JP2018144088A - スライドプレート耐火物 - Google Patents

スライドプレート耐火物 Download PDF

Info

Publication number
JP2018144088A
JP2018144088A JP2017043672A JP2017043672A JP2018144088A JP 2018144088 A JP2018144088 A JP 2018144088A JP 2017043672 A JP2017043672 A JP 2017043672A JP 2017043672 A JP2017043672 A JP 2017043672A JP 2018144088 A JP2018144088 A JP 2018144088A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aluminum
silicon
chromium
refractory
slide plate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2017043672A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6784922B2 (ja
Inventor
林 ▲韋▼
I Hayashi
▲韋▼ 林
大川 幸男
Yukio Okawa
幸男 大川
宏治 森脇
Koji Moriwaki
宏治 森脇
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shinagawa Refractories Co Ltd
Original Assignee
Shinagawa Refractories Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shinagawa Refractories Co Ltd filed Critical Shinagawa Refractories Co Ltd
Priority to JP2017043672A priority Critical patent/JP6784922B2/ja
Publication of JP2018144088A publication Critical patent/JP2018144088A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6784922B2 publication Critical patent/JP6784922B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Casting Support Devices, Ladles, And Melt Control Thereby (AREA)

Abstract

【課題】本発明の目的は、十分な機械的強度および耐スポーリング性を確保すると同時に、優れた耐水和性および耐食性を有するスライドプレート耐火物を提供することにある。
【解決手段】本発明のスライドプレート耐火物は、耐火骨材およびカーボン質原料からなる耐火材料、およびアルミニウム−クロム−シリコン系金属添加物を含有してなることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、鉄鋼製錬工程における溶鋼の流量制御に用いられるスライドプレート耐火物に関するものである。
鉄鋼の製錬において、溶鋼の流量を制御するためにスライドプレート耐火物が一般的に使われている。内孔を設けたスライドプレート耐火物を2枚または3枚重ね合わせ、拘束され、しかも面圧が付加されているスライドプレート耐火物を摺動させて孔の開度を調節することにより、取鍋やタンデイッシュなどの容器から排出される溶鋼の流量を制御することができる。このような厳しい条件で使われるスライドプレート耐火物は、拘束・面圧付加に耐える機械的強度、受鋼時の急激な熱衝撃に抵抗できる耐スポーリング性および溶鋼の侵食に対する耐食性などをすべて具備しなければならない。
まず、スライドプレート耐火物の耐スポーリング性を確保するためには、スライドプレート耐火物にカーボンを含有させることが一般的である。すなわち、スライドプレート耐火物を構成する耐火材料として、カーボン含有耐火物が一般的に使われている。ここで、骨材原料には、アルミナ、スピネル、マグネシアやジルコニア、特に、アルミナが用いられている。ここで、骨材材料およびカーボンのみからなる耐火材料は、原料粒子間の結合がカーボンボンドのみで形成されているため、スライドプレート耐火物の強度が低く、また、スライドプレート耐火物中のカーボンが雰囲気中の酸素に酸化されやすいという欠点がある。これに対応して、金属アルミニウムの添加が非常に有効であることが知られている。金属アルミニウムの添加により、アルミニウムが雰囲気中の酸素を取り込みカーボンの酸化を防止すると同時に、生成するアルミナがセラミックスボンドとなり、スライドプレート耐火物の強度を向上させることができる。
しかしながら、金属アルミニウムの添加は別の問題をもたらす。すなわち、添加される金属アルミニウムは雰囲気中の酸素だけでなく、カーボンとも反応して炭化アルミニウムが生成する。炭化アルミニウムは水分と反応しやすく、水和しやすい性質をもつ。したがって、金属アルミニウム単独添加のスライドプレート耐火物は、耐水和性が低い。スライドプレート耐火物内で水和が発生すると、プレートは亀裂が生じ、さらに崩壊してしまい、使用または再利用が不能となる。
金属アルミニウム添加スライドプレート耐火物における炭化アルミニウムの生成を抑制し、スライドプレート耐火物の耐水和性を向上させるために、金属アルミニウムの代わりに金属アルミニウムとシリコンを併用する対策が実際に取られている。また、種々の提案もなされている。
例えば、特許文献1には、アルミナ質耐火骨材及びカーボン含有原料を炭素含量として1〜10質量%よりなる耐火性原料に対して外掛けで1〜15質量%のAl−Si合金を含有してなり、1000℃を超え、1500℃までの温度範囲で焼成処理されていることを特徴とするアルミナ−カーボン質スライドゲートプレートが開示されている。
また、特許文献2には、耐火性原料、フェノール系レジン及び球状のアトマイズ粉からなるアルミニウム粉末の配合物を混練、成形した後、550〜650℃の温度で加熱処理することを特徴とするスライドゲート用プレートの製造方法が開示されている。
さらに、特許文献3には、(A)一種もしくは二種以上の耐火性無機材料から成る耐火物骨材が73重量%以上、96重量%以下、(B)ファイバー状金属アルミニウムが0.1重量%以上、0.5重量%以下、(C)フレーク状の金属アルミニウム粉末が、1重量%以上、5重量%以下、(D)炭素質粉末が2重量%以上、10重量%以下、(E)金属シリコン粉末が0.1重量%以上、5重量%以下の原料から成る混合物100重量%に対して、バインダーとして、外配で熱硬化性樹脂を3重量%以上、10重量%以下添加し、混練、成型、焼成して得られた焼成耐火物より成ることを特徴とするスライドゲート用プレートが開示されている。
また、特許文献4には、アルミナを主成分とする耐火性骨材、炭素粉末及び金属アルミニウム粉末を含む耐火材料100重量部に対し、少なくとも1種類以上の熱硬化性樹脂1〜10重量部と,窒化硼素0.3〜6重量部を外掛けで添加してなるスライディングノズル用不焼成れんがが開示されている。
さらに、特許文献5には、MgO含量が30〜70重量%、Al+MgOの合計量が95重量%以上のマグネシア・アルミナ質スピネル原料5〜25重量%、Al含量が80重量%以上のアルミナ原料60〜85重量%、カーボン質原料3〜15重量%、金属アルミニウム粉1〜6重量%及び金属シリコン、炭化硼素、炭化珪素及び窒化珪素からなる群から選択される1種または2種以上を10重量%以下含有してなることを特徴とするスライドバルブプレートれんがが開示されている。
また、特許文献6には、耐火性無機材料および炭素質原料と、アルミニウム−マグネシウム合金及びアルミニウムの内の少なくとも1種と、有機質結合剤と、有機アルミニウム化合物0.1〜5重量%からなることを特徴とする不焼成スライディングノズル用プレート耐火物が開示されている。
特開2012−192430号公報 特開2000−94121号公報 特開平11−199313号公報 特開2002−308676号公報 特開平5−105506号公報 特開2004−82125号公報
しかしながら、上述のような対策および提案には、まだ多くの問題が残っている。例えば、特許文献1に開示されているように、アルミナ−シリコン合金を使用することによって、炭化アルミニウムの生成量をある程度減少させ、それによってスライドプレート耐火物の耐水和性を向上させることができるが、使用現場の湿度が高い場合やスライドプレート耐火物を長期間保管する場合には、スライドプレート耐火物の耐水和性は不十分なものとなる。
さらに、金属シリコンは、スライドプレート耐火物の使用中にシリカへ変化するため、溶鋼、特に、カルシウム処理鋼、高酸素鋼や高マンガン鋼などの鋼種に対するスライドプレート耐火物の耐食性は大幅に低下する。この理由は、これらの鋼種に対するシリカの耐食性は極めて低く、また、生成するシリカは、主として、気孔率が大きく、溶損が生じやすいスライドプレート耐火物組織のマトリックスの部分に存在するためである。
また、特許文献2に開示されているような球状のアルミニウム粉末の使用によって、アルミニウム粉末とカーボンの接触面積が小さくなり、炭化アルミニウムの生成量をある程度抑制することができるが、炭化アルミニウム生成の抑制効果は限定的である。
さらに、特許文献3では、ファイバー状およびフレーク状の金属アルミニウムと、金属シリコンを併用するものであるが、アルミナ−シリコン合金を使用する場合と同様にスライドプレート耐火物の耐水和性が不十分であり、また、金属シリコンに起因するスライドプレート耐火物の耐食性が低下する問題がある。
また、特許文献4では、金属アルミニウムと窒化硼素を併用し、金属アルミニウムと窒化硼素の反応によって窒化アルミニウムを生成させ、その結果として、炭化アルミニウムは生成せず、スライドプレート耐火物の耐水和性を向上させることができるとしている。しかしながら、アルミニウムと窒化硼素の反応によって最終的にはスライドプレート耐火物の耐食性を低下させる酸化硼素も生成する。また、金属アルミニウムを窒化アルミニウムに変化させるには、多量の窒化硼素の添加が必要となり、それに伴って、酸化硼素も多量に生成し、スライドプレート耐火物の耐食性が大幅に低下するという問題点がある。
さらに、特許文献5は、金属アルミニウムおよび金属シリコンの他、炭化硼素、炭化珪素や窒化珪素からなる群から選択される1種または2種以上を併用するものであるが、上記と同様に、金属シリコンや炭化硼素、窒化硼素に起源するシリカおよび酸化硼素によりスライドプレート耐火物の耐食性が大幅に低下するという問題点がある。
また、特許文献6は、アルミニウム−マグネシウム合金またはアルミニウムを用いたものであるが、アルミニウム−マグネシウム合金を配合する場合においても、マグネシウムの存在は炭化アルミニウムの生成を阻止できない。また、マグネシウムの蒸気圧が非常に高く、高温でマグネシウムの蒸発によるスライドプレート耐火物組織の崩壊が生じやすいという問題点がある。
したがって、本発明の目的は、十分な機械的強度および耐スポーリング性を確保すると同時に、優れた耐水和性および耐食性を有するスライドプレート耐火物を提供することにある。
本発明者らは、スライドプレート耐火物により適した金属系添加物を見出すため、種々検討の結果、アルミニウム−クロム−シリコン系金属添加物が有用であることを見出した。
アルミニウム−クロム−シリコン系金属添加物を配合したスライドプレート耐火物は、800〜1500℃の高温で焼成したものでも、耐水和性が非常に高かった。また、還元雰囲気中で焼成したスライドプレート耐火物の微組織を調べたところ、その中にアルミニウム、クロム、シリコンおよびカーボンから構成される相(以下、「アルミニウム−クロム−シリコン−カーボン系複合炭化物」と称する)および少量のアルミナが生成するが、炭化アルミニウムは生成しないことが判明した。炭化物の水和テストにおいて、炭化アルミニウムが速やかに水和したが、アルミニウム−クロム−シリコン−カーボン系複合炭化物はまったく水和しなかった。これが、アルミニウム−クロム−シリコン系金属添加物を配合したスライドプレート耐火物の耐水和性が高かった理由であると考えられる。
また、アルミニウム−クロム−シリコン-カーボン系複合炭化物は、炭化アルミニウム(Al)より熱力学的に安定なため、アルミニウム−クロム−シリコン−カーボン系複合炭化物の生成によって炭化アルミニウムの生成を抑制できるものと推定される。なお、金属系添加物として、アルミニウム−シリコン系合金を配合しても、炭化アルミニウムの生成を完全に抑制することはできない。
さらに、アルミニウム−クロム−シリコン系金属添加物を含有するスライドプレート耐火物は、溶鋼に対する耐食性も非常に高いものであった。この理由については、以下の3つのことが推定される。第一に、アルミニウム−クロム−シリコン−カーボン系複合炭化物の生成によって、アルミナなどの骨材とカーボンの反応が進行し難くなり、これに起因するスライドプレート耐火物組織の脆化は起こり難くなることである。第二に、アルミニウム−クロム−シリコン−カーボン系複合炭化物の存在により、溶鋼中の溶融介在物スラグのスライドプレート耐火物内部への侵入が起こり難くなることである。また、通常、溶融介在物スラグが耐火物の内部へ侵入すると、溶融介在物スラグによる耐火物の溶損が速くなる。第三に、アルミニウム−クロム−シリコン−カーボン系複合炭化物は、酸化物に比べてと溶融スラグの濡れ速度が小さく、また、アルミニウム−クロム−シリコン−カーボン系複合炭化物から生成する酸化クロムはアルミナ、シリカなどの他の酸化物に比べて溶融介在物スラグに対する耐食性が高いことが考えられる。
本発明者らは、以上得られた知見を基に本発明を完成した。
すなわち、本発明は、耐火骨材およびカーボン質原料からなる耐火材料、およびアルミニウム−クロム−シリコン系金属添加物を含有してなることを特徴とするスライドプレート耐火物を提供することにある。
また、本発明のスライドプレート耐火物は、前記アルミニウム−クロム−シリコン系金属添加物の組成が、クロムの質量割合を「a」、アルミニウムの質量割合を「b」、シリコンの質量割合を「c」とし、クロムの質量割合、アルミニウムの質量割合およびシリコンの質量割合の合計を100、すなわち、a+b+c=100とした時、a/bが0.1〜5.0の範囲内にあり、且つc/(a+b)が0.1〜2.0の範囲内にあることを特徴とする。
さらに、本発明のスライドプレート耐火物は、前記アルミニウム−クロム−シリコン系金属添加物の粒度が、180μm以下であることを特徴とする。
また、本発明のスライドプレート耐火物は、前記アルミニウム−クロム−シリコン系金属添加物の含有量が、前記耐火材料100質量%に対して外掛けで1〜15質量%の範囲内であることを特徴とする。
本発明のスライドプレート耐火物は、十分な機械的強度および耐スポーリング性だけでなく、優れた耐水和性および耐食性を有する。
本発明のスライドプレート耐火物は、耐火骨材およびカーボン質原料からなる耐火材料、およびアルミニウム−クロム−シリコン系金属添加物を含有してなるところに特徴がある。アルミニウム−クロム−シリカ系金属添加物を含有することによって、スライドプレート耐火物は十分な機械的強度を有し、また、カーボンの酸化が防止されると同時に、優れた耐水和性および耐食性を具備したものとなる。
従来の金属アルミニウムを含むスライドプレート耐火物においては、高温で水和しやすい炭化アルミニウムが生成するので、耐水和性に劣り、また、カルシウム処理鋼などの鋼種に対する耐食性が不十分なものとなり、さらに、アルミニウム−シリコン合金を含むスライドプレート耐火物もまたカルシウム処理鋼などの鋼種に対する耐食性が劣り、また、耐水和性も不十分なものとなるが、アルミニウム−クロム−シリコン系金属添加物を含むスライドプレート耐火物は、高温で水和しないアルミニウム−クロム−シリコン−カーボン系複合炭化物が生成し、水和しやすい炭化アルミニウムは生成しないので、耐水和性も非常に優れたものとなる。
また、アルミニウム−クロム−シリコン−カーボン系複合炭化物の生成により、アルミナなどの耐火骨材とカーボン質原料の反応が進行し難くなり、耐火骨材とカーボン質原料の反応に起因するスライドプレート耐火物組織の脆化は起こり難くなる。さらに、アルミニウム−クロム−シリコン−カーボン系複合炭化物の存在により、溶鋼中の溶融介在物スラグのスライドプレート耐火物内部への侵入が起こり難くなる。なお、アルミニウム−クロム−シリコン−カーボン系複合炭化物から生成する酸化クロムは、アルミナ、シリカなどの他の酸化物に比べて溶融介在物スラグに対する耐食性が高い。これらのことによって、アルミニウム−クロム−シリコン系金属添加物を含むスライドプレート耐火物は優れた耐食性をも示す。
このアルミニウム−クロム−シリコン−カーボン系複合炭化物は、スライドプレート耐火物の焼成中に生成するが、スライドプレート耐火物使用前の予熱および使用中にも生成する。
本発明のスライドプレート耐火物に使用するアルミニウム−クロム−シリコン系金属添加物の組成は、クロムの質量割合を「a」、アルミニウムの質量割合を「b」、シリコンの質量割合を「c」とし、クロムの質量割合、アルミニウムの質量割合およびシリコンの質量割合の合計を100、すなわち、a+b+c=100とした時、a/bが0.1〜5.0、好ましくは0.2〜3.0の範囲内にあり、且つc/(a+b)が0.1〜2.0、好ましくは0.2〜1.5の範囲内にある。
ここで、a/bが0.1未満であると、クロムの含有量が低くすぎて、耐水和性および耐食性に劣ることがあるために好ましくない。また、a/bが5.0を超えると、アルミニウムの含有量が低すぎて、スライドプレート耐火物の機械的強度およびカーボンの酸化防止効果が劣ることがあるために好ましくない。さらに、c/(a+b)が0.1未満であると、シリコンの含有量が低すぎて、スライドプレート耐火物の耐水和性および機械的強度が劣ることがあるために好ましくない。また、c/(a+b)が2.0を超えると、シリコンの含有量が高すぎて、スライドプレート耐火物の耐食性が劣ることがあるために好ましくない。
なお、a/bが0.1〜5.0、且つc/(a+b)が0.1〜2.0の範囲内にあれば、クロム、シリコンの含有量が低いアルミニウム−クロム−シリコン系金属添加物を使用しても、炭化アルミニウムは生成しない。
ここで、本明細書に記載する「アルミニウム−クロム−シリコン系金属添加物」は、アルミニウム−クロム−シリコン系合金;アルミニウム−クロム−シリコン系合金と、金属アルミニウム、金属クロムおよび金属シリコンの群からなる2種から構成される合金の併用;アルミニウム−クロム−シリコン系合金と、金属アルミニウム、金属クロムおよび/または金属シリコンの併用;金属アルミニウム、金属クロムおよび金属シリコンの併用;金属アルミニウム、金属クロムおよび金属シリコンの群からなる2種から構成される合金と、金属アルミニウム、金属クロムおよび/または金属シリコンの併用などの形態のものを包含するものとする。
具体的には、アルミニウム−クロム−シリコン系金属添加物は、アルミニウム−クロム−シリコン系合金単独;金属アルミニウム、金属クロムおよび金属シリコンの併用;アルミニウム−クロム−シリコン系合金、アルミニウム−クロム合金、クロム−シリコン合金、シリコン−アルミニウム合金および/または金属アルミニウム、金属クロム、金属シリコンの組合せ等で使用することができる。なお、スライドプレート耐火物において、耐火骨材および炭素質原料からなる耐火材料に、金属アルミニウム、金属クロムおよび金属シリコンの粉体は、均一に混合されるので、スライドプレート耐火物の焼成または使用中に互いに反応して合金の場合と同様に、水和しないアルミニウム−クロム−シリコン−カーボン系複合炭化物が生成し、水和しやすい炭化アルミニウムは生成しない。
アルミニウム−クロム−シリコン系金属添加物の粒度は180μm以下、好ましくは150μm以下の範囲内である。アルミニウム−クロム−シリコン系金属添加物の粒度が180μmを超えると、スライドプレート耐火物の成形時の充填性が悪くなる傾向がある。また、粒度が180μmを超えると、アルミニウム−クロム−シリコン系金属添加物の比表面積が小さくなり、それに伴って反応性が低下するため、高温のスライドプレート耐火物において、アルミニウム−クロム−シリコン−カーボン系複合炭化物の生成が遅くなる傾向があり、これらの要因により、スライドプレート耐火物の耐水和性および耐食性が低下することがある。なお、本明細書に記載する「アルミニウム−クロム−シリコン系金属添加物」は、JIS Z 8801−1:試験用ふるい−第1部:金属製網ふるいによって、篩分けた粒度である。
本発明のスライドプレート耐火物におけるアルミニウム−クロム−シリコン系金属添加物の含有量は、耐火骨材およびカーボン質原料100質量%に対して外掛けで1〜15質量%、好ましくは2〜10質量%の範囲内である。アルミニウム−クロム系合金の含有量が1質量%未満であると、含有量が低くすぎて、スライドプレート耐火物の機械的強度、カーボン酸化防止効果および耐食性が不足する傾向にある。また、アルミニウム−クロム−シリコン系金属添加物の含有量が15質量%を超えると、高温で発生するアルミニウム−クロム−シリコン系複合炭化物への変化に起因する組織の体積変化が大きすぎ、スライドプレート耐火物が崩壊することがある。
なお、本発明のスライドプレート耐火物は、アルミニウム、クロムおよびシリコン以外のその他金属成分を含むことができる。但し、その他金属成分は、その質量合計とアルミニウム−クロム−シリコン系金属添加物の質量との比が0.2以下、好ましくは0.1以下の範囲内で存在することができる。その他金属成分の質量合計とアルミニウム−クロム−シリコン系金属添加物の質量との比が0.2を超えると、アルミニウム−クロム−シリコン系金属添加物の添加効果が小さくなり、プレートの機械的強度、カーボン酸化防止効果、耐食性および耐水和性が劣ることがある。適宜含有することができる成分としては、Fe、Mn、Mg、Ca、Ti、V、Ni、Cu、Zr、Ce、La、Co、Zn、Nbなど中の1種または2種以上の組合せが挙げられる。
次に、本発明のスライドプレート耐火物の耐火材料を構成する耐火骨材は、特に限定されるものではなく、例えば、慣用の原料であるアルミナ、マグネシア、ジルコニア、アルミナ−ジルコニア、ジルコニア−ムライト、スピネル、ムライトなどの単独もしくは組み合わせを使うことができる。なお、これらの耐火骨材は、焼結原料または電融原料のいずれも使用することができる。
また、本発明のスライドプレート耐火物の耐火材料を構成するカーボン質原料としては、カーボンブラック、ピッチ、コークス、天然黒鉛、人造黒鉛などの単独もしくは組み合わせを使用することができる。
上記耐火骨材とカーボン質原料の割合は、耐火骨材90〜99質量%、カーボン質原料1〜10質量%、好ましくは耐火骨材92〜98質量%、カーボン質原料2〜8質量%の範囲内である。ここで、カーボン質原料の割合が1質量%未満であると、スライドプレート耐火物の耐スポーリング性が低下するために好ましくない。また、カーボン質原料の割合が10質量%を超えると、スライドプレート耐火物の脱炭による組織脆化が発生するために好ましくない。
また、本発明のスライドプレート耐火物には、カーボン質原料の酸化防止効果やスライドプレート耐火物の機械的強度などをより向上させるなどの目的で、炭化珪素や炭化硼素などの炭化物、窒化珪素や窒化硼素などの窒化物を配合することもできる。なお、これらの成分の含有量は、耐火骨材およびカーボン質原料からなる耐火材料100質量%に対して外掛けで8質量%以下、好ましくは外掛けで5質量%以下である。これらの成分の含有量が外掛けで10質量%を超えると、アルミニウム−クロム−シリコン系金属添加物の効果が低下するために好ましくない。
また、本発明のスライドプレート耐火物には、結合材としてタールやフェノール樹脂などを使用することもできる。これら結合材の添加量は、特に限定されるものではなく、慣用の添加量、例えば1〜10質量%を使用することができる。
本発明のスライドプレート耐火物は、前記の各原料を所定の配合割合で調整し、混練、成形、乾燥することにより製造することができる。なお、乾燥後、高温焼成(800〜1500℃)や、低温焼成(500〜800℃)を行うことができ、また、乾燥品をそのまま、すなわち、不焼成品とすることもできる。焼成を行う場合、焼成雰囲気は、ブリーズ埋めなどの還元雰囲気、アルゴンガスなどの不活性雰囲気、窒素ガス雰囲気や混合ガス(例えば、N、CO、COおよびHなど)の非酸化雰囲気などにすることができる。
実施例1
以下の表に記載する種々の組成のスライドプレート耐火物の試料を作製し、耐水和性評価テストおよび耐食性評価テストを行った。なお、試料は、非酸化雰囲気、1000℃で5時間焼成したものである。
表中、
「耐水和性評価テスト」は、オートクレーブ装置を用い、0.51MPaの加圧条件において154℃で試料を3時間保持し、テスト前後の試料の質量増加率を測定したものである。質量増加率が小さいほど、試料の水和程度が小さく、耐水和性が高いことを示す;
「耐食性評価テスト」は、高周波炉にてアルゴン雰囲気中で、カルシウム処理鋼を溶解し、1560℃で、試料を3時間浸漬した。テスト後の試料の浸漬部の幅を測定し、テスト前後の試料の幅の変化を溶損量とした。溶損量が小さいほど、耐食性が高いことを示す。
「総合判断」は、耐水和性評価テストと耐食性評価テストから総合的に判断した。耐水和性評価テストと耐食性評価テストいずれもが優れている場合を◎、そのいずれかが若干劣る傾向にあるものを○、これら両評価テスト結果の一部に劣るものの、許容範囲内にあるものを△、これら両評価テストのいずれか、あるいは双方に劣る場合を×とした。
テストの結果を以下の表に併記する。
Figure 2018144088
表中の「金属添加物の形態」の欄において、1)はアルミナ−クロム−シリコン合金を示す。
Figure 2018144088
表1および2から、金属アルミニウムを含有する比較品1、2およびアルミニウム−シリコン合金を含有する比較品3、4に比べて、アルミニウム−クロム−シリコン合金を含有する本発明品1〜7は、耐水和性、耐食性とも優れていることがわかる。なお、金属アルミニウムを含有する比較品1、2は、耐水和性評価テスト中において水和程度が大きいため、崩壊してしまった。
Figure 2018144088
表中の「金属添加物の形態」の欄において、1)はアルミナ−クロム−シリコン合金;2)は金属アルミニウム+金属クロム+金属シリコン;3)はアルミニウム−クロム合金(質量比=50:50)+金属シリコン;4)はクロム−シリコン合金(質量比=50:50)+金属アルミニウム;5)はシリコン−アルミニウム合金(質量比=50:50)+金属クロム;6)はアルミニウム−クロム−シリコン合金(質量比=45:10:45)+金属クロムをそれぞれ示す。
Figure 2018144088
表3は、種々の形態のアルミニウム−クロム−シリコン系金属添加物を含有する本発明品8〜13についての結果を示すものであり、アルミニウム−クロム−シリコン系金属添加物の形態が変化しても、表4に示すアルミニウム−シリコン合金を含有する比較品5より本発明品8〜13が優れていることがわかる。
Figure 2018144088
表中の「金属添加物の形態」の欄において、2)は金属アルミニウム+金属クロム+金属シリコンを示す。
Figure 2018144088
表5は、種々のクロムとアルミニウムの質量比(a/b)を有するアルミニウム−クロム−シリコン系金属添加物を含有する本発明品14〜17についての結果を示すものであり、a/bが変化しても、表6に示すアルミニウム−シリコン合金を含有する比較品6より本発明品14〜18の方が優れていることがわかる。
Figure 2018144088
表中の「金属添加物の形態」の欄において、5)−1はシリコン−アルミニウム合金(質量比=16.5:83.5)+金属クロム;5)−2はシリコン−アルミニウム合金(質量比=28.5:71.5)+金属クロム;5)−3はシリコン−アルミニウム合金(質量比=75:25)+金属クロム;5)−4はシリコン−アルミニウム合金(質量比=80:20)+金属クロム;5)−5はシリコン−アルミニウム合金(質量比=85.8:14.2)+金属クロムをそれぞれ示す。
Figure 2018144088
表4は、種々のc/(a+b)を有するアルミニウム−クロム−シリコン系金属添加物を含有する本発明品19〜23についての結果を示すものであり、c/(a+b)が変化しても、表8に示すアルミニウム−シリコン合金を含有する比較品7より本発明品19〜23の方が優れていることがわかる。
Figure 2018144088
表中の「金属添加物の形態」の欄において、3)はアルミニウム−クロム合金(質量比=50:50)+金属シリコンを示す。
Figure 2018144088
表9は、種々の粒度を有するアルミニウム−クロム−シリコン系金属添加物を含有する本発明品24〜28についての結果を示すものであり、アルミニウム−クロム−シリコン系金属添加物の粒度が変化しても、表10に示すアルミニウム−シリコン合金を含有する比較品8より本発明品24〜28の方が優れていることがわかる。
Figure 2018144088
表中の「金属添加物の形態」の欄において、4)はクロム−シリコン合金(質量比=50:50)+金属アルミニウムを示す。
Figure 2018144088
表11は、種々の耐火骨材を用いた本発明品29〜33についての結果を示すものであり、耐火骨材の種類および含有量が変化しても、表12に示すアルミニウム−シリコン合金を含有する比較品9および10より本発明品29〜33の方が優れていることがわかる。
実施例2
表1の本発明品4を取鍋用スライドプレートとして実機の鋳造に使用した。比較品4よりなる取鍋用スライドプレートの使用寿命が5chであったのに対し、本発明品4よりなる取鍋用スライドプレートの使用寿命は12chに達した。
本発明のスライドプレート耐火物は、十分な機械的強度および耐スポーリング性を確保すると同時に、優れた耐水和性および耐食性を有するものであり、鉄鋼産業界における利用可能性が極めて高い。

Claims (4)

  1. 耐火骨材およびカーボン質原料からなる耐火材料、およびアルミニウム−クロム−シリコン系金属添加物を含有してなることを特徴とするスライドプレート耐火物。
  2. アルミニウム−クロム系金属添加物の組成が、クロムの質量割合を「a」、アルミニウムの質量割合を「b」、シリコンの質量割合を「c」とし、クロムの質量割合、アルミニウムの質量割合およびシリコンの質量割合の合計を100、すなわち、a+b+c=100とした時、a/bが0.1〜5.0の範囲内にあり、且つc/(a+b)が0.1〜2.0の範囲内にある、請求項1記載のスライドプレート耐火物。
  3. アルミニウム−クロム−シリコン系金属添加物の粒度が、180μm以下である、請求項1または2記載のスライドプレート耐火物。
  4. アルミニウム−クロム−シリコン系金属添加物の含有量が、耐火材料100質量%に対して外掛けで1〜15質量%の範囲内である、請求項1ないし3のいずれか1項記載のスライドプレート耐火物。
JP2017043672A 2017-03-08 2017-03-08 スライドプレート耐火物 Active JP6784922B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017043672A JP6784922B2 (ja) 2017-03-08 2017-03-08 スライドプレート耐火物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017043672A JP6784922B2 (ja) 2017-03-08 2017-03-08 スライドプレート耐火物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018144088A true JP2018144088A (ja) 2018-09-20
JP6784922B2 JP6784922B2 (ja) 2020-11-18

Family

ID=63590303

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017043672A Active JP6784922B2 (ja) 2017-03-08 2017-03-08 スライドプレート耐火物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6784922B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP6784922B2 (ja) 2020-11-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI606993B (zh) 鎂碳磚
JP4681456B2 (ja) 低カーボン質マグネシアカーボンれんが
JP5016609B2 (ja) 高耐用性スリーブれんが
JP5097861B1 (ja) マグネシア−カーボン系煉瓦
JP6597812B2 (ja) ジルコニア含有アルミナ−カーボン質スライドプレート耐火物
JP5697210B2 (ja) 転炉の操業方法、その転炉に使用するマグネシアカーボン質れんが、当該れんがの製造方法、及び転炉内張りのライニング構造
JP2015193511A (ja) 鋳造用耐火物、並びにそれを使用した鋳造用ノズル及びスライディングノズル用プレート
TWI644882B (zh) Flat plate for casting refractory and sliding nozzle device
WO2011058811A1 (ja) スライディングノズルプレート
JP6767659B2 (ja) スライドプレート耐火物
JP6219729B2 (ja) マグネシアカーボンれんが
JP5331077B2 (ja) カーボン含有耐火物
JP2018144088A (ja) スライドプレート耐火物
JP6860805B1 (ja) カーボン含有スライドプレート耐火物の製造方法
KR101350471B1 (ko) 특수강 주조용 슬라이딩 노즐 플레이트의 내화 조성물
JPH05105506A (ja) スライドバルブプレートれんが
JP6348071B2 (ja) マグネシア質耐火物
TWI762076B (zh) 耐火物
JP7389352B2 (ja) 真空脱ガス装置用スピネル-マグネシア-カーボン煉瓦及び真空脱ガス装置
JP4856513B2 (ja) カーボン含有耐火物
JP2022129790A (ja) カーボン含有スライドプレート耐火物の製造方法
CA2137983C (en) Magnesite-carbon refractories and shapes made therefrom with improved thermal stress tolerance
JP6464831B2 (ja) 連続鋳造用浸漬ノズル及び鋼の連続鋳造方法
JPH07165461A (ja) マグネシア−クロム質焼成レンガおよびその製造方法
JPH06206759A (ja) 連続鋳造用耐火物及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190917

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200722

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200818

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200907

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200923

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20201006

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6784922

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250