JP2018127956A - ターボ圧縮機装置および冷凍サイクル装置 - Google Patents

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淳貴 吉本
松山 哲也
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Abstract

【課題】圧縮機の電流またはトルクを制限しつつ回転軸および軸受の摩耗低減を実現することに適した技術を提供する。【解決手段】圧縮機モータ101のトルクの絶対値または圧縮機モータ101の電流ベクトルの振幅を値Aと定義したとき、電源110からコンバータ107への電力供給が遮断されているという条件と、値Aが第1制限値を上回っているという条件と、を含む複数の条件が成立しているときに、ポンプ電力低減運転が行われる。ポンプ電力低減運転において、圧縮機モータ101は、回生駆動により回生電力を生成し、ポンプモータ102は、回生電力で駆動され、制御装置104は、値Aを第1制限値に追従させる制御と、ポンプモータ102に供給される電力を低下させる制御と、を行う。【選択図】図1

Description

本開示は、ターボ圧縮機装置および冷凍サイクル装置に関する。
圧縮機を用いたシステムおよびモータ制御について、種々の提案がなされている。例えば、特許文献1には、図13に示すような冷凍機900が記載されている。冷凍機900は、圧縮機901、蒸発器902、凝縮器904、冷却塔916、および冷却水ポンプ918を備えている。冷凍機900では、水が冷媒として用いられている。圧縮機901は、回転軸910、翼車912、および軸受920を有している。冷却水ポンプ918の吐出圧は、水を、冷却塔916から凝縮器904に供給するとともに、冷却塔916から軸受920に供給する。軸受920に供給された水は、潤滑剤として作用する。特許文献2および非特許文献1では、モータ制御について記載されている。
特許第5575379号 特開2015−126598号公報
前田雄一郎、井上征則、森本茂雄、真田雅之、「インバータの過変調領域を利用する埋込磁石同期モータのための直接トルク制御システムの運転特性(Operating Characteristics of Direct Torque Control System for Interior Permanent Magnet Synchronous Motors in Overmodulation Region)」平成24年電気学会産業応用部門大会、Vol.3, pp243−246(2012−8)
圧縮機の回転軸と軸受との接触により、回転軸が摩耗したり軸受が摩耗したりすることがある。特許文献1の技術には、摩耗低減の観点から改善の余地がある。また、モータの損傷を防止する観点から、圧縮機の電流またはトルクを制限することが望ましい場合がある。本開示は、圧縮機の電流またはトルクを制限しつつ回転軸および軸受の摩耗低減を実現することに適した技術を提供することを目的とする。
すなわち、本開示は、
電源に接続されうるターボ圧縮機装置であって、
回転軸、前記回転軸を支持する軸受、前記回転軸が回転することで冷媒を圧縮および吐出する圧縮機構、前記回転軸を回転させる圧縮機モータ、および、前記軸受に潤滑剤を供給する潤滑剤供給路、を有するターボ圧縮機と、
前記潤滑剤供給路を介して前記軸受に前記潤滑剤を供給する駆動力を発生するポンプモータ、を有する潤滑ポンプと、
コンバータであって、前記電源から前記コンバータへの電力供給が継続されているときに、前記電源の電圧と直流電圧部の直流電圧Vdcとの間で電力変換を行うコンバータと、
前記直流電圧Vdcと前記圧縮機モータの第1交流電圧ベクトルとの間で電力変換を行う第1インバータと、
前記直流電圧Vdcと前記ポンプモータの第2交流電圧ベクトルとの間で電力変換を行う第2インバータと、
前記第1インバータおよび前記第2インバータを制御する制御装置と、を備え、
前記圧縮機モータのトルクの絶対値または前記圧縮機モータの電流ベクトルの振幅を値Aと定義したとき、前記電源から前記コンバータへの電力供給が遮断されているという条件と、前記値Aが第1制限値を上回っているという条件と、を含む複数の条件が成立しているときに、ポンプ電力低減運転が行われ、
前記ポンプ電力低減運転において、
前記圧縮機モータは、回生駆動により回生電力を生成し、
前記ポンプモータは、前記回生電力で駆動され、
前記制御装置は、前記値Aを前記第1制限値に追従させる制御と、前記ポンプモータに供給される電力を低下させる制御と、を行う、ターボ圧縮機装置を提供する。
本開示に係る技術は、圧縮機の電流またはトルクを制限しつつ回転軸および軸受の摩耗低減を実現することに適している。
ターボ圧縮機装置の構成図 圧縮機の構成図 空気調和装置の構成図 制御方法を示すフロー図 制御を説明するためのタイミング図 座標系の説明図 制御部のブロック図 制御部のブロック図 制御部のブロック図 制御部のブロック図 制御部のブロック図 制御部のブロック図 従来技術における冷凍機の構成図
(本発明者らによる知見)
特許文献1に記載されているような冷凍機を駆動させるためには、圧縮機を駆動させるためのインバータおよび冷却水ポンプを駆動させるためのインバータを設けることが考えられる。しかし、何らかの原因で電力系統からの電力供給が遮断されると、圧縮機および冷却水ポンプは、これらのインバータから電力が供給されない状態となる。また、制御されない状態(フリーラン状態)になる。このような状況において、冷却水ポンプの回転数は、冷却水ポンプ前後の差圧により低下し、比較的短時間でゼロになる。特許文献1の冷凍機では冷却水ポンプを利用して潤滑剤(水)を圧縮機の軸受に供給するので、比較的短時間で潤滑剤の軸受への供給が不可能となる。一方、上記の状況において、圧縮機の回転エネルギーはゆっくりと低下する。このため、比較的長期間にわたり圧縮機の回転軸の高速回転が維持される。結果として、潤滑剤が圧縮機の軸受に送られることなく圧縮機の回転軸が高速回転する期間が生じる。この期間では、圧縮機の回転軸と軸受とが接触し易いため、回転軸および軸受が摩耗し易い。摩耗は、圧縮機の寿命を短くしたり、圧縮機を故障し易くしたりする。
そこで、本発明者らは、電源からの電力供給が遮断されても圧縮機の軸受への潤滑剤の供給を維持できる技術を検討した。そして、何らかの理由で系統または電源が遮断した場合には圧縮機の回転エネルギーをポンプに供給することで潤滑剤の供給を継続することを思いついた。具体的には、圧縮機のモータを回生駆動させて回生電力を生成し、回生電力を圧縮機用のインバータにより直流電力に変換し、直流電力をポンプ用のインバータにより交流電力に変換し、この交流電力をポンプのモータに供給することを思いついた。
ところで、圧縮機のモータに過度な電流またはトルクが印加されると、モータが損傷するおそれがある。このような損傷を防止するためには、電流またはトルクを制限することが考えられる。具体的には、電流またはトルクが制限値に達したときに電流またはトルクがそれ以上増加しないようにする制御を開始することが考えられる。しかし、本発明者らの検討によると、圧縮機の回転エネルギーをポンプに供給しつつこのような制御を行うと、以下のような問題が生じる。すなわち、電流またはトルクの制限がかかった時点を境に、圧縮機で回生可能な電力が急激に減少する。回生可能な電力が減少して回生電力でポンプ動力を賄うことができなくなると、上記直流電力の電路(直流電圧部)における直流電圧が急激に低下する。直流電圧の低下は、圧縮機用のインバータおよびポンプ用のインバータの停止を引き起こす。圧縮機用のインバータの停止は、該インバータによる圧縮機モータの制動を不可能にする(圧縮機のフリーランを引き起こす)。ポンプ用のインバータの停止は、軸受への冷媒供給を困難にする。すなわち、これらのインバータの停止により、回転軸および軸受が摩耗し易くなり、圧縮機の寿命が短くなり、圧縮機が故障し易くなる。
そこで、本発明者らは、圧縮機の電流またはトルクを制限しつつ回転軸および軸受の摩耗低減を実現することに適した技術を提供することを目指した。具体的には、圧縮機の電流またはトルクを制限しつつ、圧縮機用のインバータによる圧縮機モータの制動を維持しつつ、軸受への冷媒供給を維持することに適した技術を提供することを目指した。
本開示の第1態様は、
電源に接続されうるターボ圧縮機装置であって、
回転軸、前記回転軸を支持する軸受、前記回転軸が回転することで冷媒を圧縮および吐出する圧縮機構、前記回転軸を回転させる圧縮機モータ、および、前記軸受に潤滑剤を供給する潤滑剤供給路、を有するターボ圧縮機と、
前記潤滑剤供給路を介して前記軸受に前記潤滑剤を供給する駆動力を発生するポンプモータ、を有する潤滑ポンプと、
コンバータであって、前記電源から前記コンバータへの電力供給が継続されているときに、前記電源の電圧と直流電圧部の直流電圧Vdcとの間で電力変換を行うコンバータと、
前記直流電圧Vdcと前記圧縮機モータの第1交流電圧ベクトルとの間で電力変換を行う第1インバータと、
前記直流電圧Vdcと前記ポンプモータの第2交流電圧ベクトルとの間で電力変換を行う第2インバータと、
前記第1インバータおよび前記第2インバータを制御する制御装置と、を備え、
前記圧縮機モータのトルクの絶対値または前記圧縮機モータの電流ベクトルの振幅を値Aと定義したとき、前記電源から前記コンバータへの電力供給が遮断されているという条件と、前記値Aが第1制限値を上回っているという条件と、を含む複数の条件が成立しているときに、ポンプ電力低減運転が行われ、
前記ポンプ電力低減運転において、
前記圧縮機モータは、回生駆動により回生電力を生成し、
前記ポンプモータは、前記回生電力で駆動され、
前記制御装置は、前記値Aを前記第1制限値に追従させる制御と、前記ポンプモータに供給される電力を低下させる制御と、を行う、ターボ圧縮機装置を提供する。
第1態様に係る技術は、圧縮機の電流またはトルクを制限しつつ回転軸および軸受の摩耗低減を実現することに適している。具体的には、第1態様に係る技術は、圧縮機の電流またはトルクを制限しつつ、第1インバータによる圧縮機モータの制動を維持しつつ、軸受への冷媒供給を維持することに適している。
本開示の第2態様は、第1態様に加え、
前記制御装置は、前記電源から前記コンバータへの電力供給が継続されているときに通常運転を行い、
前記通常運転において前記値Aが第2制限値を上回っているときに、前記制御装置は、前記値Aを前記第2制限値に追従させる制御を行い、
前記第1制限値は、前記第2制限値よりも大きいターボ圧縮機装置を提供する。
第2態様では、第2制限値は、第1制限値よりも小さい。このことは、通常運転時における圧縮機モータの損傷を防止することに適している。逆にいうと、第1制限値は、第2制限値よりも大きい。このようにすれば、圧縮機の電流またはトルクの制限が開始されるタイミングを遅らせることができる。このことは、圧縮機の回転数の低下が急である領域から低下がなだらかである領域に切り替わるタイミングを遅らせることができることを意味する。つまり、第2態様は、圧縮機の回転数を素早くゼロにすることで、回転軸および軸受の摩耗を発生し難くする。
また、圧縮機の電流またはトルクの制限が開始されるタイミングを遅らせることができることは、回生可能な電力が大きい期間を長くできることを意味する。この期間が長いことにより、圧縮機の回転数が高い場合および負荷変動でポンプ動力が大きくなる場合において、第1インバータの運転を継続し易くなり、第1インバータによる圧縮機モータの制動を維持し易くなり、回転軸および軸受の摩耗を抑え易くなる。
本開示の第3態様は、第1態様または第2態様に加え、
前記制御装置は、前記ポンプ電力低減運転において、前記ポンプモータの回転数および前記ポンプモータのトルクの絶対値から選択される少なくとも1つを低下させる制御を行うターボ圧縮機装置を提供する。
第3態様によれば、ポンプ電力低減運転においてポンプモータに供給される電力を容易に低下させることができる。
本開示の第4態様は、第1態様〜第3態様のいずれか1つに加え、
前記制御装置は、前記ポンプ電力低減運転において、前記直流電圧Vdcを目標直流電圧に近づける制御を行うターボ圧縮機装置を提供する。
ここで、前記目標直流電圧は、前記通常運転のときの前記第2交流電圧ベクトルの振幅の1/R2倍以上であり、前記R2は、線形領域で前記第2インバータが動作する場合における前記直流電圧Vdcに対する前記第2交流電圧ベクトルの振幅の比率の上限値であり、前記第2インバータの前記線形領域は、前記直流電圧Vdcに対して前記第2交流電圧ベクトルの振幅が理論上線形に変化する動作領域である。
第4態様によれば、ポンプ電力低減運転における圧縮機モータおよびポンプモータの挙動が安定し易い。
本開示の第5態様は、第1態様〜第4態様のいずれか1つに加え、
前記ターボ圧縮機装置は、前記電源から前記コンバータへの電力供給が継続されているときに、前記電源の電圧を用いて前記ポンプモータを駆動させる通常運転を行い、
前記複数の条件は、前記第1交流電圧ベクトルの振幅が第1閾値振幅未満であるという条件を含むターボ圧縮機装置を提供する。
ここで、前記第1閾値振幅は、前記通常運転のときの前記第2交流電圧ベクトルの振幅以上である。
第1交流電圧ベクトルの振幅が大きいときには、圧縮機モータによる回生可能な電力が大きい。第5態様によれば、そのようなポンプモータに供給される電力を低下させる制御が必要でないときに、同制御が行われることを防止することができる。
本開示の第6態様は、第1態様〜第5態様のいずれか1つに加え、
前記制御装置は、前記電源から前記コンバータへの電力供給が遮断された時点以後に開始され前記ポンプ電力低減運転が始まる時点において終了する期間において、前記ポンプモータに供給する前記回生電力を一定に維持する制御を行うターボ圧縮機装置を提供する。
第6態様によれば、第6態様で規定する期間において、軸受への潤滑剤の供給量を安定させることができる。
本開示の第7態様は、
第1態様〜第6態様のいずれか1つのターボ圧縮機装置を含む冷凍サイクル装置を提供する。
第7態様によれば、第1態様〜第6態様のいずれか1つのターボ圧縮機装置の効果を有する冷凍サイクル装置を提供することができる。
本開示の第8態様は、
回転軸、前記回転軸を支持する軸受、前記回転軸が回転することで冷媒を圧縮および吐出する圧縮機構、前記回転軸を回転させる圧縮機モータ、および、前記軸受に潤滑剤を供給する潤滑剤供給路、を有するターボ圧縮機と、
前記潤滑剤供給路を介して前記軸受に前記潤滑剤を供給する駆動力を発生するポンプモータ、を有する潤滑ポンプと、
コンバータであって、電源から前記コンバータへの電力供給が継続されているときに、前記電源の電圧と直流電圧部の直流電圧Vdcとの間で電力変換を行うコンバータと、
前記直流電圧Vdcと前記圧縮機モータの第1交流電圧ベクトルとの間で電力変換を行う第1インバータと、
前記直流電圧Vdcと前記ポンプモータの第2交流電圧ベクトルとの間で電力変換を行う第2インバータと、備えたターボ圧縮機装置の制御方法であって、
前記圧縮機モータのトルクの絶対値または前記圧縮機モータの電流ベクトルの振幅を値Aと定義したとき、前記電源から前記コンバータへの電力供給が遮断されているという条件と、前記値Aが第1制限値を上回っているという条件と、を含む複数の条件が成立しているときに、ポンプ電力低減運転が行われ、
前記ポンプ電力低減運転において、
前記圧縮機モータは、回生駆動により回生電力を生成し、
前記ポンプモータは、前記回生電力で駆動され、
前記値Aを前記第1制限値に追従させる制御と、前記ポンプモータに供給される電力を低下させる制御と、が行われる、ターボ圧縮機装置の制御方法を提供する。
第8態様によれば、第1態様の効果と同じ効果を得ることができる。
本開示の第9態様は、
第8態様のターボ圧縮機装置を含む冷凍サイクル装置の制御方法であって、
前記ターボ圧縮機装置を第8態様の制御方法で制御する冷凍サイクル装置の制御方法を提供する。
第9態様によれば、第7態様の効果と同じ効果を得ることができる。
ターボ圧縮機装置および冷凍サイクル装置の技術は、ターボ圧縮機装置の制御方法および冷凍サイクル装置の制御方法に適用できる。ターボ圧縮機装置の制御方法および冷凍サイクル装置の制御方法の技術は、ターボ圧縮機装置および冷凍サイクル装置に適用できる。
(第一の実施形態)
図1は、本実施形態のターボ圧縮機装置100の概略構成図である。図1に示すように、ターボ圧縮機装置100は、圧縮機インバータ(第1インバータ)103、ポンプインバータ(第2インバータ)105、コンバータ107、直流電圧部106、制御装置104、圧縮機120、潤滑ポンプ130、電圧センサ108、および電圧センサ109を有している。圧縮機120は、圧縮機モータ101を有している。潤滑ポンプ130は、ポンプモータ102を有している。ターボ圧縮機装置100は、電源110と接続されうる。具体的には、コンバータ107は、電源110と接続されうる。
電源110は、ターボ圧縮機装置100に電圧Vsを入力する。電圧Vsは、交流電圧である。本実施形態では、電源110は、系統電源である。電源110は、単相の系統電源であってもよく、3相の系統電源であってもよい。つまり、電圧Vsは、単相の系統電圧であってもよく、3相の系統電圧であってもよい。電源110は、系統電源以外の外部電源であってもよい。
直流電圧部106は、典型的には電線である。以下では、直流電圧部106の直流電圧を、直流電圧Vdcと称する。図1に示す例では、直流電圧部106に、コンバータ107、圧縮機インバータ103およびポンプインバータ105が接続されている。つまり、コンバータ107、圧縮機インバータ103およびポンプインバータ105は、直流電圧部106によって電気的に接続されている。
コンバータ107は、1次側端子および2次側端子を有する。1次側端子は、電源110側の端子である。2次側端子は、インバータ103,105側の端子であり、直流電圧部106に接続されている。
電源110からコンバータ107への電力供給が継続されているときには、コンバータ107は、電源110の電圧と直流電圧部106の直流電圧Vdcとの間で電力変換を行う。具体的には、電圧Vsを整流することによって、電圧Vsを直流電圧Vdcに変換する。本実施形態のコンバータ107は、直流電圧Vdcを変化させることができる。なお、圧縮機モータ101が回生駆動するときは、直流電圧Vdcは、圧縮機モータ101の回生電力由来のものとなる。コンバータ107として、公知のコンバータを採用できる。コンバータ107の例は、ダイオードブリッジを含む。コンバータ107の具体例は、3相PWMコンバータである。
圧縮機インバータ103は、直流電圧部106および圧縮機モータ101に接続されている。圧縮機インバータ103は、直流電圧部106の直流電圧Vdcと圧縮機モータ101の第1交流電圧ベクトルとの間で電力変換を行う。圧縮機インバータ103は、圧縮機モータ101が力行駆動するときは、第1交流電圧ベクトルが所望の交流電圧ベクトルになるように、直流電圧Vdcを第1交流電圧ベクトルに変換することができる。圧縮機インバータ103は、圧縮機モータ101が回生駆動するときは、直流電圧Vdcが所望の直流電圧になるように、第1交流電圧ベクトルを直流電圧Vdcに変換することができる。本実施形態の圧縮機インバータ103は、パワーMOSFET、IGBT等の半導体スイッチング素子を用いた3相交流インバータである。本実施形態の圧縮機インバータ103は、PWMインバータである。本実施形態の第1交流電圧ベクトルは、3相交流電圧である。
圧縮機120は、ターボ(遠心型)圧縮機である。図2に示す本実施形態の圧縮機120は、筐体121と、回転体123と、軸受124と、圧縮機モータ101と、圧縮機吸入管125と、圧縮機吐出管126と、潤滑剤供給路127と、潤滑剤排出路128とを有している。なお、圧縮機120は、1段で構成されていても、多段で構成されていてもよい。
筐体121は、内部空間を有している。この内部空間には、回転体123、軸受124および圧縮機モータ101が配置されている。
回転体123は圧縮機構123aおよび回転軸123bを含んでいる。圧縮機モータ101は、ステータ101aおよびロータ101bを含んでいる。回転軸123bに、圧縮機構123aおよびロータ101bが取り付けられている。圧縮機モータ101の駆動力によってロータ101b、回転軸123bおよび圧縮機構123aが回転し、圧縮機構123aが冷媒(作動流体)を圧縮する。冷媒は、具体的には冷媒ガスであり、より具体的には水を主成分とする蒸気である。冷媒は、筐体121外から圧縮機吸入管125を通じて圧縮機構123aに吸入される。圧縮後の冷媒は、圧縮機構123aから圧縮機吐出管126を通じて筐体121外へと排出される。圧縮機吸入管125および圧縮機吐出管126は、圧縮機構123aに接続されている。
本実施形態では、軸受124は複数存在する。複数の軸受124は、回転軸123bに沿って、間隔をあけて配置されている。本実施形態では、軸受124は、すべり軸受であり、圧縮機モータ101の両端を含む位置に設置されている。すべり軸受の例は、ジャーナル軸受とスラスト軸受とを含む。軸受124には、筐体121外から潤滑剤供給路127を通じて潤滑剤(この例では水を主成分とする潤滑剤)が供給される。また、潤滑後の潤滑剤は、潤滑剤排出路128を通じて筐体121外へと排出される。なお、軸受124は、ころがり軸受であってもよい。ころがり軸受も、すべり軸受と同様にに潤滑されうる。
圧縮機モータ101の例は、同期モータまたは誘導モータである。圧縮機モータ101の具体例は、永久磁石モータの一種である埋込磁石同期モータ(IPMSM:Interior Permanent Magnet Synchronous Motor)である。埋込磁石同期モータは、d軸インダクタンスLdとq軸インダクタンスLqとが相違する突極性(一般には、Ld>Lqの逆突極性)を有し、マグネットトルクに加えてリラクタンストルクも利用できる。このため、埋込磁石同期モータのモータ効率は極めて高い。さらに、圧縮機モータ101は、制動時に回生動作を行うときに、極めて高いジェネレータ効率を示す。圧縮機モータ101の軸出力は、圧縮機120の圧縮機構123aに伝達される。
図1に戻って、ポンプインバータ105は、直流電圧部106およびポンプモータ102に接続されている。ポンプインバータ105は、直流電圧部106の直流電圧Vdcとポンプモータ102の第2交流電圧ベクトルとの間で電力変換を行う。ポンプインバータ105は、第2交流電圧ベクトルが所望の交流電圧ベクトルになるように、直流電圧Vdcを第2交流電圧ベクトルに変換することができる。本実施形態のポンプインバータ105は、パワーMOSFET、IGBT等の半導体スイッチング素子を用いた3相交流インバータである。本実施形態のポンプインバータ105は、PWMインバータである。本実施形態では、ポンプインバータ105は、圧縮機インバータ103と同じインバータである。ただし、ポンプインバータ105は、圧縮機インバータ103と異なるインバータであってもよい。本実施形態の第2交流電圧ベクトルは、3相交流電圧である。
潤滑ポンプ130は、ポンプモータ102を用いて潤滑剤を軸受124へ圧送する。具体的に、潤滑ポンプ130は、潤滑剤を吸い込み、潤滑剤を圧縮機120の潤滑剤供給路127経由で軸受124に供給する。
ポンプモータ102の例は、圧縮機モータ101と同様、同期モータまたは誘導モータである。ポンプモータ102の具体例は、圧縮機モータ101と同様、埋込磁石同期モータ(IPMSM:Interior Permanent Magnet Synchronous Motor)である。ポンプモータ102の軸出力は、潤滑ポンプ130の圧送機構に伝達される。
電圧センサ109は、電圧Vsを検出する。電圧センサ109は、コンバータ107の一次端子側(電源110側)に設けられている。
電圧センサ108は、直流電圧Vdcを検出する。電圧センサ108は、コンバータ107の2次端子側(インバータ103,105側)に設けられている。
図3は、空気調和装置(冷凍サイクル装置)140の構成図である。図3に示すように、空気調和装置140は、ターボ圧縮機装置100と、冷媒回路144と、第1循環路145と、第2循環路146とを備えている。本実施形態では、冷媒回路144、第1循環路145および第2循環路146内には、水を主成分とする冷媒が充填されている。本明細書では、「主成分」とは、重量基準で最も多く含まれる成分を意味する。冷媒は、凍結防止剤等の成分を含んでいてもよい。冷媒回路144、第1循環路145および第2循環路146内は、大気圧よりも低い負圧状態になっている。
潤滑ポンプ130は、ターボ圧縮機装置100の構成要素の一部である。本実施形態の潤滑ポンプ130は、冷媒回路144、第1循環路145および第2循環路146のうちのいずれかの場所から潤滑剤(この例では水を主成分とする潤滑剤)を吸い込む。潤滑ポンプ130は、吸い込んだ潤滑剤を、潤滑剤供給路127を通じて軸受124に圧送する。こうして、潤滑剤が軸受124に供給される。軸受124を潤滑後の潤滑剤は、潤滑剤排出路128を通じて排出される。本実施形態の潤滑剤の排出先は、冷媒回路144、第1循環路145および第2循環路146のいずれの場所であってもよい。
冷媒回路144は、蒸発器141、圧縮機120、凝縮器142および減圧機構143を含んでいる。冷媒回路144では、蒸発器141、圧縮機120、凝縮器142および減圧機構143が、流路によってこの順に接続されている。冷媒回路144は、冷媒を循環させる。
蒸発器141は、冷媒液を貯留するとともに内部で冷媒液を蒸発させる。
圧縮機120は、冷媒回路144の構成要素の一部であり、ターボ圧縮機装置100の構成要素の一部でもある。圧縮機120の詳細は、図2を用いて説明したとおりである。
凝縮器142は、内部で冷媒蒸気を凝縮させるとともに冷媒液を貯留する。
減圧機構143は、凝縮器142から蒸発器141に導かれる冷媒液を減圧する。減圧機構143は、減圧幅を変更可能である。本実施形態では、減圧機構143として電子膨張弁が採用されている。減圧機構143は、所望のサイクル運転ポイントが確保されるように調整されうる。
第1循環路145は、第1熱交換器147、第1送り路149および第1戻し路150を含んでいる。第1熱交換器147は、送風機151を有している。第1送り路149は、第1ポンプ148を有している。第1循環路145は(具体的には、第1循環路145の両端は)、蒸発器141に接続されている。第1循環路145は、蒸発器141に貯留された冷媒液を、第1熱交換器147を経由するように循環させる。
具体的には、第1ポンプ148によって、冷媒液が圧送される。第1送り路149は、蒸発器141から第1熱交換器147に冷媒液を導く。第1熱交換器147は、室内または室外に設置され、送風機151により供給される空気を冷媒液との熱交換により冷却する。第1戻し路150は、第1熱交換器147から蒸発器141に冷媒液を導く。
このようにして、冷媒液は、第1熱交換器147で加熱され、その後第1循環路145の下流端から当該蒸発器141内に戻る。この戻った冷媒液は、蒸発器141内において、減圧条件下で沸騰する。なお、蒸発器141内に戻る冷媒液は、第1循環路145の下流端から噴霧されてもよい。
第2循環路146は、第2熱交換器152、第2送り路154および第2戻し路155を含んでいる。第2熱交換器152は、送風機156を有している。第2送り路154は、第2ポンプ153を有している。第2循環路146は(具体的には、第2循環路146の両端は)、凝縮器142に接続されている。第2循環路146は、凝縮器142に貯留された冷媒液を、第2熱交換器152を経由するように循環させる。
具体的には、第2ポンプ153によって、冷媒液が圧送される。第2送り路154は、凝縮器142から第2熱交換器152に冷媒液を導く。第2熱交換器152は、第1熱交換器147とは逆に室外または室内に設置され、送風機156により供給される空気を冷媒液との熱交換により加熱する。第2戻し路155は、第2熱交換器152から凝縮器142に冷媒液を導く。
このようにして、冷媒液は、第2熱交換器152で冷却され、第2循環路146の下流端から凝縮器142内に戻る。この戻った冷媒液と圧縮機120から吐出された冷媒蒸気とが蒸発器141内において直接接触することにより、冷媒蒸気は冷却されて凝縮する。なお、凝縮器142内に戻る冷媒液は、第2循環路146の下流端から噴霧されてもよい。
第1熱交換器147および第2熱交換器152としては、例えば、フィンアンドチューブ型熱交換器を用いることができる。第1熱交換器147を室内に設置した場合には冷房専用の空気調和装置140が得られ、第2熱交換器152を室内に設置した場合には暖房専用の空気調和装置140が得られる。なお、第1熱交換器147および第2熱交換器152のうちの室外に設置される方は、必ずしも空気と冷媒液との間で熱交換を行うものである必要はなく、例えば工業用水等の液体と冷媒液との間で熱交換を行うものであってもよい。
図1に戻って、制御装置104は、圧縮機インバータ103およびポンプインバータ105を制御する。制御装置104は、例えば、マイクロコンピュータまたはDSP(digital signal processor)と、メモリとを用いて構成することができる。制御装置104は、通常運転時(電源110からターボ圧縮機装置100への電力供給が継続されている時)等の圧縮機モータ101が力行駆動する場合においても、電源遮断時(電源110からターボ圧縮機装置100への電力供給が遮断されている時)等の圧縮機モータ101が回生駆動する場合においても、適切な制御を行う。
通常運転のときには、制御装置104は、圧縮機120が後述する空気調和装置140において要求される能力を発揮するように、圧縮機インバータ103を制御する。制御装置104は、圧縮機インバータ103を制御することによって、一例では圧縮機モータ101の回転数ωCaを調整し、別例では圧縮機モータ101のトルクを調整する。トルクの調整は、圧縮機モータ101の電流ベクトルの振幅および/または位相の調整を通じて行うこともできる。また、電流ベクトルの振幅および/または位相の調整は、q軸電流などの電流ベクトルの一部または全部の成分(q軸電流等)の調整を通じて行うことができる。制御装置104は、圧縮機モータ101の回転数ωCaに応じた必要な潤滑剤が圧縮機120の軸受124に供給されるように、ポンプインバータ105を制御する。制御装置104は、ポンプインバータ105の制御によって、一例ではポンプモータ102の回転数ωPaを調整し、別例ではポンプインバータ105のトルクを調整する。トルクの調整は、ポンプモータ102の電流ベクトルの振幅および位相の少なくとも一方の調整を通じて行うこともできる。また、電流ベクトルの振幅および/または位相の調整は、q軸電流などの電流ベクトルの一部または全部の成分(q軸電流等)の調整を通じて行うことができる。
本実施形態では、制御装置104は、電圧センサ109を用いて、電源110からターボ圧縮機装置100への(具体的にはコンバータ107への)電力供給が継続されているか遮断されているかを判断する。電力供給が遮断されている場合、制御装置104は、電圧センサ108の検出電圧と圧縮機モータ101の電圧に応じて、圧縮機モータ101を回生駆動させる。また、制御装置104は、電圧センサ108の検出電圧とポンプモータ102の電圧に応じて、ポンプモータ102の回転数ωPa、トルク、電流、電圧等を変更する。
<通常運転>
ターボ圧縮機装置100の通常運転について説明する。通常運転は、電源110からコンバータ107への電力供給が継続されているときに行われる。通常運転において、ターボ圧縮機装置100は、電源110の電圧を用いてポンプモータ102を駆動させる。以下、具体的に説明する。
通常運転において、圧縮機インバータ103は、指令回転数ωC *に基づいて圧縮機モータ101に電圧を印加する。指令回転数ωC *は、圧縮機モータ101の回転数ωCaが追従するべき回転数である。本実施形態の通常運転では、圧縮機モータ101が最大効率(最小銅損)で動作するように圧縮機モータ101に電圧が印加される。具体的に、最小の電流で最大のトルクを発生できる最大トルク/電流制御(MTPA)が実行される。ポンプインバータ105は、指令回転数ωP *に基づいてポンプモータ102に電圧を印加する。指令回転数ωP *はポンプモータ102の回転数ωPaが追従するべき回転数である。本実施形態の通常運転では、ポンプモータ102が最大効率(最小銅損)で動作するようにポンプモータ102に電圧が印加される。具体的に、MTPAが実行される。これらの制御を実施するには、モータのロータの位置に同期して回転する回転座標(d−q座標)に基づく方式、静止している座標(α―β座標)に基づく方式等を利用することができる。
指令回転数ωC *から第1指令交流電圧ベクトルが特定され得る。第1指令交流電圧ベクトルは圧縮機モータ101の第1交流電圧ベクトルが追従するべき電圧ベクトルである。一例では、α―β座標に基づいて、2相の指令電圧v *,v *が演算される。そして、(数1)に基づいて、指令電圧v *,v *から3相の指令電圧vCu *,vCv *,vCw *が演算される。第1指令交流電圧ベクトルの振幅VCaは、(数2)に基づいて演算できる。これらの演算は、制御装置104が担う。なお、異なる座標系で表示されている点を除けば、指令電圧v *,v *および指令電圧vCu *,vCv *,vCw *は同じであり、これらは第1指令交流電圧ベクトルに対応する。α―β座標に基づいて指令回転数ωC *から指令電圧vCu *,vCv *,vCw *を特定する方法の詳細については、例えば特許文献2を参照されたい。本実施形態でも、特許文献2に倣い、圧縮機モータ101の電流の測定値を用いた制御を行うことができる。本明細書では、「振幅」は、単に大きさ(絶対値)を指す場合がある。
Figure 2018127956
指令回転数ωP *から第2指令交流電圧ベクトルが特定され得る。第2指令交流電圧ベクトルはポンプモータ102の第2交流電圧ベクトルが追従するべき電圧ベクトルである。一例では、d―q座標に基づいて、2相の指令電圧vPd *,vPq *が演算される。そして、(数3)に基づいて、指令電圧vPd *,vPq *から3相の指令電圧vPu *,vPv *,vPw *が演算される。(数3)の角度θは、U軸からみたd軸の進み角である。第2指令交流電圧ベクトルの振幅VPaは、(数4)に基づいて演算できる。これらの演算は、制御装置104が担う。なお、異なる座標系で表示されている点を除けば、指令電圧vPd *,vPq *および指令電圧vPu *,vPv *,vPw *は同じであり、これらは第2指令交流電圧ベクトルに対応する。d―q座標に基づいて指令回転数ωP *から指令電圧vPu *,vPv *,vPw *を特定する方法の詳細については、例えば公知の文献(武田洋次、森本茂雄、松井信行、本田幸夫、「埋込磁石同期モータの設計と制御」、株式会社オーム社、2001年10月25日発行、等)を参照されたい。
Figure 2018127956
なお、d―q座標に基づいて3相の指令電圧vCu *,vCv *,vCw *を演算することもできる。その場合、(数3)および(数4)と同様の式を指令電圧vCu *,vCv *,vCw *の演算に使用できる。α―β座標に基づいて3相の指令電圧vPu *,vPv *,vPw *を演算することもできる。その場合、(数1)および(数2)と同様の式を指令電圧vPu *,vPv *,vPw *の演算に使用できる。
また、指令回転数ωC *ではなく指令トルクTC *に基づいて圧縮機モータ101に電圧を印加することもできる。本実施形態の別例では、そのようにして圧縮機モータ101に電圧を印加する。指令トルクTC *は、圧縮機モータ101のトルクTCaが追従するべきトルクである。通常運転では、圧縮機モータ101が最大効率(最小銅損)で動作するように圧縮機モータ101に電圧が印加されうる。具体的に、MTPAが実行されうる。具体的に、指令トルクTC *から第1指令交流電圧が特定されうる。これらの演算も、制御装置104が担いうる。
また、圧縮機モータ101の電流ベクトルの一部または全部の成分の指令値(電流指令値;例えば、q軸指令電流)に基づいて圧縮機モータ101に電圧を印加することもできる。本実施形態の別例では、そのようにして圧縮機モータ101に電圧を印加する。この別例における通常運転でも、圧縮機モータ101が最大効率(最小銅損)で動作するように圧縮機モータ101に電圧が印加されうる。具体的に、MTPAが実行されうる。この別例の演算も、制御装置104が担いうる。
また、指令回転数ωP *ではなく指令トルクTP *に基づいてポンプモータ102に電圧を印加することもできる。本実施形態の別例では、そのようにしてポンプモータ102に電圧を印加する。指令トルクTP *は、ポンプモータ102のトルクTPaが追従するべきトルクである。通常運転では、ポンプモータ102が最大効率(最小銅損)で動作するようにポンプモータ102に電圧が印加されうる。具体的に、MTPAが実行されうる。具体的に、指令トルクTP *から第2指令交流電圧が特定されうる。これらの演算も、制御装置104が担いうる。
また、ポンプモータ102の電流ベクトルの電流指令値に基づいてポンプモータ102に電圧を印加することもできる。本実施形態の別例では、そのようにしてポンプモータ102に電圧を印加する。この別例における通常運転でも、ポンプモータ102が最大効率(最小銅損)で動作するようにポンプモータ102に電圧が印加されうる。具体的に、MTPAが実行されうる。この別例の演算も、制御装置104が担いうる。
本実施形態の通常運転では、圧縮機モータ101の指令回転数ωC *は、圧縮機用の目標回転数に設定される。典型的には、この目標回転数は、一定である(つまり、時間変化しない)。このため、第1指令交流電圧ベクトルの振幅も一定に維持される。第1交流電圧ベクトルの振幅も一定に維持される。ポンプモータ102の指令回転数ωP *は、ポンプ用の目標回転数に設定される。典型的には、この目標回転数は、一定である。このため、第2指令交流電圧ベクトルの振幅も一定に維持される。第2交流電圧ベクトルの振幅も一定に維持される。指令トルクTC *に基づいて圧縮機モータ101に電圧を印加する別例では、指令トルクTC *は圧縮機用の目標トルクに設定することができる。目標トルク、第1指令交流電圧ベクトルの振幅および第1交流電圧ベクトルの振幅は、一定でありうる。圧縮機モータ101の電流指令値を用いる別例では、指令値は、圧縮機用の目標値に設定することができる。目標値、第1指令交流電圧ベクトルの振幅および第1交流電圧ベクトルの振幅は、一定でありうる。指令トルクTP *に基づいてポンプモータ102に電圧を印加する別例では、指令トルクTP *はポンプ用の目標トルクに設定することができる。目標トルク、第2指令交流電圧ベクトルの振幅および第2交流電圧ベクトルの振幅は、一定でありうる。ポンプモータ102の電流指令値を用いる別例では、指令値は、ポンプ用の目標値に設定することができる。目標値、第2指令交流電圧ベクトルの振幅および第2交流電圧ベクトルの振幅は、一定でありうる。
波形歪みの少ない第1交流電圧ベクトルを圧縮機モータ101に印加したり、波形歪みの少ない第2交流電圧ベクトルをポンプモータ102に印加したりするには、直流電圧Vdcは十分に大きい必要がある。具体的に、振幅VCaおよび直流電圧Vdcが(数5A)に示す関係を満たし、振幅VPaおよび直流電圧Vdcが(数5B)に示す関係を満たす必要がある。なお、(数5A)の等号が成立するのは圧縮機インバータ103が線形領域と過変調領域の境界で動作するときであり、(数5B)の等号が成立するのはポンプインバータ105が線形領域と過変調領域の境界で動作するときである。つまり、(数5A)が成立するのは圧縮機インバータ103が線形領域で動作するときであり、(数5B)が成立するのはポンプインバータ105が線形領域で動作するときである。本実施形態の通常運転では、圧縮機インバータ103およびポンプインバータ105は、線形領域で動作する。なお、(数5A)および(数5B)の右辺の係数√3/2√2はインバータ103,105の変調方式として正弦波PWM方式が採用された場合の係数である。別の変調方式を用いる場合には、別の係数が用いられうる。例えば、第3調波注入変調方式が採用される場合には、(数5A)および(数5B)の右辺の係数は√3/2√2から1/√2に変更される。
Figure 2018127956
念のため、線形領域について説明する。線形領域は、インバータの1次側の直流電圧に対してインバータの2次側の交流電圧ベクトルの振幅が理論上線形に変化する動作領域である。すなわち、圧縮機インバータ103の線形領域は、直流電圧Vdcに対して第1交流電圧ベクトルの振幅が理論上線形に変化する動作領域である。また、ポンプインバータ105の線形領域は、直流電圧Vdcに対して第2交流電圧ベクトルの振幅が理論上線形に変化する動作領域である。線形領域の説明は、公知の文献(例えば非特許文献1)でもなされている。上述のように、インバータを線形領域で動作させれば、波形歪みの少ない交流電圧ベクトルを得ることができる。
上記演算を逐次(典型的には制御周期毎に)実施することで、制御装置104は圧縮機モータ101およびポンプモータ102を駆動させるための指令電圧vCu *,vCv *,vCw *および指令電圧vPu *,vPv *,vPw *を生成する。生成された指令電圧に基づいて、圧縮機インバータ103およびポンプインバータ105は、圧縮機モータ101およびポンプモータ102に実電圧を印加する。これにより、圧縮機モータ101およびポンプモータ102は、所望の回転数で駆動する。具体的に、圧縮機モータ101の回転数ωCaは指令回転数ωC *に追従し、ポンプモータ102の回転数ωPaは指令回転数ωP *に追従する。
また、上記のようにポンプモータ102が駆動することによって、潤滑ポンプ130は、冷媒を圧送することができる。潤滑ポンプ130により圧送された冷媒は、圧縮機120における潤滑剤供給路127を軸受124へと流れ、潤滑剤として軸受124に供給される。供給された冷媒(潤滑剤)は、潤滑剤排出路128を通じて筐体121の外部へ排出される。これにより、圧縮機120が高速で駆動している際にも、所定量の潤滑剤を軸受124に供給することが可能となり、信頼性の高いターボ圧縮機装置100が実現される。
次に、本実施形態の空気調和装置140の通常運転について説明する。蒸発器141内で気化した飽和状態の冷媒蒸気は、圧縮機120に吸入されて圧縮されることにより過熱状態となる。圧縮機120から吐出された冷媒蒸気は、凝縮器142において、第2熱交換器152で過冷却された冷媒液と熱交換することで凝縮する。凝縮器142において凝縮した冷媒液の大部分は、第2ポンプ153により第2熱交換器152へ圧送される。第2熱交換器152に圧送された冷媒液は、ここで空気に放熱した後に凝縮器142に戻る。凝縮器142において凝縮した冷媒液の残りは、減圧機構143により減圧され、その後蒸発器141に導入される。減圧機構143の開度は、所望の運転ポイントが確保されるように調整される。具体的には、圧縮機120から吐出された冷媒蒸気の圧力が所定値よりも高いときは、減圧機構143の開度を小さくする制御がなされる。蒸発器141内の冷媒液の大部分は、第1ポンプ148により第1熱交換器147へ圧送される。第1熱交換器147に圧送された冷媒液は、ここで空気から吸熱し、その後に蒸発器141に戻る。蒸発器141内の冷媒液は、減圧条件下での沸騰により蒸発し、気化した冷媒蒸気が圧縮機120に吸入される。圧縮機120により冷媒蒸気が再び圧縮される。こうして、飽和蒸気線および飽和液線に基づく冷凍サイクルが繰り返される。
<減速運転>
本実施形態のターボ圧縮機装置100および空気調和装置140は、減速運転を行うことができる。本実施形態の減速運転は、電源110からコンバータ107への電力供給が遮断されたときに行われる。
本実施形態では、第1および第2減速運転において、潤滑ポンプ130による軸受124の潤滑を維持する目的で、ポンプモータ102の指令回転数ωP *を、通常運転のときと同じポンプ用の目標回転数に設定する。第2指令交流電圧ベクトルも、その振幅も、第2交流電圧ベクトルも、その振幅も、通常運転のときと同じである。一方、第3減速運転においては、ポンプモータ102の指令回転数ωP *を低下させる。
<通常運転および減速運転の制御フローおよびタイムチャート>
従来技術では、電源110からコンバータ107への電力供給が遮断された場合、直流電圧部106の直流電圧Vdcが低下してゼロになる。この場合、ポンプインバータ105からポンプモータ102への電力供給が不可能となり、潤滑ポンプ130による軸受124の潤滑も不可能となる。しかし、本実施形態では、電力供給が遮断された場合であっても、潤滑ポンプ130による軸受124の潤滑はある程度の期間継続される。本実施形態のターボ圧縮機装置100および空気調和装置140の通常運転および減速運転の制御フローおよびタイムチャートは、図4および図5に示すとおりである。図5では、上下に3つのグラフが並べられている。これらのグラフの横軸は、時間である。1つ目のグラフにおける実線は、直流電圧Vdcの時間変化を表す。1つ目のグラフにおける二点鎖線は、圧縮機モータ101の第1指令交流電圧ベクトルの振幅VCaの時間変化を表す。2つ目のグラフの2つの実線の一方は圧縮機モータ101の回転数であり、他方は圧縮機モータ101の回生トルクである。3つ目のグラフの実線はポンプモータ102の動力である。
まず、ステップS101において、電圧センサ108が直流電圧部106の直流電圧Vdc(コンバータの2次側端子の直流電圧)を検出し、電圧センサ109が電圧Vs(コンバータの1次側端子の電圧)を検出する。その後、ステップS102に進む。
ステップS102において、電源110からコンバータ107への電力供給が遮断されているか否かを判断する。
電源110からコンバータ107への電力供給が継続されている場合(ステップS102でNoの場合)は、ステップS103に進み、通常運転を行う。上述のように、本実施形態の通常運転では、圧縮機モータ101の回転数ωCaを圧縮機モータ101用の目標回転数に維持し、ポンプモータ102の回転数ωPaをポンプモータ102用の目標回転数に維持する。この例の通常運転では、両目標回転数は一定である(時間変化しない)。なお、図5のVdc_uは、通常運転のときの直流電圧Vdcを表す。
電源110からコンバータ107への電力供給が遮断されている場合(ステップS102でYesの場合)は、ステップS104に進む。ステップS104では、圧縮機モータ101の第1指令交流電圧ベクトルの振幅VCaと第1閾値振幅Vth1とを比較する。本実施形態では、第1閾値振幅Vth1は、定数である。
振幅VCaが第1閾値振幅Vth1以上である場合(ステップS104でNoの場合)、ステップS105に進み、第1減速運転を行う。第1閾値振幅Vth1は十分に大きいため、振幅VCaが不十分である場合には第1減速運転が行われることはない。従って、第1減速運転が原因で、直流電圧Vdcが不十分となり、振幅VPaが不十分となり、ポンプモータ102の回転数ωPaを確保できなくなることはない。本実施形態の第1減速運転では、振幅VCaが直流電圧Vdcに√3/2√2を乗じた値以下となるように、圧縮機モータ101の回転数ωCaを調節する。このようにすれば、圧縮機インバータ103の動作領域が線形領域となり、圧縮機モータ101の安定制御が可能となる。なお、圧縮機モータ101の安定制御の観点からは、振幅VCaが直流電圧Vdcに√3/2√2を乗じた値よりもやや小さいことが望ましい。この観点から、振幅VCaを、例えば直流電圧Vdcに√3/2√2を乗じた値の80%〜95%とすることができる。なお、圧縮機モータ101の回転数ωCaを調整する代わりに、トルクTCaを調整することによって、振幅VCaを直流電圧Vdcに√3/2√2を乗じた値以下にすることもできる(先に説明したとおり、トルクTCaの調整は、圧縮機モータ101の電流ベクトルの振幅および/または位相の調整を通じて行うこともできる)。本実施形態の第1減速運転では、振幅VPaは、通常運転のときと同じ(この例では第1閾値振幅Vth1と同じ)に維持される。この例の第1減速運転では、ポンプ用の目標回転数は通常運転のときと同じである。このため、ポンプモータ102の回転数ωPaは、通常運転のときと同じ目標回転数に維持される。
振幅VCaが第1閾値振幅Vth1未満である場合(ステップS104でYesの場合)、ステップS106に進む。ステップS106では、トルク制限値Tlimと現在の圧縮機モータ101のトルクTCaを比較する。本実施形態では、トルク制限値Tlimは、定数である。トルクTCaとしては、実トルクまたは推定値を用いることができる。
トルクTCaがトルク制限値Tlim以下である場合(ステップS106でNoの場合)、ステップS107に進み、第2減速運転を行う。本実施形態の第2減速運転では、直流電圧Vdcが目標直流電圧Vdc1に近づくように、圧縮機モータ101の回転数ωCaを調節する。目標直流電圧Vdc1は、(数6)で与えられる。マージンΔVは0以上であり、例えば第1閾値振幅Vth1の20%以下であり、一具体例では第1閾値振幅Vth1の5〜15%である。そのような目標直流電圧Vdc1に直流電圧Vdcを近づけることで、図5に示すように振幅VCaが低下しても、電圧Vdcが確保され、ポンプインバータ105の動作領域を線形領域としつつ振幅VPaを確保することが可能となる。なお、圧縮機モータ101の回転数ωCaを調整する代わりに、トルクTCaを調整することによって、直流電圧Vdcを目標直流電圧Vdc1に近づけることもできる(先に説明したとおり、トルクTCaの調整は、圧縮機モータ101の電流ベクトルの振幅および/または位相の調整を通じて行うこともできる)。本実施形態の第2減速運転では、振幅VPaは、通常運転のときと同じ(この例では第1閾値振幅Vth1と同じ)一定値に維持される。ポンプモータ102の回転数ωPaは、通常運転のときと同じ目標回転数に維持される。
Figure 2018127956
トルクTCaがトルク制限値Tlimを上回っている場合(ステップS106でYesの場合)、ステップS108に進む。ステップS108では、第3減速運転を行う。本実施形態の第3減速運転では、直流電圧Vdcが目標直流電圧Vdc1に近づくように、ポンプモータ102の回転数ωPaを調節する。具体的には、ポンプモータ102の回転数ωPを低下させる。以下では、第3減速運転を、ポンプ電力低減運転と称することがある。
上述のように、本実施形態の第2減速運転では、直流電圧Vdcが目標直流電圧Vdc1に近づくように、圧縮機モータ101の回転数ωCaを調節する。本実施形態の第2減速運転では、図5に示すように、ポンプモータ102の動力を一定に維持する。このようにすると、圧縮機モータ101の回転数ωCaが下がるにつれて、圧縮機モータ101のトルク(回生トルク)は上昇していく。しかしながら、圧縮機モータ101に流すことができる電流には上限があり、本実施形態ではこの上限に基づいてトルク制限値Tlimを設定している。圧縮機モータ101のトルクがトルク制限値Tlimを超えた場合、圧縮機モータ101のトルクをトルク制限値Tlimに抑えるための制御が行われる。このため、圧縮機モータ101のトルクは、実質的に、トルク制限値Tlimに維持される。仮に第3減速運転を行わず第2減速運転を継続するとすれば、圧縮機モータ101の回転数ωCaが下がるにつれ、圧縮機モータ101の回生可能な電力が低下し、ポンプ動力を確保できなくなり、直流電圧Vdcが低下してしまう。直流電圧Vdcの低下は、圧縮機インバータ103およびポンプインバータ105の停止を引き起こす。圧縮機インバータ103の停止は、圧縮機インバータ103による圧縮機モータ101の制動を不可能にする(圧縮機のフリーランを引き起こす)。ポンプインバータ105の停止は、軸受124への冷媒供給を困難にする。すなわち、これらのインバータ103,105の停止により、回転軸123bおよび軸受124が摩耗し易くなり、圧縮機120の寿命が短くなり、圧縮機120が故障し易くなる。そこで、本実施形態では第3減速運転を行うことにしている。本実施形態の第3減速運転では、圧縮機モータ101のトルクの絶対値がトルク制限値Tlimを超えた場合に、ポンプモータ102の回転数ωPaを調整する(具体的には低下させる)ことによってVdcをVdc1に近づける。このようにすれば、軸受124への冷媒供給を継続しつつ圧縮機インバータ103による圧縮機モータ101の制動を継続することができる。なお、ポンプモータ102のトルクを調整する(具体的には低下させる)ことによってVdcをVdc1に近づけることもできる(先に説明したとおり、ポンプモータ102のトルクの調整は、ポンプモータ102の電流ベクトルの振幅および/または位相の調整を通じて行うこともできる)。
なお、トルク制限値Tlimに代えて、電流振幅制限値Iamを用いた制御を行うこともできる。電流振幅制限値Iamを用いる変形例では、ステップS106に代えて、ステップS106’が行われる。ステップS106’では、電流振幅制限値Iamと現在の圧縮機モータ101の電流ベクトルの振幅を比較する。電流ベクトルの振幅が電流振幅制限値Iam以下である場合(ステップS106’でNoの場合)、ステップS107に進む。電流ベクトルの振幅が電流振幅制限値Iamを上回っている場合(ステップS106’でYesの場合)、ステップS108に進む。この変形例では、圧縮機モータ101の電流ベクトルの振幅が電流振幅制限値Iamを超えた場合、圧縮機モータ101の電流ベクトルの振幅を電流振幅制限値Iamに抑えるための制御が行われる。このため、圧縮機モータ101の電流ベクトルの振幅は、実質的に、電流振幅制限値Iamに維持される。この変形例の第3減速運転では、圧縮機モータ101の電流ベクトルの振幅が電流振幅制限値Iamを超えた場合に、ポンプモータ102の回転数ωPaを調整する(具体的には低下させる)ことによってVdcをVdc1に近づける。このようにすれば、軸受124への冷媒供給を継続しつつ圧縮機インバータ103による圧縮機モータ101の制動を継続することができる。なお、ポンプモータ102のトルクを調整する(具体的には低下させる)ことによってVdcをVdc1に近づけることもできる(先に説明したとおり、ポンプモータ102のトルクの調整は、ポンプモータ102の電流ベクトルの振幅および/または位相の調整を通じて行うこともできる)。
以上のように、本実施形態のターボ圧縮機装置100では、電源110からコンバータ107への電力供給が遮断されているときに、圧縮機モータ101は回生駆動により回生電力を生成し、ポンプモータ102はその回生電力で駆動する。従って、電源110からコンバータ107への電力供給が遮断されても、潤滑ポンプ130の駆動を維持して軸受124への潤滑剤の供給を継続することができる。従って、軸受124の潤滑を継続しつつ、圧縮機120を減速および停止することができる。
本実施形態のターボ圧縮機装置100は、電源110からコンバータ107への電力供給が継続されているときに、電源110の電圧を用いてポンプモータ102を駆動させる通常運転を行う。また、本実施形態のターボ圧縮機装置100は、電源110からコンバータ107への電力供給が遮断されており、かつ、第1交流電圧ベクトルの振幅が第1閾値振幅Vth1以上であるときに、第1交流電圧ベクトルの振幅を直流電圧VdcのR1倍以下にする第1減速運転を行う。具体的には、圧縮機モータ101の回転数ωCaまたはトルクTCaを調整することによって(場合によっては圧縮機モータ101の電流ベクトルの振幅および/または位相の調整を通じたトルクTCaの調整によって)、第1交流電圧ベクトルの振幅を直流電圧VdcのR1倍以下にする。第1閾値振幅Vth1は、通常運転のときの第2交流電圧ベクトルの振幅以上であり、R1は、線形領域で圧縮機インバータ(第1インバータ)103が動作する場合における直流電圧Vdcに対する第1交流電圧ベクトルの振幅の比率の上限値であり、圧縮機インバータ103の線形領域は、直流電圧Vdcに対して第1交流電圧ベクトルの振幅が理論上線形に変化する動作領域である。R1は、例えば√3/2√2〜1/√2である。具体的に、R1は、圧縮機インバータ103が正弦波PWM方式に基づいて動作する場合は√3/2√2であり、圧縮機インバータ103が第3調波注入変調方式に基づいて動作する場合は1/√2である。このように、本実施形態の第1減速運転は、第1交流電圧ベクトルの振幅が第1閾値振幅Vth1以上であるときに行われる。第1閾値振幅Vth1は通常運転のときの第2交流電圧ベクトルの振幅以上であり十分に大きいため、第1交流電圧ベクトルの振幅が不十分であるときに第1減速運転が行われて同振幅がさらに低下する事態を招き難い。すなわち、同振幅が不足し難く、圧縮機モータ101の回生電力が不足し難く、直流電圧Vdcが不足し難く、第2交流電圧ベクトルの振幅が不足し難く、圧縮機120の軸受124への潤滑剤の供給が不足し難い。また、本実施形態の第1減速運転では、圧縮機インバータ103の動作領域が線形領域となる。つまり、本実施形態によれば、圧縮機インバータ103が過変調領域で動作することが防止され、圧縮機モータ101の電圧波形が大きく歪むことが防止される。このため、圧縮機120の安定制御を維持することができる。なお、「通常運転のときの第2交流電圧ベクトルの振幅」は、第2交流電圧ベクトルが正常に制御されているときの振幅を指し、外乱(制御を乱すような外的な作用)等が原因で第2交流電圧ベクトルが正常に制御されていないときの振幅は指さない。
本実施形態のターボ圧縮機装置100は、電源110からコンバータ107への電力供給が遮断されており、第1交流電圧ベクトルの振幅が第1閾値振幅Vth1未満であり、かつ、トルクTCaがトルク制限値Tlim以下であるときに、直流電圧Vdcを目標直流電圧Vdc1に近づける第2減速運転を行う。具体的には、圧縮機モータ101の回転数ωCaまたはトルクTCaを調整することによって(場合によっては圧縮機モータ101の電流ベクトルの振幅および/または位相の調整を通じたトルクTCaの調整によって)直流電圧Vdcを目標直流電圧Vdc1に近づける。目標直流電圧は、通常運転のときの第2交流電圧ベクトルの振幅の1/R2倍以上であり、R2は、線形領域でポンプインバータ(第2インバータ)105が動作する場合における直流電圧Vdcに対する第2交流電圧ベクトルの振幅の比率の上限値であり、ポンプインバータ105の線形領域は、直流電圧Vdcに対して第2交流電圧ベクトルの振幅が理論上線形に変化する動作領域である。R2は、例えば√3/2√2〜1/√2である。具体的に、R2は、ポンプインバータ105が正弦波PWM方式に基づいて動作する場合は√3/2√2であり、ポンプインバータ105が第3調波注入変調方式に基づいて動作する場合は1/√2である。第1交流電圧ベクトルの振幅が低下すると、回生電力が低下し、直流電圧Vdcが不足し易くなる。直流電圧Vdcが不足すると、第2交流電圧ベクトルの振幅が不足し、圧縮機120の軸受124への潤滑剤の供給が不足するおそれがある。また、直流電圧Vdcが不足しているにも関わらず第2交流電圧ベクトルの振幅を無理に大きくしようとすると、ポンプインバータ105の動作領域が過変調領域となり、ポンプモータ102の制御が不安定になるおそれがある。このため、第1交流電圧ベクトルの振幅が低下しても、十分な直流電圧Vdcを確保することが望ましい。この点、本実施形態の第2減速運転では、第1交流電圧ベクトルの振幅が第1閾値振幅未満であるときに、直流電圧Vdcを目標直流電圧に近づける。目標直流電圧は、通常運転のときの第2交流電圧ベクトルの振幅の1/R2倍以上であり、R2は、線形領域で第2インバータが動作する場合における直流電圧Vdcに対する第2交流電圧ベクトルの振幅の比率の上限値である。このため、直流電圧Vdcは、ポンプインバータ105を線形領域で動作させつつ通常運転のときと同じ第2交流電圧ベクトルの振幅を得ることができる直流電圧に近づく。すなわち、本実施形態の第2減速運転によれば、ポンプモータ102の安定制御を維持しつつ潤滑剤を十分かつ安定的に軸受124に供給することが可能な程度に直流電圧Vdcを大きくすることが容易となる。
本実施形態のターボ圧縮機装置100は、電源110からコンバータ107への電力供給が遮断されており、第1交流電圧ベクトルの振幅が第1閾値振幅Vth1未満であり、かつ、トルクTCaがトルク制限値Tlimを上回っているときに、圧縮機モータ101の回転数を調整しつつ、ポンプの動力を調整する(小さくする)第3減速運転を行う。ポンプの動力を調整することにより、直流電圧Vdcを低下させることなく圧縮機モータ101を減速させることが可能となる。すなわち、本実施形態の第3減速運転によれば、圧縮機モータ101の回生可能な電力が小さい場合においても、ポンプの動力を調整することで、圧縮機モータ101の減速運転が継続可能となる。具体的には、ポンプモータ102の回転数、トルク、電流等を低下させることで、圧縮機モータ101における回生可能な電力をポンプ動力よりも大きく維持できる。これにより、直流電圧部106の電圧を所望の値に設定することが可能となる。これにより、圧縮機モータ101の回転数が低く回生可能な電力が小さい場合においても、圧縮機インバータ103の運転継続が可能となる。これにより、圧縮機インバータ103により圧縮機モータ101を制動し続けること(圧縮機モータ101のフリーランを防止すること)が可能となる。これにより、圧縮機モータ101の減速時間(つまり、圧縮機モータ101を停止させるのに要する時間)を短くすることできる。圧縮機モータ101が回転している時のタッチダウン時間(圧縮機モータ101の回転数が低く軸124と軸受123bが接触する時間)が短くなり、一方、ポンプによって冷媒が軸受123bに潤滑される時間は長くなる。これにより、軸受124および回転軸123bの摩耗を抑制し易くなる。このような理由で、本実施形態に係るターボ圧縮機装置100は、高い信頼性を有しているといえる。
本実施形態では、冷媒は組成Cを有する流体であり、潤滑剤も組成Cを有する流体である。すなわち、冷媒および潤滑剤が同じ組成を有する流体である。このため、圧縮機120内で冷媒と潤滑剤とが混ざったとしても、これらを分離する必要がない。このことは、装置の簡素化に繋がる。
本実施形態では、組成Cを有する流体は、水を主成分とする流体である。水が地球環境に与える負荷は小さい。例えば、水は、オゾン層を破壊したり、地球温暖化の原因になったりしない。本実施形態の空気調和装置(冷凍サイクル装置)140は、地球環境にやさしい。ただし、組成Cを有する流体は、フロン冷媒あるいは代替フロン冷媒であってもよい。
本実施形態では、潤滑剤は、組成Cを有する流体である。圧縮機120は、軸受124を潤滑後の潤滑剤を排出する潤滑剤排出路128を有している。空気調和装置140は、組成Cを有する流体が循環する1または複数の流路144,145,146を含む。潤滑剤供給路127および潤滑剤排出路128は、1または複数の流路144,145,146と軸受124とを接続している。本実施形態では、潤滑剤が空気調和装置140内を循環する。すなわち、本実施形態によれば、潤滑剤を有効利用することができる。
圧縮機モータ101のq軸指令電流iq *、指令トルクTC *または指令回転数ωC *から3相の指令電圧vCu *,vCv *,vCw *を演算したり、ポンプモータ102のq軸指令電流iq *、指令トルクTP *または指令回転数ωP *から3相の指令電圧vPu *,vPv *,vPw *を演算したりする手法の具体例を説明する。なお、以下で説明する手法は一例であり、他の演算も採用されうる。
図6を用いてα−β座標およびd−q座標を説明する。α−β座標は、固定座標である。α−β座標は、静止座標とも交流座標とも称される。α軸は、U軸(図6では省略)と同一方向に延びる軸として設定される。d−q座標は、回転座標である。θは、U軸からみたd軸の進み角である。θは、ロータ位置とも称される。
本実施形態の制御に関する各構成要素について、以下で説明する。
図7に、本実施形態の制御を実現する制御部531を示す。制御部531は、第1のモータ制御部532と、第2のモータ制御部533と、を備えている。また、制御部531は、電圧偏差演算部541、PI制御部542、トルク偏差演算部641、ゲイン付与部642、スイッチ643および指令補正部644を備えている。電圧偏差演算部541およびPI制御部542は、第1のモータ制御部532の上位制御部を構成する。トルク偏差演算部641、ゲイン付与部642、スイッチ643および指令補正部644は、第2のモータ制御部533の上位制御部を構成する。制御部531は、制御装置104によって実現されうる。
図7に示すように、第1のモータ制御部532は、圧縮機モータ101の相電流iu,iwおよび指令回転数ωC *から指令電圧ベクトルvCu *,vCv *,vCw *を特定する。第1のモータ制御部532で特定される指令電圧ベクトルvCu *,vCv *,vCw *は、圧縮機モータ101の電圧ベクトルが追従するべきものである。圧縮機インバータ103は、この指令電圧ベクトルvCu *,vCv *,vCw *に従って動作する。第2のモータ制御部533は、ポンプモータ102の相電流iu,iwおよび指令回転数ωP *から指令電圧ベクトルvPu *,vPv *,vPw *を特定する。第2のモータ制御部533で特定される指令電圧ベクトルvPu *,vPv *,vPw *は、ポンプモータ102の電圧ベクトルが追従するべきものである。ポンプインバータ105は、この指令電圧ベクトルvPu *,vPv *,vPw *に従って動作する。
第1のモータ制御部532は、u,w/α,β変換部506、指令電圧特定部507、磁束演算部508、トルク演算部509、第1のトルク偏差演算部511、速度・位置演算部510、指令トルク特定部521、指令振幅特定部522、指令磁束特定部512、α軸磁束偏差演算部513a、β軸磁束偏差演算部513b、α,β/u,v,w変換部514およびトルク制限部523を備えている。第2のモータ制御部533は、u,w/α,β変換部606、指令電圧特定部607、磁束演算部608、トルク演算部609、第1のトルク偏差演算部611、速度・位置演算部610、指令トルク特定部621、指令振幅特定部622、指令磁束特定部612、α軸磁束偏差演算部613a、β軸磁束偏差演算部613b、α,β/u,v,w変換部614およびトルク制限部623を備えている。
(u,w/α,β変換部506)
u,w/α,β変換部506は、圧縮機モータ101の相電流iu,iwを軸電流iα,iβに変換する。具体的に、u,w/α,β変換部506は、(数7)および(数8)により、相電流iu,iwを軸電流iα,iβに変換する。相電流iu,iwは、公知の電流センサを用いて測定されうる。
Figure 2018127956
(磁束演算部508)
磁束演算部508は、圧縮機モータ101の磁束(モータ磁束)を推定する。具体的には、磁束演算部508は、軸電流iα,iβおよび指令軸電圧v *,v *から、推定磁束Ψs(推定磁束Ψα,Ψβ)を求める。より具体的には、磁束演算部508は、(数9)、(数10)および(数11)を用いて、推定磁束Ψα,Ψβ、および推定磁束Ψsの絶対値|Ψs|を求める。(数9)および(数10)におけるΨα|t=0、Ψβ|t=0は、それぞれ推定磁束Ψα,Ψβの初期値である。(数9)および(数10)におけるRは、モータの巻線抵抗である。磁束演算部508がDSP、マイクロコンピュータ等のディジタル制御装置に組み込まれている場合は、(数9)および(数10)における演算のために必要となる積分器は離散系で構成されうる。この場合には、1制御周期前における推定磁束Ψα,Ψβに、現在の制御周期に由来する値を加減算すればよい。
Figure 2018127956
(トルク演算部509)
トルク演算部509は、圧縮機モータ101のトルク(モータトルク)を推定する。具体的には、トルク演算部509は、軸電流iα,iβおよび推定磁束Ψs(推定磁束Ψα,Ψβ)から推定トルクTCaを求める。より具体的には、トルク演算部509は、(数12)を用いて、推定トルクTCaを求める。(数12)におけるPnは、モータの極対数である。
Figure 2018127956
(速度・位置演算部510)
速度・位置演算部510は、推定磁束Ψs(推定磁束Ψα,Ψβ)から推定磁束Ψsの位相θsを求める。具体的に、速度・位置演算部510は、(数13)により、推定磁束Ψsの位相θsを求める。また、速度・位置演算部510は、現在の制御周期において求めた位相θs(n)と、前回の制御周期において求めた位相θs(n−1)とを用いて、(数14)により、推定回転数ωCaを求める。速度・位置演算部510は、公知の位相推定器である。ここで、Tsは制御周期(サンプリング周期)を意味する。nは、タイムステップである。
Figure 2018127956
(指令トルク特定部521)
指令トルク特定部521は、指令回転数ωC *および推定回転数ωCaから、(第1の)指令トルクTC *を求める。具体的に、指令トルク特定部521は、(数15)により、指令トルクTC *を求める。(数15)におけるKsPは比例ゲインである。KsIは積分ゲインである。指令トルク特定部521は、公知のPI補償器である。
Figure 2018127956
(第1の)指令トルクTC *は、トルク制限部523によって制限される。この制限により、第2の指令トルクTC **が生成される。トルク制限部523の動作の詳細については後述する。
(指令振幅特定部522)
指令振幅特定部522は、指令トルクTC **から、指令振幅|Ψs *|を求める。指令振幅特定部522は、ルックアップテーブル、計算式(近似式)が格納された演算子等を用いて構成できる。ルックアップテーブルを用いる場合、指令トルクTC **と指令振幅|Ψs *|との対応関係を表すルックアップテーブルを事前に準備すればよい。演算子における計算式も、事前に準備できる。このようなルックアップテーブルおよび計算式は、予め行った測定データまたは理論に基づいて設定できる。指令振幅|Ψs *|の具体的な特定方法は、公知の文献(武田洋次、森本茂雄、松井信行、本田幸夫、「埋込磁石同期モータの設計と制御」、株式会社オーム社、2001年10月25日発行、等)を参照することにより理解されうる。最小の電流で最大のトルクを発生できる最大トルク/電流制御(MTPA)を満たすトルクと磁束との関係を利用することもできる。
(第1のトルク偏差演算部511)
第1のトルク偏差演算部511は、指令トルクTC **と推定トルクTCaとの偏差(トルク偏差ΔT:TC **−TCa)を求める。第1のトルク偏差演算部511としては、公知の演算子を用いればよい。
(指令磁束特定部512)
指令磁束特定部512は、指令振幅|Ψs *|、トルク偏差ΔTおよび位相θsから、指令磁束ベクトルΨs *(指令磁束Ψα *,Ψβ *)を求める。具体的には、(数16)により、モータ磁束の回転量Δθsを求める(数17)を用いて、指令磁束ベクトルΨs *の位相θs *を求める。(数18)および(数19)を用いて、指令磁束Ψα *,Ψβ *を求める。(数16)におけるKθPは比例ゲインである。KθIは積分ゲインである。指令磁束特定部512は、トルク偏差ΔTをゼロに近づける。この点で、指令磁束特定部512は、トルクの補償機構を構成するともいえる。指令磁束特定部512がDSP、マイクロコンピュータ等のディジタル制御装置に組み込まれている場合は、(数16)における演算のために必要となる積分器は離散系で構成されうる。
Figure 2018127956
(α軸磁束偏差演算部513a、β軸磁束偏差演算部513b)
α軸磁束偏差演算部513aは、指令磁束Ψα *と推定磁束Ψαを取得し、これらの偏差(磁束偏差ΔΨα:Ψα *−Ψα)を求める。β軸磁束偏差演算部513bは、指令磁束Ψβ *と推定磁束Ψβを取得し、これらの偏差(磁束偏差ΔΨβ:Ψβ *−Ψβ)を求める。磁束偏差演算部513a,513bとしては、公知の演算子を用いればよい。
(指令電圧特定部507)
指令電圧特定部507は、磁束偏差ΔΨα,ΔΨβおよび軸電流iα,iβから、指令軸電圧v *,v *を求める。具体的に、指令電圧特定部507は、(数20)を用いて、α軸指令電圧v *を求める。また、指令電圧特定部507は、(数21)を用いて、β軸指令電圧v *を求める。
Figure 2018127956
(α,β/u,v,w変換部514)
α,β/u,v,w変換部514は、指令軸電圧v *,v *を、指令電圧ベクトルvCu *,vCv *,vCw *に変換する。具体的に、α,β/u,v,w変換部514は、(数22)により、指令軸電圧v *,v *を指令電圧ベクトルvCu *,vCv *,vCw *に変換する。
Figure 2018127956
(トルク制限部523)
トルク制限部523は、(第1の)指令トルクTC *から、(第2の)指令トルクTC **を特定する。具体的に、トルク制限部523は、(数23)により、指令トルクTC **を求める。すなわち、トルク制限部523は、指令トルクを修正可能である。
Figure 2018127956
上述のように、第1のモータ制御部532には、指令回転数ωC *が与えられる。これに対し、図7に示すように、第2のモータ制御部533には、指令回転数ωP *が与えられる。ただし、第2のモータ制御部533は、第1のモータ制御部532と同様に動作する。具合的に、u,w/α,β変換部606、指令電圧特定部607、磁束演算部608、トルク演算部609、第1のトルク偏差演算部611、速度・位置演算部610、指令トルク特定部621、指令振幅特定部622、指令磁束特定部612、α軸磁束偏差演算部613a、β軸磁束偏差演算部613b、α,β/u,v,w変換部614およびトルク制限部623は、それぞれ、u,w/α,β変換部506、指令電圧特定部507、磁束演算部508、トルク演算部509、第1のトルク偏差演算部511、速度・位置演算部510、指令トルク特定部521、指令振幅特定部522、指令磁束特定部512、α軸磁束偏差演算部513a、β軸磁束偏差演算部513b、α,β/u,v,w変換部514およびトルク制限部523と同様に動作する。このため、第2のモータ制御部533の構成要素に関する詳細な説明は省略する。念のために断っておくと、第2のモータ制御部533では、第1のモータ制御部532とは異なり、圧縮機モータ101ではなくポンプモータ102に関するパラメータが用いられる。
(指令回転数ωC *の与え方の一例)
本実施形態では、指令回転数ωC *が以下のようにして与えられるように、第1のモータ制御部532の上位制御部が構成されている。まず、電圧偏差演算部541が、第1指令交流電圧ベクトルの振幅VCaおよび目標電圧Vref *の偏差(Vref *−VCa)を演算する。次に、PI制御部542が、この偏差をゼロにするフィードバック制御(PI制御等)によって、指令回転数ωC *を特定する。なお、ターボ圧縮機装置100が第1減速運転(図5のステップS105に対応)を行っているときには、圧縮機モータ101用の目標電圧Vref *をVth1+ΔV以上の範囲で徐々に小さくすることができる。ターボ圧縮機装置100が第2減速運転(図5のステップS107に対応)を行っているときおよび第3減速運転(図5のステップS108に対応)を行っているときには、第1指令交流電圧ベクトルの振幅VCaが直流電圧VdcにR1を乗じた値以下となりかつ第2指令交流電圧ベクトルの振幅VPaが直流電圧VdcにR2を乗じた値以下となるように、圧縮機モータ101用の目標電圧Vref *を設定することができる。このようにすることは、第2減速運転および第3減速運転において圧縮機インバータ103およびポンプインバータ105を線形領域で動作させることに適している。なお、先に説明したように、R1およびR2は、例えば√3/2√2〜1/√2であり、本実施形態では√3/2√2である。
第1のモータ制御部の上位制御部を、図8に示すように構成することもできる。図8の制御部531’では、指令トルクTC *が以下のようにして与えられるように、第1のモータ制御部532’の上位制御部が構成されている。まず、電圧偏差演算部541が、第1指令交流電圧ベクトルの振幅VCaおよび目標電圧Vref *の偏差(Vref *−VCa)を演算する。次に、PI制御部542’が、この偏差をゼロにするフィードバック制御(PI制御等)によって、指令トルクTC *を特定する。第1のモータ制御部532’の上位制御部を図8に示すように構成する場合、図7の指令トルク特定部521を省略することができる。また、速度・位置演算部510における推定回転数ωCaの演算を省略することができる。
(指令回転数ωP *の与え方の一例)
本実施形態では、指令回転数ωP *が以下のようにして与えられるように、第2のモータ制御部533の上位制御部が構成されている。まず、第2のトルク偏差演算部641は、(第1の)指令トルクTC *から(第2の)指令トルクTC **を差し引くことよってトルク偏差ΔTCref(=TC *−TC **)を特定する。次に、ゲイン付与部642が、トルク偏差ΔTにゲインkを乗じて積kΔTCrefを特定する。スイッチ643が接続されているときは、指令補正部644は、参照回転数ωPrefから積kΔTCrefを差し引くことによって、指令回転数ωP *(=ωPref−kΔTCref)を特定する。このようにすると、トルク制限部523によって指令トルクTC *が制限されているときに、ポンプモータ102の回転数が小さくなりポンプの動力が小さくなるような補正が、指令補正部644によってなされることになる。一方、トルク制限部523によって指令トルクTC *が制限されていないときは、ΔTCrefはゼロであるので、指令補正部644による補正はなされず、参照回転数ωPrefが指令回転数ωP *として第2のモータ制御部533に与えられることになる。また、スイッチ643が開放されているときも、参照回転数ωPrefが指令回転数ωP *として第2のモータ制御部533に与えられることになる。なお、第2のトルク偏差演算部641としては、公知の演算子を用いることができる。参照回転数ωPrefは、例えば、さらに上位の制御部から与えられうる。
第2のモータ制御部の上位制御部を、図8に示すように構成することもできる。図8の制御部531’では、指令トルクTP *が以下のようにして与えられるように、第2のモータ制御部533’の上位制御部が構成されている。まず、第2のトルク偏差演算部641は、(第1の)指令トルクTC *から(第2の)指令トルクTC **を差し引くことよってトルク偏差ΔTCref(=TC *−TC **)を特定する。次に、ゲイン付与部642が、トルク偏差ΔTにゲインkを乗じて積KΔTCrefを特定する。スイッチ643が接続されているときは、指令補正部644’は、参照トルクTPrefから積kΔTCrefを差し引くことによって、指令トルクTP *(=TPref−kΔTCref)を特定する。このようにすると、トルク制限部523によって指令トルクTC *が制限されているときに、ポンプモータ102のトルクが小さくなりポンプの動力が小さくなるような補正が、指令補正部644’によってなされることになる。一方、トルク制限部523によって指令トルクTC *が制限されていないときは、ΔTCrefはゼロであるので、指令補正部644’による補正はなされず、参照トルクTPrefが指令トルクTP *として第2のモータ制御部533’に与えられることになる。また、スイッチ643が開放されているときも参照トルクTPrefが指令トルクTP *として第2のモータ制御部533’に与えられることになる。なお、第2のトルク偏差演算部641としては、公知の演算子を用いることができる。参照トルクTPrefは、例えば、さらに上位の制御部から与えられうる。第2のモータ制御部533’の上位制御部を図8に示すように構成する場合、図7の指令トルク特定部621を省略することができる。また、速度・位置演算部610における推定回転数ωPaの演算を省略することができる。
本実施形態では、図4に示す通常運転(ステップS103)の際に、スイッチ643は開放される。第1減速運転(ステップS105)、第2減速運転(ステップS107)および第3減速運転(ステップS108)の際に、スイッチ643は接続される。
図7の第1のモータ制御部532およびその上位制御部と、図8の第2のモータ制御部533’およびその上位制御部を組み合わせることもできる。また、図8の第1のモータ制御部532’およびその上位制御部と、図7の第2のモータ制御部533およびその上位制御部を組み合わせることもできる。
図9に、d−q座標に基づいて3相の指令電圧vCu *,vCv *,vCw *およびvPu *,vPv *,vPw *を演算するための制御部731を示す。図9に示すように、制御部731は、第1のモータ制御部732と、第2のモータ制御部733と、を備えている。また、制御部731は、電圧偏差演算部741、PI制御部742、電流偏差演算部807、ゲイン付与部842、スイッチ843および指令補正部844を備えている。電圧偏差演算部741およびPI制御部742は、第1のモータ制御部732の上位制御部を構成する。電流偏差演算部807、ゲイン付与部842、スイッチ843および指令補正部844は、第2のモータ制御部733の上位制御部を構成する。制御部731は、制御装置104によって実現されうる。
図9に示すように、第1のモータ制御部732は、圧縮機モータ101の相電流iu,iw、回転数ωCa、位相θsおよび指令回転数ωC *から指令電圧ベクトルvCu *,vCv *,vCw *を特定する。第1のモータ制御部732で特定される指令電圧ベクトルvCu *,vCv *,vCw *は、圧縮機モータ101の電圧ベクトルが追従するべきものである。圧縮機インバータ103は、この指令電圧ベクトルvCu *,vCv *,vCw *に従って動作する。第2のモータ制御部733は、ポンプモータ102の相電流iu,iw、回転数ωPa、位相θsおよび指令回転数ωP *から指令電圧ベクトルvPu *,vPv *,vPw *を特定する。第2のモータ制御部733で特定される指令電圧ベクトルvPu *,vPv *,vPw *は、ポンプモータ102の電圧ベクトルが追従するべきものである。ポンプインバータ105は、この指令電圧ベクトルvPu *,vPv *,vPw *に従って動作する。
第1のモータ制御部732は、位置検出部701と、速度検出部702と、電流ベクトル制御部703と、速度制御部704と、電流フィードバック制御部705と、電流制限部706と、を備えている。第2のモータ制御部733は、位置検出部801と、速度検出部802と、電流ベクトル制御部803と、速度制御部804と、電流フィードバック制御部805と、電流制限部806と、を備えている。
(位置検出部701)
位置検出部701は、圧縮機モータ101の磁束(モータ磁束)の位相θsを検出する。位置検出部701は、位置センサ(エンコーダ、レゾルバ等)によって実現されうる。ただし、位置センサを用いずに位相θsを推定することもできる(例えば、「埋込磁石同期モータの設計と制御」の5章参照)。
(速度検出部702)
速度検出部702は、圧縮機モータ101の回転数ωCaを検出する。位置検出部701は、速度センサによって実現されうる。ただし、速度センサを用いずに回転数ωCaを推定することもできる(例えば、「埋込磁石同期モータの設計と制御」の5章参照)。(数14)を用い、位相θsから回転数ωCaを求めることもできる。
なお、位置センサを用いた位相θsの検出および速度センサを用いた回転数ωCaの検出は、図7および8の制御部532,532’,533および533’にも適用可能である。
(速度制御部704)
速度制御部704は、回転数ωCaおよび指令回転数ωC *からq軸指令電流iq *を特定する。具体的に、速度制御部704は、回転数ωCaおよび指令回転数ωC *の偏差をゼロにするフィードバック制御(PI制御等)によって、q軸指令電流iq *を特定する。
(第1の)q軸指令電流iq *は、電流制限部706によって制限される。この制限により、第2のq軸指令電流iq **が生成される。電流制限部706の動作の詳細については後述する。
(電流ベクトル制御部703)
電流ベクトル制御部703は、q軸指令電流iq **(および回転数ωCa)からd軸指令電流id *を特定する。具体的に、MTPAを行う際には、電流ベクトル制御部703は、(数23)に基づいてd軸指令電流id *を特定する。|Ψa|は、磁束パラメータである。磁束パラメータ|Ψa|は、モータにおける永久磁石が作る磁石磁束ベクトル(界磁磁束ベクトルとも呼ばれる)の振幅として与えられた定数である。Ldは、d軸インダクタンスである。Lqは、q軸インダクタンスである。弱め磁束制御を行う際には、電流ベクトル制御部703は、(数24)に基づいてd軸指令電流id *を特定する。Vomは、電圧制限値である。(数24)に基づく制御によれば、モータの電圧ベクトルの大きさが電圧制限値Vomを超えることが防止される。(数23)および(数24)に基づいた制御の詳細については、「埋込磁石同期モータの設計と制御」の2章等を参照されたい。
Figure 2018127956
(電流フィードバック制御部705)
電流フィードバック制御部705は、指令軸電流id *,iq **、圧縮機モータ101の相電流iu,iwおよび位相θsから、指令電圧vCu *,vCv *,vCw *を特定する。相電流iu,iwは、公知の電流センサを用いて測定されうる。具体的に、電流フィードバック制御部705は、(数25)および(数26)に基づいて相電流iu,iwを軸電流id,iqに変換する。電流フィードバック制御部705は、軸電流id,iqおよび指令軸電流id *,iq **の偏差をゼロにするフィードバック制御(具体的にはPI制御)によって、指令軸電圧vd *,vq *を特定する。具体的に、電流フィードバック制御部705は、(数27)および(数28)に基づいて指令軸電圧vd *,vq *を特定する。(数27)および(数28)におけるKcdPおよびKcqPは比例ゲインである。KcdIおよびKcqIは積分ゲインである。電流フィードバック制御部705は、位相θsおよび指令軸電圧vd *,vq *から指令電圧vCu *,vCv *,vCw *を特定する。具体的に、電流フィードバック制御部705は、(数29)に基づいて、指令軸電圧vd *,vq *を指令電圧vCu *,vCv *,vCw *に変換する。
Figure 2018127956
(電流制限部706)
電流制限部706は、q軸指令電流iq *から、第2のq軸指令電流iq **を特定する。具体的に、電流制限部706は(数30)により、第2のq軸指令電流iq **を特定する。また、q軸指令電流制限値iq_limは(数31)によって特定される。また、(数31)におけるd軸指令電流制限値id_limは、(数32)に基づいて特定する。Iamは、電流振幅制限値である。(数30)〜(数32)に基づいた制御の詳細については、「埋込磁石同期モータの設計と制御」の3章等を参照されたい。
Figure 2018127956
上述のように、第1のモータ制御部732には、指令回転数ωC *が与えられる。これに対し、図9に示すように、第2のモータ制御部733には、指令回転数ωP *が与えられる。ただし、第2のモータ制御部733は、第1のモータ制御部732と同様に動作する。具合的に、位置検出部801、速度検出部802、電流ベクトル制御部803、速度制御部804、電流フィードバック制御部805および電流制限部806は、それぞれ、位置検出部701、速度検出部702、電流ベクトル制御部703、速度制御部704、電流フィードバック制御部705、電流制限部706と同様に動作する。このため、第2のモータ制御部733の構成要素に関する詳細な説明は省略する。念のために断っておくと、第2のモータ制御部733では、第1のモータ制御部732とは異なり、圧縮機モータ101ではなくポンプモータ102に関するパラメータが用いられる。
(指令回転数ωC *の与え方の一例)
本実施形態における指令回転数ωC *の与え方は、図7を用いて説明した指令回転数ωC *の与え方と同じである。つまり、第1のモータ制御部732の上位制御部は、第1のモータ制御部532の上位制御部と同様にして、指令回転数ωC *を特定する。電圧偏差演算部741およびPI制御部742は、電圧偏差演算部541およびPI制御部542と同様に動作する。
第1のモータ制御部の上位制御部を、図10に示すように構成することもできる。図10の制御部731’では、圧縮機モータ101用のq軸指令電流iq *が以下のようにして与えられるように、第1のモータ制御部732’の上位制御部が構成されている。まず、電圧偏差演算部741が、第1指令交流電圧ベクトルの振幅VCaおよび目標電圧Vref *の偏差(Vref *−VCa)を演算する。次に、PI制御部742’が、この偏差をゼロにするフィードバック制御(PI制御等)によって、圧縮機モータ101用のq軸指令電流iq *を特定する。第1のモータ制御部732’の上位制御部を図10に示すように構成する場合、図9の速度検出部702および速度制御部704を省略することができる。
(指令回転数ωP *の与え方の一例)
本実施形態では、指令回転数ωP *が以下のようにして与えられるように、第2のモータ制御部733の上位制御部が構成されている。まず、電流偏差演算部807は、(第1の)q軸指令電流iq *から(第2の)第2のq軸指令電流iq **を差し引くことよってq軸指令電流偏差Δiq(=iq *−iq **)を特定する。次に、ゲイン付与部842が、q軸指令電流偏差Δiqにゲインkを乗じて積kΔiqを特定する。スイッチ843が接続されているときは、指令補正部844は、参照回転数ωPrefから積kΔiqを差し引くことによって、指令回転数ωP *(=ωPref−kΔiq)を特定する。このようにすると、電流制限部706によってq軸指令電流iq *が制限されているときに、ポンプモータ102の回転数が小さくなりポンプの動力が小さくなるような補正が、指令補正部844によってなされることになる。一方、電流制限部706によってq軸指令電流iq *が制限されていないときは、Δiqはゼロであるので、指令補正部844による補正はなされず、参照回転数ωPrefが指令回転数ωP *として第2のモータ制御部733に与えられることになる。また、スイッチ843が開放されているときも、参照回転数ωPrefが指令回転数ωP *として第2のモータ制御部733に与えられることになる。なお、電流偏差演算部807としては、公知の演算子を用いることができる。参照回転数ωPrefは、例えば、さらに上位の制御部から与えられうる。
図9の例では、図4に示す通常運転(ステップS103)の際に、スイッチ843は開放される。第1減速運転(ステップS105)、第2減速運転(ステップS107)および第3減速運転(ステップS108)の際に、スイッチ843は接続される。
第2のモータ制御部の上位制御部を、図10に示すように構成することもできる。図10の制御部731’では、ポンプモータ102用のq軸指令電流iq *が以下のようにして与えられるように、第2のモータ制御部733’の上位制御部が構成されている。まず、電流偏差演算部807は、(第1の)q軸指令電流iq *から(第2の)第2のq軸指令電流iq **を差し引くことよってq軸指令電流偏差Δiq(=iq *−iq **)を特定する。次に、ゲイン付与部842が、q軸指令電流偏差Δiqにゲインkを乗じて積kΔiqを特定する。スイッチ843が接続されているときは、指令補正部844’は、参照q軸電流iqrefから積kΔiqを差し引くことによって、ポンプモータ102用のq軸指令電流iq *(=iqref−kΔiq)を特定する。このようにすると、電流制限部706によって圧縮機モータ101用のq軸指令電流iq *が制限されているときに、ポンプモータの電流ベクトルの振幅が小さくなり電流ベクトルの位相が変化しポンプの動力が小さくなるような補正が、指令補正部844’によってなされることになる。一方、電流制限部706によってq軸指令電流iq *が制限されていないときは、Δiqはゼロであるので、指令補正部844’による補正はなされず、参照q軸電流iqrefがq軸指令電流iq *として第2のモータ制御部733’に与えられることになる。また、スイッチ843が開放されているときも、参照q軸電流iqrefがq軸指令電流iq *として第2のモータ制御部733’に与えられることになる。参照q軸電流iqrefは、例えば、さらに上位の制御部から与えられうる。第2のモータ制御部733’の上位制御部を図10に示すように構成する場合、図9の速度検出部802および速度制御部804を省略することができる。
図9の第1のモータ制御部732およびその上位制御部と、図8の第2のモータ制御部533’を組み合わせてもよい。その場合、図11に示すように、第2のモータ制御部533’の上位制御部を構成することができる。まず、電流偏差演算部807は、(第1の)q軸指令電流iq *から(第2の)第2のq軸指令電流iq **を差し引くことよってq軸指令電流偏差Δiq(=iq *−iq **)を特定する。次に、ゲイン付与部842が、q軸指令電流偏差Δiqにゲインkを乗じて積kΔiqを特定する。スイッチ843が接続されているときは、指令補正部844’’は、参照トルクTPrefから積kΔiqを差し引くことによって、指令トルクTP *(=TPref−積kΔiq)を特定する。このようにすると、電流制限部706によって圧縮機モータ101用のq軸指令電流iq *が制限されているときに、ポンプモータ102のトルクが小さくなりポンプの動力が小さくなるような補正が、指令補正部844’’によってなされることになる。一方、電流制限部706によってq軸指令電流iq *が制限されていないときは、Δiqはゼロであるので、指令補正部844’’による補正はなされず、参照トルクTPrefが指令トルクTP *として第2のモータ制御部533’に与えられることになる。また、スイッチ843が開放されているときも、参照トルクTPrefが指令トルクTP *として第2のモータ制御部733’に与えられることになる。
図7の第1のモータ制御部532およびその上位制御部と、図9の第2のモータ制御部733を組み合わせてもよい。その場合、図12に示すように、第2のモータ制御部733の上位制御部として、図7を用いて説明した第2のモータ制御部533の上位制御部(符号641,642,643および644)を利用することができる。その他、図示した第1のモータ制御部、第2のモータ制御部およびこれらの上位制御部を任意に組み合わせることが可能である。
図7の制御部531では、第3減速運転において、指令補正部644による補正がなされる。これにより、ポンプモータ102の回転数が、ポンプモータ102の動力が低下するように調整(操作)される。図8の制御部531’では、第3減速運転において、指令補正部644’による補正がなされる。これにより、ポンプモータ102のトルクが、ポンプモータ102の動力が低下するように調整(操作)される。図9の制御部731では、第3減速運転において、指令補正部844による補正がなされる。これにより、ポンプモータ102の回転数が、ポンプモータ102の動力が低下するように調整(操作)される。図10の制御部731’では、第3減速運転において、指令補正部844’による補正がなされる。これにより、ポンプモータ102のq軸電流が調整(操作)され、すなわち電流ベクトルの振幅および位相が調整され、この調整を通じてトルクを調整され、ポンプモータ102の動力が低下する。図11の制御部731’’では、第3減速運転において、指令補正部844’’による補正がなされる。これにより、ポンプモータ102のトルクが、ポンプモータ102の動力が低下するように調整(操作)される。図12の制御部731’’’では、第3減速運転において、指令補正部644による補正がなされる。これにより、ポンプモータ102の回転数が、ポンプモータ102の動力が低下するように調整(操作)される。
以上のように、上述のターボ圧縮機装置100は、電源110に接続されうる。ターボ圧縮機装置100は、ターボ圧縮機120と、潤滑ポンプ130と、コンバータ107と、第1インバータ(圧縮機インバータ)103と、第2インバータ(ポンプインバータ)105と、制御装置104と、を備えている。ターボ圧縮機120は、回転軸123b、回転軸123bを支持する軸受124、回転軸123bが回転することで冷媒を圧縮および吐出する圧縮機構123a、回転軸123bを回転させる圧縮機モータ101、および、軸受124に潤滑剤を供給する潤滑剤供給路127、を有している。潤滑ポンプ130は、潤滑剤供給路127を介して軸受に潤滑剤を供給する駆動力を発生するポンプモータ102、を有している。コンバータ107は、電源110からコンバータ107への電力供給が継続されているときに、電源110の電圧と直流電圧部106の直流電圧Vdcとの間で電力変換を行う。第1インバータ103は、直流電圧Vdcと圧縮機モータ101の第1交流電圧ベクトルとの間で電力変換を行う。第2インバータ105は、直流電圧Vdcとポンプモータ102の第2交流電圧ベクトルとの間で電力変換を行う。制御装置104は、第1インバータ103および第2インバータ105を制御する。電源110からコンバータ107への電力供給が遮断されているという条件と、値Aが第1制限値(トルク制限値Tlimまたは電流振幅制限値Iam)を上回っているという条件と、を含む複数の条件が成立しているときに、ポンプ電力低減運転(第3減速運転)が行わる。値Aは、圧縮機モータ101のトルクの絶対値または圧縮機モータ101の電流ベクトルの振幅である。ポンプ電力低減運転において、圧縮機モータ101は、回生駆動により回生電力を生成する。ポンプ電力低減運転において、ポンプモータ102は、回生電力で駆動される。ポンプ電力低減運転において、制御装置104は、値Aを第1制限値に追従させる制御と、ポンプモータ102に供給される電力を低下させる制御と、を行う。このようなターボ圧縮機装置100は、圧縮機120の電流またはトルクを制限しつつ回転軸123bおよび軸受124の摩耗低減を実現することに適している。具体的には、このようなターボ圧縮機装置100は、圧縮機120の電流またはトルクを制限しつつ、第1インバータ103による圧縮機モータ101の制動を維持しつつ、軸受124への冷媒供給を維持することに適している。
本実施形態では、図5に示すように、通常運転および第1〜第3減速運転において、値Aが第1制限値(トルク制限値Tlimまたは電流振幅制限値Iam)を上回っているときに、制御装置104は、値Aを第1制限値に追従させる制御を行う。変形例では、通常運転において値Aが第2制限値を上回っているときに、制御装置104は、値Aを第2制限値に追従させる制御を行う。第1制限値は、第2制限値よりも大きい。つまり、この変形例では、通常運転おけるトルク制限値Tlimまたは電流振幅制限値Iamに比べて、第3減速運転における(具体的には第1〜第3減速運転における)トルク制限値Tlimまたは電流振幅制限値Iamは大きい。第2制限値を第1制限値よりも小さくすることは、通常運転時における圧縮機モータ101の損傷を防止することに適している。逆にいうと、第1制限値は、第2制限値よりも大きい。このようにすれば、圧縮機120の電流またはトルクの制限が開始されるタイミングを遅らせることができる。このことは、圧縮機120の回転数の低下が急である領域から低下がなだらかである領域に切り替わるタイミング(図5の真ん中のグラフのS107とS108の間の縦線のタイミングに対応)を遅らせることができることを意味する。つまり、この技術は、圧縮機120の回転数を素早くゼロにすることで、回転軸123bおよび軸受124の摩耗を発生し難くする。なお、典型的には、第3減速運転が行われる期間は通常運転が行われる期間よりも短いため、第3減速運転において比較的大きな第2制限値を用いても、圧縮機モータ101が損傷するリスクはそれほど大きくならない。また、圧縮機120の電流またはトルクの制限が開始されるタイミングを遅らせることができることは、回生可能な電力が大きい期間を長くできることを意味する。この期間が長いことにより、圧縮機120の回転数が高い場合および負荷変動でポンプ動力が大きくなる場合において、第1インバータ103の運転を継続し易くなり、第1インバータ103による圧縮機モータ101の制動を維持し易くなり、回転軸123bおよび軸受124の摩耗を抑え易くなる。
上述の制御装置104は、ポンプ電力低減運転において、ポンプモータ102の回転数およびポンプモータ102のトルクの絶対値から選択される少なくとも1つを低下させる制御を行う。このようにすれば、ポンプ電力低減運転においてポンプモータ102に供給される電力を容易に低下させることができる。
上述の制御装置104は、ポンプ電力低減運転において、直流電圧Vdcを目標直流電圧に近づける制御を行う。ここで、目標直流電圧は、通常運転のときの第2交流電圧ベクトルの振幅の1/R2倍以上である。R2は、線形領域で第2インバータ105が動作する場合における直流電圧Vdcに対する第2交流電圧ベクトルの振幅の比率の上限値である。第2インバータ105の線形領域は、直流電圧Vdcに対して第2交流電圧ベクトルの振幅が理論上線形に変化する動作領域である。このようにすれば、ポンプ電力低減運転における圧縮機モータ101およびポンプモータ102の挙動が安定し易い。
上述のターボ圧縮機装置100は、電源110からコンバータ107への電力供給が継続されているときに、電源110の電圧を用いてポンプモータ102を駆動させる通常運転を行う。上述の複数の条件は、第1交流電圧ベクトルの振幅が第1閾値振幅未満であるという条件を含む。ここで、第1閾値振幅は、通常運転のときの第2交流電圧ベクトルの振幅以上である。第1交流電圧ベクトルの振幅が大きいときには、圧縮機モータ101による回生可能な電力が大きい。従って、上述のターボ圧縮機装置100によれば、そのようなポンプモータ102に供給される電力を低下させる制御が必要でないときに、同制御が行われることを防止することができる。
上述の制御装置104は、電源110からコンバータ107への電力供給が遮断された時点以後に開始されポンプ電力低減運転が始まる時点において終了する期間において、ポンプモータ102に供給する回生電力を一定に維持する制御を行う。このようにすれば、上記期間において、軸受124への潤滑剤の供給量を安定させることができる。
また、上述の冷凍サイクル装置(空気調和装置)140は、上述のターボ圧縮機装置100を含むため、上述のターボ圧縮機装置100の効果と同じ効果を有する。
本開示に係る空気調和装置(冷凍サイクル装置)は、家庭用エアコン、業務用エアコン等に有用である。本開示に係るターボ圧縮機装置は、空気調和装置等に有用である。
100 ターボ圧縮機装置
101 圧縮機モータ
101a ステータ
101b ロータ
102 ポンプモータ
103 圧縮機インバータ
104 制御装置
105 ポンプインバータ
106 直流電圧部
107 コンバータ
108 電圧センサ
109 電圧センサ
110 電源
120 (ターボ)圧縮機
121 筐体
123 回転体
123a 圧縮機構
123b 回転軸
124 軸受
125 圧縮機吸入管
126 圧縮機吐出管
127 潤滑剤供給路
128 潤滑剤排出路
130 潤滑ポンプ
140 空気調和装置
141 蒸発器
142 凝縮器
143 減圧機構
144 冷媒回路
145 第1循環路
146 第2循環路
147 第1熱交換器
148 第1ポンプ
149 第1送り路
150 第1戻し路
151 送風機
152 第2熱交換器
153 第2ポンプ
154 第2送り路
155 第2戻し路
156 送風機
506,606 u,w/α,β変換部
507,607 指令電圧特定部
508,608 磁束演算部
509,609 トルク演算部
510,610 速度・位置演算部
511,611 第1のトルク偏差演算部
512,612 指令磁束特定部
513a,613a α軸磁束偏差演算部
513b,613b β軸磁束偏差演算部
514,614 α,β/u,v,w変換部
521,621 指令トルク特定部
522,622 指令振幅特定部
523,623 トルク制限部
531,531’,731,731’,731’’,731’’’ 制御部
532,532’,732 第1のモータ制御部
533,533’,733 第2のモータ制御部
541,741 電圧偏差演算部
542,542’,742,742’ PI制御部
641 第2のトルク偏差演算部
642,842 ゲイン付与部
643,843 スイッチ
644,644’,844,844’,844’’ 指令補正部
701,801 位置検出部
702,802 速度検出部
703,803 電流ベクトル制御部
704,804 速度制御部
705,805 電流フィードバック制御部
706,806 電流制限部
807 電流偏差演算部
900 冷凍機
901 圧縮機
902 蒸発器
904 凝縮器
910 回転軸
912 翼車
916 冷却塔
918 冷却水ポンプ
920 軸受

Claims (7)

  1. 電源に接続されうるターボ圧縮機装置であって、
    回転軸、前記回転軸を支持する軸受、前記回転軸が回転することで冷媒を圧縮および吐出する圧縮機構、前記回転軸を回転させる圧縮機モータ、および、前記軸受に潤滑剤を供給する潤滑剤供給路、を有するターボ圧縮機と、
    前記潤滑剤供給路を介して前記軸受に前記潤滑剤を供給する駆動力を発生するポンプモータ、を有する潤滑ポンプと、
    コンバータであって、前記電源から前記コンバータへの電力供給が継続されているときに、前記電源の電圧と直流電圧部の直流電圧Vdcとの間で電力変換を行うコンバータと、
    前記直流電圧Vdcと前記圧縮機モータの第1交流電圧ベクトルとの間で電力変換を行う第1インバータと、
    前記直流電圧Vdcと前記ポンプモータの第2交流電圧ベクトルとの間で電力変換を行う第2インバータと、
    前記第1インバータおよび前記第2インバータを制御する制御装置と、を備え、
    前記圧縮機モータのトルクの絶対値または前記圧縮機モータの電流ベクトルの振幅を値Aと定義したとき、前記電源から前記コンバータへの電力供給が遮断されているという条件と、前記値Aが第1制限値を上回っているという条件と、を含む複数の条件が成立しているときに、ポンプ電力低減運転が行われ、
    前記ポンプ電力低減運転において、
    前記圧縮機モータは、回生駆動により回生電力を生成し、
    前記ポンプモータは、前記回生電力で駆動され、
    前記制御装置は、前記値Aを前記第1制限値に追従させる制御と、前記ポンプモータに供給される電力を低下させる制御と、を行う、ターボ圧縮機装置。
  2. 前記制御装置は、前記電源から前記コンバータへの電力供給が継続されているときに通常運転を行い、
    前記通常運転において前記値Aが第2制限値を上回っているときに、前記制御装置は、前記値Aを前記第2制限値に追従させる制御を行い、
    前記第1制限値は、前記第2制限値よりも大きい、請求項1に記載のターボ圧縮機装置。
  3. 前記制御装置は、前記ポンプ電力低減運転において、前記ポンプモータの回転数および前記ポンプモータのトルクの絶対値から選択される少なくとも1つを低下させる制御を行う、請求項1または2に記載のターボ圧縮機装置。
  4. 前記制御装置は、前記ポンプ電力低減運転において、前記直流電圧Vdcを目標直流電圧に近づける制御を行う、請求項1〜3のいずれか一項に記載のターボ圧縮機装置。
    ここで、前記目標直流電圧は、前記通常運転のときの前記第2交流電圧ベクトルの振幅の1/R2倍以上であり、前記R2は、線形領域で前記第2インバータが動作する場合における前記直流電圧Vdcに対する前記第2交流電圧ベクトルの振幅の比率の上限値であり、前記第2インバータの前記線形領域は、前記直流電圧Vdcに対して前記第2交流電圧ベクトルの振幅が理論上線形に変化する動作領域である。
  5. 前記ターボ圧縮機装置は、前記電源から前記コンバータへの電力供給が継続されているときに、前記電源の電圧を用いて前記ポンプモータを駆動させる通常運転を行い、
    前記複数の条件は、前記第1交流電圧ベクトルの振幅が第1閾値振幅未満であるという条件を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のターボ圧縮機装置。
    ここで、前記第1閾値振幅は、前記通常運転のときの前記第2交流電圧ベクトルの振幅以上である。
  6. 前記制御装置は、前記電源から前記コンバータへの電力供給が遮断された時点以後に開始され前記ポンプ電力低減運転が始まる時点において終了する期間において、前記ポンプモータに供給する前記回生電力を一定に維持する制御を行う、請求項1〜5のいずれか一項に記載のターボ圧縮機装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のターボ圧縮機装置を含む冷凍サイクル装置。
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EP4336724A1 (en) * 2022-09-06 2024-03-13 Delta Electronics, Inc. Motor drive system and torque distribution method thereof

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