JP2018090840A - 熱交換器用アルミニウム合金フィン材、当該熱交換器用アルミニウム合金フィン材を用いた熱交換器用アルミニウム合金フィン材コイル、当該熱交換器用アルミニウム合金フィン材又は熱交換器用アルミニウム合金フィン材コイルを用いて製造されるコルゲートフィン材、ならびに、これらコルゲートフィン材を用いて製造される熱交換器 - Google Patents
熱交換器用アルミニウム合金フィン材、当該熱交換器用アルミニウム合金フィン材を用いた熱交換器用アルミニウム合金フィン材コイル、当該熱交換器用アルミニウム合金フィン材又は熱交換器用アルミニウム合金フィン材コイルを用いて製造されるコルゲートフィン材、ならびに、これらコルゲートフィン材を用いて製造される熱交換器 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】ろう付性、犠牲陽極効果、耐高温座屈性を確保すると共に、巻きグセが少なく成形性に優れる熱交換器用アルミニウム合金フィン材の提供。【解決手段】単層で加熱接合機能を有し、所定の合金組成を有するアルミニウム合金からなり、厚さtが0.02〜0.20mm、0.2%耐力YS(MPa)と引張強度TS(MPa)の比YS/TSが0.75〜0.99、厚さtと0.2%耐力YSの比t/YS(mm/MPa)が0.00012〜0.00300である熱交換器用アルミニウム合金フィン材。当該熱交換器用アルミニウム合金フィン材をコイル状に巻き取った熱交換器用アルミニウム合金フィン材コイル、当該熱交換器用アルミニウム合金フィン材又は熱交換器用アルミニウム合金フィン材コイルを用いて製造されるコルゲートフィン材、これらコルゲートフィン材を用いて製造される熱交換器。【選択図】なし
Description
本発明は、単層で加熱接合機能を有し成形性に優れた熱交換器用アルミニウム合金フィン材、当該熱交換器用アルミニウム合金フィン材をコイル状に巻き取った熱交換器用アルミニウム合金フィン材コイル、当該熱交換器用アルミニウム合金フィン材又は熱交換器用アルミニウム合金フィン材コイルを用いて製造されるコルゲートフィン材、ならびに、これらコルゲートフィン材を用いて製造される熱交換器に関する。
アルミニウム製熱交換器は、自動車用熱交換器や空調用熱交換器などに広く用いられている。これらのアルミニウム製熱交換器は、純アルミニウム又はアルミニウム合金からなる偏平多穴管等のアルミニウム管体(作動流体通路材)の表面に、成形加工されたアルミニウム合金フィン材又は単層で加熱接合機能を有するフィン材を組付けた状態で約600℃の高温でろう付することで製造されている。ろう付においては、塩化物系フラックスを塗布し大気又は非酸化性雰囲気でろう付する方法、フッ化物系フラックスを塗布し非酸化性雰囲気でろう付する方法、或いは、フラックスを塗布せずに真空中でろう付する方法がある。
特許文献1に記載のように、これらのろう付においては、アルミニウム合金フィン材又は単層で加熱接合機能を有するフィン材には、溶融ろうによる良好なろう付性のみならず、作動流体通路構成材料を防食するための犠牲陽極効果が求められる。また、ろう付加熱時に変形せず、溶融ろうによる侵食もない耐高温座屈性も要求される。
一方で、ろう付の前工程で行われるアルミニウム合金フィン材又は単層で加熱接合機能を有するフィン材の成形加工は、コイル状に巻き取られたフィン材を巻きほぐしながら、連続的に成形加工ラインに投入する形式で行われることが多い。その際、フィン材は板厚が薄いため、コイル状に巻き取った際のフィン材の巻きグセが問題となることは少なかった。
しかしながら、近年、熱交換器の高性能化や軽量化が求められるにつれ、フィン材の成形加工の難易度が上がり、成形精度を確保することが難しくなってきている。その際、これまで問題となっていなかったフィン材における巻きグセの影響が無視できなくなることがある。例えば、フィン材を波型に成形するコルゲート加工の場合、より高速で加工する、フィンピッチを狭くする、フィン高さを高くするなどの変更を行った際に、巻きグセの影響により波形状が非対称になってしまうという問題が生じることがある。それにより、熱交換器の製造性が低下し歩留まりが悪化してしまう虞や、フィン形状の乱れによる熱交換性能低下の虞がある。
上記問題を解決するため、本発明者らは種々検討を行った結果、所定の組成を有する単層で加熱接合機能を有するフィン材においては、厚さtと引張強度TSと0.2%耐力YSの関係を適切に制御することで、巻きグセを抑制できることを見出した。
本発明は、上記の知見に基づいてなされたものであり、その目的は、基本的なろう付性、犠牲陽極効果、耐高温座屈性を確保すると共に、巻きグセが少なく成形性に優れる単層で加熱接合機能を有する熱交換器用アルミニウム合金フィン材、当該熱交換器用アルミニウム合金フィン材をコイル状に巻き取った熱交換器用アルミニウム合金フィン材コイル、当該熱交換器用アルミニウム合金フィン材又は熱交換器用アルミニウム合金フィン材コイルを用いて製造されるコルゲートフィン材、ならびに、これらコルゲートフィン材を用いて製造される熱交換器を提供することにある。
上記の目的を達成するため、本発明は請求項1において、単層で加熱接合機能を有する熱交換器用アルミニウム合金フィン材において、Si:1.5〜5.0mass%、Fe:0.01〜2.00%、Mn:0.05〜2.00mass%、Zn:0.05〜6.00mass%を含有し、Mn含有量をCMn(mass%)、Fe含有量をCFe(mass%)としたときに、0.20≦CMn+CFe≦2.10を満たし、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金からなり、当該アルミニウム合金フィン材において、その厚さtが0.02〜0.20mmであり、0.2%耐力YS(MPa)と引張強度TS(MPa)の比YS/TSが0.75〜0.99であり、前記厚さtと0.2%耐力YSの比t/YS(mm/MPa)が0.00012〜0.00300であることを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金フィン材とした。
本発明は請求項2では請求項1において、前記アルミニウム合金が、Mg:2.00mass%以下、Cu:1.50mass%以下、Ni:2.00mass%以下、Cr:0.30mass%以下、Zr:0.30mass%以下、Ti:0.30mass%以下及びV:0.30mass%以下から選択される1種又は2種以上を更に含有するものとした。
本発明は請求項3では請求項1又は2において、前記アルミニウム合金が、In:0.300mass%以下及びSn:0.300mass%以下の1種又は2種を更に含有するものとした。
本発明は請求項4では請求項1〜3のいずれか一項において、前記アルミニウム合金が、Be:0.0001〜0.1000mass%、Sr:0.0001〜0.1000mass%、Bi:0.0001〜0.1000mass%、Na:0.0001〜0.1000mass%及びCa:0.0001〜0.0500%から選択される1種又は2種以上を更に含有するものとした。
本発明は請求項5において、請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱交換器用アルミニウム合金フィン材をコイル状に巻き取った熱交換器用アルミニウム合金フィン材コイルであって、当該コイル全体の0.2%耐力をYSA(MPa)、コイル内径をR(mm)、フィン材の厚さをt(mm)、ヤング率をY(MPa)としたときに、(t×Y)/[YSA×(R/2)]≦1.00を満たすことを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金フィン材コイルとした。
本発明は請求項6では請求項5において、コイル外周部の0.2%耐力とコイル内周部の0.2%耐力の差の絶対値が10MPa以下であるものとした。
本発明は請求項7において、請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱交換器用アルミニウム合金フィン材、又は、請求項5又は6に記載の熱交換器用アルミニウム合金フィン材コイルを用いて製造されることを特徴とするコルゲートフィン材とした。
本発明は請求項8において、請求項7に記載のコルゲートフィン材を用いて製造されることを特徴とする熱交換器とした。
本発明によれば、熱交換器用アルミニウム合金フィン材、ならびに、熱交換器用アルミニウム合金フィン材コイルに基本的に要求されるろう付性、犠牲陽極作用及び耐高温座屈性を確保するとともに、巻きグセが抑制され、成形性に優れた熱交換器用アルミニウム合金フィン材、ならびに、熱交換器用アルミニウム合金フィン材コイルが提供される。更に、当該アルミニウム合金フィン材、ならびに、熱交換器用アルミニウム合金フィン材コイルを使用することにより、難易度の高い成形加工を施されても寸法精度の良いフィン材が得られる。それにより、当該熱交換器用アルミニウム合金フィン材、ならびに、熱交換器用アルミニウム合金フィン材コイルを使用したコルゲートフィン材及び熱交換器では、安定的な製造が可能になり、熱交換性能などの諸特性を設計通りに得ることができる。
1.熱交換器用アルミニウム合金フィン材
以下に、本発明を実施の形態に基づき詳細に説明する。まず、本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金フィン材について説明する。
以下に、本発明を実施の形態に基づき詳細に説明する。まず、本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金フィン材について説明する。
最初に、本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金フィン材に用いるアルミニウム合金の合金組成、ならびに、その限定理由について説明する。
1−1.合金組成
用いるアルミニウム合金は、Si、Mn、Fe、Znを必須元素とし、Mg、Cu、Ni、Cr、Zr、Ti、Vを第一の選択添加元素とし、In、Snを第二の選択添加元素とし、Be、Sr、Bi、Na、Caを第三の選択添加元素とし、残部Al及び不可避的不純物とするものである。
用いるアルミニウム合金は、Si、Mn、Fe、Znを必須元素とし、Mg、Cu、Ni、Cr、Zr、Ti、Vを第一の選択添加元素とし、In、Snを第二の選択添加元素とし、Be、Sr、Bi、Na、Caを第三の選択添加元素とし、残部Al及び不可避的不純物とするものである。
Si:
SiはAl−Si系の液相を生成し、接合に寄与する元素である。但し、Si含有量が1.5mass%(以下、単に「%」と記す)未満の場合は、十分な量の液相を生成することができず、液相の染み出し量が少なくなり接合が不完全となる。一方、Si含有量が5.0%を超えると、アルミニウム合金材中のSi粒子が多くなり、液相の生成量が多くなる。その結果、加熱中の材料強度が極端に低下し、フィン材としての形状維持が困難となる。従って、Si含有量を1.5〜5.0%に規定する。Si含有量は、好ましくは1.6〜3.5%であり、より好ましくは2.0〜3.0%である。なお、染み出す液相の量は厚さが厚く、加熱温度が高いほど多くなるので、加熱時に必要とする液相の量は、製造する熱交換器のフィンの構造・寸法に応じて必要となるSi量や接合加熱温度を調整することが望ましい。
SiはAl−Si系の液相を生成し、接合に寄与する元素である。但し、Si含有量が1.5mass%(以下、単に「%」と記す)未満の場合は、十分な量の液相を生成することができず、液相の染み出し量が少なくなり接合が不完全となる。一方、Si含有量が5.0%を超えると、アルミニウム合金材中のSi粒子が多くなり、液相の生成量が多くなる。その結果、加熱中の材料強度が極端に低下し、フィン材としての形状維持が困難となる。従って、Si含有量を1.5〜5.0%に規定する。Si含有量は、好ましくは1.6〜3.5%であり、より好ましくは2.0〜3.0%である。なお、染み出す液相の量は厚さが厚く、加熱温度が高いほど多くなるので、加熱時に必要とする液相の量は、製造する熱交換器のフィンの構造・寸法に応じて必要となるSi量や接合加熱温度を調整することが望ましい。
Fe:
Feはマトリクスに若干固溶して強度を向上させる効果を有するのに加えて、晶出物や析出物として分散して、特に高温での強度低下を防止する効果を有する。Fe含有量が0.01%未満の場合には、上記効果が十分に得られないだけでなく、高純度の地金を使用する必要があり材料コストの増加を招く。一方、Fe含有量が2.00%を超えると、鋳造時に粗大な金属間化合物が生成するので製造性に問題が生じる。また、本接合体が腐食環境(特に腐食性液体が流動するような腐食環境)に曝される場合には、耐食性が低下する。更に、接合時の加熱によって再結晶した結晶粒が微細化して粒界密度が増加するため、接合中の変形量が増大することで接合前後の寸法変化が大きくなってしまう。従って、Fe含有量を0.01〜2.00%に規定する。Fe含有量は、好ましくは0.10〜0.60%である。
Feはマトリクスに若干固溶して強度を向上させる効果を有するのに加えて、晶出物や析出物として分散して、特に高温での強度低下を防止する効果を有する。Fe含有量が0.01%未満の場合には、上記効果が十分に得られないだけでなく、高純度の地金を使用する必要があり材料コストの増加を招く。一方、Fe含有量が2.00%を超えると、鋳造時に粗大な金属間化合物が生成するので製造性に問題が生じる。また、本接合体が腐食環境(特に腐食性液体が流動するような腐食環境)に曝される場合には、耐食性が低下する。更に、接合時の加熱によって再結晶した結晶粒が微細化して粒界密度が増加するため、接合中の変形量が増大することで接合前後の寸法変化が大きくなってしまう。従って、Fe含有量を0.01〜2.00%に規定する。Fe含有量は、好ましくは0.10〜0.60%である。
Mn:
Mnは、SiやFeとともにAl−Mn−Si系、Al−Mn−Fe−Si系、Al−Mn−Fe系の金属間化合物を形成して分散強化として作用し、或いは、アルミニウム母相中に固溶して固溶強化として作用することにより強度を向上させる重要な添加元素である。Mn含有量が2.00%を超えると、粗大金属間化合物が形成され易くなり耐食性を低下させる。一方、Mn含有量が0.05%未満では、上記効果が十分に得られない。従って、Mn含有量を0.05〜2.00%に規定する。Mn含有量は、好ましくは0.10〜1.50%である。
Mnは、SiやFeとともにAl−Mn−Si系、Al−Mn−Fe−Si系、Al−Mn−Fe系の金属間化合物を形成して分散強化として作用し、或いは、アルミニウム母相中に固溶して固溶強化として作用することにより強度を向上させる重要な添加元素である。Mn含有量が2.00%を超えると、粗大金属間化合物が形成され易くなり耐食性を低下させる。一方、Mn含有量が0.05%未満では、上記効果が十分に得られない。従って、Mn含有量を0.05〜2.00%に規定する。Mn含有量は、好ましくは0.10〜1.50%である。
Zn:
Znは、犠牲防食作用による耐食性向上に有効な元素である。Znは、マトリクス中にほぼ均一に固溶して自然電位を卑化させる作用を有する。本発明に係るフィン材を卑化させることで、接合しているチューブの腐食を相対的に抑制する犠牲防食作用を発揮させることができる。Zn含有量が0.05%未満の場合は、電位卑化の効果が不十分となる。一方、Zn含有量が6.00%を超える場合は、腐食速度が速くなって自己耐食性が低下し、犠牲防食作用も低減する。従って、Zn含有量を0.05〜6.00%に規定する。Zn含有量は、好ましくは0.10%〜5.00%である。
Znは、犠牲防食作用による耐食性向上に有効な元素である。Znは、マトリクス中にほぼ均一に固溶して自然電位を卑化させる作用を有する。本発明に係るフィン材を卑化させることで、接合しているチューブの腐食を相対的に抑制する犠牲防食作用を発揮させることができる。Zn含有量が0.05%未満の場合は、電位卑化の効果が不十分となる。一方、Zn含有量が6.00%を超える場合は、腐食速度が速くなって自己耐食性が低下し、犠牲防食作用も低減する。従って、Zn含有量を0.05〜6.00%に規定する。Zn含有量は、好ましくは0.10%〜5.00%である。
CMn+CFe:
MnとFeは共に、AlやSiと反応して金属間化合物を形成する。形成された晶析出物は分散粒子として材料の強度や成形性に寄与する。ここで、Mn含有量をCMn(%)、Fe含有量をCFe(%)として、CMn+CFeが0.20未満であると、金属間化合物の分散粒子が少な過ぎて、ろう付後の再結晶粒が粗大化せず耐高温座屈性が低下する。また、強度が低下するため、0.2%耐力(YS)が小さくなり過ぎる。一方、CMn+CFeが2.10を超えると、金属間化合物の分散粒子が多過ぎて伸びが低下して成形性が低下し、また、製造性が低下する。従って、CMn+CFeを0.20〜2.10に規定する。CMn+CFeは、好ましくは0.50〜1.80である。
MnとFeは共に、AlやSiと反応して金属間化合物を形成する。形成された晶析出物は分散粒子として材料の強度や成形性に寄与する。ここで、Mn含有量をCMn(%)、Fe含有量をCFe(%)として、CMn+CFeが0.20未満であると、金属間化合物の分散粒子が少な過ぎて、ろう付後の再結晶粒が粗大化せず耐高温座屈性が低下する。また、強度が低下するため、0.2%耐力(YS)が小さくなり過ぎる。一方、CMn+CFeが2.10を超えると、金属間化合物の分散粒子が多過ぎて伸びが低下して成形性が低下し、また、製造性が低下する。従って、CMn+CFeを0.20〜2.10に規定する。CMn+CFeは、好ましくは0.50〜1.80である。
Mg:
Mgは、接合加熱後においてMg2Siによる時効硬化を生じさせ、この時効硬化によって強度向上が図られる。このように、Mgは強度向上の効果を発揮する添加元素である。Mg含有量が2.00%を超えると、フラックスと反応して、高融点の化合物を形成するため接合性が著しく低下する。従って、Mg含有量を2.00%以下に規定する。なお、Mg含有量は0%であってもよい。Mg含有量は、好ましくは0.05〜2.00%である。
Mgは、接合加熱後においてMg2Siによる時効硬化を生じさせ、この時効硬化によって強度向上が図られる。このように、Mgは強度向上の効果を発揮する添加元素である。Mg含有量が2.00%を超えると、フラックスと反応して、高融点の化合物を形成するため接合性が著しく低下する。従って、Mg含有量を2.00%以下に規定する。なお、Mg含有量は0%であってもよい。Mg含有量は、好ましくは0.05〜2.00%である。
Cu:
Cuは、マトリクス中に固溶して強度向上させる添加元素である。Cu含有量が1.50%を超えると、耐食性が低下する。従って、Cu含有量を1.50%以下に規定する。なお、Cu含有量は0%であってもよい。Cu含有量は、好ましくは0.05〜1.50%である。
Cuは、マトリクス中に固溶して強度向上させる添加元素である。Cu含有量が1.50%を超えると、耐食性が低下する。従って、Cu含有量を1.50%以下に規定する。なお、Cu含有量は0%であってもよい。Cu含有量は、好ましくは0.05〜1.50%である。
Ni:
Niは、金属間化合物として晶出又は析出し、分散強化によって接合後の強度を向上させる効果を有する。Ni含有量が2.00%を超えると、粗大な金属間化合物を形成し易くなり加工性を低下させ、また、自己耐食性も低下する。従って、Ni含有量を2.00%以下に規定する。なお、Ni含有量は0%であってもよい。Ni含有量は、好ましくは0.05〜2.00%である。
Niは、金属間化合物として晶出又は析出し、分散強化によって接合後の強度を向上させる効果を有する。Ni含有量が2.00%を超えると、粗大な金属間化合物を形成し易くなり加工性を低下させ、また、自己耐食性も低下する。従って、Ni含有量を2.00%以下に規定する。なお、Ni含有量は0%であってもよい。Ni含有量は、好ましくは0.05〜2.00%である。
Cr:
Crは、固溶強化により強度を向上させ、また、Al−Cr系の金属間化合物が析出し、加熱後の結晶粒粗大化に作用する。Cr含有量が0.30%を超えると、粗大な金属間化合物を形成し易くなり塑性加工性を低下させる。従って、Cr含有量を0.30%以下に規定する。なお、Ni含有量は0%であってもよい。Cr含有量は、好ましくは0.05〜0.30%である。
Crは、固溶強化により強度を向上させ、また、Al−Cr系の金属間化合物が析出し、加熱後の結晶粒粗大化に作用する。Cr含有量が0.30%を超えると、粗大な金属間化合物を形成し易くなり塑性加工性を低下させる。従って、Cr含有量を0.30%以下に規定する。なお、Ni含有量は0%であってもよい。Cr含有量は、好ましくは0.05〜0.30%である。
Zr:
Zrは、Al−Zr系の金属間化合物として析出し、分散強化によって接合後の強度を向上させる効果を発揮する。また、Al−Zr系の金属間化合物は加熱中の結晶粒粗大化に作用する。Zr含有量が0.30%を超えると、粗大な金属間化合物を形成し易くなり塑性加工性を低下させる。従って、Zr含有量を0.30%以下に規定する。なお、Zr含有量は0%であってもよい。Zr含有量は、好ましくは0.05〜0.30%である。
Zrは、Al−Zr系の金属間化合物として析出し、分散強化によって接合後の強度を向上させる効果を発揮する。また、Al−Zr系の金属間化合物は加熱中の結晶粒粗大化に作用する。Zr含有量が0.30%を超えると、粗大な金属間化合物を形成し易くなり塑性加工性を低下させる。従って、Zr含有量を0.30%以下に規定する。なお、Zr含有量は0%であってもよい。Zr含有量は、好ましくは0.05〜0.30%である。
Ti、V:
Ti及びVは、マトリクス中に固溶して強度向上させる他に、層状に分布して厚さ方向における腐食の進展を防止する効果を有する。Ti、Vの含有量がそれぞれ0.30%を超えると、巨大晶出物が発生し、成形性、耐食性を阻害する。従って、Ti、Vの含有量をそれぞれ、0.30%以下に規定する。なお、Ti、Vの含有量はそれぞれ0%であってもよい。Ti、Vの含有量はそれぞれ、好ましくは0.05〜0.30%である。
Ti及びVは、マトリクス中に固溶して強度向上させる他に、層状に分布して厚さ方向における腐食の進展を防止する効果を有する。Ti、Vの含有量がそれぞれ0.30%を超えると、巨大晶出物が発生し、成形性、耐食性を阻害する。従って、Ti、Vの含有量をそれぞれ、0.30%以下に規定する。なお、Ti、Vの含有量はそれぞれ0%であってもよい。Ti、Vの含有量はそれぞれ、好ましくは0.05〜0.30%である。
Sn、In:
Sn、Inはともに、犠牲陽極作用を発揮する効果を有する。Sn、Inの含有量がそれぞれ0.30%を超えると、腐食速度が速くなり自己耐食性が低下する。従って、Sn、Inの含有量をそれぞれ、0.30%以下に規定する。なお、Sn、Inの含有量はそれぞれ0%であってもよい。Sn、Inの含有量はそれぞれ、好ましくは0.05〜0.30%である。
Sn、Inはともに、犠牲陽極作用を発揮する効果を有する。Sn、Inの含有量がそれぞれ0.30%を超えると、腐食速度が速くなり自己耐食性が低下する。従って、Sn、Inの含有量をそれぞれ、0.30%以下に規定する。なお、Sn、Inの含有量はそれぞれ0%であってもよい。Sn、Inの含有量はそれぞれ、好ましくは0.05〜0.30%である。
Be、Sr、Bi、Na、Ca:
Be、Sr、Bi、Na及びCaは、Si粒子の微細分散や液相の特性改善による流動性向上等によって接合性を更に向上させる効果を有する。これら各元素の含有量は、Be:0.0001〜0.1000%、Sr:0.0001〜0.1000%、Bi:0.0001〜0.1000%、Na:0.0001〜0.1000%、Ca:0.0001〜0.0500%として規定され、好ましくは、Be:0.0005〜0.01%、Sr:0.0005〜0.01%、Bi0.0005〜0.01%、Na:0.0005〜0.01%、Ca:0.0005〜0.01%であり、これら元素の1種又は2種以上が必要に応じて添加される。これらの各微量元素は、上記規定された範囲未満ではその効果が十分に得られず、上記規定された範囲を超えると耐食性低下等の弊害を生じる。なお、Be、Sr、Bi、Na、Caの1種又は2種以上が添加される場合には、各元素のいずれもが上記含有量の規定された範囲内にあることを必要とする。
Be、Sr、Bi、Na及びCaは、Si粒子の微細分散や液相の特性改善による流動性向上等によって接合性を更に向上させる効果を有する。これら各元素の含有量は、Be:0.0001〜0.1000%、Sr:0.0001〜0.1000%、Bi:0.0001〜0.1000%、Na:0.0001〜0.1000%、Ca:0.0001〜0.0500%として規定され、好ましくは、Be:0.0005〜0.01%、Sr:0.0005〜0.01%、Bi0.0005〜0.01%、Na:0.0005〜0.01%、Ca:0.0005〜0.01%であり、これら元素の1種又は2種以上が必要に応じて添加される。これらの各微量元素は、上記規定された範囲未満ではその効果が十分に得られず、上記規定された範囲を超えると耐食性低下等の弊害を生じる。なお、Be、Sr、Bi、Na、Caの1種又は2種以上が添加される場合には、各元素のいずれもが上記含有量の規定された範囲内にあることを必要とする。
その他の元素:
上記アルミニウム合金には、不可避的不純物として、それぞれ0.3%以下のGa、Pb、Liを全体で0.3%以下含有されていても、本発明の効果を損なうことはない。
上記アルミニウム合金には、不可避的不純物として、それぞれ0.3%以下のGa、Pb、Liを全体で0.3%以下含有されていても、本発明の効果を損なうことはない。
1−2.厚さt
本発明においては、熱交換器用アルミニウム合金フィン材の厚さを0.02〜0.20mmに規定する。この厚さが0.02mm未満では、フィン材自体の強度が不足して成形時の割れや破断が起こり易くなる。また、熱交換器として組み立てた際に、形状維持が困難となる。一方、この厚さが0.20mmを超えると、コイル巻き取り時に巻きグセが発生し易くなり成形加工時の寸法精度が低下する。この厚さは、好ましくは0.04〜1.20mmである。
本発明においては、熱交換器用アルミニウム合金フィン材の厚さを0.02〜0.20mmに規定する。この厚さが0.02mm未満では、フィン材自体の強度が不足して成形時の割れや破断が起こり易くなる。また、熱交換器として組み立てた際に、形状維持が困難となる。一方、この厚さが0.20mmを超えると、コイル巻き取り時に巻きグセが発生し易くなり成形加工時の寸法精度が低下する。この厚さは、好ましくは0.04〜1.20mmである。
1−3.0.2%耐力(YS)と引張強度(TS)の比(YS/TS)
本発明では、熱交換器用アルミニウム合金フィン材における0.2%耐力YS(MPa)と引張強度TS(MPa)との比YS/TSを、0.75〜0.99に規定する。このYS/TSが0.75未満では、YSが不足し巻きグセが発生し易くなり、又は、TSが過大となり成形が困難となる。一方、このYS/TSが0.99を超えると、加工度が高過ぎて伸びが低下して成形が困難となる。このYS/TSは、好ましくは0.90〜0.98である。
本発明では、熱交換器用アルミニウム合金フィン材における0.2%耐力YS(MPa)と引張強度TS(MPa)との比YS/TSを、0.75〜0.99に規定する。このYS/TSが0.75未満では、YSが不足し巻きグセが発生し易くなり、又は、TSが過大となり成形が困難となる。一方、このYS/TSが0.99を超えると、加工度が高過ぎて伸びが低下して成形が困難となる。このYS/TSは、好ましくは0.90〜0.98である。
1−4.厚さ(t)と0.2%耐力(YS)の比(t/YS)
本発明では、熱交換器用アルミニウム合金フィン材の厚さt(mm)と0.2%耐力YS(MPa)の比t/YS(mm/MPa)を、0.00012〜0.00300に規定する。このt/YSが0.00012未満では、0.2%耐力に対するフィン材の厚さが薄過ぎて伸びが低下し、成形加工が困難となる。一方、このt/YSが0.00300を超えると、0.2%耐力に対してフィン材の厚さが厚過ぎて巻きグセが発生する。このt/YSは、好ましくは0.00020〜0.00250である。
本発明では、熱交換器用アルミニウム合金フィン材の厚さt(mm)と0.2%耐力YS(MPa)の比t/YS(mm/MPa)を、0.00012〜0.00300に規定する。このt/YSが0.00012未満では、0.2%耐力に対するフィン材の厚さが薄過ぎて伸びが低下し、成形加工が困難となる。一方、このt/YSが0.00300を超えると、0.2%耐力に対してフィン材の厚さが厚過ぎて巻きグセが発生する。このt/YSは、好ましくは0.00020〜0.00250である。
2.熱交換器用アルミニウム合金フィン材コイル
次に、本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金フィン材をコイル状に巻き取った熱交換器用アルミニウム合金フィン材コイルについて説明する。
次に、本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金フィン材をコイル状に巻き取った熱交換器用アルミニウム合金フィン材コイルについて説明する。
2−1.コイル内径R
本発明においては、熱交換器用アルミニウム合金フィン材コイルのコイル内径Rは特に制約されるものではないが、操作上の制約から実質的には100〜900mmの範囲とするのが好ましく、300〜650mmとするのがより好ましい。ここで、コイル内径Rとは、熱交換器用アルミニウム合金フィン材がコイル状に巻き取られた際の、最も内側の径をいうものとする。従って、コイル内径Rは巻き取りスプールの外径に相当する。
本発明においては、熱交換器用アルミニウム合金フィン材コイルのコイル内径Rは特に制約されるものではないが、操作上の制約から実質的には100〜900mmの範囲とするのが好ましく、300〜650mmとするのがより好ましい。ここで、コイル内径Rとは、熱交換器用アルミニウム合金フィン材がコイル状に巻き取られた際の、最も内側の径をいうものとする。従って、コイル内径Rは巻き取りスプールの外径に相当する。
2−2.コイル形状と強度との関係
また、本発明においては、コイルにおけるフィン材の厚さをt(mm)及びコイル内径をR(mm)として、コイル全体における0.2%耐力をYSA(MPa)及びヤング率をY(MPa)として、これらが、(t×Y)/[YSA×(R/2)]≦1.00の関係式を満たすことにより、コイルの巻きグセの抑制が可能となる。ここで、上記関係式の左辺の数値が1.00を超える場合には、コイルの巻きグセが抑制できない。なお、上記関係式の左辺の数値は、好ましくは0.80以下である。上記関係式の左辺の数値の下限値は、特に限定されるものではないが、通常、0.01以下とするのは工業的に困難である。
また、本発明においては、コイルにおけるフィン材の厚さをt(mm)及びコイル内径をR(mm)として、コイル全体における0.2%耐力をYSA(MPa)及びヤング率をY(MPa)として、これらが、(t×Y)/[YSA×(R/2)]≦1.00の関係式を満たすことにより、コイルの巻きグセの抑制が可能となる。ここで、上記関係式の左辺の数値が1.00を超える場合には、コイルの巻きグセが抑制できない。なお、上記関係式の左辺の数値は、好ましくは0.80以下である。上記関係式の左辺の数値の下限値は、特に限定されるものではないが、通常、0.01以下とするのは工業的に困難である。
2−3.コイル外周部と内周部の耐力差
本発明においては、コイル外周部におけるフィン材の0.2%耐力(MPa)と、コイル内周部におけるフィン材の0.2%耐力(MPa)の差の絶対値が、10MPa以下であることが好ましい。上記絶対値を10MPa以下とすることによって、コイルの成形性を向上させることが可能となる。この差の絶対値が10MPaを超える場合は、コイルの外周部と内周部における巻きグセが異なり、安定した成形性が得られない。なお、上記絶対値は、より好ましくは8MPa以下である。この絶対値の下限値は、特に限定されるものではない。
本発明においては、コイル外周部におけるフィン材の0.2%耐力(MPa)と、コイル内周部におけるフィン材の0.2%耐力(MPa)の差の絶対値が、10MPa以下であることが好ましい。上記絶対値を10MPa以下とすることによって、コイルの成形性を向上させることが可能となる。この差の絶対値が10MPaを超える場合は、コイルの外周部と内周部における巻きグセが異なり、安定した成形性が得られない。なお、上記絶対値は、より好ましくは8MPa以下である。この絶対値の下限値は、特に限定されるものではない。
3.熱交換器用アルミニウム合金フィン材の製造方法
次に、本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金フィン材の製造方法について説明する。
次に、本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金フィン材の製造方法について説明する。
3−1.鋳造
本発明に係るアルミニウム合金フィン材は、DC鋳造法又は連続鋳造法によって鋳造される。本発明に係るアルミニウム合金フィン材の鋳造は、基本的には常法に従ってものとしてよいが、鋳造後の加熱条件に留意する必要がある。
本発明に係るアルミニウム合金フィン材は、DC鋳造法又は連続鋳造法によって鋳造される。本発明に係るアルミニウム合金フィン材の鋳造は、基本的には常法に従ってものとしてよいが、鋳造後の加熱条件に留意する必要がある。
3−1−1.DC鋳造法を用いる場合
DC鋳造法で鋳造したスラブは、熱間圧延工程前の加熱工程、熱間圧延工程、冷間圧延工程及び焼鈍工程にかけられる。鋳造後、熱間圧延工程前に均質化処理を施してもよい。
DC鋳造法で鋳造したスラブは、熱間圧延工程前の加熱工程、熱間圧延工程、冷間圧延工程及び焼鈍工程にかけられる。鋳造後、熱間圧延工程前に均質化処理を施してもよい。
DC鋳造法で鋳造したスラブは、均質化処理工程後又は均質化処理工程を施さずに、熱間圧延工程前の加熱工程にかけられる。この均質化処理及び加熱工程のそれぞれの工程では、加熱保持温度が420〜550℃、保持時間が0〜20時間である。ここで、保持時間が0時間とは、加熱保持温度に到達後直ちに、加熱保持を終了することを意味する。更に、均質化処理が施される場合には、均質化処理工程における保持温度(℃)×時間(h)、ならびに、加熱工程における保持温度(℃)×時間(h)の和を、10000(℃・h)以下とするのが好ましい。一方、均質化処理が施されない場合には、加熱工程における保持温度(℃)×時間(h)を、10000(℃・h)以下とするのが好ましい。
上記均質化処理工程及び加熱工程において、保持温度が420℃未満の場合は、熱間圧延工程でのスラブの変形抵抗が大きく割れが発生する虞がある。一方、保持温度が550℃を超える場合や、保持時間が20時間を超える場合は、Si粒子のオストワルド成長による粗大化が起こり易くなることに加え、Al−Fe−Mn−Si系金属間化合物のオストワルド成長が進行し、析出物が粗大になるとともにその分布が疎になる。その結果、0.2%耐力(YS)が小さくなり過ぎて、巻きグセを抑制するのが困難になる。
次いで、常法に従って熱間圧延を行う。熱間圧延における開始温度は、400〜560℃とするのが好ましい。開始温度が400℃未満の場合は、圧延時に耳割れが生じ易くなる。一方、開始温度が560℃を超える場合は、ろう材が溶融したり、ろう材中のSiが粗大に成長し易くなる。また、熱間圧延終了時の圧延板温度は380℃未満とするのが好ましく、350℃以下とするのがより好ましい。
H1n調質の場合、熱間圧延工程終了後は、熱間圧延材を冷間圧延工程にかける。冷間圧延工程の条件は、特に限定されるものではない。冷間圧延工程の途中において、冷間圧延材を焼き鈍す焼鈍工程が設けられる。この中間焼鈍の条件は、250〜450℃で1〜5時間の範囲で実施する。焼鈍工程後は、圧延材を最終冷間圧延にかけて最終板厚とする。最終冷間圧延における加工率{(加工前の板厚−加工後の板厚)/加工前の板厚}×100(%)は、10〜30%とするのが好ましい。この加工率が30%を超えると、接合加熱中の再結晶の駆動力が大きくなり結晶粒が小さくなることで、接合加熱中の変形が大きくなる虞がある。また、伸びが低下し過ぎて成形性が悪化する虞もある。一方、加工率が10%未満では、焼鈍時に形成された巻きグセが十分に解消されない虞がある。
なお、H2n調質の場合は、熱間圧延工程終了後は、熱間圧延材を冷間圧延工程で最終板厚まで加工して最終焼鈍を施す場合と、H1n調質と同様に中間焼鈍工程を設け、最終冷間圧延後に最終焼鈍を施す場合がある。どちらの場合においても、引張強度(TS)及びYSが本発明の範囲を満たすよう最終焼鈍条件を調整する必要がある。
また、最終冷間圧延時の加工だけではなく、その後の工程において、レベラーや巻き取り時の張力を利用して歪を付与することで、適切な強度特性を得てもよい。
3−1−2.連続鋳造法を用いる場合
連続鋳造法としては、双ロール式連続鋳造圧延法や双ベルト式連続鋳造法等の連続的に板状鋳塊を鋳造する方法であれば特に限定されるものではない。双ロール式連続鋳造圧延法とは、耐火物製の給湯ノズルから一対の水冷ロール間にアルミニウム溶湯を供給し、薄板を連続的に鋳造圧延する方法であり、ハンター法や3C法等が知られている。また、双ベルト式連続鋳造法は、上下に対峙し水冷されている回転ベルト間に溶湯を注湯してベルト面からの冷却で溶湯を凝固させてスラブとし、ベルトの反注湯側より該スラブを連続して引き出してコイル状に巻き取る連続鋳造方法であり、ハズレー法等が知られている。
連続鋳造法としては、双ロール式連続鋳造圧延法や双ベルト式連続鋳造法等の連続的に板状鋳塊を鋳造する方法であれば特に限定されるものではない。双ロール式連続鋳造圧延法とは、耐火物製の給湯ノズルから一対の水冷ロール間にアルミニウム溶湯を供給し、薄板を連続的に鋳造圧延する方法であり、ハンター法や3C法等が知られている。また、双ベルト式連続鋳造法は、上下に対峙し水冷されている回転ベルト間に溶湯を注湯してベルト面からの冷却で溶湯を凝固させてスラブとし、ベルトの反注湯側より該スラブを連続して引き出してコイル状に巻き取る連続鋳造方法であり、ハズレー法等が知られている。
双ロール式連続鋳造圧延法で鋳造された板状鋳塊を最終板厚に冷間圧延する工程中において、250〜550℃で1〜10時間の範囲で焼鈍を行う。この焼鈍は鋳造後の製造工程において、最終冷間圧延を除くどの工程で行っても良く、1回以上行う必要がある。なお、焼鈍の回数の上限は好ましくは3回、より好ましくは2回である。なお、1回目の焼鈍では、析出物分布を制御して適切なYSが得られるように、350〜550℃で1〜10時間の範囲で焼鈍を行うことが望ましい。2回目以降の焼鈍は、材料を軟化させて最終圧延で所望の材料強度を得易くするために必要に応じて行う。
この焼鈍温度が250℃未満では、材料の軟化が不十分なために、ろう付け加熱前のTSが高くなる。ろう付け加熱前のTSが高いと、成形性に劣るためコルゲート加工したフィン材の寸法精度が悪化し、コルゲートフィン材を組み立ててろう付したコア寸法も悪化する。その結果、熱交換器の耐久性が低下する。一方、550℃を超える温度で焼鈍を行うと、製造工程中の材料への入熱量が多くなり過ぎるために、晶出物や析出物が粗大、かつ疎に分布することになる。粗大、かつ疎に分布した晶出物や析出物は固溶元素を取り込み難く、材料中の固溶量が低下し難い。また、1時間未満の焼鈍時間では上記効果が十分に得られず、10時間を超える焼鈍時間では上記効果が飽和しているために経済的に不利となる。
最終冷間圧延は、ろう付加熱時の再結晶挙動を調整し、耐高温座屈性を高めるだけでなく、中間焼鈍でフィン材に形成された巻きグセを解消し、成形性を高めるために実施する。そのために、好ましい圧延率は5〜70%であり、5%未満ではH1n材として強度が低過ぎて巻きグセを抑制できない。一方、圧延率が70%を超えると、強度が高過ぎて、伸びも低下するため成形性が低下する。より好ましい最終冷間圧延率は、10%〜60%である。
また、最終冷間圧延時の加工だけではなく、その後の工程において、レベラーや巻き取り時の張力を利用して歪を付与することで、適切な強度特性を得てもよい。
4.熱交換器用アルミニウム合金フィン材コイルの製造方法
次に、本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金フィン材コイルの製造方法について説明する。本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金フィン材コイルは、本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金フィン材を、スプールに巻き取ることによって得られる。最初の巻き取りは、熱間圧延工程においてベルトラッパーと呼ばれる装置を使用して行われる。その後、圧延やスリット等の工程ごとに、2つのスプールを使用し、一方では巻きほぐし、一方では巻き取りが行われる。本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金フィン材コイルとは、コルゲート加工直前まで加工された状態のコイルのことを指す。
次に、本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金フィン材コイルの製造方法について説明する。本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金フィン材コイルは、本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金フィン材を、スプールに巻き取ることによって得られる。最初の巻き取りは、熱間圧延工程においてベルトラッパーと呼ばれる装置を使用して行われる。その後、圧延やスリット等の工程ごとに、2つのスプールを使用し、一方では巻きほぐし、一方では巻き取りが行われる。本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金フィン材コイルとは、コルゲート加工直前まで加工された状態のコイルのことを指す。
5.コルゲートフィン材及びその製造方法
本発明に係るコルゲートフィン材は、上記熱交換器用アルミニウム合金フィン材、又は、熱交換器用アルミニウム合金フィン材コイルを用いて、フィン材をコルゲート成形機に連続的に通しながら成形することで製造される。このようにして得られるコルゲートフィン材は、高速で微細な形状が成形されるため、生産性が高い上に伝熱性能に優れるという特徴がある。
本発明に係るコルゲートフィン材は、上記熱交換器用アルミニウム合金フィン材、又は、熱交換器用アルミニウム合金フィン材コイルを用いて、フィン材をコルゲート成形機に連続的に通しながら成形することで製造される。このようにして得られるコルゲートフィン材は、高速で微細な形状が成形されるため、生産性が高い上に伝熱性能に優れるという特徴がある。
6.熱交換器およびその製造方法
本発明に係る熱交換器は、上記コルゲートフィン材を用いて製造される。具体的には、
上記コルゲートフィン材とチューブ材、ヘッダ材、その他周辺部材をコアとして組立てる工程と、組立てられたコアにフラックスを塗布する工程と、ろう付を行う工程を経て製造される。このようにして得られる熱交換器は、多数の微細なフィン材とチューブ材の接合部を一度に金属接合できるため、生産性が高い上に伝熱性能に優れるという特徴がある。
本発明に係る熱交換器は、上記コルゲートフィン材を用いて製造される。具体的には、
上記コルゲートフィン材とチューブ材、ヘッダ材、その他周辺部材をコアとして組立てる工程と、組立てられたコアにフラックスを塗布する工程と、ろう付を行う工程を経て製造される。このようにして得られる熱交換器は、多数の微細なフィン材とチューブ材の接合部を一度に金属接合できるため、生産性が高い上に伝熱性能に優れるという特徴がある。
以下において、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
実施例1
アルミニウム合金を、溶解、DC鋳造した後、熱間圧延、中間冷間圧延を行い、中間焼鈍を施した後、最終冷間圧延を行い、最終板厚0.10mm、0.05mm及び0.19mmのフィン材を得た(H1n調質)
アルミニウム合金を、溶解、DC鋳造した後、熱間圧延、中間冷間圧延を行い、中間焼鈍を施した後、最終冷間圧延を行い、最終板厚0.10mm、0.05mm及び0.19mmのフィン材を得た(H1n調質)
なお、熱間圧延工程前の加熱工程では、500℃まで加熱してその温度で5時間保持した。中間焼鈍条件は、焼鈍温度380℃で2時間とした。最終冷間圧延率は22.2%としたが、A70では最終冷間圧延率を10%とし、A71では最終冷間圧延率を30%とし、A72では最終冷間圧延率を5%とした。また、B10では最終板厚を0.5mmとし、B11では最終焼鈍を行いO材とし、B26では最終板厚を0.01mmとし、B27では最終板厚を0.02mmとした。このようにして、アルミニウム合金フィン材の試料(試料1)を作製した。用いたアルミニウム合金の合金組成を、表1〜6に示す。
1.コルゲート成形性の評価
得られたフィン材を、幅20mm、長さ300mmの短冊状に切断し、コルゲート加工を施した。コルゲート加工後のフィン材におけるフィン高さの寸法を50箇所測定し、コルゲート成形性を評価した。その際、測定箇所の98%以上が寸法公差範囲内であるものをコルゲート成形性が優良合格(○)、90%以上98%未満が寸法公差範囲内であるものを合格(△)、90%未満が寸法公差範囲内であるものを不合格(×)とした。
得られたフィン材を、幅20mm、長さ300mmの短冊状に切断し、コルゲート加工を施した。コルゲート加工後のフィン材におけるフィン高さの寸法を50箇所測定し、コルゲート成形性を評価した。その際、測定箇所の98%以上が寸法公差範囲内であるものをコルゲート成形性が優良合格(○)、90%以上98%未満が寸法公差範囲内であるものを合格(△)、90%未満が寸法公差範囲内であるものを不合格(×)とした。
2.ろう付性の評価
コルゲート加工後のフィン材サンプルを、JIS A1050の押出扁平管と組み合わせてミニコア形状に組付け、ミニコアにフッ化物系フラックスを吹き付けて乾燥させた後に、窒素雰囲気中において600℃の温度に3分間保持してろう付接合を実施した。なお、A24〜A26合金については、フラックスを塗布せずに真空中でろう付接合を実施した。
コルゲート加工後のフィン材サンプルを、JIS A1050の押出扁平管と組み合わせてミニコア形状に組付け、ミニコアにフッ化物系フラックスを吹き付けて乾燥させた後に、窒素雰囲気中において600℃の温度に3分間保持してろう付接合を実施した。なお、A24〜A26合金については、フラックスを塗布せずに真空中でろう付接合を実施した。
ろう付後のミニコアの断面において、フィンとチューブとの間の接合部におけるフィレットを100箇所測定し、ろう付性を評価した。フィレットの形成箇所が100%であるものを最優良合格(◎)、98%以上100%未満であるものを優良合格(○)、90%以上98%未満であるものを合格(△)、90%未満であるものを不合格(×)とした。
3.耐高温座屈性の評価
また、フィン材の溶融、侵食による座屈の有無を調査して、耐高温座屈性を評価した。座屈が0%であるものを最優良合格(◎)、0%を超え2%未満であるものを優良合格(○)、2%以上10%未満であるものを合格(△)、10%以上であるものを不合格(×)とした。
また、フィン材の溶融、侵食による座屈の有無を調査して、耐高温座屈性を評価した。座屈が0%であるものを最優良合格(◎)、0%を超え2%未満であるものを優良合格(○)、2%以上10%未満であるものを合格(△)、10%以上であるものを不合格(×)とした。
4.耐食性の評価
更にろう付後のミニコアについて、2週間のCASS試験(JIS D 0201)を行い、フィン及び管の耐食性を評価した。管に貫通孔が発生しているものを不合格(×)とし、これ以外を合格(◎、○、△)とした。フィン又は管の消耗や腐食が激しいものの管に貫通孔が発生していないものを合格(△)とし、フィン及び管の消耗や腐食が軽微であるものを優良合格(○)とし、フィン及び管の消耗や腐食が極軽微であるものを最優良合格(◎)とした。
更にろう付後のミニコアについて、2週間のCASS試験(JIS D 0201)を行い、フィン及び管の耐食性を評価した。管に貫通孔が発生しているものを不合格(×)とし、これ以外を合格(◎、○、△)とした。フィン又は管の消耗や腐食が激しいものの管に貫通孔が発生していないものを合格(△)とし、フィン及び管の消耗や腐食が軽微であるものを優良合格(○)とし、フィン及び管の消耗や腐食が極軽微であるものを最優良合格(◎)とした。
5.製造性の評価
フィン材製造時において、割れや欠陥が多数生じて最終板厚まで製造できなかった合金は不合格(×)とした。割れや欠陥が無い、又は微笑であり最終板厚まで製造できた合金は合格(○)とした。
フィン材製造時において、割れや欠陥が多数生じて最終板厚まで製造できなかった合金は不合格(×)とした。割れや欠陥が無い、又は微笑であり最終板厚まで製造できた合金は合格(○)とした。
6.機械的特性
また、短冊状に切断したフィン材サンプル(寸法:50mm×300mm)をコルゲート加工することなく引張試験を行って、引張強度及び0.2%耐力を測定した(測定条件はJIS Z 2241:2011に準じた)。更に、フィン材厚さも測定した。
また、短冊状に切断したフィン材サンプル(寸法:50mm×300mm)をコルゲート加工することなく引張試験を行って、引張強度及び0.2%耐力を測定した(測定条件はJIS Z 2241:2011に準じた)。更に、フィン材厚さも測定した。
以上述べた1〜6の結果を合金記号とともに、表7〜12に示す。
本発明に係る規定(合金組成、フィン材厚さ、YS/TS、t/YS)を全て満たす本発明例1〜72はいずれも、コルゲート形性、ろう付性、耐高温座屈性、耐食性及び製造性が良好であった。
これに対して、比較例1では、フィン材のSi含有量が少な過ぎたため流動ろうが不足し、ろう付性が不合格となった。
比較例2では、フィン材のSi含有量が多過ぎたため溶融や侵食が顕著となり、耐高温座屈性が不合格となった。
比較例3では、フィン材のMn含有量が少な過ぎたためろう付後の結晶粒が粗大化せず、耐高温座屈性が不合格となった。
比較例4では、フィン材のMn含有量が多過ぎたため鋳造時に粗大な金属間化合物が生成し、圧延が困難となり製造性が不合格となった。
比較例5では、フィン材のFe含有量が多過ぎたため鋳造時に粗大な金属間化合物が生成し、圧延が困難となり製造性が不合格となった。
比較例6では、フィン材のZn含有量が少な過ぎたためフィン材の犠牲防食作用が作用せず、耐食性が不合格となった。
比較例7では、フィン材のZn含有量が多過ぎたためフィン材の腐食速度が大き過ぎて、耐食性が不合格となった。
比較例8では、フィン材のCMn+CFeが0.20%未満のため金属間化合物が少な過ぎて、耐高温座屈性が不合格となった。
比較例9では、フィン材のCMn+CFeが2.10%を超えているため、粗大な金属間化合物が生成し、圧延が困難となり製造性が不合格となった。
比較例10では、フィンの厚さが0.20mmを超えているため、t/YSが0.00300(mm/MPa)を超え、コルゲート成形性が不合格となった。
比較例11では、YS/TSが0.75未満であったため、コルゲート成形性が不合格となった。
比較例12では、フィン材のMg含有量が多すぎたため、ろう付時に酸化皮膜が除去できず、ろう付性が不合格となった。
比較例13〜18では、それぞれフィン材におけるCu、Ni、Cr、Zr、Ti、Vの含有量が多すぎたため、鋳造時に粗大な金属間化合物が生成し、圧延が困難となり製造性が不合格となった。
比較例19、20では、それぞれフィン材のIn,Sn含有量が多すぎたため、フィン材の腐食速度が大き過ぎて、耐食性が不合格となった。
比較例21〜23では、それぞれフィン材におけるBe、Sr、Biの含有量が多すぎたため、鋳造時の粗大な金属間化合物生成により製造性が不合格となった。
比較例24、25では、それぞれフィン材におけるNa、Caの含有量が多すぎたため、自己耐食性の低下により耐食性が不合格となった。
比較例26では、フィン材の板厚が薄すぎたため、圧延が困難となり製造性が不合格となった。
比較例27では、t/YSが低すぎたため、コルゲート成形性が不合格となった。
実施例2
表1のA1組成の合金を用い、実施例1と同様の工程によって、アルミニウム合金フィン材(試料1)を製造した。次いで、この試料1をスプールに巻き取って、アルミニウム合金フィン材コイルの試料(試料2)を作製した。なお、フィン材の厚さ、コイル内径を表13の通りに変化させた。表13には、t/YS、(t×Y)/[YSA×(R/2)]、コイル外周部の0.2%耐力とコイル内周部の0.2%耐力の差の絶対値(ΔYS)、ならびに、コイル全体の0.2%耐力(YSA)も示す。なお、コイル外径はコイル内径によらず1500mmとした。
表1のA1組成の合金を用い、実施例1と同様の工程によって、アルミニウム合金フィン材(試料1)を製造した。次いで、この試料1をスプールに巻き取って、アルミニウム合金フィン材コイルの試料(試料2)を作製した。なお、フィン材の厚さ、コイル内径を表13の通りに変化させた。表13には、t/YS、(t×Y)/[YSA×(R/2)]、コイル外周部の0.2%耐力とコイル内周部の0.2%耐力の差の絶対値(ΔYS)、ならびに、コイル全体の0.2%耐力(YSA)も示す。なお、コイル外径はコイル内径によらず1500mmとした。
表13の合金記号のものについて、実施例1と同様にして、成形性及び製造性の評価を行なった。以上の評価結果を供試材記号とともに、表14に示す。
本発明に係る規定(請求項1に規定するもの、ならびに、(t×Y)/[YSA×(R/2)])を満たす本発明例73〜79はいずれも、成形性及び製造性が合格であった。これに対して、比較例28〜32では、本発明に係る上記規定を満たしていなかったので、少なくともいずれかの評価が不合格であった。
すなわち、比較例28では、フィン材の厚さが厚過ぎたため、(t×Y)/[YSA×(R/2)]が1.00を超え、成形性が不合格となった。
比較例29では、フィン材の厚さが薄過ぎたため、圧延工程で割れが発生し最終板厚まで加工できず、製造性が不合格となった。
比較例30では、フィン材の厚さとYSに対してコイル内径が小さすぎたため、(t×Y)/[YSA×(R/2)]が1.00を超え、成形性が不合格となった。
比較例31では、コイル内径が小さ過ぎたため、(t×Y)/[YSA×(R/2)]が1.00を超え、成形性が不合格となった。
比較例32では、フィン材の厚さが厚く、コイル内径が小さく、コイル外周部と内周部の耐力差の絶対値が10MPaを超えたため、コイル外周部と内周部で巻きグセが異なり(不良となり)、その結果、成形性が不合格となった。
本発明に係る単層で加熱接合機能を有する熱交換器用アルミニウム合金フィン材及び当該熱交換器用アルミニウム合金フィン材をコイル状に巻き取った熱交換器用アルミニウム合金フィン材コイルは、基本的なろう付性、犠牲陽極効果、耐高温座屈性を確保すると共に、巻きグセが少ないという優れた成形性を備える。更に、これらの熱交換器用アルミニウム合金フィン材又は熱交換器用アルミニウム合金フィン材コイルを用いて製造されるコルゲートフィン材、ならびに、これらコルゲートフィン材を用いて製造される熱交換器は、優れた伝熱特性を備える。
Claims (8)
- 単層で加熱接合機能を有する熱交換器用アルミニウム合金フィン材において、Si:1.5〜5.0mass%、Fe:0.01〜2.00%、Mn:0.05〜2.00mass%、Zn:0.05〜6.00mass%を含有し、Mn含有量をCMn(mass%)、Fe含有量をCFe(mass%)としたときに、0.20≦CMn+CFe≦2.10を満たし、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金からなり、当該アルミニウム合金フィン材において、その厚さtが0.02〜0.20mmであり、0.2%耐力YS(MPa)と引張強度TS(MPa)の比YS/TSが0.75〜0.99であり、前記厚さtと0.2%耐力YSの比t/YS(mm/MPa)が0.00012〜0.00300であることを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金フィン材。
- 前記アルミニウム合金が、Mg:2.00mass%以下、Cu:1.50mass%以下、Ni:2.00mass%以下、Cr:0.30mass%以下、Zr:0.30mass%以下、Ti:0.30mass%以下及びV:0.30mass%以下から選択される1種又は2種以上を更に含有する請求項1に記載の熱交換器用アルミニウム合金フィン材。
- 前記アルミニウム合金が、In:0.300mass%以下及びSn:0.300mass%以下の1種又は2種を更に含有する請求項1又は2に記載の熱交換器用アルミニウム合金フィン材。
- 前記アルミニウム合金が、Be:0.0001〜0.1000mass%、Sr:0.0001〜0.1000mass%、Bi:0.0001〜0.1000mass%、Na:0.0001〜0.1000mass%及びCa:0.0001〜0.0500%から選択される1種又は2種以上を更に含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱交換器用アルミニウム合金フィン材。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱交換器用アルミニウム合金フィン材をコイル状に巻き取った熱交換器用アルミニウム合金フィン材コイルであって、当該コイル全体の0.2%耐力をYSA(MPa)、コイル内径をR(mm)、フィン材の厚さをt(mm)、ヤング率をY(MPa)としたときに、(t×Y)/[YSA×(R/2)]≦1.00を満たすことを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金フィン材コイル。
- コイル外周部の0.2%耐力とコイル内周部の0.2%耐力の差の絶対値が10MPa以下である、請求項5に記載の熱交換器用アルミニウム合金フィン材コイル。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱交換器用アルミニウム合金フィン材、又は、請求項5又は6に記載の熱交換器用アルミニウム合金フィン材コイルを用いて製造されることを特徴とするコルゲートフィン材。
- 請求項7に記載のコルゲートフィン材を用いて製造されることを特徴とする熱交換器。
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