JP2018158501A - ガスバリア性フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】ガスバリア性能に優れ、過酷な高温高湿条件下での試験、いわゆるボイル試験やレトルト試験後においてもガスバリア性能の低下を抑制できるガスバリア性フィルムの提供。【解決手段】基材フィルムの少なくとも一方の面に、無機層を介して、エチレン−ビニルアルコール共重合体とシランカップリング剤を含む保護コート層を有するガスバリア性フィルムであって、該シランカップリング剤が2級アミノ基を有し、該保護コート層における該シランカップリング剤の濃度が1重量%以上、90重量%以下であり、該保護コート層の厚みが0.1μm以上、5μm以下であることを特徴とするガスバリア性フィルム。【選択図】 なし

Description

本発明は、ガスバリア性フィルムに関する。より詳細には、高温高湿試験後においても優れたガスバリア性を維持できるガスバリア性フィルムに関する。
食品、医薬品、又は精密電子部品などに用いられる包装フィルムは、ガスバリア性、機械的外力への耐性及び高い透明性が要求されており、当該包装フィルムを構成するガスバリア性フィルムとしては、基材フィルム上に無機層及びガスバリア性に優れた樹脂層を設けたものが提案されている。
例えば、特許文献1には、基材フィルム層の少なくとも一方の面が、無機質薄膜層を介して、シランカップリング剤を含むバリア性樹脂層で被覆されているバリア性複合フィル
ムが開示されており、バリア性樹脂層は、具体的には塩化ビニリデン系共重合体又はエチレン−ビニルアルコール共重合体を含むことが記載されている。
また、特許文献2には、基材フィルムの一方の面に、無機酸化物の蒸着薄膜を設け、更に、該無機酸化物の蒸着薄膜の上に、エチレン−ビニルアルコール共重合体をビヒクルの主成分とし、これと、少なくとも、金属アルコキシド化合物を含む樹脂組成物によるコ−ティング硬化膜を設けたことを特徴とするバリア性フィルムが開示されている。
特開平8−309913号公報 特開2000−62079号公報
上記特許文献1では、バリア性複合フィルムを40℃、相対湿度90%の条件下で1週間保存し、保存前後における樹脂層の密着強度を測定し、高温高湿下での密着性の変化を評価しているが、本発明者の検討によれば、更に過酷な高温高湿条件下での試験、いわゆるボイル試験やレトルト試験後においては、当該バリア性複合フィルムのガスバリア性は大幅に低下するおそれがあることが判明した。
また上記特許文献2のバリア性フィルムも特許文献1のバリア性複合フィルムと同様、ボイル試験やレトルト試験後においては、ガスバリア性が大幅に低下するおそれがあることが、本発明者の検討により判明した。
本発明は、上記状況に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ガスバリア性能に優れ、過酷な高温高湿条件下での試験、いわゆるボイル試験やレトルト試験後においてもガスバリア性能の低下を抑制できるガスバリア性フィルムを提供することにある。
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、基材フィルムの少なくとも一方の面に、無機層を介して、エチレン−ビニルアルコール共重合体とシランカップリング剤を含む保護コート層を有するガスバリアフィルムにおいて、特定の構造を有するシランカップリング剤を用いることにより、ガスバリア性能に優れ、過酷な高温高湿条件下での試験、いわゆるボイル試験やレトルト試験後においてもガスバリアフィルムのガスバリア性能の低下を抑制できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は以下の通りである。
[1] 基材フィルムの少なくとも一方の面に、無機層を介して、エチレン−ビニルアルコール共重合体とシランカップリング剤を含む保護コート層を有するガスバリア性フィルムであって、
該シランカップリング剤が2級アミノ基を有し、該保護コート層における該シランカップリング剤の濃度が1重量%以上、90重量%以下であり、該保護コート層の厚みが0.1μm以上、5μm以下であることを特徴とするガスバリア性フィルム。
[2] 前記基材フィルムと前記無機層の間にアンカーコート層を有し、当該アンカーコート層がポリエステル系樹脂、ニトロセルロース樹脂、脂環又は芳香族環を有するアクリルモノマーを重合成分として有するアクリル系樹脂及びこれらの混合物を含む[1]に記載のガスバリア性フィルム。
[3] 前記無機層が、酸化珪素である[1]又は[2]に記載のガスバリア性フィルム。
[4] [1]乃至[3]のいずれかに記載のガスバリア性フィルムを用いた包装フィルム。
本発明のガスバリア性フィルムは、ガスバリア性能に優れ、過酷な高温高湿条件下での試験、いわゆるボイル試験やレトルト試験後においても、各層間の密着性の低下及びガスバリア性能の低下を抑制できるため、食品、医薬品、又は精密電子部品などの各種包装フィルムとして好適に用いることができる。
以下、本発明に係るガスバリア性フィルム、さらにそれらを構成する材料について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施形態の一例(代表例)であり、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。
また、本明細書において、「主成分」とは、本発明のガスバリア性フィルムの作用・効果を妨げない範囲で、他の成分を含むことを許容する趣旨である。更に、この用語は、具体的な含有率を制限するものではないが、構成成分全体の50重量%以上、好ましくは65重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上であって100重量%以下の範囲を占める成分である。
本発明の実施形態に係るガスバリア性フィルムは、基材フィルム、無機層及び保護コート層をこの順に備える。以下、ガスバリア性フィルムを構成する各材料について説明する。
<1.基材フィルム>
本発明に係る基材フィルムとしては、樹脂フィルムが好ましく、その材料としては、食品、医薬品、又は精密電子部品などに用いられる包装材料に使用しうる樹脂であれば、特に制限なく用いることができる。具体的には、エチレン、プロピレン及びブテン等の単独重合体又は共重合体等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン等の非晶質ポリオレフィン、ポリエチレン−テレフタレート(PET)、ポリエチレン−ナフタレート(PEN)等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、共重合ナイロン等のポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体部分加水分解物、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、ポリアリレート、フッ素樹脂、アクリル樹脂及び生分解性樹脂等が挙げられる。これらの中では、フィルム物性やコスト等の点から、ポリエステル、ポリアミド、又はポリオレフィンが好ましい。基材フィルムは、これらの樹脂のいずれか1種以上を主成分とするものが好ましい。
中でも、透明性やフィルム物性の点から、基材フィルムはポリエステルを主成分とするフィルムが好ましく、PETを主成分とするPETフィルム、又はPENを主成分とするPENフィルムがより好ましい。
本発明に係る基材フィルムの表面は、密着性を高めるために、コロナ放電処理及びプラズマ処理等の易接着処理を施すことが好適である。
本発明に係る基材フィルムは、公知の添加剤、例えば、帯電防止剤、光線遮断剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、フィラー、着色剤、安定剤、潤滑剤、架橋剤、ブロッキング防止剤及び酸化防止剤等を含有することができる。
本発明に係る基材フィルムは、従来公知の方法により製造することができ、例えば、原料を押出機により溶融し、環状ダイやTダイにより押出して、急冷することにより実質的に無定型で配向していない未延伸フィルムを製造することができる。また、多層ダイを用いることにより、1種の樹脂からなる単層フィルム、1種の樹脂からなる多層フィルム及び多種の樹脂からなる多層フィルム等を製造することができる。
上記未延伸フィルムを一軸延伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸及びチューブラー式同時二軸延伸等の公知の方法により、フィルムの流れ(縦軸)方向又はフィルムの流れ方向とそれに直角な(横軸)方向に延伸することにより、一軸方向又は二軸方向に延伸したフィルムを製造することができ、延伸倍率は任意に設定できる。
本発明に係る基材フィルムとして延伸フィルムを用いる場合、透明性やフィルム物性の点から、二軸延伸PENフィルム、二軸延伸PETフィルム、PENとPETの共押出二軸延伸フィルム、又はこれらの樹脂と他の樹脂の共押出二軸延伸フィルムが好ましく、二軸延伸PENフィルム、又は二軸延伸PETフィルムがより好ましい。
本発明に係る基材フィルムの厚さは、特に制限されないが、通常は5μm以上、200μm以下である。この範囲であれば、無機層や、保護コート層を形成する際にシワの発生やフィルムの破断が生じるおそれが少なく、フィルムが可撓性を有するため、巻取り装置等での加工が容易となる。好ましくは8μm以上、100μm以下である。
<2.無機層>
本発明において、無機層は、ガスバリア性能を担うものであり、基材フィルムの少なくとも一方の面に形成される。
本発明に係る無機層を構成する無機物質としては、珪素、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、錫、ニッケル、チタン、あるいはこれらの酸化物、炭化物、窒化物、酸化炭化物、酸化窒化物、酸化炭化窒化物、ダイヤモンドライクカーボン及びこれらの混合物等が挙げられる。
高い防湿性が安定に維持できる点で、珪素又はアルミニウムの酸化物、炭化物、窒化物、酸化炭化物、酸化窒化物、酸化炭化窒化物及びこれらの混合物が好ましく、これらの中でも、珪素又はアルミニウムの酸化物、酸窒化物、窒化物から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、屈折率が低く、反射率を抑え、防眩性をより高めることができる点で酸化珪素がさらに好ましい。
さらに、本発明に係る無機層が酸化珪素であれば、過酷な高温高湿条件下での試験、いわゆるボイル試験やレトルト試験後においても、本発明に係るガスバリア性フィルムが、特に優れたガスバリア性を示すことが分かっている。
その理由としては、本発明に係る保護コート層に含まれる2級アミノ基を有するシランカップリング剤と当該酸化珪素層表面が架橋反応し、無機層と保護コート層との層間密着が向上し、いわゆるボイル試験やレトルト試験後においてもガスバリア性フィルムのガスバリア性能の低下が抑制されることが考えられる。
本発明に係る無機層の形成方法としては、蒸着法やコーティング法等の方法がいずれも使用できるが、ガスバリア性の高い均一な薄膜が得られるという点で蒸着法が好ましい。
蒸着法には、物理気相蒸着(PVD)、化学気相蒸着(CVD)及び原子層蒸着(ALD)等の方法がいずれも含まれる。
物理気相蒸着法としては、真空蒸着、イオンプレーティング及びスパッタリング等が挙げられ、化学気相蒸着法としては、プラズマを利用したプラズマCVDや加熱触媒体を用いて材料ガスを接触熱分解する触媒化学気相成長法(Cat−CVD)等が挙げられる。原子層蒸着法は、真空容器内に設置した基板上に、原料化合物の分子をモノレイヤーごとに表面へ吸着、反応による成膜、パージによる余剰分子の除去、のサイクルを繰り返し行うことによって、原子層を一層ずつ積み上げる手法である。
また、本発明に係る無機層は、単層の他、多層であってもよく、上記に挙げられる種々の成膜法を用い多層成膜し、防湿性を高めることが可能である。その場合、同一の成膜法を用いてもよいし、各層ごとに異なる成膜法を用いてもよいが、いずれも減圧下で連続して行うことが、効率的な防湿性向上や生産性の点で好ましい。
また、本発明に係る無機層が多層の場合、各層は同じ無機物質からなっていても、異なる無機物質からなっていてもよい。
本発明に係る無機層の厚さは、高い防湿性能の発現、透明性及び加工性の点から、5nm以上、500nm以下であることが好ましく、10nm以上、200nm以下がより好ましく、10nm以上、100nm以下がさらに好ましく、20nm以上、50nm以下がよりさらに好ましい。
<3.保護コート層>
本発明に係る保護コート層は無機層と共にガスバリア性能を担うものであり、また当該無機層を保護し、過酷な高温高湿条件下での試験、いわゆるボイル試験やレトルト試験後においてもガスバリア性能の低下を抑制することを目的とし、当該無機層の非基材フィルム側の面に形成される。
本発明に係る保護コート層はエチレン−ビニルアルコール共重合体と2級アミノ基を有するシランカップリング剤を含み、当該保護コート層における該シランカップリング剤の濃度が1重量%以上、90重量%以下であることが重要である。エチレン−ビニルアルコール共重合体と所定量の2級アミノ基を有するシランカップリング剤を含むことにより、過酷な高温高湿条件下での試験、いわゆるボイル試験やレトルト試験後においてもガスバリア性フィルムのガスバリア性能の低下を抑制することができる。
保護コート剤を無機層に塗工することで本発明に係る保護コート層を形成できる。
本発明に係る保護コート層を形成する保護コート剤は、エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む。
前記保護コート剤に含まれるエチレン−ビニルアルコール共重合体のエチレン含有率は、10mol%以上、60mol%以下が好ましい。
この範囲であれば、高湿環境下でのガスバリア性を維持でき、かつ水溶性も確保することができる傾向にある。
より好ましくは20mol%以上、50mol%以下であり、さらに好ましくは25mol%以上、45mol%以下である。
前記エチレン−ビニルアルコール共重合体の重量平均分子量は、100以上、5000以下が好ましい。この範囲であれば、ガスバリア性と水溶性を両立できる傾向にある。
前記エチレン−ビニルアルコール共重合体のケン化度は、80mol%以上が好ましく、95mol%以上がより好ましい。この範囲であれば、ガスバリア性を確保できる傾向にある。上限は特に限定されないが、通常は100mol%以下である。
本発明に係る保護コート層において、エチレン−ビニルアルコール共重合体の濃度は、10重量%以上、99重量%以下であることが好ましい。
この範囲であれば、過酷な高温高湿条件下での試験、いわゆるボイル試験やレトルト試験後も、当該保護コート層のガスバリア性や耐屈曲性、保護コート層と無機層との密着性が良好な傾向にある。
より好ましくは20重量%以上、95重量%以下であり、さらに好ましくは50重量%以上、90重量%以下である。
本発明に係る保護コート層を形成する保護コート剤は、2級アミノ基を有するシランカップリング剤を含む。
2級アミノ基を有するシランカップリング剤は、他の官能基を有するシランカップリング剤を配合した場合よりも、ガスバリア性フィルムのガスバリア性がより優れ、過酷な高温高湿条件下での試験、いわゆるボイル試験やレトルト試験後においても当該ガスバリア性フィルムのガスバリア性能の低下を抑制することができる。
2級アミノ基を有するシランカップリング剤を配合した場合に良好となる理由としては、1級アミノ基を有するシランカップリング剤では加水分解・縮合反応速度が速いためにシランカップリング剤同士で反応が進んでしまう傾向にあり、3級アミノ基を有するシランカップリング剤では加水分解・縮合反応速度が遅いために保護コート層の形成工程中では十分に反応し切れない傾向にある一方で、2級アミノ基を有するシランカップリング剤は加水分解・縮合反応速度が適度であるために保護コート層の形成工程中でシランカップリング剤同士の反応だけでなく、エチレンビニルアルコールとの架橋反応も効果的に行われるため、過酷な高温高湿条件下での試験、いわゆるボイル試験やレトルト試験後のガスバリア性や、無機層との密着性が良好になると考えられる。
2級アミノ基を有するシランカップリング剤としては、例えば、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン及び[3−(2,4−ジニトロフェニルアミノ)プロピル]トリエトキシシラン等が挙げられ、無機層と保護コート層との密着性や立体障害による加水分解・縮合反応性の調整の観点から、下記式(1)又は式(2)で示すシランカップリング剤が好ましい。
(RO)SiC2lNHR (1)
lは1〜6いずれかの整数、Rはメチル基、エチル基、又はプロピル基のいずれかを示し、メチル基又はエチル基が好ましい。またRはフェニル基、シクロへキシル基、ベンジル基及びナフチル基等の芳香族環又は脂環構造を有する官能基を示し、なかでもフェニル基が好ましい。
(RO)SiC2mNHC2nSi(OR) (2)
m,nは1〜6いずれかの整数を示し、一致していることが好ましい。また、R,Rはメチル基、エチル基、又はプロピル基のいずれかを示し、一致していることが好ましく、なかでも両方ともメチル基又はエチル基であることが好ましい。
なかでも、式(1)で示されるシランカップリング剤がより好ましく、具体的には、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。
本発明に係る保護コート層において、2級アミノ基を有するシランカップリング剤の濃度は1重量%以上、90重量%以下であることが重要である。
この範囲であれば、無機層と当該保護コート層との密着性や、当該保護コート層のガスバリア性や耐屈曲性を維持できる傾向にある。
好ましくは2重量%以上、50重量%以下であり、より好ましくは5重量%以上、20重量%以下である。
本発明に係る保護コート層を形成する保護コート剤は、上述した成分以外にも、公知の添加剤を配合することができる。
このような添加剤としては、塩化ビニリデン系重合体、ポリビニルアルコール系重合体等のガスバリア性を有する樹脂、その他樹脂、上述した以外のシランカップリング剤、酸化防止剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、顔料、染料、抗菌剤、滑剤、無機充填剤及びブロッキング防止剤等を挙げることができる。
本発明に係る保護コート層の厚みは0.1μm以上、5μm以下であることが重要である。
この範囲であれば、生産性が良く、またガスバリア性を維持しつつ、当該保護コート層表面の印刷性が良好となる。
好ましくは0.1μm以上、4μm以下であり、より好ましくは0.1μm以上、3μm以下である。
本発明に係る保護コート層を形成する方法としては、エチレン−ビニルアルコール共重合体、2級アミノ基を有するシランカップリング剤及びその他所定材料を溶媒と混合して保護コート剤とし、公知のコーティング方法が適宜採択される。
上記溶媒としては、水系溶媒が好ましく、水、又は水と、それに対して混和性を有する有機溶媒、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ターシャリーブタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール、アセトン及びメチルエチルケトン等との混合溶液が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
コーティング方法としては、例えば、リバースロールコーター、グラビアコーター、ロ
ッドコーター、エアドクタコーター、バーコーター及びスプレイ等を用いたコーティング方法等の方法がいずれも使用できる。また、基材フィルムに無機層を形成した後、保護コート剤に浸漬して行ってもよい。コーティング後は、80〜200℃程度の温度での熱風乾燥、熱ロール乾燥等の加熱乾燥や、赤外線乾燥等の公知の乾燥方法を用いて溶媒を蒸発させることにより、均一な保護コート層が形成される。
<4.アンカーコート層>
本発明においては、基材フィルムと無機層との密着性を向上させることを目的として、基材フィルムと無機層との間にアンカーコート層を設けてもよい。
アンカーコート剤を基材フィルム表面に塗工することでアンカーコート層を形成できる。
前記アンカーコート剤にバインダー成分が含まれており、具体的には、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ニトロセルロース樹脂、シリコーン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂やエチレン−ビニルアルコール系樹脂等のビニルアルコール系樹脂、ビニルエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、イソシアネート基含有樹脂、カルボジイミド基含有樹脂、アルコキシル基含有樹脂、オキサゾリン基含有樹脂及びスチレン系樹脂等が挙げられる。これらバインダー成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
前記バインダー成分としては、アンカーコート層の耐熱水性の観点から、すなわち過酷な高温高湿条件下での試験、いわゆるボイル試験やレトルト試験後においても当該ガスバリア性フィルムのガスバリア性能の低下を抑制する観点から、ポリエステル系樹脂、ニトロセルロース樹脂、脂環又は芳香族環を有するアクリルモノマーを重合成分として有するアクリル系樹脂及びこれらの混合物が好ましい。
ポリエステル系樹脂、ニトロセルロース樹脂、脂環又は芳香族環を有するアクリルモノマーを重合成分として有するアクリル系樹脂及びこれらの混合物は、耐熱性及び疎水性に優れるため、これらをバインダー成分として含むアンカーコート層の耐熱水性を向上させる傾向にあり、ポリエステル系樹脂とニトロセルロース樹脂との混合物、又は脂環又は芳香族環を有するアクリルモノマーを重合成分として有するアクリル系樹脂をバインダー成分として含むことが特に好ましい。
アンカーコート剤に用いられる上記ポリエステル系樹脂は、多価カルボン酸成分と多価アルコール成分を反応させることにより得ることができる。多価カルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸及びオルトフタル酸等が例示され、多価アルコール成分としては、エチレン−グリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレン−グリコール、ネオペンチルグリコール、ジプロピレングリコール及び1,6−ヘキサンジオール等が例示される。
アンカーコート剤に用いられる上記ニトロセルロース樹脂は、セルロースの水酸基を一部または大部分を硝酸でエステル化することにより得られる。ニトロセルロース樹脂には様々な重合度のものがあるが、アンカーコート層の強度や溶媒への溶解性の観点から、平均重合度30から150の範囲のものが用いられる。
アンカーコート剤に用いられる上記アクリル系樹脂は、特に限定されず重合性不飽和モノマーを従来公知の重合法を用いて重合して得られたものを使用することができる。
重合性不飽和モノマーとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート及びステアリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル、またアクリル樹脂を形成した後に架橋性化合物と架橋させる観点から、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシ(メタ)アクリレート及びフタル酸とプロピレングリコールとから得られるポリエステルジオールのモノ(メタ)アクリレート等水酸基を有する(メタ)アクリルモノマーや、アミノ基及びカルボキシル基等他の架橋性官能基を有する(メタ)アクリルモノマー並びに(メタ)アクリル酸等の酸性官能基を有する(メタ)アクリルモノマー、またアクリル樹脂の耐熱性及び疎水性の観点から、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート及びフェニル(メタ)アクリレート等の芳香族環を有する(メタ)アクリレートや、イソボロニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート及びテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等の脂環を有する(メタ)アクリルモノマーが挙げられる。
アンカーコート層の耐熱水性の観点から、脂環又は芳香族環を有する(メタ)アクリルモノマーが好ましい。
上記樹脂を構成するポリマーの分子量は、ガスバリア性や、基材フィルム及び無機層との密着性の点から、数平均分子量で、3,000以上、50,000以下が好ましく、より好ましくは4,000以上、40,000以下、さらに好ましくは5,000以上、30,000以下である。
またアンカーコート剤にイソシアネート系化合物等の硬化剤を含有させ、アンカーコート層中に架橋を導入することが好ましい。
上記イソシアネート系化合物として具体的には、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート及びジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネートや、キシレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート及びナフタレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート等が挙げられる。ガスバリア性や、基材フィルム及び無機層との密着性の点から、イソシアネート基が2つ以上のポリイソシアネートが好ましく、より好ましくはイソシアネート基が3つ以上のポリイソシアネートである。
アンカーコート剤には、上述した成分以外に、公知の各種溶媒や添加剤を配合することができる。
このような添加剤としては、水性エポキシ樹脂、シランカップリング剤、アルキルチタネート、酸化防止剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、顔料、染料、抗菌剤、滑剤、無機充填剤及びブロッキング防止剤等を挙げることができる。
アンカーコート層の厚さは、0.1nm以上、1000nm以下であることが好ましく、2nm以上、1000nm以下であることがより好ましく、5nm以上、1000nmであることがさらに好ましく、10nm以上、500nm以下であることが特に好ましい。上記厚さが0.1nm以上であれば、均一に層形成することができるため、密着性等にバラつきが生じることがない。また、厚さが1000nm以下であれば、密着性が良好で、オフラインで基材フィルム表面に当該アンカーコート層を塗工してロール状に巻いた際に基材フィルム背面側への転写が起こることなく、その後、当該アンカーコート層上に無機層を形成した際に所定のガスバリア性能を発揮することができる。
アンカーコート層の耐水性や耐久性を高めるために、電子線照射による架橋処理を行ってもよい。
アンカーコート層を形成する方法としては、保護コート層の形成する方法として上述した公知のコーティング方法が適宜採択される。
<5.ガスバリア性フィルム>
本発明に係るガスバリア性フィルムは、基材フィルムの少なくとも一方の面に、無機層を介して、エチレン−ビニルアルコール共重合体とシランカップリング剤を含む保護コート層を備え、特定の構造を有するシランカップリング剤を用いることにより、ガスバリア性能に優れ、過酷な高温高湿条件下での試験、いわゆるボイル試験やレトルト試験後においてもそのガスバリア性能を維持できるものである。
本発明に係るガスバリア性フィルムは、温度40℃、相対湿度90%の条件下での水蒸気透過率が0.10g/m/day以下であることが好ましい。
0.10g/m/day以下であれば、例えば当該ガスバリア性フィルムを包装フィルムの構成の一部として用いた場合、内容物の長期保存が可能となり、保存期間を確保できる傾向にある。
より好ましくは0.05g/m/day以下である。一方、上限は特に限定されないが、通常は0.0001g/m/day以上である。
温度40℃、相対湿度90%の条件下での水蒸気透過率は、JIS Z0222「防湿包装容器の透湿度試験方法」、JIS Z0208「防湿包装材量の透湿度試験方法(カップ法)」の諸条件に準じて測定できる。
本発明に係るガスバリア性フィルムは、温度25℃、相対湿度80%の条件下での酸素透過率が0.10cc/m/day/atm以下であることが好ましい。
0.10cc/m/day/atm以下であれば、例えば当該ガスバリア性フィルムを包装フィルムの構成の一部として用いた場合、内容物の長期保存が可能となり、保存期間を確保できる傾向にある。
より好ましくは0.05cc/m/day/atm以下である。一方、上限は特に限定されないが、通常は0.0001cc/m/day/atm以上である。
酸素透過率はJIS K 7126 b法に準じ、例えば、酸素透過率測定装置(MOCON社製「OX−TRAN 2/21型酸素透過率測定装置」)により測定することができる。
本発明に係るガスバリア性フィルムは、いわゆるボイル(温度:100℃、時間:30分)処理後、温度40℃、相対湿度90%の条件下での水蒸気透過率が0.15g/m/day以下であることが好ましい。
0.15g/m/day以下であれば、例えば当該ガスバリア性フィルムを包装フィルムの構成の一部として用いた場合、包装フィルム内に内容物を入れてボイル処理した後も、内容物の長期保存が可能となり、保存期間を確保できる傾向にある。
より好ましくは0.10g/m/day以下である。一方、上限は特に限定されないが、通常は0.0001g/m/day以上である。
本発明に係るガスバリア性フィルムは、いわゆるボイル(温度:100℃、時間:30分)処理後、温度25℃、相対湿度80%の条件下での酸素透過率が0.25cc/m/day/atm以下であることが好ましい。
0.25cc/m/day/atm以下であれば、例えば当該ガスバリア性フィルムを包装フィルムの構成の一部として用いた場合、包装フィルム内に内容物を入れてレトルト処理した後も、内容物の長期保存が可能となり、保存期間を確保できる傾向にある。
より好ましくは0.20cc/m/day/atm以下、さらに好ましくは0.15cc/m/day/atm以下である。一方、上限は特に限定されないが、通常は0.0001cc/m/day/atm以上である。
本発明に係るガスバリア性フィルムは、いわゆるボイル(温度:100℃、時間:30分)処理後のラミネート強度が、400g/15mm以上であることが好ましい。
400g/15mm以上であれば、例えば包装フィルムの構成の一部として当該ガスバリアフィルムを用いた場合、ボイル処理後の包装フィルムに外力が加わっても、各層間における剥離が起きにくく、内容物の安定的な長期保存が可能となる傾向にある。
より好ましくは450g/15mm以上、さらに好ましくは500g/15mm以上である。一方下限は特に限定されないが、通常は10000g/15mm以下である。
ラミネート強度は、後述する方法により測定できる。
本発明に係るガスバリア性フィルムは、アンカーコート層を形成した後、或いは無機層を形成した後、更には保護コート層を形成した後に、ガスバリア性、各層間の密着性及び各層の安定化等の点からエージング処理を施すことが好ましい。
当該エージング処理は、ガスバリア性フィルムの各層を構成する成分の種類や層の厚さなどによりその条件が異なるが、必要な温度、時間を維持できる方法であれば方法は特に限定されない。例えば、必要な温度に設定したオーブンや恒温室で保管する方法、熱風を吹き付ける方法、赤外線ヒーターで加熱する方法、ランプで光を照射する方法、熱ロールや熱板と接触させて直接的に熱を付与する方法及びマイクロ波を照射する方法などが使用できる。
また、取り扱いが容易な大きさにフィルムを切断してから加熱処理しても、フィルムロールのままで加熱処理してもよい。更に必要な時間と温度が得られる限りにおいては、コーター、スリッター等のフィルム製造装置の一部分に加熱装置を組み込み、製造過程で加熱を行うこともできる。
本発明に係るガスバリア性フィルムは、更に、用途や必要に応じて上記構成層に追加の層を積層してもよい。例えば、上記保護コート層の上にプラスチックフィルムを設ける等の積層を行い各種用途に使用されるガスバリア性積層フィルムが得られる。当該プラスチックフィルムの厚さは、機械強度、可撓性及び透明性等の点から、通常5〜500μm、好ましくは10〜200μmの範囲で用途に応じて選択される。また、該フィルムの幅や長さは特に制限はなく、適宜用途に応じて選択することができる。例えば、保護コート層の面上にヒートシールが可能なプラスチックフィルムを積層することにより、ヒートシールが可能なガスバリア性積層フィルムとなり、包装フィルム等の種々の包装材として使用できる。ヒートシールが可能なプラスチックフィルムとしては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、アクリル系樹脂及びポリ乳酸などの生分解性樹脂等の公知の樹脂からなるフィルムが挙げられる。
また、別の実施態様としては、本発明に係るガスバリア性フィルムの保護シート層上に印刷層を形成し、更にその上にヒートシール層を積層するものが挙げられる。印刷層を形成する印刷インクとしては、水溶性及び溶剤溶解性の樹脂を含有する印刷インクが使用できる。ここで、前記印刷インクに使用される樹脂としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル樹脂及びこれらの混合物が例示される。更に、印刷インクには、帯電防止剤、光線遮光剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、フィラー、着色剤、安定剤、潤滑剤、消泡剤、架橋剤、耐ブロッキング剤及び酸化防止剤等の公知の添加剤を添加してもよい。
印刷層を設けるための印刷方法としては特に限定されないが、オフセット印刷法、グラビア印刷法及びスクリーン印刷法等の公知の印刷方法が使用できる。印刷後の溶媒の乾燥には、熱風乾燥、熱ロール乾燥及び赤外線乾燥等の公知の乾燥方法が使用できる。
また、印刷層とヒートシール層との間に紙又はプラスチックフィルムを少なくとも1層積層することが可能である。該プラスチックフィルムとしては、本発明に係るガスバリア性フィルムの基材に用いられる樹脂と同様のものが使用できる。中でも、十分な積層体の剛性及び強度を得る観点から、紙、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂又は生分解性樹脂が好ましい。
<6.本発明に係るガスバリア性フィルムの用途>
上述した本発明に係るガスバリア性フィルムは、過酷な高温高湿条件下での試験、いわゆるボイル試験やレトルト試験後においてもガスバリア性能の低下が抑制されるものである。このような優れた特性から、本発明は、当該ガスバリア性フィルムを有する包装フィルム等の包装体も提供する。
本発明係るガスバリア性フィルムは、特に、過酷な高温高湿条件下での試験、いわゆるボイル試験やレトルト試験への耐性が求められる食品包装用フィルムを構成するガスバリア性フィルムとして好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の例に限定されるもの
ではない。なお、以下の実施例におけるフィルムの評価方法は、次の通りである。
[評価項目]
(水蒸気透過率)
JIS Z0222「防湿包装容器の透湿度試験方法」、JIS Z0208「防湿包装材量の透湿度試験方法(カップ法)」の諸条件に準じ、次の手法で評価した。
厚さ60μmの無軸延伸ポリプロピレン(CPP)フィルム(東洋紡績(株)製「P1146」)の表面に、ウレタン系接着剤(東洋モートン(株)製AD900とCAT−RT85を10:1.5の割合で配合したもの)を塗布、乾燥し、厚さ約3μmの接着剤層を形成した。この接着剤層上にガスバリア性フィルムのコーティング層面側をラミネートし、ガスバリア性積層フィルムを得た。
透湿面積10.0cm×10.0cm角の各ガスバリア性積層フィルムを2枚用い、吸湿剤として無水塩化カルシウム約20gを入れ四辺を封じた袋を作製し、その袋を温度40℃相対湿度90%の恒温恒湿装置に入れ、48時間以上間隔で重量増加がほぼ一定になる目安として14日間まで、質量測定(0.1mg単位)し、水蒸気透過率を下記式から算出した。
ボイル試験後の水蒸気透過率は、ガスバリア性積層フィルムのボイル(温度:100℃、時間:30分)処理を行い、その後は上記同等に測定した。
水蒸気透過率[g/m2/day]=(m/s)/t
m; 試験期間最後2回の秤量間隔の増加質量(g)
s; 透湿面積(m2)
t; 試験期間最後2回の秤量間隔の時間(h)/24(h)
(酸素透過率)
JIS K 7126 b法に準じ、酸素透過率測定装置(MOCON社製「OX−TRAN 2/21型酸素透過率測定装置」)により、各ガスバリア性積層フィルムについて、温度25℃、相対湿度80%の条件下で酸素透過率(cc/(m2・24hr・atm))を測定した。
レトルト試験後の酸素透過率は、ガスバリア性積層フィルムのレトルト(温度:125℃、時間:30分)処理を行い、その後は上記同様に測定した。
(ラミネート強度)
上記と同様の方法で得られたガスバリア性積層フィルムを幅15mmの短冊状に切り出し、そのまま又はボイル(温度:100℃、時間:30分)処理を行い、その後、端部を一部剥離し、引っ張り試験機((株)オリエンテック製「STA−1150」)を用いて、300mm/minの速度でCPPフィルムを180°剥離することにより、未処理及びボイル試験後のラミネート強度(g/15mm)を測定した。
なお、ラミネート強度の値が大きいほど、各層間の密着性が良好であることを示す。
(無機層の膜厚)
無機層の膜厚測定は蛍光X線を用いて行った。この方法は、原子にX線を照射すると、その原子特有の蛍光X線を放射する現象を利用した方法で、放射される蛍光X線強度を測定することにより原子の数(量)を知ることが出来る。具体的には、フィルム上に既知の2種の厚みの膜を形成し、それぞれについて放射される特定の蛍光X線強度を測定し、この情報より検量線を作成する。測定試料について同様に蛍光X線強度を測定し、検量線からその膜厚を測定した。
[使用材料]
(基材)
・二軸延伸PETフィルム(三菱樹脂(株)製 H100C、厚み12μm)
・無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)(東洋紡績(株)製 P1146、厚み60μm)
(無機層原料)
・SiO(一酸化珪素)
(アンカーコート剤)
・飽和ポリエステル(東洋紡績(株)製 バイロン300)
・イソシアネート化合物(東ソー(株)製 コロネートL)
(保護コート剤)
・エチレン−ビニルアルコール共重合体(エチレン含有率27モル%)水溶液(エチレン−ビニルアルコール共重合体の濃度は5重量%)
・N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製 KBM−573) 2級アミノ基を有するシランカップリング剤
・ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン(EVONIK(株) Dynasylan1122) 2級アミノ基を有するシランカップリング剤
・3−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業(株) KBE−903) 1級アミノ基を有するシランカップリング剤
・3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株) KBM−403) エポキシ基を有するシランカップリング剤。
(アンカーコート剤の調製)
飽和ポリエステル(東洋紡績(株)製 バイロン300)とイソシアネート化合物(東ソー(株)製 コロネートL)を1:1質量比になるように配合し、アンカーコート剤を調製した。
(保護コート剤1の調製)
エチレン−ビニルアルコール共重合体水溶液に、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株) KBM−573)を保護コート中の全固形分に対して固形分濃度が10重量%になるように添加し、保護コート剤1を調製した。
(保護コート剤2の調製)
エチレン−ビニルアルコール共重合体水溶液に、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株) KBM−573)を保護コート剤中の全固形分に対して固形分濃度が2重量%になるように添加し、保護コート剤2を調製した。
(保護コート剤3の調製)
エチレン−ビニルアルコール共重合体水溶液に、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン(EVONIK(株) Dynasylan1122)を、保護コート剤中の全固形分に対して固形分濃度が10重量%になるように添加し、保護コート剤3を調製した。
(保護コート剤4の調製)
エチレン−ビニルアルコール共重合体水溶液に、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株) KBM−573)を保護コート剤中の全固形分に対して固形分濃度が0.5重量%になるように添加し、保護コート剤4を調製した。
(保護コート剤5の調製)
エチレン−ビニルアルコール共重合体水溶液に、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業(株) KBE−903)を、保護コート剤中の全固形分に対して固形分濃度が10重量%になるように添加し、保護コート剤5を調製した。
(保護コート剤6の調製)
エチレン−ビニルアルコール共重合体水溶液に、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株) KBM−403)を保護コート剤中の全固形分に対して固形分濃度が10重量%になるように添加し、保護コート剤6を調製した。
(保護コート剤7の調製)
エチレン−ビニルアルコール共重合体水溶液を保護コート剤7とした。
[実施例1]
基材フィルムとして、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂社、H100C)を用い、そのコロナ処理面にアンカーコート剤を塗布乾燥して、厚さ100nmのアンカーコート層を形成した。
次いで、真空蒸着装置を使用して2×10−3Paの真空下でSiOを加熱方式で蒸発させ、アンカーコート層上に厚さ30nmのSiOx薄膜層を形成した。
次いで、SiOx薄膜層上に保護コート剤1を塗布乾燥して厚さ0.5μmの保護コート層を形成し、ガスバリア性フィルムを得た。
得られたガスバリア性フィルムについて、水蒸気透過率、ボイル試験後の水蒸気透過率、酸素透過率、レトルト試験後の酸素透過率、ラミネート強度及びボイル試験前後のラミネート強度測定を行った。結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1において、保護コート層を形成後に80℃で1日間エージング処理を行った以外は同様にしてガスバリア性フィルムを得た。得られたガスバリア性フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1において、保護コート層の厚みを2μmとした以外は同様にしてガスバリア性フィルムを得た。得られたガスバリア性フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例1において、保護コート剤1の代わりに保護コート剤2を用いた以外は同様にしてガスバリア性フィルムを得た。得られたガスバリア性フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例1において、保護コート剤1の代わりに保護コート剤3を用いた以外は同様にしてガスバリア性フィルムを得た。得られたガスバリア性フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1において、保護コート剤1の代わりに保護コート剤4を用いた以外は同様にしてガスバリア性フィルムを得た。得られたガスバリア性フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1において、保護コート層の厚みを0.05μmとした以外は同様にしてガスバリア性フィルムを得た。得られたガスバリア性フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例3]
実施例1において、保護コート剤1の代わりに保護コート剤5を用いた以外は同様にしてガスバリア性フィルムを得た。得られたガスバリア性フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例4]
実施例1において、保護コート剤1の代わりに保護コート剤6を用いた以外は同様にしてガスバリア性フィルムを得た。得られたガスバリア性フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例5]
実施例1において、保護コート剤1の代わりに保護コート剤7を用いた以外は同様にしてガスバリア性フィルムを得た。得られたガスバリア性フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例6]
実施例1において、保護コート層を形成せずにガスバリア性フィルムを得た。得られたガスバリア性フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2018158501
[考察]
実施例1乃至5の結果から、基材フィルムの少なくとも一方の面に、無機層を介して、エチレン−ビニルアルコール共重合体とシランカップリング剤を含む保護コート層を有するガスバリア性フィルムであって、該シランカップリング剤が2級アミノ基を有し、該保護コート層における該シランカップリング剤の濃度が1重量%以上、90重量%以下であり、該保護コート層の厚みが0.1μm以上、5μm以下であることにより、ガスバリア性能に優れ、過酷な高温高湿条件下での試験、いわゆるボイル試験やレトルト試験後においてもガスバリア性能の低下やラミネート強度の低下が抑制できるガスバリア性フィルムが得られることが分かった。
一方、比較例1と比較例2の結果から、保護コート層の厚みや、2級アミノ基を有するシランカップリング剤の濃度によっては、過酷な高温高湿条件下での試験、いわゆるボイル試験やレトルト試験後においてもガスバリア性能の低下やラミネート強度の低下が大きくなることが分かった。
また、比較例3と比較例4の結果から、保護コート層に2級アミノ基を有さないシランカップリング剤を加えても、実施例に示すような優れた効果を発揮しないことが分かった。

Claims (4)

  1. 基材フィルムの少なくとも一方の面に、無機層を介して、エチレン−ビニルアルコール共重合体とシランカップリング剤を含む保護コート層を有するガスバリア性フィルムであって、
    該シランカップリング剤が2級アミノ基を有し、該保護コート層における該シランカップリング剤の濃度が1重量%以上、90重量%以下であり、該保護コート層の厚みが0.1μm以上、5μm以下であることを特徴とするガスバリア性フィルム。
  2. 前記基材フィルムと前記無機層の間にアンカーコート層を有し、当該アンカーコート層がポリエステル系樹脂、ニトロセルロース樹脂、脂環又は芳香族環を有するアクリルモノマーを重合成分として有するアクリル系樹脂及びこれらの混合物を含む請求項1に記載のガスバリア性フィルム。
  3. 前記無機層が、酸化珪素である請求項1又は2に記載のガスバリア性フィルム。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載のガスバリア性フィルムを用いた包装フィルム。
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