JP2018153127A - ベーカリー製品用組成物、ベーカリー製品用生地、及びベーカリー製品の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明のベーカリー製品用組成物の第一の形態は、損傷澱粉量が15質量%以上の米粉、並びにヒドロキシプロピル化澱粉及び/又はアセチル化澱粉を含み、損傷澱粉量が15質量%以上の米粉の前記ヒドロキシプロピル化澱粉及び/又はアセチル化澱粉に対する比が、10:1〜1:18である。また、本発明のベーカリー製品用組成物の第二の形態は、小麦粉、損傷澱粉量が15質量%以上の米粉、並びにヒドロキシプロピル化澱粉及び/又はアセチル化澱粉を含むベーカリー製品用組成物であって、前記損傷澱粉量が15質量%以上の米粉の含有量が、前記小麦粉100質量部に対して1〜15質量部であり、前記ヒドロキシプロピル化澱粉及び/又はアセチル化澱粉の含有量が、前記小麦粉100質量部に対して1〜30質量部であることを特徴とする。後述する通り、本発明のベーカリー製品用組成物の第一の形態は、ベースミックスとも称される形態であり、所定量の小麦粉と混合することで、前記損傷澱粉量が15質量%以上の米粉、並びに前記ヒドロキシプロピル化澱粉及び/又はアセチル化澱粉の小麦粉に対する含有量を、本発明のベーカリー製品用組成物の第二の形態と同様に調製できる組成物である。ベーカリー製品を製造するためのベーカリー製品用組成物に、損傷澱粉量が15質量%以上の米粉、並びにヒドロキシプロピル化澱粉及び/又はアセチル化澱粉を、小麦粉に対して上記のバランスで配合することにより、通常の米粉(損傷澱粉量が15質量%未満の米粉)やα化澱粉を配合することでは製造し難かった、ベーカリー製品としての十分なボリュームと、和菓子のような粘りのあるもちもち感との両方を有するベーカリー製品を作業性良く製造することができる。この機作としては明確ではないが、以下のように考えられる。すなわち、損傷澱粉量が15質量%以上の米粉はα化澱粉と同等以上に高い吸水能を有し、生地に強い粘りを付与することができる上、α化澱粉と比較して生地のべたつきが生じ難い性質を有するため、作業性を損なうことなく、ベーカリー製品として十分なボリュームが得られる。そして、併用するヒドロキシプロピル化澱粉及び/又はアセチル化澱粉は、損傷澱粉量が15質量%以上の米粉が保持した水分をα化する時に使用することで、粘りのあるもちもち感をベーカリー製品に付与することができるものと考えられる。後述する実施例に示す通り、上記の範囲で損傷澱粉量が15質量%以上の米粉を配合すると、粘りのあるもちもち感、及びボリュームが向上するが、損傷澱粉量が15質量%以上の米粉の含有量が多過ぎると、作業性が低下し、十分なボリュームが得られなくなる。一方、上記の範囲でヒドロキシプロピル化澱粉及び/又はアセチル化澱粉を配合すると、作業性が向上し、経時的な粘りのあるもちもち感の低下が抑制されるが、ヒドロキシプロピル化澱粉及び/又はアセチル化澱粉の含有量が多過ぎると、粘りのあるもちもち感が低下して硬い食感になり、十分なボリュームが得られなくなる。本発明において、前記損傷澱粉量が15質量%以上の米粉の含有量は、前記小麦粉100質量部に対して2〜10質量部が好ましく、5〜10質量部がさらに好ましい。また、前記ヒドロキシプロピル化澱粉及び/又はアセチル化澱粉の含有量は、前記小麦粉100質量部に対して3〜20質量部が好ましく、3〜15質量部がさらに好ましい。また、前記損傷澱粉量が15質量%以上の米粉の前記ヒドロキシプロピル化澱粉及び/又はアセチル化澱粉に対する比は、10:1〜1:10が好ましく、6:1〜1:7がさらに好ましく、3:1〜1:5が特に好ましい。
本発明のベーカリー製品用生地は、本発明のベーカリー製品用組成物を含む生地である。この場合、本発明のベーカリー製品用生地は、上記の比率で損傷澱粉量が15質量%以上の米粉、並びにヒドロキシプロピル化澱粉及び/又はアセチル化澱粉を含み、さらに必要に応じて前記グルテン及び/又は前記α−アミラーゼを含むベーカリー製品用組成物の第一の形態(ベースミックスとも称される形態)に、所定量の小麦粉;その他の粉末材料;油脂材料;水、全卵等の液状材料を加えて混捏して調製されてもよく、小麦粉に対して、上記の含有量で損傷澱粉量が15質量%以上の米粉、並びにヒドロキシプロピル化澱粉及び/又はアセチル化澱粉を含み、さらに必要に応じて前記グルテン及び/又は前記α−アミラーゼを含むベーカリー製品用組成物の第二の形態(プレミックスとも称される形態)にその他の粉末材料;油脂材料;水、全卵等の液状材料を加えて混捏して調製されてもよい。また、本発明のベーカリー製品用生地は、生地の調製時に、本発明のベーカリー用組成物の配合になるように上記の材料を別々に混合して調製されてもよい。
本発明のベーカリー製品の製造方法は、本発明のベーカリー製品用生地を加熱する工程を含んでいれば、特に制限はなく、通常の製菓・製パン方法を適用して行なうことができる。例えば、上述のように本発明のベーカリー製品用生地を調製し、前記生地を必要に応じて発酵させ、成形し、常法に従って加熱(焼成、油ちょう、蒸し)することでベーカリー製品を製造することができる。加熱条件等は、製造するベーカリー製品に応じて適宜設定することができる。
1.ロールパンの調製
ベーカリー製品としてロールパンを選定し、表1〜5に示した材料を用いて、以下の方法で各実施例、比較例のロールパンを調製した。なお、米粉の損傷澱粉量は、分析キット(Starch Damage Assay Kit(MegaZyme社製))を用いて測定した。
(1)ボールにマーガリン以外の材料を加え、ミキサーの低速で3分間、中速で3〜5分間混捏した。
(2)(1)にマーガリンを加え、さらにミキサーの低速2分間、中速4分間混捏して生地を調製した(捏ね上げ温度;26℃)。
(3)(2)で調製した生地を27℃、相対湿度75%で20分間フロアタイムをとった。
(4)(3)の生地を一玉60gに分割し、丸めを行い、20分間ベンチタイムをとった後、成形した。
(5)(4)の生地を38℃、相対湿度85%で60分間ホイロをとった。
(6)ホイロ後の生地を200℃で10分間焼成した。
以下の評価方法で、各実施例、比較例のロールパンの調製時の作業性、及び得られたロールパンを評価した。結果を表1〜5に示す。
(1)作業性の評価
上記ロールパンの調製において(1)〜(4)における生地のべたつき等の作業性を、以下の基準に従って評価した。各評価結果は、5名のパネラーによる評価点の平均値を示した。
5:非常に良好
4:良好
3:普通
2:悪い
1:非常に悪い
(2)ボリュームの評価
上記の方法で得られた各ロールパンの焼成1日後の外観観察によるボリューム感を、以下の基準に従って評価した。各評価結果は、10名のパネラーによる評価点の平均値を示した。
5:全体に良く膨らみ、非常に好ましいボリュームがある
4:全体に適度に膨らみ、好ましいボリュームがある
3:許容範囲のボリュームがある
2:やや膨らみが不十分であり、ボリュームに欠けている
1:膨らみが不十分であり、ボリュームが全く出ていない
(3)もちもち感の評価
上記の方法で得られた各ロールパンの焼成1日後(D+1)、及び焼成3日後(D+3)の食感評価として、もちもち感を以下の基準に従って評価した。各評価結果は、10名のパネラーによる評価点の平均値を示した。
5:粘りの強いもちもち感が付与され、非常に好ましい食感である
4:粘りのあるもちもち感が付与され、好ましい食感である
3:やや粘りのあるもちもち感が付与され、好ましい食感である
2:粘りのあるもちもち感がほとんど付与されていない
1:粘りのあるもちもち感が全く付与されておらず、硬い食感である
まず、表6に示した配合で、ベースミックスの形態のベーカリー製品用組成物を調製した。次に、表7に示した材料(前記ベースミックスを含む)を用いて、上記1.と同様な方法で、実施例24のロールパンを調製し、上記2.と同様な評価方法で、ロールパンの調製時の作業性、及び得られたロールパンを評価した。なお、実施例24の配合では、損傷澱粉量が33質量%の米粉の含有量は、小麦粉100質量部に対して4.4質量部、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋タピオカ澱粉の含有量は、小麦粉100質量部に対して4.4質量部である。表7に示した通り、実施例24において、十分なボリュームを有し、もちもち感が付与された食感を有するベーカリー製品を、作業性良く製造することができた。
Claims (7)
- 損傷澱粉量が15質量%以上の米粉、並びにヒドロキシプロピル化澱粉及び/又はアセチル化澱粉を含み、損傷澱粉量が15質量%以上の米粉の前記ヒドロキシプロピル化澱粉及び/又はアセチル化澱粉に対する比が、10:1〜1:18であるベーカリー製品用組成物。
- 小麦粉、損傷澱粉量が15質量%以上の米粉、並びにヒドロキシプロピル化澱粉及び/又はアセチル化澱粉を含むベーカリー製品用組成物であって、
前記損傷澱粉量が15質量%以上の米粉の含有量が、前記小麦粉100質量部に対して1〜15質量部であり、
前記ヒドロキシプロピル化澱粉及び/又はアセチル化澱粉の含有量が、前記小麦粉100質量部に対して1〜30質量部であることを特徴とするベーカリー製品用組成物。 - 前記ヒドロキシプロピル化澱粉及び/又はアセチル化澱粉が、架橋澱粉である請求項1又は2に記載のベーカリー製品用組成物。
- グルテンを、前記損傷澱粉量が15質量%以上の米粉100質量部に対して10〜70質量部含む請求項1〜3のいずれか1項に記載のベーカリー製品用組成物。
- α−アミラーゼを含む請求項1〜4のいずれか1項に記載のベーカリー製品用組成物。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のベーカリー製品用組成物を含むベーカリー製品用生地。
- 請求項6に記載のベーカリー製品用生地を加熱する工程を含むベーカリー製品の製造方法。
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