JP2018138703A - 衛生材料用不織布 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、環境負荷が低く、かつ工業的に生産性と安定性に優れた、衛生材料として好適に使用する上で満足のいくレベルの風合いに優れた衛生材料用不織布を提供する。【解決手段】本発明の衛生材料用不織布は、ポリエステルとポリオレフィンからなる繊維で構成されている不織布であって、前記のポリエステル中に1,2−プロパンジオール由来の成分が1〜500ppm含有されており、前記の不織布熱が接着されている衛生材料用不織布である。【選択図】 なし

Description

本発明は、環境負荷が低く、かつ工業的に安定し生産性に優れた、良好な風合いを有する衛材用不織布に関するものである。
一般に、紙おむつや生理用ナプキン等の衛生材料用不織布には、着用時の快適性のため、風合いに優れているという性能が求められている。特に、肌に着衣者の臀部等が直接触れるトップシートや、着衣時に触れる機会の多いバックシートにおいては、良好な風合いが要求される。
衛生材料用不織布は、ポリエステル、ポリエチレン(PE)およびポリプロピレン(PP)等の化石資源から得られる素材から製造される。化石資源である石油は、化学工業の重要な原料であるが将来的には枯渇の懸念があり、さらに、製造工程および焼却廃棄時に大量の二酸化炭素を排出することから、地球規模での温暖化など一連の課題を招いている。このような状況の中、使い捨て製品である紙おむつや生理用ナプキン等の衛生材料用不織布について、日本国内における衛生材料用不織布の使用量は、年間20万トンを超える規模と非常に多く、かつ使用後は100%廃棄処分されることから、再生原材料や環境負荷の低い材料の利用に大きな注目が集まっている。
衛生材料用不織布には、ポリエチレンテレフタレート(PET)とポリエチレン(PE)からなる複合繊維を代表とする短繊維を、カーディングによりシート化した後、熱風処理により自己融着した、いわゆるエアスルー不織布や、ポリプロピレンスパンボンド不織布が好適に使用されている。
エアスルー不織布は、嵩高性と柔軟性に優れているという特徴を有していることから、衛生材料の主にトップシートに採用されている。また、ポリプロピレンスパンボンド不織布は、強度とコストに優れていることから、衛生材料のバックシートやサイドギャザーに幅広く採用されている。
しかしながら、従来の衛生材料用不織布は、石油由来の原料を使用しており、環境負荷の低い材料、例えば、バイオマス由来の原料を用いた不織布は、衛生材料用不織布に要求されるレベルの特性を満足できておらず、適用できていないのが現状である。紙おむつやナプキン等の衛生材料は、今後も需要が確実に拡大することが予測される分野であり、それら大部分を構成する衛生材料不織布については、環境負荷の低い原料の適用が急務となっている。
このような背景から、原料としてバイオマス資源由来グリコールを用いたポリマーの検討がなされている(特許文献1参照。)。しかしながら、バイオマス資源由来グリコールを用いたポリマーは、化石資源由来ポリマーに比べて耐熱性が低く、例えば、ポリエステルをチップ化した後、再溶融してフィラメント、フィルムおよび樹脂などに成型加工するという、通常実施される工程において300℃近い熱履歴を受けると、バイオマス資源由来グリコールを用いたポリマー(ポリエステル)は熱分解反応が促進されることにより、ポリマーの黄色化、粘度低下および分子量の低下が起こり、結果として樹脂成形機の口金汚れの増加、さらには異物の生成や樹脂成形物の物性低下など、使用上好ましくない現象が発生するという課題がある。
特に、衛生材料用不織布の製造においては、良好な風合いを得るために細繊度化という手段をとることが挙げられるが、従来のバイオマス資源由来を用いたポリマーを適用した場合は、紡糸安定性が非常に低く、細繊度の不織布が得られないのが現状である。さらに、衛生材料用不織布には、使い捨て用品であるが故に、低コストであることが求められるが、口金面汚れの増加による紡糸性悪化の観点から、吐出量を低くしないと生産できない状況であり、生産性を低く適用できないのが現状である。また、衛生材料用途には清潔感としての白さが要求される。そのため、耐熱性が低く、熱分解により黄変化するポリマーの適用は好ましくない。これらの理由から、従来の環境負荷の低い原料を用いた不織布は、衛生材料用不織布に適用できないのである。
従来、環境負荷が低く、かつ工業的に生産性と安定性に優れた、衛生材料として好適に使用される上で満足のいくレベルの風合いに優れた不織布は得られていないのが現状である。
特開2009−209145号公報
そこで本発明の目的は、上記の課題に鑑み、環境負荷が低く、かつ工業的に生産性と安定性に優れた、衛生材料として好適に使用する上で満足のいくレベルの風合いに優れた衛生材料用不織布を提供することにある。
本発明の衛生材料用不織布は、ポリエステルとポリオレフィンからなる繊維で構成されている不織布であって、前記のポリエステル中に1,2−プロパンジオール由来の成分が1〜500ppm含有されており、前記の不織布が熱接着されていることを特徴とする衛生材料用不織布である。
本発明の衛生材料用不織布の好ましい態様によれば、前記の繊維を構成するポリエステルとポリオレフィンの質量比率がは、90/10〜10/90である。
また、本発明の衛生材料の好ましい様態によれば、前記の繊維の横断面の構造は、同芯の芯鞘構造、偏芯の芯鞘構造、およびサイドバイサイド構造からなる群から選ばれたいずれかの構造である。
本発明によれば、環境負荷が低く、かつ工業的に生産性と安定性に優れた、衛生材料として使用する上で満足のいくレベルの風合いに優れた衛生材料用不織布が得られる。また、本発明によれば、衛生材料用不織布は、ポリエステルとポリオレフィンからなる繊維で構成される不織布であって、前記のポリエステル中に1,2−プロパンジオール由来の成分が1〜500ppm含有されているポリエステルは、溶融成型時の耐熱性に優れている、すなわち溶融成型時の固有粘度低下が小さく、衛生材料用不織布の製造時において口金面汚れが少なく、外乱の影響を少なくすることができる。そのため、高い吐出量においても紡糸安定性が非常に高く、工業的な生産性の観点から好ましい。さらに、紡糸時における細化にも影響が少なく、より速い紡糸速度での生産が可能となり、細繊度からなり風合いに優れた不織布を製造することができる。また、ポリマー溶融時における分子量低下を小さくできる特徴から、得られる不織布が黄変しにくくなり、清潔感が求められる衛生材料用の不織布に好適に使用できる。
図1は、本発明の衛生材料用不織布を構成する繊維の横断面を例示する模式断面図である。 図2は、本発明の衛生材料用不織布を構成する他の繊維の横断面を例示する模式断面図である。 図3は、本発明の衛生材料用不織布を構成する他の繊維の横断面を例示する模式断面図である。
本発明の衛生材料用不織布は、ポリエステルとポリオレフィンからなる繊維で構成されている不織布であって、前記のポリエステル中に1,2−プロパンジオール由来の成分が1〜500ppm含有されており、前記の不織布が熱接着されている衛生材料用不織布である。
ポリエステル中の1,2−プロパンジオール由来の成分の含有量は、1〜500ppmであり、好ましくは20〜400ppmである。
得られるポリエステル中の1,2−プロパンジオール由来の成分の含有量は、上記の範囲より多くなると、逆に耐熱性は悪化し、含有量が少なくなると耐熱性改善効果はない。
ここでいう、1,2−プロパンジオール由来の成分とは、ポリエステルを分解して分析した際に検出される1,2−プロパンジオールの総量であって、ポリマー鎖中に共重合されている1,2−プロパンジオール由来構造からなる1,2−プロパンジオール、およびポリマー間に混在している1,2−プロパンジオールの総量を表す。すなわち、この1,2−プロパンジオールは、ポリエステル主鎖中に一部共重合されていてもよく、共重合されずに単体としてポリエステル中に含有されている態様のものも含まれる。
本発明で用いられるポリエステルに用いられるジカルボン酸および/またはそのエステル形成性誘導体としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸(例えば、2,6−ナフタレンジカルボン酸)、ジフェニルジカルボン酸(例えば、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸)、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸およびドデカン二酸などの脂肪族カルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、および5−スルホイソフタル酸塩(5−スルホイソフタル酸リチウム塩、5−スルホイソフタル酸カリウム塩および5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩など)などの芳香族ジカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
本発明でいうエステル形成性誘導体とは、これらジカルボン酸の低級アルキルエステル、酸無水物およびアシル塩化物などを意味し、例えば、メチルエステル、エチルエステルおよびヒドロキシエチルエステルなどが好ましく用いられる。
本発明で用いられるジカルボン酸および/またはそのエステル形成性誘導体としてより好ましい態様は、テレフタル酸および/またはそのジメチルエステルである。
また、テレフタル酸および/またはそのジメチルエステルとしては、バイオマス資源由来のテレフタル酸やそのジメチルエステルを用いることができる。バイオマス資源由来のテレフタル酸を得る方法としては、例えば、ユーカリ属の植物から得られるシネオールからp−シメンを合成し(日本化学会誌、(2)、P217−219;1986参照。)、その後、p−メチル安息香酸を経て(Organic Syntheses,27;1947参照。)、テレフタル酸を得る方法が挙げられる。さらに別の方法として、フランジカルボン酸とエチレンからディールスアルダー反応によってテレフタル酸を得る方法が挙げられる(WO2009−064515号公報参照。)。このようにして得られたバイオマス資源由来のテレフタル酸は、さらにエステル形成性誘導体に変換されて使用することができる。
本発明で用いられるポリエステルに用いられるジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、分子量が500〜20000のポリオキシアルキレングリコール(ポリエチレングリコールなど)、およびビスフェノールA−エチレンオキサイド付加物等のジオール成分などが挙げられ、中でもエチレングリコールが好ましく用いられる。さらに、エチレングリコールとしては、バイオマス資源由来のエチレングリコールには、1,2−プロパンジオールが含まれていることが多いため、精製により含有量を調整したバイオマス資源由来のエチレングリコールを用いることがより好ましい態様である。
バイオマス資源由来のエチレングリコールを得る方法としては、例えば、とうもろこし、さとうきび、小麦または農作物の茎などのバイオマス資源から得る方法が挙げられる。これらバイオマス資源は、まずでんぷんに転化され、でんぷんは水と酵素でグルコースに転化され、続いて水素添加反応にてソルビトールに転化され、ソルビトールは引続き一定の温度と圧力で触媒存在下、水素添加反応にて各種のグリコールの混合物となり、これを精製してエチレングルコールを得る方法がある。
本発明の衛生材料用不織布の製造に用いられるポリエステルとしては、ジカルボン酸および/またはそのエステル形成性誘導体成分(以下、ジカルボン酸成分と略す場合がある。)として、テレフタル酸および/またはそのジメチルエステルを用い、ジオール成分としてエチレングリコールを用いて得られるポリエチレンテレフタレートが好ましく、主としてエチレンテレフタレート単位を含むポリエステル共重合体であると、耐熱性の改善度合がより顕著となり、紡糸安定性向上につながる。
本発明の衛生材料用不織布の製造に用いられるポリエステルの共重合成分としては、下記の成分から誘導される構造単位を含有させることができる。具体的に、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸およびドデカン二酸などの脂肪族カルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸およびイソフタル酸、5−スルホイソフタル酸塩(5−スルホイソフタル酸リチウム塩、5−スルホイソフタル酸カリウム塩、および5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩など)などの芳香族ジカルボン酸から誘導される構造単位を含むことができる。
なかでも、5−スルホイソフタル酸リチウム塩、5−スルホイソフタル酸カリウム塩、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩のような5−スルホイソフタル酸塩およびそのエステル形成性誘導体や、分子量が500〜20000のポリオキシアルキレングリコールがより好ましく用いられる。ポリオキシアルキレングリコールとしてはポリエチレングリコールが好ましく、分子量が500〜10000のポリエチレングリコールが特に好ましく用いられる。
5−スルホイソフタル酸塩は、ポリエステルを構成する全ジカルボン酸成分を基準として0.1〜10モル%共重合されていることが好ましく、分子量が500〜30000のポリオキシアルキレングリコールは、得られるポリエステルの質量を基準として0.1〜10.0質量%共重合されていることが好ましい態様である。これらの共重合成分は単独でもよいが、2種類以上を組み合わせて共重合されているときには、耐熱性の改善度がより顕著となる。
本発明の衛生材料用不織布を構成するポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびそれらのモノマーと他のα−オレフィンとの共重合体などの樹脂が挙げられる。なかでも、衛生材料用不織布の熱接着性の観点から、ポリエチレンを用いることが好ましい。
ポリエチレンとしては、製法や物性の違いにより区分され、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、および線状低密度ポリエチレン(LLDPE)等があり、それぞれ繊維用に検討されている。本発明ではいずれのポリエチレンでもよいが、紡糸安定性の観点から、LLDPEを用いることが好ましい態様である。
ポリエチレンには、少量の他成分ポリマーがブレンドされていていることが許容される。他成分ポリマーとしては、融点がポリエチレンに近いポリプロピレンやポリ4メチル1ペンテンなどのポリオレフィン系ポリマーの他、低融点ポリエステルや低融点ポリアミドが挙げられる。ただしポリエチレンの特性を十分発現させるため、ブレンド物の質量比率は、5質量%以下であることが好ましく、より好ましくは2質量%以下である。
ポリエチレンのメルトフローレート(以下、MFRと記載する場合がある。)は、10〜100g/10分であることが好ましく、より好ましくは20〜40g/10分である。ここでいうメルトフローレートとは、ASTM D1238に準拠して、190℃の温度で、荷重2.16kgで測定した値を指す。
ポリオレフィンとしてポリプロピレンを用いる場合、衛生材料用不織布の熱接着性の観点から、共重合ポリプロピレンを用いることが好ましい。
本発明で用いられるポリプロピレンのMFRは、1〜1000g/10分であることが好ましく、10〜500g/10分であることがより好ましく、20〜200g/10分であることがさらに好ましい態様である。
また、本発明で用いられるポリプロピレンのMFRは、好ましくは1〜1000g/10分であり、より好ましくは10〜500g/10分であり、さらに好ましくは20〜200g/10分である。MFRを1〜1000g/10分の範囲とすることにより、安定した紡糸を行いやすくなり、かつ配向結晶化が進みやすくなり、高い強度の繊維が得られやすくなる。ポリプロピレンのMFRは、ASTM D−1238に準拠して、温度が230℃で、荷重2.16kgで測定した値を指す。
ポリプロピレンは、一般的なチーグラナッタ触媒により合成されるポリマーでもよく、メタロセンに代表されるシングルサイト活性触媒により合成されたポリマーも用いることができる。また、エチレンランダム共重合ポリプロピレンも用いることができる。この場合、エチレン含有量は2質量%未満であることが好ましく、より好ましくは1質量%未満である。
他のα−オレフィンとしては、炭素数3〜10のものであり、具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキサン、4−メチル−1−ペンテン、および1−オクテンなどが挙げられる。これらは1種類単独でも、2種類以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に用いられるポリエチレンおよびポリプロピレンには、本発明の効果を損なわない範囲で、通常用いられている酸化防止剤、耐候安定剤、耐光安定剤、帯電防止剤、紡曇剤、ブロッキング防止剤、ポリエチレンワックス等の滑剤、核剤、および顔料等の添加物、あるいは他の重合体を必要に応じて添加することができる。
本発明の衛生材料用不織布を構成する繊維の横断面は、ポリエステルとポリオレフィンからなり、その質量比率は、90/10〜10/90であることが好ましい。ポリエステルの質量比率を10質量%以上とすることにより、衛生材料用不織布として使用する上で十分な物性とすることができる。また、ポリオレフィンの質量比率を10質量%以上とすることにより、十分な熱接着性が得られる。
図1〜図3は、本発明の衛生材料用不織布を構成する繊維の横断面を例示する模式断面図である。
図1は、同芯の芯鞘型複合繊維の断面を示す模式断面図である。図1において、芯部(a)と鞘部(b)の中心は同一である。具体的に、同芯の芯鞘型複合繊維は芯部(a)と鞘部(b)からなり、芯部(a)は繊維の断面内において芯部(a)とは異なる重合体に取り囲まれるように配列され、かつ繊維の長さ方向に延びる部分をいう。また、鞘部(b)は、繊維の断面内において芯部(a)を取り囲むように配列され、かつ繊維の長さ方向に延びる部分をいう。
図2は、偏芯の芯鞘型複合繊維の断面を示す模式断面図である。図2において、芯部(a)と鞘部(b)の中心は異なる。具体的に、偏芯の芯鞘型複合繊維は芯部(a)と鞘部(b)からなり、芯部(a)は繊維の断面内において芯部(a)とは異なる重合体に少なくとも一部が取り囲まれるように配列され、かつ繊維の長さ方向に延びる部分をいう。また、鞘部(b)は、繊維の断面内において芯部(a)の少なくとも一部を取り囲むように配列され、かつ繊維の長さ方向に延びる部分をいう。偏芯の芯鞘型複合繊維には、芯部(a)の側面が露出した露出型と、芯部(a)の側面が露出していない非露出型が存在する。本発明においては、紡糸の安定性から非露出型の偏芯芯鞘型複合繊維が好ましく用いられる。
図3は、サイドバイサイド型複合繊維の断面を示す模式断面図である。サイドバイサイド型複合繊維は、第1成分(c)と第2成分(d)が貼り合わされた構造である。2成分の接合面は直線もしくは曲線のいずれでもよく、2成分の粘度特性や吐出量比率によって異なる。繊維の横断面は円形であってもよく、楕円形等の異型断面とすることもできる。
本発明の衛生材料用不織布で用いられる繊維の平均単繊維繊度は、0.5dtex以上3.5dtex以下であることが好ましく、より好ましくは0.7dtex以上3.2dtex以下であり、さらに好ましくは0.9dtex以上2.8dtex以下である。平均単繊維繊度は、紡糸安定性の観点から、0.5dtex以上であることが好ましく、繊度が細い程、衛生材料用不織布として糸繊維の接着点が多くなるため強度が高く、柔軟性が良好となる。衛生材料に使用されるため、衛生材料用不織布の強力の観点から、平均単繊維繊度は、3.5dtex以下であることが好ましい態様である。上記の平均単繊維繊度は、繊維の側面の顕微鏡観察から繊維の直径を求めることができる。また、繊維断面が異形断面の場合は、繊維断面写真における繊維断面積A(m)とポリマー密度ρ(g/m)より、次式を用いて算出することができる。
・単繊維繊度(dtex)=A(m)×ρ(g/m)×10000(m)。
本発明の衛生材料用不織布は、目付が3〜200g/mであることが好ましい態様である。前記の目付は、より好ましくは5〜150g/mであり、さらに好ましくは10〜100g/mである。目付を上記の範囲とすることにより、衛生材料用不織布として用いる場合に十分な柔軟性を得ることができる。
また、本発明の衛生材料用不織布の見掛密度は、0.130g/cm以下であることが好ましい態様である。前記の見掛密度は、目付を厚さで除することにより算出することができる。見掛密度は、より好ましくは0.125g/cm以下であり、さらに好ましくは0.100g/cm以下である。見掛密度を上記の範囲とすることにより、衛生材料用不織布として用いる場合に十分な嵩高性を得ることができる。
次に、本発明の衛生材料用不織布を製造する方法の一例を説明する。
本発明の衛生材料用不織布としては、スパンボンド法やメルトブロー法により得られる長繊維不織布や、短繊維をカードを用いて繊維ウェブを形成させた後に、熱風処理を施して得られる短繊維不織布などを採用することができる。中でも、スパンボンド不織布は厚み均一性などが良好なものが得られ、かつ工業的に生産性が高いため好ましく用いられる。
スパンボンド法は、原料樹脂を溶融し紡糸口金から紡糸した後、冷却固化した糸条に対し、エジェクターで牽引し延伸して、移動するネット上に捕集して不織ウェブ化した後、熱接着する工程を要する製造方法である。
紡糸口金やエジェクターの形状としては、丸形や矩形等種々のものを採用することができる。なかでも、圧縮エアの使用量が比較的少なく、糸条同士の融着や擦過が起こりにくいという観点から、矩形口金と矩形エジェクターの組み合わせが好ましく用いられる。
本発明で用いられる繊維の断面形状を得る複合口金としては、同芯の芯鞘口金、偏芯の芯鞘口金、およびサイドバイサイド型口金等の複合口金を用いることができる。
溶融し紡糸する際の紡糸温度は、260〜350℃であることが好ましく、より好ましくは280〜310℃である。紡糸温度を上記の範囲内とすることにより、安定した溶融状態とし優れた紡糸安定性を得ることができる。
ポリエステルとポリオレフィン(原料)は、それぞれ別々の押出機によって、溶融し計量され、紡糸口金へと供給される口金吐出孔から紡出される。
紡出された長繊維の糸条を冷却する方法としては、例えば、冷風を強制的に糸条に吹き付ける方法、糸条周りの雰囲気温度にて自然冷却する方法、紡糸口金とエジェクター間の距離を調整する方法、およびこれらの組み合わせを採用することができる。
次に、冷却固化された糸条は、エジェクターから噴射する圧縮エアによって牽引し延伸される。
その後、長繊維を移動するネット上に捕集して不織ウェブ化し、得られた不織ウェブを熱接着により一体化することにより、衛生材料用不織布を得ることができる。
熱接着の方法としては、例えば、上下一対のロール表面に、それぞれ彫刻(凹凸部)が施された熱エンボスロール、片方のロール表面がフラット(平滑)なロールと他方のロール表面に彫刻(凹凸部)が施されたロールとの組み合わせからなる熱エンボスロール、および上下一対のフラット(平滑)ロールの組み合わせからなる熱カレンダーロールなど各種ロールによる熱圧着や、熱風処理による熱接着や超音波による融着を用いることができ、またそれぞれの組み合わせを適用することができる。
中でも、強度と耐摩耗性の観点から、エンボスロールを用いた熱接着として、嵩高性の観点から熱風処理を用いた熱接着を好ましく採用することができる。
エンボスロールによる熱接着では、上下いずれかに彫刻(凹凸部)が施されたロールを用いることにより、全体に圧力が掛かりにくくなり、風合いが損なわれないため好ましい態様である。
熱融着時のエンボス接着面積率は、5〜30%であることが好ましい。接着面積を5%以上、より好ましくは10%以上とすることにより、衛生材料用不織布として実用に供しうる強度を得ることができる。一方、エンボス接着面積率を30%以下、より好ましくは20%以下とすることにより、柔軟な風合いを維持することができる。
ここでいうエンボス接着面積率とは、一対の凹凸を有するロールにより熱接着する場合は、上側ロールの凸部と下側ロールの凸部とが重なって不織ウェブに当接する部分の不織布全体に占める割合のことをいう。また、凹凸を有するロールとフラットロールにより熱接着する場合は、凹凸を有するロールの凸部が不織ウェブに当接する部分の不織布全体に占める割合のことをいう。
熱エンボスロールに施される彫刻の形状としては、円形、楕円形、正方形、長方形、平行四辺形、ひし形、正六角形および正八角形などの形状を用いることができる。
熱エンボスロールの表面温度は、使用している樹脂のうち、最も低融点の樹脂(以下、低融点樹脂と称する場合がある。)の融点に対し−50〜−1℃とすることが好ましい。熱エンボスロールの表面温度を、低融点樹脂の融点に対し−50℃以上、より好ましくは−30℃以上、さらに好ましくは−10℃以上とすることにより、十分に熱接着させ強度をもたせ毛羽の発生を抑えやすくすることができる。
また、熱エンボスロールの表面温度を、低融点樹脂の融点に対し−1℃以下とすることにより、繊維の融解により樹脂同士の剥離が発生するのを防ぎやすくすることができる。
また、熱接着時の熱エンボスロールの線圧は、5〜50kgf/cmであることが好ましい。前記の線圧を5kgf/cm以上、より好ましくは10kgf/cm以上、さらに好ましくは15kgf/cm以上とすることにより、十分に熱接着させることができる。一方、前記の線圧を50kgf/cm以下、より好ましくは40kgf/cm以下、さらに好ましくは30kgf/cm以下とすることにより、ロールの応力がかかりすぎないことにより不織布の風合いを維持することができる。
熱風処理による熱接着の場合、熱風温度は、低融点樹脂の融点+1℃〜+30℃の範囲とすることが好ましく、より好ましくは+1℃〜+15℃の範囲であり、さらに好ましくは+1℃〜+10℃の範囲である。低融点樹脂の融点+1℃以上とすることにより、十分な熱接着性を得ることができる。また、熱風温度を、好ましくは低融点樹脂の融点+30℃以下、より好ましくは+15℃以下、さらに好ましくは10℃以下とすることにより、熱による衛生材料用不織布の硬化を抑えることができ、衛生材料用不織布の柔軟な風合いを維持することができる。
熱風風量については、2.5〜5m/秒であることが好ましい。熱風風量を2.5m/秒以上とすることにより、衛生材料用不織布に熱風を通気させることができ、十分な接着性を得ることができる。一方、熱風風量を5m/秒以下とすることにより、熱処理時のウェブ乱れを抑制することができる。
本発明の衛生材料用不織布は、風合いに非常に優れていることから、特に使い捨て紙おむつやナプキンなどのトップシートやバックシート等に好適に利用することができる。
次に、実施例に基づき、本発明の衛生材料用不織布とその製造方法について、具体的に説明する。
(1)原料ポリマーの融点:
原料ポリマー(ポリエステルとポリオレフィン)の融点は、パーキンエルマ社製示差走査型熱量計DSC−2型を用い、昇温速度20℃/分の条件で測定し、得られた融解吸熱曲線において極値を与える温度を融点とした。また、示差走査型熱量計において、融解吸熱曲線が極値を示さない樹脂については、ホットプレート上で加熱し、顕微鏡観察により樹脂が完全に溶融した温度を融点とした。
(2)ポリエステルの固有粘度(IV):
ポリエステルの固有粘度(IV)は、次の方法で測定した。オルソクロロフェノール100mlに対し試料8gを溶解し、温度25℃においてオストワルド粘度計を用いて相対粘度ηrを、下記式により求めた。
・ηr=η/η0=(t×d)/(t0×d0)
(ここで、ηはポリマー溶液の粘度、η0はオルソクロロフェノールの粘度、tは溶液の落下時間(秒)、dは溶液の密度(g/cm)、t0はオルソクロロフェノールの落下時間(秒)、d0はオルソクロロフェノールの密度(g/cm)を、それぞれ表す。)
次いで、上記の相対粘度ηrから、下記式により固有粘度(IV)を算出した。
・IV=0.0242ηr+0.2634。
(3)ポリオレフィンのMFR:
ポリオレフィンのMFRは、JIS K 7210(1999年)に準拠して測定した。ポリオレフィンがポリエチレンの場合は、190℃の温度で、荷重2.16kgの条件で測定し、またポリプロピレンの場合は、230℃の温度で、荷重2.16kgの条件で測定した。
(4)ポリエステル中の1,2プロパンジオール含有量:
不織布から、試料を1g以上採取する。採取した試料を、有機溶剤に浸漬してポリオレフィン成分を溶解除去する。使用する有機溶剤としては、ポリオレフィン成分が溶解するものであればよく、ポリオレフィンがポリエチレンの場合は1,2,4−トリクロロベンゼンを使用し、ポリプロピレンの場合はオルト−ジクロロベンゼンを使用する。有機溶剤によりポリオレフィン成分を溶解除去し、ポリエステル成分を得る。
続いて、1,2−ブタンジオールの1000μg/ml水溶液を調製し、内部標準液Aとした。試料0.1gをバイアルに秤量し、内部標準液Aを0.006ml、アンモニア水1mlを加え密栓し、150℃の温度で3時間加熱した後、室温25℃まで放冷した。続いて、メタノール2mlとテレフタル酸2.0gを加えた後、15分間振とうし、3500Gで3分間遠心分離した。上澄み液を取り出し、ガスクロマトグラフ(Agilent Technologies社製 GC6890)によって、次の設定条件で測定し、後述する検量線を用いて含有量を求めた。
・スプリット比:1/20、
・キャリアガス流速:2mL/min、
・注入口温度:220℃、
・注入量:1μL、
・MS:JEOL製 SX−102A、
・モニターイオン:m/z 61.0290。
1,2−プロパンジオールの検量線は、次の手順で作成した。1,2−プロパンジオールの1000μg/ml水溶液を調製し標準母液Bとした後、前記の標準母液Bの量を変化させて混合溶媒(メタノール:水=2:1(質量比率))で希釈して、標準溶液Cを5種類調製した。各溶液には、内標準として1,2ブタンジオールを2.00μg/ml含むように、内部標準液Aを添加した。調製した標準液Cを、それぞれガスクロマトグラフィによって、前記の条件で測定した後、得られた1,2−プロパンジオールと内部標準物質のピーク面積比と、標準液C中の1,2−プロパンジオールの濃度をグラフにプロットすることにより、1,2−プロパンジオールの検量線を作製した。
(5)口金周りの堆積物と糸切れ頻度:
繊維の紡出から100時間後の口金孔周辺の堆積物量を、長焦点顕微鏡を用いて観察した。また、生産量1トンあたりの糸切れ回数をカウントし、次の基準で判定した。◎および○の判定を合格とし、×の判定を不合格とした。
◎:堆積物がほとんど認められず生産が可能である状態で、糸切れ回数が0.5回/トン以下である。
○:堆積物が若干認められものの生産は可能である状態、糸切れ回数が2.0回/トン以下である。
×:堆積物が認められ、頻繁に糸切れが発生する状態、糸切れ回数が2.0回/トンより多い。
(6)単繊維の平均繊維直径:
不織布を走査型電子顕微鏡(SEM キーエンス社製VE−7800型)で、500倍で観察し、無作為に抽出した50本の単繊維直径を測定した。これを3ヶ所で行い、合計150本の単繊維の直径を測定し、小数点以下を四捨五入して平均値を算出した。繊維断面が異形断面の場合、まず単繊維の断面積を測定し、当該断面を円形と見立てた場合の直径を算出することによって単繊維の平均繊維直径を求めた。
(7)単繊維の平均繊度:
上記で求めた繊維直径および、使用する樹脂の固形密度から長さ10,000m当たりの質量を単繊維繊度として、小数点以下第二位を四捨五入して算出した。
(8)不織布の目付:
不織布の目付は、JIS L1913(2010年)の6.2「単位面積当たりの質量」に基づき、20cm×25cmの試験片を、試料の幅1m当たり3枚採取し、標準状態におけるそれぞれの質量(g)を量り、その平均値を1m当たりの質量(g/m)で表した。
(9)不織布の厚さ:
JIS L 1908(2010年)に準拠して、不織布の厚さを測定した。2500mmの面積を有するプレッサーフット準備する。プレッサーフットの直径の 1.75 倍以上の大きさの試験片について、一定時間2kPaの圧力を加えた後、厚さを測定する。試験片10枚分の平均値を算出して、その値を厚みとした。
(10)不織布の見掛密度:
測定した上記の不織布の目付と厚さから、不織布の見掛密度を算出した。この数値が低いほど、嵩高性に優れていると評価した。
(実施例1)
(ポリエステル原料)
バイオマス資源由来エチレングリコール(精製品、1,2−プロパンジオールの含有量が110ppm)と、テレフタル酸ジメチルの重縮合から得られたポリエステルチップ(IV:0.6)を、ポリエステル原料として用いた。
(ポリオレフィン原料)
メルトフローレート(MFR)が30g/10分(荷重;2160g、温度;190℃)で、融点が130℃である線状低密度ポリエチレン(LLDPE)樹脂(ダウケミカル日本社製ASPUN6850)を、ポリオレフィン原料に用いた。
(紡糸と繊維ウェブの捕集)
上記のポリエステル原料を芯成分とし上記のポリオレフィン原料を鞘成分として用い、それぞれ別々の押出機で溶融し、前記の芯成分と前記の鞘成分との質量比が50:50となるように計量し、紡糸温度が295℃で、孔径φが0.55mmの芯鞘型紡糸口金から、単孔吐出量0.55g/分で芯鞘型複合繊維を紡出した。紡出した芯鞘型複合繊維に冷却風を当てて冷却固化し、エジェクターに通し、エジェクターから紡糸速度5500m/分で紡糸して、移動するネットコンベアー上に繊維ウェブとして捕集した。紡糸時に口金面の堆積物はほとんど認められず、糸切れもほとんど発生せず、生産できる状態であった。
(熱接着)
引き続き、得られた繊維ウェブを、金属製の水玉柄の彫刻がなされた上ロールおよび金属製でフラットな下ロールから構成される上下一対の接着面積が10%のエンボスロールを用いて、線圧が20kgf/cmで、熱接着温度90℃で熱接着処理し、目付が20g/mの不織布を得た。得られた不織布のポリオレフィン成分を除去し、ポリエステル中に含まれる1,2−プロパンジオールの含有量を測定した結果、25ppmであった。得られた評価結果を、表1に示す。
(実施例2)
単孔吐出量を1.10g/分としたこと以外は、実施例1と同様にして目付が20g/mの不織布を得た。得られた不織布のポリオレフィン成分を除去し、ポリエステル中に含まれる1,2−プロパンジオールの含有量を測定した結果、25ppmであった。得られた評価結果を、表1に示す。
(実施例3)
(ポリエステル原料)
実施例1と同じ原料を用いた。
(ポリオレフィン原料)
メルトフローレート(MFR)が33g/10分(荷重;2160g、温度;230℃)で、融点が147℃である共重合ポリプロピレン(共重合PP)樹脂をポリオレフィン原料(プライムポリマー社製J3021−GR)に用いた。
(紡糸と繊維ウェブの捕集)
実施例1と同様にして、繊維ウェブを捕集した。紡糸時に口金面の堆積物はほとんど認められず、糸切れもほとんど発生せず、生産できる状態であった。
(熱接着)
熱接着温度を115℃としたこと以外は、実施例1と同様にして、目付が20g/mの不織布を得た。得られた不織布のポリオレフィン成分を除去し、ポリエステル中に含まれる1,2−プロパンジオールの含有量を測定した結果、25ppmであった。得られた評価結果を、表1に示す。
(実施例4)
(ポリエステル原料)
実施例1と同じ原料を用いた。
(ポリオレフィン原料)
実施例3と同じ原料を用いた。
(紡糸と繊維ウェブの捕集)
紡糸口金をサイドバイサイド型(貼り合わせ型)とし、単孔吐出量を1.10g/分とし、紡糸速度を4000m/分としたこと以外は、実施例1と同様にして繊維ウェブを捕集した。紡糸時に口金面の堆積物はほとんど認められず、糸切れもほとんど発生せず、生産できる状態であった。
(熱接着)
実施例3と同様にして、目付が20g/mの不織布を得た。得られた不織布のポリオレフィン成分を除去し、ポリエステル中に含まれる1,2−プロパンジオールの含有量を測定した結果、25ppmであった。得られた評価結果を、表1に示す。
(実施例5)
(ポリエステル原料)
実施例1と同じ原料を用いた。
(ポリオレフィン原料)
実施例1と同じ原料を用いた。
(紡糸と繊維ウェブの捕集)
紡糸口金を偏芯芯鞘型とし、単孔吐出量を1.10g/分とし、紡糸速度を4000m/分としたこと以外は、実施例1と同様にして繊維ウェブを捕集した。紡糸時に口金面の堆積物はほとんど認められず、糸切れもほとんど発生せず、生産できる状態であった。
(熱接着)
引き続き、サーマルボンド装置を用い、熱風温度が135℃で、熱風風量が2.5m/sの条件で上記の繊維ウェブを熱処理し、目付が30g/mの不織布を得た。得られた不織布のポリオレフィン成分を除去し、ポリエステル中に含まれる1,2−プロパンジオールの含有量を測定した結果、25ppmであった。得られた評価結果を、表1に示す。
(実施例6)
(ポリエステル原料)
実施例1と同じ原料を用いた。
(ポリオレフィン原料)
実施例1と同じ原料を用いた。
(紡糸と繊維ウェブの捕集)
実施例4と同様にして、繊維ウェブを捕集した。紡糸時に口金面の堆積物はほとんど認められず、糸切れもほとんど発生せず、生産できる状態であった。
(熱接着)
実施例5と同様にして、目付が30g/mの不織布を得た。得られた不織布のポリオレフィン成分を除去し、ポリエステル中に含まれる1,2−プロパンジオールの含有量を測定した結果、25ppmであった。得られた評価結果を、表2に示す。
(実施例7)
(ポリエステル原料)
1,2−プロパンジオールの含有量が40ppmのバイオマス資源由来エチレングリコール(精製品)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして得られたポリエステルチップ(IV0.72)をポリエステル原料として用いた。
(ポリオレフィン原料)
実施例1と同じ原料を用いた。
(紡糸と繊維ウェブの捕集)
実施例1と同様にして繊維ウェブを捕集した。紡糸時に口金面の堆積物は若干認められたものの、糸切れは少なく、生産できる状態であった。
(熱接着)
実施例1と同様にして、目付が20g/mの不織布を得た。得られた不織布のポリオレフィン成分を除去し、ポリエステル中に含まれる1,2−プロパンジオールの含有量を測定した結果、10ppmであった。得られた評価結果を、表2に示す。
(実施例8)
(ポリエステル原料)
1,2−プロパンジオールの含有量が220ppmのバイオマス資源由来エチレングリコール(精製品)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして得られたポリエステルチップ(IV0.65)をポリエステル原料として用いた。
(ポリオレフィン原料)
実施例1と同じ原料を用いた。
(紡糸と繊維ウェブの捕集)
実施例1と同様にして繊維ウェブを捕集した。紡糸時に口金面の堆積物はほとんど認められず、糸切れもほとんど発生しなかった。
(熱接着)
実施例1と同様にして、目付が20g/mの不織布を得た。得られた不織布のポリオレフィン成分を除去し、ポリエステル中に含まれる1,2−プロパンジオールの含有量を測定した結果、50ppmであった。得られた評価結果を、表2に示す。
(実施例9)
(ポリエステル原料)
1,2−プロパンジオールの含有量が1760ppmのバイオマス資源由来エチレングリコール(精製品)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして得られたポリエステルチップ(1,2−プロパンジオールの含有量:400ppm、IV0.65)をポリエステル原料として用いた。
(ポリオレフィン原料)
実施例1と同じ原料を用いた。
(紡糸と繊維ウェブの捕集)
実施例1と同様にして繊維ウェブを捕集した。紡糸時に口金面の堆積物は若干認められたものの、糸切れも少なく、生産できる状態であった。
(熱接着)
実施例1と同様にして、目付が20g/mの不織布を得た。得られた評価結果を、表2に示す。
(比較例1)
(ポリエステル原料)
1,2−プロパンジオールの含有量が2870ppmのバイオマス資源由来エチレングリコール(精製品)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして得られたポリエステルチップ(IV0.65)を、ポリエステル原料として用いた。
(ポリオレフィン原料)
実施例1と同じ原料を用いた。
(紡糸と繊維ウェブの捕集)
実施例1と同様にして、繊維ウェブを捕集した。紡糸時に口金面の堆積物が認められ、それに伴い糸切れが発生した。
(熱接着)
実施例1と同様にして、目付が20g/mの不織布を得た。得られた不織布のポリオレフィン成分を除去し、ポリエステル中に含まれる1,2−プロパンジオールの含有量を測定した結果、650ppmであった。得られた不織布は若干黄変していた。得られた評価結果を、表2に示す。
Figure 2018138703
Figure 2018138703
本発明の実施例1〜8は、バイオマス由来の原料を使用しているにもかかわらず、ポリエステル中に含まれる1,2−プロパンジオールの含有量が1〜500ppmの範囲であることから、熱安定性に優れており、紡糸時の口金面の堆積物が少なく、紡糸性に優れていた。さらに、実施例1〜3は、特に紡糸安定性に優れているため、高い紡糸速度においても安定して紡糸が可能であった。そのため、繊維径が細く、風合いに優れた不織布が得られ、不織布の黄変もなく、衛生材料不織布として非常に好適に用いられるものであった。
また、実施例1、3および7〜9は、比較例1に比べて、同じ吐出量においても、口金面への堆積物が少なく、工業的に安定しており生産に優れていた。さらに、実施例2は、比較例1に比べて、高い吐出量においても紡糸安定性に優れていた。生産性に非常に優れ、コスト競争力に優れていることから、衛生材料用不織布として、好適に使用できるのもであった。
また、比較例1は1,2−プロパンジオールの含有量が500ppmよりも多いため、紡糸安定性が低く、口金面の堆積物が認められ、それに伴い糸切れが発生し、生産性に劣っていた。さらに、糸切れに伴う異物の混入が多く、衛生材料用不織布として使用できるレベルではなかった。
(a):芯部
(b):鞘部
(c):第1成分
(d):第2成分

Claims (3)

  1. ポリエステルとポリオレフィンからなる繊維で構成されている不織布であって、前記ポリエステル中に1,2−プロパンジオール由来の成分が1〜500ppm含有されており、前記不織布が熱接着されていることを特徴とする衛生材料用不織布。
  2. ポリエステルとポリオレフィンの質量比率が、90/10〜10/90である繊維で構成されていることを特徴とする請求項1記載の衛生材料用不織布。
  3. 繊維の横断面の構造が、同芯の芯鞘構造、偏芯の芯鞘構造およびサイドバイサイド構造からなる群から選ばれたいずれかの構造であることを特徴とする請求項1または2記載の衛生材料用不織布。
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