JP2018102589A - 脈波伝播速度測定装置、血圧測定装置、および脈波伝播速度測定方法 - Google Patents

脈波伝播速度測定装置、血圧測定装置、および脈波伝播速度測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】脈波伝播速度の測定に際して行う超音波測定に要する時間の短縮化を図ること。
【解決手段】動脈の血管に2次元平面波を送信し、反射波を受信する超音波ユニットと、前記反射波の受信信号を信号処理する演算処理部と、を備え、前記演算処理部は、前記反射波の受信信号に基づいて受信ビームフォーミングを行い、前記血管の長軸方向における位置が異なる第1の血管位置および第2の血管位置を選択することと、前記第1の血管位置における前記血管の第1の血管径変動タイミング、および、前記第2の血管位置における前記血管の第2の血管径変動タイミングを検出することと、前記第1の血管径変動タイミングと、前記第2の血管径変動タイミングとを用いて脈波伝播速度を測定することと、を行う脈波伝播速度測定装置である。
【選択図】図18

Description

本発明は、脈波伝播速度を測定する脈波伝播速度測定装置等に関する。
従来から、複数の超音波素子を備えた超音波ユニット(探触子)を生体表面に設置して行う超音波測定を利用し、被検体である人体の生体情報を取得する技術が知られている。その一つに、脈波伝播速度の測定がある(例えば、特許文献1を参照)。例えば、脈波伝播速度は、血管の長軸方向に沿って所定距離離れた各位置で生体表面から血管に向けて超音波を送受信し、反射波の受信信号から各位置における血管径の変動波形を得ることで測定(算出)できる。
特開2005−52424号公報
ところで、従来の超音波測定では、生体表面から走査線の方向(深さ方向)に沿って超音波ビームを送受信することで1回の走査を行い、その都度反射波の受信信号に基づき受信ビームフォーミングを行って、当該走査線に係る反射波データを生成するのが一般的であった。一方で、脈波伝播速度を精度良く測定するには、血管径を連続的に正しく算出する必要がある。血管径の正しい算出には、血管の正しい位置および直径を捉える必要があるため、血管の短軸方向に沿って超音波ビームの入射位置をずらしながら上記走査を行い、血管の短軸方向断面において血管位置を捉える必要がある。しかもこれを、血管径の連続的な正しい算出のために、拍周期よりもできるだけ短い周期で行う必要がある。しかし、従来の手法では、脈波伝播速度の測定に係る超音波測定の高速化に限界があった。
本発明は、こうした事情を鑑みてなされたものであり、脈波伝播速度の測定に際して必要な超音波測定に要する時間を短縮することができる技術の提供を目的とする。
上記課題を解決するための第1の発明は、動脈の血管に2次元平面波を送信し、反射波を受信する超音波ユニットと、前記反射波の受信信号を信号処理する演算処理部と、を備え、前記演算処理部は、前記反射波の受信信号に基づいて受信ビームフォーミングを行い、前記血管の長軸方向における位置が異なる第1の血管位置および第2の血管位置を選択することと、前記第1の血管位置における前記血管の第1の血管径変動タイミング、および、前記第2の血管位置における前記血管の第2の血管径変動タイミングを検出することと、前記第1の血管径変動タイミングと、前記第2の血管径変動タイミングとを用いて脈波伝播速度を測定することと、を行う脈波伝播速度測定装置である。
また、他の発明として、動脈の血管に2次元平面波を送信し、反射波を受信する超音波ユニットを用いた脈波伝播速度測定方法であって、前記反射波の受信信号に基づいて受信ビームフォーミングを行い、前記血管の長軸方向における位置が異なる第1の血管位置および第2の血管位置を選択することと、前記第1の血管位置における前記血管の第1の血管径変動タイミング、および、前記第2の血管位置における前記血管の第2の血管径変動タイミングを検出することと、前記第1の血管径変動タイミングと、前記第2の血管径変動タイミングとを用いて脈波伝播速度を測定することと、を含む脈波伝播速度測定方法を構成してもよい。
第1の発明によれば、動脈の血管に2次元平面波を送信し、その反射波を受信することで超音波測定が行える。1回の超音波測定で、2次元平面波の照射領域内を走行する血管の長軸方向に沿った血管部分についての反射波の受信信号を得ることができるのである。また、超音波測定を行った後、得られた反射波の受信信号に基づき受信ビームフォーミングを行って血管長軸方向の異なる位置(長軸方向位置)において血管位置を選択し、各血管位置の血管径変動タイミングから脈波伝播速度を測定することができる。これによれば、脈波伝播速度の測定に際して必要な超音波測定に要する時間を短縮することができる。
また、第2の発明として、前記選択することは、前記第1の血管位置を含む前記血管の短軸断面に係る前記受信信号について受信フォーカス処理を行って前記第1の血管位置を選択することと、前記第2の血管位置を含む前記血管の短軸断面に係る前記受信信号について受信フォーカス処理を行って前記第2の血管位置を選択することと、を含む、第1の発明の脈波伝播速度測定装置を構成してもよい。
第2の発明によれば、血管の異なる長軸方向位置において血管短軸断面に係る受信信号の受信フォーカス処理を行い、各長軸方向位置において血管位置を選択することができる。
また、第3の発明として、前記演算処理部は、前記第1の血管位置と前記第2の血管位置とから前記血管の長軸方向を特定することと、前記特定された長軸方向と直交するように前記短軸断面を設定することと、を更に行う、第2の発明の脈波伝播速度測定装置を構成してもよい。
第3の発明によれば、血管の異なる長軸方向位置において血管長軸方向と直交するように血管短軸断面を設定し、各長軸方向位置において血管位置を選択することができる。
また、第4の発明として、前記測定することは、前記第1の血管径変動タイミングと、前記第2の血管径変動タイミングと、前記特定された長軸方向に沿った前記第1の血管位置と前記第2の血管位置との間の距離と、を用いて前記脈波伝播速度を測定すること、を含む、第3の発明の脈波伝播速度測定装置を構成してもよい。
第4の発明によれば、血管の異なる長軸方向位置において選択した各血管位置の血管径変動タイミングと、血管長軸方向に沿った各血管位置間の距離とを用いて脈波伝播速度を測定することができる。
また、第5の発明として、前記選択することは、前記第1の血管位置および前記第2の血管位置を含む、前記血管の長軸方向における位置が異なる3以上の血管位置を選択することを含み、前記検出することは、前記選択した3以上の血管位置毎に血管径変動タイミングを検出することを含み、前記測定することは、前記3以上の血管位置毎の血管径変動タイミングを用いて前記脈波伝播速度を測定することを含む、第1〜第4の何れかの発明の脈波伝播速度測定装置を構成してもよい。
第5の発明によれば、血管の異なる3以上の各長軸方向位置において血管位置を選択し、選択した各血管位置の血管径変動タイミングから脈波伝播速度を測定することができる。
また、第6の発明として、前記選択することは、所定周期で血管位置を選択することで血管位置をトラッキングすることを含み、前記測定することは、一拍毎に前記脈波伝播速度の測定を行うことを含む、第1〜第5の何れかの発明の脈波伝播速度測定装置を構成してもよい。
第6の発明によれば、血管の異なる長軸方向位置で選択した各血管位置を所定周期でトラッキングすることができる。そして、トラッキング結果をもとに、各血管位置の血管径変動タイミングから脈波伝播速度を一拍毎に測定することができる。
また、第7の発明として、第1〜第6の何れかの発明の脈波伝播速度測定装置を備え、前記演算処理部は、前記第1の血管位置における血管径又は前記第2の血管位置における血管径と、前記脈波伝播速度と、所与の基準血管径と、所与の基準血圧とを用いて血圧を算出すること、を行う、血圧測定装置を構成してもよい。
第7の発明によれば、異なる長軸方向位置で選択した何れかの血管位置における血管径と、脈波伝播速度と、基準血管径と、基準血圧とを用いて血圧を算出することができる。
血圧測定装置の全体構成例を示す図。 超音波測定を簡略的に示す概略斜視図。 対象部位の模式図。 受信ビームフォーミングを説明する図。 受信ビームフォーミングを説明する他の図。 受信ビームフォーミングを説明する他の図。 受信ビームフォーミングを説明する他の図。 受信ビームフォーミングを説明する他の図。 受信ビームフォーミングを説明する他の図。 受信ビームフォーミングを説明する他の図。 受信ビームフォーミングを説明する他の図。 受信ビームフォーミングを説明する他の図。 超音波画像中の特徴点の抽出例を示す図。 血管径変動波形の一例を示す図。 脈波伝播速度の算出を説明する図。 血管長軸方向が生体表面に対して傾いた例を示す図。 血管径変動波形の他の例を示す図。 血圧測定装置の機能構成例を示すブロック図。 基準値データのデータ構成例を示す図。 血管ログデータのデータ構成例を示す図。 血圧算出装置が行う処理の流れを示すフローチャート。 血管位置選択処理の流れを示すフローチャート。 変形例における超音波測定を簡略的に示す概略斜視図。 他の変形例における超音波ユニットの構成例を示す図。
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、以下説明する実施形態によって本発明が限定されるものではなく、本発明を適用可能な形態が以下の実施形態に限定されるものでもない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付す。
[全体構成]
図1は、脈波伝播速度算出装置100である血圧測定装置1の全体構成例を示す図であり、超音波ユニット10の被検体7への取り付け状態を示している。図1に示すように、血圧測定装置1は、超音波ユニット10がケーブルを介して処理装置30と電気的に接続された構成を有する。
超音波ユニット10は、被検体7の皮膚面(生体表面)に設置されて超音波の送受信を行う(超音波測定)。この超音波ユニット10は、使用時に生体表面に接触するセンサー面側において、マトリクス状に配列された複数の超音波素子(超音波振動子)11を有する。超音波測定に先立ち、超音波ユニット10は、測定の目的に応じた被検体7の部位(対象部位)に対して粘着台座101により貼付・固定される。
粘着台座101は、生体表面に着脱可能な粘着層を有しており、被検体7が身体を動かしても容易に外れたり剥がれたりしない。この粘着台座101によって、超音波ユニット10は、その超音波素子(以下、単に「素子」ともいう)11の一方の配列方向(例えば行方向とする)が対象部位を走行する測定対象の動脈の血管(例えば頸動脈)9の長軸方向に沿う向きで、被検体7の生体表面に設置される。なお、血管9は頸動脈に限らず、例えば鎖骨下動脈や大動脈、橈骨動脈や大腿動脈等を測定対象としてもよい。
処理装置30は、一種のコンピューター制御装置であり、超音波素子11を駆動して超音波測定を制御し、測定結果に基づいて血管9の血管径をリアルタイムに算出する。そして、得られた血管径から脈波伝播速度(PWV;Pulse Wave Velocity)を測定し、血圧を測定する。超音波測定は、所定周期で繰り返し行う。この所定周期での測定単位を「フレーム」と呼び、血管径は、フレーム毎に算出する。その上で、一拍毎に脈波伝播速度PWVを測定するとともに血圧を測定し、毎拍の脈波伝播速度PWVおよび血圧Pを継続的に測定する常時測定を実現する。
[原理]
1.超音波測定
図2は、超音波ユニット10による超音波測定を簡略的に示す概略斜視図である。ここで、血管9に沿わせる素子11の行方向をy方向、素子11の列方向をx方向、これらの各方向と直交する方向(対象部位の生体表面71からの深さ方向)をz方向と定義する。
本実施形態では、処理装置30が各素子11を並列的に駆動することで、各素子11からの超音波を、その波面が生体表面71と平行な二次元平面波110として対象部位にz方向(大矢印方向)に照射する。そして、送信した超音波の反射波を各素子11で受信し、受信信号を処理装置30へ出力する。このように各素子11からの超音波を二次元平面波110として照射することによれば、対象部位の全域に一度に超音波を送信し、その反射波を受信できる。1回の二次元平面波110に係る受信信号に基づくことで、同じタイミングで、血管9の短軸方向の各位置における超音波測定を、血管9の長軸方向の各位置において行うことができる。すなわち、ある一瞬の同じタイミングにおける対象部位の血管9の状態を瞬間的かつ全体的に切り出したかのような測定結果を得ることができる。従来のようにz軸方向にビームを絞って超音波を送受信し、超音波ビームの入射位置をずらしながら対象部位内を走査する場合には、血管9全体の同タイミングの状態を得ることは非常に困難である上、走査のやり直し等が発生した場合には測定時間が長期化する。このような欠点の無い本実施形態は、従来に比べて超音波測定に要する時間を大幅に削減できると言える。
2.血管位置選択処理
処理装置30は、血管9の異なる長軸方向位置において血管位置を選択するにあたり、反射波データ生成処理と、血管径算出処理とを行う。
(1)反射波データ生成処理
反射波データ生成処理は、各素子11からの受信信号を信号処理し、被検体7の生体内構造の位置情報や経時変化等の反射波データを生成する処理である。反射波データには、いわゆるBモードの画像が少なくとも含まれるが、その他のいわゆるAモード、Mモード、カラードップラーモードの各モードの画像が含まれることとしてもよい。Aモードは、第1軸を後述する走査線の方向に沿った受信信号のサンプリング点列とし、第2軸を各サンプリング点での反射波の受信信号強度(反射波強度)として、反射波の振幅(Aモード画像)を表示するモードである。また、Bモードは、複数の走査線に係る反射波振幅(Aモード画像)を輝度値に変換することで可視化した、生体内構造の二次元の超音波画像(Bモード画像)を表示するモードである。
本実施形態では、2つ以上の長軸方向位置(y位置)において、血管長軸方向と直交する血管短軸断面(例えば図2ではxz平面)の超音波画像(対象部位のスライス像)Iをフレーム毎に生成する。各超音波画像Iには、血管9の短軸像が描出される。以下、超音波画像Iを生成する長軸方向位置を「スライス位置」といい、スライス位置を通る血管短軸断面を「スライス面」という。
図3は、超音波ユニット10が設置された対象部位73をx方向から見た模式図である。図3〜12では、理解を容易にするために素子11を極端に大きくし、スライス面を分厚く示した簡略的かつ模式的な図としている。
上記したように、超音波画像は、各素子11からの受信信号に基づき対象部位73のスライス面を画像化したものであり、スライス位置とされる2つ以上のy位置で生成される。スライス位置は適宜設定してよいが、その数が多いほど脈波伝播速度PWVを精度良く測定できる。後段の処理でスライス位置毎に血管径を算出し、各スライス位置の血管径変動に基づいて脈波伝播速度PWVを測定することから、スライス位置を増やせばその分ノイズの影響を低減できる。例えば図3では3つのスライス位置のスライス面A−1,A−2,A−3を示しており、図3に示すようにy位置を間引いて超音波画像を生成してもよいし、全てのy位置で超音波画像を生成してもよい。
超音波画像の生成に際しては、各素子11からの反射波の受信信号に基づいて受信ビームフォーミングを行う。受信ビームフォーミングは、対象部位73の各位置を焦点位置とするサンプリングを順次行い、サンプリング点毎に各素子11からの受信信号を整相加算する処理であり、公知の手法を用いることができる。サンプリング点の深さは、血管壁や血管内腔等の想定深さに基づき設定できる。
具体的な手順としては先ず、各素子11からの受信信号に遅延をかける受信フォーカス処理(整相処理)を行う。そして、受信フォーカス処理後の各素子11の受信信号を重み付き加算する。これにより、位相が同じ所望の方向(走査線の方向)からの信号のみを増幅することができ、当該走査線の方向に沿った各サンプリング点からの反射波を選択的に抽出できる。その後は、サンプリング点毎に得られた反射波強度に必要な処理を施し、超音波画像を生成する。複数の素子11が1つのチャンネルを構成して超音波の送受信を行う場合は、得られた受信信号をチャンネル毎に整相加算する。
より詳細には、受信ビームフォーミングは、スライス面の縦方向(図3の例ではz軸方向)を走査線の方向として生体表面71側からサンプリングを行い、1本ずつ走査線を生成することで行う。図4〜図9は、図3の左端のスライス位置(スライス面A−1)に係る受信ビームフォーミングを説明する図である。図4、図6および図8は、生体表面71に設置された超音波ユニット10を構成する各素子11の二次元配列を8×8の配列に簡略化して示し、図5、図7および図9は、それぞれ対象部位73のスライス面A−1を模式的に示している。
先ず、スライス面A−1の左端の走査線L−1を生成する。走査線L−1の生成には、例えば、図4中でハッチングを付した4×4の16個の各素子11からの受信信号を用いる。y方向から見ると、図5中にハッチングを付した左から4行分、x方向から見ると、図3中にハッチングを付した左から4列分の各素子11からの受信信号である。そして、これら16個の各素子11からの受信信号を整相加算して上記受信ビームフォーミングを行い、図5に示す走査線L−1を生成する。なお、1本の走査線を生成するのに用いる素子11は4×4の16個に限らず、必要な分解能等に応じて適宜設定してよい。
続いて、右隣の走査線L−2を生成する。この場合は、図6中でハッチングを付した各素子11からの受信信号を選択して用い、受信ビームフォーミングを行って図7に示す走査線L−2を生成する。そして、図9に示す右端の走査線L−nまで同様の要領で各素子11からの受信信号を選択しながら、走査線を生成していく。右端の走査線L−nは、図8中でハッチングを付した各素子11からの受信信号を用いて生成する。
その他のスライス位置についても同様に、各スライス面(図3ではスライス面A−2,A−3)の超音波画像を順次生成する。例えばスライス面A−2に係る受信ビームフォーミングでは、先ず、図10中でハッチングを付した各素子11からの受信信号を用いて当該スライス面A−2の左端の走査線を生成する。その右隣の走査線の生成には図11中でハッチングを付した各素子11からの受信信号を用いる。同様に各素子11の受信信号を選択しながら右端まで走査線を生成する。右端の走査線の生成には、図12中でハッチングを付した各素子11を用いる。
(2)血管径算出処理
血管径算出処理では、上記のように2つ以上のスライス位置で生成した各超音波画像から血管9を検出することで、スライス位置毎に血管径を算出する。血管位置の選択は、各スライス位置の超音波画像毎に該当する超音波画像中の特徴点を抽出し、抽出した特徴点を用いて各超音波画像から血管9を検出することで行う。
図13は、超音波画像中の特徴点の抽出例を示す図である。なお、理解を容易にするために図13では特徴点Bの数を減らして示しているが、実際には、図示以上の多くの特徴点が抽出される。また、血管9の輪郭を一点鎖線で示している。
特徴点Bは、周囲と比べて輝度値に変化が生じ、画像中から際立って観測できる点である。特徴点の抽出方法としては、例えば、コーナー検出法(Harris and Stephens)を用いることができる。あるいは、最小固有値法(Shi and Tomasi)やFAST特徴検出等のその他のコーナー検出法を用いてもよいし、SIFT(Scale invariant feature transform)に代表される局所特徴量やSURF(Speeded Up Robust Features)特徴量を用いて特徴点を抽出してもよい。また、走査線毎に反射波振幅(輝度値でもよい)のピークを検出し、そのピーク位置を特徴点として抽出する方法を用いてもよい。
超音波の反射波強度は媒質が変化する位置で高くなり、超音波画像(Bモード画像)において反射波強度が高い位置は、高輝度として表される。したがって、特徴点Bは、血管壁等の輝度変化が生じている部分に多く現れる。これに対し、血管9の内部では超音波はほとんど反射せず血液を透過するため、特徴点Bもほとんど現れない。つまり、血管9の位置には、血管壁に沿って略円形状に分布した特徴点Bが現れることとなる。
したがって、略円形状に分布している特徴点Bを選出することで、血管9を検出できる。具体的には、当該略円形状の中心を血管9の中心位置(血管中心)、選出した特徴点Bの各位置を血管壁の位置とし、血管中心付近を通る走査線(中心走査線)上の2つの血管壁の位置を前壁位置および後壁位置として求める。そして、中心走査線上で前壁位置と後壁位置との距離(前後壁間距離)D11を算出し、血管径とする。
また、1度前後壁の各位置を求めた後は、例えば「トラッキング」を利用し、次フレーム以降の各スライス位置で血管中心と前壁位置および後壁位置を求める。トラッキングは、対象とする反射波データ(例えばAモード画像でもよいし、Bモード画像である超音波画像でもよい)に関心領域(トラッキングポイント)を設定し、異なるフレーム間で関心領域を追跡し変位を算出する公知の処理である。本実施形態では、例えば、中心走査線とその左右所定本数の走査線を対象走査線とし、各対象走査線上の前壁位置および後壁位置のそれぞれに関心領域(トラッキングポイント)を設定する。そして、次フレームとの間で各関心領域を追跡し、その変位から次フレームにおける前壁位置と後壁位置とを求める。その後、対象走査線毎に前後壁間距離を算出し、そのうちの最大値を血管径とする。また、当該前後壁間距離が最大となった対象走査線上の前後壁間の中点を血管中心として求める。
3.脈波伝播速度測定処理
脈波伝播速度測定処理では先ず、上記のように各スライス位置でフレーム毎に算出している血管径の一拍分の時系列変化(血管径変動)を用い、脈波伝播速度PWVの測定時期とする特徴期を判定する。例えば、拡張期T、収縮期T、および重複切痕期Tの各特徴期のうちの何れか1つを測定時期とすることができる。あるいは、これら3つ全ての特徴期を測定時期としてもよい。本実施形態では、例えば収縮期Tを測定時期とする。
ここで、脈波伝播速度PWVは、少なくとも2つの血管位置(より詳細には血管の長軸方向に沿った異なる長軸方向位置)での血管径変動がわかれば測定が可能である。そのため、先ず、何れか1つのスライス位置で選択した血管位置を第1の血管位置、それとは別のスライス位置で選択した血管位置を第2の血管位置とし、第1の血管位置の血管径を第1の血管径、第2の血管位置の血管径を第2の血管径として、脈波伝播速度PWVの算出原理を説明する。
図14は、第1の血管径および第2の血管径の血管径変動波形の一例を示す図である。図14では三拍分の血管径変動波形を示しており、矢印で区切られる各区間がそれぞれ一拍分の血管径変動波形に相当する。なお、波形は、理解を容易にするために簡略化している。図14に示すように、第1の血管径および第2の血管径の一拍分の血管径変動波形には、それぞれ拡張期T、収縮期T、および重複切痕期Tの各特徴期のピークが現れる。
したがって、第1の血管径の血管径変動波形からそのピークを血管径変動タイミングとして検出することで、それらのピーク時刻を第1の血管径の拡張期T、収縮期T、および重複切痕期Tとして判定できる。同様に、第2の血管径の血管径変動波形からピーク(血管径変動タイミング)を検出すれば、それらのピーク時刻を第2の血管径の拡張期T、収縮期T、および重複切痕期Tとして判定できる。
具体的には、各スライス位置で得た血管系変動波形のそれぞれに所定の微分演算を施し、微分値が基準以上のピークであることを示すピーク条件を満たした時点(時期のこと。時相とも言う。)をピーク時刻として検出する。例えば、一次微分した速度波形からピーク時刻を検出してもよいし、二次微分した加速度波形からピーク時刻を検出してもよい。
ここで、心臓収縮に伴う圧力波は、第1の血管位置および第2の血管位置のうちの心臓に近い側の血管位置に早く到達する。第1の血管位置を心臓に近い側のスライス位置とすると、第1の血管径は、第2の血管径より拡張/収縮のタイミングが早い。よって、各々の血管位置で収縮期Tがわかれば、それらの時間差(第1の血管径の収縮期Tのピーク時刻と第2の血管径の収縮期Tのピーク時刻との時間差)と、第1の血管位置と第2の血管位置との距離とから、脈波伝播速度PWVを測定(算出)できる。第1の血管位置と第2の血管位置との距離には、例えば、各血管位置の血管中心間の距離を用いることができる。
なお、測定時期を拡張期Tとする場合は、同様の処理を第1の血管径および第2の血管径の拡張期Tの各ピーク時刻の差について行い、脈波伝播速度PWVを求めればよい。測定時期を重複切痕期Tとするのであれば、同様の処理を第1の血管径および第2の血管径の重複切痕期Tの各ピーク時刻の差について行い、脈波伝播速度PWVを求めればよい。
さて、スライス位置が3つ以上の場合は、それら3つ以上の各スライス位置で得た血管径変動波形における収縮期Tのピーク時刻を用い、脈波伝播速度PWVを算出する。図15は横軸を時刻、縦軸を血管9の長軸方向位置(y位置)として、各スライス位置について判定した収縮期Tのピーク時刻をプロットした図である。各プロットのy位置には、該当するスライス位置で求めた血管中心のy位置を用いる。そして、脈波伝播速度PWVは、例えば各プロットが表す時刻と長軸方向位置との関係を用いて最小二乗法等の近似計算を行い、求めた近似直線L11の傾きとして算出する。したがって、スライス位置の数を増やせば、個々のプロットが含むノイズ等に起因する誤差の影響を抑えて精度良く脈波伝播速度PWVを算出することができる。
4.血圧測定処理
連続した血圧Pの変化ΔPは、ブラムウェル・ヒル(Bramwell-Hill)の式に基づき、血管径Dの変化ΔDを用いた次式(1)によって表すことができる。式(1)において、ρは血液密度である。また、ΔDは、血管径Dと基準血管径D0との差を表し、ΔPは、血圧Pと基準血圧P0との差を表す。
基準血管径D0と基準血圧P0は、校正により定めることが可能である。ここでいう校正は、加圧血圧計を用いて血圧を測定し、同時に血圧測定装置1を用いて血管径を取得する等して血管径と血圧との数値関係を設定する処理(校正処理)である。比較的長期(例えば数時間程度でもよいし、数日間等であってもよい)の間血圧をモニターする等の使用態様では、上記の校正処理を、血圧常時測定の途中途中で実行することが望ましい。
血圧測定処理では、式(1)を用いて血圧Pを測定(算出)する。本実施形態では、何れか1つのスライス位置で選択した血管位置(以下、「代表血管位置」という)の収縮期Tの血管径を血管径Dとして用い、この血管径Dと、脈波伝播速度PWVと、予め収縮期T用として校正された基準血管径D0および基準血圧P0とから、式(1)に従って血圧Pを算出する。この場合に求まる血圧Pは収縮期血圧である。
なお、拡張期Tを測定時期とする場合には、代表血管位置の拡張期Tの血管径Dと、脈波伝播速度PWVと、拡張期T用に校正された基準血管径D0および基準血圧P0とを用い、血圧P(この場合拡張期血圧)を算出する。同様に、重複切痕期Tを測定時期とする場合であれば、代表血管位置の重複切痕期Tの血管径Dと、脈波伝播速度PWVと、重複切痕期T用に校正された基準血管径D0および基準血圧P0とを用い、血圧P(この場合重複切痕期血圧)を算出する。
5.スライス面の設定
ところで、以上の原理説明では、超音波画像を生成するスライス面をxz平面として例示した(図2等を参照)。しかし、実際には、対象部位73において血管9が生体表面71と平行に走行していない場合もあり、xz平面が血管長軸方向と直交しているとは限らない。そのため、単にxz平面をスライス面としてz軸方向に沿って走査線を生成するのでは、血管径の算出精度が低下する問題があった。これは、血管9が生体表面71(y方向)と平行に走行していないと、例えば図16に示すように、xz平面では血管短軸断面を正しく捉えられないためである。本例では、血管長軸方向L21と直交する面A21をスライス面として設定するとよい。
一方で、本実施形態では、対象部位73の全域に二次元平面波を照射することで超音波測定を行っており、この超音波測定の測定結果として既に得られている受信信号から、生体表面71側を起点とする任意の方向に沿って走査線を生成することが可能である。
そこで、本実施形態では、血管位置選択処理に先立ち、血管長軸方向と直交するスライス面を設定するために、先ず、血管長軸方向特定処理を行う。この血管長軸方向特定処理では先ず、xz平面をスライス面として仮設定し、2つのスライス位置(例えば左右両端のスライス位置)について反射波データ生成処理と血管径算出処理とを順次行う。そして、得られた血管中心O21,O23間を結ぶ直線を求めて血管長軸方向L21を特定する。血管長軸方向L21を特定したならば、これと直交する面A21をスライス面として設定し、血管位置選択処理に移る。なお、特定した血管長軸方向が生体表面71と平行であれば、血管長軸方向特定処理で処理した2つ以外の残りのスライス位置について血管位置選択処理を行えばよい。
6.中心走査線の更新
また、上記原理説明では、初順のフレームの血管径算出処理で特徴点抽出を行い、血管9を検出することとした。そして、血管中心付近を通る走査線を中心走査線として設定し、その後のフレームでは中心走査線を含む対象走査線を対象にトラッキングを行って、前後壁の各位置を求めることとした。
ここで、血管9は、拍動により概ね等方的に拡張および収縮を繰り返す。トラッキングを利用すれば、拍動に伴う血管壁の変位をフレーム間で追跡することができる。しかし、被検体7が動く等して体動が生じ、血管中心が中心走査線付近から外れてしまうと、トラッキングを続けても血管径を正しく算出できない問題があった。これは、体動が生じて血管9と超音波ユニット10との相対的な位置関係が変化したために、血管中心付近を通る走査線上の前後壁間距離が得られなくなったことで生じる。例えば、図5中に破線で示すように血管9が右方向にずれた場合、元の実線で示す血管9の位置に基づき設定されていた中心走査線上では血管径を正しく算出できない。また、このような血管径の算出精度低下に起因し、後段の処理において拡張期T、収縮期T、および重複切痕期Tの各特徴期を正しく判定できない事態も生じ得る。例えば、図17の例では二拍目以降で血管径変動波形の形状が崩れており、このように崩れた血管径変動波形から各特徴期のピーク時刻を正しく判定するのは難しい。
そこで、本実施形態では、トラッキングを行った対象走査線毎に前後壁間距離を算出した結果をもとに位置ずれ判定処理を行い、対象走査線のうちの左端又は右端の走査線でその値が最大となった場合、或いは、対象走査線のうちの中央の走査線以外の走査線でその値が最大となった場合に血管9の位置ずれが発生したと判定する。対象走査線のうちの中央の走査線が中心走査線であれば血管9の直径を正しく捉えられているところ、血管9の位置ずれが生じると、直径を捉える走査線が中央からずれるためである。対象走査線のうちの左端又は右端の走査線が直径を捉えた状態は、トラッキングが可能なぎりぎりの状態といえる。そして、血管9の位置ずれが発生したと判定したフレームでは、特徴点抽出を再度行って血管9を検出し、求めた血管中心付近を通る走査線を中心走査線として更新する。中心走査線を更新したら、トラッキングを再開する。
[機能構成]
図18は、血圧測定装置1の機能構成例を示すブロック図である。血圧測定装置1は、二次元アレイの超音波ユニット10と、処理装置30とを備え、処理装置30は、操作入力部31と、表示部33と、通信部35と、演算処理部37と、記憶部39とを備える。
超音波ユニット10は、超音波の送受信回路を備え、処理装置30の送受信制御部371とともに超音波測定部20を構成する。この超音波測定部20によって超音波測定が実現される。
送受信回路は、送受信制御部371から入力される送受信制御信号に従って送信モードと受信モードとを切り替えながら、複数の超音波素子(超音波振動子)11から超音波を送受信する。具体的には、送受信回路は、送信用の構成として、所定周波数のパルス信号を生成する超音波発振回路や、生成されたパルス信号を遅延させる送信遅延回路等を有して構成される。また、受信用の構成として、受信信号を増幅する増幅器やA/D変換回路等を有して構成され、処理後の各素子11の受信信号(測定結果)を演算処理部37の血管位置選択部372へ出力する。本実施形態では、各素子11から同時に超音波パルスを送信させることにより、z方向を伝搬方向とする二次元平面波を対象部位に照射する。
操作入力部31は、ユーザーによる各種操作入力を受け付け、操作入力に応じた操作入力信号を演算処理部37へ出力する。ボタンスイッチやレバースイッチ、ダイヤルスイッチ、トラックパッド、マウス等により実現される。
表示部33は、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示装置によって実現され、演算処理部37からの表示信号に基づく各種表示を行う。
通信部35は、演算処理部37の制御のもと、外部との間でデータを送受するための通信装置である。この通信部35の通信方式としては、所定の通信規格に準拠したケーブルを介して有線接続する形式や、クレイドル等と呼ばれる充電器と兼用の中間装置を介して接続する形式、無線通信を利用して無線接続する形式等、種々の方式を適用可能である。
演算処理部37は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等のマイクロプロセッサーや、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、IC(Integrated Circuit)メモリー等の電子部品によって実現される。そして、演算処理部37は、各機能部との間でデータの入出力制御を行い、所定のプログラムやデータ、操作入力部31からの操作入力信号、超音波ユニット10からの各素子11の受信信号等に基づき各種の演算処理を実行して、被検体7の生体情報を取得する。
この演算処理部37は、送受信制御部371と、血管位置選択部372と、特徴期判定部377と、心拍判定部378と、脈波伝播速度算出部379と、血圧算出部380と、計時部381とを含む。なお、これらの各部は、演算処理部37が記憶部39から血圧測定プログラム391を読み出して実行することによりソフトウェア的に実現されるものとして説明するが、各部専用の電子回路を構成してハードウェア的に実現することも可能である。
送受信制御部371は、超音波ユニット10による超音波の送受信を制御する。この送受信制御部371は、超音波ユニット10に対して送受信制御信号を出力し、送信モードと受信モードとを切り替える制御等を行う。
血管位置選択部372は、血管9の異なる長軸方向位置において血管位置を選択する。この血管位置選択部372は、反射波データ生成部373と、トラッキング部374と、血管径算出部375と、スライス面設定部376とを備える。
反射波データ生成部373は、送受信制御部371から入力される各素子11の受信信号に基づいて受信ビームフォーミングを行い、反射波データ394を生成する。本実施形態では、2つ以上のスライス位置においてスライス面内の走査線を生成し、超音波画像(Bモード画像)を生成する。
トラッキング部374は、反射波データ394を参照して超音波測定のフレーム間でトラッキングポイントを追跡し、その変位を算出するトラッキングを行う。いわゆる「エコートラッキング」や「位相差トラッキング」等の機能が実現される。
血管径算出部375は、各スライス位置の超音波画像から特徴点を抽出し、血管9の血管中心や前後壁の各位置を求める。また、トラッキング部374によるトラッキング結果に基づいて、スライス位置毎に血管中心および前後壁の各位置を追跡する。そして、フレーム毎に前後壁間距離を求めて血管径を連続的に算出する。この連続的な血管径算出によって、スライス位置毎に血管径変動波形が得られることになる。
スライス面設定部376は、血管長軸方向と直交するように各スライス位置にスライス面を設定する。
特徴期判定部377は、各スライス位置で得た血管径変動波形をもとに、スライス位置毎に拡張期T、収縮期T、および重複切痕期Tの各特徴期を判定する。
心拍判定部378は、特徴期判定部377の判定結果に従い、例えば何れか1つのスライス位置で得た血管変動波形に基づいて心拍一拍の区切りを判定する。この心拍判定部378は、心拍数を算出する機能を含むとしてもよい。
脈波伝播速度算出部379は、各スライス位置で判定した測定時期(例えば収縮期T)のピーク時刻に基づいて、脈波伝播速度PWVを一拍毎に算出する。
血圧算出部380は、例えば代表血管位置の収縮期Tの血管径Dと、脈波伝播速度PWVと、収縮期用の基準血管径D0および基準血圧P0とから式(1)に従って血圧Pを算出する。
計時部381は、測定時刻の計時を行う。計時方法は適宜選択可能であるが、例えばシステムクロックを利用することができる。
記憶部39は、ICメモリーやハードディスク、光学ディスク等の記憶媒体により実現され、各種プログラムや、演算処理部37の演算過程のデータ等の各種データを記憶する。なお、演算処理部37と記憶部39とを別体とし、LAN(Local Area Network)やインターネット等の通信回線を介して通信接続する構成で実現してもよい。例えばその場合、記憶部39は、インターネットに接続されたサーバーの記憶装置として実現することも可能である。
この記憶部39は、血圧測定プログラム391と、基準値データ392と、受信信号データ393と、反射波データ394と、トラッキングデータ395と、血管位置データ396と、血管径ログデータ397と、PWVログデータ398と、血圧ログデータ399とを記憶する。勿論、これら以外にも、各種判定用のフラグや、計時用のカウンター値等を適宜記憶することができる。
血圧測定プログラム391は、演算処理部37が実行することにより、送受信制御部371、血管位置選択部372、特徴期判定部377、心拍判定部378、脈波伝播速度算出部379、血圧算出部380、計時部381等の機能を実現する。なお、これらの機能部を電子回路等のハードウェアで実現する場合には、当該機能を実現させるためのプログラムの一部を省略することができる。
基準値データ392は、拡張期T、収縮期T、および重複切痕期Tの特徴期用の基準血管径D0および基準血圧P0を記憶する。具体的には、図19に示すように、各特徴期用の基準血管径D0,D0,D0と、各特徴期用の基準血圧P0,P0,P0とを記憶する。
受信信号データ393は、超音波測定の結果得られた各素子11からの受信信号をフレーム毎に記憶する。
反射波データ394は、各素子11からの受信信号に基づきフレーム毎に生成した反射波データを記憶する。この反射波データ394は、各スライス位置の超音波画像(Bモード画像)のデータを含む。
トラッキングデータ395は、トラッキング部374によるトラッキング結果のデータであり、各スライス位置においてトラッキングポイントとされ、トラッキングされたフレーム間の前壁位置および後壁位置の変位をスライス位置毎に記憶する。
血管位置データ396は、血管位置選択部372による血管位置の選択結果のデータであり、各スライス位置で血管位置を選択して求めた血管中心や前後壁の各位置、中心走査線の設定等をフレーム毎に記憶する。
血管径ログデータ397は、測定開始から終了までフレーム毎に連続的に算出される血管径に係る各種データを記憶する。具体的には、図20に示すように、フレーム毎の測定時刻と対応付けて、当該時刻における拍動を識別するための拍動番号(例えば、測定開始から何回目の拍動であるかを示す値)と、その時にスライス位置毎に算出された血管径とを記憶する。拍動番号は、心拍判定部378による心拍の判定に基づいて設定される。勿論、これら以外のデータも適宜記憶することができる。図20においては、測定時刻が「t001」「t002」「t003」「t004」と徐々に経過しているが、拍動番号が何れも「1」となっているため、同一の拍動に係るデータであることを示している。この血管径ログデータ397においてスライス位置毎の血管径を時系列に見ることで、血管径変動波形が得られる。
PWVログデータ398は、一拍毎に算出される脈波伝播速度PWVを、拍動番号と対応付けて記憶する。また、血圧ログデータ399は、一拍毎に算出される測定時期(収縮期T)の血圧(この場合毎拍の収縮期血圧)を、拍動番号と対応付けて記憶する。
[処理の流れ]
図21は、血圧測定装置1が行う処理の流れを示すフローチャートである。ここで説明する処理は、演算処理部37が記憶部39から血圧測定プログラム391を読み出して実行し、血圧測定装置1の各部を動作させることで実現される。測定に先立ち、超音波ユニット10が被検体7の生体表面に設置される。
先ず、超音波測定部20が、超音波ユニット10を用いた超音波測定を開始する(ステップS1)。ここで開始される超音波測定はフレーム毎に行われ、受信信号データ393へ測定結果(反射波の受信信号)が格納されていく。
続いて、血管長軸方向特定処理を行う(ステップS3)。血管長軸方向特定処理では先ず、反射波データ生成部373が、スライス位置のうちの2つを対象にxz平面をスライス面として反射波データ生成処理を行う。続いて血管径算出部375が、当該2つのスライス位置について血管径算出処理を行う。そして、各スライス位置で求めた血管中心間を結ぶ直線の傾きを、血管長軸方向として特定する。
血管長軸方向を特定したならば、続いてスライス面設定部376が、血管長軸方向と直交するように各スライス位置にスライス面を設定する(ステップS5)。
その後、血管位置選択部372が、血管位置選択処理を開始する(ステップS7)。ここで開始される処理により各スライス位置において血管位置がフレーム毎に選択され、当該血管位置の血管径が血管径ログデータ397へ格納されていく。
また、心拍判定部378が、心拍の判定を開始する(ステップS9)。判定した心拍一拍の識別情報は、測定開始からの拍動番号として設定される。
続いて、特徴期判定部377が、血管径ログデータ397を参照し、各スライス位置で得た血管径変動波形からピーク時刻を検出して拡張期T、収縮期T、および重複切痕期Tの各特徴期を判定する(ステップS11)。
続いて、脈波伝播速度算出部379が、各スライス位置について判定した収縮期Tのピーク時刻をもとに、脈波伝播速度PWVを算出する(ステップS13)。
そして、血圧算出部380が、式(1)に従い、収縮期Tの血管径Dと、脈波伝播速度PWVと、収縮期用の基準血管径D0および基準血圧P0とから血圧Pを算出する(ステップS15)。
その後は、血圧測定を終了しない間(ステップS17:NO)は、ステップS11〜S15の処理を一拍毎に繰り返し実行する。
次に、ステップS7で開始される血管位置選択処理について説明する。図22は、血管位置選択処理の流れを示すフローチャートであり、血管位置選択部372は、図22に示す処理をスライス位置毎に行う。すなわち先ず、反射波データ生成部373が、反射波データ生成処理を開始する(ステップS711)。ここで開始される処理により該当するスライス位置においてスライス面の超音波画像がフレーム毎に生成され、その画像データが反射波データ394へ格納されていく。
続いて、血管径算出部375が、現フレームの超音波画像から特徴点を抽出し、血管9を検出する(ステップS713)。ここでの処理により、血管中心および前後壁の各位置が求まる。その後、血管径算出部375は、求めた血管中心および前後壁の各位置から血管径を算出する(ステップS715)。
続いて、血管径算出部375は、血管中心付近を通る走査線を中心走査線として設定する(ステップS717)。その後、次フレームの超音波画像が生成されるのを待ってから、次フレームにおける血管中心および前後壁の各位置を追跡して血管径を算出する(ステップS719)。ここでの処理に先立ち、トラッキング部374が、ステップS713で算出した前壁位置および後壁位置をトラッキングポイントとして、トラッキングを開始する。
続いて、血管径算出部375は、位置ずれ判定処理を行う(ステップS721)。そして、血管9の位置ずれが発生したと判定した場合は(ステップS723:YES)、現在のフレームについてステップS713〜ステップS717の処理を行うことで中心走査線を更新する。一方、血管9の位置ずれが発生しておらず(ステップS723:NO)、血圧測定も終了しない間(ステップS725:NO)は、ステップS719およびステップS721の処理を繰り返し実行し、血管9の位置ずれを監視しながらフレーム毎に血管径を算出する。
以上説明したように、本実施形態によれば、複数のスライス位置において高いフレームレートで血管径を算出し、その血管径変動波形から脈波伝播速度PWVを精度よく測定することができる。また、測定した脈波伝播速度PWVを用いて毎拍の血圧を測定することができる。
なお、上記した実施形態では、1回の超音波測定で対象部位73の全域をカバーする二次元平面波を一度に照射する例を挙げた(図2を参照)。これに対し、超音波素子11を選択的に用いて超音波を送受信することで対象部位に対して部分的に二次元平面波を照射し、その照射範囲を変えながら各フレームで超音波測定を複数回行う構成でもよい。例えば、図23に例示するように、2回に分けて対象部位73に二次元平面波110a,110bを順次照射するとしてもよい。この場合、フレームレートは1/2になるが、1回の超音波測定で使用する送受信回路の回路規模を少なくできる。
あるいは、図24に例示するように、各々が複数の超音波素子11を配列して備えた二次元アレイの超音波ユニット10a,10bを血管長軸方向に沿って複数(例えば2つ)設置し、各超音波ユニット10a,10bによって血管9の異なる長軸方向位置に超音波を送受信するようにしてもよい。本変形例の場合は、各超音波ユニット10a,10bの各々が対象部位に対して同時に二次元平面波を照射し、並行して超音波測定を行うことができる。
100…脈波伝播速度算出装置、1…血圧測定装置、10…超音波ユニット、11…超音波素子、20…超音波測定部、30…処理装置、31…操作入力部、33…表示部、35…通信部、37…演算処理部、371…送受信制御部、372…血管位置選択部、373…反射波データ生成部、374…トラッキング部、375…血管径算出部、376…スライス面設定部、377…特徴期判定部、378…心拍判定部、379…脈波伝播速度算出部、380…血圧算出部、381…計時部、39…記憶部、391…血圧測定プログラム、392…基準値データ、393…受信信号データ、394…反射波データ、395…トラッキングデータ、396…血管位置データ、397…血管径ログデータ、398…PWVログデータ、399…血圧ログデータ、7…被検体、9…血管

Claims (8)

  1. 動脈の血管に2次元平面波を送信し、反射波を受信する超音波ユニットと、
    前記反射波の受信信号を信号処理する演算処理部と、
    を備え、
    前記演算処理部は、
    前記反射波の受信信号に基づいて受信ビームフォーミングを行い、前記血管の長軸方向における位置が異なる第1の血管位置および第2の血管位置を選択することと、
    前記第1の血管位置における前記血管の第1の血管径変動タイミング、および、前記第2の血管位置における前記血管の第2の血管径変動タイミングを検出することと、
    前記第1の血管径変動タイミングと、前記第2の血管径変動タイミングとを用いて脈波伝播速度を測定することと、
    を行う脈波伝播速度測定装置。
  2. 前記選択することは、
    前記第1の血管位置を含む前記血管の短軸断面に係る前記受信信号について受信フォーカス処理を行って前記第1の血管位置を選択することと、
    前記第2の血管位置を含む前記血管の短軸断面に係る前記受信信号について受信フォーカス処理を行って前記第2の血管位置を選択することと、
    を含む、請求項1に記載の脈波伝播速度測定装置。
  3. 前記演算処理部は、
    前記第1の血管位置と前記第2の血管位置とから前記血管の長軸方向を特定することと、
    前記特定された長軸方向と直交するように前記短軸断面を設定することと、
    を更に行う、請求項2に記載の脈波伝播速度測定装置。
  4. 前記測定することは、
    前記第1の血管径変動タイミングと、前記第2の血管径変動タイミングと、前記特定された長軸方向に沿った前記第1の血管位置と前記第2の血管位置との間の距離と、を用いて前記脈波伝播速度を測定すること、
    を含む、請求項3に記載の脈波伝播速度測定装置。
  5. 前記選択することは、前記第1の血管位置および前記第2の血管位置を含む、前記血管の長軸方向における位置が異なる3以上の血管位置を選択することを含み、
    前記検出することは、前記選択した3以上の血管位置毎に血管径変動タイミングを検出することを含み、
    前記測定することは、前記3以上の血管位置毎の血管径変動タイミングを用いて前記脈波伝播速度を測定することを含む、
    請求項1〜4の何れか一項に記載の脈波伝播速度測定装置。
  6. 前記選択することは、所定周期で血管位置を選択することで血管位置をトラッキングすることを含み、
    前記測定することは、一拍毎に前記脈波伝播速度の測定を行うことを含む、
    請求項1〜5の何れか一項に記載の脈波伝播速度測定装置。
  7. 請求項1〜6の何れか一項に記載の脈波伝播速度測定装置を備え、
    前記演算処理部は、前記第1の血管位置における血管径又は前記第2の血管位置における血管径と、前記脈波伝播速度と、所与の基準血管径と、所与の基準血圧とを用いて血圧を算出すること、を行う、
    血圧測定装置。
  8. 動脈の血管に2次元平面波を送信し、反射波を受信する超音波ユニットを用いた脈波伝播速度測定方法であって、
    前記反射波の受信信号に基づいて受信ビームフォーミングを行い、前記血管の長軸方向における位置が異なる第1の血管位置および第2の血管位置を選択することと、
    前記第1の血管位置における前記血管の第1の血管径変動タイミング、および、前記第2の血管位置における前記血管の第2の血管径変動タイミングを検出することと、
    前記第1の血管径変動タイミングと、前記第2の血管径変動タイミングとを用いて脈波伝播速度を測定することと、
    を含む脈波伝播速度測定方法。
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