本発明は、シート状物を製造するためのシート状物移送装置並びに移送チェーン機構の減速移動機構及びクリップ解除機構に関する。
シート状物を製造するための製造装置として、シート状物を幅方向及び長手方向(移送方向)に縮小してリラックス処理するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このシート状物移送装置では、シート状物を移送する移送経路に沿って第1移送域、減速移送域及び第2移送域が設けられ、これら第1移送域、減速移送域及び第2移送域を通して移送チェーン機構が移動される。この移送チェーン機構は移送経路の両側に配設され、片側の移送チェーン機構は、シート状物の片側部をクリップして移送し、また他方の移送チェーン機構は、このシート状物の他側部をクリップして移送する。
また、移送チェーン機構は、シート状物をクリップするためのクリップ連結部と、隣接するクリップ連結部を連結する接続連結部とを有し、この接続連結部が移送方向内側に屈曲可能に構成されている。このように構成されているので、この接続連結部が屈曲すると、接続連結部の移送方向の長さが変化し、大きく(又は小さく)屈曲した状態では、その移送方法の長さが大きく(又は小さく)縮小する。
このシート状物移送装置では、第1移送域では、移送チェーン機構の接続連結部が通常状態(屈曲していない状態)に保持され、第2移送域では、この接続連結が所定の屈曲状態に保持されて縮小状態に保持され、また減速移送域では、この接続連結部が通常状態から縮小状態に向けて少しずつ内側に屈曲される。従って、移送チェーン機構のクリップ連結部にクリップ(所謂、チャッキング)されたシート状物は、第1移送域では所定の移送速度で移送され、減速移送域では所定移送速度から少しずつ減速しながら移送され、第2移送域では、減速した低い移送速度で移送され、この減速移送域を通して移送される間に、シート状物が長手方向(移送方向)に縮小され、このように縮小されることにより、シート状物に対して長手方向のリラックス処理を施すことができる。
しかしながら、このシート状物移送装置では、次の通りの問題がある。第1移送域においては、隣接するクリップ連結部を連結する接続連結部が通常状態に保持されるために、移送されるシート状物をクリップするクリップ間隔が大きくなり、シート状物の移送が不安定になるおそれがある。このクリップ間隔を小さくするには、接続連結部を小さくすればよいが、この接続連結部を小さくすると、クリップ連結部によりクリップされない部位の移送方向における長さが短くなり、そのためにこの移送方向に大きく縮小することが困難になり、またクリップ連結部によりクリップされた部位に対してクリップされない部位の移送方向における長さの割合が小さくなり、そのためにこの移送方向の縮小を安定的に行うことが難しくなる。
また、このようなシート状物移送装置においては、移送チェーン機構に関連して、次の通りの問題がある。第1に、移送チェーン機構のクリップ連結部の移動を所望の通りに確実に漸減させることが可能な減速移動機構の実現が望まれている。第2に、移送チェーン機構のクリップ連結部のクリップ手段を所望の位置において確実に解除状態にすることが可能なクリップ解除機構の実現が望まれている。
本発明の第1の目的は、シート状物を第1移送域では安定して移送することができ、また減速移送域では移送方向に所要の通りに縮小させながら安定して移送することができるシート状物移送装置を提供することである。
本発明の第2の目的は、移送チェーン機構のクリップ連結部の移動速度を所要の通りに漸減することができる移送チェーン機構の減速移動機構を提供することである。
本発明の第3の目的は、移送チェーン機構のクリップ手段によるクリップ状態を所要の通りに解除することができる移送チェーン機構のクリップ解除機構を提供することである。
本発明のシート状物移送装置は、第1移送速度で移送する第1移送域、移送速度を漸減しながら移送する減速移送域及び前記第1移送速度より遅い第2移送速度で移送する第2移送域が移送方向に配設された移送経路を通してシート状物を移送させるための第1移送チェーン機構と、前記第1移送域を通して前記シート状物を移送させるための第2移送チェーン機構と、前記第1移送域に対応して前記第1及び第2移送チェーン機構を前記第1移送速度で移動させるための第1駆動手段と、前記減速移送域に対応して前記第1移送チェーン機構を前記第1移送速度から減速しながら移動させるための減速駆動手段と、前記第2移送域に対応して前記第1移送チェーン機構を前記第2移送速度で移動させるための第2駆動手段と、を具備しており、
前記第1移送チェーン機構は、前記シート状物をクリップするための第1クリップ連結部と、隣接する前記第1クリップ連結部を連結するための第1接続連結部とを有し、前記第1接続連結部は、前記移送方向の間隔が縮小可能となるように構成されており、
前記第2移送チェーン機構は、前記シート状物をクリップするための第2クリップ連結部と、隣接する前記第2クリップ連結部を連結するための第2接続連結部とを有し、前記第1移送域に対応して前記第1移送チェーン機構の上方又は下方に配設されており、
前記第1移送域においては、前記第1移送チェーン機構の前記第1クリップ連結部間に前記第2移送チェーン機構の前記第2クリップ連結部が位置し、前記シート状物は、前記第1駆動手段により前記第1移送速度で移動される前記第1及び第2クリップ連結部にクリップされて移送され、前記減速移送域においては、前記第2移送チェーン機構が前記移送経路から外れた状態にて前記第1移送チェーン機構の前記第1接続連結部が少しずつ縮小され、前記シート状物は、前記減速駆動手段により減速移動される前記第1クリップ連結部にクリップされて移送され、また第2移送域においては、前記第1移送チェーン機構の前記第1接続連結部が縮小状態に保持され、前記シート状物は、前記第2駆動手段により前記第2移送速度で移動される前記第1クリップ連結部にクリップされて移送されることを特徴とする。
また、本発明の移送チェーン機構の減速移動機構は、シート状物をクリップして移送するためのクリップ連結部及び隣接する前記クリップ連結部を連結するための接続連結部から構成された移送チェーン機構と、前記移送チェーン機構を減速しながら移動させるための減速移動手段とを備えており、
前記減速移動手段は、回転自在に支持された駆動回転軸と、前記駆動回転軸の外周面に設けられた螺旋状突条と、前記駆動回転軸を所定方向に回転駆動するための駆動源とを有し、前記螺旋状突条の移送ピッチは移送方向下流側に向けて漸減するように構成され、また前記移送チェーン機構の前記クリップ連結部には、前記駆動回転軸に向けて延びる被駆動部が設けられており、
前記減速移動手段により移動させるときには、前記駆動回転軸の前記螺旋状突条が前記クリップ連結部の前記被駆動部に作用して前記クリップ連結部を減速移動させることを特徴とする。
更に、本発明の移送チェーン機構のクリップ解除機構は、シート状物をクリップして移送するためのクリップ連結部及び隣接する前記クリップ連結部を連結するための接続連結部から構成された移送チェーン機構と、前記移送チェーン機構を移動するための駆動手段とを備えており、
前記クリップ連結部は、前記接続連結部に連結された連結部と、前記連結部に装着されたクリップ手段とを有し、前記クリップ手段は、前記連結部に取り付けられたクリップ本体部と、シート状物をクリップするクリップ角度位置とシート状物のクリップを解除する解除角度位置との間を旋回自在に前記クリップ本体部に装着されたクリップ部材とを有し、前記連結部には、前記クリップ部材に向けて延びる押圧部材が移動自在に設けられており、
前記押圧部材が前記クリップ部材に向けて押圧されると、前記クリップ部材は、前記押圧部材によって前記クリップ角度位置から前記解除角度位置に旋回されることを特徴とする。
本発明の請求項1に記載のシート状物移送装置によれば、第1移送域、減速移送域及び第2移送域を通してシート状物を移送させるための第1移送チェーン機構と、第1移送域を通してシート状物を移送させるための第2移送チェーン機構とを備えている。そして、第1移送チェーン機構は、シート状物をクリップするための第1クリップ連結部と、第1クリップ連結部を連結するための第1接続連結部とを有し、この第1接続連結部が移送方向の間隔が縮小可能となるように構成され、また第2移送チェーン機構は、シート状物をクリップするための第2クリップ連結部と、第2クリップ連結部を連結するための第2接続連結部とを有し、第1移送域に対応して第1移送チェーン機構の上方(又は下方)に配設されている。
このように構成されているので、第1移送域においては、第1移送チェーン機構の第1クリップ連結部間に第2移送チェーン機構の第2クリップ連結部が位置するので、シート状物を安定して移送することができる。また、減速移送域においては、第2移送チェーン機構の第2クリップ連結部が移送経路から外れ、シート状物は第1移送チェーン機構の第1クリップ連結部に保持されて移送されるので、シート状物の縮小率を大きくすることが可能となる。更に、この減速移送域においては、シート状物が減速駆動手段により減速移動される第1クリップ連結部にクリップされて移送されるので、このシート状物を安定して移送方向に縮小することができる。
また、本発明の移送チェーン機構の減速移動機構によれば、減速移動手段は、回転自在に支持された駆動回転軸と、この駆動回転軸の外周面に設けられた螺旋状突条とを有し、螺旋状突条の移送ピッチが移送方向下流側に向けて漸減され、また移送チェーン機構のクリップ連結部には、前記被駆動部が設けられているので、駆動回転軸の螺旋状突条がクリップ連結部の被駆動部に作用し、この螺旋状突条によってクリップ連結部を安定して減速移動させることができる。
また、本発明の移送チェーン機構のクリップ解除機構によれば、移送チェーン機構のクリップ連結部は、接続連結部に連結された連結部と、この連結部に装着されたクリップ手段とを有し、このクリップ手段は、シート状物をクリップするクリップ角度位置とシート状物のクリップを解除する解除角度位置との間を旋回自在に装着されたクリップ部材とを有し、更に連結部には、クリップ部材に向けて延びる押圧部材が移動自在に設けられているので、この押圧部材によりクリップ部材を押圧すると、クリップ部材がクリップ角度位置から解除角度位置に旋回され、かくして、所定の位置にて押圧部材を移動させることにより、クリップ部材によるクリップ状態を確実に解除することができる。
本発明に従うシート状物移送装置の第1の実施形態を簡略的に示す平面図。
第1の実施形態のシート状物移送装置のシート状物移送装置を簡略的に示す正面図。
図2のシート状物移送装置における第1移送チェーン機構の一部を簡略的に示す平面図。
図2のシート状物移送装置における第2移送チェーン機構を簡略的に示す平面図。
図3の第1移送チェーン機構と図4の第2移送チェーン機構とを上下方向に組み合わせた状態を簡略的に示す平面図。
図1のシート状物移送装置における減速移動機構及びこれに関連する構成を簡略的に示す平面図。
図3の第1移送チェーン機構における第1クリップ連結部及び第1接続連結部を通常状態で示す底面図。
図7の第1クリップ連結部及び第1接続連結部を収縮状態で示す底面図。
第1クリップ連結部及び第1接続連結部を背面側から見た背面図。
図9の第1クリップ連結部を側面側から見て一部を断面で示す断面図。
図4の第2移送チェーン機構における第2クリップ連結部及び第2接続連結部を背面側から見た背面図。
図11の第2クリップ連結部の第2クリップ手段を移送位置に保持した状態で側面側見て示す部分断面図。
図11の第2クリップ連結部の第2クリップ手段を後退位置に保持した状態で側面側から見て示す部分断面図。
図14(a)は、本発明に従うシート状物移送装置の第2の実施形態を簡略的に示す平面図、図14(b)は、図14(a)においてXIV−XIV線から見た側面図。
図15(a)は、本発明に従うシート状物移送装置の第3の実施形態を簡略的に示す平面図、図15(b)は、図15(a)においてXV−XV線から見た側面図。
図16(a)は、本発明に従うシート状物移送装置の第4の実施形態を簡略的に示す平面図、図16(b)は、図16(a)においてXVI−XVI線から見た側面図。
図17(a)は、本発明に従うシート状物移送装置の第5の実施形態を簡略的に示す平面図、図17(b)は、図17(a)においてXVII−XVII線から見た側面図。
図18(a)は、本発明に従うシート状物移送装置の第6の実施形態を簡略的に示す平面図、図18(b)は、図18(a)においてXVIII−XVIII線から見た側面図。
以下、添付図面を参照して、本発明に従うシート状物移送装置の第1の実施形態について説明する。尚、このようなシート状物移送装置は、フィルム状のシート状部材を製造するためのステンタなどのシート状物製造装置に適用することができる。
図1及び図2において、図示のシート状物製造装置は、シート状物Sを移送する移送経路2の両側に配設される一対のシート状物移送装置4a,4bを備えている。片方のシート状物移送装置4aは、矢印6で示す移送方向の左側(図1において上側)に配設され、移送経路2に沿って移送されるシート状物Sの左側部を後述するようにクリップして移送し、また他方のシート状物移送装置4bは、この移送方向の右側(図1において下側)に配設され、移送経路2に沿って移送されるシート状物の右側部を後述するようにクリップして移送する。
一対のシート状物移送装置4a,4bは、図1から理解される如く、実質上同一の構成であり、移送経路2を挟んで相互に対向して配置され、矢印6で示す移送方向を中心として左右対称(図1において上下方向対称)に構成されており、以下、一対のシート状物移送装置4a,4bのうちの片方のシート状物移送装置4aについて説明する。
シート状物Sが移送される移送経路2には、第1移送域8、減速移送域10及び第2移送域12が矢印6で示す移送方向にこの順に配設されており、シート状物移送装置4a(4b)は、第1移送域8、減速移送域10及び第2移送域12を通して移動する第1移送チェーン機構14と、第1移送域8を通して移動する第2移送チェーン機構16とを備えている。この形態では、第2移送チェーン機構16が第1移送チェーン機構14の上方に配置されている(図2参照)が、これとは反対に、第2移送チェーン機構16を第1移送チェーン機構14の下方に配置するようにしてもよい。
この第1の実施形態では、図2に示すように、シート状物移送装置4aは、各種構成要素が取り付けられる支持フレーム本体(図示せず)を備え、この支持フレーム本体には、第1移送域8における第1移送チェーン機構14に対応して第1及び第2回転軸22,23が回転自在に配設され、また第1移送域8における第2移送チェーン機構16に対応して第3及び第4回転軸24,25が回転自在に配設されている。第1及び第2回転軸22,23には第1及び第2スプロケット26,27が取り付けられ、第1移送チェーン機構14は、第1及び第2スプロケット26,27に噛み合うように装着されている。また、第3及び第4回転軸24,25には第3及び第4スプロケット28,29が取り付けられ、第2移送チェーン機構16は第3及び第4スプロケット28,29に巻き掛けられている。
第1〜第4回転軸22〜25には、例えば電動モータから構成される第1〜第4駆動源30,31,32,33が駆動連結され、第1〜第4駆動源30〜33は、第1及び第2移送チェーン機構14,16を第1移送速度で移動させるための第1駆動手段を構成する。尚、この実施形態では、第1〜第4回転軸22〜25が第1〜第4駆動源30〜33により駆動されるが、例えば第2駆動源31を省略し、第1駆動源30により回転駆動される第1回転軸22の回転駆動力を、駆動伝達機構(図示せず)を介して第2回転軸23に伝達させるようにしてもよく、また例えば第4駆動源33を省略し、第3駆動源32により回転駆動される第3回転軸24の回転駆動力を、駆動伝達機構(図示せず)を介して第4回転軸25に伝達させるようにしてもよい。
第1及び第2駆動源30,31は回転速度が同じとなるように回転され、第1及び第2駆動源30,31が回転すると、第1移送チェーン機構14が後述するようにして第1移送速度で移動される。また、第3及び第4駆動源32,33は回転速度(この回転速度は第1及び第2駆動源30,31の回転速度と同じに設定される)が同じとなるように回転され、第3及び第4駆動源32,33が回転すると、第2移送チェーン機構16が後述するようにして第1移送速度で移動される。
図1に戻って、この支持フレーム本体(図示せず)には、減速移送域10に対応して、駆動回転軸42が回転自在に支持されている。この駆動回転軸42の外周面には、螺旋状突条44が連続的に設けられ、この螺旋状突条44の間隔(この間隔が移送ピッチとなる)は、移送方向下流側に向けて漸減されるように構成されている。
この駆動回転軸42の一端部(この形態では、移送方向下流側の端部)には、従動傘歯車46が設けられ、この従動歯車46は駆動傘歯車軸48の駆動傘歯車50に駆動連結され、この駆動傘歯車軸48が、例えば電動モータから構成される第5駆動源52に駆動連結されている。
このように構成されているので、第5駆動源52が回動すると、駆動傘歯車軸48が所定方向に回動され、駆動傘歯車48、従動傘歯車46を介して駆動回転軸42が移送方向に回動され、この駆動回転軸42の螺旋状突条44により後述するように移送される移送速度が移送方向に向けて漸減される。この第5駆動源52、駆動傘歯車48、従動歯車46及び駆動回転軸42は、第1移送チェーン機構14を減速しながら移動させるための減速駆動手段を構成し、この減速駆動手段は、第1移送チェーン機構14を減速しながら移動させる減速移動機構の一部を構成する。
図2をも参照して、この支持フレーム本体(図示せず)には、更に、第2移送域12に対応して、第5及び第6回転軸54,56が回転自在に支持されている。第5及び第6回転軸54,56は間隔をおいて配設されている。第5回転軸54には第5スプロケット58が取り付けられ、また第6回転軸56には第6スプロケット60が取り付けられ、これら第5及び第6スプロケット58,60が第1移送チェーン機構14に噛み合うように作用する。また、第5及び第6回転軸54,56には、例えば電動モータから構成される第5及び第6駆動源62,64が駆動連結されている。
第5及び第6駆動源62,64は回転速度が同じとなるように回転され、第5及び第6駆動源62,64が回転されると、第5及び第6スプロケット54,56が所定方向に回動され、これにより、第1移送チェーン機構14は、後述するように第2移送速度で移動され、これら第5及び第6駆動源62,64、第5及び第6回転軸54,56並びに第5及び第6スプロケット58,60は、第1移送チェーン機構14を第2移送速度で移動させるための第2駆動手段を構成する。尚、第5駆動源62(又は第6駆動源64)を省略し、第6駆動源64(又は第5駆動源62)からの駆動力を、駆動伝達機構(図示せず)を介して第5回転軸54(又は第6回転軸56)に伝達して第5スプロケット58(又は第6スプロケット60)を従動させるようにしてもよい。
次に、図1及び図2とともに図3及び図5を参照して、第1移送チェーン機構14について説明する。図示の第1移送チェーン機構14は、多数の第1チェーンユニット72を無端状に連結することによって構成され、各第1チェーンユニット72は、シート状物Sをクリップするための第1クリップ連結部74と、第1クリップ連結部74に連結された第1接続連結部76とから構成され、この第1接続連結部76は、隣接する第1クリップ連結部74を連結する。第1チェーンユニット72(即ち、第1クリップ連結部74及び第1接続連結部76)については後述する。
この第1移送チェーン機構14には、第2回転軸23に装着された第2プロケット27、第1回転軸22に装着された第1スプロケット26、第6回転軸56に装着された第6スプロケット60及び第5回転軸54に装着された第5スプロケット58が噛み込むように作用し、このように作用することにより、第1移送チェーン機構14が移動される。第1移送域8においては、第1及び第2プロケット26,27の作用によって、第1チェーンユニット72が後述するように第1移送速度で移動され、第2移送域12においては、第5スプロケット58及び第6プロケット60の作用によって、第1チェーンユニット72が、後述するように、第1移送速度よりも遅い第2移送速度で移動される。
また、第1移送域8と第2移送域12との間の減速移送域10においては、駆動回転軸42の螺旋状突条44が第1チェーンユニット72の第1クリップ連結部74の一部に作用し、この第1チェーンユニット72が、後述するように、第1移送速度から第2移送速度に漸減しながら移動される。
図1及び図2とともに図4及び図5を参照して、第2移送チェーン機構16について説明すると、この第2移送チェーン機構16は、多数の第2チェーンユニット82を無端状に連結することによって構成され、各第2チェーンユニット82は、シート状物Sをクリップするための第2クリップ連結部84(第1移送チェーン機構14の第1クリップ連結部74との区別を明確にするために、図4〜図6において黒く塗って示している)と、第2クリップ連結部84に連結された第2接続連結部86とから構成され、この第2接続連結部86は、隣接する第2クリップ連結部84を連結する。第2チェーンユニット82(即ち、第2クリップ連結部84及び第2接続連結部86)についても後述する。
この第2移送チェーン機構16には、第3スプロケット28及び第4スプロケット29が噛み込むように作用し、このように作用することにより、第2移送チェーン機構16が移動される。第1移送域8においては、第3及び第4スプロケット28,29の作用によって、第2移送チェーン機構16が、第1移送チェーン機構14の移送速度と同じ第1移送速度で後述するように移動される。
このシート状物移送装置4a(4b)においては、図3〜図6に示すように、第1移送チェーン機構14は、第2プロケット27及び第5スプロケット58間を第1移送域8、減速移送域10及び第2移送域12を通して無端状に配設され、第1移送域8においては第1駆動手段により第1移送速度で移動され、減速移送域10においては減速駆動手段により少しずつ減速しながら移動され、また第2移送域12においては第2駆動手段により第2移送速度で移動される。また、第2移送チェーン機構16は、第3スプロケット28及び第4スプロケット29間を、第1移送域8を通して配設され、第1移送域8においては第1駆動手段により第1移送速度で移動される。この第1移送域8においては、第2移送チェーン機構16は、上述の第1移送チェーン機構14と同期して移動され、第2移送チェーン機構16の第2クリップ連結部84が第1移送チェーン機構14の隣接する第1クリップ連結部74の間に位置して移動される(図5及び図6参照)。
このように構成されるので、第1移送域8においては、シート状物Sは、第1及び第2移送チェーン機構14,16の第1及び第2クリップ連結部74,84にクリップ(所謂チャッキング)されて第1移送速度で移送され、この第1移送域8より下流側においては、第2移送チェーン機構16は減速移送域10及び第2移送域12から外れ、このシート状物Sは、減速移送域10では第1移送チェーン機構14の第1クリップ連結部74にクリップされて減速移送され、また第2移送域ではその第1クリップ連結部74にクリップされて第2移送速度で移送され、この減速移送域10における減速移送によりシート状物Sが縮小され、この縮小処理によって、シート状物Sに対して長手方向(移送方向)のリラックス処理を施すことができる。
次に、主として図5〜図10を参照して、第1移送チェーン機構14及びこれに関連する具体的構成について説明する。この第1移送チェーン機構14の第1チェーンユニット72は、第1クリップ連結部74及び第1接続連結部76から構成され、第1接続連結部76が移送方向の間隔が縮小可能に構成されている。図7及び図8を参照して第1接続連結部76について説明すると、この第1接続連結部76は、隣接する片方の第1チェーンユニット72の第1クリップ連結部74(図7及び図8において例えば左側のもの)に連結軸78を介して旋回自在に連結された第1チェーンリンク80と、隣接する他方の第1チェーンユニット72の第1クリップ連結部74(図7及び図8において例えば右側のもの)に連結軸83を介して旋回自在に連結された第2チェーンリンク85と、一端側が連結軸86を介して第1チェーンリンク80に旋回自在に連結され且つ他端側が連結軸88を介して第2チェーンリンク85に旋回自在に連結された中間接続リンク90とを備えている。この第1接続連結部76の中間接続リンク90の中間部には、その背面側(図5及び図6において内側)に突出する突出部92が設けられ、かかる突出部92に支持軸94が設けられ、この支持軸94に従動コロ96が回転自在に支持されている。
このように構成されているので、図7と図8とを対比することによって容易に理解される如く、従動コロ96が図7において上方に移動することによって、第1チェーンリンク80が連結軸78を中心として図7において反時計方向に回動するとともに、第2チェーンリンク85が連結軸82を中心として時計方向に回動し、このように第1及び第2チェーンリンク80,85が回動した状態では、第1接続連結部76の移送方向の長さ(換言すると、隣接する第1クリップ連結部74間の間隔)が縮小する。
更に説明すると、図7に示すように、第1チェーンリンク80、中間接続リンク90及び第2チェーンリンク85が直線状に延びた状態では、第1チェーンユニット72の長さが最も長い状態となり、第1クリップ連結部74のピッチはL1(図7参照)となる。このような状態から従動コロ96が図7において上方(第1移送チェーン機構14の外側)に移動するに伴い、第1接続連結部76の第1及び第2チェーンリンク80,85が旋回され、この旋回角度が大きくなるに従い第1チェーンユニット72の移送方向の長さが次第に短くなって縮小される。そして、この従動コロ96が図7において最も上に移動した状態(即ち、図8に示す状態)では、第1及び第2チェーンリンク80,85が略90度旋回され、第1チェーンユニット72の移送方向の長さが最小に縮小され、第1クリップ連結部74のピッチはL2(図8参照)となり、このピッチ間隔L2は、ピッチ間隔L1の半分となる(L2=L1/2)。
このシート状物移送装置4a(4b)では、第1チェーンユニット72の従動コロ96に対応して、ピッチ縮小部材100が配設されている(図5及び図6参照)。ピッチ縮小部材100は、第1移送チェーン機構14の内側にて第1移送域8の下流側(減速移送域10の上流側)から減速移送域10及び第2移送域12を通して延び、更に第5プロケット58の周縁部を回って第1スプロケット26の近傍まで延び、その上流側部102は、第1移送チェーン機構14から離れて直線状に延び、この上流側部102に続く外傾斜部104は、第1移送チェーン機構14に近づくように移送方向に向けて外側に傾斜して延び、この外傾斜部104に続く中間部106は、第1移送チェーン機構14と上下方向に一部重なるように延び、第5スプロケット58の外周縁部を回って第1スプロケット26に向けて延びている。また、中間部106に続く内傾斜部108(外傾斜部104と対応する部位)は、第1移送チェーン機構14から離れるように移送方向と反対方向に向けて内側に傾斜して延び、更に内傾斜部108に続く下流側部110(上流側部102と対応する部位)は、第1移送チェーン機構14から離れて直線状に延びている。
このピッチ縮小部材100は、第1移送チェーン機構14の各第1接続連結部76の従動コロ96に作用して第1チェーンユニット72の移送方向の長さを縮小するように作用する。即ち、ピッチ縮小部材100の上流側部102及び下流側部110は、各第1接続連結部76に実質上作用せず、この従動コロ96はこの上流側部102及び下流側部110の側面に接触して回動しながら移動し、従って、第1チェーンユニット72は、図7に示すように、第1接続連結部76が直線状となった状態(即ち、移送方向に最も長い状態)で移動される。
また、このピッチ縮小部材100の外傾斜部104は、移送方向下流側に行くほど第1接続連結部76の従動コロ96に大きく作用するようになり、従って、第1及び第2チェーンリンク80,85が外側に向けてより大きく旋回され、第1及び第2チェーンリンク80,85が旋回することにより、第1接続連結部76(即ち、第1チェーンユニット72)の移送方向の長さが縮小され、第2移送域12に近づくほどその移送方向の長さが大きく縮小される。
更に、ピッチ縮小部材100の中間部106は、第1接続連結部76の従動コロ96に大きく作用し、その第1及び第2チェーンリンク80,85は、図8に示すように、90度まで旋回されるようになり、従って、第1及び第2チェーンリンク80,85が外側に大きく旋回されて第1接続連結部76(即ち、第1チェーンユニット72)の移送方向の長さが最も小さくなるように縮小され、第1チェーンユニット72の移送方向の長さが半分に縮小した状態で移動する。
更にまた、このピッチ縮小部材100の内傾斜部108は、矢印112で示す移動方向下流側に行くほど第1接続連結部76の従動コロ96への作用状態を開放するようになり、従って、第1及び第2チェーンリンク80,85が内側に戻るように旋回され、第1及び第2チェーンリンク80,85がかく旋回することにより、第1接続連結部76(即ち、第1チェーンユニット72)の移送方向の長さが元に戻り、その下流側部110に近づくほどその移送方向の長さが元の長さに戻るように縮小状態が解消される。
尚、この実施形態では、第1接続連結部76の第1及び第2チェーンリンク80,85が90度まで旋回されるので、第1チェーンユニット72の移送方向の長さが半分まで縮小されるが、この第1及び第2チェーンリンク80,85の旋回角度を調整する(換言すると、第1接続連結部76の従属コロ96に作用するピッチ縮小部材100の位置を調整する)ことによって、第1チェーンユニット72の移送方向の長さ(所謂、その縮小率)を無段階に調整することができる。
尚、この実施形態では、第1移送チェーン機構14の内側にピッチ縮小部材100が配設され、このピッチ縮小部材100によって第1及び第2チェーンリンク80,85が外側に旋回して縮小される構成であるが、これとは反対に、ピッチ縮小部材100によって第1及び第2チェーンリンク80,85が内側に旋回して縮小されるように構成してもよく、この場合、ピッチ縮小部材100は、第1移送チェーン機構14の外側に配設される。
次いで、主として図9及び図10を参照して、第1チェーンユニット72の第1クリップ連結部74について説明すると、この第1クリップ連結部74は、第1接続連結部76に連結される第1連結部122と、シート状物Sをクリップ(チャッキング)するための第1クリップ部124とを備え、この第1クリップ部124は、第1連結部122に取り付けられた第1クリップ本体部126と、この第1クリップ本体部126に取り付けられた第1クリップ手段128を有している。
この形態では、第1チェーンユニット72の第1連結部122における連結部本体部130の下端壁部131の一端部(図9において右端部)に第1接続連結部76の第1チェーンリンク80が連結軸78を介して旋回自在に連結され、この下端壁部131の他端部(図9において左端部)に、隣接する第1チェーンユニット72の第1接続連結部76の第2チェーンリンク85が連結軸88を介して旋回自在に連結され、多数の第1チェーンユニット72の第1クリップ連結部74及び第1接続連結部76がこのようにして無端状に連結されて第1移送チェーン機構14が構成される。
この第1クリップ連結部74の第1連結部122の下端壁部131の内面には下支持軸132を介して第1外案内ローラ134が回転自在に装着されている。また、この第1連結部122の上端壁部138の先端部(即ち、内側端部)に一対の上支持軸140が取り付けられ、各上支持軸140に第1内案内ローラ142が回転自在に支持され、かかる一対の第1内案内ローラ142の間に第1外案内ローラ134が位置するように配置される。更に、この上端壁部138の上面には取付ブロック144(図10参照)が取り付けられ、この取付ブロック144に支持軸(図示せず)を介して第1支持ローラ146が回転自在に装着されている。
この第1移送チェーン機構14が移動するその移動経路に沿って第1案内支持レール148(図9においては、第1案内支持レールを省略している)が配設されており(図6も参照)、第1移送チェーン機構14の各第1チェーンユニット72の第1クリップ連結部74は、この第1案内支持レール148に案内されて移動される。更に説明すると、各第1クリップ連結部74における第1支持ローラ146は、第1案内支持レール148の上面に載置支持され、一対の第1内案内ローラ142は、第1案内支持レール148の内面上部に作用し、また第1外案内ローラ134は、第1案内支持レール148の外面下部に作用し、第1支持ローラ146、一対の第1内案内ローラ142及び第1外案内ローラ134が第1支持案内レール148にこのように作用するので、各第1クリップ連結部74は、第1案内支持レール148に沿ってスムースに且つ確実に案内移動される。
各第1クリップ連結部74の第1連結部122には、更に、減速駆動手段が作用する第1被駆動部が設けられている。この被駆動部は、上端壁部138から内側(図10において右方)に延びる内突出端部144に設けられた上従動コロ150から構成されている。
減速移送域10においては、第1移送チェーン機構14の各第1チェーンユニット72の第1クリップ連結部74が駆動回転軸42(減速駆動手段の一部を構成する)により移動される。即ち、各第1クリップ連結部74の上従動コロ150は、駆動回転軸42の螺旋状突条44の移動経路を通して移動され、この上従動コロ150がこの減速移送域10まで移動すると、所定方向に回転する駆動回転軸42の螺旋状突条44が第1クリップ連結部74の上従動コロ150(被駆動部)に作用して矢印6で示す移送方向に移動し、この上従動コロ150と一体的に第1クリップ連結部74が移送される。このとき、駆動回転軸42の螺旋状突条44の間隔は、移送方向下流側に向けて漸減されているので、第2移送域12に近づくほど第1クリップ連結部74(即ち、第1チェーンユニット72)の移送速度が漸減され、この移送速度の減少に合わせて第1接続連結部76の第1及び第2チェーンリンク80,85が上述したように外側に旋回するようにピッチ縮小部材100が構成される。
次いで、第1クリップ連結部74の第1クリップ部124について説明すると、この第1クリップ部124は、第1連結部122の上下方向上方に配設され、第1連結部122の上端壁部138の上側に取り付けられている。この第1クリップ部124の第1クリップ本体部126には、凹部154が設けられ、この凹部154の下内面がシート状物Sをチャッキングするための片面として機能する。この第1クリップ本体部126の上部には、この凹部154に連通する切欠き156が設けられ、この切欠き156の先端部(即ち、凹部154の開口側)に第1クリップ手段128が装着されている。
この第1クリップ手段128は、第1クリップ本体部126の切欠き156に支持ピン156を介して第1クリップ部材158が装着され、この第1クリップ部材158は、シート状物Sをクリップするクリップ角度位置(図10に実線で示す角度位置)とこのクリップ状態を解除する解除角度位置(図10に二点鎖線で示す角度位置)との間を旋回自在である。この第1クリップ部材158の一端部(先端部)にはクリップ部160が設けられ、その他端部には被作用部162が設けられている。
シート状物移送装置4a(4b)の第1移送チェーン機構14の第1クリップ連結部74に関連して、第1移送域8の入口域に第1クリップ操作部材(図示せず)が配設され、また第2移送域12の出口域に第1解除操作部材(図示せず)が配設される。従って、各第1クリップユニット72における第1クリップ連結部74の第1クリップ手段128が第1移送域8の入口域に移動すると、この第1クリップ操作部材が第1クリップ手段128の第1クリップ部材158の被作用部162に作用し、この第1クリップ部材158が解除角度位置からクリップ角度位置に旋回されて保持される。このクリップ角度位置においては、図10に実線で示すように、シート状物Sは、第1クリップ連結部74の第1クリップ本体部126と第1クリップ部材158のクリップ部160との間にクリップ保持され(即ち、チャッキング保持され)、シート状物Sは、第1クリップ連結部74にクリップ保持された状態でこの第1クリップ連結部74の移動とともに矢印6で示す移送方向に移送される。
また、各第1クリップ連結部74の第1クリップ手段128が第2移送域12の排出域に移動すると、第1解除操作部材(図示せず)が第1クリップ部材158の被作用部162に作用し、この第1クリップ部材15 8がクリップ角度位置から解除角度位置に旋回されて保持される。この解除角度位置においては、図10に二点鎖線で示すように、第1クリップ部材158のクリップ部160が第1クリップ本体部126から離れて上述したクリップ状態(即ち、第1クリップ材158によるチャッキング状態)が解除され、シート状物Sは、第1クリップ連結部74によるクリップ作用を受けることなく矢印6で示す移送方向に移送される。
次に、主として図4及び図5並びに図11〜図13を参照して、第2移送チェーン機構16及びこれに関連する具体的構成について説明する。第2移送チェーン機構16の第2チェーンユニット82は、第2クリップ連結部84及び第2接続連結部86から構成されている。図11に示すように、第2接続連結部86は、第2クリップ連結部84に連結軸174を介して旋回自在に連結された第1チェーンリンク176と、隣接する他方の第2チェーンユニット82の第2クリップ連結部84に連結軸178を介して旋回自在に連結された第2チェーンリンク180と、一端側が連結軸182を介して第1チェーンリンク176に旋回自在に連結され且つ他端側が連結軸184を介して第2チェーンリンク180に旋回自在に連結された中間チェーンリンク186とを備えている(図4も参照)。
この第2接続連結部86、即ち第1チェーンリンク176、中間チェーンリンク186及び第2チェーンリンク180は、図11に示すように、直線状に延びた状態で後述するように移送される。
また、第2チェーンユニット82の第2クリップ連結部84について説明すると、この第2クリップ連結部84は、第2接続連結部86に連結される第2連結部188と、シート状物Sをクリップするための第2クリップ部190とを備え、この第2クリップ部190は、第2連結部188の上下方向下方に配設され、第2連結部188に取り付けられた第2クリップ支持部187と、この第2クリップ支持部187に取り付けられた第2クリップ本体部191と、この第2クリップ本体部191に取り付けられた第2クリップ手段193を有している。
この形態では、第2チェーンユニット82の第2連結部188における連結部本体192の下端壁部194及び上端壁部196の一端部(図11において右端部)間に第2接続連結部86の第1チェーンリンク176が連結軸174を介して旋回自在に連結され、それらの他端部(図11において左端部)間に、隣接する第2チェーンユニット82の第2接続連結部86の第2チェーンリンク180が連結軸178を介して旋回自在に連結され、これらを連結する中間チェーンリンク186の一端部が連結軸182を介して旋回自在に連結され、その他端部が連結軸184を介して旋回自在に連結されている。多数の第2チェーンユニット82の第2クリップ連結部84及び第2接続連結部86がこのようにして無端状に連結されて第2移送チェーン機構16が構成される。
この第2クリップ連結部84の第2連結部188における連結本体部192の下端壁部194には、外下支持軸198を介して第2外下案内ローラ200が回転自在に支持され、その上端壁部196には、外上支持軸202を介して第2外上案内ローラ204が回転自在に支持されている。また、この上端壁部196は、内側に延びる内突出部材206が取り付けられ、この内突出部材206の両側端部にスペーサ210を介して一対の第2内上案内ローラ212が回転自在に支持され、一対の第2内上案内ローラ212間に第2外上案内ローラ204が配置される。更に内突出部材206に装着された取付ブロック214に上支持軸(図示せず)を介して第2支持ローラ218が回転自在に支持されている。更にまた、連結本体部192の下端壁部194には、支持本体部222が取り付けられ、この支持本体部222の両側部に内下支持軸226を介して一対の第2内下案内ローラ228が回転自在に支持され、かかる一対の第2内下案内ローラ228間に第2外下案内ローラ200が配置される。
この第2移送チェーン機構16が移動するその移動経路に沿って第2案内支持レール230(図11においては、第2案内支持レールを省略している)が配設されており(図4も参照)、第2移送チェーン機構16の各第2チェーンユニット82の第2クリップ連結部84は、この第2案内支持レール230に案内されて移動される。更に説明すると、各第2クリップ連結部84における第2支持ローラ218は、第2案内支持レール230の上面に載置支持され、一対の第2内上案内ローラ212は、第2案内支持レール230の内面上部に作用し、一対の第2内下案内ローラ228は、第2案内支持レール230の内面下部に作用し、また第2外上案内ローラ204は、第2案内支持レール230の外面上部に作用し、第2外下案内ローラ200は、第2案内支持レール230の外面下部に作用し、第2支持ローラ218、一対の第2内上案内ローラ212、一対の第2内下案内ローラ228、第2外上案内ローラ204及び第2外下案内ローラ200が第2支持案内レール230にこのように作用するので、各第2クリップ連結部84は、この第2案内支持レール230に沿ってスムースに且つ確実に案内移動される。
この実施形態では、第2クリップ連結部84の支持本体部222には、断面が略矩形状の支持受け部232が設けられ、この支持受け部232が図11において紙面に垂直な方向(図12及び図13において左右方向)に延びている。また、第2クリップ部190の第2クリップ支持部187は、支持本体部222の支持受け部232に摺動自在に受け入れられたスライド部材234を備え、このスライド部材234は、図12に示す位置(第2クリップ部190が移送位置に位置する位置)と図13に示す位置(第2クリップ部190が後退位置に位置する位置)との間を後述するように摺動自在に支持される。このスライド部材234には垂下部材236が取り付けられ、この垂下部材236の下端部に支持台238が取り付けられ、この支持台238に第2クリップ本体部191が取り付けられている。
第2クリップ支持部187のスライド部材234の他端部(図12において右側端部)には下方に延びる下支持軸240が設けられ、かかる下支持軸240に被作用コロ242が回動自在に装着されている。
この形態では、第2クリップユニット82における第2クリップ連結部84の被作用コロ242に対応して、第2クリップ部190を移送位置(図12に示す位置)に保持するための移送位置保持手段252(図12参照)及び後退位置(図13に示す位置)に保持するための後退位置保持手段254(図13参照)が設けられる(図4及び図5も参照)。移送位置保持手段252は、第2移送チェーン機構16の移動経路に沿って設けられた移送位置保持部材256から構成され、第3プロケット28に対応する所定角度範囲にわたって、径方向内側に縮径された縮径部260が設けられ、この縮径部260の上流側に内傾斜部262が設けられ、この縮径部260の下流側に外傾斜部264が設けられ、その他の部位265は、外側傾斜部264と内側傾斜部262とを略U字状に所要の通りに接続するように設けられ、この移送位置保持手段252が第2クリップ部190の被作用コロ242に作用するときには、この被作用コロ242は第1被作用部として機能する。
また、後退位置保持手段254は、第3スプロケット28に対応する所定角度範囲にわたって設けられ、移送位置保持部材256における内傾斜部262、縮径部260及び外傾斜部264にそれぞれ対応して設けられる内傾斜部266、縮径部268及び外傾斜部270を備えており、この後退位置保持手段252が第2クリップ部190の被作用コロ242に作用するときには、この被作用コロ242は第2被作用部として機能する。
このように構成されているので、第2移送チェーン機構16の第2クリップユニット82が移送位置保持手段252(移送位置保持部材256)に沿って移動するとき(後退位置保持手段254が作用するときは除く)には、図12に示すように、移送位置保持手段252(具体的には、移送位置保持部材256の外側面)が被作用コロ242に作用して図12においてに左方に押圧し、これにより、スライド部材234が滑動してこれと一体的に第2クリップ部190が移送位置に移動され、第2クリップ手段193が外側に移動した状態で移動され、第1移送域8を移動する間においてはシート状物Sを後述するようにクリップすることができる。
また、この第2移送チェーン機構16の第2クリップユニット82が後退位置保持手段254(後退位置保持部材258)に沿って移動するときには、図13に示すように、後退位置保持手段254(具体的には、後退位置保持部材258の内側面)が被作用コロ242に作用して図13においてに右方に押圧し、これにより、スライド部材234が滑動してこれと一体的に第2クリップ部190が後退位置に移動され、第2クリップ手段193が内側に移動した状態で移動され、移送経路2を通して移送されるシート状物Sに作用することはない。
この第2チェーンユニット82における第2クリップ連結部84の第2クリップ手段193は、第1チェーンユニット72における第1クリップ連結部72の第1クリップ手段128と実質上同一の構成である。この第2クリップ手段193及びそれに関連する構成について概説すると、第2クリップ連結部84の第2クリップ部190は、第2連結部188の上下方向下方に配設され、第2クリップ本体部191は、第2クリップ支持部238の上面に取り付けられている。この第2クリップ部190の第2クリップ本体部191には、凹部272が設けられ、この凹部272の下内面がシート状物Sをクリップするための片面として機能する。第2クリップ本体部191の上部には切欠き274が設けられ、この切欠き274の先端部に第2クリップ手段193が装着されている。
第2クリップ手段193は、第2クリップ本体部191の切欠き274に支持ピン276を介して装着された第2クリップ部材278を備え、この第2クリップ部材278は、シート状物Sをクリップするクリップ角度位置(図12及び図13に実線で示す角度位置)とこのクリップ状態を解除する解除角度位置(図12及び図13に二点鎖線で示す角度位置)との間を旋回自在である。この第2クリップ部材278の一端部にはクリップ部280が設けられ、その他端部には被作用部282が設けられている。
この第2クリップ手段193に関連して、第2クリップ部材272をクリップ角度位置から解除角度位置に向けて旋回動させるための押圧機構286が設けられている。この押圧機構286は、支持本体部222に摺動自在に装着された押圧部材288を備え、この押圧部材288の一端部(先端部)に押圧部290が設けられ、その他端部(後端部)に被作用コロ292(被作用部を構成する)が回転自在に装着されている。この押圧機構286は、第2クリップ手段193を解除状態にするためのクリップ解除機構の一部を構成する。
シート状物移送装置4a(4b)の第2移送チェーン機構14の第2クリップ連結部84に関連して、第1移送域8の入口域に第2クリップ操作部材(図示せず)が配設され、また第1移送域8の出口域に第2解除操作部材294が配設される。従って、各第2クリップユニット82における第2クリップ連結部84の第2クリップ手段193が第1移送域8の入口域に移動すると、このクリップ操作部材が第2クリップ部材278の被作用部282に作用し、この第2クリップ部材278が解除角度位置からクリップ角度位置に旋回されて保持される。
このクリップ角度位置においては、図12に実線で示すように、シート状物Sは、第2クリップ連結部84の第2クリップ本体部191と第2クリップ部材278のクリップ部280との間にクリップ保持され、シート状物Sは、第2クリップ連結部84にクリップ保持された状態(即ち、チャッキング保持された状態)でこの第2クリップ連結部84の移動とともに矢印6で示す移送方向に移送される(尚、この第1移送域8を通して移送されるときには、シート状物Sは、第2クリップユニット82に加えて、上述したように第1クリップユニット72の第1クリップ連結部74にクリップされて移送される)。
また、各第2クリップ連結部84の第2クリップ手段193が第1移送域8の排出域に移動すると、解除操作部材294が押圧機構286の被作用コロ292に作用してこの押圧部材288を図12において実線で示す後退位置から左方に二点鎖線で示す前進位置に摺動する。このように摺動すると、押圧部材288の押圧部290が第2クリップ部材278の被作用部282に作用し、この第2クリップ部材278がクリップ角度位置から解除角度位置に旋回されて保持される。この解除角度位置においては、図12に二点鎖線で示すように、第2クリップ部材278のクリップ部280が第2クリップ本体部191から離れて上述したクリップ状態(所謂、チャッキング状態)が解除され、シート状物Sは、第2クリップ連結部84によるクリップ作用を受けることなく矢印6で示す移送方向に移送される。
上述したシート状物移送装置は、上述した通りの構成であるので、次の通りの特徴を有している。第1移送チェーン機構における第1クリップ連結部の第1クリップ部は、第1連結部の上下方向上方(又は下方)に配置され、第2移送チェーン機構における第2クリップ連結部の第2クリップ部は、第2連結部の上下方向下方(又は上方)に配置されているので、第1移送域においては、第1及び第2クリップ連結部の第1及び第2クリップ部にクリップされた状態で水平状態に保持して下流側に移送することができる。
また、第1移送チェーン機構における第1クリップ連結部の第1クリップ本体部に第1被駆動部が設けられているので、減速移送域においては、減速駆動手段がこの第1被駆動部に作用することにより、第1移送チェーン機構における第1クリップ連結部を減速移動されることができる。
また、第2移送チェーン機構における第2クリップ連結部の第2クリップ部は、移送位置と後退位置との間を進退自在に支持され、この第2クリップ部に関連して、更に、第1移送域に対応して移送位置保持手段が設けられ、第1移送域及び減速移送域の境界領域に対応して後退位置保持手段が設けられているので、第1移送域においては、移送位置保持部材が第1被作用部に作用することにより、第2クリップ部を移送位置に保持することができ、また境界領域においては、後退位置保持手段が第2被作用部に作用することにより、第2クリップ部を後退位置に保持することができる。
また、第1移送チェーン機構が移動する第1移動経路に沿って第1支持案内レールが設けられ、第1クリップ連結部に設けられた第1支持ローラが第1支持案内レールの上面に載置支持され、一対の第1内案内ローラが第1支持案内レールの内面上部に作用し、第1外案内ローラが支持案内レールの外面下部に作用するので、この第1クリップ連結部を第1支持案内レールに沿って確実に移動させることができる。
更に、第2移送チェーン機構が移動する第2移動経路に沿って第2支持案内レールが設けられ、第2クリップ連結部に設けられた第2支持ローラが第2支持案内レールの上面に載置支持され、一対の第2内上案内ローラが第2支持案内レールの内面上部に作用し、一対の第2内下案内ローラが第2支持案内レールの内面下部に作用し、第2外上案内ローラが第2支持案内レールの外面上部に作用し、第2外下案内ローラが第2支持案内レールの外面下部に作用するので、この第2クリップ連結部を第2支持案内レールに沿って確実に移動させることができる。
以上、本発明に従うシート状物移送装置の一実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されず、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
例えば、上述した実施形態では、第1移送チェーン機構14の上方に第2移送チェーン機構16を配置し、第1移送チェーン機構14の第1クリップ連結部74の第1クリップ部124を第1連結部122の上側に配設するとともに、第2移送チェーン機構16の第2連結部84の第2クリップ部190を第2連結部188の下側に配設しているが、これとは反対に、第1移送チェーン機構14の下方に第2移送チェーン機構16を配置し、第1移送チェーン機構14の第1クリップ連結部74の第1クリップ部124を第1連結部122の下側に配設するとともに、第2移送チェーン機構16の第2連結部84の第2クリップ部190を第2連結部188の上側に配設し、このように配設して第1及び第2クリップ連結部74,84の第1及び第2クリップ部124,190によりシート状物Sをクリップして水平状態に保持するようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、第2チェーンユニット82における第2クリップ連結部84のスライド部材234に設けた被作用コロ242を第1及び第2被作用部として機能させているが、第1被作用部として機能する第1被作用コロと第2被作用部として機能する第2被作用コロとを別個に設け、第1被作用コロに移送位置保持手段252(移送位置保持部材256)を作用させ、また第2被作用コロに後退位置保持手段254(後退位置保持部材258)を作用させるようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、図示するように、第1移送チェーン機構14の第1クリップ連結部74の移送方向の幅(換言すると、シート状物Sをクリップする幅)と第2移送チェーン機構16の第2クリップ連結部84の移送方向の幅(換言すると、シート状物Sをクリップする幅)とを同じ大きさに構成しているが、これらの移送方向の幅を異なる大きさにしてもよい。
また、例えば、第1の実施形態のシート状物移送装置では、第1移送域8、減速移送域10及び第2移送域12が直線状に延び、この移送装置の移送中にシート状物Sを移送方向に縮小するようにするものであるが、このようなシート状物移送装置として、図14〜図18に示すように構成することもできる。尚、図14〜図18に示す第2〜第7の実施形態において、上述した第1の実施形態と実質上同一の構成要素には同一の番号を付し、その説明を省略する。
図14に示す第2の実施形態のシート状物移送装置は、ステンタなどのシート状物製造装置301に適用される。図示のシート状物移送装置304a,304bは、その基本的構成が実質上同一の構成であり、シート状物Sの移送経路302を挟んでその両側に対向して配設され、矢印306で示す移送方向を中心として左右対称に構成されている。
この第2の実施形態では、シート状物移送装置304a(304b)は、第1移送域8、減速移送域10及び第2移送域12を通して延び、シート状物Sは、第1移送域8、減速移送域10及び第2移送域12を通して矢印306で示す移送方向に所要の通りに移送される。シート状物移送装置304a(304b)の第1移送チェーン機構314は、第1移送域8の幅拡大移送域部320において移送方向下流側に向けて外側に傾斜して延びており、この幅拡大移送域部320の上流側(即ち、第1移送域8の上流側部)においてはシート状物の幅がW1となるように直線状に延び、その下流側(即ち、第1移送域8の下流側部、減速移送域10及び第2移送域12)においてはシート状物Sの幅がW2となるように直線状に延びている。また、シート状物移送装置304a(304b)の第2移送チェーン機構316は、第1移送域8の幅拡大移送域部320において移送方向下流側に向けて外側に傾斜して延びており、この幅拡大移送域部320の上流側(即ち、第1移送域8の上流側部)においてはシート状物の幅がW1となるように直線状に延び、その下流側(即ち、第1移送域8の下流側部)においてはシート状物Sの幅がW2となるように直線状に延びている。尚、第1及び第2移送チェーン機構314,316については、上述の第1の実施形態のものと同様の構成ものを用いることができる。
このようなシート状物移送装置304a,304bを用いた場合、第1移送域8の幅拡大移送域部320においては、第1及び第2移送チェーン機構314,316が移送方向下流側に向けて外側に移動するので、これらにクリップ保持(所謂、チャックキング保持)されたシート状物Sは、これらの移送方向の移動に伴い外側に引っ張られ、この幅拡大移送域部320を移送する間にシート状物Sが幅方向に伸張拡大される。そして、その後の減速移送域10においては、駆動回転軸42の作用により第1移送チェーン機構314が漸減移動されることによって、幅方向に拡大されたシート状物Sが移送方向に縮小される。
図15に示す第3の実施形態では、シート状物移送装置304a,304bは、第1移送域8、減速移送域10及び第2移送域12を通して延び、シート状物Sは、第1移送域8、減速移送域10及び第2移送域12を通して矢印306で示す移送方向に移送される。この第3の実施形態では、第1移送域8に幅拡大移送域部320が設けられ、また第2移送域12に幅縮小移送域部322が設けられている。第1移送域8の幅拡大移送域部320においては、シート状物移送装置304a(304b)の第1及び第2移送チェーン機構314,316は、移送方向下流側に向けて外側に傾斜して延びている。また、第2移送域12の幅縮小移送域部322においては、シート状物移送装置304a(304b)の第1移送チェーン機構314は、移送方向下流側に向けて内側に傾斜して延びている。この第3の実施形態におけるその他の構成は、上述した第2の実施形態と実質上同一でよい。
このようなシート状物移送装置304a,304bを用いた場合、第1移送域8の幅拡大移送域部310においては、第1及び第2移送チェーン機構314,316が移送方向下流側に向けて外側に移動するので、これらにクリップ保持(所謂、チャックキング保持)されたシート状物Sは、上述したと同様に、これらの移送方向の移動に伴い外側に引っ張られ、この幅拡大移送域部310を移送する間にシート状物Sの幅がW1からW2に伸張拡大される。
そして、減速移送域10においては、駆動回転軸42の作用により第1移送チェーン機構314が漸減移動されることによって、幅方向に拡大されたシート状物Sが移送方向に縮小され、その後の第2移送域12の幅縮小移送域部322においては、第1移送チェーン機構314が移送方向下流側に向けて内側に移動するので、第1移送チェーン機構314にクリップ保持されたシート状物Sは、その幅がW2からW3と小さくなるように移送方向の移動に伴い内側に縮小され、移送方向に縮小された後に幅方向にも縮小される。
図16に示す第4の実施形態においても、シート状物移送装置304a,304bは、第1移送域8、減速移送域10及び第2移送域12を通して延びている。この第4の実施形態では、第1移送域8に幅拡大移送域部320が設けられ、また減速移送域10及び第2移送域12の上流側部にわたって第1幅縮小移送域部324及び第2幅縮小移送域部326が設けられている。尚、第2幅縮小移送域部326を省略し、減速移送域10の全域にわたって第1幅縮小移送域部324を設けるようにしてもよく、この減速移送域10の一部に第1幅縮小移送域部324を設けるようにしてもよい。
このシート状物移送装置304a,304bを用いた場合、第1移送域8の幅拡大移送域部320においては、上述したと同様に、シート状物移送装置304a,304bの第1及び第2移送チェーン機構314,316は、移送方向下流側に向けて外側に傾斜して延びて移動するので、これらにクリップ保持(所謂、チャックキング保持)されたシート状物Sは、上述したと同様に、これらの移送方向の移動に伴い外側に引っ張られ、この幅拡大移送域部310を移送する間にシート状物Sの幅がW1からW2に伸張拡大される。
そして、減速移送域10の第1幅縮小移送域部324においては、第1移送チェーン機構314が移送方向下流側に向けて内側に傾斜して延び、また駆動回転軸42が移送方向に向けて内側に傾斜しているので、駆動回転軸42の作用により第1移送チェーン機構314が漸減移動されながら幅方向内側に移動され、幅方向に拡大されたシート状物Sは、移送方向に縮小されながら幅方向も幅がW2からW3となるように縮小され、移送方向及び幅方向の縮小が同時に行われる。その後、第2移送域12の第2幅縮小移送域部326においては、第1移送チェーン機構314が移送方向下流側に向けて内側に傾斜して延びて移動されるので、移送方向及び幅方向に縮小されたシート状物Sは、更に、その幅がW3からW4となるように縮小される。
図17に示す第5の実施形態においても、シート状物移送装置304a,304bは、第1移送域8、減速移送域10及び第2移送域12を通して延びている。この第5の実施形態では、第1移送域8から減速移送域10にわたって第1幅拡大移送域部328及び第2幅拡大移送域部328が設けられ、また第2移送域12に幅縮小移送域部332が設けられている。尚、第1幅拡大移送域部328を省略し、減速移送域10の全域にわたって第2幅縮小移送域部330を設けるようにしてもよく、この減速移送域10の一部に第2幅縮小移送域部330を設けるようにしてもよい。
このシート状物移送装置304a,304bを用いた場合、第1移送域8の第1幅拡大移送域部328においては、上述したと同様に、シート状物移送装置304a,304bの第1及び第2移送チェーン機構314,316は、移送方向下流側に向けて外側に傾斜して延びて移動され、またこの第1幅拡大移送域部328の下流端部から減速移送域10の第2幅拡大移送域部330の範囲においては、第1移送チェーン機構314が移送方向下流側に向けて外側に傾斜して延びて移動されるので、第1及び第2移送チェーン機構314,316(第1幅拡大移送域部328の下流側においては第1移送チェーン機構314)にクリップ保持(所謂、チャックキング保持)されたシート状物Sは、上述したと同様に、これらの移送方向の移動に伴い外側に引っ張られ、シート状物Sの幅がW1からW2を経てW3に伸張拡大され、加えて減速移送域10の第2幅拡大移送域部330においては、第1移送チェーン機構314の移送速度が減速されるので、幅方向に拡大されているシート状物Sは、移送方向には縮小され、幅方向の拡大と移送方向の縮小が同時に行われる。
その後、第2移送域12の幅縮小移送域部332においては、第1移送チェーン機構314が移送方向下流側に向けて内側に傾斜して延びて移動されるので、移送方向及び幅方向に縮小されたシート状物Sは、更に、その幅がW3からW4となるように縮小される。
図18に示す第6の実施形態においては、シート状部Sは、第1移送域8、減速移送域10及び第2移送域12を通して移送される。この第6の実施形態では、片方のシート状物移送装置304は第1移送域8、減速移送域10及び第2移送域12を通して移動され、減速移送域10に対応して減速移動機構の一部を構成する駆動回転軸42が設けられている。このシート状物移送装置304では、第1移送チェーン機構314が第1移送域8、減速移送域10及び第2移送域12を通して延び、第2移送チェーン機構316が第1移送域8を通して延びている。一方、他方のシート状物移送機構334は第1移送域8を通して移送され、その移送速度が減速されることはなく、減速移動機構などは設けられていない。このシート状物移送機構334は、上述したと同様の構成の第1移送チェーン機構336から構成されるが、第1移送チェーン機構336に加えて上述したと同様の第2移送チェーン機構(図示せず)から構成するようにしてもよい。
この第6の実施形態では、第1移送域8に幅拡大移送域部340が設けられ、この幅拡大移送域部304を移送される間にシート状物Sは幅方向に拡大され、このように幅方向に拡大されたシート状物Sは、減速移送域10においてその一側部(図18において上側部)の移送速度が減速され、このように移送されることにより、幅方向に拡大された後にこの一側部において縮小される。
2 移送経路
4a,4b,304a,304b,334 シート状物移送装置
8 第1移送域
10 減速移送域
12 第2移送域
14,314,336 第1移送チェーン機構
16,316 第2移送チェーン機構
42 駆動回転軸
72 第1チェーンユニット
74 第1クリップ連結部
76 第1接続連結部
82 第2チェーンユニット
84 第2クリップ連結部
86 第2接続連結部
本発明は、シート状物を製造するためのシート状物移送装置並びに移送チェーン機構の減速移動機構及びクリップ解除機構に関する。
シート状物を製造するための製造装置として、シート状物を幅方向及び長手方向(移送方向)に縮小してリラックス処理するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このシート状物移送装置では、シート状物を移送する移送経路に沿って第1移送域、減速移送域及び第2移送域が設けられ、これら第1移送域、減速移送域及び第2移送域を通して移送チェーン機構が移動される。この移送チェーン機構は移送経路の両側に配設され、片側の移送チェーン機構は、シート状物の片側部をクリップして移送し、また他方の移送チェーン機構は、このシート状物の他側部をクリップして移送する。
また、移送チェーン機構は、シート状物をクリップするためのクリップ連結部と、隣接するクリップ連結部を連結する接続連結部とを有し、この接続連結部が移送方向内側に屈曲可能に構成されている。このように構成されているので、この接続連結部が屈曲すると、接続連結部の移送方向の長さが変化し、大きく(又は小さく)屈曲した状態では、その移送方法の長さが大きく(又は小さく)縮小する。
このシート状物移送装置では、第1移送域では、移送チェーン機構の接続連結部が通常状態(屈曲していない状態)に保持され、第2移送域では、この接続連結が所定の屈曲状態に保持されて縮小状態に保持され、また減速移送域では、この接続連結部が通常状態から縮小状態に向けて少しずつ内側に屈曲される。従って、移送チェーン機構のクリップ連結部にクリップ(所謂、チャッキング)されたシート状物は、第1移送域では所定の移送速度で移送され、減速移送域では所定移送速度から少しずつ減速しながら移送され、第2移送域では、減速した低い移送速度で移送され、この減速移送域を通して移送される間に、シート状物が長手方向(移送方向)に縮小され、このように縮小されることにより、シート状物に対して長手方向のリラックス処理を施すことができる。
しかしながら、このシート状物移送装置では、次の通りの問題がある。第1移送域においては、隣接するクリップ連結部を連結する接続連結部が通常状態に保持されるために、移送されるシート状物をクリップするクリップ間隔が大きくなり、シート状物の移送が不安定になるおそれがある。このクリップ間隔を小さくするには、接続連結部を小さくすればよいが、この接続連結部を小さくすると、クリップ連結部によりクリップされない部位の移送方向における長さが短くなり、そのためにこの移送方向に大きく縮小することが困難になり、またクリップ連結部によりクリップされた部位に対してクリップされない部位の移送方向における長さの割合が小さくなり、そのためにこの移送方向の縮小を安定的に行うことが難しくなる。
また、このようなシート状物移送装置においては、移送チェーン機構に関連して、次の通りの問題がある。第1に、移送チェーン機構のクリップ連結部の移動を所望の通りに確実に漸減させることが可能な減速移動機構の実現が望まれている。第2に、移送チェーン機構のクリップ連結部のクリップ手段を所望の位置において確実に解除状態にすることが可能なクリップ解除機構の実現が望まれている。
本発明の第1の目的は、シート状物を第1移送域では安定して移送することができ、また減速移送域では移送方向に所要の通りに縮小させながら安定して移送することができるシート状物移送装置を提供することである。
本発明の第2の目的は、移送チェーン機構のクリップ連結部の移動速度を所要の通りに漸減することができる移送チェーン機構の減速移動機構を提供することである。
本発明の第3の目的は、移送チェーン機構のクリップ手段によるクリップ状態を所要の通りに解除することができる移送チェーン機構のクリップ解除機構を提供することである。
本発明のシート状物移送装置は、第1移送速度で移送する第1移送域、移送速度を漸減しながら移送する減速移送域及び前記第1移送速度より遅い第2移送速度で移送する第2移送域が移送方向に配設された移送経路を通してシート状物を移送させるための第1移送チェーン機構と、前記第1移送域を通して前記シート状物を移送させるための第2移送チェーン機構と、前記第1移送域に対応して前記第1及び第2移送チェーン機構を前記第1移送速度で移動させるための第1駆動手段と、前記減速移送域に対応して前記第1移送チェーン機構を前記第1移送速度から減速しながら移動させるための減速駆動手段と、前記第2移送域に対応して前記第1移送チェーン機構を前記第2移送速度で移動させるための第2駆動手段と、を具備しており、
前記第1移送チェーン機構は、前記シート状物をクリップするための第1クリップ連結部と、隣接する前記第1クリップ連結部を連結するための第1接続連結部とを有し、前記第1接続連結部は、前記移送方向の間隔が縮小可能となるように構成されており、
前記第2移送チェーン機構は、前記シート状物をクリップするための第2クリップ連結部と、隣接する前記第2クリップ連結部を連結するための第2接続連結部とを有し、前記第1移送域に対応して前記第1移送チェーン機構の上方又は下方に配設されており、
前記第1移送域においては、前記第1移送チェーン機構の前記第1クリップ連結部間に前記第2移送チェーン機構の前記第2クリップ連結部が位置し、前記シート状物は、前記第1駆動手段により前記第1移送速度で移動される前記第1及び第2クリップ連結部にクリップされて移送され、前記減速移送域においては、前記第2移送チェーン機構が前記移送経路から外れた状態にて前記第1移送チェーン機構の前記第1接続連結部が少しずつ縮小され、前記シート状物は、前記減速駆動手段により減速移動される前記第1クリップ連結部にクリップされて移送され、また第2移送域においては、前記第1移送チェーン機構の前記第1接続連結部が縮小状態に保持され、前記シート状物は、前記第2駆動手段により前記第2移送速度で移動される前記第1クリップ連結部にクリップされて移送されることを特徴とする。
また、本発明の移送チェーン機構の減速移動機構は、シート状物をクリップして移送するためのクリップ連結部及び隣接する前記クリップ連結部を連結するための接続連結部から構成された移送チェーン機構と、前記移送チェーン機構を減速しながら移動させるための減速移動手段とを備えており、
前記減速移動手段は、回転自在に支持された駆動回転軸と、前記駆動回転軸の外周面に設けられた螺旋状突条と、前記駆動回転軸を所定方向に回転駆動するための駆動源とを有し、前記螺旋状突条の移送ピッチは移送方向下流側に向けて漸減するように構成され、また前記移送チェーン機構の前記クリップ連結部には、前記駆動回転軸に向けて延びる被駆動部が設けられており、
前記減速移動手段により移動させるときには、前記駆動回転軸の前記螺旋状突条が前記クリップ連結部の前記被駆動部に作用して前記クリップ連結部を減速移動させることを特徴とする。
更に、本発明の移送チェーン機構のクリップ解除機構は、シート状物をクリップして移送するためのクリップ連結部及び隣接する前記クリップ連結部を連結するための接続連結部から構成された移送チェーン機構と、前記移送チェーン機構を移動するための駆動手段とを備えており、
前記クリップ連結部は、前記接続連結部に連結された連結部と、前記連結部に装着されたクリップ手段とを有し、前記クリップ手段は、前記連結部に取り付けられたクリップ本体部と、シート状物をクリップするクリップ角度位置とシート状物のクリップを解除する解除角度位置との間を旋回自在に前記クリップ本体部に装着されたクリップ部材とを有し、前記連結部には、前記クリップ部材に向けて延びる押圧部材が移動自在に設けられており、
前記押圧部材が前記クリップ部材に向けて押圧されると、前記クリップ部材は、前記押圧部材によって前記クリップ角度位置から前記解除角度位置に旋回されることを特徴とする。
本発明の請求項1に記載のシート状物移送装置によれば、第1移送域、減速移送域及び第2移送域を通してシート状物を移送させるための第1移送チェーン機構と、第1移送域を通してシート状物を移送させるための第2移送チェーン機構とを備えている。そして、第1移送チェーン機構は、シート状物をクリップするための第1クリップ連結部と、第1クリップ連結部を連結するための第1接続連結部とを有し、この第1接続連結部が移送方向の間隔が縮小可能となるように構成され、また第2移送チェーン機構は、シート状物をクリップするための第2クリップ連結部と、第2クリップ連結部を連結するための第2接続連結部とを有し、第1移送域に対応して第1移送チェーン機構の上方(又は下方)に配設されている。
このように構成されているので、第1移送域においては、第1移送チェーン機構の第1クリップ連結部間に第2移送チェーン機構の第2クリップ連結部が位置するので、シート状物を安定して移送することができる。また、減速移送域においては、第2移送チェーン機構の第2クリップ連結部が移送経路から外れ、シート状物は第1移送チェーン機構の第1クリップ連結部に保持されて移送されるので、シート状物の縮小率を大きくすることが可能となる。更に、この減速移送域においては、シート状物が減速駆動手段により減速移動される第1クリップ連結部にクリップされて移送されるので、このシート状物を安定して移送方向に縮小することができる。
また、本発明の移送チェーン機構の減速移動機構によれば、減速移動手段は、回転自在に支持された駆動回転軸と、この駆動回転軸の外周面に設けられた螺旋状突条とを有し、螺旋状突条の移送ピッチが移送方向下流側に向けて漸減され、また移送チェーン機構のクリップ連結部には、前記被駆動部が設けられているので、駆動回転軸の螺旋状突条がクリップ連結部の被駆動部に作用し、この螺旋状突条によってクリップ連結部を安定して減速移動させることができる。
また、本発明の移送チェーン機構のクリップ解除機構によれば、移送チェーン機構のクリップ連結部は、接続連結部に連結された連結部と、この連結部に装着されたクリップ手段とを有し、このクリップ手段は、シート状物をクリップするクリップ角度位置とシート状物のクリップを解除する解除角度位置との間を旋回自在に装着されたクリップ部材とを有し、更に連結部には、クリップ部材に向けて延びる押圧部材が移動自在に設けられているので、この押圧部材によりクリップ部材を押圧すると、クリップ部材がクリップ角度位置から解除角度位置に旋回され、かくして、所定の位置にて押圧部材を移動させることにより、クリップ部材によるクリップ状態を確実に解除することができる。
本発明に従うシート状物移送装置の第1の実施形態を簡略的に示す平面図。
第1の実施形態のシート状物移送装置を簡略的に示す正面図。
図2のシート状物移送装置における第1移送チェーン機構の一部を簡略的に示す平面図。
図2のシート状物移送装置における第2移送チェーン機構を簡略的に示す平面図。
図3の第1移送チェーン機構と図4の第2移送チェーン機構とを上下方向に組み合わせた状態を簡略的に示す平面図。
図1のシート状物移送装置における減速移動機構及びこれに関連する構成を簡略的に示す平面図。
図3の第1移送チェーン機構における第1クリップ連結部及び第1接続連結部を通常状態で示す底面図。
図7の第1クリップ連結部及び第1接続連結部を収縮状態で示す底面図。
第1クリップ連結部及び第1接続連結部を背面側から見た背面図。
図9の第1クリップ連結部を側面側から見て一部を断面で示す断面図。
図4の第2移送チェーン機構における第2クリップ連結部及び第2接続連結部を背面側から見た背面図。
図11の第2クリップ連結部の第2クリップ手段を移送位置に保持した状態で側面側から見て示す部分断面図。
図11の第2クリップ連結部の第2クリップ手段を後退位置に保持した状態で側面側から見て示す部分断面図。
図14(a)は、本発明に従うシート状物移送装置の第2の実施形態を簡略的に示す平面図、図14(b)は、図14(a)においてXIV−XIV線から見た側面図。
図15(a)は、本発明に従うシート状物移送装置の第3の実施形態を簡略的に示す平面図、図15(b)は、図15(a)においてXV−XV線から見た側面図。
図16(a)は、本発明に従うシート状物移送装置の第4の実施形態を簡略的に示す平面図、図16(b)は、図16(a)においてXVI−XVI線から見た側面図。
図17(a)は、本発明に従うシート状物移送装置の第5の実施形態を簡略的に示す平面図、図17(b)は、図17(a)においてXVII−XVII線から見た側面図。
本発明に従うシート状物移送装置の第6の実施形態を簡略的に示す平面図。
以下、添付図面を参照して、本発明に従うシート状物移送装置の第1の実施形態について説明する。尚、このようなシート状物移送装置は、フィルム状のシート状部材を製造するためのステンタなどのシート状物製造装置に適用することができる。
図1及び図2において、図示のシート状物製造装置は、シート状物Sを移送する移送経路2の両側に配設される一対のシート状物移送装置4a,4bを備えている。片方のシート状物移送装置4aは、矢印6で示す移送方向の左側(図1において上側)に配設され、移送経路2に沿って移送されるシート状物Sの左側部を後述するようにクリップして移送し、また他方のシート状物移送装置4bは、この移送方向の右側(図1において下側)に配設され、移送経路2に沿って移送されるシート状物Sの右側部を後述するようにクリップして移送する。
一対のシート状物移送装置4a,4bは、図1から理解される如く、実質上同一の構成であり、移送経路2を挟んで相互に対向して配置され、矢印6で示す移送方向を中心として左右対称(図1において上下方向対称)に構成されており、以下、一対のシート状物移送装置4a,4bのうちの片方のシート状物移送装置4aについて説明する。
シート状物Sが移送される移送経路2には、第1移送域8、減速移送域10及び第2移送域12が矢印6で示す移送方向にこの順に配設されており、シート状物移送装置4a(4b)は、第1移送域8、減速移送域10及び第2移送域12を通して移動する第1移送チェーン機構14と、第1移送域8を通して移動する第2移送チェーン機構16とを備えている。この形態では、第2移送チェーン機構16が第1移送チェーン機構14の上方に配置されている(図2参照)が、これとは反対に、第2移送チェーン機構16を第1移送チェーン機構14の下方に配置するようにしてもよい。
この第1の実施形態では、図2に示すように、シート状物移送装置4aは、各種構成要素が取り付けられる支持フレーム本体(図示せず)を備え、この支持フレーム本体には、第1移送域8における第1移送チェーン機構14に対応して第1及び第2回転軸22,23が回転自在に配設され、また第1移送域8における第2移送チェーン機構16に対応して第3及び第4回転軸24,25が回転自在に配設されている。第1及び第2回転軸22,23には第1及び第2スプロケット26,27が取り付けられ、第1移送チェーン機構14は、第1及び第2スプロケット26,27に噛み合うように装着されている。また、第3及び第4回転軸24,25には第3及び第4スプロケット28,29が取り付けられ、第2移送チェーン機構16は第3及び第4スプロケット28,29に巻き掛けられている。
第1〜第4回転軸22〜25には、例えば電動モータから構成される第1〜第4駆動源30,31,32,33が駆動連結され、第1〜第4駆動源30〜33は、第1及び第2移送チェーン機構14,16を第1移送速度で移動させるための第1駆動手段を構成する。尚、この実施形態では、第1〜第4回転軸22〜25が第1〜第4駆動源30〜33により駆動されるが、例えば第2駆動源31を省略し、第1駆動源30により回転駆動される第1回転軸22の回転駆動力を、駆動伝達機構(図示せず)を介して第2回転軸23に伝達させるようにしてもよく、また例えば第4駆動源33を省略し、第3駆動源32により回転駆動される第3回転軸24の回転駆動力を、駆動伝達機構(図示せず)を介して第4回転軸25に伝達させるようにしてもよい。
第1及び第2駆動源30,31は回転速度が同じとなるように回転され、第1及び第2駆動源30,31が回転すると、第1移送チェーン機構14が後述するようにして第1移送速度で移動される。また、第3及び第4駆動源32,33は回転速度(この回転速度は第1及び第2駆動源30,31の回転速度と同じに設定される)が同じとなるように回転され、第3及び第4駆動源32,33が回転すると、第2移送チェーン機構16が後述するようにして第1移送速度で移動される。
図1に戻って、この支持フレーム本体(図示せず)には、減速移送域10に対応して、駆動回転軸42が回転自在に支持されている。この駆動回転軸42の外周面には、螺旋状突条44が連続的に設けられ、この螺旋状突条44の間隔(この間隔が移送ピッチとなる)は、移送方向下流側に向けて漸減されるように構成されている。
この駆動回転軸42の一端部(この形態では、移送方向下流側の端部)には、従動傘歯車46が設けられ、この従動傘歯車46は駆動傘歯車軸48の駆動傘歯車50に駆動連結され、この駆動傘歯車軸48が、例えば電動モータから構成される第5駆動源52に駆動連結されている。
このように構成されているので、第5駆動源52が回動すると、駆動傘歯車軸48が所定方向に回動され、駆動傘歯車50、従動傘歯車46を介して駆動回転軸42が移送方向に回動され、この駆動回転軸42の螺旋状突条44により後述するように移送される移送速度が移送方向に向けて漸減される。この第5駆動源52、駆動傘歯車軸48、従動傘歯車46及び駆動回転軸42は、第1移送チェーン機構14を減速しながら移動させるための減速駆動手段を構成し、この減速駆動手段は、第1移送チェーン機構14を減速しながら移動させる減速移動機構の一部を構成する。
図2をも参照して、この支持フレーム本体(図示せず)には、更に、第2移送域12に対応して、第5及び第6回転軸54,56が回転自在に支持されている。第5及び第6回転軸54,56は間隔をおいて配設されている。第5回転軸54には第5スプロケット58が取り付けられ、また第6回転軸56には第6スプロケット60が取り付けられ、これら第5及び第6スプロケット58,60が第1移送チェーン機構14に噛み合うように作用する。また、第5及び第6回転軸54,56には、例えば電動モータから構成される第5及び第6駆動源62,64が駆動連結されている。
第5及び第6駆動源62,64は回転速度が同じとなるように回転され、第5及び第6駆動源62,64が回転されると、第5及び第6スプロケット54,56が所定方向に回動され、これにより、第1移送チェーン機構14は、後述するように第2移送速度で移動され、これら第5及び第6駆動源62,64、第5及び第6回転軸54,56並びに第5及び第6スプロケット58,60は、第1移送チェーン機構14を第2移送速度で移動させるための第2駆動手段を構成する。尚、第5駆動源62(又は第6駆動源64)を省略し、第6駆動源64(又は第5駆動源62)からの駆動力を、駆動伝達機構(図示せず)を介して第5回転軸54(又は第6回転軸56)に伝達して第5スプロケット58(又は第6スプロケット60)を従動させるようにしてもよい。
次に、図1及び図2とともに図3及び図5を参照して、第1移送チェーン機構14について説明する。図示の第1移送チェーン機構14は、多数の第1チェーンユニット72を無端状に連結することによって構成され、各第1チェーンユニット72は、シート状物Sをクリップするための第1クリップ連結部74と、第1クリップ連結部74に連結された第1接続連結部76とから構成され、この第1接続連結部76は、隣接する第1クリップ連結部74を連結する。第1チェーンユニット72(即ち、第1クリップ連結部74及び第1接続連結部76)については後述する。
この第1移送チェーン機構14には、第2回転軸23に装着された第2スプロケット27、第1回転軸22に装着された第1スプロケット26、第6回転軸56に装着された第6スプロケット60及び第5回転軸54に装着された第5スプロケット58が噛み込むように作用し、このように作用することにより、第1移送チェーン機構14が移動される。第1移送域8においては、第1及び第2スプロケット26,27の作用によって、第1チェーンユニット72が後述するように第1移送速度で移動され、第2移送域12においては、第5スプロケット58及び第6スプロケット60の作用によって、第1チェーンユニット72が、後述するように、第1移送速度よりも遅い第2移送速度で移動される。
また、第1移送域8と第2移送域12との間の減速移送域10においては、駆動回転軸42の螺旋状突条44が第1チェーンユニット72の第1クリップ連結部74の一部に作用し、この第1チェーンユニット72が、後述するように、第1移送速度から第2移送速度に漸減しながら移動される。
図1及び図2とともに図4及び図5を参照して、第2移送チェーン機構16について説明すると、この第2移送チェーン機構16は、多数の第2チェーンユニット82を無端状に連結することによって構成され、各第2チェーンユニット82は、シート状物Sをクリップするための第2クリップ連結部84(第1移送チェーン機構14の第1クリップ連結部74との区別を明確にするために、図4〜図6において黒く塗って示している)と、第2クリップ連結部84に連結された第2接続連結部86とから構成され、この第2接続連結部86は、隣接する第2クリップ連結部84を連結する。第2チェーンユニット82(即ち、第2クリップ連結部84及び第2接続連結部86)についても後述する。
この第2移送チェーン機構16には、第3スプロケット28及び第4スプロケット29が噛み込むように作用し、このように作用することにより、第2移送チェーン機構16が移動される。第1移送域8においては、第3及び第4スプロケット28,29の作用によって、第2移送チェーン機構16が、第1移送チェーン機構14の移送速度と同じ第1移送速度で後述するように移動される。
このシート状物移送装置4a(4b)においては、図3〜図6に示すように、第1移送チェーン機構14は、第2スプロケット27及び第5スプロケット58間を第1移送域8、減速移送域10及び第2移送域12を通して無端状に配設され、第1移送域8においては第1駆動手段により第1移送速度で移動され、減速移送域10においては減速駆動手段により少しずつ減速しながら移動され、また第2移送域12においては第2駆動手段により第2移送速度で移動される。また、第2移送チェーン機構16は、第3スプロケット28及び第4スプロケット29間を、第1移送域8を通して配設され、第1移送域8においては第1駆動手段により第1移送速度で移動される。この第1移送域8においては、第2移送チェーン機構16は、上述の第1移送チェーン機構14と同期して移動され、第2移送チェーン機構16の第2クリップ連結部84が第1移送チェーン機構14の隣接する第1クリップ連結部74の間に位置して移動される(図5及び図6参照)。
このように構成されるので、第1移送域8においては、シート状物Sは、第1及び第2移送チェーン機構14,16の第1及び第2クリップ連結部74,84にクリップ(所謂チャッキング)されて第1移送速度で移送され、この第1移送域8より下流側においては、第2移送チェーン機構16は減速移送域10及び第2移送域12から外れ、このシート状物Sは、減速移送域10では第1移送チェーン機構14の第1クリップ連結部74にクリップされて減速移送され、また第2移送域ではその第1クリップ連結部74にクリップされて第2移送速度で移送され、この減速移送域10における減速移送によりシート状物Sが縮小され、この縮小処理によって、シート状物Sに対して長手方向(移送方向)のリラックス処理を施すことができる。
次に、主として図5〜図10を参照して、第1移送チェーン機構14及びこれに関連する具体的構成について説明する。この第1移送チェーン機構14の第1チェーンユニット72は、第1クリップ連結部74及び第1接続連結部76から構成され、第1接続連結部76が移送方向の間隔が縮小可能に構成されている。図7及び図8を参照して第1接続連結部76について説明すると、この第1接続連結部76は、隣接する片方の第1チェーンユニット72の第1クリップ連結部74(図7及び図8において例えば左側のもの)に連結軸78を介して旋回自在に連結された第1チェーンリンク80と、隣接する他方の第1チェーンユニット72の第1クリップ連結部74(図7及び図8において例えば右側のもの)に連結軸83を介して旋回自在に連結された第2チェーンリンク85と、一端側が連結軸86を介して第1チェーンリンク80に旋回自在に連結され且つ他端側が連結軸88を介して第2チェーンリンク85に旋回自在に連結された中間接続リンク90とを備えている。この第1接続連結部76の中間接続リンク90の中間部には、その背面側(図5及び図6において内側)に突出する突出部92が設けられ、かかる突出部92に支持軸94が設けられ、この支持軸94に従動コロ96が回転自在に支持されている。
このように構成されているので、図7と図8とを対比することによって容易に理解される如く、従動コロ96が図7において上方に移動することによって、第1チェーンリンク80が連結軸78を中心として図7において反時計方向に回動するとともに、第2チェーンリンク85が連結軸83を中心として時計方向に回動し、このように第1及び第2チェーンリンク80,85が回動した状態では、第1接続連結部76の移送方向の長さ(換言すると、隣接する第1クリップ連結部74間の間隔)が縮小する。
更に説明すると、図7に示すように、第1チェーンリンク80、中間接続リンク90及び第2チェーンリンク85が直線状に延びた状態では、第1チェーンユニット72の長さが最も長い状態となり、第1クリップ連結部74のピッチはL1(図7参照)となる。このような状態から従動コロ96が図7において上方(第1移送チェーン機構14の外側)に移動するに伴い、第1接続連結部76の第1及び第2チェーンリンク80,85が旋回され、この旋回角度が大きくなるに従い第1チェーンユニット72の移送方向の長さが次第に短くなって縮小される。そして、この従動コロ96が図7において最も上に移動した状態(即ち、図8に示す状態)では、第1及び第2チェーンリンク80,85が略90度旋回され、第1チェーンユニット72の移送方向の長さが最小に縮小され、第1クリップ連結部74のピッチはL2(図8参照)となり、このピッチ間隔L2は、ピッチ間隔L1の半分となる(L2=L1/2)。
このシート状物移送装置4a(4b)では、第1チェーンユニット72の従動コロ96に対応して、ピッチ縮小部材100が配設されている(図5及び図6参照)。ピッチ縮小部材100は、第1移送チェーン機構14の内側にて第1移送域8の下流側(減速移送域10の上流側)から減速移送域10及び第2移送域12を通して延び、更に第5スプロケット58の周縁部を回って第1スプロケット26の近傍まで延び、その上流側部102は、第1移送チェーン機構14から離れて直線状に延び、この上流側部102に続く外傾斜部104は、第1移送チェーン機構14に近づくように移送方向に向けて外側に傾斜して延び、この外傾斜部104に続く中間部106は、第1移送チェーン機構14と上下方向に一部重なるように延び、第5スプロケット58の外周縁部を回って第1スプロケット26に向けて延びている。また、中間部106に続く内傾斜部108(外傾斜部104と対応する部位)は、第1移送チェーン機構14から離れるように移送方向と反対方向に向けて内側に傾斜して延び、更に内傾斜部108に続く下流側部110(上流側部102と対応する部位)は、第1移送チェーン機構14から離れて直線状に延びている。
このピッチ縮小部材100は、第1移送チェーン機構14の各第1接続連結部76の従動コロ96に作用して第1チェーンユニット72の移送方向の長さを縮小するように作用する。即ち、ピッチ縮小部材100の上流側部102及び下流側部110は、各第1接続連結部76に実質上作用せず、この従動コロ96はこの上流側部102及び下流側部110の側面に接触して回動しながら移動し、従って、第1チェーンユニット72は、図7に示すように、第1接続連結部76が直線状となった状態(即ち、移送方向に最も長い状態)で移動される。
また、このピッチ縮小部材100の外傾斜部104は、移送方向下流側に行くほど第1接続連結部76の従動コロ96に大きく作用するようになり、従って、第1及び第2チェーンリンク80,85が外側に向けてより大きく旋回され、第1及び第2チェーンリンク80,85が旋回することにより、第1接続連結部76(即ち、第1チェーンユニット72)の移送方向の長さが縮小され、第2移送域12に近づくほどその移送方向の長さが大きく縮小される。
更に、ピッチ縮小部材100の中間部106は、第1接続連結部76の従動コロ96に大きく作用し、その第1及び第2チェーンリンク80,85は、図8に示すように、90度まで旋回されるようになり、従って、第1及び第2チェーンリンク80,85が外側に大きく旋回されて第1接続連結部76(即ち、第1チェーンユニット72)の移送方向の長さが最も小さくなるように縮小され、第1チェーンユニット72の移送方向の長さが半分に縮小した状態で移動する。
更にまた、このピッチ縮小部材100の内傾斜部108は、矢印112で示す移動方向下流側に行くほど第1接続連結部76の従動コロ96への作用状態を開放するようになり、従って、第1及び第2チェーンリンク80,85が内側に戻るように旋回され、第1及び第2チェーンリンク80,85がかく旋回することにより、第1接続連結部76(即ち、第1チェーンユニット72)の移送方向の長さが元に戻り、その下流側部110に近づくほどその移送方向の長さが元の長さに戻るように縮小状態が解消される。
尚、この実施形態では、第1接続連結部76の第1及び第2チェーンリンク80,85が90度まで旋回されるので、第1チェーンユニット72の移送方向の長さが半分まで縮小されるが、この第1及び第2チェーンリンク80,85の旋回角度を調整する(換言すると、第1接続連結部76の従属コロ96に作用するピッチ縮小部材100の位置を調整する)ことによって、第1チェーンユニット72の移送方向の長さ(所謂、その縮小率)を無段階に調整することができる。
尚、この実施形態では、第1移送チェーン機構14の内側にピッチ縮小部材100が配設され、このピッチ縮小部材100によって第1及び第2チェーンリンク80,85が外側に旋回して縮小される構成であるが、これとは反対に、ピッチ縮小部材100によって第1及び第2チェーンリンク80,85が内側に旋回して縮小されるように構成してもよく、この場合、ピッチ縮小部材100は、第1移送チェーン機構14の外側に配設される。
次いで、主として図9及び図10を参照して、第1チェーンユニット72の第1クリップ連結部74について説明すると、この第1クリップ連結部74は、第1接続連結部76に連結される第1連結部122と、シート状物Sをクリップ(チャッキング)するための第1クリップ部124とを備え、この第1クリップ部124は、第1連結部122に取り付けられた第1クリップ本体部126と、この第1クリップ本体部126に取り付けられた第1クリップ手段128を有している。
この形態では、第1チェーンユニット72の第1連結部122における連結部本体部130の下端壁部131の一端部(図9において右端部)に第1接続連結部76の第1チェーンリンク80が連結軸78を介して旋回自在に連結され、この下端壁部131の他端部(図9において左端部)に、隣接する第1チェーンユニット72の第1接続連結部76の第2チェーンリンク85が連結軸83を介して旋回自在に連結され、多数の第1チェーンユニット72の第1クリップ連結部74及び第1接続連結部76がこのようにして無端状に連結されて第1移送チェーン機構14が構成される。
この第1クリップ連結部74の第1連結部122の下端壁部131の内面には下支持軸132を介して第1外案内ローラ134が回転自在に装着されている。また、この第1連結部122の上端壁部138の先端部(即ち、内側端部)に一対の上支持軸140が取り付けられ、各上支持軸140に第1内案内ローラ142が回転自在に支持され、かかる一対の第1内案内ローラ142の間に第1外案内ローラ134が位置するように配置される。更に、この上端壁部138の上面には取付ブロック144(図10参照)が取り付けられ、この取付ブロック144に支持軸(図示せず)を介して第1支持ローラ146が回転自在に装着されている。
この第1移送チェーン機構14が移動するその移動経路に沿って第1案内支持レール148(図9においては、第1案内支持レールを省略している)が配設されており(図6も参照)、第1移送チェーン機構14の各第1チェーンユニット72の第1クリップ連結部74は、この第1案内支持レール148に案内されて移動される。更に説明すると、各第1クリップ連結部74における第1支持ローラ146は、第1案内支持レール148の上面に載置支持され、一対の第1内案内ローラ142は、第1案内支持レール148の内面上部に作用し、また第1外案内ローラ134は、第1案内支持レール148の外面下部に作用し、第1支持ローラ146、一対の第1内案内ローラ142及び第1外案内ローラ134が第1支持案内レール148にこのように作用するので、各第1クリップ連結部74は、第1案内支持レール148に沿ってスムースに且つ確実に案内移動される。
各第1クリップ連結部74の第1連結部122には、更に、減速駆動手段が作用する第1被駆動部が設けられている。この被駆動部は、上端壁部138から内側(図10において右方)に延びる内突出端部144に設けられた上従動コロ150から構成されている。
減速移送域10においては、第1移送チェーン機構14の各第1チェーンユニット72の第1クリップ連結部74が駆動回転軸42(減速駆動手段の一部を構成する)により移動される。即ち、各第1クリップ連結部74の上従動コロ150は、駆動回転軸42の螺旋状突条44の移動経路を通して移動され、この上従動コロ150がこの減速移送域10まで移動すると、所定方向に回転する駆動回転軸42の螺旋状突条44が第1クリップ連結部74の上従動コロ150(被駆動部)に作用して矢印6で示す移送方向に移動し、この上従動コロ150と一体的に第1クリップ連結部74が移送される。このとき、駆動回転軸42の螺旋状突条44の間隔は、移送方向下流側に向けて漸減されているので、第2移送域12に近づくほど第1クリップ連結部74(即ち、第1チェーンユニット72)の移送速度が漸減され、この移送速度の減少に合わせて第1接続連結部76の第1及び第2チェーンリンク80,85が上述したように外側に旋回するようにピッチ縮小部材100が構成される。
次いで、第1クリップ連結部74の第1クリップ部124について説明すると、この第1クリップ部124は、第1連結部122の上下方向上方に配設され、第1連結部122の上端壁部138の上側に取り付けられている。この第1クリップ部124の第1クリップ本体部126には、凹部154が設けられ、この凹部154の下内面がシート状物Sをチャッキングするための片面として機能する。この第1クリップ本体部126の上部には、この凹部154に連通する切欠き156が設けられ、この切欠き156の先端部(即ち、凹部154の開口側)に第1クリップ手段128が装着されている。
この第1クリップ手段128は、第1クリップ本体部126の切欠き156に支持ピン157を介して第1クリップ部材158が装着され、この第1クリップ部材158は、シート状物Sをクリップするクリップ角度位置(図10に実線で示す角度位置)とこのクリップ状態を解除する解除角度位置(図10に二点鎖線で示す角度位置)との間を旋回自在である。この第1クリップ部材158の一端部(先端部)にはクリップ部160が設けられ、その他端部には被作用部162が設けられている。
シート状物移送装置4a(4b)の第1移送チェーン機構14の第1クリップ連結部74に関連して、第1移送域8の入口域に第1クリップ操作部材(図示せず)が配設され、また第2移送域12の出口域に第1解除操作部材(図示せず)が配設される。従って、各第1クリップユニット72における第1クリップ連結部74の第1クリップ手段128が第1移送域8の入口域に移動すると、この第1クリップ操作部材が第1クリップ手段128の第1クリップ部材158の被作用部162に作用し、この第1クリップ部材158が解除角度位置からクリップ角度位置に旋回されて保持される。このクリップ角度位置においては、図10に実線で示すように、シート状物Sは、第1クリップ連結部74の第1クリップ本体部126と第1クリップ部材158のクリップ部160との間にクリップ保持され(即ち、チャッキング保持され)、シート状物Sは、第1クリップ連結部74にクリップ保持された状態でこの第1クリップ連結部74の移動とともに矢印6で示す移送方向に移送される。
また、各第1クリップ連結部74の第1クリップ手段128が第2移送域12の排出域に移動すると、第1解除操作部材(図示せず)が第1クリップ部材158の被作用部162に作用し、この第1クリップ部材158がクリップ角度位置から解除角度位置に旋回されて保持される。この解除角度位置においては、図10に二点鎖線で示すように、第1クリップ部材158のクリップ部160が第1クリップ本体部126から離れて上述したクリップ状態(即ち、第1クリップ材158によるチャッキング状態)が解除され、シート状物Sは、第1クリップ連結部74によるクリップ作用を受けることなく矢印6で示す移送方向に移送される。
次に、主として図4及び図5並びに図11〜図13を参照して、第2移送チェーン機構16及びこれに関連する具体的構成について説明する。第2移送チェーン機構16の第2チェーンユニット82は、第2クリップ連結部84及び第2接続連結部86から構成されている。図11に示すように、第2接続連結部86は、第2クリップ連結部84に連結軸174を介して旋回自在に連結された第1チェーンリンク176と、隣接する他方の第2チェーンユニット82の第2クリップ連結部84に連結軸178を介して旋回自在に連結された第2チェーンリンク180と、一端側が連結軸182を介して第1チェーンリンク176に旋回自在に連結され且つ他端側が連結軸184を介して第2チェーンリンク180に旋回自在に連結された中間チェーンリンク186とを備えている(図4も参照)。
この第2接続連結部86、即ち第1チェーンリンク176、中間チェーンリンク186及び第2チェーンリンク180は、図11に示すように、直線状に延びた状態で後述するように移送される。
また、第2チェーンユニット82の第2クリップ連結部84について説明すると、この第2クリップ連結部84は、第2接続連結部86に連結される第2連結部188と、シート状物Sをクリップするための第2クリップ部190とを備え、この第2クリップ部190は、第2連結部188の上下方向下方に配設され、第2連結部188に取り付けられた第2クリップ支持部187と、この第2クリップ支持部187に取り付けられた第2クリップ本体部191と、この第2クリップ本体部191に取り付けられた第2クリップ手段193を有している。
この形態では、第2チェーンユニット82の第2連結部188における連結部本体192の下端壁部194及び上端壁部196の一端部(図11において右端部)間に第2接続連結部86の第1チェーンリンク176が連結軸174を介して旋回自在に連結され、それらの他端部(図11において左端部)間に、隣接する第2チェーンユニット82の第2接続連結部86の第2チェーンリンク180が連結軸178を介して旋回自在に連結され、これらを連結する中間チェーンリンク186の一端部が連結軸182を介して旋回自在に連結され、その他端部が連結軸184を介して旋回自在に連結されている。多数の第2チェーンユニット82の第2クリップ連結部84及び第2接続連結部86がこのようにして無端状に連結されて第2移送チェーン機構16が構成される。
この第2クリップ連結部84の第2連結部188における連結本体部192の下端壁部194には、外下支持軸198を介して第2外下案内ローラ200が回転自在に支持され、その上端壁部196には、外上支持軸202を介して第2外上案内ローラ204が回転自在に支持されている。また、この上端壁部196には、内側に延びる内突出部材206が取り付けられ、この内突出部材206の両側端部にスペーサ210を介して一対の第2内上案内ローラ212が回転自在に支持され、一対の第2内上案内ローラ212間に第2外上案内ローラ204が配置される。更に内突出部材206に装着された取付ブロック214に上支持軸(図示せず)を介して第2支持ローラ218が回転自在に支持されている。更にまた、連結本体部192の下端壁部194には、支持本体部222が取り付けられ、この支持本体部222の両側部に内下支持軸226を介して一対の第2内下案内ローラ228が回転自在に支持され、かかる一対の第2内下案内ローラ228間に第2外下案内ローラ200が配置される。
この第2移送チェーン機構16が移動するその移動経路に沿って第2案内支持レール230(図11においては、第2案内支持レールを省略している)が配設されており(図4も参照)、第2移送チェーン機構16の各第2チェーンユニット82の第2クリップ連結部84は、この第2案内支持レール230に案内されて移動される。更に説明すると、各第2クリップ連結部84における第2支持ローラ218は、第2案内支持レール230の上面に載置支持され、一対の第2内上案内ローラ212は、第2案内支持レール230の内面上部に作用し、一対の第2内下案内ローラ228は、第2案内支持レール230の内面下部に作用し、また第2外上案内ローラ204は、第2案内支持レール230の外面上部に作用し、第2外下案内ローラ200は、第2案内支持レール230の外面下部に作用し、第2支持ローラ218、一対の第2内上案内ローラ212、一対の第2内下案内ローラ228、第2外上案内ローラ204及び第2外下案内ローラ200が第2支持案内レール230にこのように作用するので、各第2クリップ連結部84は、この第2案内支持レール230に沿ってスムースに且つ確実に案内移動される。
この実施形態では、第2クリップ連結部84の支持本体部222には、断面が略矩形状の支持受け部232が設けられ、この支持受け部232が図11において紙面に垂直な方向(図12及び図13において左右方向)に延びている。また、第2クリップ部190の第2クリップ支持部187は、支持本体部222の支持受け部232に摺動自在に受け入れられたスライド部材234を備え、このスライド部材234は、図12に示す位置(第2クリップ部190が移送位置に位置する位置)と図13に示す位置(第2クリップ部190が後退位置に位置する位置)との間を後述するように摺動自在に支持される。このスライド部材234には垂下部材236が取り付けられ、この垂下部材236の下端部に支持台238が取り付けられ、この支持台238に第2クリップ本体部191が取り付けられている。
第2クリップ支持部187のスライド部材234の他端部(図12において右側端部)には下方に延びる下支持軸240が設けられ、かかる下支持軸240に被作用コロ242が回動自在に装着されている。
この形態では、第2クリップユニット82における第2クリップ連結部84の被作用コロ242に対応して、第2クリップ部190を移送位置(図12に示す位置)に保持するための移送位置保持手段252(図12参照)及び後退位置(図13に示す位置)に保持するための後退位置保持手段254(図13参照)が設けられる(図4及び図5も参照)。移送位置保持手段252は、第2移送チェーン機構16の移動経路に沿って設けられた移送位置保持部材256から構成され、第3スプロケット28に対応する所定角度範囲にわたって、径方向内側に縮径された縮径部260が設けられ、この縮径部260の上流側に内傾斜部262が設けられ、この縮径部260の下流側に外傾斜部264が設けられ、その他の部位265は、外側傾斜部264と内側傾斜部262とを略U字状に所要の通りに接続するように設けられ、この移送位置保持手段252が第2クリップ部190の被作用コロ242に作用するときには、この被作用コロ242は第1被作用部として機能する。
また、後退位置保持手段254は、第3スプロケット28に対応する所定角度範囲にわたって設けられ、移送位置保持部材256における内傾斜部262、縮径部260及び外傾斜部264にそれぞれ対応して設けられる内傾斜部266、縮径部268及び外傾斜部270を備えており、この後退位置保持手段252が第2クリップ部190の被作用コロ242に作用するときには、この被作用コロ242は第2被作用部として機能する。
このように構成されているので、第2移送チェーン機構16の第2クリップユニット82が移送位置保持手段252(移送位置保持部材256)に沿って移動するとき(後退位置保持手段254が作用するときは除く)には、図12に示すように、移送位置保持手段252(具体的には、移送位置保持部材256の外側面)が被作用コロ242に作用して図12においてに左方に押圧し、これにより、スライド部材234が滑動してこれと一体的に第2クリップ部190が移送位置に移動され、第2クリップ手段193が外側に移動した状態で移動され、第1移送域8を移動する間においてはシート状物Sを後述するようにクリップすることができる。
また、この第2移送チェーン機構16の第2クリップユニット82が後退位置保持手段254(後退位置保持部材258)に沿って移動するときには、図13に示すように、後退位置保持手段254(具体的には、後退位置保持部材258の内側面)が被作用コロ242に作用して図13においてに右方に押圧し、これにより、スライド部材234が滑動してこれと一体的に第2クリップ部190が後退位置に移動され、第2クリップ手段193が内側に移動した状態で移動され、移送経路2を通して移送されるシート状物Sに作用することはない。
この第2チェーンユニット82における第2クリップ連結部84の第2クリップ手段193は、第1チェーンユニット72における第1クリップ連結部72の第1クリップ手段128と実質上同一の構成である。この第2クリップ手段193及びそれに関連する構成について概説すると、第2クリップ連結部84の第2クリップ部190は、第2連結部188の上下方向下方に配設され、第2クリップ本体部191は、第2クリップ支持部238の上面に取り付けられている。この第2クリップ部190の第2クリップ本体部191には、凹部272が設けられ、この凹部272の下内面がシート状物Sをクリップするための片面として機能する。第2クリップ本体部191の上部には切欠き274が設けられ、この切欠き274の先端部に第2クリップ手段193が装着されている。
第2クリップ手段193は、第2クリップ本体部191の切欠き274に支持ピン276を介して装着された第2クリップ部材278を備え、この第2クリップ部材278は、シート状物Sをクリップするクリップ角度位置(図12及び図13に実線で示す角度位置)とこのクリップ状態を解除する解除角度位置(図12及び図13に二点鎖線で示す角度位置)との間を旋回自在である。この第2クリップ部材278の一端部にはクリップ部280が設けられ、その他端部には被作用部282が設けられている。
この第2クリップ手段193に関連して、第2クリップ部材278をクリップ角度位置から解除角度位置に向けて旋回動させるための押圧機構286が設けられている。この押圧機構286は、支持本体部222に摺動自在に装着された押圧部材288を備え、この押圧部材288の一端部(先端部)に押圧部290が設けられ、その他端部(後端部)に被作用コロ292(被作用部を構成する)が回転自在に装着されている。この押圧機構286は、第2クリップ手段193を解除状態にするためのクリップ解除機構の一部を構成する。
シート状物移送装置4a(4b)の第2移送チェーン機構16の第2クリップ連結部84に関連して、第1移送域8の入口域に第2クリップ操作部材(図示せず)が配設され、また第1移送域8の出口域に第2解除操作部材294が配設される。従って、各第2クリップユニット82における第2クリップ連結部84の第2クリップ手段193が第1移送域8の入口域に移動すると、このクリップ操作部材が第2クリップ部材278の被作用部282に作用し、この第2クリップ部材278が解除角度位置からクリップ角度位置に旋回されて保持される。
このクリップ角度位置においては、図12に実線で示すように、シート状物Sは、第2クリップ連結部84の第2クリップ本体部191と第2クリップ部材278のクリップ部280との間にクリップ保持され、シート状物Sは、第2クリップ連結部84にクリップ保持された状態(即ち、チャッキング保持された状態)でこの第2クリップ連結部84の移動とともに矢印6で示す移送方向に移送される(尚、この第1移送域8を通して移送されるときには、シート状物Sは、第2クリップユニット82に加えて、上述したように第1クリップユニット72の第1クリップ連結部74にクリップされて移送される)。
また、各第2クリップ連結部84の第2クリップ手段193が第1移送域8の排出域に移動すると、解除操作部材294が押圧機構286の被作用コロ292に作用してこの押圧部材288を図12において実線で示す後退位置から左方に二点鎖線で示す前進位置に摺動する。このように摺動すると、押圧部材288の押圧部290が第2クリップ部材278の被作用部282に作用し、この第2クリップ部材278がクリップ角度位置から解除角度位置に旋回されて保持される。この解除角度位置においては、図12に二点鎖線で示すように、第2クリップ部材278のクリップ部280が第2クリップ本体部191から離れて上述したクリップ状態(所謂、チャッキング状態)が解除され、シート状物Sは、第2クリップ連結部84によるクリップ作用を受けることなく矢印6で示す移送方向に移送される。
上述したシート状物移送装置は、上述した通りの構成であるので、次の通りの特徴を有している。第1移送チェーン機構における第1クリップ連結部の第1クリップ部は、第1連結部の上下方向上方(又は下方)に配置され、第2移送チェーン機構における第2クリップ連結部の第2クリップ部は、第2連結部の上下方向下方(又は上方)に配置されているので、第1移送域においては、第1及び第2クリップ連結部の第1及び第2クリップ部にクリップされた状態で水平状態に保持して下流側に移送することができる。
また、第1移送チェーン機構における第1クリップ連結部の第1クリップ本体部に第1被駆動部が設けられているので、減速移送域においては、減速駆動手段がこの第1被駆動部に作用することにより、第1移送チェーン機構における第1クリップ連結部を減速移動されることができる。
また、第2移送チェーン機構における第2クリップ連結部の第2クリップ部は、移送位置と後退位置との間を進退自在に支持され、この第2クリップ部に関連して、更に、第1移送域に対応して移送位置保持手段が設けられ、第1移送域及び減速移送域の境界領域に対応して後退位置保持手段が設けられているので、第1移送域においては、移送位置保持部材が第1被作用部に作用することにより、第2クリップ部を移送位置に保持することができ、また境界領域においては、後退位置保持手段が第2被作用部に作用することにより、第2クリップ部を後退位置に保持することができる。
また、第1移送チェーン機構が移動する第1移動経路に沿って第1支持案内レールが設けられ、第1クリップ連結部に設けられた第1支持ローラが第1支持案内レールの上面に載置支持され、一対の第1内案内ローラが第1支持案内レールの内面上部に作用し、第1外案内ローラが支持案内レールの外面下部に作用するので、この第1クリップ連結部を第1支持案内レールに沿って確実に移動させることができる。
更に、第2移送チェーン機構が移動する第2移動経路に沿って第2支持案内レールが設けられ、第2クリップ連結部に設けられた第2支持ローラが第2支持案内レールの上面に載置支持され、一対の第2内上案内ローラが第2支持案内レールの内面上部に作用し、一対の第2内下案内ローラが第2支持案内レールの内面下部に作用し、第2外上案内ローラが第2支持案内レールの外面上部に作用し、第2外下案内ローラが第2支持案内レールの外面下部に作用するので、この第2クリップ連結部を第2支持案内レールに沿って確実に移動させることができる。
以上、本発明に従うシート状物移送装置の一実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されず、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
例えば、上述した実施形態では、第1移送チェーン機構14の上方に第2移送チェーン機構16を配置し、第1移送チェーン機構14の第1クリップ連結部74の第1クリップ部124を第1連結部122の上側に配設するとともに、第2移送チェーン機構16の第2連結部84の第2クリップ部190を第2連結部188の下側に配設しているが、これとは反対に、第1移送チェーン機構14の下方に第2移送チェーン機構16を配置し、第1移送チェーン機構14の第1クリップ連結部74の第1クリップ部124を第1連結部122の下側に配設するとともに、第2移送チェーン機構16の第2連結部84の第2クリップ部190を第2連結部188の上側に配設し、このように配設して第1及び第2クリップ連結部74,84の第1及び第2クリップ部124,190によりシート状物Sをクリップして水平状態に保持するようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、第2チェーンユニット82における第2クリップ連結部84のスライド部材234に設けた被作用コロ242を第1及び第2被作用部として機能させているが、第1被作用部として機能する第1被作用コロと第2被作用部として機能する第2被作用コロとを別個に設け、第1被作用コロに移送位置保持手段252(移送位置保持部材256)を作用させ、また第2被作用コロに後退位置保持手段254(後退位置保持部材258)を作用させるようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、図示するように、第1移送チェーン機構14の第1クリップ連結部74の移送方向の幅(換言すると、シート状物Sをクリップする幅)と第2移送チェーン機構16の第2クリップ連結部84の移送方向の幅(換言すると、シート状物Sをクリップする幅)とを同じ大きさに構成しているが、これらの移送方向の幅を異なる大きさにしてもよい。
また、例えば、第1の実施形態のシート状物移送装置では、第1移送域8、減速移送域10及び第2移送域12が直線状に延び、この移送装置の移送中にシート状物Sを移送方向に縮小するようにするものであるが、このようなシート状物移送装置として、図14〜図18に示すように構成することもできる。尚、図14〜図18に示す第2〜第7の実施形態において、上述した第1の実施形態と実質上同一の構成要素には同一の番号を付し、その説明を省略する。
図14に示す第2の実施形態のシート状物移送装置は、ステンタなどのシート状物製造装置301に適用される。図示のシート状物移送装置304a,304bは、その基本的構成が実質上同一の構成であり、シート状物Sの移送経路302を挟んでその両側に対向して配設され、矢印306で示す移送方向を中心として左右対称に構成されている。
この第2の実施形態では、シート状物移送装置304a(304b)は、第1移送域8、減速移送域10及び第2移送域12を通して延び、シート状物Sは、第1移送域8、減速移送域10及び第2移送域12を通して矢印306で示す移送方向に所要の通りに移送される。シート状物移送装置304a(304b)の第1移送チェーン機構314は、第1移送域8の幅拡大移送域部320において移送方向下流側に向けて外側に傾斜して延びており、この幅拡大移送域部320の上流側(即ち、第1移送域8の上流側部)においてはシート状物の幅がW1となるように直線状に延び、その下流側(即ち、第1移送域8の下流側部、減速移送域10及び第2移送域12)においてはシート状物Sの幅がW2となるように直線状に延びている。また、シート状物移送装置304a(304b)の第2移送チェーン機構316は、第1移送域8の幅拡大移送域部320において移送方向下流側に向けて外側に傾斜して延びており、この幅拡大移送域部320の上流側(即ち、第1移送域8の上流側部)においてはシート状物の幅がW1となるように直線状に延び、その下流側(即ち、第1移送域8の下流側部)においてはシート状物Sの幅がW2となるように直線状に延びている。尚、第1及び第2移送チェーン機構314,316については、上述の第1の実施形態のものと同様の構成ものを用いることができる。
このようなシート状物移送装置304a,304bを用いた場合、第1移送域8の幅拡大移送域部320においては、第1及び第2移送チェーン機構314,316が移送方向下流側に向けて外側に移動するので、これらにクリップ保持(所謂、チャックキング保持)されたシート状物Sは、これらの移送方向の移動に伴い外側に引っ張られ、この幅拡大移送域部320を移送する間にシート状物Sが幅方向に伸張拡大される。そして、その後の減速移送域10においては、駆動回転軸42の作用により第1移送チェーン機構314が漸減移動されることによって、幅方向に拡大されたシート状物Sが移送方向に縮小される。
図15に示す第3の実施形態では、シート状物移送装置304a,304bは、第1移送域8、減速移送域10及び第2移送域12を通して延び、シート状物Sは、第1移送域8、減速移送域10及び第2移送域12を通して矢印306で示す移送方向に移送される。この第3の実施形態では、第1移送域8に幅拡大移送域部320が設けられ、また第2移送域12に幅縮小移送域部322が設けられている。第1移送域8の幅拡大移送域部320においては、シート状物移送装置304a(304b)の第1及び第2移送チェーン機構314,316は、移送方向下流側に向けて外側に傾斜して延びている。また、第2移送域12の幅縮小移送域部322においては、シート状物移送装置304a(304b)の第1移送チェーン機構314は、移送方向下流側に向けて内側に傾斜して延びている。この第3の実施形態におけるその他の構成は、上述した第2の実施形態と実質上同一でよい。
このようなシート状物移送装置304a,304bを用いた場合、第1移送域8の幅拡大移送域部320においては、第1及び第2移送チェーン機構314,316が移送方向下流側に向けて外側に移動するので、これらにクリップ保持(所謂、チャックキング保持)されたシート状物Sは、上述したと同様に、これらの移送方向の移動に伴い外側に引っ張られ、この幅拡大移送域部320を移送する間にシート状物Sの幅がW1からW2に伸張拡大される。
そして、減速移送域10においては、駆動回転軸42の作用により第1移送チェーン機構314が漸減移動されることによって、幅方向に拡大されたシート状物Sが移送方向に縮小され、その後の第2移送域12の幅縮小移送域部322においては、第1移送チェーン機構314が移送方向下流側に向けて内側に移動するので、第1移送チェーン機構314にクリップ保持されたシート状物Sは、その幅がW2からW3と小さくなるように移送方向の移動に伴い内側に縮小され、移送方向に縮小された後に幅方向にも縮小される。
図16に示す第4の実施形態においても、シート状物移送装置304a,304bは、第1移送域8、減速移送域10及び第2移送域12を通して延びている。この第4の実施形態では、第1移送域8に幅拡大移送域部320が設けられ、また減速移送域10及び第2移送域12の上流側部にわたって第1幅縮小移送域部324及び第2幅縮小移送域部326が設けられている。尚、第2幅縮小移送域部326を省略し、減速移送域10の全域にわたって第1幅縮小移送域部324を設けるようにしてもよく、この減速移送域10の一部に第1幅縮小移送域部324を設けるようにしてもよい。
このシート状物移送装置304a,304bを用いた場合、第1移送域8の幅拡大移送域部320においては、上述したと同様に、シート状物移送装置304a,304bの第1及び第2移送チェーン機構314,316は、移送方向下流側に向けて外側に傾斜して延びて移動するので、これらにクリップ保持(所謂、チャックキング保持)されたシート状物Sは、上述したと同様に、これらの移送方向の移動に伴い外側に引っ張られ、この幅拡大移送域部320を移送する間にシート状物Sの幅がW1からW2に伸張拡大される。
そして、減速移送域10の第1幅縮小移送域部324においては、第1移送チェーン機構314が移送方向下流側に向けて内側に傾斜して延び、また駆動回転軸42が移送方向に向けて内側に傾斜しているので、駆動回転軸42の作用により第1移送チェーン機構314が漸減移動されながら幅方向内側に移動され、幅方向に拡大されたシート状物Sは、移送方向に縮小されながら幅方向も幅がW2からW3となるように縮小され、移送方向及び幅方向の縮小が同時に行われる。その後、第2移送域12の第2幅縮小移送域部326においては、第1移送チェーン機構314が移送方向下流側に向けて内側に傾斜して延びて移動されるので、移送方向及び幅方向に縮小されたシート状物Sは、更に、その幅がW3からW4となるように縮小される。
図17に示す第5の実施形態においても、シート状物移送装置304a,304bは、第1移送域8、減速移送域10及び第2移送域12を通して延びている。この第5の実施形態では、第1移送域8から減速移送域10にわたって第1幅拡大移送域部328及び第2幅拡大移送域部330が設けられ、また第2移送域12に幅縮小移送域部332が設けられている。尚、第1幅拡大移送域部328を省略し、減速移送域10の全域にわたって第2幅縮小移送域部330を設けるようにしてもよく、この減速移送域10の一部に第2幅縮小移送域部330を設けるようにしてもよい。
このシート状物移送装置304a,304bを用いた場合、第1移送域8の第1幅拡大移送域部328においては、上述したと同様に、シート状物移送装置304a,304bの第1及び第2移送チェーン機構314,316は、移送方向下流側に向けて外側に傾斜して延びて移動され、またこの第1幅拡大移送域部328の下流端部から減速移送域10の第2幅拡大移送域部330の範囲においては、第1移送チェーン機構314が移送方向下流側に向けて外側に傾斜して延びて移動されるので、第1及び第2移送チェーン機構314,316(第1幅拡大移送域部328の下流側においては第1移送チェーン機構314)にクリップ保持(所謂、チャックキング保持)されたシート状物Sは、上述したと同様に、これらの移送方向の移動に伴い外側に引っ張られ、シート状物Sの幅がW1からW2を経てW3に伸張拡大され、加えて減速移送域10の第2幅拡大移送域部330においては、第1移送チェーン機構314の移送速度が減速されるので、幅方向に拡大されているシート状物Sは、移送方向には縮小され、幅方向の拡大と移送方向の縮小が同時に行われる。
その後、第2移送域12の幅縮小移送域部332においては、第1移送チェーン機構314が移送方向下流側に向けて内側に傾斜して延びて移動されるので、移送方向及び幅方向に縮小されたシート状物Sは、更に、その幅がW3からW4となるように縮小される。
図18に示す第6の実施形態においては、シート状物Sは、第1移送域8、減速移送域10及び第2移送域12を通して移送される。この第6の実施形態では、片方のシート状物移送装置304は第1移送域8、減速移送域10及び第2移送域12を通して延び、減速移送域10に対応して減速移動機構の一部を構成する駆動回転軸42が設けられている。このシート状物移送装置304では、第1移送チェーン機構314が第1移送域8、減速移送域10及び第2移送域12を通して延び、第2移送チェーン機構316が第1移送域8を通して延びている。一方、他方のシート状物移送装置334は第1移送域8を通して延び、その移送速度が減速されることはなく、減速移動機構などは設けられていない。このシート状物移送装置334は、上述したと同様の構成の第1移送チェーン機構336から構成されるが、第1移送チェーン機構336に加えて上述したと同様の第2移送チェーン機構(図示せず)から構成するようにしてもよい。
この第6の実施形態では、第1移送域8に幅拡大移送域部340が設けられ、この幅拡大移送域部340を移送される間にシート状物Sは幅方向に拡大され、このように幅方向に拡大されたシート状物Sは、減速移送域10においてその一側部(図18において上側部)の移送速度が減速され、このように移送されることにより、幅方向に拡大された後にこの一側部において縮小される。
2 移送経路
4a,4b,304,304a,304b,334 シート状物移送装置
8 第1移送域
10 減速移送域
12 第2移送域
14,314,336 第1移送チェーン機構
16,316 第2移送チェーン機構
42 駆動回転軸
72 第1チェーンユニット
74 第1クリップ連結部
76 第1接続連結部
82 第2チェーンユニット
84 第2クリップ連結部
86 第2接続連結部