繊度変動ピーク個数の平均値が1〜10個/mである請求項1に記載のカチオン可染性ポリエステル太細マルチフィラメント。
- 破断強度が1.9〜2.5cN/dtex、タフネスが19.0以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のカチオン可染性ポリエステル太細マルチフィラメント。
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