以下に説明する実施形態は、本発明の種々の実施形態の一つに過ぎない。本発明の実施形態は、下記実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外も含み得る。また、下記の実施形態は、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
(1)構成
本実施形態に係る電気錠システム1は、建物(例えば戸建て住宅)に設けられた玄関扉を電動で解錠及び施錠するためのシステムである。
本実施形態の電気錠システム1は、図1に示すように、玄関扉に設けられた電気錠装置2と、玄関扉の解錠及び施錠を許可された使用者(例えば建物の住人など)が使用する複数台(例えば3台)の携帯電話端末3(3A,3B,3C)と、を備えている。
図1の例では、玄関扉の解錠及び施錠を許可された携帯電話端末3の台数が3台であるが、携帯電話端末3の台数は1台でも、2台以上でもよく、電気錠システム1が適用される建物ごとに携帯電話端末3の台数は変化する。以下の説明において、複数台の携帯電話端末3のそれぞれについて説明する場合は、携帯電話端末3A,3B,3Cと記載し、携帯電話端末3A,3B,3Cに共通する説明を行う場合は携帯電話端末3と記載する。
また、電気錠システム1が適用される建物に出入り口が2箇所以上ある場合に、2箇所以上の出入り口の扉のそれぞれに電気錠装置2が設けられてもよく、電気錠装置2の台数は適宜変更が可能である。
電気錠装置2は、錠側制御回路21と、電気錠22と、錠側通信部23と、記憶部24と、操作部25と、モード切替スイッチ26と、リセットスイッチ27とを備えている。本実施形態では、玄関扉に取り付けられるケースに、電気錠装置2の全ての構成要素が収納されているが、玄関扉に取り付けられる第1ケースと、建物の屋内側に設置される第2ケースとに、電気錠装置2の構成要素が分散して収納されていてもよい。
錠側制御回路21は、例えばプロセッサとメモリとを有するマイクロコンピュータを備えている。プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することによって、認証部211及び錠側制御部212などの機能が実現される。プロセッサが実行するプログラムは、マイクロコンピュータのメモリにあらかじめ記憶されているが、メモリカード等の記録媒体に記録されて提供されてもよいし、電気通信回線を通じて提供されてもよい。
認証部211は、携帯電話端末3から受信した鍵情報を記憶部24に記憶されている認証情報と照合することによって、鍵情報を送信してきた携帯電話端末3が、電気錠22の施錠及び解錠を許可された携帯電話端末3であるか否かを判断する。本実施形態では、携帯電話端末3において電気錠22を解錠する操作が行われると、携帯電話端末3が当該携帯電話端末3に割り当てられた識別情報と鍵情報とを電気錠装置2へ送信する。認証部211は、携帯電話端末3から受信した当該携帯電話端末3の識別情報及び鍵情報を、記憶部24に記憶されている認証情報と照合することによって、鍵情報を送信してきた携帯電話端末3の認証を行う。
錠側制御部212は、認証部211による携帯電話端末3の認証が成立すると、電気錠22の解錠及び施錠のうち携帯電話端末3での操作に対応した制御命令を電気錠22に出力する。
電気錠22は建物の玄関扉に設けられている。電気錠22は、デッドボルトと、駆動部と、駆動回路とを備えている。駆動回路は、錠側制御部212から出力される制御指令(解錠指令又は施錠指令)に応じて駆動信号を生成し、生成した駆動信号を駆動部に出力する。駆動部は、電動モータと、電動モータの駆動力をデッドボルトに伝達する伝達機構とを備える。駆動部は、駆動回路から入力される駆動信号に従って駆動モータを駆動する。駆動モータの駆動力が伝達機構を介してデッドボルトに伝達されることによって、デッドボルトが施錠位置又は解錠位置に移動する。ここで、デッドボルトが施錠位置に移動した状態では、デッドボルトの少なくとも一部が、玄関扉を支持する扉枠に設けられたボルト穴に挿入されており、この状態では玄関扉が閉じた状態で保持される。デッドボルトが解錠位置に移動した状態では、デッドボルトの全体がボルト穴の外に出ており、この状態では玄関扉の開閉が可能になる。
錠側通信部23は、例えばアンテナと、通信回路とを備えている。錠側通信部23は、例えばBLE(Bluetooth Low Energy)の規格に準拠した近距離無線通信を行うように構成されている。BLEとは、無線PAN(Personal Area Network)技術であるBluetooth(登録商標)の仕様における、バージョン4.0の呼称である。錠側通信部23は、錠側制御回路21からの指令に従って、ビーコン信号を間欠的に送信する。また、錠側通信部23は、ビーコン信号に応答して鍵側通信部32から送信される応答信号を受信する。ここで、ビーコン信号及び応答信号は、電波を媒体とする無線信号である。
記憶部24は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read-Only Memory)のような電気的に書き換え可能な不揮発性メモリである。記憶部24は、電気錠22の解錠操作及び施錠操作が許可された1台以上の携帯電話端末3について識別情報と鍵情報とを認証情報として記憶する。
操作部25は例えば押釦スイッチを備える。操作部25は、錠側制御回路21に電気的に接続されており、玄関扉の屋外側に設けられている。使用者が押しボタンスイッチを押すことにより、錠側制御回路21に操作信号が入力される。
モード切替スイッチ26は例えば押釦スイッチである。モード切替スイッチ26は、例えば電気錠装置2の本体において建物の屋内側に露出している部位に設けられている。モード切替スイッチ26が、例えば所定時間(例えば2秒間)以上連続して押されると、モード切替スイッチ26から錠側制御回路21に切替信号が出力されて、錠側制御回路21の動作モードが制御モードから登録モードに切り替わる。ここで、制御モードとは、電気錠22の解錠及び施錠を制御する動作モードである。登録モードとは、所望の携帯電話端末3を電気錠22の解錠及び施錠に使用できるようにするために、当該携帯電話端末3の識別情報及び鍵情報を電気錠装置2に登録するための動作モードである。
リセットスイッチ27は例えば押釦スイッチである。リセットスイッチ27は、例えば電気錠装置2の本体において建物の屋内側に露出している部位に設けられている。リセットスイッチ27が、例えば所定時間(例えば2秒間)以上連続して押されると、リセットスイッチ27から錠側制御回路21にリセット信号が出力され、錠側制御回路21が記憶部24に記憶されている認証情報を消去(初期化)する。
携帯電話端末3は例えばスマートホンである。携帯電話端末3は、鍵側制御回路31と、鍵側通信部32と、表示部33と、記憶部34と、操作部35と、を備えている。ただし、携帯電話端末3はスマートホンに限らず、電気錠用プログラム(アプリ)を実行可能な携帯情報端末であればよい。
鍵側制御回路31は、例えばプロセッサとメモリとを有するマイクロコンピュータを備えている。プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することによって、鍵側制御回路31の機能が実現される。プロセッサが実行するプログラムは、マイクロコンピュータのメモリにあらかじめ記憶されているが、メモリカード等の記録媒体に記録されて提供されてもよいし、電気通信回線を通じて提供されてもよい。
鍵側通信部32は、例えばアンテナと、通信回路とを備えている。鍵側通信部32は、錠側通信部23との間で、例えばBLEの規格に準拠した近距離無線通信を行うように構成されている。鍵側通信部32は、鍵側制御回路31からの指令に従って、応答信号を送信する。また、鍵側通信部32は、錠側通信部23から間欠的に送信されるビーコン信号を受信する。鍵側通信部32は、ビーコン信号を受信すると、ビーコン信号を受信したことを通知するACK(ACKnowledgement)を電気錠装置2に送信する。携帯電話端末3からのACKを電気錠装置2が受信することにより、携帯電話端末3の認証を行うための認証通信が電気錠装置2と携帯電話端末3との間で開始される。
表示部33は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどの薄型ディスプレイ装置である。表示部33は、鍵側制御回路31によって表示内容が制御される。
記憶部34は、例えば、EEPROMのような電気的に書き換え可能な不揮発性メモリである。記憶部34は、携帯電話端末3に割り当てられた個別の識別情報と、電気錠装置2に登録した際に電気錠装置2から付与される鍵情報とを記憶する。また、記憶部34には、携帯電話端末3のコンピュータが実行する電気錠用プログラムが記憶されている。この電気錠用プログラムは予めメモリに記憶されていてもよいし、電気通信回線を介して、あるいは記録媒体に記憶された状態で提供されてもよい。
操作部35は、例えば表示部33を構成するディスプレイ装置に設けられたタッチパネルからなる。タッチパネルは静電容量方式、感圧式などのタッチセンサを備える。使用者が表示部33を構成するディスプレイ装置に触れる操作(タップ操作、スワイプ操作など)を行うと、操作部35は操作に応じた信号を鍵側制御回路31に出力する。
(2)動作
以下に、本実施形態の電気錠システム1の動作について説明する。
(2.1)登録モードの動作
登録モードでの電気錠装置2の動作について図2を参照して説明する。
電気錠システム1の使用者(例えば、住宅の住人など)が、携帯電話端末3Aを電気錠装置2に登録する場合、電気錠装置2の動作モードを制御モードから登録モードに切り替える。すなわち、使用者は、携帯電話端末3Aを電気錠装置2と通信可能な距離に置いた状態で、動作モードを制御モードから登録モードに切り替えるために、電気錠装置2のモード切替スイッチ26を操作する(ステップS1)。本実施形態では、モード切替スイッチ26が所定時間以上連続して押されると、錠側制御回路21が動作モードを制御モードから登録モードに切り替える(ステップS2)。
錠側制御回路21は、動作モードが制御モードから登録モードに切り替えられると、錠側通信部23の送信出力を、制御モードでの送信出力の設定値よりも低い値に制限する(ステップS3)。本実施形態では、登録モードでの錠側通信部23の送信出力の設定値(第1設定値)を、制御モードでの錠側通信部23の送信出力の設定値(第2設定値)よりも20dB低い値に制限している。これにより、電気錠装置2と携帯電話端末3との通信可能距離は、制御モードにおける第2通信可能距離(例えば数m程度)から、登録モードにおける第1通信可能距離(例えば数十cm〜1m程度)に制限される。よって、使用者は、電気錠装置2との距離が第1通信可能距離以下である携帯電話端末3しか電気錠装置2に登録できない。つまり、電気錠装置2との距離が第1通信可能距離よりも長い距離にある携帯情報端末は電気錠装置2は登録されにくい。
錠側制御回路21は、登録モードで動作を開始すると、携帯電話端末3の動作モードを登録モードとするよう要求する要求信号を錠側通信部23からブロードキャストで送信する(ステップS4)。
携帯電話端末3の鍵側制御回路31は、携帯電話端末3を電気錠装置2の鍵として動作させるための電気錠用プログラム(アプリ)をバックグラウンドで実行している。
携帯電話端末3の鍵側通信部32は、当該携帯電話端末3と電気錠装置2との距離が第1通信可能距離以下であれば、電気錠装置2の錠側通信部23が送信した要求信号を受信することができる。使用者は、電気錠装置2と通信可能な範囲に1台の携帯電話端末3Aのみを配置しており、携帯電話端末3Aの鍵側通信部32が、電気錠装置2の錠側通信部23によって送信された要求信号を受信する。携帯電話端末3Aの鍵側通信部32が要求信号を受信すると、鍵側制御回路31は、動作モードを登録モードに設定するために操作するモード切替ボタン(アイコン)を表示部33に表示する(ステップS5)。ここで、登録モードとは、携帯電話端末3の識別情報を電気錠装置2に登録し、電気錠装置2から付与された鍵情報を携帯電話端末3に登録するための動作モードである。
使用者が携帯電話端末3の表示部33に表示されたモード切替ボタンを操作しなければ、鍵側制御回路31は、所定の待機時間が経過した後にモード切替ボタンの表示を終了し、動作モードを登録モードに移行しない。電気錠装置2の錠側通信部23が、要求信号の送信時点から一定時間が経過するまでの間に、携帯電話端末3から応答信号を受信しなければ、錠側制御回路21は動作モードを登録モードから制御モードに切り替えて、携帯電話端末3の登録処理を終了する。
一方、使用者が携帯電話端末3の表示部33に表示されたモード切替ボタンのタップ操作を行うと(ステップS6)、鍵側制御回路31は、操作部35からの入力信号に基づいて動作モードを登録モードに設定する(ステップS7)。鍵側制御回路31は登録モードで動作を開始すると、鍵側通信部32の送信出力を通常モード(登録モード以外の動作モード)における第2設定値から、登録モードにおける第1設定値に低下させる。これにより、携帯電話端末3Aにおいても、携帯電話端末3と電気錠装置2との通信可能距離が、通常モードにおける第2通信可能距離から、登録モードにおける第1通信可能距離に制限される(ステップS8)。
鍵側制御回路31は、鍵側通信部32の送信出力を低下させた後、要求信号に対する応答信号と、記憶部34から読み出した識別情報とを、鍵側通信部32から電気錠装置2に送信する(ステップS9)。
電気錠装置2の錠側制御回路21は、要求信号の送信時から一定時間(例えば数十秒から数分程度の時間)内に錠側通信部23が応答信号を受信すると、応答信号を送信してきた携帯電話端末3を登録する処理を行う。すなわち、電気錠装置2の錠側制御回路21は、応答信号を送信してきた携帯電話端末3Aに付与する鍵情報を作成し、この鍵情報と電気錠装置2の識別情報とを錠側通信部23から携帯電話端末3Aにユニキャストで送信する(ステップS10)。電気錠装置2の錠側制御回路21は、携帯電話端末3Aの識別情報と鍵情報とを対応付けて記憶部24に記憶することで、解錠操作及び施錠操作を許可する端末として携帯電話端末3Aを登録する(ステップS11)。
一方、携帯電話端末3Aの鍵側通信部32が電気錠装置2から当該電気錠装置2の識別情報と鍵情報とを受信すると、携帯電話端末3Aの鍵側制御回路31は、電気錠装置2の識別情報と鍵情報とを対応付けて記憶部34に記憶する(ステップS12)。また、鍵側制御回路31は、登録モードでの動作状態を示す表示内容を表示部33に表示する(ステップS13)。ここで、登録モードでの動作状態を示す表示内容とは、例えば、登録モードを実行中であることの表示、及び電気錠装置2の識別情報などである。携帯電話端末3Aの使用者は、表示部33の表示内容に基づいて、携帯電話端末3Aを電気錠装置2に登録中であることなどの情報を、確認することができる。また、電気錠装置2の錠側制御回路21が、登録する携帯電話端末3の台数の情報を錠側通信部23から携帯電話端末3Aに送信してもよく、表示部33が電気錠装置2に登録される携帯電話端末3の台数を表示してもよい。
携帯電話端末3Aの鍵側制御回路31は、電気錠装置2の識別情報と鍵情報とを記憶部34に記憶すると、登録処理を行ったことを示す実施情報を鍵側通信部32から電気錠装置2に送信する(ステップS14)。
電気錠装置2の錠側通信部23が、携帯電話端末3Aから送信された実施情報を受信すると、登録処理が完了したと判断し(ステップS15)、登録処理の完了を通知する通知信号を錠側通信部23から携帯電話端末3Aに送信する(ステップS16)。
ここで、携帯電話端末3Aの鍵側通信部32が電気錠装置2から通知信号を受信すると、鍵側制御回路31は、電気錠装置2に登録されたことを示す登録完了表示を表示部33に表示させる(ステップS17)。携帯電話端末3Aの鍵側制御回路31は、動作モードを登録モードから通常モードに切り替え、通信可能距離を登録モードにおける第1通信可能距離から通常モードにおける第2通信可能距離に切り替えるように、鍵側通信部32の送信出力を増加する。
また、電気錠装置2の錠側制御回路21は、登録処理が完了したと判断すると、動作モードを登録モードから制御モードに切り替える。電気錠装置2の錠側制御回路21は、通信可能距離を登録モードにおける第1通信可能距離から制御モードにおける第2通信可能距離に切り替えるように、錠側通信部23の送信出力を増加させる。ここで、電気錠装置2の錠側制御回路21は、登録処理が完了したと判断すると、動作モードを登録モードから制御モードに自動的に切り替えてもよいし、登録モードにおいてモード切替スイッチ26が操作されると、登録モードから制御モードに切り替えてもよい。
上述のように、本実施形態では、登録モードでの第1通信可能距離L1が、制御モード(通常モード)での第2通信可能距離L2に比べて短くなる(図3参照)。すなわち、登録モードでの第1通信可能距離L1が、制御モード(通常モード)での第2通信可能距離L2よりも短いため、電気錠装置2と通信可能な携帯電話端末3を、電気錠装置2との距離が第1通信可能距離L1以下である携帯電話端末3に絞り込むことができる。よって、登録対象の携帯電話端末3A以外の意図しない携帯電話端末4と、電気錠装置2との距離が第1通信可能距離L1よりも長ければ、意図しない携帯電話端末4が、電気錠装置2に誤って登録されるのを抑制できる。
また、本実施形態では、電気錠装置2は、登録モードにおいて1台の携帯電話端末3の鍵情報を記憶部24に登録すると登録モードを終了するように構成されている。複数台の携帯電話端末3を電気錠装置2に登録する場合は、その都度、電気錠装置2のモード切替スイッチ26を操作して、電気錠装置2を登録モードに切り替え、電気錠装置2に携帯電話端末3を1台ずつ登録すればよい。
(2.2)制御モードの動作
制御モードでの電気錠システム1の動作について説明する。以下では、携帯電話端末3を用いて電気錠22を解錠する場合の動作について説明するが、電気錠22を施錠する場合の動作も同様であり、その説明は省略する。
電気錠装置2の錠側通信部23は、制御モードでは、錠側制御回路21からの指令に従って、ビーコン信号を間欠的(例えば2秒間隔)に送信する。携帯電話端末3と電気錠装置2との距離が第2通信可能距離L2以下となる検知エリアに携帯電話端末3が入ると、携帯電話端末3の鍵側通信部32がビーコン信号を受信し、受信したビーコン信号を鍵側制御回路31に出力する。鍵側制御回路31は、鍵側通信部32からビーコン信号を受け取ると、ビーコン信号を受け取ったことを通知するACKを鍵側通信部32から電気錠装置2に送信する。
錠側通信部23は、鍵側通信部32からのACKを受信すると、受信したACKを錠側制御回路21に出力する。そして、錠側制御回路21がACKを受け取ることで、携帯電話端末3の認証を行うための認証通信が開始される。認証通信が開始されると、錠側制御回路21は、携帯電話端末3の識別情報と鍵情報とを要求する要求信号を錠側通信部23から携帯電話端末3に送信する。鍵側制御回路31は、鍵側通信部32が要求信号を受信すると、電気錠装置2の識別情報に対応した鍵情報と携帯電話端末3の識別情報とを記憶部34から読み出し、識別情報及び鍵情報を含む応答信号を鍵側通信部32から電気錠装置2に送信する。
錠側制御回路21は、錠側通信部23が応答信号を受信すると、応答信号に含まれている識別情報及び鍵情報を、記憶部24に記憶されている認証情報と照合することによって、携帯電話端末3の認証を行う。錠側制御回路21は、携帯電話端末3の認証に成功すると、操作部25の操作入力(操作信号)を有効にする。言い換えると、携帯電話端末3の認証に成功するまでは、操作部25の操作入力は無効になっている。したがって、錠側制御回路21は、使用者により操作部25が操作されても、携帯電話端末3の認証に成功するまでは操作部25からの操作信号を受け付けない。
操作部25の操作入力が有効な状態で使用者が操作部25を操作すると、錠側制御部212は、操作部25からの操作信号に従って解錠信号を生成する。錠側制御部212で生成された解錠信号は電気錠22の駆動回路に入力される。駆動回路は、解錠信号に従ってデッドボルトを解錠位置に移動させる駆動信号を生成し、生成した駆動信号を駆動部に出力する。そして、駆動部は、駆動回路からの駆動信号に従ってデッドボルトを解錠位置に移動させる。デッドボルトが解錠位置に移動した状態では、玄関扉を開けることができ、携帯電話端末3の使用者は玄関扉を開けて、建物の中に入ることができる。
ここにおいて、電気錠装置2は、玄関扉の開閉を検知する開閉センサを備えてもよい。錠側制御部212は、デッドボルトを解錠位置に移動させた後に、開閉センサによって玄関扉が閉まったことを検知すると、施錠信号を電気錠22の駆動回路に出力する。電気錠22の駆動回路は施錠信号にしたがってデッドボルトを施錠位置に移動させるので、玄関扉を自動的に施錠することができる。
本実施形態の電気錠システム1では、電気錠装置2から送信されるビーコン信号の検知エリアに携帯電話端末3が入って携帯電話端末3からACKを受信した時点で携帯電話端末3の認証を開始するように構成されている。そのため、使用者が操作部25を操作する時点では携帯電話端末3の認証が終了している可能性が高く、使用者が操作部25を操作した時点で電気錠22を施錠又は解錠することが可能である。
また、本実施形態の電気錠システム1では、携帯電話端末3の認証に成功するまでは操作部25の操作入力(操作信号)が無効になっている。したがって、電気錠装置2に登録済みの携帯電話端末3を所持していない人によって、電気錠22が解錠されるリスクを低減することができる。
(3)変形例
以下に、上記実施形態の変形例に係る電気錠システムを列記する。なお、以下に説明する変形例の各構成は、上記実施形態で説明した各構成と適宜組み合わせて適用可能である。
(3.1)変形例1
上記の実施形態では、電気錠装置2の動作モードが制御モードから登録モードに切り替えられた状態で、1台の携帯電話端末3を電気錠装置2に登録しているが、複数台の携帯電話端末3を電気錠装置2に登録してもよい。
この場合の登録動作について図4を参照して説明する。図4のシーケンス図は、電気錠装置2が制御モードから登録モードに切り替えられた状態で、2台の携帯電話端末3A,3Bが電気錠装置2に登録される場合の動作を示している。
電気錠システム1の使用者が、2台の携帯電話端末3A,3Bを電気錠装置2に登録する場合、電気錠装置2の動作モードを制御モードから登録モードに切り替える。すなわち、使用者は、携帯電話端末3A,3Bを電気錠装置2と通信可能な距離(第1通信可能距離以下の距離)に置いた状態で、動作モードを制御モードから登録モードに切り替えるために、電気錠装置2のモード切替スイッチ26を操作する(ステップS21)。本実施形態では、モード切替スイッチ26が所定時間以上連続して押されると、錠側制御回路21は動作モードを制御モードから登録モードに切り替える(ステップS22)。
錠側制御回路21は、動作モードが制御モードから登録モードに切り替えられると、錠側通信部23の送信出力を、制御モードでの送信出力の設定値よりも低い値に制限する(ステップS23)。本実施形態では、登録モードでの錠側通信部23の送信出力の設定値(第1設定値)を、制御モードでの錠側通信部23の送信出力の設定値(第2設定値)よりも20dB低い値に制限している。これにより、電気錠装置2と携帯電話端末3との通信可能距離は、制御モードにおける第2通信可能距離(例えば10m程度)から、登録モードにおける第1通信可能距離(例えば1m程度)に制限される。
錠側制御回路21は、登録モードで動作を開始すると、携帯電話端末3の動作モードを登録モードとするよう要求する要求信号を錠側通信部23からブロードキャストで送信する(ステップS24)。
携帯電話端末3A,3Bの鍵側制御回路31は、携帯電話端末3A,3Bを電気錠装置2の鍵として動作させるための電気錠用プログラム(アプリ)をバックグラウンドで実行している。
携帯電話端末3(3A,3B)の鍵側通信部32は、当該携帯電話端末3と電気錠装置2との距離が第1通信可能距離以下であれば、電気錠装置2の錠側通信部23が送信した要求信号を受信することができる。使用者は、電気錠装置2と通信可能な範囲に2台の携帯電話端末3A,3Bを配置しており、携帯電話端末3A,3Bが、電気錠装置2の錠側通信部23によって送信された要求信号を受信する。
携帯電話端末3A,3Bの鍵側通信部32が要求信号を受信すると、鍵側制御回路31は、動作モードを登録モードに設定するために操作するモード切替ボタン(アイコン)を表示部33に表示する(ステップS25,S26)。
使用者が携帯電話端末3A,3Bの表示部33に表示されたモード切替ボタンを操作しなければ、鍵側制御回路31は、所定の待機時間が経過した後にモード切替ボタンの表示を終了し、動作モードを登録モードに移行しない。電気錠装置2の錠側通信部23が、要求信号の送信時点から一定時間が経過するまでの間に、携帯電話端末3A,3Bから応答信号を受信しなければ、錠側制御回路21は動作モードを登録モードから制御モードに切り替えて、携帯電話端末3の登録処理を終了する。
図4の例では使用者はまず携帯電話端末3Aを電気錠装置2に登録する。
使用者が携帯電話端末3Aの表示部33に表示されたモード切替ボタンのタップ操作を行うと(ステップS27)、鍵側制御回路31は、操作部35からの入力信号に基づいて動作モードを登録モードに設定する(ステップS28)。携帯電話端末3Aの鍵側制御回路31は登録モードで動作を開始すると、鍵側通信部32の送信出力を通常モードにおける第2設定値から、登録モードにおける第1設定値に低下させる。これにより、携帯電話端末3Aにおいても、携帯電話端末3Aと電気錠装置2との通信可能距離が、通常モードにおける第2通信可能距離から、登録モードにおける第1通信可能距離に制限される(ステップS29)。
携帯電話端末3Aの鍵側制御回路31は、鍵側通信部32の送信出力を低下させた状態で、要求信号に対する応答信号と、記憶部34から読み出した識別情報とを、鍵側通信部32から電気錠装置2に送信する(ステップS30)。
電気錠装置2の錠側制御回路21は、要求信号の送信時から一定時間内に錠側通信部23が応答信号を受信すると、応答信号を送信してきた携帯電話端末3Aを登録する処理を行う。すなわち、電気錠装置2の錠側制御回路21は、応答信号を送信してきた携帯電話端末3Aに付与する鍵情報を作成し、この鍵情報と電気錠装置2の識別情報とを錠側通信部23から携帯電話端末3Aにユニキャストで送信する(ステップS31)。電気錠装置2の錠側制御回路21は、携帯電話端末3Aの識別情報と鍵情報とを対応付けて記憶部24に記憶することで、解錠操作及び施錠操作を許可する端末として携帯電話端末3Aを登録する(ステップS32)。
一方、携帯電話端末3Aの鍵側通信部32が電気錠装置2から当該電気錠装置2の識別情報と鍵情報とを受信すると、携帯電話端末3Aの鍵側制御回路31は、電気錠装置2の識別情報と鍵情報とを対応付けて記憶部34に記憶する(ステップS33)。また、携帯電話端末3Aの鍵側制御回路31は、登録モードでの動作状態を示す表示内容を表示部33に表示する(ステップS34)。ここで、登録モードでの動作状態を示す表示内容とは、例えば、登録モードを実行中であることの表示、電気錠装置2の識別情報などである。携帯電話端末3Aの使用者は、表示部33の表示内容に基づいて、携帯電話端末3Aを電気錠装置2に登録中であることなどの情報を、確認することができる。また、電気錠装置2の錠側制御回路21が、登録する携帯電話端末3の台数の情報(台数情報)を錠側通信部23から携帯電話端末3Aに送信しており、表示部33が電気錠装置2に登録される携帯電話端末3の台数を表示している。
携帯電話端末3Aの鍵側制御回路31は、電気錠装置2の識別情報と鍵情報とを記憶部34に記憶すると、登録処理を行ったことを示す実施情報を鍵側通信部32から電気錠装置2に送信する(ステップS35)。電気錠装置2の錠側通信部23が携帯電話端末3Aから実施情報を受信すると、錠側制御回路21は携帯電話端末3Aでの登録処理が完了したと判断する。
使用者は携帯電話端末3Aを電気錠装置2に登録すると、携帯電話端末3Bを電気錠装置2に登録する。使用者が携帯電話端末3Bの表示部33に表示されたモード切替ボタンのタップ操作を行うと(ステップS36)、鍵側制御回路31は、操作部35からの入力信号に基づいて動作モードを登録モードに設定する(ステップS37)。携帯電話端末3Bの鍵側制御回路31は登録モードで動作を開始すると、通信可能距離を通常モードでの第2通信可能距離から登録モードでの第1通信可能距離に短くするように、送信出力を低下する(ステップS38)。
携帯電話端末3Bの鍵側制御回路31は、鍵側通信部32の送信出力を低下させた状態で、要求信号に対する応答信号と、記憶部34から読み出した識別情報とを、鍵側通信部32から電気錠装置2に送信する(ステップS39)。
電気錠装置2の錠側制御回路21は、要求信号の送信時から一定時間内に錠側通信部23が応答信号を受信すると、応答信号を送信してきた携帯電話端末3Bを登録する処理を行う。すなわち、電気錠装置2の錠側制御回路21は、応答信号を送信してきた携帯電話端末3Bに付与する鍵情報を作成し、この鍵情報と電気錠装置2の識別情報とを錠側通信部23から携帯電話端末3Bにユニキャストで送信する(ステップS40)。電気錠装置2の錠側制御回路21は、携帯電話端末3Bの識別情報と鍵情報とを対応付けて記憶部24に記憶することで、解錠操作及び施錠操作を許可する端末として携帯電話端末3Bを登録する(ステップS41)。
一方、携帯電話端末3Bの鍵側通信部32が電気錠装置2から当該電気錠装置2の識別情報と鍵情報とを受信すると、携帯電話端末3Bの鍵側制御回路31は、電気錠装置2の識別情報と鍵情報とを対応付けて記憶部34に記憶する(ステップS42)。また、携帯電話端末3Bの鍵側制御回路31は、登録モードでの動作状態を示す表示内容を表示部33に表示する(ステップS43)。ここで、登録モードでの動作状態を示す表示内容とは、例えば、登録モードを実行中であることの表示、電気錠装置2に登録される携帯電話端末3の台数、電気錠装置2の識別情報などである。携帯電話端末3Bの使用者は、表示部33の表示内容に基づいて、携帯電話端末3Bを電気錠装置2に登録中であることなどの情報を、確認することができる。また、表示部33には電気錠装置2に登録された携帯電話端末3の台数(ここでは2台)が表示されており、携帯電話端末3Bの使用者は表示部33に表示された台数をもとに、意図しない携帯情報端末が登録されていないかを確認することができる。
携帯電話端末3Bの鍵側制御回路31は、電気錠装置2の識別情報と鍵情報とを記憶部34に記憶すると、登録処理を行ったことを示す実施情報を鍵側通信部32から電気錠装置2に送信する(ステップS44)。
電気錠装置2の錠側通信部23が携帯電話端末3Bから実施情報を受信すると、錠側制御回路21は携帯電話端末3Bでの登録処理が完了したと判断する。
その後、電気錠装置2の錠側通信部23が携帯電話端末3からの要求信号を一定時間以上受信できなければ、錠側制御回路21は携帯電話端末3の登録処理が完了したと判断する(ステップS45)。電気錠装置2の錠側制御回路21は、登録処理の完了を通知する通知信号を錠側通信部23から携帯電話端末3A,3Bに送信する(ステップS46)。
ここで、携帯電話端末3Aの鍵側通信部32が電気錠装置2から通知信号を受信すると、鍵側制御回路31は、電気錠装置2に登録されたことを示す登録完了表示を表示部33に表示させる(ステップS47)。携帯電話端末3Aの鍵側制御回路31は、動作モードを登録モードから通常の制御モードに切り替え、通信可能距離を登録モードにおける第1通信可能距離から制御モードにおける第2通信可能距離に切り替えるように、鍵側通信部32の送信出力を増加する。
同様に、携帯電話端末3Bの鍵側通信部32が電気錠装置2から通知信号を受信すると、鍵側制御回路31は、電気錠装置2に登録されたことを示す登録完了表示を表示部33に表示させる(ステップS48)。携帯電話端末3Bの鍵側制御回路31は、動作モードを登録モードから通常の制御モードに切り替え、通信可能距離を登録モードにおける第1通信可能距離から制御モードにおける第2通信可能距離に切り替えるように、鍵側通信部32の送信出力を増加する。
また、電気錠装置2の錠側制御回路21は、登録処理が終了したと判断すると、動作モードを登録モードから制御モードに切り替える。電気錠装置2の錠側制御回路21は、通信可能距離を登録モードにおける第1通信可能距離から制御モードにおける第2通信可能距離に切り替えるように、錠側通信部23の送信出力を増加させる。ここで、電気錠装置2の錠側制御回路21は、登録処理が終了したと判断すると、動作モードを登録モードから制御モードに自動的に切り替えてもよいし、モード切替スイッチ26が操作されると、登録モードから制御モードに自動的に切り替えてもよい。
ところで、電気錠装置2はリセットスイッチ27を備えており、リセットスイッチ27が操作されると、錠側制御回路21は記憶部24に記憶された認証情報を消去する。携帯電話端末3の設定ミスが発生したり、意図しない携帯情報端末が電気錠装置2に登録されたと使用者が判断した場合、使用者はリセットスイッチ27を用いて所定の操作を行う。例えば、使用者がリセットスイッチ27を所定の時間以上連続して押し続けると、錠側制御回路21は、記憶部24に記憶された認証情報を消去しており、携帯電話端末3の登録作業をやり直すことができる。
(3.2)変形例2
実施形態及び変形例1の電気錠システム1において、登録モードにおいて登録される携帯電話端末3の台数である登録予定台数を電気錠装置2に設定してもよい。例えば、使用者が、電気錠装置2に登録する携帯電話端末3の操作部35を用いて登録予定台数を入力すると、携帯電話端末3から電気錠装置2に登録予定台数の情報が送信される。
電気錠装置2の錠側制御回路21の動作モードが制御モードから登録モードに切り替えられると、錠側通信部23が要求信号を送信し、電気錠装置2との距離が第1通信可能距離L1以下である全ての携帯電話端末3から応答信号を送信させる。このとき、電気錠装置2の錠側制御回路21は、錠側通信部23が応答信号を受信した携帯電話端末3の台数と、登録予定台数とを比較する。電気錠装置2の錠側制御回路21は、電気錠装置2との距離が第1通信可能距離以下である携帯電話端末3の台数が登録予定台数と異なるときは、錠側通信部23と鍵側通信部32との無線通信の通信可能距離を第1通信可能距離よりも短い第3通信可能距離に設定する。
これにより、電気錠装置2と通信可能な携帯電話端末3を制限でき、意図しない携帯電話端末3が電気錠装置2に誤登録される可能性を低減できる。
(3.3)その他の変形例
上記の実施形態及び変形例1では、携帯情報端末がスマートホンのような携帯電話端末3であるが、携帯情報端末に電話機能は必須ではなく、携帯情報端末は電気錠用プログラムがインストールされたタブレット端末でもよい。
上記の実施形態及び変形例1では、携帯電話端末3の鍵側通信部32が電気錠装置2から要求信号を受信すると、鍵側制御回路31が登録モードに切り替えるためのモード切替ボタンを表示部33に表示しているが、携帯電話端末3の動作はこれに限定されない。すなわち、携帯電話端末3の使用者が、操作部35を操作して電気錠用プログラムを起動し、所定の操作を行って、携帯電話端末3の動作モードを登録モードに切り替えてもよい。
上記の実施形態及び変形例1では、登録モードでの第1通信可能距離L1を、操作時の第2通信可能距離L2より短くするために、錠側通信部23及び鍵側通信部32の両方で送信出力を低下させているが、少なくとも錠側通信部23で送信出力を低下させればよい。
また、上記の実施形態及び変形例1において、錠側通信部23及び鍵側通信部32の送信出力を変化させる代わりに、受信感度を変化させることで、登録モードでの第1通信可能距離L1を、操作時の第2通信可能距離L2より短くしてもよい。この場合、錠側通信部23及び鍵側通信部32の両方で受信感度を低下させる必要はなく、少なくとも錠側通信部23で受信感度を低下させればよい。
また、錠側通信部23及び鍵側通信部32の送信出力と受信感度とをそれぞれ変化させることで、登録モードでの第1通信可能距離L1を、制御モードでの第2通信可能距離L2より短くしてもよい。この場合も、錠側通信部23及び鍵側通信部32の両方で送信出力と受信感度とをそれぞれ変化させる必要はなく、少なくとも錠側通信部23で両方で送信出力と受信感度とを変化させればよい。
また、電気錠装置2の本体にモード切替スイッチ26は取り付けられているが、モード切替スイッチ26を覆う扉が電気錠装置2の本体に設けられてもよい。扉は本体に対して開閉可能な状態で取り付けられており、モード切替スイッチ26を操作しないときには、モード切替スイッチ26が扉で覆われているので、モード切替スイッチ26が意図せずに操作される可能性が低下する。
本実施形態の電気錠システム1では、携帯電話端末3が、電気錠22の解錠及び施錠の両方の操作を行うことができるが、携帯電話端末3は、電気錠22の解錠及び施錠の一方の操作だけを行うものでもよい。
本実施形態の電気錠システム1は戸建て住宅に適用されているが、集合住宅の各住戸に適用されてもよいし、例えば事務所、店舗、又は工場などの非住宅用の建物に適用されてもよい。
本実施形態の電気錠システム1は建物に設けられた玄関扉を電動で解錠及び施錠するためのシステムであるが、建物内の部屋の壁に設けられた扉を電動で解錠及び施錠するためのシステムでもよい。ここにおいて、扉は開き戸でもよいし、引き戸でもよい。
(4)まとめ
以上説明したように、第1の態様の電気錠システム1は、電気錠22を制御する電気錠装置2と、電気錠22の解錠及び施錠の少なくとも一方の操作を行うための携帯電話端末3とを備える。携帯電話端末3は、操作を行うために鍵情報を電気錠装置2へ無線送信する第1通信部(鍵側通信部32)を備える。電気錠装置2は、第2通信部(錠側通信部23)と、記憶部24と、認証部211と、錠側制御部212とを備える。第2通信部は携帯電話端末3との間で無線通信を行う。記憶部24は、操作を許可する1以上の携帯電話端末3の鍵情報を認証情報として記憶する。認証部211は、第2通信部が携帯電話端末3から受信した鍵情報を記憶部24に記憶された認証情報と照合することによって携帯電話端末3の認証を行う。錠側制御部212は、認証部211による携帯電話端末3の認証が成立すると電気錠22の施錠及び解錠のうち操作に対応する制御を行う。登録モードにおいて電気錠装置2と携帯電話端末3との間で行われる無線通信の第1通信可能距離L1が、操作を行うために電気錠装置2と携帯電話端末3との間で行われる無線通信の第2通信可能距離L2に比べて短い。登録モードとは、操作を許可する携帯電話端末3の鍵情報を電気錠装置2に登録するモードである。
第1の態様によれば、登録モードでの第1通信可能距離L1を、操作を行う場合の第2通信可能距離よりも短くしているので、電気錠装置2との距離が第1通信可能距離L1よりも長い携帯情報端末の誤登録を抑制できる。したがって、意図しない携帯情報端末の誤登録を抑制できる。また、意図しない携帯情報端末の誤登録を抑制するために、登録モードにおいて電気錠装置2と携帯電話端末3との通信を暗号化する必要性が低下する。
第2の態様の電気錠システムでは、第1の態様において、携帯電話端末3が、登録モードで動作中であることを表示する表示部33を、更に備えてもよい。携帯電話端末3の使用者は、表示部33の表示内容をもとに、登録モードで動作中であることを確認できる。
第3の態様の電気錠システムでは、第2の態様において、電気錠装置2は、登録モードにおいて登録する携帯電話端末3の台数情報を第2通信部から携帯電話端末3に送信してもよい。携帯電話端末3の表示部33は、第1通信部が受信した台数情報に基づいて、登録モードにおいて電気錠装置2に登録される携帯電話端末3の台数を表示してもよい。
携帯電話端末3の使用者は、表示部33に表示された携帯電話端末3の台数をもとに、意図しない携帯情報端末が電気錠装置2に登録されていないかを確認できる。
第4の態様の電気錠システムでは、第1〜第3のいずれか1つの態様において、登録モードに移行した状態で、電気錠装置2との距離が第1通信可能距離以下である携帯電話端末3の台数が登録予定台数と異なるときは、電気錠装置2と携帯電話端末3の間で行われる無線通信の通信可能距離が第1通信可能距離よりも短い第3通信可能距離に設定されてもよい。
これにより、意図しない携帯電話端末3が電気錠装置2に誤登録される可能性を低減できる。
第5の態様の電気錠システムでは、第1又は第2の態様において、電気錠装置2は、登録モードにおいて1台の携帯情報端末の鍵情報を記憶部24に登録すると登録モードを終了するように構成されてもよい。電気錠装置2に1台の携帯電話端末3が登録されると、電気錠装置2が登録モードを終了するので、意図しない携帯電話端末3が電気錠装置2に誤登録される可能性を低減できる。
第6の態様の電気錠システムでは、第1〜第5のいずれか1つの態様において、携帯電話端末3は、現在の動作状態を表示する表示部33を、更に備えてもよい。電気錠装置2は、登録モードを終了すると第2通信部から携帯電話端末3に通知信号を送信してもよい。携帯電話端末3の表示部33は、第1通信部が受信した通知信号に基づいて、登録モードが終了したことを表示すればよい。
これにより、携帯電話端末3の使用者は表示部33の表示に基づいて登録モードが終了したことを確認でき、携帯電話端末3を用いて電気錠22の操作が可能になったことを把握できる。
また、一態様の電気錠装置2は、上述の電気錠システム1に用いられる。意図しない携帯電話端末3の電気錠装置2への誤登録が低減される。
また、一態様の電気錠用プログラムは、コンピュータを、電気錠システム1における前記携帯電話端末3として機能させるためのプログラムである。意図しない携帯電話端末3の電気錠装置2への誤登録が低減される。なお、この電気錠用プログラムは予めメモリに記憶されていてもよいし、電気通信回線を介して、あるいは記録媒体に記憶された状態で提供されてもよい。