JP2018162378A - 発光体組成物、及び、発光体樹脂成形物 - Google Patents

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司 鳥本
達矢 亀山
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達矢 亀山
裕紀 ▲桑▼山
裕紀 ▲桑▼山
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康晴 大野
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Shin Takahashi
伸 高橋
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Abstract

【課題】透明性に優れ、量子ドットの発光消光が抑制された硬化物が得られる発光体組成物、及び、前記発光体組成物を硬化させてなる発光体樹脂成形物を提供すること。【解決手段】シアノアクリレート化合物、及び、量子ドットを含む発光体組成物、並びに、前記発光体組成物を硬化させてなる発光体樹脂成形物。前記発光体組成物は、安定剤を更に含むことが好ましい。また、前記量子ドットは、ZnXとAgInX2との固溶体(XはS、Se、又は、Teを表す。)からなる半導体ナノ粒子であることが好ましい。【選択図】図2

Description

本発明は、発光体組成物、及び、発光体樹脂成形物に関する。
太陽電池は、通常、短波長帯域の感度特性が低く、太陽光を有効に利用できていない。そのため、発光体等の波長変換材料を用いて感度特性の低い短波長帯域の光を感度特性の高い長波長帯域の光に変換させ、太陽光の利用効率を向上させる試みは以前から行われている。
中でも無機半導体ナノ粒子(量子ドット)は、次に挙げる利点があり、特に注目されている。1)有機色素発光体とは異なり、量子ドットはその吸収端よりも短波長側に幅広い吸収帯を持つために様々な励起光波長を使うことができる;2)一般的な有機溶媒への分散性;3)発光波長を、コアサイズによって容易に調整できること;4)無機材料であるために比較的高い安定性をもつためである。
例えば、特許文献1には、複数の量子ドットが、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、ポリスチレン、ポリカーボネート、ゾル・ゲル、UV硬化樹脂及びエポキシ等の熱硬化性樹脂により構成されたマトリックス材中に分散されたフラッシュ・モジュールが記載されている。
また、特許文献2には、赤色発光量子ドットを、メチルセルロース、エチルセルロース、ニトロセルロースなどのセルロース系高分子、ポリメチルメタクリレートなどのアクリレート系高分子、エポキシ系高分子、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアルコール系高分子、PDMS(polydimethyl siloxane)などの有機バインダ中に分散させた赤色発光量子ドット層を有する多層構造の白色発光ダイオードが記載されている。
また、特許文献3には、発光性無機ナノ粒子を、ポリシロキサン、フルオロエラストマー、ポリアミド、ポリイミド、カプロラクトン、カプロラクタム、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセテート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、及びポリメタクリルアミド等の高分子材料に分散させた、発光性無機ナノ粒子を含有する組成物が記載されている。
特開2006−114909号公報 特開2007−281484号公報 特表2009−536679号公報
しかしながら、発光体である量子ドットは、極めて大きな比表面積をもつために、反応性が高く凝集が起こりやすい。この問題を克服するために、量子ドットの表面はキャッピング剤で被覆され不動態化されている。すなわち、量子ドットのコア粒子表面は有機不動態層で被覆されている。キャッピング剤としてはコア表面の金属原子に共有結合し得るLewis塩基の化合物が用いられる。
しかしながら、量子ドットは、なお大気中に含まれる酸素等により劣化されやすく、そのために上記各特許文献のように、量子ドットをポリマー中に分散して保護する必要があった。
しかし、ポリマーマトリクス中に量子ドットを分散させると、量子ドットの発光がおおきく消光されてしまうという新たな問題があることを本発明者らは見出した。これは、例えば上記ポリマーが、量子ドットの表面に結合した、凝集防止等を目的とする有機不動態層の性能を低下させることに起因すると本発明者らは考えている。
本発明が解決しようとする課題は、透明性に優れ、量子ドットの発光消光が抑制された硬化物が得られる発光体組成物、及び、前記発光体組成物を硬化させてなる発光体樹脂成形物を提供することである。
上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> シアノアクリレート化合物、及び、量子ドットを含む発光体組成物。
<2> 安定剤を更に含む前記<1>に記載の発光体組成物。
<3> 前記量子ドットが、ZnXとAgInXとの固溶体(Xはそれぞれ独立に、S、Se、又は、Teを表す。)からなる半導体ナノ粒子である、前記<1>又は<2>に記載の発光体組成物。
<4> 前記<1>〜<3>のいずれか1つに記載の発光体組成物を硬化させてなる発光体樹脂成形物。
本発明によれば、透明性に優れ、量子ドットの発光消光が抑制された硬化物が得られる発光体組成物、及び、前記発光体組成物を硬化させてなる発光体樹脂成形物を提供することができる。
実施例におけるサンプル(a)〜サンプル(d)を用いてスライドガラス上に作製したZAIS量子ドット/ポリマー複合薄膜の吸収スペクトルを示す。 実施例におけるサンプル(e)を用いてスライドガラス上に作製したZAIS量子ドット/ポリマー複合薄膜の吸収スペクトルを示す。 実施例におけるサンプル(a)〜サンプル(d)又はクロロホルム中のZAIS量子ドットの発光スペクトルと発光量子収率を示す。 実施例におけるサンプル(e)の発光スペクトルと発光量子収率を示す。 実施例において測定した青色LED光照射によるZAIS量子ドットの発光ピーク強度の経時変化の測定結果を示す。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施形態に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本発明において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
また、本発明において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。
(発光体組成物)
本発明の発光体組成物は、シアノアクリレート化合物、及び、量子ドットを含む。
本発明者らが鋭意検討した結果、上記構成をとることにより、透明性に優れ、量子ドットの発光消光が抑制された硬化物が得られる発光体組成物を提供できることを見出した。
これによる優れた効果の作用機構は明確ではないが、以下のように推定している。
シアノアクリレート化合物は、シアノ基を有することにより、単純なアクリレート化合物よりも極性を有しており、量子ドットの分散性が向上し、得られる硬化物における透明性に優れると推定している。
また、詳細は不明であるが、量子ドット表面において、シアノアクリレート化合物が優れた有機不動態層として作用し、量子ドットの発光消光が抑制されると推定している。
<シアノアクリレート化合物>
本発明の発光体組成物は、シアノアクリレート化合物を含む。
本発明に用いられるシアノアクリレート化合物としては、硬化性、透明性及び発光消光の観点から、2−シアノアクリレート化合物であることが好ましい。
本発明に用いられる2−シアノアクリレート化合物(2−シアノアクリル酸エステル化合物)とは、瞬間接着剤として広く用いられているシアノアクリレート系接着剤の主成分(例えば、東亞合成(株)製アロンアルフア#201には95質量%以上含まれている。)として用いられているものであり、下記のエステルを具体的に挙げることができる。
本発明においては、2−シアノアクリレート化合物を1種単独であるいは2種以上併用して用いることも可能であり、また、市販のシアノアクリレート系接着剤そのものを2−シアノアクリレート化合物として使用することも可能である。
本発明に用いられる2−シアノアクリレート化合物としては、2−シアノアクリル酸のメチル、エチル、クロロエチル、n−プロピル、i−プロピル、アリル、プロパギル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、フエニル、テトラヒドロフルフリル、ヘプチル、2−エチルヘキシル、n−オクチル、ノニル、オキソノニル、デシル、n−ドデシル、エトオキシエチル、3−メトオキシブチル、エトオキシエトキシエチル、トリフルオロエチル、ヘキサフルオロイソプロピル等のエステルが好ましく挙げられる。
本発明の発光体組成物におけるシアノアクリレート化合物の含有量は、硬化性、透明性及び発光消光の観点から、発光体組成物の全質量に対し、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましく、95質量%以上であることが特に好ましい。
<量子ドット>
本発明の発光体組成物は、発光体として、量子ドットを含む。
本発明に用いられる量子ドットの材料としては、特定のタイプの発光ナノ粒子に限定されない。他の好ましい実施形態では、量子ドットは、半導体材料である。
半導体材料としては、周期表の2族〜16族の1又は複数の元素を組み込んでよく、二元材料、三元材料、四元材料及び五元材料、すなわち、それぞれ2、3、4及び5つの異なる元素を組み込んだ材料を含んでいてよい。例えば、量子ドットは、半導体材料を組み込んでよく、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、InP、InAs、InSb、AlP、AlS、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、PbS、PbSe、Si、Geなどの半導体や、更に、ZnXとAgInXとの固溶体(Xはそれぞれ独立に、S、Se、又は、Teを表す。)、ZnXとCuInXとの固溶体(Xはそれぞれ独立に、S、Se、又は、Teを表す。)、及び、それらの組合せなどを組み込んでよいが、これらに限られない。
これらの中でも、カドミウムを含まない材料からなる量子ドットであることが好ましい。カドミウムを含まないことにより、潜在的な毒性及び環境への影響に対する懸念が生じない。
カドミウムを含まない材料からなる量子ドットの例としては、ZnS、ZnSe、ZnTe、InP、InAs、InSb、AlP、AlS、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、PbS、PbSe、Si、Geなどの半導体材料を少なくとも含む量子ドットが好ましく挙げられ、経済的な観点から、ZnSを含む量子ドットが特に好ましい。
また、量子ドットは、透明性及び発光消光の観点から、ZnXとAgInXとの固溶体(Xはそれぞれ独立に、S、Se、又は、Teを表す。)、又は、ZnXとCuInXとの固溶体(Xはそれぞれ独立に、S、Se、又は、Teを表す。)からなる半導体ナノ粒子であることが好ましく、ZnSとAgInSとの固溶体からなる半導体ナノ粒子であることが特に好ましい。
本発明に用いられる量子ドットの算術平均粒径は、発光性及び透明性の観点から、100nm未満であることが好ましく、50nm未満であることがより好ましく、20nm未満であることが更に好ましく、15nm未満であることが特に好ましく、2nm〜10nmであることが最も好ましい。
本発明における量子ドットの算術平均粒径の測定方法は、透過型電子顕微鏡(TEM)により観察し、100個以上の粒子について粒径(最大径)を測定し、平均値をとるものとする。
本発明においては、量子ドットを1種単独であるいは2種以上併用して用いることができる。
本発明の発光体組成物における量子ドットの含有量は、発光性及び透明性の観点から、発光体組成物の全質量に対し、1×10−5質量%〜10質量%であることが好ましく、3×10−5質量%〜0.1質量%であることがより好ましい。
<その他の成分>
本発明の発光体組成物は、シアノアクリレート化合物、及び、量子ドット以外のその他の成分を含有していてもよい。
具体的には、例えば、多くの2−シアノアクリレート系接着剤には、安定剤、増粘剤、可塑剤、架橋剤、着色剤などが添加されているが、本発明の発光体組成物も、これらを同様に添加されているものであってもよい。
また、その他の成分として、有機溶媒を含有していてもよい。有機溶媒としては、公知の有機溶媒を用いることができる。また、有機溶媒は、活性水素を有しない有機溶媒であることが好ましい。
中でも、本発明の発光体組成物は、保存安定性の観点から、安定剤を更に含むことが好ましい。
安定剤としては、SO、スルホン酸類、サルトン、ラクトン、弗化硼素、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、カテコール、ピロガロールなどが好ましく挙げられる。
本発明においては、安定剤を1種単独であるいは2種以上併用して用いることができる。
本発明の発光体組成物における安定剤の含有量は、保存安定性及び透明性の観点から、発光体組成物の全質量に対し、0.1ppm〜1質量%であることが好ましく、1ppm〜100ppmであることがより好ましい。
<発光体組成物の硬化>
本発明の発光体組成物を硬化する方法としては、特に制限はなく、公知のシアノアクリレート化合物の硬化方法を用いることができる。
具体的には例えば、本発明の発光体組成物を、空気中の水分又は重合開始剤により硬化する方法が好ましく挙げられる。
重合開始剤としては、シアノアクリレート化合物の硬化に用いられる公知の重合開始剤を用いることができる。
また、重合開始剤としては、活性水素を有する化合物が好ましく挙げられる。
活性水素を有する化合物としては、アミン化合物、及び、アルコール化合物が好ましく挙げられ、アミン化合物がより好ましく挙げられる。中でも、オレイルアミンが特に好ましく挙げられる。
重合開始剤による本発明の発光体組成物の硬化は、例えば、重合開始剤及び有機溶媒を含む溶液と、本発明の発光体組成物を接触させ(好ましくは混合し)、必要に応じて、加熱することにより行うことができる。
有機溶媒としては、活性水素を有しない有機溶媒が好ましく、炭化水素系有機溶媒又はハロゲン系炭化水素有機溶媒がより好ましく、ハロゲン系炭化水素有機溶媒が更に好ましい。
加熱温度は、特に制限はないが、硬化が進行し、また、使用した有機溶媒が少なくとも揮発する温度が好ましく挙げられる。具体的には、30℃以上100℃以下であることが好ましい。
また、重合開始剤としてアミン化合物を用いた場合、本発明の発光体組成物中にアミン化合物濃度が好ましくは0.12mol/L以下、より好ましくは0.06mol/L以下となるように添加し、好ましくは1日〜14日、より好ましくは5日〜10日かけて、ゆっくり硬化させる硬化方法が好ましく挙げられる。上記方法であると、平坦性に優れ、透明性により優れた硬化膜が容易に得られる。
(発光体樹脂成形物)
本発明の発光体樹脂成形物は、本発明の発光体組成物を硬化させてなる発光体樹脂成形物である。すなわち、本発明の発光体樹脂成形物は、シアノアクリレートの硬化物、及び、量子ドットを含み、シアノアクリレートの硬化物に量子ドットが分散したものであることが好ましい。
本発明の発光体樹脂成形物の形状は、特に制限はなく、所望の形状とすることができる。
また、本発明の発光体樹脂成形物は、本発明の発光体組成物を所望の形状とし、硬化したものであってもよいし、本発明の発光体組成物を硬化した後、所望の形状に加工したものであってもよい。
本発明の発光体樹脂成形物は、量子ドットを使用する種々の用途に用いることができる。中でも、太陽光中に含まれる紫外光〜青色光(波長:約300nm〜450nm)を、より長波長の黄色光〜近赤外光波長:約600nm〜1,200nm)に変換する波長変換素子として有用であり、太陽電池の発光型集光器として好適に使用することができる。例えば、“Better Luminescent Solar Panels in Prospect”, M. Debije, Nature, Vol. 519, pp.298-299 (2015)、及び、“Quantum dots for Luminescent Solar Concentrators”, F. Purcell-Milton, Y. K. Gun’ko, J. Mater. Chem., vol. 22, pp. 16687-16697 (2012)を参照することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。ただし、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1、及び、比較例1〜4)
<ZnSとAgInSとの固溶体(ZAIS)(組成:(AgIn)Zn2(1−x))からなる量子ドットの調製>
固溶体組成x=0.50のZAIS量子ドットを以下の手順で合成した。
金属源として酢酸銀(AgOAc)、酢酸インジウム(In(OAc))、酢酸亜鉛(Zn(OAc))金属モル比が0.5:0.5:1.5となるように合計0.20mmol試験管に量りとった。また硫黄源としてチオ尿素0.20mmolも同じ試験管に加えた。次に溶媒として、1−ドデカンチオール(DDT)(0.15cm)とオレイルアミン(OLA)(2.85cm)とを加えた。試験管内に回転子を加え、窒素ガスで脱気した後、250℃に設定したホットスターラーで10分間加熱、撹拌した。室温(10〜35℃、以下同様)まで空冷後、得られた懸濁液を4,000rpm(回転/分)で5分間、遠心分離して上澄みを回収した。この上澄み溶液に、メタノールを加えて粒子を沈殿させた。更にこの沈殿にクロロホルム(約3cm)を添加して均一に溶解させた後、メタノールを加えて再沈殿させて、ZAIS量子ドットを得た。TEM観察から、球状粒子が生成し、その平均粒径は3.8nmと求まった。得られた量子ドットを、クロロホルムに均一に分散させ、波長400nmの吸光度が0.3(光路長0.10cm)となるように調整した。この時のZAISナノ粒子の濃度は4.7×10−6mol/Lであった。
(1)透明性の評価
(1−1)ZAIS量子ドット/ポリマー複合薄膜の作製
<サンプル(a)〜(c)の調製>
ZAIS量子ドットクロロホルム溶液(ナノ粒子の濃度:4.7×10−6mol/L)に、ポリマーとして、ポリスチレン(和光純薬工業(株)製、サンプル(a))、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)(和光純薬工業(株)製、サンプル(b))、又は、ポリメタクリル酸ブチル(Aldrich社製、サンプル(c))を、0.1g加えて均一に溶解させた。得られた溶液をスライドガラスに塗布し乾燥させた。ここでポリマーに対してZAISナノ粒子は、1.1×10−3質量%となるように加えている。得られた複合体薄膜の厚さは、マイクロメータで測定した結果、約0.03mmであった。
<サンプル(d)の調製>
5mLのメタクリル酸メチル(MMA)(和光純薬工業(株)製)とアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)(和光純薬工業(株)製)(MMAに対して0.2%wt/wt)とをサンプル瓶内(日電理化硝子(株)製S−5)で混合した後、粒子濃度が4.7×10−6mol/LであるZAIS量子ドットクロロホルム溶液1.0cmを加えた。この混合溶液を80℃で3時間加熱することで、MMAをラジカル重合させ、ZAIS量子ドットを取り込んだPMMAを作製した。得られた複合体薄膜の厚さは、約0.03mmであった。
<サンプル(e)の調製>
粒子濃度が7.0×10−6mol/LであるZAIS量子ドットクロロホルム溶液1.0cmにシアノアクリル酸エチルを95質量%以上含むアロンα(アロンアルフア#201、東亞合成(株)製)を0.5cm加えて均一に混合し、ZAIS量子ドット表面の安定化剤としてクロロホルム中に微量に含まれるオレイルアミン(東京化成工業(株))により、シアノアクリル酸エチルを重合させ、ZAIS粒子を取り込んだポリシアノアクリル酸エチル(PECA)を作製した。スライドガラス上に量子ドット/ポリマー薄膜を形成させるときには、このZAIS量子ドット/アロンα混合溶液をスライドガラス上に塗布し、ゆっくりと重合させて硬化させた。得られた複合体薄膜の厚さは、0.03mmであった。
(1−2)ZAIS量子ドット/ポリマー複合体の光学特性
吸収スペクトル測定には、紫外可視分光光度計(アジレントテクノロジー社製Agilent 8453A)を用いた。ポリマー又はモノマーとZAISナノ粒子の混合試薬をスライドガラス上に滴下し、乾燥あるいは硬化させて作製したサンプルの吸収スペクトルからスライドガラスのみの吸収スペクトルを差し引くことで、量子ドット/ポリマー複合体からなる薄膜の吸収スペクトルを得た。
いずれのポリマーをマトリックスとして用いた場合においても、得られた複合体は黄色を呈しており、固溶体組成比x=0.50のZAISナノ粒子がポリマーマトリックス中に取り込まれていることが確認できた。しかし、PECAをマトリクスとした複合体薄膜は透明であったものの、これ以外のポリスチレン、PMMA、ポリメタクリル酸ブチル、およびモノマーから作製したPMMAをマトリックスとした場合では、得られた複合体薄膜はいずれも白濁しており、透明度が低いことが観察できた。これは、図1及び図2に示す吸収スペクトルからも確認できる。ZAIS量子ドットの吸収が見られない500nm以上の波長領域において、マトリックスとしてPECAを用いた複合体薄膜(サンプル(e)、図2)では、吸光度が0.05以下となり、これより計算される膜の透過率は約90%以上となる。さらにその吸収スペクトルの形状もクロロホルム中におけるZAIS量子ドットの吸収スペクトルとほとんど変わらなかった。一方、図1に示すように、サンプル(a)〜サンプル(d)の薄膜は可視光波長の全領域において、0.2以上の大きな吸光度を示し、透過率が約60%以下となるために、非常に透明度が低い。これは、ポリマーマトリックス内にZAIS量子ドットを取り込む際に、量子ドットとポリマーが相分離し、量子ドット同士が二次粒子を形成して凝集したためである。これらのことから、PECAマトリクス中で、ZAIS量子ドットが相分離せずに均一に分散していることが示唆される。
なお、図1及び図2には、比較のために、クロロホルム中に均一に分散したZAIS量子ドットの吸収スペクトルも示した。
また、図1及び図2における縦軸は、吸光度(Absorbance)を表し、横軸は、測定波長(Wavelength、単位:nm)を表す。
(1−3)透明性の評価基準
前記ZAIS量子ドット/ポリマー複合体の光学特性において測定した吸収スペクトルから透明性を以下の指標で評価した。
波長500nm〜800nmでの複合体薄膜の吸光度が0.1以下(透過率80%以上)ものを透明性○、吸光度が0.1よりも大きいもの(透過率80%未満)を透明性×とした。
(2)発光性(消光抑制性)の評価
マトリックスの発光スペクトルは、倒立蛍光顕微鏡(オリンパス(株)製IX71)とマルチチャンネル分光器(PMA)(浜松ホトニクス(株)製C10027−02)を組み合わせた測定系を用い、得られたサンプルを蛍光顕微鏡上に固定し、励起波長365nmにて行った。発光量子収率測定は、絶対発光量子収率測定装置(浜松ホトニクス(株)
製C9920−02)を用い、励起波長400nmにて行った。
(2−1)発光性(消光抑制性)の評価基準
発光性を以下の基準で評価した。評価結果をまとめて表1に示す。
○:クロロホルム中のZAIS量子ドットの発光量子収率φに対して、80%以上のφを与えるZAIS量子ドット/ポリマー複合体薄膜。
△:クロロホルム中のZAIS量子ドットの発光量子収率φに対して、50%以上80%未満のφを与えるZAIS量子ドット/ポリマー複合体薄膜。
×:クロロホルム中のZAIS量子ドットの発光量子収率φに対して、50%未満のφを与えるZAIS量子ドット/ポリマー複合体薄膜。
(2−2)測定結果
ポリメタクリル酸ブチルを用いた場合(サンプル(c))以外は、膜中に取り込まれたZAIS粒子が発光した。
図3及び図4に、ZAIS量子ドット/ポリマー複合薄膜の発光スペクトルを示す。発光スペクトルは、ポリメタクリル酸ブチルをZAISナノ粒子のマトリックスとして用いた場合、発光ピーク波長が大きく短波長へシフトし、溶液中と比べて、発光特性が変化したことを確認した。他のマトリックスは、発光ピークがクロロホルム中におけるZAISナノ粒子の発光ピーク位置、600nmに一致した。しかしながら、発光量子収率(φ)は、PECAをマトリックスとして用いた場合(サンプル(e))のみ、クロロホルム中(φ=39%)と近い値を示し、他のマトリックスを用いた場合(サンプル(a)〜サンプル(d))では、クロロホルム中よりも低い値を示した。このように、発光スペクトルの形状が溶液中と変わらず、発光量子収率も変わらなかったことから、PECAをマトリックスとして用いた場合は、モノマーであるシアノアクリル酸エチルの重合反応がZAIS量子ドットの分散性と発光特性に大きな影響を与えないことがわかった。
なお、図3及び図4における縦軸は、PL発光強度(PL Intensity(normalized))を表し、横軸は、測定波長(Wavelength、単位:nm)を表す。また、図中の数字φは、発光量子収率を示す。
表1に示すように、本発明の発光体組成物を用いた実施例1は、透明性に優れ、量子ドットの発光消光が抑制された硬化物が得られることがわかる。
(3)励起光照射時間に伴うZAIS量子ドット/ポリマー薄膜の発光変化
(3−1)サンプル合成
(a)マトリックスとしてポリマーのPMMA又はポリスチレンを用いた場合
作製したZAIS粒子の濃度を変更し、波長400nmの光の吸光度を0.02(光路長0.1cm)に調整した。この時、ZAISナノ粒子の濃度は3.6×10−7mol/Lである。この調整した量子ドット分散溶液2.0cmをサンプル瓶(日電理化硝子(株)製S−5)に移し替え、更にそこにポリマーのPMMA、又は、ポリスチレンを加えて混合し、大気下、暗所で一週間ほど乾燥させ、固化させた。この時、ポリマーに対してZAISナノ粒子は、8.7×10−5質量%加えていることとなる。また、サンプル瓶内(底面0.75×0.75cm)に作製したZAIS量子ドット/ポリマー複合体の膜厚は、両サンプルともに約0.2cmであった。
(b)マトリックスとしてPECAを用いた場合
作製したZAIS粒子を400nmでの吸光度を0.03(光路長0.1cm)に調整した。この時、ZAISナノ粒子の濃度は5.2×10−7mol/Lである。この調整した量子ドット分散溶液1.5cmをサンプル瓶(日電理化硝子(株)製S−5)に移し替え、更にそこにアロンα(アロンアルフア#201、東亞合成(株)製)を0.5cm加え、大気下、暗所で一週間重合させ、硬化させた。サンプル瓶内(底面0.75×0.75cm)に作製したZAIS量子ドット/ポリマー複合体の膜厚は約0.5cmであった。
(3−2)青色LED光照射による発光強度の変化
前記(3−1)でサンプル瓶内に作製したZAIS量子ドット/ポリマー複合体に、青色LED光(波長:460nm、光強度:4.6mW/cm)を照射し、ZAIS量子ドットの発光スペクトル、及び、その強度の変化を測定した。いずれの場合にも、発光ピーク波長は照射時間にほとんどよって変化しなかったが、発光強度は大きく減少した。
図5に、青色LED光照射によるZAIS量子ドットの発光ピーク強度の経時変化を示す。
図5の縦軸は、光照射前の薄膜の発光強度に対する、青色LED光照射後の薄膜の発光強度の相対値(Intensity)を表し、横軸は、光照射開始からの経過時間(Irradiation time、単位:時間(h))を表す。
透明性の低いマトリックスであるPMMA又はポリスチレンを用いた複合体薄膜では照射50時間で発光しなくなった。これは、ポリマーマトリクス中で、ZAIS量子ドットが凝集して二次粒子を形成しているため、粒子中に光生成した正孔によって隣接する量子ドットがダメージをうけ、無輻射再結合を引き起こす欠陥サイトがZAIS量子ドット中に形成されるためと考えられる。一方、PECAをマトリックスとした複合体薄膜の場合、700時間の光照射後も複合体はある程度発光していた。PECAをマトリクスとして用いた場合では量子ドットが均一に分散しているために、量子ドット間の距離が非常に長く、粒子間での電子・正孔移動が起こりにくい。これによって、隣接する量子ドット間での正孔の移動に由来するZAIS量子ドットのダメージが少なく、他のマトリックスを用いた複合薄膜よりも高い耐光性を示したと考えられる。
本発明の発光体組成物は、透明性に優れ、量子ドットの発光消光が抑制された硬化物を得ることができ、太陽電池の発光型集光器などに好適に使用することできる。

Claims (4)

  1. シアノアクリレート化合物、及び、量子ドットを含む
    発光体組成物。
  2. 安定剤を更に含む請求項1に記載の発光体組成物。
  3. 前記量子ドットが、ZnXとAgInXとの固溶体(Xはそれぞれ独立に、S、Se、又は、Teを表す。)からなる半導体ナノ粒子である、請求項1又は請求項2に記載の発光体組成物。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発光体組成物を硬化させてなる発光体樹脂成形物。
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