JP2018128399A - 固体燃料発火性評価方法 - Google Patents

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朗 中嶋
Akira Nakajima
朗 中嶋
哲正 山口
Tetsumasa Yamaguchi
哲正 山口
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Abstract

【課題】 固体燃料の堆積粉体塊の発熱現象の評価し、粉砕機内等での固体燃料発火性を評価する固体燃料発火性評価方法を提供する。【解決手段】 固体燃料の堆積粉体塊の発火性を評価する方法であって、前記固体燃料に関する自然発火評価試験の昇温速度の解析から得られた発熱速度と、前記固体燃料の熱物性値とを用いて、前記固体燃料の堆積粉体塊の発熱状態を表す下記非定常3次元直交座標系(x,y,z)の熱伝導方程式(1)を差分化して数値的に解くことで、前記堆積粉体塊の発熱を予測する。【数1】(ここで、λは熱伝導率[J/m/s/K]、Cpは比熱[J/kg/K]、ρはかさ密度[kg/m3]、Tは絶対温度[K]、Qは単位体積あたりの発熱量[W/m3]である)【選択図】 なし

Description

本発明は、粉砕機内等の石炭等の固体燃料の発火性を評価する固体燃料発火性評価方法に関する。
国内の微粉炭火力発電所において、コスト削減およびエネルギーセキュリティの確保の観点から、低品位炭の利用拡大が進んでいるが、これらの低品位炭のうち、亜瀝青炭、褐炭の中には発熱性が高いと考えられている石炭が含まれる。
ここで、発電所では、高い燃焼効率を得るため、石炭を粉砕機で微粉砕するとともに、加熱空気を用いて、石炭中の水分を乾燥させているが、低品位炭を粉砕する際に、粉砕機の内部での石炭の発火が懸念されている。
粉砕機内での石炭の発火は、粉砕機内に局所的に堆積した石炭(微粉炭)が蓄熱し、発火することが主な原因であると考えられている。粉砕機内での石炭の発火が発生すると、装置の点検と復旧のために、プラントの計画外のプラント停止が長期にわたる可能性がある。
粉砕機内での石炭の発火を未然に防止するためには、発火の危険性を事前に予測し、発火の危険性が高いと判断される石炭は、粉砕機の運用方法の変更や、発火の危険性の低い石炭との混炭などによって、発火の危険性を低減させる運用を図ることが重要である。
しかしながら、石炭の発火に至る堆積量と雰囲気温度の関係など、粉砕機内で石炭が発火する詳細な条件は明らかにされておらず、粉砕機内での石炭の発火の評価の方法も確立されていないのが現状である。
ところで、石炭の発熱に関する研究は、これまでにも基礎的、実用的な研究が数多くなされており、その評価法についても数多くある。
例えば、自然発火評価手法として、島津製作所製の自然発火評価試験装置(Spontaneous Ignition Tester−2、以下、SIT−2とする)がある。この装置は、試料を充填した反応器を恒温槽に設置し、空気を流通させ、恒温槽の温度を、試料の温度に追従するように、恒温槽を制御して試料温度を監視する試験法である(特許文献1参照)。
この試験法は、国内では、石炭の発火性を評価するのによく用いられる方法であるが、堆積粉体塊が断熱状態に置かれており、粉砕機内の石炭の状態と異なるため、この結果をそのまま発熱現象の評価に適用することは難しい。
その他の自然発火評価手法としては、自己発熱性評価試験装置(Wire Basket法、以下、WB法とする)がある。この試験の方法は、試料を充填した1辺25mmもしくは100mmのメッシュ状の立方体容器を恒温槽内に懸架し、槽内の温度を所定の温度に保持し、所定の時間内の発火の有無を評価し、その結果によって、試料の発熱性を判定する方法である。また、WB法を対象とした、簡易計算モデルが検討されている。1次元直交座標系の熱伝導方程式を解くことで、堆積物の温度上昇を計算により求めることができる(非特許文献1参照)。
この方法は、堆積物からの放熱の影響が考慮されているが、評価の対象とする温度域が、粉砕機内の雰囲気とは異なっている。また、1次元直交座標系における計算は、精度に課題があると考えられ、その評価結果をそのまま粉砕機内の石炭の発熱現象の評価に適用することは難しい。
粉砕機の出口のガス中のCO、COの濃度を測定し、発火の予兆があるときには、発熱性が低いとされる石炭の供給量を増やすようにする粉砕機内の発火防止方法が提案されている(特許文献2参照)。しかしながら、この方法では、粉砕機内の雰囲気ガスの連続分析を行う必要があり、既存設備に対して導入する場合には設備投資が必要になるという問題がある。
また、粉砕機の出口のガス中のCOの濃度を測定し、発火の予兆があるときには、熱風の熱量を低下させるとともに、石炭の供給量を減少させる石炭粉砕方法が提案されている(特許文献3参照)。しかしながら、この方法を実現するためには、粉砕機内の雰囲気ガスの連続分析を行う必要があり、既存設備に対して導入する場合には設備投資が必要になるという問題がある。
特許3511787号公報 特許5385853号公報 特許5710149号公報
清水芳忠他、廃棄物の蓄熱発火危険性と危険性予測(1)、神奈川産業技術センター研究報告No.16、2010
本発明は、上記従来技術に鑑み、粉砕機内等の石炭等の固体燃料の発熱現象の評価し、粉砕機内等での固体燃料発火性を評価する固体燃料発火性評価方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明の態様は、固体燃料の堆積粉体塊の発火性を評価する方法であって、前記固体燃料に関する自然発火評価試験の昇温速度の解析から得られた発熱速度と、前記固体燃料の熱物性値とを用いて、前記固体燃料の堆積粉体塊の発熱状態を表す下記非定常3次元直交座標系(x,y,z)の熱伝導方程式(1)を差分化して数値的に解くことで、前記堆積粉体塊の発熱を予測する、ことを特徴とする固体燃料発火性評価方法にある。
Figure 2018128399
(ここで、λは熱伝導率[J/m/s/K]、Cpは比熱[J/kg/K]、ρはかさ密度[kg/m3]、Tは絶対温度[K]、Qは単位体積あたりの発熱量[W/m3]である)
かかる態様では、固体燃料に関する自然発火評価試験の昇温速度の解析から得られた発熱速度と、固体燃料の熱物性値とを用いて、固体燃料の堆積粉体塊の発熱状態を表す非定常3次元直交座標系(x,y,z)の熱伝導方程式を差分化して数値的に解くことで、堆積粉体塊の発熱を簡単に予測することができる。
前記熱伝導方程式(1)を、差分法により差分化して差分式を得、前記堆積粉体塊についての、各熱物性データ(λ、Cp、ρ)、発熱速度データ、温度の初期条件、境界条件を与え、各要素に対する温度変化を繰り返し計算することで、任意の時間後の前記堆積粉体塊の温度分布を求める。
ここで、差分化(差分法)とは、微分を時間もしくは空間の有限差の割り算に置き換えることであり、差分近似を行うことで、微分方程式を四則演算で解くことができるようになる。差分法には、陽解法、陰解法などがあるが、以下の実施例においては、陽解法を用いた場合を説明する。
陽解法によると、下記差分式(2)を得る。前記堆積粉体塊についての、各熱物性データ(λ、Cp、ρ)、発熱速度データ、温度の初期条件、境界条件を与え、各要素に対する温度変化を繰り返し計算することで、任意の時間後の前記堆積粉体塊の温度分布を求めることができる。
Figure 2018128399
(ここで、x方向はΔxごと、y方向はΔyごと、z方向はΔzごとに要素分割し、格子点の番号をそれぞれ、i、j、kで表している。時間刻みをΔtとして、その番号はpで表している。また、α=λ/ρCp とする。)
なお、前記発熱速度データは、自然発火評価試験装置(Spontaneous Ignition Tester-2)等の固体試料の自然発火評価試験法を用いた昇温速度の解析により得られるものである。
SIT−2は断熱法に分類される自然発火評価試験法である。断熱法とは、試料を充填した容器を断熱させた恒温槽内に置き、空気または酸素ガス雰囲気で試料の温度を監視し、試料の温度に伴い、恒温槽温度を追従させる方法である。断熱法による試験法には、SIT-2の他にはARC(Accelerating Rate Calorimeter)が挙げられる。
発熱速度データは、昇温速度の解析を行う固体試料の自然発火評価試験法であれば、何れの方法を採用してもよく、断熱法の他には、熱量測定法、等温熱量測定法がある。
熱量測定法とは、測定する試料と基準物質の温度を、ある一定のプログラムに従って変化させ、両者の温度差(ΔT)が0になるように、基準物質側、または、測定試料側に熱を供給し、試料物質の温度に対して、出入りした熱量を測定する手法である。熱量測定法による試験法としては、DSC(Differential Scanning Calorimeter)、C80が挙げられる。
等温熱量測定法とは、精密に温度制御された恒温油層の内部に試料を充填し、そこで発生した微小熱量が外部へ熱伝達する量を熱素子で計測することにより、微少な熱量を計測する方法である。等温熱量測定法による試験法としては、TAM(Thermal Activity Monitor)が挙げられる。
本発明によれば、固体燃料の堆積粉体塊の発熱現象の評価し、粉砕機内等での固体燃料の発火性を簡単に評価することができる固体燃料の堆積粉体塊発火性評価方法を提供することができる。
実施形態で用いたSIT−2の概略構成を示す図である。 SIT−2での試験結果を示す図である。 A炭のアレニウスプロットを示す図である。 堆積粉体塊の中心の温度履歴を示す図である。 堆積粉体塊の大きさと発火限界雰囲気温度との関係を示す図である。 各石炭の堆積粉体塊の大きさと発火限界雰囲気温度との関係を示す図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づき詳細に説明する。
本発明では、石炭等の固体燃料の堆積粉体塊の発火性を評価するために、まず、固体燃料として石炭を代表としてその堆積粉体塊の発熱状態を表す下記非定常3次元直交座標系(x,y,z)の熱伝導方程式(1)とした。
Figure 2018128399
(ここで、λは熱伝導率[J/m/s/K]、Cpは比熱[J/kg/K]、ρはかさ密度[kg/m3]、Tは絶対温度[K]、Qは単位体積あたりの発熱量[W/m3]である)
微粉炭堆積物の発熱を評価するためには、石炭の発熱反応、伝熱、堆積物内のガス流動、拡散、石炭中の水分の蒸発などによる影響を考慮する必要があるが、上記式(1)は、石炭堆積内部での温度上昇が、石炭の酸化による発熱と、伝熱による放熱とによって決定するものとして求めたものである。
本発明の解析対象となる系は比較的小さく、かつ、WB法では、ガス流動や水分蒸発による影響は小さいと考え、堆積物内の酸素濃度は空気と同じ21%であると仮定した。また、かかる熱伝導方程式は、WB法の堆積粉体塊の内部温度分布を解くため、非定常3次元直交座標系(x,y,z)とした。
そして、本発明では、これを差分化して数値的に解くことで、前記堆積粉体塊の発熱を予測する。
ここで、酸化発熱速度がアレニウス型の式で表せるとすると、単位体積あたりの発熱量は式(1−1)で示されるので、式(1−2)は以下の式となる。
Figure 2018128399
ここで、
A:定数(頻度因子)[J/m/s]
Ea:活性化エネルギー[J/mol]
R:気体定数[8.314J/K/mol]
T:石炭の温度[K]
である。
堆積粉体塊の発熱を計算するためにこの偏微分方程式を差分化して数値的に解く手法を用いる。3次元直交座標系で、x方向はΔxごと、y方向はΔyごと、z方向はΔzごとに等間隔に要素分割して格子点の番号をそれぞれ、i,j,kで表す。時間をΔtごとに刻み、その番号はpで表す。式(1)を陽解法により差分化すると以下の差分式が得られる。
Figure 2018128399
ただし、
Figure 2018128399
とした。
堆積粉体塊の形状はWB法と条件を合わせるために立方体とし、一辺の大きさをLとした。また、計算する領域は、堆積粉体塊の物性が均一で、堆積粉体塊の周囲の温度条件が一定の条件として、立方体の各辺の半分の領域(1辺がL/2の立方体)について計算を行うこととし、各辺をn個に分割する。この場合、各計算格子の長さは、
Figure 2018128399
となる。
堆積粉体塊の温度の初期条件は、計算条件として与える雰囲気温度に等しいとする。
壁面の境界条件として、壁面の温度も雰囲気温度に等しいとした。また、計算領域の堆積粉体塊の中心での境界条件は、以下となる。
Figure 2018128399
上述の計算の手法、温度の初期条件、境界条件の考えに基づき、任意の時間後の堆積粉体塊の温度分布を求めることができる。
以下、実施例に基づいてさらに本発明を詳細に説明する。なお、ここでの検討には亜瀝青炭であるA炭と瀝青炭であるB炭を用いた。
(実施例1)
まず、A炭を対象に堆積粉体塊の発熱による温度上昇を本発明の手法により求めることとした。計算に用いたパラメータを表1に示す。かさ密度はWB法で堆積粉体塊の発熱性を測定した際の実績値である。比熱はDSC法(示差走査熱量計DSC Q100 TA instruments社製)により、熱伝導率は熱線法(迅速熱伝導率計QTM500 京都電子工業株式会社製)により、測定した。見かけの活性化エネルギー、頻度因子は、下記に示すSIT−2の解析結果(表2)を用いた。
Figure 2018128399
(SIT−2による解析)
自然発火評価試験装置(Spontaneous Ignition Tester−2、以下、SIT−2とする)を発熱速度の検討に用いた。
試験装置概要を図1に示す。かかる装置は、オーブン31内に反応器32を設け、反応器32内部に円筒状の試験容器33を配置され、試験容器33内部に試料S1を充填できるようになっている。反応器32の下部にはガス供給管34が設けられ、試験容器33の上方に連通する排気管35から換気されるようになっている。
また、反応器32の周囲には、断熱制御用ヒータ36が設けられ、温度調節器37により温度調節されるようになっている。温度調節器37には、反応器32内及び試験容器33内にそれぞれ設けられた熱電対38、39からのデータを取得する増幅器40が接続されている。
さらに、オーブン31の下部には、ヒータ41及び温度調節器42が設けられ、オーブン31内に設けた温度センサ43及び初期温度設定器44により、オーブン31内の初期温度が設定されるようになっている。また、ヒータ41の下方には、ファン45が設けられている。
試験条件は、試験容器33の充填試料量を約800mgとし、反応器32に窒素ガスを2.2ml/minで供給し、反応器32内の石炭試料の温度が安定したら供給ガスを窒素から空気に切り替える方法とし、試料の温度が250℃に達した段階で試験終了とした。
微粉炭火力発電所で石炭を粉砕する際に、高水分炭は、水分の少ない瀝青炭と比べて、粉砕機入口温度が高温であり、石炭の水分含有量に応じて粉砕機入口温度は高くなる。しかし、この乾燥空気の温度は、石炭中の水分の蒸発潜熱によって、粉砕機内への流入直後に下がるために、粉砕機内部温度は、炭種によらず同程度であり、粉砕機出口温度に漸近することを把握している。粉砕機出口温度は、実機では、70℃〜80℃程度で運用されることが多いために、ここでのSIT−2での試験開始温度は、粉砕機内部温度と同等の条件である80℃として検討した。この試験結果を図2に示す。
A炭とB炭は24時間以内に250℃までの発熱を生じた。
次に、以下の解析により、石炭酸化反応の速度定数として、見かけの活性化エネルギー、頻度因子を求めた。
石炭堆積内部での温度上昇は石炭の酸化による発熱と伝熱による放熱によって決定する。このとき、円柱座標系の伝熱の基礎方程式は以下の式となる。
Figure 2018128399
ここで、
ρ:石炭の密度[kg/m3]
Cp:石炭の比熱[J/kg/K]
λ:熱伝導率[J/m/s/K]
Q :単位体積あたりの発熱量[W/m3]
である。
なお、右辺第1項は円筒座標系における熱伝導項、右辺第2項は発熱項を示している。さらに、酸化発熱速度がアレニウス型の式で表せるとすると、単位体積あたりの発熱量は以下で示される。
Figure 2018128399
ここで、
A:定数(頻度因子)[J/m3/s]
Ea:活性化エネルギー[J/mol]
R:気体定数[8.314J/K/mol]
T:石炭の温度[K]
である。
従って、式(11)は以下の式(13)となる。
Figure 2018128399
SIT−2試験法の原理から、内部と外部の温度は同じ温度になるため、
Figure 2018128399
である。
石炭内部を下部から上部へ空気が流れるが、その上部、下部の温度差はなく、θ方向にも温度差はないとすると、
Figure 2018128399
となる。そのため、式(13)は、右辺は発熱項のみの式になり、次式のように表すことができる。
Figure 2018128399
次に、図2の結果を用いて、各温度での上昇速度を求め、その対数を温度の逆数に対してプロットした(アレニウスプロット)。その結果を図3に示す。
図3に見られる通り、昇温の傾向について3つの段階にわけて評価できる。80℃から120℃までの第1の酸化領域(領域(1))と、120℃から200℃までの第2の酸化領域(領域(2))、200℃以上の高温では、酸素不足となり、酸素供給律速の段階(領域(3))となる。
第1の酸化領域と、第2の酸化領域では、Log(dT/dt)に対して1/Tは直線性を有する。各々直線性が異なり、酸化反応が異なっていると考えられた。
このアレニウスプロットから、各温度領域における反応の見かけの活性化エネルギーと頻度因子が計算できる。その結果を表2に示す。
Figure 2018128399
堆積粉体塊1辺の大きさ100mm立方体に対して、下記表3の計算条件で実施した。図4に雰囲気温度が110℃、100℃の場合における堆積粉体塊中心温度の経時変化の計算結果を点線で示す。また、比較のため同図に、比較例としたWB法での110℃、100℃の雰囲気温度の場合における試料温度の経時変化の実測値(実験値)を実線で示す。開始時間(0分)はWB法における実測値においても堆積粉体塊の中心の温度が雰囲気温度に達した段階として示している。
計算結果において雰囲気温度が110℃の条件では、時間の経過に従い内部温度が加速的に上昇した。一方、100℃の計算条件では24時間経過時において、計算結果は一定温度への収束を示した。実験値と比較すると、発熱を生じる場合に250℃までの昇温にかかる時間に差異があり、また、内部温度が収束する場合もその温度に差異はあるが、同様の温度上昇の傾向を示した。
Figure 2018128399
次に、以下の方法によって堆積粉体塊の大きさと発火限界雰囲気温度の関係を計算によって求めた。各々の堆積粉体塊の条件における24時間経過時の計算結果において、堆積粉体塊の中心の温度が初期条件の温度よりも60℃以上の発熱を生じるときを発火と判定し、60℃以上の発熱を生じないときを発火しないと判定する。堆積粉体塊の1辺を15mm〜200mmまで変化させて、各堆積量の条件において発火と判断される下限の雰囲気温度、すなわち、発火限界雰囲気温度を求めた。
図5にA炭における堆積粉体塊の大きさと発火限界雰囲気温度の関係の計算結果を実線で示す。なお、同図に比較例のWB法における発火の有無の実績値(実験値)(〇:発火、×:未発火)を併せて示す。計算結果およびWB法における実績値の双方において、堆積粉体塊が大きくなるほど発火限界雰囲気温度は低くなった。このことから、粉砕機内の発火を防止するためには、粉砕機内の微粉炭の堆積量を少なくすることが重要と考えられる。なお、WB法による実験と同様に、数値解析においても堆積粉体塊が大きくなると、250℃までの昇温に要する時間が長くなることを確認した。さらに、計算結果からは、堆積粉体塊の1辺がある大きさ以上になると粉砕機の内部温度と同等の雰囲気温度80℃でも発火し得ることが予想された。
WB法による実験値と計算値の発火限界雰囲気温度の比較において、立方体の1辺の大きさが100mmの場合、計算値では約100℃であり、実験値は100℃と110℃の間にあるため両者の結果の差異は小さい。一方、立方体の1辺が25mmの場合では、計算値では約220℃であるが実験値では140℃と150℃の間にあり、両者の結果の違いは大きかった。この結果の違いは、式(1)について酸素の拡散や水分蒸発の影響を考慮していないことに起因する可能性があり、計算の精度をさらに高めるには、これらの影響因子も今後考慮する必要があると考えられる。
さらに、瀝青炭B炭についても、堆積量と発火限界雰囲気温度の関係を亜瀝青炭A炭と同様に計算により求めた。かさ密度(ρ)はWB法において充填した石炭量から計算し、発熱速度データ(Ea, A’)は、前述のSIT−2の解析により求めた値(表2)を用いた。比熱(Cp)、熱伝導率(λ)は、炭種の違いによる差は小さいと考え、亜瀝青炭A炭と同じ値(表1)を用いた。
計算結果による各石炭の堆積粉体塊の大きさと発火限界雰囲気温度の関係を図6に示す。堆積粉体塊の大きさが1辺100mm立方体での計算結果を比較すると、発火限界雰囲気温度は、亜瀝青炭A炭の方が低い。また、粉砕機内の雰囲気温度と同等の雰囲気温度80℃で発火する堆積粉体塊の大きさを比較すると、亜瀝青炭A炭の方が小さい。よって、亜瀝青炭A炭の方が少ない堆積量で発火することになるので、瀝青炭B炭より粉砕機内での発火の危険性が高い石炭と判断される。
発電所でこの発明を応用する場合には、例えば、以下の方法での利用が考えられる。発電所で受入予定の石炭に対し、本発明を適用し、粉砕機内での石炭の発火の危険度に応じて、数値化やランク付けをする。発火性が高いと判断される石炭は発電所に受入をしない。もしくは、発火性の高い石炭は、発火性の低い石炭と混炭して運用することによって、粉砕機内の石炭の発火を防止できる。または、発火性の高い石炭は、粉砕機出口温度を下げる運用を図ることで、粉砕機内の石炭の発火を防止することができる。粉砕機出口温度を下げることは、通常の運用と比べて、石炭の乾燥効率が下がり、その結果、ボイラでの燃焼効率は下がることになるが、発火の危険度を効率的に下げることに比べて、その影響は小さいと考えられる。
すなわち、本発明を利用することで、上述の通り、粉砕機内の石炭の発火災害を未然に防止できる。また、低品位炭の効率的な運用が図れるので、低品位炭の導入拡大、それに伴う燃料調達コスト削減に寄与することができる。
発電所においては、石炭の他に、バイオマス燃料や汚泥炭化燃料等の固体燃料を混焼して利用することがあるが、その場合においても本発明は適用できる。また、実施例において説明した粉砕機内の発火に限らず、貯炭場や、バイオマス貯蔵場などでの固体燃料の堆積粉体塊の発熱予測にも本発明は適用できる。
本発明は、例えば、微粉炭火力発電所などの発電所、又は、原料石炭を粉砕して原料とする各種ボイラを運用する施設において、有用に用いることができ、発火の危険性を低減することができる。
31 オーブン
32 反応器
33 試験容器
34 ガス供給管
35 排気管
36 断熱制御用ヒータ
37 温度調節器
38、39 熱電対
40 増幅器
41 ヒータ
42 温度調節器
43 温度センサ
44 初期温度設定器
45 ファン
S1 試料

Claims (3)

  1. 固体燃料の堆積粉体塊の発火性を評価する方法であって、
    前記固体燃料に関する自然発火評価試験の昇温速度の解析から得られた発熱速度と、前記固体燃料の熱物性値とを用いて、前記固体燃料の堆積粉体塊の発熱状態を表す下記非定常3次元直交座標系(x,y,z)の熱伝導方程式(1)を差分化して数値的に解くことで、前記堆積粉体塊の発熱を予測する、ことを特徴とする固体燃料発火性評価方法。
    Figure 2018128399
    (ここで、λは熱伝導率[J/m/s/K]、Cpは比熱[J/kg/K]、ρはかさ密度[kg/m3]、Tは絶対温度[K]、Qは単位体積あたりの発熱量[W/m3]である)
  2. 前記熱伝導方程式(1)を、差分法により差分化して差分式を得て、前記堆積粉体塊についての、各熱物性データ(λ、Cp、ρ)、発熱速度データ、温度の初期条件、境界条件を与え、各要素に対する温度変化を繰り返し計算することで、任意の時間後の前記堆積粉体塊の温度分布を求める、ことを特徴とする請求項1記載の固体燃料発火性評価方法。
  3. 前記発熱速度データは、自然発火評価試験装置(Spontaneous Ignition Tester-2)に代表される固体燃料の自然発火評価試験法を用いた昇温速度の解析により得られるものである、ことを特徴とする請求項2記載の固体燃料発火性評価方法。
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