JP2018129465A - プリント回路基板及びプリント回路装置並びにそれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電流容量が十分に確保されたプリント回路基板を提供する。【解決手段】プリント回路基板1は、2つの端子13cを有する回路パターン11が少なくとも一方の表面に形成されたプリント配線基板10を備えている。プリント配線基板10の回路パターン11上には、2つの端子13c間の電流路方向に沿って延びる帯状の電流補強部材50が実装されている。電流補強部材50は、流路直交方向の幅が回路パターンの幅よりも狭く、2つの端子13cの周りにおいて各端子13cとは分離して実装されている。【選択図】図1
Description
本発明は、プリント配線基板に形成された回路パターンの電流容量を補強する構造を有するプリント回路基板及びプリント回路装置に関する。
近年、基板及び部品に係るコスト削減等に伴い、大きな電流が流れるようないわゆる強電回路(例えば、電源回路)と、信号制御等を行うようないわゆる弱電回路(例えば、LSI)とを同じ基板に実装するニーズがある。強電回路専用のプリント基板は、基板全体において電流容量が高くなるように設計されているが、その分プリント基板自体のコストやその製造コストが高くなる。一方で、弱電回路で用いられているプリント基板は、強電回路専用のプリント基板に比べて低コストであるが、強電回路を搭載するための電流容量が十分ではない場合がある。このようなプリント基板において、発熱を抑えつつ大電流を流す場合、配線幅を広くすることが考えられるが、基板サイズが大型化するという問題がある。
上記問題を解決するために、特許文献1には、プリント配線基板の配線パターン上にジャンパー線を実装し、そのジャンパー線の両端部をスルーホールに通し、基板裏面において半田付けする技術が開示されている。また、他の技術として、回路パターンの全部又は一部を厚銅箔で形成する方法が知られている。
しかしながら、特許文献1のようなジャンパー線を使用した場合、ジャンパー線をスルーホールに通す必要があることや、基板両面に同電位の回路パターンが必要なことから、プリント回路装置の設計が制約されたり、基板サイズが大きくなったりする場合がある。さらに、特許文献1のような構成では、ジャンパー線が取り付けられた回路パターンの幅方向全体にジャンパー線や半田が設けられているため、他の端子を設けたり、電子部品を接続したりすることができないという問題がある。
前述のとおり、回路パターンの全部を厚銅箔とする方法もあるが、パターンに応じた深さのエッチングが必要であるため、線幅の細い回路パターンを形成することが難しく、プリント回路基板の面積増加につながる場合がある。また、回路パターンの一部を厚銅箔で形成する場合、基板の製造工程が増加することにより作業の手間が増加したり、コストが増加する場合があり望ましくない。
上記問題に鑑み、本発明は、上記課題を解決し、電流容量が確保されたプリント回路基板を提供することを目的とする。
本発明の第1態様に係るプリント回路基板は、2つの端子を有する回路パターンが少なくとも一方の表面に形成されたプリント配線基板と、前記回路パターン上に、前記2つの端子間の電流路方向に沿って延びるようにかつ前記2つの端子の周りにおいて該各端子とは分離して実装され、前記電流路方向と直交する流路直交方向の幅が前記回路パターンの幅よりも狭い帯状の電流補強部材とを備えていることを特徴とする。
本発明の第2態様に係るプリント回路装置は、第1態様に記載のプリント回路基板に複数の電子部品が実装されており、前記電子部品の部品端子が前記回路パターンの端子に半田付けされていることを特徴とする。
これらの態様によると、電流路方向に沿って延びる電流補強部材を実装することにより、2つの端子間における電流容量を確保することができる。また、電流補強部材を2つの端子とは分離して実装していることにより、後付けで電流容量を補強する場所を決めることができるとともに、プリント回路基板やプリント回路装置の設計変更等に対して柔軟に対応することができるようになっている。すなわち、従来技術に係るジャンパーやバスバー等の補強部品を用いた電流容量の補強では、あらかじめ回路パターンの形状にあわせた補強部品の準備が必要であり、また、回路パターンの形状にあわせた専用部品を作成する必要がある。さらに、従来技術では、設計変更が生じた場合に補強部品の再設計が必要であるが、本態様ではそのようなことがない。
さらに、電流補強部材の幅を回路パターンの幅よりも狭くしているので、前記2つの端子間の中間位置における前記電流補強部材の周りに、前記2つの端子とは異なる端子を設けることができるようになっている。これにより、プリント回路基板及びプリント回路装置の設計の自由度が増し、面積を小さくすることが可能になる。また、電流補強部材の両側で半田付けをして、接続強度及び接続安定性を高めるようにしてもよい。
前記プリント配線基板には、前記電流補強部材を前記流路直交方向への移動が規制された状態に位置決めする位置決め部が立設されていてもよい。また、前記位置決め部は、前記回路パターンと前記電流補強部材との間に介在された板状のベース部と、前記ベース部に一体的に立設され、前記電流補強部材の流路直交方向への移動を規制する移動規制部とを備えている、としてもよい。
このような位置決め部を設けることにより、電流補強部材を実装する際の作業容易性を高めることができる。特に、電流補強部材を重ねて実装する場合等に、上下の電流補強部材の互いの位置が横にずれないため、半田付け等の作業が容易になる。なお、電流補強部材を重ねて実装すると、電流容量の補強効果を高めることができるとともに、電流補強部材の枚数で補強する電流容量の大きさを調整することができるようになる。
前記位置決め部のベース部は、前記電流補強部材の側壁の外側まで延びる延出部を有し、前記電流補強部材の側壁、前記延出部及び前記回路パターンが一体的に半田付けされている、としてもよい。
このように、位置決め部に延出部を設けることで、電流補強部材、位置決め部及び回路パターンを一体的に半田付けすることができるようになる。これにより、接続強度及び接続安定性を高めることができる。
前記位置決め部は、前記電流補強部材を両側から挟むように立ちあがり、該電流補強部材の前記流路直交方向への移動を規制する移動規制部を備えている、としてもよい。
このように、電流補強部材を両側から挟むような構成にすることにより、電流補強部材の位置安定性を高めることができる。
前記位置決め部は、前記移動規制部に突設されかつ前記電流補強部材が前記プリント回路基板から離れる方向に抜け出すのを規制する抜止部を備えている、としてもよい。また、前記位置決め部の移動規制部は、前記電流補強部材の厚さ方向の外側まで突出する突出部をさらに備え、前記プリント回路基板は、前記突出部を挿通するための挿通孔が貫通形成された天板と、前記電流補強部材を両側から挟むように立ち下がる側板からなる抜止部をさらに備え、前記抜止部は、前記移動規制部の突状部が前記挿通孔に挿通された状態で該移動規制部に抜け止め固定されており、前記電流補強部材が前記プリント回路基板から離れる方向に抜け出すのを規制する、としてもよい。
このような抜止部を設けることで、例えば、電流補強部材を基板両面に取り付けてから半田付けする場合等に仮止めができるなど、作業性が向上する。また、実装後に、衝撃等により電流補強部材が回路パターンから剥がれたりすることをより確実に防ぐことができる。
前記電流補強部材は、一部が他の部分に対し前記流路直交方向へ相対変形可能な可撓性を有してもよい。
これにより、電流補強部材を回路パターンの形状に応じて変形することができるため、電流補強部材の汎用性を高めることができる。
本発明によると、2つの端子間において帯状の電流補強部材を電流路方向に沿って並べて配置し、そちらにも電流が流れるようにしたので、入出力端子間における電流容量を十分に確保することができる。さらに、電流補強部材を各端子とは分離して実装するようにしたので、所望の2つの端子間における電流容量を事後的に補強することができ、回路設計の自由度を高めることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
<第1実施形態>
図1は第1実施形態に係るプリント回路装置Aを基板裏側の概略構成図である。また、図2は、図1のX−X線における概略断面図である。なお、図2では、回路パターン11について具体的な図示を省略し、回路パターン11が形成されている領域(配線層部分)に対してハッチングを付しており、図5についても同様である。
図1は第1実施形態に係るプリント回路装置Aを基板裏側の概略構成図である。また、図2は、図1のX−X線における概略断面図である。なお、図2では、回路パターン11について具体的な図示を省略し、回路パターン11が形成されている領域(配線層部分)に対してハッチングを付しており、図5についても同様である。
図1及び図2に示すように、プリント回路装置Aは、プリント回路基板1と、プリント回路基板1に実装されたICや受動素子等の電子部品30とを備えている。なお、電子部品30は、プリント回路基板1の片方の表面に実装されていてもよいし、両表面に実装されていてもよい。本開示において、プリント回路装置Aとは、プリント回路基板1に電子部品30等が実装された状態のものを指すものとする。
プリント回路基板1は、少なくとも一方の表面に回路パターン11が形成されたプリント配線基板10を備えている。なお、以下の説明では、プリント配線基板10は、表裏面に回路パターン11が形成されているものとして説明する。
プリント配線基板10は、配線層10aと絶縁層10bとが交互に積層された積層構造を有する。図2では、4層構造のプリント配線基板10の例を示している。配線層10aは、例えば銅箔で形成されており、各配線層10aでは、エッチング等により回路パターン11が形成されている。なお、プリント配線基板10の層数及び絶縁層や配線層の材質は、特に限定されない。
プリント配線基板10には、異なる配線層10aの回路パターン11同士を互いに接続するための複数のスルーホール12が貫通形成されている。また、プリント配線基板10の表裏面における回路パターン11上及びスルーホール12の内壁には、メッキ皮膜10cが連続一体的に形成されている。このメッキ皮膜10cにより、異なる配線層10aの回路パターン11同士が接続されている。図2及び図5では、メッキ皮膜10cにより基板表面の回路パターン11と基板裏面の回路パターン11とがメッキ皮膜10cにより接続されている例を示している。配線層10a(銅箔)及びメッキ皮膜10cの厚さは、特に限定されず、従来技術と同程度の厚さを有していればよい。具体的には、例えば15〜40μm程度である。なお、説明の便宜上、図1では紙面直交方向の手前側の面を裏面とし、図示されてない紙面直交方向の奥側の面を表面とする。同様に、図2及び図5では、図面上側の面を表面とし、図面下側の面を裏面とする。ただし、本開示において、プリント配線基板10及びプリント回路基板1の表裏面における実装の態様は、特に限定されるものではないため、表裏が反対であってもよく、同様の効果が得られる。
上記複数のスルーホール12の中から選択された所望のスルーホール12には、電流容量を補強する観点から、導電性の電流補強部材20が取り付けられている。図3に示すように、電流補強部材20は、スルーホール12に間隙を空けて遊嵌された中空円筒状の本体部21と、本体部21の長手方向(基板厚さ方向)の一方の端部から周方向外側に向かって一体的に突設された係止部22とを備えている。本明細書において「遊嵌される」とは、スルーホール12と電流補強部材20の本体部21との間に遊び(間隔)がある状態で嵌められることである。
より具体的には、電流補強部材20の本体部21は、電子部品30の部品端子31等が挿通できるように中空円筒状になっており、かつ、平面視に係る外径がスルーホール12の孔径よりも若干小さくなっている。これにより、電流補強部材20は、スルーホール12に間隙を空けて遊嵌される。また、汎用の装置で作成したプリント配線基板10に対しても、後付けで電流補強部材20を取り付けることができる。すなわち、所望のスルーホール12の電流容量を事後的に補強することができる。21aは、本体部21の中空部を示している。
なお、本体部21には、長手方向の全体にわたって延びるスリット21bが形成されている。このようなスリット21bを形成することにより、半田42がスルーホール12内に導かれやすくなり、電流補強部材20とスルーホール12の内壁に形成されたメッキ皮膜10cとの接触面積を増やすことができる。具体的には、例えば、電流補強部材20をスルーホールに取り付けた後に、プリント配線基板10の裏面側からフロー半田付け方式で半田付けをする場合に、半田42がスルーホール内に導かれやすくなる。これにより、スルーホール12の電流容量の補強効果を高めるとともに、接続安定性を高めることができる。
電流補強部材20の係止部22は、例えば、電流補強部材20をプリント配線基板10の表面側から取り付けした際に、プリント配線基板10の表面と接触する。これにより、電流補強部材20と回路パターン11との半田付けの際に電流補強部材20がプリント配線基板10から抜け落ちないようにしている。上記の接触状態にした後、係止部22は、回路パターン11に半田付けされる。すなわち、係止部22は、プリント配線基板10に係止でき、かつ回路パターン11との接続固定できるように構成されていればよく、その具体的な形状は特に限定されない。ただし、係止部22は、回路パターン11との接触面積を確保して接続安定性を高める観点、及び汎用の吸着方式の部品実装装置での実装を可能にする観点から、平板であるのが望ましい。係止部22が平板であれば、汎用の部品実装装置で係止部を吸着し、電流補強部材20をスルーホール12に取り付けることができる。
プリント配線基板10の裏面には、回路パターン11のうちの大きな電流を流すための回路パターン11(以下、説明の便宜上、大電流パターン13と称する)が形成されている。大電流パターン13は、図1の上下方向及び左右方向に延びる略L字状の配線である。具体的には、大電流パターン13は、プリント配線基板10の裏面において、互いに直交する方向に延びる2つの主配線13aと、2つの主配線13aの間を接続する接続配線13bとによって構成されている。接続配線13bは、主配線13aの延びる方向に対して両主配線13aの先端部から内側に向かって傾斜する斜め方向(図1では斜め右上がりの方向)の配線である。
大電流パターン13の一端部に設けられた端子13c(図1の左斜め下側の端子13c)には、電子部品(図示省略)の一方の部品端子31が接続されている。この電子部品の他方の部品端子31は、スルーホール12を介して大電流パターン13とは異なる回路パターン11(例えば、図1において大電流パターンの下側に形成された回路パターン11)に接続されている。同様に、大電流パターン13の他端部に設けられた端子13c(図1の右斜め上側の端子13c)には、上記電子部品と異なる電子部品30の部品端子31が接続されている。なお、大電流パターン13に接続される電子部品の機能や種別は特に限定されない。例えば、電子部品として、抵抗素子や容量素子等に代表される受動素子、フリップフロップ等の能動素子、IC、端子台、コネクタ等がある。
大電流パターン13上において、2つの端子13c、13c間には、大電流パターン13の電流容量を補強するための帯状の電流補強部材50が実装されている。具体的には、電流補強部材50は、大電流パターン13の基板内方の辺(図1右下側の略L字状の辺)に沿って延びる略L字状の導電部材である。電流補強部材50の幅は、大電流パターン13の幅よりも狭く、大電流パターン13の幅方向の中間の位置に配置されている。これにより、電流補強部材50の両側において、大電流パターン13と電流補強部材50との半田付けをすることができ、接続強度及び接続安定性を確保することができる。なお、電流補強部材50の厚さは、特に限定されず、補強したい電流容量値に応じて適宜設定すればよい。例えば、電流補強部材50の厚さは1〜数mmである。
また、電流補強部材50は、その一部が他の部分に対して、大電流パターン13の幅方向(流路直交方向)への相対変形が可能な可撓性を有するのが好ましい。これにより、大電流パターン13の形状に応じた変形を可能にすることで汎用性を高めることができる。例えば、電流補強部材50には、銅やアルミ等の可撓導体でできた帯状の金属板、平角線等の可撓性を有する導電線等を適用することができる。本開示において、帯状とは、幅方向と比較して長手方向の方が長い板状のものを含む概念である。具体的には、細長い形状の平板を含み、薄板が積層されることによって帯状体を形成しているものも含む概念である。また、厚さが薄いものに加えて、ある程度の厚さがあるような帯状物、例えば、断面が正方形であったり、幅よりも高さ方向の方が高いようなものも含む概念である。
なお、可撓導体の変形容易性の程度については、特に限定されず、用途や配置場所等に応じて適宜設定すればよい。例えば、手作業で実装を行う場合における作業容易性を高める観点から、可撓導体として作業者の手によって容易に変形可能な程度に可撓性の高いものを用いてもよい。また、比較的長い大電流パターン13に対して電流補強部材50を安定して配置できるようにする観点から、可撓導体として相対的に可撓性が低いものを用いるようにしてもよい。
また、図1では、電流補強部材50は、大電流パターン13の幅方向の中央よりも基板の内方にずらして配置されている。これにより、大電流パターン13に対して、その両端に設けられた端子13c以外の追加端子13dを設けることができるようになる。追加端子13dは、例えば、大電流パターン13に対して貫通形成され、表面にメッキ皮膜10cが形成されたスルーホール12であってもよい。なお、電流補強部材50は、大電流パターン13の幅方向の中央又は基板外方にずらして設けてもよく、同様の効果が得られる。なお、本実施形態では、説明の便宜上、端子13cと区別するために追加端子13dという用語を用いている。したがって、端子13cと追加端子13dとの構造や特性が同じであってもよい。
また、大電流パターン13の両端部の端子13c又は追加端子13dに対して、電流補強部材50と同一面(図1では裏面)に実装した電子部品30の部品端子31を接続してもよい。図4では、大電流パターン13の両端部の端子13cに接続する電子部品30をプリント配線基板10の裏面に実装した例を示している。これにより、大電流パターン13と同一面上に、大電流パターン13と接続するための電子部品30を実装することができるようになり、プリント回路基板1及びプリント回路装置Aに係る回路設計の自由度を増すことができる。
なお、本開示では、大電流パターン13に設けられた端子13c,13dのうちから任意に選択された2つの端子間に流れる電流の方向を電流路方向と呼ぶものとする。具体的には、プリント回路装置Aに通電されると、任意に選択された2つの端子間を含む各端子間に回路構成に応じた電流が流れるので、2つの端子が選択されると一義的に電流路方向が決まる。例えば、図1において、大電流パターン13の両端部に設けられた端子13cを2つの端子として選択した場合、大電流パターン13に沿う方向が電流路方向である。そして、図1では、電流補強部材50は、2つの端子13c間の電流路方向に沿って延びているといえる。また、例えば図1の上下方向に延びる主配線13aの中間部分に設けられた2つの追加端子13dを上記2つの端子として選択した場合は、その2つの追加端子13d間において電流路が形成され、電流路方向が定義される。ただし、電流路方向は、厳密に電流の流れる方向である必要はなく、設定した2つの端子(例えば、13c)間において電流が流れる方向に沿う方向であればよい。したがって、電流補強部材50が電流路方向に沿って延びているとは、例えば、後述する図7のように電流補強部材50が蛇行しているものや、電流補強部材50の一部が電流の流れる方向から少し傾くように配置されているもの等を含む概念である。また、基板表面に沿った平面において、電流路方向と直交する方向を流路直交方向と呼ぶものとする。
次に、図5を参照して本実施形態に係るプリント回路装置Aの製造方法について詳細に説明する。
まず、図5(a)に示すように、絶縁層10bと配線層10aとを積層して、4層の配線層10a(基板表裏面の配線層10aを含む)が形成された配線基板を形成する。その後、ドリルやレーザー加工等によりプリント配線基板10にスルーホール12を形成し、プリント配線基板10の表裏面における回路パターン11上及びスルーホール12の内壁にメッキ皮膜10cを形成する(図5(b)参照)。
次に、大電流パターン13に形成されたスルーホール12に対して、表側または裏側から電流補強部材20を挿入し、挿入方向手前側の面に形成された回路パターン11と係止部22とを半田付けする。図5(c)では、プリント配線基板10の表側から電流補強部材20を挿入し、係止部22をプリント配線基板10の表面の回路パターン11に半田付けしている例を示している。半田付けの方法は、特に限定されないが、例えば、導電性の接続部材としてのクリーム半田41を用いて、リフロー半田付け方式により回路パターン11に接続固定することができる。なお、導電性の接続部材は、半田に限定されず、他の接続部材を用いてもよい、実施形態内の他の説明においても同様である。
次に、図1及び図5(d)に示すように、大電流パターン13に電流補強部材50を実装する。具体的には、耐熱性の接着剤等を用いて、大電流パターン13上の所定の位置に電流補強部材50を貼り付ける。また、電流補強部材20の本体部21の中空部21aを介して電子部品30の部品端子31を挿入し、プリント配線基板10の裏側から半田付けする。半田付けの方法は、特に限定されないが、例えば、半田を溶融して収容した加熱槽40を用いたフロー半田付け方式により回路パターン11に接続固定することができる。このようにして、プリント回路装置Aを得ることができる。42は、半田を示しており、部品端子31と部品端子31に隣接する電流補強部材50との間が半田付けされる様子を仮想線で示している。
ここで、本開示において、回路パターン11(大電流パターン13)に形成された端子とは、回路パターン11(大電流パターン13)への電流の出入口を指すものとする。例えば、図5(d)に示すように、メッキ皮膜10cが形成されたスルーホール12を介して大電流パターン13に電子部品の部品端子31が接続されれば、スルーホール12と大電流パターン13との接点付近を大電流パターン13への電流の出入口とみることができ、その部分が端子を構成する。
以上のように、本実施形態に係るプリント回路基板1及びプリント回路装置Aは、電流路方向に沿って延びる電流補強部材50を配置することにより、大電流パターン13及び電流補強部材50並びに両者間を接続する半田を含む導体領域の断面積を増やすことができ、2つの端子13c間における電流容量を確保することができる。
さらに、電流補強部材50において、その一部が他の部分に対して流路直交方向へ相対変形可能な可撓性を有するようにしている。これにより、大電流パターン13の形状に応じて、事後的に電流補強部材50の形状を決め、その電流補強部材50を大電流パターン13上に実装することができる。また、大電流パターン13の形状の変更を伴う設計変更があった場合にも柔軟に対応することができる。一方で、特許文献1に示されているようなジャンパーやバスバー等の補強部品を用いた電流容量の補強では、あらかじめ大電流パターンの形状にあわせた補強部品の準備が必要である。さらに、大電流パターンの形状が異なる場所には、互いに異なる形状の補強部品を用意する必要があり、大電流パターンの形状の変更を伴う設計変更があった場合には補強部品も作り直す必要がある。
さらに、電流補強部材50の幅を大電流パターン13の幅よりも狭くしているので、電流補強部材50の両側において、大電流パターン13と電流補強部材50との半田付けをすることができる。また、電流補強部材50の流路直交方向に、追加端子13dを設けることができるため、基板設計の自由度が高い。
なお、上記第1実施形態では、1枚の電流補強部材50が実装されている例について説明したが、電流補強部材50を複数枚重ねて実装するようにしてもよい。この場合、例えば、重ねられた電流補強部材50間は接着剤等を用いて接着した後、側板間を半田付けにより電気的に接続すればよい。
<第2実施形態>
第2実施形態では、電流補強部材50の位置決めを容易にする観点から、大電流パターン13上に位置決め部材60を設置する例について説明する。なお、位置決め部材60の設置場所の一部又は全部が大電流パターン13の外側にはみ出していてもよい。
第2実施形態では、電流補強部材50の位置決めを容易にする観点から、大電流パターン13上に位置決め部材60を設置する例について説明する。なお、位置決め部材60の設置場所の一部又は全部が大電流パターン13の外側にはみ出していてもよい。
図6は第2実施形態に係るプリント回路装置Aの一例を示す斜視図であり、帯状の電流補強部材50を2枚重ねて実装している例を示している。なお、図6以降の図面では、図面を見やすくする観点から、半田42の図示を省略している。一方で、一部の図面では、半田付けする場所を一点鎖線で囲み、符号43を付すようにしている。以下の説明では、主に第1実施形態との相違点について説明する。
図6に示すように、プリント回路基板1の大電流パターン13上には、電流補強部材50の位置決めをするための位置決め部材60が設けられている。位置決め部材60は、電流路方向に沿って互いに所定の間隔を空け、隣接する位置決め部材60同士が電流補強部材50の幅方向に対して互い違いの位置になるように立設されている。なお、大電流パターン13が折れ曲がっていて、電流補強部材50も折り曲げて取付けられるような場合には、折り曲げ方向内側にのみ位置決め部材60を配置してもよく、それでも十分な位置決め効果を得ることができる。ただし、位置決め部材60を互い違いの位置になるように立設することで、よりしっかりと位置決めできるようになる。
位置決め部材60は、大電流パターン13と電流補強部材50との間に介在される板状のベース部61を有する。図6において、流路直交方向におけるベース部61の幅は、電流補強部材50の幅よりも広く、電流補強部材50は、ベース部61の流路直交方向の中間位置に配置されている。換言すると、ベース部61の流路直交方向の両側には、電流補強部材50の外側まで延びる延出部61aが形成されている。一方の延出部61aには、電流補強部材50の流路直交方向の一方側(移動規制方向)への移動を規制する移動規制部62が一体的に立設されている。他方の延出部61aは、大電流パターン13及び電流補強部材50の側壁と半田付けされている。
移動規制部62の先端部には、上段の電流補強部材50よりも高い位置まで延びる突出部63が連続一体的に突設されており、この突出部63が電流補強部材50に向かって略直角に折り返されている。これにより、突出部63は、電流補強部材50がプリント回路基板1から離れる方向に抜け出すのを規制する抜止部としての機能を有する。
なお、突出部63が上段の電流補強部材50より突出する量は、特に限定されないが、ある程度余裕を持った突出量とするのが好ましい。そうすることで、様々な厚さや幅及び積層枚数の電流補強部材50に対して、共通化された位置決め部材60を用いることができるようになる。後述する図10のような構成においても同様である。
また、図6では、突出部63は、電流補強部材50の表面に接するように、略直角に折り曲げられているが、これに限定されない、例えば、突出部63の折り曲げ角度が小さい場合又は折り曲げていない場合でも抜け止めの効果が発揮できる場合がある。例えば、図6のように電流補強部材50が折り曲げて配置されているような場合、そのコーナー部分ではその内側に向かって張力が働くため、突出部63の折り曲げ角度が小さい状態又は折り曲げない状態でも移動規制部62により電流補強部材50の抜け止め効果が得られる場合がある。
さらに、図7に示すように、電流補強部材50をしっかりと位置決めをするために、電流補強部材がS字状になった状態で移動規制部62に係止されるように、位置決め部材60を配置するようにしてもよい。具体的には、隣接する位置決め部材60において、移動規制部62同士の流路直交方向における間隔が、電流補強部材50の幅よりも若干狭くなるように、位置決め部材60を配置すればよい。そして、作業者が、電流補強部材50を取り付ける際に、電流補強部材50に張力を与えつつ、電流補強部材50を位置決め部材60の移動規制部62に掛けるのが好ましい。これにより、電流補強部材50から移動規制部62に対して流路直交方向の外側に押す力が働き、しっかりと位置決めすることができるようになる。この場合においても、突出部63を折り曲げなくても抜け止め効果が発揮される。ただし、図7に示すように、移動規制部62の突出部63を折り曲げることで、抜け止めの効果を高めることができる。
次に、本実施形態に係るプリント回路装置Aの製造方法について説明する。全体的な流れは第1実施形態(図5のフロー)と同様である。ただし、本実施形態では、図5(d)において、大電流パターン13上の所定の位置に電流補強部材50を取り付ける前に、位置決め部材60を実装する点において第1実施形態と異なる。
具体的には、まず、耐熱性の接着剤等を用いて、位置決め部材60を大電流パターン13上に貼り付ける。その後、電流補強部材50を、位置決め部材60の移動規制部62の内側に配置されるように取り付けるとともに、電子部品30を取り付け、プリント配線基板10の裏側からこれらの半田付けを行う。
なお、本実施形態では、位置決め部材60を用いて2枚の電流補強部材50を重ねて実装する例について説明したが、これに限定されない。例えば、1枚の電流補強部材50を実装する際に位置決め部材60を用いて位置決めをするようにしてもよいし、重ねる電流補強部材50の枚数を増やしてもかまわない。
また、位置決め部材60について以下の変形例に示すような構成にしてもよく、同様の効果が得られる。
−変形例1−
例えば、位置決め部材60の移動規制部の形状について、図8に示すような形状にしてもよい。図8の例では、電流補強部材50の流路直交方向の両側壁が円弧状に膨らんで、断面が略長円形状になっている。図8の位置決め部材60の移動規制部62は、表面が電流補強部材50の側壁面と直交するように立設された平板によって構成されている。さらに、移動規制部62の電流補強部材50と対向する側面が、電流補強部材50の側壁の形状にあわせて円弧上に切り欠かれている。このような形状にすることで、電流補強部材50と移動規制部62との密着性が増すとともに、流路直交方向に対する強度を高めることができるので、しっかりと位置決めすることができる。さらに、重ねられた電流補強部材50の隙間に移動規制部62の一部が入り込むため、電流補強部材50がプリント配線基板10から離れる方向(以下、離脱方向という)に移動することを規制する効果が得られる。なお、電流補強部材50が、断面略矩形状の平角線である場合には、図8の位置決め部材から円弧上の切り欠きを省くことにより、電流補強部材50と移動規制部62との密着性を確保することができる。
例えば、位置決め部材60の移動規制部の形状について、図8に示すような形状にしてもよい。図8の例では、電流補強部材50の流路直交方向の両側壁が円弧状に膨らんで、断面が略長円形状になっている。図8の位置決め部材60の移動規制部62は、表面が電流補強部材50の側壁面と直交するように立設された平板によって構成されている。さらに、移動規制部62の電流補強部材50と対向する側面が、電流補強部材50の側壁の形状にあわせて円弧上に切り欠かれている。このような形状にすることで、電流補強部材50と移動規制部62との密着性が増すとともに、流路直交方向に対する強度を高めることができるので、しっかりと位置決めすることができる。さらに、重ねられた電流補強部材50の隙間に移動規制部62の一部が入り込むため、電流補強部材50がプリント配線基板10から離れる方向(以下、離脱方向という)に移動することを規制する効果が得られる。なお、電流補強部材50が、断面略矩形状の平角線である場合には、図8の位置決め部材から円弧上の切り欠きを省くことにより、電流補強部材50と移動規制部62との密着性を確保することができる。
また、図8に示す位置決め部材60は、例えば、図9(a)に示すように、平板からの切り起こしにより形成することができるため、量産性が高く、製造コストを削減することができる。図9(b)には、矩形板状の移動規制部62を有する位置決め部材60を平板から切り起こして作成した他の例を示している。図9(b)では、矩形平板からなる移動規制部62の平板面により電流補強部材50の流路直交方向への移動を規制して、位置決めするように構成されている。なお、図9(b)において、平板から切り起こす移動規制部62の幅は特に限定されない。この移動規制部62の幅を狭くすることにより、図6及び図7と略同等の位置決め部材60を切り起こしにより形成することができる。
−変形例2−
図10から図12では、位置決め部材60の配置場所と対応させて、電流補強部材50の幅方向中央に移動規制部62を挿通するための挿通孔51を貫通形成している例を示している。これらの構成では、上記挿通孔51に位置決め部材60の移動規制部62を挿通させて、電流補強部材50の位置決めをしている。このような構成にすることにより、しっかりとした位置決めができるとともに、設置する位置決め部材60の数を減らすことができる。
図10から図12では、位置決め部材60の配置場所と対応させて、電流補強部材50の幅方向中央に移動規制部62を挿通するための挿通孔51を貫通形成している例を示している。これらの構成では、上記挿通孔51に位置決め部材60の移動規制部62を挿通させて、電流補強部材50の位置決めをしている。このような構成にすることにより、しっかりとした位置決めができるとともに、設置する位置決め部材60の数を減らすことができる。
図10から図12では、電流補強部材50の抜け止め構造が互いに異なっている。
図10では、電流補強部材50の挿通孔51に位置決め部材60の移動規制部62を挿通した後に、電流補強部材50から突出する突出部63を略直角に折り曲げて抜け止めをしている。
図11及び図12では、電流補強部材50を抜け止めするための抜止板70をさらに設けた例を示している。抜止板70は、略中央の位置に位置決め部材60の突出部63を挿通するための挿通孔71aが貫通形成され、電流補強部材50の幅よりも若干広い幅を有する天板71と、天板71の流路直交方向の両端部から立ち下がる側板72とにより構成されている。両側板72は、それぞれ、電流路方向から見て外側に折れ曲がるL字形状となっている。図11では、二点鎖線により抜止板70の装着後の状態を示している。
具体的な取り付け方法は、まず、電流補強部材50と位置決め部材60とを互いに位置合わせして、位置決め部材60に電流補強部材50を装着した後に、その周囲を覆うように抜止板70を取り付けて抜け止め固定する。抜止板70の抜け止め固定方法は、例えば、抜止板70の天板71と移動規制部62とを半田付けしてもよいし、図10の場合と同様に突出部63を天板71に沿うように折り曲げてもよい。
さらに、図12では、図11の構造に加えて、抜止板70の一方の側板72に部品端子31を挿通するためのリング状の端子挿通部73が連続一体的に設けられている。これにより、部品端子31の周りに形成される部品ランド(図示省略)と端子挿通部73とを一緒にかつ一体的に大電流パターン13に半田付けすることができる。
なお、図示を省略するが、図11及び図12の抜止板70について、側板72の流路直交方向における両端部が、プリント配線基板10から離れる方向に向かって傾斜するように立ち上がり、側板72の両端部が大電流パターン13から若干浮き上がるようにしてもよい。この浮き上がった部分に半田が回り込むため、より強固に半田付けすることができるようになる。
−変形例3−
本変形例では、電流補強部材50のさらにしっかりとした位置決めを実現するために、位置決め部材60が電流補強部材50を両側から挟むような構成を有している例を示している。
本変形例では、電流補強部材50のさらにしっかりとした位置決めを実現するために、位置決め部材60が電流補強部材50を両側から挟むような構成を有している例を示している。
例えば、図13に例示する位置決め部材60は、電流補強部材50と大電流パターン13との間に介在されかつ電流補強部材50よりも若干広い幅を有する板状のベース部64と、ベース部64の流路直交方向の両端部から基板離脱方向に向かって略垂直に立ち上がる側板65とを備えている。ベース部64は、大電流パターン13に接着剤等により固定されている。側板65は、図6の構成と同様に、移動規制部62と突出部63とを含んでいる。なお、以下の説明では、移動規制部62と突出部63とを分けて説明することが必要である場合を除いて、単に側板65と称して説明する。電流補強部材50は、位置決め部材60の両側板65によって両側から挟まれていて、流路直交方向への移動が規制されている。また、位置決め部材60の側板65、電流補強部材50の側壁及び大電流パターン113は、一体的に半田付けされている(図13の領域43参照)。これにより、電流補強部材50と大電流パターン13との電気的な接続に加えて、電流補強部材50を位置決め部材60に固定することができ、電流補強部材50が離脱方向に抜け出ることを防止することができる。
なお、位置決め部材60の両側板65は、平板から切り(折り)起こして形成することができる。例えば、図14(a)に示すように、十字形状に切り出された平板の流路直交方向に突出する側壁構成部分を両外側から内側に向かって折り起こして両側板65を形成するようにしてもよい。また、例えば、図14(b)に示すように、電流補強部材50よりも流路直交方向の幅が広い平板を用意し、電流路方向の位置をずらして、流路直交方向の端から電流補強部材50の幅方向の奥側の端部付近まで平行に延びる2本の貫通溝66を形成し、両貫通溝66間における平板部を切り起こして両側板65を形成するようにしてもよい。このように位置決め部材60を平板から形成することにより、量産性を高め、製造コストを削減することができる。図14では、上記2本の貫通溝を、流路直交方向の両側に1組ずつ、電流路方向の位置を異ならせて形成した例を示している。
また、位置決め部材60の両側板65に対して、半田付け場所の近傍に、半田付けの際における熱拡散を防止するための熱拡散防止孔67を板厚方向に貫通形成してもよい。図13では、熱拡散防止孔67が形成された例を示しており、図14(a)では、同熱拡散防止孔67が形成されていない例を示している。
また、図15に示すように、位置決め部材60の両側板65の離脱方向端部において、互いの間隔が離脱方向に向かうにしたがって徐々に広がるように形成されていてもよい。これにより、電流補強部材50をプリント配線基板10に取り付ける際に、電流補強部材50を位置決め部材60に誘い込みやすくなり、作業性を向上させることができる。
−変形例4−
位置決め部材60は、変形例3に例示した電流補強部材50を両側から挟むような構成に加えて、第1実施形態(図6参照)において説明したものと同様の延出部68を備えるようにしてもよい。そして、延出部68と大電流パターン13とを半田付けすることにより、大電流パターン13に対して、位置決め部材60をより強固に固定することができるようになる。さらに、位置決め部材60の延出部68、大電流パターン13及び電流補強部材50の側壁を一緒に半田付けすることが可能であり、半田付けの作業性が向上する。
位置決め部材60は、変形例3に例示した電流補強部材50を両側から挟むような構成に加えて、第1実施形態(図6参照)において説明したものと同様の延出部68を備えるようにしてもよい。そして、延出部68と大電流パターン13とを半田付けすることにより、大電流パターン13に対して、位置決め部材60をより強固に固定することができるようになる。さらに、位置決め部材60の延出部68、大電流パターン13及び電流補強部材50の側壁を一緒に半田付けすることが可能であり、半田付けの作業性が向上する。
具体的に、図16では、ベース部64の電流路方向の中間部分から大電流パターン13の表面に沿って延びる矩形状の延出部68が設けられている例を示している。図16の位置決め部材60は、例えば、電流補強部材50よりも流路直交方向の幅が広い平板を用意し、電流補強部材50から外側にはみ出す部分の基端部側にU字状の貫通溝65aを形成し、貫通溝65aの外側部分(逆U字状の側板65)を折り起こすことにより形成することができる。
なお、図17に示すように、側板65の離脱方向に延びる辺65b及び延出部68の外周辺68aをのこぎり状にしてもよい。これにより、半田付け対象物の相互間において半田が接合される距離である半田接合距離を長くすることができる。なお、のこぎり状の辺の角が円弧状に丸みを帯びていてもよく、同様の効果が得られる。また、位置決め部材60の側板65の全体に半田付けしてもよいし、側板65の外周の一部又は外周の全体に沿って半田付けするようにしてもよい。具体的に、どのような半田付けをするかは、例えば、半田付け部分を流れる電流量に応じて設定すればよい。他の変形例及び他の実施形態においても同様である。例えば、図17では、位置決め部材の側壁の全体に半田付けする例を示しており、後述する図21,22では、位置決め部材の側壁の外周部分に特化して半田付けする例を示している。
また、図18に示すように、位置決め部材60が複数の側板65を有するようにしてもよい。図18に示す位置決め部材60も1枚の平板から形成することができる。具体的には、電流補強部材50よりも流路直交方向の幅が広い平板を用意し、流路直交方向の端部から電流補強部材50の幅方向の手前側の端部まで平行に延びる2本の貫通溝を形成し、貫通溝の電流路方向の両外側部分における平板部を切り起こして形成することができる。このような構成にすることで、位置決め部材60の流路直交方向における強度を高めることができる。なお、図18では、電流路方向の側板65の幅が等ピッチとなるように構成している例を示しているが、これに限定されない。例えば、側板65の枚数を3枚以上に増やしてもよい。また、すべての側板65の幅が等しくなくてもよく、流路直交方向に対向する側板位置が互いにずれていたり、互いの枚数が異なっていてもよい。
なお、第2実施形態及びこれまでの変形例では、位置決め部材60のベース部64は、電流補強部材50と大電流パターン13との間に介在されているものとしたがこれに限定されない。
例えば、図18に対応する構成として、図19に示すように、位置決め部材60を大電流パターン13の形成面と対向する面に取り付けるようにしてもよい。具体的に、図19において、位置決め部材60は、電流補強部材50よりも若干広い幅を有するベース部64と、ベース部64の流路直交方向の両端部から基板離脱方向に向かって略垂直に立ち上がる3対の側板65とを備えている。3対の側板65は、電流路方向に並べて配置されており、中央の側板65が両外側の側板と比較して幅狭になるように形成されている。プリント配線基板10には、3対の側板65と対応する位置において、各側板65を挿通するための挿通孔10dが貫通形成されている。位置決め部材60は、プリント配線基板10の裏面側から、各側板65を挿通孔に挿通し、真ん中の側板65をプリント配線基板の表面に沿うように折り返すことにより取り付けられる。図20は図19のY−Y線断面図を示しており、上記真ん中の側板65の折り返しの状態を示している。そして、電流補強部材50が、プリント配線基板10に立設されている2対の側板65の間に挟まれるように取り付けられる。図20では、大電流パターン13の図示を省略している。また、図19では図示を省略するが、図18と同様の位置に半田付けをすることができる。このような構成は、部品実装装置での実装に適している。具体的には、部品実装装置でベース部64を吸着させて側板65の挿通作業を行い、その後、同装置で中央の側板65を折り曲げるようにすることができる。
位置決め部材60のベース部64を電流補強部材50と大電流パターン13との間に介在させない他の構成例として、図示は省略するが、電流補強部材50の流路直交方向における両外側において、位置決め部材60を取り付けるようにしてもよい。具体的には、電流路方向から見てL字状の位置決め部材60を、ベース部64が電流補強部材50の外側にくるように取り付けすればよい。
−変形例5−
位置決め部材60は、変形例3に例示した電流補強部材50を両側から挟むような構成に加えて、電流補強部材50が離脱方向へ抜け出るのを規制する抜け止め構造(抜止部69)を備えるようにしてもよい。プリント配線基板10の両面に電流補強部材50を取り付けたいような場合、プリント配線基板10上の複数箇所に電流補強部材50を取り付けた後に半田付けをするような場合に、このような抜け止め構造を設けることにより、作業性を向上させることができる。
位置決め部材60は、変形例3に例示した電流補強部材50を両側から挟むような構成に加えて、電流補強部材50が離脱方向へ抜け出るのを規制する抜け止め構造(抜止部69)を備えるようにしてもよい。プリント配線基板10の両面に電流補強部材50を取り付けたいような場合、プリント配線基板10上の複数箇所に電流補強部材50を取り付けた後に半田付けをするような場合に、このような抜け止め構造を設けることにより、作業性を向上させることができる。
具体的に、図21及び図22では、位置決め部材60の突出部63(側板65の先端部)に抜け止め機能を持たせた例を示している。例えば、図21では、この突出部63の電流路方向の中間部分にU字状の貫通溝63aが形成され、その貫通溝63aの内側部分が電流補強部材50側に切り起こされて抜止部69を構成している。
また、図22では、可撓性を有する素材で突出部63を構成するとともに、突出部63(側板65の先端部)の幅を移動規制部62(側板65の基端部)の幅よりも狭くしている。そして、両側の突出部63を電流補強部材50側に倒して交差させ、その交差部分を半田付けすることにより、電流補強部材50が離脱方向に抜け出さないようにしている。なお、図示は省略するが、両側の突出部63を交差させて半田付けする代わりに、交差させた突出部63同士を互いにねじり合わせて、電流補強部材50が離脱方向に抜け出さないようにしてもよい。
図23では、電流補強部材50の断面が長円形状である場合において、位置決め部材60の側板65の形状を、電流補強部材50の側壁の形状にあわせてくびれさせている例を示している。ここで、図23における位置決め部材60は、流路直交方向に対して弾性を有する弾性体であり、両側板65の間隔は、電流補強部材50の外形に沿ってかつその外形形状よりも若干大きくなるように構成されている。これにより、電流補強部材50を嵌めるときに、位置決め部材60の両側板65が外側に向かって弾性変形して広がることで各電流補強部材50を通過させ、その通過後に元の形状に復帰することにより、電流補強部材50の側壁を挟み込むようになっている。これにより、電流補強部材50の離脱方向への移動を規制している。
また、抜け止め構造として、図24に示すように、図11と同様の形状を有する抜止板70を設けるようにしてもよい。図24において、突出部63の形状及び位置と、抜止板70の天板に設けられた挿通孔71aの形状及び位置が異なる以外は図11と同様であり、ここではその詳細な説明を省略する。
以上、本発明の好ましい実施形態及びその変形例について説明したが、本開示に係る技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え等を行った実施の形態にも適用可能である。また、上記実施形態及びその変形例で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
−その他の実施形態−
例えば、図29に示すように、生産性を高めることを目的として、電流補強部材50の周囲に帯状の仮止め部材80(例えば、金属製)を巻きつけ、その状態の電流補強部材50を大電流パターンに実装するようにしてもよい。仮止め部材80の巻き付けには、例えば、図25に示すような仮止め部材用の取り付け用の治具(以下、仮止め治具90という)を用いればよい。
例えば、図29に示すように、生産性を高めることを目的として、電流補強部材50の周囲に帯状の仮止め部材80(例えば、金属製)を巻きつけ、その状態の電流補強部材50を大電流パターンに実装するようにしてもよい。仮止め部材80の巻き付けには、例えば、図25に示すような仮止め部材用の取り付け用の治具(以下、仮止め治具90という)を用いればよい。
仮止め治具90には、大電流パターン13の形状にあわせて、電流補強部材50の位置決めをするための位置決め部材91が立設されている。また、電流補強部材50の長手方向に隣接する位置決め部材91間における仮止め部材80の取付位置に、仮止め部材80の巻き付け作業を容易にするための有底矩形状の取付穴92が形成されている。位置決め部材91の形状は、大電流パターン13上に設けられる位置決め部材60(第2実施形態参照)と同様の構成のものを採用することができるため、ここではその詳細な説明を省略する。図25では、図14に示す位置決め部材60を仮止め治具90用の位置決め部材91として取り付けた例を示している。
図26には、仮止め部材80の構成例を示している。仮止め部材80は、重ねた状態の電流補強部材50全体の外周よりも長い、帯状の金属板であり、その先端部には図27に示すようなロック構造81を有する。ロック構造81は、先端に向かって幅狭になるように傾斜する一対の呼び込み部82と、ロック状態を保持するための切欠部83とにより構成されている。切欠部83は、呼び込み部82の基端部に設けられた矩形状の切り欠きであり、両方の呼び込み部82の互いに対向する側にそれぞれ形成されている。また、ロック構造81は、2つの呼び込み部82が互いに近接する方向(閉じる方向)に付勢された弾性体である。
仮止め部材80の取り付けは、仮止め部材80を電流補強部材50に巻き付けた後に、両方の呼び込み部82の位置をあわせて、交わらせるように移動させるとよい。これにより、呼び込み部82に傾斜面に沿って呼び込み部82間の間隔が広がり、呼び込み部82同士の交差点が切欠部83まで移動したときにロックされるようになっている(図27参照)。図28は、仮止め部材80がロックされた状態を示している。
このようにして作成した電流補強部材50を、例えば第1実施形態(図5参照)と同様にして、プリント回路基板1の大電流パターン13上に取り付ければよい。具体的な取り付け方法は、例えば、第1実施形態で示した方法と同様であり、ここではその詳細な説明を省略する。なお、仮止め部材80により、電流補強部材50を重ねあわせた状態で固定するとともに、電流補強部材50の形状を大電流パターン13の形状にあわせて整えているため、プリント回路基板1の大電流パターン13上には、第2実施形態に示したような位置決め部材60を設けなくてもよい。すなわち、プリント回路基板1及びプリント回路装置Aの製造コストを削減できるメリットがある。
なお、図29に示すように、仮止め部材80のロック構造81が設けられた側面と対向する側面に図16と同様の延出部84を設けるようにしてもよい。また、大電流パターン13上に、延出部を流路直交方向に挿通して、半田付けするための段差状のガイド部材15を取り付けるようにしてもよい。ガイド部材15は、図29に示すように、大電流パターン13に逆U字状に立設されていて、大電流パターン13とガイド部材15との間に形成される挿通孔16に延出部84が挿通できるようになっている。このように、挿通孔16に仮止め部材80の延出部84を挿通することで、電流補強部材50の離脱方向への移動を規制することができる。また、大電流パターン13、仮止め部材80及びガイド部材15を一体的に半田付けすることができるようになる。
前記第1及び第2実施形態及び各変形例において、以下のような構成としてもよい。
例えば、図1、図4及び図6等では、大電流パターン13上において、電流補強部材50の幅方向の両外側に半田接着領域が形成されている例を示したが、これに限定されない。例えば、図1において、電流補強部材50の基板内側の辺と大電流パターン13の基板内側の辺の位置を揃えるように電流補強部材50を配置し、電流補強部材50の基板外側のみにおいて半田付けをするようにしてもよい。
また、図1では、大電流パターン13の略全体にわたって電流容量が補強されている例、すなわち、大電流パターン13の両端部に設けられた2つの端子13c間の電流容量を補強する例を示したが、これに限定されない。例えば、回路パターン11の引き回し等において、大電流パターン13の配線幅や配線厚さが十分に確保できない領域がある場合に、その領域に限定して電流補強部材50を取り付けて電流容量を補強するようにしてもよい。このように、本発明に係る技術は、後付けで電流容量を補強する場所を決めることができるメリットがある。
本発明は、プリント回路基板において、所望の回路パターンの電流容量を事後的に増加させることができるので、極めて有用である。
A プリント回路装置
1 プリント回路基板
10 プリント配線基板
11 回路パターン
13 大電流パターン(回路パターン)
13c,13d 端子
30 電子部品
31 部品端子
50 電流補強部材
60 位置決め部材(位置決め部)
1 プリント回路基板
10 プリント配線基板
11 回路パターン
13 大電流パターン(回路パターン)
13c,13d 端子
30 電子部品
31 部品端子
50 電流補強部材
60 位置決め部材(位置決め部)
Claims (12)
- 2つの端子を有する回路パターンが少なくとも一方の表面に形成されたプリント配線基板と、
前記回路パターン上に、前記2つの端子間の電流路方向に沿って延びるようにかつ前記2つの端子の周りにおいて該各端子とは分離して実装され、前記電流路方向と直交する流路直交方向の幅が前記回路パターンの幅よりも狭い帯状の電流補強部材とを備えている
ことを特徴とするプリント回路基板。 - 請求項1記載のプリント回路基板において、
前記2つの端子間の中間位置における前記電流補強部材の周りには、前記2つの端子とは異なる端子が設けられている
ことを特徴とするプリント回路基板。 - 請求項1記載のプリント回路基板において、
前記プリント配線基板には、前記電流補強部材を前記流路直交方向への移動が規制された状態に位置決めする位置決め部が立設されている
ことを特徴とするプリント回路基板。 - 請求項3記載のプリント回路基板において、
前記位置決め部は、前記回路パターンと前記電流補強部材との間に介在された板状のベース部と、前記ベース部に一体的に立設され、前記電流補強部材の流路直交方向への移動を規制する移動規制部とを備えている
ことを特徴とするプリント回路基板。 - 請求項4記載のプリント回路基板において、
前記位置決め部のベース部は、前記電流補強部材の側壁の外側まで延びる延出部を有し、
前記電流補強部材の側壁、前記延出部及び前記回路パターンが一体的に半田付けされている
ことを特徴とするプリント回路基板。 - 請求項3記載のプリント回路基板において、
前記位置決め部は、前記電流補強部材を両側から挟むように立ちあがり、該電流補強部材の前記流路直交方向への移動を規制する移動規制部を備えている
ことを特徴とするプリント回路基板。 - 請求項4または6に記載のプリント回路基板において、
前記位置決め部は、前記移動規制部に突設されかつ前記電流補強部材が前記プリント回路基板から離れる方向に抜け出すのを規制する抜止部を備えている
ことを特徴とするプリント回路基板。 - 請求項4または6に記載のプリント回路基板において、
前記位置決め部の移動規制部は、前記電流補強部材の厚さ方向の外側まで突出する突出部をさらに備え、
前記プリント回路基板は、前記突出部を挿通するための挿通孔が貫通形成された天板と、前記電流補強部材を両側から挟むように立ち下がる側板からなる抜止部をさらに備え、
前記抜止部は、前記移動規制部の突状部が前記挿通孔に挿通された状態で該移動規制部に抜け止め固定されており、前記電流補強部材が前記プリント回路基板から離れる方向に抜け出すのを規制する
ことを特徴とするプリント回路基板。 - 請求項1から8のうちのいずれか1項に記載のプリント回路基板において、
前記電流補強部材は、一部が他の部分に対し前記流路直交方向へ相対変形可能な可撓性を有する
ことを特徴とするプリント回路基板。 - 請求項1から9のうちのいずれか1項に記載のプリント回路基板に複数の電子部品が実装されたプリント回路装置であって、
前記電子部品の部品端子が前記回路パターンの端子に半田付けされている
ことを特徴とするプリント回路装置。 - プリント配線基板の少なくとも一方の表面に2つの端子を有する回路パターンを形成するステップと、
前記回路パターン上において、前記回路パターンの幅よりも幅の狭い帯状の電流補強部材を、前記2つの端子と分離してかつ前記2つの端子間の電流路方向に沿うように配置するステップと、
前記電流補強部材を前記回路パターンに半田付けするステップとを備えている
ことを特徴とするプリント回路基板の製造方法。 - 複数の電子部品が実装されたプリント回路装置の製造方法であって、
プリント配線基板の少なくとも一方の表面に2つの端子を有する回路パターンを形成するステップと、
前記回路パターンが形成された前記プリント配線基板に前記各電子部品を配置するステップと、
前記回路パターン上において、前記回路パターンの幅よりも幅の狭い帯状の電流補強部材を、前記2つの端子及び部品端子と分離してかつ前記2つの端子間の電流路方向に沿うように配置するステップと、
前記プリント配線基板に配置された電子部品の部品端子と前記回路パターン上の端子とを半田付けするステップと、
前記回路パターン上に配置された電流補強部材を前記回路パターンに半田付けするステップとを備えている
ことを特徴とするプリント回路装置の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2017023059A JP2018129465A (ja) | 2017-02-10 | 2017-02-10 | プリント回路基板及びプリント回路装置並びにそれらの製造方法 |
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JP2018129465A true JP2018129465A (ja) | 2018-08-16 |
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ID=63174328
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JP2017023059A Pending JP2018129465A (ja) | 2017-02-10 | 2017-02-10 | プリント回路基板及びプリント回路装置並びにそれらの製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2021052185A (ja) * | 2019-09-23 | 2021-04-01 | 耕一郎 水田 | 電子部品 |
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2017
- 2017-02-10 JP JP2017023059A patent/JP2018129465A/ja active Pending
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