JP2018076418A - ボールペン用水性インキ組成物及びそれを内蔵したボールペン - Google Patents
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そこで、前記問題を解決するために、インキ組成物中にアミノ酸型ベタインやメルカプトチアジアゾール等を潤滑剤として添加し、水性インキの潤滑性を向上させてボール受け座の摩耗を低減する試みが開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。
特に、ボール径が小径のものを用いる極細、超極細ボールペンを適用する場合、筆記距離に対するボールの回転数と回転速度が増加するためにより過酷な条件となり、高速回転するボールにインキが乗らずに筆跡に線飛びが生じることや、筆記距離によっては座摩耗を生じてしまうことがある。
尚、前記アミドアミン化合物は、インキ組成物全量中0.05〜5質量%の範囲であることが好ましく、0.1〜1質量%の範囲で添加されることがより好ましい。前記範囲のような少量であっても高い効果が発現できる。
前記染料としては、酸性染料、塩基性染料、直接染料等を使用することができる。
酸性染料としては、ニューコクシン(C.I.16255)、タートラジン(C.I.19140)、アシッドブルーブラック10B(C.I.20470)、ギニアグリーン(C.I.42085)、ブリリアントブルーFCF(C.I.42090)、アシッドバイオレット6B(C.I.42640)、ソルブルブルー(C.I.42755)、ナフタレングリーン(C.I.44025)、エオシン(C.I.45380)、フロキシン(C.I.45410)、エリスロシン(C.I.45430)、ニグロシン(C.I.50420)、アシッドフラビン(C.I.56205)等が用いられる。
塩基性染料としては、クリソイジン(C.I.11270)、メチルバイオレットFN(C.I.42535)、クリスタルバイオレット(C.I.42555)、マラカイトグリーン(C.I.42000)、ビクトリアブルーFB(C.I.44045)、ローダミンB(C.I.45170)、アクリジンオレンジNS(C.I.46005)、メチレンブルーB(C.I.52015)等が用いられる。
直接染料としては、コンゴーレッド(C.I.22120)、ダイレクトスカイブルー5B(C.I.24400)、バイオレットBB(C.I.27905)、ダイレクトディープブラックEX(C.I.30235)、カヤラスブラックGコンク(C.I.35225)、ダイレクトファストブラックG(C.I.35255)、フタロシアニンブルー(C.I.74180)等が用いられる。
蛍光顔料としては、各種蛍光性染料を樹脂マトリックス中に固溶体化した合成樹脂微細粒子状の蛍光顔料が使用できる。
その他、パール顔料、金色、銀色のメタリック顔料、蓄光性顔料、二酸化チタン等の白色顔料、アルミニウム等の金属粉、更には熱変色性組成物、光変色性組成物、香料等を直接又はマイクロカプセル化したカプセル顔料等を例示できる。
前記可逆熱変色性組成物としては、特公昭51−44706号公報、特公昭51−44707号公報、特公平1−29398号公報等に記載された、所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、前記両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅が比較的小さい特性(ΔH=1〜7℃)を有する可逆熱変色性組成物をマイクロカプセル中に内包させた加熱消色型のマイクロカプセル顔料が適用できる。
更に、特公平4−17154号公報、特開平7−179777号公報、特開平7−33997号公報、特開平8−39936号公報等に記載されている比較的大きなヒステリシス特性(ΔH=8〜50℃)を示すものや、特開2006−137886号公報、特開2006−188660号公報、特開2008−45062号公報、特開2008−280523号公報等に記載されている大きなヒステリシス特性を示す、即ち、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、完全発色温度以下の低温域での発色状態、又は完全消色温度以上の高温域での消色状態が、特定温度域で色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包させ加熱消色型のマイクロカプセル顔料も適用できる。
尚、前記色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物として具体的には、完全発色温度を冷凍室、寒冷地等でしか得られない温度、即ち−50〜0℃、好ましくは−40〜−5℃、より好ましくは−30〜−10℃、且つ、完全消色温度を摩擦体による摩擦熱、ヘアドライヤー等身近な加熱体から得られる温度、即ち50〜95℃、好ましくは50〜90℃、より好ましくは60〜80℃の範囲に特定し、ΔH値を40〜100℃に特定することにより、常態(日常の生活温度域)で呈する色彩の保持に有効に機能させることができる。
尚、前記水溶性有機溶剤は一種又は二種以上を併用して用いることができ、2〜60質量%、好ましくは5〜35質量%の範囲で用いられる。
更に、アスコルビン酸類、エリソルビン酸類、α−トコフェロール、カテキン類、合成ポリフェノール、コウジ酸、アルキルヒドロキシルアミン、オキシム誘導体、α−グルコシルルチン、α−リポ酸、ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、亜硫酸塩、スルホキシル酸塩、亜ジチオン酸塩、チオ硫酸塩、二酸化チオ尿素等を添加して化学的に気泡を除去することもできる。
また、N−ビニル−2−ピロリドンのオリゴマー、N−ビニル−2−ピペリドンのオリゴマー、N−ビニル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタム、N−ビニル−ε−カプロラクタムのオリゴマー等の増粘抑制剤を添加することで、出没式形態での機能を高めることもできる。
前記剪断減粘性付与剤としては、水に可溶乃至分散性の物質が効果的であり、キサンタンガム、ウェランガム、構成単糖がグルコースとガラクトースの有機酸修飾ヘテロ多糖体であるサクシノグリカン(平均分子量約100〜800万)、グアーガム、ローカストビーンガム及びその誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸アルキルエステル類、メタクリル酸のアルキルエステルを主成分とする分子量10万〜15万の重合体、グルコマンナン、寒天やカラゲニン等の海藻より抽出されるゲル化能を有する炭水化物、ベンジリデンソルビトール及びベンジリデンキシリトール又はこれらの誘導体、架橋性アクリル酸重合体、ポリN−ビニルカルボン酸アミド、無機質微粒子、HLB値が8〜12のノニオン系界面活性剤、ジアルキルスルホコハク酸の金属塩やアミン塩等を例示でき、更には、インキ組成物中にN−アルキル−2−ピロリドンとアニオン系界面活性剤を併用して添加しても安定した剪断減粘性を付与できる。
筆記具の構造上、インキ保溜部材等での析出物による筆記不良が生じ易いことから、溶解安定性の高い本発明のインキ組成物は低粘度、低剪断減粘性のインキで特に有用である。
また、前記ボールは、超硬合金、ステンレス鋼、ルビー、セラミック等からなる汎用のものが適用でき、直径0.15mm〜2.0mm、好ましくは0.18mm〜1.0mmの範囲のものが好適に用いられる。特に、ボール径が0.5mm以下の小径のものでは、筆記距離に対するボールの回転数が多くなることから、本発明のインキがより好適に作用する。そのため、ボール径がより小さい0.4mm、0.38mm、0.35mm、0.3mm、0.28mm、0.25mm、0.18mm等、小さくなるにつれて本発明のインキは非常に有利に作用する。
特に、前記軸筒、インキカートッリッジ、インキ収容管の一部又は全体が透明性を有する樹脂で構成された場合、内部が視認できるため、インキの残量や色相が確認できるものとなる。尚、前記透明性とは着色透明、半透明、着色半透明を含む。
前記軸筒内に収容されるインキ組成物は、インキ組成物が低粘度である場合は軸筒前部にインキ保留部材を装着し、軸筒内に直接インキ組成物を収容する方法や、多孔質体或いは繊維加工体(外皮により被覆された繊維束など)等のインキ吸蔵体に前記インキ組成物を含浸させて収容する方法が挙げられる。
以下の表に実施例及び比較例のボールペン用水性インキの組成、粘度、剪断減粘指数を示す。尚、表中の組成の数値は質量部を示す。
各実施例、比較例のインキ粘度は、20℃でB型回転粘度計〔東京計器(株)製、BLアダプター使用〕を用いた60rpmでの測定、又は、E型回転粘度計〔東機産業(株)製〕を用いた1rpmでの測定をいずれか可能な条件で行った。
また、各実施例、比較例のインキの剪断減粘指数(n)は20℃でE型粘度計〔東京計器(株)製〕を用いてインキ粘度を測定して算出した。
(1)住友化学工業(株)製、商品名:アシッドブルーPG
(2)保土ヶ谷化学工業(株)製、商品名:フロキシン
(3)冨士色素(株)製、商品名:SPブラック8922
(4)(イ)成分として2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン4.5部、(ロ)成分として1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−デカン4.5部、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン7.5部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料〔T1:−20℃、T2:−9℃、T3:40℃、T4:57℃、ΔH:63℃、平均粒子径:2.5μm(コールター法)、黒色から無色に色変化する〕
(5)一般式(1)におけるR1が炭素数11のアルキル基、R2が−CH2CH(OH)CH2SO3 −であり、n=3の化合物
(6)一般式(1)におけるR1が炭素数11のアルキル基、R2が−O−であり、n=3の化合物
(7)ラウロイルサルコシン、日光ケミカルズ(株)製、商品名:NIKKOLサルコシネートLH
(8)ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、花王(株)製、商品名:アンヒトール86B
(9)2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール
(10)第一工業製薬(株)製、商品名:プライサーフAL
(11)第一工業製薬(株)製、商品名:プライサーフA212E
(12)ローム&ハースジャパン社製、商品名:プライマルASE−60
水に各成分を添加して、20℃で、ディスパーにて400rpm、1時間攪拌し、濾過することで各インキを調製した。
基油としてポリブテン98.5部中に、増粘剤として脂肪酸アマイド1.5部を添加した後、3本ロールにて混練してインキ逆流防止体を得た。
前記実施例1,2,5及び比較例1,2のインキ組成物を、直径0.5mmの超硬合金ボールを抱持するペン先を有するペン芯式ボールペン(パイロットコーポレーション社製、Hi−TecpointV5)外装のインキ貯蔵部に2.0g充填し、キャップを嵌合することで試料ボールペンAを作製した。
前記実施例3,4及び比較例3,4のインキ組成物を、直径0.3mmの超硬合金ボールを抱持するステンレススチール製チップがポリプロピレン製パイプの一端に嵌着されたボールペンレフィルに1.0g充填し、該インキの後端に前記インキ逆流防止体を配設した後、前記ボールペンレフィルを外軸に組み込み、キャップを装着して試料ボールペンBを作製した。
筆記試験
筆記可能であることを確認した試料ボールペン(各5本)を、自動筆記試験機にて、JIS P3201筆記用紙Aに螺旋状の丸を連続筆記し、充填されるインキが完全に消費できるかどうか確認した。尚、前記試験機は、筆記荷重50g、筆記角度70°、筆記速度4m/分の条件で使用した。
試験結果の評価は充填されたインキが完全に消費された本数(書き切り本数)である。
筆跡確認試験
前記筆記試験による筆跡を目視により確認した。
摩耗試験
筆記可能であることを確認した試料ボールペンを、自動筆記試験機にて、JIS P3201筆記用紙Aに螺旋状の丸を1000m連続筆記した後のボール受け座部分の初期状態に対する摩耗量(ペン先上向き状態におけるボール沈み量)を測定した。
尚、前記試験機は、筆記荷重50g、筆記角度70°、筆記速度4m/分の条件で使用した。また、測定値は、各5本ずつ試験したものの平均値である。
インキ安定性試験
各インキ組成物をガラス瓶に封入し、50℃の環境下に30日間放置した。その後、室温にて内部のインキの状態を目視により確認した。
前記各試験の結果を以下の表に示す。
筆跡確認試験
○:良好な筆跡である。
△:若干の線飛びが見られる。
×:複数の線飛びが見られる。
インキ安定性試験
○:異常なし。
△:若干の析出物が見られる。
×:多量の析出物が見られる。
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