JP2018080122A - C5+モノアルコールの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】触媒を入れた単一の容器内で炭素数5及び/又は6の糖アルコールからC5+モノアルコールを高い選択率で得られる製造方法の提供。【解決手段】触媒は、SiO2又はTiO2にPt、Pd、Rhのうちから選択した金属、及び、Ir−ReOx、Rh−MoOxのうちから選択した金属/金属酸化物を共担持させた触媒粒からなり、炭素数5以上の化合物に対する前記C5+モノアルコールの選択率が40%以上となるように容器内に水素を外部導入し加熱することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、炭素数を5又は6とする糖アルコールから燃料基材としてC5+モノアルコールを製造する方法に関し、特に、触媒を入れた単一の容器内で炭素数5又は6の糖アルコールを水相改質させて水素を生成させつつ水素化分解を行ってC5+モノアルコールを製造する方法に関する。
再生可能エネルギー源となるバイオマスやバイオマス由来の原料から燃料基材を製造する方法について様々な提案がなされている。
例えば、特許文献1では、バイオマス由来のポリオールや糖などの水溶性含酸素炭化水素から、ポリオール、ジオール、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、アルコールなどの含酸素化合物を製造する方法が開示されている。ここでは2以上の炭素原子を有する水溶性含酸素炭化水素の水溶液を原料水溶液として、触媒材料の重量あたりの毎時重量空間速度を調整し、水相改質触媒の存在下で原料水溶液の一部から水素を生成し、この水素を導いて水素化触媒の存在下で原料水溶液の残部とから含酸素化合物を生成するのである。このときの反応温度としては、最も好ましくは、水相改質反応において150〜270℃、水素化分解反応において200〜270℃としている。更に、水相改質触媒と水素化触媒とを混合して単一のチャンバ内で水相改質反応と水素化分解反応とを同時又は並行して進行させることや、水相改質によって得る水素とは別に外部から極微量(例えば、原料水溶液に1bar未満)の水素を供給することなども開示している。
また、セルロース系バイオマスからの燃料基材の製造過程などでは、炭素数のより大きなアルコールが必要とされることもある。例えば、セルロースを加水分解して得られるグルコースはC12の分子式で表されるが、これから得られる最も炭素数の大きなモノアルコールはC14Oで表されるヘキサノールである。
例えば、特許文献2では、触媒の存在下でセルロース系バイオマス中のセルロースやキシランから糖類を経て炭素数のより大きなモノアルコールであるヘキサノールやペンタノールを高い収率で得る方法として、触媒にIr−Re系触媒を用いる方法を開示している。セルロース又はキシランからなる原料を加水分解し糖化させて糖類を得る行程と、糖類を外部より導いた水素で水素化して得た糖アルコールを水素化分解させてモノアルコールを得る行程と、を単一の容器内で進行させ得る。ここで、加水分解によって得た糖類の炭素鎖の切断を抑制するよう比較的低温で水素化分解させることで炭素数を維持したモノアルコール(ヘキサノール又はペンタノール)を得られるとしている。
また、特許文献3及び4でも、バイオマス由来の酸素化炭化水素から炭化水素、ケトン類及びアルコール類を製造する方法が開示されている。詳細には、バイオマス由来の環状糖分子であるグルコースを水素化反応又は水素化分解反応によってソルビトールなどの直鎖の多価アルコールに転化し、これを脱酸素反応により脱官能基化させることでアルコール類、ケトン類、アルデヒド類、フラン類、ジオール類、トリオール類、ヒドロキシカルボン酸類、及びカルボン酸類等を生成するとしている。さらに縮合触媒上で所定の温度及び圧力の条件下で縮合反応させて、より炭素数の多い化合物、例えば、炭素数4以上のアルコール類、ケトン類、アルカン類、アルケン類、炭素数5以上のシクロアルカン類、シクロアルケン類、アリール類、縮合アリール類、及びその混合物(C4+化合物類)を製造できるとしている。このとき水素化分解で用いられる水素は、上記した多価アルコールであるソルビトールなどから水相改質を利用してその場で得ることが好ましいことを述べている。
特表2009−536648号公報 特開2016−033129号公報 特開2014−159597号公報 特開2014−167004号公報
上記したように、セルロースを加水分解したグルコースから得られる最も炭素数の大きなモノアルコールはC14Oで表されるヘキサノールであるが、反応過程において断片化してしまうと炭素数の小さな有機酸、アルコールおよび炭化水素となってしまい、ヘキサノールを効率よく得られない。特に、特許文献2に開示のように、単一の容器内で複数の反応を進行させる場合、反応の競合により効率を上げることは単純ではない。
また、触媒を入れた単一容器内で、化石燃料由来の外部導入水素(例えば、天然ガスのスチームリフォーミングで製造する場合、水素1kgあたり、約11kgのCOが排出される)を用いて、炭素数5又は6の糖アルコールから、C5+モノアルコール(本明細書においては、炭素数6のCモノアルコール(ヘキサノール)及び炭素数5のCモノアルコール(ペンタノール)を併せてC5+モノアルコールと表記する。)を製造する場合、それに伴う大量のCO(温室効果ガス)が排出されてしまう。
本発明は、以上のような状況に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、温室効果ガスの排出を抑制しつつ、触媒を入れた単一の容器内で炭素数5及び/又は6の糖アルコールからC5+モノアルコールを高い選択率で得られる製造方法を提供することにある。
本発明によるC5+モノアルコールの製造方法は、触媒を入れた単一の容器内で炭素数5及び/又は6の糖アルコールを水相改質させて水素を生成させつつ水素化分解を行ってC5+モノアルコールを製造する方法であって、前記触媒は、SiO又はTiOにPt、Pd、Rhのうちから選択した金属、及び、Ir−ReO、Rh−MoOのうちから選択した金属/金属酸化物を共担持させた触媒粒からなり、炭素数5以上の化合物に対する前記C5+モノアルコールの選択率が40%以上となるように前記容器内に水素を外部導入し加熱することを特徴とする。
かかる発明によれば、反応温度を比較的低温として炭素鎖の分断を抑制できて、水相改質により水素を生成しつつ外部導入する水素圧力を制御することで、糖アルコールの水素化分解反応を進行させつつもアルカンの生成を抑制し、高い選択率でC5+モノアルコールを製造することができる。また、水素化分解に用いる水素の一部を水相改質によって得て、温室効果ガスの排出を抑制し得る。
上記した発明において、前記容器はバッチ式の反応容器であり、水素は加熱前に予め外部導入されることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、反応温度での水素圧力を予測した上で、外部導入する水素の圧力を容易に制御することができる。
前記容器は連続式の反応容器であり、水素は連続的に外部導入されることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、連続式の反応容器によっても水素を連続的に外部導入することによって高い選択率でC5+モノアルコールを製造することができる。
上記した発明において、水素は常温で0.6〜2.0MPaの範囲内の圧力となるよう外部導入されることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、常温で0.6〜2.0MPaの圧力範囲に相当する所定の反応温度での圧力に反応系を制御し、外部導入する水素の量を圧力によって制御できる。
上記した発明において、前記糖アルコールはソルビトールであり、前記容器の加熱温度は170℃以上190℃以下とすることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、糖アルコールをソルビトールとしたときに、高い選択率でC5+モノアルコールを製造することができる。
本発明における反応工程を示す図である。 本発明における反応工程の素反応を示す図である。 本発明における反応工程を示す図である。 本発明における反応工程の素反応を示す図である。 本発明における反応工程を模式的に示す容器の断面図である。
以下に、本発明によるC5+モノアルコールの製造方法の1つの実施例についてその詳細を説明する。
本発明によるC5+モノアルコールの製造方法は、セルロース系バイオマス由来の炭素数6の糖アルコールであるソルビトール又は炭素数5の糖アルコールであるキシリトールから炭素数を維持した、つまり、それぞれ炭素数6のCモノアルコールであるヘキサノール又は炭素数5のCモノアルコールであるペンタノールを、温室効果ガスの排出を抑制しつつ、高い選択率で製造しようとする方法である。ここで、ヘキサノールはヒドロキシ基の位置により1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノールの3種類となるが、本発明においてはそのいずれをも含み得る。ペンタノールについても同様に、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノールのいずれをも含み得る。
図1は、本発明における反応の一例を示す図である。まず、ソルビトールの一部から水相改質により水素を得る。かかる内部で得た水素を利用するとともに、さらに外部導入した水素をも利用して、ソルビトール(又は、ソルビトールに分解前のセルロースやグルコースを含む)を水素化分解して、得られる最も大きな炭素数のCモノアルコールを生成する。なお、ソルビトールは、例えば、セルロース系バイオマス中のセルロースを加水分解して糖化させたグルコースを水素化させて得ることができる。
詳細には、図2を併せて参照すると、水相改質においてはPt系の触媒を用い得て、ソルビトールと水から二酸化炭素(CO)と水素を得ることができる。ここで生成するCOはバイオマス由来のものであるため、カーボンニュートラルが適用されて温室効果ガスにはカウントされない。かかる水相改質反応では、高温であるほど反応を進行させ得て水素の生成量を多くでき、その理想の反応温度としては200℃以上である。一方で水素化分解反応においては、例えば、Ir−Re系触媒を用い得て、ソルビトールと水素からヘキサノールと水を得ることができる。かかる水素化分解反応においては、低温であるほどC−C結合を切断せずにC−O結合を切断させる選択性を高くできる。つまり、炭素鎖の切断を抑制しつつ反応を進行させることができ、その理想の反応温度としては140℃程度である。
また、図3は、本発明における反応の他の一例を示す図である。まず、キシリトールの一部から水相改質により水素を得る。かかる内部で得た水素を利用するとともに、さらに外部導入した水素をも利用して、キシリトール(又は、キシリトールに分解前のヘミセルロースやキシロースを含む)を水素化分解して、得られる最も大きな炭素数のCモノアルコールを生成する。なお、キシリトールは、例えば、セルロース系バイオマス中のヘミセルロースを加水分解して糖化させたキシロースを水素化させて得ることができる。
詳細には、図4を併せて参照すると、水相改質においてはPt系の触媒を用い得て、キシリトールと水から二酸化炭素(CO)と水素を得ることができる。ここで生成するCOはバイオマス由来のものであるため、カーボンニュートラルが適用されて温室効果ガスにはカウントされない。かかる水相改質反応では、高温であるほど反応を進行させ得て水素の生成量を多くでき、その好適な反応温度としては200℃以上である。一方で水素化分解反応においては、例えば、Ir−Re系触媒を用い得て、キシリトールと水素からペンタノールと水を得ることができる。かかる水素化分解反応においては、低温であるほどC−C結合を切断せずにC−O結合を切断させる選択性を高くできる。つまり、炭素鎖の切断を抑制しつつ反応を進行させることができ、その好適な反応温度としては140℃程度である。
図5を参照すると、本発明においては、このような水相改質反応及び水素化分解反応を単一の容器4の単一の水相2内で、すなわち同一の環境下で進行させる。そのためには、水相改質反応及び水素化分解反応のそれぞれに対して触媒活性の高い触媒を組み合わせて用いることが考慮される。このような触媒としては、SiOにPt及びIr−ReOを共担持させたPt/Ir−ReO/SiO触媒による触媒粒1が好適である。かかるPt/Ir−ReO/SiO触媒では、Pt触媒及びIr−ReO触媒をそれぞれ与えた場合と比べて、水相改質反応における水素の生成及び水素化分解反応を同時に進行させ得てC5+モノアルコールを効率よく製造できるのである。また、触媒の担体はTiOとしても良い。また、Ptの代わりにPd又はRhとしてもよく、Ir−ReOの代わりにRh−MoOとしても良い。ここで、ReO及びMoOにおけるxは酸素の数を示し、任意の実数である。
かかる触媒粒1をソルビトール又はキシリトールを含む水相(原料溶液)2に投入し、水素を外部導入した上で加熱して、水相改質反応と水素化分解反応とを同一の環境下で進行させる。ここで、触媒においてはSiOにPt及びIr−ReOを共担持させて水相改質反応の活性点と水素化分解反応の活性点とを隣接させ、水相改質反応によって発生する水素を効率よく水素化分解反応で消費させる。かかる共担持触媒では、反応温度を比較的低温とすることができ、水素化分解反応による炭素鎖の切断を抑制し得る。
また、容器4内に貯留された水相2に対し、有機溶媒による油相3によってその表面を覆う。すると、生成されたC5+モノアルコールを含むC5+化合物(本明細書においては、炭素数6のC化合物、及び、炭素数5のC化合物を併せてC5+化合物と表記する。)だけを油相3に移動させて、C5+化合物を油相3から比較的容易に回収できる。ここで、C5+モノアルコールをC5+化合物から例えば蒸留などにより分離し得るが、水素化分解反応による生成されるC5+化合物全体に対するC5+モノアルコールの選択率が高いほど効率よくC5+モノアルコールを回収できる。
なお、以上において、容器4としては、後述する反応条件の温度及び圧力に耐え得て、触媒活性を損なわない内表面を有することを要する。例えば、ガラス製反応容器や金属製反応容器を用い得るが、金属製反応容器の場合にはFeやNiの含有量の少ないものであると触媒活性を損なわず好ましい。容器4はバッチ式の反応容器であり、水素の外部導入は加熱前に行うが、所定の水素分圧となるよう加圧する。また、容器4を連続式の反応容器とすることもできるが、この場合、外部導入される水素も連続的に供給され、バッチ式の反応容器の場合と同様の温度及び圧力を維持させる。
また、油相3を形成する溶媒は、上記した水相改質反応及び水素化分解反応を阻害しないものである。例えば、エーテルを溶媒として用いると、エーテル自体が分解されるため、アルコールを溶解させる油相3としての機能を損ない得る。また、OH基を有するアルコールなどは触媒に吸着して活性点を覆うため触媒能を損なわせ得る。さらに、不飽和炭化水素、例えば、オレフィン系炭化水素は、金属触媒の存在下ではそれ自体が水素化されることがあり、その場合ソルビトール又はキシリトールの水素化分解に用いられる水素を消費してC5+モノアルコールの収率を低下させてしまう。なお、芳香族炭化水素も水素化され得るが、水素化の反応速度は遅いことから、溶媒としても用い得る。
更に、油相3を形成する溶媒は、上記した反応条件としての温度及び圧力において液相(液体)であることが必要である。典型的には、好ましい反応条件は170℃〜190℃、反応容器内での室温時の圧力は0.6MPa〜2MPa(後述)であるから、例えば、溶媒の沸点は0.6MPaにおいて170℃以上、好ましくは0.6MPaにおいて190℃以上であり、より好ましくは200℃以上である。また、油相3を取り出す際に固相となってしまうと生成物の回収が困難になるため、常温常圧でも液相を維持することが好ましい。このような飽和炭化水素として、例えば、n−トリデカン、n−ドデカンやn−デカンなどを用い得る。また、油相3を形成する溶媒は2種以上を混合して用いてもよい。
ところで、上記したように、水相改質反応と水素化分解反応とではそれぞれ理想とする反応温度が異なる。しかし、単一の容器で水相改質反応と水素化分解反応とを進行させるため、反応温度は同一としなければならない。そこで、例えばソルビトールを含む原料溶液を用いる場合に、水素化分解反応における炭素鎖の切断を抑制する観点からは、低温であることが好ましく、反応温度として例えば200℃以下とし得て、好ましくは190℃以下である。他方、水相改質反応の観点からは高温であることが好ましく、必要な水素の生成量を確保するために反応温度を160℃以上とし得て、好ましくは170℃以上である。
このような温度、圧力としたとき、比較的低温としたことで水相改質反応において生成される水素だけでは水素化分解反応に十分に水素を供給できない。そこで、水素を外部導入すると、水素化分解反応に必要な量の水素を供給でき、C5+モノアルコールの収率を向上させ得る。ただし、水素を過剰に供給すると、C5+モノアルコールをさらに水素化分解してアルカンを生成してしまう。水素の供給量を増加させることで、仮にC5+モノアルコールの収率を向上させることができても、アルカンなどのモノアルコール以外のC5+化合物の収率も高くさせてしまっては、非目的物の生成に原料を多く使用することになり、また、これらを分離する際の手間などを考慮しても効率が悪い。つまり、水素化分解反応により生成される生成物のうち、C5+化合物全体に対するC5+モノアルコールの選択率を向上させることが重要となる。
ところで、供給された水素を効率よく水素化分解反応で消費させるために反応雰囲気を加圧環境下とする。他方、上記したように水素を外部導入する場合に加圧して導入することになるが、水素の圧力が高すぎると水相改質反応における水素の生成量が低下してしまう。さらに、上記したような過剰な水素の供給を避けるためにもその水素圧力には上限がある。そこで、例えば、ソルビトールを含む原料溶液を用いる場合に、加熱前の圧力を0.6〜2.0MPaとするように水素を外部導入するのである。
このように、反応温度を水相改質のみの理想的な温度よりも低下させているにも関わらず、上記した共担持触媒を用いることで、供給された水素を効率よく水素化分解反応で消費させることができる。また、低温とすることによって水相改質により生成される水素量を少なくしているが、水素を外部導入することで水素化分解反応に必要な水素量を確保できる。他方、過剰に水素を供給しないように水素を導入する圧力を調整して、C5+モノアルコールからさらにアルカンを生成してしまうような過剰な水素化分解を抑制することができる。このように外部導入する水素の圧力を制御することで、炭素数5以上のC5+化合物に対するC5+モノアルコールの選択率を高くすることができる。典型的には、例えば、ソルビトールを含む原料溶液を用いる場合に上記した所定の環境条件下で、C5+化合物に対するC5+モノアルコールの選択率を40%以上とし得る。また、水素化分解に用いる水素の一部をバイオマス由来の原料の水相改質によって得ており、温室効果ガスの排出を抑制し得る。
以下に上記した本発明における1つの具体的実施例について更に説明する。ここでは、ソルビトールを含む原料溶液を用い、C5+モノアルコールを得ることを目的として、水素の外部導入に伴う室温時の圧力を表1に示す各条件としてC5+モノアルコールを生成する試験を行った。
[触媒の調製]
まず、二酸化ケイ素(SiO)(富士シリシア化学株式会社製「CARiACT G−6」)に硝酸イリジウム(Ir(NO)水溶液を滴下して、全体を湿潤させ、90℃程度で乾燥させる。かかる湿潤及び乾燥工程を繰り返して、触媒全体に対してIrを4質量%となるようにして、更に、110℃で半日程度の乾燥を行った。次に、過レニウム酸アンモニウム(NHReO)水溶液で同様の湿潤及び乾燥工程を繰り返して、ReのIrに対するモル比、すなわち[Re]/[Ir]を2となるように担持させた。その後、空気雰囲気下で、500℃、3時間焼成して、Ir−ReO/SiOを得た。さらに、Ir−ReO/SiOに塩化白金酸(HPtCl)水溶液を滴下して、全体を湿潤させ、90℃程度で乾燥させる。かかる湿潤及び乾燥工程を繰り返して、触媒全体に対して、Ptを5質量%となるよう担持させて、空気雰囲気下で、500℃、3時間焼成して、SiOにPt及びIr−ReOを共担持させた触媒、すなわちPt/Ir−ReO/SiO触媒が得られた。
[還元処理]
反応容器として、ガラス製内管を有するSUS316製オートクレーブ(容量:100mL)を用いた。反応容器は内部を加熱できるよう、その周囲に電気炉を配置している。また、内部を攪拌できるように、反応容器の内部にテフロン(登録商標)コーティングを施された攪拌翼が設置されている。上記のように調製した触媒を0.3g、水9.5gを反応容器に入れ、水素置換を三回以上繰り返す。常温にて、全圧を5.0MPaとするように水素を導入し、その後、反応容器を加熱し、200℃で1時間保持して触媒を還元させた。還元処理後の触媒を収容する反応容器を後述する実施例及び比較例のそれぞれに対応して準備した。
[生成物の収率・選択率]
また、収率はソルビトールから転化された着目する生成物、すなわちC5+モノアルコール(ヘキサノール及びペンタノール)、その他のC5+化合物及び二酸化炭素の炭素モル収率であり、次式で与えられる。
収率(%)=(着目する生成物の総炭素モル数)/(ソルビトールの総炭素モル数)×100
例えば、「着目する生成物の総炭素モル数」は、ガスクロマトグラフ等によって分析された着目する生成物のモル数に、その生成物の炭素数をかけて算出できる。また、「ソルビトールの総炭素モル数」も同様に、反応容器に仕込んだソルビトールのモル数に、炭素数6をかけて算出できる。
また、選択率は、反応により生成したC5+化合物全体に対するC5+モノアルコール(ヘキサノール+ペンタノール)の割合をそれぞれ収率から算出した。
[C5+モノアルコールの生成]
表1に示すように、実施例1〜3、比較例1〜4の各試験において、水素(比較例1は窒素)をそれぞれの「室温時圧力」とするよう外部導入してC5+モノアルコールの生成を試みた。まず、上記したように触媒の還元処理を行った反応容器内に、ソルビトール0.5gを加えた。次いで、反応容器内に油相3としてn−トリデカン20mLを加え、室温で表1に示す室温時圧力を全圧とするよう水素ガスを導入し(外部導入)、180℃に加熱し3時間保持した。また、比較例1については上記したように水素ガスの代わりに窒素ガスを導入している。表1には、反応後の生成物を分析した結果を示した。なお、分析にはガスクロマトグラフ、ガスクロマトグラフ質量分析計、高速液体クロマトグラフ及び液体クロマトグラフ質量分析計を用いた。
Figure 2018080122
[試験結果]
表1中、「ヘキサノール」は1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノールを示し、「ペンタノール」は1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノールを示し、「C5+モノアルコール」はヘキサノール及びペンタノールの合計を示す。また「C5+モノアルコール/C5+」は、C5+化合物に対するC5+モノアルコールの選択率であり、C5+化合物のうち、C化合物としては、ヘキサノール以外に、n−ヘキサン、ヘキサノン、ヘキサン酸などが検出され、C化合物としては、ペンタノール以外に、n−ペンタン、ペンタノン、ペンタン酸などが検出された。また、選択率の評価については、C5+モノアルコールを40%以上で得られた場合、高選択率であると評価して「○」を記載し、40%未満を低選択率であると評価して「×」を記載した。さらに、水相改質により水素を生成する際にCOが副生するので、COを検出したものについては温室効果ガス削減効果があったと評価して、「○」を記載した。
ところで、図2及び図4を参照すると、水相改質反応によって生成される二酸化炭素は、続く反応工程である水素化分解反応等では使用されない。よって、得られた二酸化炭素のソルビトール量に対する収率は、水相改質反応によって生成された水素量に比例する。つまり、COの収率によって水相改質反応によって得られた水素量が推定されるのである。
表1に示すように、外部導入した水素による室温時圧力を0.6〜2.0MPaとした実施例1〜3においては、C5+化合物に対するC5+モノアルコールの選択率(以降、単に「選択率」と称することがある。)を40.1〜70.6%といずれも40%以上にできた。また、COの収率から、いずれの実施例においても水相改質反応によって水素を得ており、外部導入した水素とともに水素化分解反応に用いられたものと考えられ、温室効果ガスの排出を抑制しつつ、C5+モノアルコールを得られている。
これに対し、水素の代わりに窒素を導入した比較例1では、選択率は13.7%と低かった。COの収率から、水相改質反応により得られた水素量は他の実施例及び比較例に比べて最も多かったが、水素の外部導入がないために水素化分解反応に必要な水素を十分確保できなかったものと考えられる。
水素の外部導入による室温時圧力を2.5〜6.0MPaとした比較例2〜4において、C5+モノアルコールの収率としては実施例1〜3と同等程度に得られているが、選択率が18.3〜35.3%であり、いずれも40%に満たない。水素の分圧が高かったため、水素化分解反応が過剰に進行してC5+モノアルコールが分解され、多量のアルカン等を生成してしまったものと考えられる。特に、図示していないが、比較例2でもアルカン(n−ヘキサン及びn−ペンタン)の収率は40%程度、他の比較例ではそれ以上あり、そのため選択率が低くなってしまっている。また、COの収率からみて、いずれも水相改質反応はほとんどなかったものと考えられる。
原料にキシリトールを用いた場合においても、同様に高い選択率でC5+モノアルコールを製造することができる。
以上のように、触媒を入れた単一の容器内で炭素数5及び/又は6の糖アルコールを水相改質させて水素を生成させつつ水素化分解を行ってC5+モノアルコールを製造するにあたり、水素を外部導入することで、温室効果ガスの排出を抑制しつつ、高い選択率でC5+モノアルコールを製造することができる。特に、かかる選択率が40%以上となるように、具体的には、例えばソルビトールを原料とする場合に室温時圧力を0.6〜2.0MPaとするように水素を外部導入することで、温室効果ガスの排出を抑制しつつ、高い選択率でC5+モノアルコールを製造することができる。
以上、本発明による実施例及びこれに基づく変形例を説明したが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではなく、当業者であれば、本発明の主旨又は添付した特許請求の範囲を逸脱することなく、様々な代替実施例及び改変例を見出すことができるであろう。

Claims (5)

  1. 触媒を入れた単一の容器内で炭素数5及び/又は6の糖アルコールを水相改質させて水素を生成させつつ水素化分解を行ってC5+モノアルコールを製造する方法であって、
    前記触媒は、SiO又はTiOにPt、Pd、Rhのうちから選択した金属、及び、Ir−ReO、Rh−MoOのうちから選択した金属/金属酸化物を共担持させた触媒粒からなり、炭素数5以上の化合物に対する前記C5+モノアルコールの選択率が40%以上となるように前記容器内に水素を外部導入し加熱することを特徴とするC5+モノアルコールの製造方法。
  2. 前記容器はバッチ式の反応容器であり、水素は加熱前に予め外部導入されることを特徴とする請求項1記載のC5+モノアルコールの製造方法。
  3. 前記容器は連続式の反応容器であり、水素は連続的に外部導入されることを特徴とする請求項1記載のC5+モノアルコールの製造方法。
  4. 水素は常温で0.6〜2.0MPaの範囲内の圧力となるよう外部導入されることを特徴とする請求項1乃至3のうちの1つに記載のC5+モノアルコールの製造方法。
  5. 前記糖アルコールはソルビトールであり、
    前記容器の加熱温度は170℃以上190℃以下とすることを特徴とする請求項1乃至4のうちの1つに記載のC5+モノアルコールの製造方法。
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