JP2018135053A - ハイブリッド車両用駆動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】走行モードの多様性を高めたハイブリッド車両用駆動装置を提供する。
【解決手段】駆動装置10は、エンジン11と第1モータ12とが各回転要素に連結される第1遊星歯車機構14と、第1遊星歯車機構14の第1出力要素27から出力されるトルクを変化させる第2遊星歯車機構15とを備え、エンジン11が出力した駆動力を第1モータ12側と出力部材16側とに分割し、第1モータ12によって発電された電力で駆動される第2モータ13が出力する駆動力を出力部材16から出力される駆動力に付加する。第1クラッチ機構CL1は、第1入力要素25と第2反力要素30とを選択的に連結する。第2クラッチ機構CL2は、第2遊星歯車機構15の第2反力要素30と第2出力要素29とを選択的に連結する。ブレーキ機構BKは、第1出力要素27および第2入力要素28と固定部材32とを連結する。
【選択図】図1
【解決手段】駆動装置10は、エンジン11と第1モータ12とが各回転要素に連結される第1遊星歯車機構14と、第1遊星歯車機構14の第1出力要素27から出力されるトルクを変化させる第2遊星歯車機構15とを備え、エンジン11が出力した駆動力を第1モータ12側と出力部材16側とに分割し、第1モータ12によって発電された電力で駆動される第2モータ13が出力する駆動力を出力部材16から出力される駆動力に付加する。第1クラッチ機構CL1は、第1入力要素25と第2反力要素30とを選択的に連結する。第2クラッチ機構CL2は、第2遊星歯車機構15の第2反力要素30と第2出力要素29とを選択的に連結する。ブレーキ機構BKは、第1出力要素27および第2入力要素28と固定部材32とを連結する。
【選択図】図1
Description
本発明は、エンジンに加えて二つのモータもしくはモータ・ジェネレータを備えたハイブリッド車両用駆動装置に関するものである。
従来、エンジンおよび二つのモータもしくはモータ・ジェネレータを備えた駆動装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。第1のモータは、主として、エンジン回転数を制御するモータであって、エンジンと第1のモータとが、動力分割機構を構成している第1遊星歯車機構における所定の回転要素にそれぞれ連結されている。その動力分割機構における第1出力要素から出力されるトルクを変化させるための変速部が設けられている。その変速部は、第1出力要素が連結された第2入力要素と、第2反力要素と、第2出力要素とを有する第2遊星歯車機構によって構成され、第2反力要素を選択的に固定する第1の係合機構と、第2反力要素と第2入力要素とを連結して変速部の全体を選択的に一体化する第2の係合機構とを備えている。
また、動力分割機構を構成している第1遊星歯車機構における第1入力要素と第1反力要素との何れか一方と、変速部を構成している第2遊星歯車機構における第2反力要素とを選択的に連結する第1クラッチ機構と、第2遊星歯車機構における少なくとも二つの回転要素を選択的に連結する第2クラッチ機構とを備えたハイブリッド車両用駆動装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2に記載の装置は、第1入力要素の回転を選択的に阻止するブレーキ機構を備えている。
特許文献1に記載された装置は、動力分割機構の出力要素を、ハイおよびローの二段に変速することのできる変速部に連結した構成であるため、駆動トルクあるいは出力回転数を高低二段に切り替えることができる。しかしながら、エンジンが駆動力を出力する場合には、第1のモータによって反力トルクを発生させる必要があるから、第1のモータを走行のためのトルクを出力するモータとして機能させることができない。すなわち、特許文献1に記載された装置では、例えばエンジンと第1モータおよび第2モータの三者が走行のためのトルクを出力する走行モードを設定することができず、走行モードの多様性を高める点では改善の余地がある。
また、特許文献2に記載された装置では、エンジンから駆動トルクが入力される入力軸にブレーキ機構を備えている実施形態が記載されている。ブレーキ機構は、エンジンの回転を停止する機能しか有していない。このため、ブレーキ機構を追加することで得られる効果が薄く、走行モードの多様性を高める点では改善の余地がある。
この発明は、走行モードの多様性を高めるようにブレーキ機構を配置したハイブリッド車両用駆動装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、この発明は、内燃機関が出力した駆動力が入力される第1入力要素と、発電機能のある第1モータに連結されている第1反力要素と、第1出力要素とによって差動作用を行う第1遊星歯車機構と、前記第1出力要素に連結された第2入力要素と、出力部材に連結されている第2出力要素と、第2反力要素とによって差動作用を行う第2遊星歯車機構とを備え、前記内燃機関が出力した駆動力を前記第1モータ側と前記出力部材側とに分割し、前記第1モータによって発電された電力で駆動される第2モータが出力する駆動力を、前記出力部材から出力される駆動力に付加するように構成されたハイブリッド車両用駆動装置において、前記第1入力要素と前記第1反力要素とのいずれか一方と前記第2反力要素とを選択的に連結する第1クラッチ機構と、前記第2遊星歯車機構における前記第2入力要素、前記第2反力要素および前記第2出力要素のうちの少なくともいずれか二つの要素を選択的に連結して前記第2遊星歯車機構を一体化させる第2クラッチ機構と、前記第1出力要素および前記第2入力要素と所定の固定部材とを連結するブレーキ機構とを備えていることを特徴とするものである。
この発明によれば、例えばブレーキ機構を係合させることで、第1遊星歯車機構と第2遊星歯車機構を、それぞれ固定のギヤ比を持つギヤとして機能させることが可能となる。そして、第1クラッチ機構を係合させ、かつ第2クラッチ機構を解放させることにより、内燃機関から出力される駆動力が第1遊星歯車機構と第2遊星歯車機構とに分割して伝達される。第2遊星歯車機構に伝達される駆動力は、第2遊星歯車機構が設定する一定な変速比により増幅または減少して出力部材に伝達される。一方、ブレーキ機構の係合により第1出力要素および第2入力要素が固定されてこれらが反力要素として作用するため、第1モータから走行用の駆動力を出力可能となる。つまり、内燃機関が出力した駆動力、第1モータが出力した駆動力および第2モータが出力した駆動力とを合算した駆動力を増減して駆動輪に伝達させることができる。このため、例えば前進または後進走行時における駆動力の伝達効率の向上を図ることができる。
また、例えばブレーキ機構を係合させて、第1遊星歯車機構を第2遊星歯車機構との連係が断たれた独立の機構として機能させ、かつ第1クラッチ機構を解放させ、かつ第2クラッチ機構を解放させ、かつ第2モータから出力される駆動力を走行用の駆動力として使用する。これにより、内燃機関から出力される駆動力が第2遊星歯車機構に伝達されない。このため、内燃機関の回転または出力トルクが大きい領域でエンジンを運転させても、そのときに生じる振動などが出力部材、つまり駆動輪に伝達されない。このため、走行時の車両のNV性能が向上する。また、例えば第2モータから出力される駆動力を使用して走行中に、内燃機関の運転を停止することができ、よって燃費の向上を図ることができる。
さらに、例えば第1クラッチ機構を解放させ、かつ第2クラッチ機構を係合させ、かつブレーキ機構を係合させることで、出力部材の回転を停止させることが可能である。つまり車両を停止するパーキングモードを追加可能である。このとき、ブレーキ機構を係合させているため、第1遊星歯車機構が第2遊星歯車機構との連係が断たれた独立の機構として機能する。これにより、車両を停止させた状態で、内燃機関から出力される駆動トルクにより第1モータを回生動作させることができる。
図1は、本発明に適用されるハイブリッド車両(以下、「車両」と称す)に使用される駆動装置10の一例を概念的に示す。図1に示すように、駆動装置10は、エンジン(ENG(Engine))11、第1モータ(MG(Motor Generator)1)12、第2モータ(MG2)13、第1差動機構の一例である第1遊星歯車機構(PL(planet)1)14、第2差動機構の一例である第2遊星歯車機構(PL2)15、出力部材(OUT)16、第1クラッチ機構CL1、第2クラッチ機構CL2、ブレーキ機構BK、PCU(Power Control Unit)20、油圧コントローラ21、HV(Hybrid Vehicle)_ECU(Electronic Control Unit)22、ENG_ECU23、MG_ECU24およびバッテリ(二次電池)33を備える。なお、駆動装置10を備えた車両としては、外部電源により充電可能なプラグインハイブリッド車両でもよい。エンジン11は、内燃機関の一例である。
第1モータ12は、発電機能のあるモータ(モータ・ジェネレータ)により構成される。駆動装置10は、第1モータ12が発電した電力を使用して第2モータ13を駆動し、第2モータ13が出力する駆動力を走行用の駆動力として使用する走行モードを構成可能である。第2モータ13は、発電機能のあるモータ(モータ・ジェネレータ)により構成される。
第1遊星歯車機構14は、エンジン11が出力したトルクが入力される第1入力要素25、第1モータ12に連結されている第1反力要素26および第1出力要素27により差動作用を行う。第2遊星歯車機構15は、第1出力要素27に連結された第2入力要素28、出力部材16に連結されている第2出力要素29および第2反力要素30により差動作用を行う。
第1クラッチ機構CL1は、第1遊星歯車機構14と第2遊星歯車機構15とが複合遊星歯車機構を構成するように設けられており、第2反力要素30を第1入力要素25もしくは第1反力要素26に選択的に連結する構成であってよい。図1に示す実施形態では、第1クラッチ機構CL1は第1入力要素25と第2反力要素30とを選択的に連結する。
第2クラッチ機構CL2は、第2遊星歯車機構15の全体を一体化させるものであり、第2入力要素28と第2反力要素30もしくは第2出力要素29、あるいは第2反力要素30と第2出力要素29とを連結するなどの少なくともいずれか二つの回転要素を連結する構成であってよい。図1に示す実施形態では、第2クラッチ機構CL2は、第2出力要素29と第2反力要素30とを選択的に連結する。
ブレーキ機構BKは、第1出力要素27および第2入力要素28を連結する連結部材31と固定部材32との間に設けられ、連結部材31、つまり第1出力要素27および第2入力要素28を選択的に固定する。
第1クラッチ機構CL1は、例えば湿式多板クラッチなどの摩擦式のクラッチ機構であってもよく、あるいはドグクラッチなどの噛み合い式のクラッチ機構であってもよい。第1クラッチ機構CL1は、例えば油圧によって制御されて係合あるいは解放する。第2クラッチ機構CL2は、第1クラッチ機構CL1と同じまたは同様な機構のものでよい。ブレーキ機構BKは、摩擦式あるいは噛み合い式のブレーキ機構によって構成することができ、例えば油圧によって制御されて固定あるいは解放する。油圧コントローラ21は、HV_ECU22から出力された指令値に応じて第1クラッチ機構CL1、第2クラッチ機構CL2およびブレーキ機構BKに対する油圧の供給を個別に制御する。
HV_ECU22は、アクセルペダルの操作量および車両の速度などに応じてエンジン11、第1モータ12および第2モータ13などを制御するためにENG_ECU23およびMG_ECU24に制御信号を出力する。ENG_ECU23は、HV_ECU22からの制御信号に基づいてエンジン11などを制御する。MG_ECU24は、HV_ECU22からの制御信号に基づいてPCU20を制御する。
PCU20は、バッテリ33と第1モータ12および第2モータ13との間で電力変換を行なうコンバータ34およびインバータ35を備える。つまりPCU20は、駆動する電力を第1モータ12および第2モータ13に供給するとともに、第1モータ12および第2モータ13により発電された電力をバッテリ33に蓄電する制御を実施する。ENG_ECU23は、エンジン11の運転を制御するとともに油圧コントローラ21を統括的に制御する。
図2は、図1に示した駆動装置10の一例を示す。図2に示すように駆動装置10は、エンジン11、第1モータ12、第2モータ13、第1遊星歯車機構14、第2遊星歯車機構15、第1クラッチ機構CL1、第2クラッチ機構CL2、ブレーキ機構BK、デファレンシャル36および駆動輪37などを備え、第1遊星歯車機構14の入力軸38と第2モータ13のロータ39とが異なる軸上に配置された複軸式となっている。図2に示す駆動装置10は、フロントエンジン・フロントドライブ車(FF車)あるいはリヤエンジン・リヤドライブ車(RR車)に適するように構成した例である。
図2に示すように第1遊星歯車機構14は、第1サンギヤS1、第1キャリヤC1および第1リングギヤR1を備えたシングルピニオン型遊星歯車機構であり、エンジン11が出力したトルクを第1モータ12側と出力部材(出力ギヤ)16側とに分割する動力分割機構を構成している。第1サンギヤS1は、外歯歯車となっている。第1リングギヤR1は、第1サンギヤS1に対して同心円上に配置された内歯歯車となっている。第1キャリヤC1は、第1サンギヤS1と第1リングギヤR1とに噛み合う第1ピニオンギヤP1を保持して回転する。
エンジン11が出力した駆動力は、第1キャリヤC1に入力される。具体的には、エンジン11の出力軸40に連結された入力軸38が第1キャリヤC1に連結されている。なお、第1キャリヤC1と入力軸38とを直接に連結する構成に替えて、歯車機構などの伝動機構を介して第1キャリヤC1と入力軸38とを連結してよい。また、出力軸40と入力軸38との間にダンパ機構やトルクコンバータなどの機構を配置してよい。第1サンギヤS1には、第1モータ12のロータ42が連結されている。第1遊星歯車機構14および第1モータ12は、エンジン11の出力軸40と同一の軸線Cnt上に配置されている。なお、第1キャリヤC1は第1入力要素25の一例であり、また第1サンギヤS1は第1反力要素26の一例であり、さらには第1リングギヤR1は第1出力要素27の一例である。
第2遊星歯車機構15は、シングルピニオン型遊星歯車機構により構成されており、第2サンギヤS2、第2キャリヤC2および第2リングギヤR2との三つの回転要素により差動作用を行う差動機構である。第2サンギヤS2は、外歯歯車となっており、第1遊星歯車機構14の第1リングギヤR1に連結されている。第2リングギヤR2は、第2サンギヤS2に対して同心円上に配置された内歯歯車となっており、出力部材16と一体的に回転する。第2キャリヤC2は、第2サンギヤS2および第2リングギヤR2に噛み合っている第2ピニオンギヤP2を保持して回転するとともに、第1クラッチ機構CL1を介して第1遊星歯車機構14の第1キャリヤC1に連結されている。なお、第2サンギヤS2は第2入力要素28の一例であり、また第2キャリヤC2は第2反力要素30の一例であり、さらに第2リングギヤR2は第2出力要素29の一例である。
第1クラッチ機構CL1は、第2キャリヤC2を第1キャリヤC1に連結する。この第1クラッチ機構CL1を係合させることにより第1キャリヤC1と第2キャリヤC2とが連結されてこれらが入力要素となり、また第1サンギヤS1が反力要素となり、さらに第2リングギヤR2が出力要素となった複合遊星歯車機構が形成される。第2クラッチ機構CL2は、第2リングギヤR2を第2キャリヤC2に連結する。ブレーキ機構BKは、第1リングギヤR1および第2サンギヤS2と固定部材32とを連結する。
駆動装置10には、軸線Cntと平行にカウンタシャフト44が配置されている。カウンタシャフト44は、出力部材16に噛み合っているドリブンギヤ45に取り付けられている。また、カウンタシャフト44には、ドライブギヤ46が取り付けられており、このドライブギヤ46が終減速機であるデファレンシャル36におけるリングギヤ47に噛み合っている。さらに、ドリブンギヤ45には、第2モータ13におけるロータ39に取り付けられたドライブギヤ48が噛み合っている。したがって、第2モータ13が出力した駆動トルクが出力部材16から出力された駆動トルクにドリブンギヤ45の部分で加えられる。このようにして合成された駆動トルクは、デファレンシャル36から左右のドライブシャフト49,50を介して駆動輪37に伝達される。
図3は、図2で説明した駆動装置10に設定される走行モードの種類を示す。図3に示すように、駆動装置10は、第1クラッチ機構CL1、第2クラッチ機構CL2、およびブレーキ機構BKとの状態を変えることで第1モードから第7モードのいずれかのモードを設定することが可能である。第1モードから第7モードの各々は、HV_ECU22によって第1クラッチ機構CL1、第2クラッチ機構CL2、ブレーキ機構BK、エンジン11、第1モータ12および第2モータ13を制御することにより設定される。同図には、各モードでの第1クラッチ機構CL1、第2クラッチ機構CL2およびブレーキ機構BKの状態として、「−」を解放、「○」を係合または固定として表している。
第1モードは、第1クラッチ機構CL1のみを係合させて、ハイブリッド(HV)走行モードのロー(EVT Lo)モードを設定する。第2モードは、第2クラッチ機構CL2のみを係合させてハイブリッド(HV)走行モードのハイ(EVT Hi)モードを設定する。第3モードは、第1クラッチ機構CL1および第2クラッチ機構CL2が共に係合されて、ハイブリッド(HV)走行モードの直結(HV Fix)モードを設定する。第4モードは、ブレーキ機構BKと第1クラッチ機構CL1とを係合させて、ハイブリッド(HV)モードのFix(Hi)モードを設定する。第5モードは、ブレーキ機構BKのみを係合させて、ハイブリッド(HV)モードのEVTシリーズモードを設定する。
第6モードは、EV走行モードである。EV走行モードは、いわゆる電気自動車として走行するモードであって、第1クラッチ機構CL1、第2クラッチ機構CL2およびブレーキ機構BKがそれぞれ解放させられる。また、第2モータ13がバッテリ33に蓄積された電力によってモータとして動作して走行用の駆動力を出力する。エンジン11の運転および第1モータ12の駆動は停止されている。第7モードは、パーキングモードであり、ブレーキ機構BKと第2クラッチ機構CL2とを係合の状態にすることで設定される。
図4は、図3に示す第1モードの動作状態を示す。なお、図4を含めて以下で説明する共線図は、複合遊星歯車機構における各回転要素を示す直線をギヤ比の間隔をあけて互いに平行に引き、これらの直線に直交する基線からの距離をそれぞれの回転要素の回転数を示す図である。
図4に示すように第1モードは、第1クラッチ機構CL1を係合し、かつ第2クラッチ機構CL2を解放し、かつブレーキ機構BKを解放させることで設定される。複合遊星歯車機構においては、第1クラッチ機構CL1により連結されている第1キャリヤC1と第2キャリヤC2とが入力要素を形成し、エンジン11が出力した動力が第1キャリヤC1と第2キャリヤC2とに伝達される。また、第1サンギヤS1には第1モータ12による正トルクが加えられ、第1サンギヤS1が反力要素となる。同図には、第1サンギヤS1の回転数を第1キャリヤC1や第2サンギヤS2の回転数(あるいはエンジン回転数)より低回転とした状態を示しており、この状態では、出力要素である第2リングギヤR2が第1キャリヤC1の回転数(あるいはエンジン11の回転数)より低回転数になる。したがって、第1モードは、入力回転数と出力回転数との比である変速比として見た場合、「1」より大きな変速比となって、いわゆるアンダードライブ状態となる。
図5は、図3に示す第2モードの動作状態を示す。第2モードは、第1クラッチ機構CL1を解放し、かつ第2クラッチ機構CL2を係合し、かつブレーキ機構BKを解放させることで設定される。図5に示すように第1クラッチ機構CL1を解放すれば、第1遊星歯車機構14と第2遊星歯車機構15との間では、第1リングギヤR1と第2サンギヤS2とが連結されているのみであるから、エンジン11が出力した駆動トルクのうち、第1リングギヤR1に分割された駆動トルクが第2サンギヤS2に伝達される。第2遊星歯車機構15では、第2クラッチ機構CL2が係合して第2キャリヤC2と第2リングギヤR2との二つの回転要素が連結されているので、第2遊星歯車機構15の全体が一体となって回転する。したがって、第2遊星歯車機構15が変速作用を行うことがないので、第1リングギヤR1の駆動トルクは、第2遊星歯車機構15によって増減されることなく出力部材16に伝達される。したがって、出力部材16の回転数は、エンジン11の回転数および第1モータ12の回転数が前述した第1モードであるローモードの場合と同じであっても、第1モードにおける回転数より高回転数となる。その回転数の上昇分、第2モードは、変速比が小さくなって、いわゆるオーバードライブ状態となる。
図6は、図3に示す第3モードの動作状態を示す。第3モードは、第1クラッチ機構CL1を係合し、かつ第2クラッチ機構CL2を係合し、かつブレーキ機構BKを解放させることで設定される。図6に示すように第2クラッチ機構CL2が係合することにより第2遊星歯車機構15の全体が一体となって回転する。また、第1クラッチ機構CL1が係合することにより、第2キャリヤC2にエンジン11の出力軸40が連結される。したがって、エンジン11が出力した駆動トルクは、第2遊星歯車機構15を介して出力部材16に直接に伝達される。また、第1遊星歯車機構14は、第1キャリヤC1にエンジン11から出力される駆動トルクが伝達され、また第1リングギヤR1に第2サンギヤS2から駆動トルクが伝達されることで第1遊星歯車機構14の全体が一体となって回転し、差動作用を行わない。したがって、第1モータ12がバッテリ33に蓄積された電力によってモータとして機能することによる駆動トルクが第1遊星歯車機構14および第2遊星歯車機構15を介して増減されることなく出力部材16に伝達される。つまりエンジン11と第1モータ12との駆動トルクが合算されて出力部材16から出力される。また、第3モードでは、第2モータ13が出力した駆動トルクをドリブンギヤ45の部分で、エンジン11および第1モータ12の駆動トルクに加える。この第3モードでは、エンジン11の回転数と出力部材16の回転数とが常に同じになる。
図7は、図3に示す第4モードの動作状態を示す。第4モードは、第1クラッチ機構CL1を係合し、かつ第2クラッチ機構CL2を解放し、かつブレーキ機構BKを係合させることで設定される。図7に示すように第1クラッチ機構CL1が係合することにより、エンジン11の出力軸40が第2キャリヤC2に連結される。これにより、エンジン11が出力した駆動トルクは、第2遊星歯車機構15を介して出力部材16に直接に伝達される。また、ブレーキ機構BKが係合することで第2サンギヤS2および第1リングギヤR1が固定される。
第1遊星歯車機構14においては、ブレーキ機構BKの係合により第1リングギヤR1および第2サンギヤS2が固定されてこれらが反力要素として作用するため、第1モータ12から走行用の駆動力を出力可能となる。つまり第1モータ12が出力した駆動トルクとエンジン11が出力した駆動トルクとを合算した駆動力が出力部材16に伝達される。第2遊星歯車機構15は、エンジン11が出力した駆動力が第2キャリヤC2に伝達され、かつ第2サンギヤS2の回転が固定されているため第2リングギヤR2が正方向(車両を前進させる方向)に回転する。一方、第2モータ13は、正方向の回転となるように駆動力が出力される。この場合、車両は前進走行される。つまり、第4モードでは、エンジン11、第1モータ12および第2モータ13から出力される駆動トルクを合算した大きい駆動力を走行用の駆動力として発生させることが可能でる。これに加えて、第4モードでは、第1モータ12の回転を制御することで第2遊星歯車機構15に設定される一定な変速比(ギヤ比)により走行用の駆動力を増減することができる。つまり第4モードでは、出力部材16の回転数をエンジン11の回転数よりも高回転数に増速させることが可能となる。
運転者が動力性能を重視した走行を望む場合には、エンジン11が出力する駆動トルクを増幅し、また消費効率の高い走行を望む場合にはエンジン11が出力する駆動トルクを減少させる。つまり、第4モードでは、要求電力に対して発電電力を増加させて燃料消費効率が良い運転を行えるため、燃費向上が図れる。また運転者が所望する走行が行えるため、従来技術と比べて、駆動力の伝達性能の向上が図れる。
図8は、図3に示す第5モードの動作状態を示す。第5モードは、第1クラッチ機構CL1を解放し、かつ第2クラッチ機構CL2を解放し、かつブレーキ機構BKを係合させることで設定される。図8に示すように第5走行モードに設定された場合に第1遊星歯車機構14は、ブレーキ機構BKにより第1リングギヤR1および第2サンギヤS2の回転が固定されるため、第2遊星歯車機構15との連係が断たれて独立の機構として機能する。つまりエンジン11が出力した駆動力は、第1キャリヤC1を経由して第1サンギヤS1のみに伝達される。第1サンギヤS1には、第1モータ12が発電機として機能することによる負トルクが作用する。第1モータ12が発電した電力を利用して第2モータ13がモータとして駆動される。第2モータ13が出力した駆動力は、ドライブギヤ46からドリブンギヤ45を経て駆動輪37に伝達される。一方、ドリブンギヤ45に噛み合っている出力部材16およびこれと一体の第2リングギヤR2は、第2モータ13から伝達されるトルクにより正回転する。しかし、第2遊星歯車機構15は、ブレーキ機構BKにより第2サンギヤS2の回転が固定されている。しかも第1クラッチ機構CL1が解放しているので第2キャリヤC2が空転する。このため、第2モータ13から伝達されるトルクが第1遊星歯車機構14に伝達されることはない。
このように第5モードでは、エンジン11の回転の変動およびエンジン11から出力される駆動トルクの変動が駆動輪37に伝達されない。その結果、エンジン11の回転の変動および駆動トルクの変動が大きい領域でエンジン11を運転させても駆動輪37に伝達されない。このため、走行時の車両のNV(Noise Vibration)性能が改善される。
図9は、図3に示す第7モードの動作状態を示す。図7に示すように第7モードは、第1クラッチ機構CL1を解放し、かつ第2クラッチ機構CL2を係合させ、かつブレーキ機構BKを固定させることにより設定される。第7モードに設定された場合に、第2クラッチ機構CL2により第2リングギヤR2と第2キャリヤC2とが連結され、かつブレーキ機構BKにより第2サンギヤS2および第1リングギヤR1の回転が固定される。つまり、第2遊星歯車機構15は、第7走行モードが設定された場合に、第2リングギヤR2およびこれと一体な出力部材16の回転を固定するパーキング機構として機能する。第1遊星歯車機構14は、第2サンギヤS2と共に第1リングギヤR1の回転が止められており、エンジン11が出力した駆動トルクが第1キャリヤC1に伝達されて第1キャリヤC1が正回転する。第1キャリヤC1に作用する駆動トルクに対して、第1サンギヤS1には第1モータ12が発電機として機能することによる負トルクが作用する。
第7モードでは、駆動輪37を固定したままエンジン11を運転することができる。つまり、車両を停止状態にしたままエンジン11が出力した駆動力により第1モータ12を回生動作可能となる。この実施形態によれば、従来技術と比べて、パーキングモードを追加することを考慮するとブレーキ機構を数を減らすことができ、よって駆動装置10の軽量化およびコンパクト化を図ることができる。
このように駆動装置10の場合には、従来技術と比べて、第1遊星歯車機構14の第1出力要素27と第2遊星歯車機構15の第2入力要素28とを固定するブレーキ機構BKを備えることで、第4モード、第5モードおよび第7モードの3つのモードを追加して設定することができる。
図10は、図1に示した駆動装置10の他の例を示す。図10に示すように駆動装置52は、エンジン11、第1モータ12、第2モータ13、第1遊星歯車機構55、第2遊星歯車機構56、第1クラッチ機構CL1、第2クラッチ機構CL2、ブレーキ機構BK、デファレンシャル36および駆動輪37などを備えている。なお、出力部材16から駆動輪37までの第2モータ13を含む駆動伝達系は、図2で説明したと同じまたは同様であるため図10では省略している。
図10に示す駆動装置52は、第1差動機構の一例である第1遊星歯車機構55、および第2差動機構の一例である第2遊星歯車機構56を有する。第1遊星歯車機構55は、シングルピニオン型遊星歯車機構により構成されており、第1モータ12のロータ42に連結された第1サンギヤS1、エンジン11の出力軸40に連結された第1キャリヤC1および第1リングギヤR1を備えている。第1キャリヤC1は第1入力要素25の一例であり、また第1リングギヤR1は第1出力要素27の一例であり、さらに第1サンギヤS1は第1反力要素26の一例である。
第2遊星歯車機構56は、シングルピニオン型遊星歯車機構により構成されており、第2サンギヤS2、第1リングギヤR1に連結された第2キャリヤC2および出力部材64に連結された第2リングギヤR2を備えている。第2キャリヤC2は第2入力要素28の一例であり、また第2リングギヤR2は第2出力要素29の一例であり、さらに第2サンギヤS2は第2反力要素30の一例である。
第1クラッチ機構CL1は、第2サンギヤS2を第1キャリヤC1に連結する。この第1クラッチ機構CL1を係合させると、第2サンギヤS2と第1キャリヤC1とが連結されるため、これらが入力要素となり、また第1サンギヤS1が反力要素となり、さらに第2リングギヤR2が出力要素となった複合遊星歯車機構が形成される。第2クラッチ機構CL2は、第2リングギヤR2を第2サンギヤS2に連結する。ブレーキ機構BKは、第1リングギヤR1および第2キャリヤC2と固定部材68とを連結する。
図11は、図10に示した駆動装置52におけるHV走行モードのFix(Rev)モードでの動作状態を示す。Fix(Rev)モードは、図3に示す第4モードに対応し、第1クラッチ機構CL1を係合し、かつ第2クラッチ機構CL2を解放し、かつブレーキ機構BKを係合させることで設定される。図11に示すように第1クラッチ機構CL1が係合することにより、第2サンギヤS2にエンジン11の出力軸40が連結される。これにより、エンジン11が出力した駆動トルクは、第2遊星歯車機構56を介して出力部材16に直接に伝達される。また、ブレーキ機構BKが係合することで第2キャリヤC2および第1リングギヤR1が固定される。したがって、第1遊星歯車機構55は、第2遊星歯車機構56との連係が断たれて独立の機構として機能する。
第1遊星歯車機構55においては、第1リングギヤR1が固定されているため、第1モータ12が出力した駆動トルクとエンジン11が出力した駆動トルクとを合算した駆動力を出力部材16に伝達させる。第2遊星歯車機構56は、エンジン11が出力した駆動力が第2サンギヤS2に伝達され、かつ第2キャリヤC2の回転が固定されているため第2リングギヤR2が負方向(車両を後進させる方向)に回転する。一方、第2モータ13は、負方向の回転となるように駆動力が出力される。第2モータ13が出力した駆動力は、ドリブンギヤ53に伝達され、ドリブンギヤ53でエンジン11から伝達される駆動力に加えられて駆動輪37に伝達される。この場合、車両は後進走行される。つまり、図11に示すFix(Rev)モードでは、エンジン11、第1モータ12および第2モータ13から出力される駆動トルクを合算した大きい駆動力を発生させることが可能である。これに加えて、第1モータ12の回転を制御することで、第2遊星歯車機構56に設定される一定な変速比(ギヤ比)により後進走行用の駆動力を増減することができる。
図12は、図10で説明した駆動装置52におけるHV走行モードのEVT(シリーズ)での動作状態を示す。EVT(シリーズ)モードは、図3に示す第5モードに対応し、第1クラッチ機構CL1を解放し、かつ第2クラッチ機構CL2を解放し、かつブレーキ機構BKを係合させることで設定される。図12に示すように第1遊星歯車機構55は、ブレーキ機構BKにより第1リングギヤR1および第2キャリヤC2の回転が固定されるため、第2遊星歯車機構56との連係が断たれて独立の機構として機能する。つまり、エンジン11が出力した駆動力は、第1キャリヤC1を経由して第1サンギヤS1のみに伝達される。第1サンギヤS1には、第1モータ12が発電機として機能することによる負トルクが作用する。第1モータ12が発電した電力を利用して第2モータ13がモータとして駆動される。第2モータ13が出力した駆動力は、駆動輪37に伝達される。一方、出力部材16およびこれと一体の第2リングギヤR2は、第2モータ13から伝達されるトルクにより正回転する。しかし、第2遊星歯車機構56は、ブレーキ機構BKにより第2キャリヤC2の回転が固定されており、しかも第1クラッチ機構CL1が解放しているので第2サンギヤS2が空転するため、第1遊星歯車機構55にトルクを伝達することはない。
このように図12で説明したEVT(シリーズ)モードでは、図8で説明したと同じまたは同様に、エンジン11の回転の変動および駆動トルクの変動が大きい領域でエンジン11を運転させても駆動輪37に伝達されない。このため、走行時の車両のNV(Noise Vibration)性能が改善される。
図13は、図1に示した駆動装置10の別の例を示す。図13に示すように駆動装置70は、エンジン(ENG)11、第1モータ(MG1)12、第2モータ(MG2)13、第1差動機構の一例である第1遊星歯車機構(PL1)72、第2差動機構の一例である第2遊星歯車機構(PL2)73、出力部材(OUT)16、第1クラッチ機構CL1、第2クラッチ機構CL2、ブレーキ機構BK、PCU20、油圧コントローラ21、HV_ECU22、ENG_ECU23、MG_ECU24およびバッテリ(二次電池)33を備える。なお、図13では、図1で説明したと同じまたは同様な部材には同符号を付与してここでは詳しい説明を省略する。
第1遊星歯車機構72は、エンジン11が出力したトルクが入力される第1入力要素74、第1モータ12に連結されている第1反力要素75および第1出力要素76により差動作用を行う。第2遊星歯車機構73は、第1出力要素76に連結された第2入力要素77、出力部材16に連結されている第2出力要素78および第2反力要素79により差動作用を行う。
第1クラッチ機構CL1は、第1遊星歯車機構72と第2遊星歯車機構73とが複合遊星歯車機構を構成するように、第1反力要素75と第2反力要素79とを選択的に連結する。第2クラッチ機構CL2は、第2遊星歯車機構73の全体を一体化させるものであり、第2出力要素78と第2反力要素79とを選択的に連結する。ブレーキ機構BKは、第1出力要素76および第2入力要素77を連結する連結部材80と固定部材81との間に設けられ、連結部材80の回転、つまり第1出力要素76および第2入力要素77の回転を選択的に固定する。
図14は、図13に示した駆動装置70の一例を示す。図14に示すように駆動装置70は、エンジン11、第1モータ12、第2モータ13、第1遊星歯車機構72、第2遊星歯車機構73、第1クラッチ機構CL1、第2クラッチ機構CL2、ブレーキ機構BK、デファレンシャル36および駆動輪37などを備えている。なお、駆動装置70は、エンジン11の出力軸40と同一の軸線Cntに対して略対称的に構成されているが、図14では軸線Cntの下半分を省略している。また、出力部材16から駆動輪37までの第2モータ13を含む駆動伝達系は、図2で説明したと同じまたは同様であるため図14では省略している。
第1遊星歯車機構72は、シングルピニオン型遊星歯車機構により構成されており、第1サンギヤS1、第1キャリヤC1および第1リングギヤR1を備えている。第1キャリヤC1は第1入力要素74の一例であり、また第1リングギヤR1は第1出力要素76の一例であり、さらに第1サンギヤS1は第1反力要素75の一例である。
エンジン11が出力した駆動力は、第1キャリヤC1に入力される。つまり、エンジン11の出力軸40に連結された入力軸38が第1キャリヤC1に連結されている。第1サンギヤS1には、第1モータ12のロータ42が連結されている。第2遊星歯車機構73は、シングルピニオン型遊星歯車機構により構成されており、第2サンギヤS2、第2キャリヤC2および第2リングギヤR2を備える。なお、第2サンギヤS2は第2入力要素77の一例であり、また第2キャリヤC2は第2出力要素78の一例であり、さらに第2リングギヤR2は第2反力要素79の一例である。
第1クラッチ機構CL1は、第2リングギヤR2を第1サンギヤS1に連結する。この第1クラッチ機構CL1を係合させることにより第1サンギヤS1と第2リングギヤR2とが連結されてこれらが入力要素となり、また第1サンギヤS1が反力要素となり、さらに第2キャリヤC2が出力要素となった複合遊星歯車機構が形成される。第2クラッチ機構CL2は、第2キャリヤC2と第2リングギヤR2とを連結する。ブレーキ機構BKは、第2サンギヤS2と固定部材81とを連結する。
図15は、図14に示した駆動装置70におけるHV走行モードのFix(Hi)モードでの動作状態を示す。Fix(Hi)モードは、図3に示した第4モードに相当し、第1クラッチ機構CL1を係合し、かつ第2クラッチ機構CL2を解放し、かつブレーキ機構BKを係合させることで設定される。図15に示すようにブレーキ機構BKが係合することで第1遊星歯車機構72と第2遊星歯車機構73を、それぞれが固定のギヤ比をもつギヤとして機能する。第1キャリヤC1にはエンジン11が出力した駆動力が伝達される。第1モータ12のロータ42は、第1クラッチ機構CL1が係合することにより第2リングギヤR2に連結される。これにより、第1モータ12が出力した駆動力とエンジン11が出力した駆動トルクとを合算した駆動力は、第2リングギヤR2に伝達されて、第2サンギヤS2の回転が固定されているため、第2キャリヤC2を介して出力部材16に直接に伝達される。第2リングギヤR2は、正方向(車両を前進させる方向)に回転する。
一方、第2モータ13は、正方向の回転となるように駆動力が出力される。第2モータ13が出力した駆動力は、ドリブンギヤ53に伝達され、ドリブンギヤ53でエンジン11から伝達される駆動力に加えられて駆動輪37に伝達される。この場合、車両は前進走行される。つまり、図15に示すFix(Hi)モードでは、エンジン11、第1モータ12および第2モータ13から出力される駆動トルクを合算した大きい駆動力を発生させる。これに加えて、第2遊星歯車機構73に設定される一定な変速比(ギヤ比)により走行用の駆動力を増減することができる。図15に示す実施例では、出力部材16の回転数をエンジン11の回転数よりも高回転数に増速した状態である。図15で説明したFix(Hi)モードでは、図7で説明したと同じまたは同様な効果を得ることができる。
図16は、図14に示す駆動装置70におけるHV走行モードのEVT(シリーズ)モードでの動作状態を示す。EVT(シリーズ)は、図3に示した第5モードに対応し、第1クラッチ機構CL1を解放し、かつ第2クラッチ機構CL2を解放し、かつブレーキ機構BKを係合させることで設定される。図16に示すようにEVT(シリーズ)に設定された場合に第1遊星歯車機構72は、ブレーキ機構BKにより第1リングギヤR1および第2サンギヤS2の回転が固定されるため、第2遊星歯車機構73との連係が断たれて独立の機構として機能する。つまりエンジン11が出力した駆動力は、第1キャリヤC1を経由して第1サンギヤS1のみに伝達される。第1サンギヤS1には、第1モータ12が発電機として機能することによる負トルクが作用する。第1モータ12が発電した電力を利用して第2モータ13がモータとして駆動される。第2モータ13が出力した駆動力は、駆動輪37に伝達される。一方、出力部材16およびこれと一体の第2キャリヤC2は、第2モータ13から伝達されるトルクにより正回転する。しかし、第2遊星歯車機構73は、ブレーキ機構BKにより第2サンギヤS2の回転が固定されている。しかも第1クラッチ機構CL1が解放しているので第2リングギヤR2が空転する。このため、第2モータ13から伝達されるトルクは、第1遊星歯車機構72に伝達されることはない。
このように図16で説明したEVT(シリーズ)モードでは、図8で説明したと同じまたは同様に、エンジン11の回転の変動およびエンジン11から出力される駆動トルクの変動が駆動輪37に伝達されないため、走行時の車両のNV(Noise Vibration)性能が改善される。
本発明は、上述した各実施形態に限定されないのであって、本発明の目的を逸脱しない範囲で適宜に変更することができる。例えば第1遊星歯車機構14,55,72をシングルピニオン型遊星歯車機構により構成しているが、シングルピニオン型の遊星歯車機構の代わりにダブルピニオン型の遊星歯車機構を使用してもよい。この場合には、第1キャリヤC1の代わりに第1リングギヤR1に、第1リングギヤR1の代わりに第1キャリヤC1に変更すればよい。また、第2遊星歯車機構15,56,73をシングルピニオン型遊星歯車機構により構成しているが、第1遊星歯車機構と同様に、シングルピニオン型の遊星歯車機構の代わりにダブルピニオン型の遊星歯車機構を使用してもよい。この場合には、第2キャリヤC2の代わりに第2リングギヤR2に、第2リングギヤR2の代わりに第2キャリヤC2に変更すればよい。
また、この発明の実施形態では、第2クラッチ機構CL2は、要は、係合することにより第2遊星歯車機構15,56,73を一体化する機構であればよく、したがって第2サンギヤS2と第2キャリヤC2と第2リングギヤR2とのいずれか二つの回転要素もしくはそれら三つの回転要素を連結するように構成されたクラッチ機構であってもよい。さらに、この発明では、第2モータ13が出力した駆動力を、第1モータ12の駆動力が伝達される車輪とは異なる車輪に伝達するように構成されていてもよい。
10,52,70…駆動装置、 11…エンジン、 12…第1モータ、 13…第2モータ、 14,55,72…第1遊星歯車機構、 15,56,73…第2遊星歯車機構、 16…出力部材、 20…PCU、 22…HV_ECU、 23…ENG_ECU、 24…MG_ECU、 33…バッテリ、 40…出力軸、 CL1…第1クラッチ機構、 CL2…第2クラッチ機構、 BK…ブレーキ機構、 S1…第1サンギヤ、 R1…第1リングギヤ、 P1…第1ピニオンギヤ、 C1…第1キャリヤ、 S2…第2サンギヤ、 R2…第2リングギヤ、 P2…第2ピニオンギヤ、 C2…第2キャリヤ。
Claims (1)
- 内燃機関が出力した駆動力が入力される第1入力要素と、発電機能のある第1モータに連結されている第1反力要素と、第1出力要素とによって差動作用を行う第1遊星歯車機構と、
前記第1出力要素に連結された第2入力要素と、出力部材に連結されている第2出力要素と、第2反力要素とによって差動作用を行う第2遊星歯車機構とを備え、
前記内燃機関が出力した駆動力を前記第1モータ側と前記出力部材側とに分割し、前記第1モータによって発電された電力で駆動される第2モータが出力する駆動力を、前記出力部材から出力される駆動力に付加するように構成されたハイブリッド車両用駆動装置において、
前記第1入力要素と前記第1反力要素とのいずれか一方と前記第2反力要素とを選択的に連結する第1クラッチ機構と、
前記第2遊星歯車機構における前記第2入力要素、前記第2反力要素および前記第2出力要素のうちの少なくともいずれか二つの要素を選択的に連結して前記第2遊星歯車機構を一体化させる第2クラッチ機構と、
前記第1出力要素および前記第2入力要素と所定の固定部材とを連結するブレーキ機構とを備えている
ことを特徴とするハイブリッド車両用駆動装置。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2020093688A (ja) * | 2018-12-13 | 2020-06-18 | トヨタ自動車株式会社 | ハイブリッド車の制御装置 |
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-
2017
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CN111319605A (zh) * | 2018-12-13 | 2020-06-23 | 丰田自动车株式会社 | 混合动力车的控制装置 |
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