JP2018060670A - 蓄電装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】樹脂部材によるシール性を確保できる蓄電装置を提供する。【解決手段】蓄電装置10は、複数のバイポーラ電極12の積層方向に沿って延び、複数のバイポーラ電極12を収容する筒状の樹脂ケース30を備える。複数のバイポーラ電極12のそれぞれは、第1の面16a及び第2の面16bを有する集電体16と、第1の面16aに設けられた正極層18と、第2の面16bに設けられた負極層20とを有する。集電体16は、外周側の未塗工部22と、中央側の塗工部21とを含む。未塗工部22の周縁部24は樹脂ケース30に埋設されている。積層方向に隣り合う2つの集電体16の2つの周縁部24の間には、互いに対面する第1の面16aおよび第2の面16bの少なくともいずれかに設けられた酸化膜26が配置される。【選択図】図3
Description
本発明は、蓄電装置に関する。
集電体の一方の面に正極が形成され、他方の面に負極が形成されたバイポーラ電極を備えるバイポーラ電池が知られている(特許文献1参照)。このバイポーラ電池では、電解質層を挟んで複数のバイポーラ電極が直列に積層されている。電解質層はセパレータに保持される。セパレータにおける電解質を保持させた部分の外周部には、シール用の樹脂部材が配置されている。このバイポーラ電池では、樹脂部材を集電体に密着させることで、電池層の間のシールが行われている。集電体に樹脂部材を密着させるため、樹脂部材が成型された後に、樹脂部材に圧力または熱がかけられ、シール部が加圧変形または熱融着させられる。
上記バイポーラ電池では、樹脂部材に対する集電体の接合強度が不足し得るため、シール部の強度や気密性を担保することが難しい。
本発明は、樹脂部材によるシール性を確保できる蓄電装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る蓄電装置は、セパレータを介して積層された複数のバイポーラ電極を備える蓄電装置であって、複数のバイポーラ電極の積層方向に沿って延び、複数のバイポーラ電極を収容する筒状の樹脂部材を備え、複数のバイポーラ電極のそれぞれは、第1の面及び第1の面とは反対側の第2の面を有する集電体と、第1の面に設けられた正極層と、第2の面に設けられた負極層とを有し、集電体は、正極層および負極層が設けられない外周側の未塗工部と、正極層および負極層が設けられた中央側の塗工部とを含み、未塗工部の周縁部は樹脂部材に埋設されており、積層方向に隣り合う2つの集電体の2つの周縁部の間には、互いに対面する第1の面および第2の面の少なくともいずれかに設けられた酸化膜が配置される。
この蓄電装置によれば、集電体の塗工部には正極層および負極層が設けられる。未塗工部の周縁部は、樹脂部材に埋設される。積層方向に隣り合う2つの周縁部の間には、少なくともいずれかの面に設けられた酸化膜が配置される。この酸化膜は、表面に凹凸を有するため、凹部(孔部)に樹脂材料が入り込むことで、樹脂部材に対する集電体の接合強度が高められる。すなわちアンカー効果が得られる。よって、樹脂部材によるシール性が確保される。
酸化膜は、樹脂部材に埋設された周縁部から塗工部側にはみ出るように設けられてもよい。この場合、酸化膜は、樹脂部材よりも内側にはみ出る。酸化膜は絶縁性である。集電体の周縁部のみならず、樹脂部材の内側にも酸化膜が設けられることにより、隣り合う集電体同士の短絡が確実に防止される。
酸化膜は、酸化膜と同じ面に設けられた正極層または負極層の端縁に沿った領域まで設けられてもよい。絶縁性である酸化膜が正極層または負極層の端縁に沿った領域まで設けられると、未塗工部が露出する領域が小さくなる(または無くなる)。これにより、隣り合う集電体同士の短絡がより確実に防止される。
複数のバイポーラ電極において、酸化膜は、第2の面にのみ設けられてもよい。バイポーラ電極においては、第2の面に設けられた負極層は、第1の面に設けられた正極層よりも大きい場合がある。よって、第2の面側の未塗工部は、第1の面側の未塗工部よりも小さくなり得る。そのような第2の面において、酸化膜が負極層の端縁に沿った領域まで設けられると、酸化膜を形成すべき領域を小さくできる。このことは、たとえば、製造上の観点において有利である。
酸化膜は、酸化膜と同じ面に設けられた正極層または負極層より薄くてもよい。正極層または負極層より薄い酸化膜は、バイポーラ電極の体格、すなわち積層方向における厚みに影響を与えない。したがって、シール性を確保しつつ、装置全体の大型化を防止できる。
本発明のいくつかの態様によれば、樹脂部材によるシール性が確保される。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
図1に示される蓄電装置10は、例えばニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池等の二次電池であってもよいし、電気二重層キャパシタであってもよい。蓄電装置10は、例えばフォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の車両に搭載され得る。
なお、図1には、XYZ直交座標系が示されている。
なお、図1には、XYZ直交座標系が示されている。
図1に示されるように、蓄電装置10は、複数のバイポーラ電極12を備える。複数のバイポーラ電極12は、セパレータ14を介して直列に積層される。複数のバイポーラ電極12のそれぞれは、第1の面16a及び第1の面16aとは反対側の第2の面16bを有する集電体16と、第1の面16aに設けられた正極層18と、第2の面16bに設けられた負極層20とを有している。正極層18及び負極層20は、複数のバイポーラ電極12の積層方向(以下、Z軸方向ともいう)に交差する平面(例えばXY平面)に沿って延在している。
セパレータ14はシート状であってもよいし、袋状であってもよい。セパレータ14は例えば多孔膜又は不織布である。セパレータ14は電解液を透過させ得る。セパレータ14の材料としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリイミド、アラミド繊維などポリアミド系等が挙げられる。また、フッ化ビニリデン樹脂化合物で補強されたセパレータ14が使用されてもよい。電解液としては、例えば水酸化カリウム水溶液等のアルカリ溶液が使用され得る。
集電体16は、例えば金属箔である。集電体16は、ニッケル箔であってもよいし、SPCC等の鋼板であってもよい。集電体16は、ニッケル箔以外の金属箔にニッケルめっきが施された部材であってもよい。集電体16の厚みは、例えば0.1〜1000μmである。正極層18は、正極活物質を含む。蓄電装置10がニッケル水素二次電池の場合、正極活物質は、例えば水酸化ニッケル(Ni(OH)2)の粒子である。蓄電装置10がリチウムイオン二次電池の場合、正極活物質は、例えば複合酸化物、金属リチウム、硫黄等である。負極層20は、負極活物質を含む。蓄電装置10がニッケル水素二次電池の場合、負極活物質は、例えば水素吸蔵合金の粒子である。蓄電装置10がリチウムイオン二次電池の場合、負極活物質は、例えば黒鉛、高配向性グラファイト、メソカーボンマイクロビーズ、ハードカーボン、ソフトカーボン等のカーボン、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、金属化合物、SiOx(0.5≦x≦1.5)等の金属酸化物、ホウ素添加炭素等である。
Z軸方向において、複数のバイポーラ電極12及び複数のセパレータ14は、電極112及び電極212によって挟まれてもよい。電極112及び電極212は、Z軸方向において最も外側に位置する電極である。電極112は、集電体116と、集電体116のセパレータ14側の面に設けられた正極層18とを備える。電極212は、集電体116と、集電体116のセパレータ14側の面に設けられた負極層20とを備える。集電体116は、Z軸方向において集電体16よりも厚いこと以外は集電体16と同じ構成を備える。
蓄電装置10は、複数のバイポーラ電極12を支持する樹脂ケース(樹脂部材)30を備えてもよい。各バイポーラ電極12の集電体16の周縁部24(図2参照)が樹脂ケース30内に埋設される。樹脂ケース30は、電極112及び電極212を支持してもよい。樹脂ケース30は、隣接するセル間における絶縁性を確保するための絶縁ケースである。例えば、電極112及び電極212の集電体116の端部が樹脂ケース30内に埋設される。樹脂ケース30は、複数のバイポーラ電極12及び複数のセパレータ14を収容し得る筒状部材であってもよい。樹脂ケース30内には電解液が充填される。
蓄電装置10は、正極プレート40及び負極プレート50を備えてもよい。正極プレート40及び負極プレート50は、Z軸方向において、複数のバイポーラ電極12及び複数のセパレータ14を挟持する。正極プレート40及び負極プレート50は、電極112、電極212及び樹脂ケース30を挟持してもよい。電極112は正極プレート40とセパレータ14との間に配置される。電極212は負極プレート50とセパレータ14との間に配置される。正極プレート40には正極端子42が接続される。負極プレート50には負極端子52が接続される。正極端子42及び負極端子52により蓄電装置10の充放電を行うことができる。
正極プレート40及び負極プレート50には、Z軸方向に延びるボルトBを貫通するための貫通孔が設けられる。貫通孔は、Z軸方向から見て樹脂ケース30の外側に配置される。ボルトBは正極プレート40から負極プレート50に向かって挿通され得る。ボルトBの先端にはナットNが螺合される。これにより、正極プレート40及び負極プレート50は、複数のバイポーラ電極12、複数のセパレータ14、電極112、電極212及び樹脂ケース30を拘束できる。その結果、樹脂ケース30内は密封され得る。
集電体16の周縁部24が樹脂ケース30に埋設されることにより、樹脂ケース30は、集電体16の周縁部24に密着し、周縁部24をシールしている。樹脂ケース30が周縁部24をシールすることにより、集電体16,16間の空間は密閉されている。集電体16,16間の空間に存在するガスおよび電解液は、当該空間の外部に移動できなくなっている。
蓄電装置10では、集電体16の第1の面16a側の正極層18と、隣接する集電体16の第2の面16b側の負極層20と、正極層18および負極層20の間のセパレータ14と、第1の面16aおよび第2の面16bの間の空間を密閉する樹脂ケース30とによって、一層のセルが構成されている。樹脂ケース30は、あるセルから他のセルへとガスおよび電解液が移動することを規制している。これにより、隣接するセル間における絶縁性が確保されている。
図2および図3を参照して、樹脂ケース30に対する集電体16の接合構造(支持構造または保持構造)について説明する。図2は、第2の面16b側(負極層20側)から見た集電体16を示している。なお、図3に示される各構成は、図1に示された各構成とは上下反対になるように示されている。
図2に示されるように、集電体16は、たとえば矩形状である。集電体16は、正極層18および負極層20が設けられた塗工部21と、正極層18および負極層20が設けられない未塗工部22とを含む。未塗工部22は矩形の環状をなし、集電体16の外周側に位置する。塗工部21は矩形状をなし、集電体16の中央側に位置する。言い換えれば、塗工部21は、未塗工部22の内側に配置され、未塗工部22によって囲まれている。
未塗工部22のXY方向における端部である周縁部24は、上記した樹脂ケース30(図2において仮想線で示される)に埋設される。矩形の環状をなす周縁部24は、樹脂ケース30の内部に配置されて、樹脂ケース30内で終端している。
図2および図3に示されるように、未塗工部22は、周縁部24の内側に配置された露出部23を含む。露出部23は、電解液が充填された集電体16,16間の空間に露出している。露出部23は、周縁部24と塗工部21との間に配置され、矩形の環状をなす部分である。
集電体16の形状、正極層18および負極層20が設けられる領域(塗工部21の形状)、未塗工部22の形状、周縁部24の形状等は、上記と違っていてもよい。これらの形状または領域は、矩形に限られない。これらの形状または領域は、多角形状であってもよいし、円形であってもよい。
本実施形態のバイポーラ電極12では、集電体16の周縁部24に酸化膜26が設けられている。図3に示されるように、酸化膜26は、積層方向(Z軸方向)に隣り合う2つの集電体16,16における2つの周縁部24,24の間に配置されている。酸化膜26は、互いに対面する第1の面16aおよび第2の面16bの少なくともいずれかの面に設けられている。すべてのバイポーラ電極12において、酸化膜26は、第2の面16bにのみ設けられている。
酸化膜26は、たとえば陽極酸化処理等の公知の酸化処理技術によって形成され得る。酸化膜26は、多孔質(ポーラス)である。酸化膜26は、絶縁性である。酸化膜26は、凹凸形状の表面26aを含む。酸化膜26は、たとえば負極層20よりも薄い。
各構成の厚みの一例を挙げると、たとえば、集電体16の厚みは10〜50μmであり、正極層18の厚みは90μmであり、負極層20の厚みは60μmであり、セパレータ14の厚みは100〜120μmである。負極層20の厚みが60μmであるのに対し、酸化膜26の厚みは、60μm未満である。酸化膜26の厚みは厳密に調整されなくてもよいが、たとえば、30μm未満であってもよいし、10μm未満であってもよい。
図2および図3に示されるように、バイポーラ電極12では、負極層20は、正極層18よりも大きい。言い換えれば、正極層18および負極層20をXY平面に投影した場合、正極層18は、負極層20に包含される。このような大小関係により、PN比は1以上に調整されている。
酸化膜26は、第2の面16bの外周側の全周にわたって設けられている。酸化膜26は、周縁部24から負極層20の端縁20aに沿った領域まで設けられている。酸化膜26は、負極層20の端縁20aの近傍にまで設けられている。絶縁性である酸化膜26は、負極層20の領域には設けられていない。すなわち、負極層20と酸化膜26とは、重なり合わない。酸化膜26は、負極層20の端縁20aに接するように設けられてもよいし、負極層20の端縁20aとの間に隙間が形成されるように設けられてもよい。このように、酸化膜26は、未塗工部22の第2の面16bの略全域に設けられている。
酸化膜26は、周縁部24上に配置されて樹脂ケース30に埋設される埋設部26bと、露出部23上に配置されて樹脂ケース30からはみ出す露出部26cとを含む。埋設部26bは、表面26aの凹部(孔部)に樹脂ケース30の樹脂材料が入り込むことにより、樹脂ケース30に接合されている。凹部(孔部)に樹脂ケース30の樹脂材料が浸入して固まることで、樹脂ケース30と周縁部24との間に凹凸状の嵌合(噛み合い)が形成され、接合強度が高められている。露出部26cは、電解液が充填された集電体16,16間の空間に露出している。
続いて、蓄電装置10の製造方法の一例について説明する。まず、準備工程として、複数のバイポーラ電極12と複数のセパレータ14とを準備する。バイポーラ電極12は、集電体16に対して酸化膜26を形成し、さらに正極層18および負極層20を形成することによって得られる。より詳細には、集電体16の周縁部24および露出部23に、第2の面16b側に対して陽極酸化処理等を施すことにより、酸化膜26を形成する。負極層20が形成される(塗工される)領域に酸化膜26が重ならないように、マスキンング処理を施してもよい。その後、第1の面16aに正極層18を形成し、第2の面16bに負極層20を形成する。
次に、積層工程として、セパレータ14を介して複数のバイポーラ電極12を直列に積層する。隣り合う周縁部24,24の間には、必ず酸化膜26が配置される。
次に、射出成形工程として、例えば金型を用いた射出成形により、樹脂ケース30を形成する。このとき、樹脂材料が酸化膜26の表面26aの凹部(孔部)に流れ込む。これにより、接合強度が高められ、アンカー効果が得られる。なお、射出成形に限られず、熱圧着等によって樹脂ケース30を形成してもよい。樹脂ケース30を成形する方法は特に限定されない。
その後、拘束工程として、図1に示されるように、正極プレート40及び負極プレート50により、複数のバイポーラ電極12、複数のセパレータ14、電極112、電極212及び樹脂ケース30を挟持する。さらに、ボルトB及びナットNを用いて正極プレート40及び負極プレート50に拘束力を付与する。以上の一連の工程を経て、蓄電装置10が製造される。
蓄電装置10によれば、未塗工部22の周縁部24は、樹脂ケース30に埋設される。積層方向に隣り合う2つの周縁部24の間には、第2の面16bに設けられた酸化膜26が配置される。この酸化膜26は、表面26aに凹凸を有するため、凹部(孔部)に樹脂材料が入り込むことで、樹脂ケース30に対する集電体16の接合強度が高められている。すなわちアンカー効果が得られている。よって、樹脂ケース30による密着性すなわちシール性が確保され、隣接するセル間における絶縁性が確保されている。酸化膜26が集電体16の全周にわたって設けられていることにより、周方向の全域において接合強度が高められ、シール性・絶縁性に関する信頼性が高められている。
絶縁性である酸化膜26は、樹脂ケース30よりも内側にはみ出る。周縁部24のみならず、樹脂ケース30の内側にも酸化膜26が設けられることにより、隣り合う集電体16,16同士の短絡が確実に防止されている。このように、酸化膜26は、樹脂ケース30に対する接合強度の向上のみならず、その絶縁性を利用した短絡の防止にも寄与している。たとえば、あるセル内の圧力が上昇した場合には、集電体16の両面側の圧力差によって集電体16は積層方向(Z軸方向)に移動し得る。集電体16が移動しても、露出部23と露出部23との間には酸化膜26が存在するため、これらの短絡を防止することができる。
絶縁性である酸化膜26が負極層20の端縁20aに沿った領域まで設けられるので、未塗工部22が露出する領域が小さくなっている。酸化膜26を端縁20aに接するように設ければ、未塗工部22が露出する領域は無くなる。これらにより、隣り合う集電体16,16同士の短絡がより確実に防止されている。
バイポーラ電極12においては、第2の面16b側の未塗工部22は、第1の面16a側の未塗工部22よりも小さい。そのような第2の面16bにおいて、酸化膜26が負極層20の端縁20aに沿った領域まで設けられるので、酸化膜26を形成すべき領域を小さくできる。このことは、たとえば、製造上の観点において有利である。
負極層20より薄い酸化膜26は、バイポーラ電極12の体格、すなわち積層方向における厚みに影響を与えない。したがって、シール性を確保しつつ、蓄電装置10の全体が大型化することが防止されている。
図4を参照して、他の実施形態に係る集電体16の接合構造(支持構造または保持構造)について説明する。図4に示されるように、酸化膜26は、集電体16の第1の面16aにのみ設けられている。酸化膜26は、第1の面16aの外周側の全周にわたって設けられている。酸化膜26は、周縁部24から正極層18の端縁18aに沿った領域まで設けられている。絶縁性である酸化膜26は、正極層18の領域には設けられていない。すなわち、正極層18と酸化膜26とは、重なり合わない。酸化膜26は、正極層18の端縁18aに接するように設けられてもよいし、正極層18の端縁18aとの間に隙間が形成されるように設けられてもよい。このように、酸化膜26は、未塗工部22の第1の面16aの略全域に設けられている。
このような構造によっても、上記実施形態と同様の作用・効果が得られる。なお、正極層18は負極層20よりも小さいため、上記実施形態に比して、酸化膜26を形成すべき領域は比較的大きくなる。しかし、たとえば正極層18の大きさが負極層20の大きさと略等しい場合には、製造上の観点においてもデメリットは少ない。
図5を参照して、更に他の実施形態に係る集電体16の接合構造(支持構造または保持構造)について説明する。図5に示されるように、酸化膜26は、集電体16の第1の面16aおよび第2の面16bの両方に設けられている。両面に設けられた酸化膜26,26は、上記の2つの実施形態における各酸化膜26と同様である。この態様によれば、周縁部24の両面側において、樹脂ケース30に対する接合強度および密着性が高められており、集電体16が樹脂ケース30に対して動きにくく(ずれにくく)なっている。このような構造によっても、上記実施形態と同様の作用・効果が得られる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られない。たとえば、酸化膜26の厚みは、正極層18および負極層20の厚みと同等であってもよいし、正極層18および負極層20の厚みよりも大きくてもよい。
酸化膜26は、活物質層(負極層20または正極層18)の周縁に沿った領域にまで設けられなくてもよい。酸化膜26は樹脂ケース30と活物質層との中間部まで設けられてもよい。集電体16の周縁部24にのみ酸化膜26が設けられてもよい。すなわち、樹脂ケース30に埋設される領域にのみ酸化膜26が設けられてもよい。その場合、酸化膜26は樹脂ケース30の内側にはみ出さず、樹脂ケース30の内部に収まる。埋設部26bのみが設けられ、露出部26cは設けられない。
酸化膜26が全周にわたって設けられる態様に限られない。酸化膜26は、周縁部24の一部に設けられてもよい。樹脂ケース30に対する集電体16の所望の接合強度が得られる程度に、周縁部24の複数箇所に酸化膜26が形成されてもよい。たとえば、周方向に離間するように、複数の酸化膜26が形成されてもよい。複数のバイポーラ電極12がセパレータ14を介して直列に積層される場合に限られない。
10…蓄電装置、12…バイポーラ電極、14…セパレータ、16…集電体、16a…第1の面、16b…第2の面、18…正極層、18a…端縁、20…負極層、20a…端縁、21…塗工部、22…未塗工部、24…周縁部、26…酸化膜。
Claims (5)
- セパレータを介して積層された複数のバイポーラ電極を備える蓄電装置であって、
前記複数のバイポーラ電極の積層方向に沿って延び、前記複数のバイポーラ電極を収容する筒状の樹脂部材を備え、
前記複数のバイポーラ電極のそれぞれは、第1の面及び前記第1の面とは反対側の第2の面を有する集電体と、前記第1の面に設けられた正極層と、前記第2の面に設けられた負極層とを有し、
前記集電体は、前記正極層および前記負極層が設けられない外周側の未塗工部と、前記正極層および前記負極層が設けられた中央側の塗工部とを含み、前記未塗工部の周縁部は前記樹脂部材に埋設されており、
前記積層方向に隣り合う2つの前記集電体の2つの前記周縁部の間には、互いに対面する前記第1の面および前記第2の面の少なくともいずれかに設けられた酸化膜が配置される、蓄電装置。 - 前記酸化膜は、前記樹脂部材に埋設された前記周縁部から前記塗工部側にはみ出るように設けられている、請求項1に記載の蓄電装置。
- 前記酸化膜は、前記酸化膜と同じ面に設けられた前記正極層または前記負極層の端縁に沿った領域まで設けられている、請求項2に記載の蓄電装置。
- 前記複数のバイポーラ電極において、前記酸化膜は、前記第2の面にのみ設けられている、請求項3に記載の蓄電装置。
- 前記酸化膜は、前記酸化膜と同じ面に設けられた前記正極層または前記負極層より薄い、請求項1〜4のいずれか一項に記載の蓄電装置。
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