JP2018149917A - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ショックや駆動力の低下を招くことなく、走行中のエンジン始動を適切に実施することが可能なハイブリッド車両の制御装置を提供する。【解決手段】差動機構の第1回転要素にエンジンが連結され、第2回転要素に第1モータが連結され、第3回転要素に第2モータが連結され、第4回転要素に出力伝動機構が連結され、前記出力伝動機構に第3モータが連結されたハイブリッド車両の制御装置において、記ハイブリッド車両が前記エンジンの運転を停止して走行している状態で前記エンジンを始動する場合に、前記第1モータおよび前記第2モータがいずれも前記エンジンの回転数を上昇させる方向のトルクを出力するように、前記第1モータおよび前記第2モータをそれぞれ制御する(ステップS102)。【選択図】図3
Description
この発明は、エンジンおよび少なくとも三つのモータを駆動力源とするハイブリッド車両の制御装置に関するものである。
特許文献1には、エンジンおよび三つのモータ・ジェネレータ(発電機能を有するモータ)を駆動力源とするハイブリッド車両が記載されている。この特許文献1に記載されたハイブリッド車両は、二組の遊星歯車機構から構成された動力分割機構を備えている。動力分割機構は、相互に差動回転が可能な四つの回転要素を有している。動力分割機構の第1回転要素にエンジンが連結され、第2回転要素に第1モータが連結され、第3回転要素に第2モータが連結され、第4回転要素に出力伝動機構を介して駆動輪が連結されている。出力伝動機構には第3モータが連結されている。そして、第1モータまたは第2モータを制御することにより、動力分割機構における第1回転要素と第4回転要素との間の変速比を無段階に制御することが可能である。さらに、この特許文献1に記載されたハイブリッド車両は、エンジントルクに対する反力を第1モータまたは第2モータのうちの低出力となる方のモータで受け持たせ、そのエンジントルクの反力を受け持つモータで発電した電力を第3モータに供給するように構成されている。
また、特許文献2には、上記の特許文献1に記載されたハイブリッド車両と同様の、エンジンおよび三つのモータならびに動力分割機構を備えたハイブリッド車両が記載されている。この特許文献2に記載されたハイブリッド車両は、複合スプリットモード、入力スプリットモード、発進モード、あるいは、全輪駆動モード等の各種動作モードで動作するように構成されている。例えば、複合スプリットモードでは、エンジンが稼動している状態で、第1モータおよび第2モータのうちの一方のモータが発電機として機能し、他方のモータが原動機として機能して第1駆動軸を駆動する。入力スプリットモードでは、エンジンが稼動している状態で、第1モータおよび第2モータのうちの一方のモータが発電機として機能し、第3モータが原動機として機能して第2駆動軸を駆動する。発進モードでは、エンジンが稼動している状態で、第1モータおよび第2モータのうちの一方のモータが発電機として機能し、他方のモータが原動機として機能してエンジントルクによる第1駆動軸の回転を阻止するトルクを出力する。それとともに、第3モータが前記の一方のモータが発電した残りの電力を受け取り、第2駆動軸を駆動して車両を発進させる。そして、全輪駆動モードでは、エンジンが稼動している状態で、第1モータおよび第2モータのうちの一方のモータが発電機として機能し、他方のモータおよび第3モータが原動機として機能して、それぞれ、第1駆動軸および第2駆動軸を駆動する。
上記のような動力分割機構を備えた構成の従来のハイブリッド車両では、例えば、エンジンの運転を停止してモータが出力するトルクで走行する状態(モータ走行)から、エンジンが出力するトルクで走行する状態(ハイブリッド走行)へ移行する場合は、通常、エンジンと共に動力分割機構に連結されたモータでエンジンを始動させる。また、モータ走行中にバッテリの充電残量が基準値以下に低下したような場合も、動力分割機構に連結されたモータにより、発電のためにエンジンを始動させる。例えば、上記の特許文献1に記載されたハイブリッド車両であれば、動力分割機構に連結された第1モータでエンジン回転数を上昇させる方向にトルクを出力することにより、エンジンをクランキングして始動させる。その場合、駆動輪に連結する出力伝動機構側で反力トルクを受け持つことになる。そのため、エンジンを始動する際のトルク変動が出力伝動機構および駆動輪に伝達され、ハイブリッド車両でショックとして現れてしまう場合がある。そのような走行中のエンジン始動に伴うトルク変動は、出力軸および駆動輪側に連結するモータ(上記の特許文献1に記載されたハイブリッド車両であれば、第3モータ)で反力トルクを補償するトルク(反力補償トルク)を出力することにより、相殺して抑制することができる。その反面、上記のような反力補償トルクをモータで出力する分、モータ走行における駆動力が低下してしまう。
前述のように、特許文献1には、モータの高出力化および大型化を抑制し、また、動力循環を回避するための制御技術が記載されている。また、特許文献2には、車両の燃費を向上させるために、必要に応じて、各種の動作モードを選択的に設定する制御技術が記載されている。しかしながら、上記のような車両の走行中にエンジンを始動する際のショックや駆動力の低下を抑制するための制御技術等に関しては、特許文献1および特許文献2のいずれにも記載されていない。このように、特許文献1や特許文献2に記載されているような従来のハイブリッド車両においては、ショックや駆動力の低下を伴うことなく、走行中にエンジンを適切に始動するためには、未だ改良の余地があった。
この発明は上記の技術的課題に着目して考え出されたものであり、エンジンおよび少なくとも三つのモータを駆動力源とするハイブリッド車両を対象にして、ショックや駆動力の低下を招くことなく、走行中のエンジン始動を適切に実施することが可能なハイブリッド車両の制御装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、この発明は、エンジンおよび少なくとも三つのモータを有する駆動力源と、互いに差動回転が可能な少なくとも四つの回転要素を有する差動機構と、駆動輪に対して動力を伝達する少なくとも一つの出力伝動機構と、前記駆動力源の作動状態をそれぞれ制御するコントローラとを備え、前記差動機構の第1回転要素に前記エンジンが連結され、前記差動機構の第2回転要素に前記駆動力源の第1モータが連結され、前記差動機構の第3回転要素に前記駆動力源の第2モータが連結され、前記差動機構の第4回転要素に前記出力伝動機構が連結され、前記第4回転要素と連結したいずれかの前記出力伝動機構または前記第4回転要素と連結しない他の前記出力伝動機構に前記駆動力源の第3モータが連結されたハイブリッド車両の制御装置において、前記コントローラは、前記ハイブリッド車両の走行状態を判断し、前記ハイブリッド車両が前記エンジンの運転を停止して走行している状態で前記エンジンを始動する場合に、前記第1モータおよび前記第2モータがいずれも前記エンジンの回転数を上昇させる方向のトルクを出力するように、前記第1モータおよび前記第2モータをそれぞれ制御することを特徴とするものである。
この発明によれば、エンジンの運転を停止した状態で車両が前進走行または後進走行している際に、エンジンを始動する場合には、第1モータおよび第2モータのいずれか一方のモータのモータトルクでエンジンをクランキングし、その際の反力を他方のモータで受けることができる。したがって、エンジンの回転数を上昇させる際の反力トルクが、出力伝動機構および駆動輪に伝達されてしまうことを回避もしくは抑制することができる。そのため、車両にショックを発生させることなく、走行中のエンジンの始動を適切に実施することができる。また、上記のように、エンジンの始動時に、第1モータおよび第2モータの二つのモータで反力を受けつつエンジンをクランキングすることができるので、第3モータによる反力補償トルクの出力を省くことができる。したがって、第3モータで出力可能なモータトルクを反力補償のために費やすことなく、車両の駆動トルクとして出力することができる。そのため、モータ走行時の駆動力不足を回避することができる。
この発明の実施形態を、図を参照して説明する。なお、以下に示す実施形態は、この発明を具体化した場合の一例に過ぎず、この発明を限定するものではない。
この発明の実施形態で制御対象にする車両は、エンジン、および、少なくとも三つのモータを駆動力源とするハイブリッド車両である。また、この発明の実施形態で制御対象にするハイブリッド車両は、互いに差動回転が可能な少なくとも四つの回転要素を有する差動機構、および、前輪および後輪の少なくともいずれか一方の車輪に対して動力を伝達する少なくとも一つの出力伝動機構を備えている。図1に、この発明の実施形態で制御対象にするハイブリッド車両の駆動システム(駆動系統および制御系統)の一例を示してある。
図1に示すハイブリッド車両(以下、車両)Veは、駆動力源として、エンジン(ENG)1、第1モータ(MG1)2、第2モータ(MG2)3、および、第3モータ(MG3)4を備えている。また、車両Veは、動力分割機構として機能する差動機構5、および、駆動輪6に対して動力を伝達する出力伝動機構7を備えている。
エンジン1は、例えば、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関であり、出力の調整、ならびに、始動および停止などの作動状態が電気的に制御されるように構成されている。ガソリンエンジンであれば、スロットルバルブの開度、燃料の供給量、点火の実行および停止、ならびに、点火時期などが電気的に制御される。ディーゼルエンジンであれば、スロットルバルブの開度、燃料の噴射量、および、燃料の噴射時期などが電気的に制御される。
第1モータ2、第2モータ3、および、第3モータ4は、いずれも、発電機能のあるモータ(いわゆる、モータ・ジェネレータ)であり、例えば、永久磁石式の同期モータ、あるいは、誘導モータなどによって構成されている。第1モータ2、第2モータ3、および、第3モータ4は、それぞれ、バッテリやインバータあるいはコンバータを備えた電源制御部(図示せず)に接続されており、回転数やトルクの調整、および、原動機としての機能と発電機としての機能との切り替えなどの作動状態が電気的に制御されるように構成されている。また、第1モータ2および第2モータ3の少なくともいずれかで発生させた電力を第3モータ4に供給し、第3モータ4を駆動することができる。
差動機構5は、第1回転要素5a、第2回転要素5b、第3回転要素5c、および、第4回転要素5dの、互いに差動回転が可能な少なくとも四つの「回転要素」を有している。第1回転要素5aには、エンジン1が連結される。第2回転要素5bには、第1モータ2が連結される。第3回転要素5cには、第2モータ3が連結される。そして、第4回転要素5dには、出力伝動機構7が連結される。
また、差動機構5は、例えば、第1遊星歯車機構(PL1)8および第2遊星歯車機構(PL2)9の二組の遊星歯車機構から構成されている。第1遊星歯車機構8は、第1入力要素8a、第1反力要素8b、および、第1出力要素8cの三つの回転要素を有している。同様に、第2遊星歯車機構9は、第2入力要素9a、第2反力要素9b、および、第2出力要素9cの三つの回転要素を有している。そして、第1反力要素8bと第2反力要素9bとが連結されている。また、第1出力要素8cと第2出力要素9cとが連結されている。
上記の第1入力要素8aにエンジン1の出力軸1aが連結されている。第1反力要素8bおよび第2反力要素9bに第1モータ2の出力軸2aが連結されている。第2入力要素9aに第2モータ3の出力軸3aが連結されている。そして、第1出力要素8cおよび第2出力要素9cに出力伝動機構7が連結されている。出力伝動機構7は、駆動輪6に対して動力伝達が可能なように連結されている。
したがって、エンジン1に連結する第1入力要素8aが、差動機構5における第1回転要素5aを形成している。また、第1モータ2に連結する第1反力要素8bおよび第2反力要素9bが、差動機構5における第2回転要素5bを形成している。また、第2モータ3に連結する第2入力要素9aが、差動機構5における第3回転要素5cを形成している。そして、出力伝動機構7に連結する第1出力要素8cおよび第2出力要素9cが、差動機構5における第4回転要素5dを形成している。
この発明の実施形態で制御対象にする車両Veは、駆動輪6に対して動力を伝達する少なくとも一つの「出力伝動機構」を備えている。例えば、前輪または後輪のいずれか一方を駆動輪6とする車両Veには、前輪または後輪のいずれか一方に対して動力を伝達する一つの「出力伝動機構」が設けられる。また、前輪および後輪の両方を駆動輪6とする車両Veには、前輪および後輪の両方に対して動力を伝達する二つの「出力伝動機構」が設けられる。図1に示す例では、車両Veは、差動機構5の第4回転要素5dと前輪(駆動輪6)との間で動力を伝達する一つの出力伝動機構7を備えている。
上記のように、出力伝動機構7は、前輪および後輪の少なくともいずれかの駆動輪6に対して動力伝達が可能なように連結されている。それとともに、出力伝動機構7には、第3モータ4が連結されている。例えば、駆動輪6および第4回転要素5dに連結した「出力伝動機構」に、第3モータ4が連結される。あるいは、駆動輪6のみに連結し、第4回転要素5dと連結しない「出力伝動機構」に、第3モータ4が連結される。図1に示す例では、前輪(駆動輪6)および第4回転要素5dに連結した出力伝動機構7に、第3モータ4が連結されている。したがって、車両Veは、差動機構5の第4回転要素5dから出力伝動機構7に伝達されるトルクにより、駆動輪6で駆動力を発生することができる。それとともに、第3モータ4が出力するモータトルクを出力伝動機構7に付加することにより、駆動輪6で駆動力を発生することができる。
なお、この図1に示す例では、車両Veには、エンジン1の出力軸1aおよび第1入力要素8aの回転を選択的に止めるブレーキ10が設けられている。このブレーキ10を係合することにより、第1入力要素8aを第1遊星歯車機構8における反力要素として機能させ、第1モータ2が出力するモータトルクを出力伝動機構7に伝達させることができる。そのため、エンジン1を停止した状態で、例えば、第1モータ2または第2モータ3のいずれか一方のモータと第3モータ4との二つのモータが出力するモータトルクにより、あるいは、第1モータ2、第2モータ3、および、第3モータ4の三つのモータが出力するモータトルクにより、高出力でかつ効率良く、車両Veをモータ走行させることができる。
この車両Veにおける駆動力源、すなわち、上記のようなエンジン1、第1モータ2、第2モータ3、および、第3モータ4の作動状態をそれぞれ制御するためのコントローラ(ECU)11が設けられている。コントローラ11は、例えばマイクロコンピュータを主体にして構成される電子制御装置である。
コントローラ11には、一例として、車両Veの車速を検出する車速センサ12、アクセルペダルの踏み込み量および踏み込み速度を検出するアクセルポジションセンサ13、エンジン1の回転数を検出するエンジン回転数センサ14、第1モータ2の回転数を検出するモータ回転数センサ(もしくはレゾルバ)15、第2モータ3の回転数を検出するモータ回転数センサ(もしくはレゾルバ)16、第3モータ4の回転数を検出するモータ回転数センサ(もしくはレゾルバ)17、バッテリの充電状態(SOC)や充電残量等を検出するバッテリセンサ18、および、シフトレバーあるいはシフトスイッチ等によって設定されるシフトポジションを検出するシフトポジションセンサ19など、各種センサの検出データが入力される。コントローラ11は、入力された各種データおよび予め記憶させられているデータや計算式等を使用して演算を行う。そして、コントローラ11は、その演算結果を制御指令信号として出力し、上記のような駆動力源の作動状態をそれぞれ制御するように構成されている。
上記のような車両Veの駆動系統における具体的なギヤトレーンの一例を、図2に示してある。図2に示すギヤトレーンは、第4回転要素5bと連結した出力伝動機構7に第3モータ4が連結された構成であり、トランスアクスルとして、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)車、RR(リヤエンジン・リヤドライブ)車、あるいは、MR(ミッドシップエンジン・リヤドライブ)車への搭載に適した構成の例である。
図2に示すギヤトレーンにおいて、差動機構5は、第1遊星歯車機構8および第2遊星歯車機構9の互いの回転要素同士を連結した複合遊星歯車機構によって構成されている。第1遊星歯車機構8は、シングルピニオン型の遊星歯車機構が用いられており、第1サンギヤS1、第1リングギヤR1、および、第1キャリアC1の三つの回転要素を有している。第1遊星歯車機構8は、エンジン1の出力軸1aと同一の回転軸線上に配置されている。具体的には、第1サンギヤS1が、出力軸1aと同一の回転軸線上に配置されている。第1リングギヤR1は、第1サンギヤS1に対して同心円上に配置されている。第1キャリアC1は、外歯歯車である第1サンギヤS1と内歯歯車である第1リングギヤR1との両方に噛み合っている第1ピニオンP1を保持している。
同様に、第2遊星歯車機構9は、シングルピニオン型の遊星歯車機構が用いられており、第2サンギヤS2、第2リングギヤR2、および、第2キャリアC2の三つの回転要素を有している。第2遊星歯車機構9は、第1遊星歯車機構8と共に、出力軸1aと同一の回転軸線上に配置されている。具体的には、第2サンギヤS2が、出力軸1aと同一の回転軸線上に配置されている。第2リングギヤR2は、第2サンギヤS2に対して同心円上に配置されている。第2キャリアC2は、外歯歯車である第2サンギヤS2と内歯歯車である第2リングギヤR2との両方に噛み合っている第2ピニオンP2を保持している。
第1キャリアC1は、エンジン1の出力軸1aに連結されている。第1サンギヤS1は、第2サンギヤS2と共に、第1モータ2の出力軸2aに連結されている。第2リングギヤR2は、第2モータ3の出力軸3aに連結されている。第1リングギヤR1は、第2キャリアC2と共に、出力伝動機構7に連結されている。この図2に示す例では、出力伝動機構7は、後述するドライブギヤ21、カウンタ軸22、カウンタドリブンギヤ23、ファイナルドライブギヤ24、および、デファレンシャルギヤ25などによって構成されており、駆動軸27を介して、駆動輪6にトルクを伝達する。
上記のように、この図2に示す例では、第1キャリアC1が、前述の第1入力要素8aに相当し、第1サンギヤS1が、前述の第1反力要素8bに相当し、第1リングギヤR1が、前述の第1出力要素8cに相当する。また、第2リングギヤR2が、前述の第2入力要素9aに相当し、第2サンギヤS2が、前述の第2反力要素9bに相当し、第2キャリアC2が、前述の第2出力要素9cに相当する。したがって、第1キャリアC1が、前述の差動機構5における第1回転要素5aを形成している。また、第1サンギヤS1および第2サンギヤS2が、前述の差動機構5における第2回転要素5bを形成している。また、第2リングギヤR2が、前述の差動機構5における第3回転要素5cを形成している。そして、第1リングギヤR1および第2キャリアC2が、前述の差動機構5における第4回転要素5dを形成している。
なお、上記のような第1キャリアC1と出力軸1aとを直接連結する構成に替えて、歯車機構などの伝動機構を介して、第1キャリアC1と出力軸1aとを連結してもよい。また、第1キャリアC1と出力軸1aとの間にダンパ機構やトルクコンバータ(それぞれ図示せず)などの機構を設けてもよい。
第2キャリアC2に、第2キャリアC2と一体となって回転するドライブギヤ21が設けられている。また、エンジン1の出力軸1aと平行に、カウンタ軸22が配置されている。このカウンタ軸22の一方(図2での右側)の端部に、上記のドライブギヤ21と噛み合うカウンタドリブンギヤ23が取り付けられている。カウンタ軸22の他方(図2での左側)の端部には、ファイナルドライブギヤ24が取り付けられている。ファイナルドライブギヤ24は、終減速機であるデファレンシャルギヤ25のファイナルドリブンギヤ(デフリングギヤ)26と噛み合っている。デファレンシャルギヤ25には、駆動軸27を介して、駆動輪6が取り付けられている。
したがって、上記のドライブギヤ21、カウンタ軸22、カウンタドリブンギヤ23、ファイナルドライブギヤ24、および、デファレンシャルギヤ25により、駆動輪6に対して動力を伝達する出力伝動機構7が構成されている。すなわち、出力伝動機構7は、第2キャリアC2から伝達されるトルクを、駆動軸27を介して、駆動輪6へ伝達するように構成されている。
上記のようにして差動機構5から駆動輪6に伝達されるトルクに、第3モータ4が出力するモータトルクを付加できるように構成されている。具体的には、第3モータ4の出力軸4aが、上記のカウンタ軸22と平行に配置されている。その出力軸4aの先端(図2での左端)に、上記のカウンタドリブンギヤ23と噛み合うピニオン28が取り付けられている。したがって、第3モータ4は、上記の第2キャリアC2と共に、出力伝動機構7を介して、駆動輪6に連結されている。
なお、この図2に示す例では、エンジン1の出力軸1aおよび第1キャリアC1の回転を選択的に止めるブレーキ10が設けられている。ブレーキ10は、エンジン1を停止した状態で第1モータ2を原動機として動作させ、その第1モータ2が出力するモータトルクを走行のための駆動トルクとする際に係合し、第1キャリアC1に反力を与えるためのものである。このブレーキ10を設けた構成であれば、第1モータ2に電力を供給して負回転方向(エンジン1と反対の回転方向)に回転させた場合に、ブレーキ10を介してケーシングなどの所定の固定部で反力を受けることになる。そのため、エンジン1を停止した状態で、第1モータ2の出力によって駆動力を発生させ、車両Veを走行させることができる。また、第1モータ2に加えて第2モータ3の出力により、駆動力を発生させることができる。さらに、第1モータ2に加え、第2モータ3および第3モータ4の三つのモータの出力により、駆動力を発生させることができる。
上記のブレーキ10は、例えば、湿式多板クラッチなどの摩擦式のクラッチ、あるいは、ドグクラッチなどの噛み合い式のクラッチによって構成することができる。また、ブレーキ10は、第1キャリアC1の負回転方向の回転を阻止するように構成されていればよい。そのため、ブレーキ10は、例えばワンウェイクラッチによって構成することもできる。
上記のように、この発明の実施形態における車両Veでは、コントローラ11で、第1モータ2、第2モータ3、および、第3モータ4をそれぞれ制御することにより、エンジン回転数を変速することができる。また、複数の走行モードを設定することが可能である。すなわち、クラッチやブレーキなどの係合機構を用いることなく、エンジン回転数の変速や走行モードの切り替えを実行することができる。
例えば、上記の図2に示すギヤトレーンを搭載した車両Veの場合、エンジン1の運転を停止したモータ走行モードで、少なくとも第3モータ4が出力するモータトルクにより、車両Veをモータ走行させることができる。また、第1モータ2および第3モータ4の二つのモータがそれぞれ出力するモータトルクにより、あるいは、第2モータ3および第3モータ4の二つのモータがそれぞれ出力するモータトルクにより、車両Veをモータ走行させることができる。また、第1モータ2、第2モータ3、および、第3モータ4の三つのモータがそれぞれ出力するモータトルクにより、車両Veをモータ走行させることもできる。
一方、エンジン1を稼動させるハイブリッド走行モードでは、エンジン1が出力するエンジントルク、ならびに、第1モータ2および第3モータ4がそれぞれ出力するモータトルクにより、エンジン1に連結する第1回転要素5aの回転数に対して出力伝動機構7に連結する第4回転要素5dの回転数を増速させたいわゆるオーバードライブ状態で、車両Veを走行させることができる。また、エンジントルク、ならびに、第1モータ2および第3モータ4がそれぞれ出力するモータトルクにより、エンジン1に連結する第1回転要素5aの回転数に対して出力伝動機構7に連結する第4回転要素5dの回転数を減速させたいわゆるアンダードライブ状態で、車両Veを走行させることができる。また、エンジントルク、ならびに、第1モータ2および第3モータ4がそれぞれ出力するモータトルクにより、エンジン回転数を適宜変速して、車両Veを走行させることができる。
前述したように、動力分割機構を備えた従来のハイブリッド車両においては、走行中のエンジン始動時に、ショックや、その背反として駆動力不足が生じてしまう場合がある。そこで、この発明の実施形態におけるコントローラ11は、車両Veの走行中にエンジン1を始動する場合には、差動機構5に連結された第1モータ2および第2モータ3の両方で、エンジン1の回転数を上昇させる方向のトルクを出力するように構成されている。そのような走行中にエンジン1を始動する場合のショックや駆動力不足を回避することを目的としてコントローラ11で実行される制御の例を以下に示す。
〔第1制御例〕
図3のフローチャートに、コントローラ11で実行される基本的な制御の一例を示してある。この図3のフローチャートで示す制御は、車両Veが、エンジン1の運転を停止して走行している状態で実行される。例えば、車両Veがモータ走行している状態で実行される。あるいは、駆動力源がいずれも駆動トルクを出力しておらず、車両Veが慣性力や勾配路における重力の作用によって惰性走行している状態で実行される。なお、この場合の走行は、前進走行および後進走行の両方を対象にしている。図3のフローチャートにおいて、先ず、エンジン1の始動要求があるか否かが判断される(ステップS101)。例えば、車両Veに対する駆動力要求が増大し、車両Veの走行モードをモータ走行モードからハイブリッド走行モードへ切り替える場合に、エンジン1の始動が要求される。あるいは、モータ走行中や惰性走行中に、バッテリの充電残量が基準値以下に低下した場合に、エンジン1の始動が要求される。
図3のフローチャートに、コントローラ11で実行される基本的な制御の一例を示してある。この図3のフローチャートで示す制御は、車両Veが、エンジン1の運転を停止して走行している状態で実行される。例えば、車両Veがモータ走行している状態で実行される。あるいは、駆動力源がいずれも駆動トルクを出力しておらず、車両Veが慣性力や勾配路における重力の作用によって惰性走行している状態で実行される。なお、この場合の走行は、前進走行および後進走行の両方を対象にしている。図3のフローチャートにおいて、先ず、エンジン1の始動要求があるか否かが判断される(ステップS101)。例えば、車両Veに対する駆動力要求が増大し、車両Veの走行モードをモータ走行モードからハイブリッド走行モードへ切り替える場合に、エンジン1の始動が要求される。あるいは、モータ走行中や惰性走行中に、バッテリの充電残量が基準値以下に低下した場合に、エンジン1の始動が要求される。
未だエンジン1の始動要求がないことにより、このステップS101で否定的に判断された場合は、以降の制御を実行することなく、このルーチンを一旦終了する。すなわち、現状の走行状態が維持される。それに対して、エンジン1の始動要求があったことによりステップS101で肯定的に判断された場合には、ステップS102へ進む。
ステップS102では、第1モータ2および第2モータ3で、エンジン回転数の増加方向(エンジン1の回転数が正規の回転方向に増加する方向)にトルクを出力させる。すなわち、第1モータ2および第2モータ3の両方で、エンジン1をモータリング(クランキング)して、エンジン1の回転数を上昇させる方向のトルクを出力するように、それら第1モータ2および第2モータ3のモータトルクがそれぞれ制御される。
具体的には、図4の共線図に示すように、第1モータ2および第2モータ3がいずれもトルクを出力するとともに、それらの第1モータ2および第2モータ3が出力するモータトルクの作用方向が、いずれも、エンジン1の回転数を正規の回転方向に上昇させる向きとなるように、第1モータ2の作動状態、および、第2モータ3の作動状態がそれぞれ制御される。エンジン1の正規の回転方向とは、エンジン1が燃焼運転する際に出力軸1aが回転する方向である。なお、図4の共線図において、(a)は車両Veが前進走行している状態を示し、(b)は車両Veが後進走行している状態を示している。
図4の共線図に示す状態では、矢印TMG1で示す第1モータ2のモータトルクの向きと、矢印TMG2で示す第2モータ3のモータトルクの向きとが、いずれも、図4の共線図上で上向きのエンジン回転数を増大させる方向になっている。エンジン1の正規の回転方向を正回転方向、および、エンジン1が燃焼運転時にトルクを出力する際のエンジントルクの向きを正トルク方向とすると、この図4の共線図に示す状態では、第1モータ2のモータトルクは、正回転方向かつ正トルク方向のトルクとなっている。したがって、この場合、第1モータ2は、原動機として機能する力行状態となるように制御されている。一方、第2モータ3のモータトルクは、負回転方向かつ正トルク方向のトルクとなっている。したがって、この場合、第2モータ3は、発電機として機能する回生状態となるように制御されている。なお、この図4の共線図において、矢印TENGは、エンジン1をクランキングする際にエンジン1から受ける抵抗力を示している。
前述したように、この発明の実施形態における車両Veは、差動機構5すなわち動力分割機構に、第1モータ2および第2モータ3の二つのモータがエンジン1と共に連結されている。そのため、上記のようにエンジン1を始動する場合には、第1モータ2および第2モータ3のいずれか一方のモータのモータトルクでエンジン1をクランキングし、その際の反力を他方のモータで受けることができる。上記の図4に示す例では、第1モータ2のモータトルクでエンジン1をクランキングし、その際の反力を第2モータ3で受けることができる。したがって、エンジン1の回転数を上昇させる際の反力トルクが、出力伝動機構7および駆動輪6に伝達されてしまうことを回避もしくは抑制することができる。その結果、車両Veにショックを発生させることなく、走行中のエンジン1の始動を適切に実施することができる。
また、上記のように、エンジン1の始動時に、第1モータ2および第2モータ3の二つのモータで反力を受けつつエンジン1をクランキングすることができるので、第3モータ4による前述したような反力補償トルクの出力を省くことができる。したがって、第3モータ4で出力可能なモータトルクを、上記のような反力補償トルクに費やすことなく、車両Veの駆動トルクとして出力することができる。そのため、モータ走行時の駆動力不足を回避することができる。
上記のようにステップS102で、第1モータ2および第2モータ3のモータトルクによってエンジン1がクランキングされ、エンジン回転数が始動に適した所定回転数まで上昇すると、エンジン1が始動される(ステップS103)。例えば、第1モータ2および第2モータ3のモータトルクによってクランキングされている状態のエンジン1の燃焼室に、点火されることにより、あるいは、燃料が噴射されることにより、エンジン1が始動されて燃焼運転が開始する。
ステップS103でエンジン1が始動されると、エンジン1が稼動状態に制御される(ステップS104)。例えば、エンジン1が出力するエンジントルクを用いて発生させた駆動力で車両Veが走行する。すなわち、車両Veの走行モードがハイブリッド走行モードに移行し、少なくともエンジントルクによって車両Veが走行する。あるいは、エンジントルクによって第2モータ3を発電機として駆動し、第2モータ3で発生させた電力でバッテリを充電する。
上記のようにステップS104で、エンジン1が所定の稼動状態に制御されると、その後、このルーチンを一旦終了する。
〔第2制御例〕
上記の図3のフローチャートに示した制御例では、ステップS102およびステップS103において、第1モータ2および第2モータ3のモータトルクによってエンジン1を始動する際に、第3モータ4の作動状態について特に言及していない。例えば、図4の共線図で、破線の矢印TMG3で示すように、エンジン1を始動する際の反力補償トルクを第3モータ4で出力してもよい。そうすることにより、エンジン始動時のショックを確実に抑制することができる。一方で、上記のように第1モータ2および第2モータ3のモータトルクによってエンジン1を始動することにより、エンジン始動時のショックを十分に抑制できる場合もある。したがって、そのような場合には、第3モータ4で反力補償トルクを出力することなく、第1モータ2および第2モータ3のモータトルクによってエンジン1を始動する。
上記の図3のフローチャートに示した制御例では、ステップS102およびステップS103において、第1モータ2および第2モータ3のモータトルクによってエンジン1を始動する際に、第3モータ4の作動状態について特に言及していない。例えば、図4の共線図で、破線の矢印TMG3で示すように、エンジン1を始動する際の反力補償トルクを第3モータ4で出力してもよい。そうすることにより、エンジン始動時のショックを確実に抑制することができる。一方で、上記のように第1モータ2および第2モータ3のモータトルクによってエンジン1を始動することにより、エンジン始動時のショックを十分に抑制できる場合もある。したがって、そのような場合には、第3モータ4で反力補償トルクを出力することなく、第1モータ2および第2モータ3のモータトルクによってエンジン1を始動する。
例えば、図5のフローチャートおよび図6の共線図で示すような制御を実行することもできる。図5のフローチャートにおいて、車両Veの走行中にエンジン1の始動要求があり、ステップS102で、エンジン回転数の増加方向にトルクを出力するように、第1モータ2および第2モータ3をそれぞれ制御する際には、ステップS201の制御が併せて実行される。なお、この図5のフローチャートにおいて、前述の図3のフローチャートと制御内容が同じ制御ステップについては、図3のフローチャートと同じステップ番号を付けてある。また、図6の共線図において、前述の図4の共線図とトルクの状態が同じ回転要素については、図4の共線図と同じ符号の矢印を記してある。また、図6の共線図においても、前述の図4の共線図と同様に、(a)は車両Veが前進走行している状態を示し、(b)は車両Veが後進走行している状態を示している。
ステップS201では、エンジン1を始動する際の反力補償を第3モータ4で実施しないように、第3モータ4の作動状態が制御される。例えば、第3モータ4が駆動トルクを出力して車両Veがモータ走行している場合は、第3モータ4で反力補償トルクを出力することなく、その第3モータ4による車両Veの駆動状態が維持される。また、第3モータ4がいずれのトルクも出力していない状態(第3モータ4のモータトルクが0)であれば、第3モータ4で反力補償トルクを出力することなく、その第3モータ4のモータトルクが0の状態が維持される。
このように、第1モータ2および第2モータ3によるエンジン1の始動時に、第3モータ4で反力補償トルクを出力しないようにすることにより、第3モータ4で出力可能なモータトルクを、上記のような反力補償トルクに費やすことなく、車両Veの駆動トルクとして出力することができる。そのため、モータ走行時の駆動力不足を回避することができる。
〔第3制御例〕
図7および図8フローチャートに示す制御例では、エンジン1を始動する際に、エンジン1をクランキングするためのトルクが異なる二通りの始動制御が選択的に切り替えられて実行される。なお、図7および図8のフローチャートにおいても、前述の図3および図5のフローチャートと制御内容が同じ制御ステップについては、図3および図5のフローチャートと同じステップ番号を付けてある。
図7および図8フローチャートに示す制御例では、エンジン1を始動する際に、エンジン1をクランキングするためのトルクが異なる二通りの始動制御が選択的に切り替えられて実行される。なお、図7および図8のフローチャートにおいても、前述の図3および図5のフローチャートと制御内容が同じ制御ステップについては、図3および図5のフローチャートと同じステップ番号を付けてある。
図7のフローチャートにおいて、車両Veの走行中にエンジン1の始動要求があったことにより、ステップS101で肯定的に判断された場合には、ステップS301へ進む。ステップS301では、エンジン1の始動方法が選択される。
この図7に示す制御例では、以下のステップS102、ステップS201、ステップS103、および、ステップS104で実行される第1始動制御と、以下のステップS302、ステップS303、ステップS103、および、ステップS104で実行される第2始動制御との二通りの始動制御が設定されている。
第1始動制御は、前述の図5のフローチャートで示した制御例と同様の制御内容であり、エンジン1をクランキングするためのトルク、および、クランキングの際の反力を、第1モータ2および第2モータ3で負担する。この第1始動制御は、エンジン1を始動する際のショック低減や、モータ走行における駆動力の確保を重視したエンジン1の始動制御である。
第2始動制御は、エンジン1をクランキングするためのトルクを第1モータ2または第2モータ3のいずれか一方で負担し、クランキングの際の反力を出力伝動機構7側で受けるとともに、第3モータ4で反力補償トルクを出力する。この第2始動制御では、第1モータ2または第2モータ3のモータトルクは、エンジン1をクランキングするだけであるので、クランキングの際の反力も負担する第1始動制御と比較して、エンジン1に伝達されるトルクが大きくなる可能性が高い。すなわち、この第2始動制御は、エンジン1を始動する際の始動時間や始動応答性を重視したエンジン1の始動制御である。
したがって、このステップS301では、上記のような第1始動制御および第2始動制御のそれぞれの特徴を考慮して、第1始動制御または第2始動制御のいずれかが選択される。例えば、車両Veに対する駆動力要求やアクセルペダルの踏み込み速度などから、エンジン1の早急な始動よりも、ショックの低減やモータ走行における適切な駆動力が要求されていると推定される場合は、第2始動制御が選択されてエンジン1が始動される。一例として、アクセルペダルの踏み込み量(駆動力要求)が、予め定めた所定の踏み込み量よりも小さく、かつ、アクセルペダルの踏み込み速度が、予め定めた所定の踏み込み速度よりも遅い場合に、第2始動制御が選択されてエンジン1が始動される。具体的には、ステップS102へ進み、前述の図5のフローチャートで示した制御例と同様の制御が実行される。
一方、例えば、車両Veに対する駆動力要求やアクセルペダルの踏み込み速度などから、ショックの低減やモータ走行における駆動力の確保よりも、エンジン1の迅速な始動が要求されていると推定される場合は、第2始動制御が選択されてエンジン1が始動される。一例として、アクセルペダルの踏み込み量(駆動力要求)が、予め定めた所定の踏み込み量よりも大きい場合、あるいは、アクセルペダルの踏み込み速度が、予め定めた所定の踏み込み速度よりも速い場合に、第2始動制御が選択されてエンジン1が始動される。具体的には、ステップS302へ進む。
ステップS302では、第1モータ2または第2モータ3で、エンジン回転数の増加方向にトルクを出力させる。すなわち、第1モータ2または第2モータ3のいずれか一方で、エンジン1をクランキングして、エンジン1の回転数を上昇させる方向のトルクを出力するように、それら第1モータ2および第2モータ3の作動状態がそれぞれ制御される。
次いで、ステップS303では、エンジン1を始動する際の反力補償トルクを第3モータ4で出力するように、第3モータ4の作動状態が制御される。その後、ステップS103およびステップS104で、従前と同様の制御が実行される。
上記のステップS301で第1始動制御と第2始動制御とのいずれかを選択する制御は、例えば、図8のフローチャートのステップS401で示すように実行することができる。すなわち、ステップS401では、エンジン回転数の上昇速度要求が閾値αよりも大きいか否かが判断される。
エンジン回転数の上昇速度要求が閾値αよりも大きいことにより、このステップS401で肯定的に判断された場合は、ステップS102へ進む。すなわち、この場合は、エンジン回転数の上昇速度要求が大きいため、ステップS102以降の第1始動制御が実行される。
一方、エンジン回転数の上昇速度要求が閾値α以下であることにより、ステップS401で否定的に判断された場合には、ステップS302へ進む。すなわち、この場合は、エンジン回転数の上昇速度要求が小さいため、ステップS302以降の第2始動制御が実行される。
なお、ステップS401において、第1始動制御と第2始動制御とのいずれかを選択する判断制御は、エンジン回転数の上昇速度要求に代えて、エンジン1に対する伝達トルク要求の大きさに基づいて実行することもできる。例えば、エンジン1に対する伝達トルク要求が所定値よりも大きい場合は、ステップS102以降の第1始動制御が選択されて実行される。それに対して、エンジン1に対する伝達トルク要求が所定値以下である場合には、ステップS302以降の第2始動制御が選択されて実行される。
このように、例えば、エンジン回転数の上昇速度要求、あるいは、エンジン1に対する伝達トルク要求などに基づいて、第1始動制御または第2始動制御を適宜選択して実行することにより、エンジン始動時のショックの抑制と、始動応答性の向上との両立を図ることができる。
この発明の実施形態で制御対象とする車両Veのギヤトレーンは、前述の図2に示した構成に限定されるものではない。この発明の実施形態では、前述の図2に示した構成以外のギヤトレーンも制御の対象にすることができる。そのようなギヤトレーンのその他の例を、以下の図に示してある。なお、以下の図に示す各車両Veのギヤトレーンにおいて、図2に示す車両Veのギヤトレーンまたは既出した図に示す車両Veのギヤトレーンと構成や機能が同じ部材については、図2または既出した図と同じ参照符号を付けてある。
例えば、図9に示す車両Veは、前述の図2に示した車両Veと同様に、駆動力源として、エンジン1、ならびに、第1モータ2、第2モータ3、および、第3モータ4の三つの「モータ」を備えている。また、動力分割機構として機能する差動機構30を備えている。差動機構30は、前述の差動機構5と同様に、シングルピニオン型の第1遊星歯車機構31と、シングルピニオン型の第2遊星歯車機構32とを連結した複合遊星歯車機構によって構成されている。差動機構30は、エンジン1が連結される第1回転要素30a、第1モータ2が連結される第2回転要素30b、第2モータ3が連結される第3回転要素30c、および、出力伝動機構7が連結される第4回転要素30dの四つの「回転要素」を有している。
第1遊星歯車機構31は、第1サンギヤS11、第1リングギヤR11、および、第1キャリアC11の三つの回転要素を有している。同様に、第2遊星歯車機構32は、第2サンギヤS21、第2リングギヤR21、および、第2キャリアC21の三つの回転要素を有している。第1リングギヤR11と第2キャリアC21とが連結されている。第1キャリアC11と第2リングギヤR21とが連結されている。
第1リングギヤR11は、第2キャリアC21と共に、エンジン1の出力軸1aに連結されている。第1サンギヤS11は、第1モータ2の出力軸2aに連結されている。第2サンギヤS21は、第2モータ3の出力軸3aに連結されている。第1キャリアC11は、第2リングギヤR21と共に、出力伝動機構7に連結されている。
したがって、この図9に示す例では、第1リングギヤR11および第2キャリアC21が、差動機構30における第1回転要素30aを形成している。また、第1サンギヤS11が、差動機構30における第2回転要素30bを形成している。また、第2サンギヤS21が、差動機構30における第3回転要素30cを形成している。そして、第1キャリアC11および第2リングギヤR21が、差動機構30における第4回転要素30dを形成している。
図10に示す車両Veは、前述の図2に示した車両Veと同様に、駆動力源として、エンジン1、ならびに、第1モータ2、第2モータ3、および、第3モータ4の三つの「モータ」を備えている。また、動力分割機構として機能する差動機構40を備えている。差動機構40は、前述の差動機構5と同様に、シングルピニオン型の第1遊星歯車機構41と、シングルピニオン型の第2遊星歯車機構42とを連結した複合遊星歯車機構によって構成されている。差動機構40は、エンジン1が連結される第1回転要素40a、第1モータ2が連結される第2回転要素40b、第2モータ3が連結される第3回転要素40c、および、出力伝動機構7が連結される第4回転要素40dの四つの「回転要素」を有している。
第1遊星歯車機構41は、第1サンギヤS12、第1リングギヤR12、および、第1キャリアC12の三つの回転要素を有している。同様に、第2遊星歯車機構42は、第2サンギヤS22、第2リングギヤR22、および、第2キャリアC22の三つの回転要素を有している。第1サンギヤS12と第2サンギヤS22とが連結されている。第1リングギヤR12と第2キャリアC22とが連結されている。
第1キャリアC12は、エンジン1の出力軸1aに連結されている。第1サンギヤS12は、第2サンギヤS22と共に、第1モータ2の出力軸2aに連結されている。第2リングギヤR22は、第2モータ3の出力軸3aに連結されている。第1リングギヤR12は、第2キャリアC22と共に、出力伝動機構7に連結されている。
したがって、この図10に示す例では、第1キャリアC12が、差動機構40における第1回転要素40aを形成している。また、第1サンギヤS12および第2サンギヤS22が、差動機構40における第2回転要素40bを形成している。また、第2リングギヤR22が、差動機構40における第3回転要素40cを形成している。そして、第1リングギヤR12および第2キャリアC22が、差動機構40における第4回転要素40dを形成している。
図11に示す車両Veは、前述の図2に示した車両Veと同様に、駆動力源として、エンジン1、ならびに、第1モータ2、第2モータ3、および、第3モータ4の三つの「モータ」を備えている。また、動力分割機構として機能する差動機構50を備えている。差動機構50は、前述の差動機構5と同様に、シングルピニオン型の第1遊星歯車機構51と、シングルピニオン型の第2遊星歯車機構52とを連結した複合遊星歯車機構によって構成されている。差動機構50は、エンジン1が連結される第1回転要素50a、第1モータ2が連結される第2回転要素50b、第2モータ3が連結される第3回転要素50c、および、出力伝動機構7が連結される第4回転要素50dの四つの「回転要素」を有している。
第1遊星歯車機構51は、第1サンギヤS13、第1リングギヤR13、および、第1キャリアC13の三つの回転要素を有している。同様に、第2遊星歯車機構52は、第2サンギヤS23、第2リングギヤR23、および、第2キャリアC23の三つの回転要素を有している。第1リングギヤR13と第2キャリアC23とが連結されている。第1キャリアC13と第2リングギヤR23とが連結されている。
第1リングギヤR13は、第2キャリアC23と共に、エンジン1の出力軸1aに連結されている。第1サンギヤS13は、第1モータ2の出力軸2aに連結されている。第2サンギヤS23は、第2モータ3の出力軸3aに連結されている。第1キャリアC13は、第2リングギヤR23と共に、出力伝動機構7に連結されている。
したがって、この図11に示す例では、第1リングギヤR13および第2キャリアC23が、差動機構50における第1回転要素50aを形成している。また、第1サンギヤS13が、差動機構50における第2回転要素50bを形成している。また、第2サンギヤS23が、差動機構50における第3回転要素50cを形成している。そして、第1キャリアC13および第2リングギヤR23が、差動機構50における第4回転要素50dを形成している。
図12に示す車両Veは、前述の図2に示した車両Veと同様に、駆動力源として、エンジン1、ならびに、第1モータ2、第2モータ3、および、第3モータ4の三つの「モータ」を備えている。また、動力分割機構として機能する差動機構60を備えている。差動機構60は、前述の差動機構5と同様に、シングルピニオン型の第1遊星歯車機構61と、シングルピニオン型の第2遊星歯車機構62とを連結した複合遊星歯車機構によって構成されている。差動機構60は、エンジン1が連結される第1回転要素60a、第1モータ2が連結される第2回転要素60b、第2モータ3が連結される第3回転要素60c、および、出力伝動機構7が連結される第4回転要素60dの四つの「回転要素」を有している。
第1遊星歯車機構61は、第1サンギヤS14、第1リングギヤR14、および、第1キャリアC14の三つの回転要素を有している。同様に、第2遊星歯車機構62は、第2サンギヤS24、第2リングギヤR24、および、第2キャリアC24の三つの回転要素を有している。第1サンギヤS14と第2リングギヤR24とが連結されている。第1キャリアC14と第2キャリアC24とが連結されている。
第1リングギヤR14は、エンジン1の出力軸1aに連結されている。第1サンギヤS14は、第2リングギヤR24と共に、第1モータ2の出力軸2aに連結されている。第2サンギヤS24は、第2モータ3の出力軸3aに連結されている。第1キャリアC14は、第2キャリアC24と共に、出力伝動機構7に連結されている。
したがって、この図12に示す例では、第1リングギヤR14が、差動機構60における第1回転要素60aを形成している。また、第1サンギヤS14および第2リングギヤR24が、差動機構60における第2回転要素60bを形成している。また、第2サンギヤS24が、差動機構60における第3回転要素60cを形成している。そして、第1キャリアC14および第2キャリアC24が、差動機構60における第4回転要素60dを形成している。
図13に示す車両Veは、前述の図2に示した車両Veと同様に、駆動力源として、エンジン1、ならびに、第1モータ2、第2モータ3、および、第3モータ4の三つの「モータ」を備えている。また、動力分割機構として機能する差動機構70を備えている。差動機構70は、前述の差動機構5と同様に、シングルピニオン型の第1遊星歯車機構71と、シングルピニオン型の第2遊星歯車機構72とを連結した複合遊星歯車機構によって構成されている。差動機構70は、エンジン1が連結される第1回転要素70a、第1モータ2が連結される第2回転要素70b、第2モータ3が連結される第3回転要素70c、および、出力伝動機構7が連結される第4回転要素70dの四つの「回転要素」を有している。
第1遊星歯車機構71は、第1サンギヤS15、第1リングギヤR15、および、第1キャリアC15の三つの回転要素を有している。同様に、第2遊星歯車機構72は、第2サンギヤS25、第2リングギヤR25、および、第2キャリアC25の三つの回転要素を有している。第1キャリアC15と第2キャリアC25とが連結されている。第1サンギヤS15と第2リングギヤR25とが連結されている。
第1キャリアC15は、第2キャリアC25と共に、エンジン1の出力軸1aに連結されている。第1サンギヤS15は、第2リングギヤR25と共に、第1モータ2の出力軸2aに連結されている。第2サンギヤS25は、第2モータ3の出力軸3aに連結されている。第1リングギヤR15は、出力伝動機構7に連結されている。
したがって、この図13に示す例では、第1キャリアC15および第2キャリアC25が、差動機構70における第1回転要素70aを形成している。また、第1サンギヤS15および第2リングギヤR25が、差動機構70における第2回転要素70bを形成している。また、第2サンギヤS25が、差動機構70における第3回転要素70cを形成している。そして、第1リングギヤR15が、差動機構70における第4回転要素70dを形成している。
図14に示す車両Veは、前述の図2に示した車両Veと同様に、駆動力源として、エンジン1、ならびに、第1モータ2、第2モータ3、および、第3モータ4の三つの「モータ」を備えている。また、動力分割機構として機能する差動機構80を備えている。差動機構80は、前述の差動機構5と同様に、シングルピニオン型の第1遊星歯車機構81と、シングルピニオン型の第2遊星歯車機構82とを連結した複合遊星歯車機構によって構成されている。差動機構80は、エンジン1が連結される第1回転要素80a、第1モータ2が連結される第2回転要素80b、第2モータ3が連結される第3回転要素80c、および、出力伝動機構7が連結される第4回転要素80dの四つの「回転要素」を有している。
第1遊星歯車機構81は、第1サンギヤS16、第1リングギヤR16、および、第1キャリアC16の三つの回転要素を有している。同様に、第2遊星歯車機構82は、第2サンギヤS26、第2リングギヤR26、および、第2キャリアC26の三つの回転要素を有している。第1キャリアC16と第2リングギヤR26とが連結されている。第1リングギヤR16と第2サンギヤS26とが連結されている。
第1キャリアC16は、第2リングギヤR26と共に、エンジン1の出力軸1aに連結されている。第1サンギヤS16は、第1モータ2の出力軸2aに連結されている。第2キャリアC26は、第2モータ3の出力軸3aに連結されている。第1リングギヤR16は、第2サンギヤS26と共に、出力伝動機構7に連結されている。
したがって、この図14に示す例では、第1キャリアC16および第2リングギヤR26が、差動機構80における第1回転要素80aを形成している。また、第1サンギヤS16が、差動機構80における第2回転要素80bを形成している。また、第2キャリアC26が、差動機構80における第3回転要素80cを形成している。そして、第1リングギヤR16および第2サンギヤS26が、差動機構80における第4回転要素80dを形成している。
上述した各具体例における差動機構5,30,40,50,60,70,80は、いずれも、二組のシングルピニオン型の遊星歯車機構から構成されているが、この発明の実施形態で制御対象とする車両Veにおける「差動機構」は、シングルピニオン型の遊星歯車機構に限らず、他の形式の遊星歯車機構から構成することができる。例えば、ダブルピニオン型の遊星歯車機構を用いることもできる。あるいは、図15に示すように、ラビニヨ型の遊星歯車機構を用いて「差動機構」を構成することもできる。
図15に示す車両Veは、前述の図2に示した車両Veと同様に、駆動力源として、エンジン1、ならびに、第1モータ2、第2モータ3、および、第3モータ4の三つの「モータ」を備えている。また、動力分割機構として機能する差動機構90を備えている。差動機構90は、ラビニヨ型の遊星歯車機構91によって構成されている。差動機構90は、エンジン1が連結される第1回転要素90a、第1モータ2が連結される第2回転要素90b、第2モータ3が連結される第3回転要素90c、および、出力伝動機構7が連結される第4回転要素90dの四つの「回転要素」を有している。
遊星歯車機構91は、第1サンギヤS17、リングギヤR17、キャリアC17、および、第2サンギヤS27の四つの回転要素を有している。より具体的には、ラビニヨ型の遊星歯車機構91は、同軸上に配置された第1サンギヤS17およびリングギヤR17、第1サンギヤS17と噛み合うショートピニオンギヤP17、このショートピニオンギヤP17とリングギヤR17との両方に噛み合うロングピニオンギヤP27、ショートピニオンギヤP17およびロングピニオンギヤP27をそれぞれ保持するキャリアC17、ならびに、ロングピニオンギヤP27と噛み合う第2サンギヤS27から構成されている。第1サンギヤS17と第2サンギヤS27とは、同軸上でかつ相対回転可能に配置されている。
キャリアC17は、エンジン1の出力軸1aに連結されている。第1サンギヤS17は、第1モータ2の出力軸2aに連結されている。第2サンギヤS27は、第2モータ3の出力軸3aに連結されている。リングギヤR17は、出力伝動機構7に連結されている。
したがって、この図15に示す例では、キャリアC17が、差動機構90における第1回転要素90aを形成している。また、第1サンギヤS17が、差動機構90における第2回転要素90bを形成している。また、第2サンギヤS27が、差動機構90における第3回転要素90cを形成している。そして、リングギヤR17が、差動機構90における第4回転要素90dを形成している。
上述した各具体例における差動機構5,30,40,50,60,70,80,90は、いずれも、互いに差動回転が可能な四つの「回転要素」を有する構成となっているが、この発明の実施形態で制御対象とする車両Veにおける「差動機構」は、例えば、図16に示すように、互いに差動回転が可能な五つの「回転要素」を有していてもよい。
図16に示す車両Veは、前述の図2に示した車両Veと同様に、駆動力源として、エンジン1、ならびに、第1モータ2、第2モータ3、および、第3モータ4の三つの「モータ」を備えている。また、動力分割機構として機能する差動機構100を備えている。差動機構100は、シングルピニオン型の第1遊星歯車機構101と、シングルピニオン型の第2遊星歯車機構102と、シングルピニオン型の第3遊星歯車機構103とを連結した複合遊星歯車機構によって構成されている。差動機構100は、エンジン1が連結される第1回転要素100a、第1モータ2が連結される第2回転要素100b、第2モータ3が連結される第3回転要素100c、出力伝動機構7が連結される第4回転要素100d、および、第1回転要素90a共に、エンジン1が連結される第5回転要素100eの五つの「回転要素」を有している。
第1遊星歯車機構101は、第1サンギヤS18、第1リングギヤR18、および、第1キャリアC18の三つの回転要素を有している。同様に、第2遊星歯車機構102は、第2サンギヤS28、第2リングギヤR28、および、第2キャリアC28の三つの回転要素を有している。同様に、第3遊星歯車機構103は、第3サンギヤS38、第3リングギヤR38、および、第3キャリアC38の三つの回転要素を有している。第1サンギヤS18と第2キャリアC28とが連結されている。第1リングギヤR18と第2サンギヤS28とが連結されている。第2リングギヤR28と第3リングギヤR38とが連結されている。第1キャリアC18と第3キャリアC38とが連結されている。
第1リングギヤR18は、エンジン1の出力軸1aに連結されている。第2リングギヤR28は、第3リングギヤR38と共に、第1モータ2の出力軸2aに連結されている。第3サンギヤS38は、第2モータ3の出力軸3aに連結されている。第1キャリアC18は、第3キャリアC38と共に、出力伝動機構7に連結されている。さらに、第2サンギヤS28は、第1リングギヤR18と共に、エンジン1の出力軸1aに連結されている。
したがって、この図16に示す例では、第1リングギヤR18が、差動機構100における第1回転要素100aを形成している。また、第2リングギヤR28および第3リングギヤR38が、差動機構100における第2回転要素100bを形成している。また、第3サンギヤS38が、差動機構100における第3回転要素100cを形成している。そして、第1キャリアC18および第3キャリアC38が、差動機構100における第4回転要素100dを形成している。さらに、第2サンギヤS28が、差動機構100における第5回転要素100eを形成している。
上述した各具体例では、いずれも、車両Veが、前輪または後輪のいずれか一方に対して動力を伝達する一つの出力伝動機構7を備えた構成を示しているが、この発明の実施形態で制御対象とする車両Veは、例えば、図17に示すように、前輪および後輪の両方に対して動力を伝達する二つの「出力伝動機構」を備えていてもよい。
図17に示す車両Veは、駆動力源として、エンジン1、ならびに、第1モータ2、第2モータ3、および、第3モータ4の三つの「モータ」を備えている。そして、第1出力伝動機構201、および、第2出力伝動機構202の二つの「出力伝動機構」を備えている。
第1出力伝動機構201は、前述の出力伝動機構7と同様に、ドライブギヤ21、カウンタ軸22、カウンタドリブンギヤ23、ファイナルドライブギヤ24、および、デファレンシャルギヤ25から構成されている。この図17に示す車両Veにおいても、ドライブギヤ21は、差動機構5の第2キャリアC2と一体となって回転するように構成されている。したがって、第1出力伝動機構201は、差動機構5の第4回転要素5dと連結しており、駆動輪6に対して動力を伝達する。図17に示す例では、第1出力伝動機構201には、第3モータ4は連結されていない。第3モータ4は、後述する第2出力伝動機構202に連結されている。図17に示す例では、駆動輪6は、車両Veの前輪を構成している。
第2出力伝動機構202は、カウンタ軸203、カウンタドリブンギヤ204、ファイナルドライブギヤ205、および、デファレンシャルギヤ206から構成されている。カウンタ軸203の一方(図17での右側)の端部に、カウンタドリブンギヤ204が取り付けられている。カウンタ軸203の他方(図17での左側)の端部に、ファイナルドライブギヤ205が取り付けられている。ファイナルドライブギヤ205は、終減速機であるデファレンシャルギヤ206のファイナルドリブンギヤ(デフリングギヤ)207と噛み合っている。デファレンシャルギヤ206には、駆動軸208を介して、駆動輪209が取り付けられている。図17に示す例では、駆動輪209は、車両Veの後輪を構成している。
上記の駆動輪209に、第3モータ4が出力するモータトルクを付加できるように構成されている。具体的には、第3モータ4の出力軸4aが、上記のカウンタ軸203と平行に配置されている。その出力軸4aの先端(図17での左端)に、上記のカウンタドリブンギヤ204と噛み合うピニオン210が取り付けられている。すなわち、第3モータ4は、第2出力伝動機構202を介して、駆動輪209に連結されている。したがって、第2出力伝動機構202は、差動機構5の第4回転要素5dと連結しない「出力伝動機構」であって、第3モータ4のモータトルクを、駆動軸208を介して、駆動輪209へ伝達する。
上述した各具体例では、いずれも、車両Veが、駆動力源として、エンジン1と共に、第1モータ2、第2モータ3、および、第3モータ4の三つの「モータ」を備えた構成を示しているが、この発明の実施形態で制御対象とする車両Veは、例えば、図18に示すように、駆動力源として、エンジン1と共に、四つの「モータ」を備えていてもよい。
図18に示す車両Veは、駆動力源として、エンジン1、ならびに、第1モータ2、第2モータ3、第3モータ4、および、第4モータ(MG4)220の四つの「モータ」を備えている。そして、第1出力伝動機構221、および、第2出力伝動機構222の二つの「出力伝動機構」を備えている。
第1出力伝動機構221は、前述の出力伝動機構7と同様の構成である。したがって、第1出力伝動機構221は、差動機構5の第4回転要素5dに連結しており、駆動輪6に対して動力を伝達する。図18に示す例では、第1出力伝動機構221には、第3モータ4が連結されている。駆動輪6は、車両Veの前輪を構成している。
第2出力伝動機構222は、前述の第2出力伝動機構202と同様の構成である。図18に示す例では、第2出力伝動機構222には、第3モータ4の替わりに第4モータ220が連結されている。したがって、第2出力伝動機構222は、差動機構5の第4回転要素5dと連結しない「出力伝動機構」であって、第4モータ220のモータトルクを、駆動軸208を介して、駆動輪209へ伝達する。駆動輪209は、車両Veの後輪を構成している。
1…エンジン(ENG)、 2…第1モータ(MG1)、 3…第2モータ(MG2)、 4…第3モータ(MG3)、 5,30,40,50,60,70,80…差動機構、 5a,30a,40a,50a,60a,70a,80a…第1回転要素、 5b,30b,40b,50b,60b,70b,80b…第2回転要素、 5c,30c,40c,50c,60c,70c,80c…第3回転要素、 5d,30d,40d,50d,60d,70d,80d…第4回転要素、 6,209…駆動輪、 7,201,202,221,222…出力伝動機構、 8,31,41,51,61,71,81…第1遊星歯車機構(PL1)、 9,32,42,52,62,72,82…第2遊星歯車機構(PL2)、 10…ブレーキ、 11…コントローラ(EUC)、 220…第4モータ(MG4)、 C1,C11,C12,C13,C14,C15,C16…第1キャリア、 R1,R11,R12,R13,R14,R15,R16…第1リングギヤ、 S1,S11,S12,S13,S14,S15,S16…第1サンギヤ、 C2,C21,C22,C23,C24,C25,C26…第2キャリア、 R2,R21,R22,R23,R24,R25,R26…第2リングギヤ、 S2,S21,S22,S23,S24,S25,S26…第2サンギヤ、 Ve…車両(ハイブリッド車両)。
Claims (1)
- エンジンおよび少なくとも三つのモータを有する駆動力源と、
互いに差動回転が可能な少なくとも四つの回転要素を有する差動機構と、
駆動輪に対して動力を伝達する少なくとも一つの出力伝動機構と、
前記駆動力源の作動状態をそれぞれ制御するコントローラとを備え、
前記差動機構の第1回転要素に前記エンジンが連結され、
前記差動機構の第2回転要素に前記駆動力源の第1モータが連結され、
前記差動機構の第3回転要素に前記駆動力源の第2モータが連結され、
前記差動機構の第4回転要素に前記出力伝動機構が連結され、
前記第4回転要素と連結したいずれかの前記出力伝動機構または前記第4回転要素と連結しない他の前記出力伝動機構に前記駆動力源の第3モータが連結された
ハイブリッド車両の制御装置において、
前記コントローラは、
前記ハイブリッド車両の走行状態を判断し、
前記ハイブリッド車両が前記エンジンの運転を停止して走行している状態で前記エンジンを始動する場合に、前記第1モータおよび前記第2モータがいずれも前記エンジンの回転数を上昇させる方向のトルクを出力するように、前記第1モータおよび前記第2モータをそれぞれ制御する
ことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017047535A JP2018149917A (ja) | 2017-03-13 | 2017-03-13 | ハイブリッド車両の制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2017047535A JP2018149917A (ja) | 2017-03-13 | 2017-03-13 | ハイブリッド車両の制御装置 |
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JP2018149917A true JP2018149917A (ja) | 2018-09-27 |
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ID=63680712
Family Applications (1)
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JP (1) | JP2018149917A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020104671A (ja) * | 2018-12-27 | 2020-07-09 | トヨタ自動車株式会社 | ハイブリッド車両の制御装置 |
-
2017
- 2017-03-13 JP JP2017047535A patent/JP2018149917A/ja active Pending
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