以下では、本明細書に開示する発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。以下の説明から、当業者にとって、本発明の多くの改良や他の実施の形態が明らかである。従って、以下の説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更することができる。
図1は一側面に開放面1016を有する燃料電池モジュール1002の高さ方向(H)、幅方向(W)、奥行き方向(L)を示した斜視図であり、図2はW方向から見たモジュール容器1018の内部構造を示す部分断面図である。
まず、図1及び図2を用いて本発明の実施形態について説明する。図1及び図2に示すように、燃料電池モジュール1002はモジュール容器1018の内部に設けられたガスマニホールド1004の上方に設けられた複数の燃料電池セル1012を有するとともに、モジュール容器1018の内部に設けられた改質器1024を有する。
改質器1024には原燃料ガス及び水蒸気が供給され(図示せず)、水蒸気改質反応により燃料ガスを生成する。図2に示すように、改質器1024で生成された燃料ガスは燃料ガス供給管1006を通過してガスマニホールド1004の内部に供給される。このガスマニホールド1004の天面は複数の燃料電池セル1012を支持するための貫通孔を備えた下支持板1010で構成されており、下支持板1010によって閉塞されたガスマニホールド1004の内部において、燃料ガスが複数の燃料電池セル1012へと供給される。
さらに、発電用空気(酸化剤ガス)は発電用空気導入管1028から空気通路カバー1022の内壁とモジュール容器1018の外壁との間に形成される空気通路1034に供給される。その後、発電用空気はモジュール容器1018の側面に設けられた吹出口1026から発電室1008に供給され、燃料電池セル1012は供給された発電用空気と燃料ガスとで発電反応を行う。発電に寄与しなかった発電用空気と燃料ガスは上方に設けられた燃焼室1030で燃焼され排気通路1032からモジュール容器1018の外部に排出される。
ここで、図1に示すように直方体状のモジュール容器1018は、モジュール容器本体1014と閉鎖側板(モジュール容器蓋体)1020とから構成される。モジュール容器本体1014内部の上方にはモジュール容器本体1014の長手方向(L方向)に延在する改質器1024がモジュール容器本体1014の内壁面と固定される。なお、本実施形態における固定構造は図示しないが、改質器1024はモジュール容器本体1014の内壁面とどのように固定されていても良い。
また、図1及び図2に示すように、モジュール容器本体1014は開放された一側面1016を有し、ガスマニホールド1004の上方に燃料電池セル1012が配置された状態で一側面1016からモジュール容器本体1014の内部にスライド式に挿入される(図2の黒矢印)。モジュール容器本体1014内に燃料電池セル1012が配置された後は、モジュール容器本体1014の一側面1016が閉鎖側板(モジュール容器蓋体)1020によって閉塞される(図1の黒矢印)。ここで、モジュール容器本体1014と閉鎖側板1020とは溶接によって接合されることでモジュール容器1018の内部が気密保持される。
なお、モジュール容器本体1014に燃料電池セル1012を挿入した後は、閉鎖側板(モジュール容器蓋体)1020のみをモジュール容器本体1014に溶接するのみでよく、燃料電池セル1012を内部に格納した後の溶接作業を最小限として、溶接飛沫が燃料電池セル1012に付着するリスクを抑えることができる。
また、図1及び図2に示すように、改質器1024とガスマニホールド1004とは燃料ガス供給管1006によって接続されている。燃料ガス通路としての燃料ガス供給管1006は、閉鎖側板1020と複数の燃料電池セル1012との間を垂下し、モジュール容器1018の底面付近で屈曲し、複数の燃料電池セル1012の下方に形成されたガスマニホールド1004と接続されている。
燃料ガス供給管1006は、改質器1020に接続されている第1の配管1006Aと、ガスマニホールド1004に接続されている第2の配管1006Bとに分割されており(図2参照)、これら第1の配管1006A及び第2の配管1006Bは接続部材1036(後に詳述する)により接続されている。第1の配管1006Aを通過した燃料ガスは接続部材1036内部を通過した後、第2の配管1006Bを通ってガスマニホールドに流入するよう、内部を流れる燃料ガスが連通するように構成されている(図2の点線矢印)。
次に、図3乃至図5を用いて、本発明の実施形態における接続部材1036について説明する。図3は第1の配管1006A及び第2の配管1006Bと接続された接続部材本体1038と、接続部材蓋体1040との斜視図である。
図3に示すように、接続部材本体1038は一面が開放された直方体形状を有している。具体的には、接続部材本体1038は、天面1038Aと、底面1038Bと、3つの側面1038Cと、開放された開放面1038Dと、を有する。また、天面1038A及び底面1038Bには、第1の配管1006A及び第2の配管1006Bの端部が挿入される挿入孔1038Eが形成されている。
また、接続部材蓋体1040は接続部材本体1038の開放面1038Dを閉塞するものである。接続部材蓋体1040は四辺形の本体部1040Aと、本体部の縁から延出する折り返し部1040Bとを有する。折り返し部1040Bは接続部材1036の外方に向かうように延出している。
接続部材本体1030は、第1の配管1006A及び第2の配管1006Bの端部が挿入孔1038Eに固定された後に、接続部材蓋体1040によって開放面1038Dが閉塞される。これにより、接続部材1036の内部を気密封止し、第1の配管1006Aと第2の配管1006Bを流れる燃料ガスを連通させることができる。
なお、接続部材1036はモジュール容器1018を構成する材料と同一の材料により構成されていることが好ましい。これにより、接続部材1036が熱劣化することを抑制することができる。
図4は、第1の配管1006A及び第2の配管1006Bと接続部材1036とが固定された状態を示す部分断面図である。第1の配管1006A及び第2の配管1006Bは接続部材本体1038と溶接固定され、接続部材蓋体1040も接続部材本体1038と溶接接合されている。
まず、第1の配管1006Aは天面1038Aに形成された挿入孔1038Eに挿入されている。挿入孔1038Eは縁が直角に折り曲げられ、接続部材1036の内部方向に延出するように形成されている。ここで、第1の配管1006Aの端部は挿入孔1038Eの縁よりも内部方向に突出するように挿入されており、第1の配管1006Aと挿入孔1038Eの縁とが溶接接合されている(図4の黒塗り部分)。すなわち、第1の配管1006Aの端部が挿入孔1038Eの縁よりも内部に突出するように形成されているため、接続部材本体1038の内部における第1の配管1006Aと挿入孔1038Eとの溶接作業が容易となる。
同様に、第2の配管1006Bは底面1038Bに形成された挿入孔1038Eに挿入されている。挿入孔1038Eは縁が直角に折り曲げられ、接続部材1036の内部方向に延出するように形成されている。ここで、第2の配管1006Bの端部は挿入孔1038Eの縁よりも内部方向に突出するように挿入されており、第2の配管1006Bと挿入孔1038Eの縁とが溶接接合されている(図4の黒塗り部分)。すなわち、第2の配管1006Bの端部が挿入孔1038Eの縁よりも内部に突出するように形成されているため、接続部材本体1038の内部における第2の配管1006Bと挿入孔1038Eとの溶接作業が容易となる。
このように、接続部材1036の内部における第1の配管1006A及び第2の配管1006Bと挿入孔1038Eの縁との溶接作業が容易となる。さらに、開放面1038D以外の周囲が覆われた接続部材1038内部で溶接接合を行うため、燃料電池セル1012側への飛沫飛散の抑制が可能となり、作業性の向上と、飛散燃料電池セル1012の汚染・劣化を両立することができる。
なお、本実施形態では図示しないが、水添脱硫器に水素を供給するための水添脱硫器用配管を接続部材1036に配設することも好ましい。改質器1024に水添脱硫器用配管を取り付ける場合には、改質後の燃料ガスを取り出す必要があるため、改質器1024の下流側に配設する必要がある。しかしながら、改質器1024の形状や内部を流れるガスの流量によっては、燃料ガスが水添脱硫器用配管に十分に流入しないおそれがある。本実施形態によれば、改質器1024を通過後の接続部材1036に水添脱硫器配管が設けられているため、ガス流量や改質器形状によらず、燃料ガスを水添脱硫器配に供給することができる。さらに、本実施形態の接続部材1036によれば水添脱硫器用配管を溶接する際の溶接飛沫の飛散を防止することができるため、燃料電池セル1012の汚染・劣化を抑制しながらの取り付けが可能となる。なお、燃料電池セル1012以外の面であれば接続部材1036のどの面に取り付けても良い。
次に、図4に示す様に、接続部材本体1038と接続部材蓋体1040とが溶接接合される。接続部材本体1038はモジュール容器1018の一側面1016側に開放面1038Dを有し(図2参照)、開放面1038Dは接続部材蓋体1040によって閉塞される。ここで、接続部材蓋体1038の本体部1040Aは開放面1038Dよりも内側に配置され、折り返し部1040Bの端部と開放面1038Dの端部が一致するように配置される。折り返し部1040Bの端部と開放面1038Dの端部とが溶接接合されることで(図4の黒塗り部分)、接続部材1036の内部が気密封止される。
このように、開放面1038の端部と折り返し部の1040Bの端部とが一側面1016において一致するように構成されているため、これらの溶接作業をモジュール容器1018の一側面1011の外方から行うことが可能となり作業性が向上する。さらに、一側面1016側での溶接作業が可能となるため、接続部材1036によって溶接作業中の溶接飛沫が燃料電池セルに付着することを抑制することができる。
また、接続部材1036の内径D3は、第1の配管1006Aの内径D1及び第2の配管1006Bの内径D2よりも大きい。すなわち、接続部材1036の流路断面積は第1の配管1006A及び第2の配管1006Bの流路断面積よりも大きく構成されている。
これにより、改質器1024で生成された燃料ガスは、管路より広い空間を有する接続部材1036内でさらに混合され、燃料ガスの改質ばらつきや燃料ガス供給量のばらつきを接続部材1036内部で均一にすることができる。さらに、燃料ガス供給の異常等によって配管内で圧力変動が生じた場合でも接続部材1036の内部がバッファとして機能するため、燃料電池セル1012にその影響が及ばない。
なお、第1の配管1006A及び第2の配管1006Bの内径D1、D2は、接続部材1036の内径D1よりも小さく構成されていればよく、D1、D2の大小関係は適宜調整してもよい。また、接続部材1036の流路断面積の大きさは、折り返し部1040Bの長さによって適宜調整することが可能である。
次に、図5を用いて接続部材1036を構成するまでの製造工程を説明する。図5(A)はモジュール容器本体1014にガスマニホールド1004を備えた燃料電池セル1012をスライド式に挿入する際の断面図を示す。図5(B)は第1の配管1006A及び第2の配管1006Bを接続部材本体1038に溶接接合する際の断面図を示す。図5(C)は接続部材本体1038に接続部材蓋体1040を溶接接合する際の断面図を示す。
図5(A)に示すモジュール容器本体1014の内部上方には改質器1024が固定されて、改質器1024は第1の配管1006Aを有する。改質器1024及び第1の配管1006Aを有するモジュール容器本体1014には、下方にガスマニホールド1004及び第2の配管1006Bを備えた複数の燃料電池セル1012が開放された一側面1016からスライド式に挿入される(図5(A)の黒太矢印)。ここで、第2の配管1006Bには接続部材本体1038が挿入された状態でモジュール容器本体1014に挿入される。
挿入後は、図5(B)に示すように、接続部材本体1038を上方にスライドさせることで(図5(B)の点線矢印)、接続部材本体1038の挿入孔1038Eに第1の配管1006A及び第2の配管1006Bを挿入することができる。これにより、第1の配管1006A及び第2の配管1006Bに接続部材本体1038を取り付ける際に、燃料電池セル1012などの周囲部品と接触することを回避し、部品損傷・劣化を抑制しながら取り付けることが可能となる。
図5(B)に示すように、接続部材本体1038の挿入孔1038Eに第1の配管1006A及び第2の配管1006Bを挿入した後は、これらが接続部材本体1038の内部で溶接接合される(図5(B)の黒塗り)。ここで、接続部材本体1038の内部と燃料電池セル1012とは遮蔽され、第1の配管1006A及び第2の配管1006Bと接続部材本体1038との溶接飛沫は接合部材により完全に遮断される。このため、溶接接合に伴う燃料電池セル1012の汚染・劣化を確実に抑制することができる。
さらに、接続部材本体1038の開放面1038Dはモジュール容器本体1014の一側面1016側に配置されているため、一側面1016の外方から行う接続部材本体1038の内部での溶接作業が容易となる。すなわち、燃料電池セル1012への溶接飛沫の飛散を抑制しながら溶接作業の容易性向上を実現することができる。
図5(C)に示すように、開放面1038Dは接続部蓋体1040によって閉塞される。ここで、接続部蓋体1040の折り返し部1040Bの端部と開放面1038Dの端部とが一側面1016側で溶接接合される(図5(C)の黒塗り)。接続部本体1038と接続部蓋体1040との溶接接合が接続部材1036を挟んで反対側で行われるため、接続部材1036によって溶接飛沫が燃料電池セル1012に付着することを抑制することができる。すなわち、溶接飛沫による燃料電池セル1012の汚染・劣化を抑制しながら、接続部材1036を構成することが可能となる。
また、図5(C)に示すように、接続部材1036は燃焼部1030の高さに位置している。これにより、接続部材1036と燃焼室1030とが近接するため、内部を流れる燃料ガスが燃焼室1030から直接熱を受け取ることができ、燃料ガスの効果的な昇温が可能となる。さらに、燃料電池セル1012から離間した位置に配置されるため、接合部材1036で生じた溶接飛沫が燃料電池セルに飛散するリスクを抑制することができる。
次に、添付図面を参照して、本発明の実施例による固体酸化物形燃料電池装置を説明する。
図6は、本発明の一実施例による固体酸化物形燃料電池装置(SOFC)を示す全体構成図である。図6に示すように、本発明の一実施例による固体酸化物形燃料電池装置(SOFC)1は、燃料電池モジュール2と、補機ユニット4を備えている。
燃料電池モジュール2は、ハウジング6を備え、このハウジング6内部には、断熱材7を介して金属製のモジュール容器8が内蔵されている。この密閉空間であるモジュール容器8の下方部分である発電室10には、燃料ガスと酸化剤ガス(以下では適宜「発電用空気」又は「空気」と呼ぶ。)とにより発電反応を行う燃料電池セル集合体12が収容置されている。この燃料電池セル集合体12は、複数の燃料電池セルユニット16が直列接続されて構成されている。
燃料電池モジュール2のモジュール容器8の発電室10の上方には、燃焼部としての燃焼室18が形成され、この燃焼室18で、発電反応に使用されなかった(発電に寄与しなかった)残余の燃料ガスと残余の空気とが燃焼し、排気ガス(言い換えると燃焼ガス)を生成するようになっている。さらに、モジュール容器8は断熱材7により覆われており、燃料電池モジュール2内部の熱が、外気へ発散するのを抑制している。また、この燃焼室18の上方には、燃料ガスを改質する改質器120が配置され、残余ガスの燃焼熱によって改質器120を改質反応が可能な温度となるように加熱している。
さらに、ハウジング6内においてモジュール容器8の上方には、蒸発器140が断熱材7内に設けられている。蒸発器140は、供給された水と排気ガスとの間で熱交換を行うことによって、水を蒸発させて水蒸気を生成し、この水蒸気と原燃料ガスとの混合ガス(以下では「燃料ガス」と呼ぶこともある。)をモジュール容器8内の改質器120に供給する。
次に、補機ユニット4は、燃料電池モジュール2からの排気中に含まれる水分を結露させた水を貯水してフィルターにより純水とする純水タンク26と、この貯水タンクから供給される水の流量を調整する水流量調整ユニット28(モータで駆動される「水ポンプ」等)を備えている。また、補機ユニット4は、都市ガス等の原料ガスの供給減である燃料供給源30から供給された燃料を遮断するガス遮断弁32と、燃料ガスから硫黄を除去するための脱硫器36と、燃料ガスの流量を調整する燃料流量調整ユニット38(モータで駆動される「燃料ポンプ」等)と、電源喪失時において、燃料流量調整ユニット38から流出する燃料ガスを遮断するバルブ39を備えている。さらに、補機ユニット4は、空気供給源40から供給される空気を遮断する電磁弁42と、空気の流量を調整する改質用空気流量調整ユニット44及び発電用空気流量調整ユニット45(モータで駆動される「空気ブロア」等)と、改質器120に供給される改質用空気を加熱する第1ヒータ46と、発電室に供給される発電用空気を加熱する第2ヒータ48とを備えている。これらの第1ヒータ46と第2ヒータ48は、起動時の昇温を効率よく行うために設けられているが、省略しても良い。なお、本実施例における脱硫器36は水素を供給して脱硫反応を生じさせる水添脱硫器である。
なお、本実施例では、装置の起動時に改質器120内において、部分酸化改質反応(POX)のみが生じるPOX工程から、部分酸化改質反応(POX)と水蒸気改質反応(SR)が混在したオートサーマル改質反応(ATR)が生じるATR工程を経て、水蒸気改質反応のみが生じるSR工程が行われるように構成してもよいし、POX工程を省略してATR工程からSR工程に移行されるように構成してもよいし、POX工程及びATR工程を省略してSR工程のみが行われるように構成してもよい。なお、SR工程のみが行われる構成では、改質用空気流量調整ユニット44は不要である。
次に、燃料電池モジュール2には、排気ガスが供給される温水製造装置50が接続されている。この温水製造装置50には、水供給源24から水道水が供給され、この水道水が排気ガスの熱により温水となり、図示しない外部の給湯器の貯湯タンクへ供給されるようになっている。また、燃料電池モジュール2には、燃料ガスの供給量等を制御するための制御ボックス52が取り付けられている。さらに、燃料電池モジュール2には、燃料電池モジュールにより発電された電力を外部に供給するための電力取出部(電力変換部)であるインバータ54が接続されている。
次に、図7乃至図9を参照して、本発明の一実施例による固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池モジュールの構造について説明する。図7は、本発明の一実施例による固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池モジュールを示す側面断面図であり、図8は、図7のIII-III線に沿った断面図であり、図9は、モジュール容器及び空気通路カバーの分解斜視図である。
図7及び図8に示すように、燃料電池モジュール2は、断熱材7で覆われたモジュール容器8の内部に設けられた燃料電池セル集合体12及び改質器120を有すると共に、モジュール容器8の外部で且つ断熱材7内に設けられた蒸発器140を有する。
まず、モジュール容器8は、図9に示すように、略矩形の天板8a,底板8c,これらの長手方向(図7の左右方向)に延びる辺同士を連結する対向する一対の側板8bからなる筒状体と、この筒状体の長手方向の両端部の2つの対向する開口部を塞ぎ、天板8a及び底板8cの幅方向(図8の左右方向)に延びる辺同士を連結する閉鎖側板8d,8eからなる。
モジュール容器8は、空気通路カバー160によって天板8a及び側板8bが覆われている。空気通路カバー160は、天板160aと、対向する一対の側板160bとを有する。天板160aの略中央部分には、排気管171を貫通させるための開口部167と、発電用空気導入管74を接続するための開口部160cと、が設けられている。天板160aと天板8aとの間、及び、側板160bと側板8bとの間は、所定の距離だけ離間した状態となっている。これにより、モジュール容器8の外側と断熱材7との間、具体的にはモジュール容器8の天板8a及び側板8bと、空気通路カバー160の天板160a及び側板160bとの間には、天板160a及び側板160bの外面に沿って、酸化剤ガス供給通路としての空気通路161a,161bが形成されている(図8参照)。
モジュール容器8の側板8bの下部には、複数の貫通孔である吹出口8fが設けられている(図9参照)。発電用空気は、空気通路カバー160の天板160aのうち、モジュール容器8の閉鎖側板8e側の略中央部に設けられた発電用空気導入管74から空気通路161a内に供給される(図7参照)。そして、発電用空気は、空気通路161a,161bを通って、吹出口8fから燃料電池セル集合体12に向けて発電室10内に噴射される(図8、図9参照)。
図10は、モジュール容器8を構成する閉鎖側板8dの内面を示す斜視図である。同図に示すように、閉鎖側板8dの内面には幅方向両側の縁に沿うように上下方向に延びる第1の突起部180Aと、第2の突起部180Bとが形成されている。第1の突起部180A及び第2の突起部180Bはそれぞれ矩形状の水平断面形状を有する。第1の突起部180A及び第2の突起部180Bの内側面が燃料電池セル側に突出する突出面を構成する。なお、第1の突起部180A及び第2の突起部180Bの間には、断面矩形状の溝部180Cが形成されている。
また、空気通路161a,161bの内部には、第1及び第2排気通路172a、172b内の排気ガスと空気通路161a,161b内の空気との間の熱交換を促進する熱交換促進部材としてのプレートフィン162,163が設けられている(図8参照)。プレートフィン162は、モジュール容器8の天板8aと空気通路カバー160の天板160aの間で長手方向及び幅方向に延びるように水平方向に設けられている。すなわち、プレートフィン162は、空気通路161a内の後述する第1排気通路172aに対応する部分に設けられている。また、プレートフィン163は、モジュール容器8の側板8bと空気通路カバー160の側板160bとの間であって、且つ、燃料電池セルユニット16よりも上方の位置に長手方向及び鉛直方向に延びるように設けられている。すなわち、プレートフィン163は、空気通路161b内の後述する第2排気通路172b及び排気集中部176に対応する部分に設けられている。
空気通路161a,161bを流れる発電用空気は、特にプレートフィン162,163を通過する際に、これらプレートフィン162,163の内側のモジュール容器8内(具体的には天板8a,側板8bに沿って設けられた排気通路)を通過する排気ガスとの間で熱交換を行い、加熱されることとなる。このようなことから、空気通路161a,161bにおいてプレートフィン162,163が設けられた部分は、熱交換器(熱交換部)として機能する。なお、プレートフィン162が設けられた部分が主たる熱交換器部分を構成し、プレートフィン163が設けられた部分が従たる熱交換器部分を構成する。
次に、蒸発器140は、モジュール容器8の天板8a上で水平方向に延びるように固定されている。また、蒸発器140とモジュール容器8との間には、これらの隙間を埋めるように断熱材7の一部分7aが配置されている(図7及び図8参照)。
具体的には、蒸発器140は、長手方向(図7の左右方向)の一側端側に、水及び原燃料ガス(改質用空気を含めてもよい)を供給する燃料供給配管63と、排気ガスを排出するための排気ガス排出管82(図8参照)とが連結され、長手方向の他側端側に、排気管171の上端部が連結されている。排気管171は、空気通路カバー160の天板160aに形成された開口部167を貫通して下方へ延び、モジュール容器8の天板8a上に形成された排気口111に連結されている。排気口111は、モジュール容器8内の燃焼室18で生成された排気ガスをモジュール容器8の外へ排出する開口部であり、モジュール容器8の上面視略矩形の天板8aのほぼ中央部に形成されている。
また、蒸発器140は、図7及び図8に示すように、上面視で略矩形の蒸発器ケース141を有している。この蒸発器ケース141は、2つの高さの低い有底矩形筒状の上側ケース142と下側ケース143とを、これらの間に中間板144を挟んだ状態で接合して形成されている。
したがって、蒸発器ケース141は、上下方向に二層構造となっており、下層部分には、排気管171から供給された排気ガスが通過する排気通路部140Aが形成され、上層部分には、燃料供給配管63から供給された水を蒸発させて水蒸気を生成する蒸発部140Bと、蒸発部140Bで生成された水蒸気と燃料供給配管63から供給された原燃料ガスとを混合させる混合部140Cが設けられている。
蒸発部140B及び混合部140Cは、複数の連通孔(スリット)が設けられた仕切り板により蒸発器140を仕切った空間にて形成されている。また、蒸発部140B内には、アルミナボール(図示せず)が充填されている。
また、排気通路部140Aは、同様に複数の連通孔を有する2つの仕切り板により排気ガスの上流側から下流側にかけて3つの空間に仕切られている。そして、2番目の空間に燃焼触媒(図示せず)が充填されている。すなわち、本実施例の蒸発器140は、燃焼触媒器を含んでいる。
このような蒸発器140では、蒸発部140B内の水と排気通路部140Aを通過する排気ガスとの間で熱交換が行われ、排気ガスの熱により蒸発部140B内の水が蒸発して、水蒸気が生成されることとなる。また、混合部140C内の混合ガスと排気通路部140Aを通過する排気ガスとの間で熱交換が行われ、排気ガスの熱により混合ガスが昇温されることとなる。
更に、図7に示すように、混合部140Cには、改質器120に混合ガスを供給するための混合ガス供給管112が接続されている。この混合ガス供給管112は、排気管171の内部を通過するように配置されており、一端が中間板144に形成された開口144aに連結され、他端が改質器120の天面に形成された混合ガス供給口120aに連結されている。混合ガス供給管112は、排気通路部140A内,排気管171内を通過してモジュール容器8内まで鉛直下方に延び、そこで略90°屈曲されて天板8aに沿って水平方向に延びた後、下方へ略90°屈曲されて改質器120に連結されている。
次に、改質器120は、燃焼室18の上方でモジュール容器8の長手方向に沿って水平方向に延びるように配置され、モジュール容器8の天板8aとの間に排気ガス誘導部材130を介して所定距離隔てられて状態で、天板8aに対して固定されている。改質器120は、上面視で外形略矩形であるが、中央部に貫通孔120bが形成された環状構造体であり、上側ケース121と下側ケース122とが接合された筐体を有している。この貫通孔120bは、天板8aに形成された排気口111と上面視で重なるように位置し、好ましくは、貫通孔120bの中央位置に排気口111が形成される。
改質器120の長手方向の一端側(モジュール容器8の閉鎖側板8e側)では、上側ケース121に設けられた混合ガス供給口120aに混合ガス供給管112が連結されており、他端側(閉鎖側板8d側)では、燃料ガス供給管64が下側ケース122に連結されている。したがって、改質器120は、混合ガス供給管112から混合ガス(つまり水蒸気が混合された原燃料ガス(改質用空気を含めてもよい))を受け取り、内部で混合ガスを改質し、燃料ガス供給管64から改質後のガス(即ち、燃料ガス)を排出するように構成されている。
改質器120は、その内部空間が2つの仕切り板123a,123bによって3つの空間に仕切られることにより、改質器120内に、混合ガス供給管112からの混合ガスを受入れる混合ガス受入部120Aと、混合ガスを改質するための改質触媒(図示せず)が充填された改質部120Bと、改質部120Bを通過したガスを排出するガス排出部120Cと、が形成されている(図7参照)。改質部120Bは、仕切り板123a,123bに挟まれた空間であり、この空間に改質触媒が保持されている。混合ガス及び改質後の燃料ガスは、仕切り板123a,123bに設けられた複数の連通孔(スリット)を通って移動可能となっている。また、改質触媒としては、アルミナの球体表面にニッケルを付与したものや、アルミナの球体表面にルテニウムを付与したものが適宜用いられる。
混合ガス受入部120Aには、蒸発器140から混合ガス供給管112を介して供給された混合ガスが混合ガス供給口120aを通して噴出される。この混合ガスは、混合ガス受入部120A内で拡張されて噴出速度が低下し、仕切り板123aを通過して改質部120Bに供給される。
改質部120Bでは、低速で移動する混合ガスが改質触媒により燃料ガスに改質され、この燃料ガスが仕切り板123bを通過してガス排出部120Cに供給される。
燃料ガス供給通路としての燃料ガス供給管64は、モジュール容器8内を閉鎖側板8dに沿って下方へ延び、底板8c付近で略90°屈曲されて水平方向に延びて、燃料電池セル集合体12の下方に形成されたガスガスマニホールド66内へ入り、更にガスガスマニホールド66内で逆側の閉鎖側板8e付近まで水平方向に延びている。燃料ガス供給管64は、改質器120に接続されている第1の配管64Aと、ガスガスマニホールド66に接続されている第2の配管64Bとに分割されており、これら第1の配管64A及び第2の配管64Bは接続部材190によって配管内が連通するように構成されている。なお、接続部材190は、略燃焼部の高さに設けられ、燃料電池セル集合体12の斜め上方に位置している。
また、図7に示すように、接続部材190には、水添脱硫器用配管65が取り付けられている。このように構成することで接続部材190から水添脱硫器用配管65へ燃料ガスを供給することができる。
燃料ガス供給管64の水平部64aの下方面には、複数の燃料供給孔64bが形成されており、この燃料供給孔64bから、燃料ガスがガスガスマニホールド66内に供給される。このガスガスマニホールド66の上方には、燃料電池セルユニット16を支持するための貫通孔を備えた下支持板68が取り付けられており、ガスガスマニホールド66内の燃料ガスが、燃料電池セルユニット16内に供給される。また、燃料ガスと空気との燃焼を開始するための点火装置83が、燃焼室18に設けられている。
また、第1の配管64A及び第2の配管64Bは、接続部材190により全周が包囲されている。図11は、接続部材190を取り付けた状態における燃料供給管64の鉛直拡大断面図である。
図11は、組立状態における接続部材190の周辺を示す斜視図である。閉鎖側板8dは、接続部材190を燃料ガス供給管64に取り付けた後に閉じられる。そして、閉鎖側板8dを閉じた状態において、接続部材190は閉鎖側板8dの溝部180C内に収容されている。接続部材190の燃料電池セルユニット16側の面は、閉鎖側板8dの第1の突起部180A及び第2の突起部180Bの燃料電池セルユニット16側の突出面と同一平面上に位置している。これにより、発電室10内の発電用空気が溝部180Cに流出することを抑制して、発電室10及び燃焼室18の気流が乱れることを抑制することができる。
燃料ガス供給通路としての燃料ガス供給管64は、モジュール容器8内を閉鎖側板8dに沿って下方へ延び、底板8c付近で略90°屈曲されて水平方向に延びて、燃料電池セル集合体12の下方に形成されたガスガスマニホールド66内へ入り、更にガスガスマニホールド66内で逆側の閉鎖側板8e付近まで水平方向に延びている。燃料ガス供給管64の水平部64aの下方面には、複数の燃料供給孔64bが形成されており、この燃料供給孔64bから、燃料ガスがガスガスマニホールド66内に供給される。このガスガスマニホールド66の上方には、燃料電池セルユニット16を支持するための貫通孔を備えた下支持板68が取り付けられており、ガスガスマニホールド66内の燃料ガスが、燃料電池セルユニット16内に供給される。また、燃料ガスと空気との燃焼を開始するための点火装置83が、燃焼室18に設けられている。
排気ガス誘導部材130は、改質器120と天板8aとの間でモジュール容器8の長手方向に沿って水平方向に延びるように配置されている。排気ガス誘導部材130は、上下方向に所定距離だけ離間された下部誘導板131及び上部誘導板132と、これらの長手方向の両端辺が取り付けられる連結板133,134とを備えている(図7,図8参照)。上部誘導板132は、幅方向の両端部が下方に向けて折り曲げられ、下部誘導板131に連結されている。連結板133,134は、上端部が天板8aに連結され、下端部が改質器120に連結されており、これにより、排気ガス誘導部材130及び改質器120を天板8aに固定している。
下部誘導板131は、幅方向(図8の左右方向)の中央部が下方に向けて突出する凸状段部131aが形成されている。一方、上部誘導板132は、下部誘導板131と同様に、幅方向の中央部が下方に向けて凹状となるように凹部132aが形成されている。凸状段部131aと凹部132aは、上下方向で並行して長手方向に延びている。混合ガス供給管112は、モジュール容器8内でこの凹部132a内を水平方向に延びた後、閉鎖側板8e付近で下方に向けて屈曲し、上部誘導板132及び下部誘導板131を貫通して、改質器120に連結されている。
排気ガス誘導部材130は、上部誘導板132、下部誘導板131、連結板133,134によって、断熱層として機能する内部空間であるガス溜(ガス断熱層)135が形成されている。このガス溜135は、燃焼室18と流体連通している。すなわち、上部誘導板132、下部誘導板131、連結板133,134は、所定の隙間を形成するように連結されており、気密的には連結されていない。ガス溜135には、運転中に燃焼室18から排気ガスが流入したり、停止時に外部から空気が流入したりすることが可能となっているが、総じてガス溜135の内外間のガスの移動は緩やかである。
上部誘導板132は、天板8aと所定の上下方向距離を隔てて配置されており、上部誘導板132の上面と天板8aとの間には、長手方向及び幅方向に沿って水平方向に延びる第1排気通路172aが形成されている。この第1排気通路172aは、モジュール容器8の天板8aを挟んで空気通路161aと並設されており、第1排気通路172a内には、空気通路161a,161b内のプレートフィン162,163と同様なプレートフィン175aが配置されている。このプレートフィン175aは、プレートフィン162と上面視で略同一箇所に設けられており、天板8aを挟んで上下方向に対向している。
上部誘導板132は、上部誘導板132の側面と側板8bと所定の水平方向距離を隔てて配置されており、上部誘導板132の側面と側板8bとの間には、長手方向及び上下方向に延びる第2排気通路172bが形成されている。第2排気通路172bは上部において第1排気通路172aと連通している。第2排気通路172b内にも、空気通路161a、161b内のプレートフィン162、163と同様なプレートフィン175bが配置されている。このプレートフィン175bは、下端が下部誘導板131の高さまで延びている。
空気通路161a、161bと、第1及び第2排気通路172a、172bのうち、プレートフィン162、163、175a、175bが設けられた部分において、空気通路161a、161bを流れる発電用空気と第1及び第2排気通路172a、172bを流れる排気ガスとの間で効率的な熱交換が行われて、排気ガスの熱により発電用空気が昇温されることとなる。
また、改質器120は、モジュール容器8の側板8bと所定の水平方向距離を隔てて配置されており、改質器120と側板8bとの間には、排気ガスを下方から上方へ通過させる第3排気通路173が形成されている。
さらに、下部誘導板131は、改質器120の上側ケース121の天面から所定の上下方向距離を隔てて配置されており、下部誘導板131と上側ケース121との間、及び、改質器120の貫通孔120bは、貫通孔120bを下方から上方へ向けて通過した排気ガスを通過させる第4排気通路174を形成している。この第4排気通路174は、改質器120の上方、かつ、側板8bの近傍で第3排気通路173と合流し、排気ガスが集中する排気集中部176が形成される。
次に、図12を参照して、燃料電池セルユニット16について説明する。図12は、本発明の一実施例による固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池セルユニットを示す部分断面図である。
図12に示すように、燃料電池セルユニット16は、燃料電池セル84と、この燃料電池セル84の両端部にそれぞれ接続されたキャップである内側電極端子86とを備えている。
燃料電池セル84は、上下方向に延びる管状構造体であり、内部に燃料ガス流路88を形成する円筒形の内側電極層90と、円筒形の外側電極層92と、内側電極層90と外側電極層92との間にある電解質層94とを備えている。この内側電極層90は、燃料ガスが通過する燃料極であり、(−)極となり、一方、外側電極層92は、空気と接触する空気極であり、(+)極となっている。
燃料電池セル84の上端側と下端側に取り付けられた内側電極端子86は、同一構造であるため、ここでは、上端側に取り付けられた内側電極端子86について具体的に説明する。内側電極層90の上部90aは、電解質層94と外側電極層92に対して露出された外周面90bと上端面90cとを備えている。内側電極端子86は、導電性のシール材96を介して内側電極層90の外周面90bと接続され、さらに、内側電極層90の上端面90cとは直接接触することにより、内側電極層90と電気的に接続されている。内側電極端子86の中心部には、内側電極層90の燃料ガス流路88と連通する燃料ガス流路細管98が形成されている。
この燃料ガス流路細管98は、内側電極端子86の中心から燃料電池セル84の軸線方向に延びるように設けられた細長い細管である。このため、ガスガスマニホールド66(図7参照)から、下側の内側電極端子86の燃料ガス流路細管98を通って燃料ガス流路88に流入する燃料ガスの流れには、所定の圧力損失が発生する。従って、下側の内側電極端子86の燃料ガス流路細管98は、流入側流路抵抗部として作用し、その流路抵抗は所定の値となるように設定されている。また、燃料ガス流路88から、上側の内側電極端子86の燃料ガス流路細管98を通って燃焼室18(図7参照)に流出する燃料ガスの流れにも所定の圧力損失が発生する。従って、上側の内側電極端子86の燃料ガス流路細管98は、流出側流路抵抗部として作用し、その流路抵抗は所定の値となるように設定されている。
内側電極層90は、例えば、Niと、CaやY、Sc等の希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたジルコニアとの混合体、Niと、希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたセリアとの混合体、Niと、Sr、Mg、Co、Fe、Cuから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンガレードとの混合体、の少なくとも一種から形成される。
電解質層94は、例えば、Y、Sc等の希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたジルコニア、希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたセリア、Sr、Mgから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンガレート、の少なくとも一種から形成される。
外側電極層92は、例えば、Sr、Caから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンマンガナイト、Sr、Co、Ni、Cuから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンフェライト、Sr、Fe、Ni、Cuから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンコバルタイト、銀、などの少なくとも一種から形成される。
燃料電池セル集合体12は、各燃料電池セルユニット16の燃料極である内側電極層90に取り付けられた内側電極端子86が、他の燃料電池セルユニット16の空気極である外側電極層92の外周面に電気的に接続されることにより、128本の燃料電池セルユニット16の全てが直列接続されて構成される。
次に、図13及び図14を参照して、本発明の一実施例による固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池モジュール内のガスの流れについて説明する。図13は、図7と同様の、本発明の一実施例による固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池モジュールを示す側面断面図であり、図14は、図8と同様の、図7のIII-III線に沿った断面図である。図13及び図14は、それぞれ、図7及び図8中にガスの流れを示す矢印を新たに付加した図であり、説明の便宜上、断熱材7を取り除いた状態の図を示している。図中、実線矢印は燃料ガスの流れ、破線矢印は発電用空気の流れ、一点鎖線矢印は排気ガスの流れを示す。
図13に示すように、水及び原燃料ガス(燃料ガス)は、蒸発器140の長手方向の一端側に連結された燃料供給配管63から蒸発器140の上層に設けられた蒸発部140B内に供給される。蒸発部140Bに供給された水は、蒸発器140の下層に設けられた排気通路部140Aを流れる排気ガスにより加熱され水蒸気となる。この水蒸気と、燃料供給配管63から供給された原燃料ガスとが、蒸発部140B内を下流方向に流れて行き、混合部140C内で混合される。混合部140C内の混合ガスは、下層の排気通路部140Aを流れる排気ガスにより加熱される。
混合部140C内で形成された混合ガス(燃料ガス)は、混合ガス供給管112を通って、モジュール容器8内の改質器120に供給される。混合ガス供給管112は、排気通路部140A,排気管171,及び第1排気通路172aを順に通過しているため、これらの通路を流れる排気ガスにより、混合ガス供給管112内の混合ガスは更に加熱される。
混合ガスは、改質器120内の混合ガス受入部120A内に流入し、ここから仕切り板123aを通過して改質部120Bに流入する。混合ガスは、改質部120Bにおいて改質されて燃料ガスとなる。こうして生成された燃料ガスは、仕切り板123bを通過して、ガス排出部120Cに流入する。
更に、ガス排出部120Cから燃料ガス供給管64(第1の配管64A)に流入した燃料ガスは、接続部材190内へ供給される。接続部材190内では燃料ガス供給管64(第2の配管64B)と、水添脱硫器用配管65とに分岐する。接続部材190から燃料ガス供給管64(第2の配管64B)に流出した燃料ガスは水平部64aに設けられた燃料供給孔64bからガスガスマニホールド66内に供給され、ガスガスマニホールド66から各燃料電池セルユニット16内に供給される。
また、図13及び図14に示すように、発電用空気は、発電用空気導入管74から空気通路161aに供給される。発電用空気は、空気通路161a,161b内において、プレートフィン162,163を通過する際に、これらプレートフィン162,163の下部のモジュール容器8内に形成された第1及び第2排気通路172,173を通過する排気ガスとの間で効率的な熱交換を行い、加熱されることとなる。
この後、発電用空気は、モジュール容器8の側板8bの下部に設けられた複数の吹出口8fから燃料電池セル集合体12に向けて発電室10内に噴射される。なお、本実施例では、燃料電池セル集合体12の側方部位には排気通路が形成されていないため、この部位において発電用空気と排気ガスとの間の熱交換は抑制される。したがって、燃料電池セル集合体12の側方部位において、空気通路161b内の発電用空気に上下方向の温度ムラが生じ難くなっている。
また、発電室10内で発電に利用されなかった燃料ガスは、図14に示すように、燃焼室18で燃焼されて排気ガス(燃焼ガス)となり、モジュール容器8内を上昇していく。具体的には、排気ガスは、第3排気通路173と第4排気通路174とに分岐して、改質器120の外側面とモジュール容器8の側板8bとの間、及び、改質器120の貫通孔120bから改質器120と排気ガス誘導部材130との間をそれぞれ通過する。このとき、第4排気通路174を通過する排気ガスは、改質器120の貫通孔120bの上方に配置された凸状段部131aによって幅方向に二分され、排気ガス誘導部材130の下部に留まることなく第3排気通路173に向けて誘導され、排気集中部176において第3排気通路173を流れる排気ガスに合流する。ここで、第2排気通路172内にはプレートフィン175bが設けられているため、第3排気通路173及び第4排気通路174を通過した排気ガスは排気集中部176において滞留する(図14のAの部分)。
その後、排気ガスは、排気集中部176から第2排気通路172bに導入される。そして、第2排気通路172bを通過した排気ガスは、第1排気通路172aを水平方向に流れていき、モジュール容器8の天板8aの中央に形成された排気口111から流出する。
なお、排気ガスが排気集中部176に滞留する際に、空気通路161b内の排気集中部176に対応する部分に設けられたプレートフィン163を介して、発電用空気と排気ガスとの間で熱交換が行われる。さらに、排気ガスが第2排気通路172b及び第1排気通路172aを流れていく際に、第2及び第1排気通路172b、172a内に設けられたプレートフィン175b、175aと、空気通路161a、161b内のプレートフィン175b、175aに対応する部分に設けられたプレートフィン162、163とを介して、発電用空気と排気ガスとの間で効率的な熱交換が行われる。このようにして、排気ガスの熱により発電用空気が昇温される。
そして、排気口111から流出した排気ガスは、モジュール容器8の外部に設けられた排気管171を通過して蒸発器140の排気通路部140Aに流入し、排気通路部140Aを通過した後、蒸発器140から排気ガス排出管82へ排出される。排気ガスは、蒸発器140の排気通路部140Aを流れる際に、上述したように、蒸発器140の混合部140C内の混合ガス及び蒸発部140B内の水と熱交換を行う。