(第1実施形態)
以下、第1実施形態について説明する。図1に示すように、製造設備システムは、製造設備装置1、プログラマブルロジックコントローラ(以下PCLという)2、計測判定装置3、ホスト装置4、マネージメント装置5を備えている。計測判定装置3、ホスト装置4、マネージメント装置5は、取得部を構成する。
製造設備装置1は、種々の製品を製造するための製造工程の一部を実現するための設備である。図2、図3に示すように、製造設備装置1は、検出部11、投入コンベア20A、排出コンベア20B、ロボット30、および設備ベース部40を有している。また、製造設備装置1は、ボルト12a、12b、12c、12d、13a、13b、14a、14bを有している。
検出部11は、検出部11を除いた製造設備装置1の挙動を検出するためのセンサである。投入コンベア20Aは、製造設備装置1に供給されたパレットPをロボット30に近づけるための装置である。排出コンベア20Bは、パレットPをロボット30から遠ざけて製造設備装置1の外部に供給する装置である。製造設備システムのうち、検出部11、PLC2、計測判定装置3、ホスト装置4、およびマネージメント装置5は、製造設備装置1を診断する診断システムを構成する。
パレットPには、不図示のワークが載置されている。ワークは、上述の製造工程における加工対象の部材である。ロボット30は、投入コンベア20AからパレットPを取って排出コンベア20Bに移動させる装置である。
設備ベース部40は、投入コンベア20A、排出コンベア20B、ロボット30が載置されることで、製造設備装置1の土台部となる。例えば、設備ベース部40は、床の上に置かれてもよい。あるいは、設備ベース部40は、床に置かれた他の部材に固定されていてもよい。
投入コンベア20Aは、脚部21a、脚部21b、テーブル22、第1プーリ23a、第2プーリ23b、メインベルト24、第3プーリ25a、第4プーリ25b、サブベルト26、モータ27、ケーシング28を有している。
脚部21aの下端部は、ボルト12a、12bを介して設備ベース部40に固定的に締結により繋げられている。脚部21bの下端部は、ボルト12c、12dを介して設備ベース部40に固定的に締結により繋げられている。脚部21aおよび脚部21bの上端部は、テーブル22に固定されている。ボルト12a、12b、12c、12dは、取付媒介物に対応する。
テーブル22は、板形状の部材である。テーブル22のロボット30から最も離れた側の端部に第1プーリ23aが取り付けられ、ロボット30に最も近い側の端部に第2プーリ23bが取り付けられている。テーブル22の上側面および下側面には、環状のメインベルト24が取り付けられている。また、テーブル22には、ケーシング28が固定されている。
第1プーリ23aは回転軸を有し、この回転軸の周りに回転可能な形態でテーブル22のロボット30から遠い側の端部に取り付けられている。第2プーリ23bは回転軸を有し、この回転軸の周りに回転可能な形態でテーブル22のロボット30に近い側の端部に取り付けられている。第1プーリ23aの回転軸と第2プーリ23bの回転軸は互いに対して平行になっている。
メインベルト24は、環状の帯の形状を有する。メインベルト24の内周側の一端には、第1プーリ23aの外周が接触している。メインベルト24の内周側の他端には、第2プーリ23bの外周が接触している。第3プーリ25aの回転動力がメインベルト24を介して第1プーリ23aに伝わるので、第1プーリ23a、第2プーリ23b、メインベルト24は、共に同期して回転する。
また、メインベルト24の内周側かつ第1プーリ23aと第2プーリ23bの間に、テーブル22が配置されている。メインベルト24はテーブル22に対して移動可能である。
第3プーリ25aは回転軸を有し、この回転軸の周りに回転可能な形態でケーシング28に取り付けられている。第3プーリ25aの回転軸は、第2プーリ23bの回転軸に固定的に接続されている。したがって、第3プーリ25aは、第2プーリ23bと同軸に且つ第2プーリ23bと同期して回転する。
第4プーリ25bは回転軸を有し、この回転軸の周りに回転可能な形態でケーシング28に取り付けられている。第4プーリ25bの回転軸は、モータ27の出力軸に固定的に接続されている。したがって、第3プーリ25aは、モータ27の出力軸と同軸に且つ当該出力軸と同期して回転する。
サブベルト26は、環状の帯の形状を有する。サブベルト26の内周側の一端には、第3プーリ25aの外周が接触している。メインベルト24の内周側の他端には、第4プーリ25bの外周が接触している。第4プーリ25bの回転動力がサブベルト26を介して第3プーリ25aに伝わるので、第3プーリ25a、第4プーリ25b、サブベルト26は、共に同期して回転する。
モータ27は、PLC2からの電気信号である制御信号に従って作動することで回転動力を発生するアクチュエータである。モータ27が作動すると、モータ27の出力軸が回転し、この出力軸と同期して第4プーリ25bも回転する。すると、第4プーリ25bの回転動力がサブベルト26を介して第3プーリ25aに伝達される。その結果、サブベルト26および第3プーリ25aも、第4プーリ25bと同期して回転する。
また、第3プーリ25aが回転すると、第3プーリ25aと同期して第2プーリ23bも回転する。すると、第2プーリ23bの回転動力がメインベルト24を介して第1プーリ23aに伝達される。その結果、メインベルト24および第1プーリ23aも、第2プーリ23bと同期して回転する。
これにより、モータ27が作動するとメインベルト24の外周のうちテーブル22よりも上側の部分が、ロボット30に近付く方向に移動する。したがって、メインベルト24の外周のうちテーブル22よりも上側の部分に載置されたパレットPは、メインベルト24と共に、ロボット30に近付く方向に移動する。
また、排出コンベア20Bは、投入コンベア20Aと同等の構成を有している。したがって、排出コンベア20Bも、投入コンベア20Aと同等の機構で作動する。また、排出コンベア20Bのモータ27も、PLC2からの電気信号である制御信号に従って作動することで回転動力を発生するアクチュエータである。
したがって、排出コンベア20Bにおいては、モータ27が作動するとメインベルト24の外周のうちテーブル22よりも上側の部分が、ロボット30から遠ざかる方向に移動する。したがって、メインベルト24の外周のうちテーブル22よりも上側の部分に載置されたパレットPは、メインベルト24と共に、ロボット30から遠ざかる方向に移動する。
ロボット30は、取付ベース部31、ロボットベース部32、モータ33、可動ケーシング34、ロッド35、リニアアクチュエータ36、手先部37を有する。取付ベース部31およびロボットベース部32は、ロボット30のうち作動時に可動部として機能しない部材である。
取付ベース部31は、下端において、ボルト14a、14bを介して設備ベース部40に固定的に締結により繋がれている。また取付ベース部31は、上端において、ボルト13a、13bを介してロボットベース部32に固定的に締結により繋がれている。このように、取付ベース部31は、設備ベース部40とロボットベース部32との間に介在してロボットベース部32を設備ベース部40に対して固定的に支持する。
ロボットベース部32の下端部は、ボルト13a、ボルト13bを介して取付ベース部31に固定的に締結により繋がれている。また、ロボットベース部32の上端部には、モータ33の本体部が固定されている。したがって、ロボットベース部32は、ロボット30の可動部を支持する支持部に対応する。
モータ33は、PLC2からの電気信号である制御信号に従って作動することで回転動力を発生するアクチュエータである。モータ33が作動すると、モータ33の出力軸が軸Xを中心に回転する。
可動ケーシング34は、モータ33の出力軸に固定される。また、可動ケーシング34は、ロッド35の一部およびリニアアクチュエータ36を収納する。ロッド35は、リニアアクチュエータ36によって支持されながら、可動ケーシング34に対して上下方向DRに移動する。
リニアアクチュエータ36は、可動ケーシング34に固定されている。リニアアクチュエータ36は、PLC2からの電気信号である制御信号に従って作動することで直線的に移動する動力を発生するモータである。リニアアクチュエータ36が作動すると、ロッド35がリニアアクチュエータ36によって駆動されて、可動ケーシング34に対して上下方向DRに移動する。
このようになっていることで、モータ33が作動すると、可動ケーシング34、ロッド35、リニアアクチュエータ36、および手先部37が、全体として、軸Xを中心に回転する。このとき、取付ベース部31、ロボットベース部32は回転せず停止したままである。
また、リニアアクチュエータ36が作動すると、ロッド35および手先部37が、全体として、上下方向DRに移動する。このとき、取付ベース部31、ロボットベース部32、モータ33、可動ケーシング34は移動せず停止したままである。
手先部37は、ロッド35の可動ケーシング34よりも下側の端部に取り付けられており、パレットストッパ371、アーム372、チャックアクチュエータ373、チャック374を有している。
パレットストッパ371は、ロッド35の最下端に固定されたブロック形状の部材である。このパレットストッパ371は、投入コンベア20Aによって動かされるパレットPに当たることでパレットPの移動を止めるための部材である。
アーム372は、可動ケーシング34よりも下方かつパレットストッパ371よりも上方でロッド35に固定され、チャックアクチュエータ373を支持する。
チャックアクチュエータ373は、アーム372に固定され、PLC2からの電気信号である制御信号に従って作動することでチャック374を駆動するアクチュエータである。チャックアクチュエータ373は、チャック374を駆動することで、チャック374の開閉を切り替えることができる。
チャック374は、チャックアクチュエータ373によって駆動されることで開閉する部材である。チャック374が閉じることで物がチャック374に把持される。チャック374が開くことで物が開放される。
検出部11は、図4、図5に示すように、スペーサ110、弾性変形部材111、熱流センサ112を有している。ロボットベース部32と取付ベース部31はボルト13a、13bで締結されており、ロボットベース部32と取付ベース部31の間にスペーサ110、弾性変形部材111、熱流センサ112が挟まれる。
図5に示すように、スペーサ110は、シート状の部材であり、弾性変形部材111、熱流センサ112と上下方向DRに重ならない状態で、取付ベース部31とロボットベース部32の間に挟まれている。
スペーサ110の上下方向DRの厚みは、弾性変形部材111が適正な厚みに圧縮されるよう調整されている。上下方向DRは、弾性変形部材111が圧縮される圧縮方向である。スペーサ110は、例えば上下方向DRの厚みが2mmのステンレス製のプレートであってもよい。
弾性変形部材111は、取付ベース部31またはロボットベース部32から力を受けて弾性変形するシート状の部材である。弾性変形部材111は熱流センサ112と上下方向DRに重なっている。したがって、ロボットベース部32、弾性変形部材111、熱流センサ112、取付ベース部31は、この順に上下方向DRに重なっている。
弾性変形部材111は、取付ベース部31よりも、ロボットベース部32よりも、スペーサ110よりも、熱流センサ112よりも、ヤング率が低い(すなわち変形し易い)。弾性変形部材111は、例えば上下方向DRの厚みが2mmのゴム硬度50のバイトンゴムであってもよい。あるいは、弾性変形部材111は、ゴムより遙かにヤング率が高い材料で構成されていてもよい。
このように、弾性変形部材111および熱流センサ112が、ロボットベース部32と取付ベース部31の間に挟まれている。このようになっていることで、ロボット30の複数の可動部が駆動されることによる揺れ動きを弾性変形部材111の変形に反映させることが、こうなっていない場合に比べ、より確実にできる。
また、スペーサ110が、取付ベース部31とロボットベース部32の間における弾性変形部材111と熱流センサ112のスペースを設ける。このスペーサ110の上下方向DRの高さが増加すると、取付ベース部31とロボットベース部32の間における弾性変形部材111および熱流センサ112のスペースの上下方向DRの幅が増加する。したがって、スペーサ110の上下方向DRの高さが増大すると、弾性変形部材111の上下方向DRの取り付け厚みが増大する。
したがって、スペーサ110の上下方向DRの高さを調整することで、弾性変形部材111の弾性変形量を調整することができる。この例では、スペーサ110が、弾性変形調整部材に対応する。
スペーサ110の上下方向DRの高さを下げて弾性変形部材111の圧縮率を上げると、弾性変形部材111が硬くなり、元の厚みに戻ろうとする反発力も強くなる。したがって、検出対象の急峻な揺れ動きにも追従しやすくなるメリットがある。その反面、揺れ動きの力が弱いと弾性変形部材111の反発力に負けて揺れ動き自体が抑制され、正確な計測ができなくなるデメリットもある。したがって、検出対象である揺れ動きの速度や力に応じて、弾性変形部材111の硬度、ヤング率と共に、圧縮率も調整することが好ましい。
この弾性変形部材111は、ロボット30が作動していない状態(以下、基本状態という)では、ロボットベース部32と熱流センサ112に挟まれて上下方向DRに圧縮された状態となっている。
ロボットベース部32の揺れ動きにより、ロボットベース部32と取付ベース部31の間の間隔は変化し、弾性変形部材111は伸縮変形する。基本状態から弾性変形部材111が上下方向DRに圧縮されると、弾性変形部材111は発熱する。また、基本状態から弾性変形部材111が上下方向DRに伸長されると、弾性変形部材111は吸熱する。
熱流センサ112は、弾性変形部材111と接触しかつ弾性変形部材111と上下方向DRに重なることで、弾性変形部材111の熱の流れを検出可能になっている。このようになっていることで、複数個の可動部が駆動されることによって発生する揺れ動きに応じた熱の流れを熱流センサ112が検出することができる。したがって、1つの熱流センサ112の出力に基づいて複数の可動部の動作の診断を行うことが可能になる。熱流センサ112の上下方向DRの厚みは、例えば0.3mmである。
スペーサ110、弾性変形部材111、熱流センサ112の上下方向DRの厚みが、それぞれ、2mm、2mm、0.3mmである場合、基本状態における弾性変形部材111の圧縮率は15%となる。
なお、スペーサ110と取付ベース部31との固定、スペーサ110とロボットベース部32との固定、弾性変形部材111とロボットベース部32との固定、弾性変形部材111と熱流センサ112との固定、および、熱流センサ112と取付ベース部31との固定は、いずれも接着剤または粘着テープで実現される。
図6、図7に示すように、熱流センサ112は、絶縁基材A100、表面保護部材A110、裏面保護部材A120が一体化され、この一体化されたものの内部で第1、第2層間接続部材A130、A140が交互に直列に接続された構造を有する。絶縁基材A100、表面保護部材A110、裏面保護部材A120は、フィルム状であって、熱可塑性樹脂等の可撓性を有する樹脂材料で構成されている。
絶縁基材A100は、その厚さ方向に貫通する複数の第1、第2ビアホールA101、A102が形成されている。第1、第2ビアホールに互いに異なる金属や半導体等の熱電材料で構成された第1、第2層間接続部材A130、A140が埋め込まれている。絶縁基材A100の表面A100aに配置された表面導体パターンA111によって第1、第2層間接続部材A130、A140の一方の接続部が構成されている。絶縁基材A100の裏面A100bに配置された裏面導体パターンA121によって第1、第2層間接続部材A130、A140の他方の接続部が構成されている。
熱流束が熱流センサ112を、その厚さ方向に通過すると、第1、第2層間接続部材A130、A140の一方の接続部と他方の接続部に温度差が生じる。これにより、ゼーベック効果によって第1、第2層間接続部材A130、A140に熱起電力が発生する。熱流センサ112は、この熱起電力(例えば、電圧)をセンサ信号として出力する。
このような構成になっていることで、弾性変形部材111の変形量がサブミクロンオーダーであっても、弾性変形部材111の変形による熱の流れを熱流センサ112によって検出可能である。
PLC2は、製造設備装置1のアクチュエータ(すなわち、投入コンベア20Aのモータ27、排出コンベア20Bのモータ27、モータ33、リニアアクチュエータ36、チャックアクチュエータ373)を制御する。
より具体的には、設備担当の作業者が図示していない操作パネルを使って製造設備装置1の自動運転をPLC2に指示すると、PLC2は、所定の機械動作サイクルを多数回繰り返し実現するよう、制御信号を上記アクチュエータに出力する。その際、PLC2はホスト装置4に動作開始信号を出力し、それを受け取ったホスト装置4は計測判定装置3に計測判定開始の信号を出力する。また、休憩時間などにおいて作業者が同じく作業パネルを用いてPLC2に製造設備装置1の停止を指示すると、PLC2は上記アクチュエータの作動を停止させることで製造設備装置1を停止する。それと同時にPLC2は、ホスト装置4に動作停止信号を出力し、それを受け取ったホスト装置4は計測判定装置3に計測判定停止の信号を送る。
1つの機械動作サイクルは、例えば、図8に示すように、まず、投入コンベア20Aを作動させる行程と、次に、ロボット30を作動させる行程と、最後に排出コンベア20Bを作動させる行程とを含む。
投入コンベア20Aを作動させる行程では、PLC2は、パレット搬送ブロックという動作ブロックを実現する。このパレット搬送ブロックでは、PLC2は、パレットPを搬送してロボット30に近づける動作を投入コンベア20Aに行わせる。具体的には、PLC2は、投入コンベア20Aのモータ27に制御信号を出力することで、モータ27を作動させる。これにより、上述の通りメインベルト24が回転する。その結果、メインベルト24上に載置されたパレットPがロボット30に近付く方向に移動する。そしてPLC2は、パレットPがロボット30のパレットストッパ371当たるまで、モータ27を駆動する。そしてPLC2は、パレットPがロボット30のパレットストッパ371当たると、モータ27の駆動を停止し、それと共に、パレット搬送ブロックを終了する。
ロボット30を作動させる行程では、PLC2は、動作開始、チャック、上昇、搬送送り、下降、アンチャック、上昇、搬送戻し、下降という8個の動作ブロックをこの順に、間を置かずに、順番に実現する。
動作開始ブロックでは、PLC2は、ロボット30の動作を開始するための各種初期化処理を実行する。動作開始ブロックにおいては、どのアクチュエータも作動せず、ロボット30の可動部は駆動されない。
チャックブロックでは、PLC2は、チャックアクチュエータ373にチャック用の制御信号を出力する。これにより、チャックアクチュエータ373はチャック駆動を実現する。すなわち、チャックアクチュエータ373はチャック374を閉じる方向に移動させる。その結果、チャック374はパレットPの上端部を把持する。チャックブロックは予め定められた時間だけ継続する。
チャックブロック直後の上昇ブロックでは、PLC2は、リニアアクチュエータ36に上昇用の制御信号を出力する。これにより、リニアアクチュエータ36は上昇駆動を実現する。すなわち、リニアアクチュエータ36はロッド35を所定距離だけ上昇させる。その結果、ロッド35および手先部37が上昇すると共に、チャック374に把持されたパレットPも上昇して投入コンベア20Aのメインベルト24から離れる。リニアアクチュエータ36が上記所定距離だけ上昇駆動を続けると、リニアアクチュエータ36の上昇駆動が終了し、上昇ブロックが終了する。
搬送送りブロックでは、PLC2は、モータ33に送り用の制御信号を出力する。これにより、モータ33は、軸Xを中心として順方向に所定角度だけ回転することで送り駆動を実現する。これにより、可動ケーシング34、ロッド35、リニアアクチュエータ36、手先部37が、図3中時計回り方向に回転する。その結果、チャック374に把持されたパレットPが、投入コンベア20Aのメインベルト24の上方から、排出コンベア20Bのメインベルト24の上方に向かって、弧を描いて移動する。モータ33が上記所定角度だけ回転すると、モータ33の送り駆動が終了する。搬送送りブロックの開始から所定期間経過後に、搬送送りブロックが終了する。搬送送りブロックの終了時点で、チャック374に把持されているパレットPは、排出コンベア20Bのメインベルト24の上方に位置している。
搬送送りブロック直後の下降ブロックでは、PLC2は、リニアアクチュエータ36に下降用の制御信号を出力する。これにより、リニアアクチュエータ36は下降駆動を実現する。すなわち、リニアアクチュエータ36はロッド35を所定距離だけ下降させる。その結果、ロッド35および手先部37が下降すると共に、チャック374に把持されたパレットPも下降して排出コンベア20Bのメインベルト24に当接する。リニアアクチュエータ36が上記所定距離だけ下降駆動を行うと、リニアアクチュエータ36の下降駆動が終了し、下降ブロックが終了する。
アンチャックブロックでは、PLC2は、チャックアクチュエータ373にアンチャック用の制御信号を出力する。これにより、チャックアクチュエータ373はアンチャック駆動を実現する。すなわち、チャックアクチュエータ373はチャック374を開く方向に移動させる。その結果、チャック374はパレットPを開放する。アンチャックブロックは予め定められた時間だけ継続する。
アンチャックブロック直後の上昇ブロックでは、PLC2は、リニアアクチュエータ36に上昇用の制御信号を出力する。これにより、リニアアクチュエータ36は上昇駆動を実現する。すなわち、リニアアクチュエータ36はロッド35を所定距離だけ上昇させる。その結果、ロッド35および手先部37が上昇する。この際、チャック374はパレットPを把持していない。リニアアクチュエータ36が上記所定距離だけ上昇駆動を続けると、リニアアクチュエータ36の上昇駆動が終了し、上昇ブロックが終了する。
搬送戻しブロックでは、PLC2は、モータ33に戻し用の制御信号を出力する。これにより、モータ33は、軸Xを中心として搬送送りブロック時とは逆方向に所定角度だけ回転することで戻し駆動を実現する。これにより、可動ケーシング34、ロッド35、リニアアクチュエータ36、手先部37が、図3中反時計回り方向に上記所定角度だけ回転する。その結果、チャック374が、排出コンベア20Bのメインベルト24の上方から、投入コンベア20Aのメインベルト24の上方に向かって、弧を描いて移動する。モータ33が上記所定角度だけ回転すると、モータ33の戻し駆動が終了し、搬送戻しブロックが終了する。搬送戻しブロックの終了時点で、チャック374およびパレットストッパ371は、投入コンベア20Aのメインベルト24の上方に位置している。
搬送戻しブロック直後の下降ブロックでは、PLC2は、リニアアクチュエータ36に下降用の制御信号を出力する。これにより、リニアアクチュエータ36は下降駆動を実現する。すなわち、リニアアクチュエータ36はロッド35を所定距離だけ下降させる。その結果、ロッド35および手先部37が下降すると共に、チャック374およびパレットストッパ371も下降して投入コンベア20Aのメインベルト24のすぐ上方に到達する。リニアアクチュエータ36が上記所定距離だけ下降駆動を続けると、リニアアクチュエータ36の下降駆動が終了し、下降ブロックが終了する。下降ブロックが終了した段階で、パレットPは、排出コンベア20Bのメインベルト24上に載置された状態となっている。
排出コンベア20Bを作動させる行程では、PLC2は、パレット搬送ブロックという動作ブロックを実現する。このパレット搬送ブロックでは、PLC2は、パレットPを搬送してロボット30から遠ざける動作を排出コンベア20Bに行わせる。具体的には、PLC2は、排出コンベア20Bのモータ27に制御信号を出力することで、モータ27を作動させる。これにより、上述の通りメインベルト24が回転する。その結果、メインベルト24上に載置されたパレットPがロボット30から遠ざかる方向に移動する。なお、このパレット搬送ブロックは、ロボット30を作動させる行程中のアンチャックブロックの直後に、上昇ブロックと同時並行で実現されてもよい。
このように、上記複数の動作ブロック間では、複数のアクチュエータの動作態様および複数の可動部の動作態様が、異なっている。つまり、複数のアクチュエータのうちどれが作動するか、および、複数の可動部のうちどれが動くかが、上記複数の動作ブロック間で異なっている。
投入コンベア20A、排出コンベア20B、ロボット30がこのような動作を行ったとき、アクチュエータであるモータ27、モータ33、リニアアクチュエータ36、チャックアクチュエータ373の駆動によって、可動部が移動する。可動部は、第1プーリ23a、第2プーリ23b、メインベルト24、第3プーリ25a、第4プーリ25b、サブベルト26、可動ケーシング34、ロッド35、リニアアクチュエータ36、パレットストッパ371、アーム372、チャックアクチュエータ373、チャック374である。
これら可動部は、異なるアクチュエータによって駆動される。例えば、可動ケーシング34は、モータ33によって駆動されるが、ロッド35はモータ33のみならずリニアアクチュエータ36によっても駆動される。
また、パレットPがパレットストッパ371に当たると、パレットストッパ371が僅かに移動する。
また、PLC2は、上述の各種動作ブロックの切り替わりタイミングを示す同期信号を、計測判定装置3に出力する。
上述のような機械動作サイクルの結果、投入コンベア20A、排出コンベア20B、ロボット30の可動部の各々が駆動されて動いた時に、当該可動部の重心が静的および動的に変動する。投入コンベア20A、排出コンベア20Bにおける可動部の重心の変動は、設備ベース部40、取付ベース部31を介して検出部11に伝わる。また、ロボット30における可動部の重心の変動は、ロボットベース部32を介して検出部11に伝わる。
例えば、ロボット30の可動部の重心の変動によりロボットベース部32は、自身の弾性変形およびボルト13a、13bの弾性変形により、取付ベース部31に対し揺れ動く。検出部11は、ロボットベース部32と取付ベース部31の間に挟まれて取り付けられ、ロボットベース部32の揺れ動きを検出する。したがって、検出部11により、ロボットベース部32の先にある複数の可動部の動作や加わった力の状態監視が可能になる。投入コンベア20A、排出コンベア20Bについても同様である。
より具体的には、可動部の重心の変動に応じて、ロボットベース部32の弾性変形量およびボルト13a、13bの弾性変形量が時間変化することに応じて、検出部11の弾性変形部材111が収縮および伸長する。弾性変形部材111が収縮すると弾性変形部材111の内部で熱が発生する。すると、弾性変形部材111の内部から外部に向かう熱流速が発生する。熱流センサ112は、この熱流速の向きおよび大きさに応じた信号を出力する。
弾性変形部材111が伸長すると弾性変形部材111が吸熱する。すると、弾性変形部材111の外部から内部に向かう熱流速が発生する。熱流センサ112は、この熱流速の向きおよび大きさに応じた信号を出力する。
計測判定装置3は、いずれも不図示のCPU、RAM、ROM、フラッシュメモリ等を有するコンピュータである。CPUが、ROM、フラッシュメモリに記憶されたプログラムを実行し、その実行の際にRAMを作業領域として使用する。このようなCPUの作動により、計測判定装置3が当該プログラムに記述された機能を実現する。RAM、ROM、フラッシュメモリは、非遷移的実体的記憶媒体である。計測判定装置3は、ホスト装置4から上述の計測判定開始の信号を受けると、作動を開始し、ホスト装置4から上述の動作停止信号を受けると、作動を停止する。
計測判定装置3には、熱流センサ112の出力した信号が入力される。入力される信号の波形(すなわち、検出波形)62は、典型的には、図9に示すような波形になる。計測判定装置3は、この検出波形62を用いた判定をリアルタイムで行うため、ホスト装置4とは独立に構成されている。すなわち計測判定装置3は、ホスト装置4と演算装置(すなわちCPU)を共用しないよう、構成されている。このようになっていることで、診断機能のリアルタイム性能を高めることができる。なお、計測判定装置3はホスト装置4とワークメモリ(すなわちRAM)を共用していても共用していなくてもよい。
図9では、横軸が時間、縦軸が信号の出力レベル(例えば出力電圧)を示している。弾性変形部材111の内部から外部への熱流速が大きいほど、出力レベルが高くなり、弾性変形部材111の外部から内部への熱流速が大きいほど、出力レベルが低くなる。弾性変形部材111の内部から外部への熱流速がゼロである場合、出力レベルもゼロになる。
図9に示すように、時点T0から時点T1までの信号が、投入コンベア20Aのパレット搬送ブロックにおける信号である。このパレット搬送ブロック中、時点T1の直前において、信号の振幅が大きくなっている部分がある。この振幅の増大は、パレットPがパレットストッパ371に当たることにより発生している。つまり、パレットPがパレットストッパ371に当たったときのパレットストッパ371の振動が、ロッド35、可動ケーシング34、モータ33を介してロボットベース部32に伝わる。そしてその結果、弾性変形部材111が変形し、熱流センサ112から出力される信号の振幅が増大する。
時点T1から時点T2までの信号が、動動作開始ブロックにおける信号である。このブロックにおいては、投入コンベア20A、排出コンベア20B、ロボット30の可動部が動かないので、信号の振幅はほぼゼロである。
時点T2から時点T3までの信号が、チャックブロックにおける信号である。この期間の後半において、信号の振幅が僅かに大きくなっている部分がある。この振幅の増大は、チャック374がパレットPを把持したことによってより発生している。つまり、パレットPがチャック374を掴んだときのチャック374の振動が、チャックアクチュエータ373、アーム372、ロッド35、可動ケーシング34、モータ33を介してロボットベース部32に伝わる。そしてその結果、弾性変形部材111が変形し、熱流センサ112から出力される信号の振幅が増大する。
時点T3から時点T4までの信号が、チャックブロック直後の上昇ブロックにおける信号である。このブロックにおいてはロッド35、手先部37およびパレットPが上昇することにより、信号の振幅が比較的大きくなる。この上昇ブロックにおいて、ロッド35の上昇が終了すると、信号の振幅がほぼゼロに戻る。この上昇ブロックの開始時点T3から信号の振幅がほぼゼロに戻るまでの時間が長いほど、パレットPの質量が大きい。
時点T4から時点T5までの信号が、搬送送りブロックにおける信号である。このブロックにおいては、可動ケーシング34、ロッド35、リニアアクチュエータ36、手先部37、パレットPが軸Xの周りを旋回することにより、信号の振幅が非常に大きくなる。この搬送送りブロックにおいて、モータ33の出力軸の回転が終了すると、製造設備装置1が静定し、信号の振幅がほぼゼロに戻る。この搬送送りブロックの開始時点T4から信号の振幅がほぼゼロに戻るまでの時間が長いほど、パレットPの質量が大きい。
時点T5から時点T6までの信号が、搬送送りブロック直後の下降ブロックにおける信号である。このブロックにおいてはロッド35、手先部37およびパレットPが下降することにより、信号の振幅が少し大きくなる。ただし、チャックブロック直後の上昇ブロックにおける信号の振幅と比べると、この下降ブロックにおける信号の振幅は小さい。この下降ブロックにおいて、ロッド35の下降が終了すると、信号の振幅がほぼゼロに戻る。
時点T6から時点T7までの信号が、アンチャックブロックにおける信号である。この期間においてパレットPの把持が開放されたときのスプリングバックが信号の振幅変動に反映されている。
時点T7から時点T8までの信号が、アンチャックブロック直後の上昇ブロックにおける信号である。このブロックにおいてはロッド35、および手先部37が上昇するが、パレットPは上昇しないので、チャックブロック直後の上昇ブロックに比べると、信号の振幅が小さい。
時点T8から時点T9までの信号が、搬送戻しブロックにおける信号である。このブロックにおいては、可動ケーシング34、ロッド35、リニアアクチュエータ36、手先部37が軸Xの周りを搬送送りブロック時とは逆に旋回することにより、信号の振幅が大きくなる。ただし、このブロックにおいてはパレットPは旋回しないので、搬送送りブロックに比べると、信号の振幅が小さい。
時点T9から時点T10までの信号が、搬送戻しブロック直後の下降ブロックにおける信号である。このブロックにおいてはロッド35、手先部37が下降する。時点T10の直前において、信号の振幅が比較的大きくなっている。
計測判定装置3は、上述の通り、プログラムに記述された機能を実現することで、このような熱流センサ112からの出力信号に基づいて、複数種類の判定アルゴリズムを使用して判定を行う。以下、判定アルゴリズムを、判定レシピという。
具体的には、計測判定装置3は、PLC2から出力された同期信号に基づいて、現時点でどの動作ブロックが実行中であるかを特定する。PLC2から出力される同期信号は、例えば、現在の動作ブロックが切り替わる毎に、その切り替わりのタイミングで値が上昇する、階段形状の経時変化を示す信号である。
そして計測判定装置3は、実行中の動作ブロックが切り替わったタイミングで、新たに実行開始された動作ブロックに対応付けられた1つまたは複数の判定レシピをブロックレシピ対応情報に基づいて選び出し、選び出した判定レシピを実行する。
つまり、計測判定装置3は、複数の動作ブロックの各々について、1つの機械動作サイクルにおいて出力される検出波形62のうち当該動作ブロックにおいて出力される時間区間を、当該動作ブロックに応じた判定レシピに従って、診断する。
ブロックレシピ対応情報は、計測判定装置3のフラッシュメモリに記録されている。ブロックレシピ対応情報には、複数の動作ブロックと複数の判定レシピとの間の対応付けの情報が記録されている。計測判定装置3は、後述する通り、このブロックレシピ対応情報を、ホスト装置4から取得して記録する。
このように、計測判定装置3は、1つの検出波形62を複数の動作ブロックに対応する複数の時間区間に分ける。そして計測判定装置3は、それらの時間区間の各々に対して、当該時間区間に対応する動作ブロックに応じた判定レシピで、診断を行う。このようにすることで、1つの機械動作サイクルにおける検出波形62に基づいて、容易に、複数の可動部の動作態様に適した診断を行うことができる。
以下、判定レシピが規定する具体的な判定内容について説明する。計測判定装置3は、熱流センサ112から出力された信号と所定の規準値との比較結果に基づいて、製造設備装置1がどのような状態であるかを判定する。
具体的には、計測判定装置3は、1つの判定レシピを実現する際に、図10のフローチャートに示す処理を行う。計測判定装置3は、まずステップS100で、当該判定レシピに対応する動作ブロックにおいて熱流センサ112から出力された信号を取得する。
続いて計測判定装置3は、ステップS103で、取得した信号と判定パラメータとの比較を行う。計測判定装置3は、判定パラメータの値を、あらかじめホスト装置4から取得してもよい。あるいは、計測判定装置3は、判定パラメータを、規準波形61に基づいて算出してもよい。続いて計測判定装置3は、ステップS106で、ステップS103の比較結果に基づいて、製造設備装置1の状態を判定する。
例えば、投入コンベア20Aのパレット搬送ブロックに対応する2つの判定レシピについて説明する。これらの判定レシピにおいては、計測判定装置3は、ステップS103において、規準波形と、直前のステップS100で熱流センサ112から取得した信号の波形(以下、検出波形という)の両方に対して、絶対値化および絶対値化に続く移動平均算出を行う。絶対値化では、対象の波形の各サンプル点における出力レベルの絶対値が算出される。移動平均算出では、絶対値化された波形の各サンプル点の出力レベルが、当該サンプル点を含んで連続する複数のサンプル点の平均値となる。
図11に、絶対値化される前の規準波形61および検出波形62を示す。規準波形61は、後述するように、マネージメント装置5で作成され、ホスト装置4を介して計測判定装置3に渡される。
また、図12に、規準波形61に対して絶対値化とそれに続く移動平均算出がなされた後の波形66、および、検出波形62に対して絶対値化とそれに続く移動平均算出がなされた後の波形67を示す。図11、図12における時点Txと時点Tyの間の期間は、投入コンベア20Aに搬送されてきたパレットPがロボット30のパレットストッパ371が受け止める期間である。
正常な規準波形61、66に対し、投入コンベア20Aのメインベルト24の摩耗等の理由でパレットPの移動速度が落ちると、検出波形62、67のように受け止める時間が遅れると共に、受け止める際の衝撃力が低下する。計測判定装置3は、これらの判定レシピにおいて、このような検出波形62、67の発生を異常と判定する。
具体的には、計測判定装置3は、これらの判定レシピのうち1つである衝突エネルギー判定レシピにおいて、ステップS103で、図12に示すように、波形66のピーク値よりも低い第1閾値Vaおよび第1閾値Vaよりも低い第2閾値Vbを、波形67のピーク値と比較する。第1閾値Va、第2閾値Vbは、判定パラメータである。
そして、波形67のピーク値が第2閾値Vbより低い場合に、ステップS106で、投入コンベア20Aに異常があると判定する。また、波形67のピーク値が第1閾値Va以上である場合に、ステップS106で、投入コンベア20Aが正常であると判定する。また、波形67のピーク値が第1閾値Va未満かつ第2閾値Vb以上である場合に、ステップS106で、投入コンベア20Aには異常はないが、投入コンベア20Aの交換時期が近い警告状態であると判定する。
第1閾値Vaおよび第2閾値Vbは、波形66のピーク値が大きくなるほど大きくなる値であってもよい。例えば、第1閾値Va、第2閾値Vbは、それぞれ、波形66のピーク値の0.9倍、0.8倍であってもよい。
また、計測判定装置3は、これらの判定レシピのうち他の1つである衝突タイミング判定レシピにおいては、ステップS103で、図12に示すように、波形66のピーク値が実現する時点よりも後の第1時点Taおよび第1時点Taよりも後の第2時点Tbを、波形67のピーク値が実現する時点と比較する。第1時点Ta、第2時点Tbは、それぞれ閾値であり且つ判定パラメータである。
そして、波形67のピーク値が実現する時点が第2時点Tbより遅い場合に、ステップS106で、投入コンベア20Aに異常があると判定する。また、波形67のピーク値が実現する時点が第1時点Ta以前である場合に、ステップS106で、投入コンベア20Aが正常であると判定する。また、波形67のピーク値が実現する時点が第1時点Taより後かつ第2時点Tb以前である場合に、ステップS106で、投入コンベア20Aには異常はないが、投入コンベア20Aの交換時期が近い警告状態であると判定する。
第1時点Taおよび第2時点Tbは、波形66のピーク値が実現する時点が遅くなるほど遅くなる時点であってもよい。
次に、チャックブロック直後の上昇ブロックに対応する判定レシピである第1ロボット上昇判定レシピについて説明する。第1ロボット上昇判定レシピにおいては、計測判定装置3は、ステップS103において、図13に示すように、規準波形61と検出波形62の両方について、当該上昇ブロックにおける上限ピーク値と下限ピーク値の差であるピーク幅DP1、DP2を算出する。上限ピーク値とは、最大の極大値であり、下限ピーク値とは、最小の極小値である。
当該上昇ブロックにおける波形61、62は、ロボット30のチャック374がパレットPを把持したまま持ち上げたときの状態を示す波形である。例えばパレット上Pのワークが落下する等の原因で、質量が減った場合、その影響が図13に示すように検出波形62に振幅の低下として現れる。この場合、計測判定装置3は、ロボット30に異常があると判定する。
具体的には、計測判定装置3は、第1ロボット上昇判定レシピにおいて、ステップS103で、ピーク幅DP2と参照幅DPxとを比較する。そして、ピーク幅DP2が参照幅DPx以上であるとき、計測判定装置3はステップS106でロボット30は正常であると判定する。また、ピーク幅DP2が参照幅DPxより小さいとき、計測判定装置3はステップS106でロボット30に異常が発生したと判定する。参照幅DPxは、ピーク幅DP1に基づいて、ピーク幅DP1よりも小さい値として設定される。例えば、参照幅DPxは、ピーク幅DP1の0.9倍であってもよい。参照幅DPxは、閾値であると共に判定パラメータである。
次に、チャックブロック直後の上昇ブロックに対応する判定レシピである第2ロボット上昇判定レシピについて説明する。第2ロボット上昇判定レシピにおいては、計測判定装置3は、ステップS103で、図14に示すように、当該上昇ブロックに対応する期間内における、検出波形62の複数のサンプル点の各々について、上限波形61aおよび下限波形61bと比較を行う。
具体的には、計測判定装置3は、当該複数のサンプル点の各々について、当該サンプル点の出力レベルが、上限波形61aの当該サンプル点と同じ時点の出力レベル以下かつ下限波形61bの当該時点の出力レベル以上の規準範囲に含まれるか否かを、判定する。図14の例では、出力レベルが当該規準範囲に含まれないサンプル点が、期間Tz中に複数ある。
そして、計測判定装置3は、当該複数のサンプル点のうち、出力レベルが当該規準範囲に含まれないサンプル点の総数が、所定個数以上であるか否かを判定する。所定個数は、1でもよいし、5でもよいし、10でもよい。
そして、計測判定装置3は、当該総数が当該所定個数未満である場合、計測判定装置3はステップS106でロボット30は正常であると判定する。また、計測判定装置3は、当該総数が当該所定個数以上である場合、計測判定装置3はステップS106でロボット30に異常が発生したと判定する。
なお、上限波形61aは、後述するように、規準波形61に対して規準許容誤差が加算された波形である。また、下限波形61bは、後述するように、規準波形61に対して規準許容誤差が減算された波形である。規準許容誤差は、正の値である。
これら上限波形、下限波形は、後述するように、マネージメント装置5で作成され、ホスト装置4を介して計測判定装置3に渡される。上限波形61aの各時点の値、下限波形61bの各時点の値、および所定個数は、閾値であると共に判定パラメータである。
計測判定装置3は、各機械動作サイクル中に、対応する機械動作サイクルで実行されたすべての判定レシピで行われた判定の結果を、複数の出力ビットから成るビット列という形で、PLC2に出力する。
例えば、上述の衝突エネルギー判定レシピにおいては、計測判定装置3は、以下のようなビット列を判定結果としてPLC2に出力する。すなわち、計測判定装置3は、異常があると判定した場合はフラッグAに対応するビット列をPLC2に出力し、警告状態であると判定した場合はフラッグBに対応するビット列をPLC2に出力する。フラッグAに対応するビット列は、例えば、第1出力ビットと第2出力ビットの両方をオンとするビット列である。フラッグBに対応するビット列は、例えば、第1出力ビットだけをオンとし、第2出力ビットをオフとするビット列である。
フラッグA、B等の複数のフラッグは、互いに異なる内容のビット列に対応する。これら複数のフラッグとビット列との対応関係は、フラッグ情報として計測判定装置3のフラッシュメモリに記録されている。上記の例では、フラッグAは緊急停止用のフラッグであり、フラッグBは警告表示用のフラッグである。また、各判定レシピにおける複数の判定結果とフラッグとの対応関係は、フラッグ情報として計測判定装置3のフラッシュメモリに記録されている。計測判定装置3はフラッグ情報を、後述する通り、ホスト装置4から取得する。
PLC2は、このようなビット列が計測判定装置3から出力されると、出力されたビット列の内容に応じた作動を行う。例えば、PLC2は、フラッグAに対応するビット列の情報を取得すると、製造設備装置1のアクチュエータの作動を即時停止させることで製造設備装置1を異常停止させる。また例えば、PLC2は、フラッグBに対応するビット列の情報を取得すると、PLC2は、アクチュエータの制御は継続したまま、製造設備装置1の図示しない警告ランプを点灯させる。
このように、PLC2では、ビット列と製造設備装置1の制御内容との対応関係があらかじめ定まっている。したがって、瞬時に作動を止める必要がある緊急性の高い異常の場合の瞬時停止や、緊急性は高く無いが一旦設備を止めて調査の必要がある異常の場合のサイクル停止など、レベルの異なる異常判定に応じた製造設備装置1の作動を実現することもできる。
また、計測判定装置3は、1つの機械動作サイクルが終了する毎に、当該機械動作サイクルに対応するサイクルデータをホスト装置4に出力する。サイクルデータには、対応する機械動作サイクル中のすべての動作ブロックに亘る規準波形61、検出波形62が含まれている。また、サイクルデータには、対応する機械動作サイクルにおいてPLC2から取得した同期信号が含まれている。また、サイクルデータには、対応する機械動作サイクルで実行されたすべての判定レシピの判定結果が、互いに関連付けられた1まとまりのデータとして、含まれる。判定レシピの判定結果の情報は、どの動作ブロックで、どの判定レシピが使用されて、どのような判定結果が得られたかを示す。
ホスト装置4は、いずれも不図示のCPU、RAM、ROM、フラッシュメモリ等を有するコンピュータである。CPUが、ROM、フラッシュメモリに記憶されたプログラムを実行し、その実行の際にRAMを作業領域として使用する。このようなCPUの作動により、ホスト装置4が当該プログラムに記述された機能を実現する。RAM、ROM、フラッシュメモリは、非遷移的実体的記憶媒体である。
ホスト装置4は、計測判定装置3から1つの機械動作サイクル毎に出力されたサイクルデータを取得する。またホスト装置4は、上述のプログラムに記述された機能を実現することで、当該サイクルデータに基づいて、図17に示すデータ蓄積処理41、可視化処理42、動作条件変更処理43、およびエンコード処理44を実行する。
データ蓄積処理41では、ホスト装置4は、サイクルデータを取得する毎に当該サイクルデータをフラッシュメモリに逐次記録する。
また、当該機械動作サイクルで加工対象となっているワークに不良が発生した場合、作業者は、当該機械動作サイクルを特定する情報と、当該ワークの不良の種別(例えば、フラックス塗布不良、ろう付け不良)とを、ホスト装置4に入力する。入力は、作業者がホスト装置4の入力装置(例えばキーボード)を使用して行う。するとホスト装置4は、データ蓄積処理41において、入力された情報に基づいて、不良が発生した機械動作サイクルに対応するサイクルデータに対して、当該ワークの不良の種別を関連付けるように、当該ワークの不良の種別をフラッシュメモリに記録する。このようにして記録された不良の種別は、良・不良データである。不良が発生しなかった機械動作サイクルに対応するサイクルデータには、空の良・不良データが記録されることになる。つまり、良・不良データが空であるということは、不良がなかったということを示している。また、良・不良データに不良の種別が含まれているということは、不良が発生したということを示している。すなわち、蓄積されたデータに基づいて作成された規準波形および判定パラメータと、検出波形との比較に基づき、品質保証を行うことが可能となる。これにより、各々がセンサを有する複数の製造設備装置から成るシステムにおいて、個々の製造設備装置における工程内で、他の製造設備装置内の工程を必要とせず、自工程完結を実現することができる。自工程完結とは、ある1つの製造設備装置における工程で得られた物は、その1つの製造設備装置において品質が検査および保証されることをいう。
また、可視化処理42では、ホスト装置4は、データ蓄積処理41によって蓄積されたサイクルデータに基づいて、図示しない画像表示装置を用いて、作業者へ情報表示を行う。例えば、ホスト装置4は、図18に示すように、同じ1つの機械動作サイクルにおける規準波形61、検出波形62、および同期信号63を、時間軸を合わせて、画像表示装置の一画面に同時に表示させる。これにより、画像表示装置は、同期信号63の変化タイミングに対する検出波形62の変化のずれを、作業者に対して可視化することができる。
また例えば、ホスト装置4は、図19に示すように、複数の機械動作サイクルにおける検出波形62a、62b、62c、および同じ複数の機械動作サイクルにおける同期信号63a、63b、63cを、時間軸を合わせて、画像表示装置の一画面に同時に表示させる。これにより、作業者は、複数の機械動作サイクル間における同期信号63の変化タイミングのずれが時間の経過と共に少しずつ増えていき、検出波形62a、62b、62cの変動タイミングがずれていることを把握できる。また作業者は、これにより、パレットPに載置されたワークの質量に違いがあることを認識することができる。
動作条件変更処理43では、ホスト装置4は、データ蓄積処理41によって蓄積されたサイクルデータに基づいて、動作条件を変更する。動作条件(例えば加工条件)の変更としては、例えば、モータ27の回転速度の変更、モータ33の回転速度の変更等がある。そしてホスト装置4は、加工条件の変更内容をPLC2に出力する。PLC2は、出力された加工条件の変更内容を反映した上で、アクチュエータを制御する。なお、ホスト装置4は、加工条件変更処理43において、加工条件を変更した場合は、可視化処理42において、加工条件が変更されたことを画像表示装置に表示してもよい。
また、ホスト装置4は、データ蓄積処理41によって蓄積されたサイクルデータのデータを、マネージメント装置5に送信する。エンコード処理44については後述する。
マネージメント装置5は、いずれも不図示のCPU、RAM、ROM、フラッシュメモリ等を有するコンピュータである。CPUが、ROM、フラッシュメモリに記憶されたプログラムを実行し、その実行の際にRAMを作業領域として使用する。このようなCPUの作動により、マネージメント装置5が当該プログラムに記述された機能を実現する。RAM、ROM、フラッシュメモリは、非遷移的実体的記憶媒体である。
製造設備装置1、PLC2、計測判定装置3、ホスト装置4は、同じ建物内に配置されている。マネージメント装置5は、製造設備装置1、PLC2、計測判定装置3、ホスト装置4が配置された建物内に配置されていてもよいし、当該建物外の遠隔地に配置されていてもよい。ホスト装置4とマネージメント装置5との接続形態は、有線接続でもよいし、無線接続でもよい。
マネージメント装置5は、上記プログラムに記述された機能を実現することで、図1に示すように監視コード作成処理51、シミュレーション処理52、および規準波形作成処理53を実行する。
監視コード作成処理51は、複数のブロックの各々についてどのような判定レシピを使用するかを示すブロックレシピ対応情報を作成する処理である。マネージメント装置5は、監視コード作成処理51を実行することで作成部として機能する。
シミュレーション処理52は、製造設備装置1の複数の機械動作サイクルにおいて熱流センサ112が出力した複数の検出波形62の各々に対して、ブロックレシピ対応情報に従った判定レシピを適用する処理である。マネージメント装置5は、シミュレーション処理52を実行することでシミュレーション部として機能する。
規準波形作成処理53は、製造設備装置1の複数の機械動作サイクルにおいて熱流センサ112が出力した複数の検出波形62に基づいて、新たな規準波形61、上限波形61a、および下限波形61bを作成する処理である。
監視コード作成処理51では、マネージメント装置5は、不図示の画像表示装置を用いてホスト装置4から取得したサイクルデータのうち1つまたは複数を作業者に表示する。そしてマネージメント装置5は、当該作業者が不図示の入力装置(例えばキーボード)に対して監視コード作成操作を行った場合、当該操作の内容に従って監視コードを作成する。
作業者は、表示された多数の機械動作サイクルの各々における規準波形61、検出波形62、同期信号63、および動作ブロック別のワークの不良の種別に基づいて、不良の種別と検出波形62の振る舞いとの対応関係を動作ブロック毎に判断する。そして作業者は、その判断結果に基づいて、どの動作ブロックでどのような判定レシピを実行すべきかを決定する。更に作業者は、実行すべきと決定した判定レシピについて、判定に使用する判定パラメータの値および判定結果の種類を決定する。このような決定は、1つの熱流センサ112からの出力だけに基づいて決めればよいので、複数のセンサの出力に基づいて決定する場合に比べ、決定作業が容易である。
判定パラメータは、例えば、上述の衝突エネルギー判定レシピにおいては第1閾値Va、第2閾値Vbである。判定パラメータの値としては、例えば、規準波形61のピーク値の0.9倍等である。判定結果は、例えば、上述の衝突エネルギー判定レシピにおいては、正常、異常、および警告状態である。
そして作業者は、決定した内容を上記入力装置を用いて入力する。これにより、マネージメント装置5は、入力された情報をフラッシュメモリに記録する。
なお、マネージメント装置5自体が監視コード作成処理51において、規準波形61のピーク値の0.9倍として判定パラメータである第1閾値Vaの値を自動的に決定し、決定した値をフラッシュメモリに記録してもよい。
上述の通り、計測判定装置3は、検出波形62とこの判定パラメータとの比較結果に基づいて、複数の可動部の動作を診断する。このように、製造設備装置1の複数の機械動作サイクルにおける複数の検出波形62を用いて複数の可動部の動作を診断することで、当該製造設備装置1の特性に合った診断ができる。
また、使用する検出波形62が熱流センサ112からの検出信号の波形のみなので、複数個のセンサからの信号を用いて統計的に判定パラメータを作成する場合に比べ、非常に容易に判定パラメータを決定することができる。実際、複数の機械動作サイクルにおける熱流センサ112からの検出波形62を平均化した規準波形61から、自動化できる程度に容易に、判定パラメータを作成できる。
上記のようにマネージメント装置5に記録された情報は、図20に示すような構造となっている。以下、この情報を監視コード90という。監視コード90は、1つのブロックレシピ対応情報91、複数のレシピパラメータ情報92、および複数のフラッグ情報93を含んでいる。
ブロックレシピ対応情報91は、複数の動作ブロックの各々について、その動作ブロックで使用される判定レシピ、その動作ブロックで使用される判定レシピに対応するフラッグが記載されている。フラッグは、対応する判定レシピにおいて出力される判定結果の種別を示す。
複数のレシピパラメータ情報92は、ブロックレシピ対応情報91中の複数の判定レシピと1対1に対応付けられている。複数のレシピパラメータ情報92の各々は、対応する判定レシピで使用される判定パラメータの具体的な値を含んでいる。
複数のフラッグ情報93は、ブロックレシピ対応情報91中の複数のフラッグと1対1に対応付けられている。複数のフラッグ情報93の各々は、対応する判定レシピで使用されるフラッグに対応するビット列の情報を含んでいる。また、複数のフラッグ情報93の各々は、当該複数のフラッグ情報93に対応するフラッグが、どの判定レシピのどのような判定結果に対応するかの情報も、含んでいる。
マネージメント装置5は、監視コード作成処理51において、このようにして記録した監視コードをホスト装置4に送信してもよい。あるいは、マネージメント装置5に記録された監視コード90は、ポータブルメモリに保存された状態で人によってホスト装置4まで移動させられ、ポータブルメモリからホスト装置4に転送されてもよい。ポータブルメモリは、非遷移的実体的記憶媒体である。
ホスト装置4は、上述のエンコード処理44にて、このようにして取得した監視コード90に基づいて、監視コード90のエンコードを行う。エンコードとは、ブロックレシピ対応情報91に記述された動作ブロック毎の判定レシピを計測判定装置3が実現できるようなプログラムを作成することをいう。このようにして作成された監視コード90のプログラムは、レシピパラメータ情報92、複数のフラッグ情報93の情報も反映している。
ホスト装置4は、このようにして作成された監視コード90のプログラムおよびフラッグ情報93を、計測判定装置3に出力する。上述した計測判定装置3による判定レシピに基づく作動は、計測判定装置3のCPUがこの監視コード90のプログラムを実行し、その際にフラッグ情報93を参照することで、実現する。
なお、監視コード作成処理51において作業者がこのようにして行う決定を、マネージメント装置5が自動的に実行するようになっていてもよい。
シミュレーション処理52では、マネージメント装置5は、ホスト装置4から取得した複数のサイクルデータ中の規準波形61、検出波形62、同期信号63を用いて、監視コード作成処理51によって作成された監視コード90のシミュレーションを行う。
具体的には、マネージメント装置5は、同期信号63に基づいて、検出波形62を複数の動作ブロックに対応する複数の時間区間に分ける。そしてマネージメント装置5は、それら複数の動作ブロックの各々について、監視コード90のブロックレシピ対応情報91で当該動作ブロックに対応付けられた判定レシピを、レシピパラメータ情報92、複数のフラッグ情報93に従った形態で、実現する。これにより、規準波形61のうち各動作ブロックに対応する時間区間中の波形が、当該動作ブロックに対応する判定レシピの判定対象となる。そしてその際、検出波形62も判定閾値の具体的値を決めるために用いられる。
そしてマネージメント装置5は、このようにして行われたシミュレーションの結果として、各サイクルデータの各動作ブロックにおける判定レシピの判定結果および各サイクルデータ中の良・不良データが示す内容を、画像表示装置に出力する。作業者は、これら判定レシピの判定結果と良・不良データの内容に基づいて、監視コード90が適切なものであるか否かを判断することができる。
もし監視コード90が適切でないなら、作業者は監視コード90を修正した上で修正後の監視コード90を対象としてシミュレーション処理52をマネージメント装置5に行わせる。そして作業者は、シミュレーション処理52によって適切であると判断できた監視コード90について、ホスト装置4に渡すための操作を行う。これにより、シミュレーション処理52によって適切であると判明した監視コード90のみが、ホスト装置4に渡される。
このようなシミュレーション処理52により、監視コード作成処理51で作成されたブロックレシピ対応情報91が適切か否かを、当該ブロックレシピ対応情報91が実際に計測判定装置3で用いられる前に、作業者が判断することができる。
規準波形作成処理53では、マネージメント装置5は、計測判定装置3の判定レシピにおいて用いられる規準波形61、上限波形61a、下限波形61bを作成する。具体的には、マネージメント装置5は、まず、複数のサイクルデータ中の検出波形62を抽出する。そして、抽出した検出波形62のサンプル点に対応する複数の時点の各々について、平均値および標準偏差σを算出する。
個々の時点における平均値および標準偏差σの算出方法は、以下の通りである。マネージメント装置5は、抽出した複数の検出波形62から、図15に示すように、当該時点(例えば時点t)と同じ時点における複数の出力レベル62xを母集団として抽出する。
そしてマネージメント装置5は、図16に示すように、母集団として抽出した複数の出力レベル62xの平均値および標準偏差σを算出する。ここで、同じ時点とは、機械動作サイクルの開始時点からの経過時間が同じ時点をいう。これにより、個々の時点における平均値および標準偏差σの算出が完了する。
そして、マネージメント装置5は、これら複数の時点の各々における平均値から成る波形を、新たな規準波形61とする。また、マネージメント装置5は、新たな規準波形61に対して、規準許容誤差だけ加算された波形を、新たな上限波形61aとする。また、マネージメント装置5は、新たな規準波形61に対して、当該規準許容誤差だけ減算された波形を、新たな下限波形61bとする。
規準許容誤差は、時点毎に値が異なるよう、マネージメント装置5によって算出される。具体的には、マネージメント装置5は、各時点の基準許容誤差を、当該時点において算出された標準偏差σに係数kを乗算した値とする。係数kの値は、時点によらず一定である。係数kの値は、3であってもよいし、1であってもよいし、2であってもよい。このように、規準許容誤差は、規準波形61の作成に用いられた複数のサイクルデータのばらつきが大きいほど大きい統計量である。
なお、規準波形作成処理53で規準波形61、上限波形61a、下限波形61bの作成に用いられる複数のサイクルデータからは、不良が発生した機械動作サイクルに対応するサイクルデータが、すなわち、不良の種別が記録されたサイクルデータが、除外される。つまり、規準波形作成処理53で用いられる複数のサイクルデータは、不良が発生しなかった機械動作サイクルに対応するサイクルデータである。
マネージメント装置5は、規準波形作成処理53において、このようにして作成した新たな規準波形61、上限波形61a、下限波形61bをホスト装置4に送信してもよい。あるいは、このように作成された新たな規準波形61、上限波形61a、下限波形61bは、ポータブルメモリに保存された状態で人によってホスト装置4まで移動させられ、ポータブルメモリからホスト装置4に転送されてもよい。ポータブルメモリは、非遷移的実体的記憶媒体である。
ホスト装置4は、このようにして取得した規準波形61、上限波形61a、下限波形61bを、計測判定装置3に出力する。計測判定装置3は、このようにして取得した規準波形61、上限波形61a、下限波形61bを、上述の通り、判定レシピに基づく作動において使用する。
以上説明した通り、検出部11の熱流センサ112は、複数個の可動部の各々が駆動されることによって発生する揺れ動きに応じた検出波形を出力する。
熱流センサ112を用いて、製造設備装置等の設備装置の動作について診断を行う事を検討した。その際、発明者は設備装置には複数の可動部が設けられていることが多い。これら複数の可動部それぞれにセンサを配置していたのでは、センサの数が多くなってしまう。
また、これら複数の可動部それぞれにセンサを配置していたのでは、それら種類の異なる複数のセンサの信号を統合するために、集計、処理、判定を行うシステムが複雑になる。集計、処理、判定を行うシステムが複雑になると、高速な演算機能および大量のメモリが必要となる。
また、各可動部に直接関係せず、なおかつ可動部が動いていないときでも発生する可能性のある要因の異常は、個別の可動部のために設けられたセンサで検出するのは困難である。これらの事項は、熱流センサ以外の検出部が使用された場合でも同じである。
これに対し、本実施形態の熱流センサ112は、複数個の可動部の各々が駆動されることによって発生する各可動部共通の支持部(すなわちロボットベース部32)の揺れ動きを計測する。したがって、可動部毎にセンサを設ける必要がなくなる。また、複数の信号統合も不要になるため、集計、処理、および判定のシステムが複雑になる可能性が低減される。すなわち、診断システムを低スペックな構成で実現することが可能になる。また、製造設備装置1の外部からの外力によってもロボットベース部32は揺れ動くので、熱流センサ112は外力の異常も検出できるようになる。
(第2実施形態)
次に第2実施形態について説明する。本実施形態の製造設備システムは、第1実施形態の製造設備システムに対して、図2、図3、図4に示す製造設備装置1を図21、図22、図23に示す製造設備装置1に置き換えたものである。
本実施形態の製造設備装置1は、検出部81、投入コンベア20A、排出コンベア20B、P&P装置70、および設備ベース部40を有している。また、製造設備装置1は、ボルト12a、12b、12c、12d、15a、15b、16a、16cを有している。
本実形態の診断システムは、検出部81、PLC2、計測判定装置3、ホスト装置4、マネージメント装置5を有している。
検出部81は、検出部81を除いた製造設備装置1の挙動を検出するためのセンサである。投入コンベア20Aは、製造設備装置1に供給されたパレットPをP&P装置70に近づけるための装置である。排出コンベア20Bは、パレットPをP&P装置70から遠ざけて製造設備装置1の外部に供給する装置である。パレットPには、加工対象のワークが載置されている。このワークが、加工後に製品となる。投入コンベア20A、排出コンベア20Bの構成および作動は、第1実施形態と同じである。
P&P装置70は、投入コンベア20AからパレットPを取って排出コンベア20Bに移動させる装置である。
設備ベース部40は、投入コンベア20A、排出コンベア20B、P&P装置70、検出部81が載置される土台である。例えば、設備ベース部40は、床の上に置かれてもよい。あるいは、設備ベース部40は、床に置かれた他の部材に固定されていてもよい。
P&P装置70は、脚部71、搬送シリンダ72、搬送可動部73、ガイドレール74、上下シリンダ75、チャックシリンダ76、チャック77、固定アーム78、パレットストッパ79を有する。
脚部71の下端は、図23に示すように、脚部本体711、脚部固定部712a、脚部固定部712bを有している。脚部本体711は、上下方向に伸びる棒形状の部材である。図21に示すように、脚部本体711の上端は搬送シリンダ72および搬送シリンダ72にボルト締結等の取付媒介物によって固定されている。また図21に示すように、脚部本体711の上部には、固定アーム78が固定されている。
脚部固定部712aは、図23に示すように、ボルト15aを介して設備ベース部40に固定的に締結により繋げられていると共に、ボルト16aを介して脚部本体711の下端部に固定的に締結により繋げられている。脚部固定部712bは、図23に示すように、ボルト15bを介して設備ベース部40に固定的に締結により繋げられていると共に、ボルト16bを介して脚部本体711の下端部に固定的に締結により繋げられている。このように、脚部71は、ボルト15a、15bによって、設備ベース部40に固定されている。ボルト15a、15b、16a、16bは、取付媒介物である。また、脚部71の脚部固定部712bは、P&P装置70の可動部を支持する支持部材に対応する。
搬送シリンダ72は、脚部71の上端部に固定され、搬送可動部73を空気圧によって駆動する周知のエアシリンダである。搬送シリンダ72はアクチュエータである。
搬送可動部73は、搬送シリンダ72によって駆動されることで、ガイドレール74に支持されながらガイドレール74に沿って水平方向に(すなわちは図22中の紙面上下方向に)移動する。ガイドレール74は、脚部71の上端部に固定されて、搬送可動部73を摺動可能に支持する。
上下シリンダ75は、搬送可動部73に固定され、チャックシリンダ76を空気圧によって駆動する周知のエアシリンダである。上下シリンダ75はアクチュエータである。
チャックシリンダ76は、チャックシリンダ76によって上下方向(すなわち図21の紙面上下方向)に駆動される。また、チャックシリンダ76は、チャック77を空気圧によって開閉駆動する周知のエアシリンダである。チャックシリンダ76はアクチュエータである。
チャック77は、チャックシリンダ76によって駆動されることで開閉する部材である。チャック77が閉じることで物がチャック77に把持される。チャック77が開くことで物が開放される。
固定アーム78は、脚部71に固定され、脚部71の上端部付近から投入コンベア20A側に伸びる棒形状の部材である。パレットストッパ79は、図21、図22に示すように、固定アーム78の投入コンベア20A側の先端に取り付けられる。このパレットストッパ79は、投入コンベア20Aによって動かされるパレットPに当たることでパレットPの移動を止めるための部材である。
P&P装置70のうち、脚部71、搬送シリンダ72、ガイドレール74、固定アーム78、パレットストッパ79が可動部でない部材である。また、搬送可動部73、上下シリンダ75、チャックシリンダ76、チャック77が可動部に該当する。
これら可動部は、異なるアクチュエータによって駆動される。例えば、搬送可動部73は搬送シリンダ72によって駆動されるが、チャックシリンダ76は搬送シリンダ72のみならず上下シリンダ75によっても駆動される。
検出部81は、図23に示すように、センサ固定部材810、弾性変形部材111、熱流センサ112を有している。
センサ固定部材810は、脚部固定部712bと熱流センサ112の間に挟まって配置されていると共に、弾性変形部材111および熱流センサ112とボルト15bとの間に配置されている。センサ固定部材810は、弾性変形部材111の初期圧縮寸法を適正に決め、且つ熱流センサ112の位置を固定させるための部材である。センサ固定部材810は、第1実施形態のスペーサ110と類似の機能を実現する。
弾性変形部材111は、センサ固定部材810または設備ベース部40から力を受けて弾性変形するシート状の部材である。弾性変形部材111は熱流センサ112およびセンサ固定部材810と上下方向に重なっている。また、弾性変形部材111は熱流センサ112とセンサ固定部材810の間に挟まれている。弾性変形部材111の形状および材質は、第1実施形態と同等である。
弾性変形部材111は、脚部固定部712bよりも、設備ベース部40よりも、センサ固定部材810よりも、熱流センサ112よりも、ヤング率が低い(すなわち変形し易い)。
この弾性変形部材111は、P&P装置70が作動していない状態(以下、基本状態という)では、センサ固定部材810と熱流センサ112に挟まれて上下方向に圧縮された状態となっている。
P&P装置70の揺れ動きにより、脚部固定部712bと設備ベース部40の間の間隔は変化し、弾性変形部材111は伸縮変形する。この基本状態から弾性変形部材111が上下方向DRに圧縮されると、弾性変形部材111は発熱する。また、この基本状態から弾性変形部材111が上下方向に伸長されると、弾性変形部材111は吸熱する。
熱流センサ112は、弾性変形部材111と設備ベース部40の間に挟まれている。熱流センサ112は、弾性変形部材111と接触しかつ弾性変形部材111と上下方向に重なることで、弾性変形部材111の熱の流れを検出可能になっている。熱流センサ112の構成は、第1実施形態と同じである。
このように、弾性変形部材111および熱流センサ112が、脚部固定部712bと設備ベース部40の間に挟まれている。より具体的には、弾性変形部材111および熱流センサ112が、脚部固定部712bと設備ベース部40の間にあるセンサ固定部材810の凹みに収容されている。これにより、P&P装置70の複数の可動部が駆動されることによる揺れ動きを弾性変形部材111の変形に反映させることが、こうなっていない場合に比べ、より確実になる。
また、センサ固定部材810における凹みが、脚部固定部712bと設備ベース部40の間における弾性変形部材111と熱流センサ112のスペースを設ける。センサ固定部材810の上下方向の凹みの深さが増加すると、脚部固定部712bと設備ベース部40の間における弾性変形部材111および熱流センサ112のスペースの上下方向の幅が増加する。したがって、センサ固定部材810の凹みの上下方向の高さが増大すると、弾性変形部材111の上下方向の取り付け厚みが増大する。
したがって、センサ固定部材810の凹みの上下方向の深さを調整することで、弾性変形部材111の弾性変形量を調整することができる。この例では、センサ固定部材810が、弾性変形調整部材に対応する。
なお、センサ固定部材810と脚部固定部712bとの固定、センサ固定部材810と弾性変形部材111との固定、弾性変形部材111と熱流センサ112との固定は、いずれも接着剤または粘着テープで実現される。
本実施形態では、PLC2は、製造設備装置1のアクチュエータ(すなわち、投入コンベア20Aのモータ27、排出コンベア20Bのモータ27、搬送シリンダ72、上下シリンダ75、チャックシリンダ76)を制御する。
より具体的には、PLC2は、ホスト装置4から動作開始信号を受けると、所定の機械動作サイクルを多数回繰り返し実現するよう、制御信号を上記アクチュエータに出力する。またPLC2は、ホスト装置4から動作停止信号を受けると、上記アクチュエータの作動を停止させる。
1つの機械動作サイクルは、例えば、図8に示すように、まず、投入コンベア20Aを作動させる行程と、次に、P&P装置70を作動させる行程と、最後に排出コンベア20Bを作動させる行程とを含む。
投入コンベア20Aを作動させる行程では、PLC2は、パレット搬送ブロックを実現する。このパレット搬送ブロックでは、PLC2は、パレットPを搬送してP&P装置70に近づける動作を投入コンベア20Aに行わせる。この際、PLC2による投入コンベア20Aのモータ27の制御内容は、第1実施形態の作動においてパレットストッパ371をパレットストッパ79に置き換えたものと同じである。
P&P装置70を作動させる行程では、PLC2は、第1実施形態のロボット30を作動させる行程と同じく、動作開始、チャック、上昇、搬送送り、下降、アンチャック、上昇、搬送戻し、下降という8個の動作ブロックをこの順で、間を置かずに順番に実現する。
動作開始ブロックでは、PLC2は、P&P装置70の動作を開始するための各種初期化処理を実行する。動作開始ブロックにおいては、どのアクチュエータも作動せず、P&P装置70の可動部は駆動されない。
チャックブロックでは、PLC2は、チャックシリンダ76にチャック用の制御信号を出力する。これにより、チャックシリンダ76はチャック駆動を実現する。すなわち、チャックシリンダ76はチャック77を閉じる方向に移動させる。その結果、チャック77はパレットPの上端部を把持する。チャックブロックは予め定められた時間だけ継続する。
チャックブロック直後の上昇ブロックでは、PLC2は、上下シリンダ75に上昇用の制御信号を出力する。これにより、上下シリンダ75は上昇駆動を実現する。すなわち、上下シリンダ75はチャックシリンダ76を所定距離だけ上昇させる。その結果、チャックシリンダ76およびチャック77が上昇すると共に、チャック77に把持されたパレットPも上昇して投入コンベア20Aのメインベルト24から離れる。上下シリンダ75が上記所定距離だけ上昇駆動を続けると、上下シリンダ75の上昇駆動が終了し、上昇ブロックが終了する。
搬送送りブロックでは、PLC2は、搬送シリンダ72に送り用の制御信号を出力する。これにより、搬送シリンダ72は送り駆動を実現する。これにより、搬送可動部73、上下シリンダ75、チャックシリンダ76、チャック77が、ガイドレール74に沿って図22中上方向に移動する。その結果、チャック77に把持されたパレットPが、投入コンベア20Aのメインベルト24の上方から、排出コンベア20Bのメインベルト24の上方に向かって、直線的に移動する。チャック77が排出コンベア20Bのメインベルト24の上方に到達すると、搬送シリンダ72の送り駆動が終了し、搬送送りブロックが終了する。
搬送送りブロック直後の下降ブロックでは、PLC2は、上下シリンダ75に下降用の制御信号を出力する。これにより、上下シリンダ75は下降駆動を実現する。すなわち、上下シリンダ75はチャックシリンダ76を所定距離だけ下降させる。その結果、チャックシリンダ76およびチャック77が下降すると共に、チャック77に把持されたパレットPも下降して排出コンベア20Bのメインベルト24に当接する。上下シリンダ75が上記所定距離だけ下降駆動を行うと、上下シリンダ75の下降駆動が終了する。下降ブロックの開始から所定期間経過後に、下降ブロックが終了する。
アンチャックブロックでは、PLC2は、チャックシリンダ76にアンチャック用の制御信号を出力する。これにより、チャックシリンダ76はアンチャック駆動を実現する。すなわち、チャックシリンダ76はチャック77を開く方向に移動させる。その結果、チャック77はパレットPを開放する。アンチャックブロックは予め定められた時間だけ継続する。
アンチャックブロック直後の上昇ブロックでは、PLC2は、上下シリンダ75に上昇用の制御信号を出力する。これにより、上下シリンダ75は上昇駆動を実現する。すなわち、上下シリンダ75はチャックシリンダ76を所定距離だけ上昇させる。その結果、チャックシリンダ76およびチャック77が上昇する。この際、チャック77はパレットPを把持していない。上下シリンダ75が上記所定距離だけ上昇駆動を続けると、上下シリンダ75の上昇駆動が終了し、上昇ブロックが終了する。
搬送戻しブロックでは、PLC2は、搬送シリンダ72に戻し用の制御信号を出力する。これにより、搬送シリンダ72は戻し駆動を実現する。これにより、搬送可動部73、上下シリンダ75、チャックシリンダ76、チャック77が、ガイドレール74に沿って搬送送りブロック時とは逆方向に移動する。その結果、チャック77が、排出コンベア20Bのメインベルト24の上方から、投入コンベア20Aのメインベルト24の上方に向かって、直線的に移動する。チャック77が投入コンベア20Aのメインベルト24の上方に到達すると、搬送シリンダ72の送り駆動が終了し、搬送戻しブロックが終了する。
搬送戻しブロック直後の下降ブロックでは、PLC2は、上下シリンダ75に下降用の制御信号を出力する。これにより、上下シリンダ75は下降駆動を実現する。すなわち、上下シリンダ75はチャックシリンダ76を所定距離だけ下降させる。その結果、チャックシリンダ76およびチャック77が下降すると共に、チャック77も下降して投入コンベア20Aのメインベルト24のすぐ上方に到達する。上下シリンダ75が上記所定距離だけ下降駆動を続けると、上下シリンダ75の下降駆動が終了し、下降ブロックが終了する。下降ブロックが終了した段階で、パレットPは、排出コンベア20Bのメインベルト24上に載置された状態となっている。
排出コンベア20Bを作動させる行程では、PLC2は、パレット搬送ブロックを実現する。このパレット搬送ブロックでは、PLC2は、パレットPを搬送してP&P装置70から遠ざける動作を排出コンベア20Bに行わせる。この際、PLC2による排出コンベア20Bのモータ27の制御内容は、第1実施形態の作動と同等である。
また、PLC2は、第1実施形態と同様、上述の各種動作ブロックの切り替わりタイミングを示す同期信号を、計測判定装置3に出力する。
上述のような機械動作サイクルの結果、投入コンベア20A、排出コンベア20B、P&P装置70の可動部の各々が駆動されて動いた時に、当該可動部の重心が静的および動的に変動する。投入コンベア20A、排出コンベア20Bにおける可動部の重心の変動は、設備ベース部40を介して検出部11に伝わる。また、P&P装置70における可動部の重心の変動は、脚部本体711および脚部固定部712bを介して検出部81に伝わる。
例えば、P&P装置70の可動部の重心の変動により脚部固定部712bは、自身の弾性変形およびボルト15bの弾性変形により、設備ベース部40に対し揺れ動く。検出部81は、脚部固定部712bと設備ベース部40の間に挟まれて取り付けられ、脚部固定部712bの揺れ動きを検出する。したがって、検出部81により、P&P装置70の先にある複数の可動部の動作や加わった力の状態監視が可能になる。投入コンベア20A、排出コンベア20Bについても同様である。
より具体的には、可動部の重心の変動に応じて、脚部固定部712bの弾性変形量およびボルト15bの弾性変形量が時間変化することに応じて、検出部81の弾性変形部材111が収縮および伸長する。弾性変形部材111の収縮および伸長に応じて熱流センサ112が出力する信号は、第1実施形態と同様である。
第1実施形態において実現する動作ブロックの順序および内容は、本実施形態において実現する動作ブロックの順序および内容と概ね同じである。したがって、本実施形態における1つの機械動作サイクルで熱流センサ112が出力する検出波形62は、第1実施形態と同じである。したがって、PLC2、計測判定装置3、ホスト装置4、マネージメント装置5の他の作動は、第1実施形態と同じである。
(他の実施形態)
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。特に、ある量について複数個の値が例示されている場合、特に別記した場合および原理的に明らかに不可能な場合を除き、それら複数個の値の間の値を採用することも可能である。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。また、本発明は、上記各実施形態に対する以下のような変形例および均等範囲の変形例も許容される。なお、以下の変形例は、それぞれ独立に、上記実施形態に適用および不適用を選択できる。すなわち、以下の変形例のうち任意の組み合わせを、上記実施形態に適用することができる。
(変形例1)
上記実施形態において、PLC2は、各機械動作サイクルで、加工対象となっているワークの各々について、良、不良を検出し、その検出結果を示す良・不良データを計測判定装置3に出力してもよい。そして、計測判定装置3は、この良・不良データを、当該機械動作サイクルのサイクルデータに含めてもよい。
(変形例2)
上記第1実施形態において、スペーサ110を廃し、その代わりに、ロボットベース部32に凹みを設けられてもよい。その場合、その凹みに弾性変形部材111と熱流センサ112が配置される。
このようになっていると、ロボットベース部32のうち凹みを形成する部分が、取付ベース部31とロボットベース部32の間における弾性変形部材111と熱流センサ112のスペースを設ける。この凹みの上下方向DRの深さが増加すると、取付ベース部31とロボットベース部32の間における弾性変形部材111および熱流センサ112のスペースの上下方向DRの幅が増加する。したがって、この凹みの上下方向DRの深さが増大すると、弾性変形部材111の上下方向DRの取り付け厚みが増大する。
したがって、この凹みの上下方向DRの深さを調整することで、弾性変形部材111の弾性変形量を調整することができる。この例では、ロボットベース部32のうち凹みを形成する部分が、弾性変形調整部材に対応する。
(変形例3)
上記実施形態においては、取付媒介物としてはボルト(すなわち締結部材)が用いられている。しかし、取付媒介物は、ボルトに限らず、溶接に用いられる溶接ビートであってもよいし、接着剤であってもよい。
(変形例4)
上記実施形態では、弾性変形部材111はゴム製であったが、ゴム製に限らず、樹脂、金属など、弾性変形するものであればどのようなものでもよい。
(変形例5)
上記実施形態では、計測判定装置3、ホスト装置4、マネージメント装置5が別の装置となっている。しかし、計測判定装置3とホスト装置4が同じ装置であってもよい。また、ホスト装置4とマネージメント装置5が同じ装置であってもよい。また、計測判定装置3とホスト装置4とマネージメント装置5が同じ装置であってもよい。
(変形例6)
上記第2実施形態において、脚部固定部712bおよび検出部81は、製造設備装置1とは別に製造、販売されてもよい。その場合、脚部固定部712bおよび検出部81から成る装置は、製造設備システムの一例に該当する。
(変形例7)
上記実施形態では、設備装置の例として製造設備装置1が記載されているが、設備装置は、加工設備装置でもよいし、搬送設備装置でもよい。
(変形例8)
上記実施形態では、1つの診断システムにおいて熱流センサ112が1つだけ用いられている。しかし、必ずしもこのようになっておらずともよい。1つの診断システムが複数の熱流センサを有していてもよい。その場合であっても、それら複数の熱流センサの各々が、複数個の可動部の各々が駆動されることによって発生する揺れ動きによって変形する弾性変形部材の熱の流れを検出可能であれば、各熱流センサは、上記実施形態と同様の効果をもたらす。
(変形例9)
上記第1実施形態では、弾性変形部材111は、ロボット30の動作だけでなく、ロボット30の外部の影響による揺れによっても変形する。したがって、熱流センサ112は、ロボット30の外部の影響による揺れに応じた検出信号も出力する。
例えば、排出コンベア20Bで搬送されたパレットPが排出コンベア20Bの出口で不図示のストッパに当たると、その衝撃は排出コンベア20Bを通して設備ベース部40をゆする。したがって、ロボット30も揺れ動き、熱流センサ112も検出信号を出力する。このようにして熱流センサ112から出力された信号も、1つの機械動作サイクルにおいて通常生じるものであるから、正常な信号である。
また、製造設備装置1の全体に物が衝突する等の場合でも、弾性変形部材111は弾性変形して熱流センサ112もその弾性変形に応じた検出信号を出力する。この例では、製造設備装置1に何らかの異常な外力が加わったとして異常と判定することができる。このように検出対象ユニット(なわち、第1実施形態におけるロボット30)の外部から検出対象ユニットをゆするような外力に対しても、計測判定装置3は、正常異常状態の監視をすることができる。
(変形例10)
上記第1実施形態では、検出部11の構成要素として弾性変形部材111および熱流センサ112が例示されている。しかし、検出部11の構成要素としては、弾性変形部材111および熱流センサ112に置き換えて、図24、図25に示すような圧電素子フィルム115を用いてもよい。
圧電素子フィルム115は、取付ベース部31とロボットベース部32の間に挟まって、取付ベース部31とロボットベース部32に接触している。この圧電素子フィルム115は、ポリフッ化ビニリデンから成るPVDF(polyvinylidence fluoride)フィルムと、信号電極と、グラウンド電極とを有する。PVDFが、信号電極およびグラウンド電極に挟まれている。
これにより、圧電素子フィルム115が圧電素子として機能する。具体的には、ロボットベース部32の揺れ動きによって圧電素子フィルム115に印加された圧力変動に応じて、信号電極とグラウンド電極の間に電位差が発生する。この結果、信号電極は、圧電素子フィルム115の振動および変形に応じた検出波形を計測判定装置3に出力する。
このようになっていることで、ロボット30の複数個の可動部が駆動されることによって発生する揺れ動きに応じた圧力変動を圧電素子フィルム115が検出することができる。
より具体的には、可動部の重心の変動に応じて、ロボットベース部32の弾性変形量およびボルト13a、13bの弾性変形量が時間変化することに応じて、圧電素子フィルム115に印加される圧力が変動する。そして、圧電素子フィルム115がこの圧力変動に応じた検出波形を出力する。したがって、圧電素子フィルム115の出力に基づいて複数の可動部の動作の診断を行うことが可能になる。
なお、圧電素子フィルム115を用いる場合、スペーサ110を第1実施形態と同様に配置してもよいし、廃してもよい。
第2実施形態でも同様に、弾性変形部材111および熱流センサ112を圧電素子フィルム115で置き換えることができる。これにより、P&P装置70の複数個の可動部が駆動されることによって発生する揺れ動きに応じた圧力変動を圧電素子フィルム115が検出することができる。したがって、圧電素子フィルム115の出力に基づいて複数の可動部の動作の診断を行うことが可能になる。
なお、熱流センサ112、113を圧電素子フィルム115に置き換えた場合でも、計測判定装置3、ホスト装置4、マネージメント装置5の作動内容は、第1、第2実施形態と同じである。
(まとめ)
上記各実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、診断システムは、異なるアクチュエータによって駆動される複数個の可動部を備えた設備装置を診断する。診断システムは、前記複数個の可動部の各々が駆動されることによって発生する揺れ動きに応じた検出波形を出力する検出部と、前記検出部が出力した前記検出波形を取得する取得部とを備える。
また、第2の観点によれば、複数の可動部を支持する支持部は、支持部が取り付けられる先のベース部に、取付媒介物によって繋がれている。検出部は、複数個の可動部の各々が駆動されて動いた時の当該可動部の重心の変動によって生じる支持部または取付媒介物の弾性変形量の時間変化に応じて、検出波形を出力する。このようにすることで、複数の可動部が駆動されることによる揺れ動きをより確実に検出できる。
また、第3の観点によれば、前記検出部は、前記複数個の可動部の各々が駆動されることによって発生する揺れ動きによって変形する弾性変形部材と、前記弾性変形部材の熱の流れを検出可能な熱流センサと、を備える。このようになっていることで、1つの熱流センサの出力に基づいて複数の可動部の動作の診断を行うことが可能になる。
また、第4の観点によれば、前記複数の可動部を支持する支持部は、前記支持部が取り付けられる先のベース部に、取付媒介物によって繋がれている。前記弾性変形部材は、前記支持部と前記ベース部との間に挟まれており、前記検出部は、前記支持部と前記ベース部の間で前記弾性変形部材のスペースを設ける弾性変形調整部材を有する。
このようになっていることで、複数の可動部が駆動されることによる揺れ動きを弾性変形部材の変形に反映させることがより確実にできる。
また、第5の観点によれば、前記検出部は、前記複数個の可動部の各々が駆動されることによって発生する揺れ動きに応じた圧力変動を検出可能な圧電素子フィルムを有する。このようになっていることで、複数個の可動部が駆動されることによって発生する揺れ動きに応じた圧力変動を圧電素子フィルムが検出することができる。
また、第6の観点によれば、前記設備装置の1つの機械動作サイクルにおいて複数の動作ブロックが順番に実行される。前記複数の動作ブロック間で前記複数の可動部の動作態様が異なる。前記取得部は、前記複数の動作ブロックの各々について、前記1つの機械動作サイクルにおいて出力される前記検出波形のうち当該動作ブロックにおいて出力される時間区間を、当該動作ブロックに応じたアルゴリズムに従って、診断する。
このように、取得部は、1つの検出波形を複数の動作ブロックに対応する複数の時間区間に分ける。そして取得部は、それらの時間区間の各々に対して、その時間区間に対応する動作ブロックに応じたアルゴリズムで、診断を行うことができる。このようにすることで、1つの機械動作サイクルにおける検出波形に基づいて、容易に、複数の可動部の動作態様に適した診断を行うことができる。
また、第7の観点によれば、前記取得部は、前記検出波形に基づいて前記複数の可動部の動作を診断する計測判定装置と、マネージメント装置とを備える。前記計測判定装置は、前記複数の動作ブロックの各々について、前記1つの機械動作サイクルにおいて出力される前記検出波形のうち当該動作ブロックにおいて出力される時間区間を、当該動作ブロックに応じたアルゴリズムに従って、診断する。前記マネージメント装置は、前記複数のブロックの各々についてどのようなアルゴリズムを使用するかを示す対応情報を作成する作成部を備える。前記マネージメント装置は、前記設備装置の複数の機械動作サイクルにおいて前記検出部が出力した複数の検出波形の各々に対して、前記対応情報に従ったアルゴリズムを適用するシミュレーション部を有する。
これにより、作成部で作成された対応情報が適切か否かを、当該対応情報が実際に計測判定装置で用いられる前に、作業者が判断することができる。
また、第8の観点によれば、前記取得部は、前記検出波形に基づいて前記複数の可動部の動作を診断する計測判定装置と、前記検出波形を画像表示装置に表示させるホスト装置とを備える。前記計測判定装置は前記ホスト装置と演算装置を共用しない。
このように、検出波形に基づいて診断する計測判定装置は、検出波形を表示させるホスト装置が、前記ホスト装置と演算装置を共用しないことで、診断機能のリアルタイム性能を高めることができる。
また、第9の観点によれば、診断システムは、前記取得部は、前記設備装置の複数の機械動作サイクルにおいて前記検出部が出力した複数の検出波形に基づいて、判定パラメータを決定する。前記取得部は、前記検出波形と判定パラメータとの比較結果に基づいて、前記複数の可動部の動作を診断することにより品質保証を行い、自工程完結を可能にした。
このように、設備装置の複数の機械動作サイクルにおける複数の検出波形を用いて複数の可動部の動作を診断することで、当該設備装置の特性に合った診断ができる。