以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
〔遊技機の基本構成〕
図1は、本実施の形態に係るパチンコ遊技機100の概略正面図である。
図1に示す遊技機の一例としてのパチンコ遊技機100は、遊技者の指示操作により打ち出された遊技球が入賞すると賞球を払い出すように構成されたものである。このパチンコ遊技機100は、遊技球が打ち出される遊技盤110と、遊技盤110を囲む枠部材150とを備えている。遊技盤110は、枠部材150に着脱自在に取り付けられている。
遊技盤110は、前面に、遊技球により遊技を行うための遊技領域111と、下方から発射された遊技球が上昇して遊技領域111の上部位置へ向かう通路を形成するレール部材112と、遊技領域111の右側に遊技球を案内する案内部材113とを備えている。なお、遊技領域111には、正面視左側にある領域である左側領域111Lと、正面視右側にある領域である右側領域111Rと、が含まれる。本書では、左側領域111Lに向けて遊技球を発射させる打ち方を左打ちということがあり、また、右側領域111Rに向けて遊技球を発射させる打ち方を右打ちということがある。ここにいう左側領域111Lないし右側領域111Rは、遊技領域における所定領域の一例である。
本実施の形態では、遊技者により視認され易い遊技領域111の位置(中央位置)に、演出のための各種の画像を表示する画像表示部114が配設されている。この画像表示部114は、液晶ディスプレイ等による表示画面を備え、遊技者によるゲームの進行に伴い、例えば、特別図柄判定の結果を遊技者に報知するための装飾図柄を表示したり、キャラクタの登場やアイテムの出現による演出画像や保留表示を用いた演出画像を表示したりする。
また、遊技盤110の前面に、各種の演出に用いられる可動役物115および盤ランプ116を備えている。可動役物115は、遊技盤110上で動作することにより各種の演出を行い、また、盤ランプ116は、発光することで各種の演出を行う。
遊技領域111には、遊技球が落下する方向に変化を与えるための図示しない遊技くぎおよび風車等が配設されている。また、遊技領域111には、入賞や抽選に関する種々の役物が所定の位置に配設されている。また、遊技領域111には、遊技領域111に打ち出された遊技球のうち入賞口に入賞しなかったものを遊技領域111の外に排出する排出口117が配設されている。
本実施の形態では、入賞や抽選に関する種々の役物として、遊技球が入賞すると特別図柄判定(大当たり抽選)が始動する第1始動口121および第2始動口122と、遊技球が通過すると普通図柄抽選(開閉抽選)が始動する抽選用ゲート(以下、単にゲートと呼ぶ)124と、が遊技盤110に配設されている。
なお、図1において、ゲート124は、遊技領域111の左右にそれぞれ設けられており、左側のゲート124は124Lと記載し、右側のゲート124は124Rと記載している。また、ここにいう第1始動口121および第2始動口122とは、予め定められた1の特別図柄表示器の作動契機となる入賞口をいう。具体的には、第1始動口121および第2始動口122には、入賞の際に遊技球の通過を検知するスイッチ(後述の第1始動口スイッチ211および第2始動口スイッチ212)が設けられている。そして、第1始動口121または第2始動口122に遊技球が入賞した際にこのスイッチが遊技球の通過を検知することが、特別図柄表示器を作動させる契機となる。
第2始動口122は、電動ソレノイドにより開閉作動すると共に点灯する普通電動役物としての電動チューリップ(開閉部材)123を備えている。電動チューリップ123は、閉じていると、遊技球が第2始動口122へ入り難い一方で、開くと第2始動口122の入口が拡大して遊技球が第2始動口122へ入り易くなるように構成されている。そして、電動チューリップ123は、普通図柄抽選に当選すると、点灯ないし点滅しながら羽根が規定時間(例えば0.15秒ないし1.8秒間)および規定回数(例えば1回ないし3回)だけ開く。
なお、本実施の形態では、電動チューリップ123を、チューリップの花の形をした一対の羽根が電動ソレノイドにより開閉作動するように構成するが、他の例、例えば電動チューリップ123を、正面視で第2始動口122に対して中央寄りまたは中央寄りとは反対の側(端寄り)に一つの羽根を有するように構成する例も考えられる。
パチンコ遊技機100は、遊技状態として、特別図柄判定の当選確率に基づき、当選確率の低い低確率状態と、低確率状態よりも当選確率の高い高確率状態(確変状態)とを有している。そして、所定の条件に基づいて低確率状態と高確率状態とのいずれかの状態に制御される。なお、上記の低確率状態と高確率状態の他に、特別図柄判定の当選確率が低確率状態よりも高く高確率状態よりも低い中確率状態を設定することも可能である。この場合、パチンコ遊技機100は、所定の条件に基づいて低確率状態、中確率状態および高確率状態のいずれかの状態に制御される。
また、パチンコ遊技機100は、第2始動口122への入賞機会が少ない時短無状態と、時短無状態よりも第2始動口122への入賞機会が多い時短状態とを有している。そして、所定の条件に基づいて時短無状態と時短状態とのいずれかの状態に制御される。時短状態とは、例えば、電動チューリップ123が開閉作動する際の開時間を延長すること、普通図柄抽選の当たり当選確率を高確率にすること、あるいは普通図柄変動時間を短縮すること、のいずれか1つまたは複数の組合せによって制御される遊技状態である。なお、時短状態では、特別図柄の特別図柄変動時間が短縮されていても良い。
また、本実施の形態では、入賞や抽選に関するその他の役物として、特別図柄判定の結果に応じて開放する特別電動役物としての開閉扉(アタッカー)127を備えた第1大入賞口125および特別電動役物としての開閉扉(アタッカー)129を備えた第2大入賞口128を備える(以下、第1大入賞口125と第2大入賞口128とを区別しない場合は、「大入賞口125、128」と記載し、第1大入賞口125の開閉扉127と第2大入賞口128の開閉扉129とを区別しない場合は、「開閉扉127、129」と記載する)。開閉扉127は、閉じた状態では、遊技球が第1大入賞口125へ入賞せず、開いた状態では、遊技球が第1大入賞口125へ容易に入賞可能となるように構成されている。また、開閉扉129は、閉じた状態では、遊技球が第2大入賞口128へ入賞せず、開いた状態では、遊技球が第2大入賞口128へ容易に入賞可能となるように構成されている。さらに、パチンコ遊技機100は、遊技球が入賞しても抽選を行わない普通入賞口126と、が遊技盤110に配設されている。
本実施の形態では、遊技盤110の左下の位置に、抽選結果や保留数に関する表示を行う表示器130が配設されている。
また、本実施の形態では、遊技盤110の右側領域111Rに、特別電動役物すなわち開閉扉127,129が作動する場合に遊技盤110に対して可動になる右可動体170が配設されている。なお、右可動体170の近傍には、遊技球を案内する筒状部材171も配設されている。筒状部材171の詳細は後述する。
より詳細には、右可動体170は、開閉扉127,129が作動しないと、可動にならない。なお、ここにいう「可動」は、必ずしも右可動体170の姿勢ないし位置が変わることを意味せず、「可動」であって右可動体170の姿勢ないし位置が変わる場合のほか、「可動」であっても右可動体170の姿勢ないし位置が変わらない場合も含まれる。
右可動体170は、右側のゲート124Rの上流側に位置する。言い換えると、右可動体170は、第1大入賞口125および第2大入賞口128よりも上流側に位置し、また、第2始動口122および電動チューリップ123よりも上流側に位置する。
さらに説明すると、右可動体170は、発射された遊技球が右側のゲート124Rを通過しないように妨げる状態(ゲート通過阻止の状態)と、右側のゲート124Rの通過を妨げない状態(ゲート通過許容の状態)と、の間で相互に変更可能である。本実施の形態では、右可動体170は、ゲート通過阻止の位置とゲート通過許容の位置との間を移動可能であり、両者のいずれかが選択される構成を採用するが、他の選択肢を持つ例も考えられる。また、右可動体170は、移動する構成のほか、回転する構成や展開する構成等の種々の態様が考えられる。
ここで、右可動体170により通過阻止/許容の切り替えが行われるゲート124Rは、本実施の形態では、遊技球が通過すると普通図柄抽選が始動する抽選用ゲートであるが、これに限られない。例えば、ゲート124Rは、普通図柄抽選用ゲートの代わりに、役物連続作動装置の作動(ラウンド)を開始させるのに用いられるラウンド開始用ゲートとする変形例も考えられる。また、ゲート124Rが抽選用ゲートの場合に、別のラウンド開始用ゲートを追加する変形例も考えられ、また、ゲート124Rを、抽選用ゲートおよびラウンド開始用ゲートとする兼用仕様とすることも考えられる。
また、遊技盤110の裏面には、特別図柄判定等を含む遊技制御を行う遊技制御基板、演出を統括的に制御する演出制御基板、画像および音による演出を制御する画像制御基板、各種のランプおよび可動役物115による演出を制御するランプ制御基板などの図示しない各種の基板等が取り付けられる。また、遊技盤110の裏面には、供給された24VのAC電源をDC電源に変換して各種の基板等に出力するスイッチング電源(不図示)が配設されている。
枠部材150は、遊技者がハンドル151に触れてレバー152を時計方向に回転させる操作を行うとその操作角度に応じた打球力にて遊技球を所定の時間間隔(例えば1分間に100個)で電動発射する発射装置(不図示)を備えている。また、枠部材150は、遊技者のレバー152による操作と連動したタイミングで発射装置に遊技球を1つずつ順に供給する供給装置(不図示)と、供給装置が発射装置に供給する遊技球を一時的に溜めておく皿153と、を備えている。この皿153には、例えば払い出しユニットによる払出球が払い出される。
なお、本実施の形態では、皿153を上下皿一体で構成しているが、上皿と下皿とを分離する構成例も考えられる。また、発射装置のハンドル151を所定条件下で発光させたり、振動させたりする構成例も考えられる。
また、枠部材150は、発射装置のハンドル151に遊技者が触れている状態であっても遊技球の発射を一時的に停止させるための停止ボタン154と、皿153に溜まっている遊技球を箱(不図示)に落下させて取り出すための取り出しボタン155と、を備えている。
また、枠部材150は、パチンコ遊技機100の遊技状態や状況を告知したり各種の演出を行ったりするスピーカ156および枠ランプ157を備えている。スピーカ156は、楽曲や音声、効果音により、告知や各種の演出を行う。枠ランプ157は、LED等の発光体で構成され、点灯・点滅によるパターンや発光色の違い等で光による各種の演出を行う。なお、枠ランプ157については、光の照射方向を変更する演出を行うことを可能にする構成例が考えられる。
また、枠部材150は、遊技盤110を遊技者と隔てるための透明板(不図示)を備えている。この透明板は、例えば、前面枠に嵌め込まれて、蝶番等により、枠部材150に対して開閉可能に取り付けられている。
ここで、第2大入賞口128の構成について説明する。図2−1は、本実施の形態による第2大入賞口128の構成例を示す図である。
図2−1に示すように、第2大入賞口128には、開閉扉129の内側に、遊技球を案内する流路140が形成されている。この流路140には、遊技球の通過を検知する第2大入賞口スイッチ215Bが設けられており、この第2大入賞口スイッチ215Bによって、遊技球の第2大入賞口128への入賞が検出される。
また、第2大入賞口128の流路140は、途中で2つの経路(経路142と経路143)に分岐しており、一方の経路142に特定領域が設定されている。そして、流路140の分岐位置には、開放された開閉扉129から第2大入賞口128へ侵入し、流路140を通ってきた遊技球を、分岐位置から先のどちらの経路へ進ませるかを切り替える切り替え蓋141が設けられている。図2−1に示すように、特定領域が設定された方の経路142には、遊技球の通過を検知する特定領域スイッチ215Cが設けられている。本実施の形態のパチンコ遊技機100は、この特定領域を遊技球が通過したことを高確率状態へ移行する移行条件の一つとする。高確率状態および移行条件については後述する。
図2−2は、第2大入賞口128の内部を遊技球が通過する様子を模式的に示す図であり、図2−2(a)は遊技球が経路143を通過する様子を示す図、図2−2(b)は遊技球が経路142を通過する様子を示す図である。
第2大入賞口128に入った遊技球は、流路140を通って第2大入賞口スイッチ215Bを通過した後、切り替え蓋141により振り分けられて、特定領域が設定された経路142または特定領域が設定されていない経路143を通り、排出される。図2−2(a)に示す例では、切り替え蓋141が経路142を塞ぎ、経路143を開いているので、流路140を通ってきた遊技球は経路143へ向かう(以下、この状態を第1流路状態と呼ぶ)。一方、図2−2(b)に示す例では、切り替え蓋141が経路142を開き、経路143を塞いでいるので、流路140を通ってきた遊技球は経路142へ向かう(以下、この状態を第2流路状態と呼ぶ)。そして、特定領域スイッチ215Cにより、遊技球の特定領域通過が検出される。さらに説明すれば、第2大入賞口128の開閉扉129が開放され、かつ、切り替え蓋141が第2流路状態であるときに遊技球が特定領域を通過可能(第1状態)となり、第2大入賞口128の開閉扉129が閉じられているか、または、切り替え蓋141が第1流路状態であるときに遊技球が特定領域を通過不可能(第2状態)となる。
なお、図2−1および図2−2に示した構成例では、特定領域が設定されている経路142にのみ、遊技球の通過を検出するスイッチ(特定領域スイッチ215C)を設けている。したがって、特定領域スイッチ215Cにより遊技球が検出されると、遊技球が経路142を通ったことが分かる。そして、特定領域スイッチ215Cにより遊技球が検出されない場合(第2大入賞口スイッチ215Bによる検出のみ)は、遊技球が経路143を通ったことが分かる。これに対し、経路143にも遊技球の通過を検知するスイッチを設け、遊技球が経路143を通ったことを積極的に検出する構成としても良い。
また、ここでは特に図示しないが、第1大入賞口125も同様に、開閉扉127の内側に、遊技球を案内する流路を有している。そして、この流路に、遊技球の通過を検知する第1大入賞口スイッチ215A(後述)が設けられており、この第1大入賞口スイッチ215Aによって、遊技球の第1大入賞口125への入賞が検出される。第1大入賞口125の流路は分岐しておらず、第1大入賞口125に入った遊技球は、第1大入賞口スイッチ215Aを通過した後、排出される。
図2−3は、本実施の形態に係るパチンコ遊技機100を説明する図であり、図2−3(a)は、遊技盤110の右下に配設された表示器130の一例を示す拡大図であり、図2−3(b)は、パチンコ遊技機100の部分平面図である。
パチンコ遊技機100の表示器130は、図2−3(a)に示すように、第1始動口121の入賞に対応して作動する第1特別図柄表示器221と、第2始動口122の入賞に対応して作動する第2特別図柄表示器222と、ゲート124の通過に対応して作動する普通図柄表示器223と、を備えている。第1特別図柄表示器221は、第1始動口121の入賞に基づき、特別図柄を変動表示した後に停止表示させて抽選結果を表示する。第2特別図柄表示器222は、第2始動口122の入賞に基づき、特別図柄を変動表示した後に停止表示させて抽選結果を表示する。普通図柄表示器223は、遊技球がゲート124を通過したことに基づき、普通図柄を変動表示した後に停止表示させて抽選結果を表示する。本実施の形態では、第1特別図柄表示器221、第2特別図柄表示器222は、各々LEDを配列した表示装置で構成され、その点灯態様によって特別図柄判定の抽選結果が表示される。同様に、普通図柄表示器223も、LEDを配列した表示装置で構成され、その点灯態様によって普通図柄抽選の抽選結果が表示される。
また、表示器130は、第1特別図柄表示器221での保留に対応して作動する第1特別図柄保留表示器218と、第2特別図柄表示器222での保留に対応して作動する第2特別図柄保留表示器219と、普通図柄表示器223での保留に対応して作動する普通図柄保留表示器220と、を備えている。本実施の形態では、第1特別図柄保留表示器218、第2特別図柄保留表示器219および普通図柄保留表示器220は、各々LEDを配列した表示装置で構成され、その点灯態様によって保留数が表示される。
ここで、保留について説明する。特別図柄の変動表示動作中(入賞1回分の変動表示が行なわれている間)にさらに第1始動口121または第2始動口122に遊技球が入賞した場合、特別図柄が変動中であるために、後の入賞に基づく特別図柄の変動表示動作を開始することができない。そのため、後の入賞は規定個数(例えば4個)を限度に記憶され、その入賞した遊技球に対する特別図柄を始動させるための権利が、先に入賞した遊技球に対する変動表示動作が終了するまで、保留される。なお、普通図柄に関しても、特別図柄と同様の処理を行う。このような保留がなされていることおよびその保留の数(未変動数)が、第1特別図柄保留表示器218、第2特別図柄保留表示器219および普通図柄保留表示器220に表示される。
さらに、表示器130は、パチンコ遊技機100の状態を表示する状態表示器224を備えている。本実施の形態では、状態表示器224は、3個のLEDを配列した表示装置で構成されている。3個のLEDのうち1つは、パチンコ遊技機100の状態が、特別図柄判定の当選確率が高確率である高確率状態となっているか否かを点灯により報知するものである。他の1つは、パチンコ遊技機100の状態が、第2始動口122に入賞しやすい時短状態となっているか否かを点灯により報知するものである。さらに他の1つは、右打ちすることによって(遊技球の打球力を変更することによって)遊技者に有利な状態となっているか否かを点灯により報知するものである。なお、状態表示器224には、さらにLEDを設け、他の遊技状態に関する情報を報知するようにしても良い。
また、表示器130は、特別図柄判定の抽選結果に応じて行われる大当たり遊技において大入賞口125、128に設けられた開閉扉127、129が作動される際のラウンド数を表示するラウンド数表示器225を備えている。大当たり遊技については後述する。ラウンド数表示器225は、LEDを配列した表示装置で構成され、その点灯態様によって大当たり遊技における開閉扉127、129の作動ラウンド数が表示される。
パチンコ遊技機100の枠部材150は、遊技者が演出に対する入力を行うための入力装置を備えている。図2−3(b)に示すように、本実施の形態では、入力装置の一例として、演出ボタン161と、演出ボタン161に隣接し、略十字に配列された複数のキーからなる演出キー162と、が枠部材150に配設されている。例えば、演出において複数の画像の中から1つの画像を選択する操作を受け付ける場合を考える。この場合、例えば、遊技者は、十字に配列された4つのキーからなる演出キー162を操作することにより、画像表示部114に表示されている複数の画像のいずれかを指示し、演出ボタン161を操作することにより、指示した画像を選択するような演出を採用することができる。また、入力装置の形態としては、図示した演出ボタン161および演出キー162の他、レバーやダイヤル等、演出の内容等に応じて様々な入力形態を採用することができる。
〔制御ユニットの構成〕
次に、パチンコ遊技機100での動作制御や信号処理を行う制御ユニットについて説明する。
図3は、制御ユニットの内部構成を示すブロック図である。図3に示すように、制御ユニットは、メイン制御手段として、特別図柄の当選の判定等を行う遊技制御部200を備えている。また、サブ制御手段として、演出を統括的に制御する演出制御部300と、画像および音響を用いた演出を制御する画像/音響制御部310と、各種のランプおよび可動役物115を用いた演出を制御するランプ制御部320と、払出球の払い出し制御を行う払出制御部330と、を備えている。
メイン制御手段である遊技制御部200は、メイン基板としての図示しない遊技制御基板により構成されている。また、サブ制御手段である演出制御部300、画像/音響制御部310、ランプ制御部320および払出制御部330の各々は、サブ基板としての図示しない演出制御基板、画像制御基板、ランプ制御基板、および払出制御基板により個別に構成されている。
〔遊技制御部の構成・機能〕
遊技制御部200は、パチンコ遊技機100の遊技を制御する遊技制御手段であり、特別図柄判定の抽選結果の判定等を行う際の演算処理を行うCPU201と、CPU201にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶されたROM202と、CPU201の作業用メモリ等として用いられるRAM203と、を備えている。
遊技制御部200は、パチンコ遊技機100の遊技状態を、高確率状態または低確率状態のいずれか、時短無状態または時短状態のいずれかで制御する。これにより、パチンコ遊技機100の遊技状態は、高確率状態および時短状態である高確率時短遊技状態、低確率状態および時短状態である低確率時短遊技状態、高確率状態および時短無状態である高確率時短無遊技状態、低確率状態および時短無状態である低確率時短無遊技状態のいずれかとなり得る。なお、これらすべての遊技状態を備える場合のほか、いずれかの遊技状態を備えない場合も考えられる。
そして、遊技制御部200は、所定の条件に基づき、高確率状態と低確率状態とを切り替え、時短無状態と時短状態とを切り替える。また、遊技制御部200は、時短状態において、時短無状態よりも普通図柄抽選の当たり当選確率を高確率にする、普通図柄変動時間を短縮する、電動チューリップ123の開時間を延長する等の制御を行う。
遊技制御部200は、第1始動口121または第2始動口122に遊技球が入賞したことを契機として特別図柄判定を行う。そして、特別図柄判定の結果に応じて、大入賞口125、128に設けられた開閉扉127、129を開閉作動させる特別遊技を行う。詳しくは後述するが、特別遊技には、特別図柄判定において大当たりの判定結果が得られたときに行われる大当たり遊技と、はずれの判定結果のうちの小当たりが得られたときに行われる小当たり遊技とが含まれる。特別遊技において、遊技制御部200は、大入賞口125、128に設けられた開閉扉127、129が所定条件(例えば、特定の大当たり遊技では、29.5秒経過または遊技球10個の入賞)を満たすまで開状態を維持するラウンドを所定回数だけ繰り返すように制御する。そして、遊技制御部200は、特別遊技における開閉扉127、129の開閉動作の間隔を制御する。なお、遊技制御部200は、第2大入賞口128の動作に伴う切り替え蓋141の動作も制御する。
また、遊技制御部200は、ゲート124を遊技球が通過したことを契機として普通図柄抽選を行う。そして、普通図柄抽選の判定結果に応じて、電動チューリップ123を作動させる当たり遊技を行う。
また、遊技制御部200は、特別図柄変動中に遊技球が第1始動口121または第2始動口122へ入賞したことにより発生する保留や、普通図柄変動中に遊技球がゲート124を通過したことにより発生する保留の設定を行う。
さらに、遊技制御部200は、特別図柄判定および普通図柄抽選の判定結果、高確率状態と低確率状態の変更情報、時短無状態と時短状態の変更情報、保留の設定情報等の遊技制御に伴う情報を、後述するコマンドにより演出制御部300に送る。
さらに、遊技制御部200は、第1始動口121、第2始動口122、大入賞口125、128および普通入賞口126に遊技球が入賞すると、遊技球が入賞した場所に応じて1つの遊技球当たり所定数の賞球を払い出すように、払出制御部330に対する指示を行う。例えば、第1始動口121に遊技球が入賞すると3個の賞球、第2始動口122に遊技球が入賞すると4個の賞球、大入賞口125、128に遊技球が入賞すると13個の賞球、普通入賞口126に遊技球が入賞すると10個の賞球をそれぞれ払い出すように、払出制御部330に指示命令(コマンド)を送る。なお、ゲート124を遊技球が通過したことを検出しても、それに連動した賞球の払い出しは払出制御部330に指示しない。
払出制御部330が遊技制御部200の指示に従って賞球の払い出しを行った場合には、遊技制御部200は、払い出した賞球の個数に関する情報を払出制御部330から取得する。それにより、払い出した賞球の個数を管理する。
遊技制御部200には、検知手段として、図3に示すように、第1始動口121への遊技球の入賞を検出する第1始動口検出部(第1始動口スイッチ(SW))211と、第2始動口122への遊技球の入賞を検出する第2始動口検出部(第2始動口スイッチ(SW))212と、電動チューリップ123を開閉する電動チューリップ開閉部213と、ゲート124への遊技球の通過を検出するゲート検出部(ゲートスイッチ(SW))214と、が接続されている。
さらに、遊技制御部200には、第1大入賞口125への遊技球の入賞を検出する第1大入賞口検出部(第1大入賞口スイッチ(SW))215Aと、第1大入賞口125の開閉扉127を閉状態と突出傾斜した開状態とに動作させる第1大入賞口開閉部216Aと、第2大入賞口128への遊技球の入賞を検出する第2大入賞口検出部(第2大入賞口スイッチ(SW))215Bと、第2大入賞口128の開閉扉129を閉状態と突出傾斜した開状態とに動作させる第2大入賞口開閉部216Bと、第2大入賞口128の内部に設けられた特定領域検出部(特定領域スイッチ(SW))215Cと、第2大入賞口128の内部に設けられた切り替え蓋141を図2−2に示した第1流路状態と第2流路状態とに切り替える流路切り替え部216Cと、普通入賞口126への遊技球の入賞を検出する普通入賞口検出部(普通入賞口スイッチ(SW))217と、が接続されている。なお、特定領域スイッチ215Cは特定遊技状態設定スイッチの一例であり、流路切り替え部216Cは特定電動役物の一例である。
さらには、遊技制御部200には、右可動体170(例えば図1参照)を作動させる右可動体作動部226が接続されている。
また、遊技制御部200には、特別図柄の変動中に第1始動口121へ入賞した未変動分の保留個数を表示する第1特別図柄保留表示器218と、特別図柄の変動中に第2始動口122へ入賞した未変動分の保留個数を表示する第2特別図柄保留表示器219と、普通図柄の変動中にゲート124を通過した未変動分の保留個数を表示する普通図柄保留表示器220と、が接続されている。
さらに、遊技制御部200には、第1始動口121への遊技球の入賞により行われる特別図柄の変動表示および特別図柄判定の結果を表示する第1特別図柄表示器221と、第2始動口122への遊技球の入賞により行われる特別図柄の変動表示および特別図柄判定の結果を表示する第2特別図柄表示器222と、普通図柄の変動表示および普通図柄抽選の結果を表示する普通図柄表示器223と、パチンコ遊技機100の状態を表示する状態表示器224と、が接続されている。
そして、第1始動口スイッチ211、第2始動口スイッチ212、ゲートスイッチ214、第1大入賞口スイッチ215A、第2大入賞口スイッチ215B、特定領域スイッチ215Cおよび普通入賞口スイッチ217にて検出された検出信号が、遊技制御部200に送られる。また、遊技制御部200からの制御信号が、電動チューリップ開閉部213、第1大入賞口開閉部216A、第2大入賞口開閉部216B、流路切り替え部216C、第1特別図柄保留表示器218、第2特別図柄保留表示器219、普通図柄保留表示器220、第1特別図柄表示器221、第2特別図柄表示器222、普通図柄表示器223、状態表示器224および右可動体作動部226に送られる。それにより、遊技制御部200は、上記した払い出し賞球数に関連する各種制御を行う。
さらに、遊技制御部200には、ホールに設置されたホストコンピュータ(不図示)に対して各種の情報を送信する盤用外部情報端子基板350が接続されている。そして、遊技制御部200は、払出制御部330から取得した、払い出した賞球数に関する情報や遊技制御部200の状態等を示す情報を、盤用外部情報端子基板350を介してホストコンピュータに送信する。
〔演出制御部の構成・機能〕
演出制御部300は、パチンコ遊技機100の演出を制御する演出制御手段であり、演出を制御する際の演算処理を行うCPU301と、CPU301にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶されたROM302と、CPU301の作業用メモリ等として用いられるRAM303と、日時を計測するリアルタイムクロック(RTC)304と、を備えている。
演出制御部300は、例えば遊技制御部200から送られる特別図柄判定での当選か否かの判定結果および変動パターンに基づいて、演出内容を設定する。その際、演出ボタン161または演出キー162を用いたユーザからの操作入力を受けて、操作入力に応じた演出内容を設定する場合もある。この場合、例えば演出ボタン161等のコントローラ(不図示)から操作に応じた信号(操作信号)を受け付け、この操作信号により識別される操作内容を演出の設定に反映させる。
また、演出制御部300は、遊技が所定期間中断された場合には、演出の1つとして客待ち用の画面表示の設定を指示する。
さらには、演出制御部300は、遊技制御部200より受信した高確率状態と低確率状態の変更情報、時短無状態と時短状態の変更情報に基づいて演出内容を設定する。
また、演出制御部300は、設定した演出内容の実行を指示するコマンドを画像/音響制御部310およびランプ制御部320に送る。
〔画像/音響制御部の構成・機能〕
画像/音響制御部310は、演出内容を表現する画像および音響を制御する際の演算処理を行うCPU311と、CPU311にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶されたROM312と、CPU311の作業用メモリ等として用いられるRAM313と、を備えている。
そして、画像/音響制御部310は、演出制御部300から送られたコマンドに基づいて、画像表示部114に表示する画像およびスピーカ156から出力する音響を制御する。
具体的には、画像/音響制御部310のROM312には、画像表示部114において遊技中に表示する図柄画像や背景画像、遊技者に抽選結果を報知するための装飾図柄、遊技者に予告演出を表示するためのキャラクタやアイテム等といった画像データが記憶されている。
ROM312には、さらに、画像データと同期させて、または画像データとは独立にスピーカ156から出力させる楽曲や音声、さらにはジングル等の効果音等といった各種音響データが記憶されている。CPU311は、ROM312に記憶された画像データや音響データの中から、演出制御部300から送られたコマンドに対応したものを選択して読み出す。さらには、読み出した画像データを用いて背景画像表示、図柄画像表示、図柄画像変動、およびキャラクタ/アイテム表示等のための画像処理と、読み出した音響データを用いた音声処理とを行う。
そして、画像/音響制御部310は、画像処理された画像データにより画像表示部114での画面表示を制御する。また、音声処理された音響データによりスピーカ156から出力される音響を制御する。
〔ランプ制御部の構成・機能〕
ランプ制御部320は、盤ランプ116や枠ランプ157の発光、および可動役物115の動作を制御する際の演算処理を行うCPU321と、CPU321にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶されたROM322と、CPU321の作業用メモリ等として用いられるRAM323と、を備えている。
そして、ランプ制御部320は、演出制御部300から送られたコマンドに基づいて、盤ランプ116や枠ランプ157の点灯/点滅や発光色等を制御する。また、可動役物115の動作を制御する。
具体的には、ランプ制御部320のROM322には、演出制御部300にて設定される演出内容に応じた盤ランプ116や枠ランプ157での点灯/点滅パターンデータおよび発光色パターンデータ(発光パターンデータ)が記憶されている。CPU321は、ROM322に記憶された発光パターンデータの中から、演出制御部300から送られたコマンドに対応したものを選択して読み出す。そして、ランプ制御部320は、読み出した発光パターンデータにより盤ランプ116や枠ランプ157の発光を制御する。
また、ランプ制御部320のROM322には、演出制御部300にて設定される演出内容に応じた可動役物115の動作パターンデータが記憶されている。CPU321は、可動役物115に対しては、読み出した動作パターンデータによりその動作を制御する。
〔払出制御部の構成・機能〕
払出制御部330は、払出球の払い出しを制御する際の演算処理を行うCPU331と、CPU331にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶されたROM332と、CPU331の作業用メモリ等として用いられるRAM333と、を備えている。
そして、払出制御部330は、遊技制御部200から送られたコマンドに基づいて、払出球の払い出しを制御する。
具体的には、払出制御部330は、遊技制御部200から、遊技球が入賞した場所(第1始動口121等)に応じた所定数の賞球を払い出すコマンドを取得する。そして、コマンドに指定された数だけの賞球を払い出すように払出駆動部334を制御する。ここでの払出駆動部334は、遊技球の貯留部から遊技球を送り出す駆動モータで構成される。
また、払出制御部330には、払出駆動部334により遊技球の貯留部から実際に払い出された賞球の数を検出する払出球検出部335と、貯留部(不図示)での遊技球の貯留の有無を検出する球有り検出部336と、遊技者が遊技する際に使用する遊技球や払い出された賞球が保持される皿153が満タン状態に有るか否かを検出する満タン検出部337と、が接続されている。そして、払出制御部330は、払出球検出部335、球有り検出部336および満タン検出部337にて検出された検出信号を受け取り、これらの検出信号に応じた所定の処理を行う。
さらに、払出制御部330には、ホールに設置されたホストコンピュータに対して各種の情報を送信する枠用外部情報端子基板340が接続されている。そして、払出制御部330は、例えば払出駆動部334に対して払い出すように指示した賞球数に関する情報や払出球検出部335にて検出された実際に払い出された賞球数に関する情報等を枠用外部情報端子基板340を介してホストコンピュータに送信する。また、遊技制御部200に対しても、同様の情報を送信する。
〔遊技制御部の機能構成〕
続いて、遊技制御部200の機能構成を説明する。
図4は、遊技制御部200の機能構成を示すブロック図である。図4に示すように、遊技制御部200は、各種抽選処理を実行する機能部として、乱数取得部231と、普通図柄判定部232と、特別図柄変動制御部233と、特別図柄判定部234と、普通図柄変動制御部236と、を備えている。
また、遊技制御部200は、特別図柄変動に伴う処理を実行する機能部として、変動パターン選択部235を備えている。
さらに、遊技制御部200は、各種役物の動作制御や賞球等に関するデータ処理を実行する機能部として、大入賞口動作制御部237と、電動チューリップ動作制御部238と、賞球処理部239と、出力制御部240と、乱数制御部241と、を備えている。
乱数取得部231は、特別図柄判定に用いられる乱数値と、普通図柄抽選に用いられる乱数値とを取得する。特別図柄判定に用いられる乱数値の場合、具体的には、第1始動口121や第2始動口122に遊技球が入賞したことを条件として、乱数の種類ごとに、所定の範囲の数値の中から1つの数値(乱数値)が選択(取得)される。取得された乱数値は、特別図柄判定部234による判定に用いられる。詳しくは後述するが、特別図柄判定に用いられる乱数としては、大当たりか否かを示す大当たり乱数、大当たりの種類を示す図柄乱数、変動パターン乱数、リーチ乱数等が有る。
また、普通図柄抽選に用いられる乱数値の場合、具体的には、ゲート124を遊技球が通過したことを条件として、所定の範囲の数値の中から1つの数値(乱数値)が選択(取得)される。取得された乱数値は、普通図柄判定部232による判定に用いられる。なお、普通図柄抽選に用いられる乱数としては、当たりか否かを示す当たり乱数の他、当たりの種類を示す図柄乱数や変動パターン乱数等が設定される場合もある。
特別図柄変動制御部233は、特別図柄判定が行われた場合に、抽選結果に応じて、第1特別図柄表示器221または第2特別図柄表示器222における特別図柄の変動を制御する。
特別図柄判定部234は、特別図柄の変動開始時に、後述する図17に示すような乱数テーブルを用いて、特別図柄判定の抽選結果が「大当たりか否か」、「大当たりに当選した場合の大当たりの種類」、「大当たりに当選していない場合の小当たりか否か」等を判定する判定手段である。すなわち、特別図柄判定部234は、乱数取得部231により取得された特別図柄判定用の乱数値に基づいて、遊技者にとって有利な特別遊技(大当たり遊技または小当たり遊技)を行うか否かを判定する。なお、特別図柄判定は、乱数取得部231および特別図柄判定部234により行われる処理である。
ここで、「大当たり」は、大当たり遊技の終了後に発生する遊技状態に応じて複数の種類に分けられる。具体的には、時短無状態か時短状態か、および高確率状態か低確率状態かの組み合わせによって大当たりの種類が決まる。すなわち、大当たりの種類としては、大当たり遊技の終了後に、高確率時短遊技状態となる大当たり(以下、高確率時短遊技状態の大当たり)、低確率時短遊技状態となる大当たり(以下、低確率時短遊技状態の大当たり)、高確率時短無遊技状態となる大当たり(以下、高確率時短無遊技状態の大当たり)、低確率時短無遊技状態となる大当たり(以下、低確率時短無遊技状態の大当たり)の4種類が有り得る。これらの大当たりは、各々個別の特別図柄に対応付けられており、特別図柄判定において当選した特別図柄の種類に応じて大当たりの種類が確定する。
また、「大当たり」は、大当たり遊技の時間が長く多量の遊技球の払い出しが期待できる大当たりと、大当たり遊技の時間が短く遊技球の払出がほとんど期待できない大当たりとに分けられる場合がある。前者は「長当たり」と呼ばれ、後者は「短当たり」と呼ばれる。例えば、「長当たり」では、大入賞口125、128の開状態が所定条件(例えば29.5秒経過または10個の遊技球の入賞)を満たすまで維持されるラウンドが所定回数(例えば16回)繰り返される。また、「短当たり」では、一定時間(例えば0.1秒)だけ大入賞口125、128が開状態となるラウンドが所定回数(例えば16回)繰り返される。
大当たり遊技における大入賞口125、128の作動パターンとしては、パチンコ遊技機100において設定される大当たりの種類に応じて様々なパターンが設定される。大当たり遊技における大入賞口125、128の作動パターンは、ラウンド数、第1大入賞口125および第2大入賞口128のどちらが作動するか、開閉扉127、129が開状態となっている時間(開放時間)等により特定される。本実施の形態では、特定の種類の大当たりにおける大当たり遊技の作動パターンにおいて、所定のラウンドで第1大入賞口125を作動させ、別の所定のラウンドで第2大入賞口128を作動させる。なお、本実施の形態では、特定の長当たりにおいてのみ、第2大入賞口128が作動するラウンドが設定されているものとする。例えば、大入賞口125、128が16回作動する16ラウンドの大当たり遊技において、第1ラウンドから第15ラウンドまでは第1大入賞口125が作動し、第16ラウンドは第2大入賞口128が作動するというように設定される。
上述したように、第2大入賞口128の内部には切り替え蓋141が設けられており、第2大入賞口128に入賞した遊技球を、特定領域が設定されている経路142と特定領域が設定されていない経路143の何れかに振り分けて誘導する。この切り替え蓋141は、第2大入賞口128の1ラウンドの作動に対し、第1流路状態から第2流路状態へ2回作動して(図2−2参照)、特定領域が設定されている経路142を遊技球が通過可能とする。ここで、第2大入賞口128の1ラウンドの作動における切り替え蓋141の2回の作動のうち、1回目の作動では経路142を短時間(例えば0.3秒)開放し、2回目の作動では経路142を長時間(例えば13秒)開放する。したがって、遊技球が第2大入賞口128に入賞した場合、切り替え蓋141の1回目の作動では遊技球が特定領域を通過する可能性は小さく、2回目の作動では遊技球が特定領域を通過する可能性が大きい。
また、本実施の形態において、第2大入賞口128の作動における開閉扉129の開放時間は、遊技球の入球が容易な長時間(例えば29.5秒)と、遊技球の入球が困難な短時間(例えば0.3秒)とが設定されている。したがって、本実施の形態における長当たりの場合の大当たり遊技には、大入賞口125、128の作動パターンにおいて、所定のラウンドで第2大入賞口128が長時間開放(長作動)される大当たり遊技と、短時間開放(短作動)される大当たり遊技とがある。そして、第2大入賞口128が長時間開放された場合、第2大入賞口128の開閉扉129が開状態のときに切り替え蓋141の1回目および2回目の作動が行われる。そのため、第2大入賞口128に入球した遊技球の何れかが、経路142を通って特定領域を通過し、特定領域スイッチ215Cにより検知される可能性が大きい。一方、第2大入賞口128が短時間開放された場合、切り替え蓋141の2回目の作動により経路142を遊技球が通過可能となっているときには第2大入賞口128の開閉扉129が閉じているため、遊技球は第2大入賞口128に入球しない。そのため、第2大入賞口128への遊技球の入球が困難であり、仮に第2大入賞口128へ遊技球が入球したとしても、その遊技球が経路142を通る可能性が小さい。したがって、遊技球が特定領域を通過し、特定領域スイッチ215Cにより検知される可能性は非常に小さい。なお、以下の説明において、長当たりのうち、所定のラウンドで第2大入賞口128が長時間開放される大当たりを「長開放当たり」と呼び、所定のラウンドで第2大入賞口128が短時間開放される大当たりを「短開放当たり」と呼ぶ。
また、大当たりに当選していない場合の「小当たり」は、例えば0.1秒だけ第1大入賞口125が開状態となる態様が所定回数(例えば15回)行われる小当たり遊技が行われる。なお、小当たり当選時には、小当たり遊技が終了した後においても小当たり当選前の遊技状態を継続する。すなわち、小当たり当選時の遊技状態が高確率時短遊技状態である場合には、小当たり遊技の終了後においても高確率時短遊技状態が継続され、遊技状態は移行しない。同様に、小当たりの当選時の遊技状態が低確率時短無遊技状態である場合には、小当たり遊技の終了後においても低確率時短無遊技状態が継続され、遊技状態は移行しない。
また、小当たり遊技は大入賞口125、128の開状態が得られる特別遊技であるが、「小当たり」は、特別図柄判定においては「はずれ」の一種である。したがって、遊技者に有利となる上記の遊技状態のいずれも、特別図柄判定の結果が「小当たり」となったことに基づいては設定されない。
変動パターン選択部235は、第1特別図柄表示器221や第2特別図柄表示器222にて表示する特別図柄の変動パターン(変動時間)を選択する。具体的には、変動パターン選択部235は、大当たり遊技を行うか否かの判定結果およびリーチを行うか否かの判定結果等に基づいて、変動パターンを決定する。そして、変動パターン選択部235により選択された変動パターンに基づいて、特別図柄変動制御部233が特別図柄の変動を制御する。変動パターン選択部235および特別図柄変動制御部233の動作の詳細については後述する。
ここで、「リーチ」とは、後述する装飾図柄において遊技者に大当たりを期待させるための演出である。
普通図柄判定部232は、普通図柄の変動開始時に、後述する図17(d)に示すような乱数テーブルを用いて、普通図柄の抽選結果が「当たりか否か」を判定する。すなわち、普通図柄判定部232は、乱数取得部231により取得された普通図柄抽選用の乱数値に基づいて、電動チューリップ123を開閉作動させる補助遊技を行うか否かを判定する。また、普通図柄抽選において複数の種類の当たりが設定される場合は、普通図柄判定部232は、判定結果が当たりであった場合の「当たりの種類」を判定する。なお、普通図柄抽選は、乱数取得部231および普通図柄判定部232により行われる処理である。
普通図柄変動制御部236は、普通図柄抽選が行われた場合に、抽選結果に応じて、普通図柄表示器223による普通図柄の変動を制御する。
電動チューリップ動作制御部238は、普通図柄判定部232により普通図柄抽選において「当たり」と判定された場合に、電動チューリップ123を規定時間および規定回数だけ開放し、第2始動口122に遊技球が入賞容易となる状態を発生させる。また、「はずれ」と判定された場合には、電動チューリップ123のこのような開状態を発生させない。
大入賞口動作制御部237は、特別図柄判定部234により特別図柄判定において「大当たり」と判定された場合に、特別遊技における大当たり遊技として、当選した大当たりの種類に基づいて特定される作動パターンで大入賞口125、128の開放動作および流路切り替え部216Cによる切り替え蓋141の動作を制御する。また、大入賞口動作制御部237は、特別図柄判定部234により特別図柄判定において「小当たり」と判定された場合に、特別遊技における小当たり遊技として、規定時間および規定回数だけ大入賞口125、128を開放する。
なお、ゲート124Rをラウンド開始用ゲートとする上述の変形例の場合には、大入賞口動作制御部237は、大入賞口125、128の連続開放の制御を、ゲート124Rへの遊技球の通過検出が行われる後に開始する。言い換えると、大入賞口動作制御部237は、ゲート124Rへの遊技球の通過検出が行われるまで、大入賞口125、128の連続開閉の制御を開始しない。
賞球処理部239は、入賞や抽選に関する種々の役物への入賞個数の管理および入賞に応じた賞球の払い出しの制御用コマンドをセットする。
出力制御部240は、遊技制御部200から演出制御部300および払出制御部330への制御用コマンドの出力を制御する。
乱数制御部241は、乱数取得部231が所定のタイミングで取得する各種の乱数値を更新する。
〔遊技機の基本動作〕
次に、パチンコ遊技機100の基本動作を説明する。
パチンコ遊技機100の遊技制御部200は、電源が投入されると、起動時の基本処理として、各種装置の初期化や初期設定を行う。そして、基本処理を行った後、遊技制御部200は、遊技の進行に関する一連の処理である主制御処理を繰り返し実行する。また、電源を遮断する際には、遊技制御部200は、一連の電源遮断時処理を実行する。
図5−1は、遊技制御部200による基本処理の動作を示すフローチャートである。
遊技制御部200は、パチンコ遊技機100の電源が投入されると、まず、RAM203(図3参照)へのアクセスを許可する(ステップ(以下、ステップを「S」と記載する)101)。そして、遊技制御部200は、RAM203をクリアするためのRAMクリアスイッチがONとなっているか否かを判断する(S102)。
RAMクリアスイッチがOFFである場合(S102でNo)、次に、遊技制御部200は、電源遮断時の動作に関するバックアップフラグがONとなっているか否かを判断する(S103)。
バックアップフラグがONである場合(S103でYes)、次に、遊技制御部200は、電源遮断時に作成されたチェックサムが正常か否かを判断する(S104)。
チェックサムが正常である場合(S104でYes)、次に、遊技制御部200は、復帰処理を実行する(S105)。この復帰処理において、遊技制御部200は、電源が遮断された状態からの復旧に伴う、演出制御部300等のサブ制御手段の設定を行う。具体的には、遊技制御部200は、電源が遮断される際におけるパチンコ遊技機100の内部状態(大当たり遊技中か否か、高確率状態と低確率状態のいずれか、時短状態と時短無状態のいずれか)を反映させるように、サブ制御手段を設定するためのコマンドを演出制御部300へ出力する。また、この復帰処理において、遊技制御部200は、バックアップフラグをOFFにする。
一方、RAMクリアスイッチがON(S102でYes)、バックアップフラグがOFF(S103でNo)、チェックサムが異常(S104でNo)のいずれかに該当する場合、次に遊技制御部200は、初期化処理として、RAM203の記憶内容をクリアし(S106)、RAM203の作業領域を設定する(S107)。そして、遊技制御部200は、サブ制御手段を設定(初期化)するためのコマンドを演出制御部300へ出力し、サブ基板(サブ制御手段)の設定を行う(S108)。サブ基板の設定には、各サブ基板に搭載されているRAM303、313、323をクリアすること等が含まれる。
復帰処理(S105参照)が終了した後、またはサブ基板の設定(S108参照)が終了した後、遊技制御部200は、遊技制御に用いられる各種のカウンタおよびタイマーを設定する(S109)。そして、遊技制御部200は、割り込み許可(S110)、割り込み禁止(S111)、図柄乱数制御処理(S112)、初期値乱数更新処理(S113)、電源遮断フラグがONとなっているか否かの判断(S114)をループ処理として繰り返し実行する。
ここで、割り込み許可(S110)および割り込み禁止(S111)は、このループ処理(S110〜S114)の実行中に割り込み処理の実行を可能とするために設けられている。本実施の形態では、この割り込み処理により、遊技制御における主制御処理が実行される。主制御処理の詳細については後述する。
図柄乱数制御処理(S112)において、遊技制御部200は、特別図柄判定で用いられる変動パターン乱数の更新を行う。
初期値乱数更新処理(S113)において、遊技制御部200は、遊技制御において用いられる各種の乱数値の初期値を更新する。
電源遮断フラグの判断において、電源遮断フラグがOFFである場合(S114でNo)、パチンコ遊技機100の電源は遮断されず、遊技制御部200は、ループ処理(S110〜S114)と共に割り込みによる主制御処理を繰り返し実行する。一方、電源遮断フラグがONである場合(S114でYes)、遊技制御部200は、パチンコ遊技機100の電源を遮断するための処理(電源遮断時処理)を開始する。
図5−2は、遊技制御部200による電源遮断時処理の動作を示すフローチャートである。
電源遮断時処理において、遊技制御部200は、まず、各種の出力を行うための出力ポートの設定をクリアする(S115)。次に、遊技制御部200は、チェックサムを作成し、RAM203に格納する(S116)。次に、遊技制御部200は、バックアップフラグをONにし(S117)、RAM203へのアクセスを禁止して(S118)、無限ループに移行する。
〔遊技機の主制御処理〕
次に、パチンコ遊技機100の主制御処理を説明する。
遊技制御部200は、主制御処理において、パチンコ遊技機100における遊技を制御すると共に、サブ制御手段である演出制御部300に対して演出の制御を指示し、払出制御部330に対して賞球の払い出しの制御を指示する。
図5−3は、遊技制御部200の主制御処理の動作を示すフローチャートである。
主制御処理は、遊技制御における一連の処理からなり、予め設定された一定時間(例えば4ミリ秒)ごとに繰り返し実行される。本実施の形態において、遊技制御部200は、予め設定された一定時間ごとに割り込みを発生させ、図5−1に示すループ処理の中で割り込みが許可(S110参照)されると、割り込み処理として主制御処理を実行する。図5−3に示すように、主制御処理では、乱数更新処理、スイッチ処理、図柄処理、電動役物処理、賞球処理、出力処理が順次実行される(S501〜S506)。
乱数更新処理(S501)では、遊技制御部200は、乱数制御部241の機能(サブルーチン)を呼び出し、遊技制御部200による遊技制御で用いられる各種の乱数の値を更新する。乱数の設定および乱数値の更新の詳細については後述する。
スイッチ処理(S502)としては、始動口スイッチ処理、ゲートスイッチ処理が行われる。
始動口スイッチ処理では、遊技制御部200は、乱数取得部231の機能(サブルーチン)を呼び出し、図3の第1始動口スイッチ211および第2始動口スイッチ212の状態を監視し、スイッチがONとなった場合に、特別図柄判定のための処理を実行する。また、詳しくは後述するが、第1始動口スイッチ211および第2始動口スイッチ212において事前判定処理を行う場合は、特別図柄判定部234、変動パターン選択部235の各機能(サブルーチン)を呼び出し、事前判定のための処理を実行する。
ゲートスイッチ処理では、遊技制御部200は、乱数取得部231の機能(サブルーチン)を呼び出し、図3のゲートスイッチ214の状態を監視し、スイッチがONとなった場合に、普通図柄抽選のための処理を実行する。
これらのスイッチ処理の詳細な内容については後述する。
図柄処理(S503)としては、特別図柄処理、普通図柄処理が行われる。
特別図柄処理では、遊技制御部200は、特別図柄変動制御部233、特別図柄判定部234、変動パターン選択部235の各機能(サブルーチン)を呼び出し、特別図柄変動およびこの図柄変動に伴う処理を実行する。
普通図柄処理では、遊技制御部200は、普通図柄変動制御部236および普通図柄判定部232の機能(サブルーチン)を呼び出し、普通図柄変動およびこの図柄変動に伴う処理を実行する。
これらの図柄処理の詳細な内容については後述する。
電動役物処理(S504)としては、大入賞口処理および電動チューリップ処理が行われる。
大入賞口処理では、遊技制御部200は、大入賞口動作制御部237の機能(サブルーチン)を呼び出し、所定の条件に基づいて特別電動役物である大入賞口125、128の開閉扉127、129の開放動作を制御する。また、遊技制御部200は、第2大入賞口128の内部の切り替え蓋141の動作を制御する。
電動チューリップ処理では、遊技制御部200は、電動チューリップ動作制御部238の機能(サブルーチン)を呼び出し、所定の条件に基づいて普通電動役物である電動チューリップ123の開放動作を制御する。
これらの電動役物処理の詳細な内容については後述する。
賞球処理(S505)では、遊技制御部200は、賞球処理部239の機能(サブルーチン)を呼び出し、入賞個数の管理および入賞に応じた賞球の払い出しの制御用コマンドをセットする。
出力処理(S506)では、遊技制御部200は、出力制御部240の機能(サブルーチン)を呼び出し、演出制御用のコマンドを演出制御部300へ出力し、払い出し制御用のコマンドを払出制御部330へ出力する。演出制御用コマンドは、S502からS504までの各処理において生成され、RAM203に設けられた制御用コマンドの格納領域に格納(セット)される。払い出し制御用コマンドは、S505の処理において生成され、RAM203に設けられた制御用コマンドの格納領域に格納(セット)される。RAM203には、制御用コマンドの種類ごとに格納領域が設定されている。
出力制御部240は、出力処理(S506)においてRAM203の各制御用コマンドの格納領域を順に調べ、個々の格納領域に制御用コマンドが格納されていれば(すなわち、S502〜S505の処理で制御用コマンドが生成されていれば)、その制御用コマンドを読み出し、出力先(演出制御部300または払出制御部330)へ出力する。
本実施の形態では、図5−3に示したように、一連の主制御処理の最後に出力処理を行う。すなわち、S502〜S505の各処理において生成されたコマンドを、その各処理においてはRAM203の対応する格納領域に格納しておく。そして、これらの一連の処理の後に、出力制御部240が、RAM203の格納領域に蓄積された、各処理で生成されたコマンドをまとめて出力する。言い換えれば、本実施の形態では、主制御処理を1サイクル実行すると、その1サイクルの実行において生成されたコマンドが、その1サイクルの実行における最後のコマンド生成が行われた後に、出力される。
このような構成としたことにより、主制御処理においては、生成したコマンドを出力するためには、出力制御部240の機能を1回呼び出すだけで良い。すなわち、コマンドを生成する度に、生成したコマンドを出力する機能(サブルーチン)を用意する必要がないため、制御命令の数を削減し、出力処理に関するプログラムのサイズの増大を抑制することができる。また、コマンドを生成する度に、生成したコマンドを出力する機能を呼び出す必要がないため、出力処理全体に要する時間を短縮することができる。
なお、詳しくは後述するが、RAM203には、上記の主制御処理で生成されたコマンドを、コマンドの種類ごとに格納するコマンド格納領域が設けられる。また、遊技制御部200から演出制御部300へ送られるコマンドは、例えば、コマンドの種類を示すコードと、コマンドの内容を示すデータとを含む2バイトの情報であり、主に1バイトでコードを記述し、他の1バイトでデータを記述している。コードは、例えば、特別図柄判定や普通図柄抽選に関する停止図柄、変動パターン、保留、事前判定、大入賞口125、128の開閉扉127、129および切り替え蓋141や電動チューリップ123の作動指示、パチンコ遊技機100の動作に関わるエラーの報知等の情報の種類を特定する。データは、コードにより特定された情報の具体的な内容を特定する。例えば、特別図柄判定における停止図柄の種類、選択された変動パターン、保留数等の情報や、開閉扉127、129および切り替え蓋141の作動の具体的内容(開放または閉鎖)、エラー報知の開始または終了の指示等が記述される。RAM203におけるコマンド格納領域の構成および出力制御部240がRAM203のコマンド格納領域から制御用コマンドを読み出して出力する動作の詳細については後述する。
〔遊技機の基本動作の変形例〕
なお、図5−1乃至図5−3を参照して説明した動作例では、基本処理におけるループ処理の部分で割り込みを許可し、割り込み処理として一連の処理からなる主制御処理を実行した。しかしながら、主制御処理は、一定時間ごとに繰り返し実行されるように構成されていれば良く、具体的な実現手段(実行手順)は、図5−1乃至図5−3に示した例には限定されない。例えば、基本処理の一連の動作の中に主制御処理を組み入れておき、所定のタイミングで経過時間を計測し、一定時間(例えば4ミリ秒)ごとに主制御処理へ戻る構成としても良い。また、基本処理の一連の動作の中に主制御処理を組み入れる一方で、図5−1乃至図5−3を参照して説明した動作と同様に、一定時間ごとに割り込みを発生させ、割り込みが発生したならば基本処理中に組み入れられた主制御処理へ戻る構成としても良い。
また、基本処理で生成されたコマンドを出力する場合は、原則として、コマンドを生成する度に、RAM203のコマンド格納領域に格納し、主制御処理における第2の処理手段である出力制御部240の機能を呼び出して出力する。基本処理は、電源投入時に行われる初期動作等の特別処理であり、電源投入時のパチンコ遊技機100の状態等の条件に基づく分岐により処理手順が変動する場合があるため、出力処理に漏れが無いように、生成したコマンドを速やかに出力するためである。なお、関連する複数の処理により連続的にコマンドが生成される場合等、具体的な処理の要請に応じて、複数のコマンドをRAM203のコマンド格納領域に格納し、まとめて出力する処理手順を採っても良い。
〔遊技制御部による乱数更新処理〕
特別図柄判定等の遊技制御における各種の抽選に用いられる判定情報としての乱数値は、カウンタによって計数され、所定の初期値から始まって、図5−3に示す主制御処理の乱数更新処理(S501)が行われるたびに1ずつ加算される。そして、各抽選が行われた時点の値が始動口スイッチ処理(図6)およびゲートスイッチ処理(図7)で取得され、特別図柄処理(図8)や普通図柄処理(図13)で使用される。この乱数値のカウンタは無限ループカウンタであり、計数された乱数値が、設定されている乱数の最大値(例えば、後述する図17(a)に示した大当たり乱数では299)に達した後は、再び初期値に戻る。また、乱数更新処理は一定時間ごとに行われるため、各乱数の初期値が特定されてしまうと、更新間隔や初期値の情報に基づいて当選値が推定される恐れがある。そこで、主制御処理から図5−1に示す基本処理に戻った後、S113の初期値乱数更新処理において、各乱数の初期値をランダムに変更する。
〔遊技制御部による始動口スイッチ処理〕
図6は、図5−3のS502に示したスイッチ処理のうちの始動口スイッチ処理の内容を示すフローチャートである。
この始動口スイッチ処理は、第1始動口121における入賞に対する処理と、第2始動口122における入賞に対する処理とが順次行われる。図6を参照すると、遊技制御部200は、まず、第1始動口121に遊技球が入賞して第1始動口スイッチ211がONとなったか否かを判断する(S601)。第1始動口スイッチ211がONとなったならば、次に遊技制御部200は、第1始動口121の入賞における未変動分の保留数U1が上限値未満か否かを判断する(S602)。図6に示す例では、上限値を4個としている。保留数U1が上限値に達している場合は(S602でNo)、それ以上未変動分の入賞を保留することができないので、第1始動口121における入賞に対する処理を終了する。
一方、保留数U1が上限値未満である場合(S602でYes)、次に遊技制御部200は、保留数U1の値を1加算する(S603)。そして、遊技制御部200の乱数取得部231は、今回の入賞による抽選のための乱数値を取得し、RAM203に設定された所定の格納領域に格納する(S604)。ここでは、第1始動口121の入賞なので、特別図柄判定のための乱数値が取得される。このとき取得される乱数値は、先行するS501の乱数更新処理で更新された値である。そして、この乱数値により、後の特別図柄処理において特別図柄判定の結果が確定される。ここにいう乱数値としては、大当たり、小当たりまたははずれを決定する大当たり乱数値、大当たりの種類(大当たり遊技の終了後における時短状態か時短無状態、高確率状態と低確率状態、長当たり、短当たり、長開放当たり、短開放当たり等)を決定する図柄乱数値(大当たり図柄乱数値)、図柄変動における変動パターンを特定するための変動パターン乱数値、はずれのときにリーチ有り演出をするか否かを決定するリーチ乱数値、等が含まれる。
次に、遊技制御部200は、特別図柄の変動表示動作が保留されている(すなわち未抽選の)入賞球(保留球)に対して、抽選結果の予告演出を行うための事前判定処理を行う(S605)。すなわち、遊技制御部200は、事前判定手段として機能する。この事前判定処理は、抽選結果の判定を図柄変動開始時ではなく始動口入賞時に(すなわちS605において)行うものである。なお、事前判定に基づく予告演出を行わない遊技機や遊技状態においては、この事前判定処理を省略する場合がある。事前判定処理の詳細については後述する。
この後、遊技制御部200は、S603による保留数U1の増加を演出制御部300に通知するための保留数増加コマンドをRAM203に設定されたコマンド用の所定の格納領域にセットし(S606)、第1始動口121における入賞に対する処理を終了する。S605の事前判定処理が行われた場合は、保留数増加コマンドと共に、S605で得られた事前判定の判定結果の情報を含む事前判定結果コマンドを、RAM203に設定されたコマンド用の所定の格納領域にセットする。
次に、第2始動口122における入賞に対する処理が行われる。図6を参照すると、次に遊技制御部200は、第2始動口122に遊技球が入賞して第2始動口スイッチ212がONとなったか否かを判断する(S607)。第2始動口スイッチ212がONとなったならば、次に遊技制御部200は、第2始動口122の入賞における未変動分の保留数U2が上限値未満か否かを判断する(S608)。図6に示す例では、上限値を4個としている。保留数U2が上限値に達している場合は(S608でNo)、それ以上未変動分の入賞を保留することができないので、第2始動口122における入賞に対する処理を終了する。
一方、保留数U2が上限値未満である場合(S608でYes)、次に遊技制御部200は、保留数U2の値を1加算する(S609)。そして、遊技制御部200の乱数取得部231は、今回の入賞による抽選のための乱数値を取得し、RAM203に設定された所定の格納領域に格納する(S610)。ここでは、第2始動口122の入賞なので、上記のS604と同様に、特別図柄判定のための乱数値(大当たり乱数値、大当たり図柄乱数値)、リーチ乱数値、変動パターン乱数値など)が取得される。このとき取得される乱数値は、S501の乱数更新処理で更新された値である。そして、この乱数値により後の特別図柄処理において特別図柄判定の結果が確定される。
次に、遊技制御部200は、特別図柄の変動表示動作が保留されている(すなわち未抽選の)入賞球(保留球)に対して、抽選結果の予告演出を行うための事前判定処理を行う(S611)。この事前判定処理の内容は、上記のS605と同様である。なお、事前判定に基づく予告演出を行わない遊技機や遊技状態においては、この事前判定処理を省略する場合がある。
この後、遊技制御部200は、S609による保留数U2の増加を演出制御部300に通知するための保留数増加コマンドをRAM203に設定されたコマンド用の所定の格納領域にセットし(S612)、第2始動口122における入賞に対する処理を終了する。S611の事前判定処理が行われた場合は、保留数増加コマンドと共に、S605で得られた事前判定の判定結果の情報を含む事前判定結果コマンドを、RAM203に設定されたコマンド用の所定の格納領域にセットする。
〔遊技制御部によるゲートスイッチ処理〕
図7は、ゲート124を遊技球が通過した場合のゲートスイッチ処理の内容を示すフローチャートである。
このゲートスイッチ処理において、遊技制御部200は、まず、ゲート124を遊技球が通過してゲートスイッチ214がONとなったか否かを判断する(S701)。ゲートスイッチ214がONとなったならば、次に遊技制御部200は、未変動分の保留数Gが上限値未満か否かを判断する(S702)。図7に示す例では、上限値を4個としている。保留数Gが上限値に達している場合は(S702でNo)、それ以上未変動分の入賞を保留することができないので、ゲートスイッチ処理を終了する。
一方、保留数Gが上限値未満である場合(S702でYes)、次に遊技制御部200は、保留数Gの値を1加算する(S703)。そして、遊技制御部200の乱数取得部231は、今回の入賞による抽選のための乱数値を取得し、RAM203に設定された所定の格納領域に格納する(S704)。ここでは、ゲート124の入賞なので、普通図柄抽選のための乱数値(当たり乱数値など)が取得される。
S704で乱数値が取得された後、遊技制御部200は、S703による保留数Gの増加を演出制御部300に通知するための保留数G増加コマンドをRAM203に設定されたコマンド用の所定の格納領域にセットし(S705)、ゲート124における入賞に対する処理を終了する。
〔遊技制御部での特別図柄処理〕
図8は、図5−3のS503に示した図柄処理のうちの特別図柄処理の内容を示すフローチャートである。
この特別図柄処理において、遊技制御部200の特別図柄変動制御部233は、まず、RAM203においてセットされるフラグの設定(以下、フラグ設定)において大当たり遊技フラグがONになっているか否かを調べる(S801)。ここで、大当たり遊技フラグは、特別図柄抽選の結果が大当たりであることを識別するためにセットされるフラグである。大当たりの種類に応じて、長当たり遊技フラグ、短当たり遊技フラグの何れかがセットされる。本実施の形態では、これらを総称して大当たり遊技フラグと呼ぶ。
大当たり遊技フラグがONである場合、既にパチンコ遊技機100は大当たり中であるので、特別図柄変動を開始することなく特別図柄処理を終了する(S801でYes)。一方、大当たり遊技フラグがOFFである場合(S801でNo)、次に特別図柄変動制御部233は、パチンコ遊技機100の現在の状態が特別図柄変動中か否かを判断する(S802)。特別図柄変動中でない場合(S802でNo)、次に特別図柄変動制御部233は、特別図柄の未変動分の保留数U1、U2(図6参照)に関する処理を行う(S803〜S806)。本実施の形態では、第1始動口121の入賞に係る保留数U1と第2始動口122の入賞に係る保留数U2とを区別しているので、この処理も対応する始動口ごとに個別に行う。
具体的には、特別図柄変動制御部233は、まず第2始動口122の入賞に係る保留数U2が1以上か判断する(S803)。保留数U2が1以上である場合(S803でYes)、特別図柄変動制御部233は、保留数U2の値を1減算する(S804)。一方、保留数U2=0である場合は(S803でNo)、特別図柄変動制御部233は、次に第1始動口121の入賞に係る保留数U1が1以上か判断する(S805)。保留数U1が1以上である場合(S805でYes)、特別図柄変動制御部233は、保留数U1の値を1減算する(S806)。一方、保留数U1=0である場合は(S805でNo)、特別図柄の抽選を始動するための入賞が無いことを意味するため、特別図柄変動を開始せず、別ルーチンの客待ち設定処理を実行して処理を終了する(S816)。
S804またはS806で保留数U1または保留数U2を減算した後、特別図柄変動制御部233は、RAM203のフラグ設定においてセットされた客待ちフラグをOFFとする(S807)。客待ちフラグは、パチンコ遊技機100が客待ち状態であることを識別するためのフラグであり、客待ち設定処理(S816、図12参照)においてセットされる。
次に、特別図柄変動制御部233は、別ルーチンによる大当たり判定処理および変動パターン選択処理を実行する(S808、S809)。詳しくは後述するが、この大当たり判定処理および変動パターン選択処理によって、第1特別図柄表示器221に変動表示される特別図柄の変動用の設定情報(大当たり図柄、遊技状態、変動パターン等)が決定される。なお、これらの情報は演出制御部300に送られる変動開始コマンドに含まれる。
この後、特別図柄変動制御部233は、大当たり判定処理および変動パターン選択処理で決定された設定内容に基づき、図2−3(a)に示す第1特別図柄表示器221、第2特別図柄表示器222により表示される特別図柄の変動を開始する(S810)。そして、この設定内容を示す設定情報(大当たり図柄、遊技状態、変動パターン等)を含んだ変動開始コマンドを生成し、RAM203にセットする(S811)。S811でセットされた変動開始コマンドは、図5−3のS506に示した出力処理で演出制御部300へ送信される。
S802で特別図柄変動中と判断された場合(S802でYes)、またはS811で変動開始コマンドがセットされた後、特別図柄変動制御部233は、変動時間を経過したか否かを判断する(S812)。すなわち、S810で特別図柄の変動を開始してからの経過時間がS809の変動パターン選択処理で設定された変動時間に達したか否かが判断される。変動時間を経過していなければ(S812でNo)、特別図柄変動が継続されるので、そのまま特別図柄処理が終了する。
一方、変動時間を経過した場合(S812でYes)、特別図柄変動制御部233は、まず、第1特別図柄表示器221、第2特別図柄表示器222における特別図柄の変動をS808の大当たり判定処理で決定された図柄で停止する(S813)。後述する装飾図柄を停止させるための変動停止コマンドをRAM203にセットする(S814)。そして、別ルーチンの停止中処理を実行する(S815)。停止中処理の内容については後述する。S814でセットされた変動停止コマンドは、図5−3のS506に示した出力処理で演出制御部300へ送信される。
〔遊技制御部による大当たり判定処理〕
図9は、大当たり判定処理(図8のS808)の内容を示すフローチャートである。
この大当たり判定処理において、遊技制御部200の特別図柄判定部234は、まず、今回の特別図柄抽選における大当たり乱数値の判定を行い(S901)、大当たりまたは小当たりしたか否かを判断する(S902、S905)。大当たりまたは小当たりしたか否かは、図6のS604またはS610で取得した大当たり乱数の値が、大当たりの当選値として設定された値または小当たりの当選値として設定された値と一致したか否かを判断することによって決定される(図17(a)参照)。
S901の乱数判定の結果が大当たりだった場合(S902でYes)、次に特別図柄判定部234は、大当たり図柄乱数値の判定を行う(S903)。この判定の結果に応じて、大当たりの種類(高確率状態か低確率状態、時短状態か時短無状態、長当たり、短当たり)が決定される。何れの大当たりとなるかは、図6のS604またはS610で取得した大当たり図柄乱数の値が、大当たりの種類ごとに予め設定された値のうちの何れと一致したかによって決定される(図17(b)参照)。
以上の判定の後、特別図柄判定部234は、大当たり図柄乱数の判定により決定された大当たりの種類を表す図柄(大当たり図柄)を設定情報としてRAM203にセットする(S904)。
S901の乱数判定の結果が小当たりだった場合(S902でNo、S905でYes)、次に特別図柄判定部234は、小当たりであることを表す図柄(以下、小当たり図柄)を設定情報としてRAM203にセットする(S906)。
S901の乱数判定の結果が大当たりでも小当たりでもない場合(S902、S905でNo)、次に特別図柄判定部234は、抽選にはずれたことを表す図柄(以下、はずれ図柄)を設定情報としてRAM203にセットする(S907)。
〔遊技制御部による変動パターン選択処理〕
図10は、変動パターン選択処理(図8のS809)の内容を示すフローチャートである。
この変動パターン選択処理において、遊技制御部200の変動パターン選択部235は、まず、大当たり判定処理(図9)のS902の判断結果を用いて今回の特別図柄判定で大当たりしたか否かを判断する(S1001)。そして、大当たりだった場合(S1001でYes)、変動パターン選択部235は、大当たり用の変動パターンテーブルをROM202から読み出してRAM203に設定された所定の格納領域にセットする(S1002)。
大当たりしなかった場合(S1001でNo)、次に変動パターン選択部235は、今回の特別図柄判定で小当たりしたか否かを判断する(S1003)。小当たりだった場合(S1003でYes)、変動パターン選択部235は、小当たり用の変動パターンテーブルをROM202から読み出してRAM203に設定された所定の格納領域にセットする(S1004)。
小当たり用の変動パターンテーブルには、複数の変動パターンが含まれ、変動パターン乱数の値に応じて一の変動パターンが選択される。なお、小当たり時の変動パターンが一つだけである場合には、小当たり用の変動パターンテーブルを備えない構成例が考えられる。
一方、大当たりせず小当たりもしなかった場合(S1001でNo、S1003でNo)、次に変動パターン選択部235は、遊技者に大当たりを期待させるためのいわゆるリーチ演出を行うか否かを決定するための乱数値の判定を行う(S1005)。リーチ演出を行うか否かは、図6のS604またはS610で取得したリーチ乱数の値が予め設定された値と一致したか否かを判断することによって決定される(図17(c)参照)。
乱数値を用いた判定の結果、リーチ演出を行う場合(S1006でYes)、変動パターン選択部235は、リーチ用の変動パターンテーブルをROM202から読み出してRAM203にセットする(S1007)。また、リーチ演出を行わない場合(S1006でNo)、変動パターン選択部235は、はずれ用の変動パターンテーブルをROM202から読み出してRAM203にセットする(S1008)。
ここで、変動パターンテーブルとは、予め用意されている複数の変動パターン(変動時間3秒、7秒、13秒、15秒、30秒、60秒、90秒など)と変動パターン乱数の値とを対応付けたテーブルである。
次に、変動パターン選択部235は、図6のS604またはS610で取得した変動パターン乱数値およびS1002、S1004、S1007、S1008でセットされた変動パターンテーブルを用いて、変動パターン乱数値の判定を行う(S1009)。すなわち、変動パターン選択部235は、RAM203にセットされた変動パターンテーブルを参照し、変動パターン乱数の乱数値に応じた変動パターンを選択する。したがって、同じ乱数値が取得された場合でも、特別図柄抽選の結果が、大当たりしたか否か、大当たりしていない場合はリーチ演出を行うか否か、といった状態の違いに応じて参照される変動パターンテーブルが異なるので、決定される変動パターンが異なる。
この後、変動パターン選択部235は、S1009で選択した変動パターンを設定情報としてRAM203に設定された所定の格納領域にセットする(S1010)。S1010でセットされた変動パターンの設定情報は、図8のS811でセットされる変動開始コマンドに含まれ、図5−3のS506に示した出力処理で演出制御部300へ送信される。本実施の形態で選択される変動パターンおよびその設定の詳細については後述する。
〔遊技制御部による停止中処理〕
図11は、停止中処理(図8のS815)の内容を示すフローチャートである。
この停止中処理において、遊技制御部200は、まず、RAM203のフラグ設定において時短状態であることを示すフラグ(以下、時短フラグ)がONになっているか否かを調べる(S1101)。時短フラグがONである場合(S1101でYes)、遊技制御部200は、時短状態での抽選回数(変動回数)Jの値を1減算し(S1102)、抽選回数Jが0になったか否かを調べる(S1103)。そして、抽選回数J=0であれば(S1103でYes)、時短フラグをOFFにする(S1104)。なお、時短フラグをONにする操作と、抽選回数Jの初期値の設定は、後述の大入賞口処理(図14)における遊技状態設定処理(図15)で行われる。
時短フラグがOFFであった場合(S1101でNo)またはS1104で時短フラグをOFFにした後、あるいは抽選回数Jの値が0でない場合(S1103でNo)、次に遊技制御部200は、RAM203のフラグ設定において高確率状態であることを示すフラグ(以下、確変フラグ)がONになっているか否かを調べる(S1105)。なお、この確変フラグと先の時短フラグが共にONである場合は、高確率時短遊技状態であり、確変フラグがONであり時短フラグがOFFである場合は、高確率時短無遊技状態である。
確変フラグがONである場合(S1105でYes)、遊技制御部200は、高確率状態での抽選回数(変動回数)Xの値を1減算し(S1106)、抽選回数Xが0になったか否かを調べる(S1107)。そして、抽選回数X=0であれば(S1107でYes)、確変フラグをOFFにする(S1108)。なお、確変フラグをONにする操作と、抽選回数Xの初期値の設定は、後述の大入賞口処理(図14)における遊技状態設定処理(図15)で行われる。
確変フラグがOFFであった場合(S1105でNo)またはS1108で確変フラグをOFFにした後、あるいは抽選回数Xの値が0でない場合(S1107でNo)、次に遊技制御部200は、今回の特別図柄抽選で大当たりしたか否かを判断する(S1109)。そして、大当たりだった場合(S1109でYes)、次に遊技制御部200は、大当たりの種類が長当たりか否かを判断する(S1110)。
ここで、大当たりか否かの判断は、大当たり判定処理(図9)の判定結果に基づいて判断することができる。例えば、後述する図17(b)の図表に示す図柄の何れかがセットされているならば、S1109でYesである。大当たり判定処理によりRAM203に、はずれ図柄または小当たり図柄がセットされているならば、S1109でNoである。
大当たりの種類が長当たりであった場合(S1110でYes)、遊技制御部200は、長当たり遊技フラグをONにする(S1111)。これにより、RAM203の遊技状態の設定が、大当たりの種類が長当たりである大当たり遊技状態(長当たり遊技状態)となる。なお、ここでは長当たりにおいて、高確率状態か低確率状態かを区別していない。高確率状態となるか低確率状態となるかは、後述の大入賞口処理(図14)における遊技状態設定処理(図15)で該当するフラグをONにすることによって特定される。
大当たりの種類が長当たりでなかった場合(S1110でNo)、遊技制御部200は、短当たり遊技フラグをONにする(S1112)。これにより、RAM203の遊技状態の設定が、大当たりの種類が短当たりである大当たり遊技状態(短当たり遊技状態)となる。長当たりの場合と同様、短当たりの場合も高確率状態か低確率状態かを区別していない。
S1111またはS1112で大当たり遊技フラグをONにした後、遊技制御部200は、抽選回数J、Xの値を初期化する(S1113)。また、遊技制御部200は、S1101において時短フラグがONであって、S1103において抽選回数Jが0でなかった場合に、時短フラグをOFFにする(S1114)。同様に、S1105において確変フラグがONであって、S1107において抽選回数Xが0でなかった場合に、確変フラグをOFFにする(S1114)。
一方、今回の特別図柄抽選の結果が大当たりでなかった場合(S1109でNo)、次に遊技制御部200は、今回の特別図柄抽選の結果が小当たりであったか否かを判断する(S1115)。小当たりでなかった場合は(S1115でNo)、停止中処理を終了する。
一方、小当たりであった場合(S1115でYes)、遊技制御部200は、小当たり遊技を開始する(S1116)。これにより、RAM203の遊技状態の設定が小当たり遊技状態となる。なお、小当たり遊技では、前述したように、第1大入賞口125を所定回数開閉し、所定時間経過後に終了する。
S1113で抽選回数J、Xの値を初期化した後、遊技制御部200は、オープニング動作を開始する(S1117)。ここで、オープニング動作の内容は、S1111、S1112の何れで当たり遊技フラグがONとなったかに応じて異なる。すなわち、大当たり遊技フラグの状態に応じて、長当たり遊技、短当たり遊技の各遊技状態において設定されたオープニング動作の何れかが行われることとなる。
この後、遊技制御部200は、演出制御部300において大当たり遊技フラグに応じたオープニング動作における演出を行うためのオープニングコマンドをRAM203にセットして(S1118)、停止中処理を終了する。このオープニングコマンドは、図5−3のS506に示した出力処理で演出制御部300へ送信される。
〔遊技制御部による客待ち設定処理〕
図12は、客待ち設定処理(図8のS816)の内容を示すフローチャートである。
この客待ち設定処理において、遊技制御部200は、まず、RAM203のフラグ設定において客待ちフラグがONになっているか否かを調べる(S1201)。ここで、客待ちフラグは、パチンコ遊技機100が客待ち状態であることを識別するためにセットされるフラグである。
客待ちフラグがONである場合、パチンコ遊技機100は客待ち状態であるので、そのまま処理を終了する(S1201でYes)。一方、客待ちフラグがOFFである場合(S1201でNo)、遊技制御部200は、客待ちコマンドを生成してRAM203にセットし(S1202)、客待ちフラグをONにする(S1203)。S1202でセットされた客待ちコマンドは、図5−3のS506に示した出力処理で演出制御部300へ送信される。なお、客待ちフラグとは、特別図柄の変動が停止して、保留が無い状態でセットされるものである。
〔遊技制御部による普通図柄処理〕
図13は、図5−3のS503に示した図柄処理のうちの普通図柄処理の内容を示すフローチャートである。
この普通図柄処理において、遊技制御部200の普通図柄変動制御部236は、まず、RAM203のフラグ設定において補助遊技フラグがONになっているか否かを調べる(S1301)。ここで、補助遊技フラグは、普通図柄抽選で当選した場合にセットされるフラグである。補助遊技フラグが設定されている状態は、電動チューリップ123が後述の電動チューリップ処理(図16)にしたがって開放され、第2始動口122に入賞し易い状態である(補助遊技状態)。
補助遊技フラグがONである場合、既に補助遊技状態となっており、普通図柄が停止している状態なので、普通図柄変動を開始することなく普通図柄処理を終了する(S1301でYes)。一方、補助遊技フラグがOFFである場合(S1301でNo)、次に普通図柄変動制御部236は、パチンコ遊技機100の現在の状態が普通図柄変動中か否かを判断する(S1302)。普通図柄変動中でない場合(S1302でNo)、次に普通図柄変動制御部236は、普通図柄の未変動分の保留数G(図7参照)が1以上か判断する(S1303)。保留数G=0である場合は(S1303でNo)、普通図柄の抽選を始動するための入賞が無いことを意味するため、普通図柄変動を開始せずに処理を終了する。
これに対し、保留数Gが1以上である場合(S1303でYes)、普通図柄変動制御部236は、保留数Gの値を1減算し(S1304)、今回の普通図柄抽選における当たり乱数の判定を行って、普通図柄抽選に当選したか否かを判断する(S1305)。当選したか否かは、図7のS704で取得した当たり乱数の値が、後述する図17(d)に示すテーブル等において当選値として設定された値と一致したか否かを判断することによって決定される。
次に、普通図柄変動制御部236は、普通図柄抽選の結果に応じて普通図柄の設定を行う(S1306)。すなわち、普通図柄抽選に当選した場合は、当選したことを表す図柄(以下、当たり図柄)を設定情報としてRAM203にセットする。一方、普通図柄抽選に当選しなかった場合は、抽選にはずれたことを表す図柄(以下、はずれ図柄)を設定情報としてRAM203にセットする。
次に、普通図柄変動制御部236は、普通図柄の変動時間の設定を行う(S1307)。この変動時間は、図11におけるS1104、S1114、後述の図15におけるS1504、S1507等の処理で設定される時短フラグに基づいて設定される。すなわち、S1307による設定の際に時短フラグがONである場合は、短時間(例えば1.5秒)に設定され、時短フラグがOFFである場合は、長時間(例えば4.0秒)に設定される。この設定の後、普通図柄変動制御部236は、S1307の設定内容に基づき、図2−3(a)および図3に示す普通図柄表示器223における普通図柄の変動を開始する(S1308)。
S1308で普通図柄の変動を開始した後、またはS1302で普通図柄変動中と判断された場合(S1302でYes)、普通図柄変動制御部236は、変動時間を経過したか否かを判断する(S1309)。すなわち、S1308で普通図柄の変動を開始してからの経過時間がS1307で設定された変動時間に達したか否かが判断される。変動時間を経過していなければ(S1309でNo)、普通図柄変動が継続されるので、そのまま普通図柄処理が終了する。
一方、変動時間が経過した場合(S1309でYes)、普通図柄変動制御部236は、普通図柄表示器223における普通図柄の変動を停止する(S1310)。そして、普通図柄変動制御部236は、停止した普通図柄に基づき普通図柄抽選に当選したか否かを判断する(S1311)。当選したならば(S1311でYes)、補助遊技フラグをONにする(S1312)。一方、抽選にはずれたならば(S1311でNo)、補助遊技フラグをONにすること無く普通図柄処理を終了する。
〔遊技制御部による大入賞口処理〕
図14は、図5−3のS504に示した電動役物処理のうちの大入賞口処理の内容を示すフローチャートである。
この大入賞口処理において、遊技制御部200の大入賞口動作制御部237は、まず、RAM203のフラグ設定において大当たり遊技フラグがONになっているか否かを調べる(S1401)。大当たり遊技フラグがOFFである場合、大当たり遊技は行われないので、大入賞口処理を終了する(S1401でNo)。一方、大当たり遊技フラグがONである場合(S1401でYes)、次に大入賞口動作制御部237は、パチンコ遊技機100が停止中処理(図11)で開始された大当たり時の動作制御におけるオープニング動作の最中か否かを判断する(S1402)。
パチンコ遊技機100がオープニング中である場合(S1402でYes)、次に大入賞口動作制御部237は、予め設定されたオープニング動作が行われるべき時間(オープニング時間)を経過したか否かを判断する(S1403)。オープニング時間を経過していないならば、次に作動する第1大入賞口125または第2大入賞口128でのオープニング動作が継続されるので、大入賞口処理を終了する(S1403でNo)。一方、オープニング時間を経過したならば(S1403でYes)、次に大入賞口動作制御部237は、作動対象となる大入賞口125、128の作動設定を行い(S1404)、入賞個数Cを初期化(C=0)し(S1405)、大入賞口125、128の作動のラウンド数Rの値を現在の値から1加算して(S1406)、大入賞口125、128を作動開始(開放)する(S1407)。ここで、本実施の形態によるパチンコ遊技機100では、大当たり遊技のラウンドに応じて、第1大入賞口125を作動対象とするか、第2大入賞口128を作動対象とするかが予め定められている。また、第2大入賞口128が作動するラウンドでは、大入賞口動作制御部237は、切り替え蓋141も作動させる。
S1404の作動設定では、大入賞口125、128の作動パターンと、その作動パターンで作動させるラウンド数(作動ラウンド数)とが設定される。大入賞口125、128が作動する場合としては、特別図柄判定で、長当たり(長開放当たり、短開放当たり)または短当たりの大当たりであった場合と、小当たりであった場合がある。作動パターンおよびラウンド数は、これらの当たりの種類に応じて様々に設定される。なお、大当たり遊技においては、大入賞口125、128の作動を複数回(複数ラウンド)連続して行うことが規定されている。一例としては、長開放当たりの場合、例えば、第1大入賞口125を15ラウンド(15R)作動させた後に第2大入賞口128を1ラウンド(1R)作動させ、1ラウンドでは29.5秒の開放を1回行う。短開放当たりの場合、例えば、第1大入賞口125を15ラウンド(15R)作動させた後に第2大入賞口128を1ラウンド(1R)作動させ、1ラウンドでは29.5秒(第1大入賞口125の場合)または0.3秒(第2大入賞口128の場合)の開放を1回行う。短当たりの場合、例えば、第1大入賞口125を15ラウンド(15R)作動させ、1ラウンドでは0.1秒の開放を1回行う。小当たりの場合、例えば、第1大入賞口125を1ラウンド(1R)作動させ、この1ラウンドで0.1秒の開放を15回行う。ここで、短当たりでの作動と小当たりでの作動を上記の例で比較すると、共に0.1秒の開放が15回行われることとなる。すなわち、遊技者から見える大入賞口125、128の動作は、短当たりの場合と小当たりの場合とで同じであり、遊技盤110上の大入賞口125、128の動作のみから短当たりと小当たりとを区別することはできない。
また、別の例としては、短当たりでは、2ラウンド(2R)作動させ、1ラウンドでは0.9秒の開放を2回行い、小当たりでは、1ラウンド(1R)作動させ、この1ラウンドで0.9秒の開放を2回行う。この場合も、短当たりでの作動と小当たりでの作動を比較すると、共に0.9秒の開放が2回行われることとなり、遊技者から見える大入賞口125、128の動作は、短当たりの場合と小当たりの場合とで同様となる。
なお、小当たりの際には、大入賞口125、128の開放累積時間が1.8秒以内に設定されなければならないことが法令により定められている。一方で、大当たり(長当たりまたは短当たり)の際には、大入賞口125、128を複数回連続開放させなければならない。そこで、上記のように小当たりでの作動と短当たりでの作動を外見上区別し難くしようとする場合、小当たりでは、1作動での開放累積時間が1.8秒以内を満たす範囲で、大入賞口125、128が2回以上開放する作動形態が設定され、短当たりでは、小当たりの開放回数と同数のラウンド数が設定される。
長当たり(長開放当たり、短開放当たり)において、第2大入賞口128が作動するラウンドでは、上記のように所定のタイミングで切り替え蓋141も作動し、特定領域が設定された経路142を遊技球が通過可能となる。大入賞口動作制御部237は、特定領域を遊技球が通過した場合(特定領域スイッチ215Cにより遊技球の通過が検知された場合)は、大当たり遊技の終了後に遊技状態が高確率状態となる高確率移行確定フラグをONにする。
次に、大入賞口動作制御部237は、S1404で設定された作動パターンにおける開放時間を経過したか否かを判断する(S1408)。大入賞口125、128での開状態が開放時間を経過していない場合(S1408でNo)、次に大入賞口動作制御部237は、大入賞口125、128への入賞個数Cが規定の個数(例えば9個)以上か否かを判断する(S1409)。開放時間を経過しておらず、かつ入賞個数Cが規定個数未満である場合は、大入賞口125、128の作動状態(開状態)が継続されるので、大入賞口処理を終了する(S1409でNo)。一方、開放時間を経過したか(S1408でYes)、または入賞個数Cが規定個数に達した場合(S1409でYes)、大入賞口動作制御部237は、大入賞口125、128を作動終了(閉口)する(S1410)。
次に、大入賞口動作制御部237は、大入賞口125、128の作動のラウンド数RがS1404で設定された最大値に達したか否かを判断する(S1411)。そして、最大値に達していないならば、残りの作動が行われるため、大入賞口処理を終了する(S1411でNo)。
大入賞口125、128の作動のラウンド数Rが最大値に達したならば(S1411でYes)、次に大入賞口動作制御部237は、エンディング動作を開始する(S1412)。ここで、エンディング動作の内容は、長当たり遊技(長開放当たり遊技、短開放当たり遊技)、短当たり遊技の各遊技において設定されたエンディング動作のうち、大当たり遊技フラグの状態に対応するものとなる。
この後、大入賞口動作制御部237は、演出制御部300において大当たり遊技フラグに応じたエンディング動作における演出を行うためのエンディングコマンドをRAM203に設定されたコマンド用の所定の格納領域にセットする(S1413)。このエンディングコマンドは、図5−3のS506に示した出力処理で演出制御部300へ送信される。
次に、大入賞口動作制御部237は、大入賞口125、128の作動のラウンド数Rを0にリセットした後(S1414)、エンディング動作の開始からの経過時間が予め設定されたエンディング動作が行われるべき時間(エンディング時間)を経過したか否かを判断する(S1417)。エンディング時間を経過していないならば、エンディング動作が継続されるので、大入賞口処理を終了する(S1417でNo)。一方、エンディング時間を経過したならば(S1417でYes)、次に大入賞口動作制御部237は、遊技制御部200による遊技状態設定処理を経た後(S1418)、大当たり遊技フラグをOFFにして、大入賞口処理を終了する(S1419)。遊技状態設定処理の内容については後述する。
S1402で、パチンコ遊技機100がオープニング中ではないと判断した場合(S1402でNo)、次に大入賞口動作制御部237は、エンディング中か否かを判断する(S1415)。そして、エンディング中であるならば(S1415でYes)、上記S1417以降の動作を実行する。
一方、パチンコ遊技機100がエンディング中でもないならば(S1415でNo)、次に大入賞口動作制御部237は、大入賞口125、128が作動(開放)中か否かを判断する(S1416)。そして、作動中でないならば(S1416でNo)、上記S1405以降の動作を実行し、作動中であるならば(S1416でYes)、上記S1408以降の動作を実行する。
なお、前述した小当たり遊技で行われる演出は、短当たり遊技で行われる演出と同様であり、演出から短当たりと小当たりとを区別することはできない。
〔遊技状態設定処理〕
エンディング時間が経過した場合(S1417でYes)に実行される、遊技制御部200による遊技状態設定処理(S1418)の内容を図15に示す。
遊技状態設定処理が行われる場合、前提として、図14のS1401で大当たり遊技フラグがONとなっている。そこで、図15に示すように、遊技制御部200は、まず、その大当たりの種類を判断する(S1501〜S1503、S1506)。これらの判断は、例えば大当たり判定処理(図9)でRAM203に設定情報としてセットされた図柄の種類に基づいて判断することができる。なお、大当たりの種類の判断は大当たり判定処理(図9)のS902、S903、S905と概ね同様であるので、S902、S903、S905の判断結果を用いても良い。また、本実施の形態では、大当たり遊技の終了後にパチンコ遊技機100が高確率状態となるか否かの判断は、高確率移行確定フラグの状態に基づく。
小当たりである場合(S1501でYes)、遊技状態(パチンコ遊技機100の内部状態)は変更しないので、遊技状態設定処理を終了する。
小当たりでない場合(S1501でNo)、遊技制御部200は、高確率状態へ移行可能な大当たり(図15では「確変可能大当たり」と記載)か否かを判断する(S1502a)。ここで、高確率状態へ移行可能な大当たりとは、大当たり遊技において第2大入賞口128が開放されるラウンドを含む大当たりである。本実施の形態では、第2大入賞口128の内部に設定された特定領域を遊技球が通過したことを移行条件としてパチンコ遊技機100の遊技状態が高確率状態へ移行する。したがって、高確率状態へ移行するためには、大当たり遊技において第2大入賞口128が開放されることが必須となる。ただし、第2大入賞口128が開放されても遊技球が入球しない場合、および、遊技球が第2大入賞口128に入球しても特定領域を通過しない場合(経路143を通過した場合)は、パチンコ遊技機100の遊技状態は高確率状態へ移行しない。すなわち、高確率状態へ移行可能な大当たりと判定されただけでは、高確率状態への移行は確定しない。
大当たりの種類が高確率状態へ移行可能な大当たりであった場合(S1502aでYes)、次に遊技制御部200は、高確率移行確定フラグがONか否かを判断する(S1502b)。図14の大入賞口処理で説明したように、高確率状態へ移行可能な大当たりの大当たり遊技において、第2大入賞口128に入賞した遊技球が経路142の特定領域を通過した場合に高確率移行確定フラグがONとなる。そして、高確率移行確定フラグがONであれば、大当たり遊技後に高確率状態へ移行することが確定する。
S1502aの判断で高確率状態へ移行不可能な大当たり(すなわち、大当たり遊技において第2大入賞口128が開放されるラウンドが含まれない大当たり)であった場合(S1502aでNo)、遊技制御部200は、そのような確変不可の大当たりが第2始動口122への入球によるものであるか否かを判断する(S1502c)。このような判断を行うのは、第2始動口122への入球による特別図柄判定で大当たりした場合は時短状態に遊技制御される一方で、第1始動口121への入球による特別図柄判定で大当たりした場合は時短無状態に遊技制御されることによる。
確変不可の大当たりが第2始動口122への入球によるものではなくて第1始動口121への入球によるものである場合は(S1502cでNo)、時短フラグ、高確率移行確定フラグおよび確変フラグのいずれもONにすることなく、遊技状態設定処理を終了する。これにより、大当たり遊技の終了後は、低確率時短無遊技状態に遊技制御される。
確変不可の大当たりが第2始動口122への入球によるもの場合(S1502cでYes)、また、高確率状態へ移行可能な大当たりであるが高確率移行確定フラグがONでない場合(S1502bでNo)、次に遊技制御部200は、大当たりの種類が大当たり遊技の終了後にパチンコ遊技機100が時短状態となる大当たりか否かを判断する(S1503)。時短状態となる大当たりである場合(S1503でYes)、遊技制御部200は、時短フラグをONにする(S1504)。これにより、RAM203の遊技状態の設定が低確率時短遊技状態となる。また、遊技制御部200は、抽選回数Jの初期値を設定し(S1505)、遊技状態設定処理を終了する。抽選回数Jの初期値は、図示の例では50回である。したがって、低確率時短遊技状態における抽選が50回行われたならば、低確率時短遊技状態が終了し、低確率時短無遊技状態となる。
なお、本実施の形態では、確変不可の大当たりが第2始動口122への入球によるものであるか否かを判断する処理(S1502c)を実行するが、そのような処理の実行を省略する変形例も考えられる。
なお、時短有り(S1503でYes)の場合すなわち低確率時短遊技状態では、普通図柄判定部232(図4参照)による普通図柄抽選の当選確率が1/10から9/10に高まり、普通図柄変動制御部236(図4参照)による普通図柄抽選の変動時間(S1307参照)が短くなり、電動チューリップ動作制御部238(図4参照)による電動チューリップ123が長時間複数回開放される。こうして、電動チューリップ123での第2始動口122への入球が容易な状態に制御され易い時短状態になる。
なお、低確率時短無遊技状態の場合には(例えばS1502cでNo)、電動チューリップ123での第2始動口122への入球が容易な状態に制御され難い非時短状態になる。
一方、大当たりの種類が大当たり遊技の終了後にパチンコ遊技機100が時短無状態となる大当たりである場合(S1503でNo)、遊技制御部200は、時短フラグ、確変フラグともONにせずに処理を終了する。したがって、この大当たりの後の遊技に対するRAM203の遊技状態の設定は、低確率時短無遊技状態となる。
S1502aの判断で高確率状態へ移行可能な大当たりであり(S1502aでYes)、かつ、高確率移行確定フラグがONである場合(S1502bでYes)、次に遊技制御部200は、大当たりの種類が大当たり遊技の終了後にパチンコ遊技機100が時短状態となる大当たりか否かを判断する(S1506)。時短状態となる大当たりである場合遊技制御部200は、時短フラグをONにし(S1507)、抽選回数Jの初期値を設定する(S1508)。この場合の抽選回数Jの初期値は、図示の例では50回である。また、遊技制御部200は、確変フラグをONにし(S1509)、抽選回数Xの初期値を設定する(S1510)。抽選回数Xの初期値は、図示の例では50回である。これにより、RAM203の遊技状態の設定が高確率時短遊技状態となる。そして、この高確率時短遊技状態における抽選が50回行われたならば、高確率時短遊技状態が終了し、低確率時短無遊技状態となる。
ここにいう高確率時短遊技状態では、普通図柄判定部232(図4参照)による普通図柄抽選の当選確率を高めない遊技制御が行われることから、電動チューリップ123での第2始動口122への入球が容易な状態に制御され難い非時短状態である(高確率状態の非時短状態)。すなわち、普通図柄抽選の当たり確率は1/10であり、9/10ではない(図17(d)参照)。
さらに説明すると、高確率時短遊技状態では、普通図柄変動制御部236(図4参照)による普通図柄抽選の変動時間(S1307参照)を短くしたり、電動チューリップ動作制御部238(図4参照)による電動チューリップ123の開放時間を長くしたり開放回数を多くしたりする電チューサポートが実行されるものである。
なお、本実施の形態が備えるS1506〜S1508を省略する変形例が考えられる。すなわち、高確率時短遊技状態の代わりに、高確率非時短遊技状態とするものである。かかる変形例における高確率非時短遊技状態は、上述した高確率状態の非時短状態であるということができる。
一方、大当たりの種類が大当たり遊技の終了後にパチンコ遊技機100が時短無状態となる大当たりである場合(S1506でNo)、遊技制御部200は、確変フラグのみをONにし(S1509)、抽選回数Xの初期値(145回)を設定する(S1510)。これにより、RAM203の遊技状態の設定が高確率時短無遊技状態となり、非時短状態である(高確率状態の非時短状態)。すなわち、普通図柄判定部232(図4参照)による普通図柄抽選の当選確率が高くならず、普通図柄変動制御部236(図4参照)による普通図柄抽選の変動時間(S1307参照)が短くならず、電動チューリップ動作制御部238(図4参照)による電動チューリップ123の開放が長時間および/または複数回ではない。
そして、この高確率時短無遊技状態における抽選が50回行われたならば、高確率時短無遊技状態が終了し、低確率時短無遊技状態となる。
〔遊技制御部による電動チューリップ処理〕
図16は、図5−3のS504に示した電動役物処理のうちの電動チューリップ処理の内容を示すフローチャートである。
電動チューリップ処理において、遊技制御部200の電動チューリップ動作制御部238は、まず、RAM203のフラグ設定において補助遊技フラグがONになっているか否かを調べる(S1601)。補助遊技フラグがOFFである場合、電動チューリップ123は開放しないため、電動チューリップ処理を終了する(S1601でNo)。一方、補助遊技フラグがONである場合(S1601でYes)、次に電動チューリップ動作制御部238は、電動チューリップ123が作動中か否かを判断する(S1602)。
電動チューリップ123が作動中でない場合(S1602でNo)、電動チューリップ動作制御部238は、電動チューリップ123の作動パターンの設定を行い(S1603)、設定した作動パターンで電動チューリップ123を作動させる(S1604)。ここで、作動パターンは、図11におけるS1104、S1114、図15におけるS1504、S1507等の処理で設定される時短フラグに基づいて設定される。例えば、S1603による設定の際に時短フラグがOFFである場合は、0.15秒の開放時間で1回開放する作動パターンが設定され、時短フラグがONである場合は、1.80秒の開放時間で3回開放する作動パターンが設定される。このように、通常、時短フラグがONであるとき(時短状態のとき)は、電動チューリップ123が長時間、複数回開放され、第2始動口122に入賞し易くなる入賞サポート(電チューサポート)が行われる。なお、時短フラグがONの場合またはOFFの場合における電動チューリップ123の作動パターン(補助遊技の種類)を複数用意し、普通図柄処理(図13参照)で判定される当たりの種類に応じて、作動パターンを設定するように構成しても良い。
S1602で電動チューリップ123が作動中と判断された場合(S1602でYes)、またはS1604で電動チューリップ123を作動させた後、電動チューリップ動作制御部238は、設定されている作動パターンにおける開放時間が経過したか否かを判断する(S1605)。開放時間を経過していなければ、電動チューリップ123の作動状態(開状態)が継続されるので、電動チューリップ処理を終了する(S1605でNo)。一方、開放時間を経過したならば(S1605でYes)、電動チューリップ動作制御部238は、補助遊技フラグをOFFとして、電動チューリップ処理を終了する(S1606)。
〔乱数による判定の手法〕
ここで、大当たり判定処理(図9)、変動パターン選択処理(図10)、普通図柄処理(図13)等で行われる、乱数による判定の手法について詳細に説明する。
図17は、本実施の形態において特別図柄判定および普通図柄抽選で用いられる乱数(判定テーブル)の構成例を示す図である。
図17(a)には特別図柄判定で用いられる大当たり乱数の構成例、図17(b)には特別図柄判定で用いられる大当たり図柄乱数の構成例、図17(c)には特別図柄判定で用いられるリーチ乱数の構成例、図17(d)には普通図柄抽選で用いられる当たり乱数の構成例が、それぞれ示されている。
図17(a)を参照すると、大当たり乱数の判定値として、大当たり判定時のパチンコ遊技機100の遊技状態が低確率状態の場合の大当たり(以下、低確率状態の大当たり)と大当たり判定時の遊技状態が高確率状態の場合の大当たり(以下、高確率状態の大当たり)の2種類と、小当たりと、が設定されている。このような設定は、特別図柄判定に用いられる乱数値を取得する契機が第1始動口121への入球の場合(S604)と第2始動口122への入球の場合(S610)との各々について行われている。乱数(大当たり乱数)の値の範囲は、第1始動口121と第2始動口122のいずれも0〜299の300個である。
より詳細には、第1始動口121では、低確率状態の特別図柄判定(大当たり抽選)の場合、当選値は1つだけが設定され、当選確率は1/300である。また高確率状態の特別図柄判定の場合、当選値は10個設定され、当選確率は10/300(=1/30)である。すなわち図示の例では、高確率状態で第1始動口121に入賞し特別図柄判定が行われると、低確率状態で特別図柄判定が行われる場合に比べて、当選確率が10倍となる。また、第1始動口121では小当たりの当選値が設定されていない。
第2始動口122では、上述の第1始動口121の場合と同じく、低確率状態の当選値は1つ設定され、当選確率は1/300であり、高確率状態の当選値は10個設定され、当選確率は10/300(=1/30)である。また、第2始動口122では、上述の第1始動口121の場合とは異なり、小当たりの当選値は、低確率状態か高確率状態かに関わらず285個設定され、当選確率は285/300(=19/20)である。すなわち、第2始動口122における小当たりの当選確率は95%であり、第2始動口122に入賞すれば、ほぼ小当たりに当選することになる。
このように、本実施の形態では、大当たりの設定については、第1始動口121と第2始動口122とで互いに同じものである一方で、小当たりの設定について、第1始動口121と第2始動口122とで互いに異なるものである。このため、第1始動口121に入球させても小当たりになることはなく、第2始動口122に入球させないと小当たりにはならない。さらに説明すると、第2始動口122は、遊技領域111における右側の領域に配設されており、右打ちしないと第2始動口122へ入球させることは困難である。このため、小当たりになるのは、いわゆる右打ちの場合であり、左打ちでは小当たりにはならない。上述したように、第1大入賞口125が遊技領域111における右側の領域に配設されているのは、このようなことに起因するものである。なお、第1始動口121の場合にも小当たりの当選値を設定する例も考えられる。そのような例では、第1大入賞口125を遊技領域111における右側の領域および左側の領域にそれぞれ1つずつ配設したり、第1大入賞口125を右打ちでも左打ちでも入球可能な位置に配設したりする盤面構成が考えられる。
なお、はずれ(大当たりでもなく小当たりでもない場合)の値について説明すると、第1始動口121では、低確率状態の特別図柄判定の場合は299個あり、はずれの確率は299/300である一方で、高確率状態の特別図柄判定の場合は290個あり、はずれの確率は290/300である。また、第2始動口122では、低確率状態の特別図柄判定でのはずれ値は14個あり、はずれの確率は14/300である一方で、高確率状態の特別図柄判定の場合は5個あり、はずれの確率は5/300である。
図17(b)を参照すると、本実施の形態において、大当たり図柄には、特別図柄A、特別図柄B、特別図柄C1、特別図柄C2、特別図柄D1、特別図柄D2の6種類が用意されている。本実施の形態では、大当たりの種類として短当たりおよび小当たりが設定されておらず、全て長当たりであり、大当たり遊技後にパチンコ遊技機100が時短状態となるものとする。図示の例において、乱数(大当たり図柄乱数)の値の範囲は0〜249の250個である。また、図示の例において、大当たり図柄乱数では、特別図柄判定が行われる契機となる第1始動口121と第2始動口122の各々について当選値が設定される。
ここで、特別図柄Aおよび特別図柄Bは、本実施の形態では大当たり遊技において第2大入賞口128が開放されない大当たりである。第2大入賞口128が開放されないため、遊技球が第2大入賞口128の内部の特定領域を通過することはない。したがって、大当たり遊技の終了後にパチンコ遊技機100の遊技状態が低確率状態となることが確定している。特別図柄C1、D1は、大当たり遊技における所定のラウンド(例えば、特別図柄C1では第16ラウンド、特別図柄D1では第4ラウンド)で第2大入賞口128が作動して長時間開放される(長開放)。特別図柄C2、D2は、大当たり遊技における所定のラウンド(例えば、特別図柄C2では第16ラウンド、特別図柄D2では第4ラウンド)で第2大入賞口128が作動して短時間開放される(短開放)。
特別図柄Aでは、第1始動口121および第2始動口122ともに、当選値として35個の値が割り当てられている。したがって、大当たりに当選した場合に特別図柄Aでの当選となる確率は、35/250(=7/50)である。また、特別図柄Aの大当たりでは大当たり遊技において第1大入賞口125が16回作動する(16R)。
特別図柄Bでは、第1始動口121および第2始動口122ともに、当選値として15個の値が割り当てられている。したがって、大当たりに当選した場合に特別図柄Bでの当選となる確率は、15/250(=3/50)である。また、特別図柄Bの大当たりでは大当たり遊技において第1大入賞口125が4回作動する(4R)。
特別図柄C1では、第1始動口121に入賞した場合の当選値として25個の値が割り当てられている。したがって、第1始動口121に入賞したことによって開始された特別図柄判定において大当たりに当選した場合に特別図柄C1での当選となる確率は、25/250(=1/10)である。
一方、第2始動口122に入賞した場合の当選値として150個の値が割り当てられている。したがって、第2始動口122に入賞したことによって開始された特別図柄判定において大当たりに当選した場合に特別図柄C1での当選となる確率は、150/250(=3/5)である。
また、特別図柄C1の大当たりでは、大当たり遊技において、第1大入賞口125が15回作動し、第2大入賞口128が1回、長開放にて作動する(16R)。
特別図柄C2では、第1始動口121に入賞した場合の当選値として75個の値が割り当てられている。したがって、第1始動口121に入賞したことによって開始された特別図柄判定において大当たりに当選した場合に特別図柄C2での当選となる確率は、75/250(=3/10)である。
一方、第2始動口122に入賞した場合の当選値は割り当てられていない。したがって、第2始動口122に入賞したことによって開始された特別図柄判定において大当たりに当選した場合、特別図柄C2での当選とはならない。
また、特別図柄C2の大当たりでは、大当たり遊技において、第1大入賞口125が15回作動し、第2大入賞口128が1回、短開放にて作動する(16R)。
特別図柄D1では、第1始動口121に入賞した場合の当選値として30個の値が割り当てられている。したがって、第1始動口121に入賞したことによって開始された特別図柄判定において大当たりに当選した場合に特別図柄D1での当選となる確率は、30/250(=3/25)である。
一方、第2始動口122に入賞した場合の当選値として50個の値が割り当てられている。したがって、第2始動口122に入賞したことによって開始された特別図柄判定において大当たりに当選した場合に特別図柄D1での当選となる確率は、50/250(=1/5)である。
また、特別図柄D1の大当たりでは、大当たり遊技において、第1大入賞口125が3回作動し、第2大入賞口128が1回、長開放にて作動する(4R)。
特別図柄D2では、第1始動口121に入賞した場合の当選値として70個の値が割り当てられている。したがって、第1始動口121に入賞したことによって開始された特別図柄判定において大当たりに当選した場合に特別図柄D2での当選となる確率は、70/250(=7/25)である。
一方、第2始動口122に入賞した場合の当選値は割り当てられていない。したがって、第2始動口122に入賞したことによって開始された特別図柄判定において大当たりに当選した場合、特別図柄D2での当選とはならない。
また、特別図柄D2の大当たりでは、大当たり遊技において、第1大入賞口125が3回作動し、第2大入賞口128が1回、短開放にて作動する(4R)。
ここで、第1始動口121および第2始動口122の各々に入賞した場合における特別図柄C1、C2、D1、D2の当選確率に着目する。特別図柄C1、C2、D1、D2の大当たりは、高確率状態へ移行可能な(大当たり遊技において第2大入賞口128が開放されるラウンドを含む)大当たりである。
図17(b)に示す例において、第1始動口121では、特別図柄C1の当選確率よりも特別図柄C2の当選確率の方が高い。また、特別図柄D1の当選確率よりも特別図柄D2の当選確率の方が高い。そして、特別図柄C1、D1は、長開放当たりであり、大当たり遊技において遊技球が第2大入賞口128に入賞して特定領域を通過する可能性が大きい。一方、特別図柄C2、D2は、短開放当たりであり、大当たり遊技において遊技球が第2大入賞口128に入賞して特定領域を通過する可能性が小さい。したがって、第1始動口121への入賞に基づいて高確率状態へ移行可能な大当たりに当選した場合、高確率状態へ移行する可能性の小さい短開放当たりとなる確率が高い。
一方、第2始動口122では、特別図柄C1および特別図柄D1にのみ当選値が設定されている。すなわち、第2始動口122への入賞に基づいて高確率状態へ移行可能な大当たりに当選した場合は、必ず長開放当たりとなる。
このように、第1始動口121に入賞した場合と第2始動口122に入賞した場合における大当たりの種類の当選確率を相違させることにより、様々な遊技性を持たせることができる。また、遊技盤110における第1始動口121と第2始動口122の配置を工夫し、特定の状態(モード)では第1始動口121と第2始動口122のいずれか一方を狙い易くなるように構成することによって、遊技者にさらに積極的な遊技への参加を促すことも可能である。なお、図17(b)では、大当たり図柄乱数の一例として、一つのテーブルを示したが、例えば遊技状態が高確率状態のときに適用されるテーブルと低確率状態のときに適用されるテーブルとを用意し、パチンコ遊技機100の遊技状態に応じて判定に用いるテーブルを切り替えても良い。
次に、リーチ乱数の判定について説明する。
図17(c)を参照すると、乱数の値の範囲は0〜249の250個であり、リーチ演出を行う抽選結果(リーチ有)に22個の乱数値が割り当てられ、リーチ演出を行わない抽選結果(リーチ無)に228個の乱数値が割り当てられている。すなわち図示の例では、特別図柄判定で大当たりしなかった場合に、22/250(=11/125)の確率でリーチ演出が行われる。ここで、リーチ演出は、特別図柄変動時に画像表示部114において行われる演出である。以下、リーチ演出を行わない特別図柄変動時の演出をリーチ無し演出と呼び、これに対応してリーチ演出をリーチ有り演出とも呼ぶ。
多くの場合、特別図柄変動時には、第1特別図柄表示器221および第2特別図柄表示器222(以下、これらを区別しない場合は特別図柄表示器221、222と記載)の表示制御に連動させて、画像表示部114において装飾図柄を用いた演出が行われる。装飾図柄は、例えば、1〜9の数字が縦方向に連続して記された数列からなる図柄が三列表示されて構成される。そして、特別図柄表示器221、222における特別図柄の変動表示が開始されるのと同時に、画像表示部114に表示された装飾図柄がスクロールを開始する。また、特別図柄が停止表示されるのと同時に、装飾図柄も停止する。一般に、特別図柄判定の結果が大当たりである場合、装飾図柄の停止表示では、横または斜めにわたる一直線上に同一の数字が三つ揃って並ぶ。この特別図柄の変動表示に伴って行われる装飾図柄を用いた演出を変動演出と呼ぶ。
リーチ有り演出においては、変動演出として、装飾図柄に関して次のような動作が行われる。まず、装飾図柄のスクロールが停止して各図柄を停止表示する際に、まず、いずれか2つの図柄(数列)が先に停止する。このとき、横または斜めにわたる一直線上に同一の数字が停止表示される。次に、最後の一列がスクロール速度を徐々に遅くして、一直線上に同一の数字が三つ揃うのではないかという期待感を遊技者に与える。このようなリーチ有り演出では、最後の1列のスクロールが停止する前に、さまざまなキャラクタが登場したり、ストーリーが展開したりするいわゆるスーパーリーチ演出が行われる場合がある。また、リーチ有り演出と共に行われる上記の変動演出をリーチ時変動演出とも呼ぶ。
一方、リーチ無し演出においては、リーチ有り演出のような遊技者に期待感を与える演出がなされることなく、横または斜めにわたる一直線上に同一の数字が揃わない状態で図柄が停止表示する。
このように、リーチ乱数は、大当たり乱数の判定の結果がはずれであった場合に、画像表示部114においてリーチ有り演出を行うか、リーチ無し演出を行うかを決定するためのもので、所定の確率でリーチ有り演出が出現するようにして、遊技者に対して適度に期待感を与えるようにしている。
付言すると、大当たりに当選した場合には、リーチ有り演出が必ず行われ、最終的に横または斜めにわたる一直線上に、同一の数字が揃った状態で装飾図柄が停止表示する。これに対して、小当たりに当選した場合やはずれの場合のリーチ有り演出は、上記一直線上に、同一の数字が揃わない状態で装飾図柄が停止表示する。
なお、図17(c)では、リーチ乱数の一例として、一つのテーブルを示したが、例えば遊技状態が高確率状態のときに適用されるテーブルと低確率状態のときに適用されるテーブルとを用意し、パチンコ遊技機100の遊技状態に応じて判定に用いるテーブルを切り替えても良い。
次に、普通図柄抽選に用いられる当たり乱数の判定について説明する。
図17(d)を参照すると、乱数の値の範囲は0〜9の10個であり、時短フラグOFFのときの当選値として1個の値が割り当てられ、時短フラグONのときの当選値として9個の値が割り当てられている。したがって、時短無状態のときにゲート124を遊技球が通過して普通図柄抽選が行われると、1/10の確率で当選する。これに対し、時短状態のときにゲート124を遊技球が通過して普通図柄抽選が行われると、9/10の確率で当選する。
また、特に図示していないが、普通図柄抽選で当たりと判定された場合に行われる補助遊技の内容(電動チューリップ123の開放パターン)が異なる複数の当たりを設定することができる。この場合、例えば、特別図柄判定における大当たりの種類を特定する大当たり図柄乱数(図17(b)参照)と同様に、普通図柄抽選における当たりの種類を特定するための当たり図柄乱数が設定される。そして、遊技制御部200は、乱数取得部231により、ゲートスイッチ処理(図7参照)で当たり乱数の乱数値と共に、当たり図柄乱数の乱数値を取得し、普通図柄判定部232により、取得された乱数値に基づいて当たりの種類を特定する。
なお、図17の各乱数の構成例に示した乱数の範囲、当選値の割合、当選値の各値は例示に過ぎず、図示の値に限定されるものではない。また、図17(d)では、当たり乱数の一例として、一つのテーブルを示したが、例えば遊技状態が時短状態のときに適用されるテーブルと時短無状態のときに適用されるテーブルとを用意し、パチンコ遊技機100の遊技状態に応じて判定に用いるテーブルを切り替えても良い。
〔変動パターンの設定例〕
次に、図10に示した変動パターン選択処理において用いられる変動パターンの設定例について説明する。
図18は、図10に示した変動パターン選択処理において用いられる変動パターンの設定例(変動パターンテーブル)を示す図である。なお、図18は、第1始動口121に遊技球が入賞した場合に選択される設定例を示している。なお、同図において、特別図柄判定の結果が小当たりであった場合の変動パターンの図示を省略している。
図18に示すように、変動パターンA〜Dは、特別図柄判定の結果が大当たりの場合(図10のS1001でYesの場合)に選択される変動パターンである。また、変動パターンE〜Hは、特別図柄判定の結果がはずれであってリーチ演出が行われる場合(図10のS1006でYesの場合)に選択される変動パターンである。そして、変動パターンI〜Kは、特別図柄判定の結果がはずれであってリーチ演出が行われない場合(図10のS1006でNoの場合)に選択される変動パターンとして設定されている。なお、特別図柄判定の結果が大当たりのときには必ずリーチ演出を行うように構成しているため、変動パターンA〜Dが選択される場合においてリーチ演出の有無は参照されない。
図18に示す例では、特別図柄判定の結果が大当たりであった場合(図10のS1001でYesの場合)の変動パターンとして、4種類の変動パターンA〜Dが設定されている。また、特別図柄判定の結果がはずれ(図10のS1001でNo、S1003でNoの場合)であった場合の変動パターンとして、7種類の変動パターンE〜Kが設定されている。変動時間は、変動パターンAが90秒、変動パターンBが60秒、変動パターンCが30秒、変動パターンDが15秒、変動パターンEが90秒、変動パターンFが60秒、変動パターンGが30秒、変動パターンHが15秒、変動パターンIが13秒、変動パターンJが7秒、変動パターンKが3秒にそれぞれ設定されている。
また、図18に示すように、乱数(変動パターン乱数)の値の範囲は、何れも0〜249の250個である。
そして、特別図柄判定の結果が大当たりであった場合において、変動パターンAには、100個の乱数値が割り当てられ、100/250の確率で90秒の変動時間が設定される。また、変動パターンBには、75個の乱数値が割り当てられ、75/250の確率で60秒の変動時間が設定される。さらに、変動パターンCには、50個の乱数値が割り当てられ、50/250の確率で30秒の変動時間が設定される。そして、変動パターンDには、25個の乱数値が割り当てられ、25/250の確率で15秒の変動時間が設定される。
つまり、特別図柄判定の結果が大当たりであった場合に選択される変動パターンA〜Dのうち、最も高い割合で変動パターンAが選択され、次に高い割合で変動パターンBが選択され、次に高い割合で変動パターンCが選択され、最も低い割合で変動パターンDが選択されるように設定することができる。そして、大当たりに当選した場合、比較的長い時に亘っての変動演出が実行されやすくなっている。
また、特別図柄判定の結果がはずれであってリーチ有り演出が行われる場合、変動パターンEには、25個の乱数値が割り当てられ、25/250の確率で90秒の変動時間が設定される。また、変動パターンFには、50個の乱数値が割り当てられ、50/250の確率で60秒の変動時間が設定される。さらに、変動パターンGには、75個の乱数値が割り当てられ、75/250の確率で30秒の変動時間が設定される。そして、変動パターンHには、100個の乱数値が割り当てられ、100/250の確率で15秒の変動時間が設定される。
つまり、特別図柄判定の結果がはずれであってリーチ有り演出が行われる場合に選択される変動パターンE〜Hのうち、最も高い割合で変動パターンHが選択され、次に高い割合で変動パターンGが選択され、次に高い割合で変動パターンFが選択され、最も低い割合で変動パターンEが選択されるように設定することができる。そして、はずれであってリーチ有り演出が行われる場合には、比較的短い時間に亘っての変動演出が実行されやすくなっている。
そして、特別図柄判定の結果がはずれであってリーチ無し演出が行われる場合、変動パターンI〜Kには、250個の乱数値が割り当てられる。そして、変動パターンIは保留数が0個であるとき、変動パターンJは保留数が1または2個であるとき、変動パターンKは保留数が3個または4個であるときに、それぞれ選択される変動パターンとして設定されている。すなわち、はずれであってリーチ無し演出が行われる場合、特別図柄判定における判定の保留数が多いほど、図柄変動の平均時間が短くなるように設定されている。
遊技制御部200は、遊技球が始動口121、122に入賞した際に取得した変動パターン乱数値(図6のS604、S610参照)と、パチンコ遊技機100の遊技状態、リーチ演出の有無、保留数等の条件とに基づいて特別図柄の変動パターンを決定する。そして、決定された特別図柄の変動パターンの情報は、変動開始コマンドに含まれて、遊技制御部200から演出制御部300へ送られる。演出制御部300では、後述するように、特別図柄変動時の演出として、変動開始コマンドに含まれる変動パターンの情報に基づいて特定される変動時間に対応する(その変動時間で実行可能な)演出が選択されて実行される。
このように、第1始動口121に遊技球が入賞した場合は、取得した乱数値を用いて変動パターンが決定される。そして、変動演出が行われる変動時間は、このように決定された変動パターンに予め対応付けられた値が採用される。
その一方で、第2始動口122に遊技球が入賞した場合であって遊技状態が低確率遊技状態の場合における変動時間は、第1始動口121の場合とは異なり、取得した乱数値を基に算出され、算出された変動時間に対応する変動演出が行われる。より詳細には、取得した乱数値に1.2秒を乗じて得た値に1.2秒を加えた値を、変動時間Th(=1.2秒*Nh+1.2秒)とする。例えば、乱数値Nhとして0〜255のいずれかの値を取得するものとすると、計算式によれば、最短の変動時間は1.2秒で、最長の変動時間は307.2秒(5分7.2秒)である。このようにすることで、より多くの変動パターンを持つことが可能になり、後述するように、大入賞口125、128が作動しない段階で右打ちする遊技を防止することが可能になる。
なお、第2始動口122に遊技球が入賞した場合であって遊技状態が高確率遊技状態の場合における変動時間は、第1始動口121の場合と同じく、乱数値を用いて決定された変動パターンで定められるが、上述の計算式で得た値を変動時間とする変形例も考えられる。
〔コマンドの構成および伝送方式〕
ここで、遊技制御部200から演出制御部300へ出力されるコマンドの構成および伝送方式について説明する。
図19−1は、コマンドの構成を示す図である。図19−1(a)はコマンドのデータ構造を示し、図19−1(b)はコマンドのビット列としての構造を示す。
図19−1(a)に示すように、遊技制御部200から演出制御部300へ出力されるコマンドは、1コマンドが2バイト・データとして構成される。このコマンドは、第1データ部としての1バイトの「コード部」と、第2データ部としての1バイトの「データ部」で構成されている。「コード部」には、コマンドの種類を示すコードが記述され、「データ部」には、コマンドの値を示すデータが記述される。このコマンドは、1本のシリアル信号により調歩同期を用いて、遊技制御部200から演出制御部300へ送信される。なお、より一般的には、第1データ部である「コード」は、aビット(aは2以上の整数)のサイズで、先頭の1ビットの値が1または0の何れか一方に特定され、第2データ部である「データ」は、n×aビット(nは1以上の整数)のサイズで、先頭の1ビットの値が前記第1データ部の先頭の1ビットの値とは異なる値に特定されている。
調歩同期を用いるため、コマンドを構成する「コード部」および「データ部」の各々の先頭には1ビットのスタートビット(図中、「S」と記載されたビット)が設けられ、最後尾には1ビットのエンドビット(図中、「E」と記載されたビット)が設けられる。また、コマンドを構成する「コード部」および「データ部」の各々には1ビットのパリティビット(図中、「P」と記載されたビット)が設けられる。
図19−1(a)に示したように、コマンドを構成する「コード部」と「データ部」とは、どちらも1バイト(8ビット)のデータサイズを有する。そして、伝送される際、「コード部」および「データ部」には、それぞれ、スタートビット、エンドビットおよびパリティビットが設けられる。そのため、コマンドを受信する演出制御部300において、受信したデータ列がコマンドの「コード部」であるのか「データ部」であるのかを、データ列の外形から識別することは容易ではない。そこで、本実施の形態では、「コード部」と「データ部」とを識別するためのフラグを設定する。具体的には、「コード部」を構成する8ビット値の特定箇所の値と、「データ部」を構成する8ビット値のうち「コード部」の特定箇所に対応する箇所の値とが異なるようにする。
図19−1(b)に示す例では、「コード部」および「データ部」のそれぞれの先頭の1ビットをフラグとして用いている。すなわち、「コード部」を構成する8ビット値においては、先頭の1ビットの値を「1」とし、「データ部」を構成する8ビット値においては、先頭の1ビットの値を「0」とする。これにより、演出制御部300は、受信したデータ列のスタートビットに続く先頭の1ビットの値を調べることにより、そのデータ列が「コード部」か「データ部」かを識別することができる。なお、フラグの具体的な値は例示に過ぎず、「コード部」と「データ部」とを識別可能であれば、上記に示す値とは異なる値を用いても良い。また、本実施の形態では、「コード部」および「データ部」を各々8ビットのデータ列としているが、他のデータサイズ(aビット(aは2以上の整数))であっても、同様の手法により「コード部」と「データ部」とを識別することが可能である。
ここで、「コード部」は先頭の1ビットの値が「1」に特定されているので、「コード部」が取り得る値の範囲は、10000000B(=80H)から11111111B(=FFH)までの128個である。なお、各値に付された文字「B」は2進数表記であることを示し、文字「H」は16進数表記であることを示す。また、「データ部」は先頭の1ビットの値が「0」に特定されているので、「データ部」が取り得る値の範囲は、00000000B(=00H)から01111111B(=7FH)までの128個である。すなわち、図19−1(a)、(b)に示す構成によれば、各々128種類の値を取り得る、128種類のコマンドを設定することができる。そして、各コードの値と、遊技制御部200のRAM203(図3参照)の各コマンド格納領域とを対応付けておくことにより、生成された各コマンドは、そのコマンドが対応付けられたコマンド格納領域に格納されることとなる。
ところで、パチンコ遊技機100では、遊技状態や特別図柄判定の結果等に応じて多くの種類の演出が実行される。そのため、演出制御用のコマンドも多くのコマンド数が用意される。特に、コマンドの具体的な内容を示す値である「データ部」は、上記の128個では不足することもあり得る(例えば、特別図柄の変動パターンを特定するコマンド等)。一方、コマンドの種類を示す「コード部」は、通常、上記の128個よりも小さい数で足りる。そこで、「コード部」のビット列の一部を、「データ部」の値を記述するために用いることが考えられる。
例えば、「コード部」の最後尾の1ビットを「データ部」の値の記述に用いる場合を考える。以下、「コード部」および「データ部」を構成する8ビットのビット列における各ビットを、第1ビット〜第8ビットと呼ぶ。また、「コード部」を構成するビット列とは別に、実際にコマンドの種類を示すコードの値を「コード値」と呼び、「データ部」を構成するビット列とは別に、実際にコマンドの値を示すデータの値を「データ値」と呼ぶ。すると、コード値は、「コード部」のビット列のうち、第1ビットから第7ビットまでを用いて記述され、データ値は、「データ部」のビット列の全て(第1ビットから第8ビットまで)と、「コード部」の第8ビットとを用いて記述される。
このように構成すれば、コード値の取り得る範囲は、第1ビットの値が「1」に特定されており、全体で7ビットのサイズであるので、1000000B(=40H)から1111111B(=7FH)までの64個である。また、データ値の取り得る範囲は、第1ビットの値が「0」に特定された「データ部」の8ビットで表現される128個と「コード部」の第8ビットの値「0」、「1」とを合わせて、256個である。したがって、データ値として256種類の値を持つコマンドを設定することが可能となる。データ値の具体的な範囲は、「データ部」の第1ビットの値が「0」に特定されているので、000000000B(=000H)〜001111111B(=07FH)、100000000B(=100H)〜101111111B(=17FH)となる。
別の見方によれば、上記の「コード部」の一部を用いてデータ値を記述する手法は、「コード部」における第8ビットの値のみが異なる2種類のコードを有するコマンドを、同一の種類のコマンドとして扱うことを意味する。例えば、変動パターンを特定するコマンドのコードの値を11011000B(=D8H)とした例において、上記の「コード部」の一部を用いてデータ値を記述する手法を用いると、「コード部」の値11011000B(=D8H)の第8ビットの値が「1」となった値11011001B(=D9H)を「コード部」の値とするコマンドも、変動パターンを特定するコマンドとして用いられることとなる。
なお、「コード部」の一部を用いてデータ値を記述する場合における上記の構成は例示に過ぎず、具体的なビット数や値は上記の構成例には限定されない。例えば、「コード部」の第7ビットおよび第8ビットを用いてデータ値を記述するように構成しても良い。より一般的には、「コード部」を構成する所定のビットと「データ部」を構成するビットとを用いてデータ値が記述され、「コード部」の残りの部分を構成するビットを用いてコード値が記述される。また、「コード部」および「データ部」のサイズをaビット、「コード部」においてデータ値の記述に用いられるデータのサイズをbビット(bはa−1よりも小さく、1以上の整数)とすると、データ値のサイズは、(a+b)ビットとなる。
また、扱うことができるデータ値の数を増やす手段としては、データ値を記述する「データ部」のビット列を増やすことも考えられる。例えば、データ値を記述するビット列として、「データ部1」と「データ部2」とを用意することが考えられる。この場合、各ビット列を8ビットとすれば、合計で16ビットのビット列によりデータ値を記述することが可能となる。「データ部1」と「データ部2」とを識別するために、8ビットのビット列のうち第2ビットをフラグとして用いることにすると、例えば、「データ部1」の第1ビットおよび第2ビットを「00B」とし、「データ部2」の第1ビットおよび第2ビットを「01B」とすることができる。なお、第1ビットは、「コード部」と識別するためのフラグとして値「0」となっている。すなわち、このようなデータ構成とする場合、「データ部1」と「データ部2」とを合わせた「データ部」に記述されるデータ値は、16ビットのビット列の1番目のビットおよび9番目のビットの値が、「データ部」であることを表す値「0」となる。より一般的には、同じサイズの複数の「データ部」によりデータ値が記述される場合、個々の「データ部」のサイズがaビットであれば、先頭からaビットごとに、「データ部」であることを表す値が記述される。
このように構成すると、「データ部1」の取り得る値の範囲は、00000000B(=00H)から00111111B(=3FH)までの64個であり、「データ部2」の取り得る値の範囲は、01000000B(=40H)から01111111B(=7FH)までの64個であるので、合計で4096(=64×64)個となる。なお、ここでは、「コード部」と「データ部」(「データ部1」および「データ部2」)とを識別するためのフラグとして第1ビットを用い、「データ部1」と「データ部2」とを識別するためのフラグとして第2ビットを用いることとしたが、第1、第2ビットを用いて4種類のビット列を識別するためのフラグを設定しても良い。例えば、「コード部」は第1、第2ビットの値を「11B」とし、「データ部」は第1、第2ビットの値を「00B」、「01B」、「10B」のいずれかとすることが考えられる。
〔遊技制御部のRAMにおけるコマンド出力のための構成例〕
図19−2は、RAM203におけるコマンド格納領域の構成例を示す図である。
図19−2に示すように、遊技制御部200のRAM203は、図5−3に示した主制御処理等の各種の処理により生成される個々のコマンドが割り当てられたコマンド格納領域(記憶領域)を有する。図19−2に示す例では、領域1から領域31までの31個のコマンド格納領域がRAM203に設定されている。ここで、各コマンド格納領域に対するコマンドの割り当ては、必ずしも1対1の対応関係とはならない。例えば、同時に生成されることがない複数のコマンドを、同一のコマンド格納領域に割り当てることが可能である。図19−2に示す例では、領域1、領域9、領域12、領域19、領域20、領域21、領域22、領域23、領域30に対して複数のコマンドが割り当てられており、その他のコマンド格納領域にはそれぞれ1個ずつのコマンドが割り当てられている。
図19−2に示す例において、領域1には、電源投入に関するコマンドが割り当てられている。電源投入に関するコマンドには、RAMクリア時の電源投入を制御するコマンドと、復旧時の電源投入を制御するコマンドとがある。これらのコマンドは、生成される場面が異なるので同時に生成されることがなく、いずれも領域1に割り当てられている。
領域2〜4には、第1始動口121への入賞に関する3つのコマンド(図では「始動口1入賞」と記載)が割り当てられている。第1始動口121への入賞に関するコマンドの一つは、第1始動口121への入賞に基づく事前判定(図6のS605参照)における判定(先読み)結果を示すコマンド(図では「特図1図柄先読み」と記載)であり、領域2に割り当てられている。他の一つは、判定結果と共に特定される変動パターンの先読み(事前判定)結果を示すコマンド(図では「特図1変動パターン先読み」と記載)であり、領域3に割り当てられている。さらに他の一つは、第1始動口121への入賞に基づき特別図柄判定の保留数を更新(ここでは値を1増加)したことを示すコマンド(図では「特図1保留(+1)」と記載)であり、領域4に割り当てられている。
領域5〜7には、第2始動口122への入賞に関する3つのコマンド(図では「始動口2入賞」と記載)が割り当てられている。第2始動口122への入賞に関するコマンドの一つは、第2始動口122への入賞に基づく事前判定(図6のS611参照)における判定結果を示すコマンド(図では「特図2図柄先読み」と記載)であり、領域5に割り当てられている。他の一つは、判定結果と共に特定される変動パターンの先読み結果を示すコマンド(図では「特図2変動パターン先読み」と記載)であり、領域6に割り当てられている。さらに他の一つは、第2始動口122への入賞に基づき特別図柄判定の保留数を更新(ここでは値を1増加)したことを示すコマンド(図では「特図2保留(+1)」と記載)であり、領域7に割り当てられている。
領域8〜10には、普通図柄抽選に関する5つのコマンド(図では、それぞれ「普図保留」、「普図種類」、「普図確定」、「普図開閉」、「普図保留」と記載)が割り当てられている。普通図柄抽選に関するコマンドのうち、「普図保留」コマンドの一つは、遊技球がゲート124を通過したことに基づき普通図柄抽選の保留数を更新(ここでは値を1増加)したことを示すコマンド(図では「普図保留(+1)」と記載)であり、領域8に割り当てられている。「普図種類」コマンドは、普通図柄抽選において、判定結果を表す普通図柄を指定し、普通図柄表示器223の変動表示を開始したことを示すコマンド(図では「普通図柄変動開始」と記載)であり、領域9に割り当てられている。「普図確定」コマンドは、普通図柄抽選において、普通図柄表示器223を停止表示させ、普通図柄抽選の判定結果を表す普通図柄を確定させたことを示すコマンド(図では「普通図柄確定」と記載)であり、領域9に割り当てられている。「普図開閉」コマンドは、普通図柄抽選の判定結果に基づき普通電動役物である電動チューリップ123を作動させること(補助遊技)を示すコマンド(図では「普電開放・閉鎖」と記載)であり、領域9に割り当てられている。「普図保留」コマンドの他の一つは、普通図柄抽選の処理が行われたことにより保留数を更新(ここでは値を1減少)したことを示すコマンド(図では「普図保留(−1)」と記載)であり、領域10に割り当てられている。
ここで、普通図柄抽選の処理において、普通図柄の変動表示、普通図柄の停止表示、補助遊技による電動チューリップ123の作動は、一連の操作として順次実行される。そして、電動チューリップ123の作動中に他の遊技球がゲート124を通過したことに基づく普通図柄の変動表示が開始されることはない(図13参照)。そのため、上記の「普図種類」、「普図確定」、「普電開閉」の3種類のコマンドは、いずれも同時に生成されることはない。そこで、図19−2に示す例では、これら3種類のコマンドを同一のコマンド格納領域(領域9)に割り当てている。
領域11〜14には、特別図柄判定に関する9つのコマンド(図では、「特図変動」、「特図特電」と記載)が割り当てられている。特別図柄判定に関するコマンドのうち、「特図変動」コマンドの一つは、パチンコ遊技機100の現在の遊技状態(高確率状態か低確率状態か、時短状態か時短無状態か)を示すコマンド(図では「遊技状態」と記載)であり、領域11に割り当てられている。「特図変動」コマンドの他の一つは、特別図柄判定において、特別図柄判定の結果を表す特別図柄を指定し、特別図柄表示器221、222の変動表示を開始したことを示すコマンド(図では「特図指定」と記載)であり、領域12に割り当てられている。「特図変動」コマンドのさらに他の一つは、特別図柄判定において行われる特別図柄変動の変動パターンを特定するコマンド(図では「変動パターン」と記載)であり、領域13に割り当てられる。「特図変動」コマンドのさらに他の一つは、特別図柄判定の処理が行われたことにより保留数を更新(ここでは値を1減少)したことを示すコマンド(図では「特図保留(−1)」と記載)であり、領域14に割り当てられている。
一方、「特図特電」コマンドの一つは、パチンコ遊技機100が客待ち状態であることを示すコマンド(図では「客待ち」と記載)であり、領域12に割り当てられている。「特図特電」コマンドの他の一つは、特別図柄判定の結果に基づき特別電動役物である大入賞口125、128を作動させること(特別遊技、大当たり遊技)を示すコマンド(図では「特電開放」と記載)であり、領域12に割り当てられている。なお、図19−2に示す例では第1大入賞口125と第2大入賞口128とを区別していないが、第1大入賞口125を作動させる「特図特電」コマンドと第2大入賞口128を作動させる「特図特電」コマンドとを個別に設けても良い。「特図特電」コマンドのさらに他の一つは、大当たり遊技のオープニング動作が開始されたことを示すコマンド(図では「大当たりOP」と記載)であり、領域12に割り当てられている。「特図特電」コマンドのさらに他の一つは、大当たり遊技のエンディング動作が開始されたことを示すコマンド(図では「大当たりED」と記載)であり、領域12に割り当てられている。「特図特電」コマンドのさらに他の一つは、特別図柄表示器221、222を停止表示させ、特別図柄判定の結果を表す特別図柄を確定させたことを示すコマンド(図では「特図確定」と記載)であり、領域12に割り当てられている。
ここで、特別図柄判定の処理において、特別図柄の変動表示、特別図柄の停止表示、特別遊技による大入賞口125、128の作動は、一連の操作として順次実行される。そして、特別遊技の実行中に他の遊技球の入賞に基づく特別図柄の変動表示が開始されることはない(図8参照)。また、大当たり遊技では、オープニング動作、大入賞口125、128の作動、エンディング動作が、一連の操作として順次実行される。そのため、上記の「特図変動」コマンドにおける「特図指定」コマンドおよび5種類の「特図特電」コマンドは、いずれも同時に生成されることはない。そこで、図19−2に示す例では、これら6種類のコマンドを同一のコマンド格納領域(領域12)に割り当てている。
領域15〜18には、スイッチ検出に関する4つのコマンド(図では「スイッチ通過」と記載)が割り当てられている。スイッチ検出に関するコマンドの一つは、遊技領域111の左側のゲート124Lを遊技球が通過したことを示すコマンド(図では「左ゲート通過」と記載)であり、領域15に割り当てられている。スイッチ検出に関するコマンドの他の一つは、遊技領域111の右側のゲート124Rを遊技球が通過したことを示すコマンド(図では「右ゲート通過」と記載)であり、領域16に割り当てられている。スイッチ検出に関するコマンドのさらに他の一つは、第2始動口122に遊技球が入賞したことを示すコマンド(図では「始動口SW2通過(電チュー)」と記載)であり、領域17に割り当てられている。スイッチ検出に関するコマンドのさらに他の一つは、大入賞口125、128に遊技球が入賞したことを示すコマンド(図では「大入賞口入賞」と記載)であり、領域18に割り当てられている。
領域19〜30には、エラーに関するコマンド(図では「エラー」と記載)が割り当てられている。パチンコ遊技機100の遊技制御部が検出するエラーとしては、例えば、払出球が皿153(図1、図2−3(b)参照)に一杯になったことを示す満タンエラー、枠部材150の前面枠が開状態となっていることを示す扉開放エラー、払い出しユニットによる遊技球の払い出しができなくなったことを示す払い出しエラー、ゲートスイッチ214や始動口スイッチ211、212等の各種の検知スイッチが未接続となっていることを示すスイッチ未接続エラー等がある。図19−2に示す例では、これらのエラーが、それぞれ領域19〜23に割り当てられている。また、エラーごとに、各エラーが発生したことを示すコマンド(図では「〜エラー開始」と記載)と、各エラーが解消したことを示すコマンド(図では「〜エラー終了」と記載)とが、同一のコマンド格納領域に割り当てられている。
この他、パチンコ遊技機100の仕様や機能に応じて種々の制御項目やエラー項目を設定し、制御項目に応じたコマンド、エラーが発生したことを示すコマンド、エラーの種類によってはエラーが解消したことを示すコマンド等を生成するように構成して良い。そして、これらのコマンドを、コマンド格納領域に適宜割り当てることができる。図19−2に示す例では、領域24〜30に、種々のエラーに関するコマンドが個別に割り当てられている。また、領域31に、特定の入賞を検出して通知するためのコマンド(図では「入賞通知指定」と記載)が割り当てられている。
以上のように、遊技制御部200のRAM203に設けられたコマンド格納領域は、1つのコマンド格納領域に対して一種類または複数種類のコマンドが対応付けられている。そして、図5−3に示した主制御処理において、遊技制御部200は、生成したコマンドを、そのコマンドに対応付けられているコマンド格納領域に格納していく。
ここで、主制御処理では、1サイクルの処理が実行される度に、必ずしも全てのコマンドが生成される訳ではない。例えば、第1始動口121や第2始動口122への入賞がないときは、上記の始動口121、122への入賞に関するコマンドや「特図変動」コマンドは生成されない。また、普通図柄抽選に関するコマンドのうちの「普図開閉」コマンドや「特図特電」コマンドは、これらの電動役物を作動させるべきタイミングでなければ生成されない。また、エラーの発生に関するコマンドは、そもそもエラーが発生していなければ生成されない。
したがって、主制御処理の出力処理(図5−3のS506参照)が行われる際には、通常、RAM203に設けられたコマンド格納領域のうち、いくつかのコマンド格納領域にはコマンドが格納されており、他のコマンド格納領域にはコマンドが格納されていない状態となる。
〔コマンドの出力動作〕
図19−3は、出力制御部240による出力処理の内容を示すフローチャートである。
本実施の形態では、出力制御部240は、図19−2に示したRAM203のコマンド格納領域の上から順に(領域番号の順に)着目し、各コマンド格納領域に格納されているコマンドを出力する。
図19−3に示すように、遊技制御部200の出力制御部240は、まず、RAM203に設けられたコマンド格納領域のうち、先頭のコマンド格納領域(図19−2に示す例では領域1)に着目し(S221)、コマンドが格納されているか否かを調べる(S222)。そして、コマンドが格納されているならば(S222でYes)、出力制御部240は、格納されているコマンドを読み出して演出制御部300へ出力する(S223)。
着目したコマンド格納領域(初期的には領域1)にコマンドが格納されていなかった場合(S222でNo)、またはS223でコマンド格納領域に格納されていたコマンドを出力した後、出力制御部240は、次の領域番号のコマンド格納領域が有るか否かを調べる(S224)。次のコマンド格納領域が有る場合(S224でYes)、出力制御部240は、そのコマンド格納領域に着目し(S225)、S222へ戻って、コマンドの有無の確認(S222)、出力(S223)を繰り返す。そして、最後のコマンド格納領域(図19−2に示す例では領域31)に対して処理を行ったならば、次の領域番号のコマンド格納領域が無いので(S224でNo)、出力処理を終了する。
〔コマンドの出力順の設定〕
主制御処理においては、図6乃至図16を参照して説明した各処理においてコマンドが生成されると、通常、直ちに生成されたコマンドがRAM203の対応するコマンド格納領域に格納される。すなわち、コマンド格納領域へのコマンドの格納は、一般に、コマンドが生成された順に行われる。
一方、図19−3を参照して説明したように、出力制御部240による出力処理では、一定の順序(上記の例では領域番号の順)で各コマンド格納領域に着目し、格納されているコマンドを出力する。すなわち、コマンドの出力は、コマンドが生成された順に関わらず、予め定められた特定の順序で行われる。これは、コマンドに基づく演出制御部300の演出制御において混乱を防ぐために、特定のコマンドに関しては特定の順序で演出制御部300に送信されることが望ましい場合があるためである。すなわち、詳しくは後述するが、演出制御部300は遊技制御部200から受信した順にコマンドに基づく演出制御を実行するため、コマンドを受信する順番が異なることによって、演出制御に矛盾が生じる等の混乱が生じる場合があるので、これを防止する必要がある。
以下に、図19−2を参照して、具体的なコマンドの出力順の設定例を説明する。
第1の具体例として、特別図柄判定に関するコマンドと、事前判定に関するコマンドの出力順の関係について説明する。
図19−2を参照すると、特別図柄判定に関するコマンドのうち、判定結果の情報を含み、特別図柄の変動表示を開始したことを示す「特図指定」コマンドが、領域12に割り当てられている。また、特別図柄変動における変動パターンを特定する「変動パターン」コマンドが、領域13に割り当てられている。
これに対し、第1始動口121への入賞に基づく事前判定結果の情報を含む「特図1図柄先読み」コマンドは、領域2に割り当てられ、先読みによる変動パターンの情報を含む「特図1変動パターン先読み」コマンドは、領域3に割り当てられている。また、第2始動口122への入賞に基づく事前判定結果の情報を含む「特図2図柄先読み」コマンドは、領域5に割り当てられ、先読みによる変動パターンの情報を含む「特図2変動パターン先読み」コマンドは、領域6に割り当てられている。
このように、特別図柄判定や特別図柄の変動および停止に対するコマンドは、始動口121、122への入賞に基づいて行われる事前判定および変動パターンの先読みに対するコマンドよりも、割り当てられたコマンド格納領域の領域番号が大きい。そのため、図19−3に示した出力処理において後に出力される。このような出力順の設定とすることにより、これらのコマンドが同じサイクルの主制御処理において生成された場合に演出制御の混乱が生じることを防止することができる。
さらに詳細に説明すると、始動口121、122への入賞に基づく保留が存在しない状態で新たに第1始動口121または第2始動口へ遊技球が入賞した場合、入賞後、直ちに特別図柄判定が行われ、特別図柄変動が開始される。この場合、同じ遊技球の入賞に基づき、「図柄先読み」コマンドおよび「変動パターン先読み」コマンドと、「特図指定」コマンドおよび「変動パターン」コマンドとが、同じサイクルの主制御処理で生成される可能性がある。このとき、「図柄先読み」コマンドおよび「変動パターン先読み」コマンドよりも先に「特図指定」コマンドおよび「変動パターン」コマンドを出力すると、演出制御部300では、先に受け取った「特図指定」コマンドおよび「変動パターン」コマンドに基づく演出の後で、「図柄先読み」コマンドおよび「変動パターン先読み」コマンドに基づく演出を行うことになってしまい、演出制御の混乱を招く恐れがある。そこで、本実施の形態では、上記のように、特別図柄判定や特別図柄の変動および停止に対するコマンドを、始動口121、122への入賞に基づいて行われる事前判定および変動パターンの先読みに対するコマンドよりも後に出力するように出力順を設定している。
第2の具体例として、始動口121、122への入賞に基づく保留に関するコマンドと、特別図柄判定に基づく保留数の更新に関するコマンドの出力順の関係について説明する。
図19−2を参照すると、第1始動口121への入賞に基づく、特別図柄判定を受ける権利(保留の発生)の情報を含む「特図1保留(+1)」コマンドが、領域4に割り当てられている。また、第2始動口122への入賞に基づく、特別図柄判定を受ける権利(保留の発生)の情報を含む「特図2保留(+1)」コマンドが、領域7に割り当てられている。これに対し、特別図柄判定の処理が行われたことに基づく保留数の更新(減少)情報を含む「特図保留(−1)」コマンドは、領域14に割り当てられている。
このように、始動口121、122への入賞に基づく保留の発生に関するコマンドは、特別図柄判定による保留数の更新に関するコマンドよりも、割り当てられたコマンド格納領域の領域番号が小さい。そのため、図19−3に示した出力処理において先に出力される。このような出力順の設定とすることにより、これらのコマンドが同じサイクルの主制御処理において生成された場合に演出制御の混乱が生じることを防止することができる。
さらに詳細に説明すると、始動口121、122への入賞に基づく保留が存在しない状態で新たに第1始動口121または第2始動口122へ遊技球が入賞した場合、入賞後、直ちに特別図柄判定が行われ、特別図柄変動が開始される。この場合、同じ遊技球の入賞に基づき、「特図1保留(+1)」コマンドまたは「特図2保留(+1)」コマンドと、「特図保留(−1)」コマンドとが、同じサイクルの主制御処理で生成される可能性がある。このとき、「特図1保留(+1)」コマンドや「特図2保留(+1)」コマンドよりも先に「特図保留(−1)」コマンドを出力すると、演出制御部300では、先に受け取った「特図保留(−1)」に基づき、保留が存在しないにも拘らず保留数の減少に伴う演出を行うことになってしまい、演出制御の混乱を招く恐れがある。そこで、本実施の形態では、上記のように、保留の発生の情報を含むコマンドを、保留数の更新(減少)の情報を含むコマンドよりも先に出力するように出力順を設定している。
なお、上記の具体例では、「特図1保留(+1)」コマンドおよび「特図2保留(+1)」コマンドと「特図保留(−1)」コマンドとの関係について説明したが、普通図柄抽選の判定を受ける権利の保留に関するコマンドについても同様である。図19−2を参照すると、「普図保留(+1)」コマンドが領域8に、「普図保留(−1)」コマンドが領域10に、それぞれ割り当てられており、「普図保留(−1)」コマンドの方が割り当てられたコマンド格納領域の領域番号が小さい。そのため、図19−3に示した出力処理において先に出力される。
第3の具体例として、始動口121、122への入賞に基づく事前判定に関するコマンドと、特別図柄判定に関するコマンドとの関係について説明する。
特別図柄判定は、遊技球が第1始動口121または第2始動口122へ入賞したことを契機として行われる。この第1始動口121への入賞に基づく事前判定および保留に関するコマンドと、第2始動口122への入賞に基づく事前判定および保留に関するコマンドとは、それぞれ別個に生成され、個別に割り当てられたコマンド格納領域へ格納される。図19−2に示す例では、第1始動口121への入賞に基づく事前判定および保留に関するコマンドが、領域2〜4に割り当てられ、第2始動口122への入賞に基づく事前判定および保留に関するコマンドが、領域5〜7に割り当てられている。これは、第1始動口121と第2始動口122とに、遊技球がほぼ同時に入賞し、第1始動口121への入賞に基づく事前判定および保留に関するコマンドおよび第2始動口122への入賞に基づく事前判定および保留に関するコマンドの両方が、同じサイクルの主制御処理で生成される可能性があるためである。
これに対し、特別図柄判定の処理は、一つの遊技球の入賞に基づく処理ごとに順次実行されるため、複数の遊技球の入賞に基づいて特別図柄判定に関する複数の同じコマンドが、同じサイクルの主制御処理で生成されることはない。言い換えれば、一つの遊技球の入賞に基づく処理が実行されている間は、その処理の実行が優先され、他の遊技球(保留)に基づく特別図柄判定の処理は実行されない。そのため、図19−2に示す例では、始動口121、122の数に関わらず、特別図柄判定に関するコマンド(「特図変動」コマンド)は、1組のみが、領域11〜14に割り当てられている。
第4の具体例として、始動口121、122への入賞に基づく事前判定に関する複数のコマンドの相互の関係について説明する。
図19−2を参照すると、第1始動口121への入賞に基づく事前判定に関するコマンド(「特図1図柄先読み」コマンド、「特図1変動パターン先読み」コマンド、「特図1保留(+1)」コマンド)の各々は、連続したコマンド格納領域(領域2、3、4)に割り当てられている。
遊技球が第1始動口121へ入賞すると、図6に示したように、この入賞に基づいて、保留数の更新(S603)、判定情報である乱数値の取得(S604)、事前判定処理(S605)等の一連の処理が実行される。そして、この一連の処理により、上記の3つのコマンドが生成される。すなわち、これらのコマンドは、一つの遊技球が第1始動口121へ入賞したという同一の生成条件の成立に基づいて生成された、密接に関連するコマンドである。ここで、遊技制御部200からコマンドが出力される際に、これら密接に関連するコマンドの間に、これらのコマンドとは関係の無い生成条件に基づいて生成された他のコマンドが挿入されると、演出制御部300による演出制御において混乱が生じる可能性がある。そこで、本実施の形態では、上記のように、第1始動口121への入賞に基づく事前判定に関するコマンドの各々を連続して出力するように出力順を設定している。
なお、上記の具体例では第1始動口121への入賞に基づく事前判定に関するコマンドについて説明したが、第2始動口122への入賞に基づく事前判定に関するコマンドに関しても同様である。したがって、これらのコマンドも、連続したコマンド格納領域(領域5、6、7)に割り当てて、出力順が連続するように設定している。
また、同様の設定は、始動口121、122への入賞に基づく事前判定に関するコマンドにおける出力順の設定に限らず、密接に関連する複数のコマンドの出力順に対しても適用し得る。例えば、普通図柄抽選に関するコマンドのうち、「普図保留(+1)」コマンドと、「普通図柄変動開始」コマンドとは、一つの遊技球が一つのゲート124を通過したという同一の生成条件の成立に基づいて生成されたコマンドであるため、連続したコマンド格納領域(領域8、9)に割り当てて、出力順が連続するように設定している。また、「普図保留(−1)」コマンドは、普通図柄抽選の判定が行われたことを条件として生成されるため、「普通図柄変動開始」コマンドと密接に関連するので、連続したコマンド格納領域(領域10)に割り当てて、出力順が連続するように設定している。
同様に、特別図柄判定に関するコマンドのうち、「遊技状態」コマンドと、「特図指定」コマンドと、「変動パターン」コマンドとは、一つの遊技球が一つの始動口(第1始動口121または第2始動口122)へ入賞したという同一の生成条件の成立に基づいて生成されたコマンドであるため、連続したコマンド格納領域(領域11、12、13)に割り当てて、出力順が連続するように設定している。また、「特図保留(−1)」コマンドは、特別図柄判定が行われたことを条件として生成されるため、「特図指定」コマンドと密接に関連するので、連続したコマンド格納領域(領域14)に割り当てて、出力順が連続するように設定している。
また、図19−2に示す例では、第1始動口121への入賞に基づく事前判定に関する各コマンドと、第2始動口122への入賞に基づく事前判定に関する各コマンドとが、連続するコマンド格納領域(領域2、3、4、5、6、7)に割り当てられている。したがって、第1始動口121への入賞と第2始動口122への入賞とがほぼ同時に発生し、これらのコマンドが同じサイクルの主制御処理で生成された場合は、各入賞に基づく2組のコマンドが連続して出力される。
さらに、始動口121、122への入賞に基づく事前判定に関する複数のコマンドの相互の関係としては、個々のコマンドの出力順についても具体的に設定している。
図19−2を参照すると、第1始動口121への入賞に基づく事前判定に関する3つのコマンドのコマンド格納領域(領域2、3、4)のうち、「特図1保留(+1)」コマンドの領域4が最後に位置している。すなわち、「特図1保留(+1)」コマンドが最後に出力されるように設定されている。これにより、演出制御部300は、「特図1保留(+1)」コマンドを受信した時点で、この「特図1保留(+1)」コマンドに対応する2つのコマンドを特定することができる。
パチンコ遊技機100においては、遊技状態や入賞した始動口121、122の別に応じて、事前判定や変動パターンの先読みが行われる場合と行われない場合とを設定することができる。例えば、第1始動口121への入賞に基づく事前判定について、遊技状態が低確率時短無遊技状態のときにのみ行う仕様とすることができる。すなわち、高確率状態や時短状態のときには、第1始動口121への入賞に基づく事前判定が行われない。このような仕様では、「特図1保留(+1)」コマンドを受信した際、その直前に「特図1図柄先読み」コマンドおよび「特図1変動パターン先読み」コマンドを受信していれば、この「特図1保留(+1)」コマンドの生成条件となった遊技球の入賞に基づいて事前判定が行われたことが分かる。そして、「特図1図柄先読み」コマンドおよび「特図1変動パターン先読み」コマンドに含まれる事前判定結果および変動パターンの先読みの情報が、どの保留に対する情報かを特定することができる。一方、「特図1保留(+1)」コマンドを受信した際、その直前に「特図1図柄先読み」コマンドおよび「特図1変動パターン先読み」コマンドを受信していなければ、この「特図1保留(+1)」コマンドの生成条件となった遊技球の入賞に基づいて事前判定が行われなかったことが分かる。
これに対し、第1始動口121への入賞に基づく事前判定に関する3つのコマンドのうち、「特図1保留(+1)」コマンドを先に出力するように出力順(コマンド格納領域の並び順)を設定した場合を考える。この場合、演出制御部300は、「特図1保留(+1)」コマンドを受信した後、次のコマンドの受信を待ち、受信したコマンドを識別しなければ、事前判定が行われたか否かを認識することができない。そのため、「特図1保留(+1)」コマンドを後に出力する場合と比較して、制御が複雑になってしまう。そこで、本実施の形態では、第1始動口121への入賞に基づく事前判定に関するコマンドのうち、「特図1保留(+1)」コマンドを最後に(すなわち、「特図1図柄先読み」コマンドおよび「特図1変動パターン先読み」コマンドを先に)出力するように出力順を設定している。
なお、図6に示した始動口スイッチ処理の手順によれば、第1始動口121への入賞が検出されると、まず保留数の更新(増加)が行われ、その後に事前判定処理が行われている(S601〜S605参照)。したがって、コマンドの生成は、まず「特図1保留(+1)」コマンドが生成され、次に「特図1図柄先読み」コマンドおよび「特図1変動パターン先読み」コマンドが生成されることになる。しかし、本実施の形態では、上記のように、コマンドの生成順に関わらず、制御上の目的に応じて予め定めた順序で出力する。
また、上記の具体例では第1始動口121への入賞に基づく事前判定に関するコマンドについて説明したが、第2始動口122への入賞に基づく事前判定に関するコマンドに関しても同様である。したがって、これらのコマンドにおいても、割り当てられたコマンド格納領域(領域5、6、7)に応じて、「特図2図柄先読み」コマンドおよび「特図2変動パターン先読み」コマンドが先に、「特図2保留(+1)」コマンドが後に出力されるように出力順を設定している。
第5の具体例として、特別図柄判定に関するコマンドと、普通図柄抽選に関するコマンドの出力順の関係について説明する。
図19−2を参照すると、特別図柄判定における特別図柄変動に関するコマンド(「遊技状態」コマンド、「特図指定」コマンド、「変動パターン」コマンド、「特図保留(−1)」コマンド)が、領域11、12、13、14に割り当てられている(5つの「特図特電」コマンドは、「特図変動」コマンドである「特図指定」コマンドと同じ領域12に割り当てられ、同時に生成されないので省略)。また、普通図柄抽選に関するコマンド(「普図保留(+1)」コマンド、「普通図柄変動開始」コマンド、「普図保留(−1)」コマンド)が、領域8、9、10に割り当てられている(「普通図柄確定」コマンドおよび「普電開放・閉鎖」コマンドは、「普通図柄変動開始」コマンドと同じ領域12に割り当てられ、同時に生成されないので省略)。
このように、特別図柄判定に関するコマンドは、普通図柄抽選に関するコマンドよりも、割り当てられたコマンド格納領域の領域番号が大きい。そのため、図19−3に示した出力処理において後に出力される。このような出力順の設定とすることにより、これらのコマンドが同じサイクルの主制御処理において生成された場合に演出制御の混乱が生じることを防止することができる。
例えば、普通図柄変動の開始時や特別図柄変動の開始時を契機として実行される演出が用意されており、「普通図柄変動開始」コマンドおよび「特図指定」コマンドが同じサイクルの主制御処理で生成された場合を考える。この場合、普通図柄変動に基づく演出としての実行と、特別図柄変動に基づく演出としての実行のどちらを優先させるかに応じて、コマンドの出力順が特定される。すなわち、演出制御部300は、コマンドを受信した順に、そのコマンドに基づく演出を実行する。そのため、図19−2に示す順序でコマンドを出力すれば、演出制御部300は、「普通図柄変動開始」コマンドに基づいて演出を開始した直後に「特図指定」コマンドに基づく演出へ移行する。したがって、特別図柄変動に基づく演出としての実行を優先させる場合は、図19−2に示すように、特別図柄判定に関するコマンドを、普通図柄抽選に関するコマンドよりも後に出力するように出力順を設定する。
第6の具体例として、遊技に関するコマンドと、エラーに関するコマンドの出力順の関係について説明する。
図19−2を参照すると、演出制御部300に遊技に関する情報を通知する各種のコマンドは、領域2〜18に割り当てられている。一方、エラーに関するコマンドは、領域19〜30に割り当てられている。
このように、遊技に関するコマンドは、エラーに関するコマンドよりも、割り当てられたコマンド格納領域の領域番号が小さい。そのため、図19−3に示した出力処理において先に出力される。通常、主制御処理のサイクルは、その主制御処理において生成された全てのコマンドを出力完了するのに十分な時間的余裕がある。しかし、障害等の何らかの原因により出力処理の途中で主制御処理が終了した場合、遊技に関する情報が演出制御部300へ伝達されていないと、演出制御部300による演出制御に影響するため、遊技の継続に支障をきたす可能性がある。一方、エラーに関する情報は、次の主制御処理のサイクルで演出制御部300へ伝達すれば良いので、コマンドの送信途中で主制御処理が終了しても演出制御部300の動作に対する影響が少ない。そこで、本実施の形態では、遊技に関するコマンドを、エラーに関するコマンドよりも優先的に出力するように、出力順を設定している。
〔演出制御部の動作〕
次に、演出制御部300の動作を説明する。
図19−4は、演出制御部300の動作を示すフローチャートである。
演出制御部300の動作は、図19−4(a)に示すメイン処理と、図19−4(b)に示す割り込み処理とからなる。図19−4(a)を参照すると、演出制御部300は、まず起動時に初期設定を行い(S1901)、CTC(Counter/Timer Circuit)の周期設定を行った後(S1902)、設定された周期にしたがって、演出制御において用いられる各種の乱数値を更新しながら(S1903)、割り込み処理を受け付ける。
割り込み処理は、S1902で設定された周期にしたがって定期的に行われる。図19−4(b)を参照すると、この割り込み処理において、演出制御部300は、遊技制御部200からのコマンドを受信してコマンド受信処理を行う(S1911)。このコマンド受信処理において、演出内容(演出パターン)が選択される。また、演出制御部300は、遊技者による演出ボタン161等の操作を受け付けるための演出ボタン処理を行う(S1912)。この後、演出制御部300は、選択した演出パターンの情報を含むコマンドを画像/音響制御部310およびランプ制御部320に送信するコマンド送信処理を行う(S1913)。これにより、画像表示部114への画像表示や音響出力、可動役物115の動作、盤ランプ116や枠ランプ157の発光等による演出が行われる。
〔演出制御部によるコマンド受信処理〕
図20は、コマンド受信処理(図19−4(b)のS1911)の内容を示すフローチャートである。
このコマンド受信処理において、演出制御部300は、まず、受信したコマンドが保留数を増加するためのコマンド(保留数増加コマンド)か否かを判断する(S2001)。この保留数増加コマンドは、遊技制御部200において、図6に示した始動口スイッチ処理においてセットされ(S606、S612)、図5−3に示した出力処理(S506)で演出制御部300へ送信されたコマンドである。
受信したコマンドが保留数増加コマンドであった場合(S2001でYes)、演出制御部300は、RAM303に保持されている保留数の値を1加算し(S2002)、加算後の保留数の値を示す保留数コマンドをRAM303にセットする(S2003)。
受信したコマンドが保留数増加コマンドでない場合(S2001でNo)、演出制御部300は、受信したコマンドが変動開始コマンドか否かを判断する(S2004)。この変動開始コマンドは、遊技制御部200において、図8に示した特別図柄処理においてセットされ(S811)、図19−3に示した出力処理で演出制御部300へ送信されたコマンドである。
受信したコマンドが変動開始コマンドであった場合(S2004でYes)、演出制御部300は、演出選択処理を実行する(S2005)。また、変動開始コマンドを受信した際は、演出選択処理において用いられる演出制御用の乱数値が取得される。この乱数値は、図19−4(a)に示すメイン処理のS1903で定期的に更新される乱数値である。演出選択処理の詳細については後述する。
受信したコマンドが変動開始コマンドでない場合(S2001およびS2004でNo)、演出制御部300は、受信したコマンドが変動停止コマンドか否かを判断する(S2006)。この変動停止コマンドは、遊技制御部200において、図8に示した特別図柄処理においてセットされ(S814)、図19−3に示した出力処理で演出制御部300へ送信されたコマンドである。
受信したコマンドが変動停止コマンドであった場合(S2006でYes)、演出制御部300は、変動演出終了中処理を実行する(S2007)。変動演出終了中処理の詳細については後述する。
受信したコマンドが変動開始コマンドおよび変動停止コマンドでない場合(S2001、S2004およびS2006でNo)、演出制御部300は、受信したコマンドが大当たり演出におけるオープニングを開始するためのオープニングコマンドか否かを判断する(S2008)。このオープニングコマンドは、図11に示した停止中処理においてセットされ(S1118)、図19−3に示した出力処理で演出制御部300へ送信されたコマンドである。
受信したコマンドがオープニングコマンドであった場合(S2008でYes)、演出制御部300は、大当たり演出選択処理を実行する(S2009)。また、オープニングコマンドを受信した際は、大当たり演出選択処理において用いられる演出制御用の乱数値が取得されるようにしても良い。この乱数値は、図19−4(a)に示すメイン処理のS1903で定期的に更新される乱数値である。大当たり演出選択処理の詳細については後述する。
受信したコマンドが変動開始コマンド、変動停止コマンドおよびオープニングコマンドでない場合(S2001、S2004、S2006およびS2008でNo)、演出制御部300は、受信したコマンドが大当たり演出におけるエンディングを開始するためのエンディングコマンドか否かを判断する(S2010)。このエンディングコマンドは、図14に示した大入賞口処理においてセットされ(S1413)、図19−3に示した出力処理(S506)で演出制御部300へ送信されたコマンドである。
受信したコマンドがエンディングコマンドであった場合(S2010でYes)、演出制御部300は、エンディング演出選択処理を実行する(S2011)。また、エンディングコマンドを受信した際は、エンディング演出選択処理において用いられる演出制御用の乱数値が取得されるようにしても良い。この乱数値は、図19−4(a)に示すメイン処理のS1903で定期的に更新される乱数値である。エンディング演出選択処理の詳細については後述する。
受信したコマンドが変動開始コマンド、変動停止コマンド、オープニングコマンドおよびエンディングコマンドでない場合(S2001、S2004、S2006、S2008およびS2010でNo)、次に演出制御部300は、受信したコマンドが客待ち状態に移行するための客待ちコマンド受信処理を実行する(S2012)。客待ちコマンド受信処理の詳細については後述する。
図21は、モードフラグの設定例を示す図である。
演出制御部300により演出が行われる場合、設定される演出モードに基づき、種々の演出パターンが選択されて実行される。この演出モードは、RAM303にセットされるモードフラグによって決定される。ここで、モードフラグは、0〜4の値のいずれかが設定されており、それぞれAモードからEモードまでの5種類の演出モードが割り当てられている。なお、モードフラグは、特別図柄判定の抽選結果または特別図柄判定の抽選回数に応じて設定される。
図21に示す例では、特別図柄C1、D1の大当たりにはモードフラグ1が、特別図柄C2、D2の大当たりにはモードフラグ2が、特別図柄Aの大当たりにはモードフラグ3が、特別図柄Bの大当たりにはモードフラグ4が、それぞれ割り当てられている。ここで、これらの図柄の種類は、図17(b)に示したものと同様である。いずれの当たりにもモードフラグ0は割り当てられていない。なお、モードフラグ1〜4において、特別図柄判定を所定回数実行することでモードフラグ0が設定される。
さらに、図21に示す例では、変動演出終了中処理で用いられるパラメータM(M値)が、Aモードを除く各モードに対して個別に設定されている。後述するように、パラメータMの値は、特別図柄変動が行われ、停止する度に1ずつ減算される。
図22は、図20の演出選択処理(S2005)の内容を示すフローチャートである。
この演出選択処理において、演出制御部300は、まず受信した変動開始コマンドを解析する(S2201)。また、演出制御部300は、RAM303の設定からパチンコ遊技機100の現在のモードフラグを参照し(S2202)、RAM303に保持されている保留数の値を1減算する(S2203)。そして、演出制御部300は、変動開始コマンドの解析結果から得られる各種の設定情報(大当たりの種類、大当たり遊技後の遊技状態、変動パターン等の情報)およびモードフラグにより決定される演出モードに基づき、その演出モードで画像表示部114に表示する画像による図柄変動の演出パターン(変動演出パターン)を選択する(S2204)。最後に、演出制御部300は、選択した演出パターンによる演出に用いられる画像データや音響データをROM302から読み出し、これらのデータと共に、選択した演出の実行開始を指示する変動演出開始コマンドをRAM303にセットして、演出選択処理を終了する(S2205)。
S2204における図柄変動の演出パターンの選択処理では、演出モードと変動パターンと演出乱数(図19−4のS1903において更新されている乱数の1つであり、変動開始コマンド受信時に演出乱数値を取得している)とに基づいて演出パターンが決定される。ここで決定された演出パターンに基づいて、装飾図柄の変動表示、背景演出および予告演出が決定される。なお、装飾図柄の変動表示とは、第1特別図柄表示器221または第2特別図柄表示器222で行われる特別図柄の変動表示に伴い、画像表示部114にて行われる演出表示である。この装飾図柄の変動表示において、リーチ演出等が実行される。
図23は、図20の変動演出終了中処理(S2007)の内容を示すフローチャートである。
この変動演出終了中処理において、演出制御部300は、まず受信した変動停止コマンドを解析する(S2301)。また、演出制御部300は、RAM303の設定からパチンコ遊技機100の現在のモードフラグを参照する(S2302)。そして、演出制御部300は、変動停止コマンドの解析の結果から得られる特別図柄変動が停止した際の図柄の種類を示す情報に基づいて特別図柄判定の抽選結果が大当たりか否かを判断する(S2303)。大当たりである場合は(S2303でYes)、その大当たりの種類に応じて、図21に示した設定例に基づきRAM303にセットされているモードフラグを変更する(S2304)。
一方、特別図柄判定の抽選結果が大当たりでない場合(S2303でNo)、次に演出制御部300は、モードフラグの値が0か否かを調べる(S2305)。モードフラグが0でない場合(S2305でNo)、演出制御部300は、パラメータMを1減算し(S2306)、Mの値が0になったか否かを調べる(S2307)。すなわち、パラメータMの値は、変動停止コマンドを受信した際に0となっていない限り、変動停止コマンドを受信する度に(すなわち特別図柄変動が停止する度に)1ずつ減算される。Mの値が0になったならば(S2307でYes)、演出制御部300は、モードフラグを0に設定する(S2308)。
S2305でモードフラグが0であった場合(S2305でYes)、S2307でパラメータMの値が0にならなかった場合(S2307でNo)、またはS2308でモードフラグを0に設定した後、あるいはS2304でモードフラグを変更した後、演出制御部300は、図柄変動の演出の終了を指示するための変動演出終了コマンドをRAM303にセットして、変動演出終了中処理を終了する(S2309)。ここで、図21を参照すると、S2304でモードフラグを変更した場合は、変動演出終了後の演出モードは大当たりの種類に応じた演出モードとなる。また、S2305でモードフラグが0であった場合およびS2308でモードフラグを0に設定した場合は、変動演出終了後の演出モードはAモードとなる。また、S2307でパラメータMの値が0にならなかった場合は、これまでの演出モードが継続される。
図24は、図20の大当たり演出選択処理(S2009)の内容を示すフローチャートである。
この大当たり演出選択処理において、演出制御部300は、まず受信したオープニングコマンドを解析し(S2401)、モードフラグに基づく演出モードの内容に応じて演出のパターン(大当たり演出パターン)を選択する(S2402)。そして、演出制御部300は、選択した演出パターンによる演出に用いられる画像データや音響データをROM302から読み出し、これらのデータと共に、選択した演出を指示する大当たり演出開始コマンドをRAM303にセットして、大当たり演出選択処理を終了する(S2403)。これにより、大当たり中の演出が決定される。なお、大当たり演出パターンの選択(S2402)において、コマンド受信時に取得される乱数値に基づく判定を行っても良い。
図25は、図20のエンディング演出選択処理(S2011)の内容を示すフローチャートである。
このエンディング演出選択処理において、演出制御部300は、まず受信したエンディングコマンドを解析し(S2501)、モードフラグに基づく演出モードの内容に応じて演出のパターン(エンディング演出パターン)を選択する(S2502)。そして、演出制御部300は、選択した演出パターンによる演出に用いられる画像データや音響データをROM302から読み出し、これらのデータと共に、選択した演出を指示するエンディング演出開始コマンドをRAM303にセットして、エンディング演出選択処理を終了する(S2503)。なお、エンディング演出パターンの選択(S2502)において、コマンド受信時に取得される乱数値に基づく判定を行っても良い。
図26は、図20の客待ちコマンド受信処理(S2012)の内容を示すフローチャートである。
演出制御部300は、客待ち状態に移行するための客待ちコマンドを受信したか否かを判断する(S2601)。客待ちコマンドを受信した場合(S2601でYes)、演出制御部300は、経過時間の計測を開始し(S2602)、RAM303に保持されている計測フラグをONにする(S2603)。一方、受信したコマンドが客待ちコマンドでなかった場合(S2601でNo)、演出制御部300は、RAM303に保持されている計測フラグがONになっているか否かを判断する(S2604)。計測フラグがOFFであれば(S2604でNo)、客待ちコマンド受信処理を終了する。
計測フラグがONである場合(S2604でYesまたはS2603でONにした後)、次に演出制御部300は、計測時間があらかじめ定められたタイムアップ時間に達したか否かを判断する(S2605)。タイムアップしていない場合(S2605でNo)、客待ちコマンド受信処理を終了する。一方、タイムアップした場合(S2605でYes)、演出制御部300は、RAM303に保持されている計測フラグをOFFにし(S2606)、客待ち演出を行うための客待ち演出コマンドをRAM303にセットして客待ちコマンド受信処理を終了する(S2607)。
以上のようにしてコマンド受信処理が完了すると、RAM303には、変動演出開始コマンド、変動演出終了コマンド、大当たり演出開始コマンド、エンディング演出開始コマンド、客待ち演出コマンドのいずれかがセットされている。
図27は、演出ボタン処理(図19−4(b)のS1912)の内容を示すフローチャートである。
この演出ボタン処理において、演出制御部300は、まず遊技者による演出ボタン161等の操作手段が操作されたか否かを判断する(S2701)。ここで、操作手段の操作とは、演出ボタン161が押下されてONとなること、演出キー162の中央キーや周囲キーが押下されてONとなることを含む。また、タッチパネル等、演出ボタン161および演出キー162以外の操作用デバイスがパチンコ遊技機100に設けられている場合は、そのデバイスの操作を検知したことを含む。演出制御部300は、これらのデバイスのコントローラから操作信号を受け付けて、操作が行われたことを検知する。
演出ボタン161等の操作手段が操作されたならば(S2701でYes)、演出制御部300は、操作手段の操作内容を示す情報を含む演出ボタンコマンドをRAM303にセットして演出ボタン処理を終了する(S2702)。
この後、演出制御部300は、図19−4(b)のコマンド送信処理(S1913)を行って、上記のコマンド受信処理および演出ボタン処理でRAM303にセットされたコマンドを画像/音響制御部310およびランプ制御部320に送信する。そして、画像/音響制御部310およびランプ制御部320が、受信したコマンドに基づき、画像表示部114への画像表示、音響出力、可動役物115の動作、盤ランプ116や枠ランプ157の発光等を制御して、設定された演出を実行する。
〔事前判定に基づく予告演出〕
次に、本実施の形態による事前判定に基づく予告演出について説明する。
本実施の形態では、図6を参照して説明したように、第1始動口121(図1参照)に遊技球が入賞して第1始動口スイッチ211(図3参照)がONとなった場合、および第2始動口122(図1参照)に遊技球が入賞して第2始動口スイッチ212(図3参照)がONとなった場合に、図柄変動時の特別図柄判定部234および変動パターン選択部235による判定(図8のS808、S809参照)に先立って、特別図柄判定の抽選結果の事前判定(先読み)を行う(図6のS605、S611参照)。
また、本実施の形態では、上記の事前判定の結果に基づいて、判定結果を遊技者に示唆する予告演出(示唆演出)を行う。この予告演出は、事前判定が行われた入賞球(保留球)に対する図柄変動よりも先に行われる他の入賞球に対する図柄変動の際に実行される。本実施の形態では、保留球は、1つの始動口(第1始動口121または第2始動口122)につき4個を上限としている(図6参照)。また、第2始動口122の保留球の消化を優先するものとする。この場合、例えば、第2始動口122のある保留球について事前判定を行った場合、その保留球についての図柄変動が行われる前に、現在変動中の変動(当該変動と呼ぶ)を含め、最大で4個の入賞球についての図柄変動が行われることとなる。事前判定が行われた保留球に係る予告演出において、その保留球についての図柄変動が行われる前に複数回の図柄変動が行われる場合、その複数回の図柄変動にまたがる予告演出を行っても良い。
〔予告演出を行うための遊技制御部のRAMおよび演出制御部のRAMの構成〕
このような事前判定に基づく予告演出を実行するために、本実施の形態における遊技制御部200のRAM203および演出制御部300のRAM303は、以下のような構成を有する。
図28は、本実施の形態に係る遊技制御部200のRAM203(図3参照)の事前判定に関する記憶手段としての構成例を説明するブロック図である。図28(a)は、記憶領域204の構成を示すブロック図であり、図28(b)は、図28(a)に示す記憶部の各々の構成を示すブロック図である。
図28(a)に示すように、RAM203は、大当たり乱数抽選により取得した大当たり乱数を記憶する特別図柄保留記憶領域としての記憶領域204を備えている。この記憶領域204は、第1始動口121の保留数と第2始動口122の保留数の最大値に対応する8つの記憶部を有している(各保留数の上限値が4の場合)。具体的に説明すると、記憶領域204は、第1記憶部204a、第2記憶部204b、第3記憶部204c、第4記憶部204d、第5記憶部204e、第6記憶部204f、第7記憶部204g、第8記憶部204hを有している。
また、図28(b)に示すように、これらの記憶部204a〜204hの各々は、大当たりに当選した際の変動回数Nが記憶される領域と、入賞した始動口(第1始動口121または第2始動口122)の別を表す情報が記憶される領域と、を有する。また、記憶部204a〜204hの各々は、取得された大当たり乱数が記憶される領域と、図柄乱数が記憶される領域と、リーチ乱数が記憶される領域と、を有する。すなわち、記憶部204a〜204hの各々には、大当たり乱数、図柄乱数およびリーチ乱数が記憶される。
ここで、各乱数は、第1記憶部204aから順に記憶していく。より具体的に説明すると、例えば、第1記憶部204a〜第8記憶部204hのいずれにも乱数が記憶されていないときには、取得した乱数が第1記憶部204aに記憶されることになる。また、例えば、第1記憶部204a〜第4記憶部204dに乱数がすでに記憶されているときには、取得した乱数が第5記憶部204eに記憶されることになる。
図29は、本実施の形態に係る演出制御部300のRAM303(図3参照)の事前判定に関する記憶手段としての構成例を説明するブロック図である。図29(a)は、保留記憶領域305、306の構成を示すブロック図であり、図29(b)は、(a)に示す記憶部の各々の構成を示すブロック図である。
図29(a)に示すように、RAM303は、保留球が保留されている状況を記憶する保留状況記憶領域としての第1保留記憶領域305および第2保留記憶領域306を備えている。この第1保留記憶領域305および第2保留記憶領域306は、第1始動口121への入賞に対する保留および第2始動口122への入賞に対する保留にそれぞれ対応しており、各々4つの記憶部を有している。具体的には、第1保留記憶領域305は、第1記憶部305a、第2記憶部305b、第3記憶部305c、第4記憶部305dを有している。また、第2保留記憶領域306は、第1記憶部306a、第2記憶部306b、第3記憶部306c、第4記憶部306dを有している。
また、図29(b)に示すように、これらの記憶部305a〜305d、306a〜306dの各々は、保留フラグをON/OFFする保留フラグ記憶領域と、報知フラグをON/OFFする報知フラグ記憶領域と、を有している。保留フラグは、各記憶部305a〜305d、306a〜306dごとに保留球の有無を識別するためのフラグである。すなわち、例えば第1始動口121への入賞による保留数が3である場合、第1〜3記憶部305a、305b、305cの3つの保留フラグ記憶領域において、保留フラグがONとなる。報知フラグは、個々の保留球に関して事前判定結果に基づく予告演出を行うか否かを設定するためのフラグである。本実施の形態のパチンコ遊技機100では、演出制御部300において、遊技状態や演出の状況に応じて事前判定結果に基づく予告演出を行うか否かを設定可能としている。そこで、予告演出を行う場合には報知フラグをONとし、予告演出を行わない場合には報知フラグをOFFとする。例えば上記3つの保留球のうち3番目の保留球に対して予告演出を行う場合は、第3記憶部305cの報知フラグ記憶領域において、報知フラグがONとなる。
すなわち、RAM203およびRAM303は、遊技制御部200および演出制御部300において、所定数を限度として所定の始動条件の成立に基づく始動情報である保留情報を記憶する記憶手段として機能する。また、遊技制御部200は、この始動情報である保留情報に基づいて、この始動情報に対応する前記始動条件の成立を契機とする特別図柄判定部234の判定が行われる前に、特別遊技状態に移行するか否かに関する事前判定処理を行う事前判定手段である。演出制御部300は、事前判定結果を予告(示唆)するための予告演出を行う演出制御手段である。
また、特に図示しないが、図28(a)に示した構成とは別に、RAM203は、事前判定情報が記憶される領域(以下、事前判定情報格納領域)を有する。事前判定情報とは、上記の各乱数に基づく事前判定処理(図6のS605、S611参照)によって得られた情報である。事前判定情報の内容は、特別図柄処理(図8参照)における各種の判定結果として得られる情報と同様であり、具体的には、当たりの種類(大当たり、小当たり、はずれ)、大当たりであった場合にはその大当たりの種類、演出の内容はリーチ有り演出であるのかリーチ無し演出であるのかといったことを示すための情報である。事前判定情報格納領域に格納された事前判定情報は、事前判定処理が行われた入賞球(保留球)に対応する保留に関する情報(以下、保留情報)と共に、あるいはこの保留情報とは別に独自のタイミングで、保留数増加コマンドや変動開始コマンドに含められて遊技制御部200から演出制御部300へ送られる。
〔遊技制御部による事前判定処理〕
次に、事前判定処理(図6のS605、S611参照)について詳細に説明する。
本実施の形態における事前判定処理では、遊技制御部200が、図17や図18を参照して説明した乱数の構成例と同様の乱数テーブルを用いて事前判定を行う。また、詳しくは後述するが、本実施の形態において事前判定は、大当たり判定処理(図8のS808、図9参照)の判定と同じ処理として実行される。
図30は、本実施の形態に係る事前判定処理(図6のS605、S611)の内容を示すフローチャートである。
図30に示すように、遊技制御部200は、まず、遊技状態が高確率状態か否かを判断し(S3001)、高確率状態であると判断すると(S3001でYes)、高確率状態用のテーブルを選択して、大当たり乱数および大当たり図柄乱数の事前判定を行う(S3002)。一方、S3001でNoと判断した場合には、低確率状態用のテーブルを選択して、大当たり乱数および大当たり図柄乱数の事前判定を行う(S3003)。
S3002またはS3003の大当たり乱数および大当たり図柄乱数の事前判定の後、遊技制御部200は、遊技状態が時短状態か否かを判断し(S3004)、時短状態であると判断すると(S3004でYes)、時短状態用のテーブルを選択して、リーチ乱数の事前判定を行う(S3005)。さらに、時短状態用のテーブルを選択して、変動パターン乱数の事前判定を行う(S3006)。
一方、S3004でNoと判断した場合には、時短無状態用のテーブルを選択して、リーチ乱数の事前判定を行う(S3007)。さらに、時短無状態用のテーブルを選択して、変動パターン乱数の事前判定を行う(S3008)。
この後、遊技制御部200は、上述のとおり得られた大当たり乱数の事前判定の結果、大当たり図柄乱数の事前判定の結果、リーチ乱数の事前判定の結果、および変動パターンの事前判定の結果を、事前判定情報として事前判定情報格納領域に記憶する(S3109)。さらに、演出制御部300に事前判定情報を送信するために、事前判定情報を含む事前判定結果コマンドをRAM203にセットする(S3010)。この事前判定結果コマンドは、保留数増加コマンドと共に遊技制御部200から演出制御部300へ送られる。
ここで、S3002、S3003、S3005〜S3008の判定は、始動口121、122への遊技球の入賞に応じて取得された乱数値(図6のS604、S610参照)と、大当たり判定処理で用いられる判定テーブル(図17参照)と同様の構成の判定テーブルとを用いて行った。そして、各判定テーブルを用いた判定自体は、大当たり判定処理における判定(図9のS901参照)と同様である。そこで、本実施の形態では、特別図柄処理(図8参照)で用いた大当たり判定処理のサブルーチン(図8のS808および図9参照)を呼び出し、上記の事前判定における乱数の判定を行う。
なお、事前判定処理と特別図柄変動時の大当たり判定処理とを、同様の判定テーブル群を用い同じサブルーチンにて行った場合、各処理の実行時が異なるために、事前判定結果と特別図柄変動時の大当たり判定処理による判定結果とが異なる場合があり得る。すなわち、事前判定処理の実行後、特別図柄変動開始時までにパチンコ遊技機100の遊技状態(高確率状態か低確率状態か、時短状態か時短無状態か)が変化した場合である。この場合、判定テーブルは遊技状態に応じて異なる種類のものが用いられるため、事前判定処理の実行時と大当たり判定処理の実行時とでは、判定に用いられる具体的な判定テーブルが異なることになる。そのため、始動口121、122への入賞時に獲得した同一の乱数値を使用しても、事前判定結果と大当たり判定処理の判定結果と異なる場合がある。そこで、事前判定処理の実行後、特別図柄変動の開始時までに遊技状態が変化する場合は、後述の事前判定結果に基づく演出を不実行とする(禁則)制御等が行われる。
〔遊技領域111の右側領域111Rに配設される右可動体170の作用について〕
次に、遊技領域111の右側領域111Rに配設される右可動体170(図1参照)の作用について図31を用いて説明する。
なお、上述したように、右可動体170は遊技盤110の盤面に取り付けられている。また、右可動体170は、遊技制御部200による遊技制御の下で、不図示の駆動源を持つ右可動体作動部226によって移動する(図3参照)。右可動体作動部226の作動は、所定条件を満たすときに行われる。具体的には、大入賞口125、128が作動するときに右可動体作動部226が作動し、右可動体170が移動する。
図31は、右可動体170の作用を説明する正面図であり、(a)は右可動体170が原点に位置する場合、(b)は移動して移動端に位置する場合を示す。
図31の(a)または(b)に示すように、ゲート124Rに対する上流側に筒状部材171が位置する。この筒状部材171は、ゲート124Rの上方に位置するように、配設されている。筒状部材171は、上下方向に延びている。
右可動体170は、筒状部材171に対して移動可能に構成されている。すなわち、右可動体170の位置に応じて、筒状部材171に案内される遊技球がゲート124Rを通過する割合が変更される。
以下、具体的に説明する。筒状部材171は、流下する遊技球が通過可能な球通路171aを持つ。右可動体170は、かかる球通路171aに対して進退可能である。
より詳細には、右可動体170は、原点に位置すると、図31の(a)に示すように、球通路171aに進入しており、遊技球が球通路171aに沿って流下するのを妨害する。その一方で、右可動体170は、移動端の位置(退避位置)では、同図の(b)に示すように、球通路171aから退避しており、遊技球が球通路171aに沿って流下するのを許容する。
筒状部材171には、上下方向の途中位置に切欠き部172a,172bが形成されている。
右可動体170が図31の(a)に示す原点に位置すると、球通路171aに沿って流下する遊技球は、右可動体170に進路を妨げられる。すなわち、球通路171a内を落下する遊技球は、途中で右可動体170にぶつかり、筒状部材171の切欠き部172aを通って球通路171aから筒状部材171の外に出る(矢印173a)。すなわち、右可動体170が原点位置にある場合、遊技球はゲート124Rまで案内されず、切欠き部172aで筒状部材171から排出される。
また、図31の(a)に矢印173b、173cで示すように、筒状部材171の外で流下する遊技球は、不図示の遊技くぎ等の作用により、ゲート124Rに寄る場合がある。そして、ゲート124Rに寄った遊技球は、筒状部材171の切欠き部172bを介してゲート124Rを通過する場合があり、また、ゲート124Rを通過しない場合がある。寄っていったゲート124Rを通過する遊技球は、作動する電動チューリップ123または第2大入賞口128に入球することがある。
また、図31の(a)に矢印173d、173eで示すように、遊技球がゲート124Rを通過しない場合にも、作動する電動チューリップ123または第2大入賞口128に入球することがあり得る。
右可動体170が移動して図31の(b)に示す移動端に位置する場合、右可動体170は、筒状部材171の球通路171aから退避している。このため、筒状部材171の球通路171aに沿って流下する遊技球は、切欠き部172aで筒状部材171から排出されることなく切欠き部172bの位置まで案内される(矢印174a)。このように切欠き部172bの位置まで案内された遊技球は、切欠き部172bで排出される場合があり、切欠き部172bで排出されないとゲート124Rを通過する。なお、上述したように、ゲート124Rを通過した遊技球は、ゲートスイッチ214(図3参照)により検出され、ゲートスイッチ214の検出に対応する普通図柄抽選に当たると、電動チューリップ123が作動する。また、右可動体170移動は、大入賞口125、128の作動を条件とすることから、図31の(b)の場合には、第1大入賞口125または第2大入賞口128が作動している。
そして、ゲート124Rを通過した遊技球は、開放状態の電動チューリップ123または第2大入賞口128に入球する。すなわち、電動チューリップ123または第2大入賞口128が開放される場合、比較的高い確率で電動チューリップ123または第2大入賞口128に入球する。
なお、上述したように、電動チューリップ123に入球した遊技球は、第2始動口スイッチ212により検出され、また、第2大入賞口128に入球した遊技球は、第2大入賞口スイッチ215Bにより検出される。第2大入賞口スイッチ215Bにより検出された遊技球は、さらに特定領域スイッチ215Cでも検出される場合がある(図2−2の(b)参照)。
なお、図31の(b)では図示を省略するが、同図の(a)で示す矢印173b〜173eのような遊技球の挙動も考えられる。
なお、本実施の形態では、右可動体170は直線移動する構成を採用するが、他の移動態様例えば回転する構成を採用する例も考えられる。
また、遊技球の挙動によって筒状部材171の上流端から球通路171aに入る構成例のほかに、筒状部材171の上流端に遊技球の入球に影響を与える不図示の可動弁を設ける構成例が考えられる。かかる不図示の可動弁は、パチンコ遊技機100の主電源投入により一定の周期で動き、球通路171aへの入球し易い姿勢と入球し難い姿勢を繰り返すものである。
〔本実施の形態における遊技性の説明〕
ここで、本実施の形態に係るパチンコ遊技機100における遊技性について説明する。
本実施の形態では、上述したように、第1始動口121が正面視略中央部で画像表示部114の下側に位置し(図1参照)、主に左打ちされた遊技球が第1始動口121に入球可能であるように構成されている。そして、第2始動口122やゲート124、第1大入賞口125に入球するのは右打ちされた遊技球であるように、これらの第2始動口122等が遊技領域111の正面視右側にある右側領域111Rすなわち画像表示部114よりも右側に位置する(図1参照)。第2始動口122やゲート124、第1大入賞口125は、左打ちされた遊技球が入球困難なように配設されている。
また、本実施の形態では、上述したように、第1始動口121の入賞の場合では小当たりに当選しないものの、第2始動口122の入賞では小当たりがあるように大当たり乱数が設定され、かつ、第2始動口122では、ほぼ小当たりに当選する(図17(a)参照)。そして、小当たりに当選した場合に大入賞口125、128は、開放時に入球が可能であるものの数多くの入球は難しい程度の開放時間であるラウンドを1回行う。小当たり遊技で第1大入賞口125に入球する遊技球の数(小当たりでの入球個数)は1個程度であり、入球個数が1個である割合が多く、たまに0個になったり2個になったりするようなラウンドである。このため、右打ち時には、小当たりに当選することで賞球を増やしていくことが可能である。
なお、第1始動口121入賞の場合と第2始動口122入賞の場合とでは、小当たりで差を持たせているものの、大当たりの確率では互いに同じである(図17(a)参照)。
また、本実施の形態では、上述したように、大当たり後の遊技状態として、高確率状態の非時短状態と、低確率時短遊技状態と低確率時短無遊技状態という3つの遊技状態を備えている。なお、高確率状態の非時短状態を備えるほか、低確率時短遊技状態と低確率時短無遊技状態のいずれか一方のみを備える例も考えられる。
〔本実施の形態における遊技の仕方〕
次に、本実施の形態における遊技の仕方について説明する。
図32は、遊技の仕方を説明するフローチャートであり、遊技領域111における左側領域111L(図1参照)での遊技と右側領域111R(同図参照)での遊技とに分けて説明する。
図32に示す例では、左側領域111Lに向けて遊技球を発射し、第1始動口121に入球することで(S3201)特別図柄判定が行われ、大当たり遊技終了後に低確率時短無遊技状態になる大当たりに当選したものとする(S3202)。なお、第1始動口121への入球による大当たりは、時短無である(S1502cでNo参照)。
ここで、上述した内容であるが、確認のために改めて説明する。大当たり図柄が特別図柄Aまたは特別図柄Bの場合には(図17(b)参照)、特定領域スイッチ215Cを備える第2大入賞口128(例えば図2−1参照)が大当たり遊技で開放されず、大当たり遊技後は低確率遊技状態(非時短)になる。
また、大当たり図柄が特別図柄C1,C2,D1,D2の場合には(図17(b)参照)、大当たり遊技中に第2大入賞口128(例えば図2−1参照)が開放されるものである。このため、第2大入賞口128の開放時に特定領域スイッチ215Cが遊技球を検知すると、大当たり後に高確率遊技状態(非時短)に移行することになり(S1502bでYes参照)、また、特定領域スイッチ215Cの検知がなければ、大当たり後に低確率遊技状態(非時短)に移行する(S1502bでNo参照)。
第1始動口121入賞による大当たり(非時短)が確定すると、大当たり遊技が開始される。すなわち、第1大入賞口開閉部216A(図3参照)による第1大入賞口125の開閉扉127(図1参照)の作動、ないし第2大入賞口開閉部216B(図3参照)による第2大入賞口128の開閉扉129の作動が行われる(S3203)。
このような大入賞口125、128の作動によって、右可動体作動部226(図3参照)の作動条件が満たされる。このため、右可動体作動部226が作動し、右可動体170が原点位置(図31の(a)参照)から移動端位置(同図の(b)参照)まで移動する(S3204)。これにより、筒状部材171の球通路171aを案内される遊技球は、右可動体170により妨げられることなく(図31の(b)参照)、ゲート124Rを通過する(S3205)。
このようなゲート124Rの通過が行われると、大当たり遊技中には上限まで保留され、大当たり遊技後にそのような保留に対応して普通図柄抽選が行われ、また、大当たり遊技後のゲート124Rの通過に対応して普通図柄抽選が行われる。
なお、第1始動口121入賞による大当たりに対応する大当たり遊技が終了した後に特別図柄の変動が所定回数に達するまで、普通図柄抽選の変動時間が短くなる等の時短状態にする例が考えられる。
普通図柄抽選に当たった場合、電動チューリップ123が作動し(S3206)、第2始動口122に入球することで(S3207)、特別図柄判定が行われる。そして、第2始動口122入賞による特別図柄判定の結果が大当たりまたは小当たりの場合(S3208)、大当たり遊技が開始され、大入賞口125、128の開閉扉127、129が開閉作動する(S3209)。
付言すると、上述したように、本実施の形態に係るパチンコ遊技機100では、小当たりに当選することで賞球を増やしていくことが可能である。そのため、第2始動口122入賞による小当たりを繰り返していくことで、より多くの賞球を獲得することが可能になる。そして、大当たりに当選することで、小当たりの場合よりも短時間でより多くの賞球を獲得することが可能になる。
そして、大当たり遊技終了後の特別図柄の変動回数が所定回数(例えば50回)に達するまで高確率遊技状態になる場合には、数多くの小当たりで賞球を獲得し、さらに所定回数に達する前に当選した大当たりでも賞球を獲得することが可能である。このような大当たりするタイミングとしては、特別図柄の変動回数が所定回数に近い時点であるのが、遊技者にとって有利となる。
このように、遊技開始の当初は左打ちさせて第1始動口121入賞の大当たりを目指し、その後、第1始動口121入賞で大当たり(非時短)すると、右打ちさせるべく遊技者に報知する。このような報知について図33を用いて説明する。
図33は、第1始動口121入賞で大当たりした場合の報知例を説明する図である。
同図に示す報知例は、特別図柄判定の結果として大当たりが確定した場合に画像表示部114に表示されるものである。すなわち、画像表示部114の画面には、「大当たり」という特別図柄判定の結果を報知する大当たり報知画像14と、右打ちする場面であることを報知する右打ち報知画像12,13と、が表示されている。
このような右打ち報知画像12,13は、遊技者に遊技領域111の右側領域111Rへの遊技球の発射(右打ち)を促す報知を行うためのものである。具体的には、右打ち報知画像12は、「ハンドルを右に回してください!!」という操作の仕方を示すものであり、大当たり報知画像14の下方に位置する。また、右打ち報知画像13は、「右打ち」という文字と右向き矢印の図形とを含むものであり、大当たり報知画像14の上方に位置する。
なお、本実施の形態に係るパチンコ遊技機100が、ハンドル151(図1参照)に設けられた不図示の右打ちボタンを備える場合には、右打ち報知画像12は、例えば「右打ちボタンを押してください」という操作の仕方を示すものとなる。
〔非時短の大当たりで右打ちする遊技性の意義〕
従来の機種では、大当たり遊技後に時短状態になる大当たりの場合にそれまでの左打ちから右打ちに変更させることで遊技を進行させるものがある。すなわち、右打ちする遊技領域に、通過すると普通図柄抽選が行われる領域と、普通図柄抽選に当たると開放する普通電動役物と、普通電動役物を持ち入賞すると特別図柄判定が行われる始動口と、特別図柄判定の結果が所定の場合に開閉する大入賞口と、が配設される右打ち仕様の機種がある。そのような機種では、時短付き大当たり等のときに遊技球を右打ちさせて遊技を進行させる。
しかしながら、非時短状態であっても右打ちする遊技性を持たせることで、遊技の幅を持たせることが可能になる。
そこで、本実施の形態において、右打ちの場合に入球可能な始動口(第2始動口122)の入賞に対応して行われる特別図柄判定の結果が小当たりになる確率は小当たりにならない確率よりも高いという遊技制御を行い、時短状態になる大当たりでない場合に右打ちさせる遊技性を持たせている。
〔特別電動役物作動により移動する右可動体170を備える意義〕
また、本実施の形態では、右打ちによりゲート124R(図1参照)に遊技球を通過させることで電動チューリップ123や大入賞口125、128を作動させることが可能になる。また、このような右打ちは、第1始動口121入賞による大当たりになってからを想定している。
しかしながら、第1始動口121入賞による大当たりになっていない段階で右打ちすることでゲート124Rの通過が行われた場合には、普通図柄抽選に当たって電動チューリップ123が作動し、第2始動口122入賞が可能になり、第2始動口122入賞による小当たりや大当たりになり得る。このような第1始動口121入賞による大当たりを経ないで右打ちした場合の遊技の進行を防止する必要がある。
そこで、本実施の形態では、第1始動口121入賞による大当たりを経ない右打ちに対処すべく、特別電動役物作動の有無によりゲート124Rの通過に影響を及ぼす右可動体170を備える。すなわち、第1始動口121入賞による大当たりを経ない右打ちでは、大入賞口125、128が作動せず、右可動体170は遊技球がゲート124Rを通過しないようにする。その一方で、第1始動口121入賞による大当たりを経た右打ちの場合には、大入賞口125、128が作動していることから、右可動体170は遊技球がゲート124Rを通過するように移動する。
さらに説明すると、上述したように、本実施の形態では、第1始動口121または第2始動口122のいずれか一方の入賞による特別図柄変動中に、他方の入賞があると他方の入賞による特別図柄変動が開始されるという遊技制御を行う(図8参照)。かかる遊技制御において、例えば、第2始動口122入賞に伴う第2特別図柄変動中に第1始動口121入賞に伴う第1特別図柄変動が開始されると、第1特別図柄変動が第2特別図柄変動に優先し、先に第1特別図柄変動が停止する。また、第1特別図柄変動と第2特別図柄変動が同時に行われている場合に、特1特別図柄が大当たりの場合には、第2特別図柄がハズレ図柄に差し替えられたり第2特別図柄変動を止めたりする。
このため、右可動体170が原点位置のままで第2始動口122入賞による図柄変動が行われている場合に第1始動口121入賞があったときには、第1始動口121入賞による図柄変動が優先されることから、第1始動口121入賞による大当たりを経ないで右打ちした場合の遊技の進行を防止することが可能である。
また、上述したように、第2始動口122に遊技球が入賞した場合であって遊技状態が低確率遊技状態の場合には、例えば5分という極めて長い変動時間が設定され得る。かかる設定によっても、第1始動口121入賞による大当たりを経ないで右打ちした場合の遊技の進行を防止することが可能である。
なお、本実施の形態では、第1始動口121と第2始動口122への遊技球の入球による図柄変動がそれぞれ独立して行う同時変動の仕様になっているが、第1始動口121および第2始動口122への遊技球の入球順に特別図柄判定が行われる仕様や、第1始動口121への遊技球の入球により取得された特別図柄判定の結果を優先して消化する仕様等を採用することが考えられる。
なお、図示を省略するが、ゲート124Rを第1大入賞口125内に設ける変形例を採用することが考えられる。すなわち、第1大入賞口125に遊技球を入球させないとゲート124Rに遊技球を通過させることができない構成である。これにより、第1始動口121入賞による大当たりを経ないで右打ちした場合の遊技の進行を防止することが可能である。
ここで、特別電動役物としての大入賞口125、128が作動していない状態で右打ちした場合に、右可動体170が原点位置(図31(a)参照)にあるにもかかわらず遊技球がゲート124Rを通過することで大入賞口125、128が作動してしまう事態も想定される。かかる事態が生じると、大入賞口125、128への入球により賞球が獲得されたり、第2大入賞口128の特定領域通過により高確率遊技状態に移行したりすることから、このような事態を回避する方策が必要である。
以下、かかる方策として、第1の実施の形態および第2の実施の形態を説明する。
〔第1の実施の形態〕
まず、第1の実施の形態について図34を用いて説明する。
図34は、第1の実施の形態の大入賞口動作制御部237(図4参照)による遊技制御を説明するタイムチャートである。
ここで、大入賞口125、128は、特別図柄判定の結果が大当たりまたは小当たりのときの条件装置の作動によって作動するものであり、このようにして大当たり遊技が行われる。より具体的には、図34に示すように、条件装置の作動後に所定のオープニング時間Topが経過すると、第1大入賞口125ないし第2大入賞口128が作動し、開閉扉127ないし開閉扉129が所定のパターン(開放動作パターン)で開閉する。なお、オープニング時間Topとは、特別図柄の確定から第1大入賞口125ないし第2大入賞口128が開くまでの時間をいう。
ここにいう開放動作パターンについてより詳細に説明する。大当たり図柄が例えば4Rのものである場合に(図17(b)参照)、大当たり遊技で第2大入賞口128が4回作動するものとする。この場合、大入賞口動作制御部237(図4参照)は、まずオープニング時間Topの間、オープニング動作を行い、第2大入賞口128にて1回目の開放状態を設定し、開放時間Tk(第1ラウンド)後に第2大入賞口128を閉口する。引き続き、ラウンド間の時間であるインターバル時間Tintの経過の後、大入賞口動作制御部237は、第2大入賞口128にて2回目の開放状態を設定し、開放時間Tk(第2ラウンド)後に第2大入賞口128を閉口する。その後、このようなインターバル時間Tintおよび開放時間Tk(第3ラウンドおよび第4ラウンド)が経過することで、大入賞口動作制御部237は、エンディング時間の間だけエンディング動作を行って、第2大入賞口128の動作制御を終了する。
なお、このような開放動作パターンは、開閉扉129が開放する時間が全ラウンド同じであり、インターバルの時間も同じである場合を説明したが、ラウンドの全部または一部を異なる開放の時間やインターバルの時間に設定することも考えられる。
このような第2大入賞口128の開閉扉129の開閉動作に伴い、流路切り替え部216C(図3参照)が作動し、切り替え蓋141(図2−1参照)による遊技球の振り分け先が変更される。より詳細には、上述したように、開放された開閉扉129から第2大入賞口128内に進入して第2大入賞口スイッチ215Bを通過した遊技球を、切り替え蓋141によって2つの経路、すなわち特定領域スイッチ215Cが配設されている経路(図2−2(b)に示す第2流路状態)と配設されていない経路(同図(a)に示す第1流路状態)とのいずれかに進ませる。
第1の実施の形態では、図34に示すように、第2大入賞口128の第1ラウンドの際に流路切り替え部216C(図3参照)が作動する。第2ラウンド以降では流路切り替え部216Cが作動しない。すなわち、第2大入賞口128の開閉扉129が第1ラウンドの開放を行うときに、切り替え蓋141を第1流路状態(図2−2(a)参照)から第2流路状態(同図(b)参照)に変更する。言い換えると、第2大入賞口128のオープニング時間Topが終了するときに流路切り替え部216C(図3参照)が作動し、遊技球の振り分け先が変更される。
そして、第2大入賞口128において第2流路状態(図2−2(b)参照)が維持される第2流路状態時間Tvは3000ms(3秒)であり、また、開閉扉129(第1ラウンド)の開放時間Tkよりも短い。なお、第2流路状態時間Tvを開放時間Tkと同じにする例も考えられる。
さらに説明すると、図34に示すように、第1の実施の形態では、特別図柄判定が行われるときの遊技状態が低確率遊技状態である場合と高確率遊技状態である場合とで、オープニング時間Topを変更する遊技制御を行う。すなわち、大入賞口動作制御部237(図4参照)は、低確率遊技状態の場合にはオープニング時間Topを短くし、高確率遊技状態の場合にはオープニング時間Topを長くする。第1の実施の形態では、オープニング時間Topを、低確率遊技状態では4ms(4ミリ秒)とし、高確率遊技状態では10000ms(10秒)とする。すなわち、低確率遊技状態では、高確率遊技状態の場合と比べて第2大入賞口128が早く開き始め、そのため、早く閉じるようになる。
このような第2大入賞口128におけるオープニング時間Topの変更は、第1大入賞口125におけるオープニングの時間にも適用することができる。
このように、第1の実施の形態では、第2大入賞口128において第2流路状態(図2−2(b)参照)に変更するタイミングを、開閉扉129の開放動作における最初の開放時としている。そして、特別図柄判定時の遊技状態が低確率遊技状態である場合には、第2大入賞口128におけるオープニング時間Topを高確率遊技状態の場合よりも短くする。
〔第1の実施の形態の技術的意義〕
このような遊技制御を行うのは、第1始動口121入賞による大当たりないし小当たりを経ないで右打ちする場合に、第2大入賞口128の特定領域スイッチ215Cの遊技球検出により高確率遊技状態に移行してしまうことを阻止するためである。すなわち、大入賞口125、128が作動していない場合には右可動体170が原点位置にあることから(図31(a)参照)、右打ちされた遊技球は、右可動体170の作用によりゲート124Rを通過する可能性は低い。しかしながら、右可動体170が原点位置にあっても、ゲート124Rを通過する事態は生じ得る。そのような事態が生じると、普通図柄抽選に当たって電動チューリップ123が開く。これにより、第2始動口122入賞による特別図柄判定で大当たりまたは小当たりに当選してしまうことが想定され、大当たりや小当たりにより大入賞口125、128が作動すると、大入賞口125、128への入球により賞球の獲得が可能になる。また、大当たりの場合には、第2大入賞口128の特定領域を通過することで、大当たり後に高確率遊技状態になってしまう。このような賞球の獲得や高確率遊技状態への移行は、本来の遊技から外れるものであり、対策の必要がある。
そこで、かかる対策として、第1の実施の形態では、大入賞口125、128におけるオープニング時間Topを、特別図柄判定時の遊技状態に応じて設定する遊技制御を採用する。すなわち、低確率遊技状態の場合にはオープニング時間Topを4ミリ秒と短くし、高確率遊技状態の場合にはオープニング時間Topを10秒と長くする。
これにより、右可動体170が原点位置にある状態(図31(a)参照)で右打ちした遊技者(特定遊技者)は、第2始動口122入賞による特別図柄変動中に遊技球の発射を停止して変動終了を待つ場合、大当たりないし小当たりであることの報知を受けて遊技球の発射を再開しても、その遊技球が右側領域111Rを流下して大入賞口125、128の位置に到達するまでに、4ミリ秒のオープニング時間Topが経過する。そのため、右側領域111Rを流下する遊技球が大入賞口125、128の位置に到達する頃は、すでに第1ラウンドが開始されており、あるいは第1ラウンドの開放時間Tkが短ければ第1ラウンドが終了している。
小当たりの場合に大入賞口125、128の開放動作が1回のときには、大入賞口125、128への入球個数が0個ないしは極めて少ない個数になることから、特定遊技者が小当たりで獲得できる賞球数を抑制ないし阻止することが可能になる。
また、特定領域を持つ第2大入賞口128では、上述したオープニング時間Topの変更遊技制御のほかに、特定領域を遊技球が通過不可能な第1流路状態(図2−2(a)参照)から遊技球が特定領域を通過可能な第2流路状態(同図(b)参照)に変更するタイミングを所定のものとしている。すなわち、切り替え蓋141の切り替えは、複数のラウンドのうち第1ラウンドで行われ、かつ、切り替えタイミングを第1ラウンドの開始から3秒としている。
このため、低確率遊技状態の場合には、条件装置が作動してから3004ミリ秒で切り替え蓋141が第1流路状態(図2−2(a)参照)に戻ることから、第2大入賞口128の特定領域を通過させることが困難になる。高確率遊技状態の場合には、13秒になることから、第2大入賞口128の特定領域を通過させることが容易になる。
なお、第2大入賞口128の特定領域通過を可能にするタイミングを、例えば最終ラウンドではなく、第1ラウンドだけで行うことから、状況によっては、第2大入賞口128の特定領域を通過させることが困難になることが予想される。すなわち、右可動体170が移動端位置にある状態(図31(b)参照)で右打ちした遊技者(非特定遊技者)であっても、第2大入賞口128の特定領域通過ができなかった事態があり得る。そのような事態にならないように、事前に画像表示部114に注意喚起を促す報知例が考えられる。
さらに説明すると、上述した開放動作パターンの工夫と共に、第2始動口122に遊技球が入賞した場合であって遊技状態が低確率遊技状態の場合に取得した乱数値ごとに異なる変動パターンを持つことで特定遊技者が右打ちをし続けようという意欲を減殺させることが可能になる。すなわち、全部で256個の変動時間を持ち、しかも、最短の変動時間が1.2秒という極めて短く、最長で5分7.2秒(ロング変動)という極めて長い変動時間となることで、特定遊技者が図柄変動中に遊技球の発射を一時的に止め、変動終了を待って遊技球の発射を再開するという打ち方(止め打ち)をしても、賞球の獲得や高確率遊技状態への移行が困難であるという認識を持たせることが可能になる。なお、止め打ちせずにひたすら右打ちをし続ける特定遊技者であっても、図柄変動中に発射する遊技球はアウト球になることから、最長5分程度の間打ち続けるやり方では、アウト球が増加するばかりであることから、特定遊技者の意欲低下を期待できる。
〔第1の実施の形態における変形例〕
なお、第1の本実施の形態では、オープニング時間Topの変更を、上述した特別図柄判定が行われる際(特別図柄判定時)の遊技状態とするが、特別図柄変動が行われる際(特別図柄変動開始時)の遊技状態ということができる。また、オープニング時間Topの変更を、特別図柄判定時ないし特別図柄変動開始時でなく、始動口スイッチによる検知が行われた際(始動口入賞時)の遊技状態とすることが考えられる。
また、第1の実施の形態では、遊技状態に応じてオープニング時間Topを変更する遊技制御を採用するが、さらに、第1始動口121入賞による大当たりの場合と第2始動口122入賞による大当たりの場合とでも、オープニング時間Topを変更する変形例が考えられる。例えば、第1始動口121入賞の場合にはオープニング時間Topを短くし、第2始動口122入賞の場合にはオープニング時間Topを長くする。
また、右側領域111Rに向けて発射された遊技球が第2大入賞口128に到達する時間をより長くするために、例えば振り分け装置であるクルーンを右側領域111Rに配設する変形例も考えられる。
また、ゲート124Rをラウンド開始用ゲートとする上述の変形例の場合には、条件装置の作動が開始した後に遊技球がゲート124Rを通過すると、役物連続作動装置の作動が開始したとして、大入賞口動作制御部237は、第1大入賞口125ないし第2大入賞口128を作動させる。
付言すると、このようなゲート124Rの通過を大入賞口125、128の作動条件とする場合を、確変可能大当たり(S1502aでYesを参照)に限定する例も考えられる。かかる例では、確変可能大当たりでもない場合には(S1502aでNoを参照)、ゲート124Rの通過を待たずに大入賞口125、128を作動させる一方で、確変可能大当たりの場合には(S1502aでYesを参照)、ゲート124Rの通過を待って大入賞口125、128を作動させる。
かかる場合には、上述した図34の説明は、「条件装置の作動」ではなく「役物連続作動装置の作動」に置き換わることになる。
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態について図35および図36を用いて説明する。なお、第2の実施の形態は、第1の実施の形態と共通する構成・機能を有することから、共通する構成・機能の説明および図示を省略することがある。第1の実施の形態について上述した各種の変形例を、第2の実施の形態に適用することが考えられる。また、第2の実施の形態の構成ないし制御の一部を第1の実施の形態に適用することが可能であり、また、第1の実施の形態の構成ないし制御の一部を第2の実施の形態に適用することも可能である。
まず、第2の実施の形態の遊技制御について図35を用いて説明する。
図35は、第2の実施の形態の大入賞口動作制御部237(図4参照)による遊技制御を説明するタイムチャートである。なお、図35では、図34で示す条件装置の図示を省略している。
図35を参照すると、特定領域を持つ第2大入賞口128における第1ラウンドでは、第2大入賞口スイッチ215B(図3参照)での検出が10回行われ、第1ラウンドが終了している。
これについて説明する。大入賞口動作制御部237により遊技制御される大入賞口125、128の開閉扉127、129は、開放しているときに所定時間の経過または所定個数の入賞のいずれかになると閉鎖する。すなわち、所定時間が経過する前に所定個数の入賞があると、そのラウンドは終了する。
第2の実施の形態では、10個入賞が上限であり、第2大入賞口スイッチ215Bでの1ラウンド当たりの検出回数は最大で10回に設定される。そして、所定時間内に第2大入賞口スイッチ215Bが10回目の遊技球検出が行われると、直ちに開閉扉129が閉じられ、そのラウンドを終える。
第2の実施の形態では、第1の実施の形態の場合と異なり、第1ラウンド後のラウンドで流路切り替え部216C(図3参照)が作動し、切り替え蓋141(図2−1参照)による遊技球の振り分け先が変更される。より具体的には、図35に示すように、流路切り替え部216C(図3参照)は、第2大入賞口128における第2ラウンドの際に作動し、第1ラウンドの際には作動しない。
さらに説明すると、切り替え蓋141を第1流路状態(図2−2(a)参照)から第2流路状態(同図(b)参照)に変更するのは、第2ラウンドにおける開始時である。言い換えると、第1ラウンドと第2ラウンドとの間のインターバル時間Tintが終了するときに流路切り替え部216C(図3参照)が作動し、遊技球の振り分け先が変更される。
ここで、図35に示すように、第2の実施の形態では、特定領域を持つ第2大入賞口128のインターバル時間Tintを、特別図柄判定が行われるときの遊技状態が低確率遊技状態である場合と高確率遊技状態である場合とで変更する遊技制御を行う。すなわち、大入賞口動作制御部237(図4参照)は、低確率遊技状態の場合にはインターバル時間Tintを長くし、高確率遊技状態の場合にはインターバル時間Tintを短くする。第2の実施の形態では、インターバル時間Tintを、低確率遊技状態では10000ms(10秒)とし、高確率遊技状態では2000ms(2秒)とする。
なお、このようなインターバル時間Tintの遊技制御は、特定領域を持つ第2大入賞口128についてのものであり、特定領域を持たない第1大入賞口125について適用する技術的意義は低いものの、適用することが考えられる。
付言すると、この点で、インターバル時間Tintを遊技状態に応じて変更する第2の実施の形態は、オープニング時間Topを遊技状態に応じて変更する第1の実施の形態と異なる。また、第2の実施の形態は、インターバル時間Tintを低確率遊技状態では長くし高確率遊技状態では短くする点で、オープニング時間Topを低確率遊技状態では短くし高確率遊技状態では長くする第1の実施の形態とは異なる。
〔第2の実施の形態の技術的意義〕
第2の実施の形態でかかる遊技制御を行うのは、第1の実施の形態の場合と同じく、特定遊技者による遊技では高確率遊技状態に移行しないようにするためである。すなわち、第1始動口121入賞による大当たりないし小当たりを経ないで右打ちする場合に、第2大入賞口128の特定領域スイッチ215Cの遊技球検出により高確率遊技状態に移行してしまうという事態を阻止する。
より詳細には、第2の実施の形態では、大当たりの場合の高確率遊技状態移行の対策を目的とするものであり、小当たりでの賞球獲得の対策という技術的意義が低い。なお、低確率遊技状態のときにインターバル時間を長くすることで、アウト球を増加させ、非特定遊技者による遊技継続の意欲低下を招く効果が期待できる。
このような非特定遊技者による高確率遊技状態移行の阻止対策として、第2の実施の形態では、第2大入賞口128におけるインターバル時間Tintを、特別図柄判定時の遊技状態に応じて設定する遊技制御を採用する。すなわち、低確率遊技状態の場合にはインターバル時間Tintを10秒と長くし、高確率遊技状態の場合にはインターバル時間Tintを2秒と短くする。
第2の実施の形態におけるインターバル時間Tintについての遊技制御の意義について図36を用いて説明する。
図36は、流路切り替え部216Cにより切り替え制御される切り替え蓋141の状態を説明する図であり、第2大入賞口128の内部を模式的に示す。同図の(a)は、図35に図示する時点taでの第2大入賞口128の内部を示す。また、図36の(b−1)および(b−2)は、図35の時点taから所定時間経過した時点tbでの第2大入賞口128の内部を示すものであり、(b−1)は低確率遊技状態の場合、(b−2)は高確率遊技状態の場合を示す。
図36の(a)を参照すると、第2大入賞口128に進入した遊技球は、第2大入賞口スイッチ215Bを通過している。かかる遊技球により、第1ラウンドにおいて10回目の入球検知が行われている。したがって、第2大入賞口128の開閉扉129が閉じて第1ラウンドが終了する。
時点taでは、切り替え蓋141が流路140を通ってきた遊技球は経路143へ向かうような姿勢である第1流路状態である。
ここで、図36の(a)に示すように、第2大入賞口スイッチ215Bを通過した遊技球が切り替え蓋141の位置に到達する時までの流下時間Trは、5秒であるとする。本実施の形態では、第2大入賞口スイッチ215Bを通過した遊技球が経路142または経路143に向かうまで所定の時間を要する構成を採用する。すなわち、第2大入賞口スイッチ215Bを通過した遊技球は、5秒後に切り替え蓋141の位置に流下する。
低確率遊技状態の場合、インターバル時間Tintは10秒であることから、時点taから4秒経過した時点tbでは、まだ第1ラウンドと第2ラウンドとの間のインターバルであり、第2ラウンドが開始されていない。したがって、図36の(b−1)に示す時点tbでは、流路切り替え部216Cが未だ作動しておらず、流路140を通ってきた遊技球は、経路142に向かうことができない(第1流路状態)。このため、流路140の遊技球は、経路143へ向かい、アウト球として第2大入賞口128から排出されることになる。
言い換えると、流路切り替え部216Cが作動して切り替え蓋141が第2流路状態になる頃には、第1ラウンドにおいて第2大入賞口スイッチ215Bに10回目の検知がされた遊技球は、すでに第2大入賞口128から排出されている。こうして、特定遊技者による遊技で高確率遊技状態への移行を阻止することが可能になる。
その一方で、高確率遊技状態の場合、インターバル時間Tintは2秒と短いことから、時点taから4秒経過した時点tbでは、第2ラウンドが開始されている。したがって、図36の(b−2)に示すように、流路切り替え部216Cが作動し、流路140を通ってきた遊技球は、経路143ではなく経路142に向かう(第2流路状態)。このため、流路140の遊技球は、経路142に向かい、特定領域スイッチ215Cを通過することができる。
このように、第1ラウンドで最後に第2大入賞口スイッチ215Bに検出された遊技球は、第2ラウンドで特定領域スイッチ215Cに検出される。これにより、大当たり遊技中の特定領域スイッチ215C通過を容易に実行することが可能になる。
第2の実施の形態では、最終ラウンド以外のラウンドで第2大入賞口128に入球した遊技球を、高確率遊技状態の場合には次のラウンドで第2大入賞口128の特定領域に通過可能にし、低確率遊技状態の場合には通過不可能にする。
〔第2の実施の形態における変形例〕
なお、流路切り替え部216C(図3参照)が作動するラウンドは、第2ラウンドに限られず、第2ラウンドよりも後のラウンドとすることが考えられる。また、流路切り替え部216C(図3参照)が作動するラウンドは、1つに限られず、第1ラウンド以降の複数のラウンドとすることが考えられる。
また、第2大入賞口スイッチ215Bを通過した遊技球が切り替え蓋141の位置に到達するまでの通路は、図36に示す直線状の傾斜面とする構成に限られず、例えばスパイラル状の通路として流下時間Trを担保する例が考えられる。
〔上述した実施の形態等における技術的特徴の説明〕
上述したような本実施の形態、第1の実施の形態および第2の実施の形態における構成や制御を採用することで、種々の技術的特徴を有する。かかる技術的特徴の各々は、従来とは異なる遊技性を実現することが可能な遊技機を提供するという課題を解決し得る。
◆すなわち、本実施の形態に係る遊技機(例えばパチンコ遊技機100)は、
所定の場合に開放することで入賞容易な第1の可変入賞装置(例えば第2始動口スイッチ212および電動チューリップ123)と、
開動作により入賞容易になる所定遊技を行う第2の可変入賞装置(例えば第1大入賞口125、第2大入賞口128)と、
前記第1の可変入賞装置(例えば第2始動口スイッチ212および電動チューリップ123)への入賞に対応して前記第2の可変入賞装置(例えば第1大入賞口125、第2大入賞口128)による前記所定遊技を行うか否かを判定し、かつ、当該判定において当該所定遊技を行うこととなる確率は当該所定遊技を行わないこととなる確率よりも高い、判定手段(例えば特別図柄判定部234)と、
を備えることを特徴とするものである。
また、本実施の形態に係る遊技機(例えばパチンコ遊技機100)は、
遊技領域(例えば遊技領域111)に設けられた所定の領域(例えばゲート124)を遊技球が通過する場合、所定条件を満たすときに開動作して入賞が容易になる可変入賞装置(例えば第1大入賞口125、第2大入賞口128または、第2始動口スイッチ212および電動チューリップ123)と、
前記可変入賞装置(例えば第1大入賞口125、第2大入賞口128または、第2始動口スイッチ212および電動チューリップ123)の前記開動作を行うか否かを判定し、かつ、当該判定において当該開動作を行うこととなる確率は当該開動作を行わないこととなる確率よりも高い、判定手段(例えば特別図柄判定部234)と、
前記判定手段(例えば特別図柄判定部234)による判定結果が前記開動作を行うことである場合に前記所定の領域(例えばゲート124)に向けた遊技球の発射を促す報知を行う報知手段(例えば画像表示部114)と、
を備えることを特徴とするものである。
◆また、本実施の形態に係る遊技機(例えばパチンコ遊技機100)は、
遊技領域(例えば遊技領域111)に設けられた所定の領域(例えばゲート124)に遊技球が通過する場合、所定条件を満たすときに開動作して入賞が容易になる可変入賞装置(例えば第1大入賞口125、第2大入賞口128または、第2始動口スイッチ212および電動チューリップ123)と、
前記可変入賞装置(例えば第1大入賞口125、第2大入賞口128または、第2始動口スイッチ212および電動チューリップ123)の前記開動作を行うか否かを判定し、かつ、当該判定において当該開動作を行うこととなる確率は当該開動作を行わないこととなる確率よりも高い、判定手段(例えば特別図柄判定部234)と、
前記判定手段(例えば特別図柄判定部234)による判定結果が前記開動作を行うことである場合、前記所定の領域(例えばゲート124)を遊技球が通過するのを困難にする状態から容易にする状態に切り替わる可動体(例えば図1の右可動体170)と、
を備えることを特徴とするものである。
◆また、本実施の形態に係る遊技機(例えばパチンコ遊技機100)は、
所定条件を満たすときに入賞が容易になる可変入賞装置(例えば第2始動口スイッチ212および電動チューリップ123)と、
遊技球が検知される場合に遊技状態が通常の遊技状態とは異なる所定の遊技状態に設定される当該検知が困難な状態と開動作により容易な状態とに切り替え可能な役物(例えば第2大入賞口128)と、
前記可変入賞装置(例えば第2始動口スイッチ212および電動チューリップ123)の入賞に対応する図柄の確定から前記役物(例えば第2大入賞口128)の前記開動作が開始するまでの時間(例えばオープニング時間Top)を遊技状態に応じて変更する変更手段(例えば大入賞口動作制御部237)と、
を備えることを特徴とするものである。
◆また、本実施の形態に係る遊技機(例えばパチンコ遊技機100)は、
開動作により入賞容易になる可変入賞装置(例えば第2大入賞口128)と、
前記可変入賞装置(例えば第2大入賞口128)に設けられた所定の領域(例えば図2−2の特定領域スイッチ215C)を遊技球が通過する場合、遊技状態を通常の遊技状態とは異なる所定の遊技状態になるように設定する設定手段(例えばCPU201)と、
前記可変入賞装置(例えば第2大入賞口128)により前記開動作が複数回行われる場合、少なくとも所定回の開動作と次の開動作との間の時間(例えばインターバル時間Tint)を遊技状態に応じて変更する変更手段(例えばCPU201)と、
を備えることを特徴とするものである。
なお、本実施の形態では、遊技制御部200の主制御処理において、主制御処理の各処理で生成されたコマンドを最後にまとめて演出制御部300へ出力する動作について説明した(図5−3参照)。
また、本実施の形態では、電源復帰時に、遊技制御部200により初期的に実行される基本処理において、設定の初期化を指示するコマンド等を演出制御部300へ出力するために、主制御処理で用いられる出力制御部240の機能(サブルーチン)を呼び出して実行することについて説明した(図5−1参照)。
また、本実施の形態では、遊技制御部200から演出制御部300へ出力されるコマンドを「コード部」と「データ部」とで構成し、各々の先頭ビットに識別用のフラグを設けることについて説明した(図19−1参照)。
また、本実施の形態では、遊技制御部200から演出制御部300へ出力されるコマンドの「コード部」の一部を、データ値を記述するために用いる構成について説明した。
〔本実施の形態の技術的特徴〕
◆上記のように、本実施の形態では、遊技制御手段の動作を制御する制御命令の増加を削減するため、遊技制御部200により所定の時間間隔で繰り返し実行される主制御処理において、1サイクルの主制御処理の最後に、その1サイクルの実行で生成されたコマンドをまとめて、演出制御部300へ出力することとした。すなわち、上記の目的を達成する遊技機は、遊技の進行に応じて演出を行う遊技機(例えば、パチンコ遊技機100)であって、遊技の進行に関する一連の処理である主制御処理を所定の条件にしたがって繰り返し実行し、当該主制御処理を実行して得られた遊技に関する情報を含むデータを生成する遊技制御手段(例えば、遊技制御部200)と、一連の前記主制御処理を1サイクル実行する度に、当該1サイクルの実行により生成された前記データを、当該1サイクルの実行における最後のデータの生成が行われた後に出力する出力手段(例えば、出力制御部240)と、前記出力手段(例えば、出力制御部240)から出力されたデータを受け付け、受け付けたデータに基づき演出を行う演出制御手段(例えば、演出制御部300)と、を備える。
このようにすれば、生成されたデータごとに出力処理を行う必要がないため、出力処理を行うための制御命令を削減し、プログラムサイズの増大を抑制することができる。また、データが生成される度に出力処理を行う必要がないため、出力処理全体に要する時間を短縮することができる。
また、より詳細には、上記の遊技機において、前記主制御処理で生成されたデータを、データごとに設定された記憶領域(例えば、コマンド格納領域)に記憶する記憶手段(例えば、RAM203)をさらに備え、前記遊技制御手段(例えば、遊技制御部200)は、前記主制御処理において生成した前記データを、生成したデータに対応付けられた前記記憶領域(例えば、コマンド格納領域)に記憶させ、前記出力手段(例えば、出力制御部240)は、前記記憶手段(例えば、RAM203)の各記憶領域に対してデータが記憶されているか否かを調べ、データが記憶されている記憶領域からデータを読み出して出力する。
このようにすれば、出力処理を行う度に、各記憶領域を確認して、記憶されているデータを出力するので、データ出力の漏れを防止することができる。
◆また、上記の目的を達成する他の遊技機は、遊技の進行に応じて演出を行う遊技機(例えば、パチンコ遊技機100)であって、遊技の進行に関する一連の処理である主制御処理を所定の条件にしたがって繰り返し実行し、当該主制御処理とは異なる条件にしたがって当該主制御処理とは異なる特別処理を実行する遊技制御手段(例えば、遊技制御部200)と、前記遊技制御手段(例えば、遊技制御部200)から出力されたデータを受け付け、前記データに基づき演出に関わる処理を行う演出制御手段(例えば、演出制御部300)と、を備え、前記主制御処理において前記遊技制御手段(例えば、遊技制御部200)による処理は、遊技の進行に基づく処理を行うと共に、当該処理を実行して得られた情報を含むデータを生成する1または複数の第1の処理手段(例えば、遊技制御部200)を呼び出して実行する部分と、前記第1の処理手段(例えば、遊技制御部200)の実行により生成されたデータを前記演出制御手段(例えば、演出制御部300)へ出力する第2の処理手段(例えば、出力制御部240)を呼び出して実行する部分と、を含み、前記特別処理において前記遊技制御手段(例えば、遊技制御部200)による処理は、遊技機(例えば、パチンコ遊技機100)の設定を行う設定処理を実行する部分と、前記設定処理において生成されたデータを、前記主制御処理における前記第2の処理手段(例えば、出力制御部240)を呼び出して、前記演出制御手段(例えば、演出制御部300)へ出力する部分と、を含む、構成とすることができる。
このようにすれば、特別処理で生成されたデータの出力処理を行うために個別の制御命令を用意する必要がないため、出力処理を行うための制御命令を削減し、プログラムサイズの増大を抑制することができる。
また、より詳細には、上記の遊技機において、前記主制御処理で生成されたデータを、データごとに設定された記憶領域に記憶する記憶手段(例えば、RAM203)をさらに備え、前記主制御処理における前記第1の処理手段(例えば、遊技制御部200)は、処理の実行により生成した前記データを、生成したデータに対応付けられた前記記憶領域(例えば、コマンド格納領域)に順次記憶させ、前記主制御処理における前記第2の処理手段(例えば、出力制御部240)は、前記記憶手段(例えば、RAM203)の各記憶領域に対してデータが記憶されているか否かを調べ、データが記憶されている記憶領域からデータを読み出して出力し、前記特別処理における前記設定処理では、前記設定処理において生成されたデータを、前記記憶手段(例えば、RAM203)における所定の前記記憶領域に記憶させる。
このようにすれば、出力処理を行う度に、各記憶領域を確認して、記憶されているデータを出力するので、データ出力の漏れを防止することができる。
◆また、本実施の形態では、遊技制御手段から演出制御手段へのデータ伝送の精度を向上させるため、第1データ部である「コード」の所定のビットと、第2データ部である「データ」の所定のビットを、「コード」と「データ」とを識別するためのフラグとして用いた。すなわち、上記の目的を達成する遊技機は、遊技の進行に応じて演出を行う遊技機(例えば、パチンコ遊技機100)であって、遊技の進行に関する主制御処理を実行し、当該主制御処理を実行して得られた遊技に関する情報を含むデータを生成して出力する遊技制御手段(例えば、遊技制御部200)と、前記遊技制御手段(例えば、遊技制御部200)から出力されたデータを受け付け、受け付けたデータに基づき演出に関わる処理を行う演出制御手段(例えば、演出制御部300)と、を備え、前記遊技制御手段(例えば、遊技制御部200)により生成される前記データは、aビット(aは2以上の整数)のサイズで、先頭の1ビットの値が1または0の何れか一方に特定されている第1データ部(例えば、「コード」)と、n×aビット(nは1以上の整数)のサイズで、先頭の1ビットの値が前記第1データ部(例えば、「コード」)の先頭の1ビットの値とは異なる値に特定されている第2データ部(例えば、「データ」)と、を含む、構成とすることができる。
このようにすれば、先頭の1ビットの値を認識することにより、第1データ部と第2データ部とを明確に区別することができるため、遊技制御手段から演出制御手段へのデータ伝送の精度を向上させることができる。
また、より好ましくは、上記の遊技機において、前記遊技制御手段(例えば、遊技制御部200)により生成される前記データの前記第2データ部(例えば、「データ」)は、先頭からaビットごとに、先頭の1ビットの値と同じ値が設定される。
このようにすれば、第2データ部のサイズが大きい場合でも、特定のサイズごとに切り分けて、各々が第2データ部であることを識別することが容易となる。
◆また、本実施の形態では、実行対象の変動パターンを特定するコマンドを送信する場合のように、大きなサイズのデータを送る必要がある場合にも、遊技制御手段から演出制御手段へ送られるデータ全体のサイズの増大を抑制するため、第1データ部である「コード」の所定のビットをデータ値を記述するために用い、「コード」の一部と第2データ部である「データ」とでデータ値を記述する手法を提案した。すなわち、上記の目的を達成する遊技機は、遊技の進行に応じて演出を行う遊技機(例えば、パチンコ遊技機100)であって、遊技の進行に関する主制御処理を実行し、当該主制御処理を実行して得られた遊技に関する情報を含むデータを生成して出力する遊技制御手段(例えば、遊技制御部200)と、前記遊技制御手段(例えば、遊技制御部200)から出力されたデータを受け付け、当該データに基づき演出に関わる処理を行う演出制御手段(例えば、演出制御部300)と、を備え、前記遊技制御手段(例えば、遊技制御部200)により生成される前記データは、aビット(aは3以上の整数)のサイズで、先頭の1ビットの値が1または0の何れか一方に特定されている第1データ部(例えば、「コード」)と、n×aビット(nは1以上の整数)のサイズで、先頭の1ビットの値が前記第1データ部(例えば、「コード」)の先頭の1ビットの値とは異なる値に特定されている第2データ部(例えば、「データ」)と、を含み、前記第1データ部(例えば、「コード」)を構成する所定のビットと、前記第2データ部(例えば、「データ」)を構成するビットとを用いて、所定の種類のデータが記録され、当該第1データ部(例えば、「コード」)における当該所定のビットを除く残りのビットを用いて、当該所定の種類のデータとは異なる他の種類のデータが記録される構成とすることができる。
また、上記の目的を達成する他の本発明による遊技機は、遊技の進行に応じて演出を行う遊技機(例えば、パチンコ遊技機100)であって、遊技の進行に関する主制御処理を実行し、当該主制御処理を実行して得られた遊技に関する情報を含むデータを生成して出力する遊技制御手段(例えば、遊技制御部200)と、前記遊技制御手段(例えば、遊技制御部200)から出力されたデータを受け付け、当該データに基づき演出に関わる処理を行う演出制御手段(例えば、演出制御部300)と、を備え、前記遊技制御手段(例えば、遊技制御部200)により生成される前記データは、aビット(aは3以上の整数)のサイズで、先頭の1ビットの値が1または0の何れか一方に特定されている第1データ部(例えば、「コード」)と、aビットのサイズで、先頭の1ビットの値が前記第1データ部(例えば、「コード」)の先頭の1ビットの値とは異なる値に特定されている第2データ部(例えば、「データ」)と、を含み、前記第1データ部(例えば、「コード」)を構成するbビット(bはa−1よりも小さく、1以上の整数)と、前記第2データ部(例えば、「データ」)を構成するaビットとを用いて、(a+b)ビットのサイズのデータが記録される構成とすることができる。
上記のような構成とすれば、第1データ部および第2データ部の合計サイズを変えることなく、第2データ部に記録されるべきデータのサイズを、より大きくすることが可能となるため、遊技制御手段から演出制御手段へ大きなサイズのデータを送る場合に、伝送されるデータ全体のサイズの増大を抑制することができる。
なお、パチンコ遊技機100(図1参照)は遊技機の一例である。遊技制御部200(図3参照)は遊技制御手段の一例である。演出制御部300(図3参照)は演出制御手段の一例である。出力制御部240(図4参照)は出力手段の一例である。RAM203(図3参照)は記憶手段の一例である。コマンド格納領域は記憶領域の一例である。