JP2018155588A - 貴金属付着量の分析方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】測定箇所の表面を掻き取って貴金属の付着量を分析した場合の問題点を解決し、かつ容易に短時間に分析することが可能な貴金属の付着量の分析方法を提供する。【解決手段】原子炉内構造物又は配管の測定箇所の近傍に参照電極を設置して、測定箇所に、水素ガスを溶存させた150℃以下の純水を接触させた状態で、測定箇所と電気的に接続された部分と、参照電極との間の電位を測定し、測定された電位から、原子炉内構造物又は配管の表面に付着させた貴金属の付着量を分析する。【選択図】図1

Description

本発明は、沸騰水型原子炉において原子炉内構造物及び配管の接液面に付着させた、白金等の貴金属を分析する、貴金属付着量の分析方法に関する。
沸騰水型原子力プラントでは、原子炉圧力容器内に設置されている炉内構造物、または原子炉圧力容器に接続された配管(例えば、再循環系配管)の、応力腐食割れを抑制することが、沸騰水型原子力プラントの稼働率向上の観点から重要である。
応力腐食割れに関して、以下のことが知られており、応力腐食割れに対する対策が行われている。
炉内構造物、及び原子炉圧力容器に接続された配管に接する高温高圧の冷却水(以下、炉水という)は、原子炉圧力容器内の炉心での炉水の放射線分解により生じた酸素及び過酸化水素を含んでいる。このため、炉水の酸素濃度及び過酸化水素濃度が高いほど、応力腐食割れの発生が顕著である。
炉水に接触する炉内構造物及び配管のそれぞれにおける応力腐食割れは、炉水の酸素濃度及び過酸化水素濃度を低減することによって抑制できる。その応力腐食割れを抑制する代表的な方法として、貴金属注入技術がある。この貴金属注入は、炉水中に貴金属(白金、ロジウムまたはパラジウム)の化合物を注入して、炉内構造物の表面及び原子炉圧力容器に接続される配管の内面に貴金属を付着させ、炉水に水素を注入する技術である(例えば、特許文献1を公報参照)。貴金属は、水素と酸素及び過酸化水素とのそれぞれの反応を促進し、炉内構造物の表面及び原子炉圧力容器に接続される配管の内面に接触する炉水の酸素、過酸化水素濃度を低減する。
貴金属注入技術の効果が得られたことを確認するためには、材料に接する原子炉水中に含まれる溶存水素が、溶存酸素と過酸化水素と反応してすべて消費できる量以上含まれることと、一定量以上の貴金属が材料表面に付着していたことを、確認する必要がある。このうち、材料表面の貴金属付着量は、プラント停止時に、対象箇所の材料表面の貴金属が付着した酸化物を掻き取り、酸で溶解し元素濃度分析することにより求められる(この方法は、掻き取り分析と呼ばれる)。
原子力プラント運転中と同じ288℃の高温水中に貴金属の一種である白金を注入して白金を材料表面に付着させた場合、0.05μg/cm以上白金を付着させることで貴金属注入技術の効果を十分得られることが、非特許文献1に報告されている。従って、貴金属注入技術を適用し、所定期間プラントを運転した後に貴金属付着量を分析し、0.05μg/cm以上白金が付着していたことを検知できれば、プラント運転期間に貴金属注入技術の効果が得られたことを確認することができる。
しかしながら、掻き取り分析すると、掻き取り部分の貴金属が無くなり、掻き取り部分の応力腐食割れ(Stress Corrosion Cracking, SCC)抑制効果が無くなる、という課題がある。更に、掻き取った酸化物は、60Coなどの放射性物質を含むため、掻き取り分析作業中に放射線被ばくするという課題がある。
この課題に対して、貴金属付着によるSCCの抑制効果を調べる箇所に、参照電極を備えた測定セルを設置し、外部の環境から隔離し、水質調整槽で溶存水素濃度及び溶存酸素濃度を調整した純水又は水溶液により測定セルを満たして、腐食電位を測定する方法が提案されている(特許文献2を参照)。
更に、貴金属付着によるSCC抑制効果を調べる箇所の腐食電位測定値と腐食電位の計算値を用いて、表面に付着した貴金属付着量を推定する方法が提案されている(特許文献3を参照)。
特開平7−311296号公報 特開2001−133428号公報 特開2003−222697号公報
Peter Andresen、「Status and developments with OnLine NobleChemTM」、International Light Water Reactor Materials Reliability Conference、Chicago、IL,August 2016
特許文献2に開示された方法では、溶存酸素濃度と溶存水素濃度を調整するために、酸素ガス及び水素ガスを通気する必要があり、溶存酸素/溶存水素濃度を変化させて測定するため、測定に長時間が必要である。
特許文献3に開示された方法では、280℃でのデータを基に、腐食電位と貴金属付着量の関係式が求められているため、貴金属による溶存水素と溶存酸素、過酸化水素との反応性が低下する低温では、腐食電位から貴金属付着量を求めることが困難である。
上述した問題の解決のために、本発明においては、掻き取り分析の問題点を解決でき、かつ容易に短時間に貴金属の付着量を測定することができる貴金属付着量の分析方法を提供するものである。
本発明の貴金属付着量の分析方法は、沸騰水型原子炉における、原子炉内構造物又は配管の表面に付着させた、貴金属の付着量を分析する方法であって、原子炉内構造物又は配管の測定箇所の近傍に参照電極を設置して、測定箇所に水素ガスを溶存させた150℃以下の純水を接触させた状態で、測定箇所と電気的に接続された部分と参照電極との間の電位を測定し、測定された電位から貴金属の付着量を分析する。
上述の本発明によれば、測定箇所を掻き取る必要がないので、測定箇所のSCC抑制効果を維持することができる。また、測定の際の放射線被ばくを抑制できる。
そして、150℃以下の低温で測定することが可能になり、かつ、酸素ガスの通気や酸素ガスと水素ガスの濃度調整が不要であるため、容易に短時間で測定することが可能になる。
また、貴金属注入技術の効果を十分得られる付着量の有無を確認できるので、貴金属注入適用後のプラント運転期間における貴金属注入によるSCC抑制効果を確認することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の分析方法の第1の実施形態を示す概略図である。 150℃以下の試験水中で腐食電位を測定した場合の、腐食電位に及ぼす温度と白金付着量の影響を表す図である。 200℃以上の試験水中で腐食電位を測定した場合の、腐食電位に及ぼす温度と白金付着量の影響を表す図である。 本発明の分析方法の第1の実施形態の第1の変形例を示す概略図である。 本発明の分析方法の第1の実施形態の第2の変形例を示す概略図である。 本発明の分析方法の第2の実施形態を示す概略図である。 本発明の分析方法の第3の実施形態を示す概略図である。
本発明では、沸騰水型原子炉における、原子炉内構造物又は配管の測定箇所の近傍に参照電極を設置して、測定箇所に水素ガスを溶存させた150℃以下の純水を接触させた状態で、測定箇所と電気的に接続された部分と参照電極との間の電位を測定し、測定された電位から、原子炉内構造物又は配管の表面に付着させた、貴金属の付着量を分析する。
原理炉内構造物としては、沸騰水型原子炉における、原子炉圧力容器の内面、原子炉底部構造物、シュラウト、等が挙げられる。
配管としては、沸騰水型原子炉において、原子炉に接続されて原子炉内に水を供給する配管や、原子炉から水を排出する配管が、挙げられる。
原子炉内構造物又は配管の表面に付着させる貴金属としては、白金や、その他の白金族貴金属元素(ロジウム等)が挙げられる。
本発明は、白金の付着量の分析、及び、その他の白金族貴金属元素の付着量の分析に、適用することができる。
本発明において、測定箇所の近傍に設置された参照電極の電位の測定は、水素ガスを溶存させた純水を測定箇所に接触させており、かつ測定箇所に接触させた純水の水温が150℃以下の状態で行う。
測定箇所に水素ガスを溶存させた純水を接触させる方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。
(A)測定箇所に接する純水に、水素ガスを通気して、水素ガスを純水に溶存させる。
(B)測定箇所に接する純水に、水素ガスを通気した純水を通水する。
このうち、(B)の場合には、更に、水素ガスを通気した純水の水素ガス濃度を予め調整しておいてから、通水することも可能である。
通気する水素ガスは、水素100%でも良いが、安全の観点から、3%以上10%以下の水素を含む窒素ガスや、3%以上10%以下の水素を含むアルゴンガスでも良い。
測定箇所に接触させる純水は、電気伝導率が10mS/m以下であることが望ましく、より好ましくは1mS/m以下である。純水の電気伝導率が10mS/mを超えると、測定箇所以外の場所からの電位も測定に影響することがある。
本発明の分析方法では、測定箇所の近傍に配置された参照電極と、測定箇所と電気的に接続された部分との間の電位を測定する。
測定箇所と電気的に接続された部分は、原子炉内構造物又は配管の測定箇所から導通可能になっていればよい。例えば、測定対象物(原子炉内構造物又は配管)のうち測定箇所とは異なる箇所、導体から成り原子炉内構造物又は配管と接触している部材の表面、が挙げられる。
上述した電位を測定するためには、例えば、測定箇所と電気的に接続された部分に、測定用のリード線を接続し、リード線の他端を測定器に接続する。また、測定器と参照電極の間を別のリード線で接続する。
測定器としては、例えば、エレクトロメータを使用することができる。
リード線との接続は、リード線を該当部分に溶接しても良いが、溶接に限らず他の固定方法であっても良く、測定中にリード線を接触させた状態で固定できれば良い。
リード線を接続する箇所は、純水が接触していない気相状態としてもよい。なお、リード線を接続する箇所に純水が接触していても、電位の測定には問題がない。
また、測定箇所の近傍を囲うセルを設置して、セルに設けられた開口を通して、(A)の場合の水素ガスや、(B)の場合の水素ガスを通気した純水を、供給するようにしてもよい。
本発明の分析方法では、測定対象物である、原子炉内構造物又は配管に純水を接触させた状態であれば、電位の測定が可能である。
そのため、測定対象物が組み立てられた状態でも、測定対象物が原子炉の停止期間に取り出されて使用済み燃料プールに設置された状態でも、測定対象物の測定箇所の電位を測定して、貴金属の付着量の分析を行うことができる。
測定対象物が組み立てられた状態では、測定対象物に純水を供給することにより、純水を接触させる。
測定対象物が使用済み燃料プールに設置された状態では、測定対象物のうち、使用済み燃料プール内の純水に接触した部分を、測定箇所とする。
組み立てられた状態の原子炉内構造物又は配管の電位の測定の時期は、以下の3つの時期が可能である。
(1)原子炉の定格運転(280℃前後)の前の温度上昇途中の水温150℃以下の状態
(2)原子炉の定格運転が終了した後の温度下降時で水温150℃以下の状態
(3)点検時等の停止状態
また、(3)の停止状態のときには、原子炉内構造物や配管の複数の箇所について、測定を行うことが可能である。複数の箇所について測定を行うことにより、原子炉や配管の内部における貴金属の付着量の分布を推測することが可能になる。
(本発明に至る試験結果)
ここで、上述した本発明の貴金属付着量の分析方法の構成に至る、試験結果について、説明する。
まず、以下の手順で、白金付着量が異なるステンレス鋼の試験片を作製した。
600番のエメリー研磨紙で表面を研磨し、アセトンで洗浄したステンレス鋼試験片を溶存酸素濃度400μg/L、溶存水素75μg/Lを含む280℃高温水中に250h浸漬させて酸化皮膜を付与した。次に、酸化皮膜を付与したステンレス鋼を、オートクレーブに設置し、溶存酸素濃度400μg/L、溶存水素75μg/Lを含む280℃高温水を通水した。更に、白金10μg/L、亜鉛5μg/Lとなるように、オートクレーブ直前から、白金酸化物ナノ粒子溶液と亜鉛イオン溶液を注入し、白金をステンレス鋼試験片に付着させた。なお、ここで使用した白金酸化物ナノ粒子溶液は、ヘキサヒドロキソ白金酸懸濁液に約20kGyのガンマ線を照射して作製した(白金酸化物の溶液の作製方法の詳細は、特開2014−101240号公報を参照)。
そして、浸漬時間を変えることで、白金付着量の異なる試験片を作製した。
以下の手順により、白金を付着させたステンレス鋼の試験片の腐食電位を測定した。
白金を付着させたステンレス鋼試験片に、ステンレス線から成るリード線を溶接し、リード線の接液部分を四フッ化エチレン樹脂で被覆した。
次に、白金を付着させたステンレス鋼試験片を、オートクレーブ内に設置し、リード線をオートクレーブの外に引き出した。同様に、白金電極をオートクレーブ内に設置し、リード線をオートクレーブの外に引き出した。
そして、試験水として、水素を10%含む窒素ガスでバブリングした純水を、高圧定量ポンプでオートクレーブに送水した。この状態で、純水中の溶存水素濃度及び溶存酸素濃度を測定した結果、溶存水素は75μg/L、溶存酸素濃度は12μg/Lであった。
更に、オートクレーブの下流に設置した保圧弁の開度を調整することにより、オートクレーブを所定の圧力に調整した。また、ヒーターによって、オートクレーブを所定の温度に加熱した。
オートクレーブと電源アースを接続し、オートクレーブをマイナスに接続し、ステンレス鋼試験片をプラスに接続して、エレクトロメータにより、オートクレーブに対するステンレス鋼試験片の電位(VSS:V)を測定した。
同様に、オートクレーブをマイナスに接続し、白金電極をプラスに接続して、エレクトロメータにより、オートクレーブに対する白金電極の電位(VPt:V)を測定した。
そして、オートクレーブに対するステンレス鋼試験片の電位(VSS:V)、オートクレーブに対する白金電極の電位(VPt:V)、及び水素電極電位(EPt:VvsSHE)から、水素電極電位に対するステンレス鋼試験片の電位(ESUS、単位:VvsSHE)を、下記の式1により求めた。
SUS = VSS − VPt + EPt ・・・ 式1
そして、オートクレーブの所定の温度を変えて、それぞれの温度において、白金付着量の異なる試験片の腐食電位を測定した。
測定結果として、それぞれの温度の試験水中における、温度と白金付着量の腐食電位に及ぼす影響を、図2と図3に示す。
図2は、150℃以下の試験水中で腐食電位を測定した場合の、腐食電位に及ぼす温度と、白金付着量の影響を示す図である。
図3は、200℃以上の試験水中で腐食電位を測定した場合の、腐食電位に及ぼす温度と、白金付着量の影響を示す図である。
図2より、白金付着処理したステンレス鋼試験片の腐食電位を、150℃以下の試験水中で測定した場合には、白金付着量が0.1μg/cm以下において、白金付着量に比例して腐食電位が低下することが分かった。
25℃では、白金付着量(WPt、単位:μg/cm)と水素電極電位に対するステンレス鋼試験片の電位(ESUS、単位:VvsSHE)の関係が、下記の式2の通りであった。
SUS = −0.094 − 2.84 × WPt ・・・ 式2
(相関係数R:0.96)
50℃では、白金付着量(WPt、単位:μg/cm)と水素電極電位に対するステンレス鋼試験片の電位(ESUS、単位:VvsSHE)の関係が、下記の式3の通りであった。
SUS = −0.070 − 3.64 × WPt ・・・ 式3
(相関係数R:0.98)
75℃では、白金付着量(WPt、単位:μg/cm)と水素電極電位に対するステンレス鋼試験片の電位(ESUS、単位:VvsSHE)の関係が、下記の式4の通りであった。
SUS = −0.054 − 3.80 × WPt ・・・ 式4
(相関係数R:0.99)
100℃では、白金付着量(WPt、単位:μg/cm)と水素電極電位に対するステンレス鋼試験片の電位(ESUS、単位:VvsSHE)の関係が、下記の式5の通りであった。
SUS = −0.088 − 3.87 × WPt ・・・ 式5
(相関係数R:0.98)
150℃では、白金付着量(WPt、単位:μg/cm)と水素電極電位に対するステンレス鋼試験片の電位(ESUS、単位:VvsSHE)の関係が、下記の式6の通りであった。
SUS = −0.186 − 3.41 × WPt ・・・ 式6
(相関係数R:0.88)
これらのデータのうち、25℃から100℃までのデータを使うと、白金付着量(WPt、単位:μg/cm)と水素電極電位に対するステンレス鋼試験片の電位(ESUS、単位:VvsSHE)は、下記の式7で計算できる。
SUS = −0.076 − 3.54 × WPt ・・・ 式7
(相関係数R:0.96)
また、25℃から150℃までのデータを使うと、白金付着量(WPt、単位:μg/cm)と水素電極電位に対するステンレス鋼試験片の電位(ESUS、単位:VvsSHE)は、下記の式8で計算できる。
SUS = −0.098 − 3.51 × WPt ・・・ 式8
(相関係数R:0.86)
更に、式2から式6のWPtに0.1μg/cmを代入して求めた、白金付着量0.1μg/cmでの電位(EPt 、単位:VvsSHE)と温度(T)の関係は、下記の式9で計算できる。
Pt = −0.0011 × T − 0.360 ・・・ 式9
そして、式9で計算される白金付着量0.1μg/cmでの電位よりも、腐食電位が大きい場合には、白金付着量が0.1μg/cmより小さくなっているので、式2から式8に測定した腐食電位を代入して、白金付着量を計算することができる。
一方、図3より、白金付着処理したステンレス鋼試験片の腐食電位を、200℃以上の試験水中で測定した場合、白金付着量によらず、−0.4VvsSHEから−0.55VvsSHEの範囲でほぼ一定となることが分かった。
以上の結果より、150℃以下、より好ましくは100℃以下で、腐食電位を測定し、測定した腐食電位が白金付着量0.1μg/cmでの電位より小さい場合は、白金付着量を求めることができる。
一方、測定した腐食電位が白金付着量0.1μg/cmでの電位より大きい場合は、白金付着量が0.1μg/cm以上残っていたことを確認できる。白金付着量が0.05μg/cm有ればSCC抑制効果が十分に得られるので、この場合には、十分なSCC抑制効果が得られる状態であることがわかる。
上述した試験では、白金について付着量を分析した。
原子炉構造材料への貴金属付着処理に用いられる、その他の貴金属(白金族貴金属元素等)についても、同様にして付着量を分析することが可能である。
本発明の分析方法によれば、参照電極は測定箇所の近傍に設置するだけでよく、参照電極を測定箇所に接触させる必要はないので、測定箇所に付着した貴金属を掻き取ることがなく、測定箇所のSCC抑制効果を維持することができる。また、測定時の被爆を抑制することができる。
また、本発明の分析方法によれば、測定箇所に接触させる純水に水素ガスを溶存させていれば良く、特許文献2のような酸素ガスの通気や、酸素ガスと水素ガスの濃度調整を、行う必要がないため、容易に短時間で測定することが可能になる。
また、本発明の分析方法によれば、測定箇所に水素ガスを溶存させた純水を接触させることにより、150℃以下の低温で電位を測定しても、電位から貴金属の付着量を分析することが可能になるため、貴金属による反応性が低下する低温でも、容易に貴金属の付着量を分析することができる。即ち、280℃でのデータを基に分析を行う特許文献3の方法と比較して、低温でも容易に貴金属の付着量を分析することができる。
更に、本発明の分析方法によれば、前述した実験結果に示したように、貴金属注入技術によるSCC抑制効果を十分得られる付着量の有無を確認できる。これにより、貴金属注入適用後のプラント運転期間における貴金属注入によるSCC抑制効果を確認することができる。
本発明の分析方法において、更に測定箇所の近傍を囲うセルを設置した場合には、供給する水素ガスや純水の量を低減することができる。また、測定箇所の近傍の水素ガスの濃度の制御がし易くなる。
純水に水素ガスを通水する方法のうち、前述した(B)の測定箇所の近傍の水素ガスを通気した純水を通水する方法を採用した場合には、予め水素濃度をほぼ均一にした状態で、測定箇所の近傍に供給することが可能になる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。ただし、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態の概略図を、図1に示す。
本実施の形態では、図1に示すように、原子炉圧力容器の内面や、原子炉底部構造物、シュラウドなどの原子炉内構造物1が、純水中に水没した状態で、原子炉内構造物1の貴金属付着量を測定する。
原子炉内構造物1の、SCC抑制効果を調べる測定箇所2の近傍に、参照電極3を設置する。参照電極3には、リード線を接続する。
また、原子炉内構造物1の、測定箇所2と電気的に接続された箇所に、リード線5bを接続して、接続部4を構成する。そして、接続部4において接続されたリード線5bを、エレクトロメータ6のマイナス極に接続し、参照電極3からのリード線5を、エレクトロメータ6のプラス極に接続する。
温度計9の温度検知部を、原子炉内構造物1の測定箇所2の近傍に設置する。
水素ガスボンベ7に通気管8を接続し、通気管8の先端を、純水内の測定箇所2よりも下部に配置して、通気管8から水素ガスを通気する。
原子炉内構造物1が水没している純水の電気伝導率は、10mS/m以下であることが望ましく、より好ましくは1mS/m以下である。純水の電気伝導率が10mS/m以上であると、SCC抑制効果を調べる測定箇所2以外の場所からの電位も測定に影響するので、好ましくない。
参照電極3は、白金電極が望ましいが、銀塩化銀電極でも良い。銀塩化銀電極を参照電極3に使用する場合は、原子炉内構造物1の測定箇所2の近傍に、銀塩化銀電極に接続された液絡を設置する。
白金電極あるいは銀塩化銀電極に接続された液絡は、測定箇所2に近い方が良い。しかし、白金電極あるいは液絡が、原子炉内構造物1に接触すると測定箇所2の電位が測定できなくなる。白金電極あるいは液絡は、測定箇所2から数mmから1cm程度の距離であって原子炉内構造物1に接触しない位置に、設置するのが望ましい。
接続部4では、リード線5bが原子炉内構造物1に接触していて導通する構成であればよく、上述した実験の試験片のようにリード線を溶接していなくても構わない。
図1では、測定箇所2は水没していて、接続部4は水没していない。しかし、接続部4は、水没している状態であっても、測定には問題を生じない。
水素ガスボンベ7は、水素100%でも良いが、安全の観点から、3%から10%程度水素を含むアルゴンガスや、3%から10%程度水素を含む窒素ガスでも良い。
水素ガスを通気しながら、エレクトロメータ6によって、参照電極3に対する測定箇所2の電位(V)を測定する。
水素電極電位に対する参照電極3の電位(E)から、水素電極電位に対する測定箇所2の電位(VS、SHE)は、下記の式10で計算される。
S、SHE = Vs + E ・・・ 式10
温度計9により水温を測定し、水温の測定結果に近い温度の付着量計算に用いる式(式2から式8)を決定する。
そして、決定した式を用いて、測定箇所2の電位(VS、SHE)から、貴金属付着量を計算する。即ち、VS、SHEを式のESUSに代入して、WPtを求める。
このようにして、原子炉内構造物1の測定箇所2の貴金属付着量を分析することができる。
本実施の形態において、参照電極3に対する測定箇所2の電位の測定は、水温が150℃以下の状態で行う。
また、電位の測定の時期は、前述したように、定格運転の前の温度上昇途中の水温150℃以下の状態、定格運転が終了した後の温度下降時で水温150℃以下の状態、点検時等の停止状態、のいずれかの時期に行う。このうち、停止状態のときには、原子炉内構造物1の複数の箇所について、測定を行うことが可能である。
原子炉内構造物1の複数の箇所について測定を行う場合には、参照電極3と通気管8と温度計9の温度検知部を移動させて、それぞれの箇所で測定を行う。即ち、それぞれの測定箇所2の近傍に参照電極3を設置し、参照電極3の近傍に通気管8の先端と温度計9の温度検知部を配置する。
本実施の形態によれば、参照電極3は測定箇所2の近傍に設置するだけでよく、参照電極3を測定箇所2に接触させる必要はないので、測定箇所2に付着した貴金属を掻き取ることがなく、測定箇所2のSCC抑制効果を維持することができる。また、測定時の被爆を抑制することができる。
また、測定箇所2の近傍に水素ガスのみを通気しているので、特許文献2のように酸素ガスの通気や酸素と水素の濃度調整が不要であり、容易に短時間で測定することが可能である。
また、測定箇所2に水素ガスを溶存させた純水を接触させることにより、150℃以下の低温で電位を測定しても、電位から貴金属の付着量を分析することが可能になるため、貴金属による反応性が低下する低温でも、容易に貴金属の付着量を分析することができる。即ち、280℃でのデータを基に分析を行う特許文献3の方法と比較して、低温でも容易に貴金属の付着量を分析することができる。
更に、前述した実験結果に示したように、貴金属注入技術によるSCC抑制効果を十分得られる付着量の有無を確認できる。これにより、貴金属注入適用後のプラント運転期間における貴金属注入によるSCC抑制効果を確認することができる。
(第1の実施の形態の第1の変形例)
本発明の第1の実施の形態の第1の変形例の概略図を、図4に示す。
本変形例では、図4に示すように、SCC抑制効果を調べる測定箇所2を覆い、下部から水素ガスを通気し上部からガスを放出させる、セル10を設置する。
参照電極3は、セル10内に設置されている。
通気管68の先端は、セル10の下面の開口に接続されている。
温度計9の温度検知部は、セル10の上面の開口を通して、原子炉内構造物1の測定箇所2の近傍に配置されている。
また、本変形例では、図示しないが、セル10を固定するための構成を有する。
セル10を固定するための構成としては、例えば、機械的にセル10を容器の内壁に押し当てる機構、セル10の内部を外部に対して負圧にしてセル10を動かないようにする構成、容器内の純水の循環による水圧を利用してセル10を固定する構成、等が考えられる。
原子炉内構造物1の複数の箇所について測定を行う場合には、セル10と共に、参照電極3と通気管8と温度計9の温度検知部を移動させて、それぞれの箇所で測定を行う。
その他の構成は、図1に示した第1の実施の形態と同様の構成であるため、重複説明を省略する。
本変形例の構成によれば、セル10を設けたことにより、セル10が無い場合と比較して、通気により水質を調整する純水の量を低減できるので、より速やかに貴金属の付着量を分析できる。
(第1の実施の形態の第2の変形例)
本発明の第1の実施の形態の第2の変形例の概略図を、図5に示す。
本変形例では、図5に示すように、測定箇所2の近傍に水素ガスを通水する代わりに、水素ガスボンベ12から通気管13を通して、純水タンク11に充填した純水に水素ガスをバブリングする。
そして、水素ガスを通気した純水を、ポンプ14で送水してセル10の中に通水する。
また、純水タンク11に、純水に含まれる水素濃度を測定する溶存水素濃度計を設置して、水素濃度が一定になってから通水すると、測定箇所2に接触させる純水に含まれる溶存水素濃度が一定となるので、より好ましい。
その他の構成は、図4に示した第1の変形例と同様の構成であるため、重複説明を省略する。
本変形例の構成によれば、水素ガスを通気した純水を、セル10の中に通水するので、水素ガスを直接セル10の中に送る場合と比較して、容易にセル10内の水素の濃度を制御することができる。また、セル10が設けられているので、セル10を設けない場合と比較して、水素ガスを通気した純水の供給量を低減することができる。
上述した第1の実施の形態及びその各変形例では、原子炉内構造物1が上下方向に配置された平板状である場合を代表して、図示して説明した。
これに対して、例えば原子炉の底部等の、原子炉内構造物が水平方向や斜め方向等の上下方向以外の方向に配置されている場合や、原子炉内構造物が曲面を有する場合でも、原子炉内構造物の測定箇所の近傍に参照電極を設置して、電位の測定を行うことができる。
また、各変形例において、セルの開口の位置は、図示した位置に限定されるものではなく、セルの壁面の任意の位置に開口を設けて、通気管や送水管を開口に接続したり、温度計の温度検知部を通したりすることができる。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態の概略図を、図6に示す。
本実施の形態は、原子力プラントの貴金属注入技術が適用される沸騰水型原子力プラントに、本発明を適用した場合である。
まず、沸騰水型原子力プラント50の構成を、図6により説明する。
沸騰水型原子力プラント50は、原子炉圧力容器31、タービン34、復水器35、原子炉浄化系及び給水系等を備えている。
原子炉圧力容器31は、原子炉建屋(図示せず)内に配置された原子炉格納容器内に設置されている。原子炉圧力容器31は、内部に、複数の燃料集合体を装荷した炉心32を配置している。燃料集合体は、核燃料物質で製造された複数の燃料ペレットが充填された複数の燃料棒を含んでいる。複数のインターナルポンプ(図示せず)が、原子炉圧力容器31の底部に設けられる。原子炉圧力容器31に接続された主蒸気配管33が、タービン34に接続される。
給水系は、復水器35と原子炉圧力容器31を連絡する給水配管36に、復水ろ過脱塩装置37、給水ポンプ38及び給水加熱器39を、復水器35から原子炉圧力容器31に向って、この順に設置して構成されている。タービン34は復水器35上に設置され、復水器35はタービン34に連絡されている。主蒸気配管33に接続されたバイパス配管40が、給水加熱器39を通って復水器35に接続される。
原子炉浄化系は、原子炉圧力容器31と給水配管36を連絡する浄化系配管41に、浄化系ポンプ42、再生熱交換器43、非再生熱交換器(図示せず)及び炉水浄化装置44をこの順に設置している。浄化系配管41は、給水加熱器39の下流で給水配管36に接続される。
次に、沸騰水型原子力プラント50の各部の動作を説明する。
原子炉圧力容器31内の冷却水(以下、炉水という)は、インターナルポンプで昇圧され、炉心32に供給される。炉心32に供給された炉水は、燃料棒内の核燃料物質の核***で発生する熱によって加熱され、加熱された炉水の一部が蒸気になる。この蒸気は、原子炉圧力容器31内に設けられた気水分離器(図示せず)及び蒸気乾燥器(図示せず)にて水分が除去された後に、原子炉圧力容器31から主蒸気配管33を通ってタービン34に導かれ、タービン34を回転させる。タービン34に連結された発電機(図示せず)が回転し、電力が発生する。
タービン34から排出された蒸気は、復水器35で凝縮されて水になる。この水は、給水として、給水配管36を通り、原子炉圧力容器31内に供給される。給水配管36を流れる給水は、復水ろ過脱塩装置37で不純物が除去され、給水ポンプ38で昇圧される。給水は、給水加熱器39内で、バイパス配管40で主蒸気管33から抽気された抽気蒸気によって加熱され、給水配管36を通して原子炉圧力容器31内に導かれる。
原子炉圧力容器31内の炉水の一部は、浄化系ポンプ42の駆動によって原子炉浄化系の浄化系配管41内に流入し、再生熱交換器43及び非再生熱交換器で冷却された後、炉水浄化装置44で浄化される。浄化された炉水は、再生熱交換器43で加熱されて浄化系配管41及び給水配管36を経て原子炉圧力容器31内に戻される。
貴金属注入装置47は給水配管36に接続され、水素注入装置45が給水配管36に接続され、水素注入装置46が浄化系配管41に接続されている。
貴金属注入技術は、原子炉プラント運転中に、貴金属注入装置47から微量の白金化合物を一定期間(7−10日間)注入することにより、実施される。そのため、貴金属注入装置47から下流の配管及び原子炉圧力容器31内の接液面及び、炉水浄化装置44より上流の浄化系配管41に白金が付着する。原子炉運転期間中は、水素注入装置45から水素が注入される。
貴金属注入によるSCC抑制効果は、SCC抑制効果を調べる箇所の近傍に参照電極を設置することにより確認される。
本実施の形態では、原子炉底部と浄化系配管41に、それぞれ参照電極48a,48bを設置した場合を示す。参照電極48a,48bをエレクトロメータのプラス極に接続し、原子炉圧力容器31又は浄化系配管41にリード線を接続し、リード線の逆端をエレクトロメータのマイナス極に接続する。
本実施の形態の沸騰水型原子力プラントにおいては、原子力プラントの起動操作時、原子力プラントの停止操作時、プラント停止時の原子炉圧力容器31が解放される前の各期間であって、且つ原子炉水の温度が150℃以下である期間に、本発明による貴金属付着量の分析方法を適用する。
原子力プラントの起動操作時、原子力プラントの停止操作時、プラント停止時の原子炉圧力容器31が解放される前は、給水配管36から水の供給が行なわれていない可能性があるので、水素注入装置46から水素を断続的に注入する。より好ましくは、浄化系配管41に接続されたサンプリング配管(図示せず)に溶存水素濃度測定器を設置して、水素濃度を測定する。
水素注入装置46から水素を断続的に注入すると、水の放射線分解や貴金属注入によって付着させた貴金属の作用により過剰な原子炉水中の溶存酸素や過酸化水素が消費されるため、原子炉水中の溶存酸素や過酸化水素が消費される期間は、原子炉水中の溶存水素濃度が低下する。溶存酸素や過酸化水素の消費が終わると、原子炉水中の溶存水素濃度は増加に転じる。溶存水素濃度が50−100μg/Lになった時点で、水素注入装置46からの水素注入を停止する。溶存水素濃度が50μg/L以下になったら、水素注入装置46からの水素を注入する。
原子力プラントの起動操作時、原子力プラントの停止操作時、プラント停止時の原子炉圧力容器31が解放される前の各期間であって、かつ原子炉水の温度が150℃以下の期間に、原子炉浄化系を動かすことにより原子炉水を浄化することで、原子炉水の電気伝導率を1mS/m以下に維持する。
参照電極48a,48bの近傍に温度計のプローブが設置されている場合は、温度計を使って水温を測定する。ただし、参照電極48a,48bの近傍に温度計のプローブが無い場合は、原子炉水の温度測定値で代表させる、あるいは、白金付着量を計算するときに、式7又は式8を使用する。
その後は、第1の実施の形態と同様に、式10を用いて、参照電極に対する電位を計算する。そして、水温の測定結果に近い温度の白金付着量計算に用いる式(式2から式8)を決定して、貴金属付着量を分析する。
本実施の形態によれば、沸騰水型原子力プラント50を組み立てた状態で、原子炉圧力容器31の内壁面、原子炉圧力容器31内の構造物、原子炉圧力容器31に接続された配管について、本発明の分析方法を適用して貴金属の付着量を分析することができる。
そして、参照電極48a,48bによって測定箇所の電位を測定することにより、貴金属の付着量を分析することができる。
(第3の実施の形態)
以上の各実施の形態及び各変形例では、原子炉圧力容器の内面や、原子炉底部構造物、シュラウドなどの原子炉内構造物を、分析方法の対象に説明した。
本発明の分析方法によれば、原子炉内構造物の貴金属付着量分析だけではなく、原子力プラント停止期間に原子炉内から取り出された原子炉内構造物が、使用済燃料を保管する使用済燃料プールに設置された場合の、原子炉内構造物の白金付着量分析もできる。この場合を、第3の実施の形態として、以下に説明する。
本発明の第3の実施の形態の概略図を、図7に示す。
本実施の形態は、使用済燃料プール60に設置された、原子炉内構造物61の貴金属付着量を分析する場合である。
図7に示すように、ステンレス製の使用済燃料プール60内の純水中に、原子炉内構造物61が設置されている。
この原子炉内構造物61の、SCC抑制効果を調べる測定箇所62の近傍に、参照電極63を設置する。参照電極63には、リード線65を接続する。原子炉内構造物61の測定箇所62を覆って、セル70が設置されている。参照電極63は、セル70内に設置されている。
また、燃料プール60の金属面に、リード線65aを接続して、接続部64を構成する。そして、接続部64において接続されたリード線65aを、エレクトロメータ66のマイナス極に接続し、参照電極63からのリード線65を、エレクトロメータ66のプラス極に接続する。
純水タンク71に配管68が接続され、配管68の途中にポンプ73が設けられ、配管68の先端がセル70の側面下部の開口に接続されている。
温度計69の温度検知部は、セル70の上面の開口を通して、原子炉内構造物61の測定箇所62の近傍に設置されている。
そして、純水タンク71に充填した純水に、通気管72を通して水素ガスをバブリングする。そして、水素ガスを通気した純水を、ポンプ73で送り、配管68を介してセル70の中に通水する。これにより、セル70の内部の水素濃度を調整することができる。
原子炉内構造物61がステンレス製使用済み燃料プール60の底面に接触していて、これら原子炉内構造物61及びステンレス製燃料プール60が導通する状態であれば、原子炉内構造物61の腐食電位を測定することができる。
本実施の形態によれば、原子炉内構造物61が使用済み燃料プール内に設置された状態でも、本発明の分析方法を適用して、原子炉内構造物61の貴金属付着量を分析することができる。
1,61 原子炉内構造物、2,62 測定箇所、3,63 参照電極、4,64 接続部、5,5b,65,65a リード線、6,66 エレクトロメータ、7,12 水素ガスボンベ、8,13,72 通気管、9,69 温度計、10,70 セル、11,71 純水タンク、14,73 ポンプ、31 原子炉圧力容器、32 炉心、33 主蒸気配管、34 タービン、35 復水器、36 給水配管、37 復水ろ過脱塩装置、38 給水ポンプ、39 給水加熱器、40 バイパス配管、41 浄化系配管、42 浄化系ポンプ、43 再生熱交換器、44 炉水浄化装置、45,46 水素注入装置、47 貴金属注入装置、48a,48b 参照電極、50 沸騰水型原子力プラント、68 配管

Claims (7)

  1. 沸騰水型原子炉における、原子炉内構造物又は配管の表面に付着させた、貴金属の付着量を分析する方法であって、
    前記原子炉内構造物又は前記配管の測定箇所の近傍に参照電極を設置して、
    前記測定箇所に、水素ガスを溶存させた150℃以下の純水を接触させた状態で、前記測定箇所と電気的に接続された部分と、前記参照電極との間の電位を測定し、
    測定された前記電位から、貴金属の付着量を分析する
    貴金属付着量の分析方法。
  2. 前記測定箇所に接する純水に水素ガスを通気することにより、純水に水素ガスを溶存させる請求項1に記載の貴金属付着量の分析方法。
  3. 水素ガスを通気した純水を前記測定箇所の近傍に通水する請求項1に記載の貴金属付着量の分析方法。
  4. 前記測定箇所の近傍を囲うセルを設置し、前記セルに設けられた開口を通して前記水素ガスを通気する請求項2に記載の貴金属付着量の分析方法。
  5. 前記測定箇所の近傍を囲うセルを設置し、前記セルに設けられた開口を通して前記水素ガスを通気した純水を通水する請求項3に記載の貴金属付着量の分析方法。
  6. 前記測定箇所に接触させる純水の電気伝導率が10mS/m以下である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の貴金属付着量の分析方法。
  7. 3%以上10%以下の水素を含む窒素ガスを、又は、3%以上10%以下の水素を含むアルゴンガスを、前記水素ガスとして通気する、請求項2〜請求項5のいずれか1項に記載の貴金属付着量の分析方法。
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