JP2018131495A - 樹脂積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い鉛筆硬度を有し、難燃性と耐擦傷性に優れた樹脂積層体及び該樹脂積層体を提供する。
【課題を解決する手段】
樹脂基材(A)の少なくとも一方の表面に鉛筆硬度がHB以上である硬化被膜(D)を備えたシート状の樹脂積層体であって、樹脂基材(A)は、芳香族ポリカーボネート系重合体(P)と難燃剤(C)を含む芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物からなる。
【選択図】 なし
【課題を解決する手段】
樹脂基材(A)の少なくとも一方の表面に鉛筆硬度がHB以上である硬化被膜(D)を備えたシート状の樹脂積層体であって、樹脂基材(A)は、芳香族ポリカーボネート系重合体(P)と難燃剤(C)を含む芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物からなる。
【選択図】 なし
Description
本発明は、高い鉛筆硬度を有し、難燃性及び耐擦傷性に優れた樹脂積層体に関する。
芳香族ポリカーボネート系樹脂からなる樹脂製品は、透明性、耐熱性や耐衝撃性に優れていることから、自動車部品、電気・電子部品、車両部品、航空機部品、機械部品、看板、表示板、建築用資材等、多くの用途に用いられている。
特に近年車両部品や航空機部品の用途では、芳香族ポリカーボネート系樹脂からなる樹脂製品に、高い鉛筆硬度と難燃性及び耐擦傷性が要求されている。
特に近年車両部品や航空機部品の用途では、芳香族ポリカーボネート系樹脂からなる樹脂製品に、高い鉛筆硬度と難燃性及び耐擦傷性が要求されている。
芳香族ポリカーボネート系樹脂の難燃性を改良する技術として、例えば特許文献1には、ポリカーボネート樹脂に、酸化チタン、リン系難燃剤、アクリル系多層構造弾性体及びフィブリル形成性ポリテトラフルオロエチレンを配合した難燃性ポリカーボネート樹脂組成物が開示されている。
また特許文献2には、ポリカーボネート樹脂に、ポリカーボネートオリゴマー、有機スルホン酸金属塩、コア/シェル型グラフト共重合体及びフッ素化ポリオレフィンを配合したポリカーボネート樹脂組成物が開示されている。
また特許文献3には、芳香族ポリカーボネート樹脂に、スルホン酸金属塩、及び、ジエン系ゴム状重合体からなる内核とビニル系共重合体からなる最外殻を有する多層構造重合体を配合してなる難燃性ポリカーボネート樹脂組成物が開示されている。
また特許文献2には、ポリカーボネート樹脂に、ポリカーボネートオリゴマー、有機スルホン酸金属塩、コア/シェル型グラフト共重合体及びフッ素化ポリオレフィンを配合したポリカーボネート樹脂組成物が開示されている。
また特許文献3には、芳香族ポリカーボネート樹脂に、スルホン酸金属塩、及び、ジエン系ゴム状重合体からなる内核とビニル系共重合体からなる最外殻を有する多層構造重合体を配合してなる難燃性ポリカーボネート樹脂組成物が開示されている。
しかしながら、特許文献1〜3に記載の樹脂成形体は、いずれも難燃性は良好だが、芳香族ポリカーボネート系樹脂は非晶性であるため、樹脂成形体の表面硬度や耐擦傷性が不十分であった。
本発明は以上の各課題を解決すべくなされたものである。すなわち、本発明の目的は、芳香族ポリカーボネート系樹脂の優れた耐熱性と耐衝撃性を維持しつつ、高い鉛筆硬度を有し、難燃性及び耐擦傷性に優れた樹脂積層体を提供することにある。
さらに、本発明の目的は、UL94で規定される垂直燃焼試験においてV−0クラスの難燃性と、鉛筆硬度HB以上の表面硬度を有する樹脂積層体を提供することにある。
さらに、本発明の目的は、UL94で規定される垂直燃焼試験においてV−0クラスの難燃性と、鉛筆硬度HB以上の表面硬度を有する樹脂積層体を提供することにある。
本発明の第1の要旨は、樹脂基材(A)の少なくとも一方の表面に硬化被膜(D)を備えたシート状の樹脂積層体であって、前記樹脂基材(A)が、芳香族ポリカーボネート系重合体(P)と難燃剤(C)を含む芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物からなり、前記樹脂積層体表面の硬化被膜(D)の鉛筆硬度がHB以上である樹脂積層体に関する。
さらに、本発明の第2の要旨は、樹脂基材(A)の少なくとも一方の表面に硬化被膜(D)を備えたシート状の樹脂積層体であって、前記樹脂基材(A)は芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物からなり、前記芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物は難燃剤(C)を含み、前記樹脂積層体は、UL94で規定される垂直燃焼試験においてV−0の難燃性を有し、且つ、前記硬化被膜(D)の表面の鉛筆硬度がHB以上、且つ、荷重たわみ温度が110℃以上を満足するで樹脂積層体に関する。
本発明の樹脂積層体は、芳香族ポリカーボネート系樹脂シートの優れた特性(耐熱性、耐衝撃性)を損なうことなく、高い鉛筆硬度を有し、難燃性及び耐擦傷性に優れている。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明において、「(メタ)アクリレート」及び「(メタ)アクリル酸」は、各々「アクリレート」及び「メタクリレート」から選ばれる少なくとも1種並びに「アクリル酸」及び「メタクリル酸」から選ばれる少なくとも1種を意味する。
また、「単量体」は未重合の化合物を意味し、「構造単位」とは、(メタ)アクリル樹脂組成物の製造に用いる単量体に由来する構造単位を意味する。
また、「質量%」は全体量100質量%中に含まれる所定の成分の含有量を示す。
また、「単量体」は未重合の化合物を意味し、「構造単位」とは、(メタ)アクリル樹脂組成物の製造に用いる単量体に由来する構造単位を意味する。
また、「質量%」は全体量100質量%中に含まれる所定の成分の含有量を示す。
<樹脂積層体>
本発明の樹脂積層体は、後述する樹脂基材(A)の少なくとも一方の表面に後述する硬化被膜(D)を備えた、シート状の樹脂積層体である。
樹脂基材(A)は、本発明の樹脂積層体に高い難燃性を付与するための層であり、硬化被膜(D)は、樹脂積層体に高い鉛筆硬度と耐擦傷性を付与するための層である。
本発明の樹脂積層体の概略図を図1、図2に示す。図1は、樹脂基材(A)の一方の面に硬化被膜(D)を有する樹脂積層体の概略図である。図2は、樹脂基材(A)の両面に硬化被膜(D)を有する樹脂積層体の概略図である。
本発明の樹脂積層体は、後述する樹脂基材(A)の少なくとも一方の表面に後述する硬化被膜(D)を備えた、シート状の樹脂積層体である。
樹脂基材(A)は、本発明の樹脂積層体に高い難燃性を付与するための層であり、硬化被膜(D)は、樹脂積層体に高い鉛筆硬度と耐擦傷性を付与するための層である。
本発明の樹脂積層体の概略図を図1、図2に示す。図1は、樹脂基材(A)の一方の面に硬化被膜(D)を有する樹脂積層体の概略図である。図2は、樹脂基材(A)の両面に硬化被膜(D)を有する樹脂積層体の概略図である。
本発明の樹脂積層体は、JIS K 5600−5−4に準拠して測定した硬化被膜(D)の表面の鉛筆硬度がHB以上を満足する。鉛筆硬度の下限がHB以上であれば、タッチパネル方式ディスプレーの前面板等のように人が直接触れて使用される用途に、本発明の樹脂積層体が用いられたときに、指の爪等による引掻き傷の発生を抑制でき、樹脂積層体の耐擦傷性が良好となるので好ましい。鉛筆硬度の上限は、特に制限されるものではないが、9H以下であれば、樹脂積層体の取り扱い時に硬化被膜にクラックが発生するのを抑制でき、加工性が良好となる。
このような樹脂積層体は、例えば、請求項1〜4に記載の要件を満たす樹脂積層体において、芳香族ポリカーボネート系重合体(P)と難燃剤(C)を含む芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物からなる樹脂基材(A)の少なくとも一方の表面に、後述する硬化被膜(D)を備えることにより製造できる。
樹脂積層体の形状は限定されないが、一実施形態として、板状の樹脂板とすることができる。樹脂板の厚みは、特に限定されないが、1mm以上30mm以下とすることができる。樹脂板厚みの下限が1mm以上であれば、樹脂積層体の強度を十分なものでできる。樹脂板厚みの上限が30mm以下であれば、樹脂積層体の成型性が良好となる。
前記硬化被膜(D)の膜厚Dtは特に制限されないが、1μm以上30μm以下の範囲とすることができる。
膜厚Dtの下限は、得られた樹脂積層体の耐擦傷性及び表面硬度が良好となる観点から3μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましい。一方、膜厚Dtの上限は、硬化被膜(D)による難燃性の低下を抑制し、得られた樹脂積層体を曲面形状に成形加工したときに硬化被膜にクラックが発生するのを抑制できる観点から25μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましい。膜厚Dtの値は、後述する硬化被膜(D)の形成方法や硬化性組成物(b)を構成する原料の種類や配合量を適宜選択することにより、制御できる。
なお、「硬化被膜(D)の膜厚Dt」及び「樹脂積層体の厚み」は、後述する測定方法により測定できる。
膜厚Dtの下限は、得られた樹脂積層体の耐擦傷性及び表面硬度が良好となる観点から3μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましい。一方、膜厚Dtの上限は、硬化被膜(D)による難燃性の低下を抑制し、得られた樹脂積層体を曲面形状に成形加工したときに硬化被膜にクラックが発生するのを抑制できる観点から25μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましい。膜厚Dtの値は、後述する硬化被膜(D)の形成方法や硬化性組成物(b)を構成する原料の種類や配合量を適宜選択することにより、制御できる。
なお、「硬化被膜(D)の膜厚Dt」及び「樹脂積層体の厚み」は、後述する測定方法により測定できる。
一般に、難燃性を有する樹脂基材の表面に硬化被膜を積層した樹脂積層体においては、硬化被膜自体が燃焼しやすいため、樹脂積層体の難燃性が低下する傾向にあった。すなわち従来の樹脂積層体では、高い鉛筆硬度と耐擦傷性及び難燃性を同時に満足することは困難であった。しかしながら、本発明の樹脂積層体は、UL94で規定される垂直燃焼試験においてV−0の難燃性を有することができる。樹脂積層体が前記試験においてUL94/V−0の難燃性を有するなら、火災発生時に接炎しても、樹脂積層体の燃焼が継続しないので安全性の観点から好ましく、鉄道車両や自動車等の移動体内での使用に適している。このような樹脂積層体は、例えば、請求項1〜4に記載の要件を満たす樹脂積層体において、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を、芳香族ポリカーボネート系重合体(P)と難燃剤(C)を含む樹脂組成物とすることにより達成される。
すなわち、本発明の樹脂積層体は、芳香族ポリカーボネート系樹脂の優れた耐熱性と耐衝撃性を維持しつつ、相反する特性である高い鉛筆硬度と難燃性及び耐擦傷性とを両立させているという顕著な特性を有した樹脂積層体である。
<樹脂基材(A)>
本発明において、前記樹脂基材(A)は、樹脂積層体を構成する層の一つであり、樹脂積層体の透明性、耐衝撃性及び耐熱性に優れる観点から、後述する芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物からなる。
本発明において、前記樹脂基材(A)は、樹脂積層体を構成する層の一つであり、樹脂積層体の透明性、耐衝撃性及び耐熱性に優れる観点から、後述する芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物からなる。
<芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物>
芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物は、本発明の樹脂積層体の樹脂基材(A)を構成する原料であり、後述する芳香族ポリカーボネート系重合体(P)を主成分として含み、且つ、後述する難燃剤(C)を含む樹脂組成物である。
ここで「主成分として含む」とは、前記芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物が、該樹脂組成物の総質量に対して、芳香族ポリカーボネート系重合体(P)を60質量%以上含有することをいう。
前記芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物中の難燃剤(C)の含有量は、特に限定されないが、該樹脂組成物の総重量に対して、3質量%以上40質量%以下とすることができる。難燃剤(C)の含有量の下限が3質質量部以上であれば、樹脂積層体の難燃性が良好となるので好ましく、5質質量部以上がより好ましい。難燃剤(C)の含有量の上限が40質量部以下であれば、樹脂積層体の耐熱性が良好となるので好ましく、25質量部以下がより好ましい。
芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物は、本発明の樹脂積層体の樹脂基材(A)を構成する原料であり、後述する芳香族ポリカーボネート系重合体(P)を主成分として含み、且つ、後述する難燃剤(C)を含む樹脂組成物である。
ここで「主成分として含む」とは、前記芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物が、該樹脂組成物の総質量に対して、芳香族ポリカーボネート系重合体(P)を60質量%以上含有することをいう。
前記芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物中の難燃剤(C)の含有量は、特に限定されないが、該樹脂組成物の総重量に対して、3質量%以上40質量%以下とすることができる。難燃剤(C)の含有量の下限が3質質量部以上であれば、樹脂積層体の難燃性が良好となるので好ましく、5質質量部以上がより好ましい。難燃剤(C)の含有量の上限が40質量部以下であれば、樹脂積層体の耐熱性が良好となるので好ましく、25質量部以下がより好ましい。
本発明においては、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物として、芳香族ポリカーボネート系重合体(P)と後述の他の樹脂及び/又はエラストマーとを組み合わせた芳香族ポリカーボネート系ポリマーアロイを用いてもよい。
<芳香族ポリカーボネート系重合体(P)>
本発明における芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が下記の芳香族ポリカーボネート系重合体(P)を構成成分の1つとして含むことにより、透明性と耐熱性及び耐衝撃性に優れた樹脂積層体を得ることが可能となる。
芳香族ポリカーボネート系重合体(P)は、芳香族ヒドロキシ化合物と、カーボネート前駆体とを、溶液法又は溶融法等の公知のポリカーボネート系重合体の重合方法を用いて反応させることによって製造されたものである。
芳香族ポリカーボネート系重合体(P)は、分岐状のものであってもよい。分岐状の芳香族ポリカーボネート系重合体(P)の場合、芳香族ヒドロキシ化合物としては、芳香族ジヒドロキシ化合物と芳香族ポリヒドロキシ化合物等とが併用される。
本発明における芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が下記の芳香族ポリカーボネート系重合体(P)を構成成分の1つとして含むことにより、透明性と耐熱性及び耐衝撃性に優れた樹脂積層体を得ることが可能となる。
芳香族ポリカーボネート系重合体(P)は、芳香族ヒドロキシ化合物と、カーボネート前駆体とを、溶液法又は溶融法等の公知のポリカーボネート系重合体の重合方法を用いて反応させることによって製造されたものである。
芳香族ポリカーボネート系重合体(P)は、分岐状のものであってもよい。分岐状の芳香族ポリカーボネート系重合体(P)の場合、芳香族ヒドロキシ化合物としては、芳香族ジヒドロキシ化合物と芳香族ポリヒドロキシ化合物等とが併用される。
芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4−ジヒドロキシジフェニル等の公知の芳香族ジヒドロキシ化合物が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を併せて使用できる。これらのうち、ビスフェノールAが好ましい。
さらに、難燃性を高める目的で、これら芳香族ジヒドロキシ化合物は、スルホン酸テトラアルキルホスホニウム、臭素原子、又はシロキサン構造を有する基で置換された構造を有していてもよい。
さらに、難燃性を高める目的で、これら芳香族ジヒドロキシ化合物は、スルホン酸テトラアルキルホスホニウム、臭素原子、又はシロキサン構造を有する基で置換された構造を有していてもよい。
芳香族ポリヒドロキシ化合物としては、例えば、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニルヘプテン−3、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン等の公知の芳香族ポリヒドロキシ化合物が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を併せて使用できる。分岐状の芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)を得る場合の芳香族ポリヒドロキシ化合物の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物(100モル%)に対して、好ましくは0.01〜10モル%であり、さらに好ましくは0.1〜2モル%である。
また、カーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、カルボニルエステル、又はハロホルメート等であり、具体的にはホスゲン、二価フェノールのジハロホルメート、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート及びジエチルカーボネート等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を併せて使用できる。
芳香族ポリカーボネート系重合体(P)には、難燃性を高める目的で、シロキサン構造を有するポリマー又はオリゴマーを共重合させたり、成形時の溶融流動性を向上させる目的で、ジカルボン酸又はジカルボン酸クロライド等の誘導体を共重合させてもよい。
芳香族ポリカーボネート系重合体(P)の分子量は、溶媒として塩化メチレンを用い、温度25℃で測定された溶液粘度より換算した粘度平均分子量で、14000〜40000が好ましく、16000〜30000がより好ましく、18000〜26000が特に好ましい。また、2種以上の芳香族ポリカーボネート系重合体を混合して用いてもよい。
芳香族ポリカーボネート系重合体(P)の分子量の調節、末端基の調節等の目的で、一価芳香族ヒドロキシ化合物、又はそのクロロホルメート体等の一価芳香族ヒドロキシ化合物誘導体を用いてもよい。一価芳香族ヒドロキシ化合物及びその誘導体としては、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、p−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−長鎖アルキル置換フェノール等のアルキルフェノール、これらの誘導体等が挙げられる。これら一価芳香族ヒドロキシ化合物及び/又はその誘導体の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物(100モル%)に対して、通常0.1〜10モル%であり、好ましくは1〜8モル%である。
芳香族ポリカーボネート系重合体(P)の分子量の調節、末端基の調節等の目的で、一価芳香族ヒドロキシ化合物、又はそのクロロホルメート体等の一価芳香族ヒドロキシ化合物誘導体を用いてもよい。一価芳香族ヒドロキシ化合物及びその誘導体としては、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、p−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−長鎖アルキル置換フェノール等のアルキルフェノール、これらの誘導体等が挙げられる。これら一価芳香族ヒドロキシ化合物及び/又はその誘導体の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物(100モル%)に対して、通常0.1〜10モル%であり、好ましくは1〜8モル%である。
芳香族ポリカーボネート系重合体(P)の粘度平均分子量は、一般的には1万〜10万の範囲であるが、成形性及び成形品の物性の観点からは、1.5万〜6万の範囲のものが好ましい。上記範囲の粘度平均分子量を持つ芳香族ポリカーボネート系重合体(P)は、分子量調整剤、加工性改善のための分岐剤、反応を促進するための触媒などを適宜選択し、組み合わせて使用することで製造できる。
<硬化被膜(D)>
本発明の樹脂積層体において、前記硬化被膜(D)は、後述する(メタ)アクリロイル基を3個以上有する多官能単量体(D1)(以下、「多官能単量体(D1)」と略する。)と、後述する(メタ)アクリロイル基を2個有する多官能単量体(D2)(以下、「多官能単量体(D2)」と略する。)を含有する活性エネルギー線硬化性組成物(d)(以下、「硬化性組成物(d)」という。)の硬化物からなる硬化被膜である。
また、本発明の樹脂積層体において、前記硬化被膜(D)に含まれる多官能単量体(D1)由来の構造単位と多官能単量体(D2)由来の構造単位の含有量は、特に制限されるものではないが、硬化被膜(D)の総重量を100質量%として、多官能単量体(D1)由来の構造単位50質量%以上80質量%と多官能単量体(D2)由来の構造単位20質量%以上50質量%を含有する樹脂組成物とすることができる。
本発明の樹脂積層体において、前記硬化被膜(D)は、後述する(メタ)アクリロイル基を3個以上有する多官能単量体(D1)(以下、「多官能単量体(D1)」と略する。)と、後述する(メタ)アクリロイル基を2個有する多官能単量体(D2)(以下、「多官能単量体(D2)」と略する。)を含有する活性エネルギー線硬化性組成物(d)(以下、「硬化性組成物(d)」という。)の硬化物からなる硬化被膜である。
また、本発明の樹脂積層体において、前記硬化被膜(D)に含まれる多官能単量体(D1)由来の構造単位と多官能単量体(D2)由来の構造単位の含有量は、特に制限されるものではないが、硬化被膜(D)の総重量を100質量%として、多官能単量体(D1)由来の構造単位50質量%以上80質量%と多官能単量体(D2)由来の構造単位20質量%以上50質量%を含有する樹脂組成物とすることができる。
多官能単量体(D1)由来の構造単位の含有量の下限は、硬化被膜(D)の耐擦傷性が良好となることから、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましい。多官能単量体(D1)由来の構造単位の含有量の上限は、硬化被膜(D)の硬化収縮率が小さくにクラックが発生しにくくなり、また硬化被膜(D)を形成した積層樹脂板に反りが生じにくくなることから、80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましい。上記の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
多官能単量体(D2)由来の構造単位の含有量の上限は、硬化被膜の耐擦傷性が良好となることから、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましい。多官能単量体(D2)由来の構造単位の含有量の下限は、組成物を硬化させる際の硬化収縮率が小さく、硬化被膜(D)にクラックが発生しにくくなり、樹脂基材(A)と硬化被膜(D)の密着性が良好となることから、20質量%以上が好ましく、30%質量%以上がより好ましい。上記の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
<多官能単量体(D1)>
本発明の樹脂積層体においては、多官能単量体(D1)由来の構造単位を硬化被膜(D)に含有させることで、高い耐擦傷性を有する樹脂積層体を得ることができる。
具体的な多官能単量体(D1)としては、下記の(1)〜(5)が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の樹脂積層体においては、多官能単量体(D1)由来の構造単位を硬化被膜(D)に含有させることで、高い耐擦傷性を有する樹脂積層体を得ることができる。
具体的な多官能単量体(D1)としては、下記の(1)〜(5)が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(1)多価アルコールと、3モル以上の(メタ)アクリル酸とから得られるエステル化物;
具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等、公知の化合物を挙げることができる。
具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等、公知の化合物を挙げることができる。
(2)多価アルコールと、多価カルボン酸又はその無水物と、(メタ)アクリル酸とから得られる、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する線状のエステル化物;
具体的には、マロン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、マロン酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、マロン酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、マロン酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、コハク酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、コハク酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、コハク酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、コハク酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、等、公知の化合物を挙げることができる。
具体的には、マロン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、マロン酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、マロン酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、マロン酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、コハク酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、コハク酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、コハク酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、コハク酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、等、公知の化合物を挙げることができる。
(3)3量化により得られるポリイソシアネートと、活性水素を有するアクリルモノマーとを、ポリイソシアネート1モル当たりにアクリルモノマー3モル以上を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート;
3量化により得られるポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチロールプロパントルイレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、等の公知の化合物が挙げられる。
活性水素を有するアクリルモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、等、公知の化合物が挙げられる。
3量化により得られるポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチロールプロパントルイレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、等の公知の化合物が挙げられる。
活性水素を有するアクリルモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、等、公知の化合物が挙げられる。
(4)ポリ[(メタ)アクリロイルオキシエチレン]イソシアヌレート;
具体的には、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸のジ(メタ)アクリレート又はトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
具体的には、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸のジ(メタ)アクリレート又はトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(5)公知のエポキシポリアクリレート
(6)公知のウレタンポリアクリレート
(6)公知のウレタンポリアクリレート
これらの中でも、前記(1)に記載したペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、
前記(2)に記載した多価アルコールと多価カルボン酸又はその無水物と(メタ)アクリル酸の縮合物が、硬化性及び得られる硬化被膜の耐擦傷性に優れるため、好ましい。
前記(2)に記載した多価アルコールと多価カルボン酸又はその無水物と(メタ)アクリル酸の縮合物が、硬化性及び得られる硬化被膜の耐擦傷性に優れるため、好ましい。
<多官能単量体(D2)>
本発明の樹脂積層体においては、多官能単量体(D2)由来の構造単位を、硬化被膜(D)に含有させることで、硬化被膜(D)の硬化収縮率が小さくなるためクラックが発生しにくくなり、さらに硬化被膜(D)と樹脂基材(A)の密着性が良好な樹脂積層体を得ることができる。
具体的な多官能単量体(D2)としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート等、公知の化合物を挙げることができる。
これらの化合物は、1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレートが、得られる硬化被膜の基材との密着性と耐擦傷性が優れるためより好ましい。
本発明の樹脂積層体においては、多官能単量体(D2)由来の構造単位を、硬化被膜(D)に含有させることで、硬化被膜(D)の硬化収縮率が小さくなるためクラックが発生しにくくなり、さらに硬化被膜(D)と樹脂基材(A)の密着性が良好な樹脂積層体を得ることができる。
具体的な多官能単量体(D2)としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート等、公知の化合物を挙げることができる。
これらの化合物は、1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレートが、得られる硬化被膜の基材との密着性と耐擦傷性が優れるためより好ましい。
<硬化性組成物(d)>
前記硬化被膜(D)の原料を硬化性組成物(d)という。前記硬化被膜(D)は、前記多官能単量体(D1)と前記多官能単量体(D2)を含有する硬化性組成物(d)を、公知の方法で硬化させて得ることができる。
前記硬化性組成物(d)としては、前記多官能単量体(D1)50質量%以上80質量%以下、と前記多官能単量体(D2)20質量%以上50質量%以下を含有する前記硬化性組成物(d)に、必要に応じて後述する光重合開始剤を所定の量だけ添加した硬化性組成物を用いることができる。
多官能単量体(D1)の含有量の上限は、硬化被膜(D)の硬化収縮率が小さくなり、クラックが発生しにくくなること、硬化被膜(D)を形成した積層樹脂板に反りが生じにくくなる傾向があることから、80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましい。多官能単量体(D1)の含有量の下限は、硬化被膜(D)の耐擦傷性が良好となることから50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましい。上記の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
多官能単量体(D2)の含有量の上限は、硬化被膜の耐擦傷性が良好となることから、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましい。多官能単量体(D1)の含有量の下限は、硬化性組成物を硬化させる際の硬化収縮率が小さく、硬化被膜(D)にクラックが発生しにくくなることから20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましい。上記の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
前記硬化被膜(D)の原料を硬化性組成物(d)という。前記硬化被膜(D)は、前記多官能単量体(D1)と前記多官能単量体(D2)を含有する硬化性組成物(d)を、公知の方法で硬化させて得ることができる。
前記硬化性組成物(d)としては、前記多官能単量体(D1)50質量%以上80質量%以下、と前記多官能単量体(D2)20質量%以上50質量%以下を含有する前記硬化性組成物(d)に、必要に応じて後述する光重合開始剤を所定の量だけ添加した硬化性組成物を用いることができる。
多官能単量体(D1)の含有量の上限は、硬化被膜(D)の硬化収縮率が小さくなり、クラックが発生しにくくなること、硬化被膜(D)を形成した積層樹脂板に反りが生じにくくなる傾向があることから、80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましい。多官能単量体(D1)の含有量の下限は、硬化被膜(D)の耐擦傷性が良好となることから50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましい。上記の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
多官能単量体(D2)の含有量の上限は、硬化被膜の耐擦傷性が良好となることから、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましい。多官能単量体(D1)の含有量の下限は、硬化性組成物を硬化させる際の硬化収縮率が小さく、硬化被膜(D)にクラックが発生しにくくなることから20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましい。上記の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
<難燃剤(C)>
本発明では、樹脂積層体の難燃性を高めるために、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物が難燃剤(C)を構成成分の一つとして含むことが好ましい。
本発明における難燃剤(C)としては、ポリカーボネート系樹脂に使用されう難燃剤であれば、特に制限されるものではなく、臭素系難燃剤、トリフェニルホスフェート系難燃剤、芳香族縮合リン酸エステル系難燃剤、赤リン系難燃剤及びシリコーン系難燃剤から選ばれる少なくとも1種類を挙げることができる。これらは単独で又は2種以上を併せて使用できる。
芳香族ポリカーボネート樹脂組成物における難燃剤(C)の含有量は、特に制限されるものではなく、樹脂積層体が使用される条件により、公知の条件を採用することができる。
本発明では、樹脂積層体の難燃性を高めるために、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物が難燃剤(C)を構成成分の一つとして含むことが好ましい。
本発明における難燃剤(C)としては、ポリカーボネート系樹脂に使用されう難燃剤であれば、特に制限されるものではなく、臭素系難燃剤、トリフェニルホスフェート系難燃剤、芳香族縮合リン酸エステル系難燃剤、赤リン系難燃剤及びシリコーン系難燃剤から選ばれる少なくとも1種類を挙げることができる。これらは単独で又は2種以上を併せて使用できる。
芳香族ポリカーボネート樹脂組成物における難燃剤(C)の含有量は、特に制限されるものではなく、樹脂積層体が使用される条件により、公知の条件を採用することができる。
臭素系難燃剤としては、公知の臭素系難燃剤を使用することができる。具体例としては、テトラブロモビスフェノールAエポキシに代表されるビスフェノールA型ブロム化エポキシ化合物、テトラブロモビスフェノールAカーボネートオリゴマー、臭素化エポキシオリゴマー、ポリ(ペンタブロモベンジル)アクリレート、ポリトリブロモスチレン等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を併せて使用できる。
トリフェニルホスフェート系難燃剤の具体例としては、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸ジフェニル−2−エチルクリジル、リン酸トリ(イソプロピルフェニル)等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を併せて使用できる。
芳香族縮合リン酸エステル系難燃剤の具体例としては、フェニルレゾルシン・ポリホスフェート、クレジル・レゾルシン・ポリホスフェート、フェニル・クレジル・レゾルシン・ポリホスフェート、キシリル・レゾルシン・ポリホスフェート、フェニル−P−t− ブチルフェニル・レゾルシン・ポリホスフェート、フェニル・イソプロピルフェニル・レゾルシンポリホスフェート、クレジル・キシリル・レゾルシン・ポリホスフェートフェニル・イソプロピルフェニル・ジイソプロピルフェニル・レゾルシンポリホスフェート等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を併せて使用できる。
赤リン系難燃剤の具体例としては、赤リンが挙げられる。赤リンは、難燃効果が高く、少量であっても樹脂に難燃性を付与できるため、樹脂の特性を損なうことなく難燃化できる。
赤リンは、未処理の赤リンや、樹脂(例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂)、金属化合物(例えば、金属水酸化物、金属酸化物等)等により赤リンの表面に安定化処理を施した安定化赤リンを用いることができる。安定化赤リンは、ホスフィンガスの発生が抑制されているため、安全性が高く、環境負荷が小さい観点から好ましい。
赤リンは、未処理の赤リンや、樹脂(例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂)、金属化合物(例えば、金属水酸化物、金属酸化物等)等により赤リンの表面に安定化処理を施した安定化赤リンを用いることができる。安定化赤リンは、ホスフィンガスの発生が抑制されているため、安全性が高く、環境負荷が小さい観点から好ましい。
シリコーン系難燃剤の具体例としては、官能基を有する(ポリ)オルガノシロキサン類であり、その骨格としては、式R1 aR2 bSiO(4−a−b)/2 〔R1 は官能基、R2は炭素数1〜12の炭化水素基、0<a≦3、0≦b<3、0<a+b≦3〕で表される基本構造を有する重合体、共重合体である。また、官能基としては、アルコキシ基、アリールオキシ、ポリオキシアルキレン基、水素基、水酸基、カルボキシル基、シラノール基、アミノ基、メルカプト基、エポキシ基、ビニル基などを含有するものである。中でも、アルコキシ基、水素基、水酸基、エポキシ基が好ましく、メトキシ基、ビニル基が特に好ましい。これらは単独で又は2種以上を併せて使用できる。
<光重合開始剤>
前記光重合開始剤としては、公知の化合物を用いることができる。具体的には、ベンゾインとその誘導体、ベンゾフェノとその誘導体、アセトフェノンとその誘導体、アルキルフェニルグリオキシレート、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のカルボニル化合物、テトラメチルチウラムモノスルフィド等の硫黄化合物等を挙げることができる。これらの光重合開始剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤の添加量は特に制限されるものではないが、前記硬化性組成物(d)100質量部に対して光重合開始剤0.5質量部以上10質量部以下を添加することができる。
前記光重合開始剤としては、公知の化合物を用いることができる。具体的には、ベンゾインとその誘導体、ベンゾフェノとその誘導体、アセトフェノンとその誘導体、アルキルフェニルグリオキシレート、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のカルボニル化合物、テトラメチルチウラムモノスルフィド等の硫黄化合物等を挙げることができる。これらの光重合開始剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤の添加量は特に制限されるものではないが、前記硬化性組成物(d)100質量部に対して光重合開始剤0.5質量部以上10質量部以下を添加することができる。
<その他の添加剤>
前記硬化性組成物(d)には、必要に応じて従来から使用されている種々の添加剤を添加することができる。具体的には、界面活性剤、レベリング剤、染料、顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、難燃剤、可塑剤等や機能を付与するための単官能単量体を挙げることができる。
添加剤の添加量は、得られる前記硬化被膜(D)の物性が損なわれない範囲内で適宜定められるが、前記硬化性組成物(d)100質量部に対し、10質量部以下とすることができる。
前記硬化性組成物(d)には、必要に応じて従来から使用されている種々の添加剤を添加することができる。具体的には、界面活性剤、レベリング剤、染料、顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、難燃剤、可塑剤等や機能を付与するための単官能単量体を挙げることができる。
添加剤の添加量は、得られる前記硬化被膜(D)の物性が損なわれない範囲内で適宜定められるが、前記硬化性組成物(d)100質量部に対し、10質量部以下とすることができる。
<樹脂積層体の製造方法>
本発明において、樹脂積層体の製造方法は特に限定されるものではなく、バッチ式や連続式で行われる公知の樹脂積層体の製造方法を用いることができる。
本発明において、樹脂積層体の製造方法は特に限定されるものではなく、バッチ式や連続式で行われる公知の樹脂積層体の製造方法を用いることができる。
連続式の製造方法としては、公知の押出し成形法で、シート状の樹脂基材(A)を製造して、その後、インライン上で連続的に前記樹脂基材(A)の少なくとも一方の表面に、上述した硬化被膜(D)を積層させ、樹脂積層体を製造する方法が挙げられる。
バッチ式の製造方法としては、例えば、樹脂基材(A)の少なくとも一方の表面に前記多官能単量体(D1)と前記多官能単量体(D2)を含む硬化性組成物(b)の層を形成した後、硬化させて、硬化被膜(D)の層を形成する方法が挙げられる。
具体的には、まず、前記芳香族ポリカーボネート系重合体(P)と前記燃剤(C)を、溶融法等の公知の方法を用いて混練し、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物のペレットを作成する。次いで、前ペレットを用いて、押出成形や射出成形等の公知の溶融成形法によりシート状の樹脂基材(A)を得る。
。次いで、樹脂基材(A)の表面に、前記多官能単量体(D1)と前記多官能単量体(D2)を含有する硬化性組成物(d)を塗布し、PETフィルム等の公知の透明樹脂フィルムで、前記硬化性組成物(d)の表面を覆い、プレスロールで圧接する。次いで、前記硬化性組成物(d)に、電子線、紫外線及び可視光線等の公知の活性エネルギー線を、前記透明樹脂フィルムを介して照射することにより、前記硬化性組成物(d)を硬化させて、硬化被膜(D)を得る。その後、樹脂フィルムを剥がして、樹脂積層体を得る。
。次いで、樹脂基材(A)の表面に、前記多官能単量体(D1)と前記多官能単量体(D2)を含有する硬化性組成物(d)を塗布し、PETフィルム等の公知の透明樹脂フィルムで、前記硬化性組成物(d)の表面を覆い、プレスロールで圧接する。次いで、前記硬化性組成物(d)に、電子線、紫外線及び可視光線等の公知の活性エネルギー線を、前記透明樹脂フィルムを介して照射することにより、前記硬化性組成物(d)を硬化させて、硬化被膜(D)を得る。その後、樹脂フィルムを剥がして、樹脂積層体を得る。
以下、実施例により本発明を詳しく説明する。以下において、「部」及び「%」はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。
<評価方法>
実施例及び比較例における評価は以下の方法により実施した。
(1)硬化被膜の膜厚
微分干渉顕微鏡写真を用いて樹脂積層体の断面を観察して、硬化被膜(D)の膜厚を測定した。
(2)耐熱性
JIS K 7191に準拠して樹脂積層体の試験片(長さ127mm×幅12.7mm)を作製し、試験片の荷重たわみ温度(HDT、単位:℃)を測定して耐熱性を評価した。
(3)表面硬度
JIS K5600−5−4に準拠して、樹脂積層体表面の硬化被膜(D)の鉛筆硬度を測定し、樹脂積層体の表面硬度を評価した。
(4)耐擦傷性
樹脂積層体表面の硬化被膜(D)の耐擦傷性を、擦傷処理前・後のヘイズ値の変化量(△ヘイズ、単位:%)により評価した。擦傷試験は、#000のスチールウール(日本スチールウール(株)製、商品名:ボンスターNo.000)を装着した直径24mmの円形パッドを樹脂積層体の硬化被膜(D)側の表面上に置き、500gの荷重下で20mmの距離を50回往復させて、擦傷処理を行った。前記樹脂積層体について、下記式を用いて、初期(擦傷処理前)のヘイズ値(単位:%)に対する、擦傷処理後のヘイズ値(単位:%)の増加量(△ヘイズ(単位:%))を算出し、これを耐擦傷性の指標値とした。
[耐擦傷性(△ヘイズ(%))]=[擦傷後のヘイズ値(%)]−[擦傷前のヘイズ値(%)]
(5)難燃性(JIS)
JIS K 6911−1979の耐燃性試験A法に準拠して樹脂積層体の試験片を作製し、試験片の自消までに要した時間(自消時間)を測定し、下記の基準で二段階で難燃性(JIS)の評価を行った。
○:試験片の自消時間が3分以下であった。
×:試験片の自消時間が3分を超えた又は試験片は自消しなかった。
(6)難燃性(UL94)
UL94垂直燃焼試験法に準拠して樹脂積層体の試験片(長さ127mm×幅12.7mm)の難燃性を評価した。難燃性の判定は以下の表1に示す基準に基づいて行なった。
(7)落球試験
落球試験法を用いて、樹脂積層体の耐衝撃性を評価した。一辺100mmの正方形の樹脂積層体を試験片として使用した。支持台の穴の中心と試験片の中心が一致するように、支持台の上に硬化被膜の面が上面となるように試験片を置き、試験片の対抗する2辺をセロファンテープで支持台に固定した。温度23℃及び相対湿度50%の条件下で、500mmの高さからステンレス鋼製の球を試験片の中央へ落下させて、下記の基準で二段階で割れの評価を行った。
支持台サイズ;50mmの正方形の穴が空いた5mm厚のアクリル板
落球サイズ;ステンレス鋼製の球(球径41mmφ、質量286g)
測定前の試験片の測定雰囲気中での放置時間;24hr以上
○:試験片の割れが観察されなかった
×:試験片の割れが観察された
実施例及び比較例における評価は以下の方法により実施した。
(1)硬化被膜の膜厚
微分干渉顕微鏡写真を用いて樹脂積層体の断面を観察して、硬化被膜(D)の膜厚を測定した。
(2)耐熱性
JIS K 7191に準拠して樹脂積層体の試験片(長さ127mm×幅12.7mm)を作製し、試験片の荷重たわみ温度(HDT、単位:℃)を測定して耐熱性を評価した。
(3)表面硬度
JIS K5600−5−4に準拠して、樹脂積層体表面の硬化被膜(D)の鉛筆硬度を測定し、樹脂積層体の表面硬度を評価した。
(4)耐擦傷性
樹脂積層体表面の硬化被膜(D)の耐擦傷性を、擦傷処理前・後のヘイズ値の変化量(△ヘイズ、単位:%)により評価した。擦傷試験は、#000のスチールウール(日本スチールウール(株)製、商品名:ボンスターNo.000)を装着した直径24mmの円形パッドを樹脂積層体の硬化被膜(D)側の表面上に置き、500gの荷重下で20mmの距離を50回往復させて、擦傷処理を行った。前記樹脂積層体について、下記式を用いて、初期(擦傷処理前)のヘイズ値(単位:%)に対する、擦傷処理後のヘイズ値(単位:%)の増加量(△ヘイズ(単位:%))を算出し、これを耐擦傷性の指標値とした。
[耐擦傷性(△ヘイズ(%))]=[擦傷後のヘイズ値(%)]−[擦傷前のヘイズ値(%)]
(5)難燃性(JIS)
JIS K 6911−1979の耐燃性試験A法に準拠して樹脂積層体の試験片を作製し、試験片の自消までに要した時間(自消時間)を測定し、下記の基準で二段階で難燃性(JIS)の評価を行った。
○:試験片の自消時間が3分以下であった。
×:試験片の自消時間が3分を超えた又は試験片は自消しなかった。
(6)難燃性(UL94)
UL94垂直燃焼試験法に準拠して樹脂積層体の試験片(長さ127mm×幅12.7mm)の難燃性を評価した。難燃性の判定は以下の表1に示す基準に基づいて行なった。
落球試験法を用いて、樹脂積層体の耐衝撃性を評価した。一辺100mmの正方形の樹脂積層体を試験片として使用した。支持台の穴の中心と試験片の中心が一致するように、支持台の上に硬化被膜の面が上面となるように試験片を置き、試験片の対抗する2辺をセロファンテープで支持台に固定した。温度23℃及び相対湿度50%の条件下で、500mmの高さからステンレス鋼製の球を試験片の中央へ落下させて、下記の基準で二段階で割れの評価を行った。
支持台サイズ;50mmの正方形の穴が空いた5mm厚のアクリル板
落球サイズ;ステンレス鋼製の球(球径41mmφ、質量286g)
測定前の試験片の測定雰囲気中での放置時間;24hr以上
○:試験片の割れが観察されなかった
×:試験片の割れが観察された
また、実施例及び比較例で使用した化合物の略号は以下の通りである。
PC樹脂(1): 芳香族ポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロン
H−4000、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、
粘度平均分子量15000)
アクリル樹脂(2):メタクリル樹脂(商品名:アクリペットVH、
三菱レイヨン(株)製)
難燃剤(3): ビスフェノールA型臭素化エポキシ樹脂(阪本薬品社製)
DPHA: ジペンタエリスリトールペンタアクリレート及びジペンタ
エリスリトールヘキサアクリレートの混合物
(日本化薬(株)製、商品名)
M305: ペンタエリスリトールトリアクリレート及びペンタエリスリ
トールテトラアクリレートの混合物
(東亞合成(株)製、商品名)
C6DA: 1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(大阪有機化学
工業(株)製、商品名)
Darocure1173:2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン
−1−オン(BASFジャパン(株)製、商品名)
DarocureTPO: ジフェニル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)
フォスフィンオキサイド
(BASFジャパン(株)製、商品名)
PC樹脂(1): 芳香族ポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロン
H−4000、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、
粘度平均分子量15000)
アクリル樹脂(2):メタクリル樹脂(商品名:アクリペットVH、
三菱レイヨン(株)製)
難燃剤(3): ビスフェノールA型臭素化エポキシ樹脂(阪本薬品社製)
DPHA: ジペンタエリスリトールペンタアクリレート及びジペンタ
エリスリトールヘキサアクリレートの混合物
(日本化薬(株)製、商品名)
M305: ペンタエリスリトールトリアクリレート及びペンタエリスリ
トールテトラアクリレートの混合物
(東亞合成(株)製、商品名)
C6DA: 1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(大阪有機化学
工業(株)製、商品名)
Darocure1173:2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン
−1−オン(BASFジャパン(株)製、商品名)
DarocureTPO: ジフェニル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)
フォスフィンオキサイド
(BASFジャパン(株)製、商品名)
〔実施例1〕
多官能(メタ)アクリレート(D1)としてDPHAを20部、M305を40部、多官能(メタ)アクリレート(D2)としてC6DAを40部、光重合開始剤としてDarocure1173を4部及びDarocureTPOを2部を混合し、硬化性組成物(d)を得た。
多官能(メタ)アクリレート(D1)としてDPHAを20部、M305を40部、多官能(メタ)アクリレート(D2)としてC6DAを40部、光重合開始剤としてDarocure1173を4部及びDarocureTPOを2部を混合し、硬化性組成物(d)を得た。
PC樹脂(1)100重量部に、難燃剤(3)20重量部を配合しブレンド後、タンブラーにて混合した後、1ベントを備えた日本製鋼所社製二軸押出機(TEX30HSST)に供給し、バレル温度280℃の条件で混練し、ストランド状に押出された溶融樹脂を水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化し、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。次いで、前記ペレットを120℃で5時間乾燥させた後、住友重機械工業社製のSE100DU型射出成形機と断熱金型を用いて、シリンダー温度290℃、金型温度90℃の条件で射出成形し、厚さ3mmのシート状の樹脂基材(A)を得た。
前記硬化性組成物(d)を、前記樹脂基材(A)の片側表面上に塗布した。
前記硬化性組成物(d)を、前記樹脂基材(A)の片側表面上に塗布した。
次いで、PETフィルム「OX−50」(帝人デュポンフィルム(株)製、商品名)の高平滑面が硬化性組成物(d)の塗布面に接触するように貼り合わせ、プレスロールにより2.5m/分間の速度でプレスし、硬化性組成物(d)の硬化被膜の膜厚が10μmになるように調整した。
次いで、樹脂基材(A)、硬化性組成物(d)及びPETフィルムが順次積層された状態で1分間保持し、積層物を得た。この後、得られた積層物を出力120W/cm2のメタルハライドランプの下を一定速度で通過させて硬化性組成物(d)を硬化させることにより硬化被膜を形成して、硬化積層物を得た。
次いで、前記硬化積層物の他方片側表面にも、上と同様の手順で硬化被膜を形成し、最終的な硬化積層物を得た。
この後、得られた硬化積層物からPETフィルムを剥離し、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物からなる樹脂基材(A)の両側表面に硬化被膜が積層された樹脂積層体を得た。得られた樹脂積層体の評価結果を表2に示す。
次いで、樹脂基材(A)、硬化性組成物(d)及びPETフィルムが順次積層された状態で1分間保持し、積層物を得た。この後、得られた積層物を出力120W/cm2のメタルハライドランプの下を一定速度で通過させて硬化性組成物(d)を硬化させることにより硬化被膜を形成して、硬化積層物を得た。
次いで、前記硬化積層物の他方片側表面にも、上と同様の手順で硬化被膜を形成し、最終的な硬化積層物を得た。
この後、得られた硬化積層物からPETフィルムを剥離し、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物からなる樹脂基材(A)の両側表面に硬化被膜が積層された樹脂積層体を得た。得られた樹脂積層体の評価結果を表2に示す。
〔比較例1〕
実施例1で得られた樹脂基材(A)の両側表面に硬化被膜(D)を積層せずに、樹脂基材(A)を評価した結果を表2に示す。
実施例1で得られた樹脂基材(A)の両側表面に硬化被膜(D)を積層せずに、樹脂基材(A)を評価した結果を表2に示す。
〔比較例2〕
樹脂基材(A)に難燃剤(3)を配合しなかった以外は、実施例1と同様の方法でポリカーボネート系樹脂板を得た。評価結果を表2に示す。
樹脂基材(A)に難燃剤(3)を配合しなかった以外は、実施例1と同様の方法でポリカーボネート系樹脂板を得た。評価結果を表2に示す。
〔比較例3〕
樹脂基材(A)として、PC樹脂(1)の代わりにアクリル樹脂(2)を用いた以外は、実施例1と同じ方法で樹脂積層体を得た。得られた樹脂積層体の評価結果を表2に示す。
樹脂基材(A)として、PC樹脂(1)の代わりにアクリル樹脂(2)を用いた以外は、実施例1と同じ方法で樹脂積層体を得た。得られた樹脂積層体の評価結果を表2に示す。
比較例1の樹脂積層体では、硬化被膜(D)を有さないため、表面硬度と耐擦傷性が不十分であった。
比較例2の樹脂積層体では、樹脂基材(A)が難燃剤(C)を含まないため、難燃性(UL94)がV−2レベルと不十分であった。
比較例3は、樹脂基材(A)が芳香族ポリカーボネート系樹脂を含まないため、耐熱性(HDT)と耐衝撃性が低く、また難燃性(JIS、UL94)が不十分であった。
比較例2の樹脂積層体では、樹脂基材(A)が難燃剤(C)を含まないため、難燃性(UL94)がV−2レベルと不十分であった。
比較例3は、樹脂基材(A)が芳香族ポリカーボネート系樹脂を含まないため、耐熱性(HDT)と耐衝撃性が低く、また難燃性(JIS、UL94)が不十分であった。
本発明により得られた樹脂積層体は、芳香族ポリカーボネート系樹脂の優れた耐熱性と耐衝撃性を維持しつつ、高い鉛筆硬度を有し、難燃性と耐擦傷性に優れているので、車両部品や航空機部品等の高い鉛筆硬度と難燃性と耐擦傷性が要求される用途に好適に用いることができる。
1 硬化被膜
2 樹脂基材
3 樹脂積層体
2 樹脂基材
3 樹脂積層体
Claims (5)
- 樹脂基材(A)の少なくとも一方の表面に硬化被膜(D)を備えたシート状の樹脂積層体であって、
前記樹脂基材(A)は、芳香族ポリカーボネート系重合体(P)と難燃剤(C)を含む芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物からなり、
前記樹脂積層体表面の硬化被膜(D)の鉛筆硬度がHB以上である樹脂積層体。 - 前記硬化被膜(D)が、(メタ)アクリロイル基を3個以上有する多官能単量体(D1)由来の構造単位と、(メタ)アクリロイル基を2個有する多官能単量体(D2)由来の構造単位を含有する、請求項1に記載の樹脂積層体。
- 前記硬化被膜(D)が、前記多官能単量体(D1)50質量%以上80質量%以下と、前記多官能単量体(D2)20質量%以上50質量%以下を含有する硬化性組成物(d1)の硬化物からなる、請求項2に記載の樹脂積層体。
- 前記芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物が、下記(1)及び(2)を含有する請求項1に記載の樹脂積層体。
(1)芳香族ポリカーボネート系重合体(P)
(2)臭素系難燃剤、トリフェニルホスフェート系難燃剤、芳香族縮合リン酸エステル系難燃剤、赤リン系難燃剤及びシリコーン系難燃剤から選ばれる少なくとも1種類の難燃剤(C)。 - 樹脂基材(A)の少なくとも一方の表面に硬化被膜(D)を備えたシート状の樹脂積層体であって、
前記樹脂基材(A)は芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物からなり、
前記芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物は難燃剤(C)を含み、
前記樹脂積層体は、UL94で規定される垂直燃焼試験においてV−0の難燃性を有し、且つ、前記硬化被膜(D)の表面の鉛筆硬度がHB以上を満足する樹脂積層体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017024707A JP2018131495A (ja) | 2017-02-14 | 2017-02-14 | 樹脂積層体 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2018131495A true JP2018131495A (ja) | 2018-08-23 |
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ID=63247985
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2017024707A Pending JP2018131495A (ja) | 2017-02-14 | 2017-02-14 | 樹脂積層体 |
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2018131495A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2024101410A1 (ja) * | 2022-11-10 | 2024-05-16 | 三菱瓦斯化学株式会社 | 多層体およびヘッドアップディスプレイ用防塵カバー |
-
2017
- 2017-02-14 JP JP2017024707A patent/JP2018131495A/ja active Pending
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WO2024101410A1 (ja) * | 2022-11-10 | 2024-05-16 | 三菱瓦斯化学株式会社 | 多層体およびヘッドアップディスプレイ用防塵カバー |
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