JP2018120407A - 状態監視方法および状態監視装置 - Google Patents

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正嗣 北井
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Abstract

【課題】誤判別率が低減した状態監視方法および状態監視装置を提供する。
【解決手段】状態監視装置100は、測定データを処理するときに全体として処理せず、測定データ全体を複数のセグメントに分割し、セグメントごとに処理する。また、測定データの中から異常検出手法(One Class Support Vector Machine:OC−SVM)を適用する学習データおよびテストデータをランダムに選択して繰り返し異常率を算出して平均を取る。このとき、測定データから算出される特徴量のうち変動係数が抽出しきい値以下の特徴量を用いて異常率が算出される。
【選択図】図1

Description

本発明は、状態監視方法および状態監視装置に関する。
従来、回転機械や設備およびそれらを含むプラントでは、各種センサを用いて物理量を測定することによって状態を監視している。
状態監視の方法としては、物理量の正常状態のモデルを作成し、新たに測定した物理量が正常状態のモデルからどの程度乖離しているかを算出することによって異常を判別する方法がある(例えば特許文献1を参照)。また、軸受の損傷や軸の振れにより発生する特性周波数ピークの値を状態監視システムに記憶させ、同ピークの変化を見ることによって異常を特定する方法もある(例えば特許文献2を参照)。
特許第5431235号公報 特許第5780870号公報
しかし、運転状況やノイズの影響を受ける回転機械においては、正常な状態でも物理量が変動するため、異常を示す物理量が正常状態のモデルの中に埋もれたり、作成した正常状態のモデルによっては、正常状態を異常と誤判別する可能性がある。
運転状況やノイズの影響を受ける回転機械において、可能な限り誤判別をなくし、かつ微細な損傷を判別できる状態監視手法が望まれている。
この発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、誤判別率が低減した状態監視方法および状態監視装置を提供することである。
この発明は、状態監視方法であって、被試験対象物が正常である時に、前記被試験対象物に設置したセンサから第1時間長の複数の第1の測定データを互いに異なるタイミングで取得する第1工程と、前記被試験対象物の診断時に、前記第1時間長の複数の第2の測定データを互いに異なるタイミングで取得する第2工程と、前記複数の第1の測定データから複数の学習データをランダムに選択する第3工程と、前記複数の第2の測定データから複数のテストデータをランダムに選択する第4工程と、前記複数の学習データの各々を前記第1時間長よりも短い第2時間長毎のセグメントデータに分割し、分割後の各セグメントデータに対して算出された複数の特徴量の各々を成分とする第1の特徴量ベクトルを作成する第5工程と、前記第1の特徴量ベクトルの各成分に対してばらつきを示す指標値を算出し、前記指標値が抽出しきい値未満の成分を使用成分として決定し、前記第1の特徴量ベクトルから前記使用成分を抽出することにより第2の特徴量ベクトルをセグメントデータ毎に作成する第6工程と、前記複数の学習データについてセグメントデータ毎に作成された複数の第2の特徴量ベクトルから、正常と異常とを分類する分類境界、および異常判別しきい値を作成する第7工程と、前記複数のテストデータの各々を前記第2時間長毎のセグメントデータに分割し、分割後の各セグメントデータに対して算出された前記複数の特徴量の各々を成分とする第3の特徴量ベクトルを作成する第8工程と、前記第3の特徴量ベクトルから前記使用成分を抽出することにより第4の特徴量ベクトルをセグメントデータ毎に作成する第9工程と、前記第4の特徴量ベクトルに対して前記分類境界からの距離である異常度を算出し、前記複数のテストデータの各々に対して、前記第4の特徴量ベクトルの異常度が前記異常判別しきい値を超える数の前記第4の特徴量ベクトルの総数に対する割合である異常率を算出する第10工程と、前記第3〜第10工程を繰り返し複数回実行し、得られた異常率の平均値が所定の値を超えた場合に前記被試験対象物を異常と判別する第11工程とを備える。指標値はたとえば変動係数である。
この発明の他の局面における状態監視方法は、被試験対象物が正常である時に、前記被試験対象物に設置したセンサから第1時間長の複数の第1の測定データを互いに異なるタイミングで取得する第1工程と、前記被試験対象物の診断時に、前記第1時間長の複数の第2の測定データを互いに異なるタイミングで取得する第2工程と、前記複数の第1の測定データから複数の学習データをランダムに選択する第3工程と、前記複数の第2の測定データから複数のテストデータをランダムに選択する第4工程と、前記複数の学習データの各々を前記第1時間長よりも短い第2時間長毎のセグメントデータに分割し、分割後の各セグメントデータに対して算出された複数の特徴量の各々を成分とする第1の特徴量ベクトルを作成し、連続する複数のセグメントデータの前記第1の特徴量ベクトルをまとめた第2の特徴量ベクトルを作成する第5工程と、前記第2の特徴量ベクトルの各成分に対してばらつきを示す指標値を算出し、前記指標値が抽出しきい値未満の成分を使用成分として決定し、前記第2の特徴量ベクトルから前記使用成分を抽出することにより第3の特徴量ベクトルを前記連続する複数のセグメントデータ毎に作成する第6工程と、前記複数の学習データについて前記連続する複数のセグメントデータ毎に作成された複数の前記第3の特徴量ベクトルから、正常と異常とを分類する分類境界、および異常判別しきい値を作成する第7工程と、前記複数のテストデータの各々を前記第2時間長毎のセグメントデータに分割し、分割後の各セグメントデータに対して算出された前記複数の特徴量の各々を成分とする第4の特徴量ベクトルを作成し、連続する複数のセグメントデータの前記第4の特徴量ベクトルをまとめた第5の特徴量ベクトルを作成する第8工程と、前記第5の特徴量ベクトルから前記使用成分を抽出することにより第6の特徴量ベクトルを前記連続する複数のセグメントデータ毎に作成する第9工程と、前記第6の特徴量ベクトルに対して前記分類境界からの距離である異常度を算出し、前記複数のテストデータの各々に対して、前記第6の特徴量ベクトルの異常度が前記異常判別しきい値を超える数の前記第6の特徴量ベクトルの総数に対する割合である異常率を算出する第10工程と、前記第3〜第10工程を繰り返し複数回実行し、得られた異常率の平均値が所定の値を超えた場合に前記被試験対象物を異常と判別する第11工程とを備える。指標値はたとえば変動係数である。
この発明は、他の局面においては、上記のいずれかの方法を用いて、被試験対象物を診断する、状態監視装置である。
本発明の状態監視方法は、運転状況やノイズの影響を受ける監視対象装置において、より早期に測定データから異常を判別でき、状態監視システムの精度を向上できる。
本実施の形態に係る状態監視装置の構成を示すブロック図である。 データ演算部の詳細を示すブロック図である。 測定データとセグメントデータの関係を示す概念図である。 初期特徴量ベクトルと再構成特徴量ベクトルとの関係を説明するための図である。 再構成特徴量ベクトルについて説明するための図である。 OC−SVMの基本概念を説明するための図である。 図1のデータ取得部が行なう処理を説明するためのフローチャートである。 図2の学習部が行なう処理の前段を説明するためのフローチャートである。 図2の学習部が行なう処理の後段を説明するためのフローチャートである。 図2の異常度算出部が行なう処理を説明するためのフローチャートである。 図2の判別部が行なう処理を説明するためのフローチャートである。 異常率平均を算出する効果を示すグラフである。 セグメントセットごとに特徴量ベクトルを求めることを説明するための概念図である。 実施例1,2,比較例1の異常判別結果を示す図である。 実施例3〜5,比較例2の異常判別結果を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
[状態監視装置の基本構成]
図1は、本実施の形態に係る状態監視装置の構成を示すブロック図である。図1を参照して、状態監視装置100は、被試験装置10に設置された振動センサ20から信号を受けて、被試験装置10の状態を監視し、異常を検出する。被試験装置10は、例えば工場や発電所などに設置された回転機器を含む設備であり、振動センサ20は、回転時に生じる異常振動を検出することができる。なお、本実施の形態では、監視対象として振動を例示するが、設備の運転状況を確認できる出力信号であれば振動センサ以外の検出信号であっても良い。たとえば、音響、温度、負荷トルク、モータ電力等を検出するセンサを振動センサ20に代えて使用しても良い。
状態監視装置100は、A/Dコンバータ110と、データ取得部120と、記憶装置130と、データ演算部140と、表示部150とを含む。
A/Dコンバータ110は、振動センサ20の出力信号を受ける。データ取得部120は、A/Dコンバータ110からデジタル信号を受けてフィルタ処理を行ない、記憶装置130に測定データを記録する。データ演算部140は、記憶装置130から正常時に測定しておいた測定データを読み出して、異常を判別する異常判別しきい値を作成したり、異常判別しきい値を用いてテスト時に測定した測定データから被試験装置10の異常の有無を判断したりする。データ演算部140は、異常の有無を判断した場合、表示部150にその結果を表示させる。
図2は、データ演算部の詳細を示すブロック図である。データ演算部140は、学習部142と、しきい値記憶部144と、異常度算出部146と、判別部148とを含む。
学習部142は、記憶装置130から被試験装置10が正常時(初期状態など)に取得しておいたデータ(正常データ)に基づいて正常と異常とを分類する境界である分類境界と、分類境界からの距離に相当する異常度を判別するための異常判別しきい値と、異常度を算出するために使用する特徴量(使用特徴量)の種別を示す使用特徴量情報とを生成し、しきい値記憶部144に記憶させる。
異常度算出部146は、記憶装置130から被試験装置10の診断時に取得したデータ(テストデータ)から、使用特徴量情報により示される使用特徴量を算出し、算出した使用特徴量を成分とする特徴量ベクトル(後述する再構成特徴量ベクトル)に分類境界を適用する。異常度算出部146は、分類境界からの距離に相当する異常度を算出し、判別部148に送る。
判別部148は、異常度と異常判別しきい値とを比較した結果にもとづいて被試験装置10の異常判別を行なう。
[特徴量ベクトルの作成]
本実施の形態の状態監視装置100は、測定データを処理するときに全体をひとまとめにして処理せず、測定データ全体を複数のセグメントに分割し、セグメントごとに処理することが一つの特徴である。さらに、測定データから算出される複数の特徴量の中からばらつきの小さい特徴量を使用特徴量として用いて正常/異常を判別することも別の特徴である。以下、セグメントごとに作成される、使用特徴量を成分とする再構成特徴量ベクトルについて説明する。
図3は、測定データとセグメントデータとの関係を示す概念図である。図3を参照して、測定データは、時間長T1のデータであり、振動センサ20からの出力信号がA/Dコンバータ110でA/D変換され、データ取得部120でフィルタ処理された後に、記憶装置130に記憶されたデータである。
記憶装置130に記憶されている測定データは、学習データとテストデータとを含む。学習データは、被試験装置10が正常であることが分かっている時(たとえば初期状態など)に取得した測定データである。テストデータは、被試験装置10の正常/異常を判別したいときに取得した測定データである。学習データによって、後述の分類境界や異常判別しきい値が定められる。この分類境界および異常判別しきい値を用いてテストデータに対して所定の処理が行なわれた結果、被試験装置10の正常/異常が判別される。
時間長T1の測定データは、学習部142および異常度算出部146において処理される際に、図3に示すように時間長T1より短い時間長T2のセグメントに分割される。たとえば、時間長T1が20秒である場合に、時間長T2を0.2秒とすることができる。この場合、測定データ1個は、セグメントデータ100個に分割される。測定データの分割後、学習部142および異常度算出部146において、さらにセグメントごとに予め定められた種類の複数の特徴量が算出され、当該複数の特徴量の各々を成分とする初期特徴量ベクトルが作成される。
特徴量は、たとえば、測定データが振動の場合には、実効値(OA)、最大値(Max)、波高率(Crest factor)、尖度、歪度、およびこれらの信号処理後(FFT処理、ケフレンシ処理)の値とすることができる。初期特徴量ベクトルは、複数の特徴量を一組のベクトルとして扱うものである。測定データ1個に対して、当該測定データから分割されたセグメントデータの個数分だけ初期特徴量ベクトルが作成される。
学習部142は、ランダムに選択された複数個の学習データの各々から作成された複数個(学習データから分割されたセグメントデータの個数)の初期特徴量ベクトルにおける、各成分のばらつきを示す指標値を算出する。指標値としては、たとえば、変動係数(標準偏差を算術平均で割った値)、分散などを用いることができる。学習部142は、指標値が予め定められた抽出しきい値以下である成分(特徴量)を使用成分(使用特徴量)として決定し、使用成分である特徴量の種別を示す使用特徴量情報をしきい値記憶部144に記憶させる。
学習部142および異常度算出部146は、測定データから生成した初期特徴量ベクトルの各々について、当該初期特徴量ベクトルから使用特徴量情報で示される使用成分を抽出し、抽出した使用成分のみから構成される特徴量ベクトル(以下、再構成特徴量ベクトルという)を作成する。
学習部142および異常度算出部146は、初期特徴量ベクトルごとに再構成特徴量ベクトルを生成する。すなわち、測定データ1個に対して、当該測定データから分割されたセグメントデータの個数分だけ初期特徴量ベクトルが作成され、当該初期特徴量ベクトルと同数の再構成特徴量ベクトルが作成される。
図4は、初期特徴量ベクトルから再構成特徴量ベクトルを作成する手順の一例を説明するための図である。図4では、K1個の学習データの各々に対してm個の初期特徴量ベクトルが生成される例を示している。各初期特徴量ベクトルは、周波数帯域ch1における、実効値「OAch1」、最大値「Maxch1」、波高率「CFch1」と、周波数帯域ch2における、実効値「OAch2」、最大値「Maxch2」、波高率「CFch2」と、周波数帯域ch3における、実効値「OAch3」、最大値「Maxch3」、波高率「CFch3」とを成分(特徴量)として含む。
学習部142は、初期特徴量ベクトルの各成分についてばらつきを示す指標値(図4では変動係数)を算出し、当該指標値が抽出しきい値(図4では0.3)以下の成分「OAch1」,「Maxch1」,「Maxch2」,「CFch2」,「OAch3」,「CFch3」を使用成分として決定する。そのため、学習部142および異常度算出部146は、当該使用成分「OAch1」,「Maxch1」,「Maxch2」,「CFch2」,「OAch3」,「CFch3」,・・・から構成されるベクトルを再構成特徴量ベクトルとして生成する。測定データがm個のセグメントに分割される場合、測定データ1個に対して、m個の再構成特徴量ベクトルが作成される。
図5は、再構成特徴量ベクトルについて説明するための図である。図5では、測定データがm個のセグメントに分割され、ばらつきを示す指標値が抽出しきい値以下である使用成分(使用特徴量)がn個である例を示している。図5に示されるように、セグメントごとにn個の使用成分からなる再構成特徴量ベクトルが作成され、m個の再構成特徴量ベクトルを用いて被試験装置10の正常/異常が判別される。
特徴量の抽出および特徴量ベクトルの作成を、測定データ全体をひとまとめにして処理すると、突発的な異常が生じたときに測定データ全体が診断に使用できなくなってしまう虞がある。したがって、本実施の形態では、測定データをセグメントに分割し、セグメントを単位として特徴量の抽出と特徴量ベクトルの算出を行なう。たとえば、回転機器を振動センサで監視している場合に、測定データ取得中に工具などを落としたなどの一時的な衝撃が突発的な振動として振動センサに検出される場合がある。セグメントに分けて特徴量を抽出していれば、このような場合でも突発異常時以外の時間では正しい特徴量が抽出できるとともに、特徴量をセグメントごとに比較することによって、突発異常に相当するセグメントを除去して評価することも可能となる。
初期特徴量ベクトルは、予め定められた複数の特徴量の全てを成分として含む。そのため、初期特徴量ベクトルの成分の中には、被試験装置10の運転状況に影響を受けやすい成分(特徴量)と、影響を受けにくい成分(特徴量)とが含まれる。たとえば、正常な運転状況であっても突発的なノイズを含み変動しやすい特徴量と、ノイズの影響を受けにくい特徴量とが存在する。突発的なノイズを含む特徴量を用いて被試験装置10の正常/異常を判別すると、単なる突発的なノイズによって正常であるのに異常であると誤判別したり、異常な状況に起因する信号がノイズに埋もれてしまい、異常であるのに正常であると誤判別したりする虞がある。したがって、本実施の形態では、ばらつきを示す指標値(たとえば変動係数)が抽出しきい値以下の成分(特徴量)のみから構成された再構成特徴量ベクトルを用いて被試験装置10の正常/異常が判別される。これにより、誤判別率を低減することができる。
[異常度の演算方法]
図5に示されるように、再構成特徴量ベクトル1〜mに対して分類境界に基づいて異常度1〜mが演算される。分類境界は、既知の異常検出手法(One Class Support Vector Machine:OC−SVM)で使用される異常判別を行なうための指標である。
図6は、OC−SVMの基本概念を説明するための図である。図6において、丸印「○」で示されるのは、被試験装置10が正常であることが分かっている時に正常状態を学習するために取得された学習データであり、四角印および三角印「□、△」で示されるのは、診断対象であるテストデータである。なおテストデータのうち、「□」は異常を示すデータであり、「△」は正常を示すデータであるとする。
たとえば、左の図6(a)に示すように、使用特徴量が2個の場合の二次元の散布図上では、学習データおよびテストデータには正常/異常を分類できる境界線が引けない場合を考える。診断対象および運転条件によって、有用な特徴量が異なるので、適切な特徴量を選択する。適切な特徴量を含む多次元の特徴空間に各学習データおよびテストデータを写像することによって、正常/異常を分類できる分類境界面が生成できるようになる。各学習データおよびテストデータに対しては、分類境界からの距離である異常度を算出することができる。分類境界上では異常度はゼロとなり、分類境界よりも正常側では異常度は負(−)の値となり、異常側では異常度は正(+)の値となる。
このような手法はOC−SVMによる機械学習といわれ、多くの特徴量を1つの指標(異常度)に変換して評価することが可能となる。
図2の学習部142は、上記の分類境界を定めるとともに、テストデータの異常度を判定するための異常判定しきい値を定める。また図2の異常度算出部146は、特徴空間における各測定データの分類境界からの距離である異常度を算出する。図2の判別部148は、異常度を異常判別しきい値と比較して、各測定データの異常率を算出し、判別結果を出力する。
[データ取得部の処理]
図7は、図1のデータ取得部が行なう処理を説明するためのフローチャートである。データ取得部120は、ステップS1において、振動センサ20からの振動波形を含む信号がデジタルに変換されたデータを受信し、ステップS2において、ローパスフィルタ、バンドパスフィルタ、ハイパスフィルタ等のうち観測したい異常現象に対して適切なフィルタ処理を施して基本的なノイズを除去した状態とし、ステップS3において記憶装置130に記憶する。
なお、データ取得部120は、被試験装置10の初期状態、修理完了時などの正常動作することが分かっている場合に、学習データを取得し、被試験装置10の使用中に診断を行ないたい場合に、タイマーなどで指定された時間に自動的にテストデータを取得する。
[学習部の処理]
図8は、図2の学習部が行なう処理の前段を説明するためのフローチャートである。図9は、図2の学習部が行なう処理の後段を説明するためのフローチャートである。学習部142は、まずステップS11において、カウント変数jを1に初期化する。そして、ステップS12において、正常時に取得した複数の測定データのうちから学習データを1つランダムに選択する。続いて、図3で説明したように、学習データをセグメントに分割し(ステップS13)、セグメントごとに初期特徴量ベクトルを作成する(ステップS14)。以上のS12〜S14の処理を学習データ選択数D1だけ繰り返すように、ステップS15においてカウント変数jが選択数D1未満である間(S15でNO)、ステップS16でカウント変数jがカウントアップされる。なおステップS12では、すでに学習データとして選択された正常データ以外の正常データが選択される。
S12〜S14の処理が学習データ選択数D1だけ繰り返されると、学習データ選択数D1にセグメントの分割数mを乗じた個数分だけ初期特徴量ベクトルが作成される。ステップS17において、学習部142は、D1×m個の初期特徴量ベクトルを母集団とし、初期特徴量ベクトルの各成分(特徴量)について、ばらつきを示す指標値を算出する。ここでは、指標値として変動係数が算出されるものとする。学習部142は、変動係数が予め定められた抽出しきい値以下の成分を使用成分(使用特徴量)として決定し、決定した使用成分の種別を示す使用特徴量情報をしきい値記憶部144に記憶させる。このようにして、被試験装置10の正常/異常を判別するために使用する特徴量(使用特徴量)が決定される。
続いてステップS18(図9参照)において、カウント変数jを1に初期化する。そして、ステップS19において、正常時に取得した複数の測定データのうちから学習データをD1個ランダムに選択する。続いて、図3で説明したように、各学習データをセグメントに分割し(ステップS20)、セグメントごとに、ステップS17において決定された使用成分のみから構成された再構成特徴量ベクトルを算出する(ステップS21)。
続いて、ステップS22において、学習部142は、D1×m個の再構成特徴量ベクトルに対して、OC−SVMを用いた分類境界と異常判別しきい値を算出する。さらに、ステップS23において第j回の分類境界と判別しきい値が算出されると、それらにカウント変数jを付与して保存する。
以上のS19〜S23の処理を繰り返し回数K1だけ繰り返すように、ステップS24においてカウント変数jが繰り返し回数K1未満である間(S24でNO)、ステップS25でカウント変数jがカウントアップされる。なおステップS19では、すでに選択された測定データの組合せは使用しない。ステップS24においてカウント変数jが繰り返し回数K1になった場合、K1個の分類境界と判別しきい値の算出が終了し、ステップS26において処理が終了する。
[異常度算出部の処理]
図10は、図2の異常度算出部が行なう処理を説明するためのフローチャートである。異常度算出部146は、まずステップS31において、カウント変数jを1に初期化する。そして、ステップS32において、診断時に取得した複数の測定データのうちからテストデータをD2個ランダムに選択する。続いて、図3で説明したように、各テストデータをセグメントに分割し(ステップS33)、セグメントごとに、予め定められた種類の複数の特徴量を含む初期特徴量ベクトルを算出する(ステップS34)。異常度算出部146は、初期特徴量ベクトルからしきい値記憶部144に記憶された使用特徴量情報によって示される使用成分(使用特徴量)を抽出することにより、再構成特徴量ベクトルを作成する(ステップS35)。すなわち、再構成特徴量ベクトルは、使用特徴量情報によって示される使用成分のみから構成される。
続いて、ステップS36において、異常度算出部146は、ステップS35で作成された再構成特徴量ベクトルに対して、学習部142が生成し、しきい値記憶部144に保持されていたj番目に選択された学習データの分類境界を使用して、異常度を算出する。再構成特徴量ベクトルがセグメントごとに作成されるため、異常度もセグメントごとに算出される。
以上のS32〜S36の処理を繰り返し回数K1だけ繰り返すように、ステップS37においてカウント変数jが繰り返し回数K1未満である間(S37でNO)、ステップS38でカウント変数jがカウントアップされる。なおステップS32では、すでにテストデータとして選択された測定データの組合せは使用しない。
ステップS37において繰り返し回数K1回の各セグメントの異常度が算出されると、ステップS39において処理が終了する。
[判別部の処理]
図11は、図2の判別部が行なう処理を説明するためのフローチャートである。判別部148は、まずステップS41において、カウント変数i,jをともに1に初期化する。そして、j番目に選択されたD2個のテストデータ(テストデータj)を対象とし(ステップS42)、D2個のテストデータのi番目のセグメント(セグメントi)の異常度を、j番目に選択された学習データの異常判別しきい値と比較して異常判別を行なう(ステップS43)。以上のS42〜S45の処理を総セグメント数D2×mだけ繰り返すように、ステップS34においてカウント変数iが総セグメント数D2×m未満である間(S44でNO)、ステップS45でカウント変数iがカウントアップされる。
ステップS44においてテストデータjのセグメント1〜D2×mについて、各セグメントの異常度が算出されると、判別部148は、ステップS46において、テストデータjの異常率を算出する。
異常率は、図5にも記載されているように、セグメント1〜D2×mの異常度1〜D2×mのうち異常度が異常判別しきい値を超えた数を総セグメント数D2×mで除算することによって求められる。
以上のS42〜S46の処理を繰り返し回数K1だけ繰り返すように、ステップS47においてカウント変数jが繰り返し回数K1未満である間(S47でNO)、ステップS48でカウント変数jがカウントアップされる。
ステップS47においてテストデータ1〜K1について、各テストデータの異常率が算出されると、判別部148は、ステップS49において、異常率1〜K1を平均して異常率平均を算出し、ステップS50において処理を終了する。
以上説明したように、学習データおよびテストデータをセグメントに分割して初期特徴量ベクトルを求めることによって、従来であればエラーデータとして使用できなかった測定データも使用可能となる。さらに、ばらつきの小さい成分を使用成分とし、初期特徴量ベクトルから使用成分を抽出することにより再構成特徴量ベクトルを作成することによって、ノイズの影響による誤った正常/異常の判断を低減することができる。加えて、複数の測定データからランダムに選択して演算を行ない、異常率平均を算出することを繰り返すことによって、異常率が収れんし、判別結果が安定する。
[実施例1]
以上説明した状態監視方法について、検証実験を行なった。被試験装置は軸受とし、軌道面に人工の損傷を設けた軸受の状態監視事例を示す。
アンギュラ玉軸受の外輪軌道に放電加工で微細な円筒穴および矩形溝を設けた軸受を、ラジアル負荷およびアキシアル負荷のかかる状態で、一定速度で運転した時の振動加速度を測定した。放電穴直径および溝形(以下、損傷サイズ)は以下に示す5種類である。各損傷サイズで11回振動加速度を測定した。また、測定ごとに試験機の分解・再組み立てをした。運転条件および測定条件は次の通りである。
<運転条件>
軸受:アンギュラ玉軸受(型番7216:内径80mm、外径140mm、幅26mm)
ラジアル負荷:1.3kN
アキシアル負荷:1.3kN
回転速度:1500回転/分
損傷サイズ:0.00mm(正常)、φ0.34mm(円筒穴)、φ0.68mm(円筒穴)、
φ1.02mm(円筒穴)、φ1.35mm(円筒穴)、周方向2mm×軸方向10mm×深さ1mm(矩形溝)
<測定条件>
測定データ:振動加速度
測定方向:鉛直方向、水平方向、軸方向
データ長さ:20秒
サンプリング速度:50kHz
測定回数:11回/損傷サイズ
上記で得た各損傷サイズにおける振動加速度データを用い実施例の有用性を評価した。
<学習データ、テストデータの初期特徴量ベクトルの算出>
1回の測定20秒で得られた振動加速度データを、周波数フィルタ処理(ローパス:20〜1000Hz、バンドパス:1000〜5000Hz、ハイパス:5000〜20000Hz)後、0.2秒(回転軸5回転)毎に100セグメントに分割し、分割した測定データ(セグメントデータ)の時間領域、周波数領域、ケフレンシ領域での特徴量(ここでは実効値OA、最大値Max、波高率Crest factor、尖度、歪度)を算出し同時刻における各フィルタ処理後、各領域の特徴量をまとめて初期特徴量ベクトルを得る(図3)。
<学習データの選択>
正常時において得た11個の測定データのうち、ランダムに8個を学習データとして選択した。選択した測定データから得られる全ての初期特徴量ベクトルをまとめて学習用のデータとして利用する。
<テストデータの選択>
各種損傷サイズに対して、得られた11個の測定データのうち、ランダムに3個を選択した。なお、損傷なしのデータとしては、学習データとしてランダムに8個選択した残りの3個を使用した。選択した測定データから得られる全ての初期特徴量ベクトルをテスト用のデータとして使用する。
<再構成特徴量データの作成>
学習用のデータに含まれる全ての初期特徴量ベクトルにおいて、初期特徴量ベクトルの成分毎にばらつきを示す変動係数を算出し、変動係数が0.3以下の成分を使用成分として決定した。学習用のデータおよびテスト用のデータに含まれる全ての初期特徴量ベクトルの各々から決定した使用成分のみを抽出することにより再構成特徴量ベクトルを作成した。
<分類境界および異常判別しきい値の作成>
学習データの再構成特徴量ベクトルからOC−SVMを用いて分類境界を作成する(図5)。また作成した分類境界により、学習データの全ての再構成特徴量ベクトルの異常度を算出し、異常判別しきい値を次式(1)で算出する。
異常判別しきい値=異常度の平均値+5×異常度の標準偏差…(1)
<テストデータの異常率の算出>
分類境界を用いてテストデータの各再構成特徴量ベクトルの異常度を算出し、次式(2)を用いてテストデータの異常率を算出する(図4)。
異常率=異常判別しきい値を超えた特徴量ベクトルの数/特徴量ベクトルの総数…(2)
<診断>
以上の処理を10回繰り返し、各損傷サイズの異常率平均を算出する。異常率平均が0.5以上であればテストデータを異常とみなす。
図12は、異常率平均を算出する効果を示すグラフである。図12(a)には、各計算時(10回)における異常率と人工欠陥サイズとの関係が示されている。図12(b)には、異常率平均を算出した場合の、異常率平均と人工欠陥サイズとの関係が示されている。なお、人工欠陥サイズが0beは、欠陥なしの試験体を示し、2be,4be,6be,8beは、それぞれφ0.34mm(円筒穴),φ0.68mm(円筒穴),φ1.02mm(円筒穴),φ1.35mm(円筒穴)を示し、RGeは、周方向2mm×軸方向10mm×深さ1mmの矩形溝を示す。図12(a)、(b)を比較してわかるように、異常率平均を算出する場合の方が各欠陥サイズにおいてバラツキが小さくなるので、異常率平均を異常判別に用いたほうが、判別結果が安定しやすいことが分かる。
[実施例2]
実施例2は、運転条件および測定条件については、実施例1と共通である。ただし、実施例1において求めた初期特徴量ベクトルを時系列で連続するセグメント5個(セグメントセット)単位でまとめたものを新たな初期特徴量ベクトルとして使用した。
図13は、セグメントセットごとに初期特徴量ベクトルを求めることを説明するための概念図である。測定データの時間長T1を20秒とすると、セグメントの時間長T2を0.2秒とした。そしてセグメントセットの時間長T3を2秒とした。実施例2では実施例1の5つの連続するセグメントの5つの初期特徴量ベクトルをまとめて、セグメントセットの初期特徴量ベクトルとした。
このセグメントセットの初期特徴量ベクトルの各成分について、ばらつきを示す変動係数を算出し、算出した変動係数が0.3以下の使用成分のみから構成された再構成特徴量ベクトルを作成し、実施例1と同様な手順で処理を行なった。
[比較例1]
比較例1では、特徴量として一般に診断に用いられる実効値を用いた。比較例の算出方法を以下に示す。
正常時(損傷なし)および各損傷サイズにおける鉛直方向の実効値を算出する。実効値は測定データ全体から1つの値を求める。
正常時において得られた11個の測定データのうちランダムに8個を学習データとして選択し、選択した測定データの実効値から異常判別しきい値を次式(3)で算出する。
異常判別しきい値=実効値の平均値+5×実効値の標準偏差…(3)
正常時(損傷なし)および各損傷サイズに対して得られた測定データのうち3個をテストデータとして選択し、テストデータの実効値を用いて次式(4)で異常率を算出する。正常時については異常判別しきい値を作成したデータとは別の測定データを使用する。
異常率=異常判定閾値を超えた実効値の数/テストデータの数…(4)
異常率の算出までの処理を繰り返し、各損傷サイズの異常率平均を算出する。異常率平均が0.5以上であればテストデータを異常とみなす。
[比較例2]
比較例2は、初期特徴量ベクトルをそのまま再構成特徴量ベクトルとする点を除いて、実施例1と共通である。すなわち、比較例2は、変動係数による使用成分の抽出処理を行なわない例である。
[実施例3]
実施例3は、変動係数が0.05以下の成分を使用成分として再構成特徴量ベクトルを作成するとともに、試験機の運転条件の回転速度を2000回転/分とした点を除いて、実施例2と共通である。
[実施例4]
実施例4は、試験機の運転条件の回転速度を2000回転/分とした点を除いて、実施例2と共通である。
[実施例5]
実施例5は、変動係数が0.5以下の成分を使用成分として再構成特徴量ベクトルを作成するとともに、試験機の運転条件の回転速度を2000回転/分とした点を除いて、実施例2と共通である。
[比較例3]
比較例3は、初期特徴量ベクトルをそのまま再構成特徴量ベクトルとするとともに、試験機の運転条件の回転速度を2000回転/分とした点を除いて、実施例2と共通である。すなわち、比較例3は、変動係数による使用成分の抽出処理を行なわない例である。
[評価]
図14は、実施例1、2および比較例1、2において算出された異常率平均の結果を示す。図14を参照して、比較例1では、直径1.35mmの円筒穴の欠陥があっても異常率平均が0.1未満であり、異常判別の精度が非常に低い。また、比較例2では、比較例1よりは精度が上がるものの、直径1.35mmの円筒穴の欠陥があっても異常率平均が0.5未満であり、異常判別の精度が低い。これに対し、実施例1では、直径1.35mmの円筒穴の欠陥について異常率平均が0.5を超え、異常判別の精度が比較例2に比べ向上していることがわかる。実施例2では、直径0.68mm以上の円筒穴の欠陥について異常率平均が0.8以上となり、さらに異常判別精度が向上した。
実施例2では、実施例1において求めた初期特徴量ベクトルを時系列で連続する5個のセグメント(セグメントセット)単位でまとめたものを新たな初期特徴量ベクトルとしている。そのため、実施例2の初期特徴量ベクトルの成分には、同種であるが測定タイミングが異なる複数の特徴量が含まれる。
ある特徴量に突発的なノイズが含まれる場合、実施例1では当該特徴量の変動係数がノイズによって大きくなる。そのため、当該特徴量は、再構成特徴量ベクトルの成分として使用されず、異常度の算出に用いられない。しかしながら、実施例2では、当該特徴量について、突発的なノイズが生じたタイミングに対応する成分のみが再構成特徴量ベクトルから除外され、突発的なノイズが生じていないタイミングに対応する成分は再構成特徴量ベクトルに含まれる。すなわち、ノイズに対応するタイミング以外のタイミングの特徴量が再構成特徴量ベクトルの成分として使用される。このように、実施例1では突発的なノイズを含む特徴量の全体が再構成特徴量ベクトルの成分として使用されないのに対し、実施例2では、当該特徴量について、ノイズが生じたタイミングに対応する一部のみが除外され、他のタイミングに対応する部分は再構成特徴量ベクトルに含まれる。その結果、図14に示されるように、実施例2では、正常/異常の判別に用いる特徴量の種類が増え、より精度良く正常/異常を判別することができる。
図15は、実施例3〜5と比較例3とにおいて、学習データ、テストデータを変更して、異常率平均を5回算出した結果を示す。なお、人工欠陥サイズが0beは、欠陥なしの試験体を示し、2be,4be,6be,8beは、それぞれφ0.34mm(円筒穴),φ0.68mm(円筒穴),φ1.02mm(円筒穴),φ1.35mm(円筒穴)を示し、RGeは、周方向2mm×軸方向10mm×深さ1mmの矩形溝を示す。
図15に示されるように、変動係数による特徴量の選別を行なわない比較例3では、人工欠陥サイズRGe以外の損傷について異常判別できないことがわかった。これは、一部の特徴量において、人工欠陥サイズに対する変化よりも軸受の組み替えに対する変化が大きいために、異常判別精度が低下したためであると考えられる。
これに対し、変動係数による特徴量の選別を行なった実施例3〜5では、人工欠陥サイズが4beより大きい欠陥に対して、異常判別精度が向上していることが確認された。なお、変動係数が0.05以下の成分(特徴量)を用いた実施例3では、人工欠陥サイズ6be,8beにおいて異常率平均が低下する傾向にある。これは、有効な特徴量まで除外されたためであると考えられる。変動係数が0.5以下の成分を用いた実施例5は、変動係数が0.3以下の成分を用いた実施例4と略同じ結果であったが、人工欠陥サイズ4beの異常率平均が実施例4と比べてわずかに低かった。そのため、上記の実施例3〜5の場合、抽出しきい値としては0.3が最も好ましい。このように、使用成分(使用特徴量)を選別するための抽出しきい値は、適宜設定すればよい。
以上説明したように、本発明の状態監視方法は、運転状況やノイズの影響を受ける回転機械において、測定データからより早期に異常を判別でき、状態監視システムの精度を向上できる。
[作用・効果]
本発明では運転状況やノイズの影響を受ける回転機械において、従来は判別できない微細な損傷の判別を可能とした。
本実施の形態に係る状態監視方法は、第1〜第11工程を備える。第1工程(S1)は、被試験対象物が正常である時に、被試験対象物に設置したセンサから第1時間長の複数の第1の測定データを互いに異なるタイミングで取得する。
第2工程(S1)は、被試験対象物の診断時に、第1時間長の複数の第2の測定データを互いに異なるタイミングで取得する。
第3工程(S12,S19)は、複数の第1の測定データから複数の学習データをランダムに選択する。第4工程(S32)は、複数の第2の測定データから複数のテストデータをランダムに選択する。第5工程(S13,S14)は、複数の学習データの各々を第1時間長T1よりも短い第2時間長T2毎のセグメントデータに分割し、分割後の各セグメントデータに対して算出された複数の特徴量の各々を成分とする初期特徴量ベクトル(第1の特徴量ベクトル)を作成する。第6工程(S17,S21)は、初期特徴量ベクトルの各成分に対してばらつきを示す指標値を算出し、指標値が抽出しきい値より小さい成分を使用成分として決定し、初期特徴量ベクトルから使用成分を抽出することにより再構成特徴量ベクトル(第2の特徴量ベクトル)をセグメントデータ毎に作成する。第7工程(S22)は、複数の学習データについてセグメントデータ毎に作成された複数の再構成特徴量ベクトルから、正常と異常とを分類する分類境界、および異常判別しきい値を作成する。
第8工程(S33,S34)は、複数のテストデータの各々を第2時間長毎のセグメントデータに分割し、分割後の各セグメントデータに対して算出された複数の特徴量を含む初期特徴量ベクトル(第3の特徴量ベクトル)を作成する。第9工程(S35)は、初期特徴量ベクトル(第3の特徴量ベクトル)から使用成分を抽出することにより再構成特徴量ベクトル(第4の特徴量ベクトル)をセグメントデータ毎に作成する。第10工程(S36,S46)は、第9工程で作成された再構成特徴量ベクトルに対して分類境界からの距離である異常度を算出し、複数のテストデータの各々に対して、再構成特徴量ベクトルの異常度が異常判別しきい値を超える数が再構成特徴量ベクトルの総数に対する割合である異常率を算出する。第11工程(S47〜S49)は、第3〜第8工程を繰り返し複数回実行し、得られた異常率の平均値が所定の値を超えた場合に被試験対象物を異常と判別する。
第5工程(S13,S14),第8工程(S33,S34)は、例えば一定の時間長T1で測定したデータを、回転周期、サイクルなどの時間長T2で分割し初期特徴量ベクトルを算出することにより、初期特徴量ベクトルの変化を確認することで、時間的な特徴量の変動を評価することが可能になる。
時間長T2は、回転周期や運転サイクルの整数倍とすることが望ましい。
第5工程(S13,S14),第8工程(S33,S34)における特徴量として、例えば生の測定データまたはバンドパスフィルタ後の時間領域、周波数領域、ケフレンシ領域における、実効値、最大値、波高率、尖度、歪度を例示できる。
第3工程(S12,S19)は、段取や、停止・再開を含めた長期間の出力信号から、ランダムに初期特徴量ベクトル選択することで、機械の特性の変化を考慮した正常モデルを作成することが可能になる。
第4工程(S32)は、第3工程(S12,S19)同様、段取や、停止・再開を含めた長期間のデータからランダムに初期特徴量ベクトルを選択することで、機械の特性の変化を考慮したテストデータを作成することが可能になる。
正常モデルの学習と異常判別指標、異常判別しきい値の作成に使用する手法として、SVM以外にも、ランダムフォレスト、ロジスティック回帰、決定木、ニューラルネットワークを例示できる。
第11工程(S47〜S49)は正常モデル、テストデータを変更して複数回異常率を算出し、平均化することにより運転状況が変動する機械において、誤判別を防ぐことが可能になる。
なお、状態監視に用いるセンサの出力信号は、回転機械、設備の運転状況を確認できる出力信号であれば良く、振動、音響、温度、負荷トルク、モータ電力を例示できる。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明でなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 被試験装置、20 振動センサ、100 状態監視装置、110 A/Dコンバータ、120 データ取得部、130 記憶装置、140 データ演算部、142 学習部、144 しきい値記憶部、146 異常度算出部、148 判別部、150 表示部。

Claims (4)

  1. 被試験対象物が正常である時に、前記被試験対象物に設置したセンサから第1時間長の複数の第1の測定データを互いに異なるタイミングで取得する第1工程と、
    前記被試験対象物の診断時に、前記第1時間長の複数の第2の測定データを互いに異なるタイミングで取得する第2工程と、
    前記複数の第1の測定データから複数の学習データをランダムに選択する第3工程と、
    前記複数の第2の測定データから複数のテストデータをランダムに選択する第4工程と、
    前記複数の学習データの各々を前記第1時間長よりも短い第2時間長毎のセグメントデータに分割し、分割後の各セグメントデータに対して算出された複数の特徴量の各々を成分とする第1の特徴量ベクトルを作成する第5工程と、
    前記第1の特徴量ベクトルの各成分に対してばらつきを示す指標値を算出し、前記指標値が抽出しきい値より小さい成分を使用成分として決定し、前記第1の特徴量ベクトルから前記使用成分を抽出することにより第2の特徴量ベクトルをセグメントデータ毎に作成する第6工程と、
    前記複数の学習データについてセグメントデータ毎に作成された複数の第2の特徴量ベクトルから、正常と異常とを分類する分類境界、および異常判別しきい値を作成する第7工程と、
    前記複数のテストデータの各々を前記第2時間長毎のセグメントデータに分割し、分割後の各セグメントデータに対して算出された前記複数の特徴量の各々を成分とする第3の特徴量ベクトルを作成する第8工程と、
    前記第3の特徴量ベクトルから前記使用成分を抽出することにより第4の特徴量ベクトルをセグメントデータ毎に作成する第9工程と、
    前記第4の特徴量ベクトルに対して前記分類境界からの距離である異常度を算出し、前記複数のテストデータの各々に対して、前記第4の特徴量ベクトルの異常度が前記異常判別しきい値を超える数の前記第4の特徴量ベクトルの総数に対する割合である異常率を算出する第10工程と、
    前記第3〜第10工程を繰り返し複数回実行し、得られた異常率の平均値が所定の値を超えた場合に前記被試験対象物を異常と判別する第11工程とを備える、状態監視方法。
  2. 被試験対象物が正常である時に、前記被試験対象物に設置したセンサから第1時間長の複数の第1の測定データを互いに異なるタイミングで取得する第1工程と、
    前記被試験対象物の診断時に、前記第1時間長の複数の第2の測定データを互いに異なるタイミングで取得する第2工程と、
    前記複数の第1の測定データから複数の学習データをランダムに選択する第3工程と、
    前記複数の第2の測定データから複数のテストデータをランダムに選択する第4工程と、
    前記複数の学習データの各々を前記第1時間長よりも短い第2時間長毎のセグメントデータに分割し、分割後の各セグメントデータに対して算出された複数の特徴量の各々を成分とする第1の特徴量ベクトルを作成し、連続する複数のセグメントデータの前記第1の特徴量ベクトルをまとめた第2の特徴量ベクトルを作成する第5工程と、
    前記第2の特徴量ベクトルの各成分に対してばらつきを示す指標値を算出し、前記指標値が抽出しきい値未満の成分を使用成分として決定し、前記第2の特徴量ベクトルから前記使用成分を抽出することにより第3の特徴量ベクトルを前記連続する複数のセグメントデータ毎に作成する第6工程と、
    前記複数の学習データについて前記連続する複数のセグメントデータ毎に作成された複数の前記第3の特徴量ベクトルから、正常と異常とを分類する分類境界、および異常判別しきい値を作成する第7工程と、
    前記複数のテストデータの各々を前記第2時間長毎のセグメントデータに分割し、分割後の各セグメントデータに対して算出された前記複数の特徴量の各々を成分とする第4の特徴量ベクトルを作成し、連続する複数のセグメントデータの前記第4の特徴量ベクトルをまとめた第5の特徴量ベクトルを作成する第8工程と、
    前記第5の特徴量ベクトルから前記使用成分を抽出することにより第6の特徴量ベクトルを前記連続する複数のセグメントデータ毎に作成する第9工程と、
    前記第6の特徴量ベクトルに対して前記分類境界からの距離である異常度を算出し、前記複数のテストデータの各々に対して、前記第6の特徴量ベクトルの異常度が前記異常判別しきい値を超える数の前記第6の特徴量ベクトルの総数に対する割合である異常率を算出する第10工程と、
    前記第3〜第10工程を繰り返し複数回実行し、得られた異常率の平均値が所定の値を超えた場合に前記被試験対象物を異常と判別する第11工程とを備える、状態監視方法。
  3. 前記指標値は変動係数である、請求項1または2に記載の状態監視方法。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の方法を用いて、前記被試験対象物を診断する、状態監視装置。
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