JP2018155817A - 定着部用クリーニングシート、定着部用クリーニング材、及び定着部用クリーニング装置 - Google Patents

定着部用クリーニングシート、定着部用クリーニング材、及び定着部用クリーニング装置 Download PDF

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博史 桂
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Abstract

【課題】 定着ロール、加圧ロール、転写ロールなど定着部のクリーニング性に優れるクリーニングシート、定着部用クリーニング材、及び定着部用クリーニング装置を提供すること。
【解決手段】 本発明の定着部用クリーニングシートは、扁平繊維と異形断面繊維とを含む表面層を有する不織布からなる。本発明の定着部用クリーニング材は、前記定着部用クリーニングシートの一端が巻出しシャフトに巻回されており、他端が巻取りシャフトに固定されている。また、本発明の定着部用クリーニング装置は、前記定着部用クリーニング材の定着部用クリーニングシートを巻出しシャフトから巻き出し、定着部用クリーニングシートを定着部に接触させた後、巻取りシャフトで巻き取る機構を有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は複写機、レーザービームプリンター、ファクシミリ等の電子写真装置などの定着部表面に残留したトナーを除去できる定着部用クリーニングシート、定着部用クリーニング材、及び定着部用クリーニング装置に関する。
従来から、電子写真装置などの定着装置における、定着ロール表面、加圧ロール表面、又は、定着ロール又は加圧ロールと当接して、残留トナーを転写する転写ロール表面などの、定着部表面に残留したトナーを除去するクリーニングシートとして、芳香族ポリアミド繊維を未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維で固定した不織布や、この不織布にオイルを含有させたものが使用されてきた。しかしながら、カラー複写機においては、多種多様のトナーを多量に使用しているため、従来のクリーニングシートよりも、クリーニング性のより優れたクリーニングシートの出現が待ち望まれていた。
そのため、本願出願人は、「非接着繊維と接着繊維で構成された繊維接着不織布からなる定着部用クリーニングシートであり、前記繊維接着不織布は製造原料の非接着繊維として、扁平率が0.6以下の非接着偏平繊維を含んで製造された定着部用クリーニングシート。」(特許文献1)、「凹凸を有する扁平繊維を含む不織布からなる定着部用クリーニングシート。」(特許文献2)を提案した。
特開2007−79311号公報 特開2016−197164号公報
前述のような特許文献1、2のクリーニングシートは表面が平滑で、トナーを堰き止めることができるため、クリーニング性に優れるものであったが、継続して接触してクリーニングした場合、又は定着部と再接触してクリーニングしたような場合に、一度、払拭したトナーが、再度定着部へ転写されてしまい、紙、フィルムなどの複写シートが汚染されるばかりでなく、複写シートが定着ロール又は加圧ロールに貼り付いてしまい、詰ってしまう場合があった。
本発明はこのような状況を打開するためになされたものであり、定着ロール、加圧ロール、転写ロールなど定着部のクリーニング性に優れるクリーニングシート、定着部用クリーニング材、及び定着部用クリーニング装置を提供することを目的とする。
本発明は「扁平繊維と異形断面繊維とを含む表面層を有する不織布からなることを特徴とする、定着部用クリーニングシート。」である。好ましい定着部用クリーニングシートは、「扁平繊維と異形断面繊維の繊度が1dtex以上である」、「扁平繊維と異形断面繊維が未延伸繊維の変形によって固定されている」、「表面層を構成する樹脂組成がポリエステル系樹脂からなる」、「表面層に加えて、耐熱性繊維を含む耐熱層を有する不織布からなる」。
また、本発明の定着部用クリーニング材は、前記定着部用クリーニングシートの一端が巻出しシャフトに巻回されており、他端が巻取りシャフトに固定されている。
更に、本発明の定着部用クリーニング装置は、前記定着部用クリーニング材の定着部用クリーニングシートを巻出しシャフトから巻き出し、定着部用クリーニングシートを定着部に接触させた後、巻取りシャフトで巻き取る機構を有する。
本発明の定着部用クリーニングシート(以下、単に「クリーニングシート」と表記することがある)は、扁平繊維と異形断面繊維とを含む表面層を有する不織布からなり、このクリーニングシートは扁平繊維を含んでいるため表面が平滑であるため、この表面層を定着部表面に当接させれば、トナーを堰き止めることができるためクリーニング性に優れている。また、扁平繊維に加えて、異形断面繊維を含んでいることから、扁平繊維間に適度な空隙が形成されているため、この空隙を介して堰き止めたトナーをクリーニングシート内部へと誘導し、保持することができる。そのため、トナーはクリーニングシート内部で保持されやすく、しかもクリーニングシート表面におけるトナー量が少なくなり、継続して接触して、又は定着部と再接触してクリーニングしても、トナーが再度定着部へ転写されにくいため、複写シートの汚染や複写シートの定着ロール又は加圧ロールへの貼り付きを防止できる、クリーニング性に優れるクリーニングシートである。
なお、扁平繊維と異形断面繊維の繊度が1dtex以上と比較的太いと、扁平繊維と異形断面繊維との密着性が低く、扁平繊維間に適度な空隙が形成されやすいため、空隙を介してトナーをクリーニングシート内部へ誘導し、保持しやすいため、上述のクリーニング性に優れている。
また、扁平繊維と異形断面繊維が未延伸繊維の変形によって固定されていると、未延伸繊維を変形させ、固定する際に、未延伸繊維構成樹脂が再配向して結晶化しており、耐熱性に優れているため、高温下におけるクリーニング性に優れている。
更に、表面層を構成する樹脂組成がポリエステル系樹脂からなると、適度な剛性を有し、定着部表面を傷つけることなく、トナーを堰き止め、払拭することができるため、定着部のロングライフ化に寄与できる。
更に、クリーニングシートを構成する不織布が表面層に加えて、耐熱性繊維を含む耐熱層を有しているため、高温下におけるクリーニング性に優れている。
本発明の定着部用クリーニング材は、前記クリーニングシートを使用しているため、クリーニング性に優れている。
本発明の定着部用クリーニング装置は、前記定着部用クリーニング材を使用しているため、クリーニング性に優れている。
扁平繊維の模式的横断面図
本発明のクリーニングシートを構成する不織布は扁平繊維を含む表面層を有するため、クリーニングシート表面が平滑で、トナーを堰き止めることができるためクリーニング性に優れている。本発明の表面層を構成する扁平繊維はクリーニングシート表面が平滑であるように、扁平率が0.6以下であるのが好ましく、0.5以下であるのがより好ましい。なお、扁平率の下限は特に限定するものではないが、扁平率が低すぎると、扁平繊維が均一に分散することが困難になる傾向があるため、扁平率は0.2以上であるのが好ましい。この「扁平率」とは、図1に示すように、扁平繊維と外接することのできる長方形における(短辺/長辺)比を意味する。つまり、図1における(a/b)比を扁平率とする。
特に、扁平繊維の中でも繊維表面に凹凸を有する扁平繊維(以下、「凹凸扁平繊維」ということがある)が好ましい。このように繊維表面に凹凸を有する凹凸扁平繊維は堰き止めたトナーを、凹部を介してクリーニングシート内部及び凹凸扁平繊維全体へと導き、トナーをクリーニングシート内部で保持しやすく、クリーニングシート表面におけるトナー量が少なくなり、複写シートの汚染や複写シートの定着ロール又は加圧ロールへの貼り付きをより効果的に防止できるためである。
この好適である凹凸扁平繊維の凹部の数は特に限定するものではないが、効率的にトナーをクリーニングシート内部及び凹凸扁平繊維全体へ導きやすいように、ある程度の数があるのが好ましい。一方で、凹部の数が多過ぎると凹部の深さが小さくなり、凹凸のない扁平繊維と同様に堰き止めたトナーをクリーニングシート内部及び凹凸扁平繊維全体へ導きにくくなる傾向があるため、2〜20個であるのが好ましく、4〜16個であるのがより好ましく、6〜12個であるのが更に好ましい。なお、凹部は凸部間に形成され、凹凸扁平繊維の片面側において凸部の数は凹部の数よりも1つ多いため、凸部の数は4〜22個であるのが好ましく、6〜18個であるのがより好ましく、8〜14個であるのが更に好ましい。
また、凹凸扁平繊維における凹凸が小さ過ぎると、凹部を通して、効率的にトナーをクリーニングシート内部及び凹凸扁平繊維全体へ導くのが困難になる傾向があり、一方で、凹凸が大き過ぎると、クリーニングシート表面の平滑性が損なわれる傾向があるため、(凹/凸)比[図1における(c/a)比]が0.5〜0.9であるのが好ましく、0.6〜0.9であるのがより好ましく、0.65〜0.85であるのが更に好ましい。なお、図1におけるaは凹凸扁平繊維と外接することのできる長方形における短辺を意味し、cは凹凸扁平繊維の凹部の底点間を結んでできる線分の中で、最も短い線分の長さを意味する。
本発明の扁平繊維(凹凸扁平繊維を含む)は定着部と接触しても溶融したり、分解することがないように、一般的な定着部の温度(180〜200℃)よりも高い220℃以上の融点又は分解点をもつ樹脂からなる延伸繊維であるのが好ましい。このような220℃以上の融点をもつ樹脂として、例えば、66ナイロンなどのナイロン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂;ポリフェニレンサルファイドなど、を挙げることができる。また、220℃以上の分解点をもつ樹脂として、例えば、メタ型又はパラ型の芳香族ポリアミド;ポリアミドイミド;ポリテトラフルオロエチレン;芳香族ポリエーテルアミド;ポリベンズイミダゾールなど、を挙げることができる。これらの中でも、適度な剛性を有し、定着部表面を傷つけにくい、ポリエステル系樹脂からなる扁平繊維が好ましい。
なお、本発明における「延伸繊維」は、紡糸工程とは別の延伸工程(例えば、流動延伸やネック延伸法等による延伸)を行なった繊維を意味し、延伸した結果、分子配向及び結晶化度が高く、強度や熱的安定性の高い繊維である。
このような扁平繊維の繊度は特に限定するものではないが、扁平繊維と後述の異形断面繊維と密着しにくいことによって、扁平繊維間に適度な空隙を形成し、空隙を介してトナーをクリーニングシート内部へ誘導し、保持しやすいように、1dtex以上であるのが好ましく、1.1dtex以上であるのがより好ましく、1.4dtex以上であるのが更に好ましく、1.6dtex以上であるのが更に好ましい。一方で、扁平繊維の繊度が大き過ぎると、クリーニングシート表面の平滑性が悪く、トナーを堰き止め、払拭する作用が低下する傾向があるため、7dtex以下であるのが好ましく、4dtex以下であるのがより好ましく、3dtex以下であるのが更に好ましい。なお、本発明における「繊度」は、JIS L 1015:2010、8.5.1(正量繊度)に規定されているA法により得られる値を意味する。
また、扁平繊維の繊維長は特に限定するものではないが、扁平繊維が均一に分布してクリーニングシート表面が平滑性に優れているように、30〜110mmであるのが好ましく、35〜90mmであるのがより好ましく、40〜70mmであるのが更に好ましい。なお、本発明における「繊維長」は、JIS L 1015:2010の8.4.1(直接法(C法))に規定する方法で測定した平均繊維長を意味する。
本発明のクリーニングシートを構成する不織布の表面層は上述のような扁平繊維を含むものであるが、その量はクリーニングシート(不織布)表面が平滑で、トナーを堰き止めて払拭しやすいように、表面層において、10mass%以上を占めているのが好ましく、20mass%以上を占めているのがより好ましく、30mass%以上を占めているのが更に好ましい。一方で、扁平繊維以外に後述の通り、異形断面繊維、好ましくは変形した未延伸繊維を含んでいるため、70mass%以下であるのが好ましく、60mass%以下であるのがより好ましく、50mass%以下であるのが更に好ましい。
なお、「表面層」とはクリーニングシート表面を含む層であり、構成材料が同じ層を意味する。製法的には、同じ繊維ウエブに由来する層である。
また、本発明のクリーニングシートにおける表面層は1種類の扁平繊維を含んでいても良いし、扁平率、凹凸の有無、凹部及び/又は凸部の数、(凹/凸)比、樹脂組成、繊度、及び/又は繊維長の点で異なる扁平繊維を2種類以上含んでいても良い。
本発明のクリーニングシートを構成する不織布の表面層は上述のような扁平繊維を含むものであるが、扁平繊維に加えて、異形断面繊維を含んでいるため、扁平繊維間に適度な空隙が形成されており、この空隙を介して堰き止めたトナーをクリーニングシート内部へと誘導し、保持することができる。そのため、トナーはクリーニングシート内部で保持されやすく、クリーニングシート表面におけるトナー量が少ないため、継続して接触して、又は定着部と再接触してクリーニングしても、トナーが再度定着部へ転写されにくいため、複写シートの汚染や複写シートの定着ロール又は加圧ロールへの貼り付きを防止できる。
このような異形断面繊維は扁平繊維同士の密着を抑制して扁平繊維間に適度な空隙が形成できるように含んでいるが、その断面形状は前述の扁平形状を除いた、非円形形状であれば良く、特に限定するものではないが、例えば、略三角形状、略四角形、略五角形、略六角形などの略多角形状;略C形状、略E形状、略F形状、略H形状、略J形状、略K形状、略L形状、略M形状、略N形状、略S形状、略T形状、略U形状、略V形状、略W形状、略X形状、略Y形状などの略アルファベット形状;などであることができる。
これらの中でも、扁平繊維と密着しにくく、トナーを保持できる空間も有し、更にはトナー払拭性に優れているため、略アルファベット形状であるのが好ましく、特に、略X形状、略Y形状のように、中心から放射状に伸びる断面形状を有すると、前記効果が特に優れているため好適である。
本発明の異形断面繊維も扁平繊維と同様に、定着部と接触しても溶融したり、分解することがないように、一般的な定着部の温度(180〜200℃)よりも高い220℃以上の融点又は分解点をもつ樹脂からなる延伸繊維であるのが好ましく、異形断面繊維は扁平繊維と同様の樹脂から構成することができる。つまり、異形断面繊維は、例えば、ナイロン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリフェニレンサルファイドなどの220℃以上の融点又は分解点をもつ樹脂、又はメタ型又はパラ型の芳香族ポリアミド;ポリアミドイミド;ポリテトラフルオロエチレン;芳香族ポリエーテルアミド;ポリベンズイミダゾールなどの220℃以上の分解点をもつ樹脂から構成することができる。これらの中でも、適度な剛性を有し、定着部表面を傷つけにくい、ポリエステル系樹脂からなる異形断面繊維が好ましい。
このような異形断面繊維の繊度は特に限定するものではないが、扁平繊維と密着しにくいことによって、扁平繊維間に適度な空隙を形成し、空隙を介してトナーをクリーニングシート内部へ誘導し、保持しやすいように、1dtex以上であるのが好ましく、1.1dtex以上であるのがより好ましく、2.2dtex以上であるのが更に好ましく、3.3dtex以上であるのが更に好ましい。一方で、異形断面繊維の繊度が大き過ぎると、クリーニングシート表面の平滑性が損なわれ、トナーを堰き止め、払拭する作用が低下する傾向があるため、7dtex以下であるのが好ましく、6dtex以下であるのがより好ましく、5dtex以下であるのが更に好ましい。
また、異形断面繊維の繊維長は特に限定するものではないが、異形断面繊維が均一に分布してクリーニングシート全体でトナーを保持しやすいように、30〜110mmであるのが好ましく、35〜90mmであるのがより好ましく、40〜70mmであるのが更に好ましい。
本発明のクリーニングシートを構成する不織布の表面層は上述のような異形断面繊維を含むものであるが、その量は堰き止めたトナーをクリーニングシート(不織布)内部へ誘導できる空隙を形成しているように、表面層において、10mass%以上を占めているのが好ましく、20mass%以上を占めているのがより好ましく、30mass%以上を占めているのが更に好ましい。一方で、異形断面繊維以外に、扁平繊維、好ましくは変形した未延伸繊維を含んでいるため、70mass%以下であるのが好ましく、60mass%以下であるのがより好ましく、50mass%以下であるのが更に好ましい。
また、本発明のクリーニングシートにおける表面層は1種類の異形断面繊維を含んでいても良いし、断面形状、樹脂組成、繊度、及び/又は繊維長の点で異なる異形断面繊維を2種類以上含んでいても良い。
本発明のクリーニングシート(不織布)は上述のような扁平繊維(好ましくは凹凸扁平繊維)と異形断面繊維とを含む表面層を有するが、これら繊維に加えて、未延伸繊維を含み、未延伸繊維の変形によって、これら繊維が固定されているのが好ましい。このように未延伸繊維が変形し、固定していることによって、未延伸繊維を構成する構成樹脂が再配向して結晶化し、耐熱性に優れており、高温下におけるクリーニング作用に優れているためである。このように、未延伸繊維の変形によって扁平繊維と異形断面繊維が固定されているのが好ましいが、表面層の表面が平滑であるように、クリーニングシート(不織布)の表面層全面にわたって、未延伸繊維が変形し、固定して、全面的に平滑な状態にあるのが好ましい。なお、未延伸繊維が変形して扁平繊維、異形断面繊維を固定した場合、顕微鏡で表面層を観察すると、繊維形状には見えず、単に線状に伸びる樹脂に見えるが、未延伸繊維に由来する樹脂によって固定された状態にあるため、本発明においては、「未延伸繊維の変形によって固定されている」と表現している。
このような未延伸繊維を構成する樹脂は定着部と接触してもクリーニングシートの形態を維持できるように、220℃以上の融点をもつ樹脂から構成されているのが好ましく、より具体的には、扁平繊維を構成できる220℃以上の融点をもつ樹脂と同様の樹脂から構成することができ、比較的柔らかく、定着部に傷をつけにくい、ポリエステル系樹脂又はポリフェニレンサルファイドから構成されているのが好ましい。
なお、本発明における「未延伸繊維」は、紡糸工程とは別の延伸工程(例えば、流動延伸やネック延伸法等による延伸)を行っていないか、行ったとしても延伸繊維ほどの延伸倍率では延伸していない繊維を意味し、結果として、分子配向や結晶化度合が低い繊維である。
このような未延伸繊維のクリーニングシート(不織布)における繊維横断面形状は、変形して固定しているためランダムであり、変形して固定する際に変形して非円形の状態にある。このように未延伸繊維が変形していることによって、クリーニングシート(不織布)表面の平滑性が高い。なお、変形する前の未延伸繊維の横断面形状は特に限定するものではないが、円形であることができる。
このような変形前の未延伸繊維の繊度は、扁平繊維及び異形断面繊維との変形固定性に優れているように、1dtex以上であるのが好ましく、2dtex以上であるのがより好ましく、3dtex以上であるのが更に好ましい。一方で、未延伸繊維の繊度が大き過ぎると、扁平繊維間の空隙が未延伸繊維によって埋まってしまい、トナーのクリーニングシート内部への誘導性が悪くなる傾向があるため、変形前の未延伸繊維の繊度は7dtex以下であるのが好ましく、6dtex以下であるのがより好ましく、5dtex以下であるのが更に好ましい。
また、接着前の未延伸繊維の繊維長は均一に分散して、扁平繊維及び異形断面繊維を均一に固定できるように、25〜110mmであるのが好ましく、30〜70mmであるのがより好ましく、35〜60mmであるのが更に好ましい。
このような未延伸繊維量はクリーニングシート(不織布)の表面層の形態維持性に優れるように、表面層において、20mass%以上を占めているのが好ましく、25mass%以上を占めているのがより好ましく、30mass%以上を占めているのが更に好ましい。一方で、扁平繊維、異形断面繊維との関係から、80mass%以下であるのが好ましく、60mass%以下であるのがより好ましく、40mass%以下であるのが更に好ましい。
本発明のクリーニングシートの表面層は前述の通り、扁平繊維と異形断面繊維とを有するものであるが、扁平繊維と異形断面繊維のいずれの繊度も1dtex以上と比較的太いと、扁平繊維と異形断面繊維との密着性が低く、扁平繊維間に適度な空隙が形成されやすく、空隙を介してトナーをクリーニングシート内部へ誘導し、保持しやすいため、好適な態様である。より好ましくは、扁平繊維と異形断面繊維のいずれの繊度も1.1dtex以上であり、更に好ましくは、扁平繊維と異形断面繊維のいずれの繊度も1.4dtex以上であり、更に好ましくは、扁平繊維と異形断面繊維のいずれの繊度も1.6dtex以上である。一方で、扁平繊維と異形断面繊維の繊度が大き過ぎると、クリーニングシート表面の平滑性が悪く、トナーを堰き止め、払拭する作用が低下する傾向があるため、扁平繊維と異形断面繊維のいずれの繊度も7dtex以下であるのが好ましく、扁平繊維と異形断面繊維のいずれの繊度も5dtex以下であるのがより好ましく、扁平繊維と異形断面繊維のいずれの繊度も4dtex以下であるのが更に好ましい。
本発明のクリーニングシートの表面層は好ましくは、扁平繊維、異形断面繊維及び、変形し、固定した未延伸繊維から構成することができるが、これら繊維以外に、繊維断面が円形の円形断面繊維を含むこともできる。この円形断面繊維の繊度は0.1〜7dtex程度であることができるが、繊度が小さく細いと、扁平繊維と異形断面繊維によって形成された空隙に存在し、トナーのクリーニングシート内部への誘導性が悪くなる傾向があるため、円形断面繊維の繊度は1dtex以上であるのが好ましく、1.1dtex以上であるのがより好ましく、1.4dtex以上であるのが更に好ましく、1.6dtex以上であるのが更に好ましい。一方で、円形断面繊維の繊度が大きいと、クリーニングシート表面の平滑性が悪く、トナーを堰き止め、払拭する作用が低下する傾向があるため、7dtex以下であるのが好ましく、4dtex以下であるのがより好ましく、3dtex以下であるのが更に好ましい。また、円形断面繊維の繊維長は特に限定するものではないが、円形断面繊維が均一に分散していることができるように、25〜110mmであるのが好ましく、30〜90mmであるのがより好ましく、35〜70mmであるのが更に好ましい。
この円形断面繊維は扁平繊維と同様に、定着部と接触しても溶融したり、分解することがないように、一般的な定着部の温度よりも高い220℃以上の融点又は分解点をもつ樹脂からなる延伸繊維であるのが好ましく、円形断面繊維は扁平繊維を構成できる樹脂と同様の樹脂から構成することができ、特に、比較的柔らかく、定着部に傷をつけにくい、ポリエステル又はポリフェニレンサルファイドからなるのが好ましい。
本発明のクリーニングシート(不織布)の表面層が上述のような円形断面繊維を含む場合、クリーニングシート(不織布)表面の平滑性を損なわないように、表面層における円形断面繊維量は60mass%以下であるのが好ましく、35mass%以下であるのがより好ましく、10mass%以下であるのが更に好ましい。
本発明のクリーニングシート(不織布)の表面層が円形断面繊維を含んでいる場合、1種類の円形断面繊維を含んでいても良いし、樹脂組成、繊度、及び/又は繊維長の点で異なる円形断面繊維を2種類以上含んでいても良い。
本発明のクリーニングシートの表面層は、上述の通り、扁平繊維、異形断面繊維、好ましくは未延伸繊維、場合によって円形断面繊維を含んでいるが、表面層を構成する樹脂組成がポリエステル系樹脂からなるのが好ましい。表面層を構成する樹脂組成がポリエステル系樹脂からなると、適度な剛性を有し、定着部表面を傷つけることなく、トナーを堰き止め、払拭することができ、定着部のロングライフ化に寄与できるためである。
具体的に、表面層の好ましい組み合わせは、(1)ポリエステル系樹脂製扁平繊維、ポリエステル系樹脂製異形断面繊維、及びポリエステル系樹脂製未延伸繊維の組み合わせ、(2)ポリエステル系樹脂製扁平繊維、ポリエステル系樹脂製異形断面繊維、ポリエステル系樹脂製円形断面繊維、及びポリエステル系樹脂製未延伸繊維の組み合わせ、である。
本発明のクリーニングシート(不織布)は前述のような表面層のみから構成される一層構造であっても良いし、前述のような表面層に加えて、前述のような表面層とは異なる層を有する多層構造であっても良い。なお、前述のように、表面層を構成する樹脂組成がポリエステル系樹脂からなるのが好ましいが、耐熱性が不足し、長期間の使用に支障が生じる可能性を排除するため、表面層に加えて、耐熱性繊維を含む耐熱層を有する不織布からなるクリーニングシートであるのが好ましい。例えば、表面層と耐熱層の二層構造、表面層間に耐熱層を有する三層構造であることができる。二層構造であれば、表面層を定着部に当接することによりトナーを払拭することができ、三層構造であれば、片面の表面層を定着部に当接することにより、又は両面の表面層を順に定着部に当接することによりトナーを払拭することができる。
本発明における「耐熱性繊維」は扁平繊維及び異形断面繊維のいずれの融点よりも高い融点又は分解点をもつ樹脂からなる繊維を意味する。特には、耐熱性に優れる、扁平繊維及び異形断面繊維のいずれの融点よりも高い分解点をもつ樹脂からなる繊維であるのが好ましい。例えば、耐熱性繊維は、メタ型又はパラ型の芳香族ポリアミド;ポリアミドイミド;ポリテトラフルオロエチレン;芳香族ポリエーテルアミド;ポリベンズイミダゾールなどの樹脂から構成することができる。
この耐熱性繊維の横断面形状は特に限定するものではないが、例えば、円形である。また、耐熱性繊維の繊度は特に限定するものではないが、耐熱性に加えて、強度も付与できるように、0.1dtex以上であるのが好ましく、0.5dtex以上であるのがより好ましく、0.7dtex以上であるのが更に好ましい。一方で、耐熱性繊維の繊度が大き過ぎると、耐熱層の凹凸が表面層の平滑性に影響を与える場合があるため、耐熱性繊維の繊度は7dtex以下であるのが好ましく、6dtex以下であるのがより好ましく、5dtex以下であるのが更に好ましい。
また、耐熱性繊維の繊維長は均一に分散して、均一に耐熱性を付与できるように、25〜110mmであるのが好ましく、30〜70mmであるのがより好ましく、35〜60mmであるのが更に好ましい。
このような耐熱性繊維量はクリーニングシート(不織布)の耐熱性に優れるように、耐熱層の30mass%以上であるのが好ましく、40mass%以上であるのがより好ましく、50mass%以上であるのが更に好ましい。一方で、耐熱層の形態安定性に優れているように、未延伸繊維を含んでいるのが好ましいため、80mass%以下であるのが好ましく、70mass%以下であるのがより好ましい。
本発明の耐熱層は耐熱性繊維を含む層であるが、耐熱性繊維以外に、未延伸繊維を含み、未延伸繊維の変形によって、耐熱性繊維が固定されているのが好ましい。このように未延伸繊維が変形し、固定していることによって、未延伸繊維を構成する構成樹脂が再配向して結晶化しているため、耐熱層の耐熱性を損なわないためである。なお、未延伸繊維が変形して耐熱性繊維を固定した場合も、顕微鏡で表面層を観察すると、繊維形状には見えず、単に線状に伸びる樹脂に見えるが、未延伸繊維に由来する樹脂によって固定された状態にあるため、「未延伸繊維の変形によって固定」と表現している。
この耐熱層を構成できる未延伸繊維を構成する樹脂は耐熱性に優れているように、220℃以上の融点をもつ樹脂から構成されているのが好ましく、より具体的には、表面層を構成できる未延伸繊維と同様の樹脂から構成することができ、比較的柔らかく、定着部に傷をつけにくい、ポリエステル系樹脂又はポリフェニレンサルファイドから構成されているのが好ましい。
この耐熱層を構成できる未延伸繊維の横断面形状は、変形して固定しているためランダムであり、変形して固定する際に変形して非円形の状態にある。なお、変形する前の未延伸繊維の横断面形状は特に限定するものではないが、円形であることができる。
この耐熱層を構成できる変形前の未延伸繊維の繊度は、耐熱性繊維の変形固定性に優れているように、1dtex以上であるのが好ましく、2dtex以上であるのがより好ましく、3dtex以上であるのが更に好ましい。一方で、未延伸繊維の繊度が大き過ぎると、未延伸繊維に由来する凹凸が発生し、この耐熱層の凹凸が表面層の平滑性に影響を与える場合があるため、変形前の未延伸繊維の繊度は7dtex以下であるのが好ましく、6dtex以下であるのがより好ましく、5dtex以下であるのが更に好ましい。
更に、耐熱層を構成できる接着前の未延伸繊維の繊維長は均一に分散して、耐熱性繊維を均一に固定できるように、25〜110mmであるのが好ましく、30〜70mmであるのがより好ましく、35〜60mmであるのが更に好ましい。
このような未延伸繊維量は耐熱層の形態維持性に優れるように、耐熱層において、20mass%以上を占めているのが好ましく、30mass%以上を占めているのがより好ましい。一方で、耐熱性繊維との関係から、70mass%以下であるのが好ましく、60mass%以下であるのがより好ましく、50mass%以下であるのが更に好ましい。
なお、耐熱層は耐熱性繊維、未延伸繊維以外に、表面層と同様の扁平繊維、異形断面繊維、円形断面繊維を含むこともできる。
本発明のクリーニングシート(不織布)は上述のような表面層を有するものであるが、クリーニングシート(不織布)の目付は5g/m〜70g/mであるのが好ましく、10g/m〜50g/mであるのがより好ましく、20〜30g/mであるのが更に好ましい。なお、クリーニングシートが多層構造を有する場合、表面層とその他の層(例えば、耐熱層)の目付の比は、特に限定するものではないが、表面層におけるクリーニング性とその他の層における機能(例えば、耐熱性)を両立できるように、(表面層):(その他の層)=10:90〜90:10であるのが好ましく、30:70〜70:30であるのがより好ましく、40:60〜60:40であるのが更に好ましい。本発明における「目付」はJIS L 1096、8.3.2(標準状態における単位面積当たりの質量)A法(JIS法)で規定する方法により測定された1mあたりの質量をいう。
また、クリーニングシートの厚さは10μm〜60μmであるのが好ましく、20μm〜50μmであるのがより好ましく、30μm〜45μmであるのが更に好ましい。本発明における「厚さ」は、JIS B 7502に規定する方法による測定値、すなわち、5N荷重時の外側マイクロメーターによる測定値をいう。
本発明のクリーニングシート(不織布)の内部にトナーを誘導し、トナーを保持しやすい指標として、通気度が70cm/cm・s以上であるのが好ましい。つまり、通気度が高いということは、それだけ扁平繊維間に異形断面繊維によって空隙が形成されている結果と考えられる。この通気度はJIS L1096:2010の8.26.1に規定されているA法(フラジール形法)により測定して得られる値である。なお、クリーニングシートが耐熱層を有するなど、多層構造である場合には、クリーニングシートのサンプルは表面層が上側となるように、測定ヘッド上に置いて測定する。
また、本発明のクリーニングシートは使用される場合、長手方向に移動しながら、順次、定着部表面と接触する場合が多いため、その際に、クリーニングシートが破断することがないように、長手方向における引張り強さは40N/50m幅以上であるのが好ましく、60N/50mm幅以上であるのがより好ましく、80N/50mm幅以上であるのが更に好ましい。
この「引張り強さ」は、クリーニングシートから長手方向に300mm、長手方向に直交する方向に50mmの試料片を採取し、定速伸長型引張試験機(オリエンテック社製、テンシロン)を用い、試料片が破断するまでの最大荷重を測定し、この最大荷重の測定を3枚の試料片について行い、これら最大荷重を算術平均した値である。なお、測定はつかみ間隔100mm、引張速度200mm/分の条件で行う。
本発明のクリーニングシート(不織布)はトナーの離型性を高め、クリーニング性を高めることができるように、シリコーンオイルを含んでいることができる。このシリコーンオイルの種類は特に限定するものではないが、例えば、ストレートシリコーンオイル(ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等)、変性シリコーンオイル(アルキル変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル等)などを挙げることができ、これらシリコーンオイルを単独で、又は2種類以上を含むことができる。
なお、このシリコーンオイルを含む場合の含有量はクリーニングシート(不織布)の厚さなどによって異なるため、特に限定するものではないが、10〜40g/mであるのが好ましい。また、オイルの動粘度も特に限定するものではないが、10〜100000mm/s<25℃>であるのが好ましい。
本発明のクリーニングシートである不織布は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、表面層を構成する繊維、つまり扁平繊維(好ましくは凹凸扁平繊維)と異形断面繊維を用意する。好ましくは未延伸繊維を用意し、必要に応じて、円形断面繊維を用意する。なお、扁平繊維、異形断面繊維、未延伸繊維及び円形断面繊維は従来から公知の方法により紡糸することができるし、市販品を利用することもできる。なお、好適である凹凸扁平繊維は例えば、特開平4−24214号公報、特開2005−350777号公報に記載の方法によって製造することができる。
次いで、扁平繊維と異形断面繊維を用い、好ましくは未延伸繊維、必要に応じて円形断面繊維も用い、表面層における含有比率に合わせて混合し、開繊して繊維ウエブを形成する。繊維ウエブの形成方法は特に限定するものではないが、例えば、乾式法、湿式法を挙げることができる。
なお、繊維ウエブにおける繊維の配向方向は特に限定するものではないが、長手方向であっても良いし、長手方向に対して交差するように配向していても良いが、長手方向における引張り強さが優れているように、長手方向に配向しているのが好ましい。また、繊維配向の異なる二つ以上の繊維ウエブを積層しても良い。例えば、長手方向に配向した繊維ウエブと、長手方向と交差するように配向した繊維ウエブとを積層しても良い。このように、二つ以上の繊維ウエブを積層する場合には、長手方向に配向した繊維ウエブを含んで積層するのが好ましい。一方で、長手方向と交差するように配向した繊維ウエブを基に、表面層を形成すると、この表面層を構成する扁平繊維等は、トナーを線的に払拭することができ、クリーニング性に優れている。
更に、繊維配合の異なる二つ以上の繊維ウエブを積層しても良い。例えば、扁平繊維と異形断面繊維とを含む繊維ウエブと、耐熱性繊維を含む繊維ウエブとを積層することによって、クリーニング性と耐熱性に優れる不織布を製造することができる。特に、扁平繊維と異形断面繊維とを含む繊維ウエブと、耐熱性繊維が長手方向に配向した繊維ウエブとを積層することによって、クリーニング性と耐熱性に加えて、引張り強さにも優れる不織布を製造することができる。
そして、繊維ウエブを結合して不織布、つまりクリーニングシートを製造できる。この結合方法は特に限定するものではないが、例えば、水流等によって絡合する方法、未延伸繊維を含む場合には未延伸繊維を変形させて固定する方法、これらを併用する方法を挙げることができる。これらの中でも、未延伸繊維を変形させ、固定する方法を含んでいると、不織布(クリーニングシート)の表面層が平滑でクリーニング性に優れ、しかも未延伸繊維の再配向による結晶化により耐熱性に優れているため好適である。
このように未延伸繊維を変形させ、固定する場合、不織布(クリーニングシート)表面の全面が平滑となるように、繊維ウエブ全面を加熱加圧するのが好ましい。この好適である加熱加圧条件は実験的に見い出すことができるが、例えば、未延伸繊維が未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維からなる場合には、温度170〜250℃、線圧力98〜980N/cmであるのが好ましい。このような加熱加圧は、例えば、繊維ウエブを、熱カレンダーロール間を通すことにより実施できる。
前述の通り、本発明の不織布(クリーニングシート)は通気度が70cm/cm・s以上であるのが好ましいが、このような通気度を有する不織布(クリーニングシート)は、扁平繊維の繊度及び/又は量、異形断面繊維の繊度及び/又は量、未延伸繊維の繊度及び/又は量、及び/又は未延伸繊維の加圧変形条件(特に、加熱加圧条件)を適宜調整することにより製造できる。
また、クリーニングシートにシリコーンオイルを含ませる場合には、不織布にシリコーンオイルを含浸、塗布、又は散布してシリコーンオイルを含ませることができる。
本発明の定着部用クリーニング材(以下、「クリーニング材」と表記することがある)は、上述のようなクリーニングシートの一端が巻出しシャフトに巻回されており、他端が巻取りシャフトに固定されている。そのため、巻出しシャフトからクリーニングシートを巻き出して、順次、クリーニングシートのトナーを払拭していない、きれいな表面層を定着部に当接させることができるため、クリーニング性に優れている。
なお、クリーニングシートの巻取りシャフトへの固定方法としては、例えば、(1)両面テープによる固定、(2)ホットメルト樹脂などの接着樹脂による固定、(3)シャフトが熱可塑性樹脂からなる場合にはシャフトの熱融着による固定、(4)シャフトにピンなどを設置し、クリーニングシートを差し込むことによる固定、(5)シャフトに溝を形成し、その溝にクリーニングシートを差し込むことによる固定、などがある。なお、上記(1)〜(3)の方法により固定する場合には、クリーニングシートはシャフトの長さ方向に一直線状に連続して固定しても良いし、シャフトの長さ方向に破線状に部分的に固定しても良い。また、巻出しシャフト側においては、巻取りシャフトと同様にクリーニングシートを固定しても良いし、巻出しシャフトに単に巻き込むだけでも良い。
本発明のクリーニング装置は、前記クリーニング材を使用したもので、クリーニングシートを巻出しシャフトから巻き出し、クリーニングシートを定着部に接触させた後、巻取りシャフトで巻き取る機構を有するものである。そのため、常にトナーを払拭していない、きれいなクリーニングシートの表面層を定着部に接触させることができるため、クリーニング性に優れている。また、クリーニングシートがオイルを含有している場合には、同時に定着部にオイルを塗布し、トナーの離型性を高めることができる。なお、本発明のクリーニング装置は、本発明の前記クリーニング材を使用していること以外は、従来のクリーニング装置と全く同様であることができる。
例えば、クリーニングシートの巻き取りは、例えば、巻取りシャフトに駆動モーターなどを接続して実施できる。また、クリーニングシートの巻出しは、例えば、巻出しシャフトに駆動モ−ターなどを接続して実施できるし、場合によっては、クリーニングシートの巻取りに伴ってクリーニングシートを巻き出すことができるため、特に設ける必要がない。
また、クリーニングシートの定着部との接触は、例えば、横断面形状が円形状や多角形状(例えば、四角形、六角形など)の棒状体やR面を持つ板状体を、バネ等によって定着部へ加圧することによって実施できる。特に、クリーニングシートの表面層を定着部へ均一に押圧できるように、横断面形状が円形状の棒状体であるのが好ましい。この棒状体や板状体は弾性及び耐熱性に優れているのが好ましいため、例えば、発泡又は無発泡のシリコーンゴムなどからなるのが好ましい。なお、棒状体や板状体による押圧はクリーニング性に優れるように、棒状体や板状体と定着部との作用幅(ニップ幅)が10mm以下となるような押圧力であるのが好ましい。
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(凹凸扁平延伸繊維)
ポリエチレンテレフタレートからなる凹凸扁平延伸繊維(扁平率:0.5、凹部の数:8、(凹/凸)比:0.7、繊度:1.7dtex、繊維長:51mm、融点:260℃)を用意した。
(異形断面延伸繊維)
ポリエチレンテレフタレートからなり、横断面形状が略Y形状の異形断面延伸繊維(繊度:3.3dtex、繊維長:51mm、融点:260℃)を用意した。
(未延伸繊維)
ポリエチレンテレフタレートからなる未延伸繊維(横断面形状:円形、繊度:4.0dtex、繊維長:38mm、融点:260℃)を用意した。
(円形断面延伸繊維A)
ポリエチレンテレフタレートからなり、横断面形状が円形の円形断面延伸繊維A(繊度:0.8dtex、繊維長:35mm、融点:260℃)を用意した。
(円形断面延伸繊維B)
ポリエチレンテレフタレートからなり、横断面形状が円形の円形断面延伸繊維B(繊度:1.1dtex、繊維長:38mm、融点:260℃)を用意した。
(耐熱性繊維)
ポリメタフェニレンイソフタルアミド延伸繊維(横断面形状:円状、繊度:0.9dtex、繊維長:38mm)を用意した。
(実施例1〜3、比較例1〜4)
耐熱性繊維60mass%と未延伸繊維40mass%とを、カード機により開繊して、長手方向に配向した一方向性耐熱性繊維ウエブを形成した。
一方で、表1に示す比率で繊維を混合し、カード機により開繊して、長手方向に配向した一方向性表面層用繊維ウエブを形成した。
次いで、一方向性耐熱性繊維ウエブと一方向性表面層用繊維ウエブとを54:46の質量比率で積層した後、温度215℃のスチールロールとコットンロールとの間(線圧:392N/cm)を通して、全面的に加熱加圧し、未延伸繊維を変形させて繊維を固定し、表1に示す物性を示す不織布を製造し、それぞれクリーニングシートとした。
Figure 2018155817
<トナー移行率及びトナー保持率の測定>
プリンター(キヤノン(株)製、品番:LBP8630)を用いて、ポリエチレンテレフタレートフィルムに対して全面印刷を実施した後、幅5cm、長さ15cmに裁断して、短冊状フィルムとした。なお、ポリエチレンテレフタレートフィルムの質量から全面印刷前の短冊状フィルムの質量を算出するとともに、全面印刷後の短冊状フィルムの質量と全面印刷前の短冊状フィルムの質量との差から、トナー担持量を算出した。
また、実施例1〜3及び比較例1〜4の各クリーニングシートを長手方向に15cm、長手方向と直交する方向に5cmの大きさで裁断して、短冊状クリーニングシートとし、それぞれ質量を測定した。
次いで、前記全面印刷後の短冊状フィルムと短冊状クリーニングシートの表面層とを長手方向において10cm重ね合わせた後、加熱加圧装置(アサヒ繊維機械(株)製、連続式接着機:JR−1000LTS)へ供給し、温度140℃、圧力0.6MPaの条件で貼り合せて、長さ20cmの接合シートをそれぞれ作製した。
そして、引張り強度試験機を用い、温度130℃下で、前記接合シートの短冊状フィルムと短冊状クリーニングシートとを剥離させ、その剥離に要する最大荷重を測定した。この剥離に要する最大荷重が大きいということは、トナーによる接着が強いことを意味するため、トナーがクリーニングシート表面における存在量が多いことを意味する。この結果は表1に示す通りであった。なお、剥離条件は、チャック間距離を11cm(短冊状フィルム:0.5cm、貼り合せ部:10cm、短冊状クリーニングシート:0.5cm)とし、引張り速度を10mm/min.とした。
また、剥離後の短冊状クリーニングシートの質量を測定し、貼り合せ前の短冊状クリーニングシートの質量との差から、トナーの短冊状フィルムから短冊状クリーニングシートへ移行した量を算出し、次の式からトナーの移行率を算出した。このトナー移行量が多いということは、クリーニングシートのトナーの払拭性、保持性が優れていることを意味する。この結果は表1に示す通りであった。
Tr=(Ta/Tb)×100
ここで、Trは移行率(単位:%)、Taは短冊状フィルムから短冊状クリーニングシートへのトナーの移行量、つまり、短冊状クリーニングシートの質量増加量(単位:g)、Tbは短冊状フィルムのトナー担持量(単位:g)、をそれぞれ意味する。
表1の実施例1と比較例1、比較例3との対比から、扁平繊維に加えて、異形断面繊維を含んでいると、剥離最大荷重が小さいことから、クリーニングシート内部でトナーを保持しやすく、クリーニングシート表面におけるトナー量が少ないため、複写シートの汚染や複写シートの定着ロール又は加圧ロールへの貼り付きを防止できる、クリーニング性に優れるクリーニングシートであることが分かった。
また、表1の実施例1と比較例2との対比から、扁平繊維を含んでいることによって、クリーニングシートの表面層における平滑性に優れており、トナーを堰き止め、払拭性に優れているため、クリーニング性に優れるクリーニングシートであることが分かった。
更に、表1の実施例1と実施例2のトナー移行率の対比から、扁平繊維量が35mass%以上であると、トナーを堰き止めやすく、払拭性に優れているため、クリーニング性により優れるクリーニングシートであることが分かった。
更に、表1の実施例1と実施例3の剥離最大荷重の対比から、異形断面繊維を20mass%以上含むと、トナーをクリーニングシート内部へより誘導しやすく、クリーニング性に優れていることが分かった。
本発明のクリーニングシートはクリーニング性に優れるものであるため、複写機、レーザービームプリンター、ファクシミリ等の電子写真装置における、定着ロール、加圧ロール、転写ロールなどの定着部表面に残留したトナーを除去するクリーニングシートとして好適に使用できる。
a 短辺
b 長辺
c 凹凸扁平繊維の凹部の底点間を結んでできる線分の中で最も短い線分の長さ

Claims (7)

  1. 扁平繊維と異形断面繊維とを含む表面層を有する不織布からなることを特徴とする、定着部用クリーニングシート。
  2. 扁平繊維と異形断面繊維の繊度が1dtex以上であることを特徴とする、請求項1記載の定着部用クリーニングシート。
  3. 扁平繊維と異形断面繊維が未延伸繊維の変形によって固定されていることを特徴とする、請求項1又は2記載の定着部用クリーニングシート。
  4. 表面層を構成する樹脂組成がポリエステル系樹脂からなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の定着部用クリーニングシート。
  5. 表面層に加えて、耐熱性繊維を含む耐熱層を有する不織布からなることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の定着部用クリーニングシート。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の定着部用クリーニングシートの一端が巻出しシャフトに巻回されており、他端が巻取りシャフトに固定されていることを特徴とする定着部用クリーニング材。
  7. 請求項6記載の定着部用クリーニング材の定着部用クリーニングシートを巻出しシャフトから巻き出し、定着部用クリーニングシートを定着部に接触させた後、巻取りシャフトで巻き取る機構を有することを特徴とする定着部用クリーニング装置。
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