JP2018123293A - 水性インクジェットインク、インクジェット記録方法、およびインクジェット記録装置 - Google Patents

水性インクジェットインク、インクジェット記録方法、およびインクジェット記録装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2018123293A
JP2018123293A JP2017130380A JP2017130380A JP2018123293A JP 2018123293 A JP2018123293 A JP 2018123293A JP 2017130380 A JP2017130380 A JP 2017130380A JP 2017130380 A JP2017130380 A JP 2017130380A JP 2018123293 A JP2018123293 A JP 2018123293A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mass
water
inkjet ink
ink
monool
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017130380A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018123293A5 (ja
Inventor
新二 田渕
Shinji Tabuchi
新二 田渕
葵 田中
Aoi Tanaka
葵 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Roland DG Corp
Original Assignee
Roland DG Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Roland DG Corp filed Critical Roland DG Corp
Priority to US15/835,496 priority Critical patent/US10457821B2/en
Publication of JP2018123293A publication Critical patent/JP2018123293A/ja
Publication of JP2018123293A5 publication Critical patent/JP2018123293A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Ink Jet (AREA)
  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)

Abstract

【課題】保存安定性に優れ、PVC基材への印刷に用いた場合に、滲みが少なく、高い光学濃度で定着性に優れる画像を形成可能な水性インクジェットインクを提供する。【解決手段】水、色材、水溶性有機溶剤成分、界面活性剤、および樹脂微粒子を含有し、有機溶剤成分は、R1O(CH2CH2O)mOH(R1は炭素数1〜4のアルキル、mは2または3)である第1モノオールとR2O(C3H6O)nOH(R2は炭素数1〜4のアルキル、nは2または3)である第2モノオールと3−メトキシ−1−ブタノールおよび/または3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールである第3モノオールとを含有し、第3モノオール、第1モノオール、第2モノオールの含有量がそれぞれ、8質量%以上27質量%以下、0.5質量%以上9質量%以下、0.5質量%以上9質量%以下、有機溶剤成分の含有量が15質量%以上42質量%以下である水性インクジェットインク。【選択図】なし

Description

本発明は、水性インクジェットインクに関する。本発明はまた、インクジェット記録方法、およびインクジェット記録装置に関する。
インクジェット記録方式を採用したインクジェットプリンタは、操作が容易で騒音が小さく、カラー印刷が容易である等の利点があることから、家庭およびオフィスでの出力機器として広く普及している。近年では、インクジェットプリンタは、例えばディスプレイ、ポスター、掲示板等の産業用途にも利用されている。
インクジェット記録方式は、非常に微細なノズルからインク液滴をメディアに直接吐出し、付着させて文字や画像を得る記録方式である。産業用途においては、メディアとして、非吸収性基材が用いられることが多い。代表的な非吸収性基材の一つとして、ポリ塩化ビニル(PVC)基材が挙げられる。
PVC基材への印刷(画像形成)には、グリコールエーテル系溶剤と樹脂溶解溶剤(例、ラクトン類等)とを含むエコソルベント系インクジェットインクが適している。エコソルベント系インクジェットインクは、PVC基材表面を溶解し、顔料および定着樹脂がPVC基材表面をコートすることにより画像を形成する。そのため、エコソルベント系インクジェットインクによれば、滲みが少ないなど良好な画像品質を得ることができ、定着性も高い。
しかしながら、エコソルベント系インクジェットインクは、揮発した溶剤の環境および人体への悪影響が懸念されている。そのため、PVC基材への印刷に適した水性インクジェットインクが望まれており、その開発が進められている。このような水性インクジェットインクは、典型的には、水、水溶性有機溶剤、色材、および定着成分として樹脂微粒子を含有する(例えば、特許文献1参照)。
特開2015−193788号公報
上記の樹脂微粒子を含有する水性インクジェットインクは、オフセットコート紙などに対しては鮮明な画像を形成することできるが、PVC基材に対しては鮮明な画像が得られ難い。すなわち、上記の水性インクジェットインクをPVC基材への画像形成に用いた際には、画像が滲み易いという問題がある。また、特に低解像度の画像形成においては、光学濃度が低いという問題がある。加えて、上記の水性インクジェットインクは、エコソルベント系インクジェットインクのようにPVC基材を溶解するものではないため、高い画像の定着性が得られないという問題もある。さらに、上記の水性インクジェットインクは、高い保存安定性が求められている。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、保存安定性に優れ、PVC基材への印刷に用いた場合に、滲みが少なく、高い光学濃度で定着性に優れる画像を形成可能な水性インクジェットインクを提供することを目的とする。
本発明の水性インクジェットインクは、少なくとも水(A)、色材(B)、水溶性有機溶剤成分(C)、界面活性剤(D)、および樹脂微粒子(E)を含有する。前記水溶性有機溶剤成分(C)は、RO(CHCHO)OH(式中、Rは炭素数1〜4の直鎖状または分岐状のアルキル基を表し、mは2または3の整数を表す)で表される第1のモノオール系溶媒と、RO(CO)OH(式中、Rは炭素数1〜4の直鎖状または分岐状のアルキル基を表し、nは2または3の整数を表す)で表される第2のモノオール系溶媒と、3−メトキシ−1−ブタノールおよび3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールからなる群より選ばれる少なくとも1種である第3のモノオール系溶媒とを含有する。前記第3のモノオール系溶媒のインク中の含有量は、8質量%以上27質量%以下である。前記第1のモノオール系溶媒のインク中の含有量は、0.5質量%以上9質量%以下である。前記第2のモノオール系溶媒のインク中の含有量は、0.5質量%以上9質量%以下である。前記水溶性有機溶剤成分(C)のインク中の含有量は、15質量%以上42質量%以下である。
本発明のインクジェット記録方法は、上述の水性インクジェットインクを、非吸収性基材を有するメディアに吐出する工程、および前記メディアに吐出された水性インクジェットインクを乾燥して、インク塗膜を形成する工程を含む。
本発明のインクジェット記録装置は、非吸収性基材を有するメディアを搬送する搬送部と、前記搬送したメディアを加熱する加熱部と、前記加熱されたメディアにインクジェットインクを吐出する吐出部と、前記インクジェットインクを収容し、前記吐出部にインクジェットインクを供給するインク収容部と、を備える。当該インクジェットインクは、上述の水性インクジェットインクである。
本発明によれば、保存安定性に優れ、PVC基材への印刷に用いた場合に、滲みが少なく、高い光学濃度で定着性に優れる画像を形成可能な水性インクジェットインクが提供される。
本発明のインクジェット記録装置の一実施形態の概念図である。
本発明の水性インクジェットインクは、少なくとも水(A)、色材(B)、水溶性有機溶剤成分(C)、界面活性剤(D)、および樹脂微粒子(E)を含有する。ここで、水溶性有機溶剤成分(C)は、RO(CHCHO)OH(式中、Rは炭素数1〜4の直鎖状または分岐状のアルキル基を表し、mは2または3の整数を表す)で表される第1のモノオール系溶媒(以下、「モノオール系溶媒(1)」ともいう)と、RO(CO)OH(式中、Rは炭素数1〜4の直鎖状または分岐状のアルキル基を表し、nは2または3の整数を表す)で表される第2のモノオール系溶媒(以下、「モノオール系溶媒(2)」ともいう)と、3−メトキシ−1−ブタノールおよび3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールからなる群より選ばれる少なくとも1種である第3のモノオール系溶媒(以下、「モノオール系溶媒(3)」ともいう)とを含有する。モノオール系溶媒(3)のインク中の含有量は、8質量%以上27質量%以下である。モノオール系溶媒(1)のインク中の含有量は、0.5質量%以上9質量%以下である。モノオール系溶媒(2)のインク中の含有量は、0.5質量%以上9質量%以下である。水溶性有機溶剤成分(C)のインク中の含有量は、15質量%以上42質量%以下である。
〔水(A)〕
本発明の水性インクジェットインクは、水(A)を含有する。水(A)を含有することにより、本発明の水性インクジェットインクは、環境負荷が小さいという利点を有する。本発明に使用される水(A)には特に制限はないが、不純物の混入を防止する観点から、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水、または超純水が好ましく、イオン交換水がより好ましい。
本発明の水性インクジェットインク中の水(A)の含有量は、40質量%以上が好ましく、45質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましい。一方、80質量%以下が好ましく、75質量%以下がより好ましく、70質量%以下がさらに好ましい。
〔色材(B)〕
色材(B)としては、例えば、染料、顔料等が挙げられる。色材(B)は、1種単独で、または2種以上を任意の比率で組み合わせて用いることができる。
染料としては、例えば、水性インクジェットインクに使用可能であることが知られている各種染料を使用することができ、その例としては、直接染料、酸性染料、食用染料、塩基性染料、反応性染料、分散染料、建染染料等が挙げられる。
さらに詳しくは、シアン染料としては、例えば、C.I.Acid Blue 1,7,9,15,22,23,25,27,29,40,41,43,45,54,59,60,62,72,74,78,80,82,83,90,92,93,100,102,103,104,112,113,117,120,126,127,129,130,131,138,140,142,143,151,154,158,161,166,167,168,170,171,182,183,184,187,192,199,203,204,205,229,234,236,249,C.I.Direct Blue 1,2,6,15,22,25,41,71,76,77,78,80,86,87,90,98,106,108,120,123,158,160,163,165,168,192,193,194,195,196,199,200,201,202,203,207,225,226,236,237,246,248,249,C.I.Reactive Blue 1,2,3,4,5,7,8,9,13,14,15,17,18,19,20,21,25,26,27,28,29,31,32,33,34,37,38,39,40,41,43,44,46,C.I.Food Blue 1,2,C.I.Basic Blue 9,25,28,29,44等が挙げられる。
マゼンタ染料としては、例えば、C.I.Acid Red 1,6,8,9,13,14,18,26,27,32,35,37,42,51,52,57,75,77,80,82,85,87,88,89,92,94,97,106,111,114,115,117,118,119,129,130,131,133,134,138,143,145,154,155,158,168,180,183,184,186,194,198,209,211,215,219,249,252,254,262,265,274,282,289,303,317,320,321,322,C.I.Direct Red 1,2,4,9,11,13,17,20,23,24,28,31,33,37,39,44,46,62,63,75,79,80,81,83,84,89,95,99,113,197,201,218,220,224,225,226,227,228,229,230,231,C.I.Reactive Red 1,2,3,4,5,6,7,8,11,12,13,15,16,17,19,20,21,22,23,24,28,29,31,32,33,34,35,36,37,38,39,40,41,42,43,45,46,49,50,58,59,63,64,C.I.Food Red 7,9,14等が挙げられる。
イエロー染料としては、例えば、C.I.Acid Yellow 1,3,11,17,19,23,25,29,36,38,40,42,44,49,59,61,70,72,75,76,78,79,98,99,110,111,127,131,135,142,162,164,165,C.I.Direct Yellow 1,8,11,12,24,26,27,33,39,44,50,58,85,86,87,88,89,98,110,132,142,144,Reactive Yellow 1,2,3,4,6,7,11,12,13,14,15,16,17,18,22,23,24,25,26,27,37,42,C.I.Food Yellow 3,4等が挙げられる。
ブラック染料としては、例えば、C.I.Direct Black 1,7,19,32,51,71,108,146,154,166等が挙げられる。
シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック以外の染料としては、例えば、C.I.Acid Green 7,12,25,27,35,36,40,43,44,65,79,C.I.Direct Green 1,6,8,26,28,30,31,37,59,63,64,C.I.Reactive Green 6,7,C.I.Direct Violet 2,48,63,90,C.I.Reactive Violet 1,5,9,10等が挙げられる。
顔料としては、無機顔料と有機顔料の何れも使用することができる。
有機顔料の例としては、アゾ顔料(例、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料など)、多環式顔料(例、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック等が挙げられる。
無機顔料の例としては、酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、鉛白、炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、ホワイトカーボン、アルミナホワイト、カオリンクレー、タルク、ベントナイト、黒色酸化鉄、カドミウムレッド、べんがら、モリブデンレッド、モリブデートオレンジ、クロムバーミリオン、黄鉛、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、チタンイエロー、酸化クロム、ビリジアン、チタンコバルトグリーン、コバルトグリーン、コバルトクロムグリーン、ビクトリアグリーン、群青、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルー、コバルトシリカブルー、コバルト亜鉛シリカブルー、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等が挙げられる。
より具体的には、ブラック系顔料としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類;銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)等の金属類;酸化チタン等の金属酸化物類;アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料が挙げられる。
シアン系顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー1,2,3,15:1,15:3,15:4,15:6,16,21,22,60,64等が挙げられる。
マゼンタ系顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド5,7,9,12,31,48,49,52,53,57,97,112,120,122,146,147,149,150,168,170,177,178,179,184,188,202,206,207,209,238,242,254,255,264,269,282;C.I.ピグメントバイオレット19,23,29,30,32,36,37,38,40,50等が挙げられる。
イエロー系顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,12,13,14,16,17,20,24,74,83,86,93,94,95,109,110,117,120,125,128,129,137,138,139,147,148,150,151,154,155,166,168,180,185,213等が挙げられる。
その他の色の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン7,10,36;C.I.ピグメントブラウン3,5,25,26;C.I.ピグメントオレンジ2,5,7,13,14,15,16,24,34,36,38,40,43,62,63,64,71等が挙げられる。
これらのうち、高い光学濃度な画像を形成可能であるという本発明の効果が特に高いことから、ブラック系顔料が好ましく、カーボンブラック類がより好ましい。
また、表面に、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基、ヒドロキシル基等の親水性基を有する顔料(いわゆる「自己分散顔料」)を使用することができる。カーボンブラック系自己分散顔料としては、例えば、CAB−O−JET200、300、352K、400(以上、キャボット社製)等が挙げられる。シアン系自己分散顔料としては、例えば、CAB−O−JET250C、450C、554B(以上、キャボット社製)等が挙げられる。マゼンタ系自己分散顔料としては、例えば、CAB−O−JET260M、265M、465M(以上、キャボット社製)等が挙げられる。イエロー系自己分散顔料としては、例えば、CAB−O−JET270Y、470Y、740Y(以上、キャボット社製)等が挙げられる。分散剤を用いることなく水(A)に分散可能であることから、色材(B)としては、自己分散顔料が好ましい。
本発明の水性インクジェットインク中の色材(B)の含有量は、固形分量(固形分濃度)として、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましい。一方、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、12質量%以下がさらに好ましい。
〔水溶性有機溶剤成分(C)〕
本明細書において、水溶性有機溶剤成分(C)を構成する「水溶性有機溶剤」とは、水に対する20℃における溶解度が500g/L以上である有機溶剤のことをいう。水溶性有機溶剤として好ましくは、20℃において水に任意の割合で均一に混和する有機溶剤である。
水溶性有機溶剤成分(C)は、少なくともRO(CHCHO)OH(式中、Rは炭素数1〜4の直鎖状または分岐状のアルキル基を表し、mは2または3の整数を表す)で表されるモノオール系溶媒(1)と、RO(CO)OH(式中、Rは炭素数1〜4の直鎖状または分岐状のアルキル基を表し、nは2または3の整数を表す)で表されるモノオール系溶媒(2)と、3−メトキシ−1−ブタノールおよび3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールからなる群より選ばれる少なくとも1種であるモノオール系溶媒(3)とを含有する。
3−メトキシ−1−ブタノールおよび3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールからなる群より選ばれる少なくとも1種であるモノオール系溶媒(3)は、本発明の水性インクジェットインクの初期乾燥性を高める成分である。モノオール系溶媒(3)としては、画像滲みの発生をより抑制できることから、3−メトキシ−1−ブタノールが好ましい。本発明の水性インクジェットインク中のモノオール系溶媒(3)の含有量は、8質量%以上27質量%以下である。含有量が8質量%未満だと、インクの初期乾燥の速度が遅くなり、これにより画像滲みの発生や、画像が不均一になることによる光学濃度の低下が起こる。よって含有量は、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは12.5質量%以上であり、さらに好ましくは15質量%以上である。一方、含有量が27質量%を超えると、インクの保存安定性が低下し、また、インクの初期乾燥が早くなりすぎて、ベタ画像の埋まり具合が悪くなり、光学濃度の低下が起こる。よって含有量は、好ましくは25質量%以下であり、より好ましくは23質量%以下である。
O(CHCHO)OH(式中、Rは炭素数1〜4の直鎖状または分岐状のアルキル基を表し、mは2または3の整数を表す)で表されるモノオール系溶媒(1)は、本発明の水性インクジェットインクの定着性を高める成分である。モノオール系溶媒(1)は、特にPVC基材を溶解可能であることから、PVC基材に対する定着性を高めるために特に有効な成分である。モノオール系溶媒(1)としては、上記の式を満たすモノオール系溶媒を、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記の式において、Rは、好ましくは炭素数3または4の直鎖状または分岐状のアルキル基であり、より好ましくはn−ブチル基である。モノオール系溶媒(1)としては、保存安定性がより高いことから、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、およびトリエチレングリコールモノブチルエーテルが好ましく、トリエチレングリコールモノブチルエーテルがより好ましい。本発明の水性インクジェットインク中のモノオール系溶媒(1)の含有量は、0.5質量%以上9質量%以下である。含有量が0.5質量%未満だと、PVC基材に対する十分な定着性が得られない。よって含有量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上である。一方、含有量が9質量%を超えると、インクの保存安定性が低下する。よって含有量は、好ましくは8.5質量%以下、より好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは7.5質量%以下である。
O(CO)OH(式中、Rは炭素数1〜4の直鎖状または分岐状のアルキル基を表し、nは2または3の整数を表す)で表されるモノオール系溶媒(2)は、本発明の水性インクジェットインクの濡れ拡がり易さを改善して、画像滲みの発生を抑制するとともに光学濃度を向上させる成分である。モノオール系溶媒(2)としては、上記の式を満たすモノオール系溶媒を、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記の式において、Rは、好ましくはメチル基およびエチル基であり、より好ましくはメチル基である。モノオール系溶媒(2)としては、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルおよびトリプロピレングリコールモノメチルエーテルが好ましい。なお、プロピレン基(C)は、n−プロピレン基およびイソプロピレン基のいずれであってもよく、イソプロピレン基であることが好ましい。本発明の水性インクジェットインク中のモノオール系溶媒(2)の含有量は、0.5質量%以上9質量%以下である。含有量が0.5質量%未満だと、画像滲みが発生しやすくなり、また十分な高さの光学濃度が得られない。よって含有量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上である。また、含有量は、一方、含有量が9質量%を超えると、画像滲みが発生する。よって含有量は、好ましくは8.5質量%以下、より好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは7.5質量%以下である。
水溶性有機溶剤成分(C)は、本発明の効果を著しく損なわない範囲内でその他の水溶性有機溶剤、すなわち、モノオール系溶媒(1)、モノオール系溶媒(2)、およびモノオール系溶媒(3)以外の水溶性有機溶剤を含有していてもよい。その他の水溶性有機溶剤としては、水性インクジェットインクの水溶性有機溶剤として公知のものを特に制限なく用いることができる。その例としては、エチレングリコール(沸点:約196℃)、ジエチレングリコール(沸点:約244℃)、トリエチレングリコール(沸点:約287℃)、プロピレングリコール(沸点:約188℃)、ジプロピレングリコール(沸点:約230℃)、1,3−プロパンジオール(沸点:約213℃)、1,2−ブタンジオール(沸点:約194℃)、2,3−ブタンジオール(沸点:約183℃)、1,3−ブタンジオール(沸点:約208℃)、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(沸点:約208℃)、2−メチル−1,3−プロパンジオール(沸点:約213℃)、1,2−ペンタンジオール(沸点:約206℃)、2,4−ペンタンジオール(沸点:約201℃)、2−メチル−2,4−ペンタンジオール(沸点:約198℃)、1,5−ペンタンジオール(沸点:約242℃)、1,2−ヘキサンジオール(沸点:約224℃)、1,6−ヘキサンジオール(沸点:約250℃)、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(沸点:約243℃)等のジオール類;、プロピレングリコール−n−ブチルエーテル(沸点:約171℃)、プロピレングリコール−t−ブチルエーテル(沸点:約153℃)、エチレングリコール−n−プロピルエーテル(沸点:約150℃)、エチレングリコール−n−ブチルエーテル(沸点:約171℃)、1−エトキシ−2−プロパノール(沸点:約132℃)等のモノオール類;含窒素系水溶性有機溶媒などが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上を任意の比率で組み合わせて用いることができる。
本発明の水性インクジェットインクの保存安定性がより向上することから、水溶性有機溶剤成分(C)は、ジオール類(すなわち、ジオール系水溶性有機溶媒)を含有することが好ましい。ジオール類としては、HO−R−OH(式中、Rは炭素数3〜6の直鎖状または分岐状のアルキレン基である)を満たすものが好ましい。ジオール類の含有量は、本発明の水性インクジェットインク中、1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、3質量%以上がさらに好ましい。一方、画像滲みの発生抑制および定着性の観点から、含有量は、12質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、8質量%以下がさらに好ましい。
好適な水溶性有機溶剤の組み合わせは、モノオール系溶媒(1)としてトリエチレングリコールモノブチルエーテル、モノオール系溶媒(2)としてジプロピレングリコールモノメチルエーテルおよびトリプロピレングリコールモノメチルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種のモノオール系溶媒、ならびにモノオール系溶媒(3)として3−メトキシ−1−ブタノールの組み合わせである。
本発明の水性インクジェットインク中の水溶性有機溶剤成分(C)の含有量(すなわち、水溶性有機溶剤の総含有量)は15質量%以上42質量%以下である。水溶性有機溶剤成分(C)の含有量が15%質量未満だと、上述の水溶性有機溶剤を添加することにより発揮される効果を十分に得ることができない。よって含有量は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%以上、さらに好ましくは27.5質量%以上である。一方、水溶性有機溶剤成分(C)の含有量が42質量%を超えると、インクの保存安定性が低下する。よって含有量は、好ましくは40質量%以下であり、より好ましくは、38質量%以下であり、さらに好ましくは35質量%以下である。
〔界面活性剤(D)〕
界面活性剤(D)は、表面張力および界面張力を適正化する成分である。界面活性剤(D)としては、水性インクジェットインクに使用可能な公知のものを特に制限なく使用することができ、その例として、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。なかでも、アニオン性界面活性剤、またはノニオン性界面活性剤が好ましく、ノニオン性界面活性剤がより好ましい。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ソルビット系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤、ソルビタン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。なかでも、少量で静的表面張力を調整でき、これによりPVC基材への濡れ性を大きく向上できることから、シリコーン系界面活性剤が好ましい。
シリコーン系界面活性剤としては、公知のシリコーン系界面活性剤を特に制限なく用いることができ、市販品としても入手可能である。市販品の例としては、BYK−306、BYK−307、BYK−333、BYK−345、BYK−346、BYK−347、BYK−348、BYK−349(以上、ビックケミー・ジャパン社製)、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、(以上、信越化学工業社製)、シルフェイスSAG002、SAG005、SAG503A、SAG008(以上、日信化学工業社製)等が挙げられる。シリコーン系界面活性剤としては、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤が好ましい。
本発明のインクジェットインク中の界面活性剤(D)の含有量は、使用する界面活性剤の種類に応じて、インクの表面張力および界面張力が適正化されるように適宜決定すればよい。界面活性剤(D)の含有量は、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上である。一方、含有量は、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは2.5質量%以下である。
〔樹脂微粒子(E)〕
樹脂微粒子(E)は、非吸収性基材に対する定着性、および塗膜耐性を高めるバインダー成分である。
樹脂微粒子(E)には、水性インクジェットインクに使用可能な公知のものを特に制限なく使用することができる。樹脂微粒子(E)を構成する樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、フルオロオレフィン樹脂、ブタジエン樹脂、スチレン樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、スチレン−アクリル樹脂、エチレン−アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル−シリコーン樹脂などが挙げられる。
また、樹脂微粒子(E)は、1種の樹脂によって構成されている必要はなく、2種以上の樹脂によって構成されていてもよい。例えば、コア部とシェル部で樹脂の組成が異なるコア−シェル型の樹脂微粒子や、粒径を制御するために予め作製されたアクリル系微粒子(シード粒子)に対して、さらに異種のモノマーを乳化重合させることにより得られる微粒子などを用いることができる。さらには、アクリル樹脂からなる微粒子とウレタン樹脂からなる微粒子など、異なる樹脂によって構成された樹脂微粒子を化学的に結合させたハイブリッド型の樹脂微粒子などを用いることができる。
定着性およびインク安定性が特に優れることから、樹脂微粒子(E)は、少なくとも表層部にアクリル樹脂またはウレタン樹脂を含むことが好ましく、少なくとも表層部にウレタン樹脂を含むことがより好ましい。
樹脂微粒子(E)の体積平均粒径は、特に制限はないが、10〜1000nmが好ましく、10〜200nmがより好ましく、10〜50nmがさらに好ましい。なお、体積平均粒径は、例えば、粒度分布測定装置を用いて求めることができる。
本発明のインクジェットインク中の樹脂微粒子(E)の含有量は、固形分量(固形分濃度)として、3質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。一方、15質量%以下が好ましく、12質量%以下がより好ましい。
本発明の水性インクジェットインクは、上記成分以外にも、本発明の効果を著しく損なわない範囲内で、防腐剤、防カビ剤、増粘剤、消泡剤、pH調整剤、防錆剤等の添加剤を含有していてもよい。
本発明の水性インクジェットインクは、各成分を公知方法に従い混合することにより作製することができる。例えば、水(A)、色材(B)を含むエマルジョン、水溶性有機溶剤(C)、界面活性剤(D)、樹脂微粒子(E)を含むエマルジョン、およびその他の成分を、公知の混合装置または撹拌装置を用いて均一に混合することにより作製することができる。
本発明の水性インクジェットインクは、特定種類の水溶性有機溶剤を特定量含有することにより、保存安定性に優れる。また、従来の水性インクジェットインクでは、インクジェットヘッドからPVC基材上に吐出されたインク滴が濡れ拡がる前に隣接ドットが着弾し、インク滴同士の合一が起こり、その結果、画像滲みが生じていた。また、インクの乾燥過程における濡れ拡がりが不十分であるため、低解像度のベタ画像では埋まり具合が悪くなり、光学濃度の低下が起こっていた。また、初期乾燥性の悪さも画像滲みの発生と光学濃度の低下に起因していた。しかしながら、本発明の水性インクジェットインクは、特定種類の水溶性有機溶剤を特定量含有することにより、PVC基材上での濡れ拡がり易さと初期乾燥性が向上しているため、PVC基材への印刷に用いた場合には、滲みが少なく、高い光学濃度の画像を形成することができる。このとき、画像が低解像度である場合に、光学濃度向上効果が特に大きい。また、本発明の水性インクジェットインクは、PVC基材を溶解する水溶性有機溶媒を含有しており、これにより特にPVC基材への印刷に用いた場合に、定着性に優れる画像を形成することができる。
以上のように、本発明の水性インクジェットインクは、PVC基材への印刷に特に好適に用いることができる。また、PVC基材以外の、PET基材、表面処理(コロナ処理)したポリエチレン(PE)基材、表面処理(コロナ処理)したポリプロピレン(PP)基材、ポリスチレン基材等の非吸収性基材、およびアート紙、コート紙、キャスト紙、上質紙、合成紙、インクジェット用紙等の紙基材への印刷(画像形成)に用いることができ、非吸収性基材への印刷に好適に用いることができる。
そこで別の側面から、本発明は、上記の水性インクジェットインク(本発明の水性インクジェットインクとして説明したインク)を、非吸収性基材を有するメディアに吐出する工程(以下、「吐出工程」ともいう)、および当該メディアに吐出された水性インクジェットインクを乾燥して、インク塗膜を形成する工程(以下、「塗膜形成工程」ともいう)を含む、インクジェット記録方法である。
非吸収性基材としては、PVC基材、PET基材、表面処理(コロナ処理)したPE基材、表面処理(コロナ処理)したPP基材、ポリスチレン基材等が挙げられ、なかでもPVC基材が好ましい。
メディアは、非吸収性基材の単層構造であってよく、複層構造であってもよい。メディアが複層構造である場合、例えば、メディアは、被印刷基材である非吸収基材と、粘着剤層等とを有していてもよい。
吐出工程において、インクジェットインクは、メディアの非吸収性基材上に吐出される。本発明のインクジェット記録方法は、吐出工程の前に、メディアを加熱する工程をさらに含んでいていてもよい。このとき、メディアの表面温度は、例えば30℃以上であってかつメディアの軟化点未満(好ましくは30〜80℃)である。
塗膜形成工程において、乾燥を促進するために、メディアを加熱してもよい。このとき、メディアの表面温度は、例えば30℃以上であってかつメディアの軟化点未満(好ましくは30〜80℃)である。
本発明のインクジェット記録方法は、塗膜形成工程の後に、メディアをカットする工程(以下、「カット工程」ともいう)をさらに含んでいてもよい。
本発明のインクジェット記録方法によれば、滲みが少なく、高い光学濃度で定着性に優れる画像を形成することが可能である。
本発明のインクジェット記録方法は、非吸収性基材を有するメディアを搬送する搬送部と、当該搬送したメディアを加熱する加熱部と、当該加熱されたメディアにインクジェットインクを吐出する吐出部と、当該インクジェットインクを収容し、当該吐出部にインクジェットインクを供給するインク収容部とを備え、当該インクジェットインクが、上記の水性インクジェットインク(本発明の水性インクジェットインクとして説明したインク)である、インクジェット記録装置を用いることにより好適に実施することができる。
例として、当該インクジェット記録装置の一実施形態を、図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態のインクジェット記録装置100の概念図である。本実施形態のインクジェット記録装置100は、非吸収性基材を有するメディア10を搬送する搬送部20として、供給ローラ21、巻取ローラ22、および搬送ローラ23を備えている。供給ローラ21からメディア10が巻き出され、プラテン30上を通過して搬送ローラ23によって、メディア10が搬送されて、巻取ローラ22により巻き取られる。よって、本実施形態において、メディア10の搬送方向は、供給ローラ21から巻取ローラ22に向かう方向である。なお、メディア10は説明の便宜上図示されたものであって、インクジェット記録装置100の構成要素ではない。メディア10としては、非吸収性基材(特にPVC基材)を有するメディアが好適である。
インクジェット記録装置100は、加熱部40を備える。本実施形態では、加熱部40は、メディア10を加熱するプレヒータの役割を果たす。加熱部40は、例えば、接触加熱式のシートヒータ、赤外線やマイクロ波を放射する輻射ヒータ、温風ヒータなどを有する。加熱部40は、メディア10の上部と下部のいずれに設置されてもよいし、上部と下部の両方に設置されてもよい。加熱部40は、メディア10の温度が例えば、30℃以上であってかつメディアの軟化点未満(好ましくは30〜80℃)になるように加熱条件が設定されている。なお、加熱部40の構成は、メディア10にインクジェットインク11が吐出される前にメディア10を所定の温度にまで加熱できるものである限り、これに限られない。例えば、加熱部40が、プラテン30に内蔵されたプリントヒータとして構成されるなど、吐出部50の下部に設けられている実施形態も可能である。
インクジェット記録装置100は、インクジェットインク11をメディア10に吐出する吐出部50を備える。本実施形態では、吐出部50は、加熱部40よりもメディア10の搬送方向の下流側に備えられている。吐出部50は、例えば、圧電素子の振動を利用して微細なノズルからインクジェットインク11を液滴状に吐出するインクジェットヘッドを有する。インクジェット記録装置100は、インク収容部60を有しており、インク収容部60は吐出部50に接続されている。インク収容部60は、例えば、インクカートリッジを有する。吐出前のインクジェットインク11は、インク収容部60に収容されており、収容されたインクジェットインク11は適宜吐出部50に供給される。ここで、インクジェットインク11は、上述の水性インクジェットインク(本発明の水性インクジェットインク)である。
インクジェット記録装置100は、吐出されたインクジェットインク11を乾燥する乾燥部70を有している。本実施形態では、乾燥部70は、吐出部50よりもメディア10の搬送方向の下流側に備えられており、キャリッジ71に内蔵されている。乾燥部70は、例えば、赤外線やマイクロ波を放射する輻射ヒータ、温風ヒータ等のヒータ、またはエアブロー乾燥機を有する。乾燥部70は、メディア10上に付着したインクジェットインク11を乾燥することにより画像記録が可能な乾燥条件に設定されている。この乾燥条件は、インクジェットインク11が含む溶剤の種類と量に応じて適宜選択される。乾燥部70として好ましくは、ヒータであり、当該ヒータは、メディア10の温度が例えば、30℃以上であってかつメディアの軟化点未満(好ましくは30〜80℃)になるように加熱条件が設定されている。なお、乾燥部70は上記の態様に限られない。例えば、メディア10の下部に設置されてもよい。具体的に例えば、乾燥部70は、メディア10の下部にあり、プラテン30に内蔵されたポストヒータである実施形態も可能である。
本発明のインクジェット記録装置によれば、滲みが少なく、高い光学濃度で定着性に優れる画像を形成することが可能である。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に制限されるものではない。
〔インクジェットインクの調製〕
表1〜6に記載の各成分を、各表に示す質量割合で均一に混合して、各実施例および各比較例のインクジェットインクを得た。得られたインクジェットインクについて、下記の方法で保存安定性を評価した。また、得られたインクジェットインクについて、インクジェットプリンタを用いてPVCフィルム上に印刷を行い、下記の方法で画像の滲み、光学濃度(OD値)、および定着性として耐擦過性を評価した。なお、印刷条件について、実施例1〜23および比較例1〜11では、印刷前にPVCフィルムの表面温度を30〜45℃に加熱し、印刷後にPVCフィルムの表面温度を60℃に加熱した。実施例24,25および比較例12,13では、印刷前にPVCフィルムの表面温度を30〜45℃に加熱し、印刷後にPVCフィルムの表面温度を40〜50℃に加熱した。画像の滲み評価においては、1滴あたり22pl、解像度600dpi×600dpiの条件でフルベタ画像を形成しつつ、5ptのLドット白抜き文字を印刷した。OD値および耐擦過性評価においては、1滴あたり22pl、解像度600dpi×600dpiの条件でフルベタ画像を形成した。評価結果を表1〜6に示す。
〔保存安定性〕
45℃の環境下にインクジェットインクを置き、3ヶ月間保存した。このとき、保存前後でのインク粘度を粘度計を用いて測定し、粘度変化率を求め、以下の基準で保存安定性を評価した。「○」および「△」を合格とした。
○:粘度変化率が±10%以内である
△:粘度変化率が±10%を超えるが±15%以内である
×:粘度変化率が±15%を超える
〔画像の滲み評価〕
Lドット白抜き文字の画像の滲みの程度を目視で観察した。観察結果から、以下の基準で滲みの程度を評価した。「○」および「△」を合格とした。
○:白抜き文字の視認性に優れる
△:白抜き文字が少し滲むものの、視認可能である
×:白抜き文字が視認困難にまで滲む
〔OD値評価〕
フルベタ画像のOD値を3回測定し、その平均値を求め、以下の基準でOD値を評価した。「○」および「△」を合格とした。
(実施例1〜20および比較例1〜9)
○:2.0以上
△:1.8以上2.0未満
×:1.8未満
(実施例24,25および比較例12,13)
○:1.4以上
△:1.2以上1.4未満
×:1.2未満
〔耐擦過性評価〕
乾いた綿布を学振試験機に取り付け、500gの重りをつけた状態でベタ画像を形成したインク塗膜上を100回往復させた後、インク塗膜の状態を観察した。観察結果から、以下の基準で耐水性を評価した。「○」および「△」を合格とした。なお、実施例1〜20および比較例1〜9については、ベタ画像形成直後に評価を行なった。
○:インク塗膜が取れない
△:インク塗膜の一部のみが取れる
×:インク塗膜の半分以上が取れる
Figure 2018123293
Figure 2018123293
Figure 2018123293
Figure 2018123293
Figure 2018123293
Figure 2018123293
Figure 2018123293
(各表中の各成分についての数値は、質量割合を示す。)
CAB−O−JET300(キャボット社製):ブラック系自己分散顔料(固形分15質量%の水性エマルジョン)
CAB−O−JET260M(キャボット社製):マゼンダ系自己分散顔料(固形分10質量%の水性エマルジョン)
SAG503A(日信化学工業社製):シリコーン系界面活性剤「シルフェイスSAG503A」
SAG002(日信化学工業社製):シリコーン系界面活性剤「シルフェイスSAG002」
ビニブラン715S(日信化学工業社製):ポリ塩化ビニル−ポリウレタンのコアシェル粒子の水性エマルジョン(固形分25質量%)
PE1126(星光PMC社製):アクリル樹脂水性エマルジョン(固形分41.5質量%)
表1〜7に示されるように、本発明の範囲内の実施例1〜25の水性インクジェットインクは、保存安定性に優れていた。また、本発明の範囲内の実施例1〜25の水性インクジェットインクを用いることにより、PVC基材上に、滲みが少なく、高い光学濃度で定着性に優れる画像を形成することができた。また、表2の実施例10と他の実施例との比較より、保存安定性は、水性インクジェットインクにジオール系水溶性有機溶媒を添加した場合には、さらに向上することがわかる。表4の実施例13と実施例16との比較より、モノオール系溶媒(3)として、3−メトキシ−1−ブタノールを用いた場合には、画像滲みの発生が特に高度に抑制されることがわかる。表4の実施例13と実施例18との比較より、モノオール系溶媒(1)としてトリエチレングリコールモノブチルエーテルを用いた場合には、貯蔵安定性が特に高いことがわかる。
これに対し、表3の比較例1および表6の比較例6の結果が示すように、水性インクジェットインク中のモノオール系溶媒(3)の含有量が少な過ぎる場合には、画像の滲みが大きく、OD値が低かった。これは初期乾燥を十分に行なえなかったためと考えられる。表3の比較例2および表6の比較例7の結果が示すように、水性インクジェットインク中のモノオール系溶媒(3)の含有量が多過ぎる場合には、保存安定性が悪くなった。またOD値がやや低くなった。これは、インクの初期の乾燥が早くなりすぎて、ベタ画像の埋まり具合が悪くなったためと考えられる。表3の比較例3および表6の比較例8の結果が示すように、水性インクジェットインクがモノオール系溶媒(1)を含有しない場合には、耐擦過性が悪かった。このことから、水性インクジェットインクがPVC基材を溶解可能な溶媒であるモノオール系溶媒(1)を含むことにより、PVC基材に対する高い定着性が得られることがわかる。表3の比較例4および表6の比較例11の結果が示すように、水性インクジェットインク中のモノオール系溶媒(1)の含有量が多過ぎる場合には、保存安定性が悪くなることがわかる。表3の比較例5および表6の比較例9の結果が示すように、水性インクジェットインクが、モノオール系溶媒(2)を含有しない場合には、画像に滲みがやや生じ、OD値が低くなった。これは、乾燥過程でのインクの濡れ拡がりが悪かったためと考えられる。表6の比較例9の結果が示すように、水性インクジェットインク中のモノオール系溶媒(2)の含有量が多過ぎる場合には、画像滲みが生じた。これは、乾燥過程でのインクの濡れ拡がりの程度が大きすぎたためと考えられる。また、色材を変えた実施例24,25および比較例12,13では、実施例1および比較例1と同様の結果が得られた。
本発明の水性インクジェットインクは、PVC基材への印刷に特に好適に用いることができる。また、PVC基材以外の、PET基材、表面処理(コロナ処理)したポリエチレン(PE)基材、表面処理(コロナ処理)したポリプロピレン(PP)基材、ポリスチレン基材等の非吸収性基材、およびアート紙、コート紙、キャスト紙、上質紙、合成紙、インクジェット用紙等の紙基材への印刷(画像形成)に用いることができ、非吸収性基材への印刷に好適に用いることができる。
10 メディア
11 インクジェットインク
20 搬送部
21 供給ローラ
22 巻取ローラ
23 搬送ローラ
30 プラテン
40 加熱部
50 吐出部
60 インク収容部
70 乾燥部
71 キャリッジ
100 インクジェット記録装置

Claims (12)

  1. 少なくとも水(A)、色材(B)、水溶性有機溶剤成分(C)、界面活性剤(D)、および樹脂微粒子(E)を含有する水性インクジェットインクであって、
    前記水溶性有機溶剤成分(C)は、RO(CHCHO)OH(式中、Rは炭素数1〜4の直鎖状または分岐状のアルキル基を表し、mは2または3の整数を表す)で表される第1のモノオール系溶媒と、RO(CO)OH(式中、Rは炭素数1〜4の直鎖状または分岐状のアルキル基を表し、nは2または3の整数を表す)で表される第2のモノオール系溶媒と、3−メトキシ−1−ブタノールおよび3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールからなる群より選ばれる少なくとも1種である第3のモノオール系溶媒とを含有し、
    前記第3のモノオール系溶媒のインク中の含有量が、8質量%以上27質量%以下であり、
    前記第1のモノオール系溶媒のインク中の含有量が、0.5質量%以上9質量%以下であり、
    前記第2のモノオール系溶媒のインク中の含有量が、0.5質量%以上9質量%以下であり、
    前記水溶性有機溶剤成分(C)のインク中の含有量が、15質量%以上42質量%以下である、
    ことを特徴とする水性インクジェットインク。
  2. 前記水溶性有機溶剤成分(C)が、ジオール系水溶性有機溶剤をさらに含有することを特徴とする、請求項1に記載の水性インクジェットインク。
  3. 前記ジオール系水溶性有機溶剤が、HO−R−OH(式中、Rは炭素数3〜6の直鎖状または分岐状のアルキレン基である)で表されるジオール化合物であることを特徴とする、請求項2に記載の水性インクジェットインク。
  4. 前記第1のモノオール系溶媒が、ジエチレングリコールモノブチルエーテルおよびトリエチレングリコールモノブチルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種のモノオール系溶媒であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水性インクジェットインク。
  5. 前記第2のモノオール系溶媒が、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルおよびトリプロピレングリコールモノメチルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種のモノオール系溶媒であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の水性インクジェットインク。
  6. 前記第3のモノオール系溶媒が、3−メトキシ−1−ブタノールであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の水性インクジェットインク。
  7. 前記第1のモノオール系溶媒が、トリエチレングリコールモノブチルエーテルであり、前記第2のモノオール系溶媒が、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルおよびトリプロピレングリコールモノメチルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種のモノオール系溶媒であり、前記第3のモノオール系溶媒が、3−メトキシ−1−ブタノールであることを特徴とする、請求項1または2に記載の水性インクジェットインク。
  8. 前記樹脂微粒子(E)が、少なくとも表層部にアクリル樹脂またはウレタン樹脂を含有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の水性インクジェットインク。
  9. 前記界面活性剤(D)が、シリコーン系界面活性剤であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の水性インクジェットインク。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の水性インクジェットインクを、非吸収性基材を有するメディアに吐出する工程、および前記メディアに吐出された水性インクジェットインクを乾燥して、インク塗膜を形成する工程を含む、インクジェット記録方法。
  11. 前記非吸収性基材が、ポリ塩化ビニル基材である、請求項10に記載のインクジェット記録方法。
  12. 非吸収性基材を有するメディアを搬送する搬送部と、
    前記搬送したメディアを加熱する加熱部と、
    前記加熱されたメディアにインクジェットインクを吐出する吐出部と、
    前記インクジェットインクを収容し、前記吐出部にインクジェットインクを供給するインク収容部と、
    を備えるインクジェット記録装置であって、
    前記インクジェットインクが、請求項1〜9のいずれか1項に記載の水性インクジェットインクである、インクジェット記録装置。
JP2017130380A 2016-12-20 2017-07-03 水性インクジェットインク、インクジェット記録方法、およびインクジェット記録装置 Pending JP2018123293A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US15/835,496 US10457821B2 (en) 2016-12-20 2017-12-08 Aqueous inkjet ink, inkjet recording method, and inkjet recording device

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016246413 2016-12-20
JP2016246413 2016-12-20
JP2017018505 2017-02-03
JP2017018505 2017-02-03

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018123293A true JP2018123293A (ja) 2018-08-09
JP2018123293A5 JP2018123293A5 (ja) 2018-12-06

Family

ID=63110027

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017130380A Pending JP2018123293A (ja) 2016-12-20 2017-07-03 水性インクジェットインク、インクジェット記録方法、およびインクジェット記録装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2018123293A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113227274A (zh) * 2018-12-26 2021-08-06 花王株式会社 喷墨印刷用水性油墨
US11872827B2 (en) 2018-07-06 2024-01-16 Seiko Epson Corporation Ink for ink jet recording, ink jet recording apparatus, and ink jet recording method
JP7415552B2 (ja) 2019-12-26 2024-01-17 セイコーエプソン株式会社 インクジェットインク及び記録装置

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11872827B2 (en) 2018-07-06 2024-01-16 Seiko Epson Corporation Ink for ink jet recording, ink jet recording apparatus, and ink jet recording method
CN113227274A (zh) * 2018-12-26 2021-08-06 花王株式会社 喷墨印刷用水性油墨
CN113227274B (zh) * 2018-12-26 2023-04-28 花王株式会社 喷墨印刷用水性油墨
JP7415552B2 (ja) 2019-12-26 2024-01-17 セイコーエプソン株式会社 インクジェットインク及び記録装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2012162002A (ja) インクジェット記録方法及びこれに用いられるインク
JP2018070827A (ja) 水性インクジェットインク、インクジェット記録方法、およびインクジェット記録装置
JP2019077070A (ja) 表面が合成樹脂製の皮革のインクジェット印刷方法、および表面が合成樹脂製の皮革用の水性インクジェットインク
JP2007169528A (ja) インク、インクセット、記録方法、インクカートリッジ、及び記録装置
WO2014168240A1 (ja) インクジェット用水性インキ、及び印刷方法
JP5896213B2 (ja) インクジェット記録用インクセット、及びインクジェット記録方法
JP6102260B2 (ja) インクジェットインク及びインクジェット記録方法
JP2018044074A (ja) インクジェットインク
JP7272000B2 (ja) インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置
JP2017132946A (ja) 捺染インクジェットインクセット及びインクジェット捺染記録方法
JP2019142068A (ja) インクジェット記録方法
JP2013176900A (ja) インクジェット記録装置
JP2018123293A (ja) 水性インクジェットインク、インクジェット記録方法、およびインクジェット記録装置
CN105437807A (zh) 记录方法
JP6709514B2 (ja) 水性インキ組成物
JP2020105310A (ja) 水性インクジェットインキ及びインクジェット印刷物の製造方法
JP2020094084A (ja) 水性インクジェットインクおよびインクジェット記録方法
JP6314525B2 (ja) インクジェット記録装置及び記録方法
JP2014200917A (ja) インクジェット記録方法および記録物
US10457821B2 (en) Aqueous inkjet ink, inkjet recording method, and inkjet recording device
JP2020100712A (ja) 水性インクジェットインキ及びインクジェット印刷物の製造方法
JP6868208B2 (ja) インク、インク収容容器及びインクジェット記録装置
JP7275895B2 (ja) インクジェットインク組成物
US10513623B2 (en) Aqueous ink, ink cartridge and image recording method
JP6658675B2 (ja) 水性インクジェットインキ

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181025