JP2018160410A - 電池 - Google Patents
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Abstract
Description
上記特許文献3に記載のシートは、透水性が高く上記電池において一定の放電性能が期待できるが、微孔を有するため亜鉛デンドライトが貫通しやすく、電極間の短絡を防止して電池をより長寿命化するための工夫の余地があった。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
本発明の電池は、放電反応で水が反応する正極、充放電に伴って形態変化が起こる負極、正極と負極との間を絶縁するセパレータ、及び、電解質を含んで構成される。セパレータは、2層以上の構造を有し、正極側の層の保水性が、正極側の層よりも負極側にある層の少なくとも1層の保水性よりも高く、該セパレータの少なくとも1層の透気度がガーレー値で1000秒以上である。
放電反応で水が反応する正極を含んで構成される電池の一例として、ニッケル亜鉛電池を挙げて説明する。ニッケル亜鉛電池の正負極それぞれの放電反応は下記反応式で表される。
ニッケル正極:NiOOH+H2O+e−→Ni(OH)2+OH−
亜鉛負極:Zn+4OH−→Zn(OH)4 2−+2e−
V=X/S[mol/hour・cm2]=18/3600×X[g/sec・cm2]
=0.005×X[cm/sec](※水の比重を1とし、1g=1cm3で換算)
更に、CレートをA[C]とすれば、瞬発的に必要なH2O量はそのA倍になる。なお、本明細書中、単位面積とは、正極とセパレータの層とが互いに対向する部分の面の単位面積を言う。
このように、放電性能を高めるためには充分な量の水が正極近傍の部材から供給されることが重要である。本発明の電池では、セパレータの正極側の層から正極に水を供給する。なお、これにより電極間間隔を一定に維持することも可能である。以下では、本発明の電池を構成するセパレータ、正極、負極、及び、電解質について順に説明する。
[セパレータの正極側の層]
本発明に係るセパレータにおいて、正極側の層の保水性が、正極側の層よりも負極側にある層の少なくとも1層の保水性よりも高い。中でも、正極側の層の保水性が、正極側の層よりも負極側にあるいずれの1層の保水性よりも高いことが好ましく、正極側の層よりも負極側にある層全体の保水性よりも高いことがより好ましい。
なお、上記正極側の層は、最も正極側の層を含み、セパレータの一部である限り、1層であってもよく、2層以上の積層構造であってもよい。なお、上記正極側の層中、最も正極側の層が、その他の層の少なくとも1層と同等以上の保水性をもつことが好ましい。
セパレータの層の保水性は、セパレータの層が吸液する(保水可能な)電池中の電解液量を示し、乾燥状態のセパレータの層と湿潤状態のセパレータの層との質量差から求められる。
上記正極側の層における単位面積当たりの保水可能な水の量は、その上限値は特に限定されないが、通常は10mol/cm2以下である。
上記正極側の層は、その保水性の上限は特に限定されないが、通常は、正極の完全放電で反応する水の10000%以下を保水可能なものである。
上記正極の完全放電で反応する水に対する、正極側の層の保水可能な水の好ましい割合は、上記正極の単位面積当たりの活物質量に対する、正極側の層の単位面積当たりの保水可能な水の好ましい割合と言い換えることが可能である。
上記平均厚みは、上述した保水性を充分に発揮する観点から、30μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましく、100μm以上であることが更に好ましい。
なお、上記平均厚みは、後述する実施例の方法により測定されるものである。また、上述したように、上記正極側の層の平均厚みは、2層以上の積層構造の平均厚みであってもよい。
なお、上記正極側の層は、上記部材の1種のみを用いた単一層又は積層構造であってもよく、上記部材を2種以上用い、これら部材が混合された単一層であってもよく、積層構造であってもよい。積層構造は、一体化した積層構造であってもよく、互いが独立して重ね合わされた積層構造であってもよい。また、明確な界面を有する積層構造であってもよいし、これらの成分が混合された混合層を有する積層構造を形成していてもよい。
本発明に係るセパレータの少なくとも1層の透気度がガーレー値で1000秒以上である。これにより、デンドライト成長を効果的に抑止できることができる。
上記「セパレータの少なくとも1層の透気度がガーレー値で1000秒以上である」は、セパレータ中の2層以上の積層構造の透気度がガーレー値で1000秒以上であってもよい。
ガーレー値は、実施例に記載のガーレー法により測定されるものである。ガーレー値は、気体の通過しやすさを表す指標であり、値が大きいほど気体を通しにくい。デンドライトの成長抑制のためには、気体が容易に通過できるような貫通孔が少ないことが重要な要素であるところ、ガーレー法により貫通孔の少なさを簡易的に測定できる。
上記ガーレー値は、電池反応に関与するイオンを透過する限りその上限値は特に限定されず、無限大であってもよいが、通常は例えば200000秒以下である。
保水可能な水の量は、その下限値は特に限定されないが、通常は単位面積1m2当たり0.1g以上であり、1m2当たり1g以上であることが好ましく、1m2当たり10g以上であることがより好ましい。
透気度がガーレー値で1000秒以上である層の平均厚みは、5μm以上であることが好ましく、30μm以上であることがより好ましく、50μm以上であることが更に好ましい。これにより、デンドライトの成長を抑制する効果がより高くなり、電池寿命をより長くすることができる。
上記平均厚みは、透気度がガーレー値で1000秒以上である層が複数の層が積層された構造を有する場合は、複数の層の合計の平均厚みである。
なお、上記平均厚みは、後述する実施例の方法により測定されるものである。
上記密度は、その上限値は特に限定されないが、10g/cm3以下であることが好ましく、5g/cm3以下であることがより好ましく、3g/cm3以下であることが更に好ましい。
なお、上記密度は、上記層の試験片について、質量と体積を測定し、質量を体積で除すことにより算出されるものである。試験片の体積は、試験片の縦方向の長さ、横方向の長さを、ノギスを用いて測定し、膜厚を実施例に記載の方法に基づき測定することにより算出される。また、試験片の質量は、体積を測定した試験片について小数点4桁の精密天秤を用いて測定される。
中でも、上記透気度がガーレー値で1000秒以上である層は、アニオン伝導による電池に適用する観点からは、微多孔膜、又は、上記アニオン伝導性膜であることが好ましく、当該電池をより長寿命化する観点からは、該アニオン伝導性膜であることがより好ましい。言い換えれば、上記透気度がガーレー値で1000秒以上である層は、有機物及び無機物を含むことがより好ましい。上記有機物及び無機物については、後述する。
上記透気度がガーレー値で1000秒以上である層が不織布又は微多孔膜である場合、例えば、3つ以上の層が積層された構造を有することがより好ましく、4つ以上の層が積層された構造を有することが更に好ましい。
本明細書中、上記アニオン伝導性膜は、電池反応に関与する水酸化物イオン等のアニオンを透過する膜であって、有機物と、無機物を含むものである。上記アニオン伝導性膜は、後述する無機物等の作用により、透過するアニオンの選択性を有する。当該アニオンの選択性は、ガーレー値を無限大まで大きくしてガスを透過しなくしても発揮されるものであり、例えば、水酸化物イオン等のアニオンは透過しやすく、アニオンであってもイオン半径の大きな、活物質に由来する金属含有イオン(例えば、Zn(OH)4 2−)等の透過は充分に防止する。本明細書中、アニオン伝導性とは、水酸化物イオン等のイオン半径の小さなアニオンを充分に透過すること、ないし、当該アニオンの透過性能を意味する。金属含有イオン等のイオン半径の大きなアニオンは、より透過しにくいものであり、全く透過しなくても構わない。
このようなアニオン伝導性膜は、水酸化物イオンが電池反応に関与する電池(例えば、亜鉛負極を含んで構成される電池)の電池構成部材に好適に適用することができ、デンドライトの成長を抑制して該電池を長寿命化させることができる。
上記無機物は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Mg、Sc、Y、ランタノイド、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Ru、Co、Ni、Pd、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、In、Tl、C、Si、Ge、Sn、Pb、N、P、Sb、Bi、S、Se、Te、F、Cl、及び、Brからなる群より選択される少なくとも1つの元素を含むことが好ましい。
これらの中でも、上記無機物は、酸化物、水酸化物、層状無機化合物、及び、硫化物からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物であることがより好ましい。
上記水酸化物としては、例えば水酸化マグネシウム、水酸化セリウム、水酸化ジルコニウムが好ましい。
上記層状複水酸化物とは、下記式;
[M1 1−xM2 x(OH)2](An−)x/n・mH2O
(M1は、Mg、Fe、Zn、Ca、Li、Ni、Co、Cu、Mnのいずれかである二価の金属イオンを表す。M2は、Al、Fe、Mn、Co、Cr、Inのいずれかである三価の金属イオンを表す。An−は、OH−、Cl−、NO3 −、CO3 2−、COO−等の1〜3価のアニオンを表す。mは0以上の数である。nは、1〜3の数である。xは、0.20〜0.40の数である。)に代表される化合物である。なお、An−は、2価以下のアニオンであることが好ましい。
このような層状複水酸化物は、天然産のもの(例えばハイドロタルサイト(Hydrotalcite)、マナッセイト(Manasseite)、モツコレアイト(Motukoreaite)、スティッヒタイト(Stichtite)、ショグレナイト(Sjogrenite)、バーバートナイト(Barbertonite)、パイロアウライト(Pyroaurite)、イオマイト(Iomaite)、クロロマガルミナイト(Chlormagaluminite)、ハイドロカルマイト(Hydrocalmite)、グリーン ラスト1(Green Rust 1)、ベルチェリン(Berthierine)、タコバイト(Takovite)、リーベサイト(Reevesite)、ホネサイト(Honessite)、イヤードライト(Eardlyite)、メイキセネライト(Meixnerite)等)の他、人工的に合成されたものであってもよく、150℃〜900℃で焼成することにより、脱水した化合物や、層間内の陰イオンを分解させた化合物、層間内の陰イオンを水酸化物イオン等に交換した化合物であってもよい。これらの層状複水酸化物の中でも、ハイドロタルサイト等のMg−Al系層状複水酸化物が好ましい。上記層状複水酸化物には、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、シラノール基等の官能基を持つ化合物が配位していてもよい。
上記硫化物としては、例えば硫化セリウム、硫化ジルコニウムが好ましい。
上記平均粒子径は、レーザー回折法により測定されるものである。
上記質量割合は、無機物が2種類以上である場合、2種以上の無機物の質量割合の合計である。
上記アニオン伝導性膜が含む有機物としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンに代表される炭化水素部位含有ポリマー、ポリスチレン等に代表される芳香族基含有ポリマー;ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド等のアルキレングリコール等に代表されるエーテル基含有ポリマー;ポリビニルアルコールやポリ(α−ヒドロキシメチルアクリル酸塩)、セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等)等に代表される水酸基含有ポリマー;ポリアミド、ナイロン、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドンやN−置換ポリアクリルアミド等に代表されるアミド結合含有ポリマー;ポリマレイミド、ポリイミド等に代表されるイミド結合含有ポリマー;(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー由来のモノマー単位を主成分として含む(メタ)アクリル系ポリマー;ポリ(メタ)アクリル酸(塩)、ポリマレイン酸(塩)、ポリイタコン酸(塩)、ポリメチレングルタル酸(塩)、カルボキシメチルセルロース等に代表されるカルボキシ基含有ポリマー(カルボキシ基の金属塩(アルカリ金属等)やアンモニウム塩等を含む);ポリ(メタ)アクリル酸塩、ポリマレイン酸塩、ポリイタコン酸塩、ポリメチレングルタル酸塩等に代表されるカルボン酸塩含有ポリマー;ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のハロゲン原子含有ポリマー;エポキシ樹脂等のエポキシ基が開環することにより結合したポリマー;スルホン酸(塩)部位含有ポリマー;AR1R2R3B(Aは、N又はPを表す。Bは、ハロゲンアニオンやOH−等のアニオンを表す。R1、R2、R3は、同一又は異なって、炭素数1〜7のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルキルカルボキシル基、芳香環基を表す。R1、R2、R3は、結合して環構造を形成してもよい。)で表される基が結合したポリマーに代表される第四級アンモニウム塩や第四級ホスホニウム塩含有ポリマー;陽イオン・陰イオン交換膜等に使用されるイオン交換性ポリマー;天然ゴム、人工ゴム等の主鎖に不飽和炭素結合を有するゴム状ポリマー;酢酸セルロース、キチン、キトサン、アルギン酸(塩)等に代表される糖類;ポリエチレンイミンに代表されるアミノ基含有ポリマー;カルバメート基部位含有ポリマー;カルバミド基部位含有ポリマー;エポキシ基部位含有ポリマー;複素環、及び/又は、イオン化した複素環部位含有ポリマー;ポリマーアロイ;ヘテロ原子含有ポリマー;低分子量界面活性剤等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
なお、これらのポリマーは、公知の有機架橋剤化合物により、架橋されていてもよい。
これらの中でも、上記有機物は、主鎖に不飽和炭素結合を有するゴム状ポリマーを含むことが好ましい。
上記共役ジエン系ポリマーは、1,3−ブタジエン、イソプレン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、クロロプレン等の共役ジエン構造を有するモノマー(共役ジエン系モノマー)由来のモノマー単位を有するポリマーであり、例えば、天然ゴム;イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)等の人工ゴムが好適なものとして挙げられる。上記共役ジエン系ポリマーは、ホモポリマーであってもよく、コポリマーであってもよいが、無機化合物がアニオン伝導性膜中で均一に存在しうることや膜の機械的強度の観点から、芳香族ビニルモノマー由来のモノマー単位を更に有する共役ジエン系共ポリマーであることがより好ましい。また、上記共役ジエン系ポリマーの組成を以下に示すような組成とすること、例えば、官能基を導入したり、酸基等を有するその他の不飽和モノマーに由来するモノマー単位を含むものとしたり、公知の乳化剤を用いて調製したりすることにより、アニオン伝導性膜の透気度値を好適に調節することができる。
なお、共役ジエン系ポリマーは、エステル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基等の官能基が導入されていてもよい。これらの官能基が導入されていることにより、共役ジエン系ポリマーと無機物粒子との親和性が上がり、材料の均一性が向上する。
芳香族ビニルモノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、o−メトキシスチレン、m−メトキシスチレン、p−メトキシスチレン、o−エトキシスチレン、m−エトキシスチレン、p−エトキシスチレン、o−フルオロスチレン、m−フルオロスチレン、p−フルオロスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、o−ブロモスチレン、m−ブロモスチレン、p−ブロモスチレン、o−アセトキシスチレン、m−アセトキシスチレン、p−アセトキシスチレン、o−tert−ブトキシスチレン、m−tert−ブトキシスチレン、p−tert−ブトキシスチレン、o−tert−ブチルスチレン、m−tert−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。これらの中でも、アニオン伝導性膜の耐熱性や機械的強度が高くできる点でスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。これらの芳香族ビニルモノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
上記共役ジエン系ポリマーは、脂肪族共役ジエン系モノマー由来のモノマー単位、芳香族ビニルモノマー由来のモノマー単位以外の、その他の不飽和モノマー由来のモノマー単位を有していてもよい。
上記共役ジエン系ポリマー100質量%中、その他の不飽和モノマー由来のモノマー単位の質量割合は、40質量%以下であることが好ましく、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましく、5質量%以下であることが特に好ましい。
また上記アニオン伝導性膜が主鎖に不飽和炭素結合を有するゴム状ポリマーを含む場合、その他のポリマーを含んでいてもよい。
モノマー成分の重合方法としては特に限定されず、例えば、水溶液重合法、乳化重合法、逆相懸濁重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法等の方法を挙げることができる。これらの方法の中でも、簡便に製造できる観点から、乳化重合法を用いることが好ましい。乳化重合には、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤を好適に使用できる。
上記重合開始剤の使用量としては、ポリマーの原料として用いられた全モノマー成分100質量%に対して、0.02質量%以上、2質量%以下であることが好ましい。
また、重合反応の時間は、特に限定されないが、生産性を考慮すると、1時間以上、10時間以下が好ましい。
上記質量割合は、有機物が2種類以上である場合、2種以上の有機物の質量割合の合計である。
例えば、有機物、及び、無機物等と共に、必要に応じて、上記その他の成分を混練する。混練には、ミキサー、ブレンダー、ニーダー、ビーズミル、レディミル、ボールミル等を使用することができる。混練の際、水や、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ヘキサノール、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン等の有機溶剤、又は、水と有機溶剤との混合溶剤を加えても良い。上記混練においては、ポリマーを水等に分散させたディスパージョンとすることが好ましい。これにより、得られるアニオン伝導性膜がより緻密なものとなり、透気度値及び突刺強度が大きくなるため、上記X値がより大きなものとなる。これによりデンドライトの成長を阻止する効果がより高くなる。
上記混練の時間の上限は、特に限定されないが、例えば混練の時間を30分以下とすることが好ましい。
上記混練の温度の上限は、有機物と無機物が分解しない限り特に限定されないが、例えば混練の温度を200℃以下とすることが好ましい。
上記アニオン伝導性膜は、アニオン伝導性材料を混練する工程を経た後、更に圧延する工程を経て得られたものであることが好ましい。
本発明の電池は、放電反応で水が反応する正極を含んで構成されるものである。
上記正極としては、放電反応で水が反応する限り特に限定されず、例えばニッケル種、マンガン種等を活物質として有するものが挙げられるが、中でも、正極は、ニッケル種を有することが好ましい。なお、例えばニッケル種とは、オキシ水酸化ニッケル、水酸化ニッケル、コバルト含有水酸化ニッケル等のニッケル含有化合物を意味し、マンガン種とは二酸化マンガン等のマンガン含有化合物を意味する。
本発明の電池は、充放電に伴って形態変化が起こる負極を含んで構成されるものである。
上記負極としては、充放電に伴って形態変化が起こる限り特に限定されず、例えば亜鉛種、カドミウム種、リチウム種、ナトリウム種、マグネシウム種、鉛種、錫種を活物質として有するものが挙げられるが、中でも、負極は、亜鉛種を有することがより好ましい。これにより、本発明の効果が顕著なものになる。なお、例えば亜鉛種とは、亜鉛の金属単体又は亜鉛化合物を意味し、カドミウム種とはカドミウムの金属単体又はカドミウム化合物を意味する。リチウム種、ナトリウム種、マグネシウム種、鉛種、及び、錫種についても同様である。
上記活物質層の平均厚みは、マイクロメーターにより任意に5点を測定して算出することができる。
上記集電体としては、(電解)銅箔、銅メッシュ(エキスパンドメタル)、発泡銅、パンチング銅、真鍮等の銅合金、真鍮箔、真鍮メッシュ(エキスパンドメタル)、発泡真鍮、パンチング真鍮、ニッケル箔、耐食性ニッケル、ニッケルメッシュ(エキスパンドメタル)、パンチングニッケル、金属亜鉛、耐食性金属亜鉛、亜鉛箔、亜鉛メッシュ(エキスパンドメタル)、(パンチング)鋼板、導電性を付与した不織布;Ni・Zn・Sn・Pb・Hg・Bi・In・Tl・真鍮等を添加した(電解)銅箔・銅メッシュ(エキスパンドメタル)・発泡銅・パンチング銅・真鍮等の銅合金・真鍮箔・真鍮メッシュ(エキスパンドメタル)・発泡真鍮・パンチング真鍮・ニッケル箔・耐食性ニッケル・ニッケルメッシュ(エキスパンドメタル)・パンチングニッケル・金属亜鉛・耐食性金属亜鉛・亜鉛箔・亜鉛メッシュ(エキスパンドメタル)・(パンチング)鋼板・不織布;Ni・Zn・Sn・Pb・Hg・Bi・In・Tl・真鍮等によりメッキされた(電解)銅箔・銅メッシュ(エキスパンドメタル)・発泡銅・パンチング銅・真鍮等の銅合金・真鍮箔・真鍮メッシュ(エキスパンドメタル)・発泡真鍮・パンチング真鍮・ニッケル箔・耐食性ニッケル・ニッケルメッシュ(エキスパンドメタル)・パンチングニッケル・金属亜鉛・耐食性金属亜鉛・亜鉛箔・亜鉛メッシュ(エキスパンドメタル)・(パンチング)鋼板・不織布;銀;アルカリ(蓄)電池や空気亜鉛電池に集電体や容器として使用される材料等が挙げられる。
本発明の電池に用いる電解質としては、固体電解質を使用してもよいが、蓄電池の電解液として通常用いられるものを好適に用いることができ、特に制限されないが、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、ジメトキシメタン、ジエトキシメタン、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジエトキシエタン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、アセトニトリル、ベンゾニトリル、イオン性液体、フッ素含有カーボネート類、フッ素含有エーテル類、ポリエチレングリコール類、フッ素含有ポリエチレングリコール類等が挙げられる。上記有機溶剤系電解液は、1種でも2種以上でも使用することができる。水系電解液としては、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液、硫酸亜鉛水溶液、硝酸亜鉛水溶液、リン酸亜鉛水溶液、酢酸亜鉛水溶液等が挙げられる。これらの中でも、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液といったアルカリ性電解質が好ましい。上記水系電解液は、1種でも2種以上でも使用することができる。水系電解液は、上記有機溶剤系電解液を含んでいてもよい。
本発明はまた、放電反応で水が反応する正極、充放電に伴って形態変化が起こる負極、及び、電解質を含んで構成される電池に用いられるセパレータであって、該セパレータは、2層以上の構造を有し、外層の一方の保水性が、該外層の一方以外の層の少なくとも1層の保水性よりも高く、該セパレータの少なくとも1層の透気度がガーレー値で1000秒以上であるセパレータであってもよい。
上記外層の一方は、最外層の一方を含み、セパレータの一部である限り、1層であってもよく、2層以上の積層構造であってもよい。
上記「セパレータの少なくとも1層の透気度がガーレー値で1000秒以上である」は、セパレータ中の2層以上の積層構造の透気度がガーレー値で1000秒以上であってもよい。
透気度がガーレー値で1000秒以上である層は、セパレータの上記最外層の一方を含むものであってもよいが、セパレータの上記最外層の一方以外の少なくとも1層であることが本発明のセパレータの好ましい形態の1つである。
実施例における各種測定は、以下の方法により行った。
平均膜厚(μm)は、株式会社ミツトヨ製 デジマチックインジケータ 543−394を用いて任意に5点を測定し、その平均値として算出した。
[共役ジエン系ポリマーの調製例]
滴下ロート、撹拌機、窒素ガス導入管、温度計、及び、還流冷却管を備えたフラスコ内にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5質量部、脱イオン水57質量部を仕込んだ後、フラスコ内を窒素ガスで置換した。
一方、滴下ロートにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5質量部、スチレン58質量部、1,3−ブタジエン40質量部、フマル酸2質量部、t−ドデシルメルカプタン0.5質量部および脱イオン水38質量部を仕込み、プレエマルションを調製した。その後、フラスコ内にゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら撹拌下で65℃まで昇温し、5%過硫酸アンモニウム水溶液6質量部を添加し、次いで、前記で得られたプレエマルションを5時間にわたって均一にフラスコ内に滴下した。滴下終了後、脱イオン水5質量部で滴下ロートを洗浄し、得られた洗浄液をフラスコ内に滴下した。その後、フラスコ内の内容物を65℃で2時間維持し、重合を終了した。得られた反応液を室温まで冷却し、不揮発分含量が48.1質量%の共役ジエン系ポリマーの水分散液を得た。
ハイドロタルサイト(商品名:DHT−6、協和化学工業社製、平均粒子径0.20μm)100質量部、上記調製例で調製した共役ジエン系ポリマーの水分散液100質量部及び純水25質量部を計り取り、ニーダーを用いて均一な状態になるまで混練を行った後、得られた混練物を厚さ100μmになるまでロールプレスすることで、セパレータを作製した。
〔セパレータA〕
(A1)ポリオレフィン製不織布、平均厚み100μm×1枚(保水量0.0013mol/cm2、透気度1秒)
(A2)ポリオレフィン製不織布、平均厚み100μm×2枚(保水量0.0021mol/cm2、透気度2秒)
(A3)ポリオレフィン製不織布、平均厚み100μm×4枚(保水量0.0042mol/cm2、透気度4秒)
(A4)アニオン伝導性材料:上記セパレータの調製例で調製したアニオン伝導性膜(平均厚み101μm;特願2015−213144の実施例1に記載のアニオン伝導性材料と同一)
(B1)親水性微多孔膜セルガード3500(セルガード社製、平均厚み25μm、透気度200秒)
(B2)親水性微多孔膜セルガード3400(セルガード社製、平均厚み25μm、透気度620秒)
(B3)親水性微多孔膜セルガード3400×4枚(セルガード社製、平均厚み25μm×4枚、透気度2500秒)
(B4)アニオン伝導性材料:上記セパレータの調製例で調製したアニオン伝導性膜(平均厚み101μm;特願2015−213144の実施例1に記載のアニオン伝導性材料と同一)
表面にコバルトをコーティングした水酸化ニッケル粉末をポリアクリル酸ナトリウム水容器とポリテトラフルオロエチレン(PTFE)エマルション(Nv60%)と共に混合し、水酸化ニッケル含有率97%のスラリーを調整した。このスラリーを発泡Niに含浸後、乾燥させたあと圧延プレスしニッケル正極とした。活物質である水酸化ニッケルは、電極の総厚み1mmの正極において、0.0027[mol/cm2]程度であった。
酸化亜鉛粉末とPTFEを固形分比率95:5の割合で混合したペーストを、錫メッキされたパンチング鋼板上に平坦に配置し、圧延プレスによって脱水・接着し、亜鉛負極を作製した。作製した亜鉛極の理論容量は、200mAh/cm2程度とした。
6.7mol/Lに調整された水酸化カリウム水溶液に酸化亜鉛を飽和濃度まで溶かした溶液を電解液とした。
北斗電工社製充放電試験装置(HJ−1005SD8)を用いて充放電試験を実施した。
乾燥状態と湿潤状態の重量差(単位面積あたり[cm2])を測定し、H2O質量数(18)で割ることで算出した。
JIS P 8117に準じて、ガーレー測定器を用いて測定した(100ccの空気が透過する時間を測定)。
正極利用率80%としたときに、0.1Cのレートで充放電したときの100サイクル後の放電効率を測定し、測定結果を下記評価基準で評価した。
[評価基準]
◎:90%以上
〇:80%以上、90%未満
×:80%未満
0.1Cレートで充電し、5Cレートで放電したときの放電効率を測定し、測定結果を下記評価基準で評価した。
[評価基準]
◎:50%以上
〇:30%以上、50%未満
△:20%以上、30%未満
×:20%未満
3:充放電に伴って形態変化が起こる負極
5:透気度がガーレー値で1000秒以上である層
7:放電反応で水が反応する正極
10:電解槽容器
Claims (7)
- 放電反応で水が反応する正極、充放電に伴って形態変化が起こる負極、正極と負極との間を絶縁するセパレータ、及び、電解質を含んで構成される電池であって、
該セパレータは、2層以上の構造を有し、正極側の層の保水性が、正極側の層よりも負極側にある層の少なくとも1層の保水性よりも高く、
該セパレータの少なくとも1層の透気度がガーレー値で1000秒以上であることを特徴とする電池。 - 前記正極は、ニッケル種を有することを特徴とする請求項1に記載の電池。
- 前記負極は、亜鉛種を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の電池。
- 前記正極側の層は、正極の完全放電で反応する水の50%以上を保水可能であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電池。
- 前記透気度がガーレー値で1000秒以上である層の少なくとも1層は、有機物及び無機物を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電池。
- 前記透気度がガーレー値で1000秒以上である層の少なくとも1層は、層状無機化合物を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電池。
- 放電反応で水が反応する正極、充放電に伴って形態変化が起こる負極、及び、電解質を含んで構成される電池に用いられるセパレータであって、
該セパレータは、2層以上の構造を有し、外層の一方の保水性が、該外層の一方以外の層の少なくとも1層の保水性よりも高く、
該セパレータの少なくとも1層の透気度がガーレー値で1000秒以上であることを特徴とするセパレータ。
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