JP2018072807A - 防眩性反射防止フィルム及びそれを備えた画像表示装置 - Google Patents

防眩性反射防止フィルム及びそれを備えた画像表示装置 Download PDF

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将幸 村瀬
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Abstract

【課題】視感反射率を抑制して人間が実際に感じるディスプレイ画像の視認性の向上と良好な耐擦傷性を両立できる防眩性反射防止フィルムを提供する。【解決手段】透明基材フィルム上に、防眩性ハードコート層、高屈折率層、低屈折率層がこの順で積層されている。防眩性ハードコート層の屈折率(nAG)は1.49〜1.65であり、低屈折率層の屈折率は1.29〜1.37、膜厚は0.06〜0.12μmである。そのうえで、高屈折率層の屈折率をnH、膜厚をdHとした場合、下記条件(1)・(2)も満たす。その結果、フィルムの視感反射率RSCIは1.0%以下となる。0.03≦nH−nAG≦0.20・・・(1)0.12μm≦dH≦0.30μm・・・(2)【選択図】なし

Description

本発明は、例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、タッチパネルディスプレイ、及びカーナビゲーションシステム等の画像表示側の最表面に貼付して用いられる、画像表示装置用の防眩性反射防止フィルム、及びそれを備える画像表示装置に関する。
従来から、液晶ディスプレイ、タッチパネルディスプレイ、及びカーナビゲーションシステム等の各種画像表示装置では、画面(ディスプレイ)に外部からの光が映り込み、表示画像が見づらくなるという欠点があった。このため、ディスプレイ表面には、外部からの光を拡散させるために防眩性フィルムが配置されている。特に近年、ディスプレイの高精細化が進んでいる。これに伴って、これまでの防眩性フィルムよりも、より外光の映り込みを防止する必要性が高まってきている。
このような画像表示装置用の防眩性反射防止フィルムとして、例えば特許文献1が開示されている。特許文献1では、画像の黒濃度を良好にし、ヘイズ値を抑え、且つ画像の視認性を向上させることを目的として、透明基材フィルムに、防眩性ハードコート層、高屈折率層、低屈折率層をこの順で積層した防眩性反射防止フィルムにおいて、防眩性ハードコート層を、活性エネルギー線硬化型樹脂、光重合開始剤、及び平均粒子径が6μm以上30μm未満の透光性有機微粒子を含有する防眩性ハードコート層形成用組成物により形成している。そのうえで、活性エネルギー線硬化型樹脂の硬化物の屈折率n1と透光性有機微粒子の屈折率n2が0≦|n1―n2|<0.020の関係を満たし、且つ防眩性ハードコート層の膜厚(A)に対する透光性有機微粒子の平均粒子径(a)の比a/Aを0.2〜1.0としている。また、防眩性反射防止フィルムに入射角45°で入射した光が表面で反射する変角光度において、反射角45°での反射光度をR(45°)、反射角53°での反射光度をR(53°)としたとき、R(53°)/R(45°)の値が0以上0.04未満であり、表面反射の積分球最小反射率が0〜1.8%となっている。
また、タッチパネル方式の入力操作ができるディスプレイが発達したことで、指入力が可能となっている。このように指入力が可能となったことで、近年ではディスプレイ表面の耐擦傷性を高める必要性も高まってきている。
特開2010−78698号公報
上述のように、画像の視認性、特に黒濃度をはじめとする色再現性を向上するには、ディスプレイにおける反射率を低下させる必要がある。そこで特許文献1では、ディスプレイ表面に防眩性反射防止フィルムを配して反射率を低下させることで、良好な画像視認性を達成している。しかし、ここでの反射率は「積分球最小反射率」を基準にしている。この場合、積分球最小反射率が低くても、その最小反射率波長が人間の視感度から大きく外れていると、結局人間の目は反射する光を眩しく感じてしまうことがある。したがって、「積分球最小反射率」を基準にした場合は、必ずしも人間が実際に感じる画像視認性には合致しないおそれがある。
これに対し、反射率の基準として、人間の視感度を反射率に重み付けして算出した「視感反射率」もある。これは、人間が感じる反射光の強さをそのまま表現した定量値に相当する。したがって、人間が実際に感じる画像視認性を確実に向上させるには、視感反射率(RSCI)を基準に設計する必要がある。特許文献1では、視感反射率については着目していない。
また、この種の防眩性反射防止フィルムには耐擦傷性も求められるが、特許文献1では、当該耐擦傷性についても着目していない。
そこで、本発明の目的とするところは、視感反射率を抑制して人間が実際に感じる画像の視認性を確実に向上できると共に、耐擦傷性も良好な防眩性反射防止フィルムと、これを備える画像表示装置を提供することにある。
そのための手段として、本発明は次の手段を採る。
[1]透明基材フィルム上に、防眩性ハードコート層、高屈折率層、低屈折率層がこの順で積層されており、
前記防眩性ハードコート層の屈折率(nAG)が1.49〜1.65であり、
前記低屈折率層の屈折率が1.29〜1.37、膜厚が0.06〜0.12μmであり、
前記高屈折率層の屈折率をnH、膜厚をdHとした場合、下記条件(1)・(2)を満たす、防眩性反射防止フィルム。
0.03≦nH−nAG≦0.20・・・(1)
0.12μm≦dH≦0.30μm・・・(2)
[2]視感反射率RSCIが1.0%以下である、[1]に記載の防眩性反射防止フィルム。
[3]ディスプレイの画像を表示する側の最表面に、[1]または[2]に記載の防眩性反射防止フィルムを備えている、画像表示装置。
なお、視感反射率RSCIとは、XYZ表色系のY値(三刺激値)の反射率であり、JIS Z 8701に準じて測定される反射率である。また、本発明ないし明細書において数値範囲を示す「○○〜××」とは、特に明示しない限り「○○以上××以下」を意味する。
本発明では、防眩性を有し、反射光の強度が低減されることで、反射防止効果が得られる。さらに、視感反射率RSCIが1.0%以下となり、画像の視認性が向上する。特に、視感反射率は人間が感じる反射光の強さをそのまま表現した定量値に相当するので、人間が実際に感じる画像視認性を確実に向上することができる。
本発明の防眩性反射防止フィルム(以下、単に防眩性フィルムともいう)は、透明基材フィルム上(一方面)に、防眩性ハードコート層、高屈折率層、及び低屈折率層が、透明基材フィルム側からこの順で積層されてなる。この防眩性フィルムは、画像表示装置におけるディスプレイの画像を表示する側の最表面に配置される。画像表示装置としては、特に高精細な液晶ディスプレイ、タッチパネルディスプレイ、有機ELディスプレイ、又はカーナビゲーションシステムが挙げられる。
[透明基材フィルム]
透明基材フィルムを形成する材料は、透明性が良好で光透過性に優れているものであれば特に限定されず、この種のフィルムにおいて従来から使用されている公知の材料を使用できる。例えば、トリアセチルセルロース(TAC),ジアセチルセルロース,プロピオニルセルロース,ブチリルセルロース,アセチルプロピオニルセルロース,ニトロセルロース等の誘導体,ポリエチレンテレフタレート(PET),シクロオレフィンポリマー(COP),シクロオレフィンコポリマー(COC),ポリカーボネート(PC),ポリメチルメタクリレート(PMMA)などからなる単層又は二層シートを使用できる。中でも、光学異方性がなく光透過率が良い点から、トリアセチルセルロース(TAC)が好ましい。
透明基材の厚さは通常10〜500μmである。この厚さが薄すぎると、防眩性フィルムの取扱性が悪くなると共に、その強度も低下する傾向にある。一方、厚さが大きすぎると、不必要に厚くなって防眩性フィルムの取扱性も悪くなる。
[防眩性ハードコート層]
防眩性ハードコート層は、ハードコート層として所要の強度及び硬度を有していると共に、その表面に凹凸を有する。この表面凹凸に外光が反射して拡散される(表面拡散性)ことで、防眩性を発現する。防眩性ハードコート層は、少なくとも活性エネルギー線硬化型樹脂と、光重合開始剤と、透光性有機微粒子とを含有する防眩性ハードコート層用組成物を硬化して形成される。
防眩性ハードコート層の屈折率(nAG)は1.49〜1.65、好ましくは1.52〜1.60とする。防眩性ハードコート層の屈折率が1.49未満あるいは1.65より大きくなると、防眩性フィルムの視感反射率RSCIが1.0を超えてしまい、ディスプレイの画像視認性が低下する。防眩性ハードコート層の膜厚は、通常10〜30μm、好ましくは15〜25μmに設定される。
(活性エネルギー線硬化型樹脂)
活性エネルギー線硬化型樹脂は防眩性ハードコート層用組成物のベース成分であり、単官能単量体、多官能単量体、ビニル基や(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマー、及びビニル基や(メタ)アクリロイル基を有する重合体の中から1種又は2種以上を使用できる。特に、柔軟性やゴム弾性といったウレタン樹脂の特徴を有し、透明基材フィルムへの追随性が良好で屈曲性に優れる硬化被膜が得られる点において、ウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。なお、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基を意味する。(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
ウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば単官能のウレタン(メタ)アクリレート、2官能のウレタン(メタ)アクリレート、3官能のウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、2官能のウレタン(メタ)アクリレート又は3官能のウレタン(メタ)アクリレートが好ましく、末端に(メタ)アクリロイル基を有する3官能のウレタン(メタ)アクリレートがより好ましい。
(光重合開始剤)
光重合開始剤は、活性エネルギー線硬化型樹脂に紫外線等の活性エネルギー線を照射して重合を開始させるためのものである。光重合開始剤としては、例えばベンゾフェノン類、アセトフェノン類、α−アミロキシムエステル、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、テトラメチルチュウラムモノサルファイド、チオキサントン類等の中から1種又は2種以上を使用できる。具体的には、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフェリノプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、ベンゾイン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ベンゾフェノン、[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、α−アミロキシムエステル、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、テトラメチルチュウラムモノサルファイド等が挙げられる。
光重合開始剤の含有量は、活性エネルギー線硬化型樹脂と光重合開始剤との合計100質量部(後述の金属酸化物微粒子も含有する場合は、活性エネルギー線硬化型樹脂と光重合開始剤と金属酸化物微粒子との合計100質量部)中、0.1〜20質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。光重合開始剤の含有量が過少では防眩性ハードコート層の硬化が不十分となり、過多では不必要に多量であって無駄になる。
(透光性有機微粒子)
透光性有機微粒子は、防眩性ハードコート層における光拡散機能、すなわち表面凹凸を積極的に形成するために含有される。透光性有機微粒子としては、スチレン−アクリル共重合樹脂、(メタ)アクリル樹脂(屈折率1.49)、塩化ビニル樹脂(屈折率1.54)、ポリスチレン樹脂(屈折率1.59)、ポリエチレン樹脂(屈折率1.53)、メラミン樹脂(屈折率1.57〜1.60)、ポリカーボネート樹脂(屈折率1.59)等から選択される1種又は2種以上の樹脂微粒子を使用できる。中でも、屈折率の調整が容易な点から(メタ)アクリル樹脂又はスチレン−アクリル共重合樹脂が好ましい。スチレン−アクリル共重合樹脂は、両単量体の共重合組成を変化させることにより屈折率を任意に調整することができる点で、より好ましい。
活性エネルギー線硬化性樹脂の硬化物の屈折率n1と透光性有機微粒子の屈折率n2との差(n1−n2)は、0≦|n1−n2|<0.02を満たすことが好ましい。この屈折率差(n1−n2)がこの範囲であれば、防眩性ハードコート層の内部における光の散乱を抑制することができ、光の透過性を向上させることができる。この屈折率差(n1−n2)が大き過ぎると、防眩性ハードコート層の内部における光の散乱が大きくなり、光の透過が阻害されて像鮮明度が悪化する。係る屈折率差を調整する場合には、主に透光性有機微粒子の種類などを特定してその屈折率を変化させることにより行われるが、活性エネルギー線硬化型樹脂に無機微粒子などの付加成分を添加し、活性エネルギー線硬化型樹脂の硬化物の屈折率を変化させる方法も、付加成分を添加することによる物性の低下が問題とならない限り可能である。
透光性有機微粒子は、防眩性ハードコート層中及びその表面における光の拡散又は散乱を均一に行うために、できるだけ粒子径の揃った単分散なものであることが好ましい。透光性有機微粒子の平均粒子径は6〜30μmが好ましく、より好ましくは6〜25μmである。透光性有機微粒子の平均粒子径が過小では、防眩性フィルム内部の界面で生じる反射光を拡散させる効果が小さくなる。一方、透光性有機微粒子の平均粒子径が過大であると、表面凹凸が大きくなり過ぎてヘイズ値が大きくなるか、これを避けるために防眩性ハードコート層の膜厚を厚くする必要があるため、膜の硬化収縮により防眩性フィルムがカールしたり、シワが発生したりするという問題が生じる。
なお、本明細書に記載の平均粒子径は、コールターカウンター法により測定された分布を粒子数分布に換算し、得られた粒子数分布から算出される値である。コールターカウンター法は、電気抵抗を利用した粒子径測定法であり、粒子が細孔を通過する際に生じる2電極間の電気抵抗の変化を測定して平均粒子径を測定する方法である。
そのうえで、防眩性ハードコート層の膜厚(A)に対する透光性有機微粒子の平均粒子径(a)の比(a/A)は、0.2〜1.0とすることが好ましく、0.3〜0.8とすることがより好ましい。この比(a/A)が過小では、透光性有機微粒子により有意な凹凸が形成され難く、防眩性が不足する。一方、(a/A)が過大であると、表面凹凸が大きくなり過ぎてヘイズ値が大きくなり、ぎらつきも強くなる。
透光性有機微粒子の配合量は、活性エネルギー線硬化型樹脂と光重合開始剤との合計100質量部(後述の金属酸化物微粒子も含有する場合は、活性エネルギー線硬化型樹脂と光重合開始剤と金属酸化物微粒子との合計100質量部)に対して、1〜20質量部が好ましく、3〜10質量部がより好ましい。透光性有機微粒子の配合量が過少では、十分な防眩性が得られ難い。一方、透光性有機微粒子の配合量が過多では、防眩性ハードコート層のヘイズ値が高くなり過ぎ、防眩性フィルムをディスプレイ表面に設置した際に、白化等が生じて画像視認性が低下する。
防眩性ハードコート層用組成物には、必須成分である活性エネルギー線硬化型樹脂、光重合開始剤、及び透光性有機微粒子の他、本発明の効果を阻害しない範囲で、その他の成分を添加することもできる。例えば、金属酸化物微粒子、界面活性剤、光増感剤、安定化剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、酸化防止剤、表面調整剤、粒子分散剤等が挙げられる。
金属酸化物微粒子は、防眩性ハードコート層の屈折率を調整するため任意に配合される。金属酸化物微粒子としては、例えばシリカ、酸化亜鉛、アンチモン酸亜鉛、酸化チタン(チタニア)、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、酸化アンチモン、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化錫等の微粒子が挙げられる。金属酸化物微粒子を配合する場合、その含有量は、活性エネルギー線硬化型樹脂と光重合開始剤と金属酸化物微粒子との合計100質量部中、所望の屈折率に応じて10〜80質量部の範囲で調整すればよい。
[高屈折率層]
高屈折率層は防眩性ハードコート層よりも屈折率が高く、低屈折率層と共に反射防止層を構成する層であって、低屈折率層との相対関係によって反射防止機能を発現するものである。高屈折率層は、ベースとなる活性エネルギー線硬化型樹脂と、光重合開始剤と、金属酸化物微粒子を含有する高屈折率層用組成物を硬化して形成される。
活性エネルギー線硬化型樹脂や光重合開始剤は、防眩性ハードコート層で使用するものと同種のものを使用すればよい。光重合開始剤の含有量は、高屈折率層用組成物中において0.1〜20質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましい。
金属酸化物微粒子は、高屈折率層の屈折率を防眩性ハードコート層よりも積極的に高めるために配合される必須成分である。この金属酸化物微粒子も、基本的には防眩性ハードコート層で使用するものと同種のものを使用すればよいが、中でもアンチモン酸亜鉛、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化ジルコニウム、酸化チタン等が、屈折率が高い点で好ましい。なお、防眩性ハードコート層にも金属酸化物微粒子が配合されている場合は、防眩性ハードコート層よりも屈折率を高めるため、防眩性ハードコート層で使用するものよりも屈折率の高い金属酸化物微粒子を使用するか、同種の金属酸化物微粒子を防眩性ハードコート層よりも多く配合する。金属酸化物微粒子の含有量は、高屈折率層用組成物中において1〜80質量%の範囲で、所望の屈折率に応じて調整すればよい。
高屈折率層の屈折率(nH)は、防眩性ハードコート層よりも高いことを前提として、1.56〜1.80とする。このとき、高屈折率層の屈折率(nH)と防眩性ハードコート層の屈折率(nAG)との差(nH−nAG)が、0.03〜0.20、好ましくは0.04〜0.15となるように設定する。両層の屈折率差(nH−nAG)が0.03未満あるいは0.20より大きくなると、防眩性フィルムの視感反射率RSCIが1.0を超えてしまい、ディスプレイの画像視認性が低下する。
高屈折率層の膜厚(dH)は、0.12〜0.30μm、好ましくは0.14〜0.25μmとする。高屈折率層の膜厚(dH)が0.12未満あるいは0.30より大きくなると、防眩性フィルムの視感反射率RSCIが1.0を超えてしまい、ディスプレイの画像視認性が低下する。
[低屈折率層]
低屈折率層は防眩性ハードコート層よりも屈折率が低く、高屈折率層と共に反射防止層を構成する層であって、高屈折率層との相対関係によって反射防止機能を発現するものである。低屈折率層は、(a)C2〜C7のパーフルオロアルキル鎖を含有する(メタ)アクリレートと、(b)アクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンと、(c)(a)成分及び(b)成分と共重合可能な重合性二重結合をもつ含フッ素化合物と、(d)中空シリカ微粒子と、(e)光重合開始剤とを含有する、低屈折率層用組成物を硬化して形成される。
((a)成分)
C2〜C7のパーフルオロアルキル鎖を含有する(メタ)アクリレートは、低屈折率層の表面を触った際の指紋の付着性を弱めることができる。C2〜C7のパーフルオロアルキル鎖を含有する(メタ)アクリレートとしては、具体的には、ダイキン工業(株)製オプツールDAC−HP,DIC(株)製メガファックRS−75等が挙げられる。C2〜C7のパーフルオロアルキル鎖を含有する(メタ)アクリレートは、低屈折率層用組成物中に3〜15質量%、好ましくは5〜10質量%含まれる。
((b)成分)
アクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンは、低屈折率層表面に付着した指紋の拭取り性を良好にすることが出来る。アクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンとしては、具体的には、ビックケミー・ジャパン(株)製BYK−UV3500,BYK−UV3530,BYK−UV3570等が挙げられる。
アクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンは、低屈折率層用組成物中に、1〜8質量%、好ましくは2〜6質量%含まれる。
((c)成分)
(a)成分及び(b)成分と共重合可能な重合性二重結合をもつ含フッ素化合物は、低屈折率層へ硬度を付与する事が出来る。この含フッ素化合物は、低屈折率層用組成物中に7〜70質量%、好ましくは6〜50質量%含まれる。含有量が7質量%未満では、低屈折率層の硬度不足により耐擦傷性が低下する。一方、70質量%を越えると、防眩性フィルムの視感反射率が低下する。
(a)成分及び(b)成分と共重合可能な重合性二重結合をもつ含フッ素化合物としては、例えば含フッ素単官能(メタ)アクリレート、含フッ素多官能(メタ)アクリレート、含フッ素イタコン酸エステル、含フッ素マレイン酸エステル等の単量体、それらの重合体、及び重合性二重結合をもつ含フッ素反応性ポリマー等が挙げられる。
含フッ素単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば1−(メタ)アクリロイロキシ−1−パーフルオロアルキルメタン、1−(メタ)アクリロイロキシ−2−パーフルオロアルキルエタン等が挙げられる。パーフルオロアルキル基は炭素数1〜8の直鎖状、分枝状又は環状のものが挙げられる。
含フッ素多官能(メタ)アクリレートとしては、含フッ素2官能(メタ)アクリレート、含フッ素3官能(メタ)アクリレート及び含フッ素4官能(メタ)アクリレートが好ましい。含フッ素2官能(メタ)アクリレートとしては、例えば1,2−ジ(メタ)アクリロイルオキシ−3−パーフルオロアルキルブタン、2−ヒドロキシ−1H,1H,2H,3H,3H−パーフルオロアルキル−2’,2’−ビス{(メタ)アクリロイルオキシメチル}プロピオナート、α,ω−ジ(メタ)アクリロイルオキシメチルパーフルオロアルカン等が挙げられる。パーフルオロアルキル基は炭素数1〜11の直鎖状、分枝状又は環状のものが、パーフルオロアルカン基は直鎖状のものが好ましい。これらの含フッ素2官能(メタ)アクリレートは、使用に際して単独又は混合物として用いることができる。
含フッ素3官能(メタ)アクリレートの例としては、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシ−1H,1H,2H,3H,3H−パーフルオロアルキル−2’,2’−ビス{(メタ)アクリロイルオキシメチル}プロピオナート等が挙げられる。パーフルオロアルキル基は炭素数1〜11の直鎖状、分枝状又は環状のものが好ましい。
含フッ素4官能(メタ)アクリレートの例としては、α,β,ψ,ω−テトラキス{(メタ)アクリロイルオキシ}−αH,αH,βH,γH,γH,χH,χH,ψH,ωH,ωH−パーフルオロアルカン等が好ましい。パーフルオロアルカン基は炭素数1〜14の直鎖状のものが好ましい。使用に際しては、含フッ素4官能(メタ)アクリレートは、単独又は混合物として用いることができる。
また、重合性二重結合をもつ含フッ素反応性ポリマーとしては、含フッ素エチレン性モノマーに由来する主鎖を有し、架橋硬化のための反応性基をもつものである。反応性基としては、(メタ)アクリロイルオキシ基、α−フルオロアクリロイルオキシ基、エポキシ基等が挙げられる。このような溶媒可溶性で重合性二重結合をもつ含フッ素反応性ポリマーは高分子量であるため、フッ素を含有しながらも成膜性が良好で、成膜後に反応性基を利用して架橋硬化することで硬化層を得ることができる。
係る重合性二重結合をもつ含フッ素反応性ポリマーは、重合性二重結合をもつ基の含有率が通常1〜20質量%、好ましくは5〜15質量%であり、また重量平均分子量が通常1,000〜500,000、好ましくは3,000〜200,000である。具体的な含フッ素反応性ポリマーとしては、下記一般式(1)で示されるパーフルオロ−(1,1,9,9−テトラハイドロ−2,5−ビストリフルオロメチル−3,6−ジオキサノネノール)を、下記一般式(2)で示される過酸化物で重合させて得られるホモポリマーに、α−フルオロアクリル酸フルオライド:CH=CFCOFを反応させて水酸基をフルオロアクリレートに置換した生成物が挙げられる。
Figure 2018072807

Figure 2018072807
((d)成分)
中空シリカ微粒子は、屈折率を積極的に低くするために配合されるものである。中空シリカ微粒子の屈折率は製法によって異なるが、1.25〜1.37であることが好ましい。中空シリカ微粒子としては、屈折率を低くするものであれば特に限定されず、公知の中空シリカ微粒子を使用できる。具体的には、日揮触媒化成(株)製アクリル修飾中空シリカ微粒子スルーリア4320等が挙げられる。
中空シリカ微粒子は、低屈折率層用組成物中に10〜85質量%、好ましくは30〜85質量%含まれる。シリカ微粒子の含有量が10質量%未満では、低屈折率層の屈折率を有意に下げることができず、防眩性フィルムの視感反射率が低下する。一方、シリカ微粒子の含有量が85質量%より多いと塗膜強度が弱くなるため、防眩性フィルムの耐擦傷性が低下する。
((e)成分)
光重合開始剤としては、防眩性ハードコート層や高屈折率層で使用するものと同種のものを使用できる。光重合開始剤は、低屈折率層用組成物中に1〜10質量%、好ましくは2.5〜7.5質量%含まれる。なお、上記(a)〜(e)成分の合計含有量は100質量%である。
低屈折率層の屈折率(nL)は、防眩性ハードコート層よりも低いことを前提として、1.29〜1.37とする。低屈折率層の屈折率(nL)が1.29より小さいと、防眩性反射防止フィルムの耐擦傷性が低下する。一方、1.37を超えると防眩性フィルムの視感反射率RSCIが1.0を超えてしまい、ディスプレイの画像視認性が低下する。
低屈折率層の膜厚(dL)は、0.06〜0.12μm、好ましくは0.08〜0.10μmとする。低屈折率層の膜厚(dL)が0.06μm未満あるいは0.12μmより大きくなると、防眩性フィルムの視感反射率RSCIが1.0を超えてしまい、ディスプレイの画像視認性が低下する。
〔ハードコート層、高屈折率層、及び低屈折率層の形成〕
ハードコート層、高屈折率層、及び低屈折率層を形成するには、各層用の組成物を塗布し、活性エネルギー線を照射して硬化させることにより硬化させる方法を採用することができる。
各層用の組成物を塗布する際は、粘度を調整するため必要に応じて希釈溶剤によって希釈される。希釈溶剤としては、例えばトルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、エチルセルソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシブタノール等が挙げられる。
特に、防眩性ハードコート層に関しては、防眩性ハードコート層の表面を欠陥がなく均一な表面とするために、透光性有機微粒子に対する非膨潤性溶剤を使用することが好ましい。非膨潤性溶剤とは、透光性有機微粒子を膨潤させない溶剤であり、具体的にはアルコール系溶剤が挙げられる。
塗布方法としては、生産性や生産コストの面より、特にウェットコーティング法が好ましい。ウェットコーティング法は公知の方法でよく、例えばロールコート法、スピンコート法、ディップコート法、ハケ塗り法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ダイコート法、グラビアコート法、カーテンフローコート法、リバースコート法、キスコート法、コンマコート法など、公知のいかなる方法も採用される。塗布するに際しては、密着性を向上させるために、予め透明基材フィルム表面にコロナ放電処理等の前処理を施すことも好ましい。
活性エネルギー線の照射に用いられる活性エネルギー線源としては、例えば高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、窒素レーザ、電子線加速装置、放射性元素等の線源が使用される。活性エネルギー線の照射量は、紫外線の波長365nmでの積算光量として、50〜5000mJ/cmであることが好ましい。照射量が50mJ/cm未満のときには、防眩性ハードコート層形成用組成物の硬化が不十分となるため好ましくない。一方、5000mJ/cmを超えるときには、活性エネルギー線硬化型樹脂が着色する傾向を示すため好ましくない。
[画像表示装置]
以上のように構成される防眩性反射防止フィルムは、画像表示装置における液晶ディスプレイやタッチパネルディスプレイ、有機ELディスプレイ等のディスプレイの画像を表示する側の最表面に配置されて用いられる。これにより防眩性及び反射防止性を発揮でき、画像の視認性が向上する。特に、高精細なディスプレイにおいてその効果が大きい。ここで、高精細とは、画像を形成する画素が小さく、表示される画像の解像度が高いものをいう。具体的には、画像1インチ当たりの画素密度が150ppi(Pixel Per Inch)以上である。係るディスプレイを備える画像表示装置は、防眩性反射防止フィルムを備えることによって、外景の写り込みが抑えられ、良好な画像視認性を有する。
画像表示装置のディスプレイとして具体的には、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ、テレビジョン、携帯電話、携帯端末機、ゲーム機、自動現金引出し預け入れ装置、現金自動支払機、自動販売機、カーナビゲーション装置、セキュリティーシステム端末機等における画像を表示するディスプレイが挙げられる。
ディスプレイとしては、液晶ディスプレイやタッチパネルディスプレイや有機ELディスプレイ以外にも、プラズマディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、プロジェクションディスプレイ、電子ペーパー、CRT(ブラウン管)等に用いられるトナー系ディスプレイ等が挙げられる。さらには、ディスプレイとして展示用ディスプレイ、例えばショウケース、ショウウィンドウ等のガラスケースやプラスチックケースに適用することも可能である。
以下に、製造例、実施例及び比較例を挙げて本発明の具体例について説明する。
(防眩性ハードコート用組成物:AG1の調製)
活性エネルギー線硬化型樹脂としてウレタンアクリレート〔分子量1400、60℃における粘度が2500〜4500Pa・s、日本合成化学工業(株)製、「紫光UV7600B」〕95質量部、光重合開始剤〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、「イルガキュア184(I−184)」〕5質量部、透光性有機微粒子として架橋アクリル−スチレン共重合樹脂の微粒子〔積水化成品(株)製「SSX−108LXE」(粒子径の揃った単分散な微粒子)、平均粒子径8.0μm、屈折率1.545〕5質量部からなる防眩性ハードコート用組成物に、希釈溶剤としてメチルエチルケトン95質量部を混合した。
(AG2〜AG5の調製)
表1に示す材料を表1に示す割合で混合し、AG1と同様に調製した。なお、表1に示す金属酸化物微粒子の量は、固形分換算値である。また、表1に示す各材料の詳細は、次のとおりである。
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 日本化薬(株)製「KAYARAD DPHA」
シリカ微粒子:日産化学工業(株)製「MIBK−ST」(メチルイソブチルケトン分散シリカゾル)
酸化ジルコニウム:シーアイ化成(株)製「ZRMEK25%−F47」(酸化ジルコニウム微粒子分散液)
XX−22V:架橋アクリル−スチレン共重合樹脂の微粒子〔積水化成品(株)製「XX22V」、粒子径の揃った単分散な微粒子、平均粒子径8.0μm、屈折率1.525〕
スルーリア2320:日輝触媒化成工業(株)製「スルーリア2320」、粒子径が50nmの中空シリカ微粒子
OD2H2A:下記一般式(3)で示される1,10−ジアクリロイルオキシ−2,9−ジヒドロキシ−4,4,5,5,6,6,7,7−オクタフルオロデカン
Figure 2018072807
得られたAG1〜AG5の組成物について、その硬化後の屈折率を次のようにして測定した。その結果も表1に示す。
<屈折率の測定>
(1)TACフィルム〔商品名「TD80UL」、富士フイルム(株)製〕上に、バーコーターにより、各層用塗液をそれぞれ乾燥硬化後の膜厚で100〜1000nmになるように層の厚さを調整して塗布した。乾燥後、紫外線照射装置〔岩崎電気(株)製〕により窒素雰囲気下で120W高圧水銀灯を用いて、400mJ/cmの紫外線を照射して硬化し、屈折率測定用フィルムを作製した。
(2)作製したフィルムの裏面をサンドペーパーで荒らし、黒色塗料で塗りつぶしたものを反射分光膜厚計〔「FE−3000」、大塚電子(株)製〕により、反射スペクトルを測定した。
(3)反射スペクトルより読み取った反射率から、下記に示すn-Cauchyの波長分散式(式1)の定数を求め、光の波長589nmにおける屈折率を求めた。
N(λ)=a/λ4+b/λ2+c(式1)
なお、防眩性ハードコート層の屈折率は、防眩性ハードコート層を構成する組成物のうち、透光性有機微粒子を除く組成物を硬化して硬化膜を形成し、その硬化膜の反射スペクトルを測定することで算出した。
Figure 2018072807
(高屈折率層用組成物:H1の調製)
活性エネルギー線硬化型樹脂としてウレタンアクリレート〔分子量1400、60℃における粘度が2500〜4500Pa・s、日本合成化学工業(株)製、「紫光UV7600B」〕50質量%、光重合開始剤〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、「イルガキュア184(I−184)」〕5質量%、及びアンチモン酸亜鉛〔日産化学工業(株)製「セルナックスCX−603M−F2」アンチモン酸亜鉛微粒子分散液〕45質量%(固形分換算)からなる高屈折率層用組成物に、希釈溶剤としてIPAを固形分濃度が10%となるように混合した。
(H2〜H5の調製)
表2に示す材料を表2に示す割合で混合し、H1と同様に調製した。なお、表2に示す配合量は、固形分換算値である。また、表2にのみ示す各材料の詳細は、次のとおりである。
アンチモン酸亜鉛:日産化学工業(株)製「セルナックスCX−603M−F2」(アンチモン酸亜鉛微粒子分散液)
酸化チタン:シーアイ化成(株)製「RTTMIBK15WT%−N24」(酸化チタン微粒子分散液)
得られたH1〜H5の組成物について、その硬化後の屈折率をAG層用組成物と同様に測定した。その結果も表2に示す。
Figure 2018072807
((c)含フッ素化合物δ1の製造)
四つ口フラスコにパーフルオロ−(1,1,9,9−テトラハイドロ−2,5−ビスフルオロメチル−3,6−ジオキサノネノール)104質量部と、ビス(2,2,3,3,4,45,5,6,6,7,7−ドデカフルオロヘプタノイル)パーオキサイドの8質量%パーフルオロヘキサン溶液11質量部を入れた。そして、その中空部を窒素置換した後、窒素気流下20℃で24時間撹拌して高粘度の固体を得た。得られた固体をジエチルエーテルに溶解させたものをパーフルオロヘキサンに注ぎ、分離後に真空乾燥させてヒドロキシル基含有含フッ素アリルエーテル重合体である無色透明なポリマーを得た。
このポリマーを19F−NMR(核磁気共鳴スペクトル)、H−NMR、IR(赤外線吸収スペクトル)により分析したところ、ヒドロキシル基含有含フッ素アリルエーテル重合体である無色透明なポリマーの構造単位からなる側鎖末端に水酸基を有する含フッ素ポリマーであった。GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)により測定した数平均分子量は72,000、重量平均分子量は118,000あった。
得られたヒドロキシル基含有含フッ素アリルエーテルポリマー5質量部と、メチルエチルケトン(MEK)43質量部、ピリジン1質量部を四つ口フラスコ中に仕込み、5℃以下に氷冷した。そして、窒素気流下で撹拌しながらα−フルオロアクリル酸フルオライド1質量部を、MEK9質量部に溶解したものを10分間かけて滴下した。これにより、(a)成分及び(b)成分と共重合可能な重合性二重結合をもつ含フッ素化合物δ1の溶液を得た。
(低屈折率層用組成物:L1の調製)
イソプロピルアルコール(IPA)を溶媒として、固形分濃度が5質量%となるように、(a)C2〜C7のパーフルオロアルキル鎖を含有する(メタ)アクリレート〔信越化学工業(株)製「DAC−HP」〕5.0質量%と、(b)アクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサン〔ビックケミー・ジャパン(株)製「BYKUV−3570」〕4.0質量%と、(c)含フッ素化合物(δ1)を固形分換算で43.0質量%と、(d)粒子径が60nmの中空シリカ微粒子〔日輝触媒化成工業(株)製「スルーリア4320」〕43.0質量%と、(e)光重合開始剤〔BASFジャパン(株)製「イルガキュア907(I−907)」〕5質量%とを混合して得た。
(L2〜L7の調製)
表3に示す材料を表3に示す割合で混合し、L1と同様に調製した。なお、表3に示す配合量は、固形分換算値である。また、表3にのみ示す各材料の詳細は、次のとおりである。
スルーリア2320:日輝触媒化成工業(株)製「スルーリア2320」、粒子径が50nmの中空シリカ微粒子
OD2H2A:前記一般式(3)で示される1,10−ジアクリロイルオキシ−2,9−ジヒドロキシ−4,4,5,5,6,6,7,7−オクタフルオロデカン
得られたL1〜L7の組成物について、その硬化後の屈折率をAG層用組成物と同様に測定した。その結果も表3に示す。
Figure 2018072807
(実施例1)
防眩性ハードコート層用組成物AG1に、酢酸エチル(EtOAc)35質量部、及び2−プロパノール〔IPA〕22質量部を混合して調製し、防眩性ハードコート層形成用塗液を調製した。この防眩性ハードコート層形成用塗液を、透明基材フィルムとして厚さ80μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム上にロールコーターにて乾燥膜厚が18μmとなるように塗布し、80℃で2分間乾燥した。その後、120W高圧水銀灯〔日本電池(株)製〕により紫外線を照射し(積算光量400mJ/cm)、硬化させて防眩性ハードコート層を形成した。
この防眩性ハードコート層上に、高屈折率層用組成物H1を乾燥膜厚0.16μmとなるように塗布した後、窒素雰囲気下で120W高圧水銀灯〔アイグラフィックス社製〕により紫外線を照射し(積算光量400mJ/cm)、硬化させて高屈折率層を形成した。
さらに、この高屈折率層上に低屈折率層用組成物L1を乾燥膜厚0.10μmとなるように塗布した後、窒素雰囲気下で120W高圧水銀灯〔アイグラフィックス社製〕により紫外線を照射し(積算光量400mJ/cm)、硬化させて低屈折率層を形成し、実施例1の防眩性反射防止フィルムを作製した。
(実施例2〜11、比較例1〜11)
表4,5に示す材料を表4,5に示す膜厚で塗布し、実施例1と同様に乾燥硬化させて、実施例2〜11及び比較例1〜11の防眩性反射防止フィルムを作製した。
得られた各防眩性反射防止フィルムについて、視感反射率RSCI(Y値)及び耐擦傷性を次のようにして測定した。その結果も表4,5に示す。
<視感反射率>
測定面の裏面反射を除くため、フィルムの裏面をサンドペーパーで粗し、黒色塗料で塗り潰した形態にて調整した。調整したフィルムの測定面を日本電色(株)製「SD6000」により測定し、JISZ 8701で規定されているXYZ表色系(CIE標準イルミナントD65)における、反射による物体色の三刺激値Yを算出した。
<耐擦傷性>
反射防止フィルム表面を♯0000のスチールウールに250gfの荷重をかけて、ストローク幅25mm、速度30mm/secで10往復摩擦したあとの表面を目視で観察し、以下の基準で評価した。スチールウールは約10mmφにまとめ、表面が均一になるようにカット、摩擦して均したものを使用した。
○:傷が0〜10本 △:傷が11〜20本 ×:傷が21本以上
Figure 2018072807
Figure 2018072807
表4の結果から、実施例1〜11では全て視感反射率RSCIが1.0以下で良好な画像視認性が得られ、且つ耐擦傷性も両立されていることが確認された。
一方、表5の結果から、比較例1ではAG層の屈折率が低いため、比較例2ではAG層の屈折率が高いため、比較例3ではH層とAG層との屈折率差が小さいため、比較例4ではH層とAG層との屈折率差が大きいため、比較例6ではL層の屈折率が高いため、比較例7ではH層の膜厚が小さいため、比較例8ではH層の膜厚が大きいため、比較例9ではL層の膜厚が大きいため、比較例10ではL層の膜厚が小さいため、それぞれ視感反射率RSCIが1.0を超えており、良好な画像視認性が得られないことが確認された。また、比較例5及び比較例11ではL層の屈折率を小さくするために架橋密度を低くしたので、耐擦傷性が悪化した。

Claims (3)

  1. 透明基材フィルム上に、防眩性ハードコート層、高屈折率層、低屈折率層がこの順で積層されており、
    前記防眩性ハードコート層の屈折率(nAG)が1.49〜1.65であり、
    前記低屈折率層の屈折率が1.29〜1.37、膜厚が0.06〜0.12μmであり、
    前記高屈折率層の屈折率をnH、膜厚をdHとした場合、下記条件(1)・(2)を満たす、防眩性反射防止フィルム。
    0.03≦nH−nAG≦0.20・・・(1)
    0.12μm≦dH≦0.30μm・・・(2)
  2. 視感反射率RSCIが1.0%以下である、請求項1に記載の防眩性反射防止フィルム。
  3. ディスプレイの画像を表示する側の最表面に、請求項1または請求項2に記載の防眩性反射防止フィルムを備えている、画像表示装置。
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