JP2018098974A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】外部入力によって電動アシストモータが高速で回転する場合においても、その電動アシストモータに従来よりも大きなブレーキトルクを発生させることが可能な電動パワーステアリング装置を提供する【解決手段】3相ブリッジ回路BCと上アーム/下アーム素子の各接続点と電動アシストモータの各相との通電経路に設けられた相間スイッチング素子とを有するモータ駆動回路(30)と、上アーム/下アーム素子及び相間スイッチング素子のオン/オフを切替えるステアリングECU(20)を備え、ステアリングECU(20)は、逆入力状態時において、回転速度の大きさが第2回転速度閾値未満のとき、上アーム素子及び相間スイッチング素子を導通状態に設定し、回転速度の大きさが第2回転速度閾値以上のとき、上アーム素子を導通状態に、相間スイッチング素子を導通状態の後に遮断状態とする周期的な動作を繰り返すように制御する。【選択図】図2

Description

本発明は、電動アシストモータによりステアリング機構にトルクを付与する電動パワーステアリング装置に関する。
従来から、電動アシストモータの出力トルクをステアリング機構のステアリングシャフト及びラックバー等に伝達することによって、運転者の操舵を補助(アシスト)する、電動パワーステアリング装置が知られている。電動パワーステアリング装置を搭載した車両の走行中に、例えば、操舵輪が縁石に衝突して、操舵輪からステアリング機構に大きな力(以下、「外部入力」とも称呼する。)が入力した場合、ラックバーに大きな軸力が発生する。これにより、運転者の操舵及び/又は電動アシストモータのアシストに関わらず、ラックバーが軸方向に移動し、その結果、電動アシストモータが回転する。このように操舵輪からステアリング機構に外部入力が作用することにより、操舵輪及び操舵ハンドル(ステアリングホイール)が転舵/回転してしまう状態を逆入力状態と呼ぶ。
そこで、逆入力状態が発生している場合及び/又は発生する可能性が高い場合に、電動アシストモータに大きなブレーキトルクを発生させ、それによって操舵輪及び操舵ハンドルの回転移動量を低減する装置が提案されている。例えば、そのような装置の一つは、逆入力状態が発生する可能性が高い場合、電動アシストモータの各相のコイルを互いに電気的に接続している状態(以下、「相間短絡状態」とも称呼する。)を発生させることにより、電動アシストモータに外部入力に対するブレーキトルクを発生させている(例えば、特許文献1を参照。)。
特開2015−016788号公報
しかしながら、従来装置は、外部入力の大きさが大きく、それに伴って電動アシストモータの回転速度が非常に大きくなる場合、後述する理由により、外部入力に対して発生する電動アシストモータのブレーキトルクが低下するという問題がある。その場合、ラックバーが軸方向に大きく移動することにより、ラックバーがラックバーの移動範囲を制限するストッパ部と高い速度にて衝突し、その結果、ストッパ部が破損する可能性がある。
本発明は、上述した課題に対処するためになされたものである。即ち、本発明の目的の一つは、外部入力によって電動アシストモータが高速で回転する場合においても、その電動アシストモータに従来よりも大きなブレーキトルクを発生させることが可能な電動パワーステアリング装置を提供することにある。
本発明の電動パワーステアリング装置(以下、「本発明装置」とも称呼する)は、
操舵ハンドル(11)に連結されるステアリングシャフト(12)と前記ステアリングシャフトに連結されるラックバー(14)とを有し前記操舵ハンドルの操作により前記ラックバーを介して車両の操舵輪(Wfl、Wfr)を操舵するステアリング機構(10)と、
前記ステアリング機構にトルクを付与するように配設された3相ブラシレスモータである電動アシストモータ(21)と、
一端に電源電圧が印加される上アームスイッチング素子(31a、31c、31e)及び一端が接地された下アームスイッチング素子(31b、31d、31f)を含むとともに当該上アームスイッチング素子の他端と当該下アームスイッチング素子の他端とが接続点(P1、P2、P3)にて接続された直列回路を3つ有する3相ブリッジ回路(BC)と、3つの相間スイッチング素子(32a、32b、32c)と、を有し、前記3つの直列回路の接続点のそれぞれ(P1、P2、P3)が前記3つの相間スイッチング素子のそれぞれ(32a、32b、32c)を介して前記電動アシストモータのそれぞれの相のコイル(21v、21w、21u)に接続されたモータ駆動回路(30)と、
前記上アームスイッチング素子、前記下アームスイッチング素子及び前記相間スイッチング素子のそれぞれの状態を、導通状態(オン)と遮断状態(オフ)との間で切替えることにより、前記電動アシストモータを制御して前記ステアリング機構に前記トルクを付与するコントローラ(ステアリングECU20、インバータ駆動IC33及びリレー駆動IC34)と、
を備える。
更に、前記コントローラは、
前記電動アシストモータ(21)の回転速度(ω)を取得する回転速度取得部(20a)と、
前記操舵輪(Wfl、Wfr)から前記ステアリング機構(10)に外部入力が入力されており且つ前記回転速度(ω)が第1回転速度閾値(ω1th)以上である逆入力状態が発生しているか否かを判定する逆入力状態判定部(20b)と、
前記逆入力状態が発生したと判定された場合、前記3つの相間スイッチング素子及び前記上アームスイッチング素子の総ての状態を導通状態に設定するとともに前記下アームスイッチング素子の総ての状態を遮断状態に設定することにより前記電動アシストモータの3つの相のコイルを互いに接続させた第1相間短絡状態、及び、前記3つの相間スイッチング素子及び前記下アームスイッチング素子の総ての状態を導通状態に設定するとともに前記上アームスイッチング素子の総ての状態を遮断状態に設定することにより前記電動アシストモータの3つの相のコイルを互いに接続させた第2相間短絡状態、の何れかの状態を発生させる、相間短絡制御部(20c)と、
を含むように構成される。
本発明装置によれば、ステアリング機構にトルク(操舵アシストトルク)を付与するように配設された電動アシストモータのそれぞれの相(U相、V相、W相)のコイルは、3つの相間スイッチング素子のそれぞれを介して3相ブリッジ回路と接続されている。従って、コントローラは周知の手法に従って3相ブリッジ回路を制御することにより、操舵アシストトルクを発生させることができる。なお、電動アシストモータに操舵アシストトルクを発生させる場合、コントローラは3つの相間スイッチング素子の総ての状態を導通状態に設定する。
一方、本発明装置のコントローラは、操舵輪からステアリング機構に外部入力が入力されており且つ電動アシストモータの回転速度が第1回転速度閾値以上である状態(即ち、逆入力状態)が発生したと判定した場合、3つの相間スイッチング素子の総ての状態を導通状態に設定する。更に、コントローラは、上アームスイッチング素子及び下アームスイッチング素子の導通状態と遮断状態とを上述したように設定することにより、電動アシストモータの3つの相のコイルを互いに接続させた相間短絡状態(第1相間短絡状態又は第2相間短絡状態)を実現する回路(電気経路)を構成する。これにより、本発明装置は、逆入力状態が発生した場合、電動アシストモータにブレーキトルクを発生させることができる。
しかしながら、外部入力の大きさが大きく、それに伴って電動アシストモータの回転速度が大きくなると、上記相間短絡状態では、電動アシストモータは十分に大きなブレーキトルクを発生することができない。
そこで、本発明装置のコントローラは、更に、
前記第1相間短絡状態又は前記第2相間短絡状態が発生している場合に前記回転速度(ω)が前記第1回転速度閾値(ω1th)よりも大きい第2回転速度閾値(ω2th)以上となったとき、前記上アームスイッチング素子の総て及び前記下アームスイッチング素子の総ての何れか一方の状態を導通状態に設定し、前記上アームスイッチング素子の総て及び前記下アームスイッチング素子の総ての何れか他方の状態を遮断状態に設定し、且つ、前記3つの相間スイッチング素子の総ての状態を第1時間だけ導通状態に設定した後に当該第1時間よりも短い第2時間だけ一時的に遮断状態に設定する動作を繰り返し行う、ブレーキトルク増大制御部(20d)、
を含むように構成される。
これにより、後述する理由により、電動アシストモータは、第1相間短絡状態又は第2相間短絡状態のときに比べて、より大きなブレーキトルクを発生させることができる。その結果、本発明装置は、外部入力に起因するラックバーを軸方向に移動させる力を早期に低減できる。従って、例えば、ラックバーがストッパ部と高い速度にて衝突する可能性を低減でき、従って、ストッパ部が破損する可能性を低減することができる。
上記説明においては、本発明の理解を助けるために、後述する実施形態に対応する発明の構成に対し、その実施形態で用いた名称及び/又は符号を括弧書きで添えている。しかしながら、本発明の各構成要素は、前記名称及び/又は符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の実施形態に係る電動パワーステアリング装置(本ステアリング装置)の概略構成図である。 図2は、図1に示したモータ駆動回路を示した回路図である。 図3は、本ステアリング装置が相間短絡制御及びブレーキトルク増大制御を実行した場合における、電動アシストモータの回転速度及びq軸電流の関係を示した図である。 図4は、図1に示したステアリングECUのCPUが実行するルーチンを表すフローチャートである。 図5は、本発明の変形例に係るモータ駆動回路を示した回路図である。
以下、本発明の実施形態に係る電動パワーステアリング装置(以下、「本ステアリング装置」と称呼される場合がある。)について図面を参照しながら説明する。
(構成)
本ステアリング装置は車両に適用される。本ステアリング装置は、所謂ラックアシストタイプの電動パワーステアリング装置である。
本ステアリング装置は、図1に示したように、操舵ハンドル(ステアリングホイール)11の操作(以下、「回転操作」又は「操舵」とも称呼する。)により操舵輪である左前輪Wfl及び右前輪Wfrを転舵するステアリング機構10、ステアリング機構10に組み付けられアシストトルク及びブレーキトルクを発生する電動アシストモータ21、電動アシストモータ21の駆動を制御するステアリングECU20、及び、電動アシストモータ21を駆動するモータ駆動回路30、を備える。
ステアリング機構10は、操舵ハンドル11に連結されるステアリングシャフト12及びステアリングシャフト12にトルク伝達可能に連結されるラックバー14を主に有する。ステアリング機構10は、操舵ハンドル11の回転操作に連動したステアリングシャフト12の軸線周りの回転をラックアンドピニオン機構13によりラックバー14の左右方向のストローク運動(直線運動)に変換して、このラックバー14のストローク運動により左前輪Wfl及び右前輪Wfrを転舵する。ステアリングシャフト12は、操舵ハンドル11を上端に連結したメインシャフト12a、ラックアンドピニオン機構13と連結されるピニオンシャフト12c、及び、メインシャフト12aとピニオンシャフト12cとをユニバーサルジョイント12d,12eを介して連結するインターミディエイトシャフト12bから構成される。
ラックバー14は、ギヤ部14aがラックハウジング15内に収納され、その左右両端がラックハウジング15から露出して左右のタイロッド16のそれぞれの一端と連結される。左右のタイロッド16のそれぞれの他端は、左前輪Wfl及び右前輪Wfrにそれぞれ設けられたナックル17に接続される。ラックバー14とタイロッド16との連結部には、ラックエンド部材18が設けられている。一方、ラックハウジング15の両端には、ストッパ部15aが形成されている。ラックバー14は、ラックエンド部材18とストッパ部15aとの当接により、左右の移動範囲が制限される。ラックバー14がストッパ部15aにより移動制限される位置をストロークエンドと称呼する。なお、左前輪Wfl及び右前輪Wfrは、単に操舵輪Wとも称呼する。
このように、操舵ハンドル11は、ステアリングシャフト12、ラックアンドピニオン機構13及びラックバー14を介して、操舵輪Wの切れ角を決めるタイロッド16に連結されている。
電動アシストモータ21は、3相同期式永久磁石モータ(3相ブラシレスモータ)であり、ラックバー14に減速ギヤ19を介して組み付けられている。電動アシストモータ21は、永久磁石を備えたロータ(回転子)と、ハウジング内に固定され且つロータに対向したステータと、を備える。電動アシストモータ21は、ステータに巻かれた各相(3相)のコイルに3相電流が流れることにより3相回転磁界を形成する。この3相回転磁界によってロータが回転する。電動アシストモータ21は、ロータの回転により減速ギヤ19を介してラックバー14を左右方向に移動させるアシストトルクを付与する。このアシストトルクは、運転者の操舵ハンドル11の操舵をアシスト(補助)する。
ステアリングECU20(コントローラ)は、マイクロコンピュータを主要部として備える電気制御装置(Electric Control Unit)である。マイクロコンピュータは、CPU、ROM、RAM、EEPROM(不揮発性メモリ)及びインターフェースI/F等」を含む。CPUはROMに格納されたインストラクション(プログラム、ルーチン)を実行することにより各種機能を実現する。
ステアリングECU20は、以下に列挙するセンサと接続されていて、それらのセンサの検出信号又は出力信号を受信する。
回転角センサ22:回転角センサ22は、電動アシストモータ21の内部に組み込まれ、電動アシストモータ21のロータの回転角θmを表す信号を出力する。回転角センサ22は、例えば、レゾルバ又はホールセンサにより構成される。なお、ステアリングECU20は、回転角θmを表す信号から電動アシストモータ21の回転速度ωを取得する回転速度取得部20a(図2を参照。)を備える。加えて、ステアリングECU20は、回転角θmを表す信号から電動アシストモータ21の電気角θeを演算する。
操舵トルクセンサ23:操舵トルクセンサ23は、ステアリングシャフト12(メインシャフト12a)に設けられている。操舵トルクセンサ23は、ステアリングシャフト12(メインシャフト12a)に介装されている図示しないトーションバーに働いた捩り力を、操舵トルクTrとして検出する。操舵トルクTrは、その大きさだけでなく、トーションバーの捩れ方向である操舵方向が符号(正負)により識別される。
操舵角センサ24:操舵角センサ24は、本ステアリング装置が搭載された車両(以下、「自車両」とも称呼する。)の操舵角θを検出し、操舵角θを表す信号を出力する。操舵角θは、その大きさだけでなく、操舵方向が符号(正負)により識別される。
車速センサ25:車速センサ25は、自車両の走行速度(車速)を検出し、車速SPDを表す信号を出力する。
電流センサ36:電流センサ36は、後述するように、電動アシストモータ21の各相に流れる電流を検出し、その電流iu,iv,iwを表す信号を出力する。
加えて、ステアリングECU20は、モータ駆動回路30に接続されていて、モータ駆動回路30に指令信号を送出する。更に、自車両は車載電源35を備える。車載電源35は、定格出力電圧12Vの一般的な車載用のバッテリである。車載電源35は、ステアリングECU20、電動アシストモータ21及びモータ駆動回路30に電力を供給する。
<モータ駆動回路>
以下、モータ駆動回路30について、図2を参照して説明する。モータ駆動回路30は、主に、6つのアームスイッチング素子31a,31b,31c,31d,31e,31f、3つの相間スイッチング素子32a,32b,32c、インバータ駆動IC33及びリレー駆動IC34を有する。以下、アームスイッチング素子31a,31b,31c,31d,31e,31fの個々を特定する必要がない場合、これらの素子はアーム素子31と称呼される場合がある。更に、相間スイッチング素子32a,32b,32cの個々を特定する必要がない場合、これらの素子は相間スイッチング素子32と称呼される場合がある。
アーム素子31は、MOS−FETから構成されている。アーム素子31は、3相ブリッジ回路(3相インバータ回路)BCを構成するように接続されている。アーム素子31のゲートはインバータ駆動IC33と接続されている。従って、アーム素子31の状態は、インバータ駆動IC33からの指令信号に応じて、導通状態(オン)及び遮断状態(オフ)の何れかに設定される。インバータ駆動IC33は、ステアリングECU20からの指示信号に応じて、上記指令信号を出力する。
相間スイッチング素子32は、MOS−FETから構成されている。相間スイッチング素子32は、電動アシストモータ21の各相(U相,V相,W相)のコイル21u,21v,21wと上記の3相ブリッジ回路BCとの通電経路(電力供給線、接続線)L1,L2,L3にそれぞれ設けられ(接続され)ている。なお、コイル21u,21v及び21wは、単に、U相,V相及びW相とそれぞれ称呼される場合がある。
相間スイッチング素子32のゲートは、リレー駆動IC34と接続されている。従って、相間スイッチング素子32の状態は、リレー駆動IC34からの指令信号に応じて、導通状態(オン)及び遮断状態(オフ)の何れかに設定される。リレー駆動IC34は、ステアリングECU20からの指示信号に応じて、上記指令信号を出力する。
アーム素子31及び相間スイッチング素子32は、MOS−FETに限らず、その他の電界効果トランジスタ、バイポーラトンジスタ、又は、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)等のスイッチング素子であっても良い。
3相ブリッジ回路BCは、上アームスイッチング素子31a,31c,31e(以下、これらの個々を特定する必要がない場合「上アーム素子」とも称呼する。)のそれぞれと、下アームスイッチング素子31b,31d,31f(以下、これらの個々を特定する必要がない場合「下アーム素子」とも称呼する。)のそれぞれと、を含む直列回路を3つ含む。
即ち、上アーム素子の一端は、車載電源35の陽極が接続された電源ラインLDに接続されている。下アーム素子の一端は、接地されている。上アーム素子の他端と下アーム素子の他端とは接続点(P1,P2,P3)にて接続されている。
より具体的に述べると、上アーム素子31aの一端は電源ラインLDに接続され、上アーム素子31aの他端は接続点P1に接続されている。下アーム素子31bの一端は接地され、下アーム素子31bの他端は接続点P1に接続されている。上アーム素子31a及び下アーム素子31bは第1の直列回路を構成する。
上アーム素子31cの一端は電源ラインLDに接続され、上アーム素子31cの他端は接続点P2に接続されている。下アーム素子31dの一端は接地され、下アーム素子31dの他端は接続点P2に接続されている。上アーム素子31c及び下アーム素子31dは第2の直列回路を構成する。
上アーム素子31eの一端は電源ラインLDに接続され、上アーム素子31eの他端は接続点P3に接続されている。下アーム素子31fの一端は接地され、下アーム素子31fの他端は接続点P3に接続されている。上アーム素子31e及び下アーム素子31fは第3の直列回路を構成する。
接続点P1は、接続線L1により電動アシストモータ21のV相のコイル21vの一端と接続されている。相間スイッチング素子32aは、この接続線L1に直列に挿入されている。
接続点P2は、接続線L2により電動アシストモータ21のW相のコイル21wの一端と接続されている。相間スイッチング素子32bは、この接続線L2に直列に挿入されている。
接続点P3は、接続線L3により電動アシストモータ21のU相のコイル21uの一端と接続されている。相間スイッチング素子32cは、この接続線L3に直列に挿入されている。
コイル(21u,21v,21w)の各他端は互いに接続されている。
前述した電流センサ36は、実際には、電流センサ36a,36b,36cを含む。
電流センサ36aは、接続線L1に介装され、接続線L1に流れる電流(即ち、電動アシストモータ21のコイル21vに流れるV相の電流)ivを検出する。
電流センサ36bは、接続線L2に介装され、接続線L2に流れる電流(即ち、電動アシストモータ21のコイル21wに流れるW相の電流)iwを検出する。
電流センサ36cは、接続線L3に介装され、接続線L3に流れる電流(即ち、電動アシストモータ21のコイル21uに流れるU相の電流)iuを検出する。
(作動)
次に、本ステアリング装置の作動について説明する。
<モータの電流ベクトル制御>
ステアリングECU20は、周知の電流ベクトル制御に則って電動アシストモータ21を制御することにより、検出された操舵トルクTrに応じたトルク(操舵アシストトルク)をステアリング機構10(実際には、ラックバー14)に付与する。電流ベクトル制御は、電動アシストモータ21のロータに設けられた永久磁石の磁界が貫く方向をd軸として定め、d軸に直交する方向(d軸に対して電気角がπ/2だけ進んだ方向)をq軸として定めたd−q座標系である2相回転磁束座標系にて記述される。この電流ベクトル制御によって電動アシストモータ21の回転速度ωを制御することができる。電流ベクトルのd軸成分をd軸電流と称呼し、q軸成分をq軸電流と称呼する。ここで、q軸電流は、電動アシストモータ21にトルク(モータトルク)を発生させるように作用する。一方、d軸電流は、モータトルクを発生させるようには作用せず、弱め界磁制御において用いられる。
ステアリングECU20は、上記の電流ベクトル制御を行うにあたって、電気角θeを検出することによりd−q座標を定める。
q軸電流Iq及びd軸電流Idは、電動アシストモータ21の各相のコイル21u,21v,21wに流れる3相電流iu,iv,iwを、d−q座標系の2相電流に変換したものである。この3相電流iu,iv,iwからd−q座標系の2相電流Id,Iqへの変換は、電気角θeに基づいて行われる。なお、q軸電流Iqは、電動アシストモータ21の回転速度ωの大きさを低下させる向きにトルクを発生させる場合(即ち、電動アシストモータ21がブレーキトルクを発生する場合)に負の値となり、電動アシストモータ21の回転速度ωの大きさを増大させる向きにトルクを発生させる場合に正の値となる。
周知であるように、3相電流iu,iv,iwは下記の式(1)によりq軸電流Iq及びd軸電流Idに変換される。更に、q軸電圧Vq及びd軸電圧Vdは、以下の式(2)及び式(3)により求められる。
Figure 2018098974
Figure 2018098974
Figure 2018098974
ここで、Keは逆起電圧定数、Rは回路の抵抗(電動アシストモータ21の内部抵抗含む。)、pは極対数、Ldは電動アシストモータ21の内部インダクタンス(d軸)、Lqは電動アシストモータ21の内部インダクタンス(q軸)を表す。
<逆入力状態の判定>
ステアリングECU20は、通常の運転時において、上述した電流ベクトル制御に則って電動アシストモータ21を制御することにより、操舵アシストトルクをステアリング機構10(実際には、ラックバー14)に付与する。その一方、ステアリングECU20は逆入力状態が発生したか否かを判定し、逆入力状態が発生したと判定したとき電動アシストモータ21に大きなブレーキトルクを発生させるための制御を行う。この逆入力状態は、操舵輪Wからステアリング機構10に外部入力が入力されることにより電動アシストモータ21の回転速度が高く(大きく)なっている状態である。
より具体的に述べると、ステアリングECU20は、以下に述べる逆入力状態判定条件が成立しているか否かを判定し、当該逆入力状態判定条件が成立している場合に逆入力状態が発生していると判定する。
(逆入力状態判定条件)
上記電流ベクトル制御中に求められる電動アシストモータ21への入力電力Pо(=VqIq+VdId)が負であり(入力電力Pо<0)、且つ、電動アシストモータ21の回転速度ω(ωの大きさ)が所定の第1回転速度閾値ω1th以上である(ω≧ω1th)。
車両の走行中に操舵輪Wが縁石等の路面突起物に衝突したとき、又は、車両が悪路(オフロード)を走行しているとき等に、操舵輪Wからステアリング機構10に大きな力(外部入力)が加わった場合、操舵輪Wが急激に転舵される。このとき、ラックバー14が軸方向に高速で移動し、その結果、ステアリングシャフト12及び電動アシストモータ21等が高速で回転する。
このとき、電動アシストモータ21への入力電力Pо(=VqIq+VdId)は負の値となる。換言すると、入力電力Pо<0となる場合、電動アシストモータ21はブレーキトルク(電動アシストモータ21の回転速度を低下する方向のトルク)を発生させている。故に、入力電力Pо<0となる場合、操舵輪Wからステアリング機構10に外部入力が入力されていると推定することができる。
更に、第1回転速度閾値ω1thは、運転者による通常の操舵ハンドル11の操作によっては生じない程度の大きな値に設定される。従って、入力電力Pо<0が成立するのみでなく、回転速度ω≧ω1thであるという条件も成立したときに、逆入力状態が発生しているとステアリングECU20(逆入力状態判定部20b)が判定することによって、運転者が操舵ハンドル11の切り返し操作を行った際に逆入力状態であると誤判定されることを防止することができる。
なお、ステアリングECU20は、操舵トルクTrの方向が電動アシストモータ21の回転方向に対して反対となり、操舵トルクTrの大きさ|Tr|が所定の閾値トルクTrthより大きく、且つ、回転速度ω(の大きさ)が第1回転速度閾値ω1thより大きいという3つの条件が成立した場合に、逆入力状態が発生していると判定しても良い(例えば特開2011−218878号公報を参照。)。
<相間短絡制御及びブレーキトルク増大制御>
次に、本ステアリング装置が実行する「相間短絡制御及びブレーキトルク増大制御」の概要について図2及び図3を参照しながら説明する。ステアリングECU20は、逆入力状態が発生したと判定したとき、相間短絡制御部20cにより相間短絡制御を実行し、更に、電動アシストモータ21の回転速度ωが「第1回転速度閾値ω1thよりも大きい第2回転速度閾値ω2th」以上である場合、ブレーキトルク増大制御部20dによりブレーキトルク増大制御を行う。
相間短絡制御は、以下に述べる「第1相間短絡状態及び第2相間短絡状態」の何れかの状態を発生させることにより、電動アシストモータ21に大きなブレーキトルクを発生させる制御である。
第1相間短絡状態は、3つの相間スイッチング素子32a,32b,32cの総ての状態及び3つの上アームスイッチング素子31a,31c,31eの総ての状態を導通状態に設定するとともに、下アームスイッチング素子31b,31d,31fの総ての状態を遮断状態に設定した状態である。この状態においては、電動アシストモータ21の3つの相のコイル(21u,21v,21w)が互いに接続される(短絡される。)。
第2相間短絡状態は、3つの相間スイッチング素子32a,32b,32cの総ての状態及び3つの下アームスイッチング素子31b,31d,31fの総ての状態を導通状態に設定するとともに、上アームスイッチング素子31a,31c,31eの総ての状態を遮断状態に設定した状態である。この状態においても、電動アシストモータ21の3つの相のコイル(21u,21v,21w)が互いに接続される(短絡される。)。
ブレーキトルク増大制御は、上アームスイッチング素子31a,31c,31eの総て及び下アームスイッチング素子31b,31d,31fの総ての何れか一方の状態を導通状態に設定し、上アームスイッチング素子31a,31c,31eの総て及び下アームスイッチング素子31b,31d,31fの総ての何れか他方の状態を遮断状態に設定し、且つ、3つの相間スイッチング素子32a,32b,32cの総ての状態を第1時間だけ導通状態に設定した後に当該第1時間よりも短い第2時間だけ一時的に遮断状態に設定する動作を繰り返し行う制御である。この場合、3つの相間スイッチング素子32a,32b,32cの総ての状態が導通状態に設定されているときには、電動アシストモータ21の3つの相のコイル(21u,21v,21w)が互いに接続される(短絡される。)。ブレーキトルク増大制御によれば、後述する理由により、電動アシストモータ21の回転速度ωが大きい場合に相間短絡制御を行う場合に比べて、電動アシストモータ21により大きなブレーキトルクを発生させることができる。
ここで、操舵輪Wからステアリング機構10に入力される外部入力により電動アシストモータ21が回転速度ωで回転しているときに、電動アシストモータ21の各相のコイル21u,21v,21wを短絡(相間短絡)したときの電動アシストモータ21のq軸電流Iqは、式(4)により示される。更に、そのときのd軸電流Idは、式(5)により示される。加えて、そのときの電動アシストモータ21のモータトルクTrmは、式(6)により示される。これらの式における変数は上述したとおりである。
Figure 2018098974
Figure 2018098974
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図3は、式(4)に基づき、電動アシストモータ21の回転速度ωの大きさと、q軸電流Iqとの関係を模式的に示した図である。
相間短絡制御によって第1相間短絡状態(又は第2相間短絡状態)が発生している場合、q軸電流Iqの大きさは、図3に一点鎖線W2により示したように、電動アシストモータ21の回転速度ωの大きさがω2のときに最大値Iq2となり(点Q2を参照。)、電動アシストモータ21の回転速度ωとω2との差の大きさが大きくなるに従い小さくなる。このとき、「電動アシストモータ21の3相を短絡させた回路(以下、「相間短絡回路」とも称呼する。)」の合成インピーダンスZが第1インピーダンスZ1であると仮定する。なお、上述した第1回転速度閾値ω1th(逆入力状態が発生していると判定するための閾値であって、相間短絡制御を実行するか否かを決定する閾値)は、回転速度ω2よりも小さい値に設定されている。
一方、ブレーキトルク増大制御を実行した場合、q軸電流Iqの大きさは、例えば、図3に破線W3及び実線W4により示したように、変化する。
より具体的に述べると、ブレーキトルク増大制御において、相間スイッチング素子32a,32b,32cの状態を導通状態に維持する第1時間(オン時間)T1を時間Taに設定し、相間スイッチング素子32a,32b,32cの状態を遮断状態に維持する第2時間(オフ時間)T2を「時間Taに比べて十分に短い時間Tb」に設定した場合におけるq軸電流Iqの大きさは、破線W3により示したように変化する。即ち、この場合、q軸電流Iqの大きさは、電動アシストモータ21の回転速度ωの大きさがω2よりも大きいω3のときに、最大値Iq3となり(点Q3を参照。)、電動アシストモータ21の回転速度ωとω3との差の大きさが大きくなるに従い小さくなる。この場合、相間短絡回路の合成インピーダンスZは、第1インピーダンスZ1よりも大きい第2インピーダンスZ2になる。これは、ブレーキトルク増大制御において導通状態に維持されているアーム素子31及び相間スイッチング素子32の寄生容量(ストレーキャパシティ)の容量リアクタンスXc成分により、インピーダンスZが相間短絡制御中に比べて大きくなるためである。
更に、ブレーキトルク増大制御において、相間スイッチング素子32a,32b,32cの状態を導通状態に維持する第1時間T1を「時間Taよりも短い時間Tc」に設定し、相間スイッチング素子32a,32b,32cの状態を遮断状態に維持する第2時間T2を「時間Ta及び時間Tcに比べて十分に短い時間Tb」に設定した場合におけるq軸電流Iqの大きさは、実線W4により示したように変化する。即ち、この場合、q軸電流Iqの大きさは、電動アシストモータ21の回転速度ωの大きさがω3よりも大きいω4のときに、最大値Iq4となり(点Q4を参照。)、電動アシストモータ21の回転速度ωとω4との差の大きさが大きくなるに従い小さくなる。この場合、相間短絡回路の合成インピーダンスZは、第2インピーダンスZ2よりも大きい第3インピーダンスZ3になる。
以下において、一点鎖線W2により示されたq軸電流Iqの大きさをIqw2、破線W3により示されたq軸電流Iqの大きさをIqw3、実線W4により示されたq軸電流Iqの大きさをIqw4として表す。このとき、以下に述べる事象が発生していることが理解される。この事象の発生理由については後述する。
一点鎖線W2と破線W3とは、回転速度ωが第2回転速度閾値ω2thであるときに交差する(即ち、Iqw2とIqw3とは互いに等しくなる。)。
破線W3と実線W4とは、回転速度ωが第3回転速度閾値ω3thであるときに交差する(即ち、Iqw3とIqw4とは互いに等しくなる。)。
回転速度ωが第2回転速度閾値ω2thよりも小さい場合、Iqw2は、Iqw3及びIqw4の何れよりも大きい。
回転速度ωが第2回転速度閾値ω2th以上であり且つ第3回転速度閾値ω3th未満である場合、Iqw3は、Iqw2及びIqw4の何れよりも大きい。
回転速度ωが第3回転速度閾値ω3th以上である場合、Iqw4は、Iqw2及びIqw3の何れよりも大きい。
このように、Iqw2、Iqw3及びIqw4の大小関係が変化する理由は以下のように考えられる。即ち、上記式(4)に示したように、q軸電流Iqの値は、電動アシストモータ21の回転速度ω、相間短絡回路の抵抗Rにより変動する。上記式(4)から理解されるように、q軸電流Iqの値は、回転速度ωが小さい場合は、分母側に示された抵抗Rの影響が大きいため、抵抗Rの大きさが小さいほど、q軸電流Iqの大きさは大きくなる。ここで、抵抗Rは相間短絡回路の合成インピーダンスZと見なせる。従って、回転速度ωが小さい場合、合成インピーダンスZが最も小さい値(Z=Z1)となる相間短絡状態のときのq軸電流Iqの大きさ、即ち、一点鎖線W2により示されたIqw2の大きさが、Iqw3及びIqw4に比べて大きくなる。
更に、上記式(4)から理解されるように、回転速度ωが大きくなると、
Iq=−KeR/pωLdLq
が実質的に成立するので、q軸電流Iqの大きさは、式(4)の分子側に示された抵抗Rの影響を強く受ける。従って、回転速度ωが小さい場合とは逆に、回転速度ωが大きい場合のq軸電流Iqの値の大きさは、抵抗Rの大きさが相対的に大きい方が大きくなることが起こりえる。例えば、「合成インピーダンスZがZ1」である場合のIqw2と、「合成インピーダンスZがZ1より大きいZ2」である場合のIqw3と、の大小関係が、回転速度ωが第2回転速度閾値ω2thとなったときに反転するのは、このためと考えられる。また、「合成インピーダンスZがZ2」である場合のIqw3と、「合成インピーダンスZがZ2より大きいZ3」である場合のIqw4と、の大小関係が、回転速度ωが第3回転速度閾値ω3thとなったときに反転するのも、上述した理由によると考えられる。
ところで、上記式(6)から理解されるように、外部入力により電動アシストモータ21が回転速度ωで回転している際に相間短絡制御が実行されている場合、電動アシストモータ21が発生するブレーキトルクの大きさ(即ち、電動アシストモータ21の回転を抑制するトルクの大きさ)は、q軸電流Iq(<0)の大きさに比例する。更に、ブレーキトルク増大制御において、相間スイッチング素子32a,32b,32cの状態を遮断状態に維持する第2時間T2は短く設定されており、第2時間T2のときも電流は流れる。よって、ブレーキトルク増大制御は相間短絡制御と同様に電動アシストモータ21が相間短絡されていると見做してよい。従って、上記(6)式はブレーキトルク増大制御にも適用することができる。よって、ブレーキトルク増大制御が実行されている場合に電動アシストモータ21が発生するブレーキトルクの大きさもまたq軸電流Iqの大きさに比例する。
以上のことから、外部入力により電動アシストモータ21が回転速度ωで回転しているとき、q軸電流Iqの大きさが大きいほど、ブレーキトルクが大きくなることが理解される。
従って、ステアリングECU20は、回転速度ωが第2回転速度閾値ω2th未満の場合、相間短絡制御を実行する。第2回転速度閾値ω2thは、相間短絡制御の実行中に電動アシストモータ21が発生するブレーキトルクの大きさが最大値となる回転速度ω2よりも高い(大きい)回転速度である。
ステアリングECU20は、回転速度ωが第2回転速度閾値ω2th以上であり且つ第3回転速度閾値ω3th未満である場合、第1時間T1をTaに設定し且つ第2時間を「Taに対して十分に短いTb」に設定するブレーキトルク増大制御を行う。この制御は、便宜上、第1増大制御とも称呼される。
更に、ステアリングECU20は、回転速度ωが第3回転速度閾値ω3th以上である場合、第1時間T1を「Taよりも短いTc」に設定し且つ第2時間を「Tcに対して十分に短いTb」に設定するブレーキトルク増大制御を行う。この制御は、便宜上、第2増大制御とも称呼される。
この結果、本ステアリング装置は、逆入力状態が発生している場合、回転速度ωが高くなったときでも、大きなブレーキトルクを電動アシストモータ21に発生させることができる。よって、外部入力に起因するラックバー14を軸方向に移動させる力を早期に低減できるので、ラックバー14がストッパ部15aと高い速度にて衝突する可能性を低減でき、従って、ストッパ部15aが破損する可能性を低減することができる。
<具体的作動>
次に、ステアリングECU20のCPU(単に「CPU」と称呼する。)の具体的作動について説明する。CPUは、所定時間が経過する毎に図4のフローチャートにより示したルーチンを実行するようになっている。
CPUは、所定のタイミングになると、ステップ400から処理を開始してステップ405に進み、ブレーキ制御フラグXbの値が「0」であるか否かを判定する。ブレーキ制御フラグXbの値は、逆入力状態が発生して「相間短絡制御」及び「ブレーキトルク増大制御」の何れかが実行されているとき「1」に設定され(ステップ410、ステップ425を参照。)、逆入力状態が発生しておらず相間短絡制御及びブレーキトルク増大制御の何れもが実行されていないとき「0」に設定される(ステップ410、ステップ435、ステップ415を参照。)。なお、ブレーキ制御フラグXbの値は、自車両の図示しないイグニッション・キー・スイッチがオフ位置からオン位置になったときにCPUにより実行されるイニシャルルーチンにおいて「0」に設定されるようになっている。
現時点で、ブレーキ制御フラグXbの値が「0」であると仮定する。この場合、CPUはステップ405にて「Yes」と判定してステップ410に進み、上述した逆入力状態判定条件が成立しているか否かを判定することにより、逆入力状態が発生しているか否かを判定する。即ち、CPU(逆入力状態判定部20b)は、ステップ410にて、「電流ベクトル制御中に求められる電動アシストモータ21への入力電力Pо(=VqIq+VdId)が負であり(入力電力Pо<0)、且つ、電動アシストモータ21の回転速度ωが所定の第1回転速度閾値ω1th以上である(ω≧ω1th)」という逆入力状態判定条件が成立するか否かを判定する。
CPUは、逆入力状態判定条件が成立せずに逆入力状態が発生していないと判定した場合、ステップ410にて「No」と判定してステップ415に進み、ブレーキ制御フラグXbの値を「0」に設定(クリア)する。次いで、CPUはステップ420に進み、上述した通常の電流ベクトル制御を実行して、操舵アシストトルクをステアリング機構10に付与する。その後、CPUはステップ495に進んで本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、CPUは逆入力状態判定条件が成立しており逆入力状態が発生していると判定した場合、ステップ410にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ425乃至ステップ430の処理を順に行い、ステップ495に進んで本ルーチンを一旦終了する。
ステップ425:CPUは、ブレーキ制御フラグXbの値を「1」に設定する。
ステップ430:CPU(相間短絡制御部20c)は、通常の電流ベクトル制御を停止するとともに「相間短絡制御」を実行して、ブレーキトルクを発生させる。このとき、CPUは、第1相間短絡状態及び第2相間短絡状態の何れか一方を発生させてもよく、これらの状態を交互に途切れることなく発生させてもよい。
一方、ステップ425にてブレーキ制御フラグXbが「1」に設定された後、CPUがステップ405に進むと、CPUはそのステップ405にて「No」と判定してステップ435に進む。CPUは、ステップ435にて電動アシストモータ21の回転速度ωが第1回転速度閾値ω1th未満であるか否か判定する。
電動アシストモータ21の回転速度ωが第1回転速度閾値ω1th未満である場合、CPUはステップ435にて「Yes」と判定して、前述したステップ415及びステップ420の処理を実行した後、ステップ495に進んで本ルーチンを一旦終了する。従って、ブレーキ制御フラグXbが「1」に設定されている場合に回転速度ωが第1回転速度閾値ω1th未満になると、CPUはステップ420にて相間短絡制御(又は、ブレーキトルク増大制御)を停止して通常のベクトル制御を実行する。
一方、CPUがステップ435の処理を実行する時点において、電動アシストモータ21の回転速度ωが第1回転速度閾値ω1th以上である場合、CPUはそのステップ435にて「No」と判定して、ステップ440に進み、回転速度ωが第1回転速度閾値ω1th以上であり、且つ、第2回転速度閾値ω2th未満であるか否かを判定する。
回転速度ωが第1回転速度閾値ω1th以上であり、且つ、第2回転速度閾値ω2th未満である場合、CPUはステップ440にて「Yes」と判定して、ステップ445に進み、ステップ430と同様の「相間短絡制御」を実行する。その後、CPUは、ステップ495に進んで本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、CPUがステップ440の処理を実行する時点において、回転速度ωが第2回転速度閾値ω2th以上である場合、CPUはそのステップ440にて「No」と判定して、ステップ450に進み、回転速度ωが第2回転速度閾値ω2th以上であり、且つ、第3回転速度閾値ω3th未満であるか否かを判定する。
回転速度ωが第2回転速度閾値ω2th以上であり、且つ、第3回転速度閾値ω3th未満である場合、CPUはステップ450にて「Yes」と判定して、ステップ455に進み、第1時間T1を時間Taに設定し、第2時間T2を時間Tbに設定した上で、上述した「ブレーキトルク増大制御(第1増大制御)」を実行する。この処理が、ブレーキトルク増大制御部20dの機能に相当する。この結果、相間スイッチング素子32は、「時間Ta」だけ導通状態に設定された後に、「時間Tb」だけ遮断状態に設定される周期的な動作を繰り返す。その後、CPUは、ステップ495に進んで本ルーチンを一旦終了する。
一方、CPUがステップ450の処理を実行する時点において、回転速度ωが第3回転速度閾値ω3th以上である場合、CPUはそのステップ450にて「No」と判定して、ステップ460に進み、第1時間T1を時間Tc(<時間Ta)に設定し、第2時間T2を時間Tbに設定した上で、上述した「ブレーキトルク増大制御(第2増大制御)」を実行する。この処理も、ブレーキトルク増大制御部20dの機能に相当する。この結果、相間スイッチング素子32は、「時間Tc」だけ導通状態に設定された後に、「時間Tb」だけ遮断状態に設定される周期的な動作を繰り返す。その後、CPUは、ステップ495に進んで本ルーチンを一旦終了する。
その後、CPUは、ステップ495に進んで本ルーチンを一旦終了する。
以上、説明したように、本ステアリング装置は、逆入力状態が発生した場合、回転速度ωに応じて、相間短絡制御、ブレーキトルク増大制御(第1増大制御、第2増大制御)を実行する。従って、外部入力に抗する大きなブレーキトルクを発生させることができるので、ラックバー14がストッパ部15aと高い速度にて衝突する可能性を低減でき、従って、ストッパ部15aが破損する可能性を低減することができる。
<変形例>
次に、本発明の実施形態の変形例に係る電動パワーステアリング装置(以下、「本変形装置」と称呼される場合がある。)について図5を参照して説明する。本変形装置は、本ステアリング装置と略同一の構成を備え、更に、図4に示したルーチンを本ステアリング装置と同様に実行する。本変形装置は、モータ駆動回路30において、相間スイッチング素子32a,32b,32cのそれぞれに対して並列にコンデンサ37a,37b,37cのそれぞれが接続されている点においてのみ本ステアリング装置と相違している。なお、コンデンサ37a,37b,37cは、個々を特定する必要がない場合、「コンデンサ37」とも称呼される。
本変形装置によれば、相間短絡回路のインピーダンスZの調整を、コンデンサ37を用いてより容易に行うことができる。これは、コンデンサ37のキャパシタンスCを調整することにより、容量リアクタンスXcを容易に調整できるためである。
故に、本変形装置によれば、外部入力によって電動アシストモータ21が高速で回転する場合においても、電動アシストモータ21に大きなブレーキトルクを発生させることができ、その結果、ラックバー14を軸方向に移動させる力を早期に低減することができる。更に、簡単な構成で、逆入力状態時における相間短絡回路のインピーダンスZを容易に調整することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、本ステアリング装置は、ラックバー14に電動アシストモータ21を組みつけたラックアシストタイプの装置であるが、ステアリングシャフト12に電動アシストモータ21を組みつけたコラムアシストタイプの装置であっても良い。更に、ラック同軸式の電動式パワーステアリング装置のように、他の型式の電動式パワーステアリング装置であっても良い。
更に、インバータ駆動IC33及び/又はリレー駆動IC34は、ステアリングECU20に統合されていても良い。更に、インバータ駆動IC33及びリレー駆動IC34は互いに統合されていても良い。
更に、第2回転速度閾値ω2thは、相間短絡制御の実行中に電動アシストモータ21が発生するブレーキトルクの大きさが最大値となる回転速度ω2よりも高い回転速度であればよく、ブレーキ増大制御における第1時間(オン時間)T1は回転速度ωが大きくなるほど連続的に短くなるように変更されても良い。更に、第2時間(オフ時間)T2は、必ずしも一定値でなくても良い。
10…ステアリング機構、11…操舵ハンドル(ステアリングホイール)、12…ステアリングシャフト、14…ラックバー、16…タイロッド、20…ステアリングECU、21…電動アシストモータ、22…回転角センサ、23…操舵トルクセンサ、30…モータ駆動回路、31…アームスイッチング素子、32…相間スイッチング素子、35…車載電源、36…電流センサ。

Claims (1)

  1. 操舵ハンドルに連結されるステアリングシャフトと前記ステアリングシャフトに連結されるラックバーとを有し前記操舵ハンドルの操作により前記ラックバーを介して車両の操舵輪を操舵するステアリング機構と、
    前記ステアリング機構にトルクを付与するように配設された3相ブラシレスモータである電動アシストモータと、
    一端に電源電圧が印加される上アームスイッチング素子及び一端が接地された下アームスイッチング素子を含むとともに当該上アームスイッチング素子の他端と当該下アームスイッチング素子の他端とが接続点にて接続された直列回路を3つ有する3相ブリッジ回路と、3つの相間スイッチング素子と、を有し、前記3つの直列回路の接続点のそれぞれが前記3つの相間スイッチング素子のそれぞれを介して前記電動アシストモータのそれぞれの相のコイルに接続されたモータ駆動回路と、
    前記上アームスイッチング素子、前記下アームスイッチング素子及び前記相間スイッチング素子のそれぞれの状態を、導通状態と遮断状態との間で切替えることにより、前記電動アシストモータを制御して前記ステアリング機構に前記トルクを付与するコントローラと、
    を備える電動パワーステアリング装置であって、
    前記コントローラは、
    前記電動アシストモータの回転速度を取得する回転速度取得部と、
    前記操舵輪から前記ステアリング機構に外部入力が入力されており且つ前記回転速度が第1回転速度閾値以上である逆入力状態が発生しているか否かを判定する逆入力状態判定部と、
    前記逆入力状態が発生したと判定された場合、前記3つの相間スイッチング素子及び前記上アームスイッチング素子の総ての状態を導通状態に設定するとともに前記下アームスイッチング素子の総ての状態を遮断状態に設定することにより前記電動アシストモータの3つの相のコイルを互いに接続させた第1相間短絡状態、及び、前記3つの相間スイッチング素子及び前記下アームスイッチング素子の総ての状態を導通状態に設定するとともに前記上アームスイッチング素子の総ての状態を遮断状態に設定することにより前記電動アシストモータの3つの相のコイルを互いに接続させた第2相間短絡状態、の何れかの状態を発生させる、相間短絡制御部と、
    前記第1相間短絡状態又は前記第2相間短絡状態が発生している場合に前記回転速度が前記第1回転速度閾値よりも大きい第2回転速度閾値以上となったとき、前記上アームスイッチング素子の総て及び前記下アームスイッチング素子の総ての何れか一方の状態を導通状態に設定し、前記上アームスイッチング素子の総て及び前記下アームスイッチング素子の総ての何れか他方の状態を遮断状態に設定し、且つ、前記3つの相間スイッチング素子の総ての状態を第1時間だけ導通状態に設定した後に当該第1時間よりも短い第2時間だけ一時的に遮断状態に設定する動作を繰り返し行う、ブレーキトルク増大制御部と、
    を含む
    電動パワーステアリング装置。

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