JP2018099729A - 缶の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
耐圧強度が低くなると、内容物が封入された缶の内圧の作用(上昇)により、缶底のうち、缶軸方向に沿う開口端部から缶底側へ向けて突出する環状凸部が変形する、いわゆるボトムグロースが発生する。
すなわち、ボトル缶ではキャップにより内容物を密封するが、ボトムリフォーム加工によって缶胴の開口端部の高さが変化して、密封状態が不安定になるおそれがあった。またボトル缶に限らず、例えばボトル缶以外のDI缶等においても、ボトムリフォーム加工により缶胴の開口端部の高さが変化すると、この開口端部に缶蓋等を取り付けたときに、缶の密封状態が不安定になるおそれがあった。
また、上記缶の製造方法において、前記ボトムリフォーム工程を、前記ネッキング工程よりも後に行うこととしてもよい。
また、上記缶の製造方法において、前記ボトムリフォーム工程を、前記ネッキング工程と同時に行うこととしてもよい。
以下、本発明の第1実施形態に係るボトル缶(缶)Bの製造方法及びボトル缶製造装置(缶製造装置)1について、図1〜図16を参照して説明する。なお、本発明の実施形態の説明に用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために、要部となる部分を拡大したり抜粋したりして示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際のものと同じであるとは限らない。
図1及び図2に示されるように、ボトル缶Bは、板材打ち抜き工程S01、カッピング工程(絞り工程)S02、DI工程(絞りしごき工程)S03、トリミング工程S04、印刷・塗装(缶外面)工程S05、塗装(缶内面)工程S06、ネッキング工程S07、トリミング工程S08、ボトムリフォーム工程S09、ねじ成形工程S10、最終ネッキング工程S11、最終トリミング工程(トリミング工程)S12、カール工程S13及びスロットル工程S14を経て、製缶される。
カッピング工程(絞り工程)S02では、ブランクW0をカッピングプレスによって絞り加工(カッピング加工)して、図2(b)に示されるようなカップ状体W1に成形する。
以下の説明では、缶胴51と缶底52とを備えた中間成形体の缶W2〜W5が登場するが、これらの中間成形体の缶(ボトル缶Bに成形される前の缶)を、本実施形態では単に缶Wという場合がある。
また必要に応じて、複数種類のダイ加工同士の間において、回転加工ツールのトリミング加工ツールを用いて、高さが不揃いとなった開口端部51aのトリミング加工を行う(トリミング工程S08)。
これにより、図2(f)に示されるように、缶胴51に口金部53及びネック部54を備えた缶(ボトル缶)W5が成形される。
また、口金部53に、複数種類のダイ加工ツールを用いて最終ネッキング加工を施し(最終ネッキング工程S11)、回転加工ツールのトリミング加工ツールを用いて最終トリミング加工を施す(最終トリミング工程S12)。つまり、複数のトリミング工程S04、S08及びS12のうち、最後のトリミング工程S12において、缶胴51の開口端部51aにトリミング加工を施す。
これにより、図2(g)に示されるようなボトル缶Bが製缶される。ボトル缶Bには、スロットル工程S14よりも後工程において飲料等の内容物が充填され、口金部53にキャップが螺着される。
図4及び図5において、本実施形態のボトル缶製造装置1は、ワークである有底筒状の缶(中間成形体の缶)Wに対して、ダイ加工及び回転加工を含む種々の成形加工を施すことにより所期する形状のボトル缶Bを製造する、いわゆるボトルネッカーである。
テーブル軸TAに沿う方向(テーブル軸TAが延在する方向)をテーブル軸TA方向という。
また、テーブル軸TAに直交する方向をテーブル径方向という。テーブル径方向のうち、テーブル軸TAから離間する方向をテーブル径方向の外側といい、テーブル軸TAに接近する方向をテーブル径方向の内側という。
また、テーブル軸TA回りに周回する方向をテーブル周方向という。テーブル周方向のうち、加工テーブル2に対して保持テーブル3が間欠回転させられる向きを、保持テーブル回転方向R1といい、これとは反対の回転方向を、保持テーブル回転方向R1とは反対側という。
また、チャック7の中心軸Oに直交する方向をチャック径方向という。チャック径方向のうち、中心軸Oから離間する方向をチャック径方向の外側といい、中心軸Oに接近する方向をチャック径方向の内側という。チャック径方向は、チャック7に保持された缶Wの缶軸に直交する方向である缶径方向と、同一の方向である。
また、チャック7の中心軸O回りに周回する方向をチャック周方向という。チャック周方向は、チャック7に保持された缶Wの缶軸回りに周回する方向である缶周方向と、同一の方向である。
この動作が繰り返されることにより、保持テーブル3が保持する缶Wに対して、加工テーブル2に設けられた複数の加工ツール6によって順次加工が施されていき、一連の加工が終了した時点で、所期する形状を有するボトル缶Bが製造されるようになっている。
また、加工テーブル2の加工ツール6の加工ツール軸(中心軸)と、保持テーブル3において前記加工ツール6に対向するチャック7の中心軸O及び該チャック7が保持する缶Wの缶軸とは、互いに同軸に配置される。そして、缶Wの缶軸と加工ツール軸とが略一致した状態で、缶Wに対して加工ツール6による加工が施される。
クランク機構8は、駆動モータから駆動軸に入力された該駆動軸の中心軸回りの回転運動を、テーブル軸TA方向の直線運動に変換して軸部5に出力する。
駆動軸の中心軸回りのクランク角度全体(0〜360°)の中には、停留角(dwell period)の範囲と、割付角(index period)の範囲と、が含まれる。停留角の範囲における中心角の大きさと、割付角の範囲における中心角の大きさとの和は、360°である。
具体的に、図13及び図16において、クランク角度が割付角である場合には、保持テーブル3が回転し、クランク角度が停留角である場合には、保持テーブル3が停止する。
排出ホイール11は、ディスチャージホイールと呼ばれ、略円柱状をなしている。排出ホイール11は、ボトル缶製造装置1により加工が施された缶W(ボトル缶B)を保持テーブル3から受け取り、搬送手段16に受け渡す(排出する)。搬送手段16は、ボトル缶Bをボトル缶製造装置1の外部(後工程)へ向けて搬送する。
排出ホイール11は、その中心軸(ホイール軸)DAをテーブル軸TAと平行に配置して装置本体4に支持されている。排出ホイール11は、ホイール軸DA回りのうちホイール回転方向R3に回転させられる。
供給ホイール10及び排出ホイール11の各外周面には、特に図示していないが、缶Wの缶胴51を保持可能な凹状のポケットが周方向に互いに間隔をあけて複数形成されている。
供給ホイール10と排出ホイール11とは、不図示のギヤ等により機械的に連結されており、互いに同期して各ホイール軸SA、DA回りに間欠回転する。
また、保持テーブル3のチャック7に保持された缶Wが、加工テーブル2のストローク毎に保持テーブル回転方向R1に移送されていき、すべての加工を終えて排出ホイール11のポケットに対応する位置(ポケットの直下)に配置されたときに、後述する缶排出機構14が、この缶W(すべての加工が施された製品のボトル缶B)を排出ホイール11側へ向けて押し出すとともに、該ボトル缶Bがチャック7からポケットへと受け渡され、ポケットに保持される。
ポケットに保持されたボトル缶Bは、排出ホイール11の間欠回転にともなってホイール軸DA回りに移送されていき、該ポケットから解放された後、搬送手段16により搬送され、ボトル缶製造装置1の外部へと移送される。
図5に示されるようにテーブル軸TA方向から見て、ボトムリフォーム機構13は、加工テーブル2に設けられた複数の加工ツール6のうち、所定のダイ加工ツールに対向するチャック7Aに対応する位置に配置されている。すなわち、テーブル軸TA方向から見て、ボトムリフォーム機構13は、ダイ加工ツールに対向するチャック7Aと重なる位置に配置される。また、ボトムリフォーム機構13の後述する中心軸C2と、チャック7Aの中心軸Oとが、互いに略一致している(これらの中心軸C2、Oが同軸に配置されている)。
つまり、ボトル缶製造装置1をテーブル軸TA方向から見て、装置本体4に設けられたボトムリフォーム機構13は、加工テーブル2にテーブル周方向に沿って配列する複数の加工ツール6のうち、最終トリミング加工ツール及びねじ成形加工ツールよりも保持テーブル回転方向R1とは反対側(缶Wへの加工順の上流側)に配置されている。
なお、筒体29、回転昇降軸30及びロータリーボールスプライン32の各中心軸は、互いに一致しており、この共通軸を図中に符号C2で示す。この中心軸C2は、チャック7の中心軸Oと同軸である。また、昇降用モータ25、回転用モータ33及び押圧用モータ35は、例えば、サーボモータやステッピングモータ等である。
第1移動手段21により、押圧部20は、保持テーブル3の貫通孔18内及びチャック7の挿通孔19内を通して、該チャック7が保持する缶Wの缶底52に対して中心軸O方向に接近移動及び離間移動可能である。
第2移動手段22により、押圧部20は、チャック7が保持する缶Wの缶底52に対して、チャック径方向に接近移動及び離間移動可能である。
第3移動手段23により、押圧部20は、チャック7が保持する缶Wの缶底52に対して、チャック周方向に回転移動可能である。
図13において、クランク角度が停留角の範囲となったときに、保持テーブル3のテーブル周方向への回転動作が停止する。保持テーブル3が停留した状態において、まず、第1移動手段21により、チャック7が保持する缶Wの缶底52へ向けて押圧部20が中心軸O方向に接近移動される。
図9及び図10に示されるように、押圧部20が中心軸O方向の上昇端に達すると制御部は昇降用モータ25のモータ軸の回転を停止し、押圧部20は缶Wの缶底52に接近配置された状態に維持される。
具体的には、図9及び図10に示されるように、押圧部20の中心軸C1がチャック7の中心軸Oと同軸に配置された状態から、制御部によって押圧用モータ35が動作しそのモータ軸が回転して、該モータ軸に対して偏心したカムローラを有する押圧用カム36、押圧用カム36により中心軸O方向に往復移動させられる回転昇降軸30、及びリンク部31の作用により、押圧部20がチャック径方向の外側へ向けて移動する。これにより缶底52の環状凸部56の内周壁57が、押圧部20の外周縁部(鍔部)に押圧されて、該内周壁57には缶径方向の外側へ向けて窪む凹部60が成形される(図3を参照)。
図11及び図12に示されるように、押圧部20がチャック径方向の外端に達すると制御部は押圧用モータ35のモータ軸の回転を停止し、押圧部20は缶底52の環状凸部56に押圧された状態のまま維持される。
具体的には、図11及び図12に示されるように、押圧部20が環状凸部56の内周壁57に押圧された状態のまま、制御部によって回転用モータ33が動作しそのモータ軸が回転して、該モータ軸にプーリ及びタイミングベルト34を介して連結されるロータリーボールスプライン32、ロータリーボールスプライン32に対して中心軸O回りの回転が規制された回転昇降軸30、及び回転昇降軸30に対して中心軸O回りの回転が規制されたリンク部31の作用により、押圧部20がチャック周方向に回転移動する。これにより缶底52の環状凸部56の内周壁57が、この内周壁57上を転動する押圧部20の外周縁部(鍔部)に押圧されて、該内周壁57には缶周方向の全周にわたって延びるリング状の凹部60が成形される。このようにして、缶Wの缶底52にボトムリフォーム加工が施される。
押圧部20が環状凸部56の内周壁57上を缶周方向の全周にわたって転動した後、制御部は回転用モータ33のモータ軸の回転を停止し、押圧部20のチャック周方向への回転移動が停止される。
上述したボトムリフォーム機構13の動作はすべて、保持テーブル3が停留している間に行われる。
図5に示されるようにテーブル軸TA方向から見て、缶排出機構14は、排出ホイール11のポケットに対向するチャック7に対応する位置に配置されている。すなわち、テーブル軸TA方向から見て、缶排出機構14は、排出ホイール11のポケットに対向するチャック7と重なる位置に配置される。また、缶排出機構14の後述する中心軸C3と、チャック7の中心軸Oとが、互いに略一致している(これらの中心軸C3、Oが同軸に配置されている)。
また、排出手段43は、押出し部40をチャック7の中心軸O方向に移動させる第1昇降部41と、第1昇降部41よりも遅い速度で押出し部40をチャック7の中心軸O方向に移動させる第2昇降部42と、を備えている。つまり、第1昇降部41が押出し部40を中心軸O方向に移動させる単位時間あたりの移動量(中心軸O方向に押出し部40を移動させる速度)は、第2昇降部42が押出し部40を中心軸O方向に移動させる単位時間あたりの移動量よりも大きく設定されている。言い換えると、第1昇降部41が押出し部40を中心軸O方向に移動させる単位時間あたりの移動量に対して、第2昇降部42が押出し部40を中心軸O方向に移動させる単位時間あたりの移動量が、小さく設定されている。
なお、押出し部40、筒体48、ボールスプライン61及びピストンロッド50の各中心軸は、互いに一致しており、この共通軸を図中に符号C3で示す。この中心軸C3は、チャック7の中心軸Oと同軸である。また、昇降用シリンダ45及び排出用シリンダ49は、例えば、エアシリンダ等である。
第1昇降部41により、押出し部40は、保持テーブル3の貫通孔18内及びチャック7の挿通孔19内を通して、該チャック7が保持する缶Wの缶底52に対して中心軸O方向に接近移動及び離間移動可能である。
また、図14において符号S1で示されるものは、第1昇降部41による押出し部40の中心軸O方向のストロークである。第1昇降部41により押出し部40が上昇させられた上昇端において、押出し部40の先端面は、缶Wの缶底52のドーム部55に接近配置又は当接される。
第2昇降部42により、押出し部40は、チャック7が保持する缶Wの缶底52を中心軸O方向の開口端部51a側へ向けて押し出し可能であり、またこの押し出し方向とは反対側へ向けて後退可能である。押出し部40が缶底52を押し出すことで、チャック7に保持された缶Wが該チャック7から離脱させられるとともに、排出ホイール11のポケットに受け渡される。
また、図14において符号S2で示されるものは、第2昇降部42による押出し部40の中心軸O方向のストロークである。第2昇降部42のストロークS2は、第1昇降部41のストロークS1よりも小さく設定されている。
図16において、クランク角度が停留角の範囲となったときに、保持テーブル3のテーブル周方向への回転動作が停止する。保持テーブル3が停留した状態において、まず、第1昇降部41により、チャック7が保持する缶Wの缶底52へ向けて押出し部40が中心軸O方向に接近移動される。
第1昇降部41のストロークS1に応じて、押出し部40が中心軸O方向の上昇端に達すると、制御部は昇降用シリンダ45のピストンロッド46をその上昇端位置に維持する。
具体的には、図14に2点鎖線で示されるように、第1昇降部41によって押出し部40が缶底52に接近配置又は当接された状態から、制御部によって排出用シリンダ49が動作しそのピストンロッド50が中心軸O方向に沿って缶Wの開口端部51a側(つまり加工テーブル2側)へ向けて前進移動(上昇)し、これにともなって、押出し部40が中心軸O方向の開口端部51a側へ向けて前進移動する。
第2昇降部42のストロークS2に応じて、押出し部40が中心軸O方向の上昇端に達し、チャック7から缶Wが排出された後は、上述とは逆の手順で、第2昇降部42により、押出し部40が中心軸O方向に後退移動(下降)する。また、第1昇降部41により、押出し部40が中心軸O方向に後退移動する。
上述した缶排出機構14の動作はすべて、保持テーブル3が停留している間に行われる。
すなわちこの場合、ボトムリフォーム加工がねじ成形加工よりも前工程で行われるので、ねじ成形加工後の缶Wの口金部53の雄ねじ部における缶軸方向の高さ精度が安定して確保される。つまり、ねじ成形加工後の缶Wにおける缶底52から口金部53の雄ねじ部までの缶軸方向の高さの精度が確保される。また、ねじ成形加工後の缶Wの口金部53の雄ねじ部から開口端部51aまでの缶軸方向の長さ(キャップが螺着する雄ねじ部の高さ)の精度が安定して確保される。従って、ボトル缶Bの口金部53へのキャップの装着状態が良好に維持される。
次に、本発明の第2実施形態に係るボトル缶(缶)Bの製造方法について、図17を参照して説明する。
なお、前述の実施形態と同じ構成要素については詳細な説明を省略し、主として異なる点についてのみ、下記に説明する。
つまり本実施形態では、ボトル缶製造装置1をテーブル軸TA方向から見て(図5を参照)、装置本体4に設けられたボトムリフォーム機構13は、加工テーブル2にテーブル周方向に沿って配列する複数の加工ツール6のうち、最終トリミング加工ツール(チャック7Bに対向する位置)よりも保持テーブル回転方向R1とは反対側(缶Wへの加工順の上流側)に配置され、かつ、ねじ成形加工ツール(チャック7Cに対向する位置)よりは保持テーブル回転方向R1(缶Wへの加工順の下流側)に配置される。
なお、本実施形態において、ボトムリフォーム工程S21を、最終ネッキング工程S20と同時に行うこととしてもよい。具体的には、ボトムリフォーム工程S21におけるボトムリフォーム加工が、最終ネッキング工程S20における複数のダイ加工のうち所定のダイ加工(例えばステップS20における最後のダイ加工)と同じタイミングで行われることとしてもよい。
次に、本発明の第3実施形態に係るボトル缶(缶)Bの製造方法について、図18〜図20を参照して説明する。
なお、前述の実施形態と同じ構成要素については詳細な説明を省略し、主として異なる点についてのみ、下記に説明する。
なお、ボトム支持部材78及びトップ支持部材76の各中心軸は、ボトムリフォーム加工する缶Wの缶軸に同軸に配置されている。また、缶Wの缶軸は後述するスピンドル軸Cと同軸に配置されている。
内嵌部90は、円柱状をなしており、缶Wの開口端部51aの内径と同等又はそれよりも小さな外径を有している。内嵌部90は、案内部92と、嵌合部93と、を備える。案内部92は、内嵌部90のうちトップ支持部材76の中心軸方向に沿うボトム支持部材78側の端部に配置され、ボトム支持部材78側へ向かうに従い徐々に外径が小さくなるテーパ状をなしている。図19(a)において、案内部92(の延長線)と、トップ支持部材76の中心軸(スピンドル軸Cに相当)とが交差して形成される鋭角及び鈍角のうち、鋭角の角度は、例えば15°程度である。嵌合部93は、案内部92と端縁押さえ部91との間に配置され、前記中心軸方向に沿って外径が一定とされている。
トップ支持部材76が缶Wに対して缶軸方向に接近移動させられ、内嵌部90が缶胴51の開口端部51a内に挿入される際には、まず、案内部92が開口端部51a内に挿入されていき、該案内部92にガイドされるように嵌合部93が開口端部51a内に挿入(嵌合)される。そして図19(b)に示されるように、端縁押さえ部91の前記端面が、缶Wの開口端部51aに当接する。
特に図示していないが、ボトムリフォーム装置は、装置の基体となる装置フレームと、該装置フレームに支持されて回転駆動される回転軸と、該回転軸に支持され、外周に缶Wを保持するポケットが複数形成されたスターホイール(ターレット)と、前記回転軸に支持され、スターホイールの各ポケットに対応して設けられた複数のボトムリフォーム機構74と、を備えている。
トップスピンドル75のスピンドル軸C及びトップ支持部材76の中心軸、並びに、ボトムスピンドル77のスピンドル軸C及びボトム支持部材78の中心軸は、スターホイールの各ポケットに保持される缶Wの缶軸に対して、同軸に配置される。
この円筒カムは、回転軸の中心軸回りへ向かうに従い該中心軸方向に沿う位置が変化する所定の軌道を形成している。この軌道に沿ってボトム用カムフォロアが案内されることにより、該ボトム用カムフォロアはスピンドル軸C方向に沿って所定のストロークL1の範囲で往復移動する。また、ボトム用カムフォロアに連結されたボトム支持部材78も、スピンドル軸C方向に沿って所定のストロークL1の範囲で往復移動する。
この円筒カムは、回転軸の中心軸回りへ向かうに従い該中心軸方向に沿う位置が変化する所定の軌道を形成している。この軌道に沿って押圧用カムフォロアが案内されることにより、該押圧用カムフォロアはスピンドル軸C方向に沿って上記ストロークL1よりも大きな所定のストロークL2の範囲で往復移動する。そして押圧部80は、スピンドル軸C方向に沿って所定のストロークL1の範囲で往復移動し、かつ、ボトムスピンドル77に設けられたリンク部82の作用により、ストロークL2とストロークL1との差分(L2−L1)に応じてスピンドル軸C方向への直線運動がスピンドル軸Cに直交するスピンドル径方向へのスライド移動に変換されたストロークの範囲で、スピンドル径方向にも往復移動する。
これにより押圧部80は、ボトム支持部材78に保持された缶Wの缶底52の環状凸部56の内周壁57を押圧可能である。
この円筒カムは、回転軸の中心軸回りへ向かうに従い該中心軸方向に沿う位置が変化する所定の軌道を形成している。この軌道に沿ってトップ用カムフォロアが案内されることにより、トップスピンドル75は、スピンドル軸C方向に沿って所定のストロークL3の範囲で往復移動する。ただし、トップスピンドル75のうちトップ支持部材76については、ストロークL3の途中で缶Wの開口端部51aに当接され、この当接後は弾性部材の作用によりそれ以上の缶Wへ向けた前進移動が停止される。このため、トップ支持部材76のストロークL4は、上記ストロークL3よりも小さく設定される。
駆動モータから入力された回転駆動力により、回転軸がその中心軸回りに回転させられる。これに応じて、装置フレームの円筒カム、これに係合するボトム用カムフォロア及び押圧用カムフォロアの作用により、ボトムスピンドル77及びそのボトム支持部材78が、スターホイールのポケットに保持された缶Wへ向けてスピンドル軸C方向に前進移動する。つまり、ボトムスピンドル77が、スピンドル軸C方向に沿ってトップスピンドル75側へ向けてストロークL1だけ移動する。
これにより、ボトム支持部材78の底壁が、缶Wの缶底52のノーズ部59及び外周壁58に対してスピンドル軸C方向から当接し、また缶胴51のうち缶底52側の端部近傍が、ボトム支持部材78の周壁内に嵌合する。また、押圧部80が、缶Wの缶底52に接近配置された状態となる。具体的には、押圧部80の外周縁部(鍔部)が、缶底52の環状凸部56の内周壁57に、スピンドル径方向の内側から対向配置される。
このストロークL3の途中で、トップ支持部材76の内嵌部90が、缶Wの缶胴51の開口端部51a内に嵌合し、また端縁押さえ部91が、缶Wの開口端部51aにスピンドル軸C方向から当接する。このようにトップ支持部材76の端縁押さえ部91が缶Wの開口端部51aに当接してからは、それ以降のトップスピンドル75の前進移動量に応じて弾性部材が弾性変形することにより、トップ支持部材76のそれ以上のスピンドル軸C方向に沿うボトムスピンドル77側(スターホイールが保持する缶W側)へ向けた前進移動が停止させられる。この結果、トップ支持部材76は、スピンドル軸C方向に沿ってボトムスピンドル77側へ向けて、上記ストロークL3よりも小さいストロークL4だけ移動する。
すなわち、端縁押さえ部91が、缶Wの開口端部51a(缶Wの上端開口縁)に缶軸方向から当接するので、トップ支持部材76のストロークL4を小さく抑えることが可能になり、その分生産性を高めることができる。また、内嵌部90が缶Wの開口端部51a内に挿入(嵌合)されるので、缶Wのセンタリング性を高めて、成形精度を向上できる。
また、内嵌部90がテーパ状の案内部92を有しているので、まず案内部92を開口端部51a内に確実に挿入し、該案内部92によって缶Wの缶軸とトップ支持部材76の中心軸とを芯合わせした状態から、開口端部51a内に嵌合部93をスムーズに嵌合させることができる。このため、トップ支持部材76による缶Wの開口端部51aの支持状態が安定する。また、嵌合部93が開口端部51a内に嵌合するので、成形中における缶Wの内圧の低下を抑えて、内圧を高く維持し続けることができる。
例えば、押圧部20、80が、缶Wの缶底52の環状凸部56のうち外周壁58を押圧し、外周壁58に凹部60を成形してボトムリフォーム加工を行ってもよい。
或いは、押圧部20、80が、缶底52の環状凸部56の内周壁57及び外周壁58の両方に対しそれぞれ押圧されて、内周壁57及び外周壁58にそれぞれ凹部60を成形してもよい。
この場合、押圧部20、80がポンチ爪であるので、押圧部20、80を缶Wに対して缶軸方向及び缶径方向に移動させるための構造を簡素化でき、かつ、簡単な動作によって缶底52に凹部60を迅速に形成することができる。従って、缶底52へのボトムリフォーム加工の加工スピードが高められる。
また、ねじ成形工程は設けられなくてもよい。つまりボトル缶Bは、ねじ無しのボトル缶であってもよい。この場合、ボトル缶Bの口金部53に対してキャップが、巻き締めによる嵌合等によって、取り外し可能に装着されてもよい。
すなわち、第1実施形態では、ボトムリフォーム機構13により缶Wの缶底52へボトムリフォーム加工を施すときに、缶Wの缶胴51の開口端部51aをダイ加工ツールによって成形加工しながら押さえているが、この代わりに、缶Wの開口端部51aを回転加工ツールによって成形加工しながら押さえてもよい。或いは、例えば加工テーブル2に設けられた押さえ部材によって、缶Wの開口端部51aを成形加工することなく押さえてもよい。さらに、上記押さえ部材が設けられなくてもよい。つまり、ボトル缶製造装置1においては、チャック7にエア圧で弾性変形可能な伸縮リング17が設けられており、該伸縮リング17によって缶Wの保持力が十分に確保されているため、缶Wの開口端部51aを押さえることなくボトムリフォーム加工を施すことも可能である。
すなわち、排出手段43は、例えば1つの昇降部によって押出し部40をチャック7の中心軸O方向に往復移動させることとしてもよく、或いは、押出し部40を中心軸O方向に移動させる速度が互いに異なる3つ以上の昇降部によって、押出し部40をチャック7の中心軸O方向に往復移動させることとしてもよい。
また、本発明の缶の製造方法は、缶胴と缶底とを備えた有底筒状の缶であれば、前述したボトル缶及びDI缶以外の缶にも適用可能である。
51a 開口端部
52 缶底
53 口金部
54 ネック部
56 環状凸部
57 内周壁
58 外周壁
60 ボトムリフォーム加工により成形された凹部
B ボトル缶(缶)
S02 カッピング工程(絞り工程)
S03 DI工程(絞りしごき工程)
S04 トリミング工程
S07、S17、S28 ネッキング工程
S09、S21、S27 ボトムリフォーム工程
S10、S19、S30 ねじ成形工程
S12、S22、S32 最終トリミング工程(トリミング工程)
W0 ブランク
W1 カップ状体
W2〜W5(W) 缶(中間成形体の缶。ワーク)
Claims (6)
- 缶胴と缶底とを備えた有底筒状の缶の前記缶底のうち、缶軸方向に沿う前記缶胴の開口端部から前記缶底側へ向けて突出する環状凸部における内周壁及び外周壁の少なくともいずれかに、ボトムリフォーム加工を施すボトムリフォーム工程と、
前記開口端部にトリミング加工を施すトリミング工程と、を備え、
前記ボトムリフォーム工程よりも後に前記トリミング工程を行うことを特徴とする缶の製造方法。 - 円板状のブランクを絞り加工して、カップ状体に成形するカッピング工程と、
前記カップ状体に絞りしごき加工を施して、缶胴と缶底とを備えた中間成形体の缶を成形するDI工程と、
前記缶胴の開口端部をトリミング加工するトリミング工程と、
前記缶胴のうち前記開口端部を含む領域に段階的にダイ加工を施して、缶軸方向に沿う前記缶底から前記開口端部側へ向かうに従い徐々に縮径するテーパ状のネック部と、該ネック部の前記開口端部側に連なる口金部と、を成形するネッキング工程と、
前記口金部にねじ成形加工を施すねじ成形工程と、
前記口金部に最終トリミング加工を施す最終トリミング工程と、
前記缶底のうち、缶軸方向に沿う前記開口端部から前記缶底側へ向けて突出する環状凸部における内周壁及び外周壁の少なくともいずれかに、ボトムリフォーム加工を施すボトムリフォーム工程と、を備え、
前記ボトムリフォーム工程を、前記最終トリミング工程よりも前に行うことを特徴とする缶の製造方法。 - 請求項2に記載の缶の製造方法であって、
前記ボトムリフォーム工程を、前記ねじ成形工程よりも前に行うことを特徴とする缶の製造方法。 - 請求項2に記載の缶の製造方法であって、
前記ボトムリフォーム工程を、前記ねじ成形工程よりも後に行うことを特徴とする缶の製造方法。 - 請求項2又は3に記載の缶の製造方法であって、
前記ボトムリフォーム工程を、前記ネッキング工程よりも後に行うことを特徴とする缶の製造方法。 - 請求項2又は3に記載の缶の製造方法であって、
前記ボトムリフォーム工程を、前記ネッキング工程と同時に行うことを特徴とする缶の製造方法。
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