JP2018138355A - 繊維強化プラスチック成形品およびその成形方法 - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、この成形方法では、シートの平面な部分に射出成形で突出部を成形しているので、シート部と突出部との接合面である界面の面積が少なくなり、界面強度が低いという問題がある。
特許文献2では、シート表面にプレス金型で圧縮して凹凸形状を付与し、かつ切削加工により連続繊維を凹状または凸状の形態で露出させることにより、樹脂片同士の結合強度を高めようとしている。
特許文献3では、2つの樹脂片の接触面に互いに異なる角度で傾斜させた傾斜面を向き合わせて、射出成形することにより樹脂の流れ込みを良くして接着強度を高めようとしている。
第2発明の繊維強化プラスチック成形品は、第1発明において、前記貫通孔が前記膨出部の部分に形成されていることを特徴とする。
第3発明の繊維強化プラスチック成形品は、第1発明において、前記貫通孔が膨出部の部分以外の領域に形成されていることを特徴とする。
第4発明の繊維強化プラスチック成形品は、第2発明または第3発明において、前記膨出部は、その内部空洞が前記膨出部の頂部側から裏面側に向かって内径が広がるように形成されていることを特徴とする。
第5発明の繊維強化プラスチック成形品の成形方法は、連続繊維を配向した熱可塑性樹脂シートの表面に、射出成形で突出部材を成形した繊維強化プラスチック成形品の成形方法であって、前記熱可塑性樹脂シートにおける一方の表面から押圧部材で押圧して他方の表面に膨出部を形成する工程と、前記熱可塑性樹脂シートに貫通孔を成形する工程と、前記熱可塑性樹脂シートに形成された前記膨出部および前記貫通孔を含む領域に、射出成形で前記突出部材を成形する工程とからなることを特徴とする。
第6発明の繊維強化プラスチック成形品の成形方法は、第5発明において、前記膨出部と前記貫通孔を形成する工程において、前記押圧部材で前記膨出部と前記貫通孔を同一の工程で形成することを特徴とする。
第7発明の繊維強化プラスチック成形品の成形方法は、第5発明において、前記膨出部と前記貫通孔を形成する工程において、前記膨出部と前記貫通孔を別々の工程で形成することを特徴とする。
第2発明によれば、膨出部に形成された貫通孔を通じて膨出部の内部空洞に樹脂が充填されているので、突出部材を形成する樹脂と膨出部内に入った樹脂とが一体化され、繊維強化プラスチック成形品の突出部材と熱可塑性樹脂シートとの結合強度が飛躍的に高くなっている。
第3発明によれば、膨出部以外の部分に形成された貫通孔を通じて膨出部の内部空洞に樹脂が充填されているので、突出部材を形成する樹脂と膨出部内に入った樹脂とが一体化され、繊維強化プラスチック成形品の突出部材と熱可塑性樹脂シートとの結合強度が飛躍的に高くなっている。
第4発明によれば、膨出部の内部空間が頂部側から裏面側に向って広がっているので、膨出部の内部空洞に充填された樹脂が裏面側に向って広がった形状となり、この樹脂形状が突出部材の引き抜き方向に対して抵抗力となることから、熱可塑性樹脂シートへの突出部材の結合強度がより一層強くなる。
第5発明によれば、突出部材が射出成形されたときに、射出された樹脂が貫通孔を介して膨出部の内部空洞に回り込み、突出部材を形成する樹脂と膨出部内に回り込んだ樹脂とを一体化させる。そのため繊維強化プラスチック成形品の突出部材と熱可塑性樹脂シートとの結合強度を飛躍的に高くできる。
第6発明によれば、膨出部と貫通孔を同一の工程で形成すると、少ない工程で繊維強化プラスチック成形品を成形することができる。
第7発明によれば、膨出部と貫通孔を別々の工程で形成すると、任意の形状の膨出部や貫通孔に成形できるので、突出部材の結合強度を高くするのに有利である。
本発明の適用対象は、連続繊維で強化した熱可塑性樹脂シート(以下、樹脂シートという)に突出部材を形成した繊維強化プラスチック成形品であり、本発明は得られた成形品とそれに用いる成形方法である。
前記樹脂シートは、連続繊維を配向して強化した熱可塑性樹脂を用いたものであり、高強度だが複雑な形状のプレス成形が難しいものである。
樹脂シートの形状は、代表的には平板状のものであるが、平板状の樹脂シートを一次加工して、全体にゆるやかに湾曲していたり、端縁のみ湾曲しているものなどが含まれる。
突出部材の形状は、棒状、板状、ブロック状などの部材を例示できるが、これらに限定されるものではない。
図1は本発明に係る成形方法の基本概念を示している。
(I)準備工程
射出成形機の成形型10は、固定金型12とこの固定金型12に対し進退自在に配置された可動金型13からなり、可動金型13には固定金型12側に進退自在な押圧部材20が設けられている。そして、固定金型12と可動金型13との間に、キャビティ11が形成されている。
準備工程では、固定金型12と可動金型13の間に樹脂シート1をセットする。なお、樹脂シート1は、加熱手段で加熱されたものが用いられる。
押圧部材20をキャビティ11側に押し付けて樹脂シート1を押圧する。
押圧部材20は円筒状のロッド21とその先端に形成されたピン22とからなる。この押圧部材20を樹脂シート1の片面から反対面に押し付けることで、ロッド21により、樹脂シート1に膨出部2が形成されると共に、膨出部2に貫通孔3が形成される。
押圧部材20を退避させると、樹脂シート1に膨出部2が形成され、かつ貫通孔3が膨出部2の頂点に形成される。この状態で次工程の射出成形の準備が完了する。
(IV)射出成形
図示していないが固定金型12側からの充填装置で成形型10のキャビティ11内に樹脂を充填する。充填方向はキャビティ側(矢印x方向)からでもよく反キャビティ側(押圧部材20のある側)からでもよい。なお、反キャビティ方向では、固定金型13側に充填装置と押圧部材20を設ける。
(B)図は押圧部材20の単体図であり、円柱状のロッド21と、その先端に形成された針状のピン22とからなる。ロッド21の長さは成形型10に合わせて任意の長さにでき、直径は形成したい膨出部2の大きさに合わせて選定すればよい。ピン22の長さや太さも形成したい貫通孔3に合わせて選定すればよい。
図の(1)では、ピン22が樹脂シート1に穿孔しはじめている。
図の(2)では、ロッド21の肩で樹脂シート1を押し広げて膨出部2を形成しながら、穿孔部分も大きくしつつある。
図の(3)に示すように、ロッド21とピン22が所定量だけ樹脂シート1に貫入すると、膨出部2が形成され、かつ貫通孔3の形成が完了する。
この内部空洞2aの形状は、膨出部2の頂部側から裏面側に向かって内径が広がるように形成される。その理由は、押圧部材20が、型締めされている樹脂シート1のもつ内部抵抗に抗して押圧することにより、シート内部に引張り抵抗が発生した状態で押圧成形を止めるからである。
膨出部2の頂部に形成される貫通孔3の大きさはピン22の直径で決まり、その穿孔位置はピン22のロッド21に対する形成位置で決まる。
したがって、図3(A)に示すように、貫通孔3は膨出部2の頂点ではなく側部に形成してもよい。図示の例では、貫通孔3の形成個数は2個であるが、3個以上であってもよい。
図4(A)に示す例は、膨出部2の根元から少し横に離れた側方に貫通孔3を形成した例である。この場合、成形型10に樹脂rの通り道14を形成しておけば、キャビティ11と膨出部2の内部を連通させることができる。
しかし、上記と異なり、膨出部2と貫通孔3を別々の工程で形成してもよい。
膨出部2と貫通孔3を別々の工程で形成する場合(第7発明の実施形態)、押圧部材20のロッド21を先に貫入させて膨出部2を先に形成し、その後でピン22を貫入させて貫通孔3を形成してもよく、ピン22を先に貫入させて貫通孔3を先に形成し、その後でロッド21を貫入させて膨出部2を形成してもよい。
図5(A)のプラスチック成形品Aは、樹脂シート1とその表面に棒状の突出部材5が形成されたものである。樹脂シート1は既述のごとく連続繊維を配向した熱可塑性樹脂を用いたシートである。突出部材5は既述のごとく樹脂rを射出して成形されたものである。
さらに、棒状や厚板状に限らず、射出成形が可能なら、どのような形状の突出部材でも樹脂シート1上に形成できる。
図7(A)は、樹脂シート1の成形用の固定金型12と可動金型13との対面が緩やかに湾曲したものを示している。この成形型10を用いると、同図(B1、B2)に示すように、浅皿状に湾曲した樹脂シート1に突出部材5が形成されたプラスチック成形品Cが得られる。
また、樹脂シート1は、固定金型12と可動金型13を型締めして湾曲や深皿状に形成しても良く、成形型10に挿入する前に別の加工手段で湾曲や深皿状に形成しても良い。
このように、樹脂シート1と突出部材5との組合せは任意であり、とくに制限は存在しない。
2 膨出部
2a 内部空洞
3 貫通孔
5,6 突出部材
10 成形型
11 キャビティ
20 押圧部材
21 ロッド
22 ピン
Claims (7)
- 連続繊維を配向した熱可塑性樹脂シートの表面に、突出部材が設けられた繊維強化プラスチック成形品であって、
前記熱可塑性樹脂シートにおける一方の表面から他方の表面側に突出するように形成された膨出部と、
前記熱可塑性樹脂シートに形成された貫通孔と、
前記熱可塑性樹脂シートの突出部材が前記膨出部と前記貫通孔を含む領域に接続されている、
ことを特徴とする繊維強化プラスチック成形品。 - 前記貫通孔が前記膨出部の部分に形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の繊維強化プラスチック成形品。 - 前記貫通孔が膨出部の部分以外の領域に形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の繊維強化プラスチック成形品。 - 前記膨出部は、その内部空洞が前記膨出部の頂部側から裏面側に向かって内径が広がるように形成されている
ことを特徴とする請求項2または3記載の繊維強化プラスチック成形品。 - 連続繊維を配向した熱可塑性樹脂シートの表面に、射出成形で突出部材を成形した繊維強化プラスチック成形品の成形方法であって、
前記熱可塑性樹脂シートにおける一方の表面から押圧部材で押圧して他方の表面に膨出部を形成する工程と、
前記熱可塑性樹脂シートに貫通孔を成形する工程と、
前記熱可塑性樹脂シートに形成された前記膨出部および前記貫通孔を含む領域に、射出成形で前記突出部材を成形する工程とからなる、
ことを特徴とする繊維強化プラスチック成形品の成形方法。 - 前記膨出部と前記貫通孔を形成する工程において、前記押圧部材で前記膨出部と前記貫通孔を同一の工程で形成する
ことを特徴とする請求項5記載の繊維強化プラスチック成形品の成形方法。 - 前記膨出部と前記貫通孔を形成する工程において、前記膨出部と前記貫通孔を別々の工程で形成する
ことを特徴とする請求項5記載の繊維強化プラスチック成形品の成形方法。
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