JP2018126767A - 演算装置および演算方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】種々の形状不良を有する金属板を、良好な板形状に矯正する。
【解決手段】プロセスコンピュータ(6)は、テンションレベラ(3)によって金属板(8)に与えられる張力、および下側バックアップロール(34)の各分割部(341〜349)のクラウニング量の制御値を算出する主演算部(12)を備える。主演算部(12)は、金属板(8)の幅方向に沿って配列する2点間の伸び率差の目標値に及ぼす、張力の影響度、クラウニング量の影響度、および、矯正前の金属板の板形状に基づく影響度、をそれぞれ示す影響係数を含む数式を用いて、数式が示す目標値が、予め設定した設定目標値となるように制御値を算出する。
【選択図】図11

Description

本発明は、金属板の板形状の矯正に用いられるテンションレベラを制御するための値を算出する演算装置および演算方法に関する。
圧延工程における形状制御技術の進歩に伴い、圧延後の金属帯の形状不良は改善されているが、圧延工程における形状制御には限界がある。圧延後の金属帯には、耳伸び、中伸び、クオータ伸び、または、各種伸びが複雑に組み合わされた複合伸びといった形状不良が生じることが多い。
このような形状不良を矯正し、金属帯を平坦な板形状に加工する手段として、テンションレベラが多く使用されている。テンションレベラは、金属帯に引張応力(張力)を加えつつ、金属帯の上下に複数本配置されたワークロールによって金属帯に繰り返し、曲げ加工を施す設備である。一般的に、テンションレベラでは、上記曲げ加工において塑性変形を付与するために小径のワークロールが用いられる。また、金属帯の板厚が薄くなるほど、ワークロールのロール径を小さくすることが要求される。薄板の矯正においては、ロール径30mm以下の小径ワークロールが用いられる場合がある。
このようなテンションレベラを用いて、圧延後の金属帯(以下、矯正前原板と称することがある)の形状が矯正される。ここで、各種の形状不良に対応して矯正前原板を十分に矯正するためには、一般に、0.2%以上の高い伸び率を矯正前原板に付与することが求められる。しかし、この場合、小径のワークロールが撓むことにより、金属帯の形状が悪化しやすい。
テンションレベラは、ワークロールを中間ロールおよびバックアップロールによって支持する構成である場合が多い。しかし、この場合であっても、小径ワークロールの撓みを完全に抑制することは困難である。そこで、複数の分割部を有する分割バックアップロールにおける各分割部を個別に圧下することにより、各分割部のクラウニング量(偏移量)を個別に調整可能な分割バックアップロール圧下調整装置が開発されている。
小径ワークロールの撓みを補正し、矯正前原板を良好な板形状に矯正するためには、分割バックアップロール圧下調整装置の各クラウニング量を適正に設定することが求められる。例えば、特許文献1には、テンションレベラの入側および出側の少なくともいずれかにおいて板材の形状不良を評価し、得られた情報に基づいてロールクラウン調整量等のレベラ条件を制御する方法が記載されている。
特許文献1に記載の方法では、板材の幅方向に並設された応力計測手段を用いて、板材の幅方向の応力分布を求め、それに基づいてレベラ条件を制御する。より詳しくは、上記応力計測手段を用いて、板材の幅方向における複数箇所のそれぞれについて、板材の板厚方向における平均応力を計測する。ここで、例えば耳波が極端に生じている板材は、両端側が圧縮となり、板幅方向の中央部付近が引張となる応力分布を有する。この応力分布は、例えば次のようにグラフ化することができる。横軸を板幅方向とし、縦軸を上記平均応力の測定値とし、かつ圧縮応力を負、引張応力を正とすると、上記応力分布は、上に凸の曲線として表される。一方、例えば中伸びが生じている板材は、逆に下に凸の曲線として表される。つまり、このような曲線の凹凸およびその大きさによって、板材の形状(応力分布の度合い)が表される。
特開2002−282942号公報(2002年10月2日公開)
特許文献1に記載の方法では、板材の応力分布の山谷の度合い(例えば応力計測手段による計測値の最大値と最小値との差)を平坦度として求め、この平坦度に基づいてレベラ条件を制御して、板材の形状を矯正している。しかしながら、矯正後の形状を予測する制御用の数式モデルについては、具体的に記載されていない。そして、上記平坦度に基づく形状評価では、各種伸びが複雑に組み合わされた複合伸びの形状不良を評価し難く、複合伸びを矯正することは難しい。
本発明の目的は、種々の形状不良を有する金属板を、良好な板形状に矯正することができるように、分割バックアップロールを備えるテンションレベラを制御するための値を算出することができる演算装置および演算方法を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様における演算装置は、軸方向に配置された複数の分割部をそれぞれ有する複数の分割バックアップロールを備え、前記分割部の、金属板に対する偏移量を制御することにより前記金属板の板形状を矯正するテンションレベラを制御する制御値を算出する演算装置であって、前記テンションレベラによって前記金属板に与えられる張力、および前記偏移量の制御値を算出する算出部を備え、前記算出部は、前記金属板の幅方向に沿って配列する2点間の伸び率差の目標値に及ぼす、(i)前記張力の影響度、(ii)前記偏移量の影響度、および、(iii)前記テンションレベラにて矯正される前の前記金属板の形状に基づく影響度、をそれぞれ示す複数の影響係数を含む数式を用いて、前記数式が示す目標値が、予め設定した設定目標値となるように前記制御値を算出する。
本発明の一態様における演算方法は、軸方向に配置された複数の分割部をそれぞれ有する複数の分割バックアップロールを備え、前記分割部の、金属板に対する偏移量を制御することにより前記金属板の板形状を矯正するテンションレベラを制御する制御値を算出する演算方法であって、該演算方法は、前記テンションレベラによって前記金属板に与えられる張力、および前記偏移量の制御値を算出する方法であり、前記テンションレベラにて矯正される前の前記金属板における、幅方向に沿って配列する2点間の伸び率差によって表される矯正前形状を算出する矯正前形状算出工程と、前記金属板の矯正後の形状についての設定目標値を設定する目標値設定工程と、前記金属板の幅方向に沿って配列する2点間の伸び率差の目標値に及ぼす、(i)前記張力の影響度、(ii)前記偏移量の影響度、および、(iii)前記算出した矯正前形状の影響度、をそれぞれ示す影響係数を、前記金属板の種類に応じて決定する影響係数決定工程と、決定された前記影響係数を含む数式を用いて、前記設定目標値に基づいて、前記張力、および前記偏移量の制御値を算出する制御値算出工程と、を含む。
本発明の一態様によれば、種々の形状不良を有する金属板を、良好な板形状に矯正することができるように、テンションレベラの制御値を算出することができる。
本発明の一実施形態における演算装置が算出する値を用いて制御が行われるテンションレベラを備える形状矯正設備の構成を示す概略図である。 上記テンションレベラが備えるローラレベラを、金属板が通過する方向から見た場合の各ロールの構成を模式的に示す図である。 矯正後の板端部に関する対称成分εeに及ぼす、矯正前の板端部に関する対称成分ζeの影響を示すグラフである。 矯正後のクオータ部に関する対称成分εqに及ぼす、矯正前のクオータ部に関する対称成分ζqの影響を示すグラフである。 矯正後の板端部に関する対称成分εeおよびクオータ部に関する対称成分εqに及ぼす、張力Tの影響を示すグラフである。 矯正後の板端部に関する対称成分εeおよびクオータ部に関する対称成分εqに及ぼす、各分割部のクラウニング量の影響を示すグラフであり、(a)〜(d)はそれぞれ、ワークサイドから1番目の分割部および9番目の分割部のクラウニング量の平均値Cr、ワークサイドから2番目の分割部および8番目の分割部のクラウニング量の平均値Cr、ワークサイドから3番目の分割部および7番目の分割部のクラウニング量の平均値Cr、並びに、ワークサイドから4番目の分割部および6番目の分割部のクラウニング量の平均値Crの影響を示すグラフである。 矯正後の板端部に関する対称成分εeおよびクオータ部に関する対称成分εqに及ぼす、ワークサイドから5番目の分割部のクラウニング量Crの影響を示すグラフである。 矯正後の板端部に関する非対称成分εe’に及ぼす、矯正前の板端部に関する非対称成分ζe’の影響を示すグラフである。 矯正後のクオータ部に関する非対称成分εq’に及ぼす、矯正前のクオータ部に関する非対称成分ζq’の影響を示すグラフである。 矯正後の板端部に関する非対称成分εe’およびクオータ部に関する非対称成分εq’に及ぼす、各分割部のクラウニング量の影響を示すグラフであり、(a)〜(d)はそれぞれ、ワークサイドから1番目の分割部と9番目の分割部とのクラウニング量の差Cr’、ワークサイドから2番目の分割部と8番目の分割部とのクラウニング量の差Cr’、ワークサイドから3番目の分割部と7番目の分割部とのクラウニング量の差Cr’、および、ワークサイドから4番目の分割部と6番目の分割部とのクラウニング量の差Cr’の影響を示すグラフである。 形状矯正設備が含むプロセスコンピュータの概略的な構成を示すブロック図である。 矯正開始前の板形状の測定値に基づいて、上記プロセスコンピュータが実行する演算処理の流れの一例を示すフローチャートである。 本発明の他の実施形態に係るプロセスコンピュータが、形状検出器から取得した情報に基づいて実行する演算処理の流れの一例を示すフローチャートである。 本発明の実施例における、鋼帯のコイル全長について矯正を行った場合の、該鋼帯の矯正後形状の対称成分εe、εqおよび非対称成分εe’、εq’のそれぞれの実績値と目標値との差の絶対値について、矯正開始位置から終了位置までの間の推移を示すグラフである。 オペレータにより手動で矯正条件を調整して、鋼帯のコイル全長について矯正を行った場合の、該鋼帯の矯正後形状の対称成分εe、εqおよび非対称成分εe’、εq’のそれぞれの実績値と目標値との差の絶対値について、矯正開始位置から終了位置までの間の推移を示すグラフである。
〔実施形態1〕
本発明の一実施の形態について、図1〜図15に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、以下の記載は発明の趣旨をより良く理解させるためのものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、本明細書において、「A〜B」とは、A以上B以下であることを示している。
以下の説明においては、本発明の一態様における演算装置についての理解を容易にするために、先ず、上記演算装置が算出する値を用いて制御が行われるテンションレベラを備える形状矯正設備の概要を、図1および図2に基づいて説明する。次に、本発明の知見について概略的に説明し、その後、上記演算装置が用いる数式モデル、および該数式モデルを用いた形状制御について詳細に説明する。
(形状矯正設備の概略的構成)
図1は、本実施の形態における演算装置が算出する値を用いて制御が行われるテンションレベラ3を備える形状矯正設備1の構成を示す概略図である。形状矯正設備1は、金属板8の形状不良を矯正する設備であり、リコイラ、アンコイラ、または圧延設備の後の工程等に設置される。
金属板8は、例えば、薄い鋼帯のコイルから巻き出された鋼帯である。また、金属板8は、圧延設備(図示せず)から送られてきた金属帯であってもよく、金属の種類は特に限定されない。
図1に示すように、テンションレベラ3は、ローラレベラ30と、ローラレベラ30の入側および出側に設けられた張力付加装置2とを備えている。
ローラレベラ30は、金属板8の厚さ方向の両側(金属板8の上下側)に配置されたワークロール31と、ワークロール31を支持する中間ロール32と、中間ロール32を介してワークロール31を支持する上側バックアップロール(分割バックアップロール)33および下側バックアップロール(分割バックアップロール)34とを備えている。図1において、これらのロールは、紙面に対して垂直方向が長手方向となっており、金属板8は紙面上を左方向から右方向へと流れて形状矯正されるようになっている。
本実施の形態のローラレベラ30は、金属板8の上側が、11本のワークロール31、12本の中間ロール32、および11本の上側バックアップロール33により構成され、下側が、12本のワークロール31、13本の中間ロール32、および12本の下側バックアップロール34により構成されている。
図2は、ローラレベラ30を、金属板8が通過する方向から見た場合の各ロールの構成を模式的に示す図である。
図2に示すように、11本の上側バックアップロール33および12本の下側バックアップロール34はそれぞれ9個に均等に分割され、9個の分割部を備えている。下側バックアップロール34を構成する分割部を、ワークサイドからドライブサイドへと順に分割部341〜349とする。
ここで、ドライブサイドとは、ローラレベラ30において、ワークロール31を回転させるためのモータ(図示せず)が設けられている側であり、ワークサイドとは、ローラレベラ30を挟んでドライブサイドの反対側である。
なお、分割バックアップロールは、金属板8の上下少なくとも一方側に設けられていればよく、上側バックアップロール33および下側バックアップロール34のうちいずれかが、分割バックアップロールとなっていればよい。つまり、テンションレベラ3は、軸方向に配置された複数の分割部をそれぞれ有し、金属板8の上下少なくとも一方側に設けられた複数の分割バックアップロールを備えている構成である。
また、分割バックアップロールの分割数は特に限定されるものではなく、分割バックアップロールがn個(n=2s+1、sは整数)の分割部を備える構成であればよい。
テンションレベラ3が備える張力付加装置2は、一般にブライドルロールと呼ばれる装置である。張力付加装置2は、ワークロール31の入側および出側に設けられており、金属板8に張力を付加することができる。張力付加装置2は、金属板8に与える張力を調整することができればよく、具体的な態様は特に限定されない。
また、形状矯正設備1は、分割バックアップロール圧下調整装置(制御機構)4、形状検出器7、およびプロセスコンピュータ(演算装置)6を備えている。
本実施の形態の分割バックアップロール圧下調整装置4は、それぞれ9個に均等に分割された12本の下側バックアップロール34の、各分割部を圧下および開放し、各分割部のクラウニング量を調整する。この場合、各分割部には、分割バックアップロール圧下調整装置4によって制御されて、該分割部を偏移させる駆動機構が備えられている。
なお、分割バックアップロールの各分割部に対する複数の分割バックアップロール圧下調整装置4を設けてもよい。この場合、プロセスコンピュータ6から送信された制御値に基づいて、複数の分割バックアップロール圧下調整装置4のそれぞれが対応する分割部を偏移させて、該分割部のクラウニング量を調整する。
ここで、下側バックアップロール34の分割部を圧下するとは、分割部を鉛直上方向に偏移させることを意味し、開放するとは鉛直下方向に偏移させることを意味する。そして、分割部のクラウニング量とは、分割部の偏移量(例えば、単位はmm)を意味する。本実施の形態では、各分割部の基準位置のクラウニング量を0とし、分割部を圧下した場合のクラウニング量を正の値とする。
換言すれば、クラウニング量は、金属板に対する偏移量と表現できる。金属板8の矯正を行う場合に、各分割部を圧下および開放するとは、金属板8に対して分割部を偏移させることを意味しており、分割部の偏移によりワークロール31の撓みを矯正することができる。
また、分割バックアップロール圧下調整装置4は、12本の下側バックアップロール34のそれぞれの分割部(12×9個の分割部)のクラウニング量について、以下のように制御を行う。すなわち、12本の下側バックアップロール34はそれぞれ、分割部341〜349を備えており、例えば分割部341のクラウニング量をx(mm)とする場合、分割バックアップロール圧下調整装置4は、12本の下側バックアップロール34の12個の分割部341のクラウニング量が全てx(mm)となるように制御する。他の分割部342〜349についてもそれぞれ同様に、12本の下側バックアップロール34の12個の分割部が、同じクラウニング量にて等しく制御される。つまり、分割バックアップロール圧下調整装置4は、12本の下側バックアップロール34のそれぞれにおける一端からn番目の分割部に同じ偏移量を与えるように制御する。
形状検出器7は、矯正前の金属板8の形状を検出する装置であり、検出結果を示す信号をプロセスコンピュータ6に出力する。
プロセスコンピュータ6は、詳しくは後述するが、入力された金属板8の情報および形状検出器7の出力信号に基づいて、テンションレベラ3を制御する。
さらに、形状矯正設備1は、プロセスコンピュータ6を制御する上位コンピュータ5を備えている。上位コンピュータ5は、制御パラメータ等を表示する表示部5a(例えば、液晶ディスプレイなどの表示装置)、および制御パラメータを変更するための入力を受け付ける入力部5b(例えば、マウス、キーボード)を備えている。
詳しくは後述するが、本発明の一態様における演算装置は、上記プロセスコンピュータ6に含まれる装置として実現することができる。
(発明の知見の概略的な説明)
以下、形状矯正設備1を例にして、本発明の一態様における演算装置の技術的思想について説明する。なお、ここでは上述の形状矯正設備1を例にするが、ワークロール31等のローラ数が異なるテンションレベラに対しても同様に本発明が適用される。また、中間ロール32を備えていない構成であっても、本発明を適用することができる。
なお、本発明の一態様における演算装置は、板厚が1.0mm以下の薄板を対象としており、0.03mm〜0.30mmの薄板の形状矯正に好適に用いることができる。また、本発明の一態様における演算装置が用いられる形状矯正設備1は、ワークロール31のロール径が30mm以下であってよく、例えばロール径が16mmのワークロール31を備える。
一般的に、圧延等により形成された薄板には、耳伸び,中伸び等の単純な形状不良だけでなく、クオータ伸び、および各種伸びが複雑に組合わさった複合伸びが発生する。クオータ伸びとは、薄板の板幅中央よりもクオータ部の伸び率が大きいことを意味する。これらの形状不良を防止するためには、板形状を複数の指標で評価し制御することが要求される。そこで、板形状を、板幅方向(幅方向ともいう)の板端部からの距離が異なる複数の箇所における伸び率を用いて評価することとする。
本発明者らは、薄板の上記複数の箇所における伸び率を用いて、板形状を、板幅中央に対称な成分(対称成分)と、板幅中央に非対称な成分(非対称成分)とにより評価することとしたとき、以下のような新たな知見を得た。
すなわち、矯正後の薄板の上記対称成分が、矯正前の薄板の対称成分、並びにテンションレベラ3の張力およびクラウニング量と線形関係にあることを見出した。また、矯正後の薄板の上記非対称成分が、矯正前の薄板の非対称成分、およびクラウニング量と線形関係にあることを見出した。そして、この線形関係を取り込んだ数式モデルを作成し、該数式モデルを用いることにより、種々の形状不良を有する薄板を、レベラ矯正開始時から良好な板形状に矯正することを実現した。なお、良好な板形状とは、板端部の伸び率と板幅中央の伸び率との間の伸び率差、およびクオータ部の伸び率と板幅中央の伸び率との間の伸び率差が小さく、板形状が平坦であることを意味する。この新たな知見について、図1に示す形状矯正設備1を参照して順に説明する。
始めに、薄板としての金属板8の、矯正後の状態の上記対称成分および非対称成分、並びに、矯正前の状態の上記対称成分および非対称成分について、定義を説明する。なお、説明の便宜上、以下では、金属板8の板幅方向における一端側をワークサイド、他端側をドライブサイドと称する。
(矯正後の対称成分)
矯正後の状態の上記対称成分を示す値として、板幅方向に沿って配列し、かつ板幅中央に対称な2点のうちの一方の点と板幅中央との間の伸び率差(第1伸び率差)と、上記2点のうちの他方の点と板幅中央との間の伸び率差(第2伸び率差)との平均値を用いる。前記板幅中央に対称な2点の組には、(i)ワークサイドにおける板端部とドライブサイドにおける板端部との組(第1の組み合わせ)、および(ii)ワークサイドにおけるクオータ部とドライブサイドにおけるクオータ部との組(第2の組み合わせ)が含まれる。このことは、後述する矯正後の非対称成分および矯正前の対称・非対称成分についても同様である。
具体的には、矯正後の金属板8における、ワークサイドにおける板端部の伸び率と板幅中央の伸び率との間の伸び率差と、ドライブサイドにおける板端部の伸び率と板幅中央の伸び率との間の伸び率差との平均値をεeとする。このεeを矯正後の板端部に関する対称成分と称する。
また、矯正後の金属板8における、ワークサイドにおけるクオータ部の伸び率と板幅中央の伸び率との間の伸び率差と、ドライブサイドにおけるクオータ部の伸び率と板幅中央の伸び率との間の伸び率差との平均値をεqとする。このεqを矯正後のクオータ部に関する対称成分と称する。
(矯正後の非対称成分)
矯正後の状態の上記非対称成分を示す値として、前記板幅中央に対称な2点のうちの一方の点と他方の点との間の伸び率差(第3伸び率差)を用いる。
具体的には、矯正後の金属板8における、ワークサイドにおける板端部の伸び率とドライブサイドにおける板端部の伸び率との間の伸び率差をεe’とする。このεe’を矯正後の板端部に関する非対称成分と称する。また、矯正後の金属板8における、ワークサイドにおけるクオータ部の伸び率とドライブサイドにおけるクオータ部の伸び率との間の伸び率差をεq’とする。このεq’を矯正後のクオータ部に関する非対称成分と称する。
(矯正前の対称成分)
矯正前の状態の上記対称成分を示す値として、前記板幅中央に対称な2点のうちの一方の点と板幅中央との間の伸び率差(第1伸び率差)と、上記2点のうちの他方の点と板幅中央との間の伸び率差(第2伸び率差)との平均値を用いる。
具体的には、矯正前の金属板8における、ワークサイドにおける板端部の伸び率と板幅中央の伸び率との間の伸び率差と、ドライブサイドにおける板端部の伸び率と板幅中央の伸び率との間の伸び率差との平均値をζeとする。このζeを矯正前の板端部に関する対称成分と称する。
また、矯正前の金属板8における、ワークサイドにおけるクオータ部の伸び率と板幅中央の伸び率との間の伸び率差と、ドライブサイドにおけるクオータ部の伸び率と板幅中央の伸び率との間の伸び率差との平均値をζqとする。このζqを矯正前のクオータ部に関する対称成分と称する。
(矯正前の非対称成分)
矯正前の状態の上記非対称成分を示す値として、板幅中央に対称な2点のうちの一方の点と他方の点との間の伸び率差(第3伸び率差)を用いる。
具体的には、矯正前の金属板8における、ワークサイドにおける板端部の伸び率とドライブサイドにおける板端部の伸び率との間の伸び率差をζe’とする。このζe’を矯正前の板端部に関する非対称成分と称する。
また、矯正前の金属板8における、ワークサイドにおけるクオータ部の伸び率とドライブサイドにおけるクオータ部の伸び率との間の伸び率差をζq’とする。このζq’を矯正前のクオータ部に関する非対称成分と称する。
なお、評価位置としての板端部およびクオータ部は、板形状を適切に表すことができ、且つ後述する数式モデルの精度が高いものとなるように、経験的に定めてよい。例えば、板端部とは、金属板8の板幅方向における、金属板8の板面の端から25mmの位置であってよい。また、クオータ部(中間部)とは、金属板8の板幅方向において、板幅中央部と板端部との間に位置する部分であり、クオータ部の位置は、板幅中央部と板端部との間において特に限定されないが、例えば、板幅中央部から板端部までの距離の40%の位置とすることができる。設定した板端部およびクオータ部を共通して用いて、上記εe、εq、εe’、εq’、ζe、ζq、ζe’、およびζq’が求められる。
矯正後の金属板8の板形状に影響を及ぼす要因には、金属板8の寸法、材質(変形抵抗等)、および矯正前の板形状、並びに、テンションレベラ3のインターメッシュ、張力、および分割バックアップロール圧下調整装置4による各分割部のクラウニング量、等がある。このうち、金属板8の寸法および材質については、板厚、板幅、金属種毎に区分することにより、区分内での寸法の変化および材質の変化が、矯正後の金属板8の板形状に及ぼす影響を小さくすることができる。また、金属板8の反りを安定化させるという観点から、テンションレベラ3のインターメッシュを固定してレベラ矯正することとする。
この場合、形状変化に及ぼす主要因は、矯正前の金属板8の板形状、並びに、テンションレベラ3の張力、および分割バックアップロール圧下調整装置4による各分割部のクラウニング量であるということができる。そこで、矯正前の金属板8の板形状、並びに、テンションレベラ3の張力、および分割バックアップロール圧下調整装置4による各分割部のクラウニング量が、矯正後の金属板8の板形状に及ぼす定量的な影響を検討した。
本発明者らの検討により得られた結果について、図3〜10を用いて以下に説明する。なお、以下の説明において、それぞれの図に示す変動パラメータ以外の矯正条件は固定されている。
図3は、矯正後の板端部に関する対称成分εeに及ぼす、矯正前の板端部に関する対称成分ζeの影響を示すグラフである。なお、伸び率差は10−5を単位とし、この単位をIunitで表示した(以下の記載においても同様に、Iunitとは10−5を表す単位である)。図3に示すように、矯正後の板端部に関する対称成分εeは、矯正前の板端部に関する対称成分ζeと線形関係にある。矯正効果により、対称成分ζeの変化量に比べて、対称成分εeの変化量は小さくなっている。
図4は、矯正後のクオータ部に関する対称成分εqに及ぼす、矯正前のクオータ部に関する対称成分ζqの影響を示すグラフである。図4に示すように、矯正後のクオータ部に関する対称成分εqは、矯正前のクオータ部に関する対称成分ζqと線形関係にある。矯正効果により、対称成分ζqの変化量に比べて、対称成分εqの変化量は小さくなっている。
図5は、矯正後の板端部に関する対称成分εeおよびクオータ部に関する対称成分εqに及ぼす、張力Tの影響を示すグラフである。張力Tは、張力付加装置2によって金属板8に与えられている張力を意味している。張力Tの単位は、例えばN/mmである。図5に示すように、矯正後の板端部に関する対称成分εeおよびクオータ部に関する対称成分εqはいずれも、張力Tの増加とともに減少し、張力Tとほぼ線形関係にある。なお、張力Tの範囲は特に限定されるものではないが、少なくとも250〜600N/mmの範囲において、対称成分εeおよび張力T、並びに対称成分εqおよび張力Tは、いずれもほぼ線形関係にある。
図6の(a)〜(d)および図7は、矯正後の板端部に関する対称成分εeおよびクオータ部に関する対称成分εqに及ぼす、各分割部のクラウニング量の影響を示すグラフである。なお、本実施の形態において、クラウニング量としては、圧下側を正、開放側を負とした。
図6の(a)は、対称成分εeおよび対称成分εqに及ぼす、ワークサイドから1番目の分割部341のクラウニング量および9番目の分割部349のクラウニング量の平均値Crの影響を示すグラフである。図6の(b)は、対称成分εeおよび対称成分εqに及ぼす、ワークサイドから2番目の分割部342のクラウニング量および8番目の分割部348のクラウニング量の平均値Crの影響を示すグラフである。図6の(c)は、対称成分εeおよび対称成分εqに及ぼす、ワークサイドから3番目の分割部343のクラウニング量および7番目の分割部347のクラウニング量の平均値Crの影響を示すグラフである。図6の(d)は、対称成分εeおよび対称成分εqに及ぼす、ワークサイドから4番目の分割部344のクラウニング量および6番目の分割部346のクラウニング量の平均値Crの影響を示すグラフである。図7は、対称成分εeおよび対称成分εqに及ぼす、ワークサイドから5番目の分割部345のクラウニング量Crの影響を示すグラフである。
図6の(a)に示すように、平均値Crの増加とともに対称成分εeが増加し、対称成分εqはほとんど変化しない。このことは、図6の(b)および(c)においても同様であり、平均値Crまたは平均値Crの増加とともに対称成分εeが増加し、対称成分εqはほとんど変化しない。
一方、図6の(d)に示すように、平均値Crの増加とともに対称成分εeが減少し、対称成分εqはほとんど変化しない。また、図7に示すように、分割部345のクラウニング量Crの増加とともに対称成分εeおよび対称成分εqのいずれもが減少した。
このように、分割バックアップロールにおける分割部の位置により、分割部のクラウニング量の影響度は異なるが、対称成分εeおよび対称成分εqはそれぞれ、平均値Cr、平均値Cr、平均値Cr、平均値Cr、およびクラウニング量Crと線形関係にある。
つまり、n個(n=2s+1、sは整数)の分割部を備える分割バックアップロールにおいて、分割バックアップロールの一端からi番目および(n+1−i)番目の分割部のクラウニング量の平均値Cr(i=1、2、3、・・・、s)、並びに分割バックアップロールの一端からs+1番目の分割部のクラウニング量Crs+1はそれぞれ、対称成分εeおよび対称成分εqと線形関係にある。
図8は、矯正後の板端部に関する非対称成分εe’に及ぼす、矯正前の板端部に関する非対称成分ζe’の影響を示すグラフである。図8に示すように、矯正後の板端部に関する非対称成分εe’は、矯正前の板端部に関する非対称成分ζe’と線形関係にある。矯正効果により、非対称成分ζe’の変化量に比べて、非対称成分εe’の変化量は小さくなっている。
図9は、矯正後のクオータ部に関する非対称成分εq’に及ぼす、矯正前のクオータ部に関する非対称成分ζq’の影響を示すグラフである。図9に示すように、矯正後のクオータ部に関する非対称成分εq’は、矯正前のクオータ部に関する非対称成分ζq’と線形関係にある。矯正効果により、非対称成分ζq’の変化量に比べて、非対称成分εq’の変化量は小さくなっている。
図10の(a)〜(d)は、矯正後の板端部に関する非対称成分εe’およびクオータ部に関する非対称成分εq’に及ぼす、各分割部のクラウニング量の影響を示すグラフである。
図10の(a)は、非対称成分εe’および非対称成分εq’に及ぼす、ワークサイドから1番目の分割部341のクラウニング量と9番目の分割部349のクラウニング量との間の差Cr’の影響を示すグラフである。図10の(b)は、非対称成分εe’および非対称成分εq’に及ぼす、ワークサイドから2番目の分割部342のクラウニング量と8番目の分割部348のクラウニング量との間の差Cr’の影響を示すグラフである。図6の(c)は、非対称成分εe’および非対称成分εq’に及ぼす、ワークサイドから3番目の分割部343のクラウニング量と7番目の分割部347のクラウニング量との間の差Cr’の影響を示すグラフである。図6の(d)は、非対称成分εe’および非対称成分εq’に及ぼす、ワークサイドから4番目の分割部344のクラウニング量と6番目の分割部346のクラウニング量との間の差Cr’の影響を示すグラフである。
図10の(a)に示すように、クラウニング量の差Cr’の増加とともに、非対称成分εe’および非対称成分εq’がいずれも増加した。図10の(b)および(c)に示すように、クラウニング量の差Cr’または差Cr’の増加とともに、非対称成分εe’が減少し、非対称成分εq’はほとんど変化しない。また、図10の(d)に示すように、クラウニング量の差Cr’の増加とともに非対称成分εq’が増加し、非対称成分εe’はほとんど変化しない。
このように、分割バックアップロールにおける分割部の位置により、分割部のクラウニング量の影響度は異なるが、非対称成分εe’および非対称成分εq’はそれぞれ、クラウニング量の差Cr’、Cr’、Cr’、およびCr’と線形関係にある。
つまり、n個(n=2s+1、sは整数)の分割部を備える分割バックアップロールにおいて、分割バックアップロールの一端からi番目および(n+1−i)番目の分割部のクラウニング量の差Cr’(i=1、2、3、・・・、s)はそれぞれ、非対称成分εe’および非対称成分εq’と線形関係にある。
以上の各要因相互の関係から、本発明者らは、以下のことを見出した。すなわち、先ず、以上の各要因相互の関係における、それぞれの線形関係(増加の傾き)を表す影響係数を、ae、be、cei、ces+1、de、ee、fe、aq、bq、cqi、cqs+1、dq、eq、fqとする。これらの影響係数は、テンションレベラ3のインターメッシュを固定した場合、金属板8の板厚、板幅、および金属種等に基づいて定めることができる。本発明者らは、以下の式(1)〜(4)の数式モデルを用いて、矯正後の金属板8の板形状を予測することができることを見出した。
Figure 2018126767
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ここで、nは、分割バックアップロールにおける分割部の個数であり、n=2s+1である。sは整数である。また、影響係数ae、be、cei、ces+1、de、ee、fe、aq、bq、cqi、cqs+1、dq、eq、fq(i=1、2、3、・・・、s)は、金属板8の板幅、板厚、材質(例えば金属種)等の区分毎にテーブル設定されていてよく、または種々の矯正条件の関数として数式化されていてもよい。
第1式としての上記式(1)および式(2)は、第1目標値としてのεeおよびεqを示し、第2式としての上記式(3)および式(4)は、第2目標値としてのεe’およびεq’を示す。影響係数ae、aq、ee、eqは、上記第1目標値および第2目標値に及ぼす、テンションレベラ3にて矯正される前の金属板8の形状に基づく影響度を示しているということができる。
本実施の形態における、金属板8の板形状の制御について検討したテンションレベラ3は、下側バックアップロール34が9個に分割されているので、s=4、n=9に相当する。
なお、バックアップロールが異なる分割数(分割部の個数)であっても、sの値を変更することにより上記式(1)〜(4)は有効である。
また、s=4、n=9の場合、上記式(1)〜(4)の数式モデルにおける各値は、具体的には例えば以下のように算出することができる。ここで、矯正後の金属板8における、ワークサイドにおける板端部の伸び率をEe、ドライブサイドにおける板端部の伸び率をEe、板幅中央の伸び率をEc、ワークサイドにおけるクオータ部の伸び率をEq、ドライブサイドにおけるクオータ部の伸び率をEqで表すこととする。また、ワークサイドからi番目の分割部のクラウニング量をCA、ワークサイドから(n+1−i)番目の分割部のクラウニング量をCAn+1−iとして表すこととする。
εeは、矯正後の金属板8における、板端部に関する対称成分を表しており、具体的には下記式(5)で表される。
εe=((Ee−Ec)+(Ee−Ec))/2 (5)
εqは、矯正後の金属板8における、クオータ部に関する対称成分を表しており、具体的には下記式(6)で表される。
εq=((Eq−Ec)+(Eq−Ec))/2 (6)
εe’は、矯正後の金属板8における、板端部に関する非対称成分を表しており、具体的には下記式(7)で表される。
εe’=Ee−Ee (7)。
εq’は、矯正後の金属板8における、クオータ部に関する非対称成分を表しており、具体的には下記式(8)で表される。
εq’=Eq−Eq (8)。
ζe、ζq、ζe’、およびζq’はそれぞれ、矯正前の金属板8において、上記εe、εq、εe’、およびεq’と対応するように同様の計算を行うことにより算出することができる。
Crは、n個の分割部における、中央の分割部に対称な2個の分割部のクラウニング量の平均値により規定されるパラメータに関するものであり、具体的には下記式(9)で表される。
Cr=(CA+CAn+1−i)/2 (i=1、2、3、・・・s) (9)。
Cr’は、n個の分割部における、中央の分割部に対称な2個の分割部のクラウニング量の差により規定されるパラメータに関するものであり、具体的には下記式(10)で表される。
Cr’=CA‐CAn+1−i (i=1、2、3、・・・s) (10)。
金属板8の矯正を開始する前におけるレベラ条件の初期設定(プリセット)においては、金属板8の板幅方向の複数箇所における伸び率を予め測定し、その測定値を用いることができる。具体的には、例えば、金属板8の長手方向の矯正開始部分における、板端部、クオータ部、および板幅中央の計5箇所の伸び率の測定値を用いることができる。例えば、テンションレベラ3に金属板8を設置する前に上記複数箇所の伸び率を測定してもよく、または、金属板8のコイルを製造する際に、該コイルの巻き終わり部分における該箇所の伸び率を測定しておき、その測定値を用いることもできる。これは、矯正工程において、上記コイルの巻き終わり部分から矯正が開始されるためである。或いは、後述する形状検出器7を用いて測定した測定値のデータを蓄積して統計処理を行い、最も適切な(頻度の高い)、金属板8の板幅方向の複数箇所における伸び率を用いてもよい。
また、テンションレベラ3の入側に配置された形状検出器7に基づく形状制御においては、形状検出器7を用いて、金属板8の板幅方向の複数箇所を連続的に測定し、その測定値を用いることができる。具体的には、形状検出器7が、例えば、金属板8の板端部、クオータ部、および板幅中央の計5箇所を測定し、測定した情報をプロセスコンピュータに送信する。上記測定値を用いて、矯正前の板端部に関する対称成分ζe、非対称成分ζe’、矯正前のクオータ部に関する対称成分ζq、非対称成分ζq’を算出する。
本発明の一態様における演算装置は、上記初期設定または算出したζe、ζe’、ζq、ζq’を用いる。そして、矯正後の板端部に関する対称成分εeの設定目標値をεe、非対称成分εe’の設定目標値をεe’、矯正後形状におけるクオータ部に関する対称成分εqの設定目標値をεq、非対称成分εq’の設定目標値をεq’として、上記第1式としての式(1)および式(2)、並びに上記第2式としての式(3)および式(4)に代入する。これらの設定目標値は、予め設定することができる。
これにより、式(1)〜(4)の関係式において、各設定目標値εe、εe’、εq、εq’となるように、張力T、分割バックアップロールの一端からi番目および(n+1−i)番目の分割部のクラウニング量の平均値Cr、分割バックアップロールの一端からs+1番目(中央位置)の分割部のクラウニング量Crs+1、および分割バックアップロールの一端からi番目および(n+1−i)番目の分割部のクラウニング量の差Cr’を算出することができる。この算出した張力T、平均値Cr、クラウニング量Crs+1、差Cr’に基づいて、テンションレベラ3の初期設定値を算出し、制御すればよい。
これにより、種々の形状不良を有する金属板8を、良好な板形状に矯正することができる。
ここで、前述の特許文献1に記載の従来の方法では、テンションレベラを用いて板材の形状を矯正する形状矯正設備(ライン)の稼働中、または少なくとも板材がテンションレベラに設置された状態において、レベラ条件を補正する。これは、応力計測手段が計測する板材の応力分布は、ブライドルロールによって板材に加えられる張力の影響を受け得るためである。そのため、特許文献1に記載の方法は、レベラ条件の初期設定に用いることは難しく、レベラ条件の初期設定が適切でなく、レベラ条件が適正値に達するまでに時間を要し、板材の形状矯正不良部が長くなる場合がある。
これに対して、本実施の形態の演算装置を用いることによれば、金属板8の矯正を開始する前におけるレベラ条件の初期設定(プリセット)を好適に行うことができる、または、形状矯正を行う際に、テンションレベラ3の入側に配置された形状検出器7が検出した形状に基づいて、レベラ条件を適正値に制御することができる。そのため、特許文献1に記載の方法よりも、レベラ条件が適正値に達するまでの時間を短くすることができ、板材の形状矯正不良部を短くすることができる。
なお、以上の説明では、ワークサイドにおける板端部およびクォ−タ部(2箇所)と、ドライブサイドにおける板端部およびクォ−タ部(2箇所)と、板幅中央(1箇所)と、の計5箇所で金属板8の板形状を評価し、上記式(1)〜(4)に基づいてレベラ条件を算出している。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、ワークサイドにおける3点以上の箇所と、ドライブサイドにおける3点以上の箇所と、板幅中央との計7箇所以上で金属板8の板形状を評価してもよい。この場合、変数を増加させた形状予測式を用いて、レベラ条件を算出することができる。
(本発明の一態様における演算装置の構成)
上記式(1)〜(4)を用いて、テンションレベラ3を制御するための値を算出する、本発明の一態様における演算装置について、図11に基づいて以下に説明する。図11は、形状矯正設備1が含むプロセスコンピュータ6の概略的な構成を示すブロック図である。
本発明の一態様における演算装置は、例えば形状矯正設備1が含むプロセスコンピュータ6の一機能として実現することができる。なお、本発明の一態様における演算装置は、プロセスコンピュータ6とは異なるコンピュータ(例えば、上位コンピュータ5)を用いて実現されてよく、ハードウェアは特に限定されない。
図11に示すように、プロセスコンピュータ6は、制御部10および記憶部20を備えている。この制御部10には、プロセスコンピュータ6の外部に設けられた上位コンピュータ5、形状検出器7、およびテンションレベラ3が通信可能に接続されている。
制御部10は、影響係数決定部11、主演算部12(算出部)、装置制御部13、および伸び率差算出部14を備えている。記憶部20は、影響係数データ21および制御パラメータ22を格納している。
制御部10は、プロセスコンピュータ6全体の動作を制御する、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部10が備える各部は、例えばCPUによって動作するソフトウェアとして実現されてよい。
制御部10における、影響係数決定部11、主演算部12、装置制御部13、および伸び率差算出部14の詳細な説明は、プロセスコンピュータ6が実行する処理の流れの一例の説明と合わせて後述する。
記憶部20は、制御部10において用いられる各種データを記憶する不揮発性の記憶装置である。
影響係数データ21は、上記式(1)〜(4)が含む各影響係数を、金属板8の寸法および材質(板厚、板幅、金属種)に対応付けて、例えばテーブル形式で示したデータである。または、影響係数データ21は、矯正条件に応じて影響係数を算出するために用いられる所定の関数を示すデータである。影響係数データ21は、上位コンピュータ5に入力された矯正条件に対応する影響係数を、該影響係数データ21に基づいて影響係数決定部11が設定することができるようなデータであればよい。
制御パラメータ22は、テンションレベラ3を制御するための各種のパラメータ(矯正条件)を含む。この制御パラメータ22としては、例えば、ワークロール31のロール本数、インターメッシュ、回転速度、径、摩擦係数、金属板8に与える曲率等がある。制御パラメータ22に基づいて、上記式(1)〜(4)が含む各影響係数を決定でき、上記式(1)〜(4)を用いて、テンションレベラ3を制御するための値を算出することができればよい。
また、制御パラメータ22は、テンションレベラ3による矯正後に目標とする金属板8の板形状を規定する板形状目標値(例えば、εe、εe’、εq、εq’)を含む。例えば、矯正後の板形状が平坦(板幅方向の各箇所で伸び率差が0)であることを目標とすれば、設定目標値εe、εe’、εq、εq’がいずれも0であることが板形状目標値となる。
ここで、上記設定目標値εe、εe’、εq、εq’は、金属板8の所望の矯正後の板形状に応じて、種々設定されてよい。例えば、金属板8の矯正後の板形状(製品形状)として、中伸び不可または耳伸び不可といった要求がある場合がある。例えば、中伸び不可の場合には、目標とする板形状が少し耳伸びとなるように、設定目標値εe、εqを設定してよい。このことは、以降の説明においても同様である。
上記制御パラメータ22は、ユーザが、上位コンピュータ5の入力部5bを介して入力することができる。制御パラメータ22の入力方法は特に限定されない。また、上位コンピュータ5に予め各種の矯正条件が入力されていてもよい。
(処理の流れ)
上記のような本発明の一態様における演算装置としてのプロセスコンピュータ6が実行する処理の流れの一例を、図12を用いて説明する。図12は、形状矯正設備1において、矯正開始前の板形状の測定値に基づいて、プロセスコンピュータ6が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図12に示すように、金属板8の矯正開始前(プリセット制御)において、ユーザは、入力部5bに、矯正対象である金属板8の寸法および材質等の情報を入力する(ステップ1;以下S1のように略記する)。
また、ユーザは、入力部5bに、矯正前の金属板8における板幅方向の複数箇所の伸び率を入力する(S2)。本実施の形態では、矯正前の金属板8におけるワークサイドの板端部およびクオータ部、ドライブサイドの板端部およびクオータ部、並びに板幅中央の計5箇所の伸び率を入力する。これにより、矯正前の金属板8における伸び率差によって表される矯正前形状を算出する(矯正前形状算出工程)。
そして、ユーザは、入力部5bに、テンションレベラ3による矯正後に目標とする金属板8の板形状を規定する板形状の設定目標値としてのεe、εq、εe’、およびεq’を入力する(S3:目標値設定工程)。
なお、上記S1〜S3の順番は限定されない。S1〜S3にて入力されたデータは、プロセスコンピュータ6に送信され、記憶部20にて制御パラメータ22として記憶される。
次に、影響係数決定部11は、制御パラメータ22の情報に基づいて、影響係数データ21の中から、適切な影響係数を決定する(S4:影響係数決定工程)。本実施の形態では、s=4であることから、影響係数ae、be、cei、ces+1、de、ee、fe、aq、bq、cqi、cqs+1、dq、eq、fq(i=1、2、3、4;s=4)を決定する。
その後、主演算部12は、矯正前の金属板8における上記5箇所の伸び率を用いて、矯正前の板端部に関する対称成分ζe、非対称成分ζe’、矯正前のクオータ部に関する対称成分ζq、非対称成分ζq’を算出する。そして、主演算部12は、これら算出した値、影響係数決定部11が決定した上記影響係数、板形状の設定目標値εe、εe’、εq、およびεq’を第1式としての上記式(1)および式(2)、並びに第2式としての上記式(3)および式(4)に代入し、連立方程式を解くことにより、張力Tおよび分割部341〜349(一端からn番目の分割部)のそれぞれのクラウニング量(初期設定値、制御値)を算出する(S5:制御値算出工程)。なお、上記式(1)〜(4)の解を求める方法は特に限定されない。例えば、張力T、および分割部341〜349のそれぞれのクラウニング量の何れか1つ若しくは複数の値を固定してもよい。或いは、分割部341〜349のそれぞれのクラウニング量の間に関係式を与えてもよい。求めた張力T、および分割部341〜349のそれぞれのクラウニング量が仕様範囲内となっていればよい。
そして、装置制御部13は、上記算出した張力Tを用いて張力付加装置2を制御し、算出した分割部341〜349のそれぞれのクラウニング量を用いて、分割バックアップロール圧下調整装置4を制御する(S6)。
なお、制御値算出工程S5に含まれる複数の演算の全てを自動的に主演算部12に行わせる必要はない。例えば、上記式(1)〜(4)の解については、ユーザが各種のパラメータを選択しつつ、好ましい解を算出してもよい。
以上のように、金属板8の板形状を、板幅中央に対称な成分(対称成分)と、板幅中央に非対称な成分(非対称成分)とにより評価することにより、種々の形状不良に対応することができる。そして、種々の形状不良を有する金属板8を、所望の板形状(所望の設定目標値)とするために適切なテンションレベラ3の制御値を、予め測定した板幅方向の複数箇所の伸び率に基づいて、上記式(1)〜(4)を用いて、矯正開始前に算出することができる。
したがって、種々の形状不良を有する金属板8を、良好な板形状に、より早く矯正することができるように、分割バックアップロールを備えるテンションレベラ3を制御するための値を算出することができる。
なお、本発明の一態様における演算装置は、テンションレベラ3を制御する制御装置の一部として実現されてもよい。
〔実施形態2〕
本実施の形態のプロセスコンピュータ6は、形状検出器7から取得した情報に基づいて、テンションレベラ3を制御するための値を算出する。図13は、本実施の形態のプロセスコンピュータ6が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、説明の便宜上、実施の形態1と同様の符号を使用して本実施の形態を説明する。ここでは、実施形態1におけるS1〜S4がすでに行われ、テンションレベラ3による金属板8の矯正が実行中であるとする。
テンションレベラ3に金属板8が設置された状態において、図13に示すように、形状検出器7は、矯正対象である金属板8の板幅方向の複数箇所における形状を検出する(S11:形状検出工程)。本実施の形態では、形状検出器7は、金属板8のワークサイドの板端部およびクオータ部、ドライブサイドの板端部およびクオータ部、並びに板幅中央の計5箇所について形状を検出する。形状検出器7が検出した情報は、伸び率差算出部14に送信される。この情報は伸び率それ自体であってもよいし、伸び率を算出するための、金属板8の形状を示す数値であってもよい。
次に、伸び率差算出部14は、形状検出器7からの情報に基づいて、金属板8の複数箇所間の伸び率差および伸び率差の平均としての、板端部に関する対称成分ζe、非対称成分ζe’、クオータ部に関する対称成分ζq、非対称成分ζq’を算出する(S12:矯正前形状算出工程)。
その後、主演算部12は、これらの算出した値、影響係数決定部11が決定した上記影響係数、並びに、板形状の設定目標値εe、εe’、εq、およびεq’を上記式(1)〜(4)に代入し、連立方程式を解くことにより、張力Tおよび分割部341〜349のそれぞれのクラウニング量を算出する(S13:制御値算出工程)。
そして、装置制御部13は、上記算出した張力Tを用いて張力付加装置2を制御し、算出した分割部341〜349のそれぞれのクラウニング量を用いて、分割バックアップロール圧下調整装置4を制御する(S14)。
以上のように、例えばテンションレベラ3による金属板8の矯正中において、矯正前の金属板8の板幅方向における複数箇所の伸び率(金属板8の形状不良)の変化に合わせて、テンションレベラ3を制御するための値を調整することができる。そのため、種々の形状不良を有する金属板8を、良好な板形状に、より早く矯正することができるように、分割バックアップロールを備えるテンションレベラ3を制御するための値を算出することができる。
(実施例)
本発明の一実施例および比較例について、図14および図15を用いて以下に説明する。
本実施の形態の形状矯正設備1を用いて、板厚0.08mm、板幅650mm、鋼種SUS304の鋼帯(金属板8)のコイルについて、コイル全長にわたって金属板8の形状矯正を行った。なお、板端部及びクオータ部の評価位置については、板端部を板端から25mmの位置、クオータ部を板幅中央から板端までの距離の40%の位置とした。また、矯正後形状の対称成分の設定目標値εe、εqをそれぞれ8Iunit、3Iunitとし、矯正後形状の非対称成分の設定目標値εe’、εq’をいずれも0Iunitとした。
金属板8の矯正開始前において、予め測定した矯正前の金属板8のワークサイドの板端部およびクオータ部、ドライブサイドの板端部およびクオータ部、並びに板幅中央の計5箇所の伸び率に基づいて、張力Tおよび分割部341〜349のそれぞれのクラウニング量を算出し設定した。
そして、金属板8の矯正中において、形状検出器7が計測した、金属板8のワークサイドの板端部およびクオータ部、ドライブサイドの板端部およびクオータ部、並びに板幅中央の計5箇所の情報に基づいて、各部の伸び率を算出するとともに、張力Tおよび分割部341〜349のそれぞれのクラウニング量を算出し設定した。
また、比較のため、テンションレベラ3の出側に設けられた形状検出器の計測結果に基づいて、オペレータが張力Tおよび分割部341〜349のそれぞれのクラウニング量を変更して、上記と同様のコイルについて、形状矯正を行った。
本実施の形態の形状矯正設備1を用いて形状矯正を行った場合は、図14に示すように、形状矯正を開始した時点から、矯正後形状の対称成分εe、εqの実績値と目標値との差の絶対値、および非対称成分εe’、εq’の実績値と目標値との差の絶対値はいずれも5Iunit以内に収まっていた。そして、これはコイル全長にわたって同様であった。
これに対して、オペレータにより手動で矯正条件を調整した場合は、図15に示すように、形状矯正を開始した時点において、矯正後形状の対称成分εe、εqの実績値と目標値との差の絶対値はそれぞれ18Iunitおよび12Iunitと大きく、その後も5Iunit以内に収まらなかった。
(変形例1)
形状矯正設備1には、形状検出器7が設けられていなくてもよい。上述のように、金属板8の矯正開始前に、予め測定した金属板8の矯正前形状に基づいて、張力Tおよび分割部341〜349のそれぞれのクラウニング量を算出することにより、矯正開始直後において、金属板8を、良好な板形状に矯正することができる。そして、矯正後形状の対称成分εe、εqの実績値と目標値との差の絶対値、および非対称成分εe’、εq’の実績値と目標値との差の絶対値が小さい状態で維持されるように、オペレータが手動で微調整を行う構成であってもよい。
(変形例2)
形状矯正設備1は、形状検出器7が設けられていれば、矯正開始前における、張力Tおよび分割部341〜349のそれぞれのクラウニング量の初期設定は必須ではない。形状検出器7からの情報に基づいて、適切な張力Tおよび分割部341〜349のそれぞれのクラウニング量を算出することができる。この場合、形状検出器7からの情報が、上述したS2(図12参照)において入力され、図12と同様の処理の流れによって、テンションレベラ3の制御が開始されればよい。
(変形例3)
分割バックアップロール圧下調整装置4は、上側バックアップロール33を制御する構成であってもよい。その場合、上側バックアップロール33の分割部を圧下するとは、分割部を鉛直下方向に偏移させることを意味する。
〔ソフトウェアによる実現例〕
プロセスコンピュータ6の制御ブロック(特に、影響係数決定部11、主演算部12、装置制御部13、および伸び率差算出部14)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
後者の場合、上位コンピュータ5およびプロセスコンピュータ6は、各機能を実現するソフトウェアである情報処理プログラムの命令を実行するCPU、前記プログラムおよび各種データがコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、前記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(またはCPU)が前記プログラムを前記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。前記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、前記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して前記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明は、前記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
3:テンションレベラ
4:分割バックアップロール圧下調整装置(制御機構)
6:プロセスコンピュータ(演算装置)
7:形状検出器
8:金属板
12:主演算部(算出部)
34:下側バックアップロール(分割バックアップロール)
341〜349:分割部

Claims (11)

  1. 軸方向に配置された複数の分割部をそれぞれ有する複数の分割バックアップロールを備え、前記分割部の、金属板に対する偏移量を制御することにより前記金属板の板形状を矯正するテンションレベラを制御する制御値を算出する演算装置であって、
    前記テンションレベラによって前記金属板に与えられる張力、および前記偏移量の制御値を算出する算出部を備え、
    前記算出部は、前記金属板の幅方向に沿って配列する2点間の伸び率差の目標値に及ぼす、
    (i)前記張力の影響度、
    (ii)前記偏移量の影響度、および、
    (iii)前記テンションレベラにて矯正される前の前記金属板の形状に基づく影響度、
    をそれぞれ示す複数の影響係数を含む数式を用いて、前記数式が示す目標値が、予め設定した設定目標値となるように前記制御値を算出することを特徴とする演算装置。
  2. 前記算出部は、前記制御値を、第1式および第2式を用いて算出し、
    前記金属板の幅方向に沿って配列し、板幅中央に対称な2点のうちの一方の点と板幅中央との間の第1伸び率差と、前記2点のうちの他方の点と前記板幅中央との間の第2伸び率差との平均値についての目標値を第1目標値とし、前記一方の点と前記他方の点との間の第3伸び率差の目標値を第2目標値とし、
    前記第1式は、前記第1目標値を示すとともに、前記第1目標値に及ぼす、前記張力、前記偏移量、および、矯正前の前記金属板における前記平均値、の影響度をそれぞれ示す複数の影響係数を含み、
    前記第2式は、前記第2目標値を示すとともに、前記第2目標値に及ぼす、前記偏移量、および、矯正前の前記金属板における前記第3伸び率差、の影響度をそれぞれ示す複数の影響係数を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の演算装置。
  3. 前記複数の分割バックアップロールは、それぞれn個(n=2s+1、sは整数)の分割部を有しており、
    前記第1式は、前記分割バックアップロールの一端からi番目および(n+1−i)番目の分割部の偏移量の平均値(i=1、2、3、・・・、s)、並びに前記分割バックアップロールの一端から(s+1)番目の分割部の偏移量、の影響度をそれぞれ示す影響係数を含み、
    前記第2式は、前記分割バックアップロールの一端からi番目および(n+1−i)番目の分割部の偏移量の差(i=1、2、3、・・・、s)の影響度をそれぞれ示す影響係数を含んでおり、
    前記算出部は、前記偏移量として、前記複数の分割バックアップロールのそれぞれにおける一端からn番目の分割部の偏移量(n=1、2、3、・・・、2s+1)をそれぞれ算出することを特徴とする請求項2に記載の演算装置。
  4. 前記板幅中央に対称な2点として、前記金属板の板幅方向の一端部を前記一方の点とし、他方の端部を前記他方の点とする組み合わせを第1の組み合わせと称し、前記金属板の板幅方向の端部よりも板幅中央に寄った中間部を前記一方の点とし、他方の中間部を前記他方の点とする組み合わせを第2の組み合わせと称し、
    前記第1式および第2式はそれぞれ、前記第1の組み合わせに基づく式と前記第2の組み合わせに基づく式との2つの式を含んでいることを特徴とする請求項2または3に記載の演算装置。
  5. 前記第1式は、下記式(1)および(2)で表されることを特徴とする請求項4に記載の演算装置。
    Figure 2018126767
    Figure 2018126767
    (ここで、
    εe:前記第1の組み合わせに基づく前記第1目標値
    εq:前記第2の組み合わせに基づく前記第1目標値
    ζe:矯正前の前記金属板における、前記第1の組み合わせに基づく前記第1伸び率差と前記第2伸び率差との平均値
    ζq:矯正前の前記金属板における、前記第2の組み合わせに基づく前記第1伸び率差と前記第2伸び率差との平均値
    T:張力
    n:前記分割バックアップロールの分割部の個数(n=2s+1、sは整数)
    Cr:前記分割バックアップロールの一端からi番目および(n+1−i)番目の分割部の偏移量の平均値
    Crs+1:前記分割バックアップロールの一端からs+1番目の分割部の偏移量
    ae、be、cei、ces+1、de、aq、bq、cqi、cqs+1、dq:影響係数
    である)
  6. 前記第2式は、下記式(3)および(4)で表されることを特徴とする請求項4に記載の演算装置。
    Figure 2018126767
    Figure 2018126767
    (ここで、
    εe’:前記第1の組み合わせに基づく前記第2目標値
    εq’:前記第2の組み合わせに基づく前記第2目標値
    ζe’:矯正前の金属板における、前記第1の組み合わせに基づく前記第3伸び率差
    ζq’:矯正前の金属板における、前記第2の組み合わせに基づく前記第3伸び率差
    n:前記分割バックアップロールの分割部の個数(n=2s+1、sは整数)
    Cr’:前記分割バックアップロールの一端からi番目および(n+1−i)番目の分割部の偏移量の差
    ee、fe、eq、fq:影響係数
    である)
  7. 前記算出部は、矯正前の金属板の幅方向に沿って配列する複数箇所における、2点間の伸び率差の設定値に基づいて、前記張力および前記偏移量を算出することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の演算装置。
  8. 前記テンションレベラの入側に設けられ、前記金属板の形状を検出する形状検出器と通信可能に接続され、
    前記算出部は、前記形状検出器が検出した形状に基づいて算出された前記金属板の複数箇所の伸び率に基づいて、前記張力および前記偏移量を算出することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の演算装置。
  9. 軸方向に配置された複数の分割部をそれぞれ有する複数の分割バックアップロールを備え、前記分割部の、金属板に対する偏移量を制御することにより前記金属板の板形状を矯正するテンションレベラを制御する制御値を算出する演算方法であって、
    該演算方法は、前記テンションレベラによって前記金属板に与えられる張力、および前記偏移量の制御値を算出する方法であり、
    前記テンションレベラにて矯正される前の前記金属板における、幅方向に沿って配列する2点間の伸び率差によって表される矯正前形状を算出する矯正前形状算出工程と、
    前記金属板の矯正後の形状についての設定目標値を設定する目標値設定工程と、
    前記金属板の幅方向に沿って配列する2点間の伸び率差の目標値に及ぼす、(i)前記張力の影響度、(ii)前記偏移量の影響度、および、(iii)前記算出した矯正前形状の影響度、をそれぞれ示す影響係数を、前記金属板の種類に応じて決定する影響係数決定工程と、
    決定された前記影響係数を含む数式を用いて、前記設定目標値に基づいて、前記張力、および前記偏移量の制御値を算出する制御値算出工程と、を含むことを特徴とする演算方法。
  10. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の演算装置としてコンピュータを機能させるための情報処理プログラムであって、前記算出部としてコンピュータを機能させるための情報処理プログラム。
  11. 請求項10に記載の情報処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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