JP2018127606A - 光学用活性エネルギー線硬化型粘接着剤用の添加剤、及び光学用アクリル系活性エネルギー線硬化型粘接着剤 - Google Patents

光学用活性エネルギー線硬化型粘接着剤用の添加剤、及び光学用アクリル系活性エネルギー線硬化型粘接着剤 Download PDF

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Abstract

【課題】重合阻害性が低く、耐光性や色調が良好で、アクリル系モノマー及びオリゴマーに対する相溶性が良好である、新規な光学用活性エネルギー線硬化型粘接着剤用の添加剤を提供する。【解決手段】ロジン類(a)と下記式(1)で示されるアルキレングリコール(b)とのエステル化物であり、前記エステル化物の加水分解物として得られる樹脂酸中に、エチレン性不飽和二重結合を有さない樹脂酸が60重量%以上含まれる、ロジンエステル(A)を含む光学用活性エネルギー線硬化型粘接着剤用の添加剤。HO−(CH2CH2O)n−H・・(1)(nは2〜4の整数)【選択図】なし

Description

本発明は、光学用活性エネルギー線硬化型粘接着剤用の添加剤、及び該添加剤を含有する光学用アクリル系活性エネルギー線硬化型粘接着剤に関する。
近年、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示装置とタッチパッドのような位置入力装置を組み合わせたタッチパネルが広く利用されている。これらのタッチパネルは、表示装置と、透明電極が形成されたガラス板又は樹脂製フィルムと、透明保護板(ガラス又は樹脂製)とを貼り合わせた構造を有している。該タッチパネルでは、外的な衝撃が表示パネルに伝わらないように、表示パネルとそれを保護する透明保護板との間に一定の間隙が設けられている。
この間隙が空気層である場合は、前記の表示パネルや保護板の構成材料と空気層との屈折率差に起因して光の反射損失が大きくなり、良好な視認性が得られないため、この間隙に透明物質を介在させるようになっている。透明物質としては、例えば、アクリル系モノマー及びオリゴマーを原料とする活性エネルギー線硬化型粘接着剤の透明粘着シート、透明樹脂組成物などが提案されている。
前記透明物質には、光学用途で求められる各種の性能(可視光透過性、色調等)に加え、被着体への優れた粘着性能や、被着体の印刷部による段差への追従性が要求されている。そのため、該透明物質には粘着付与剤や可塑剤等の添加剤が用いられている。
前記添加剤には、これまでロジンエステル系添加剤が検討されてきた。しかしながら、ロジンエステルは、種々の不純物を含むと共に、原料ロジンの主成分である樹脂酸の多くが分子中にエチレン性不飽和二重結合を有しているので、紫外線等を吸収する性質があり、色調の経時劣化や前記透明物質の原料アクリル系モノマー及びオリゴマーの重合反応を阻害(以下、単に、重合阻害という)するという問題があった。
前記問題に対して、安定性に優れた水素化ロジンエステルを含む光学用粘接着剤の添加剤が提案されている(特許文献1、2参照)。特許文献1では、高度に水素化されたロジンエステルを含み、重合阻害性が低く耐光性の良好な粘着付与剤を開示している。また、特許文献2では、光硬化型粘着剤組成物の柔軟性を向上させる、色調の良好な水素化ロジンエステルの添加剤を開示している。
特開2010−174072号公報 特開2016−186007号公報
しかし、本発明者の検討により、光学用粘接着剤の製造において、前記水素化ロジンエステルを含む添加剤と原料のアクリル系モノマー及びオリゴマーを混合すると、両者の相溶性が悪いことから該添加剤の析出が見られ、得られる粘接着剤のヘイズが悪くなり光学用途には使えないことが判明した。そのため、重合阻害性が低く、耐光性や色調が良好であり、且つアクリル系モノマー及びオリゴマーに対する相溶性が良い光学用粘接着剤用の添加剤が、強く望まれている。
本発明は、重合阻害性が低く、耐光性や色調が良好で、アクリル系モノマー及びオリゴマーに対する相溶性が良好である、新規な光学用活性エネルギー線硬化型粘接着剤用の添加剤を提供することを課題とする。
本発明者は検討の結果、所定のロジンエステルを含む添加剤によって、前記課題を解決できることを見出した。即ち本発明は、以下の光学用活性エネルギー線硬化型粘接着剤用の添加剤、及び該添加剤を含有する光学用アクリル系活性エネルギー線硬化型粘接着剤に関する。
1.ロジン類(a)とアルキレングリコール類(b)とのエステル化物であり、前記エステル化物の加水分解物として得られる樹脂酸中に、エチレン性不飽和二重結合を有さない樹脂酸が60重量%以上含まれる、ロジンエステル(A)を含む光学用活性エネルギー線硬化型粘接着剤用の添加剤
2.(b)成分が、下記一般式(1)で示されるエチレングリコール類(b−1)である、前記項1に記載の添加剤。
[化1]
HO−(CHCHO)−H (1)
(式中、nは2〜4の整数である)
3.(A)成分の色調が300ハーゼン以下である、前記項1又は2に記載の添加剤。
4.(A)成分のガラス転移温度が−10℃以下である、前記項1〜3のいずれかに記載の添加剤。
5.前記項1〜4のいずれかに記載の添加剤を含有する、光学用アクリル系活性エネルギー線硬化型粘接着剤。
本発明の光学用活性エネルギー線硬化型粘接着剤用の添加剤は、前記ロジンエステル(A)を含むため、重合阻害性が低く、耐光性や色調が良好である。また、該ロジンエステルのアクリル系モノマー及びオリゴマーに対する相溶性が良好なため、該粘接着剤の製造における添加剤の析出が抑制されて、該粘接着剤のヘイズは良好になる。さらに、該ロジンエステルのガラス転移温度が低いため、常温では液状でありハンドリング性に優れている。
本発明の光学用アクリル系活性エネルギー線硬化型粘接着剤は、前記添加剤を含むため耐光性や透明性が良好である。そして、該添加剤による重合阻害が抑制されるので、効率的に硬化反応が進み高分子量の粘接着剤が得られる。また、本発明の粘接着剤は、該添加剤の析出が抑制されるので、ヘイズが良好であり、操作性にも優れる。さらに、該添加剤が粘着付与剤及び可塑剤の機能も有しているため、本発明の粘接着剤は、粘着性能が高い特徴を有する。
本発明の光学用活性エネルギー線硬化型粘接着剤(以下、粘接着剤)用の添加剤(以下、添加剤)は、ロジン類(a)(以下、(a)成分)とアルキレングリコール類(b)(以下、(b)成分)とのエステル化物であり、前記エステル化物の加水分解物として得られる樹脂酸中に、エチレン性不飽和二重結合を有さない樹脂酸が60重量%以上含まれる、ロジンエステル(A)(以下、(A)成分)を含むことを特徴とする。
本発明の(A)成分は、(a)成分と(b)成分とをエステル化して得られる反応物である。
(a)成分は、特に限定されず各種公知のものを使用することができる。具体的には、馬尾松、スラッシュ松(湿地松)、メルクシ松、思茅松、テーダ松、大王松等に由来する天然ロジン(ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン)や、天然ロジンを精製して得られる精製ロジン、天然ロジンを水素化反応させて得られる水素化ロジン、天然ロジンを不均化反応させて得られる不均化ロジン等が挙げられる。なお、市販品としては、例えば、水素化ロジンではハイペールCH、CRW−300(以上、荒川化学工業(株)製)、Foral AX、Foral DX、Staybelite、Staybelite A(以上、Pinova社製)、Foralyn E、Foral AX−E、Staybelite Resin−E(以上、Eastman Chemical社製)等が、不均化ロジンではロンヂスR、KR−614(以上、荒川化学工業(株)製)などが使用できる。
(a)成分としては、得られる(A)成分の色調を向上させ、かつ不純物を低減できる点で、精製しておくことが好ましい。精製方法としては特に限定されないが、具体的には、例えば、蒸留、再結晶、抽出等が挙げられる。蒸留の場合は、例えば、未精製の(a)成分を通常は温度200〜300℃程度、圧力130〜1,300Pa程度の範囲の蒸留条件で行う。蒸留時間は蒸留条件に応じて決定すればよい。再結晶の場合は、例えば、未精製の(a)成分を良溶媒に溶解し、ついで溶媒を留去して濃厚な溶液とし、この溶液に貧溶媒を添加することにより行なうことができる。良溶媒としてはベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、炭素数1〜3の低級アルコール、アセトン等のケトン類、酢酸エチル等の酢酸エステル類等が挙げられる。貧溶媒としてはn−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、イソオクタン等が挙げられる。更に上記精製は未精製の成分(a)を、アルカリ水を用いてアルカリ水溶液となし、生じた不溶性の不ケン化物を有機溶媒により抽出した後、水層を中和してもよい。
(b)成分は、アルキレングリコール類であれば、特に限定されず公知のものを使用することができる。具体的には、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、ペンタプロピレングリコール、ヘキサプロピレングリコール等が挙げられる。これらは単独で、または二種以上を併用してしてもよい。これらのうち、下記一般式(1)で示されるエチレングリコール類(b−1)(以下、(b−1)成分)が好ましい。
[化1]
HO−(CHCHO)−H (1)
(式中、nは2〜4の整数である)
本発明の(A)成分は、(a)成分と(b)成分とのエステル化物であることで、アクリル系モノマー及びオリゴマーに対する相溶性が良い特徴を有する。その理由は明らかでないが、(A)成分は、(b)成分に由来する高極性のポリオキシアルキレン構造を含むため、水酸基、アミノ基等を含む高極性のアクリル系モノマー及びオリゴマーに対する相溶性が良くなると推定される。また、(A)成分は、エチレン性不飽和二重結合を有さない樹脂酸のような低極性の構造も含むため、アルキル基、脂環骨格等を含む低極性のアクリル系モノマー及びオリゴマーとも相溶性が良くなると推定される。
本発明の添加剤は、前記特徴を有する(A)成分を含むため、アクリル系モノマー及びオリゴマーに対する相溶性が向上し、粘接着剤の製造における析出が抑制される。そのため、該粘接着剤のヘイズは良好になる。一方、従来のロジンエステルを含む添加剤では、アクリル系モノマー及びオリゴマーに対する相溶性が悪いために析出が見られ、粘接着剤のヘイズが悪くなって光学用途には不適なものとなる。
本発明の(A)成分は、加水分解物として得られる樹脂酸中に、エチレン性不飽和二重結合を有さない樹脂酸が60重量%以上含まれることを必須とする。
前記の「加水分解物として得られる樹脂酸」とは、エステルである(A)成分を酸又は塩基触媒を用いて、水及び/又はアルコールにより加水分解して得られる樹脂酸を意味する。
前記の「エチレン性不飽和二重結合を有さない樹脂酸が60重量%以上含まれる」とは、加水分解物である樹脂酸をメチル化処理し、ガスクロマトグラフ質量分析によって該メチル化処理物を測定した場合に、測定された分子量320の成分の含有量が、分子量314〜320の成分の合計量の60重量%以上であることを意味する。分子量320の成分は、前記メチル化処理物のうち分子内にエチレン性不飽和二重結合を有さない樹脂酸のメチル化物が相当し、分子量314〜320の成分は、前記メチル化物と分子内にエチレン性不飽和二重結合を少なくとも1つ以上有する樹脂酸のメチル化物とが相当する。よって、分子量320の成分の含有量が、分子量314〜320の成分の合計量の60重量%以上であることは、加水分解物である樹脂酸中にエチレン性不飽和二重結合を有さない成分が非常に多く含まれることを意味する。
本発明の添加剤は、前記特徴を有する(A)成分を含むため、エチレン性不飽和二重結合による紫外線等の吸収が抑制されて、色調や耐光性が良好になり、アクリル系モノマー及びオリゴマーの重合反応を阻害しない効果を奏する。
本発明の(A)成分において、加水分解物中に含まれるエチレン性不飽和二重結合を有さない樹脂酸の含有量は、添加剤の色調、耐光性、及び重合阻害性の観点から、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上であればよい。
エチレン性不飽和二重結合を有さない樹脂酸の種類は、特に限定されない。具体的には、アビエタン骨格を有する樹脂酸でエチレン性不飽和二重結合を含まないテトラヒドロアビエチン酸、ピマラン又はイソピマラン骨格を有する樹脂酸でエチレン性不飽和二重結合を含まないテトラヒドロピマル酸、テトラヒドロイソピマル酸等が挙げられる。
スラッシュ松及びメルクシ松に由来する天然ロジンには、樹脂酸のメチル化処理物でガスクロマトグラフ質量分析によって測定される分子量314〜320の成分に該当しない、ラブダン骨格を有する樹脂酸も含まれる。具体的には、スラッシュ松由来のロジンにはコムン酸(Communic acid)が、メルクシ松由来のロジンにはジヒドロアガト酸(Dihydroagathic acid)が含まれる。該樹脂酸が有するエチレン性不飽和二重結合も、後述の水素化条件により全て水素化される。
(A)成分の製造方法は、特に限定されないが、エチレン性不飽和二重結合を有さない樹脂酸が60重量%以上含まれる(a)成分と(b)成分をエステル化させる、前記以外の(a)成分に後述の水素化をした後で(b)成分とエステル化させる、(a)成分と(b)成分のエステル化後に該水素化をする、等の方法が挙げられる。エステル化反応は、公知のエステル化方法で行うことができる。具体的には、150〜300℃程度の高温条件において、生成する水を系外に除去しながら行われる。また、エステル化反応中に空気が混入すると生成するエステル化物が着色するおそれがあるため、反応は窒素やヘリウム、アルゴン等の不活性ガス下で行なうことが好ましい。なお、反応に際しては、必ずしもエステル化触媒を必要としないが、反応時間の短縮のために酢酸、パラトルエンスルホン酸等の酸触媒、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、酸化カルシウム、酸化マグネシウム等の金属酸化物等を使用することもできる
(a)成分と(b)成分の使用量は、特に限定されないが、(a)成分の酸価(JIS K 0070。以下、酸価というときは同様。)と(b)成分の水酸基価(JIS K0070。以下、水酸基価というときは同様。)との比率(OH/COOH)が、通常0.5〜4程度、好ましくは1〜2.5程度となる範囲であればよい。
(a)成分、又は(a)成分と(b)成分とのエステル化物の水素化反応には、公知の方法を採用できる。例えば、水素化触媒の存在下、通常1〜25MPa程度、好ましくは5〜20MPa程度の水素加圧下で0.5〜7時間程度、好ましくは1〜5時間程度、(a)成分、又は(a)成分と(b)成分とのエステル化物を加熱することにより行なう。水素化触媒としては、特に制限なく各種公知のものが使用できるが、好ましくはパラジウム系、ロジウム系、ルテニウム系、白金系の触媒を例示できる。該触媒は通常カーボン、シリカ、アルミナなどの担体に担持して使用される。
該触媒の使用量は、(a)成分、又は(a)成分と(b)成分とのエステル化物100重量部に対して、通常0.01〜20重量部程度、好ましくは0.1〜10重量部程度である。また、水素化温度は100〜300℃程度、好ましくは150〜290℃程度である。また、水素化は、必要に応じて、(a)成分、又は(a)成分と(b)成分とのエステル化物を溶剤に溶解した状態で行ってもよい。使用する溶剤は特に限定されないが、反応に不活性で原料や生成物が溶解しやすい溶剤であればよい。例えば、シクロヘキサン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、デカリン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等を1種または2種以上を組み合わせて使用できる。溶剤の使用量は特に制限されないが、通常、原料樹脂に対して固形分が10重量%以上、好ましくは10〜70重量%程度の範囲となるように用いればよい。
本発明の(A)成分は、その加水分解物として得られる樹脂酸中に、エチレン性不飽和二重結合を有さない樹脂酸が60重量%以上含まれることを必須とする。一般的な水素化条件で製造した水素化ロジンエステルの場合には、加水分解物中のエチレン性不飽和二重結合を有さない樹脂酸の含有量は20重量%程度までしか増加しないため、(A)成分を得るためには水素化を繰り返す、触媒の使用量を増やす、水素化反応の温度を高める等の条件を厳しくしたり触媒種を選定したりする必要がある。
(A)成分の色調は、特に限定されないが、添加剤の色調、耐光性、及び粘接着剤の透明性の観点から、通常は300ハーゼン(JIS K 0071−1)以下、好ましくは200ハーゼン以下程度の範囲であればよい。
(A)成分のガラス転移温度(JIS K 7121)(以下、Tgと略記する)は、特に限定されないが、通常は−10℃以下、好ましくは−10〜−40℃程度の範囲であればよい。Tgが該範囲の場合、(A)成分は常温(JIS Z 8703)で液状のため、粘接着剤に用いる場合、従来のロジンエステル系添加剤と比較してハンドリング性が良好である。
(A)成分の酸価及び水酸基価は、特に限定されないが、通常30mgKOH/g以下及び10〜150mgKOH/g程度の範囲であればよい。
(A)成分には、ジエステル体、モノエステル体及び未反応の(a)成分が含まれる。ジエステル体は、(b)成分の2つの水酸基に(a)成分がエステル化することで得られ、モノエステル体は、(b)成分の1つの水酸基のみに(a)成分がエステル化して得られる反応物である。(A)成分におけるジエステル体の含有比率は、特に限定されないが、10重量%以上程度の範囲であるのが好ましい。該含有比率は、各種公知の手段で定量できる。具体的にはゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定を用いて、(A)成分の全ピーク面積総和と、(A)成分中のジエステル体に対応するピーク面積との比率によって求められる。
本発明の添加剤は、粘着付与剤及び可塑剤の機能を有しているため、該添加剤を含む粘接着剤の被着体への接着力を向上させることが可能であり、また柔軟性を付与することで該粘接着剤の弾性率を低下させ、例えば、被着体の印刷部による段差への追従性を向上させることも可能である。
本発明の添加剤は、(A)成分を含有するものであるが、必要に応じて、酸化防止剤等の各種添加剤を含有していてもよい。
本発明の光学用アクリル系活性エネルギー線硬化型粘接着剤(以下、単に粘接着剤という)は、特に限定されないが、前記添加剤、アクリル系モノマー及びオリゴマー、並びに光重合開始剤を含有する。
前記アクリル系モノマーとしては、(メタ)アクリロイル基を含有するものであれば、各種公知のものを特に限定なく使用できる。具体例としては、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アミノアルキル(メタ)アクリレート、ブタジエン(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、シリコン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、1分子中に2〜8個の(メタ)アクリロイル基を含有する多官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記オリゴマーとしては、(メタ)アクリロイル基を含有する重合性ポリマー(マクロモノマー)であり、重合度が2〜20程度の比較的重合度の低い状態で、硬化反応によって重合体を合成する原料であれば、各種公知のものを特に限定なく使用できる。具体的には、ポリアクリル(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等(例えば、荒川化学工業(株)製「ビームセットシリーズ」)が挙げられる。
前記光重合開始剤としては、活性エネルギー線により分解してラジカルを発生して重合を開始させることができるものであれば、各種公知のものを特に限定なく使用できる。例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−シクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、4−メチルベンゾフェノン等が挙げられる。これらは1種を単独で、あるいは2種以上を組合せて用いることができる。
本発明の粘接着剤における各成分の使用量は、特に限定されないが、アクリル系モノマー及びオリゴマーの合計100重量部に対して、添加剤が1〜100重量部程度、光重合開始剤が0.1〜10重量部程度の範囲とすることが好ましい。
本発明の粘接着剤は、活性エネルギー線を照射することにより硬化させる。活性エネルギー線としては、特に限定されず、例えば、光(紫外線などの光線)、電子線、X線、α線、β線、γ線、中性子線等が挙げられる。
本発明の粘接着剤は、粘接着性能および硬化性に悪影響を及ぼさない範囲で、粘着付与剤、充填剤、可塑剤、増粘剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐水化剤、造膜助剤、防腐剤、防錆剤、顔料、染料等の各種公知の添加剤を適宜含有させてもよい。
本発明の粘接着剤は、透明粘着シートや透明樹脂組成物の形態で、光学用途に好適に使用できる。光学用の透明粘着シートとしては、特に限定されないが、例えば、OCA(Optically Clear Adhesive)が挙げられる。また、光学用の透明樹脂組成物としては、特に限定されないが、例えば、OCR(Optically Clear Resin)が挙げられる。
本発明の粘接着剤を、前記OCAやOCRに用いると、前記添加剤を含むため、耐光性及び透明性が良好なものが得られる。そして、該添加剤による重合阻害が抑制されているので、効率的に硬化反応が進み高分子量のOCAやOCRが得られる。また、OCAやOCRから該添加剤の析出が抑制されるので、従来の水素化ロジンエステル系添加剤を使用する場合に比べて、ヘイズが良好になり、操作性にも優れる。さらに、該添加剤が粘着付与剤及び可塑剤の機能も有しているため、被着体への接着力の高いOCAやOCRが得られ、また柔軟性を付与することで弾性率を低下させるので、被着体の印刷部による段差への追従性に優れたOCAが得られる。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例中の「部」及び「%」は特に断りがない限り、重量基準である。
製造例1(ロジンエステル1の製造)
1リットルオートクレーブに中国水素化ロジン 200g、5%パラジウムアルミナ粉末(エヌ・イー ケムキャット社製)2g、及びシクロヘキサン200gを仕込み、系内の酸素を除去した後、系内を6MPaに加圧後、200℃まで昇温した。温度到達後、系内を再加圧し、9MPaを保ち、3時間水素化反応を行い、触媒ろ別後、減圧下にてシクロヘキサンを除去し、水素化ロジン 190gを得た。
次いで、攪拌装置、冷却管および窒素導入管を備えた反応装置に水素化ロジン 180gを仕込み、200℃まで溶融した後、トリエチレングリコール65gを仕込み、275℃で20時間反応させた。その後、減圧下にて低沸点留分を除去し、ロジンエステル179gを得た。
得られたロジンエステルを0.3リットルオートクレーブに100g、5%パラジウムカーボン(含水率50%、エヌ・イー ケムキャット社製)を0.5g仕込み、系内の酸素を除去した後、系内を6MPaに加圧後、220℃まで昇温した。温度到達後、系内を再加圧し、9MPaを保ち、4時間水素化反応を行い、濾過で触媒を除去し、ロジンエステル1を93g得た。
製造例2(ロジンエステル2の製造)
1リットルオートクレーブにガムロジン200g、5%パラジウムカーボン(含水率50%、エヌ・イー ケムキャット社製)1g、及びシクロヘキサン200gを仕込み、系内の酸素を除去した後、系内を6MPaに加圧後、200℃まで昇温した。温度到達後、系内を再加圧し、9MPaを保ち、3時間水素化反応を行い、触媒ろ別後、減圧下にてシクロヘキサンを除去し、水素化ロジン 191gを得た。
次いで、攪拌装置、冷却管および窒素導入管を備えた反応装置に水素化ロジン 180gを仕込み、200℃まで溶融した後、トリエチレングリコール65gを仕込み、275℃で20時間反応させた。その後、減圧下にて低沸点留分を除去し、ロジンエステル175gを得た。
得られたロジンエステルを0.3リットルオートクレーブに100g、5%パラジウムカーボン(含水率50%、エヌ・イー ケムキャット社製)を0.5g仕込み、系内の酸素を除去した後、系内を6MPaに加圧後、220℃まで昇温した。温度到達後、系内を再加圧し、9MPaを保ち、4時間水素化反応を行い、濾過で触媒を除去し、ロジンエステル2を94g得た。
製造例3(ロジンエステル3の製造)
1リットルオートクレーブにガムロジン200g、5%パラジウムカーボン(含水率50%、エヌ・イー ケムキャット社製)0.5g、及びシクロヘキサン200gを仕込み、系内の酸素を除去した後、系内を6MPaに加圧後、200℃まで昇温した。温度到達後、系内を再加圧し、9MPaを保ち、3時間水素化反応を行い、触媒ろ別後、減圧下にてシクロヘキサンを除去し、水素化ロジン 193gを得た。
次いで、攪拌装置、冷却管および窒素導入管を備えた反応装置に水素化ロジン 180gを仕込み、200℃まで溶融した後、トリエチレングリコール65gを仕込み、275℃で20時間反応させた。その後、減圧下にて低沸点留分を除去し、ロジンエステル178gを得た。
得られたロジンエステルを0.3リットルオートクレーブに100g、5%パラジウムカーボン(含水率50%、エヌ・イー ケムキャット社製)を0.5g仕込み、系内の酸素を除去した後、系内を6MPaに加圧後、220℃まで昇温した。温度到達後、系内を再加圧し、9MPaを保ち、3時間水素化反応を行い、濾過で触媒を除去し、ロジンエステル3を93g得た。
製造例4(ロジンエステル4の製造)
1リットルオートクレーブに中国水素化ロジン 200g、5%パラジウムアルミナ粉末(エヌ・イー ケムキャット社製)2g、及びシクロヘキサン200gを仕込み、系内の酸素を除去した後、系内を6MPaに加圧後、200℃まで昇温した。温度到達後、系内を再加圧し、9MPaを保ち、3時間水素化反応を行い、触媒ろ別後、減圧下にてシクロヘキサンを除去し、水素化ロジン 190gを得た。
次いで、攪拌装置、冷却管および窒素導入管を備えた反応装置に水素化ロジン 180gを仕込み、200℃まで溶融した後、ジエチレングリコール90gを仕込み、240℃で24時間反応させた。その後、減圧下にて低沸点留分を除去し、ロジンエステル216gを得た。
得られたロジンエステルを0.3リットルオートクレーブに100g、5%パラジウムカーボン(含水率50%、エヌ・イー ケムキャット社製)を0.5g仕込み、系内の酸素を除去した後、系内を6MPaに加圧後、220℃まで昇温した。温度到達後、系内を再加圧し、9MPaを保ち、4時間水素化反応を行い、濾過で触媒を除去し、ロジンエステル4を91g得た。
製造例5(ロジンエステル5の製造)
1リットルオートクレーブに中国水素化ロジン 200g、5%パラジウムアルミナ粉末(エヌ・イー ケムキャット社製)2g、及びシクロヘキサン200gを仕込み、系内の酸素を除去した後、系内を6MPaに加圧後、200℃まで昇温した。温度到達後、系内を再加圧し、9MPaを保ち、3時間水素化反応を行い、触媒ろ別後、減圧下にてシクロヘキサンを除去し、水素化ロジン 188gを得た。
次いで、攪拌装置、冷却管および窒素導入管を備えた反応装置に水素化ロジン 180gを仕込み、200℃まで溶融した後、テトラエチレングリコール96gを仕込み、285℃で20時間反応させた。その後、減圧下にて低沸点留分を除去し、ロジンエステル174gを得た。
得られたロジンエステルを0.3リットルオートクレーブに100g、5%パラジウムカーボン(含水率50%、エヌ・イー ケムキャット社製)を0.5g仕込み、系内の酸素を除去した後、系内を6MPaに加圧後、220℃まで昇温した。温度到達後、系内を再加圧し、9MPaを保ち、4時間水素化反応を行い、濾過で触媒を除去し、ロジンエステル5を93g得た。
比較製造例1(ロジンエステル6の製造)
攪拌装置、冷却管および窒素導入管を備えた反応装置にガムロジン180gを仕込み、200℃まで溶融した後、トリエチレングリコール65gを仕込み、275℃で20時間反応させた。その後、減圧下にて低沸点留分を除去し、ロジンエステル174gを得た。
得られたロジンエステルを0.3リットルオートクレーブに100g、5%パラジウムカーボン(含水率50%、エヌ・イー ケムキャット社製)を0.5g仕込み、系内の酸素を除去した後、系内を6MPaに加圧後、220℃まで昇温した。温度到達後、系内を再加圧し、9MPaを保ち、4時間水素化反応を行い、濾過で触媒を除去し、ロジンエステル6を90g得た。
比較製造例2(ロジンエステル7の製造)
攪拌装置、冷却管および窒素導入管を備えた反応装置に市販の水素化ロジン(Eastman Chemical社製、商品名:「Foral AX−E」)300gを仕込み、200℃まで昇温溶融した後、トリエチレングリコール108gを仕込み、275℃で24時間反応させた。その後、減圧下にて低沸点留分を除去し、ロジンエステル7を282g得た。
比較製造例3(ロジンエステル8の製造)
1リットルオートクレーブに中国水素化ロジン 200g、5%パラジウムアルミナ粉末(エヌ・イー ケムキャット社製)2g、及びシクロヘキサン200gを仕込み、系内の酸素を除去した後、系内を6MPaに加圧後、200℃まで昇温した。温度到達後、系内を再加圧し、9MPaを保ち、3時間水素化反応を行い、触媒ろ別後、減圧下にてシクロヘキサンを除去し、水素化ロジン 189gを得た。
得られた水素化ロジン 100g、メタノール300gを1リットルオートクレーブに仕込み、系内の酸素を除去した後、290℃まで昇温した。20分毎に脱圧して水蒸気を抜きながら2時間エステル化反応させた。得られた反応液をロータリーエバポレーターにて濃縮後、水酸化カルシウムを5g加え、液温150〜270℃、圧力0.4kPa条件下での単蒸留により、主留分としてロジンエステル8を69g得た。
比較製造例4(ロジンエステル9の製造)
1リットルオートクレーブに中国水素化ロジン 200g、5%パラジウムアルミナ粉末(エヌ・イー ケムキャット社製)2g、及びシクロヘキサン200gを仕込み、系内の酸素を除去した後、系内を6MPaに加圧後、200℃まで昇温した。温度到達後、系内を再加圧し、9MPaを保ち、3時間水素化反応を行い、触媒ろ別後、減圧下にてシクロヘキサンを除去し、水素化ロジン 191gを得た。
次いで、攪拌装置、冷却管および窒素導入管を備えた反応装置に水素化ロジン 185gを仕込み、200℃まで溶融した後、1,6−ヘキサンジオール40gを仕込み、240℃で20時間反応させた。その後、減圧下にて低沸点留分を除去し、ロジンエステル173gを得た。
得られたロジンエステルを0.3リットルオートクレーブに100g、5%パラジウムカーボン(含水率50%、エヌ・イー ケムキャット社製)を0.5g仕込み、系内の酸素を除去した後、系内を6MPaに加圧後、220℃まで昇温した。温度到達後、系内を再加圧し、9MPaを保ち、4時間水素化反応を行い、濾過で触媒を除去し、ロジンエステル9を92g得た。
比較製造例5(ロジンエステル10の製造)
1リットルオートクレーブに中国水素化ロジン 200g、5%パラジウムアルミナ粉末(エヌ・イー ケムキャット社製)2g、及びシクロヘキサン200gを仕込み、系内の酸素を除去した後、系内を6MPaに加圧後、200℃まで昇温した。温度到達後、系内を再加圧し、9MPaを保ち、3時間水素化反応を行い、触媒ろ別後、減圧下にてシクロヘキサンを除去し、水素化ロジン 190gを得た。
次いで、攪拌装置、冷却管および窒素導入管を備えた反応装置に水素化ロジン 180gを仕込み、200℃まで溶融した後、グリセリン21gを仕込み、280℃で10時間反応させた。その後、減圧下にて低沸点留分を除去し、ロジンエステル175gを得た。
得られたロジンエステルを1リットルオートクレーブに170g、5%パラジウムカーボン(含水率50%、エヌ・イー ケムキャット社製)を0.85g、シクロヘキサンを170g仕込み、系内の酸素を除去した後、系内を6MPaに加圧後、220℃まで昇温した。温度到達後、系内を再加圧し、9MPaを保ち、4時間水素化反応を行い、触媒ろ別後、減圧下にてシクロヘキサンを除去、ロジンエステル10を161g得た。
ロジンエステル1〜10の諸物性及び添加剤としての性能評価を、以下のように測定及び評価した。結果を表1に示す。比較例1には、添加剤を用いない場合を記載した。

表1中の略語及び注釈は、以下の通りである。
α成分:ロジンエステルの加水分解物中のエチレン性不飽和二重結合を有さない樹脂酸
2−EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
BA:ブチルアクリレート
4−HBA:4−ヒドロキシブチルアクリレート
2−HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート
(α成分含有量:加水分解物のメチル化処理物のガスクロマトグラフ質量分析により測定された分子量320の成分の含有量)
ロジンエステル1〜10を加水分解(n−ヘキサノール中にロジンエステル1〜10及び水酸化カリウムを加えて、2時間還流反応させた後に、塩酸処理で中性にする)した後、得られた樹脂酸を用いて、以下のガスクロマトグラフ質量分析装置で定量を実施した。
測定には、前記樹脂酸0.1gをn−ヘキサノール2.0gに溶解し、この溶液0.1gとオンカラムメチル化剤(フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキサイド(PTHA)0.2モルメタノール溶液、ジーエルサイエンス(株)製)0.4gを均一混合し、1μlをガスクロマトグラフ質量分析(GC/MS)に注入し、測定を行った。分子量314〜320の成分の合計ピーク面積に対する分子量320の成分のピーク面積比を測定し、これを分子量320の成分の含有量(重量%)とした。結果を表1のα成分含有量欄に示す。
使用装置
GC/MS:ガスクロマトグラフ Agilent6890、質量分析計 Agilent5973、カラム Advance−DS
(色調)
JIS K0071に準じて、ガードナー単位、ハーゼン単位で測定した。
(ガラス転移温度(Tg))
JIS K7121に規定された示差走査熱量測定法(熱流束DSC)により測定した。DSC測定機器:EXSTAR DSC6200、セイコーインスツルメンツ(株)製
(アクリルモノマー溶解性評価)
ロジンエステル1〜10と表1記載の各アクリルモノマーを同質量で混合し、室温で12時間振とう攪拌後、目視で溶け残りの有無を評価。溶け残りが無ければ○、溶け残りがあれば×と評価した。溶け残りが無いロジンエステルは、アクリルモノマー及びオリゴマーとの相溶性が良好であり、当該ロジンエステルを含む添加剤を用いた粘接着剤は、該添加剤の析出が無くヘイズが良好なものとなる。
(重合阻害性評価)
重合阻害性評価のサンプルは次のように調製した。アクリル酸ブチル(大阪有機化学(株)製)78部にイルガキュア1173(BASF社製)2部、ロジンエステル1(製造例1)20部を加えて溶解後、直径5cmのアルミカップに2g取り出し、重合阻害性評価用サンプルとした。また、ロジンエステル2〜10についても同様に評価用サンプルを調製した。
得られた評価用サンプルを紫外線照射装置(UBT−080−7A/BM、(株)マルチプライ製)を使って、積算光量が1,000mJ/cm となるように、80W/cm 強度の紫外線を照射。そのサンプルをGPC測定した。
本発明における添加剤(ロジンエステル)の重合阻害性については、GPCによって重合平均分子量を算出して評価した。以下に詳細を記述する。
(GPC測定条件)
機種 :製品名「HLC−8220」、東ソー(株)製
カラム :製品名「TSKgel SuperHM−L」×3本
展開溶媒、流量:テトラヒドロフラン、0.6mL/分
測定温度:40℃
検出器 :RI
(重量平均分子量)
重量平均分子量=(MP×P+MM×M)/(P+M)・・・(3)
MP:アクリルポリマー部の重量平均分子量
MM:アクリルモノマー部の重量平均分子量
P :アクリルポリマーのGPCピーク面積比
M :アクリルモノマーのGPCピーク面積比

重量平均分子量が高いほど重合阻害性が低いことを示す。
重量平均分子量の測定結果を表1の重合阻害性欄に示す。
(耐光性評価)
ロジンエステル1〜10を2g、直径5cmのアルミカップに仕込み、60W/cm2 強度の紫外線(UV照射装置:アイ スーパーUVテスター SUV−F112、岩崎電気(株)製)で6時間照射した。照射後のサンプルを50%トルエン溶液とした後、色調をガードナー単位で測定した。UV照射後の色調(ガードナー)の数字が低いほど、耐光性が良好である。
表1のロジンエステル1〜5を添加剤として含む光学用粘接着剤の接着力を、以下のように評価した。結果を表2に示す。比較例1には、添加剤を用いない場合を記載した。表1のロジンエステル6〜10は、重合阻害性、色調、アクリルモノマー溶解性及び耐光性のいずれかに問題があったので、光学用粘接着剤の添加剤としての評価はしなかった。
表2中の配合量の単位は重量部であり、略語及び注釈は、以下の通りである。
IBXA:イソボルニルアクリレート
2−HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート
[アクリル系オリゴマー(ポリエーテルウレタンアクリレート)の合成]
攪拌装置、冷却管を備えた反応装置に、ポリエーテルポリオール(ADEKA(株)製、商品名「アデカポリエーテルポリオールP−2000」)300部、イソホロンジイソシアネート400部、およびオクチル酸スズ0.36部を加え、80℃まで昇温して3時間保温した後、NCO測定にて反応完結を確認し、中間体であるイソシアネート末端ウレタンプレポリマーを得た。続いて、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA、大阪有機化学工業(株)製)を200部加え、80℃で2時間保温し、NCO測定にて反応完結を確認することにより、重量平均分子量26,000、平均官能基数2のポリエーテルウレタンアクリレートを得た。
(光学用粘接着剤の調製)
前記合成法で得られたポリエーテルウレタンアクリレート35.0部に、アクリル系モノマーとして2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA、大阪有機化学工業(株)製)18.0部とイソボルニルアクリレート(IBXA、大阪有機化学工業(株)製)14.2部、添加剤(ロジンエステル1)30.0部、及び光開始剤としてイルガキュアTPO(BASFジャパン(株)製)0.7部とイルガキュア184(BASFジャパン(株)製)2.1部を加えて実施例1の評価用サンプルを調製した。また、実施例2〜5についても、ロジンエステル2〜5を用いて同様に評価用サンプルを調製した。
(試験片の作成)
前記の評価用サンプルを、38μm厚のポリエチレンテレフタラートフィルム(商品名「S−100」、三菱化学ポリエステルフィルム(株)製)に、サイコロ型アプリケーターにて膜厚が150μmになるよう塗布し、紫外線照射装置(UBT−080−7A/BM、(株)マルチプライ製)で、積算光量が3,000mJ/cm となるように、300W/cm強度の紫外線照射で硬化し、試料テープを作成した。
(接着力の測定)
前記試料テープを、2kgローラーを用いて、ガラス板(26mm×10.0cm×1.1mm)に圧着後、室温で1時間放置した。その後、テンシロン引張り試験機(製品名「RMT−500」、(株)オリエンテック製)で180°方向に300mm/minの速度で剥離を行うことで、接着力(N/25mm)を測定した。
表1のロジンエステル1〜5を添加剤として含む光学用粘接着剤の貯蔵弾性率及び段差追従性を、以下のように評価した。結果を表3に示す。比較例1には、添加剤を用いない場合を記載した。表2と同様に、ロジンエステル6〜10は、重合阻害性、色調、アクリルモノマー溶解性及び耐光性のいずれかに問題があったので、光学用粘接着剤の添加剤としての評価はしなかった。
表3中の配合量の単位は重量部であり、略語及び注釈は、以下の通りである。
UA−160TM:ウレタンアクリレートオリゴマー
FA−512M:ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート
LA:ラウリルアクリレート
4−HBA:4−ヒドロキシブチルアクリレート
(光学用粘接着剤の調製)
ウレタンアクリレートオリゴマー(重量平均分子量1,600、平均官能基数2、商品名「UA−160TM」、新中村化学工業(株)製)25.0部に、アクリル系モノマーとしてジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート(商品名「FA−512M」、日立化成(株)製)10.0部、ラウリルアクリレート(LA、大阪有機化学工業(株)製)8.0部と4−ヒドロキシブチルアクリレート(4−HBA、大阪有機化学工業(株)製)5.0部、添加剤(ロジンエステル1)30.0部、及び光開始剤としてイルガキュアTPO(BASFジャパン(株)製)0.5部とイルガキュア184(BASFジャパン(株)製)1.5部を加えて、実施例1の評価用サンプルを調製した。また、実施例2〜5についても、ロジンエステル2〜5を用いて同様に評価用サンプルを調製した。
(試験片の作成)
前記評価用サンプルを、75μm厚の重剥離処理ポリエステルフィルム(商品名「SP−PET−03−75BU」、パナック(株)製)上に、150μmの膜厚になるように塗布し、空気中、高圧水銀灯(100mW/cm2、100mJ/cm2)の下を1度通過させることにより、プレ硬化を行った。この硬化物塗工面に38μm厚の軽剥離処理ポリエステルフィルム(商品名「SP−PET−01−38BU」、パナック(株)製)を剥離処理面が接するように貼り合わせ、空気中、高圧水銀灯(100mW/cm2、300mJ/cm2)の下を3度通過させて硬化を行い、試験片を作製した。
(貯蔵弾性率の測定)
前記試験片を5mm×5mmの大きさに切りだし、重剥離処理ポリエステルフィルム及び軽剥離処理ポリエステルフィルムを剥離後、粘接着剤層を膜厚が600μmになるように4層貼り合わせた。貼り合わせた4層を、動的粘弾性測定装置(DMS6100、セイコーインスツル(株)製)に取り付け、ずり粘弾性モード、周波数10Hz、温度上昇速度3℃/min、及び−10℃以上50℃以下の温度領域で測定を行い、25℃の貯蔵弾性率(MPa)を測定した。
(段差追従性評価)
前記試験片から軽剥離処理ポリエステルフィルムを剥離し、38μm厚のポリエステルフィルムA(商品名「S−100」、三菱化学ポリエステルフィルム(株)製)を貼り合わせ、5cm×5cmの大きさに切り出して2時間放置し、試験板を作成した。大きさ3cm×3cmの38μm厚のポリエステルフィルムB(商品名「S−100」、三菱化学ポリエステルフィルム(株)製)をガラス板上に載せた後、前記試験板の重剥離ポリエステルフィルムを剥がし、ガラス板上の該ポリエステルフィルムBを覆うように貼り合わせた後、オートクレーブ処理(25℃、0.5MPa、20min)を行った。処理後、前記ポリエステルフィルムB周りの埋め込み性を目視で確認し、下記の基準で評価した。
○:埋め込み性良好。ポリエステルフィルムBの周りに小さい気泡が確認されるのみ。
×:埋め込み性悪い。ポリエステルフィルムBの周りに隙間があるように、大きい気泡が確認される。



Claims (5)

  1. ロジン類(a)とアルキレングリコール類(b)とのエステル化物であり、
    前記エステル化物の加水分解物として得られる樹脂酸中に、エチレン性不飽和二重結合を有さない樹脂酸が60重量%以上含まれる、
    ロジンエステル(A)を含む光学用活性エネルギー線硬化型粘接着剤用の添加剤。
  2. (b)成分が、下記一般式(1)で示されるエチレングリコール類(b−1)である、請求項1に記載の添加剤。
    [化1]
    HO−(CHCHO)−H (1)
    (式中、nは2〜4の整数である)
  3. (A)成分の色調が300ハーゼン以下である、請求項1又は2に記載の添加剤。
  4. (A)成分のガラス転移温度が−10℃以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の添加剤。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の添加剤を含有する、光学用アクリル系活性エネルギー線硬化型粘接着剤。
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