JP2018058338A - 伝動ベルト、及び伝動ベルトの製造方法 - Google Patents

伝動ベルト、及び伝動ベルトの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】伝動ベルトが実用上受けることのできる張力をより高くできるとともに伝動ベルトの性能のばらつきをより少なくでき、且つ、製造にかかる時間をより少なくできる伝動ベルト、及び伝動ベルトの製造方法を提供する。【解決手段】伝動ベルト10の製造方法は、無端状の未加硫の伸張側接着ベルトスリーブ102にシート材115を巻き付けることで当該伸張側接着ベルトスリーブ102に芯体13を形成する、芯体形成ステップを含んでいる。シート材115の幅W115は、当該シート材115の厚みT115よりも大きく設定されている。【選択図】図4

Description

本発明は、ラップドVベルト及び結合Vベルトなどの伝動ベルト、及び伝動ベルトの製造方法に関する。
動力を伝達する伝動ベルトとして、歯付ベルトなどの同期伝動ベルト、Vベルト、Vリブドベルト、平ベルトなどの摩擦伝動ベルトが知られている(たとえば、特許文献1参照)。Vベルトには、摩擦伝動のための側面にゴム層が露出したローエッジ(Raw-Edge)タイプと、ベルトが外被布で覆われたラップド(Wrapped)タイプと、がある。これらのタイプは、要求品質の違いから必要に応じて使い分けられている。また、用途に応じて多様な長さ(たとえば、ベルト長さにおいて、短尺タイプは20〜120inch、長尺で121〜400inch)のベルトが採用される。
より具体的には、自動車などに備えられるエンジンのオーバーヘッドカム(OHC)軸の伝動駆動、バランサー駆動、オイルポンプ駆動、スライドドアの開閉機構における開閉駆動など、自動車用途で用いられる歯付ベルト、自動車のエアーコンプレッサーやオルタネータなどの補機類における動力伝達に広く用いられているVリブドベルト、コンプレッサー、発電機、ポンプなどの一般産業用機械、コンバイン、田植え機、草刈り機などの農業機械に広く使われているVベルト、もみすり機、穀物乾燥機において搬送用として使用される平ベルトなどが知られている。また、Vベルトの多本掛けが必要な用途では、例えば特許文献2〜4に開示されるような、複数のVベルトをベルト幅方向に結合した結合Vベルト、が使用されている。
上記の伝動ベルトは、無端状のベルト本体と、外被布と、を有している。ベルト本体は、ベルト内周側の未加硫ゴム層と、外周側の未加硫ゴム層との間に心線を埋設した後にこれらのゴム層が加硫された構成を有している。たとえばラップドVベルトの場合は、ベルト内周側の圧縮ゴム層と、外周側の伸張ゴム層との間に心線を埋設した構成を有している。外被布は、ベルト本体の周囲をベルト周方向の全長に亘って被覆している。ラップドVベルトは、ベルト走行時の当該ベルトの適度な滑りによって、機構に無理な負担をかけないという特徴がある。また、ラップドVベルトは、ベルト本体を被覆している外被布の効果により、摩擦音が小さい。
国際公開WO2014/178161号明細書 特開平10−274290号公報 特開2001−241513号公報 特開平4−351350号公報
上記の構成を有するラップドVベルトが製造される際には、まず、内周側の圧縮ゴム層となる未加硫ゴムシートを形成するために、原料ゴムに圧延加工が施される。次に、圧延加工によって帯状に形成された原料ゴムを帯の長手方向に沿って所定長さ毎に裁断する。次に、裁断された原料ゴムを成形用マントルの外周部に巻くことで、原料ゴムを未加硫ゴムシートとして形成し、成形用マントルによってこの未加硫ゴムシートを円形状に保持させる。
すなわち、未加硫ゴムシートの巻き掛け(セッティング)工程が行われる。巻き掛け工程は、加工対象としての可撓性を有する未加硫ゴムシートを当該未加硫ゴムシートの内周
側から支持することで未加硫ゴムシートを円形状に保持するための、成形用マントルに未加硫ゴムシートを巻き掛ける工程である。
次に、成形用マントルに巻かれた未加硫ゴムシートに、断面円形状のロープ状部材である心線が巻き付けられるスピニング工程が行われる。スピニング工程では、ボビンに巻かれた心線が、成形用マントルによる未加硫ゴムシートの回転に伴ってボビンから繰り出される。そして、ボビンから繰り出された心線は、未加硫ゴムシートに螺旋状に巻かれる。次に、上シート貼り工程が行われる。上シート貼り工程では、上記の未加硫ゴムシートと同様に形成され後に伸張ゴム層となる未加硫ゴムシートが、心線を巻かれた状態の未加硫ゴムシートの外周部に巻かれる。これにより、未加硫ゴムシートで心線が挟まれた構成を有する未加硫スリーブが完成する。
そして、未加硫スリーブが所定の幅毎にカットされ、さらに、断面V字状にカット(スカイブ)されることで、図36(A)に示す未加硫ベルト200が形成される。
上記のスピニング工程では、細い心線201を未加硫ベルト200のうち圧縮ゴム層となる未加硫ゴムシート202に螺旋状に巻き付けることになる。そして、未加硫ベルト200の未加硫ゴムシート202上において、螺旋ラインに沿って心線201が正確に巻かれることが望ましい。図36(B)は、未加硫ゴムシート202において、心線201が巻かれた状態の未加硫ゴムシート202を模式的に示す展開図である。図36(A)および図36(B)を参照して、未加硫ベルト200における未加硫ゴムシート202の一側面203の位置は、たとえば、図36(B)における未加硫ゴムシート202の一端寄りの直線204の位置となる。そして、未加硫ゴムシート202上の心線201は、直線204に沿ってカットされることとなる。その結果、未加硫ベルト200の一側面203において、心線201が、未加硫ベルト200の周方向に十分な長さで表れることとなる。これにより、伝動ベルトの側面203において、心線201が十分な張力を受けることができる。
しかしながら、上記のスピニング工程では、細い心線201を未加硫ゴムシート202に螺旋状に巻き付けることになるため、正確な螺旋ラインに沿って心線201を巻くことが難しい。このため、図37(A)および図37(B)に示すように、未加硫ベルト300の未加硫ゴムシート302上において、心線301が、螺旋ラインに対して蛇行するように巻かれることがある。なお、図37(B)は、未加硫ゴムシート302において、心線301が巻かれた状態の未加硫ゴムシート302を模式的に示す展開図である。未加硫ベルト300における未加硫ゴムシート302の一側面303の位置は、たとえば、図37(B)における未加硫ゴムシート302の一端寄りの直線304の位置となる。このように、心線301が蛇行していると、未加硫ゴムシート302上の心線301は、直線304に沿って断続的にカットされることとなる。その結果、未加硫ベルト300の一側面303において、蛇行した心線301が、未加硫ベルト300の周方向に断続的に表れることとなる。すなわち、未加硫ベルト300の一側面303において、心線301が存在する領域と心線301が存在しない領域とが交互に存在することとなる。このように、細切れに存在する心線301は、伝動ベルトの張力を受ける部分として機能できず、その結果、心線301の有効本数(ある切断面において、伝動ベルトの張力を受けることができる心線の本数)が少なくなる。すなわち、伝動ベルトの強度が低下してしまう。
また、心線301は糸状であって細いため、伝動ベルトの強度確保に必要な心線の巻き数は多くなる。このため、未加硫ゴムシート302に心線301を巻く時間が長くなり、伝動ベルトの製造に時間がかかる。
特許文献1では、このような、心線に起因する張力のばらつきの発生などについて特に言及されていない。
また、高負荷に耐えうる伝動ベルトを形成しようとした場合、線径の太い心線を用いることが考えられる。しかしこの場合、伝動ベルトが高い張力で用いられるため、伝動ベルトがプーリの溝内に落ち込んだときに大きな変形が生じやすくなり、その内部に大きなせん断応力が発生してしまう。そうすると、特に、心線をゴム層に接着するための接着層とゴム層との間の界面において剥離が生じやすくなる。
本発明は、上記の課題に鑑み、伝動ベルトが実用上受けることのできる張力をより高くできるとともに伝動ベルトの性能のばらつきをより少なくでき、且つ、製造にかかる時間をより少なくできる伝動ベルト、及びそのような伝動ベルトの製造方法、を提供することを目的とする。
(1)上記課題を解決するため、本発明のある局面に係る伝動ベルトの製造方法は、無端状の未加硫のベルトスリーブにシート材を巻き付けることで前記ベルトスリーブに芯体を形成する、芯体形成ステップを含み、前記シート材の幅は、当該シート材の厚みよりも大きく設定されている。
この構成によると、芯体形成ステップにおいて、幅の広い扁平なシート材をベルトスリーブに巻き付けることで、芯体が形成される。このため、ベルトスリーブの幅方向において芯体が存在している領域をより広くできる。たとえば、未加硫のベルトスリーブと芯体とを含む未加硫スリーブが形成された後に当該未加硫スリーブを所定幅毎にカットし、さらに、当該カットした部材を断面V字形状となるように削るスカイブ作業を行うことで、未加硫ベルトが形成される。前述したように、ベルトスリーブの幅方向において芯体が存在する領域が広いので、この未加硫ベルトの両側面(プーリのシーブ面などと向かい合う面)において、芯体が未加硫ベルトの周方向に連続して表れることとなる。これにより、未加硫ベルトの一側面において、芯体が、未加硫ベルトの周方向に十分な長さで表れることとなる。これにより、未加硫ベルトに加硫処理などが施されることで完成する伝動ベルトの側面において、芯体が十分な張力を受けることができる。これにより、伝動ベルトが実用上受けることのできる張力をより高くできる。さらに、ベルトスリーブの幅方向において芯体が存在する領域が広いので、この未加硫ベルトの両側面において、芯体がベルトスリーブの周方向に断続的に表れる事態をより確実に防止できる。よって、伝動ベルトの側面において、芯体が受けることができる張力に個体差が生じることを抑制できる。これにより、伝動ベルトの性能のばらつきをより少なくできる。さらに、シート材は幅広い形状であるので、ベルトスリーブに巻きつける回数を少なくできる。よって、芯体の形成に必要な時間を少なくできるので、伝動ベルトの製造にかかる時間をより少なくできる。さらに、高負荷に耐えうる伝動ベルトを形成しようとした場合、従来のように太い心線を用いる必要がなく、比較的厚みの薄い芯体を用いるため、伝動ベルトをプーリへ巻き掛けて使用しているときに大きく変形しにくく、内部に発生するせん断応力も比較的小さくなる。よって、接着ゴム層とゴム層との間の界面における剥離も生じにくくなる。
(2)好ましくは、前記シート材のうち前記ベルトスリーブの幅方向に隣接する部分同士が前記ベルトスリーブの径方向に互いに重なることを避けるように前記シート材が前記ベルトスリーブに巻かれる。
この構成によると、ベルトスリーブの幅方向に隣接するシート材を、ベルトスリーブの幅方向に沿って一列に並べることができる。これにより、上記隣接するシート材の一方が他方に乗り上げることを防止できる。これにより、芯体を、ベルトスリーブの幅方向に沿ってより均等に配置できる。よって、伝動ベルトに張力が作用したときにこの張力を、芯体によってベルトスリーブの幅方向に関してより均等に受けることができる。これにより、伝動ベルト内で受ける張力の偏りを抑制できる。その結果、複数の伝動ベルトをプーリなどに巻き掛けて動力伝達がされる場合(多本掛け走行時)において、複数の伝動ベルト間で張力および当該張力に起因する伸びに差が生じることを抑制できる。これにより、張力が過大に作用することで早期に寿命に到達する伝動ベルトが生じることを抑制できる。また、大きく伸びることで早期に張力低下を生じその結果スリップによる摩耗によって早期に寿命に到達する伝動ベルトが生じることを抑制できる。
たとえば、従来の構成、すなわち、圧縮ゴム層と伸張ゴム層との間に心線が配置される構成の伝動ベルトでは、細い心線を圧縮ゴム層となるベルトスリーブに巻き付ける際に、心線の位置が設計上の位置からずれやすい。このため、ベルトスリーブの幅方向における心線の位置にずれが生じ易い。その結果、ベルトスリーブを所定幅毎にカットすることで形成された1本の未加硫ベルト内において、心線の位置にばらつきが生じる。さらに、複数の未加硫ベルト間において、心線の有効本数(切断面における心線の本数)にばらつきが生じる。このようなばらつきの原因として、心線を巻くときのピッチのばらつき、心線径のばらつき、および、ベルトスリーブに対する心線の蛇行が挙げられる。そして、複数の伝動ベルト間において心線の有効本数が異なると、これらの伝動ベルトに張力が作用したときの引張伸び量が異なる。伸び量の異なる伝動ベルトをプーリなどに多本掛けして走行させると、多本掛けの伝動ベルト間で張力に差が生じることで十分な動力伝達が出来なくなる。その結果、過張力のベルトは早期に寿命を迎える。また、伸び量の大きい伝動ベルトは早期に伝達できる張力が低下し、スリップ走行による摩耗から早期に寿命を迎える。一方で、前述したように、シート材のうち芯体の幅方向に隣接する部分同士が芯体の径方向に互いに重なることを避けるようにシート材がベルトスリーブに巻かれることで、このような張力の不均衡が生じることを抑制された伝動ベルトを製造できる。
(3)好ましくは、前記シート材が螺旋状に巻かれることで前記芯体が形成され、前記ベルトスリーブに前記シート材が巻かれるピッチは、前記シート材の幅と同じに設定されている。
この構成によると、ベルトスリーブの幅方向に隣接するシート材同士がベルトスリーブの幅方向に隙間無い状態で、ベルトスリーブに巻かれる。これにより、伝動ベルトの種類の違い(芯体の厚みなど)にかかわらず、伝動ベルトの両側面間の全域に亘って芯体を配置することができる。これにより、伝動ベルトの種類に応じて芯体をベルトスリーブに巻くピッチを変更する作業が不要となる。その結果、伝動ベルトの種類に応じて芯体をベルトスリーブに巻くピッチを変更する際の作業ミスに起因する、ピッチの不適切な設定などのミスを防止できる。これにより、伝動ベルトの製造時における手間の低減と、不良品の発生の低減とを実現できる。
たとえば、従来の構成、すなわち、圧縮ゴム層と伸張ゴム層との間に心線が配置される構成の伝動ベルトでは、心線をベルトスリーブに巻き付ける際のピッチを、心線の直径などに応じて設定する必要がある。このため、このピッチの設定の手間がかかるとともに、ピッチの設定間違いが生じるおそれがある。一方、前述したように、シート材の幅とシート材が巻かれるピッチとを同じにすることで、シート材の幅とシート材が巻かれるピッチとが一義的に決まる。このため、このピッチの設定の手間と、ピッチの設定間違いが生じるおそれの双方をより少なくできる。
また、扁平なシート材を用いて芯体を形成するとともに、シート材の幅とシート材が巻かれるピッチとを同じにすることで、ベルトスリーブの幅方向に隣接するシート材の一方が他方に乗り上げることをより確実に抑制できる。これにより、シート材の乗り上げが生じたときにこの乗り上げた部分を乗り上げない位置へ修正する作業の発生を抑制できる。これにより、伝動ベルトの製造にかかる手間をより少なくできる。
また、たとえば、従来の構成、すなわち、圧縮ゴム層と伸張ゴム層との間に心線が配置される構成の伝動ベルトでは、心線をベルトスリーブに巻き付ける際のピッチが心線の直径と略同じ場合がある。この場合、ピッチが心線の直径よりも僅かに大きく設定されているけれども、ベルトスリーブの幅方向に隣接する心線の一方が他方に乗り上げる現象が生じ易い。このような乗り上げは、心線の巻き付け時の位置に誤差が生じやすいことと、心線の直径にばらつきがあることなどに起因して生じる。そして、心線の乗り上げが生じたときにこの乗り上げた部分を乗り上げない位置へ修正する作業が必要である。一方、前述したように、シート材の幅とシート材が巻かれるピッチとを同じにすることで、このような乗り上げを抑制できる。
(4)好ましくは、前記シート材が前記ベルトスリーブの径方向に積層されることにより前記芯体が形成される。
この構成によると、シート材を積層することで、所望の厚みの芯体を容易に形成できる。これにより、伝動ベルトの種類(伝動ベルトの大きさ、引張強力などの違い)に応じて厚みの異なる複数種類のシート材を事前に準備しなくてもよい。これにより、伝動ベルトの製造にかかる準備と手間と時間を少なくできる。また、複数種類のシート材を準備しなくてもよくなることで、伝動ベルトの製造工場における資材置き場のスペースをより広く使うことができる。また、種類の異なるシート材の取り替え作業が不要となることで、シート材が巻かれた重いボビンを作業員が頻繁に移動させる必要がなく、重作業を低減できる。
(5)好ましくは、前記シート材のうち前記ベルトスリーブの幅方向に互いに隣接する部分の端縁同士が所定の突き合わせ位置で突き合わされており、前記径方向に隣接する前記シート材間において、前記突き合わせ位置が前記幅方向にずらされている。
この構成によると、シート材がより安定した姿勢でベルトスリーブに巻かれることになる。これにより、伝動ベルトの使用時において、芯体の各部がより均等に張力を受けることができる。よって、伝動ベルトの性能のばらつきをより確実に抑制できる。
(6)好ましくは、前記芯体に接触するように構成される前記ベルトスリーブを形成するベルトスリーブ形成ステップをさらに含み、前記ベルトスリーブ形成ステップでは、前記ベルトスリーブの幅よりも短い幅を有するリボン状ゴムをマントルに複数周巻くことで、前記ベルトスリーブが形成され、前記リボン状ゴムのうち前記ベルトスリーブの幅方向に互いに隣接する部分の端縁同士が所定の突き合わせ位置で突き合わされており、前記芯体の前記シート材のうち前記ベルトスリーブの幅方向に互いに隣接する部分の端縁同士が所定の突き合わせ位置で突き合わされており、前記リボン状ゴムにおける前記突き合わせ位置と、前記シート材における前記突き合わせ位置とが、前記幅方向にずらされている。
この構成によると、リボン状ゴムは、ベルトスリーブの幅よりも短い。このため、リボン状ゴムをたとえばマントルに巻き付ける態様によって、ベルトスリーブの厚みおよび幅の少なくとも一方を調整できる。これにより、たとえば、伝動ベルトの圧縮ゴム層となるベルトスリーブの厚みに応じてリボン状ゴムをマントルに巻き付ける態様を調整することで、任意の厚みの圧縮ゴム層を実現できる。これにより、圧縮ゴム層などの厚みの種類に応じて厚みの異なる複数種類のベルトスリーブを事前に準備する必要がなくなる。これにより、伝動ベルトの製造にかかる準備と手間と時間を少なくできる。また、複数種類のベルトスリーブを準備する必要がないので、伝動ベルトの製造工場における資材置き場のスペースをより広く使うことができる。また、リボン状ゴムであれば、当該リボン状ゴムの重さを軽くできる。このため、1枚のゴムシートでベルトスリーブを形成する場合と異なり、重いゴムシートを引きずりながら移動する必要がなく、ゴムに異物が混入するおそれをより小さくできるとともに、重いゴムシートを移動させるという重労働をなくすことができる。さらに、リボン状ゴムにおける突き合わせ位置と、シート材における突き合わせ位置とが、幅方向にずらされている。これにより、シート材およびリボン状ゴムがより安定した姿勢で無端状に形成されることになる。これにより、伝動ベルトの使用時において、芯体およびゴム層の各部がより均等に張力を受けることができる。よって、伝動ベルトの性能のばらつきをより確実に抑制できる。
(7)好ましくは、前記ベルトスリーブを形成するベルトスリーブ形成ステップをさらに含み、前記ベルトスリーブとして、前記伝動ベルトの伸張ゴム層となるように配置される伸張側ベルトスリーブと、前記伝動ベルトの圧縮ゴム層となるように配置される圧縮側ベルトスリーブと、が設けられ、前記ベルトスリーブ形成ステップとして、前記芯体形成ステップに先立って行われ前記伸張側ベルトスリーブを形成する伸張側ベルトスリーブ形成ステップと、前記芯体形成ステップの後に行われ前記圧縮側ベルトスリーブを形成する圧縮側ベルトスリーブ形成ステップと、が設けられる。
この構成によると、芯体が形成された後に圧縮側ベルトスリーブが形成されるので、圧縮側ベルトスリーブの形状を、シート材の配置に悪影響を与えないような形状にする必要がない。このため、シート材の積層方法の自由度をより高くできる。
(8)好ましくは、前記ベルトスリーブを形成するベルトスリーブ形成ステップをさらに含み、前記ベルトスリーブとして、前記伝動ベルトの圧縮ゴム層となるように配置される圧縮側ベルトスリーブが設けられ、前記ベルトスリーブ形成ステップとして、前記芯体形成ステップに先立って行われ前記圧縮側ベルトスリーブを形成する圧縮側ベルトスリーブ形成ステップ、が設けられ、前記芯体形成ステップで前記芯体が形成された前記ベルトスリーブを該ベルトスリーブの周方向に沿って切断することにより複数の未加硫ベルトを形成する未加硫ベルト形成ステップと、連結部を介して複数の前記未加硫ベルトを互いに結合する未加硫ベルト結合ステップと、を更に含む。
この構成によると、いわゆる結合Vベルトにおいて、該結合Vベルトの幅方向に並べられた個々の未加硫ベルト内に、シート材によって形成された芯体を設けることができる。従って、この構成によれば、結合Vベルトが実用上受けることのできる張力をより高くできるとともに結合Vベルトの性能のばらつきをより少なくでき、且つ、製造にかかる時間をより少なくできる結合Vベルトの製造方法を提供できる。
(9)好ましくは、前記伝動ベルトの製造方法は、前記ベルトスリーブを形成するベルトスリーブ形成ステップをさらに含み、前記ベルトスリーブとして、前記伝動ベルトの圧縮ゴム層となるように配置される圧縮側ベルトスリーブと、前記伝動ベルトの伸張ゴム層となるように配置される伸張側ベルトスリーブが設けられ、前記ベルトスリーブ形成ステップとして、前記圧縮側ベルトスリーブを形成する圧縮側ベルトスリーブ形成ステップと、前記伸張側ベルトスリーブを形成する伸張側ベルトスリーブ形成ステップと、が設けられ、前記圧縮側ベルトスリーブ、前記伸張側ベルトスリーブ及び前記芯体が形成された前記ベルトスリーブを該ベルトスリーブの周方向に沿って切断することにより複数の未加硫ベルトを形成する未加硫ベルト形成ステップと、前記伸張側ベルトスリーブに結合される連結部を介して複数の前記未加硫ベルトを互いに結合する未加硫ベルト結合ステップと、を更に含む。
この構成によると、いわゆる結合Vベルトにおいて、該結合Vベルトの幅方向に並べられた個々の未加硫ベルト内に、シート材によって形成された芯体を設けることができる。従って、この構成によれば、結合Vベルトが実用上受けることのできる張力をより高くできるとともに結合Vベルトの性能のばらつきをより少なくでき、且つ、製造にかかる時間をより少なくできる結合Vベルトの製造方法を提供できる。さらに、芯体と連結部との間に伸張側ベルトスリーブが設けられる。ここで、例えば、軸方向が上下方向を向くように配置された一対の結合Vベルトを用いて人参の葉部分等の搬送物を挟みつつ、これら一対の結合Vベルトの回転駆動によって搬送物をベルト周方向に搬送する構成が考えられる。このような構成において、結合Vベルトの弛み(垂れ下がりによる湾曲)をより確実に抑制することが可能な、十分な強度を結合Vベルトに付与できる。
(10)上記課題を解決するため、本発明のある局面に係る伝動ベルトは、圧縮ゴム層を備えた無端状の伝動ベルトであって、幅が厚みよりも大きく設定されたシート材を有し、前記圧縮ゴム層の外周面側に設けられている前記シート材の幅方向が前記伝動ベルトの幅方向に沿い且つ前記シート材の厚み方向が前記伝動ベルトの厚み方向に沿った状態となっている芯体、を更に備えている。
この構成によれば、伝動ベルトの幅方向における広い範囲に、補強部材としての芯体を延在させることができる。こうすると、従来のように伝動ベルトの補強部材として心線を用いる場合と比べて、補強部材が伝動ベルトの幅方向においてとぎれとぎれになることがないため、伝動ベルトが実用上受けることのできる張力をより高くできる。さらに、伝動ベルトの幅方向において芯体が存在する領域が広いので、伝動ベルトの幅方向両側面において、芯体が伝動ベルトの周方向に断続的に表れる事態をより確実に防止できる。よって、伝動ベルトの側面において、芯体が受けることができる張力に個体差が生じることを抑制できる。これにより、伝動ベルトの性能のばらつきをより少なくできる。更に、シート材は幅広い形状であるので、伝動ベルトを形成する際に、ベルトスリーブに巻き付ける回数を、心線を巻き付ける場合と比べて少なくできる。よって、芯体の形成に必要な時間を少なくできるので、伝動ベルトの製造にかかる時間をより少なくできる。
(11)好ましくは、前記芯体では、前記シート材のうち前記伝動ベルトの幅方向に隣接する部分同士が、前記伝動ベルトの厚み方向に重なっていない。
この構成では、伝動ベルトの幅方向に隣接するシート材が、伝動ベルトの幅方向に沿って一列に並べられた状態となる。言い換えれば、上記隣接するシート材の一方が他方に乗り上がった状態となっていない。これにより、芯体が、伝動ベルトの幅方向に沿ってより均等に配置される。よって、伝動ベルトに張力が作用したときにこの張力を、芯体によって伝動ベルトの幅方向に関してより均等に受けることができる。これにより、伝動ベルト内で受ける張力の偏りを抑制できる。その結果、複数の伝動ベルトをプーリなどに巻き掛けて動力伝達がされる場合(多本掛け走行時)において、複数の伝動ベルト間で張力および当該張力に起因する伸びに差が生じることを抑制できる。これにより、張力が過大に作用することで早期に寿命に到達する伝動ベルトが生じることを抑制できる。また、大きく伸びることで早期に張力低下を生じその結果スリップによる摩耗によって早期に寿命に到達する伝動ベルトが生じることを抑制できる。
(12)好ましくは、前記芯体は、前記伝動ベルトの厚み方向に重ねられた状態となっている複数の前記シート材を有している。
この構成によると、シート材を積層することで、所望の厚みの芯体を容易に形成できる。これにより、伝動ベルトの種類(伝動ベルトの大きさ、引張強力などの違い)に応じて厚みの異なる複数種類のシート材を事前に準備しなくてもよい。これにより、伝動ベルトの製造にかかる準備と手間と時間を少なくできる。また、複数種類のシート材を準備しなくてもよくなることで、伝動ベルトの製造工場における資材置き場のスペースをより広く使うことができる。また、種類の異なるシート材の取り替え作業が不要となることで、シート材が巻かれた重いボビンを作業員が頻繁に移動させる必要がなく、重作業を低減できる。
(13)更に好ましくは、前記シート材のうち前記伝動ベルトの幅方向に互いに隣接する部分の端縁同士が所定の突き合わせ位置で突き合わせられた状態となっており、前記伝動ベルトの厚み方向に隣接する前記シート材間では、前記突き合わせ位置が前記伝動ベルトの幅方向にずれた状態となっている。
この構成によると、上述した突き合わせ位置が伝動ベルトの幅方向に揃った状態となっている場合と比べて、シート材がより安定した姿勢で巻かれた状態となっている。これにより、伝動ベルトの使用時において、芯体の各部がより均等に張力を受けることができる。よって、伝動ベルトの性能のばらつきをより確実に抑制できる。
(14)好ましくは、前記伝動ベルトは、それぞれが前記圧縮ゴム層及び前記芯体を有する無端状に形成された複数の前記伝動ベルトとしてのベルト部と、前記ベルト部の幅方向に配列された前記複数のベルト部を連結する連結部と、を更に備えている。
この構成によると、いわゆる結合Vベルトにおいて、該結合Vベルトの幅方向に並べられた個々のベルト部内に、シート材によって形成された芯体を設けることができる。従って、この構成によれば、結合Vベルトが実用上受けることのできる張力をより高くできるとともに結合Vベルトの性能のばらつきをより少なくでき、且つ、製造にかかる時間をより少なくできる結合Vベルトを提供できる。
(15)好ましくは、前記ベルト部は、前記芯体と前記連結部との間に配置される伸張ゴム層を更に備えている。
この構成によると、結合Vベルトが実用上受けることのできる張力をより高くできるとともに結合Vベルトの性能のばらつきをより少なくできる。さらに、芯体と連結部との間に伸張側ベルトスリーブが設けられる。ここで、例えば、軸方向が上下方向を向くように配置された一対の結合Vベルトを用いて人参の葉部分等の搬送物を挟みつつ、これら一対の結合Vベルトの回転駆動によって搬送物をベルト周方向に搬送する構成が考えられる。このような構成において、結合Vベルトの弛み(垂れ下がりによる湾曲)をより確実に抑制することが可能な、十分な強度を結合Vベルトに付与できる。
(16)好ましくは、前記連結部は、互いに異なる二方向に交差して延びる第1繊維及び第2繊維を含む二方向繊維シート材を用いて形成されており、前記互いに異なる二方向は、前記伝動ベルトの周方向及び幅方向であるか、又は、何れも前記周方向と交差する方向である。
この構成によると、連結部の強度をより高くできる。よって、特に、ベルトが長尺であっても垂れ下がりが生じることを抑制でき、長期に渡り被挟持物を正確に掴み落下することなく搬送可能な結合Vベルトを実現できる。
(17)前記二方向繊維シート材は、アラミド繊維を用いて形成されており、前記二方向繊維シート材の目付量が90〜870(g/m)であること、前記二方向繊維シート材の引張強度が2060(N/mm)以上であること、前記二方向繊維シート材の厚みが0.03〜0.24(mm)であること、の少なくとも一つの条件が満たされていてもよい。
(18)また、前記二方向繊維シート材は、炭素繊維を用いて形成されており、前記二方向繊維シート材の目付量が200〜300(g/m)であること、前記二方向繊維シート材の引張強度が2900(N/mm)以上であること、前記二方向繊維シート材の厚みが0.05〜0.09(mm)であること、の少なくとも一つの条件が満たされていてもよい。
上記(17)、(18)の構成によれば、結合Vベルトの弛み(垂れ下がりによる湾曲)を顕著に抑制できる構成を実現できる。
本発明によると、伝動ベルトが実用上受けることのできる張力をより高くできるとともに伝動ベルトの性能のばらつきをより少なくでき、且つ、製造にかかる時間をより少なくできる。
本発明の一実施形態にかかる伝動ベルトの製造方法を用いて形成された伝動ベルトの断面図である。 (A)および(B)は、それぞれ、成形装置を用いた伸張側ベルトスリーブの巻き掛け工程(ステップS3)を示す斜視図および断面図である。 (A)および(B)は、それぞれ、成形装置を用いた伸張側接着ベルトスリーブの巻き掛け工程(ステップS4)を示す斜視図および断面図である。 (A)および(B)は、それぞれ、成形装置を用いた芯体の巻き掛け工程(ステップS5)を示す斜視図および断面図である。 (A)および(B)は、それぞれ、成形装置を用いた圧縮側接着ベルトスリーブの巻き掛け工程(ステップS6)を示す斜視図および断面図である。 (A)および(B)は、それぞれ、成形装置を用いた圧縮側ベルトスリーブの巻き掛け工程(ステップS7)を示す斜視図および断面図である。 (A)は、未加硫スリーブのカット工程(ステップS8)を示す断面図であり、(B)は、未加硫スリーブのスカイブ工程(ステップS9)を示す断面図である。 伝動ベルトの成形工程の一例を説明するためのフローチャートである。 (A)は、シート材を構成する一方向性シートの模式的な平面図であり、(B)は、シート材を構成する二方向性シートの模式的な平面図である。 本発明の一実施形態に係る伝動ベルトの断面図であって、その構成を図1よりも詳細に示した図である。 変形例の主要部について示す断面図である。 変形例に係る伝動ベルトの断面図である。 第2実施形態に係る伝動ベルトとしての結合Vベルトの断面図である。 図13に示す結合Vベルトの一部を径方向外側から視た図であって、芯体に含まれる第1繊維及び第2繊維を模式的に細い実線で示す図である。 (A)及び(B)は、それぞれ、成形装置を用いた圧縮側ベルトスリーブの巻き掛け工程(ステップS12)を示す斜視図及び断面図である。 (A)及び(B)は、それぞれ、成形装置を用いた圧縮側接着ベルトスリーブの巻き掛け工程(ステップS13)を示す斜視図及び断面図である。 (A)及び(B)は、それぞれ、成形装置を用いた芯体の巻き掛け工程(ステップS14)を示す斜視図及び断面図である。 未加硫スリーブのバイアスカット工程(ステップS15)を示す断面図である。 (A)は、未加硫ベルトの外被布巻き工程(ステップS16)を示す断面図である。また、(B)は、外被布が巻かれた各未加硫ベルトを下側加硫用モールド6の溝部にセットする工程(ステップS17)を示す断面図である。 タイバンドをセットする工程(ステップS18)、及びタイバンドがセットされた状態の各未加硫ベルトの加硫工程(ステップS19)を示す断面図である。 加硫後スリーブを所定幅毎にカットする工程(ステップS20)を示す断面図である。 結合Vベルトの成形工程の一例を説明するためのフローチャートである。 第2実施形態の変形例に係る伝動ベルトとしての結合Vベルトの成形工程の一例を説明するためのフローチャートである。 (A)は、外被布を下側加硫用モールドにセットする工程(ステップS21)を示す断面図である。また、(B)は、各未加硫ベルトを下側加硫用モールドにセットする工程(ステップS17)を示す断面図である。 第3実施形態に係る伝動ベルトとしての結合Vベルトの断面図である。 (A)は、タイバンドの二方向性繊維シートの模式的な平面図であり、(B)は、この二方向性繊維シートの別の例の模式的な平面図である。 一対の結合Vベルトが搬送物を搬送する様子を模式的に示す図である。 (A)は、圧縮側ベルトスリーブの巻き掛け工程(ステップS22)を示す断面図であり、(B)は、圧縮側接着ベルトスリーブの巻き掛け工程(ステップS23)を示す断面図であり、(C)は、芯体の巻き掛け工程(ステップS24)を示す断面図である。 (A)は、伸張側接着ベルトスリーブの巻き掛け工程(ステップS25)を示す断面図であり、(B)は、伸張側ベルトスリーブの巻き掛け工程(ステップS26)を示す断面図である。 未加硫スリーブのバイアスカット工程(ステップS27)を示す断面図である。 (A)は、未加硫ベルトの外被布巻き工程(ステップS28)を示す断面図であり、(B)は、外被布が巻かれた各未加硫ベルトを下側加硫用モールドの溝部にセットする工程(ステップS29)を示す断面図である。 (A)は、タイバンドをセットする工程(ステップS30)、及びタイバンドがセットされた状態の各未加硫ベルトの加硫工程(ステップS29)を示す断面図であり、(B)は、加硫後スリーブを所定幅毎にカットする工程(ステップS32)を示す断面図である。 結合Vベルトの成形工程の一例を説明するためのフローチャートである。 第3実施形態の変形例に係る伝動ベルトとしての結合Vベルトの成形工程の一例を説明するためのフローチャートである。 (A)は、外被布を下側加硫用モールドにセットする工程(ステップS33)を示す断面図であり、(B)は、各未加硫ベルトを下側加硫用モールドにセットする工程(ステップS29)を示す断面図である。 (A)は、従来の伝動ベルトを製造する際に形成される未加硫ベルトを切断して示す模式的な斜視図であり、(B)は、未加硫ゴムシートにおいて、心線が巻かれた状態の未加硫ゴムシートを模式的に示す展開図である。 (A)は、従来の伝動ベルトを製造する際に形成される未加硫ベルトを切断して示す模式的な斜視図であり、(B)は、未加硫ゴムシートにおいて、心線が巻かれた状態の未加硫ゴムシートを模式的に示す展開図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる伝動ベルトの製造方法を用いて形成された伝動ベルト10の断面図である。本発明の伝動ベルトの製造方法によって製造される伝動ベルト(この伝動ベルトは、本発明の一実施形態に係る伝動ベルトでもある)として、Vベルト、Vリブドベルト、平ベルトなどの摩擦伝動ベルトを例示することができる。Vベルトには、摩擦伝動のための側面にゴム層が露出したローエッジ(Raw-Edge)タイプと、ベルトが外被布で覆われたラップド(Wrapped)タイプと、がある。本実施形態では、伝動ベルト10として無端状のラップドVベルトが製造される場合を例に説明する。
伝動ベルト10は、伸張ゴム層11と、伸張側接着ゴム層12と、芯体13と、圧縮側接着ゴム層14と、圧縮ゴム層15と、外被布16と、を有している。そして、伝動ベルト10の径方向の内側から順に、圧縮ゴム層15、圧縮側接着ゴム層14、芯体13、伸張側接着ゴム層12、および、伸張ゴム層11が配置されている。
なお、本実施形態では、伝動ベルト10(後述する未加硫スリーブ106の各ベルトスリーブ101,102,104,105)の幅方向W1、軸方向X1、径方向R1、および、周方向C1を単に、「幅方向W1」、「軸方向X1」、「径方向R1」、および、「周方向C1」という場合がある。
圧縮ゴム層15は、伝動ベルト10と同じ長さを有する長尺状のゴム層であって、長手方向に垂直な断面形状が、図1に示すような略台形状に形成されている。圧縮ゴム層15の材料として、天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)などを例示できる。
圧縮側接着ゴム層14は、圧縮ゴム層15と芯体13とをつなぎ合わせるために設けられており、圧縮ゴム層15の外周側に配置されている。圧縮側接着ゴム層14は、長手方向に垂直な断面形状が、略台形状に形成されている。圧縮側接着ゴム層14の材料として、圧縮ゴム層15の材料と同様の材料を例示できる。
芯体13は、伝動ベルト10のうち当該伝動ベルト10に作用する張力を主に受ける部分として設けられている。換言すれば、芯体13は、伝動ベルト10の破断を防止する補強部材として機能する。芯体13の材料として、ポリエステル繊維、ガラス繊維、炭素繊維、および、アラミド繊維を例示できる。芯体13は、伝動ベルト10の径方向の中間部に配置されており、当該中間部において、伝動ベルト10の幅方向の全域に亘って配置されている。このように、芯体13は、伝動ベルト10の幅方向に扁平な形状に形成されており、当該幅方向の全域に亘ってバランスよく張力を受けることができる。芯体13の外周側に、伸張側接着ゴム層12が配置されている。
伸張側接着ゴム層12は、伸張ゴム層11と芯体13とをつなぎ合わせるために設けられている。伸張側接着ゴム層12は、長手方向に垂直な断面形状が、略台形状に形成されている。伸張側接着ゴム層12の材料として、圧縮ゴム層15の材料と同様の材料を例示できる。
伸張ゴム層11は、圧縮ゴム層15と概ね同じ長さである長尺状のゴム層であって、圧縮ゴム層15との間で芯体13を挟んだ状態で当該圧縮ゴム層15に重ねられた構成を有している。伸縮ゴム層11は、長手方向に垂直な断面形状が、略台形状に形成されている。伸張ゴム層11の材料として、圧縮ゴム層15の材料と同様の材料を例示できる。
外被布16は、内カバー17および外カバー18を有している。内カバー17および外カバー18は、圧縮ゴム層15、圧縮側接着ゴム層14、芯体13、伸張側接着ゴム層12、および、伸張ゴム層11を覆う帆布として設けられている。内カバー17は、圧縮ゴム層15、圧縮側接着ゴム層14、芯体13、伸張側接着ゴム層12、および、伸張ゴム層11の外表面面を覆うように設けられ、外カバー18は、さらに、内カバー17の外表面を覆うように設けられている。
図2〜図7は、本発明の一実施形態に係る伝動ベルト10を製造するための伝動ベルト成形装置1の概念的な構成を示す斜視図、および、この伝動ベルト成形装置1によって形成される伝動ベルト10についての主要部を示す断面図である。なお、以下では、伝動ベルト成形装置1を単に成形装置1という場合がある。図8は、伝動ベルトの成形工程の一例を説明するためのフローチャートである。
図2(A)および図2(B)は、それぞれ、成形装置1を用いた伸張側ベルトスリーブ101の巻き掛け工程(ステップS3)を示す斜視図および断面図である。図3(A)および図3(B)は、それぞれ、成形装置1を用いた伸張側接着ベルトスリーブ102の巻き掛け工程(ステップS4)を示す斜視図および断面図である。図4(A)および図4(B)は、それぞれ、成形装置1を用いた芯体13の巻き掛け工程(ステップS5)を示す斜視図および断面図である。図5(A)および図5(B)は、それぞれ、成形装置1を用いた圧縮側接着ベルトスリーブ104の巻き掛け工程(ステップS6)を示す斜視図および断面図である。図6(A)および図6(B)は、それぞれ、成形装置1を用いた圧縮側ベルトスリーブ105の巻き掛け工程(ステップS7)を示す斜視図および断面図である。図7(A)は、未加硫スリーブ106のカット工程(ステップS8)を示す断面図である。図7(B)は、未加硫スリーブ106のスカイブ工程(ステップS9)を示す断面図である。
図8を参照して、上記の構成を有する伝動ベルト10が製造される際には、まず、伸張ゴム層11となる未加硫ゴムシート101を形成するために、原料ゴムに圧延加工が施される(ステップS1)。この圧延加工では、伸張ゴム層11となる未加硫のベルトスリーブ(伸張側ベルトスリーブ101)の幅よりも短い幅を有するリボン状ゴム110(図2(A)参照)が形成される。なお、リボン状ゴム110の幅よりも大きな幅を有するシートを圧延加工によって形成し、このシートを所定幅毎にカットすることでリボン状ゴム110が形成されてもよい。
次に、圧延加工によって帯状に形成されたリボン状ゴム110を所定長さ分、ゴム用ボビン2に巻く。そして、ゴム用ボビン2に所定長さ巻かれたリボン状ゴム110が、圧延加工機から延びるリボン状ゴム110に対して裁断(ステップS2)される。
次に、図2(A)および図2(B)に示すように、裁断されたリボン状ゴム110を成形装置1のマントル5の外周に螺旋状に巻くことで、原料ゴムを未加硫の伸張側ベルトスリーブ101として形成し、マントル5によってこの未加硫の伸張側ベルトスリーブ101を円形状に保持させる。すなわち、伸張側ベルトスリーブ101の巻き掛け工程が行われる(ステップS3)。この巻き掛け工程は、加工対象としての可撓性を有する伸張側ベルトスリーブ101を当該伸張側ベルトスリーブ101の内周側から支持することで伸張側ベルトスリーブ101を円形状に保持するための、マントル5に伸張側ベルトスリーブ101を巻き掛ける工程である。
次に、図3(A)および図3(B)に示すように、マントル5に巻かれた伸張側ベルトスリーブ101の外周部に、さらにリボン状ゴム110を螺旋状に巻くことで、伸張側接着ベルトスリーブ102が形成される(ステップS4)。
次に、図4(A)および図4(B)に示すように、伸張側接着ベルトスリーブ102の外周にシート材115を巻き付けることで伸張側接着ベルトスリーブ102に芯体13を形成する芯体形成工程が行われる(ステップS5)。芯体形成工程では、シート材用ボビン3に巻かれたシート材115が、マントル5による伸張側ベルトスリーブ101および伸張側接着ベルトスリーブ102の回転に伴ってシート材用ボビン3から繰り出される。そして、シート材用ボビン3から繰り出された芯体13は、伸張側接着ベルトスリーブ102に螺旋状に巻かれる。
次に、図5(A)および図5(B)に示すように、芯体13の外周部に、さらにリボン状ゴム110を螺旋状に巻くことで、圧縮側接着ベルトスリーブ104が形成される(ステップS6)。
次に、図6(A)および図6(B)に示すように、伝動ベルトの圧縮ゴム層となる圧縮側ベルトスリーブ105の巻き掛け工程が行われる(ステップS7)。この工程では、リボン状ゴム110が、圧縮側接着ベルトスリーブ104の外周部に巻かれる。これにより、未加硫スリーブ106が完成する。このように、マントル5上に未加硫スリーブ106(伸張側ベルトスリーブ101、伸張側接着ベルトスリーブ102、芯体13、圧縮側接着ベルトスリーブ104、および、圧縮側ベルトスリーブ105の積層体)が形成される。
次に、図7(A)に示すように、カット工程が行われる(ステップS8)。カット工程では、カッター(図示せず)によって、軸方向X1に沿って所定間隔毎に、未加硫スリーブ106がカットされる。これにより、未加硫スリーブ106の一部からなる、未加硫ベルト100が製造される。
次に、図7(B)に示すように、スカイブ工程が行われる(ステップS9)。スカイブ工程では、未加硫ベルト100が断面V字形状となるように、未加硫ベルト100の両側面を削る作業が行われる。次に、カバー巻き工程が行われる(ステップS10)。カバー巻き工程では、スカイブ工程を経た未加硫ベルト100に外被布16が巻かれる。次に、外被布16が巻かれた未加硫ベルト100について、所定の金型で保持された状態で加硫処理が行われる(ステップS11)。これにより、未加硫ベルト100のゴム部分が加硫され、その結果、伝動ベルト10が完成する。
上記のように、本実施形態では、いわゆる逆成形が行われる。より具体的には、図1および図6を参照して、ベルトスリーブとして、伝動ベルト10の伸張ゴム層11となるように配置される伸張側ベルトスリーブ101と、伝動ベルト10の圧縮ゴム層15となるように配置される圧縮側ベルトスリーブ105と、が設けられる。そして、マントル5に伸張側ベルトスリーブ101が形成(ステップS3)された後、芯体13が形成(ステップS5)され、さらにその後、リボン状ゴム110が伸張側ベルトスリーブ101および芯体13の外周側においてマントル5に積層される。これにより、圧縮側ベルトスリーブ105が形成(ステップS7)される。
次に、未加硫スリーブ106を形成する工程について、より具体的に説明する。以下では、未加硫スリーブ106を形成する工程のうち、伸張側ベルトスリーブ巻き掛け工程(ステップS3)と、伸張側接着ベルトスリーブ巻き掛け工程(ステップS4)と、芯体巻き掛け工程(ステップS5)と、圧縮側接着ベルトスリーブ巻き掛け工程(ステップS6)と、圧縮側ベルトスリーブ巻き掛け工程(ステップS7)と、について、より具体的に説明する。
図2(A)、図2(B)、図3(A)、図3(B)、図5(A)、図5(B)、図6(A)、および、図6(B)を参照して、伸張側ベルトスリーブ巻き掛け工程(ステップS3)と、伸張側接着ベルトスリーブ巻き掛け工程(ステップS4)と、圧縮側接着ベルトスリーブ巻き掛け工程(ステップS6)と、圧縮側ベルトスリーブ巻き掛け工程(ステップS7)は、それぞれ、「所定の厚みを有する未加硫のベルトスリーブをマントルの外周に形成するベルトスリーブ形成ステップ」の一例である。このうち、特に、伸張側接着ベルトスリーブ巻き掛け工程(ステップS4)と、圧縮側接着ベルトスリーブ巻き掛け工程(ステップS6)は、それぞれ、本発明の「芯体に接触するように構成されるベルトスリーブを形成するベルトスリーブ形成ステップ」の一例である。
なお、本実施形態では、リボン状ゴム110の厚みT110として、0.5mm〜2.0mmを例示することができる。また、リボン状ゴム110の幅W110として、10mm〜50mmを例示することができる。また、未加硫スリーブ106の幅として、600mm〜1200mmを例示することができる。
これらステップS3,S4,S6,S7では、それぞれ、未加硫スリーブ106の幅よりも短い幅W110を有するリボン状ゴム110がマントル5に複数周巻かれる。これらステップS3,S4,S6,S7では、それぞれ、リボン状ゴム110がマントル5に螺旋状に巻かれる。
図2(A)および図2(B)を参照して、伸張側スリーブ巻き掛け工程(ステップS3)では、まず、作業員が、リボン状ゴム110の一端部をマントル5に固定する。この状態から、図示しない電動モータからの駆動力によるマントル5の回転によって、リボン状ゴム110がマントル5に引き寄せられてマントル5に巻き付けられる。さらに、リボン状ゴム110がマントル5に巻かれる位置を軸方向X1に沿って変位することで、リボン状ゴム110が螺旋状に巻き付けられる。
本実施形態では、比較的厚みの小さい伸張側ベルトスリーブ101は、マントル5にリボン状ゴム110を1層(ply)巻くことで形成されている。この場合、軸方向X1と平行な方向に隣接するリボン状ゴム110同士は、径方向R1に互いに重なることを避けるようにしてマントル5に巻かれる。この場合、リボン状ゴム110の幅W110は、マントル5においてリボン状ゴム110が巻かれるピッチP110と同じに設定されている。これにより、軸方向X1と平行な方向に隣接するリボン状ゴム110同士が互いに密着した状態で当該リボン状ゴム110がマントル5に巻かれる。
上記の工程により、マントル5の外周に、1層のリボン状ゴム110で形成された伸張側ベルトスリーブ101が完成する。伸張側ベルトスリーブ101が完成した後、マントル5に巻かれる前の位置におけるリボン状ゴム110が、図示しないカッターで切断される。
図3(A)および図3(B)を参照して、伸張側接着ベルトスリーブ巻き掛け工程(ステップS4)では、ステップS3での作業と同様に、作業員が、リボン状ゴム110の一端部をマントル5に固定する。この状態から、ステップS3における動作と同様の動作によって、リボン状ゴム110が螺旋状に巻き付けられる。
本実施形態では、比較的厚みの小さい伸張側接着ベルトスリーブ102は、マントル5にリボン状ゴム110を1層(ply)巻くことで形成されている。この場合、軸方向X1と平行な方向に隣接するリボン状ゴム110同士が径方向R1に互いに重なることを避けるようにリボン状ゴム110がマントル5に巻かれる。この場合、リボン状ゴム110の幅W110は、マントル5においてリボン状ゴム110が巻かれるピッチP110と同じに設定されている。これにより、軸方向X1と平行な方向に隣接するリボン状ゴム110同士が互いに密着した状態で当該リボン状ゴム110がマントル5に巻かれる。
この際、伸張側ベルトスリーブ101の形成時におけるリボン状ゴム110の進行方向D101と、伸張側接着ベルトスリーブ102の形成時におけるリボン状ゴム110の進行方向D102とは、反対に設定されている。たとえば、進行方向D101は、軸方向X1に沿ってマントル5の一端から他端に向かう方向であり、進行方向D102は、軸方向X1に沿ってマントル5の他端から一端に向かう方向である。
上記の工程により、マントル5および伸張側ベルトスリーブ101の外周に、1層のリボン状ゴム110で形成された伸張側接着ベルトスリーブ102が完成する。伸張側接着ベルトスリーブ102が完成した後、リボン状ゴム110が、図示しないカッターで切断される。
図4(A)および図4(B)を参照して、芯体形成ステップ(ステップS5)では、シート材115が螺旋状に巻き付けられる。シート材115は、前述したように、ポリエステル繊維、ガラス繊維、炭素繊維、および、アラミド繊維などを用いて形成された、繊維質材である。シート材115は、細長いリボン状に形成されており、シート材115の幅W115は、シート材115の厚みT115よりも大きく設定されている。シート材115は、リボン状に形成されている。
本実施形態では、シート材115の幅W115は、リボン状ゴム110の幅W110と同じに設定されている。なお、シート材115の幅W115は、リボン状ゴム110の幅W110未満であってもよいし、リボン状ゴム110の幅W110よりも大きくてもよい。また、本実施形態では、シート材115の厚みT115は、リボン状ゴム110の厚みT110と同じに設定されている。なお、シート材115の厚みT115は、リボン状ゴム110の厚みT110未満であってもよいし、リボン状ゴム110の厚みT110よりも大きくてもよい。
シート材115は、たとえば、図9(A)の平面図に示すように、繊維が主に一方向に向けて延びるように構成された一方向シート116を用いて形成されている。一方向シート116は、シート材115がマントル5(伸張側接着ベルトスリーブ102)に巻かれるときのシート材115の長手方向(螺旋方向)に沿って延びている。一方向シート116は、このように、実質的に一方向に延びており、より高い張力に耐えることが可能に構成されている。なお、一方向シート116において、幅方向W1に近接する繊維同士がジョイント116aなどのジョイント部材によってジョイントされていてもよい。シート材115がこのような一方向シート116で且つアラミド繊維で形成された場合、シート材115は、厚みT115が約0.193mm〜0.572mmで、且つ、引張強度が2060(N/mm)以上に設定されることがある。また、シート材115が一方向シート116で且つアラミド繊維で形成された場合、シート材115は、厚みT115が約0.169mm〜0.504mmで、且つ、引張強度が2350(N/mm)以上に設定されることがある。
また、シート材115が一方向シートで且つ炭素繊維で形成される場合がある。たとえば、シート材115が一方向シートで且つ高強度炭素繊維で形成される場合があり、この場合、シート材115は、厚みT115が約0.111mm〜0.333mmで、且つ、引張強度が3400(N/mm)以上に設定されることがある。また、シート材115が一方向シートで且つ中弾性炭素繊維で形成される場合があり、この場合、シート材115は、厚みT115が約0.165mm〜0.248mmで、且つ、引張強度が2900(N/mm)以上に設定されることがある。
また、シート材115がポリエチレンで形成される場合がある。シート材115が高強度ポリエチレンで形成される場合、シート材115は、厚みT115が約0.3mmで、且つ、引張強度が423(N/mm)以上で、且つ、破断時の伸び率が約7(%)程度に設定されることがある。
なお、シート材115は、たとえば、図9(B)の平面図に示すように、繊維が二方向に向けて延びるように構成された二方向シート材117を用いて形成されていてもよい。二方向シート材117は、シート材115がマントル5(伸張側接着ベルトスリーブ102)に巻かれるときのシート材115の長手方向(螺旋方向)に沿って延びている部分と、シート材115の長手方向と直交する方向(軸方向X1、幅方向W1)に沿って延びている部分と、を有している。二方向シート材115は、このように、実質的に二方向の方向性を有しており、延びる方向の互いに直交する部分同士の組み合わせにより、より高い張力に耐えることが可能に構成されている。
再び図4(A)および図4(B)を参照して、上記のシート材115が用いられる芯体形成工程(ステップS5)では、まず、作業員が、シート材115の一端部をマントル5に固定する。この状態から、マントル5の回転によって、シート材115がマントル5に引き寄せられてマントル5に巻き付けられる。さらに、シート材115がマントル5に巻かれる位置を軸方向X1に沿って変位することで、シート材115が螺旋状に巻き付けられる。これにより、芯体13が形成される。
本実施形態では、比較的厚みの小さい芯体13は、マントル5にシート材115を1層(ply)巻くことで形成されている。この場合、マントル5の軸方向X1と平行な方向に隣接するシート材115同士(シート材115のうち幅方向W1に隣接する部分同士)は、径方向R1に互いに重なることを避けるようにしてマントル5、伸張側ベルトスリーブ101および伸張側接着ベルトスリーブ102に巻かれる。この場合、伸張側ベルトスリーブ101にシート材115が巻かれるピッチP115は、シート材115の幅W115と同じに設定されている。これにより、軸方向X1と平行な方向に隣接するシート材115同士が互いに密着した状態で当該シート材115がマントル5に巻かれる。
この際、伸張側接着ベルトスリーブ102の形成時におけるリボン状ゴム110の進行方向D102と、芯体13の形成時におけるシート材115の進行方向D13とは、反対に設定されている。たとえば、進行方向D102は、軸方向X1に沿ってマントル5の他端から一端に向かう方向であり、進行方向D13は、軸方向X1に沿ってマントル5の一端から他端に向かう方向である。
上記の工程により、マントル5の外周に、1層のシート材115で形成された芯体13が完成する。芯体13が完成した後、マントル5に巻かれる前の位置におけるシート材115が、図示しないカッターで切断される。
図5(A)および図5(B)を参照して、次に、圧縮側接着ベルトスリーブ巻き掛け工程(ステップS6)では、ステップS3での作業と同様に、作業員が、リボン状ゴム110の一端部をマントル5に固定する。この状態から、ステップS3における動作と同様の動作によって、リボン状ゴム110が螺旋状に巻き付けられる。
本実施形態では、比較的厚みの小さい圧縮側接着ベルトスリーブ104は、マントル5にリボン状ゴム110を1層(ply)巻くことで形成されている。この場合、軸方向X1と平行な方向に隣接するリボン状ゴム110同士が径方向R1に互いに重なることを避けるようにリボン状ゴム110がマントル5に巻かれる。この場合、リボン状ゴム110の幅W110と、マントル5においてリボン状ゴム110が巻かれるピッチP110とが同じに設定されている。これにより、軸方向X1と平行な方向に隣接するリボン状ゴム110同士が互いに密着した状態で当該リボン状ゴム110がマントル5に巻かれる。
上記の工程により、マントル5の外周に、1層のリボン状ゴム110で形成された圧縮側接着ベルトスリーブ104が完成する。圧縮側接着ベルトスリーブ104が完成した後、マントル5に巻かれる前の位置におけるリボン状ゴム110が、図示しないカッターで切断される。
この際、芯体13の形成時におけるシート材115の進行方向D13と、圧縮側接着ベルトスリーブ104の形成時におけるリボン状ゴム110の進行方向D104とは、反対に設定されている。たとえば、進行方向D13は、軸方向X1に沿ってマントル5の一端から他端に向かう方向であり、進行方向D104は、軸方向X1に沿ってマントル5の他端から一端に向かう方向である。
前述したように、伸張側接着ベルトスリーブ102におけるリボン状ゴム110のうち、幅方向W1に互いに隣接する部分の端縁102a同士が所定の突き合わせ位置B102で突き合わされている。この突き合わせ位置B102は、マントル5の外周側において螺旋状に延びている。同様に、芯体13におけるシート材115のうち、幅方向W1に互いに隣接する部分の端縁115a同士が所定の突き合わせ位置B115で突き合わされている。この突き合わせ位置B115は、マントル5の外周側において螺旋状に延びている。同様に、圧縮側接着ベルトスリーブ104におけるリボン状ゴム110のうち、幅方向W1に互いに隣接する部分の端縁104a同士が所定の突き合わせ位置B104で突き合わされている。この突き合わせ位置B104は、マントル5の外周側において螺旋状に延びている。
そして、シート材115の突き合わせ位置B115と、伸張側接着ベルトスリーブ102におけるリボン状ゴム110の突き合わせ位置B102とが、幅方向W1にずらされている。同様に、シート材115の突き合わせ位置B115と、圧縮側接着ベルトスリーブ104におけるリボン状ゴム110の突き合わせ位置B104とが、幅方向W1にずらされている。
本実施形態では、未加硫スリーブ106を未加硫スリーブ106の周方向C1と直交する断面(図6(B)に示す断面)において、突き合わせ位置B115は、幅方向W1に隣接する一対の突き合わせ位置B102,B102の中央に配置されていてもよいし、一対の突き合わせ位置B102,B102の何れか一方寄りに配置されていてもよい。同様に、図6(B)に示す断面において、突き合わせ位置B115は、幅方向W1に隣接する一対の突き合わせ位置B104,B104の中央に配置されていてもよいし、一対の突き合わせ位置B104,B104の何れか一方寄りに配置されていてもよい。なお、幅方向W1における突き合わせ位置B102と突き合わせ位置B104とは、揃えられていてもよいし、ずらされていてもよい。
本実施形態では、伸張側ベルトスリーブ101におけるリボン状ゴム110のうち、幅方向W1に互いに隣接する部分の端縁101a同士が所定の突き合わせ位置B101で突き合わされている。この突き合わせ位置B101は、マントル5の外周側において螺旋状に延びており、伸張側ベルトスリーブ101におけるリボン状ゴム110の全域に亘って配置されている。この突き合わせ位置B101とシート材115の突き合わせ位置B115とは幅方向W1にずらされている。
図6(A)および図6(B)を参照して、圧縮側ベルトスリーブ巻き掛け工程(ステップS7)では、ステップS3での作業と同様に、作業員が、リボン状ゴム110の一端部をマントル5に固定する。この状態から、ステップS3における動作と同様の動作によって、リボン状ゴム110が螺旋状に巻き付けられる。
本実施形態では、比較的厚みの大きい圧縮側ベルトスリーブ105は、マントル5にリボン状ゴム110を複数層(たとえば、2〜8層、本実施形態では、6層)巻くことで形成されている。この場合、リボン状ゴム110がマントル5の径方向R1に積層されることにより圧縮側ベルトスリーブ105が形成される。また、軸方向X1と平行な方向に隣接するリボン状ゴム110同士がマントル5の径方向R1に互いに重なることを避けるようにリボン状ゴム110がマントル5に巻かれる。リボン状ゴム110が巻かれるピッチP110は、リボン状ゴム110の幅W110と同じに設定されている。
なお、軸方向X1と平行な方向に隣接するリボン状ゴム110の一部同士が径方向R1に互いに重なるようにしてリボン状ゴム110がマントル5に巻かれてもよい。この場合、マントル5においてリボン状ゴム110が巻かれるピッチは、リボン状ゴム110の幅W110よりも小さく設定される。
本実施形態では、圧縮側接着ベルトスリーブ104の形成時におけるリボン状ゴム110の進行方向D104と、圧縮側ベルトスリーブ105のうち圧縮側接着ベルトスリーブ104に接触する一層目の形成時におけるリボン状ゴム110の進行方向D105とは、反対に設定されている。たとえば、進行方向D104は、軸方向X1に沿ってマントル5の他端から一端に向かう方向であり、進行方向D105は、軸方向X1に沿ってマントル5の一端から他端に向かう方向である。
上記の工程により、マントル5の外周に、複数層のリボン状ゴム110で形成された圧縮側ベルトスリーブ105が完成する。圧縮側ベルトスリーブ105が完成した後、マントル5に巻かれる前の位置におけるリボン状ゴム110が、図示しないカッターで切断される。これにより、未加硫スリーブ106が完成する。なお、未加硫スリーブ106のうち、軸方向X1と平行な方向の両端部においては、未加硫スリーブ106の厚みは、設計値未満であり、これらの両端部は、カット工程(ステップS8)でカットされた後、廃棄または再利用される。
なお、本実施形態では、伸張側ベルトスリーブ101を構成するリボン状ゴム110のply数として、1に限らず、1〜3を例示することができる。また、圧縮側ベルトスリーブ105を構成するリボン状ゴム110のply数は、6に限らず、2〜8を例示することができる。
図10は、本発明の一実施形態に係る伝動ベルト10の断面図であって、図1に示す断面図と比べて、伸張ゴム層11、伸張側接着ゴム層12、芯体13、圧縮側接着ゴム層14、及び圧縮ゴム層15の構成を詳細に示した図である。図10に示す伝動ベルト10は、上述した製造方法によって製造することもできるが、この限りでなく、その他の方法によって製造することもできる。
各ゴム層11,12,14,15は、上述したように、リボン状ゴム110が螺旋状に巻かれることによって形成され、芯体13は、上述したように、シート材115が螺旋状に巻かれることによって形成される。これにより、伝動ベルト10の横断面では、図10を参照して、各ゴム層11,12,14,15を構成するリボン状ゴム110の横断面が、ゴム層11,12,14,15毎に、幅方向W1に一列に並んだような形状となる。同様に、伝動ベルト10の横断面では、図10を参照して、芯体13を構成するシート材115の横断面が、幅方向W1に一列に並んだような形状となる。
図10を参照して、芯体13では、シート材115の幅方向が伝動ベルト10の幅方向W1に沿い且つシート材115の厚み方向が伝動ベルト10の厚み方向(径方向R1)に沿った状態となっている。また、図10を参照して、芯体13では、シート材115のうち幅方向W1に隣接する部分同士が、幅方向W1に突き合わせられた状態となっている。言い換えれば、芯体13では、シート材115のうち幅方向W1に隣接する部分同士が、伝動ベルト10の厚み方向(径方向R1)に重なっていない。
以上説明したように、本実施形態によると、芯体形成工程(ステップS5)において、用いられるシート材115の幅W115は、当該シート材115の厚みT115よりも大きく設定されている。この構成によると、芯体形成工程(ステップS5)において、幅の広い扁平なシート材115を伸張側接着ベルトスリーブ102に巻き付けることで、芯体13が形成される。このため、幅方向W1において芯体13が存在している領域をより広くできる。本実施形態では、未加硫のベルトスリーブ101,102,104,105と芯体13とを含む未加硫スリーブ106が形成された後に当該未加硫スリーブ106を所定幅毎にカットし、さらに、当該カットした部材を断面V字形状となるように削るスカイブ作業を行うことで、未加硫ベルト100が形成される。前述したように、幅方向W1において芯体13が存在する領域が広いので、この未加硫ベルト100の両側面(プーリのシーブ面などと向かい合う面、幅方向W1の両端面)において、芯体13が未加硫ベルト100の周方向C1に連続して表れることとなる。これにより、未加硫ベルト100の各側面において、芯体13が、未加硫ベルトの周方向に十分な長さで表れることとなる。これにより、未加硫ベルト100に加硫処理などが施されることで完成する伝動ベルト10の側面において、芯体13が十分な張力を受けることができる。これにより、伝動ベルト10が実用上受けることのできる張力をより高くできる。さらに、幅方向W1において芯体13が存在する領域が広いので、この未加硫ベルト100の両側面において、芯体13が周方向C1に断続的に表れる事態をより確実に防止できる。よって、伝動ベルト10の側面において、芯体13が受けることができる張力に個体差が生じることを抑制できる。これにより、伝動ベルト10の性能のばらつきをより少なくできる。さらに、シート材115は幅広い形状であるので、伸張側接着ベルトスリーブ102に巻きつける回数を少なくできる。よって、芯体13の形成に必要な時間を少なくできるので、伝動ベルト10の製造にかかる時間をより少なくできる。さらに、高負荷に耐えうる伝動ベルトを形成しようとした場合、従来のように太い心線を用いる必要がなく、比較的厚みの薄い芯体13を用いるため、伝動ベルト10をプーリへ巻き掛けて使用しているときに大きく変形しにくく、内部に発生するせん断応力も比較的小さくなる。よって、異なる層間の界面における剥離も生じにくくなる。
また、本実施形態によると、シート材115のうち幅方向W1に隣接する部分同士が径方向R1に互いに重なることを避けるように、シート材115が伸張側接着ベルトスリーブ102に巻かれる。この構成によると(すなわち、シート材115のうち伝動ベルト10の幅方向に隣接する部分同士が伝動ベルト10の厚み方向に重なっていない構成によると)、幅方向W1に隣接するシート材115を、幅方向W1に沿って一列に並べることができる。これにより、上記隣接するシート材115の一方が他方に乗り上げることを防止できる。これにより、芯体13を、幅方向W1に沿ってより均等に配置できる。よって、伝動ベルト10に張力が作用したときにこの張力を、芯体13によって幅方向W1に関してより均等に受けることができる。これにより、伝動ベルト10内で受ける張力の偏りを抑制できる。その結果、複数の伝動ベルト10をプーリなどに巻き掛けて動力伝達がされる場合(多本掛け走行時)において、複数の伝動ベルト10間で張力および当該張力に起因する伸びに差が生じることを抑制できる。これにより、張力が過大に作用することで早期に寿命に到達する伝動ベルト10が生じることを抑制できる。また、大きく伸びることで早期に張力低下を生じその結果スリップによる摩耗によって早期に寿命に到達する伝動ベルト10が生じることを抑制できる。
たとえば、従来の構成、すなわち、圧縮ゴム層と伸張ゴム層との間に心線が配置される構成の伝動ベルトでは、細い心線を圧縮ゴム層となるベルトスリーブに巻き付ける際に、心線の位置が設計上の位置からずれやすい。このため、ベルトスリーブの幅方向における心線の位置にずれが生じ易い。その結果、ベルトスリーブを所定幅毎にカットすることで形成された1本の未加硫ベルト内において、心線の位置にばらつきが生じる。さらに、複数の未加硫ベルト間において、心線の有効本数(切断面における心線の本数)にばらつきが生じる。このようなばらつきの原因として、心線を巻くときのピッチのばらつき、心線径のばらつき、および、ベルトスリーブに対する心線の蛇行が挙げられる。そして、複数の伝動ベルト間において心線の有効本数が異なると、これらの伝動ベルトに張力が作用したときの引張伸び量が異なる。伸び量の異なる伝動ベルトをプーリなどに多本掛けして走行させると、多本掛けの伝動ベルト間で張力に差が生じることで十分な動力伝達が出来なくなる。その結果、過張力のベルトは早期に寿命を迎える。また、伸び量の大きい伝動ベルトは早期に伝達できる張力が低下し、スリップ走行による摩耗から早期に寿命を迎える。一方で、前述したように、シート材115のうち幅方向W1に隣接する部分同士が芯体13の径方向に互いに重なることを避けるようにシート材115が伸張側接着ベルトスリーブ102に巻かれることで、このような張力の不均衡が生じることを抑制された伝動ベルト10を製造できる。
また、本実施形態によると、伸張側接着ベルトスリーブ102にシート材115が巻かれるピッチP115は、シート材115の幅W115と同じに設定されている。この構成によると、幅方向W1に隣接するシート材115同士が幅方向W1に隙間無い状態で、伸張側接着ベルトスリーブ102に巻かれる。これにより、伝動ベルト10の種類の違い(芯体の厚みなど)にかかわらず、伝動ベルト10の両側面間の全域に亘って芯体13を配置することができる。これにより、伝動ベルト10の種類に応じて芯体13を伸張側接着ベルトスリーブ102に巻くピッチP115を変更する作業が不要となる。その結果、伝動ベルト10の種類に応じて芯体13を伸張側接着ベルトスリーブ102に巻くピッチを変更する際の作業ミスに起因する、ピッチの不適切な設定などのミスを防止できる。これにより、伝動ベルト10の製造時における手間の低減と、不良品の発生の低減とを実現できる
たとえば、従来の構成、すなわち、圧縮ゴム層と伸張ゴム層との間に心線が配置される構成の伝動ベルトでは、心線をベルトスリーブに巻き付ける際のピッチを、心線の直径などに応じて設定する必要がある。このため、このピッチの設定の手間がかかるとともに、ピッチの設定間違いが生じるおそれがある。一方、前述したように、本実施形態によると、シート材115の幅W115とシート材115が巻かれるピッチP115とを同じにすることで、シート材115の幅W115とシート材115が巻かれるピッチP115とが一義的に決まる。このため、このピッチP115の設定の手間と、ピッチP115の設定間違いが生じるおそれの双方をより少なくできる。
また、本実施形態によると、扁平なシート材115を用いて芯体13を形成するとともに、シート材115の幅W115とシート材115が巻かれるピッチP115とを同じにすることで、幅方向W1に隣接するシート材115の一方が他方に乗り上げることをより確実に抑制できる。これにより、シート材115の乗り上げが生じたときにこの乗り上げた部分を乗り上げない位置へ修正する作業の発生を抑制できる。これにより、伝動ベルト10の製造にかかる手間をより少なくできる。
また、たとえば、従来の構成、すなわち、圧縮ゴム層と伸張ゴム層との間に心線が配置される構成の伝動ベルトでは、心線をベルトスリーブに巻き付ける際のピッチが心線の直径と略同じ場合がある。この場合、ピッチが心線の直径よりも僅かに大きく設定されているけれども、ベルトスリーブの幅方向に隣接する心線の一方が他方に乗り上げる現象が生じ易い。このような乗り上げは、心線の巻き付け時の位置に誤差が生じやすいことと、心線の直径にばらつきがあることなどに起因して生じる。そして、心線の乗り上げが生じたときにこの乗り上げた部分を乗り上げない位置へ修正する作業が必要である。一方、前述したように、本実施形態によると、シート材115の幅W115とシート材115が巻かれるピッチP115とを同じにすることで、このような乗り上げを抑制できる。
また、本実施形態によると、リボン状ゴム110は、各ベルトスリーブ101,102,104,105の幅よりも短い。このため、リボン状ゴム110をマントル5に巻き付ける態様によって、各ベルトスリーブ101,102,104,105の厚みおよび幅の少なくとも一方を調整できる。これにより、たとえば、伝動ベルト10の圧縮ゴム層15となる圧縮ベルトスリーブ105の厚みに応じてリボン状ゴム110をマントルに巻き付ける態様を調整することで、任意の厚みの圧縮ゴム層15を実現できる。これにより、圧縮ゴム層15などの厚みの種類に応じて厚みの異なる複数種類のベルトスリーブを事前に準備する必要がなくなる。これにより、伝動ベルト10の製造にかかる準備と手間と時間を少なくできる。また、複数種類のベルトスリーブを準備する必要がないので、伝動ベルト10の製造工場における資材置き場のスペースをより広く使うことができる。また、リボン状ゴム110であれば、当該リボン状ゴム110の重さを軽くできる。このため、1枚のゴムシートでベルトスリーブを形成する場合と異なり、重いゴムシートを引きずりながら移動する必要がなく、ゴムに異物が混入するおそれをより小さくできるとともに、重いゴムシートを移動させるという重労働をなくすことができる。さらに、リボン状ゴム110における突き合わせ位置B102(B104)と、シート材115における突き合わせ位置B115とが、幅方向W1にずらされている。これにより、シート材115およびリボン状ゴム110がより安定した姿勢で無端状に形成されることになる。これにより、伝動ベルト10の使用時において、芯体13およびゴム層11,12,14,15の各部がより均等に張力を受けることができる。よって、伝動ベルト10の性能のばらつきをより確実に抑制できる。
また、本実施形態によると、伝動ベルト10の製造において、伸張側接着ベルトスリーブ102、芯体13、圧縮側ベルトスリーブ105の順に形成される。この構成によると、芯体13が形成された後に圧縮側ベルトスリーブ105が形成されるので、圧縮側ベルトスリーブ105の形状を、シート材115の配置に悪影響を与えないような形状にする必要がない。このため、シート材115の積層方法の自由度をより高くできる。
また、本実施形態によると、シート材115をマントル5に巻き付ける前の状態において、シート材115をシート材用ボビン3で保持しておくことができる。これにより、シート材用ボビン3と、シート材用ボビン3から繰り出された後にテンション(張力)機構と、を含む簡易な構成のシート巻き付け機構を設けることで、シート材115をマントル5に巻き付けることが可能になる。これにより、従来の構成、すなわち、心線をベルトスリーブに巻き付ける構成で必要な、複雑な構成のテンション装置が不要となる。
たとえば、シート材115に代えて心線を用いて未加硫スリーブを形成する場合、未加硫スリーブの形成に用いられる心線の成形途中における心線ジョイント(心線を構成する繊維の撚り本数に応じた、位置をずらしたジョイント)を設ける手間が必要である。これに対し、本実施形態によると、心線に代えてシート材115が用いられているので、上記のジョイントの手間がなく、その結果、伝動ベルト10の生産性をより向上できる。
たとえば、シート材115に代えて心線を用いて未加硫スリーブを形成し、この未加硫スリーブをカッターでカットする場合、心線形成時の処理条件や、カッターの刃の仕様(丸刃であるか否かなど)によって、未加硫スリーブのカット面において心線がシャープにカットされない場合がある。この場合、伝動ベルトの端面において心線がケバ立ってしまい、その結果、伝動ベルトの引張強力低下の一因となってしまう。しかしながら、本実施形態によると、カット工程(ステップS8)において、未加硫スリーブ106を幅方向W1に沿ってカットする際、シート材115が幅方向W1に十分な長さを有している。これにより、カッター4によってシート材115がケバ立つ(ささくれる)ことを抑制できる。その結果、伝動ベルト10の引張強力の低下をより確実に抑制できる。
また、本実施形態によると、伝動ベルト10の形成に心線を用いないので、心線を未加硫スリーブに接着処理するための設備が不要である。これにより、既存の帆布処理設備でシート材115を接着ベルトスリーブ102,104に結合させることが可能であり、この結合処理の後に、未加硫スリーブ106を規定幅にカットすることができる。
また、本実施形態によると、伝動ベルト10の形成に心線を用いないので、心線が巻かれた重いボビンを移動させたり、心線をテンション装置にセットする作業が不要である。よって、作業員による重作業をより少なくできる。
また、本実施形態によると、伝動ベルト10の形成に心線を用いないので、未加硫スリーブのうち伝動ベルトに用いられない箇所(スピニングの始めの箇所と終わりの箇所)に設けていた心線が不要となる。これにより、カット工程において、不要な屑の部分を切り捨てる量をより少なくできる。これにより、伝動ベルト10の材料の歩留まりをより高くできる。
また、伝動ベルトの形成に心線が用いられる場合、カット屑となった未加硫ベルトのベルトスリーブから心線とゴムスリーブとを分離することは、心線に付着した接着剤などが原因で困難である。具体的には、分離する心線は複数本になる。そして、心線を分離する際に心線がバラけてしまい、細かい心線屑がベルトスリーブに残るため、全ての心線屑を分離する作業に長時間が必要となる。しかしながら、伝動ベルト10の形成にシート材115を用いる構成であれば、カット屑となった一部の未加硫スリーブ106からシート材115を分離する際に、シート材115を接着ベルトスリーブ102,104から剥離する作業となる。このような作業であれば、シート材115がバラけることなくより均等に剥離されることとなる。よって、心線のように屑が残ることがなく、シート材115を剥がす作業がより容易となる。
また、本実施形態に係る伝動ベルト10では、補強部材として、幅が厚みよりも大きく設定されたシート材115が用いられている。そして、伝動ベルト10では、シート材115の幅方向が伝動ベルト10の幅方向W1に沿い且つシート材115の厚み方向が伝動ベルト10の厚み方向(径方向R1)に沿った状態となっている。これにより、伝動ベルト10の幅方向Wにおける広い範囲に、補強部材としての芯体13を延在させることができる。こうすると、従来のように伝動ベルトの補強部材として心線を用いる場合と比べて、補強部材が伝動ベルトの幅方向においてとぎれとぎれになることがないため、伝動ベルト10が実用上受けることのできる張力をより高くできる。さらに、伝動ベルト10の幅方向Wにおいて芯体13が存在する領域が広いので、伝動ベルト10の幅方向両側面において、芯体13が伝動ベルト10の周方向に断続的に表れる事態をより確実に防止できる。よって、伝動ベルト10の側面において、芯体13が受けることができる張力に個体差が生じることを抑制できる。これにより、伝動ベルト10の性能のばらつきをより少なくできる。更に、シート材115は幅広い形状であるので、伝動ベルト10を形成する際に、ベルトスリーブに巻き付ける回数を、心線を巻き付ける場合と比べて少なくできる。よって、芯体13の形成に必要な時間を少なくできるので、伝動ベルト10の製造にかかる時間をより少なくできる。
また、伝動ベルト10では、伝動ベルト10の幅方向W1に隣接するシート材115が、伝動ベルト10の幅方向W1に沿って一列に並べられた状態となる。言い換えれば、上記隣接するシート材115の一方が他方に乗り上がった状態となっていない。これにより、芯体13が、伝動ベルト10の幅方向W1に沿ってより均等に配置される。よって、伝動ベルト10に張力が作用したときにこの張力を、芯体13によって伝動ベルト10の幅方向W1に関してより均等に受けることができる。これにより、伝動ベルト10内で受ける張力の偏りを抑制できる。その結果、複数の伝動ベルト10をプーリなどに巻き掛けて動力伝達がされる場合(多本掛け走行時)において、複数の伝動ベルト10間で張力および当該張力に起因する伸びに差が生じることを抑制できる。これにより、張力が過大に作用することで早期に寿命に到達する伝動ベルトが生じることを抑制できる。また、大きく伸びることで早期に張力低下を生じその結果スリップによる摩耗によって早期に寿命に到達する伝動ベルトが生じることを抑制できる。
以上、本発明の実施形態について説明した。しかしながら、本発明は上述の実施の形態に限られず、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができる。たとえば、次のように変更してもよい。
(1)たとえば、上述の実施形態では、芯体13を形成するシート材115は1plyであった。しかしながら、この通りでなくてもよい。たとえば、図11に示すように、シート材115を複数層設けることで、芯体13Aが形成されてもよい。なお、以下では、上述の実施形態と異なる点について主に説明し、上述の実施形態と同様の構成には図に同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
芯体13Aは、本変形例では、シート材115を3層に重ねることで形成されている。すなわち、芯体形成工程(ステップS5)において、シート材115が径方向R1に積層されることにより芯体13Aが形成されている。芯体13Aにおいて、径方向R1に隣り合うシート材115は、幅方向W1における巻き付け方向が互いに逆向きであることが好ましい。すなわち、マントル5側の1層目のシート材115について、マントル5に巻かれる前の位置を、マントル5に対して軸方向X1の一方側に向けて移動しながらマントル5に巻く場合、2層目のシート材115について、マントル5に巻かれる前の位置を、マントル5に対して軸方向X1の他方側に向けて移動しながらマントル5に巻くことが好ましい。さらに、3層目のシート材115について、マントル5に巻かれる前の位置を、マントル5に対して軸方向X1の一方側に向けて移動しながらマントル5に巻くことが好ましい。
この変形例では、芯体形成ステップ(ステップS5)において、芯体13Aの何れの層でも、軸方向X1と平行な方向に隣接するシート材115同士がマントル5の径方向R1に互いに重なることを避けるようにシート材115がマントル5に巻かれるように構成されている。これにより、芯体13Aが形成されている。
また、この変形例では、シート材115のうち幅方向W1に隣接する部分の端縁115a同士の突き合わせ位置B115が、径方向R1に隣接するシート材115間において、幅方向W1にずらされている。具体的には、1層目のシート材115、すなわち、伸張側接着ベルトスリーブ102に接するシート材115における端縁115aの位置B1151と、2層目のシート材115における端縁115aの位置B1152とは、シート材115の幅W115未満(たとえば、幅W115の数分の一)ずらされている。同様に、3層目のシート材115、すなわち、圧縮側接着ベルトスリーブ104に接するシート材115における端縁115aの位置B1153と、2層目のシート材115における端縁115aの位置B1152とは、シート材115の幅W115未満(たとえば、幅W115の数分の一)ずらされている。
また、1層目のシート材115における端縁115aの位置B1151と、伸張側接着ベルトスリーブ102におけるリボン状ゴム110の端縁102aの位置B102とは、シート材115の幅W115未満(たとえば、幅W115の数分の一)ずらされている。同様に、3層目のシート材115における端縁115aの位置B1153と、圧縮側接着ベルトスリーブ104におけるリボン状ゴム110の端縁104aの位置B104とは、シート材115の幅W115未満(たとえば、幅W115の数分の一)ずらされている。
図12は、変形例に係る伝動ベルト10Aの断面図である。本変形例の伝動ベルト10Aは、上述のようにして芯体13Aが形成された未加硫スリーブ106Aを用いて形成される。具体的には、未加硫スリーブ106Aに対して、上記実施形態の場合と同様のカット工程S8、スカイブ工程S9、カバー巻き工程S10、及び加硫処理S11(図8参照)が行われることにより、伝動ベルト10Aが形成される。
本変形例に係る伝動ベルト10Aの芯体13Aを構成するシート材115では、上記実施形態に係る伝動ベルト10のシート材115の場合と同様、シート材115の幅方向が伝動ベルト10Aの幅方向W1に沿い且つシート材115の厚み方向が伝動ベルト10Aの厚み方向(径方向R1)に沿った状態となっており、且つ、シート材115のうち伝動ベルト10Aの幅方向W1に隣接する部分同士が、伝動ベルト10Aの厚み方向(径方向R1)に重なっていない。
そして、本変形例に係る伝動ベルト10Aでは、芯体13Aを構成するシート材115が、前記伝動ベルトの厚み方向(径方向R1)に重ねられた状態となっている。また、伝動ベルト10Aでは、伝動ベルト10Aの厚み方向(径方向R1)に隣接するシート材115間において、突き合わせ位置B1151,B1152,B1153が、伝動ベルト10Aの幅方向W1にずれた状態となっている。
この変形例によると、シート材115が径方向R1に積層されることにより芯体13Aが形成される。このように、シート材115を積層することで、所望の厚みの芯体13Aを容易に形成できる。これにより、伝動ベルト10の種類(伝動ベルト10の大きさ、引張強力などの違い)に応じて厚みの異なる複数種類のシート材115を事前に準備しなくてもよい。これにより、伝動ベルト10の製造にかかる準備と手間と時間を少なくできる。また、複数種類のシート材115を準備しなくてもよくなることで、伝動ベルト10の製造工場における資材置き場のスペースをより広く使うことができる。また、種類の異なるシート材115の取り替え作業が不要となることで、シート材115が巻かれた重いボビンを作業員が頻繁に移動させる必要がなく、重作業を低減できる。
特に、シート材115の材質、厚み、引張強度および伸張側接着ベルトスリーブ102へのシート材115の巻き付け回数(層数)を選択することで、所望の物性を有する伝動ベルト10を形成することができる。これにより、伝動ベルト10の種類(伝動ベルト10の大きさ、引張強力などの違い)に応じて厚みの異なる複数種類のシート材115を事前に準備しなくてもよい。
また、この変形例によると、径方向R1に隣接するシート材115間において、突き合わせ位置B1151,B1152,B1153が幅方向W1にずらされている。この構成によると、シート材115がより安定した姿勢で伸張側接着ベルトスリーブ102に巻かれることになる。これにより、伝動ベルト10の使用時において、芯体13Aの各部がより均等に張力を受けることができる。よって、伝動ベルト10の性能のばらつきをより確実に抑制できる。
また、本変形例に係る伝動ベルト10Aによれば、シート材115を積層することで、所望の厚みの芯体13Aを容易に形成できる。これにより、伝動ベルトの種類(伝動ベルトの大きさ、引張強力などの違い)に応じて厚みの異なる複数種類のシート材を事前に準備しなくてもよい。これにより、伝動ベルト10Aの製造にかかる準備と手間と時間を少なくできる。また、複数種類のシート材を準備しなくてもよくなることで、伝動ベルトの製造工場における資材置き場のスペースをより広く使うことができる。また、種類の異なるシート材の取り替え作業が不要となることで、シート材が巻かれた重いボビンを作業員が頻繁に移動させる必要がなく、重作業を低減できる。
また、伝動ベルト10Aでは、厚み方向(径方向R1)に隣接するシート材間の突き合わせ位置(具体的には、突き合わせ位置B1151及び突き合わせ位置B1152、突き合わせ位置B1152及び突き合わせ位置B1153)が、幅方向W1にずれた状態となっている。こうすると、例えば突き合わせ位置が幅方向W1に揃った状態となっている場合と比べて、シート材115がより安定した姿勢で巻かれた状態となっている。これにより、伝動ベルト10Aの使用時において、芯体の各部がより均等に張力を受けることができる。よって、伝動ベルト10Aの性能のばらつきをより確実に抑制できる。
(2)また、上述の実施形態および変形例では、マントル5に、伸張側ベルトスリーブ101が形成された後、圧縮側ベルトスリーブ105が形成される形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。たとえば、マントル5に、圧縮側ベルトスリーブ105が形成された後、伸張側ベルトスリーブ101が形成されてもよい。
(3)また、伸張側ベルトスリーブ101が複数plyのリボン状ゴム110で形成されてもよい。この場合、伸張側ベルトスリーブ101の形成方法は、圧縮側ベルトスリーブ105の形成方法と同様である。
(4)また、上述の実施形態および変形例では、各ベルトスリーブ101,102,104,105が、リボン状ゴム110をマントル5に巻くことで形成されていた。しかしながら、この通りでなくてもよい。たとえば、各ベルトスリーブ101,102,104,105の少なくとも1つを、リボン状ゴム110に代えて、1枚のゴムシートで形成してもよい。
(5)また、伸張側接着ベルトスリーブ102にシート材115が巻かれるピッチP115は、シート材115の幅W115よりも大きくてもよい。
(6)本発明は、ラップドVベルトに限らず、他の伝動ベルト、及び他の伝動ベルトの製造においても適用することができる。一例として、以下で詳しく説明する結合Vベルトに適用することもできる。
<第2実施形態>
図13は、第2実施形態に係る伝動ベルトとしての結合Vベルト10Bの断面図である。また、図14は、図13に示す結合Vベルト10Bの一部を径方向外側から視た図であって、芯体13Bに含まれる第1繊維118a及び第2繊維118bを模式的に細い実線で示す図である。なお、図13では、第1繊維118a及び第2繊維118bを模式的に細線で図示しているが、実際に結合Vベルト10Bを径方向外側から視ても、第1繊維118a及び第2繊維118bを視認することはできない。
第2実施形態に係る結合Vベルト10Bは、横断面形状がV字状(より詳しくは台形状)となるように形成された無端状のベルト部20が複数、結合されることにより形成される。そして、詳しくは順を追って説明するが、第2実施形態に係る結合Vベルト10Bでも、シート材115Bによって芯体13Bが形成される。
図13を参照して、結合Vベルト10Bは、3つのベルト部20と、タイバンド25(連結部)とを備えている。なお、図13では、3つのベルト部20を有する結合Vベルト10Bを例に挙げているが、これに限らず、本発明は、2又は4以上のベルト部20を有する結合Vベルトに適用することもできる。
各ベルト部20は、圧縮ゴム層15と、圧縮側接着ゴム層14と、芯体13Bと、外被布16aとを有している。
圧縮ゴム層15は、結合Vベルト10Bと同じ長さを有する長尺状のゴム層であって、長手方向に垂直な断面形状が、図13に示すような略台形状に形成されている。圧縮ゴム層15の材料として、天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)などを例示できる。
圧縮側接着ゴム層14は、上記実施形態の場合と同様、圧縮ゴム層15と芯体13Bとをつなぎ合わせるために設けられており、圧縮ゴム層15の外周側に配置されている。圧縮側接着ゴム層14は、長手方向に垂直な断面形状が、略台形状に形成されている。圧縮側接着ゴム層14の材料として、圧縮ゴム層15の材料と同様の材料を例示できる。
芯体13Bは、上記実施形態の場合と同様、伝動ベルト10のうち当該伝動ベルト10に作用する張力を主に受ける部分として設けられている。芯体13Bの材料として、ポリエステル繊維、ガラス繊維、炭素繊維、および、アラミド繊維を例示できる。芯体13Bは、伝動ベルト10の径方向(厚み方向)の中間部に配置されており、当該中間部において、伝動ベルト10の幅方向の全域に亘って配置されている。
第2実施形態に係る結合Vベルト10Bの芯体13Bに用いられるシート材115Bとしては、図9(B)に示すような二方向シート材117が好ましい。二方向シート材117は、所定方向に延びる第1繊維118aと、第1繊維118aに対して直交する方向に沿って延びる第2繊維118bと、が含まれている。そして、シート材115Bでは、第1繊維118a及び第2繊維118bの延びる方向が、それぞれ、該シート材115Bの長手方向に対して交差する方向に沿って延びている。このようなシート材115Bを用いて結合Vベルト10Bを形成することにより、詳しくは後述するが、シート材115Bに含まれる第1繊維118a及び第2繊維118bの延びる方向が、図14に示すように、結合Vベルト10Bの周方向に交差する方向となる。
上述した二方向シート材117に含まれる第1繊維118a及び第2繊維118bとしては、例えば一例としてアラミド繊維を挙げることができる。例えば、アラミド繊維を用いた二方向シート材117を用いて上述のようなシート材115Bを形成し、その厚みT115を0.031mm〜0.24mmに設定した場合、引張強度を2060(N/mm)程度或いはそれ以上に設定することができる。
また、上述した二方向シート材117に含まれる第1繊維118a及び第2繊維118bとしては、例えば一例として炭素繊維を挙げることができる。例えば、炭素繊維を用いた二方向シート材117を用いて上述のようなシート材115Bを形成し、その厚みT115を0.0566mm〜0.0833mmに設定した場合、引張強度を2900(N/mm)以上に設定することができる。
外被布16aは、互いに積層された圧縮ゴム層15、圧縮側接着ゴム層14、及び芯体13Bのうちの径方向外側の部分(芯体13Bのうち径方向外側へ向かっている部分)を除く部分を覆う帆布として設けられている。
タイバンド25は、複数の(図13に示す例の場合、3つの)ベルト部20を連結する連結部として設けられている。タイバンド25は、結合Vベルト10Bと同じ長さを有するとともに、幅方向W1にやや間隔を空けて配列された3つのベルト部20の幅方向W1における合計寸法に対応する幅寸法を有する無端状に形成されている。タイバンド25は、内周面が各ベルト部20の芯体13Bに密着した状態で接着等により固定されている。
図15〜図21は、第2実施形態に係る結合Vベルト10Bの製造方法を説明するための模式図である。また図22は、結合Vベルト10Bの成形工程の一例を説明するためのフローチャートである。
具体的には、図15(A)及び図15(B)は、それぞれ、成形装置1を用いた圧縮側ベルトスリーブ105の巻き掛け工程(ステップS12)を示す斜視図及び断面図である。図16(A)及び図16(B)は、それぞれ、成形装置1を用いた圧縮側接着ベルトスリーブ104の巻き掛け工程(ステップS13)を示す斜視図及び断面図である。図17(A)及び図17(B)は、それぞれ、成形装置1を用いた芯体13Bの巻き掛け工程(ステップS14)を示す斜視図及び断面図である。図18は、未加硫スリーブ106Bのバイアスカット工程(ステップS15)を示す断面図である。図19(A)は、未加硫ベルト100Bの外被布巻き工程(ステップS16)を示す断面図である。図19(B)は、外被布が巻かれた各未加硫ベルト100Bを下側加硫用モールド6の溝部6aにセットする工程(ステップS17)を示す断面図である。図20は、タイバンド25をセットする工程(ステップS18)、及びタイバンド25がセットされた状態の各未加硫ベルト100Bの加硫工程(ステップS19)を示す断面図である。図21は、加硫後スリーブ107を所定幅毎にカットする工程(ステップS20)を示す断面図である。
以下で説明する結合Vベルト10Bの製造方法では、上記実施形態の場合と同じ構成を有する成形装置1のマントル5の外周面に、圧縮ゴム層15の基となるリボン状ゴム110、圧縮側接着ゴム層14の基となるリボン状ゴム110、及び芯体13Bの基となるシート材115B、が順に形成されることにより(図15〜図17、図22のステップS12〜S14)、未加硫スリーブ106Bが形成される。その後、未加硫スリーブ106Bの断面形状がバイアスカット工程によって所定の台形状に形成されることにより(ステップS15)、未加硫ベルト100Bが形成される(図18)。各未加硫ベルト100Bは、その外周面を除く部分が外被布16aによって覆われた状態で(図19(A)、ステップS16)、下側加硫用モールド6の溝部6aに嵌め込まれる(図19(B)、ステップS17)。その後、各未加硫ベルト100Bの外周面にタイバンド25がセットされた状態で(ステップS18)、下側加硫用モールド6及び上側加硫用モールド7によって挟まれて加硫される(図20、ステップS19)。このようにして形成された加硫後スリーブ107が、所定幅毎にカットされることにより(図21、ステップS20)、結合Vベルト10Bを形成することができる。
以下では、図15〜図22を参照して、結合Vベルト10Bの製造方法について詳しく説明する。なお、図22におけるステップS1及びステップS2は、上記実施形態の場合と同様であるため、その説明を省略する。
なお、圧縮側ベルトスリーブ巻き掛け工程(ステップS12)及び圧縮側接着ベルトスリーブ巻き掛け工程(ステップS13)は、それぞれ、「所定の厚みを有する未加硫のベルトスリーブをマントルの外周に形成するベルトスリーブ形成ステップ」の一例である。このうち、特に、圧縮側接着ベルトスリーブ巻き掛け工程(ステップS13)は、「芯体に接触するように構成されるベルトスリーブを形成するベルトスリーブ形成ステップ」の一例である。
図15(A)および図15(B)を参照して、圧縮側ベルトスリーブ巻き掛け工程(ステップS12)では、作業員が、リボン状ゴム110の一端部をマントル5に固定する。この状態から、上記実施形態の場合と同様、マントル5が回転し且つリボン状ゴム110が軸方向X1に沿って変位することで、リボン状ゴム110が螺旋状に巻き付けられる。
第2実施形態では、比較的厚みの大きい圧縮側ベルトスリーブ105は、マントル5にリボン状ゴム110を複数層巻くことで形成されている。この場合、リボン状ゴム110がマントル5の径方向R1に積層されることにより圧縮側ベルトスリーブ105が形成される。また、軸方向X1と平行な方向に隣接するリボン状ゴム110同士がマントル5の径方向R1に互いに重なることを避けるようにリボン状ゴム110がマントル5に巻かれる。リボン状ゴム110が巻かれるピッチP110は、リボン状ゴム110の幅W110と同じに設定されている。
上記の工程により、マントル5の外周に、複数層のリボン状ゴム110で形成された圧縮側ベルトスリーブ105が完成する。圧縮側ベルトスリーブ105が完成した後、マントル5に巻かれる前の位置におけるリボン状ゴム110が、図示しないカッターで切断される。
図16(A)および図16(B)を参照して、圧縮側接着ベルトスリーブ巻き掛け工程(ステップS13)では、ステップS12での作業と同様に、作業員が、リボン状ゴム110の一端部をマントル5に固定する。この状態から、ステップS12における動作と同様の動作によって、リボン状ゴム110が螺旋状に巻き付けられる。
第2実施形態では、比較的厚みの小さい圧縮側接着ベルトスリーブ104は、マントル5にリボン状ゴム110を1層(ply)巻くことで形成されている。この場合、軸方向X1と平行な方向に隣接するリボン状ゴム110同士が径方向R1に互いに重なることを避けるようにリボン状ゴム110がマントル5に巻かれる。この場合、リボン状ゴム110の幅W110は、マントル5においてリボン状ゴム110が巻かれるピッチP110と同じに設定されている。これにより、軸方向X1と平行な方向に隣接するリボン状ゴム110同士が互いに密着した状態で当該リボン状ゴム110がマントル5に巻かれる。
上記の工程により、マントル5および圧縮側ベルトスリーブ105の外周に、1層のリボン状ゴム110で形成された圧縮側接着ベルトスリーブ104が完成する。圧縮側接着ベルトスリーブ104が完成した後、リボン状ゴム110が、図示しないカッターで切断される。
図17(A)および図17(B)を参照して、芯体形成ステップ(ステップS14)では、シート材115Bが螺旋状に巻き付けられる。具体的には、シート材115Bは、細長いリボン状に形成されており、シート材115Bの幅W115は、シート材115Bの厚みT115よりも大きく設定されている。シート材115Bは、リボン状に形成されている。芯体形成工程(ステップS14)では、まず、作業員が、シート材115Bの一端部をマントル5に固定する。この状態から、マントル5の回転によって、シート材115Bがマントル5に引き寄せられてマントル5に巻き付けられる。さらに、シート材115Bがマントル5に巻かれる位置を軸方向X1に沿って変位することで、シート材115Bが螺旋状に巻き付けられる。このように芯体13Bが形成されることにより、幅広の円筒状に形成された未加硫スリーブ106Bが形成される。
第2実施形態では、比較的厚みの小さい芯体13Bは、マントル5にシート材115Bを1層(ply)巻くことで形成されている。この場合、マントル5の軸方向X1と平行な方向に隣接するシート材115B同士(シート材115Bのうち幅方向W1に隣接する部分同士)は、径方向R1に互いに重なることを避けるようにしてマントル5、圧縮側ベルトスリーブ105および圧縮側接着ベルトスリーブ104に巻かれる。この場合、シート材115Bが巻かれるピッチP115は、シート材115Bの幅W115と同じに設定されている。これにより、軸方向X1と平行な方向に隣接するシート材115B同士が互いに密着した状態で当該シート材115Bがマントル5に巻かれる。
第2実施形態に係る結合Vベルト10Bでは、上記実施形態の場合と同様、圧縮側接着ベルトスリーブ104におけるリボン状ゴム110のうち、幅方向W1に互いに隣接する部分の端縁104a同士が所定の突き合わせ位置B104で突き合わされている。この突き合わせ位置B104は、マントル5の外周側において螺旋状に延びている。同様に、芯体13Bにおけるシート材115Bのうち、幅方向W1に互いに隣接する部分の端縁115a同士が所定の突き合わせ位置B115で突き合わされている。この突き合わせ位置B115は、マントル5の外周側において螺旋状に延びている。そして、上記実施形態の場合と同様、シート材115Bの突き合わせ位置B115と、伸張側接着ベルトスリーブ102におけるリボン状ゴム110の突き合わせ位置B104とが、幅方向W1にずらされている。
図18を参照して、ステップS15では、未加硫スリーブ106Bに対してバイアスカットが行われることにより、未加硫ベルト100Bが形成される。具体的には、ステップS15では、図示しないカッターによって図18における各切断線Lが切断されることにより、等脚台形状の断面を有する無端状の未加硫ベルト100Bが、複数、形成される。なお、当該工程により生じる、断面三角形状の三角屑Waは、廃棄或いは再利用される。
図19(A)を参照して、ステップS16では、各未加硫ベルト100Bにおける所定部分が外被布16aによって覆われる。具体的には、ステップS16では、各未加硫ベルト100Bの外周面における、径方向外側の面部を除く部分が、外被布16aによって覆われる。言い換えれば、各未加硫ベルト100Bの径方向内側面、及び各未加硫ベルト100Bの幅方向両側面が、外被布16aによって覆われる。
上述のように外被布16aが巻かれた各未加硫ベルト100Bは、下側加硫用モールド6に形成された環状の溝部6aに嵌め込まれた後(図19(B)、ステップS17)、その径方向外側の部分にタイバンド25がセットされる(ステップS17)。タイバンド25のセットでは、幅方向W1に並べられた複数の未加硫ベルト100Bにおける径方向外側の面に、周方向に沿ってタイバンド用ゴムシート(図示省略)が複数層、巻き掛けられる。これにより、複数の未加硫ベルト100Bに対してタイバンド25がセットされる。なお、タイバンド25及び各未加硫ベルト100Bは、接着等により互いに結合される。すなわち、タイバンドを未加硫ベルト100Bに対してセットする工程(ステップS18)には、連結部としてのタイバンド25を介して複数の未加硫ベルト100Bを互いに結合する未加硫ベルト結合ステップが含まれる。なお、ここでは、タイバンド用ゴムシートを複数層巻き掛けることによりタイバンド25を構成する例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、ゴム組成物がすり込まれた帆布を単層又は複数層巻き掛けることにより、タイバンド25を構成してもよい。或いは、ゴム付きの帆布を単層又は複数層巻き掛けることにより、タイバンド25を構成してもよい。
図20を参照して、ステップS18では、上述のようにセットされたタイバンド25及び複数の未加硫ベルト100Bは、上側加硫用モールド7と下側加硫用モールド6との間で挟まれて加圧されながら加硫される。これにより、加硫後スリーブ107が形成される。このようにして形成された加硫後スリーブ107が、所定幅に切断されることにより、図13に示すような所定数のベルト部20を有する結合Vベルト10Bが形成される。
上述のようにして形成された結合Vベルト10Bの各ベルト部20には、図13を参照して、上記実施形態の場合と同様の圧縮ゴム層15、圧縮側接着ゴム層14、及び芯体13Bが設けられることになる。具体的には、各ベルト部20の横断面では、各ゴム層14,15を構成するリボン状ゴム110の横断面が、ゴム層14,15毎に、幅方向W1に一列に並んだような形状となる。同様に、ベルト部20の横断面では、芯体13Bを構成するシート材115Bの横断面が、幅方向W1に一列に並んだような形状となる。
図13を参照して、芯体13Bでは、シート材115Bの幅方向が結合Vベルト10Bの幅方向W1に沿い且つシート材115Bの厚み方向が結合Vベルト10Bの厚み方向(径方向R1)に沿った状態となっている。また、図13を参照して、芯体13Bでは、シート材115Bのうち幅方向W1に隣接する部分同士が、幅方向W1に突き合わせられた状態となっている。言い換えれば、芯体13Bでは、シート材115Bのうち幅方向W1に隣接する部分同士が、結合Vベルト10Bの厚み方向(径方向R1)に重なっていない。
また、図14を参照して、結合Vベルト10B内に設けられた状態におけるシート材115B(芯体13B)では、第1繊維118aが結合Vベルト10Bの周方向と交差する方向に沿って延びており、且つ第2繊維118bが第1繊維118aと交差する方向に延びている。より具体的には、第1繊維118aは、結合Vベルト10Bの周方向に対して45度程度傾く方向に沿って延びており、且つ第2繊維118bは、第1繊維118aと直交する方向に沿って延びている。
以上説明したように、本第2実施形態では、上記第1実施形態の場合と同様、伝動ベルト(本変形例の場合、結合Vベルト10B)の補強部材として、シート状に形成されたシート材115Bを用いている。これにより、上記第1実施形態の場合と同様、伝動ベルトが実用上受けることのできる張力をより高くできるとともに伝動ベルトの性能のばらつきをより少なくでき、且つ、製造にかかる時間をより少なくできる伝動ベルト、及びそのような伝動ベルトの製造方法、を提供できる。
また、第2実施形態では、シート材115Bに含まれる第1繊維118aが結合Vベルト10Bの周方向C1と交差する方向に延びていて、且つ第2繊維118bが第1繊維118aと交差する方向に沿って延びている。これにより、シート材115Bの伸縮性が保たれるため、結合Vベルト10Bの耐用寿命を長くすることができる。
<第2実施形態の変形例>
図23は、第2実施形態の変形例に係る伝動ベルトとしての結合Vベルトの成形工程の一例を説明するためのフローチャートである。また、図24(A)は、外被布16bを下側加硫用モールド6にセットする工程(ステップS21)を示す断面図である。また、図24(B)は、各未加硫ベルト100Bを下側加硫用モールド6にセットする工程(ステップS17)を示す断面図である。本変形例に係る結合Vベルトの製造方法は、図22におけるステップS16(外被布を未加硫ベルト100Bに巻き付ける工程)の代わりに、ステップS21(外被布を下側加硫用モールドにセットする工程)を含んでいる。以下では、図22を用いて説明した変形例と異なる点について主に説明し、それ以外の点については説明を省略する。
本変形例では、複数の未加硫ベルト100Bが形成された後(すなわち、ステップS1、S2,S12,S13,S14,及びS15の工程が行われた後)、図24(A)に示すように、ステップS21において、外被布16bが、下側加硫用モールド6にセットされる。具体的には、ステップS21では、幅広に形成された筒状の外被布16bが、下側加硫用モールド6に形成された複数の溝部6aの全てに跨って密着するように、下側加硫用モールド6にセットされる。その後、ステップS17において、各未加硫ベルト100Bが、外被布16bを介して、各溝部6aに嵌め込まれる。その後の工程については、図22を用いて説明した結合Vベルト10Bの製造方法と同じであるため、その説明を省略する。
以上のように、本変形例に係る結合Vベルトの製造方法によって製造された結合Vベルトは、図22に示す製造方法によって製造された結合Vベルト10Bと比べて、隣接するベルト部20の間に外被布16bが設けられている点を除き(すなわち、結合Vベルトの幅方向全体に亘って外被布16bが設けられている点を除き)、結合Vベルト10Bと同じ構成を有している。従って、本変形例によっても、図22を用いて説明した変形例の場合と同様、伝動ベルトが実用上受けることのできる張力をより高くできるとともに伝動ベルトの性能のばらつきをより少なくでき、且つ、製造にかかる時間をより少なくできる伝動ベルト、及びそのような伝動ベルトの製造方法、を提供できる。
なお、本変形例では、リボン状ゴム110を用いて各ベルトスリーブ104,105を形成する例を挙げて説明したが、これに限らない。具体的には、各ベルトスリーブ104,105の少なくともいずれか一方を、1枚のゴムシートで形成してもよい。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本第3実施形態に係る結合Vベルト10Cが上述の第2実施形態の結合Vベルト10Bと異なっている点は、ベルト部20を連結するためのタイバンド25(補強布)と、シート状の芯体13Bとの間に、さらに、発泡ゴム等を含む低硬度のゴム層(伸張ゴム層および伸張側接着ゴム層)を配置した点にある。
ここで、本願発明者が本第3実施形態の結合Vベルト10Cを想到するに至った経緯を説明する。従来、特開平10−257810号公報に記載されているように、作物用の収穫機は、重量物や軽量物を下部から搬送する例えばスクリューコンベアと、搬送物を上部で挟持搬送するベルトが組み合わされた構成を有している。搬送物を挟持搬送するベルトは、例えば2本用いられて協働して搬送物を挟持する。このようなベルトとして、Vベルト、平ベルト、コンベアベルトがある。そして、挟持搬送するベルトは、当該ベルトの背面が、搬送物を損傷させないように搬送物に適した形状が採用されているとともに、硬度のスポンジの弾性体が貼着された構造を有している場合がある。また、上記ベルトとして、平ベルト、コンベアベルトの背面にパターンを模した構成を有するものもある。そして、これらの2本一組のベルトが互いに対向する状態で巻付け配置され、収穫機の搬送機構等に装着される。
搬送物としての作物を収穫する収穫機のうち、収穫能力をアップした大型の収穫機では搬送ベルトが長くなり、また、一度にベルトで搬送する量(人参等の搬送物の数)が多くなると搬送物の合計の重量が増える。このため、ベルトは、重みで湾曲(垂れ下がる)する。このような垂れ下がりが生じると、搬送の次工程での葉類カット等が正確に出来なくなる不具合が発生したり、搬送途中の搬送物の落下により収穫率が低下するといった不具合が発生する。
このような不具合の対策として、(1)挟持幅の大きいベルト(例えばD、E形等)で搬送物を挟持することが考えられる。また、(2)ベルトを多本掛けする(複数のベルト対を設ける)ことにより、多量の搬送物を複数のベルトで一度に挟持すること、が考えられる。しかしながら、上記(1)のD形,E形等の大型のベルトは、走行の負荷(ベルト駆動時の負荷)が大きくなり、また、ベルト自体が重いため湾曲しやすい。その上、ベルトが巻き掛けられるプーリの径も大きくなるために、装置のコンパクト化が困難になる。また上記(2)の多本掛けの場合、経時と共に複数のベルト間に速度差や張力差が生じる結果、搬送物を正確に掴み搬送する機能が低下する。本願発明者は、上記の知見に基づき、例えば、収穫能力アップを目的にベルトが長尺になろうとも湾曲(垂れ下がる)することなくコンパクト化も可能であり、長期間に渡り搬送物を正確に掴み落下することなく搬送できる伝動ベルトを想到するに至った。
図25は、第3実施形態に係る伝動ベルトとしての結合Vベルト10Cの断面図である。
図25を参照して、本第3実施形態に係る結合Vベルト10Cは、横断面形状がV字状(より詳しくは台形状)となるように形成された無端状のベルト部20Cが複数、結合されることにより形成される。そして、詳しくは順を追って説明するが、結合Vベルト10Cでも、シート材115Cによって芯体13Cが形成される。
結合Vベルト10Cは、3つのベルト部20Cと、これら3つのベルト部20Cを互いにつなぎ合わせるタイバンド25C(連結部)とを備えている。なお、図25では、3つのベルト部20Cを有する結合Vベルト10Cを例に挙げているが、これに限らず、本発明は、2又は4以上のベルト部20Cを有する結合Vベルトに適用することもできる。
各ベルト部20Cは、例えば、ラップドVベルトであり、ローエッジVベルトであってもよい。各ベルト部20C(ベルトの大きさ)として、A形、B形、C形、薄A形、薄B形、薄C形を例示できる。なお、薄A形、薄B形、薄C形は、それぞれ、対応するA形、B形、C形ベルトと比べて厚みが薄い。各ベルト部20Cは、圧縮ゴム層15Cと、圧縮側接着ゴム層14Cと、芯体13Cと、伸張側接着ゴム層12Cと、伸張ゴム層11Cと、外被布16aCと、を有している。
圧縮ゴム層15Cは、結合Vベルト10Cと同じ長さを有する長尺状のゴム層であって、長手方向に垂直な断面形状が、図25に示すような略台形状に形成されている。圧縮ゴム層25の材料として、天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)などを例示できる。圧縮ゴム層15Cの構成は、第2実施形態の圧縮ゴム層15Bと同様である。
圧縮側接着ゴム層14Cは、上記第2実施形態の場合と同様、圧縮ゴム層15Cと芯体13Cとをつなぎ合わせるために設けられており、圧縮ゴム層15Cの外周側に配置されている。圧縮側接着ゴム層14Cは、長手方向に垂直な断面形状が、略台形状に形成されている。圧縮側接着ゴム層14Cの材料として、圧縮ゴム層15Cの材料と同様の材料を例示できる。圧縮側接着ゴム層14Cの構成は、第2実施形態の圧縮側接着ゴム層14Bと同様である。
芯体13Cは、第2実施形態の場合と同様、伝動ベルト10Cのうち当該伝動ベルト10Cに作用する張力を主に受ける部分として設けられている。芯体13Cの材料として、ポリエステル繊維、ガラス繊維、炭素繊維、および、アラミド繊維を例示できる。芯体13Cは、伝動ベルト10Cの径方向(厚み方向)の中間部に配置されており、当該中間部において、伝動ベルト10Cの幅方向の全域に亘って配置されている。芯体13Cの構成は、第2実施形態の芯体13Bと同様である。
伸張側接着ゴム層12Cは、伸張ゴム層11Cと芯体13Cとをつなぎ合わせるために設けられており、芯体13Cの外周側に配置されている。伸張側接着ゴム層12Cは、長手方向に垂直な断面形状が、略台形状に形成されている。伸張側接着ゴム層12Cの材料として、圧縮ゴム層15Cの材料と同様の材料を例示できる。伸張側接着ゴム層12Cは、1層設けられている。
伸張ゴム層11Cは、芯体13Cと、タイバンド25Cとの間に配置されている。伸張ゴム層11Cは、結合Vベルト10Cが曲げられたときに伸張する部分である。そして、この伸張ゴム層11Cは、後述する搬送物Hを搬送する際に搬送物Hをグリップするグリップ力(摩擦力)を作用する部分である。伸張ゴム層11Cは、結合Vベルト10Cと同じ長さを有する長尺状のゴム層であって、長手方向に垂直な断面形状が、図25に示すような略台形状に形成されている。伸張ゴム層11Cの材料として、耐圧縮性、耐反発性などを考慮し、例えば、圧縮ゴム層15Cと同様の材料、低硬度ゴム、および、発泡ゴムから選択される。伸張ゴム層11Cがゴムである場合のゴム硬度として、JIS(日本工業規格)タイプA35〜A65を例示できる。また、伸張ゴム層11Cが発泡ゴム(スポンジ)の場合の硬度として、ASKER C 15〜60を例示できる。また、伸張ゴム層11Cの厚み寸法として、2〜10(mm)を例示できる。
外被布16aCは、互いに積層された圧縮ゴム層15C、圧縮側接着ゴム層14C、芯体13C、伸張側接着ゴム層12C、および、伸張ゴム層11Cのうちの径方向外側の部分(伸張ゴム層11Cのうち径方向外側へ向かっている部分)を除く部分を覆う帆布として設けられている。
タイバンド25Cは、複数の(図25に示す例の場合、3つの)ベルト部20Cを連結する連結部として設けられている。タイバンド25Cは、結合Vベルト10Cと同じ長さを有するとともに、幅方向W1にやや間隔を空けて配列された3つのベルト部20Cの幅方向W1における合計寸法に対応する幅寸法を有する無端状に形成されている。タイバンド25Cは、内周面が各ベルト部20Cの芯体13Cに密着した状態で接着等により固定されている。
本第3実施形態に係る結合Vベルト10Cのタイバンド25Cを形成しているシート材としては、図26(A)に示す二方向繊維シート材119が好ましい。タイバンド25Cの二方向繊維シート材119は、所定方向に延びる第1繊維119aと、第1繊維119aに対して直交する方向に沿って延びる第2繊維119bと、を含んでいる。これら第1繊維119aおよび第2繊維119bは、互いに異なる二方向に交差して織られるかまたは編まれることで形成されている。そして、タイバンド25Cを構成する二方向繊維シート材119では、第1繊維119a及び第2繊維119bの延びる方向が、それぞれ、該シート材119の長手方向に対して交差する方向に沿って延びている。
第1繊維119aが延びる方向は、ベルト周方向C1方向であり、第2繊維119bが延びる方向は、ベルト幅方向W1である。このように、第1繊維119aと第2繊維119bとは直交するように延びている。
なお、第1繊維119a及び第2繊維119bの延びる方向は、例えば、図26(B)に示す方向であってもよい。この場合、第1繊維119aが延びる方向および第2繊維119bが延びる方向は、ベルト周方向C1に対してバイアス(斜め方向、交差方向)であり、例えばベルト周方向C1に対して45度の角度をなしている。ここで、第1繊維119aが延びる方向と第2繊維119bが延びる方向は、ベルト幅方向W1に対称(図26(B)の左右対称)であってもよい。このような対称配置は、ベルト強度をより均等にする観点から採用されてもよい。
図27は、一対の結合Vベルト10Cが搬送物を搬送する様子を模式的に示す図である。ここで、図27に示すように、軸方向が上下方向を向くように配置された一対の結合Vベルト10Cを用いて人参等の搬送物Hの例えば葉部分を挟みつつ、これら一対の結合Vベルト10Cの回転駆動によって搬送物Hをベルト周方向C1に搬送する構成が考えられる。このような構成において、結合Vベルト10Cの弛み(垂れ下がりによる湾曲)をより顕著に抑制するための構成として、タイバンド25Cを構成する二方向シートの性質として、以下の性質を挙げることができる。
具体的には、タイバンド25Cを構成している二方向繊維シート材119の材料として、アラミド繊維、炭素繊維を挙げることができる。この二方向繊維シート材119の目付量は、アラミド繊維の場合90〜870(g/m)、炭素繊維の場合200〜300(g/m)であることが好ましい。この目付量について、上記の下限以上であることにより二方向繊維シート材119の強度を十分に確保でき、上記の上限以下であることによりタイバンド25Cが重くなりすぎずに済む。
また、この二方向繊維シート材119の引張強度は、アラミド繊維の場合2060(N/mm)以上、炭素繊維の場合2900(N/mm)以上であることが好ましい。この引張強度について、上記の下限以上であることにより、タイバンド25Cは、自重に加えて多数の搬送物Hの重量に十分に耐えることできる。
また、この二方向繊維シート材119の厚みは、アラミド繊維の場合0.03〜0.24(mm)、炭素繊維の場合0.05〜0.09(mm)であることが好ましい。この厚みについて、上記の下限以上であることにより二方向繊維シート材119の強度を十分に確保でき、上記の上限以下であることによりタイバンド25Cが重くなりすぎずに済む。
また、この二方向繊維シート材119は、周囲のゴムとしての伸張ゴム層11Cとの接着性を高めるための処理(公知のRFL液、ゴム糊、含浸樹脂などでの接着処理)を施されてもよい。また、タイバンド25Cの表面は、被搬送物の滑り止めを目的として、経緯糸によって凹凸が設けられてもよい。
なお、結合Vベルト10Cの各ゴム層15C,14C,12C,11Cの材料としてのゴムは、ゴム組成物及び発泡ゴムから選択できる。
図28〜図32は、第3実施形態に係る結合Vベルト10Cの製造方法を説明するための模式図である。また図33は、結合Vベルト10Cの成形工程の一例を説明するためのフローチャートである。以下では、成形装置1を用いた結合Vベルト10Cの成形工程の一例を説明する。
具体的には、図28(A)は、圧縮側ベルトスリーブ105Cの巻き掛け工程(ステップS22)を示す断面図である。図28(B)は、圧縮側接着ベルトスリーブ104Cの巻き掛け工程(ステップS23)を示す断面図である。図28(C)は、芯体13Cの巻き掛け工程(ステップS24)を示す断面図である。図29(A)は、伸張側接着ベルトスリーブ102Cの巻き掛け工程(ステップS25)を示す断面図である。図29(B)は、伸張側ベルトスリーブ101Cの巻き掛け工程(ステップS26)を示す断面図である。
図30は、未加硫スリーブ106Cのバイアスカット工程(ステップS27)を示す断面図である。図31(A)は、未加硫ベルト100Cの外被布巻き工程(ステップS28)を示す断面図である。図31(B)は、外被布16aCが巻かれた各未加硫ベルト100Cを下側加硫用モールド6の溝部6aにセットする工程(ステップS29)を示す断面図である。図32(A)は、タイバンド25Cをセットする工程(ステップS30)、及びタイバンド25Cがセットされた状態の各未加硫ベルト100Cの加硫工程(ステップS29)を示す断面図である。図32(B)は、加硫後スリーブ107Cを所定幅毎にカットする工程(ステップS32)を示す断面図である。
以下で説明する結合Vベルト10Cの製造方法では、第2実施形態の場合と同じ構成を有する成形装置1のマントル5の外周面に、圧縮ゴム層15Cの基となるリボン状ゴム110、圧縮側接着ゴム層14Cの基となるリボン状ゴム110、芯体13Bの基となるシート材115C、伸張側接着ゴム層12Cの基となるリボン状ゴム110、及び、伸張ゴム層11Cの基となるリボン状ゴム110が順に形成されることにより(図28(A)〜図29(B)のステップS22〜S26)、未加硫スリーブ106Cが形成される。その後、未加硫スリーブ106Cの断面形状がバイアスカット工程によって所定の台形状に形成されることにより(ステップS27)、未加硫ベルト100Cが形成される(図30)。
各未加硫ベルト100Cは、その外周面を除く部分が外被布16aCによって覆われた状態で(図31(A)、ステップS28)、下側加硫用モールド6の溝部6aに嵌め込まれる(図31(B)、ステップS29)。その後、各未加硫ベルト100Cの外周面にタイバンド25Cがセットされた状態で(図32(A)、ステップS30)、下側加硫用モールド6及び上側加硫用モールド7によって挟まれて加硫される(図32(A)、ステップS31)。このようにして形成された加硫後スリーブ107Cが、所定幅毎にカットされることにより(図32(B)、ステップS32)、結合Vベルト10Cを形成することができる。
以下では、結合Vベルト10Cの製造方法について詳しく説明する。なお、図33におけるステップS1及びステップS2は、第1実施形態の場合と同様であるため、その説明を省略する。
圧縮側ベルトスリーブ巻き掛け工程(ステップS22)、圧縮側接着ベルトスリーブ巻き掛け工程(ステップS23)、伸張側接着ベルトスリーブ巻き掛け工程(ステップS25)及び伸張側スリーブ巻き掛け工程(ステップS26)は、それぞれ、「所定の厚みを有する未加硫のベルトスリーブをマントルの外周に形成するベルトスリーブ形成ステップ」の一例である。このうち、特に、圧縮側接着ベルトスリーブ巻き掛け工程(ステップS23)及び伸張側接着ベルトスリーブ巻き掛け工程(ステップS25)は、「芯体に接触するように構成されるベルトスリーブを形成するベルトスリーブ形成ステップ」の一例である。
図28(A)を参照して、圧縮側ベルトスリーブ巻き掛け工程(ステップS22)では、作業員が、リボン状ゴム110の一端部をマントル5に固定する。この状態から、第2実施形態の場合と同様、マントル5が回転し且つリボン状ゴム110が軸方向X1に沿って変位することで、リボン状ゴム110が螺旋状に巻き付けられる。
第3実施形態では、第2実施形態と同様、比較的厚みの大きい圧縮側ベルトスリーブ105Cは、マントル5にリボン状ゴム110を複数層巻くことで形成されている。圧縮側ベルトスリーブ105Cの形成時の工程は、第2実施形態のステップS12と同様であるので、詳細な説明は省略する。圧縮側ベルトスリーブ105Cが完成した後、マントル5に巻かれる前の位置におけるリボン状ゴム110が、図示しないカッターで切断される。
図28(B)を参照して、圧縮側接着ベルトスリーブ巻き掛け工程(ステップS23)では、ステップS22での作業と同様に、作業員が、リボン状ゴム110の一端部をマントル5に固定する。この状態から、ステップS23における動作と同様の動作によって、リボン状ゴム110が螺旋状に1層(ply)巻き付けられる。この動作は、第2実施形態のステップS13と同様であるので、詳細な説明は省略する。上記の工程により、マントル5および圧縮側ベルトスリーブ105Cの外周に、1層のリボン状ゴム110で形成された圧縮側接着ベルトスリーブ104Cが完成する。圧縮側接着ベルトスリーブ104Cが完成した後、リボン状ゴム110が、図示しないカッターで切断される。
図28(C)を参照して、芯体形成ステップ(ステップS24)では、シート材115Cが螺旋状に巻き付けられる。この芯体ステップにおけるシート材115Cの巻き付け動作は、第2実施形態におけるステップS14での動作と同じであるので、詳細な説明は省略する。シート材115Cが螺旋状に1層巻き付けられることで、比較的厚みの小さい芯体13Cが形成される。
図29(A)を参照して、伸張側接着ベルトスリーブ巻き掛け工程(ステップS25)では、ステップS23での作業と同様に、作業員が、リボン状ゴム110の一端部をマントル5に固定する。この状態から、ステップS23における動作と同様の動作によって、リボン状ゴム110が螺旋状に1層巻き付けられる。
図29(B)を参照して、伸張側ベルトスリーブ巻き掛け工程(ステップS26)では、作業員が、リボン状ゴム110の一端部をマントル5に固定する。この状態から、ステップS25の場合と同様、マントル5が回転し且つリボン状ゴム110が軸方向X1に沿って変位することで、リボン状ゴム110が螺旋状に巻き付けられる。伸張側ベルトスリーブ巻き掛け工程では、リボン状ゴム110は、1層だけ巻かれる。なお、伸張側ベルトスリーブ巻き掛け工程では、リボン状ゴム110は、複数層巻かれてもよい。上記の作業により、伸張側ベルトスリーブ101Cが形成される。伸張側ベルトスリーブ101Cが完成した後、マントル5に巻かれる前の位置におけるリボン状ゴム110が、図示しないカッターで切断される。このように伸張側ベルトスリーブ101Cが形成されることにより、幅広の円筒状に形成された未加硫スリーブ106Cが形成される。
図30を参照して、ステップS27では、未加硫スリーブ106Cに対してバイアスカットが行われることにより、未加硫ベルト100Cが形成される。具体的には、ステップS27では、図示しないカッターによって未加硫スリーブ106Cの周方向に沿って各切断線Lが切断されることにより、等脚台形状の断面を有する無端状の未加硫ベルト100Cが、複数、形成される。このステップは、本発明の「圧縮側ベルトスリーブ、伸張側ベルトスリーブ及び芯体が形成されたベルトスリーブをベルトスリーブの周方向に沿って切断することにより複数の未加硫ベルトを形成する未加硫ベルト形成ステップ」の一例である。なお、当該工程により生じる、断面三角形状の三角屑WaCは、廃棄或いは再利用される。
図31(A)を参照して、ステップS28では、各未加硫ベルト100Cにおける所定部分が外被布16aCによって覆われる。具体的には、ステップS28では、各未加硫ベルト100Cの外周面における、径方向外側の面部を除く部分が、外被布16aCによって覆われる。言い換えれば、各未加硫ベルト100Cの径方向内側面、及び各未加硫ベルト100Cの幅方向両側面が、外被布16aCによって覆われる。
上述のように外被布16aCが巻かれた各未加硫ベルト100Cは、下側加硫用モールド6に形成された環状の溝部6aに嵌め込まれた後(図31(B)、ステップS29)、その径方向外側の伸張ゴム層11C(伸張側ベルトスリーブ101C)にタイバンド25Cがセットされる(図32(A)、ステップS30)。タイバンド25Cのセットでは、幅方向W1に並べられた複数の未加硫ベルト100Cにおける径方向外側の面に、周方向に沿ってタイバンド用ゴムシート(図示省略)が1又は複数層、巻き掛けられる。これにより、複数の未加硫ベルト100Cにタイバンド25Cがセットされる。なお、タイバンド25C及び各未加硫ベルト100Cの伸張ゴム層11Cは、接着等により互いに結合される。すなわち、タイバンドを未加硫ベルト100Cに対してセットする工程(ステップS30)には、連結部としてのタイバンド25Cを介して複数の未加硫ベルト100Cを互いに結合する未加硫ベルト結合ステップが含まれる。なお、ここでは、タイバンド用ゴムシートを複数層巻き掛けることによりタイバンド25Cを構成する例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、ゴム組成物がすり込まれた帆布を単層又は複数層巻き掛けることにより、タイバンド25Cを構成してもよい。或いは、ゴム付きの帆布を単層又は複数層巻き掛けることにより、タイバンド25Cを構成してもよい。
図32(A)を参照して、ステップS31では、上述のようにセットされたタイバンド25C及び複数の未加硫ベルト100Cは、上側加硫用モールド7と下側加硫用モールド6との間で挟まれて加圧されながら加硫される。これにより、加硫後スリーブ107Cが形成される。このようにして形成された加硫後スリーブ107Cが所定幅に切断される(図32(B)、ステップS32)。これにより、図25に示すような所定数のベルト部20Cを有する結合Vベルト10Cが形成される。
上述のようにして形成された結合Vベルト10Cの各ベルト部20Cには、図25を参照して、第2実施形態の場合と同様の圧縮ゴム層15C、圧縮側接着ゴム層14C、芯体13Cに加え、伸張側接着ゴム層12C、及び伸張ゴム層11Cが設けられることになる。
芯体13Cでは、シート材115Cの幅方向が結合Vベルト10Cの幅方向W1に沿い且つシート材115Cの厚み方向が結合Vベルト10Cの厚み方向(径方向R1)に沿った状態となっている。また、芯体13Cでは、シート材115Cのうち幅方向W1に隣接する部分同士が、幅方向W1に突き合わせられた状態となっている。言い換えれば、芯体13Cでは、シート材115Cのうち幅方向W1に隣接する部分同士が、結合Vベルト10Cの厚み方向(径方向R1)に重なっていない。
以上説明したように、本第3実施形態では、結合Vベルト10Cにおいて、該結合Vベルト10Cの幅方向W1に並べられた個々の未加硫ベルト100C内に、シート材115Cによって形成された芯体13Cを設けることができる。従って、この構成によれば、結合Vベルト10Cが実用上受けることのできる張力をより高くできるとともに結合Vベルト10Cの性能のばらつきをより少なくでき、且つ、製造にかかる時間をより少なくできる結合Vベルト10Cの製造方法を提供できる。さらに、芯体13Cとタイバンド25Cとの間に伸張側ゴム層11Cが設けられる。例えば、軸方向が上下方向を向くように配置された一対の結合Vベルト10Cを用いて人参の葉部分等の搬送物Hを挟みつつ、これら一対の結合Vベルト10Cの回転駆動によって搬送物Hをベルト周方向C1に搬送する構成が考えられる。このような構成において、結合Vベルト10Cの弛み(垂れ下がりによる湾曲)をより確実に抑制することが可能な、十分な強度を結合Vベルト10Cに付与できる。
また、第3実施形態によると、各ベルト部20Cは、芯体13Cとタイバンド25Cとの間に配置された伸張ゴム層11Cを更に備えている。この構成によると、結合Vベルト10Cが実用上受けることのできる張力をより高くできるとともに結合Vベルト10Cの性能のばらつきをより少なくできる。さらに、芯体13Cとタイバンド25Cとの間に伸張ゴム層11Cが設けられる。このため、前述した、一対の結合Vベルト10Cの回転駆動によって搬送物Hをベルト周方向C1に搬送する構成において、結合Vベルト10Cの弛み(垂れ下がりによる湾曲)をより確実に抑制することが可能な、十分な強度を結合Vベルト10Cに付与できる。
また、第3実施形態によると、タイバンド25Cの二方向繊維シート材119における互いに異なる二方向は、ベルト周方向C1及び幅方向W1であるか、又は、何れもベルト周方向C1と交差する方向である。この構成によると、タイバンド25Cの強度をより高くできる。よって、結合Vベルト10Cは、長尺であっても垂れ下がりが生じることを抑制でき、長期に渡り搬送物Hを正確に掴み落下することなく搬送可能である。
また、第3実施形態において、タイバンド25Cの二方向繊維シート材119は、アラミド繊維を用いて形成されている場合、二方向繊維シート材119の目付量が90〜870(g/m)であること、二方向繊維シート材119の引張強度が2060(N/mm)以上であること、二方向繊維シート材119の厚みが0.03〜0.24(mm)であること、の少なくとも一つの条件が満たされている。また、二方向繊維シート材119が炭素繊維を用いて形成されている場合には、二方向繊維シート材119の目付量が200〜300(g/m)であること、二方向繊維シート材119の引張強度が2900(N/mm)以上であること、二方向繊維シート材119の厚みが0.05〜0.09(mm)であること、の少なくとも一つの条件が満たされている。このような二方向繊維シート材119の構成によれば、結合Vベルト10Cの弛み(垂れ下がりによる湾曲)を顕著に抑制できる構成を実現できる。
また、伸張ゴム層11Cのゴム硬度をA35〜A65に設定すること、伸張ゴム層11Cが発泡ゴムである場合の硬度をASKER C15〜60に設定すること、伸張ゴム層11Cの厚みを2〜10(mm)に設定すること、及び、タイバンド25Cの表面(外周面)に被搬送物の滑り止めを目的として経緯糸で凹凸を付けること、の少なくとも一つの条件を満たすことで、結合Vベルト10Cをより高い強度で確実に掴むことができる。
以上の次第で、収穫機に一対の結合Vベルト10Cを用いた場合において、収穫能力アップを目的に結合Vベルト10Cが長尺になろうとも湾曲する(垂れ下がる)ことを抑制された状態でコンパクト化も可能であり、長期間に渡り搬送物Hを正確に掴み落下することなく搬送する機能を、実現できる。
また、収穫能力のアップに伴う策としてのベルト幅(被搬送物の挟持幅)の大きいD,E形は、ベルトの自重、ベルト駆動用プーリのプーリ径の大きさの点で実用に難が残る。一方で、本第3実施形態のように、結合Vベルト10Cの各ベルト20Cが、A、B、C形、薄A、薄B、薄C形であれば、自重が軽く且つ、変形し難い。このため、搬送物Hを搬送する量(作物の本数)が多い場合でも重量過多による結合Vベルト10Cの湾曲を生じ難くできる。
本第3実施形態において、各ベルト20Cが、A、B、C形、薄A、薄B、薄C形であれば、ベルトがD、E形である場合に比べ屈曲性に優れているために結合ベルト10Cの駆動に必要なプーリのプーリ径は、小さくてもよく、収穫機の更なるコンパクト化が可能である。
また、第3実施形態によれば、幅の広いタイバンド25Cを有する結合Vベルト10Cであることと、伸張ゴム層11Cをグリップ力(摩擦力)の効く低硬度ゴム又は発泡ゴムで形成していることの相乗効果により、搬送物Hは、より確かな挟持力で搬送される。その結果、収穫機における次工程(例えば茎葉切断工程)は、正確な位置で行われ、搬送途中に搬送物Hが落下する損失をより低減できる。
また、例えば、1本のベルト(シングルベルト)を複数本プーリに掛けることで搬送物を挟持搬送した場合、個々のベルトの伸びの差によるベルト長さの差異で各ベルトの速度に差が生じ、その結果、正確な搬送ができない(搬送始めと搬送終わりで搬送物の状態が異なる)おそれがある。また、プーリへのベルト取り付け時の当初からのベルト長さのバラツキから、又はベルト伸びによるベルト長さの差異で各ベルトに張力差が、生じることも生じ得る。その結果、複数のベルトによる搬送物の挟持力の低下を招き搬送物の落下が発生し得る。一方で、本第3実施形態の結合Vベルト10Cであれば、経時による速度差、張力差が生じないため、搬送物Hの正確な搬送により、正確な後工程(茎葉切断等)は持続され、搬送物Hが落下することなく収穫率を安定することができる。
<第3実施形態の変形例>
図34は、第3実施形態の変形例に係る伝動ベルトとしての結合Vベルトの成形工程の一例を説明するためのフローチャートである。また、図35(A)は、外被布16bCを下側加硫用モールド6にセットする工程(ステップS33)を示す断面図である。また、図35(B)は、各未加硫ベルト100Cを下側加硫用モールド6にセットする工程(ステップS29)を示す断面図である。本変形例に係る結合Vベルトの製造方法は、図33におけるステップS28(外被布16aCを未加硫ベルト100Cに巻き付ける工程)の代わりに、ステップS33(外被布16bCを下側加硫用モールド6にセットする工程)を含んでいる。以下では、図34を用いて説明した第3実施形態と異なる点について主に説明し、それ以外の点については説明を省略する。
第3実施形態に関する本変形例では、複数の未加硫ベルト100Cが形成された後(すなわち、ステップS27の工程が行われた後)、図35(A)に示すように、ステップS33において、外被布16bCが、下側加硫用モールド6にセットされる。具体的には、ステップS33では、幅広に形成された筒状の外被布16bCが、下側加硫用モールド6に形成された複数の溝部6aの全てに跨って密着するように、下側加硫用モールド6にセットされる。その後、ステップS29において、各未加硫ベルト100Cが、外被布16bCを介して、各溝部6aに嵌め込まれる。その後の工程については、第3実施形態で説明した結合Vベルト10Cの製造方法と同じであるため、その説明を省略する。
以上のように、第3実施形態の変形例に係る結合Vベルトの製造方法によって製造された結合Vベルトは、第3実施形態で説明した製造方法によって製造された結合Vベルト10Cと比べて、隣接するベルト部20Cの間に外被布16bCが設けられている点を除き(すなわち、結合Vベルトの幅方向全体に亘って外被布16bCが設けられている点を除き)、結合Vベルト10Cと同じ構成を有している。従って、本変形例によっても、第3実施形態の場合と同様、伝動ベルトが実用上受けることのできる張力をより高くできるとともに伝動ベルトの性能のばらつきをより少なくでき、且つ、製造にかかる時間をより少なくできる伝動ベルト、及びそのような伝動ベルトの製造方法、を提供できる。
なお、第3実施形態及びその変形例では、リボン状ゴム110を用いて各ベルトスリーブ101C,102C,104C,105Cを形成する例を挙げて説明したが、これに限らない。具体的には、各ベルトスリーブ101C,102C,104C,105Cの少なくともいずれか一方を、1枚のゴムシートで形成してもよい。
本発明は、伝動ベルト、及び伝動ベルトの製造方法として広く適用することができる。
5 マントル
10,10A 伝動ベルト
10B,10C 結合Vベルト(伝動ベルト)
11,11C 伸張ゴム層
13,13A,13B,13C 芯体
15,15C 圧縮ゴム層
20,20C ベルト部
101,101C 伸張側ベルトスリーブ
102,102C 伸張側接着ベルトスリーブ(未加硫のベルトスリーブ)
105,105C 圧縮側ベルトスリーブ
110 リボン状ゴム
115,115B シート材
119 二方向繊維シート材
101a,102a,104a,115a 端縁
119a 第1繊維
119b 第2繊維
B101,B102,B104,B115 突き合わせ位置
P110 ベルトスリーブにシート材が巻かれるピッチ
R1 ベルトスリーブの径方向
T115 シート材の厚み
W110 ベルトスリーブの幅方向
W115 シート材の幅

Claims (18)

  1. 無端状の未加硫のベルトスリーブにシート材を巻き付けることで前記ベルトスリーブに芯体を形成する、芯体形成ステップを含み、
    前記シート材の幅は、当該シート材の厚みよりも大きく設定されていることを特徴とする、伝動ベルトの製造方法。
  2. 請求項1に記載の伝動ベルトの製造方法であって、
    前記シート材のうち前記ベルトスリーブの幅方向に隣接する部分同士が前記ベルトスリーブの径方向に互いに重なることを避けるように前記シート材が前記ベルトスリーブに巻かれることを特徴とする、伝動ベルトの製造方法。
  3. 請求項2に記載の伝動ベルトの製造方法であって、
    前記シート材が螺旋状に巻かれることで前記芯体が形成され、
    前記ベルトスリーブに前記シート材が巻かれるピッチは、前記シート材の幅と同じに設定されていることを特徴とする、伝動ベルトの製造方法。
  4. 請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の伝動ベルトの製造方法であって、
    前記シート材が前記ベルトスリーブの径方向に積層されることにより前記芯体が形成されることを特徴とする、伝動ベルトの製造方法。
  5. 請求項4に記載の伝動ベルトの製造方法であって、
    前記シート材のうち前記ベルトスリーブの幅方向に互いに隣接する部分の端縁同士が所定の突き合わせ位置で突き合わされており、
    前記径方向に隣接する前記シート材間において、前記突き合わせ位置が前記幅方向にずらされていることを特徴とする、伝動ベルトの製造方法。
  6. 請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の伝動ベルトの製造方法であって、
    前記芯体に接触するように構成される前記ベルトスリーブを形成するベルトスリーブ形成ステップをさらに含み、
    前記ベルトスリーブ形成ステップでは、前記ベルトスリーブの幅よりも短い幅を有するリボン状ゴムをマントルに複数周巻くことで、前記ベルトスリーブが形成され、
    前記リボン状ゴムのうち前記ベルトスリーブの幅方向に互いに隣接する部分の端縁同士が所定の突き合わせ位置で突き合わされており、
    前記芯体の前記シート材のうち前記ベルトスリーブの幅方向に互いに隣接する部分の端縁同士が所定の突き合わせ位置で突き合わされており、
    前記リボン状ゴムにおける前記突き合わせ位置と、前記シート材における前記突き合わせ位置とが、前記幅方向にずらされていることを特徴とする、伝動ベルトの製造方法。
  7. 請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の伝動ベルトの製造方法であって、
    前記ベルトスリーブを形成するベルトスリーブ形成ステップをさらに含み、
    前記ベルトスリーブとして、前記伝動ベルトの伸張ゴム層となるように配置される伸張側ベルトスリーブと、前記伝動ベルトの圧縮ゴム層となるように配置される圧縮側ベルトスリーブと、が設けられ、
    前記ベルトスリーブ形成ステップとして、前記芯体形成ステップに先立って行われ前記伸張側ベルトスリーブを形成する伸張側ベルトスリーブ形成ステップと、前記芯体形成ステップの後に行われ前記圧縮側ベルトスリーブを形成する圧縮側ベルトスリーブ形成ステップと、が設けられることを特徴とする、伝動ベルトの製造方法。
  8. 請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の伝動ベルトの製造方法であって、
    前記ベルトスリーブを形成するベルトスリーブ形成ステップをさらに含み、
    前記ベルトスリーブとして、前記伝動ベルトの圧縮ゴム層となるように配置される圧縮側ベルトスリーブが設けられ、
    前記ベルトスリーブ形成ステップとして、前記芯体形成ステップに先立って行われ前記圧縮側ベルトスリーブを形成する圧縮側ベルトスリーブ形成ステップ、が設けられ、
    前記芯体形成ステップで前記芯体が形成された前記ベルトスリーブを該ベルトスリーブの周方向に沿って切断することにより複数の未加硫ベルトを形成する未加硫ベルト形成ステップと、
    連結部を介して複数の前記未加硫ベルトを互いに結合する未加硫ベルト結合ステップと、
    を更に含むことを特徴とする、伝動ベルトの製造方法。
  9. 請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の伝動ベルトの製造方法であって、
    前記ベルトスリーブを形成するベルトスリーブ形成ステップをさらに含み、
    前記ベルトスリーブとして、前記伝動ベルトの圧縮ゴム層となるように配置される圧縮側ベルトスリーブと、前記伝動ベルトの伸張ゴム層となるように配置される伸張側ベルトスリーブが設けられ、
    前記ベルトスリーブ形成ステップとして、前記圧縮側ベルトスリーブを形成する圧縮側ベルトスリーブ形成ステップと、前記伸張側ベルトスリーブを形成する伸張側ベルトスリーブ形成ステップと、が設けられ、
    前記圧縮側ベルトスリーブ、前記伸張側ベルトスリーブ及び前記芯体が形成された前記ベルトスリーブを該ベルトスリーブの周方向に沿って切断することにより複数の未加硫ベルトを形成する未加硫ベルト形成ステップと、
    前記伸張側ベルトスリーブに結合される連結部を介して複数の前記未加硫ベルトを互いに結合する未加硫ベルト結合ステップと、
    を更に含むことを特徴とする、伝動ベルトの製造方法。
  10. 圧縮ゴム層を備えた無端状の伝動ベルトであって、
    幅が厚みよりも大きく設定されたシート材を有し、前記圧縮ゴム層の外周面側に設けられている前記シート材の幅方向が前記伝動ベルトの幅方向に沿い且つ前記シート材の厚み方向が前記伝動ベルトの厚み方向に沿った状態となっている芯体、を更に備えていることを特徴とする、伝動ベルト。
  11. 請求項10に記載の伝動ベルトにおいて、
    前記芯体では、前記シート材のうち前記伝動ベルトの幅方向に隣接する部分同士が、前記伝動ベルトの厚み方向に重なっていないことを特徴とする、伝動ベルト。
  12. 請求項10又は請求項11に記載の伝動ベルトにおいて、
    前記芯体は、前記伝動ベルトの厚み方向に重ねられた状態となっている複数の前記シート材を有していることを特徴とする、伝動ベルト。
  13. 請求項12に記載の伝動ベルトにおいて、
    前記シート材のうち前記伝動ベルトの幅方向に互いに隣接する部分の端縁同士が所定の突き合わせ位置で突き合わせられた状態となっており、
    前記伝動ベルトの厚み方向に隣接する前記シート材間では、前記突き合わせ位置が前記伝動ベルトの幅方向にずれた状態となっていることを特徴とする、伝動ベルト。
  14. 請求項10〜請求項13の何れか1項に記載の伝動ベルトであって、
    それぞれが、前記圧縮ゴム層及び前記芯体を有する無端状に形成された前記伝動ベルトとしての複数のベルト部と、
    前記ベルト部の幅方向に配列された前記複数のベルト部を連結する連結部と、
    を更に備えていることを特徴とする、伝動ベルト。
  15. 請求項14に記載の伝動ベルトであって、
    各前記ベルト部は、前記芯体と前記連結部との間に配置される伸張ゴム層を更に備えていることを特徴とする、伝動ベルト。
  16. 請求項15に記載の伝動ベルトであって、
    前記連結部は、互いに異なる二方向に交差して延びる第1繊維及び第2繊維を含む二方向繊維シート材を用いて形成されており、
    前記互いに異なる二方向は、前記伝動ベルトの周方向及び幅方向であるか、又は、何れも前記周方向と交差する方向であることを特徴とする、伝動ベルト。
  17. 請求項16に記載の伝動ベルトであって、
    前記二方向繊維シート材は、アラミド繊維を用いて形成されており、
    前記二方向繊維シート材の目付量が90〜870(g/m)であること、前記二方向繊維シート材の引張強度が2060(N/mm)以上であること、前記二方向繊維シート材の厚みが0.03〜0.24(mm)であること、の少なくとも一つの条件が満たされていることを特徴とする、伝動ベルト。
  18. 請求項16に記載の伝動ベルトであって、
    前記二方向繊維シート材は、炭素繊維を用いて形成されており、
    前記二方向繊維シート材の目付量が200〜300(g/m)であること、前記二方向繊維シート材の引張強度が2900(N/mm)以上であること、前記二方向繊維シート材の厚みが0.05〜0.09(mm)であること、の少なくとも一つの条件が満たされていることを特徴とする、伝動ベルト。
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