JP2018158898A - トロポエラスチン発現促進剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】新規なトロポエラスチン発現促進剤の提供。【解決手段】有効成分として3HB(R−3ヒドロキシ酪酸)を含有するトロポエラスチン発現促進剤。3HBを0.01〜25質量%含有するトロポエラスチン発現促進剤。老化したヒト線維芽細胞におけるトロポエラスチンの発現促進に用いられることが好ましく、3HBにより、エラスチンの産生をより効果的に促進できる。トロポエラスチン発現促進剤は、内服、外用いずれの形態でも用いることができ、たとえば、化粧水、乳液、クリーム、錠剤、清涼飲料水のような形態で用いることができる。【選択図】なし
Description
本発明は、トロポエラスチン発現促進剤に関する。
従来、皮膚の老化に伴う変化(しわ、くすみ、きめの消失、弾力性の低下等)の原因として、コラーゲンやエラスチン等の真皮マトリックスの線維減少や変性が知られている。エラスチンは、細胞外マトリックスを構成する弾性線維の主成分であり、組織に弾力性および柔軟性を付加する。特に、皮膚真皮においては、皮膚に弾力性を与え、皮膚のはりを保持する機能を有する。加齢によるエラスチン線維の減少は、皮膚のたるみやしわといった老化症状の大きな要因となるといわれている。また、紫外線による光老化では、真皮網状層のエラスチン線維が変性沈着して、弾力性がなく硬化したしわの多い光老化皮膚の原因となるといわれている。
皮膚の老化の進行に伴う上記のようなエラスチンの減少や変性を防止すべく、エラスチンを分解する酵素であるエラスターゼの活性を阻害し、また、エラスターゼの産生を抑制する物質のスクリーニングが行われてきた。また、細胞外マトリックスにおけるエラスチンの生成を促進する物質の探求も行われており、コンドロイチン二糖のトリ硫酸エステルまたはその塩が有効であることが報告されている(特許文献1参照)。
皮膚の老化の進行に伴う上記のようなエラスチンの減少や変性を防止すべく、エラスチンを分解する酵素であるエラスターゼの活性を阻害し、また、エラスターゼの産生を抑制する物質のスクリーニングが行われてきた。また、細胞外マトリックスにおけるエラスチンの生成を促進する物質の探求も行われており、コンドロイチン二糖のトリ硫酸エステルまたはその塩が有効であることが報告されている(特許文献1参照)。
しかし、特許文献1によると、正常なヒト線維芽細胞に対してしか、エラスチンの前駆体であるトロポエラスチン生成促進およびエラスチン生成促進作用を有しないことがわかっており、皮膚の老化が気になり始めた人が、老化進行を抑制するという趣旨で用いると、十分な効果が期待できないものと推定される。
したがって、老化したヒト線維芽細胞においても有効に働く、細胞外マトリックスにおけるエラスチンの産生を促進するため、エラスチンの前駆体であるトロポエラスチンの発現を促進し、ひいてはエラスチンの産生を促進し得るトロポエラスチン発現促進剤を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明のトロポエラスチン発現促進剤の特徴構成は、有効成分として3HB(R−3ヒドロキシ酪酸)を含有する点にある。
また、老化したヒト線維芽細胞におけるトロポエラスチン発現促進に用いられることが好ましい。
さらに、トロポエラスチン発現促進剤は、内服用であってもよい。
ここで、3HB(R−3ヒドロキシ酪酸)を0.01質量%以上25質量%以下含有することができる。
また、老化したヒト線維芽細胞におけるトロポエラスチン発現促進に用いられることが好ましい。
さらに、トロポエラスチン発現促進剤は、内服用であってもよい。
ここで、3HB(R−3ヒドロキシ酪酸)を0.01質量%以上25質量%以下含有することができる。
本発明者らは、鋭意研究の結果、3HBが老化したヒト線維芽細胞において、トロポエラスチン発現促進効果を示すことを実験的に明らかにして、本発明を完成するに至った。
すなわち、3HBにより、トロポエラスチンの発現を促進することで、エラスチンの産生をより効果的に促進できる。
このようなトロポエラスチン発現促進剤は、内服、外用いずれの形態でも用いることができ、たとえば、化粧水、乳液、クリーム、錠剤、清涼飲料水のような形態で用いることができる。
また、通常化粧品や医薬品等の皮膚外用剤に用いられる成分、例えば、美白剤、保湿剤、酸化防止剤、油性成分、紫外線吸収剤、界面活性剤、増粘剤、アルコール類、粉末成分、色剤、水性成分、水、各種皮膚栄養剤等を必要に応じて適宜配合することができる。
その他、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸等の金属封鎖剤、カフェイン、タンニン、ベラパミル、トラネキサム酸およびその誘導体、甘草抽出物、グラブリジン、カリンの果実の熱水抽出物、各種生薬、酢酸トコフェロール、グリチルリチン酸およびその誘導体またはその塩等の薬剤、ビタミンC、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸グルコシド、アルブチン、コウジ酸等の美白剤、グルコース、フルクトース、マンノース、ショ糖、トレハロース等の糖類なども適宜配合することができる。
また、通常化粧品や医薬品等の皮膚外用剤に用いられる成分、例えば、美白剤、保湿剤、酸化防止剤、油性成分、紫外線吸収剤、界面活性剤、増粘剤、アルコール類、粉末成分、色剤、水性成分、水、各種皮膚栄養剤等を必要に応じて適宜配合することができる。
その他、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸等の金属封鎖剤、カフェイン、タンニン、ベラパミル、トラネキサム酸およびその誘導体、甘草抽出物、グラブリジン、カリンの果実の熱水抽出物、各種生薬、酢酸トコフェロール、グリチルリチン酸およびその誘導体またはその塩等の薬剤、ビタミンC、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸グルコシド、アルブチン、コウジ酸等の美白剤、グルコース、フルクトース、マンノース、ショ糖、トレハロース等の糖類なども適宜配合することができる。
したがって、皮膚の線維を保護し、皮膚の老化の予防や改善作用に優れるトロポエラスチン発現促進剤を提供することができた。
以下に、本発明のトロポエラスチン発現促進剤を説明する。尚、以下に好適な実施例を記すが、これら実施例はそれぞれ、本発明をより具体的に例示するために記載されたものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々変更が可能であり、本発明は、以下の記載に限定されるものではない。
本発明の実施例にかかるトロポエラスチン発現促進剤は、有効成分として3HB(R−3ヒドロキシ酪酸)を含有するものである。
〔3HB〕
3HBは、3HB生産性のハロモナス菌を添加した発酵プロセスを行い、得られた発酵液からハロモナス菌を分離除去し、精製することにより得られる。発酵プロセスは、果汁等の糖質栄養源を含有する原料液に、3HB生産性のハロモナス菌をそのまま添加し、好気発酵、嫌気発酵を順に行うプロセス(特開2013−081403号公報等参照)として実施することができる。これにより、糖質が3HBに変換され、3HBが発酵液中に生産されることになる。
3HBは、3HB生産性のハロモナス菌を添加した発酵プロセスを行い、得られた発酵液からハロモナス菌を分離除去し、精製することにより得られる。発酵プロセスは、果汁等の糖質栄養源を含有する原料液に、3HB生産性のハロモナス菌をそのまま添加し、好気発酵、嫌気発酵を順に行うプロセス(特開2013−081403号公報等参照)として実施することができる。これにより、糖質が3HBに変換され、3HBが発酵液中に生産されることになる。
なお3HBの製造工程は、上記微生物によるものによらず、他の生物学的手法で製造するものであってもよいし、化学的に合成するものであってもよい。
〔トロポエラスチン産生促進効果〕
(1) セネッセンス細胞の調製
ヒト皮膚線維芽細胞の老化モデルを過酸化水素処理により調製した。調製方法を以下に記載する。
<1>ヒト皮膚線維芽細胞を100mmのディッシュに4.4×106 個播種し、CO2インキュベータで一晩静置した。
<2>上清を除去後、100μMの過酸化水素を含有するD−MEM培地に交換し、1時間、CO2インキュベータで静置した。静置後、上清を除去し10%FBSを含有するD−MEM培地に交換し、CO2インキュベータで一晩静置した。
<3><2>の工程を4日間連続して実施した。
<4>上清除去後、100μMの過酸化水素を含有するD−MEM培地に交換し、1時間CO2インキュベータで静置した。静置後、上清を除去し10%FBSを含有するD−MEM培地に交換し、60時間、CO2インキュベータで静置した。
<5>細胞でセネッセンスが起こっているかどうかは、セネッセンスで特異的に発現するβ―ガラクトシダーゼを検出することで判断した。β―ガラクトシダーゼの検出には細胞内SA β−Gal染色キット(コスモバイオ)を用いた。
(1) セネッセンス細胞の調製
ヒト皮膚線維芽細胞の老化モデルを過酸化水素処理により調製した。調製方法を以下に記載する。
<1>ヒト皮膚線維芽細胞を100mmのディッシュに4.4×106 個播種し、CO2インキュベータで一晩静置した。
<2>上清を除去後、100μMの過酸化水素を含有するD−MEM培地に交換し、1時間、CO2インキュベータで静置した。静置後、上清を除去し10%FBSを含有するD−MEM培地に交換し、CO2インキュベータで一晩静置した。
<3><2>の工程を4日間連続して実施した。
<4>上清除去後、100μMの過酸化水素を含有するD−MEM培地に交換し、1時間CO2インキュベータで静置した。静置後、上清を除去し10%FBSを含有するD−MEM培地に交換し、60時間、CO2インキュベータで静置した。
<5>細胞でセネッセンスが起こっているかどうかは、セネッセンスで特異的に発現するβ―ガラクトシダーゼを検出することで判断した。β―ガラクトシダーゼの検出には細胞内SA β−Gal染色キット(コスモバイオ)を用いた。
(2) 3HB添加試験
正常細胞または調製したセネッセンス細胞を96ウェルプレートに,1ウエルあたり2×104個播種した。播種24時間後に500mg/Lの3HBを含有するD−MEM培地に交換し,更に24時間培養を実施した。
正常細胞または調製したセネッセンス細胞を96ウェルプレートに,1ウエルあたり2×104個播種した。播種24時間後に500mg/Lの3HBを含有するD−MEM培地に交換し,更に24時間培養を実施した。
(3) RNAの調製
RNAの抽出は、QuickGene RNA cultured cell kit S(クラボウ)を用いて実施した。
RNAの抽出は、QuickGene RNA cultured cell kit S(クラボウ)を用いて実施した。
(4) DNAチップ解析
皮膚チップおよび酸化ストレス・アンチエイジングチップ(三菱レイヨン)を用いてDNAチップ解析を実施した。
3HBを添加せず培養した(表1中「無添加」)正常細胞におけるトロポエラスチンELNの発現量を基準値(1)とし、当該基準値に対する3HBを添加せず培養したセネッセンス細胞のトロポエラスチンELNの発現量の割合、及び、当該基準値に対する3HBを添加し培養した(表1中「3HB添加」)正常細胞、セネッセンス細胞のトロポエラスチンELNの発現量の比をそれぞれ測定した。その結果を表1に示す。
皮膚チップおよび酸化ストレス・アンチエイジングチップ(三菱レイヨン)を用いてDNAチップ解析を実施した。
3HBを添加せず培養した(表1中「無添加」)正常細胞におけるトロポエラスチンELNの発現量を基準値(1)とし、当該基準値に対する3HBを添加せず培養したセネッセンス細胞のトロポエラスチンELNの発現量の割合、及び、当該基準値に対する3HBを添加し培養した(表1中「3HB添加」)正常細胞、セネッセンス細胞のトロポエラスチンELNの発現量の比をそれぞれ測定した。その結果を表1に示す。
表1の結果より、3HBにはセネッセンス細胞(ヒト線維芽細胞)におけるトロポエラスチン発現促進効果(トロポエラスチンの産生促進効果)が高いことが分かった。よって、3HB(R−3ヒドロキシ酪酸)を有効成分として含有するトロポエラスチン発現促進剤を用いることで、老化したヒト線維芽細胞におけるエラスチンの産生を促進し、皮膚の老化を防ぐことが期待できることが分かった。
このようなトロポエラスチン発現促進剤は、下記表2〜6のような組成物として調整され、化粧水、乳液、クリーム、錠剤、清涼飲料水の形態で用いられる。
上述の通り、有効成分として3HB(R−3ヒドロキシ酪酸)を含有する化粧水、乳液、クリーム、錠剤、清涼飲料水などのトロポエラスチン発現促進剤(エラスチン産生促進剤)は、いずれもヒト線維芽細胞(特に、老化ヒト線維芽細胞)におけるエラスチンの産生を促進し、皮膚の老化を防ぐことが期待できる。
また、当該トロポエラスチン発現促進剤は、3HB(R−3ヒドロキシ酪酸)を0.01質量%以上25質量%以下含有することが好ましい。
さらに、当該トロポエラスチン発現促進剤は、錠剤や清涼飲料水等のように内服用であってもよく、この場合、3HB(R−3ヒドロキシ酪酸)を5質量%以上25質量%以下含有することが好ましい。
また、当該トロポエラスチン発現促進剤は、3HB(R−3ヒドロキシ酪酸)を0.01質量%以上25質量%以下含有することが好ましい。
さらに、当該トロポエラスチン発現促進剤は、錠剤や清涼飲料水等のように内服用であってもよく、この場合、3HB(R−3ヒドロキシ酪酸)を5質量%以上25質量%以下含有することが好ましい。
本発明によると、皮膚の線維を保護し、皮膚の老化の予防や改善作用に優れるトロポエラスチン発現促進剤を提供することができた。
Claims (4)
- 有効成分として3HB(R−3ヒドロキシ酪酸)を含有する、トロポエラスチン発現促進剤。
- 老化ヒト線維芽細胞におけるトロポエラスチンの発現促進に用いられる、請求項1に記載のトロポエラスチン発現促進剤。
- 内服用に用いられる、請求項1又は2に記載のトロポエラスチン発現促進剤。
- 3HB(R−3ヒドロキシ酪酸)を0.01質量%以上25質量%以下含有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のトロポエラスチン発現促進剤。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2020055795A (ja) * | 2018-10-02 | 2020-04-09 | 大阪瓦斯株式会社 | 脂肪細胞分化抑制剤及びこれを含有する化粧料、並びに脂肪細胞分化抑制方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2014043400A (ja) * | 2012-08-24 | 2014-03-13 | Naris Cosmetics Co Ltd | しわ改善剤 |
JP2015120728A (ja) * | 2007-12-21 | 2015-07-02 | エイボン プロダクツ インコーポレーテッド | Loxl−1亢進剤及びエラスチン再生剤 |
JP2015178493A (ja) * | 2014-02-28 | 2015-10-08 | マルホ株式会社 | トロポエラスチン発現促進剤およびエラスチン産生促進剤 |
JP2016512207A (ja) * | 2013-03-12 | 2016-04-25 | ティーデルタエス リミテッド | 皮膚の保護に使用するための化合物 |
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2017
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JP7274983B2 (ja) | 2018-10-02 | 2023-05-17 | 大阪瓦斯株式会社 | 脂肪細胞分化抑制剤及びこれを含有する化粧料、並びに脂肪細胞分化抑制方法 |
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