JP2018154767A - フレーク状材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】塗料などとして使用したときに特性のむらの発生を抑制することができる構造色材料などのフレーク状材料等を提供する。【解決手段】フレーク状材料は、粒子1が規則的に配列して形成された部分を含むフレーク状の粒子集合体2の材料である。フレーク状の粒子集合体の最大面積を示す面および前記最大面積を示す面の裏面のそれぞれは、粒子の配列で形成されたコロイド結晶の格子面であって、同じミラー指数で表される格子面を含み、フレーク状の粒子集合体2の空隙に粒子1の屈折率とは異なる媒体3が配置されている。【選択図】図1

Description

本発明は、測定する角度によって観察される色の変化が大きく、かつ鮮やかな色を発する構造色材料などのフレーク状材料、その製造方法等に関するものである。
色素等を用いた一般的な呈色材料は、特定の波長範囲の光を吸収して電子が励起状態に遷移する。このとき、色素によって光のエネルギーが電子のエネルギーに変換されるので、一部の光が消費される。その結果、消費されなかった光のみが人の目に入って認識され、色を呈する。一方、構造色は光の干渉を利用して色を呈する。一般に可視光領域において、構造色材料は、ナノメートルスケールで媒体の屈折率を規則的に変化させた材料である。この屈折率の規則性によって、特定の波長範囲の光のみを反射し、残りの光を透過させることにより、構造色材料が発色して見える。従って、発色にしばしば重金属を用いる顔料と比べて、構造色材料は環境にやさしくエネルギーの無駄がない発色材料といわれている。
構造色材料の中でも、コロイド結晶は、媒質中に屈折率および粒子サイズが均質な粒子が規則的に配列した材料である。コロイド結晶は、粒子の規則性によって光をブラッグの条件で反射し、発色する。このような性質を利用して、意匠性を高める材料として、化粧品、車の車体、釣り具の疑似餌、工芸品などに対して、構造色材料は積極的に利用されている。
コロイド結晶は、作製時に、直径100〜300nm程度の粒子を精緻に充填する必要がある。精緻に充填しないと、すなわちコロイド結晶の結晶性が高くないと、効率的に光を干渉せず、多重散乱が現れる。その結果、目的の波長をより強く反射できず、白い散乱光を反射してしまう構造色材料となり、意匠性が高い色として利用できなくなることがある。一方で、単純に粒子の分散液を塗料として塗りつけるだけでは、粒子の結晶性が高いコロイド結晶を形成する事ができない。
このような点に鑑みて、あらかじめ粒子が規則的に配列したフレーク状の粒子集積体を作製し、塗料に利用する工夫がなされている。特許文献1は、次の様な方法を開示している。すなわち、この方法では、シリカ粒子をガラス基板上に塗工、乾固させて、コロイド結晶を得て、その後、得たコロイド結晶をガラス基板から剥離し、焼成を行う事で構造色フレークを得る。特許文献2は、次の様な方法を開示している。すなわち、この方法では、コア‐シェル型の粒子をポリマーフィルムなどの基板に塗工し、加熱する事でコロイド結晶を得て、得たコロイド結晶を基板から剥離して構造色フレークを得る。
しかしながら、特許文献1および2に記載の方法で得た構造色フレーク材料を顔料として有機ポリマーなどに混合し、塗料を作製した場合、塗工後にフレーク状材料の特定の面だけを表面に配向させる事ができない。その結果、両面が同じ粒子配列の規則構造で構成されていない構造色フレーク材料では、表示できる色は、両面の反射性能の平均となる為、両面の反射性能の差が原因でくすんだ色になる可能性がある。前記フレーク状材料の両面とは、板状の形状をした粒子が集積した構造色材料において、最大面積を示す面とその裏面に位置する面の組み合わせを意味する。
従って、従来の構造色フレーク材料では、塗料として用いたときに、所望の鮮やかさや角度特性を得ることができなかったり、色及び角度特性等の構造色材料の特性にむらが発生したりすることがあった。
特開2011−102216号公報 特開2010−24289号公報
上述の課題を鑑み、本発明は、塗料として用いた場合に、色及び観察角度に対する色味の変化等の特性のむらの発生を低減することを目的とする。
上記課題に鑑み、本発明の一側面によるフレーク状材料は、粒子が規則的に配列している部分を含むフレーク状の粒子集合体の材料であり、前記フレーク状の粒子集合体の最大面積を示す面および前記最大面積を示す面の裏面のそれぞれは、前記粒子の配列で形成されたコロイド結晶の格子面であって、同じミラー指数で表される格子面を含み、前記フレーク状の粒子集合体の空隙に前記粒子の屈折率とは異なる媒体が配置されている。
本発明の一側面によれば、フレーク状材料の両面が同等であるので、塗料などとして使用する場合に、特性のむらの発生を低減することができる。
本発明による、粒子が規則的に配向したフレーク状材料の一例を説明する図。 本発明によるフレーク状材料が基板に配列した形状の一例を説明する図。 本発明によるフレーク状材料を作製する方法の一例を説明する図。
本発明の一側面に係る、構造色材料などのフレーク状材料では、フレーク状の粒子集合体の最大面積を示す面およびその裏面の両面が、粒子の配列で形成されたコロイド結晶の同じミラー指数で表される1種類の格子面を含んで被覆される同等の状態である。これら同等な両面は、同じ格子面をほぼ同じ高い比率で含んでいるのが好ましい。また、下記で定義される算術平均粗さがほぼ同じ程度で小さく、少なくとも前記両面近くは前記粒子の規則的構造で形成されているのが好ましい。
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。ただし、これは発明の範囲を限定するものではない。
本発明による構造色材料などのフレーク状材料は、複数の粒子が複合して形成している構造体である。図1は構造体における一実施形態の概略図である。図1において、複数の粒子1は規則的に配列されており、フレーク形態2を形成している。マトリクス3はフレーク形態2を形成している複数の粒子1間を充填している。粒子1の直径は数nm以上1000nm以下程度で、粒度分布の変動係数、つまり粒子1の平均直径を標準偏差で割った数値が10%以下である。粒子1は、光学的に透明に近い材料であれば問題はない。好適には、直径50nm以上1000nm以下、変動係数が3%程度の粒子が用いられる。さらに好適には、直径150nm以上300nm以下の粒子が用いられる。粒子1の直径は、電子顕微鏡にて200個以上300個以下程度の粒子1を観察し、その直径の平均値を求めればよい。
粒子1の屈折率は適当な範囲であれば材質は特に限定されるものではないが、波長550nm程度の光において屈折率が1.4以上2.0以下程度の材料が好適に用いられる。より好適には、1.46以上1.60以下程度の材料が用いられる。単量体、二量体、三量体以上の有機高分子、ゾル−ゲル法で得られる無機高分子の粒子、複数の粒子の凝集体などを粒子1として用いても良い。
有機高分子としては、ポリスチレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル及びその誘導体、エポキシ樹脂、ポリカーボネイト樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂からなる群などが挙げられる。好適には、乳化重合法などで容易に粒度分布が揃う、屈折率が約1.6であるポリスチレン粒子などが用いられる。また粒子1として、ゾル‐ゲル法により作製した無機材料でもかまわない。これの具体的な材料としては、酸化ケイ素が挙げられる。また、酸化アルミ、酸化チタン、酸化ジルコニウムなどの高屈折率材料を用いたり、これらの高屈折率材料と酸化ケイ素やフッ化マグネシウムなどの低屈折率材料を組合せたりした材料でも構わない。好適には、ストーバー法などにより粒度分布が揃う、屈折率が約1.46である酸化ケイ素粒子などが用いられる。
図1におけるフレーク形態2は、複数の粒子1が規則的に集積した構造体である。フレーク形態とは、例えば、平板状の形状をしており、アスペクト比が2以上の材料を指す。また、フレーク形態は基板の支持を必要とせず、形態を自己保持できる強度があることが好ましい。アスペクト比とは、図2に示すように、構造体を一組のほぼ平行な面で挟んだときの最大となる長さLと、最小となる長さLの比の事を意味する。つまり、平板状の構造体における最大面積を有する面の最大の長さと厚さとの比を意味する。このアスペクト比(前者を後者で割った比率)が2以上であれば、構造色フレーク材料を塗料化して塗工したときに、平板状の面が塗面7に対してほぼ平行に配列する事が可能となり、強い干渉を示す面を塗装表面に向ける事が可能となる。最小となる長さLは、主に粒子1の積層数により決定される長さである。粒子が数十層以上規則的に積層していれば、十分に光を干渉する効果が得られるので、最小となる長さL、すなわち構造色フレーク材料の厚さは2μm以上あれば好適に用いられる。最大となる長さLは、最小となる長さLの2倍以上あればよい。すなわち、最大となる長さLは、4μm以上あれば、好適に用いられる。ただし、塗料として使用する場合、粒子サイズが大きくなり過ぎると、塗膜に粒度感が現れ、形成した色彩にブツブツ感が現れる。そのため、滑らかな色感の塗装に仕上げる為には、最大となる長さLは、1mm以下で用いるのが好ましく、0.1mm以下で用いる事が尚好適である。
フレーク形態2の最大面積を有する面とその裏面に位置する面の表面の平均粗さ平均粗さ、下記の式で表す算術平均粗さ(Ra値)で、粒子1の直径以下であることが好ましい。Ra値は、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけを抜き取り、この抜取り部分の平均線の方向にX軸を、縦倍率の方向にZ軸を取り、粗さ曲線をz=f(x)で表すときに、下記の式の値をナノメートル(nm)で表したものをいう。
ここにおいて、Ra:算術平均粗さ、l(エル):基準長さ、f(x):xの地点での高さ、である。
Ra値は、様々な表面分析で評価する事ができる。例えば、電子顕微鏡の断面観察や、サーフコーダ、原子間力顕微鏡を用いて測定する事ができる。特に本実施形態では、測定の利便性を考慮して光干渉を利用した光学3次元プロファイラー(商品名:Zygo社製、商品名:New Viewシリーズ)を用い、基準長さlを100μm以上として5回測定した平均で評価した。このRa値が粒子1の直径よりも大きい場合は、表面に発生した凹凸が光を散乱し、目的の光の干渉が弱くなり、迷光が大きくなる事が判明した。その結果、反射強度が下がり、得られる色彩の彩度が小さくなり、観察角度に対する色味の変化も減少する。つまり、構造色材料の特徴があまり現れないくすんだ色味になる。
図1におけるマトリクス3は粒子1を結着する材料であることが好ましい。色材として利用するときに、粒子集積体は物理的な強度を有することが好ましい。よって、液体のような材料で簡便に粒子1間の空隙を充填することは好ましくない。結着性の高い有機高分子系の材料やゾル‐ゲル法等で作製する無機材料を使用する事が好ましい。有機高分子としては、ポリスチレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル及びその誘導体、エポキシ樹脂、ポリカーボネイト樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂からなる群などが挙げられる。マトリクス3の屈折率は、粒子1と異なっていれば特にどの様な材料を使用しても構わない。例えば、粒子1の屈折率が1.6程度の場合、好適には屈折率が約1.4程度であり、熱的にも安定なシリコーン樹脂などが用いられる。また、更に屈折率を低くする事が可能なフッ素系の樹脂等も好適に用いる事ができる。ゾル‐ゲル法により作製した無機材料で、具体的な材料としては、屈折率が約1.46である酸化ケイ素粒子などが用いられる。あるいは屈折率を低くする為に、光学的に影響がないメソ孔やマイクロ孔を有する多孔質材料を用いることも可能である。
図1における粒子1とマトリクス3の屈折率の関係はどちらが高くても構わない。例えば、粒子1に中空状の形態の粒子を用い、規則的に配列した粒子1の間を、前記中空状の形態の粒子を構成する殻と同等の屈折率のマトリクス3で充填する事で、マトリクス3の屈折率を粒子1よりも大きくしても構わない。また、粒子1およびマトリクス3の両方あるいはどちらかを着色して、構造中に発生してしまったクラックなどからの光散乱を吸収することも可能である。このとき、添加する着色剤は微量でも十分に効果を発揮する。着色剤の粒子は、分子サイズのもの(数nm)であることが好ましい。ただし、目的の反射させたい波長の光も着色剤に吸収されるので、多量に着色剤を混合すると、暗く低彩度の材料になってしまう。すべての波長の光に対して散乱光低減の効果を発揮させるためには、黒色に近い色の着色剤が好ましい。
本実施形態の構造色材料などのフレーク状材料は、フレークの最大面積を有する面に形成されている粒子の配列が一様であることが好ましい。例えば、図1における粒子1が規則的に配列された結果、面心立方格子を組むコロイド結晶を形成し、ミラー指数で(111)面に帰属できる格子面を含んで前記フレークの面が構成されていることが好ましい。あるいは、前記コロイド結晶の(100)面に帰属できる格子面を含んで前記フレークの面が構成されていることが好ましい。図1における粒子1がアモルファスやランダムに集積している状態で、フレーク面を形成している構造色材料は好ましくない。前記の「一様である」は、前記格子面ないし結晶面が単独で少なくとも75%以上、好適には95%以上である、ということを意味する。フレークの面の評価は、電子顕微鏡などの表面分析で可能である。詳細な評価が必要な場合は、得られた電子顕微鏡の画像をフーリエ変換し、変換したフーリエ像(回折図形)に現れるスポットを確認する事で結晶構造を確認できる。
また、本実施形態の構造色材料などのフレーク状材料は、フレークの最大面積を有する面の裏面に位置する面に形成している粒子配列も一様であることが好ましい。例えば、図1における粒子1が規則的に配列した結果、面心立方格子を組むコロイド結晶を形成し、ミラー指数で(111)面に帰属できる格子面を含んで前記フレークの面が構成されていることが好ましい。あるいは、前記コロイド結晶の(100)面に帰属できる格子面を含んで前記フレークの面が構成されていることが好ましい。図1における粒子1がアモルファスやランダムに集積している状態でフレーク面を形成している構造色材料は不適当である。上記と同様、ここでの「一様である」も、前記格子面ないし結晶面が単独で少なくとも75%以上、好適には95%以上である、ということを意味する。
さらに、本実施形態の構造色材料などのフレーク状材料は、フレークの最大面積を有する面および裏面に位置する面の両面が同じ粒子配列で形成されている規則構造であることが好ましい。図1における粒子1がアモルファスやランダムに集積している状態でフレーク面を形成している構造色材料は不適当である。上記と同様、ここでの「一様である」も、前記格子面ないし結晶面が単独で少なくとも75%以上、好適には95%以上である、ということを意味する。例えば、フレークの最大面積を有する面が、前記コロイド結晶の(111)面に帰属できる格子面で構成され、一方でその裏面が、前記コロイド結晶の(100)面に帰属できる格子面で構成されているような場合は不適当である。言い換えると、本実施形態の構造色材料などのフレーク状材料の好ましい形態は次の様なものである。すなわち、フレークのいわゆる厚さ方向(図2中の最小となる長さL)に対してコロイド結晶が連続的であり、フレークの最大面積を有する面および裏面に位置する面の両面で同じ格子面を表面に露出している形態が好ましい。ただし、入射光を隠蔽するに十分な厚さを有し、フレークの裏面まで光が透過しない場合は、フレークの内部でコロイド結晶が非連続的であっても、上記の要件を満たす構造体となる。上記の各要件は、本実施形態を構造色材料として利用する場合に、特に望ましいものであるが、他の用途(例えば、遮熱材料、赤外反射材料など)として用いる場合には、上記各要件から多少外れても許容されることがある。
以上の説明に基づき、特に、本実施形態を構造色材料として用いる場合の好ましい構成例をまとめると、次のようになる。
光の干渉により発色する構造色材料において、粒子が規則的に配列して形成されたフレーク状の粒子集合体である。そして、前記フレークの最大面積を示す面およびその裏面に位置する両面は、前記粒子の配列で形成されたコロイド結晶の同じミラー指数で表される1種類の格子面で75%以上被覆されている同等な状態である。さらに、前記フレークの最大面積を示す面およびその裏面に位置する両面におけるラフネス(Ra値)が前記粒子の平均直径以下であり、前記フレークの空隙に前記粒子の屈折率とは異なる媒体が配置されている。
次に、本実施形態の構造色材料などのフレーク状材料の製造方法について以下に記す。ただし、これも発明の範囲を限定するものではない。
本実施形態のフレーク状材料の製造方法は、電荷コロイド状態にある粒子分散液を特定の一対の基板に挟み込み、溶媒を揮発乾燥する工程を含む。また、前記乾燥工程で得られた固形物をマトリクスで包埋する工程、および、前記包埋工程で得られた生成物を一対の基板から剥離・粉砕する工程を含む。図3に、マトリクスで包埋するまでの工程を模式的に示す。
図3中の電荷コロイド液8は、図1中における粒子1が溶媒に分散している液を示す。このとき、粒子1間では、強い電気反発力が発生していて、電荷コロイド液中では粒子1は単分散な状態である。「単分散」とは、粒度分布が単一のピークで表され、異なるサイズの粒子集団が系内に実質的に複数存在しない状態のことを指す。更に、電気反発力と前記粒子1の濃度の調整により、液中で粒子1同士の距離が規則的に配列し、あたかも結晶状態に見えるような配列をしている状態である。前記結晶状態は電荷コロイド液8が鮮やかに着色しているか否かで容易に判別がつく。「鮮やか」とは、反射率測定を行うと、特定の波長の反射ピークの反射率が70%以上あるような状態で、かつ、前記反射ピークの半値幅が100nm以下である状態を指す。前記電荷コロイド液8を得る為には粒子1のゼータ電位を絶対値で50mV以上に調整し、電荷コロイド液8中の粒子1の体積比を20%以上にすることが好ましい。ゼータ電位を調整する方法としては、粒子1の表面を化学的に処理する方法や、ポリマーや分散剤を用いる方法が挙げられる。前者の方法は、表面にスルホン酸やアミンなどのイオン性の官能基を修飾することでゼータ電位を制御できる。ポリマー粒子の場合は、粒子合成時に前述の官能基を有するモノマーを混合する事で作製できる。また、シリカ粒子などの場合は、前述の官能基を有するシランカップリング剤などで粒子合成後に表面を修飾する方法で、目的の材料が作製できる。後者の方法は、高分子電解質や界面活性剤を適量混合する事で目的の材料が作製できる。
図3中の基板9は、親水性でかつ平滑性が高い親水基板である。特に水滴の接触角測定で40°以下である事が望ましい。また、基板9は無孔であり、基板の表面から内部に液体が浸み込み、毛管現象などで液体が気化するような事は好ましくない。これらの条件がそろわない基板を用いると、図3に示すようにはならないことがある。すなわち、電荷コロイド液8をキャスト、乾固したときに、粒子1が基板上で規則的に配向しないことがある。また生成物のフレーク状材料の表面のラフネス(平均粗さ)が大きくなる。その結果、例えば、高い彩度で観察角度に対する色味の変化が大きい材料を得る事ができなくなる。
図3中のカバー10は、ギャップ11を介して基板9と向かい合う形で、キャストした電荷コロイド液8の上に被せて用いる基板である。このとき、液毛管力によって電荷コロイド液8を基板9とカバー10間に保持して、隙間が生じないように被せる。カバー10は、基板9と同様の材質の基板であることが好ましく、どの様な材料を用いても構わない。ギャップ11は、目的のフレーク状材料の厚さに応じて調整すればよく、5μm〜200μm程度が好適である。ギャップ11の材質は均一な厚さであれば特に限定されない。簡易的にはテープ類を基板9に貼りつける事でギャップ11を作ることもできる。基板9とカバー10によって挟まれた電荷コロイド液8の液滴は、液毛管力によって塗り広がり、基板9ないしカバー10の端面まで達する事が好ましい。電荷コロイド液8の液滴の液溜まりが端面まで達すると、その溶媒の揮発速度が著しく上昇する。例えば5cm程度の基板サイズだと、1時間から2時間程度で溶媒の揮発が完了する。こうして、電荷コロイド中の固形分を乾固させることができる。この速度は、電荷コロイド液8の液滴が基板9の端面まで達していない状態で検討した試料と比較して10倍以上速い。
一方、特定の条件下では、基板9およびカバー10に撥水性の材料を用いて作製する事も可能である。この場合は、生成物のフレーク状材料の表面のラフネスを目的の条件にする為に、極めてゆっくりと電荷コロイド液8の溶媒を揮発させることが好ましい。その為、基板9とカバー10に挟まれた電荷コロイド液8の液滴が、撥水性基板9ないしカバー10の端面まで塗り広げない事が好ましい。5cm程度の基板で、電荷コロイド液8の液滴を完全に揮発させる為には2日から3日を要する。この方法は時間が掛かり効率は悪いものの、形成したフレークを基板9から離型するときに役に立つ。このとき、基板9およびカバー10の水に対する接触角は高いほうが好ましく、約100°以上あると揮発速度が遅くなり、好ましい。
図3中の基板9とカバー10によって挟み込まれた電荷コロイド液8は、基板9およびカバー10同士(基板同士)が非接触な部分(端部)から徐々に溶媒が揮発する。前記非接触な部分より、溶媒を揮発させる事で、端面から粒子1が規則的に配列した固形物12を得る事ができる。粒子が配列するメカニズムは基本的にDLVO理論で説明する事はできるが、鋭意検討の結果、より欠陥が少なく高配向な形態を形成する為には、面に挟まれた空間内で徐々に液面がシュリンクする事で初めて可能となった。また、このとき、電荷コロイド液8中で粒子1が高発色なコロイド結晶状態を形成していないと、液面がシュリンクしたときに粒子1が目的の配列をなさないことがある。また、コロイド結晶状態を形成する程度に濃度に達していないと、固形物12の膜厚制御が難しくなり、結果として生成物の表面のラフネス(平均粗さ)が粗くなり、目的とする生成物を得る事が難しくなることがある。カバー10を用いない場合は、気‐液界面の大きな面で電荷コロイド液8の濃縮が起こり、粒子1の凝集や配列が様々な点で起きる。その結果、生成物の表面のコロイド結晶の面が揃わず、結晶の境界も大きく乱れる事があり、目的の構造体を得る事が難しい。バーコートなどで液面をならして、カバー10を用いずに電荷コロイド液8を乾固しても、生成物の表面のラフネスや粒子1の配向を、目的とする精度で作製する事は難しい。
図3中の固形物12は、マトリクス原液13を用いて包埋した後、マトリクス原液13を固化して生成物を得る。このとき、前記生成物の空隙は固化したマトリクスで充填されていることが好ましい。空隙が残存すると、光散乱の原因となり、生成物が白化する可能性がある。マトリクス原液13を固化する方法は、粒子1の配列を乱す事がなければどの様な方法を用いても構わない。例えば、マトリクス原液13として、熱や紫外線で硬化する樹脂やモノマーを用い、熱や紫外線などの刺激で固化する方法を用いても構わない。あるいは、ゾル‐ゲル法でシリカ原(Siを含むもの)等を固化しても構わない。図3に示したように基板9とカバー10の隙間にマトリクスを注入する方法で生成物を得る方法以外にも、表面の平滑性が得られる方法ならば使用する事ができる。例えば、カバー10を外した後に、スピンコートなどでマトリクス原液13を固形物12に塗布および固化を行い、生成物を得る。得た前記生成物の表面に過剰に形成したマトリクス3をはがして、粒子1が露出する表面を前記生成物に形成する事も可能である。
次に、図3に示すような方法を用いて基板9上に作製した生成物を基板9から引き剥がし、粉砕する事で、構造色材料などのフレーク状材料を得る事ができる。基板9から引き剥がす方法はどの様な方法を用いても構わない。例えばスクレーパー等を用いて引き剥がす事ができる。前記生成物を粉砕する方法は、粒子1の配列や表面の平滑性を崩す事がなければどの様な方法を用いても構わない。もともとフレーク状材料は形態に異方性があるので、力を加えたときに図2における最小となる長さL、すなわちフレーク状材料の厚さ方向にクラックが入りやすく、容易に粉砕ができる。マトリクス3に用いた材料によっては、フレーク状材料に粘りが発生する事もあるので、そのような場合は凍結粉砕などを行っても構わない。
本実施形態の構造色フレーク材料は、各種の色材に用いることができる。粉末の試料を、固形成分を含むメディウム等と混合し塗料組成物とする事で、様々な部位に塗工可能な構造色材料を作製する事ができる。メディウムとは、塗料の材料のうち、着色に用いる構造色材料の均質な分散や接着を助ける媒体で、展色剤(vehicle)等のことをいう。メディウムは構造色材料の性質や用途に応じて成分を選択することが好ましいが、一般的には、接着剤として働く固形成分、溶媒、増粘剤、及び界面活性剤等がメディウムの材料の1つとして用いられる。また、本実施形態の構造色材料などのフレーク状材料は、既存の任意の塗料の材料に加えて加飾塗料として利用する事ができる。或いは、作製した構造色材料を帯電させて目的の基板に貼りつけた後に、上塗り塗装などを行い固定化する事も可能である。更に、前記構造色材料が帯電して貼りついている基板から構造色材料を別の基板に移し取り、貼りつけて色表示する事も可能である。
本実施形態の構造色フレーク材料は、色素を殆ど用いていないため、各種の色材として用いた場合、耐候性に優れていると考えられる。また、可視光のみならず、粒子サイズを大きくすれば、赤外領域でも高い反射率と反射角に対する波長変化の特性を有するフレーク状材料を提供する事が可能となり、遮熱材料や赤外反射材料などとして利用する事ができる。
以上説明した様に、本実施形態によれば、フレーク状材料の両面を同等な状態にしたことで、フレーク状材料の両面のどちらの面でも同等の構造色を発揮することができる。そのため、本実施形態のフレーク状材料を塗料などとして使用したときも特性のむらの発生が低減される。特に、粒子を集積して作製し、両面を、粒子の平均直径以下のラフネス(Ra値)の同等な状態にしたフレーク状構造体を用いると、構造体の面の表裏に関わらず、観察角度に対する色味の変化が大きく、彩度も優れている構造色色材を提供することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。比較例についても説明する。かかる実施例に限定されるものではない。
(1)粒子1の作製
乳化重合法にてポリスチレン粒子(以下PS粒子と略す)を作製した。丸底四ツ口のセパラブルフラスコに純水、スチレンモノマー、パラスチレンスルホン酸ナトリウムを加え、メカニカルスターラーを用いて窒素バブリングをしながら30分撹拌した。オイルバスにて試料を撹拌した状態のまま70度まで加熱した後、触媒の過硫酸カリウムを加え窒素雰囲気にて8時間スチレンの重合反応を行った。試料を冷却した後、遠心分離にて沈殿物を回収し、純水を用いて生成物の洗浄を行った。得られた試料は純粋に分散しPS粒子懸濁液を得た。PS粒子は電子顕微鏡で粒子径と粒度分布を測定した結果、直径244nm、粒度分布の変動係数が3%であった。
(2)基板およびカバーの準備
基板およびカバーの接触角を調整して準備を行った。基板には板ガラス、ペット(PET)フィルム、スリガラス、多孔質アルミナ、を用いた。板ガラスは2種類(第1のガラス板と第2のガラス板)用意した。エキシマランプ(浜松ホトニクス社製)を5mmの距離から120秒間照射、そのまま使用した。また、前記エキシマランプで照射後、ヘキサデシルジシラザンとエタノールの混合溶液(体積比で1:1)に二日間(ほぼ48時間)浸漬、洗浄を行ったものを用意した。前記処理を行ったガラスの水滴に対する接触角はそれぞれ4.5°(エキシマランプ処理)、9.7°(そのまま使用)、36.2°(そのまま使用)、65.0°(エキシマランプ処理後、ヘキサデシルジシラザンで表面修飾)となった。PETフィルムの水滴に対する接触角は、102°であった。スリガラス、多孔質アルミナ基板は計測ができなかった。特に多孔質アルミナは水滴が基板上に浸み込んだ。接触角測定には、協和界面科学株式会社製、Drop Masterを用いた。基板側に用いたガラス及びPETフィルムは両端にカプトンテープを貼り、ギャップを作製した。ギャップの厚みはおよそ70μmであった。
(3)フレーク状構造色材料の作製
作製した直径244nmのPS粒子懸濁液を濃縮し、40wt%の水分散液とした。得た水分散液を超音波洗浄器(株式会社カイジョー製:フェニックス)にて、600W、38kHzの超音波を5分間照射した。超音波照射後のPS粒子懸濁液は鮮やかな色を呈していた。得られたPS粒子懸濁液を基板にキャストし、気泡が混入していない事を確認してからカバーを静かにキャストした液に被せて、一定時間静置して懸濁液を揮発させた。更に一晩静置した後、黒色インクのブタノール溶液を固形物に含浸させて再び乾燥させた。乾燥後カバーを外してシリコーンエラストマー(信越化学製:KE−106)を基板に2000rpmの条件でスピンコートして塗工した。塗工後、生成物を60℃のオーブンで3時間乾燥させてシリコーンの固化を行った。固化した試料の表面に有る過剰なシリコーンは、ゴムでこすりつける事で剥離を行った。最後に固化した試料を、スクレーパーを用いて基板から剥離をして、フレーク状構造色材料を得た。
(4)フレーク状構造色材料の形態観察
光学顕微鏡(ZEISS社製)を用い、倍率500倍にて観察した。あるいは電子顕微鏡:S−5500(日立ハイテク社製)を用いて観察した。得られた画像より直径を計測し、平均直径を求めた。また、電子顕微鏡にて得た粒子集積体の表面形状を観察した。フレーク状構造色材料の表面形状は、光干渉を利用した光学3次元プロファイラー(商品名:Zygo社製、商品名:New Viewシリーズ)を用い、基準長を100μm以上として5回測定したRa値の平均で評価した。作製したフレーク状生成物の両面の形状とRa値を確認した。
(5)光学測定
観察角度に対する色味の変化を定量的に評価するために、液晶視野角測定装置:Ezite Micro(Eldim社製)を使用した。この装置はフーリエレンズという独自の光学系を用いて、あらゆる角度に対する光学評価ができる装置である。特に、入射光を広角にして計測する事が可能である為、様々な光源が存在する生活空間下で観察する色味に近い計測ができる。入射光を観察試料の面に対して垂直な線を0度とした場合、±30度まで広げて測定した。また、検出範囲も±30度まで測定した。計測結果は人の目の感度を加味した色彩評価:L**h表色系で定量化した。L**h表色系は日本工業規格(JIS Z 8781−4)にあたる、CIE 1976L***色空間をベースに作られた表示系である。L**h表示系のL*は明度、C*は彩度、hは色相角を表わしている。このうち、彩度のC*はL***色空間のa*およびb*をそれぞれ二乗して足した値の平方根である。色相角のhは、b*をa*で割った値のアークタンジェントで表わす。この表示系のメリットは色の鮮やかさを示す彩度C*が直接求められる事と、異なる二点間における色味の差、つまり色差:ΔEを色空間におけるベクトルの大きさで示す事ができる点である。つまり、ΔEを求める為には異なる二点間のL*、a*、b*、の差を二乗した値を足し合わせ、平方根を求めればよい。ここでは、検出角が0度のときの色度を基準に±30度まで測定したときの各角度における色差を求めた。この光学測定を、作製したフレーク状生成物の両面で行った。
(実施例1)
基板およびカバーにエキシマ処理を行ったガラス板(親水性、水滴の接触角が4.5°)を用いてフレーク状構造色材料を作製した。懸濁液の揮発に要した時間は約1時間であった。
(実施例2)
基板およびカバーに、未処理の第1のガラス板(親水性、水滴の接触角が9.7°)を用いてフレーク状構造色材料を作製した。懸濁液の揮発に要した時間は約1時間であった。
(実施例3)
基板およびカバーに、未処理の第2のガラス板(親水性、水滴の接触角が36.2°)を用いてフレーク状構造色材料を作製した。懸濁液の揮発に要した時間は約2時間であった。
(実施例4)
基板およびカバーに、エキシマランプ処理後、トリメトキシ(1H、1H、2H、2H‐ノナフルオロヘキシル)シランで表面修飾したガラス板(撥水性、水滴の接触角が約100°)を用いてフレーク状構造色材料を作製した。このとき基板とカバーで挟まれた液滴は、外周に非接触の状態であり、懸濁液の揮発を2日間かけて行った。
(実施例5)
基板およびカバーに、エキシマランプ処理後、ヘキサデシルジシラザンで表面修飾したガラス板(撥水性、水滴の接触角が65.0°)を用いて、実施例1と同様の方法でフレーク状材料を作製した。懸濁液の揮発に要した時間は約3時間であった。
(実施例6)
基板およびカバーにPETフィルム(撥水性、水滴の接触角が102°)を用いてフレーク状材料を作製した。このとき基板とカバーで挟まれた液滴は外周に接した状態であった。懸濁液の揮発に要した時間は約3時間であった。
(比較例1)
基板にエキシマ処理を行ったガラス板(親水性、水滴の接触角が4.5°)を用いて、カバーを用いずにフレーク状材料を作製した。懸濁液の揮発に要した時間は約10分であった。
(比較例2)
基板およびカバーにスリガラスを用いてフレーク状材料を作製した。懸濁液の揮発に要した時間は約1時間であった。
(比較例3)
基板に多孔質ガラス、カバーにエキシマ処理を行ったガラス板(親水性、水滴の接触角が4.5°)を用いてフレーク状材料を作製した。懸濁液の揮発に要した時間は約5分であった。
(性能評価)
実施例および比較例の粒子集積体の構造と光学特性を下記の表1に示す。
作製した材料を光学顕微鏡およびSEMで観察したところ、すべての試料でフレーク状生成物の膜厚は約50μmであった。また前記フレーク状生成物の面方向の長さは100μmを超えていた。実施例1、2、3、4、5のフレーク状生成物の表面の粒子配列は、面心立方格子の(111)面であった。比較例1および比較例3で、水滴の接触角が4.5°である親水ガラスを、基板あるいはカバーに用いた場合、フレーク状生成物の表面の粒子配列も、面心立方格子の(111)面であった。前記観察されたフレーク状生成物の面における面心立方格子(111)面の占める割合は、95%以上を超えていた。比較例1のフレーク状生成物のカバー面、すなわち、カバーを掛けずに液滴を揮発・乾燥させた面をSEMで観察したところ、面の粒子配列は(100)面であり、(111)面も観察され、両結晶面が混在する形状であった。前記(111)面は全体の面積における30〜40%程度確認できた。実施例6のフレーク状生成物の面の粒子配列は主に(111)面であったが、全体の面積における10%程度を(100)面で占めていた。比較例2および比較例3のフレーク状生成物の面の粒子配列は乱雑で有り、規則性を確認する事はできなかった。
光学3次元プロファイラーを用いて測定した、作製した試料の基板面におけるRa値は、実施例1、2、3、5、6では基板の水滴の接触角の大きさに応じて大きくなった。Ra値は、実施例1、2、3では粒子1の直径である244nm以下となり、実施例5、6では粒子1の直径より大きくなった。前記実施例の裏面であるカバー面のRa値も同様の結果となった。また、表1に記してある比較例1のRa値のみはカバー面、すなわち、カバーを掛けずに空気との界面で形成したフレーク状生成物の面のRa値を記している。比較例1、2、3のフレーク状生成物のRa値はそれぞれ328nm、813nmおよび639nmとなり、粒子1の直径244nmよりも大きくなった。これは水接触角の大きさのみならず、基板のラフネスや、基板が多孔質である事が原因であると考えられる。
測定角度0度での彩度を求めたところ、実施例1、2、3、4、5では基板面、カバー面問わず、フレーク状生成物の両面で彩度が60近くあった。彩度はおおよそ40以上あれば一般に鮮やかと評価される色であり、実施例1、2、3、4の試料は、60以上あることがから十分に鮮やかな試料である事が示された。従って、これらは構造色材料として好ましい実施例と言える。一方、実施例6および比較例1、2、3では、フレーク状生成物の彩度が両面とも40を超える試料はなかった。これは生成物の表面のラフネスが大きくなり、或いは結晶面が不揃いな事が原因で多重散乱が起こり、彩度が低下したと考えられる。しかし、実施例6は、フレーク状材料の両面を同等の状態にしたことにより遮熱等に用いる塗料などとして使用したときに特性のむらの発生が抑制されるので、こうした用途には用いることができる。
測定角度が0°に対する測定角度が30°の色差を求めたところ、実施例1、2、3、4ではフレーク状生成物の両面で25を超える結果となった。色差が25を超えるという事は、JIS規格で規定されている色差の、D級許容差(色差13−25)の更に範囲外である事を示している。よって、実施例1、2、3の試料は、見る角度で色味の変化が大きく演色性に優れた材料である事が示された。
一方、実施例5および比較例2、3では前記色差が25を超えることなく、演色性に乏しい試料であると言える。更に、実施例6および比較例1では前記色差は25を超えているが、彩度がそれぞれ17や5と低いフレーク状生成物の面が存在している為、色味として白っぽくなり、数値上の色差だけが大きくても色変化が見えにくい試料であった。つまり、フレーク状生成物の両面とも、高い彩度と観察角度に対する色味の変化が大きい特性を兼ね揃えた、演色性が高い試料は実施例1〜4に示した試料である事を確認した。しかし、実施例5、6は、前述した様に、フレーク状材料の両面を同等な状態にしたことにより遮熱等に用いる塗料などとして使用したときに特性のむらの発生が抑制されることがあるので、こうした用途には用いられ得る。
以上のことから、本発明によるフレーク状材料に含まれる構造色材料は、両面とも測定する角度によって観察される色味の変化が大きく、かつ鮮やかな色を発することがわかった。その結果、色材として塗料組成物などに混合して利用した場合などに、フレーク状構造色の面の表裏に関係なく、高い彩度と観察角度に対する色味の変化が大きい装飾を施す事が可能となった。
本発明のフレーク状材料を用いると、観察角度に対する色味の変化が大きく、彩度も優れている構造色色材などを提供することができる。具体的には、プリンタのインクやトナー用の色材、ペンキなどの塗料や静電塗装用の色材、プラスチックやガラス材料と混練して着色する顔料などに利用できる。同じ材料構成で様々な色味を作製できるので、コスト面や着色プロセスを統一できる事が産業上の大きなメリットになる。また、カラーフィルタなどの光学部材としても利用できる。
1 粒子
2 フレーク形態(フレーク状の粒子集合体)
3 マトリクス(媒体)

Claims (21)

  1. 粒子が規則的に配列して形成された部分を含むフレーク状の粒子集合体の材料であり、
    前記フレーク状の粒子集合体の最大面積を示す面および前記最大面積を示す面の裏面のそれぞれは、前記粒子の配列で形成されたコロイド結晶の格子面であって、同じミラー指数で表される格子面を含み、
    前記フレーク状の粒子集合体の空隙に前記粒子の屈折率とは異なる媒体が配置されていることを特徴とする材料。
  2. 光の干渉により発色する構造色材料であることを特徴とする請求項1に記載の材料。
  3. 前記最大面積を示す面および前記裏面のそれぞれは、前記格子面で75%以上被覆されている状態であることを特徴とする請求項1または2に記載の材料。
  4. 前記最大面積を示す面および前記裏面のそれぞれは、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さl(エル)だけを抜き取り、この抜取り部分の平均線の方向にX軸を取り、縦倍率の方向にZ軸を取り、前記粗さ曲線を、xの地点での高さを示すz=f(x)で表すときに、下記式で示す算術平均粗さ(Ra値)が前記粒子の平均直径以下であることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の材料。
  5. 前記粒子の直径は、数nm以上1000nm以下であることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の材料。
  6. 前記粒子の直径は、150nm以上300nm以下であり、変動係数が10%以下であることを特徴とする請求項5に記載の材料。
  7. 前記粒子の屈折率は、1.4以上2.0以下であることを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載の材料。
  8. 前記粒子は、有機高分子、又は無機高分子、又は無機材料の粒子であることを特徴とする請求項1から7の何れか一項に記載の材料。
  9. 前記フレーク状の粒子集合体のアスペクト比は、2以上であることを特徴とする請求項1から8の何れか一項に記載の材料。
  10. 前記フレーク状の粒子集合体の最大となる長さは、1mm以下であることを特徴とする請求項1から9の何れか一項に記載の材料。
  11. 前記媒体は、前記粒子を結着する材料であることを特徴とする請求項1から10の何れか一項に記載の材料。
  12. 前記媒体は、有機高分子、または無機材料であることを特徴とする請求項1から11の何れか一項に記載の材料。
  13. 前記粒子および前記媒体の少なくとも一方は、着色剤で着色されていることを特徴とする請求項1から12の何れか一項に記載の材料。
  14. 請求項1から13の何れか一項に記載の材料と、
    固形成分を含むメディウムと、を含むことを特徴とする塗料組成物。
  15. 粒子が電荷コロイドの状態を形成している液体を、ギャップを有する一対の親水性の一対の基板に挟み込む工程と、
    前記一対の基板に挟み込んで形成した前記液体の液溜まりを、前記一対の基板同士が非接触な部分から揮発させて前記電荷コロイド中の固形分を乾固させる工程と、
    を有することを特徴とするフレーク状材料の製造方法。
  16. 前記一対の基板に挟み込んで形成した前記液体の液溜まりを、前記一対の基板のそれぞれの端面まで広げる工程を有することを特徴とする請求項15に記載のフレーク状材料の製造方法。
  17. 粒子が電荷コロイドの状態を形成している液体を、ギャップを有する撥水性の一対の基板に挟み込む工程と、
    前記一対の基板に挟み込んで形成した前記液体の液溜まりを、前記一対の基板の端面に接触させずに、前記一対の基板同士が非接触な部分から揮発させて前記電荷コロイド中の固形分を乾固させる工程と、
    を有することを特徴とするフレーク状材料の製造方法。
  18. 前記固形分の空隙にマトリクスを入れて固化する工程を有することを特徴とする請求項15から17のいずれか一項に記載のフレーク状材料の製造方法。
  19. 前記固化する工程で固化されたものを前記一対の基板から剥離して粉砕する工程を有することを特徴とする請求項18に記載のフレーク状材料の製造方法。
  20. 前記一対の基板のそれぞれは、平滑であり無孔であることを特徴とする請求項15から19の何れか一項に記載のフレーク状材料の製造方法。
  21. 前記一対の基板同士は、同様の材質を含むことを特徴とする請求項15から20の何れか一項に記載のフレーク状材料の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP7524801B2 (ja) 2021-03-09 2024-07-30 株式会社豊田中央研究所 太陽電池パネル、及び、太陽電池パネルの製造方法

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